特許第6193061号(P6193061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193061
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】雪止保持部材および太陽電池屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/10 20060101AFI20170828BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20170828BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20170828BHJP
【FI】
   E04D13/10 ZETD
   E04D13/18
   H02S20/23 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-181917(P2013-181917)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-48663(P2015-48663A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】鑄物 由喜
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−262017(JP,A)
【文献】 特開平11−131729(JP,A)
【文献】 実開昭61−176326(JP,U)
【文献】 特開2002−167927(JP,A)
【文献】 特開2013−064249(JP,A)
【文献】 特開2002−309729(JP,A)
【文献】 特開2000−096792(JP,A)
【文献】 特開2005−105778(JP,A)
【文献】 特開平03−295959(JP,A)
【文献】 特開2011−084920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0333305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/10
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜する屋根面部材上の太陽電池パネル上に積雪する雪が滑り落ちるのを規制させる雪止め部を、前記屋根面部材上に取り付ける雪止保持部材であって、
前記屋根面部材の軒先縁部上に直接取り付けられる取付部と、
前記取付部から起立した雪止め部と、前記取付部と一体に設けられた軒先部材取付用の軒先受金具部を備え
前記太陽電池パネルは前記雪止め部に当接していることを特徴とする雪止保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の雪止保持部材において、前記軒先受金具部には、前記太陽電池パネルの軒先側縁部および前記屋根面部材の前記軒先縁部をカバーする軒先カバー又は樋、若しくは樋用ヒータ、或いは太陽電池ケーブルが軒先部材として取り付けられることを特徴とする雪止保持部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の雪止保持部材において、前記雪止め部と前記軒先受金具部が同一の前記取付部に連接されていることを特徴とする雪止保持部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の雪止保持部材において、前記雪止め部の上端部が前記軒先受金具部より上方に突出していることを特徴とする雪止保持部材。
【請求項5】
請求項4に記載の雪止保持部材において、前記軒先受金具部は前記屋根面部材の屋根面と同方向に傾斜させられた軒先部材取付面を有することを特徴とする雪止保持部材。
【請求項6】
傾斜する屋根面部材上の太陽電池パネル上に積雪する雪が滑り落ちるのを規制させる雪止め部を、前記屋根面部材上に取り付ける雪止保持部材であって、
前記屋根面部材の軒先縁部上に直接取り付けられる取付部と、
前記取付部から起立した雪止め部と、前記取付部と一体に設けられた軒先部材取付用の軒先受金具部を備え
前記雪止め部の上端部が前記軒先受金具部より上方に突出しており、
前記軒先受金具部は前記屋根面部材の屋根面と同方向に傾斜させられた軒先部材取付面を有するとともに、
前記取付部は前記屋根面部材の軒先縁部及び前記太陽電池パネルの軒先側縁部に沿って延びる取付板部であり、前記雪止め部は前記取付板部に沿って延び且つ前記取付板部の軒先側縁部から起立する雪止板部であり、前記取付板部は長手方向両端部に設けられ且つ前記雪止板部より軒先側に延設されて前記軒先縁部から突出する延設板部を有すると共に、
前記軒先受金具部は、前記延設板部の軒先側縁部から起立する起立板部と、前記起立板部の上端から前記雪止板部の側縁まで延び且つ前記軒先部材取付面を有する軒先部材受板部を備えることを特徴とする雪止保持部材。
【請求項7】
太陽電池パネル本体の周囲にパネル支持枠を装着した太陽電池パネルが設けられ、
前記太陽電池パネルが傾斜する屋根面部材の上面部に設けられていると共に、
請求項1〜のいずれか一つに記載の雪止保持部材が前記屋根面部材に直接取り付けられ、前記雪止め保持部材に軒先化粧材を直接固定することを特徴とする太陽電池屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜する屋根面部材上の太陽電池パネル上に積雪する雪が滑り落ちるのを規制させる雪止保持部材および太陽電池屋根構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の太陽電池パネルを傾斜する屋根面部材上に縦横に面状に貼設した建物の太陽電池屋根構造が知られている。この太陽電池屋根構造を積雪地域の建物に用いる場合、太陽電池パネルの上面に積雪した雪が軒先方向へ移動して軒先から落下するのは好ましくない。
【0003】
このため、このような太陽電池屋根構造では、太陽電池パネルの上面より上方に突出する雪止保持部材を屋根面部材の軒先側縁部上に取り付けて、太陽電池パネルの上面に積雪した雪の軒先側への移動を雪止保持部材により阻止(規制)させるようにすることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
この太陽電池パネルは、屋根面部材との間に僅かな屋根面−パネル間隙間が形成されるように、パネル取付金具で屋根面部材上に取り付けられているのが普通である。
【0005】
しかし、雪止取付金具やパネル取付金具および屋根面−パネル間隙間等は太陽電池屋根構造の見栄えを損なう虞がある。
【0006】
このような見栄えが損なわれるのを防止するために、軒先側に配設した太陽電池パネルの軒先側縁部および屋根面−パネル間隙間を軒先カバーで覆うようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-262017号公報
【特許文献2】特開平11−131729号公報
【特許文献3】実用新案登録第3096790号公報
【特許文献4】特開平10−273953号公報
【特許文献5】特開平08−13725号公報
【特許文献6】特開2013−119730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような太陽電池屋根構造では、太陽電池パネルを屋根面部材の軒先縁部上まで配設することにより、太陽電池パネルの設置面積を広くして、発電量を少しでも多くすることが望ましい。
【0009】
しかしながら、このような太陽電池屋根構造では、軒先カバーを雪止保持部材とは別体の軒先カバー受金具で屋根面部材の軒先側縁部上に取り付けていたため、太陽電池パネルを屋根面部材の軒先側縁部上まで配設できないものであった。
【0010】
また、傾斜屋根の軒先縁部上に雪止金具を設けた屋根構造としては、特許文献4に開示されたようなものがある。この特許文献4の屋根構造では、屋根下地板上に屋根瓦を敷設し、屋根瓦の軒先縁部に沿って雪止金具を取り付けると共に、雪止金具と屋根下地板との間に水切り板の取付板部を介装し、この水切り板の自由端部を軒先縁から下方に向けて垂下させていた。
【0011】
このような雪止金具は、屋根瓦上に積雪した雪が滑り落ちるのを防止するためのものである。このため、この雪止金具を特許文献3の太陽電池パネルおよび軒先カバーが設けられた屋根構造にそのまま適用することも考えられる。この場合、特許文献3の雪止保持部材(雪止金具)を特許文献4の雪止金具で単に置き換える構造としかならない。この組み合わせの場合でも、太陽電池パネルを屋根面部材の軒先側縁部上まで配設できないものであった。
【0012】
尚、太陽電池パネルの構造や太陽電池パネルの取付構造としては例えば特許文献5,6に開示されたようなものもある。
【0013】
この特許文献5の屋根構造では、太陽電池部に枠部を設けた複数枚の太陽電池パネルが並設されている。そして、各太陽電池パネルの枠部には、屋根傾斜方向の下方に隣接する太陽電池パネルの上縁部を覆うカバー部が設けられた構造となっている。このカバー部は、並設された複数の太陽電池パネル間の軒先側縁を覆うカバーではないので、太陽電池パネル間の軒先側縁の見栄えの向上に役立つものではなかった。
【0014】
また、特許文献6では、傾斜屋根に金属製の屋根部材を敷き詰めた金属葺きの基礎屋根構造を設けて、この基礎屋根構造上に複数の太陽電池パネルを縦横に設置すると共に、屋根の軒先部分に沿って複数の軒先取付け金具を間隔をおいて取り付け、軒先に沿って延びる化粧板を複数の軒先取り付け金具に上方から取り付けるようにしている。しかし、この屋根構造は、複数枚の太陽電池パネルを軒先縁まで隙間無く配設しているため、雪止部材を設けることが難しく、降雪地域には適しないものであった。
【0015】
そこで、この発明は、軒先カバーの受金具の機能と雪止の機能を有していて、太陽電池パネルを屋根面部材の軒先側縁部上まで配設することが可能な雪止保持部材および太陽電池屋根構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、この発明は、傾斜する屋根面部材上の太陽電池パネル上に積雪する雪が滑り落ちるのを規制させる雪止め部を、前記屋根面部材上に取り付ける雪止保持部材であって、前記屋根面部材の軒先縁部上に直接取り付けられる取付部と、前記取付部から起立した雪止め部と、前記取付部と一体に設けられた軒先部材取付用の軒先受金具部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この構成の雪止保持部材によれば、軒先部材取付用の機能と雪止機能を有しているので、太陽電池パネルを屋根面部材の軒先側縁部上まで配設することができる。このため、既存の太陽光発電のモジュールを大きくして、太陽電池パネルの設置面積を増やすことができる。また、この雪止保持部材を用いた太陽電池屋根構造は、雪止保持部材と同様な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)はこの発明の実施例1に係る雪止保持部材と軒先カバーが設けられた太陽電池屋根構造を備える建物の概略斜視図、(b)は(a)のA1−A1線に沿う断面図である。
図2図1(b)に示した軒先部の拡大断面図である。
図3図1(b)の雪止保持部材と軒先カバーとの関係を示す拡大説明図である。
図4図1(b)の雪止保持部材の斜視図である。
図5図4の雪止保持部材の平面図である。
図6図5の雪止保持部材を矢印A2方向から見た説明図である。
図7図5の雪止保持部材を矢印A3方向から見た拡大側面図である。
図8図2の雪止保持部材に軒先カバーを取り付ける説明図である。
図9】(a)は図8に示した軒先カバーの隣接するカバー部材に結合のための穴加工を行う説明図、(b)は(a)の隣接するカバー部材の結合状態を示す説明図である。
図10】この発明の実施例2に係る雪止保持部材と軒先カバーを備える太陽電池屋根構造の軒先部の拡大断面図である。
図11図10の雪止保持部材の側面図である。
図12図10の雪止保持部材の斜視図である。
図13】この発明にかかる雪止保持部材がない場合の軒先カバーの取付の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る雪止保持部材が設けられた太陽電池屋根構造を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1(a)はこの発明の実施例1に係る雪止保持部材と軒先カバーが設けられた太陽電池屋根構造を備える建物の概略斜視図、図1(b)は図1(a)のA1−A1線に沿う断面図である。また、図2図1(b)に示した軒先部の拡大断面図、図3図1(b)の雪止保持部材と軒先カバーとの関係を示す拡大説明図、図4図1(b)の雪止保持部材の斜視図である。
【0020】
また、図5図4の雪止保持部材の平面図、図6図5の雪止保持部材を矢印A2方向から見た説明図、図7図5の雪止保持部材を矢印A3方向から見た拡大側面図、図8は、図2の雪止保持部材に軒先カバーを取り付ける説明図である。更に、図9(a)は図8に示した軒先カバーの隣接するカバー部材に結合のための穴加工を行う説明図、図9(b)は図9(a)の隣接するカバー部材の結合状態を示す説明図である。
【0021】
図1(a)において、建物1は傾斜する屋根面部材2,3を有する。この屋根面部材2上には、太陽光発電装置4が設置されている。この太陽光発電装置4は、屋根面部材2の傾斜方向に2列に配置された太陽電池パネル列4a,4bを有する。この太陽電池パネル列4aは屋根面部材2の軒先側に配置されている。
【0022】
太陽電池パネル列4a,4bは、複数枚の太陽電池パネル(太陽電池モジュール)5を備えている。各太陽電池パネル5は、図1(b)に示したように、太陽電池パネル本体(太陽電池モジュール本体)6と、太陽電池パネル本体6の周縁を保持するフレーム(パネル支持枠)7を有する。そして、フレーム7が、図示を省略した固定手段(取付金具および固定ネジ等)で屋根面部材2上に取り付けられている。この取付には周知の構造を採用できるので、詳細な図示及び説明は省略する。
【0023】
太陽電池パネル列4aの太陽電池パネル5は、図1(b)〜図3に示したように、軒先側縁(下縁)5aが屋根面部材2の軒先側縁部2aの近傍上に配置されている。
(雪止保持部材)
この軒先側縁部2a上には、太陽電池パネル5の軒先側縁(下縁)5aに沿って雪止保持部材8が配設されている。この雪止保持部材8は図4図7に示したように、細長く延びる取付板部9を有し、この取付板部9は長手方向側縁(長手方向に延びる側縁)9a,9bおよび長手方向の端部9c,9dを有する。また、雪止保持部材8は、取付板部9の長手方向側縁(長手方向に延びる側縁)9aから垂直に起立させられた雪止板部(雪止め部)10を有する。
【0024】
この取付板部9には、取付板部9の長手方向の両端部9c,9dに一体に設けられ、且つ、取付板部9が雪止板部10から垂直に延びる方向に対して反対方向に延びる延設板部11が設けられている。
【0025】
また、この取付板部9の延設板部11には、起立する軒先部材取付用の軒先受金具部Bが一体に設けられている。この軒先受金具部Bは、雪止板部10と平行に延設板部11の端縁から垂直に起立させられた起立板部12と、起立板部12の上端から垂直に且つ雪止板部10の側縁まで延設された軒先部材受板部13を有する。この軒先部材受板部13は、取付板部9及び延設板部11と平行又は略平行に設けられていると共に、取付板部9及び延設板部11と平行又は略平行な上面13aを軒先部材取付面として有する。この上面13aの高さは雪止板部10よりも低く形成され、即ち、雪止板部10の上端部10aは軒先部材受板部13よりも上方に突出させられている。
【0026】
この雪止保持部材8の取付板部9,雪止板部10,延設板部11,起立板部12,軒先部材受板部13等は、一枚の鋼板に切り込みを入れたり、曲げ加工を行うことにより形成されている。
【0027】
また、取付板部9には、長手方向の端部9c,9d側で且つ長手方向側縁9b側に位置させて、取付孔列14,14が設けられている。この取付孔列14は、複数のネジ挿通孔(取付孔)15を有する。本実施例では、取付孔列14は、3つのネジ挿通孔15からなる第1孔列14aと、2つのネジ挿通孔15からなる第2孔列14bを有する。この第1,第2孔列14a,14bは、幅方向に僅かにずらして設けられている。
(雪止保持部材8の取付状態)
このような構成の雪止保持部材8は、取付板部9の長手方向側縁9aが軒下側に位置し且つ長手方向側縁9bが太陽電池パネル5の軒先側縁部の下方に位置するように配設されている。そして、この取付板部9は、図4図7のネジ挿通孔15に挿通した固定ネジ16で屋根面部材2に固定されている。尚、この雪止保持部材8の屋根面部材2上への取り付けは、図1(b)のように太陽電池パネル5を屋根面部材8に取り付ける前に行われる。図8は雪止保持部材8の配置及び取り付けを示したものであるが、この図8では図2の固定ネジ16が雪止板部10に隠れた位置にあるので図示されていない。
【0028】
また、図2図3に示したように太陽電池パネル5の軒先側縁部aは雪止保持部材8の雪止板部10に当接させられている。この雪止板部10は、上端部側が太陽電池パネル5の上面の下縁よりも上方に突出する寸法に形成されている。また、雪止保持部材8の軒先部材受板部13は、太陽電池パネル5の上面の下縁よりも上方に配置されている。
【0029】
更に、屋根面部材2の軒先には桁方向に延びる樋17が取り付けられている。そして、取付板部10の両端部9c、9dに設けた延設板部11,11は屋根面部材2の軒下縁2aから樋17の上側に突出させられている。
【0030】
このような雪止保持部材8は軒先側の各太陽電池パネル5毎に設けられている。そして、図1(a),図9(b)に示したように、複数の雪止保持部材8の下部側及び隣接する太陽電池パネル5,5間は、軒先部材である軒先カバー(軒先化粧材、化粧板)18により覆われて、見栄えが損なわれないようになっている(図1(b),図3参照)。
【0031】
この軒先カバー18は、各太陽電池パネル5毎に配設される複数の軒先カバー部材19を備えている。各軒先カバー部材19は、雪止保持部材8の軒先部材受板部13上に配設される上カバー板部19aと縦カバー板部19bから逆L字状に形成されている。図9(a),図9(b)は、軒先カバー18の複数の軒先カバー部材19のうち隣接するものを示したものである。
【0032】
この上カバー板部19aは、雪止保持部材8の軒先部材受板部13上に固定ネジ20で固定されている。この取り付けは、雪止保持部材8を屋根面部材2に取り付けて、太陽電池パネル5を屋根面部材2上に取り付けた後に行われる。上カバー板部19aを施工現場で太陽電池パネル5に対応するように合わせた後、ドリルにより軒先部材受板部13及び上カバー板部19aに穴あけ加工を行って、穴開け加工した部分を固定ネジ20で固定する。この際、縦カバー板部19bは、雪止保持部材8の起立板部12に当接させる。
【0033】
また、隣接する軒先カバー部材19は端部同士が重ね合わせられていて、重ね合わせた縦カバー板部19bの部分が固定ネジ21により固定されている。この取り付けは、雪止保持部材8を屋根面部材2に取り付け後に行われるので、図9(a)のように施工現場でドリルDLにより隣接する軒先カバー部材19の縦カバー板部19bに貫通孔Hを形成(穴開け加工)した後、この穴開け加工した部分同士を図9(a)のドライバーDrを用いて図9(b)のように固定ネジ21で固定する。
【0034】
尚、延設板部11は、雪止板部10より軒先側に延設されて、屋根面部材2の軒先縁部2aから突出させられている。
[実施例2]
図10は、この発明の実施例2に係る雪止保持部材と軒先カバーを備える太陽電池屋根構造の軒先部の拡大断面図である。また、図11図10の雪止保持部材の側面図、図12図10の雪止保持部材の斜視図である。更に、図13は、この発明に係る雪止保持部材がない場合の軒先カバーの取付の説明図である。
【0035】
この実施例2の雪止保持部材30は、図11図12に示したように、間隔を置いて設けられた取付板部35,35と、この取付板部35,35に一体に設けられた雪止め部Cを有する。この雪止め部Cは、取付板部35,35から起立する軒先部材取付用の軒先受金具部D、および軒先受金具部Dに一体に設けられた雪止板部33を有する。これらの構成を以下により詳細に説明する。尚、図10では、図示の便宜上、符号C,Dは省略している。
【0036】
軒先受金具部Dは、図11図12に示したように、取付板部35,35から上方に向けて垂直に起立する脚部34,34と、脚部34,34の上端同士を連設する雪止形成板部31を有する。この雪止形成板部31は、取付板部35,35と平行に設けられていると共に、軒先カバー受板を兼用していて、上面31cを軒先カバー受面として有する。この構成により軒先受金具部Dは、取付板部35,35から上方に向けて起立させられている。
【0037】
また、雪止め部Cは、雪止形成板部31の長手方向側縁31a,31bにそれぞれ一体に設けられた補強用の前板部32,雪止板部33を有する。
前板部32は、雪止形成板部31の長手方向側縁31aに下方に向けて垂直に折曲することにより形成さている。また、雪止板部33は、雪止形成板部31の長手方向側縁31bに上方に向けて折曲することにより、雪止形成板部31に上方に向けて垂直に形成されている。これにより雪止め部Cの上端部である雪止板部33は、雪止形成板部31の上面(軒先カバー受面)31cから上方に突出している。
【0038】
更に、取付板部35は、脚部34よりも前側に僅かに突出する突出部35aと、脚部34から雪止板部33側の下方側に向けて突出する突出部35bを有する。
【0039】
しかも、取付板部35には、取付孔列36が形成されている。この取付孔列36は、3つのネジ挿通孔37からなる第1孔列36aと、2つのネジ挿通孔37からなる第2孔列36bを有する。この第1,第2孔列36a、36bは僅かにずらして設けられている。
【0040】
取付板部35は、図1(a)の隣接する太陽電池パネル5,5間の下方に位置させて屋根面部材2上に図10のように配設される。また、この取付板部35は、固定ネジ38で屋根面部材2上に固定されている。この取付板部35の固定に際しては、図12のネジ挿通孔37に固定ネジ38を挿通した後、この挿通した固定ネジ38を図10のように屋根面部材2上に螺着する。この取付板部35は、一部が屋根面部材2の軒先縁2a1から樋17上に突出させられている。
【0041】
そして、上述した雪止形成板部31の上面31c上には、軒先カバー18を構成する軒先カバー部材19の上カバー板部19aが固定ネジ39で取り付けられている。また、縦カバー板部19bは、上部が雪止保持部材30の前板部32に当接させられ、下部が取付板部35の突出部35aに当接させられている。
【0042】
尚、降雪量が少なく或いは降雪しない地域では、雪止保持部材30を必要としない。この場合には、図13に示したように、太陽電池パネル5のフレーム7にカバー受け金具40を固定ネジ41で取り付けて、このカバー受け金具40の軒先カバー部材19の上カバー板部19aを固定ネジ42で固定する。この場合においても、太陽電池パネル5の軒先側縁部5aは、屋根面部材2の軒先縁部近傍まで配設される。これにより、従来の軒先カバーを配置する場合に比べて、太陽電池パネル5の配設面積を広く取れる。
【0043】
尚、雪止形成板部31の太陽電池パネル5側縁部は太陽電池パネル5の軒先側縁部5a上に配設され且つ雪止形成板部31の軒先側縁部は軒先縁部から突出させられている。また、取付板部35,35は、太陽電池パネル5の軒先縁部の側方に突出させる突出部35bと、屋根面部材2の軒先縁部2aから突出する突出部35aを有する。
(その他)
上述した実施例では、軒先受金具部B,Dに取り付けられる軒先部材として軒先カバー18の例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、軒先受金具部B,Dに取り付けられる軒先部材としては、樋17であっても良いし、樋17に積雪する雪を融解させる樋用ヒータ(図示せず)、或いは複数の太陽電池パネル5に配線される太陽電池ケーブル(図示せず)等であっても良い。尚、軒先部材としては、軒先に取り付けられる部材であれば、樋17や樋用ヒータ(図示せず)、或いは太陽電池ケーブル(図示せず)以外の部材であっても良い。
[発明の実施の形態の作用・効果]
以上説明した発明の実施の形態の作用・効果を以下に説明する。
(1)この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)は、傾斜する屋根面部材2上の太陽電池パネル5上に積雪する雪が滑り落ちるのを規制させる雪止め部(雪止板部10,雪止め部C)を、前記屋根面部材2上に取り付けている。
【0044】
しかも、前記屋根面部材2の軒先縁部2a上に直接取り付けられる取付部(取付板部9,35)と、前記取付部(取付板部9,35)から起立した雪止め部(雪止板部10,雪止め部C)と、前記取付部(取付板部9,35)と一体に設けられた軒先部材取付用の軒先受金具部(B,D)を備えている。
【0045】
この構成の雪止保持部材(8,30)によれば、軒先部材取付用の受金具の機能と雪止機能を有しているので、太陽電池パネル5を屋根面部材2の軒先側縁部上まで配設することができる。このため、既存の太陽光発電のモジュール(太陽電池パネル5)を大きくして、太陽電池パネル5の設置面積を増やすことができる。
(2)この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)において、前記軒先受金具部(B,D)には、前記太陽電池パネル5の軒先側縁部5Aおよび前記屋根面部材2の前記軒先縁部2aをカバーする軒先カバー18又は樋17、若しくは樋用ヒータ、或いは太陽電池ケーブルが軒先部材として取り付けられる。
(3)この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)において、前記雪止め部(雪止板部10,雪止め部C)と前記軒先受金具部(B,D)が同一の前記取付部(取付板部9,35)に連接されている。
【0046】
この構成によれば、前記雪止め部(雪止板部10,雪止め部C)と前記軒先受金具部(B,D)を簡易に形成できる。
(4)また、この発明の実施の形態の雪止保持部材(8.30)は、前記雪止め部(雪止板部10,雪止め部C)の上端部(上端部10a,雪止板部33)が前記軒先受金具部(B,D)より上方に突出している。
【0047】
この構成によれば、実質的な雪止め部の上端部(上端部10a,雪止板部33)以外の部分は、軒先受金具部(B,D)に取り付けられた軒先カバー18によりカバーされるので、屋根面部材2および太陽電池パネル5の軒先縁部および雪止部材の下部側が見栄えを損なうのを防止できる。
(5)更に、この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)において、前記軒先受金具部(B,D)は前記屋根面部材2の屋根面と同方向に傾斜させられた軒先部材取付面を有する。
【0048】
この構成によれば、軒先カバー18の軒先部材取付面(上面13a,31c)に取り付けられる部分(上カバー板部19a)が屋根面部材2の屋根面と同方向に傾斜するので、軒先カバー18と屋根面部材2とのデザイン状の一体感が得られる。
(6)更に、この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)において、前記取付部は前記屋根面部材2の軒先縁部2a及び前記太陽電池パネル5の軒先側縁部5aに沿って延びる取付板部9であり、前記雪止め部は前記取付板部9に沿って延び且つ前記取付板部9の軒先側縁部から起立する雪止板部10である。また、前記取付板部9は長手方向両端部に設けられ且つ前記雪止板部10より軒先側に延設されて前記軒先縁部2aから突出する延設板部11,11を有する。更に、前記軒先受金具部Bは、前記延設板部11,11の軒先側縁部から起立する起立板部12と、前記起立板部12の上端から前記雪止板部10の側縁まで延び且つ前記軒先部材取付面(13a)を有する軒先部材受板部13を備えている。
【0049】
この構成によれば、軒先受金具部Bの重量を必要最小限に抑えることができるので、雪止部材全体の重量を少なくできる。
(7)この発明の実施の形態の雪止保持部材(8,30)において、前記取付部は前記屋根面部材2の軒先縁部2aおよび前記太陽電池パネル5の軒先縁部5aに沿う方向に間隔をおいて設けられた一対の取付板部35,35である。また、前記軒先受金具部Dは、前記一対の取付板部35,35から起立する一対の脚部34,34と、前記屋根面部材2の軒先縁部2aおよび前記太陽電池パネル5の軒先縁部5aに沿って延び且つ前記一対の脚部35,35の上端部を連設していると共に、上面31cが前記軒先部材取付面である雪止形成板部31と、を備えている。更に、前記雪止め部Cは前記雪止形成板部31の前記太陽電池パネル5側の縁部に沿って設けられた雪止板部33を有する。
【0050】
この構成によれば、雪止部材の雪止形成板部3,脚部34,34,取付板部35,35等を軒先カバー19により確実にカバーできる。
(8)更に、この発明の実施の形態の太陽電池屋根構造は、太陽電池パネル本体6の周囲にパネル支持枠(フレーム7)を装着した太陽電池パネル5が設けられ、前記太陽電池パネル5が傾斜する屋根面部材2の上面部に設けられていると共に、雪止保持部材(8,30)が前記屋根面部材2に直接取り付けられ、前記雪止保持部材8に軒先化粧材(軒先カバー18)が直接固定されている。
【0051】
この構成によれば、雪止保持部材(8,30)と同様な効果を有する。
【符号の説明】
【0052】
1 建物
2 屋根面部材
2a 軒先側縁部
2a1 軒先下縁
3 屋根面部材
5 太陽電池パネル(太陽電池モジュール)
6 太陽電池パネル本体
7 フレーム(パネル支持枠)
8 雪止保持部材
9 取付板部
10 雪止板部(雪止め部)
10a 上端部
11 延設板部
B 軒先受金具部
12 起立板部
13 軒先部材受板部
13a 上面(軒先部材取付面)
18 軒先カバー(軒先化粧材、軒先部材)
19 軒先カバー部材(軒先部材)
30 雪止保持部材
C 雪止め部
D 軒先受金具部
31 雪止形成板部
31c 上面(軒先部材取付面)
33 雪止板部
35 取付板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13