(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図8を参照して本実施形態におけるパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機、以下、「パチスロ」と示す)について説明する。
【0015】
図1に示すように、パチスロ10は、前面を開口した直方体状の本体11と、当該本体11の縁側に対して回動開閉可能に軸支された前面扉12とを備えている。前面扉12には、遊技中(変動ゲーム中)に表示演出を行う演出実行手段及び報知手段としての演出表示装置14と、各種の演出効果光を発する装飾ランプLaと、音声演出を行うスピーカSpとが配設されている。
【0016】
前面扉12の前面中央に設けられた中央パネル15には、機内部を透視可能な透視窓16が設けられており、その機内部には、演出表示装置14とは別体である図柄表示手段としてのドラムユニット13が配設されている。ドラムユニット13は、各種の21個の図柄が予め定められた順で印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻装された左リール13Lと、中リール13Cと、右リール13Rとから構成されている。
【0017】
なお、本実施形態において各リールでは、「ベル」を模した図柄(ベル図柄)、「REPLAY」の文字が装飾された図柄(リプレイ図柄)、「スイカ(すいか)」を模した図柄(スイカ図柄)、「チェリー」を模した図柄(チェリー図柄)がそれぞれ配列されている。以下では、各図柄を、「図柄」を省いて、「ベル」、「リプレイ」、「スイカ」、「チェリー」という場合もある。
【0018】
各リール(左リール13L、中リール13C、及び右リール13R)は、側方に並設されている。各リールは、各々に対応して設けられたステッピングモータにより独立して縦方向に回転及び停止するように構成されており、各リールが回転することによって透視窓16には各種図柄が連続的に変化しつつ表示(変動)される。各リールの回転が停止した場合、透視窓16には、各リールにおける複数の図柄のうち連続する3つの図柄が上段、中段、下段の位置に停止表示される。各リールには、それらの回転位置を検出するためのリールセンサSE1,SE2,SE3(
図3に示す)がそれぞれに対応するように設けられている。
【0019】
また、パチスロ10には、透視窓16から透視可能な図柄の表示領域において、停止表示される図柄の組み合わせ(導出される表示結果)を規定する複数(本実施形態では5本)の図柄停止ラインが形成されている。本実施形態では、図柄停止ラインとして、停止表示される図柄の組み合わせを入賞と判定しうる1本の入賞ラインL1(実線で示す)と、停止表示される図柄の組み合わせを入賞と判定し得ない4本の非入賞ラインL2〜L5(破線で示す)が形成されている。
【0020】
透視窓16では、各列の図柄が停止表示される図柄停止位置D1〜D9のうち、図柄停止位置D2,D5,D8によって入賞ラインL1(有効)が形成される。また、図柄停止位置D1,D4,D7によって非入賞ラインL2(無効)が形成され、図柄停止位置D3,D6,D9によって非入賞ラインL3(無効)が形成される。また、図柄停止位置D1,D5,D9によって非入賞ラインL4(無効)が形成され、図柄停止位置D3,D5,D7によって非入賞ラインL5(無効)が形成される。また、中央パネル15には、変動ゲームに関わる情報を報知する各種情報表示部17が構成されている。
【0021】
また、前面扉12には、メダル投入口18が配設されている。メダル投入口18の奥方には、メダルの通過を検知するメダルセンサSE4(
図3に示す)が配設されている。また、前面扉12には、左から順にBETボタン19とMAXBETボタン20とが設けられている。BETボタン19は、機内部で貯留記憶されているクレジットから1ベット分(1枚分)を変動ゲームのベット数(賭数)としてベットする(賭ける)際に押圧(操作)するボタンである。また、MAXBETボタン20は、1回の変動ゲームにおいて許容されるベット数の最大ベット数(本実施形態では3ベット分(3枚分))を変動ゲームのベット数としてベットする(賭ける)際に押圧(操作)するボタンである。
【0022】
また、前面扉12には、精算スイッチ21が設けられている。精算スイッチ21は、変動ゲームの開始に伴ってベットされたメダル(遊技媒体)、又は機内部に貯留記憶されているクレジットを払い戻すときに使用(操作)するスイッチである。また、精算スイッチ21の右方位置には、変動ゲームを開始する際に操作する遊技開始操作手段としてのスタートレバー22が設けられている。そして、本実施形態では、ベット数の設定終了後にスタートレバー22を操作することにより、各リールの回転動作が開始される。
【0023】
スタートレバー22の右方位置には、遊技者により操作される導出操作受付手段としてのストップボタン23L,23C,23Rが設けられている。ストップボタン23L,23C,23Rは、回転しているリールを停止させるためのボタンであり、各リールに対応して3個のストップボタンがある。
【0024】
また、前面扉12の前面における下部中央部にはメダル排出口24が形成されている。また、前面扉12の前面における下部には、メダル排出口24から排出されたメダルを受ける受皿25が配設されている。
【0025】
また、
図1に破線で示すように、パチスロ10本体においてドラムユニット13の下方となる位置には、パチスロ10内部において、投入されたメダルを貯留するためのホッパー26が配置されている。このホッパー26の下方側にはメダル排出口24が位置し、図柄の組み合わせが遊技者に賞メダルを付与する予め定める賞態様(役)になった場合には、ホッパー26に貯留されたメダルがメダル排出口24へと払出される。前面扉12の裏面側においてメダル投入口18の下方位置には、該メダル投入口18とホッパー26とを繋ぐようにメダルセレクター27が配設されている。
【0026】
次に、遊技者が遊技として変動ゲームを行うための操作や、この操作に伴う各種装置の作動状況について説明する。
変動ゲームに対するメダルの投入又は各BETボタン19,20の操作が可能な状態において、各BETボタン19,20を操作することで所定のベット数が設定され、本実施形態では、3ベットによって1本の入賞ラインが有効となり、変動ゲームの実行が許容される。
【0027】
上記のようにベット数が設定され、スタートレバー22の操作が受付可能な状態、すなわち、ゲーム開始可能な状態で遊技者がスタートレバー22の開始操作が行われると、ドラムユニット13の各リールが回転し、透視窓16には複数種類の図柄が連続的に変化するように表示される。その後、各リールが回転して所定時間が経過すると、各ストップボタン23L,23C,23Rの操作が受付可能になる。続いて、遊技者により各ストップボタン23L,23C,23Rが操作されると、対応する各リールが停止され、対応する列の上段、中段及び下段に図柄が透視窓16に表示される。
【0028】
各リールの全てが停止されると、入賞ラインに停止表示された図柄の組み合わせが予め定めた賞態様を形成する場合に入賞となり、入賞した賞態様に応じた賞として、賞メダルの払い出し等が遊技者に付与される。
【0029】
本実施形態における1回の変動ゲームは、ベット数の設定後のスタートレバー22の開始操作を契機に開始し、ストップボタン23L,23C,23Rの停止操作により図柄の組み合わせが停止表示された後に賞メダルの払い出しに関する制御が完了したことを契機に終了する。
【0030】
次に、
図2を参照して本実施形態のパチスロ10において入賞ライン上に停止表示される図柄の組み合わせについて説明する。
図2に示すように、内部で決定される当選役に基づき入賞ライン上に停止表示可能となる図柄の組み合わせ(停止結果)と、該図柄の組み合わせに対応する賞と、が定められている。
【0031】
具体的に、
図2に示す当選役に基づき停止表示可能となる図柄の組み合わせの何れも入賞ライン上に停止表示されない場合、賞メダルの遊技者への付与が行われない(1枚以上の賞メダルを付与しない)。以下の説明で、
図2に示す何れにも対応しない図柄の組み合わせにより入賞ラインを形成する場合の図柄の組み合わせを「はずれ停止目」という。
【0032】
また、[チェリー・ANY・ANY]が入賞ライン上に停止表示される場合には、2枚の賞メダルを払い出すことを定めている。なお、入賞ラインを形成する中リール13C及び右リール13Rの停止位置に停止表示される図柄は何れの図柄(「ANY」)でもよい。以下の説明で、[チェリー・ANY・ANY]により入賞ラインを形成する賞態様(図柄の組み合わせ)を「チェリー停止目」という。このチェリー停止目は、当選役として「チェリー役」の決定により入賞可能(停止表示可能)とされている。
【0033】
また、[スイカ・スイカ・スイカ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、6枚の賞メダルを払い出すことを定めている。以下の説明で、[スイカ・スイカ・スイカ]により入賞ラインを形成する賞態様を「スイカ停止目」という。このスイカ停止目は、当選役として「スイカ役」の決定により入賞可能とされている。
【0034】
また、[ベル・ベル・ベル]が入賞ライン上に停止表示される場合には、12枚の賞メダルを払い出すことを定めている。以下の説明で、[ベル・ベル・ベル]により入賞ラインを形成する賞態様を「ベル停止目」という。このベル停止目は、当選役として「ベル役」の決定により入賞可能とされている。
【0035】
本実施形態において、これら「チェリー役」、「スイカ役」、「ベル役」は、入賞に基づいて賞メダルの払い出しを定めた当選役(払出役)となる。
また、[リプレイ・リプレイ・リプレイ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、上述した再遊技を付与することが定められている。以下、[リプレイ・リプレイ・リプレイ]により入賞ラインを形成する賞態様を「通常停止目」という。この通常停止目は、当選役として通常リプレイ役(通常入賞役)の決定により入賞可能とされている。
【0036】
また、
図2に示す[リプレイ・リプレイ・ベル]をはじめとして、図示しない[リプレイ・ベル・リプレイ]、[ベル・リプレイ・リプレイ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、上述した再遊技を付与することを定めている。以下、[リプレイ・リプレイ・ベル]等により入賞ラインを形成する賞態様を「特別停止目」という。この特別停止目は、当選役として特別リプレイ役の決定により入賞可能とされている。
【0037】
また、
図2に示す[リプレイ・リプレイ・スイカ]をはじめとして、図示しない[リプレイ・スイカ・リプレイ]、[スイカ・リプレイ・リプレイ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、上述した再遊技を付与することを定めている。以下、[リプレイ・リプレイ・スイカ]等により入賞ラインを形成する賞態様を「特殊停止目」という。この特殊停止目は、当選役として特殊リプレイ役の決定により入賞可能とされている。
【0038】
また、[ベル・リプレイ・スイカ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、上述した再遊技を付与することを定めている。以下、[ベル・リプレイ・スイカ]により入賞ラインを形成する賞態様を「突入停止目」という。この突入停止目は、当選役として突入リプレイ役の決定により入賞可能とされている。
【0039】
なお、本実施形態において、これら各種リプレイ役は、入賞に基づいて再遊技の付与を定めた再遊技役となる。また、上述した再遊技では、遊技者がベット数をベットすることなく変動ゲームを行うことができ、賞メダルの遊技者への付与が行われない(1枚以上の賞メダルを付与しない)。
【0040】
また、本実施形態において、各賞態様の入賞により賞メダルの払い出しや再遊技といった各賞の入賞の発生を許容する「チェリー役」、「スイカ役」、「ベル役」、及び「リプレイ役」といった当選役が小役となる。
【0041】
また、本実施形態のパチスロ10は、リプレイ役の当選確率を変動させて制御するRT機能(再遊技役確率変動機能)が搭載されている。このRT機能により、RT機能の非作動の状態であってリプレイ役の合算の当選確率が低確率抽選状態(低確率)に設定された低確RT遊技に状態が制御される場合がある。一方、RT機能により、RT機能の作動の状態であってリプレイ役の合算の当選確率が低確率抽選状態から高確率抽選状態(高確率)へ変動(向上)される高確RT遊技に状態が制御される場合がある。
【0042】
次に、
図3に示すパチスロ10の電気的構成について説明する。
パチスロ10の機裏側には、遊技機全体を制御する主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、各種処理を実行してその処理結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号を出力する。また、機裏側には、遊技状態に応じた演出制御等を実行するサブ制御基板41が装着されている。サブ制御基板41は、主制御基板40が出力した各種の制御信号を入力し、該制御信号に基づき所定の制御を実行する。
【0043】
主制御基板40は、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU40aと、主制御用CPU40aの制御プログラムを格納する主制御用ROM40bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM40cが設けられている。また、主制御用CPU40aには、ドラムユニット13を構成する各リール(左リール13L、中リール13C及び右リール13R)、リールセンサSE1〜SE3、メダルセンサSE4が接続されている。また、主制御用CPU40aには、各種情報表示部17が接続されている。また、主制御用CPU40aには、BETボタン19と、MAXBETボタン20と、精算スイッチ21と、スタートレバー22と、各ストップボタン23L,23C,23Rと、ホッパー26とが接続されている。
【0044】
主制御用CPU40aには、接続されるリールセンサSE1〜SE3から透視窓16で表示されている図柄(回転中の各リールの回転位置)に応じて位置信号が入力される。そして、主制御用CPU40aは、位置信号により各リールの回転位置及び停止位置を特定し、該位置信号に基づき各リールの回転及び停止の制御を行う。
【0045】
また、主制御用CPU40aには、接続されるメダルセンサSE4から該メダルセンサSE4でメダルを検知する毎に、メダルを検知したことを示すメダル検知信号が入力される。また、主制御用CPU40aには、接続されるBETボタン19、MAXBETボタン20、精算スイッチ21、スタートレバー22及びストップボタン23L,23C,23Rが操作されると、各ボタンが操作されたことを示す各種操作信号が入力される。
【0046】
また、主制御用CPU40aは、各種抽選で用いる当選役決定乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。なお、当選役決定乱数は、主制御用CPU40aが当選役決定テーブルにしたがい役(当選情報群に基づく当選役)を決定する際に使用する乱数である。主制御用CPU40aが決定する当選情報群には、変動ゲームで入賞可能とする単数又は複数の当選役が対応付けられている。当選情報群では、単数の当選役が対応付けられている場合に当該当選役の単独当選を意味し、複数の当選役が対応付けられている場合にこれら当選役の重複当選を意味する。このため、主制御用CPU40aは、当選情報群を決定することで当選とする当選役を決定する。
【0047】
また、主制御用ROM40bには、メイン制御プログラムが記憶されている。また、主制御用ROM40bには、遊技状態別、並びに当選情報群別の内部当選確率が、当選役決定乱数の値の割り当て範囲として定められた複数の当選役決定テーブルが記憶されている。
【0048】
また、主制御用ROM40bには、役毎に図柄の組み合わせの停止テーブルが予め定められている。停止テーブルとは、各ストップボタン23L,23C,23Rが操作された操作タイミングによって停止表示させる図柄を役毎に定めたものである。また、主制御用RAM40cには、パチスロ10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)される。
【0049】
サブ制御基板41は、制御動作を所定の手順で実行するサブ制御用CPU41aと、サブ制御用CPU41aの制御プログラムを格納するサブ制御用ROM41bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができるサブ制御用RAM41cが設けられている。そして、サブ制御用CPU41aには、演出表示装置14、スピーカSp、装飾ランプLaが接続されている。
【0050】
サブ制御用CPU41aは、各種抽選で用いる各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。また、サブ制御用ROM41bには、サブ制御プログラムが記憶されている。また、サブ制御用ROM41bには、演出表示装置14の表示演出態様が示される表示演出パターンや、スピーカSpの音声出力態様が示される音声演出パターンや、装飾ランプLaの発光態様が示される発光演出パターンが記憶されている。また、サブ制御用RAM41cには、パチスロ10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)される。具体的に、サブ制御用RAM41cには、遊技状態に係るサブ用状態情報(演出フラグなど)がサブ制御用CPU41aにより記憶(設定)される。
【0051】
ここで、
図4に示す主制御用ROM40bに記憶される当選役決定テーブルT1,T2について説明する。
主制御用ROM40bには、抽選対象となる当選情報群の種類と、抽選対象となる各当選情報群の当選確率(抽選対象となる各当選情報群に振分けられる乱数値(乱数の値の範囲に基づく個数))を遊技状態毎にテーブル化したものが記憶されている。各当選役決定テーブルは、遊技状態に応じて主制御用CPU40aにより用いられる。低確RT遊技に当選役決定テーブルT1が、高確RT遊技に当選役決定テーブルT2がそれぞれ対応付けられている。
【0052】
図4(a)に示すように、当選役決定テーブルT1,T2では、当選情報群に基づくチェリー役、スイカ役、ベル役、リプレイ役の各当選確率が規定されている。そして、一般遊技では、リプレイ役の当選確率が高確RT遊技(1/1.9)で、低確RT遊技(1/7.3)に比べて大きく高まるように当選役決定乱数が振分けられている。
【0053】
このため、本実施形態では、リプレイ役の当選確率が高確率抽選状態に設定される高確RT遊技において、再遊技が付与され易い分、遊技者が保有するメダルの消費(投入)を減少させることができるといった利益を遊技者に付与することができる。このような高確RT遊技は、遊技者にとって有利な状態である。
【0054】
また、
図4(b)に示すように、リプレイ役の当選確率は、低確RT遊技(当選役決定テーブルT1)において、通常リプレイ役(不問)を対応付けた当選情報群と、突入リプレイ役と通常リプレイ役との重複当選を対応付けた当選情報群とのそれぞれの当選確率を規定している。なお、この突入リプレイ役と通常リプレイ役との重複当選を対応付けた当選情報群には、突入重複リプレイ群1及び突入重複リプレイ群2が設定されている。
【0055】
また、リプレイ役の当選確率は、高確RT遊技(当選役決定テーブルT2)において、通常リプレイ役(不問)を対応付けた当選情報群と、特別リプレイ役を対応付けた当選情報群と、特殊リプレイ役と通常リプレイ役との重複当選を対応付けた当選情報群とのそれぞれの当選確率を規定している。この特殊リプレイ役と通常リプレイ役との重複当選を対応付けた当選情報群には、特殊重複リプレイ群1〜特殊重複リプレイ群6が設定されている。
【0056】
また、ベル役の当選確率は、ベル役を対応付けた当選情報群のそれぞれの当選確率の合算を規定している。このベル役の当選情報群には、ベル群1〜ベル群6が設定されている。
【0057】
以下の説明で、「通常リプレイ役の当選」という場合には、通常リプレイ役(不問)を対応付けた当選情報群の当選を意味する。また、「突入リプレイ役の当選」という場合には、突入重複リプレイ群1及び突入重複リプレイ群2の当選を意味する。また、「特別リプレイ役の当選」という場合には、特別リプレイ役を対応付けた当選情報群の当選を意味する。また、「特殊リプレイ役の当選」という場合には、特殊重複リプレイ群1〜特殊重複リプレイ群6の当選を意味する。また、「ベル役の当選」という場合には、ベル群1〜ベル群6の当選を意味する。また、「チェリー役の当選」という場合には、チェリー役の単独当選を対応付けた当選情報群の当選を意味する。また、「スイカ役の当選」という場合には、スイカ役の単独当選を対応付けた当選情報群の当選を意味する。また、「突入入賞」という場合には、各突入重複リプレイ群に対応付けた突入リプレイ役に基づく突入停止目の停止表示を意味する。また、「特殊入賞」という場合には、各特殊重複リプレイ群に対応付けた特殊リプレイ役に基づく特殊停止目の停止表示を意味する。
【0058】
以下、主制御用CPU40aがメイン制御プログラムに基づき実行する変動ゲームに係る処理について説明する。
主制御用CPU40aは、各種操作信号を入力すると、各種操作信号に定める所定の制御を実行する。そして、主制御用CPU40aは、各種操作信号の入力や各種制御により、各種情報表示部17の表示制御をその都度実行する。
【0059】
そして、主制御用CPU40aは、メダル投入口18よりメダルが投入される、又は各BETボタン19,20の操作信号を入力するとベット数を設定し、所定のベット数が設定されたときに、変動ゲームを行うことができるゲーム開始可能な状態を生起する。
【0060】
続いて、主制御用CPU40aは、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー22の操作信号を入力すると、役抽選(内部抽選)を行う。この役抽選において、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cから当選役決定乱数の値を取得し、主制御用ROM40bに記憶されている当選役決定テーブルのうち遊技状態に応じた当選役決定テーブルにおいて、取得した値が各当選役の値の範囲に属しているか否かを判定し、当選とする当選情報群を決定する。このように主制御用CPU40aは、当選情報群を決定することで、当該当選情報群に対応付けられた当選役の当選を決定する。なお、主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定して遊技状態を特定可能としている。本実施形態では、このようにして役抽選を行う主制御用CPU40aが当選役抽選手段として機能する。
【0061】
そして、主制御用CPU40aは、当選情報群を決定すると、決定した当選情報群に対応付けられた当選役の種類を示す役情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに記憶(設定)する。なお、主制御用CPU40aは、小役の当選を決定すると、該小役の入賞の発生の有無に関係なく役抽選の対象とする変動ゲーム(1回)の終了により、主制御用RAM40cの小役の役情報を消去(クリア)する。このため、小役は、当選の決定を入賞が発生するか否かに関係なく次以後の変動ゲームに跨って持越不可能な当選役となる。
【0062】
また、主制御用CPU40aは、遊技者によるスタートレバー22の操作を検出したタイミング(役抽選等の所定の処理を行った後)で、変動ゲームの開始を指示するとともに、役抽選の抽選結果を示した変動ゲーム開始コマンドをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に出力する。この変動ゲーム開始コマンドは、重複当選であれば複数の役情報を合わせて指示する。なお、主制御用CPU40aは、遊技者によるスタートレバー22の操作を検出して直前の変動ゲームの終了からウェイトタイムが経過している状態において、各リールの回転動作を開始させるように各リールを制御する。
【0063】
続いて、主制御用CPU40aは、遊技者の操作に基づくストップボタン23L,23C,23Rの各種操作信号を入力すると、各種操作信号に対応するリールを停止させるための制御(停止制御)を行う。また、主制御用CPU40aは、各リールに対応するリールセンサSE1〜SE3からの位置信号により、各リールの変動又は停止の情報を特定する。なお、主制御用CPU40aは、ストップボタン23L,23C,23Rからの各種操作信号が入力されるまでの間、回転中のリールについて停止制御を行わないで回転動作を維持させる。また、主制御用CPU40aは、ストップボタン23L,23C,23Rの各種操作信号を入力すると、各種リール停止コマンドをサブ制御用CPU41aに出力する。このようにしてストップボタン23L,23C,23Rの遊技者による停止操作に基づいて各リールの停止制御を行う主制御用CPU40aが、導出制御手段として機能する。
【0064】
続いて、主制御用CPU40aは、各リールの全てを停止させて図柄の組み合わせを停止表示させると入賞判定を行う。この入賞判定において、主制御用CPU40aは、各リールの停止に伴って入力する位置信号から入賞ライン上に停止表示した図柄の組み合わせを特定し、主制御用RAM40cに記憶されている役情報(当選役)に対応する図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止表示されているかを判定する。なお、主制御用CPU40aは、入賞ライン上に停止表示した図柄の組み合わせが役情報に対応する賞態様である場合、該役情報に基づく当選役の入賞(肯定)を判定する一方で、役情報に対応する賞態様でない場合、該役情報に基づく当選役の非入賞(否定)、すなわち該役情報に基づく当選役の取りこぼしを判定する。本実施形態では、このようにして入賞役を判定する主制御用CPU40aが入賞判定手段として機能する。
【0065】
そして、主制御用CPU40aは、入賞判定で入賞と判定する場合、該入賞と判定した賞態様に応じて、遊技状態を移行させる制御や賞メダルを払い出す制御、入賞を判定した変動ゲームと同一のベット数を設定する制御などを行い、該入賞と判定した旨を示す入賞指示コマンドをサブ制御基板41に出力する。本実施形態では、このようにして入賞役に基づいて遊技価値を付与する主制御用CPU40aが遊技価値付与手段として機能する。
【0066】
ここで、主制御用CPU40aが行う停止制御について詳しく説明する。
主制御用CPU40aは、決定した当選情報群に基づき各ストップボタン23L,23C,23Rが遊技者により操作されるタイミングから所定の範囲内(最大で4図柄分)で各リールを停止させて、任意の図柄の組み合わせを停止表示させる。主制御用CPU40aは、回転中の各リールを停止させる場合、当選している当選役と各ストップボタン23L,23C,23Rの操作タイミングから主制御用ROM40bに記憶される停止テーブルに基づく図柄の組み合わせを停止表示させる停止制御を行う。このように停止制御されることによって、各リールは、ストップボタン23L,23C,23Rの遊技者による停止操作のタイミングで停止するとは限らず、遊技者による停止操作のタイミングと各リールの停止するタイミングとが一致しない場合(所謂、「すべり」)がある。
【0067】
このため、主制御用CPU40aは、各リールにおいて、停止させたい種類の図柄の間に挟む他の種類の図柄が4つ以内の部分を有している場合、すべり制御を伴う結果、何れかの入賞ライン上に停止させたい種類の図柄を停止表示させることができる。一方、主制御用CPU40aは、各リールにおいて、停止させたい種類の図柄の間に挟む他の種類の図柄が5つ以上の部分を有している場合、すべり制御を伴っても、何れの入賞ラインにも停止させたい種類の図柄を停止表示させることができない場合がある。
【0068】
また、本実施形態では、所定の当選役の当選時、3つのストップボタンを操作する押し順に基づいて行う制御が異なる。
本実施形態では、所定の当選役における当選情報群毎に、その所定の当選役を入賞させる停止目を停止表示させるための入賞用の押し順と、その所定の当選役を入賞させない停止目を停止表示させるための取りこぼし用の押し順とがそれぞれ定められている。
【0069】
主制御用CPU40aは、所定の当選役の当選に基づき入賞用の押し順となることで、入賞ラインに所定の当選役を入賞させる停止目を停止表示させる。一方、主制御用CPU40aは、所定の当選役の当選に基づき取りこぼし用の押し順となることで、入賞ラインに所定の当選役を入賞させない停止目を停止表示させる。
【0070】
具体的に、主制御用CPU40aは、チェリー役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングに関係なくチェリー停止目を停止表示させる。また、主制御用CPU40aは、スイカ役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングに関係なくスイカ停止目を停止表示させる。
【0071】
また、主制御用CPU40aは、ベル役の当選時、遊技者による停止操作の押し順がベル停止目を停止させる入賞用の押し順である場合、ベル停止目を停止表示させる。このベル停止目は、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。一方、主制御用CPU40aは、ベル役の当選時、遊技者による停止操作の押し順がベル停止目を停止させる入賞用の押し順ではなく、ベルこぼし用の押し順である場合、ベルこぼし停止目(例えば、[ベル・ベル・リプレイ]等)を停止表示させ、ベル役の取りこぼしを発生させる。このベルこぼし停止目も、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。
【0072】
例えば、ベル群1には、[左中右]のベル入賞用の押し順が定められているとともに、[左中右]以外のベルこぼし用の押し順が定められている。このため、ベル群1〜ベル群6は、全ての停止操作されるストップボタンに基づく「6択」の押し順が定められていることとなる。
【0073】
また、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作の押し順が突入停止目を停止させる突入入賞用の押し順である場合、突入停止目を停止表示させる。この突入停止目は、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。一方、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作の押し順が突入入賞用の押し順ではなく、通常停止目を停止させる通常入賞用の押し順である場合、通常停止目を停止させる。この通常停止目も、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。
【0074】
具体的に、
図4(b)に示すように、本実施形態では、突入重複リプレイ群毎に突入停止目(
図4(b)では、「突入」と示す)を停止表示させるための特定の停止操作となる突入入賞用の押し順がそれぞれ定められている。また、これに対応するように、突入重複リプレイ群毎に通常停止目を停止表示させるための通常の停止操作となる通常入賞用の押し順がそれぞれ定められている。
【0075】
例えば、突入重複リプレイ群1には、[中左右][中右左]の突入入賞用の押し順が定められているとともに、[中左右][中右左]以外の通常用の押し順が定められている。また、突入重複リプレイ群2には、[右左中][右中左]の突入入賞用の押し順が定められているとともに、[右左中][右中左]以外の通常用の押し順が定められている。また、突入重複リプレイ群1及び突入重複リプレイ群2には、当選情報群の種類に関係なく、[中][右]が最初となる通常用の押し順が定められており、[左]が最初となる突入入賞用の押し順が定められていない。このため、突入重複リプレイ群1及び突入重複リプレイ群2は、[左]が最初となる突入入賞用の存在しない「左無し2択」の押し順が定められていることとなる。また、突入重複リプレイ群が当選した場合、突入停止目、及び通常停止目のうち何れの図柄組み合わせが入賞ライン上に停止表示された場合であっても、同じように再遊技が遊技者に付与されることになる。
【0076】
また、主制御用CPU40aは、特殊リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作の押し順が特殊停止目を停止させる特殊入賞用の押し順である場合、特殊停止目を停止表示させる。この特殊停止目は、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。一方、主制御用CPU40aは、特殊リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作の押し順が特殊入賞用の押し順ではなく、通常停止目を停止させる通常入賞用の押し順である場合、通常停止目を停止させる。この通常停止目も、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく停止表示可能となっている。
【0077】
具体的に、
図4(b)に示すように、本実施形態では、特殊重複リプレイ群毎に特殊停止目(
図4(b)では、「特殊」と示す)を停止表示させるための特定の停止操作となる特殊入賞用の押し順がそれぞれ定められている。また、これに対応するように、特殊重複リプレイ群毎に通常停止目を停止表示させるための通常の停止操作となる通常入賞用の押し順がそれぞれ定められている。
【0078】
例えば、特殊重複リプレイ群1には、[左中右]の突入入賞用の押し順が定められているとともに、[左中右]以外の通常用の押し順が定められている。このため、特殊重複リプレイ群1〜特殊重複リプレイ群6は、全ての停止操作されるストップボタンに基づく「6択」の押し順が定められていることとなる。
【0079】
また、主制御用CPU40aは、通常リプレイ役(不問)の当選時、遊技者による停止操作に拘わらず、通常停止目を停止表示させる。また、主制御用CPU40aは、特別リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作に拘わらず、特別停止目を停止表示させる。
【0080】
そして、小役の何れの当選役も決定しない、すなわちはずれ役の当選時、主制御用CPU40aは、遊技者による停止操作のタイミングに関係なくはずれ停止目を停止表示させる。
【0081】
次に、
図5を参照して主制御用CPU40aが遊技状態に応じた変動ゲームに基づいて制御する遊技状態の移行の態様について説明する。
主制御用CPU40aは、変動ゲームの開始時、変動ゲーム開始コマンドの出力前に、制御されている遊技状態を示す状態指示コマンドをサブ制御基板41に出力する。
【0082】
図5に示すように、主制御用CPU40aは、低確RT遊技の制御中、突入リプレイ役が当選して突入入賞用の押し順により突入入賞の発生を契機に、次の変動ゲームから高確RT遊技に移行(突入)させる。すなわち、低確RT遊技では、突入リプレイ役が当選して突入入賞となる突入停止目が停止表示される場合、高確RT遊技への移行条件が満たされる。一方、主制御用CPU40aは、低確RT遊技の制御中、突入入賞しない場合、高確RT遊技への移行条件が満たされずに次の変動ゲームからも低確RT遊技を継続させる。
【0083】
また、主制御用CPU40aは、高確RT遊技の制御中、ベル役が当選してベルこぼしの発生を契機に、次の変動ゲームから低確RT遊技に移行させる。すなわち、高確RT遊技では、ベル役が当選してベルこぼしとなるベルこぼし停止目が停止表示された場合、低確RT遊技への移行条件が満たされる。一方、主制御用CPU40aは、高確RT遊技の制御中、ベルこぼしを発生させない場合、低確RT遊技への移行条件が満たされずに次の変動ゲームからも高確RT遊技を継続させる。
【0084】
次に、サブ制御用CPU41aがサブ制御プログラムに基づき実行する変動ゲームに係る処理について説明する。
サブ制御用CPU41aは、変動ゲーム開始コマンドや入賞指示コマンドの各コマンドを入力すると、該コマンドに指示される内容に基づいて各種演出を実行させるように演出表示装置14の表示内容、スピーカSpの音声出力内容、装飾ランプLaの発光態様を制御する。また、サブ制御用CPU41aは、各リールの停止状況も特定可能なことから、この停止状況から当選役の取りこぼしを特定することもできる。
【0085】
また、サブ制御用CPU41aは、状態指示コマンドを入力すると、遊技状態が何れの遊技状態に制御されているかを示す演出フラグをサブ制御用RAM41cに記憶(設定)する。また、サブ制御用CPU41aは、変動ゲーム開始コマンドや各種リール停止コマンドが入力される毎に各種演出を行わせるための制御を行う。
【0086】
また、サブ制御用CPU41aは、状態指示コマンドにより指定される遊技状態に応じて、サブ制御用RAM41cに演出状態の種類を示す演出フラグを設定することで、制御させている演出表示装置14の演出状態を特定(管理)する。本実施形態における演出状態は、複数種類に分類されており、具体的な演出状態としては、通常モードと、準備モードと、ART通常モードと、ART特別モードと、高確RT演出とが含まれている。なお、ART通常モードとART特別モードとをARTモードと示す場合がある。また、サブ制御用CPU41aは、演出フラグから特定可能な演出状態に対応する画像表示用データ(特に背景画像用データ)を選択するとともに、この選択した画像表示用データをもとに演出表示装置14の表示内容(表示画像)を制御する。
【0087】
通常モードは、遊技状態が低確RT遊技であって、後述するARTモードへの移行権利の未発生時の状況で行われる演出状態である。この通常モードは、リプレイ役の当選確率が低確率抽選状態であるとともに、当選した突入リプレイ役に対応する特定の停止操作を報知することで突入入賞を補助(アシスト)する突入リプナビ演出や、当選したベル役に対応する特定の停止操作を報知することでベル入賞を補助(アシスト)するベルナビ演出を行わない状態である。
【0088】
準備モードは、遊技状態が低確RT遊技であって、後述するARTモードへの移行権利の発生時の状況で行われる演出状態である。なお、準備モードの場合に演出表示装置14では、通常モード用の表示画像と大まかには同一に構成されるとともに、該表示画面中に「準備中」等の文字画像が表示される。この準備モードは、リプレイ役の当選確率が通常モード同様に低確率抽選状態である一方、突入リプナビ演出やベルナビ演出を行う状態である。
【0089】
ARTモードは、遊技状態が高確RT遊技である場合に行われる演出状態である。このARTモードは、リプレイ役の当選確率が高確率抽選状態であるとともに、ベルナビ演出を行う状態である。また、このARTモードは、所定の確率で、当選した特殊リプレイ役に対応する特定の停止操作を報知することで特殊入賞を補助(アシスト)する特殊リプナビ演出を行う状態である。
【0090】
高確RT演出は、遊技状態が高確RT遊技である場合に行われる演出状態である。この高確RT演出は、リプレイ役の当選確率が高確率抽選状態であるとともに、各種リプナビ演出やベルナビ演出を行わない状態である。なお、各種ナビ演出において、特定の停止操作となる各種入賞用の押し順が特定操作条件に相当する。
【0091】
ここで、各演出状態に関する特徴的な制御について説明する。まず、通常モードに関する制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、通常モード中(通常モードを示す演出フラグの設定中)、当選役の当選及び入賞(取りこぼし)に基づいた処理を行う。なお、通常モード中は、リプレイ役として、通常リプレイ役(不問)と、突入リプレイ役と通常リプレイ役との重複役とが当選し得る演出状態であり、通常リプレイ役(不問)と、突入リプレイ役と、当該突入リプレイ役と重複当選する通常リプレイ役の入賞が発生し得る。
【0092】
サブ制御用CPU41aは、通常モード中、突入リプレイ役やベル役の当選が指示される場合、突入リプナビ演出やベルナビ演出を実行させないように演出表示装置14の表示内容を制御する。
【0093】
また、サブ制御用CPU41aは、小役の当選が指示される場合、ART突入抽選を行う。このART突入抽選は、当選役に基づいて所定の当選確率(例えば合算が約1/300)となるように、当選と非当選との何れかに乱数を振り分けて行われる。なお、サブ制御用CPU41aは、ART突入抽選で当選した場合、ARTモードへの移行権利を発生させる。一方、サブ制御用CPU41aは、ART突入抽選で当選しなかった場合、ARTモードへの移行権利を発生させない。
【0094】
また、サブ制御用CPU41aは、ARTモードや高確RT演出が終了して通常モードに移行する場合に、解除ゲーム数(所謂「天井ゲーム数」)を決定する。そして、サブ制御用CPU41aは、通常モードで行われた変動ゲームの回数が解除ゲーム数に達した場合、ARTモードへの移行権利を発生させる。
【0095】
また、サブ制御用CPU41aは、ARTモードへの移行権利を発生させる場合、サブ制御用RAM41cの所定の記憶領域に記憶しているARTフラグにARTモードへの移行権利の発生を示す値を設定する。なお、このARTフラグには、ARTモードへの移行権利が発生していないときは、ARTモードへの移行権利の未発生を示す値が設定される。また、ARTフラグにARTモードへの移行権利の発生を示す値が設定されると、ART通常モードへ移行可能とし、その後ARTモードに移行した場合においてARTモードが終了することでARTフラグにARTモードへの移行権利の未発生を示す値が設定される。
【0096】
そして、サブ制御用CPU41aは、ARTフラグにARTモードへの移行権利の発生を示す値を設定する場合、その変動ゲーム又は所定回数経過後の変動ゲームから、ARTモードへの移行権利の発生を報知する準備モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、準備モードを示す演出フラグを設定する。
【0097】
なお、本実施形態において、サブ制御用CPU41aは、通常モードにおいて、各変動ゲームにてストップボタン23Lが最初に操作されなければ、遊技者による停止操作が予め定められた操作条件を満たしていないとして、遊技者にとって不利な状態となるペナルティを付与する。例えば、ペナルティとしては、ART突入抽選を行わない、又はART突入抽選を行うが必ず当選しないように制御する。また、本実施形態では、ストップボタン23Lの最初の停止操作により突入停止目で停止表示され得ない構成、すなわち突入入賞用の押し順としてストップボタン23Lが最初に停止操作される押し順を設定していない。これにより、通常モード中には、ARTフラグにARTモードへの移行権利の未発生を示す値が設定されている場合、ARTモードへの移行、すなわち高確RT遊技への移行が想定されない状況となる。
【0098】
次に、準備モードに関する制御について説明する。なお、通常モードと同じような制御については説明を省略し、通常モードと異なる制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、準備モード中(準備モードを示す演出フラグの設定中)、当選役の当選及び入賞(取りこぼし)に基づいた処理を行う。
【0099】
また、サブ制御用CPU41aは、準備モード中、ベル役の当選が指示される場合、変動ゲームの開始に伴って、ベルナビ演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。このため、準備モード中には、ベル入賞を補助するように演出が行われ、遊技者がベルナビ演出に従って遊技を行うことでベル入賞が発生する。
【0100】
演出表示装置14では、ストップボタンを模した画像を3つ並べて表示させるとともに、それぞれに「1」、「2」、「3」の数字を付す態様でベルナビ演出が行われる。例えば、ベル群1の場合であれば、3つの画像のうち、左の画像に「1」が、真ん中の画像に「2」が、右の画像に「3」がそれぞれ付されている場合には、[左中右]という押し順で停止操作すべきことが遊技者に対して特定可能なように報知される。
【0101】
また、サブ制御用CPU41aは、小役の中でもストップボタンの押し順により停止態様が変化する突入リプレイ役の当選が指示される場合、変動ゲームの開始に伴って、突入入賞を補助する突入リプナビ演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。このため、準備モード中には、突入入賞を補助するように演出が行われ、遊技者が突入リプナビ演出に従って遊技を行うことで突入入賞が発生する。
【0102】
演出表示装置14では、ストップボタンを模した画像を3つ並べて表示させるとともに、3つのうちの一つに対して「1」の数字を付す態様で突入リプナビ演出が行われる。例えば、突入重複リプレイ群1の場合であれば、3つの画像のうち真ん中の画像に「1」が付されている場合には、ストップボタン23Cを最初に停止操作すべきことが遊技者に対して特定可能なように報知される。
【0103】
そして、サブ制御用CPU41aは、準備モード中、突入入賞する場合、次の変動ゲームからART通常モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、ART通常モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、低確RT遊技から高確RT遊技に移行する。なお、準備モードでは、通常モードとは異なり、サブ制御用CPU41aは、ART突入抽選を行わず、ペナルティの付与も行わない。
【0104】
次に、ART通常モードに関する制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中(ART通常モードを示す演出フラグの設定中)、当選役の当選及び入賞に基づいた処理を行う。なお、ART通常モード中は、リプレイ役として、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と通常リプレイ役との重複役とが当選し得る演出状態であり、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と、当該特殊リプレイ役と重複当選する通常リプレイ役の入賞が発生し得る。
【0105】
サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、ベル役の当選が指示される場合、ベルナビ演出を実行するように演出表示装置14の表示内容を制御する。すなわち、ART通常モード中、ベルこぼしの回避が補助され、ベル入賞が補助されるように演出が行われる。なお、ART通常モード中、ベル役の当選時に遊技者がベルナビ演出にしたがうことでベル入賞が発生する。
【0106】
また、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、ベル役を取りこぼしする場合、通常モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、通常モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技から低確RT遊技へ移行する。
【0107】
また、サブ制御用CPU41aは、ART通常モードの制御を開始する際、ART通常モードの変動ゲームの上限回数(初期回数)を示す値をサブ制御用RAM41cに割り当てられた通常残G数に記憶する。なお、本実施形態において、初期回数(初期の基準回数)としては、「40」が規定されている。そして、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、変動ゲームを行う毎に、通常残G数から「1」減算する。このように、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード(ARTモード)において実行される変動ゲームの実行回数を計数する。
【0108】
また、サブ制御用CPU41aは、通常残G数が「0(零)」となる場合、次の変動ゲームから高確RT演出へ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、高確RT演出を示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技が継続する。また、サブ制御用CPU41aは、ARTモードから高確RT演出へ移行させることに合わせて、ARTフラグにARTモードへの移行権利の未発生を示す値を設定する。
【0109】
また、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、ART通常モードからART特別モードに移行させるか否かを決定するための特別移行抽選(
図5では単に「移行抽選」と示す)を行う。この特別移行抽選は、当選役に基づいて所定の当選確率となるように、当選と非当選との何れかに乱数を振り分けて行われる。サブ制御用CPU41aは、この特別移行抽選で当選すると、次回以降の変動ゲームからART特別モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、ART特別モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技が継続する。
【0110】
一方、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、特別移行抽選で当選しなかった場合には、ART特別モードへ移行させず、ART通常モードの滞在を継続させる。
また、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、特殊リプレイ役の当選が指示される場合には、特殊リプナビ演出を実行させるか否かを決定するための特殊リプナビ抽選を行う。サブ制御用CPU41aは、この特殊リプナビ抽選で当選すると、変動ゲームの開始に伴って、特殊入賞を補助する特殊リプナビ演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。このため、ART通常モード中には、特殊入賞を補助するように演出が行われ、遊技者が特殊リプナビ演出に従って遊技を行うことで特殊入賞が発生する。
【0111】
演出表示装置14では、ストップボタンを模した画像を3つ並べて表示させるとともに、それぞれに「1」、「2」、「3」の数字を付すベルナビ演出と同じ態様で、特殊リプナビ演出が行われる。このように、サブ制御用CPU41aは、特殊リプレイ役が当選した場合に、ART通常モード(ARTモード)において特殊入賞用の押し順を報知させ、その結果、ストップボタンが特殊入賞用の押し順で停止操作されたときに特殊入賞が行われる。
【0112】
次に、ART特別モードに関する制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中(ART特別モードを示す演出フラグの設定中)、当選役の当選及び入賞に基づいた処理を行う。なお、ART特別モード中も、リプレイ役として、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と通常リプレイ役との重複役とが当選し得る演出状態であり、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と、当該特殊リプレイ役と重複当選する通常リプレイ役の入賞が発生し得る。
【0113】
サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、ベル役の当選が指示される場合、ベルナビ演出を実行するように演出表示装置14の表示内容を制御する。一方、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、ベル役を取りこぼしする場合、通常モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、通常モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技から低確RT遊技へ移行する。
【0114】
また、サブ制御用CPU41aは、ART特別モードの制御を開始する際、ART特別モードの変動ゲームの上限回数(初期回数)を示す値をサブ制御用RAM41cに割り当てられた特別残G数に記憶する。なお、本実施形態において、初期回数としては、「30」が規定されている。そして、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、変動ゲームを行う毎に、特別残G数から「1」減算する。このように、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード(ARTモード)において実行される変動ゲームの実行回数を計数する。なお、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、変動ゲームを行う毎に、通常残G数を維持する。つまり、ART特別モードは、通常残G数が減算されないため、ART通常モードよりも有利な演出状態といえる。
【0115】
また、サブ制御用CPU41aは、特別残G数が「0」となる場合、次の変動ゲームからART通常モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、ART通常モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技が継続する。このように、ART特別モードは、ART通常モードから移行可能であって、終了後にART通常モードに移行可能な演出状態である。
【0116】
また、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、ART通常モード中と同じように、特殊リプレイ役の当選が指示される場合には、特殊リプナビ演出を実行させるか否かを決定するための特殊リプナビ抽選を行う。
【0117】
また、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、ART特別モードを継続させるか否かを決定するための特別継続抽選を行う。この特別継続抽選は、当選役に基づいて所定の当選確率となるように、当選と非当選との何れかに乱数を振り分けて行われる。サブ制御用CPU41aは、この特別継続抽選で当選すると、ART特別モードの変動ゲームの初期回数を単位遊技期間として、1又は複数の単位遊技期間に相当する値(本実施形態では1回分である30回又は2回分である60回)を特別残G数に加算する。これによって、ART特別モードに移行して特別継続抽選に当選すると、予め定められた初期回数の変動ゲームが終了した後であっても、サブ制御用CPU41aは、ART通常モードに移行させることなく、初期回数を単位遊技期間としてART特別モードの制御を継続させることとなる。
【0118】
つまり、ART特別モードは、所定回数(30回)の変動ゲームを単位遊技期間として制御される。そして、特別継続抽選に当選した場合において、ART特別モードの単位遊技期間が終了したときには、ART通常モードに移行することなく、次回の単位遊技期間としてART特別モードの制御が継続される。一方、特別継続抽選に当選していない場合において、ART特別モードの単位遊技期間が終了したときには、次回の単位遊技期間としてART特別モードの制御を継続することなく、ART通常モードに移行される。
【0119】
次に、高確RT演出に関する制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、高確RT演出中(高確RT演出を示す演出フラグの設定中)、当選役の当選及び入賞に基づいた処理を行う。なお、高確RT演出中も、リプレイ役として、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と通常リプレイ役との重複役とが当選し得る演出状態であり、通常リプレイ役(不問)と、特別リプレイ役と、特殊リプレイ役と、当該特殊リプレイ役と重複当選する通常リプレイ役の入賞が発生し得る。
【0120】
サブ制御用CPU41aは、高確RT演出中、ベル役の当選が指示される場合であっても、ベルナビ演出を実行させない。また、サブ制御用CPU41aは、高確RT演出中、特殊リプレイ役の当選が指示される場合であっても、特殊リプナビ演出を実行させない。
【0121】
また、サブ制御用CPU41aは、高確RT演出中、ベル役を取りこぼしする場合、通常モードへ移行させる。このときサブ制御用CPU41aは、通常モードを示す演出フラグを設定する。因みに、このときの遊技状態は、高確RT遊技から低確RT遊技へ移行する。
【0122】
このように、サブ制御用CPU41aは、通常モード、準備モード、ART通常モード、ART特別モード、高確RT演出についての制御を行う。なお、本実施形態において、このような処理を実行するサブ制御用CPU41aが状態制御手段、遊技実行回数計数手段として機能する。また、本実施形態において、ARTモードが特定状態に、ART通常モードが第1特定状態に、ART特別モードが第2特定状態に、通常モードが通常状態にそれぞれ相当する。
【0123】
なお、
図6に示すように、本実施形態において、ART通常モードでは第1決定制御としての特別移行抽選が行われる。この特別移行抽選においては、特定役としてのスイカ役又はチェリー役が当選したことを契機として、サブ制御用RAM41cの所定領域に設定される移行期待値に準じて当選するか否かが決定される。
【0124】
一方、ART特別モードでは第2決定制御としての特別継続抽選が行われる。この特別継続抽選においては、特別リプレイ役が当選したことを契機として、サブ制御用RAM41cの所定領域に設定される移行期待値に準ずることなく、予め定めた確率で当選するか否かが決定される。
【0125】
ここで、
図7を参照して特別移行抽選における移行期待値について説明する。
サブ制御用ROM41bには、複数種類の移行期待値が規定されており、サブ制御用RAM41cの所定領域に何れかの移行期待値が設定される。この移行期待値とは、ART通常モードからART特別モードへの移行度合い(移行決定頻度、延長決定頻度)を示す情報であり、ART特別モードの制御には関連しない情報である。複数種類の移行期待値には、移行期待値K1〜K6があり、それぞれで期待値が異なる。具体的に、移行期待値K1では50%として、移行期待値K2では57%として、移行期待値K3では65%として、移行期待値K4では72%として、移行期待値K5では80%として、移行期待値K6では87%としてそれぞれ規定されている。
【0126】
なお、本実施形態において、スイカ役が当選する確率とチェリー役が当選する確率とが異なり、更には、スイカ役が当選した場合に特別移行抽選に当選する確率と、チェリー役が当選した場合に特別移行抽選に当選する確率とが異なる。このため、これらを総合した特別移行抽選に当選する合算の期待値が示されている。
【0127】
この移行期待値は、準備モードからART通常モードに移行したことを契機として、サブ制御用CPU41aによって初期の移行期待値が決定される。本実施形態において、初期の移行期待値として、92%の確率で移行期待値K1が、5%の確率で移行期待値K2が、1%の確率で移行期待値K3〜K5がそれぞれ決定され、移行期待値K6が決定されない。
【0128】
また、この移行期待値は、ART通常モードからART特別モードに移行した移行回数や、ART特別モードにおいてART特別モードの制御が継続された継続回数によって、有利な移行期待値に設定変更される場合がある。このように、移行期待値は、特別移行抽選の当選確率(抽選確率)を示す情報であり、ARTモードの制御を延長させるための延長情報ともいえる。本実施形態において、これらのような複数種類の移行期待値が規定されたサブ制御用ROM41bが延長情報規定手段として機能する。
【0129】
ここで、サブ制御用CPU41aによって実行される移行期待値の制御について説明する。
サブ制御用CPU41aは、ART通常モードの制御を開始する際、初期の移行期待値を決定する初期期待値抽選を行う。この初期期待値抽選において、サブ制御用CPU41aは、
図7に示すような確率で初期の移行期待値を決定し、サブ制御用RAM41cの所定領域に設定する。
【0130】
そして、サブ制御用CPU41aは、有利な移行期待値への変更に関する上限回数を「2」〜「7」から決定し、サブ制御用RAM41cの所定領域に設定する。この上限回数とは、ART通常モードからART特別モードに移行した移行回数と、ART特別モードにおいてART特別モードの制御が継続された継続回数との合計回数が達した場合に、有利な移行期待値に変更する回数である。
【0131】
サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、スイカ役又はチェリー役に当選した場合には、サブ制御用RAM41cに設定されている移行期待値を読み出し、その移行期待値に基づいて特別移行抽選を行う。そして、サブ制御用CPU41aは、特別移行抽選で当選した場合には、次回の変動ゲームからART特別モードに移行させる。一方、サブ制御用CPU41aは、特別移行抽選で当選しなかった場合には、次回の変動ゲームから、ART特別モードに移行させずに、ART通常モードの制御を継続する。
【0132】
サブ制御用CPU41aは、ART通常モードからART特別モードに移行した場合、サブ制御用RAM41cの所定領域に割り当てられた移行回数カウンタに「1」加算する。そして、サブ制御用CPU41aは、移行回数カウンタと、サブ制御用RAM41cの所定領域に割り当てられた継続回数カウンタとから値を読み出し、その合計値を、サブ制御用RAM41cの所定領域に割り当てられた合計回数カウンタに設定する。
【0133】
移行回数カウンタは、ARTモードが継続されている間に特別移行抽選に当選してART通常モードからART特別モードに移行した移行回数(第1延長回数)を計数するためのカウンタである。継続回数カウンタは、ARTモードが継続されている間に特別継続抽選に当選し、ART特別モードの制御が継続された単位遊技期間の継続回数(第2延長回数)を計数するためのカウンタである。合計回数カウンタは、移行回数カウンタにおける移行回数と継続回数カウンタにおける継続回数との合計回数(合計延長回数)を計数するためのカウンタである。
【0134】
サブ制御用CPU41aは、ART特別モードにおいて、単位遊技期間の変動ゲームが実行された後に、ART特別モードの制御が継続された場合、サブ制御用RAM41cの所定領域に割り当てられた継続回数カウンタに「1」加算する。そして、サブ制御用CPU41aは、移行回数カウンタと継続回数カウンタとから値を読み出し、その合計値を合計回数カウンタに設定する。
【0135】
サブ制御用CPU41aは、合計回数カウンタの値を更新したときに、サブ制御用RAM41cに割り当てられた上限回数を読み出し、合計回数が上限回数に達したか否かを判定する。サブ制御用CPU41aは、合計回数が上限回数に達したと判定した場合には、1段階だけ有利な移行期待値に変更させるように移行期待値を設定する。なお、本実施形態において、最も有利な移行期待値が既に設定されている場合には、その移行期待値が維持される。そして、サブ制御用CPU41aは、上限回数を「2」〜「7」から再度決定し、サブ制御用RAM41cの所定領域に設定する。
【0136】
なお、サブ制御用CPU41aは、ART通常モード中、特別移行抽選に当選した場合、その変動ゲームが終了したときに、次回の変動ゲームからART特別モードの制御が行われることを報知することとなる。
【0137】
また、サブ制御用CPU41aは、ART特別モード中、特別継続抽選に当選した場合であっても、その変動ゲームにおいては、その旨の報知を行わず、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが終了したときに、次回の変動ゲームでもART特別モードの制御が継続されることを報知することとなる。
【0138】
本実施形態において、このような処理を実行するサブ制御用CPU41aが状態制御手段、延長情報決定手段、権利付与決定手段、上限回数決定手段、報知制御手段として機能する。
【0139】
次に、
図8を参照して、移行期待値の設定制御の一例について説明する。
図8に示すように、低確RT遊技において準備モードが制御されている場合において突入入賞されたときには、符号T1に示すように、高確RT遊技においてART通常モードが制御される。この場合、初期の移行期待値と、合計回数の上限回数が決定される。具体的な一例として、初期の移行期待値として移行期待値K1が、上限回数として4回がそれぞれ決定されたこととする。なお、この場合、移行回数、継続回数、合計回数の全てが0回として設定されている。
【0140】
そして、符号T2に示すように、特別移行抽選に当選すると、ART通常モードからART特別モードに移行される。この場合、特別移行抽選によって移行回数が1回として計数され、継続回数が0回として、合計回数が1回としてそれぞれ計数される。
【0141】
続いて、符号T3に示すように、ART特別モードにおいて、特別継続抽選に当選することなく、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが実行された場合、ART特別モードからART通常モードに移行される。この場合、特別移行抽選、特別継続抽選に当選していないため、移行回数が1回として、継続回数が0回として、合計回数が1回としてそれぞれ計数される。
【0142】
そして、符号T4に示すように、再度、特別移行抽選に当選すると、ART通常モードからART特別モードに移行される。この場合、特別移行抽選によって移行回数が2回として計数され、継続回数が0回として、合計回数が2回としてそれぞれ計数される。
【0143】
続いて、符号T5に示すように、ART特別モードにおいて、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが実行されるまでに、特別継続抽選に当選し、2回の単位遊技期間分だけART特別モードが継続されると決定されたと仮定する。
【0144】
そして、符号T6に示すように、ART特別モードにおいて、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが実行された場合、2回のうち1回目の単位遊技期間に対するART特別モードの制御が開始される。この場合、特別継続抽選によって継続回数が1回として計数され、移行回数が2回として、合計回数が3回としてそれぞれ計数される。
【0145】
続いて、符号T7に示すように、ART特別モードにおいて、更に単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが実行された場合、2回のうち2回目の単位遊技期間に対するART特別モードの制御が開始される。この場合、特別継続抽選によって継続回数が2回として計数され、移行回数が2回として、合計回数が4回としてそれぞれ計数される。このように、合計回数が上限回数に達したため、移行期待値が1段階有利な移行期待値K2に変更されるとともに、再度、上限回数が決定される。この場合、上限回数が3回として決定されたこととする。そして、移行回数、継続回数、合計回数としてそれぞれ0回が設定される。
【0146】
そして、符号T8に示すように、ART特別モードにおいて、特別継続抽選に当選することなく、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームが実行された場合、ART特別モードからART通常モードに移行される。このように、同じART通常モードであっても、移行期待値に基づく特別移行抽選による移行回数と、移行期待値に基づかない特別継続抽選による継続回数とによって、移行期待値が有利な移行期待値に変更される。
【0147】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)ARTモードの制御を延長させると決定する期待度が異なる複数種類の移行期待度から何れかが決定される。ART通常モードにおいて移行期待度に基づいて特別移行抽選に当選してART特別モードに移行した移行回数と、ART特別モードにおいて移行期待度に拘わらず特別継続抽選に当選してART特別モードを継続した継続回数との合計回数が上限回数に達した場合、決定されていた移行期待値を有利な移行期待値に変更させる制御が行われる。このため、ARTモードの延長が決定されることによって、遊技者に有利な状態での変動ゲームを延長させつつ、更に有利な移行期待値の変更に近づけることができる。したがって、ARTモードが延長されると決定されることに対する期待感を高揚させることができるとともに、有利な移行期待値の変更に対する実感を持たせることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0148】
(2)また、例えば、不利な移行期待値が決定され、その移行期待値に基づく特別移行抽選による移行回数が増加し難い状況であっても、その移行期待値に拘わらず延長が決定された特別継続抽選による継続回数が増加することによって、合計回数を上限回数に近づけることができる。このため、移行回数が増加し難い状況であっても、1回でも特別移行抽選によってART特別モードに移行させれば、移行回数が増加し難い状況であるか否かに拘わらず、特別継続抽選による継続回数を増加させることができるなど、ARTモードを延長させると決定する決定頻度の均衡を図ることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0149】
(3)ART通常モードにおいて決定された移行期待値に基づいて、ART特別モードの制御を行う権利を付与するか否かを決定する特別移行抽選が行われる。一方、ART特別モードにおいて決定された移行期待値に拘わらずART特別モードの制御を行うか否かを決定する特別継続抽選が行われる。このため、各ARTモードにおいて、ART特別モードの制御を行うか否かの決定制御に多様性を持たせることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0150】
(4)ART特別モードの1回の変動ゲームにおいて、1回又は複数回の単位遊技期間に対するART特別モードの延長が決定されることがあり、その単位遊技期間の回数が継続回数として計数される。このため、1回の変動ゲームにおいて継続回数が複数回増加すると決定可能であり、合計回数の増加に対する多様性を持たせることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0151】
(5)ARTモードの制御が開始されたとき、又は、移行期待値が有利な移行期待値に変更されたときに、複数種類の上限回数から何れかの上限回数が決定される。このため、上限回数に多様性を持たせることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0152】
(6)また、ARTモードの制御が開始されたとき又は移行期待値が有利な移行期待値に変更されたときに上限回数が変更可能であり、例えば、ARTモードの制御が開始されてから移行期待値が有利な移行期待値に変更されるまでに、上限回数が増加することなく、遊技に対する興趣の減退を抑制することができる。
【0153】
尚、上記実施形態は、次のような別の実施形態(別例)にて具体化できる。
・上記実施形態において、例えば、単位遊技期間に対応する回数の変動ゲームでART特別モードが制御された場合において、次回の変動ゲームからもART特別モードの制御が継続されるときに、各ストップボタンの停止操作を無効化してドラムユニット13を構成する各リールを所定の態様で制御(所謂、「フリーズ制御」)してもよい。
【0154】
・上記実施形態において、ART特別モードにおいて特別継続抽選によって実際に次回の単位遊技期間が開始されるときに、継続回数や合計回数の更新が行われたが、これに限らず、例えば、特別継続抽選で当選したときに、継続回数や合計回数の更新が行われてもよい。
【0155】
・上記実施形態において、1回の特別継続抽選により複数回の単位遊技期間分の変動ゲームにおいてART特別モードの制御が継続される場合、その複数回を継続回数として計数したが、これに限らない。例えば、ART特別モードの制御が継続される単位遊技期間の回数(セット数)に拘わらず、特別継続抽選の当選回数を継続回数として計数してもよい。
【0156】
・上記実施形態において、合計回数が上限回数に達した場合に、1段階有利な移行期待値に変更したが、これに限らず、例えば、複数段階有利な移行期待値に変更してもよく、例えば、総合的に有利となるのであれば、有利な移行期待値に変更する場合と、不利な移行期待値に変更する場合とがあってもよい。具体的には、不利な移行期待値に変更する場合よりも高い確率で有利な移行期待値に変更する、不利な移行期待値に変更する場合よりも高い確率で大きい段階分だけ有利な移行期待値に変更するなどが一例としてあげられる。
【0157】
・上記実施形態において、特別継続抽選の当選確率が一定確率として予め定められていたが、これに限らず、例えば、移行期待値に拘わらなければ、特別継続抽選の当選確率が変更されてもよい。
【0158】
・上記実施形態において、ART通常モード中に特別移行抽選に当選した場合、次回の変動ゲームにおいてART特別モードに移行させたが、これに限らず、例えば、次回以降における変動ゲームのうち何れかにおいてART特別モードに移行させてもよい。つまり、ART通常モードからART特別モードに移行させる権利が少なくとも付与されればよい。
【0159】
・上記実施形態において、低確RT遊技、高確RT遊技の2種類の遊技状態の制御が行われたが、これに限らず、例えば、3種類以上の遊技状態の制御が行われてもよい。
・上記実施形態において、低確RT遊技では2種類の演出状態が、高確RT遊技では3種類の演出状態がそれぞれ制御されたが、これに限らず、これより多くても少なくてもよい。特に、例えば、ART通常モードとART特別モードとを合わせて、同じようにARTモードとして制御してもよい。また、例えば、ART初期モードを新たに追加し、準備モードからART初期モードに、ART初期モードからART通常モードにそれぞれ移行するように制御してもよい。つまり、特定状態としては、1種類の演出状態から構成されても複数種類の演出状態から構成されてもよい。
【0160】
・上記実施形態において、予め定められた一定回数の変動ゲームでART通常モードやART特別モードが制御されたが、これに限らず、例えば、移行前や滞在中に、ART通常モードやART特別モードが制御される変動ゲームの回数が決定されてもよい。つまり、初期回数を変更可能としてもよく、滞在中に各残G数の上乗せが行われてもよい。また、例えば、予め定められた変動ゲームの実行回数を単位期間として、その単位遊技期間分のART通常モードやART特別モードが継続可能な制御(所謂、「セット数での管理」)が行われてもよい。
【0161】
・上記実施形態において、スイカ役又はチェリー役が当選したことを条件として、特別移行抽選が行われ、特別リプレイ役が当選したことを条件として、特別継続抽選が行われたが、これに限らず、例えば、これら当選役が当選しても、操作態様によっては入賞しないように制御される場合であれば、その入賞によってはじめて各種抽選が行われてもよい。また、例えば、特別入賞したときに各種抽選が行われてもよい。つまり、入賞用の押し順で停止操作されたときに成立する当選役の入賞によって各種抽選が行われてもよい。また、特別移行抽選が行われる当選役と、特別継続抽選が行われる特選役とが重複するか否かも問わない。
【0162】
・上記実施形態において、複数種類の移行期待値毎に、特別移行抽選の当選確率を異ならせたが、これに限らず、例えば、特殊入賞によって特別移行抽選が行われる場合、複数種類の移行期待値毎に、特別リプナビ演出の実行確率を異ならせてもよい。つまり、入賞用の押し順を報知させる報知確率を異ならせることによって、ART特別モードへの移行期待値を異ならせてもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。つまり、複数種類の移行期待度としては、ART通常モードからART特別モードへ移行させると決定する決定頻度が異なるように規定されていればよい。
【0163】
・上記実施形態において、停止操作の押し順を報知することによって、特定操作条件を報知したが、これに限らず、例えば、所定の当選役の当選が指示された場合など、停止操作の操作タイミングを報知することによって、特定操作条件を報知してもよく、報知しなくてもよい。
【0164】
・上記実施形態において、各種演出、各種報知が演出表示装置14によって行われたが、これに限らず、例えば、スピーカSpや装飾ランプLaなどの手段を用いてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0165】
・上記実施形態において、各種のARTモードが採用されたが、これに限らず、例えば、高い確率でベル役等の小役が当選するボーナス等が採用されてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0166】
・上記実施形態において、主制御基板40とサブ制御基板41との何れかに各種の機能を備えたが、これに限らず、例えば、主制御基板40における機能をサブ制御基板41に備えてもよく、サブ制御基板41における機能を主制御基板40に備えてもよい。具体的な一例としては、サブ制御基板41で演出状態が管理されたが、主制御基板40で演出状態が管理されてもよい。また、サブ制御基板41で各種残G数が管理されたが、主制御基板40で管理されてもよい。また、サブ制御基板41で各種ナビ演出が決定されたが、主制御基板40で各種ナビ演出が決定されてもよい。また、特別移行抽選の有利度合いが主制御基板40で管理されてもよい。
【0167】
・上記実施形態において、サブ制御基板41を備えない構成としてもよい。この場合、主制御基板40が、演出表示装置14やスピーカSp、装飾ランプLaなどの手段を制御することになる。
【0168】
・上記実施形態は、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いるパチンコ式スロット機(パチスロ機)に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0169】
(イ)前記特定状態の制御が開始されたとき、又は、延長情報が有利な延長情報に変更されたときに、複数種類の上限回数から何れかの上限回数を決定する上限回数決定手段を備えたことを特徴とする。
【0170】
(ロ)前記延長情報は、前記権利付与決定手段によって前記延長権利を付与すると決定する確率を示す抽選確率を含むことを特徴とする。
(ハ)前記開始操作に基づいて複数の当選役の中から当選役を抽選する当選役抽選手段と、前記当選役抽選手段によって特殊役が当選した場合に、前記第1特定状態において遊技者による停止操作が特定操作条件を満たしたときに特殊役を入賞可能に制御する導出制御手段と、前記第1特定状態において前記特定操作条件を報知手段に報知可能に制御する報知制御手段と、を備え、前記権利付与決定手段は、前記第1特定状態において特殊役が入賞された場合に、前記延長権利を付与するか否かを決定し、前記延長情報は、前記特定操作条件を前記報知手段に報知させる確率を示す報知確率を含むことを特徴とする。