(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マッサージ対象箇所を押す押圧手段を一又は複数有してマッサージ対象箇所を含む足の所定範囲を取り囲むように装着される押圧部と、当該押圧部の押圧手段を作動させる装置本体部とを備えるマッサージ装置において、
前記押圧部が、少なくともマッサージ対象箇所を押してマッサージする状態で、前記足の所定範囲における足甲から足裏に及ぶ外周位置で周方向に連続して足周囲への装着状態を維持可能な筒状形態とされてなり、
前記装置本体部が、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有し、所定の面を取付面として、前記押圧部のうち足の側方となる外面所定箇所に、外面に沿って一体に取り付けられることを
特徴とするマッサージ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマッサージ装置は前記各特許文献に示される構成となっており、足各部に対しエアバッグで押圧、圧迫するマッサージを行うことができる。ただし、この従来のマッサージ装置は、マッサージを実行する押圧部と給排機構や操作部分のある装置本体部とが離れているため、装置本体部は使用者が手で持ったり、床に置いた状態とされ、マッサージ使用の度に、使用者は押圧部だけでなく装置本体部を保管した場所から移動させて使用する場所まで持ち運ぶ作業が必要となり、また、使用する場所を変える際も装置本体部を持って新たな使用場所に移動する必要があるなど、煩わしい面があった。さらに、装置本体部と押圧部とがホースで連結されているため、使用者が押圧部と共に動く際にはホース等とその先の装置本体部による拘束を受けることとなり、使用者の姿勢を変える際等の自由度に欠け、使い勝手がよくないという課題を有していた。
【0005】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、装置本体部と押圧部とを一体化して操作を行いやすくすると共に、まとめて取り扱うことができ、使い勝手を向上させられるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開示に係るマッサージ装置は、マッサージ対象箇所を押す押圧手段を一又は複数有してマッサージ対象箇所を含む足の所定範囲を取り囲むように装着される押圧部と、当該押圧部の押圧手段を作動させる装置本体部とを備えるマッサージ装置において、前記押圧部が、少なくともマッサージ対象箇所を押してマッサージする状態で、前記足の所定範囲における足甲から足裏に及ぶ外周位置で周方向に連続して足周囲への装着状態を維持可能な筒状形態とされてなり、前記装置本体部が、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有し、所定の面を取付面として、前記押圧部のうち足裏側となる部位以外の外面所定箇所に、外面に沿って一体に取り付けられるものである。
【0007】
このように本発明の開示によれば、マッサージ対象箇所を含む足の所定範囲を取り囲んで押圧手段でのマッサージを可能とする押圧部に対し、押圧手段を作動させる装置本体部が、押圧部の外面所定箇所に取り付けられて、押圧部と装置本体部が一体化されることにより、使用の際に押圧部と装置本体部とを個別に取り扱わずに済み、押圧部と装置本体部とを一括して取り扱える分、使用者の煩わしさを解消できる。また、装置本体部と押圧部とが一体となるため、別体の場合のような相互の連結、接続のための部品を省略でき、使用の際に使用者がこうした部品による拘束を受けずに済み、取り扱いの自由度を高めて使い勝手を向上させられる。
【0008】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記装置本体部が、前記押圧部のうち足の側方となる外面所定箇所に取り付けられるものである。
【0009】
このように本発明の開示によれば、装置本体部を足の側方に配置し、押圧部と一体の装置本体部が足の動きを拘束しにくくなることにより、押圧部を装着した状態でも使用者が足を動かしやすく、過剰な拘束感を抑えて快適性を高められる。
【0010】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記装置本体部が、前記取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、前記周方向に連続する筒状形態における押圧部の筒長手方向と略平行となる面に、使用者の操作を受け付ける操作部を設けられるものである。
【0011】
このように本発明の開示によれば、押圧部が足の所定範囲を取り囲んで押圧手段でのマッサージを可能とする状態で、押圧手段を作動させる装置本体部が、押圧部への取付面と略直交すると共に押圧部の筒長手方向と略平行となる面に操作部を有して、操作部を使用者の取り扱いやすい向きに配置できることにより、使用者が操作部を操作する際に、使用者が操作部を見ながら確実に操作できると共に、操作部を操作する力が足のある側に向かわないことで、装置本体部を安定させた状態で操作部に対する操作が行え、操作性を向上させて常に適切に操作できる。
【0012】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記押圧部が、足の踵側面及び踵後面を取り囲む踵固定部を一体に有してなり、当該踵固定部に足の踵側面及び踵後面をマッサージ対象箇所として押す押圧手段を設けられるものである。
【0013】
このように本発明の開示によれば、押圧部の一部として踵の側面から後面にかけての部位を取り囲む踵固定部を設けて、押圧部の装着状態で押圧部が足を全体的に取り囲むようにすることにより、押圧部が足を適切に包囲して足からずれにくい状態となり、足のマッサージ対象箇所に対し押圧手段を正しく位置させて適確にマッサージが行えると共に、使用者が足を動かしても押圧部が足から外れることはなく、使用の際に押圧部から足が抜けないよう使用者が気を付ける煩わしさもなくなり、マッサージによるリラックス感を損なうことなくマッサージを続けられる。
【0014】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記装置本体部が、前記押圧部の押圧手段を作動させるための電源として、電池を交換可能に内蔵するものである。
【0015】
このように本発明の開示によれば、押圧手段を作動させるための電源となる電池が装置本体部に内蔵されて、外部から押圧手段作動用のエネルギーを導入せずに済むように構成することにより、使用にあたって電力等のエネルギーを外部から導入するために装置本体部と電源等を接続する作業を行わずに済み、使用者の煩わしさを解消できる。また、装置本体部と電源等とを接続するための部品を省略でき、使用の際に使用者がこうした部品による拘束を受けずに済み、取り扱いの自由度を高めて使い勝手をさらに向上させられる。
【0016】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記押圧部が、足の所定範囲を取り囲むように巻回される帯状体とされ、巻回状態で一端部を他部位に重ねて最外層に位置させると共に、重なる内面と外面の所定箇所同士を着脱可能に係合させ、前記装置本体部が、前記押圧部における前記一端部近傍の、巻回状態で外側に前記一端部が重ならない所定箇所に取り付けられ、装置本体部の操作部を設けられる面が、装置本体部における前記押圧部の一端部側を向いた面とされるものである。
【0017】
このように本発明の開示によれば、押圧部を帯状体で形成し、マッサージ対象箇所を含む足の所定範囲に一端部を他部位に重ねるように巻回して、装置本体部を常に露出状態としつつ内面と外面の所定箇所同士を係合させて装着状態とされることにより、装着対象となる足の大きさの違いに対応させて巻回状態及び係合位置を調整することができ、いずれの使用者に対しても適切な装着状態とすることができる。また、使用者が異なっても装置本体部が足に対し適切な向きとなるように巻回状態における押圧部一端部の位置を調整して配置でき、足の大きさに関わりなく一端部近傍の装置本体部を、操作部が適切な向きとなるように配置して操作部の操作性を無理なく維持できる。
【0018】
また、本発明の開示に係るマッサージ装置は必要に応じて、前記押圧手段が、エアバッグであり、当該エアバッグの少なくとも一部が、前記装置本体部と重なる配置とされ、前記装置本体部が、前記エアバッグへの空気給排機構を内蔵し、当該空気給排機構を押圧部のエアバッグに空気流通可能に直結されてなるものである。
【0019】
このように本発明の開示によれば、押圧部の押圧手段としてエアバッグを配設し、装置本体部に内蔵される空気給排機構でエアバッグを膨縮させ、マッサージ対象箇所を押圧可能とすることにより、押圧部を軽量で嵩張らない構造にでき、特に使用していない場合は空気の排出でコンパクト化でき、取り扱い性に優れる。また、装置本体部の空気給排機構とエアバッグを直結することでホース等を介在させずに済み、構造の簡略化と部品点数の削減が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ装置を前記
図1ないし
図8に基づいて説明する。
【0022】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ装置1は、マッサージ対象の足90の各部を押す押圧手段としてのエアバッグ12、13を複数有して、足に巻回可能に配設される押圧部10と、この押圧部10のエアバッグ12、13を作動させる装置本体部15とを備える構成である。
【0023】
前記押圧部10は、複数のエアバッグ12、13を有して、足の足甲から足裏にわたる部位を取り囲むように巻回可能な帯状体とされる構成である。押圧部10は、足90に巻回され、巻回状態で一端部を他部位に重ねて最外層に位置させると共に、重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させることで、足の足甲から足裏に及ぶ外周位置で周方向に連続して足周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる。この状態で、押圧部10は各エアバッグ12、13により、マッサージ対象箇所を押してマッサージを行える仕組みである。
【0024】
また、押圧部10は、踵寄りとなる端部から所定長さ突出する踵固定部11を一体に有してなり、押圧部10の足への巻回状態で、踵固定部11も足の踵側面及び踵後面を取り囲むようにされる。
【0025】
こうした押圧部10の足90への巻回装着状態で、押圧部10が踵固定部11と共に足を全体的に取り囲むようにすることで、押圧部10が足を適切に包囲して足からずれにくい状態となり、足のマッサージ対象箇所に対し各エアバッグ12、13を正しく位置させて適確にマッサージが行えると共に、使用者が足を動かしても押圧部10が足から外れることはなく、使用の際に押圧部10から足が抜けないよう使用者が気を付ける煩わしさもなくなる。
【0026】
エアバッグ12、13は、押圧部10が足を取り囲んで巻回された状態で、足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分をそれぞれ押圧可能に配設されると共に、足の残りの左側面部分及び足右側面部分と踵下面をそれぞれ押圧可能に配設され、足の足甲から足裏に及ぶ周囲から足を取り囲むように複数配設される。
【0027】
足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置することとなる第一のエアバッグ12は、足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位で、装置本体部15の給排機構と連通する構成である。第一のエアバッグ12における足指付け根部下面の外側に位置する部位と、足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位は一体となっており、同時に膨縮して同じタイミングで足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分を押すこととなる。第一のエアバッグ12における足指付け根部下面の外側に位置する部位には、膨張時に足指付け根部下面に与える刺激を強化するための突起部を設けるようにしてもよい。
【0028】
足の残りの左側面部分、足右側面部分、及び踵下面の各外側に位置することとなる第二のエアバッグ13は、左側面側エアバッグ部13aと、踵下面側エアバッグ部13bと、右側面側エアバッグ部13cとを備え、これらが相互に隣接して連通する構成である。このうち、左側面側エアバッグ部13aは、押圧部10から突出する踵固定部11まで延伸させて設けられており、足の踵側面及び踵後面をマッサージ対象箇所として押すことができる仕組みである。
【0029】
第一のエアバッグ12における足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位と、第二のエアバッグ13の左側面側エアバッグ部13aは、装置本体部15と重なる配置とされ、装置本体部15の空気給排機構とそれぞれ空気流通可能に直接接続されており、各エアバッグ12、13はその給排気系統を別々のものとされ、互いに独立して膨縮可能とされる仕組みである。
【0030】
押圧部10は、エアバッグを外側から被覆して水分や汚れ等から保護する可撓性素材製のカバー10aを備える。このカバー10aは、使用者や他物体との接触、摩擦や各エアバッグ12、13からの圧力が加わっても破損しない丈夫な可撓性素材製のシート状体で形成され、エアバッグ12、13と共に、装置本体部15もまとめて被覆し保護する略袋形状とされる構成である。カバー10aは、所定の係合手段(スライドファスナーなど)で開閉可能な足先側の端部の開口部からエアバッグ12、13及び装置本体部15を出し入れして着脱可能に被覆する仕組みである。このカバー10aのうち、装置本体部15の外側にあたる部分には、装置本体部15の操作部15aを外部に露出させる開口部を設けられると共に、装置本体部15に内蔵された電池19を交換するために装置本体部15を一部開放する際に、この装置本体部15の一部開放に対応して、カバー10aの一部を必要に応じ開口状態とするためのファスナー等の係合手段が設けられる。
【0031】
押圧部10の巻回状態で最も内側で足に直接触れる部分は、着脱可能な内カバー部10cとなっており、重なる押圧部10の他部分と面ファスナー等の係合手段で容易に着脱可能に係合させるようにすることで、必要に応じて取り外して交換したり、洗って再使用することができる。
【0032】
押圧手段としての第一のエアバッグ12及び第二のエアバッグ13は、エアバッグごとに電磁弁17a、17bを介してポンプ部16と接続される。
電磁弁17a、17bは、ポンプ部16に連通する第1のポートと、エアバッグに連通する第2のポートと、外部に連通する第3のポートを有し、制御部18による制御に応じて、第1のポートと第2のポートを連通させ、且つ第3のポートを閉じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態と、第2のポートと第3のポートを連通させ、且つ第1のポートを閉じて、エアバッグの空気を外部に排気させる状態と、第1のポート、第2のポート、及び第3のポートをいずれも相互に連通させないようにして、エアバッグの内部圧力を維持できる状態、の三つの状態を切替可能とする公知の三方弁であり、詳細な説明を省略する。
【0033】
なお、各ポートを相互連通させないようにして電磁弁のみでエアバッグの内部圧力を維持可能とする構成の他に、ポンプ部16と電磁弁との間にエアポンプから電磁弁側への空気流通のみ許容する逆止弁を設けて、第1のポートと第2のポートを連通させ、且つ第3のポートを閉じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態で、ポンプ部16による給気を停止した場合に、逆止弁によりエアバッグの内部圧力を維持する状態を得る構成とすることもできる
【0034】
これらポンプ部16と電磁弁17a、17bが、各エアバッグの空気給排機構をなし、制御部18が、ポンプ部16を作動させると共に、電磁弁17a、17bの連通状態を調整制御することで、所望のエアバッグについて給気、排気、又は圧力維持を図り、エアバッグを膨張、収縮させ、又は所定の膨張状態で維持できる仕組みである。エアバッグの膨張時には足のエアバッグ内側に位置する部分に対する押圧力を発生させる一方、収縮時には押圧が解除されることで、各エアバッグ位置で変化に富んだマッサージ効果を与えることができる。
【0035】
なお、押圧部10に設けられるエアバッグの数は前記二組に限られるものではなく、使用態様に応じて適宜設定できる。また、エアバッグの配置も、二つのエアバッグ部が足前後方向に並んだ配置に限らず、エアバッグを一部重ねて並べたり、各エアバッグの形状や大きさを足のマッサージ対象箇所の性質に応じて大きく異ならせ、押圧部においてエアバッグの形状や大きさに応じて並べた配置にする構成とすることもできる。
【0036】
前記装置本体部15は、所定圧力で空気を送給するポンプ部16と、エアバッグ12、13とポンプ部16又は外部空間との連通・非連通を切替える電磁弁17a、17bと、ポンプ部16の駆動及び電磁弁17a、17bの開閉動作の制御を実行して各エアバッグに対する空気の給排を調節する制御部18と、ポンプ部16等へ給電する電源としての電池19とを備え、これらを一まとまりのユニットとして一つの筐体に内蔵する構造とされる。この装置本体部15は、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有しており、所定の面を取付面として前記押圧部10に一体に取り付けられる。
【0037】
この装置本体部15は、前記取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、足90に巻回されて周方向に連続する筒状形態における押圧部10の筒長手方向と略平行となる面を有し、この面に使用者の操作を受け付ける操作部15aを設けられる構成である。この操作部15aはカバー10aを貫通して操作可能に外部に露出する状態とされる。
【0038】
この装置本体部15は、押圧部10における前記一端部近傍の、巻回状態で外側に一端部が重ならない箇所に取り付けられており、押圧部10が足90を取り囲んで一端部が上側に位置するように巻回された状態で、足90の側方に位置する配置とされる構成である。そして、この装置本体部15の操作部15aを設けられる面が、装置本体部15における押圧部10の一端部側を向いた面とされることから、装置本体部15が、押圧部10の巻回で足90の側方に位置すると共に、使用者が足裏を下に向けてリラックスした姿勢をとっている状態では、操作部15aは上方を向く位置関係となる。
【0039】
こうして押圧部10が足90を取り囲んでエアバッグ12、13でのマッサージを可能とする巻回状態で、装置本体部15が、取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、筒状形態の押圧部10の筒長手方向と略平行となる面に操作部15aを有して、操作部15aを使用者の取り扱いやすい上向きに配置できることから、使用者が操作部15aを操作する際に、使用者が操作部15aを見ながら確実に操作できると共に、操作部35aを操作する力が足のある側に向かわないことで、装置本体部15を安定させ、且つ足に違和感を与えない状態で操作部15aに対する操作が行える。特に、マッサージ装置1が床等の上に置かれて、装置本体部15が床面等に接して支持される場合には、装置本体部15を安定させた状態で操作部15aに対する操作が行え、且つ操作する力を確実に操作部側に与えられるなど、操作性を向上させられる。
【0040】
また、装置本体部15を、押圧部10の巻回状態で足90の側方に位置するよう配置していることで、押圧部10と一体の装置本体部15が足の動きを拘束しにくく、且つ足の動きの障害にならず、押圧部10を装着した状態でも使用者が足を動かしやすく、過剰な拘束感を抑えて快適性を高められる。さらに、押圧部10の巻回の際にも、変形する押圧部10とは異なり、使用者は装置本体部15を巻回後の最終的な位置にそのまま固定されたイメージで捉えることができるため、最終的に足の側方に位置するようにした装置本体部15はまず床置きされるなど位置を定められて、押圧部10の巻回作業の基準として取り扱われることとなり、押圧部の足周りへの巻回装着の能率向上にも寄与する。加えて、装置本体部15の位置を一旦定めたら装置本体部15を動かさずに押圧部10を取り扱えることで、安定した状態で押圧部10の巻回を進められる。
【0041】
この他、装置本体部15は、前記押圧部10のエアバッグ12、13を作動させるポンプ部16や電磁弁17a、17bその他の電源として、電池19を交換可能に内蔵している。
こうして電源となる電池19が装置本体部15に内蔵されて、外部から給排機構その他を作動させるための電力を導入せずに済むようにしていることから、使用にあたって装置本体部と外部の電源とをケーブル等で接続する作業を行わずに済み、使用者の煩わしさを解消できる。また、装置本体部と電源等とを接続するケーブル等の部品を省略でき、使用の際に使用者がこうしたケーブル等による拘束を受けずに済み、取り扱いの自由度を高められる。電池としては、活物質が電池内に保持される一般的な乾電池(マンガン電池、アルカリ電池等)や二次電池(ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等)の他、活物質を補充可能な燃料電池のうち小型のものを用いることもできる。
【0042】
前記制御部18は、空気給排機構をなすポンプ部16、電磁弁17a、17bに対し、あらかじめ記録設定されたマッサージの内容の情報に基づいて、適切なマッサージの実行のための制御を行うものである。
【0043】
この制御部18は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部18として動作させる仕組みである。この制御部18をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとされており、装置本体部15に問題なく内蔵可能とされる。
【0044】
次に、本実施形態に係るマッサージ装置の使用者の足へのマッサージ状態について説明する。前提として、マッサージ装置の押圧部10を使用者の足90に巻回して装着し、また踵固定部11を足の踵側面及び踵後面を取り囲むように装着し、エアバッグ12、13のうち第一のエアバッグ12が足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置すると共に、第二のエアバッグ13が足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側に位置し、また、装置本体部15は操作部15aを上方に向けて足の側方に位置しており、さらに、電池19からの電力供給が正常になされて、制御部18の制御によりポンプ部16及び電磁弁17a、17bが適切に作動可能な状態となっているものとする。
【0045】
使用者の装置本体部15の操作部15aへの操作で電源が入とされ、さらに使用者によりマッサージモード等の指示が入力操作されると、制御部18が作動制御を開始し、制御部18は空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、これらを作動させ、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13をそれぞれ膨縮させることとなる。
【0046】
エアバッグ12、13全てを一様に膨張させる場合、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、所定時間給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、足の足指付け根部から踵にかけての下面と左右側面部分、踵後面を押圧する。
こうして二つのエアバッグ12、13を膨張させることで、足全体を一様に締めるように押圧することができる。
【0047】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たな制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0048】
この他、二つのエアバッグ12、13の膨張タイミングをずらす場合、例えば、第一のエアバッグ12を膨張させた後、第二のエアバッグ13を膨張させる場合には、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12のみに対し、所定時間給気を行い、第一のエアバッグ12を膨張させて、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分をそれぞれ押圧する。
【0049】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対しては給気停止、圧力保持としてエアバッグ12による押圧状態を維持したまま、さらに、第二のエアバッグ13に対し、所定時間給気を行い、第二のエアバッグ13を膨張させて、新たに足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面を押圧する。
こうして二つのエアバッグ12、13を時間をずらして膨張させることで、足全体を締めるのに指側から締めていくようにするなどの変化を与えることができる。
【0050】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0051】
このように、本実施形態に係るマッサージ装置は、マッサージ対象箇所を含む足90の所定範囲を取り囲んでエアバッグ12、13でのマッサージを可能とする押圧部10に対し、エアバッグ12、13を作動させる装置本体部15が、押圧部10の外面所定箇所に取り付けられて、押圧部10と装置本体部15が一体化されることから、使用の際に押圧部10と装置本体部15とを個別に取り扱わずに済み、押圧部10と装置本体部15とを一括して取り扱える分、使用者の煩わしさを解消できる。また、押圧部10と装置本体部15とが一体となるため、別体の場合のような相互の連結、接続のための部品を省略でき、使用の際に使用者がこうした部品による拘束を受けずに済み、取り扱いの自由度を高めて使い勝手を向上させられる。
【0052】
また、足90を取り囲む押圧部10のエアバッグ12、13が、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置すると共に、足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側に位置し、且つ、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側の第一のエアバッグ12と足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側の第二のエアバッグ13とが給排気系統を別にされ、空気の給排で、第一のエアバッグ12と第二のエアバッグ13とが、同時、又はタイミングをずらして、それぞれ所定の強さで足各部を押圧することから、エアバッグ12で足の指側を主に締め付けるように押圧する状態と、エアバッグ13で足の他部位を主に締め付けるように押圧する状態とを適宜組み合わせて、足の指側を締め付けるように押圧するマッサージや、足全体を周囲から一様に締め付けるように押圧するマッサージ、足の指側に対する周囲からの押圧とその他の部位に対する周囲からの押圧とが、所定の時間差をおいて加わったり、押圧の強さを異ならせて加わるマッサージ等をそれぞれ実行でき、足各部を適切に押圧して所望のマッサージ効果を与えることができる。
【0053】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージ装置において、足90に巻回装着される押圧部10は、足90への巻回状態で重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させて、最終的に足周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる構成としているが、この他、第2の実施形態として、
図9に示すように、押圧部10に足への仮止め用の筒状部10dを形成可能にする構成とすることもできる。
【0054】
筒状部10dは、押圧部10の一方の端部を押圧部内面側の装置本体部15近傍にあたる位置に所定の係合手段(スライドファスナーなど)で着脱可能に係合することで得られ、押圧部10を足90へ巻回状態とするのに先立って、まず筒状部10dを生じさせ、この筒状部10dに足90を挿入してから、足のサイズに合わせて押圧部10を締めて固定し、巻回状態を得ることとなる。一旦筒状部10dに足を挿入することで、押圧部10が足からずれにくく、以降の押圧部10の足への巻回作業が容易となり、使い勝手を向上させられる。
【0055】
この他、筒状部10dを形成するための係合手段の近傍に位置する押圧部の所定範囲を、伸縮性に優れた素材製とすることもでき、使用者の足のサイズが大きい場合にも筒状部が変形して対応可能となり、足への仮止めとしての機能を確実に果たせることとなる。
【0056】
なお、前記第1及び第2の実施形態に係るマッサージ装置において、押圧部10は、足90の所定範囲を取り囲むように巻回される帯状体とされ、足90に巻回、装着されてはじめて、周方向に連続して足90の外周位置から容易に離脱せず、この装着状態を維持可能な筒状形態をとる構成とされているが、これに限らず、押圧部を当初から周方向に連続する筒状の形態とし、足90を筒内に通すようにすることでこれらへの装着を行う構成としてもかまわない。
【0057】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージ装置において、使用者が装置本体部15の操作部15aへの操作で、具体的なエアバッグの膨縮状態や既定のマッサージモード等を指示すると、制御部が空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bの作動を制御して、エアバッグの給気による膨張、排気による収縮、給気と排気の停止による圧力保持、の各状態を適宜組み合わせたエアバッグの膨縮プロセスを間隔を置かずに連続して一回又は複数回の繰り返しで実行させる構成としているが、この他、第3の実施形態として、使用者の指示操作に基づいて、作動期間としてあらかじめ設定された所定時間(例えば、5分間)は、マッサージモード等としてあらかじめ設定された、エアバッグの給気による膨張、排気による収縮、給気と排気の停止による圧力保持、の各状態を適宜組み合わせた膨縮プロセスを制御部が実行させる一方、前記所定時間が経過して作動期間が終了すると、制御部が空気給排機構を一切作動させない休止期間に移行し、この休止期間としてあらかじめ設定された所定時間(例えば、55分間)が経過すると、あらためて前記同様の作動期間に移行して制御部が膨縮プロセスを実行させ、以降、作動期間と前記同様の休止期間を交互に繰り返し、作動期間として経過した時間の合計が既定の限界時間(例えば、20分)に達したら、休止期間を挟みながらの一連の作動期間の断続的な継続を終了する(
図10参照)、制御プログラムに従って制御を行うようにする構成とすることもできる。
【0058】
この場合、実際に作動期間として前記膨縮プロセスが実行された時間は限界時間程度に収まるものの、制御プログラム全体で対象とする時間は、継続した作動期間と途中の休止期間の合計時間となり、一つの制御プログラムで所定時間間隔でのエアバッグの膨縮に基づくマッサージの実行を長時間にわたり管理でき、使用者の選択可能な一種の長時間モードを実現しつつ、長時間にわたる制御を簡略化してコストを抑えられる。
【0059】
さらに、他の制御プログラムとして、所定の起動時刻に使用者が装置を起動すると、作動期間として、制御部が前記同様あらかじめ設定された所定時間、膨縮プロセスを実行させた後、休止期間に移行し、以降は原則として作動期間と休止期間を交互に繰り返すように制御を行い、計画的に与えられる作動期間に使用者にマッサージを受けさせるようにする中、起動時刻を起点とした計算で、各作動期間が、一般的に人が他にすべきことを有してマッサージを行う余裕がない時間帯(例えば、昼食や夕食の時間や、仕事の繁忙時間帯、通勤時間帯など)と重ならないように、休止期間の長さを適宜調整し、各作動時間を使用者に適した時間帯に割り振る機能を有するようにすることもできる(
図11参照)。この場合も、作動期間として経過した時間の合計が既定の限界時間(例えば、30分)に達したら、休止期間を挟みながらの一連の作動期間の断続的な継続を終了するようにして、実際に作動期間として前記膨縮プロセスが実行された時間は限界時間程度に収められることに加え、作動期間を使用者が確実にマッサージを行える時間帯に割り当てることができ、プログラムで管理された定期的なマッサージを無理なく実行してその効果を確実なものとすることができる。
【0060】
そして、この制御プログラムの使用にあたり、使用者の運動量を把握し、使用者ごとに運動量に対応する作動期間の割り当てなど、最適な作動制御が行えるよう、携帯可能な本装置の特性を生かして、装置本体部に加速度センサ18aを配設し(
図12参照)、使用者の動きを検出可能とした上で、制御部で検出結果に基づいて使用者の運動量を求め、得られた情報をプログラムの設定に反映させるようにすることもできる。
【0061】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージ装置においては、マッサージ対象箇所を押す押圧手段として、空気の給排により膨縮するエアバッグを用いる構成としているが、これに限らず、他の押圧手段を用いることができ、例えば、熱を加えると変形する形状記憶合金等を用いることができる。特に、第4の実施形態として、
図13に示すように、マッサージ対象箇所を含む足90の所定範囲を取り囲むように巻回される帯状の押圧部40に設けられた形状記憶合金41が、通常の温度では巻回する足90の表面部分に沿わない形状とされ、巻回状態では押圧部40による締め付けで弾性変形し、その反力で足を締めるようにされる一方、熱を加えると変形して足の表面部分に沿う形状となり、通常の温度の場合のような反力が消失して、足を締めない状態となるものであるようにすれば、押圧手段として足を締めて押圧する際に、加熱する必要がなく、足を締めて押圧する時間を長く設定する場合に、これに合わせて形状記憶合金の加熱期間を長くするようなことは必要なくなり、加熱に要するエネルギーを削減できる。
【0062】
この場合、形状記憶合金41を通電加熱等により加熱可能とすると共に、形状記憶合金41を保温状態として熱が外部に逃げにくい構造とすれば、形状記憶合金41を加熱して足を締めない状態に移行させた後、加熱を停止してから放熱により形状記憶合金41が常温に戻り、足を押圧する状態となるまでの時間をさらに長くすることができる。
【0063】
このため、マッサージ装置の押圧手段として、前記形状記憶合金41を用いるようにすると、形状記憶合金41の加熱停止で得られる所定の押圧状態を所定時間継続した後、制御部の制御で形状記憶合金41が押圧を行わないように形状記憶合金41を短時間加熱し、加熱停止後の保温された形状記憶合金41が自然放熱で足を押圧する状態となるまでの時間は十分長いことから、この押圧状態となるまでの時間を、加熱のための機構をほぼ作動させない休止期間とすることができ、前記押圧状態が加熱等の制御を行わないことで無理なく長い時間継続させられることと合わせて、休止期間を挟んで長めの押圧を繰り返し実行して長時間に及ぶマッサージのモード(一種の長時間モード)を、投入するエネルギーを抑えつつ実現できることとなる(
図14参照)。