特許第6193057号(P6193057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000002
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000003
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000004
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000005
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000006
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000007
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000008
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000009
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000010
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000011
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000012
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000013
  • 特許6193057-携帯電子機器用表示板 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193057
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】携帯電子機器用表示板
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20170828BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G09F9/00 302
   H04M1/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-177576(P2013-177576)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-45781(P2015-45781A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】安藤 均
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0020679(US,A1)
【文献】 特開2005−091971(JP,A)
【文献】 特開2003−046616(JP,A)
【文献】 特開平08−313880(JP,A)
【文献】 特開2000−010097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02 − 1/23
G02F 1/133
G02F 1/1333
G02F 1/1334
G02F 1/1339 − 1/1341
G02F 1/1347
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器用の表示板であって、
透明な基板と、
その基板の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体と、
を備え
前記ゴム状弾性体は、前記基板の外側面を部分的に被覆し、前記基板の外側面から前記基板の表面若しくは裏面の外縁部に回り込むように連続形成されており、
前記ゴム状弾性体は、前記基板の角部の外側面を経て一辺の前記外側面の一部まで延出して被覆し、前記一辺の表面若しくは裏面に回り込んで、再び前記一辺の前記外側面を被覆して、前記一辺の両角部に挟まれた前記外側面の中央領域を露出させていることを特徴とする携帯電子機器用表示板。
【請求項2】
前記基板の外側面の角を除去し、あるいは当該外側面に凹凸を形成し、そこに前記ゴム状弾性体を付着して成ることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器用表示板。
【請求項3】
前記基板に、直接、前記ゴム状弾性体を付着して成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器用表示板。
【請求項4】
前記基板をガラス製の基板とし、
前記ゴム状弾性体をシリコーンゴム製の弾性体とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯電子機器用表示板。
【請求項5】
前記基板は、その面内の一方向を突出するように湾曲していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の携帯電子機器用表示板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器用の表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレット型PC等に代表される携帯電子機器は、文字や画像等の情報を表示する表示領域を備え、当該表示領域の外表面には透明なガラスあるいは樹脂から成る表示板を備える。最近では、スマートフォンやタブレット型PCのように、表示領域が単に情報を表示する部分ではなく、操作部をも兼ねる機器が多くなってきており、これに伴い、表示領域の大型化が進んでいる。表示板は、嵌め込みあるいは接着等の手法により、携帯電子機器の筺体に固定される。表示板と筺体との間には、幅の大小を問わず、必ず隙間が存在する。このため、携帯電子機器に対して高い防水性若しくは防塵性を付与する場合、この隙間を完全に埋めるべく、表示板の周囲にゴム製の枠体を取り付ける方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、表示板を特にガラスにて構成した場合には、製造工程中あるいは携帯電子機器の使用中に表示板に加わる振動あるいは衝撃によって、表示板が破損する危険性がある。そこで、防水性および防塵性に加えて耐衝撃性をも高めるべく、ガラス製の表示板の外周にゴム製の枠体を配置する前述の方法に代えて、当該表示板を金型内にセットし、表示板の全側面に環状のゴム状弾性体をインサート成形する方法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−207630号公報
【特許文献2】国際公開WO2012/115140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、表示板の外周にゴム製の枠体を配置する場合には、表示板と枠体との密着性を高めることが難しく、かつ表示板とは別に当該枠体を高精度に成形する必要がある。一方、表示板の全側面に環状のゴム状弾性体を固着する場合、表示板を金型内に正確に位置決めする必要がある。表示板は、より薄型化あるいはより意匠性が求められる傾向にあることから、表示板の表面あるいは裏面に局所的な凹凸を設けて表示板を金型内で動かないように正確な位置に固定するといった方法を採用することはできない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、簡便に、高い耐衝撃性を有する携帯電子機器用表示板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、携帯電子機器用の表示板であって、透明な基板と、その基板の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体とを備える。
【0008】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、さらに、ゴム状弾性体が基板の角部の外側面およびそれを含む所定長さの外側面を被覆したものである。
【0009】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、ゴム状弾性体が基板の各角部の外側面およびそれを含む所定長さの外側面以外であって基板の少なくとも一辺の外側面を被覆したものである。
【0010】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、ゴム状弾性体が基板の外側面から基板の表面若しくは裏面の外縁部に回り込むように連続形成されたものである。
【0011】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、ゴム状弾性体が基板の角部の外側面およびそれを含む所定長さの外側面から、基板の少なくとも一辺の表面若しくは裏面の外縁部に回り込むように連続形成されたものである。
【0012】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、ゴム状弾性体が基板の少なくとも一辺の外側面から、基板の角部の表面若しくは裏面の外縁部に回り込むように連続形成されたものである。
【0013】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、基板の外側面の角を除去し、あるいは外側面に凹凸を形成し、そこにゴム状弾性体を付着したものである。
【0014】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、基板に、直接、ゴム状弾性体を付着して成るものである。
【0015】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、基板をガラス製の基板とし、ゴム状弾性体をシリコーンゴム製の弾性体とするものである。
【0016】
別の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板は、また、基板を、その面内の一方向を突出するように湾曲したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡便に、高い耐衝撃性を有する携帯電子機器用表示板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板を備えた携帯電子機器の部分分解斜視図を示す。
図2図2は、図1中の携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
図3図3は、図2の携帯電子機器用表示板のA−A線断面図およびその一部Bの拡大断面図をそれぞれ示す。
図4図4は、図3の拡大断面図と同様の視点から見た基板とゴム状弾性体との境界部分の変形例(4A,4B,4C)を示す。
図5図5は、図1に示す携帯電子機器用表示板の変形例の斜視図を示す。
図6図6は、図5のC−C線断面図を示す。
図7図7は、第2の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
図8図8は、第3の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
図9図9は、図8の携帯電子機器用表示板をその短辺方向から見た側面図を示す。
図10図10は、図8の携帯電子機器用表示板のD−D線拡大断面図を示す。
図11図11は、図8に示す携帯電子機器用表示板の変形例の斜視図を示す。
図12図12は、第4の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
図13図13は、第5の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る携帯電子機器用表示板の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板を備えた携帯電子機器の部分分解斜視図を示す。図2は、図1中の携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
【0021】
携帯電子機器1は、筺体2と、筺体2の主操作面側にある開口部10に配置される携帯電子機器用表示板3とを備える。開口部10は、その開口近傍に、携帯電子機器用表示板(以後、単に、「表示板」とも称する)3を載置するために環状に形成された内枠11と、内枠11から開口側に向かって立ち上がる内側面12とを備える。表示板3は、その裏面の外縁部を内枠11に、その外側面を内側面12にそれぞれ接するように、開口部10に固定される。
【0022】
表示板3は、透明な略長方形の基板4と、基板4の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体5とを備える。基板4は、4つの角部20と、互いに対向する短辺側の外側面21と、同じく互いに対向する長辺側の外側面22とをそれぞれ備える。ゴム状弾性体5は、基板4の角部20の外側面およびそれを含む所定長さの外側面(以後、「角部20の外側面近傍」とも称する)を被覆するように、4つに分離して基板4に固着する。このため、表示板3は、基板4の外側面21,22における角部20近傍のみをゴム状弾性体5により被覆し、外側面21,22におけるその他の部分を露出している。表示板3を筺体2の開口部10に嵌め込むと、表示板3の角部20近傍にてゴム状弾性体5が内側面12に接することになる。ここで、ゴム状弾性体5により被覆される角部20の外側面およびそれを含む所定長さの外側面は、基板4の辺の一部を露出する限り、どのような長さの外側面であっても良いが、好ましくは、短辺の長さに対して2〜50%の長さ、さらに好ましくは5〜30%の長さ、特に好ましくは10〜20%の長さである。
【0023】
基板4は、この実施の形態では、ガラス製であり、40〜60mmの短辺と、90〜130mmの長辺と、0.3〜0.7mmの厚さとを有する薄板である。ただし、上記材質と寸法は、一例に過ぎず、基板4の材質および寸法は、これらに限定されない。材質を例に挙げると、基板4は、ガラス以外に、PMMAやPETなどの樹脂から成る薄板でも良い。ゴム状弾性体5は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー; あるいはそれらの複合物等などから好適に構成され、特にシリコーンゴムにて特に好適に構成される。ゴム状弾性体5は、好ましくは、厚さ0.3〜0.7mm、さらに好ましくは厚さ0.4〜0.6mmで基板4の外側面に固着される。また、この実施の形態では、ゴム状弾性体5は、基板4の外側面のみを被覆し、外側面から基板4の表側の面あるいは裏側の面に延出していない。したがって、ゴム状弾性体5は、基板4の厚さと同一若しくはそれより小さい幅を有する形態にて、基板4の外側面に存在する。
【0024】
基板4の外側面を部分的にゴム状弾性体5にて被覆する製法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、金型内に基板4をセットし、未硬化状態のゴム材料を金型内に流し込み、基板4の角部20の外側面近傍にゴム状弾性体5を形成するインサート成形法を例示できる。基板4の外側面に沿って環状にゴム状弾性体を被覆する場合には基板4を金型内に正確に位置決めする必要があるが、それに比べると、基板4の角部20の外側面近傍にのみゴム状弾性体5を被覆する場合には基板4の厳密な位置決めを要しないので、製品の歩留まりが高くなる。
【0025】
図3は、図2の携帯電子機器用表示板のA−A線断面図およびその一部Bの拡大断面図をそれぞれ示す。
【0026】
この実施の形態では、表示板3は、静電容量型のタッチパネルとして構成される。表示板3は、基板4の表面側に表層23を、基板4の裏面側に透明電極24を、それぞれ備える。表層23は、基板4側から順に、光学粘着層25、UV樹脂層26と印刷層27、透明樹脂フィルム31、ハードコート層32を積層して成る。光学粘着層25は、UV樹脂層26およびそれより上の層を基板4に形成するための接着層である。UV樹脂層26は、印刷層27を保持し、透明樹脂フィルム31と光学粘着層25との隙間を埋める層である。印刷層27は、基板4の外縁部に所定の幅で枠状に形成される層であり、基板4側から順に、黒印刷層28、ミラーシルバー印刷層29、黒印刷層30を積層して成る。印刷層27は、額縁の形成を目的として形成される層である。透明樹脂フィルム31は、例えば、PETのような透明な樹脂から構成される層であって基板4の飛散防止などを目的とする被覆層である。透明樹脂フィルム31は、飛散しやすいガラスにて基板4を構成する場合には特に有効な層である。ハードコート層32は、防傷を目的とする層である。
【0027】
表層23は、一例として、上述のような複数の層から構成されるが、各層は必須の層ではない。これらの層の一部若しくは全部を形成しなくても良い。また、表示板3を、操作と表示を兼ねたタッチパネルとして用いない場合には、透明電極24も不要である。
【0028】
図4は、図3の拡大断面図と同様の視点から見た基板とゴム状弾性体との境界部分の変形例(4A,4B,4C)を示す。
【0029】
拡大図B1に示すように、基板4の外側面の両角を斜めにカットして、そのカットにより形成された斜面41を含む外側面にゴム状弾性体5を固着しても良い。斜面41は、基板4の外側面の全てに形成することもでき、あるいはゴム状弾性体5を固着する部分または当該部分を含む所定長の領域にのみ形成することもできる。また、拡大図B2に示すように、基板4の外側面の一方の角のみをカットして斜面41を形成し、他方の角を略直角にカットして段差面42を形成し、斜面41と段差面42を含む外側面にゴム状弾性体5を固着しても良い。斜面41および段差面42は、先の例と同様、基板4の外側面の全てに形成することもでき、あるいはゴム状弾性体5を固着する部分または当該部分を含む所定長の領域にのみ形成することもできる。さらには、拡大図B3に示すように、基板4の外側面の厚さ方向略中央部分に溝43を形成し、溝43を含む外側面にゴム状弾性体5を固着しても良い。
【0030】
このように、基板4の外側面の角を除去し、あるいは外側面に凹凸を形成し、そこにゴム状弾性体5を付着することによって、基板4とゴム状弾性体5との接触面積を大きくすることができ、もって両者4,5の密着力を高めることができる。この実施の形態では、基板4とゴム状弾性体5との間に、プライマー等の両者4,5を化学的に結合させる介在層を形成する材料を用いることもでき、あるいは用いないこともできる。特に、当該介在層を形成する材料を用いず、基板4に、直接、ゴム状弾性体5を付着する場合には、基板4の外側面に加工を施すことは、両者4,5の密着力を高めるために、より有効である。以後の各実施の形態においても同様に、ゴム状弾性体と基板との間に何も介在させずに、両者を、直接、固着しても良い。基板4の外側面の加工は、機械的な切削あるいは研磨を行う機器等を用いる他、プラズマを用いた物理的なエッチング処理、薬剤を用いた化学的なエッチング処理、微粒子を衝突させるブラスト処理などの他の方法により行っても良い。
【0031】
図5は、図1に示す携帯電子機器用表示板の変形例の斜視図を示す。図6は、図5のC−C線断面図を示す。
【0032】
この変形例に係る表示板3aは、図1の表示板3と異なり、平板ではなく湾曲した基板4aの角部20aの外側面近傍にゴム状弾性体5を固着したものである。このように、湾曲した基板4aを用いた携帯電子機器1を製造する場合、製造工程において、基板4aの作業テーブル等への接触箇所は角部20aになることが多い。よって、ゴム状弾性体5は、基板4aが角部20aを起点として破損若しくは破壊するのを有効に防止する。また、携帯電子機器1を使用している際に、振動や衝撃が加わると、角部20aに応力が集中する可能性がある。特に、角部20aは、基板4aの製造時の切削や研磨加工の際に、加工傷が入りやすく、当該加工傷が基板4aの破損や破壊の潜在要因となりやすい。しかし、ゴム状弾性体5を角部20aの外側面近傍に固着していると、角部20aを起点とする破損や破壊を有効に防止することができる。
【0033】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る携帯電子機器用表示板の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0034】
図7は、第2の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
【0035】
この実施の形態に係る携帯電子機器用表示板(以後、単に、「表示板」とも称する)3bは、第1の実施の形態に係る表示板3と同様、携帯電子機器1の筐体2の開口部10に取り付け可能である。表示板3bは、透明な略長方形の基板4と、基板4の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体5bとを備える。ゴム状弾性体5bは、第1の実施の形態に係るゴム状弾性体5と異なり、基板4の角部20の外側面およびそれを含む所定長さの外側面以外であって基板4の短辺側および長辺側の各外側面21,22の中央を含む領域(中央領域)を被覆するように、4つに分離して基板4に固着されている。このため、表示板3bは、基板4の角部20の外側面近傍を露出している。表示板3bを筺体2の開口部10に嵌め込むと、表示板3bの短辺側および長辺側にてゴム状弾性体5bが内側面12に接することになる。
【0036】
基板4の外側面に沿って環状にゴム状弾性体を被覆する場合には基板4を金型内に正確に位置決めする必要があるが、それに比べると、基板4の短辺側および長辺側の外側面21,22の中央領域にゴム状弾性体5bを被覆する場合には基板4の厳密な位置決めを要しないので、製品の歩留まりが高くなる。
【0037】
<第3の実施の形態>
次に、本発明に係る携帯電子機器用表示板の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0038】
図8は、第3の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。図9は、図8の携帯電子機器用表示板をその短辺方向から見た側面図を示す。図10は、図8の携帯電子機器用表示板のD−D線拡大断面図を示す。
【0039】
この実施の形態に係る携帯電子機器用表示板(以後、単に、「表示板」とも称する)3cは、第1の実施の形態に係る表示板3と同様、携帯電子機器1の筐体2の開口部10に取り付け可能である。表示板3cが先に説明した表示板3と異なる点は、ゴム状弾性体5cの被覆部位とその形態である。この実施の形態に係る基板4の形態は、第1の実施の形態に係る基板4と同一である。
【0040】
表示板3cは、4つの角部20を有する透明な基板4と、基板4の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体5cとを備える。ゴム状弾性体5cは、基板4の外側面から基板4の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている。より具体的には、ゴム状弾性体5cは、基板4の長辺側の外側面22、基板4の角部20の外側面を経て、基板4の短辺側の外側面21の途中から短辺側の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている。ゴム状弾性体5cは、基板4の長辺側の外側面22から角部20の外側面を経て短辺側の外側面21の一部まで延出して被覆する外側面被覆部51と、外側面被覆部51から連続形成されていて基板4の短辺側において基板4の裏面に回り込んで外縁部を被覆する裏面被覆部52とを有する環状弾性体である。このため、基板4の短辺側の外側面21における両角部20に挟まれた中央領域は、ゴム状弾性体5cに被覆されずに露出している。
【0041】
基板4の外側面の全てをゴム状弾性体にて被覆していないので、表示板3cをインサート成形にて製造する場合、基板4を金型内にて厳密に位置決めしなくても良い。また、表示板3cの外側面と裏面の両方にゴム状弾性体5cが存在し、筐体2の開口部10における内枠11および内側面12にてゴム状弾性体5cを接触させることができるので、基板4の厚さ方向および面に平行な方向のいずれの方向からの衝撃や振動に対しても、ゴム状弾性体5cは、緩衝材としての機能を発揮できる。さらに、ゴム状弾性体5cは、切れ目のない環状の連続弾性体であるため、開口部10と表示板3cとの隙間からの浸水に対して有効な防水機能をも発揮できる。特に、内側面12とゴム状弾性体5cとの隙間、あるいは内枠11とゴム状弾性体5cとの隙間のいずれか一方の隙間が存在していても、他方の隙間が存在しない限り、高い防水性を維持できる。また、基板4の外側面および裏面にそれぞれ独立にゴム状弾性体を形成する場合に比べ、金型と基板4との間に連続流路を形成しておくことにより、より簡単に、環状のゴム状弾性体5cを形成できる。なお、ゴム状弾性体5cは、短辺側の外側面21を完全に被覆し、長辺側の外側面22の中央領域を被覆せずに外側面22の裏面にて回り込んで形成されていても良い。さらには、基板4の角部20の外側面近傍のみを被覆し、短辺側の外側面21および長辺側の外側面22の両側にて基板4の裏面に回り込むようにゴム状弾性体を形成しても良い。
【0042】
図11は、図8に示す携帯電子機器用表示板の変形例の斜視図を示す。
【0043】
この変形例に係る表示板3dは、図8の表示板3と異なり、平板ではなく一方向(表方向)に突出するように湾曲した基板4aを有する。基板4aは、角部20aの外側面近傍および長辺側の外側面22に、ゴム状弾性体5cを備える。このように、湾曲した基板4aを用いた携帯電子機器1を製造する場合、製造工程において、基板4aの作業テーブル等への接触箇所は角部20aになることが多い。よって、ゴム状弾性体5cは、基板4aが角部20aを起点として破損若しくは破壊するのを有効に防止する。また、携帯電子機器1を使用している際に、振動や衝撃が加わると、角部20aに応力が集中する可能性がある。特に、角部20aは、基板4aの製造時の切削や研磨加工の際に、加工傷が入りやすく、当該加工傷が基板4aの破損や破壊の潜在要因となりやすい。しかし、ゴム状弾性体5cを角部20aの外側面近傍を含むように固着していると、角部20aを起点とする破損や破壊を防止する可能性が高まる。
【0044】
この変形例においても、ゴム状弾性体5cは、ゴム状弾性体5cにより被覆する辺とゴム状弾性体5cの回り込む辺とを図11に示す形態と逆にして、短辺側の外側面21を完全に被覆し、長辺側の外側面22の中央領域を被覆せずに外側面22の裏面にて回り込んで形成されていても良い。
【0045】
<第4の実施の形態>
次に、本発明に係る携帯電子機器用表示板の第4の実施の形態について説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0046】
図12は、第4の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
【0047】
この実施の形態に係る携帯電子機器用表示板(以後、単に、「表示板」とも称する)3eは、第1の実施の形態に係る表示板3と同様、携帯電子機器1の筐体2の開口部10に取り付け可能である。表示板3eが先に説明した表示板3cと異なる点は、ゴム状弾性体5eの被覆部位である。この実施の形態に係る基板4の形態は、第3の実施の形態に係る基板4と同一である。
【0048】
表示板3eは、4つの角部20を有する透明な基板4と、基板4の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体5eとを備える。ゴム状弾性体5eは、基板4の外側面から基板4の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている。より具体的には、ゴム状弾性体5eは、基板4の長辺側の外側面22の中央領域を被覆し、基板4の角部20近傍から基板4の裏面の外縁部に回りこみ、再び基板4の短辺側の外側面21の中央領域を被覆するように連続形成されている。ゴム状弾性体5eは、基板4の短辺側の外側面21および長辺側の外側面22の各中央領域を被覆する外側面被覆部53と、外側面被覆部53から連続形成されていて基板4の角部20近傍において基板4の裏面に回り込んで外縁部を被覆する裏面被覆部54とを有する環状弾性体である。このため、基板4の4つの角部20の外側面近傍は、ゴム状弾性体5eに被覆されずに露出している。
【0049】
基板4の外側面の全てをゴム状弾性体にて被覆していないので、表示板3eをインサート成形にて製造する場合、基板4を金型内にて厳密に位置決めする必要はない。また、表示板3eの外側面と裏面の両方にゴム状弾性体5eが存在し、筐体2の開口部10における内枠11および内側面12にてゴム状弾性体5eを接触させることができるので、基板4の厚さ方向および面に平行な方向のいずれの方向からの衝撃や振動に対しても、ゴム状弾性体5eは、緩衝材としての機能を発揮できる。さらに、ゴム状弾性体5eは、切れ目のない環状の連続弾性体であるため、開口部10と表示板3eとの隙間からの浸水に対して有効な防水機能をも発揮できる。特に、内側面12とゴム状弾性体5eとの隙間、あるいは内枠11とゴム状弾性体5eとの隙間のいずれか一方の隙間が存在していても、他方の隙間が存在しない限り、高い防水性を維持できる。また、基板4の外側面および裏面にそれぞれ独立にゴム状弾性体を形成する場合に比べ、金型と基板4との間に連続流路を形成しておくことにより、より簡単に、環状のゴム状弾性体5eを形成できる。なお、ゴム状弾性体5eは、短辺側の外側面21の中央領域を被覆し、長辺側の外側面22を被覆せずに外側面22の裏面にて回り込んで形成されていても良い。また、ゴム状弾性体5eは、長辺側の外側面22の中央領域を被覆し、短辺側の外側面21を被覆せずに外側面21の裏面にて回り込んで形成されていても良い。
【0050】
<第5の実施の形態>
次に、本発明に係る携帯電子機器用表示板の第5の実施の形態について説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0051】
図13は、第5の実施の形態に係る携帯電子機器用表示板の平面図を示す。
【0052】
この実施の形態に係る携帯電子機器用表示板(以後、単に、「表示板」とも称する)3fは、第1の実施の形態に係る表示板3と同様、携帯電子機器1の筐体2の開口部10に取り付け可能である。表示板3fが先に説明した表示板3eと異なる点は、ゴム状弾性体5fの被覆部位である。この実施の形態に係る基板4の形態は、第4の実施の形態に係る基板4と同一である。
【0053】
表示板3fは、4つの角部20を有する透明な基板4と、基板4の外側面を部分的に被覆するゴム状弾性体5fとを備える。ゴム状弾性体5fは、基板4の外側面から基板4の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている。より具体的には、ゴム状弾性体5fは、基板4の角部20の外側面近傍を被覆し、そこから基板4の短辺側および長辺側の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている。ゴム状弾性体5fは、基板4の角部20の外側面近傍を被覆する外側面被覆部55と、外側面被覆部55から連続形成されていて基板4の短辺側の外側面21および長辺側の外側面22の各中央領域の裏面側に回り込んで各外縁部を被覆する裏面被覆部56とを有する環状弾性体である。このため、基板4の短辺側の外側面21および長辺側の外側面22の各中央領域は、ゴム状弾性体5fに被覆されずに露出している。
【0054】
基板4の外側面の全てをゴム状弾性体にて被覆していないので、表示板3fをインサート成形にて製造する場合、基板4を金型内にて厳密に位置決めしなくても良い。また、表示板3fの外側面と裏面の両方にゴム状弾性体5fが存在し、筐体2の開口部10における内枠11および内側面12にてゴム状弾性体5fを接触させることができるので、基板4の厚さ方向および面に平行な方向のいずれの方向からの衝撃や振動に対しても、ゴム状弾性体5fは、緩衝材としての機能を発揮できる。さらに、ゴム状弾性体5fは、切れ目のない環状の連続弾性体であるため、開口部10と表示板3fとの隙間からの浸水に対して有効な防水機能をも発揮できる。特に、内側面12とゴム状弾性体5fとの隙間、あるいは内枠11とゴム状弾性体5fとの隙間のいずれか一方の隙間が存在していても、他方の隙間が存在しない限り、高い防水性を維持できる。また、基板4の外側面および裏面にそれぞれ独立にゴム状弾性体を形成する場合に比べ、金型と基板4との間に連続流路を形成しておくことにより、より簡単に、環状のゴム状弾性体5fを形成できる。なお、ゴム状弾性体5fは、短辺側の外側面21の中央領域を被覆し、長辺側の外側面22を被覆せずに形成されていても良い。また、ゴム状弾性体5fは、長辺側の外側面22の中央領域を被覆し、短辺側の外側面21を被覆せずに形成されていても良い。
【0055】
<その他の実施の形態>
本発明は、上述の各実施の形態に限定されず、種々変形実施可能である。
【0056】
例えば、第3〜第5の各実施の形態では、ゴム状弾性体5c,5e,5fは、基板4の外側面から基板4の裏面の外縁部に回り込むように連続形成されているが、基板4の表面の外縁部に回り込むように連続形成されていても良い。また、第3〜第5の各実施の形態において、基板4の裏面若しくは表面の外縁部全体にゴム状弾性体を固着しても良い。このような形態でゴム状弾性体を固着しても、他の実施の形態と同様に、インサート成形の際に基板4の高度な位置決め精度が要求されない。また、筐体2の開口部10の表側に内枠11を形成し、表示板3c,3d,3e,3fを内枠11の裏面に接触させる場合には、基板4または基板4aの表面の外縁部にゴム状弾性体5c,5e,5fを形成するのが好ましい。また、第2、第4および第5の各実施の形態において、基板4に代えて基板4aを用いても良い。さらに、基板4,4aは、平面視にて略長方形の薄板であるが、平面視にて略三角形若しくは五角形以上の多角形の平板あるいは湾曲板であっても良い。
【0057】
ゴム状弾性体5c,5e,5fの形態は、基板4の外側面から基板4の表面若しくは裏面の外縁部に回り込むように連続形成されている形態の一例に過ぎず、基板4の外側面から、基板4の表面および裏面の少なくともいずれか一方の面に回り込む他の形態であっても良い。例えば、基板4の外側面22の中央領域を被覆し、当該中央領域以外では基板4の裏面の外縁部を被覆するようなゴム状弾性体でも良い。また、基板4の2つの角部20の外側面近傍のみを被覆し、それ以外では基板4の裏面の外縁部を被覆するようなゴム状弾性体でも良い。また、基板4,4aの少なくとも一辺の外側面にゴム状弾性体を固着すれば、他の辺において基板4,4aの表面若しくは裏面に回り込むようにゴム状弾性体を固着しても良い。
【0058】
また、上述の各実施の形態は、互いに組み合わせることのできる範囲において、任意に各構成を組み合わせることができる。例えば、第1の実施の形態において、図4を参照して説明した基板4の外側面の角を除去し、あるいは当該外側面に凹凸を形成する方法は、他の実施の形態において、基板4,4aの外側面の加工に採用しても良い。また、当該加工は、基板4,4aの外側面のみならず、基板4,4aの裏面および表面の外縁部であってゴム状弾性体5c,5e,5fを固着する部分に施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、携帯電子機器に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯電子機器
2 筐体
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f 表示板(携帯電子機器用表示板)
4,4a 基板
5,5b,5c,5e,5f ゴム状弾性体
20,20a 角部
21,22 外側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13