(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193068
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】両回転型二連内接ギヤポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 11/00 20060101AFI20170828BHJP
F04C 14/02 20060101ALI20170828BHJP
F04C 14/24 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
F04C11/00 C
F04C14/02
F04C14/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-195954(P2013-195954)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59566(P2015-59566A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 経博
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−191754(JP,A)
【文献】
実開昭55−172684(JP,U)
【文献】
特開2003−336583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00
F04C 14/02
F04C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両方向に駆動可能な駆動軸に回転一体に設けられた第1及び第2インナーギヤと、
上記第1及び第2インナーギヤの周方向一部にそれぞれ噛み合うように第1及び第2アウターギヤをそれぞれ配置した両回転型二連内接ギヤポンプにおいて、
上記第1インナーギヤ及び上記第1アウターギヤで構成された第1ポンプと、上記第2インナーギヤ及び上記第2アウターギヤで構成された第2ポンプとの間にミドルフランジが配置されており、
上記ミドルフランジには、
該ミドルフランジ内の作動油を出し入れする第1吐出吸込ポート及び第2吐出吸込ポートと、
上記第1ポンプで吐出された作動油及び上記第2ポンプで吐出された作動油を合流させる低圧大流量運転と、上記第1ポンプで吐出した作動油を上記第2ポンプの吸込側に導いて該第2ポンプでさらに昇圧させる高圧小流量運転とを切り換える切換弁と、
上記第1吐出吸込ポートと第2吐出吸込ポートとの間での作動油の過不足を調整する過不足調整バルブと、
上記過不足調整バルブと上記切換弁とをつなぐ流路とが設けられており、
上記切換弁は、上記低圧大流量運転と上記高圧小流量運転とを上記第1ポンプ及び上記第2ポンプの正回転時にのみ切換可能に構成されている
ことを特徴とする両回転型二連内接ギヤポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の両回転型二連内接ギヤポンプにおいて、
上記ミドルフランジには、タンクポートが形成され、該ミドルフランジ内で該タンクポートに上記切換弁及び上記過不足調整バルブが連通可能となっており、
上記低圧大流量運転において、上記第1吐出吸込ポートの流量と、上記第2吐出吸込ポートの流量との比が2:1であり、上記過不足調整バルブを介さずにタンクから作動油を補充可能に構成されると共に、
上記高圧小流量運転において、内部リーク分のみを上記過不足調整バルブで補充可能に構成されている
ことを特徴とする両回転型二連内接ギヤポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の両回転型二連内接ギヤポンプにおいて、
上記ミドルフランジには、タンクポートが形成され、該ミドルフランジを介して上記第1ポンプ及び第2ポンプと、上記第1吐出吸込ポート、上記第2吐出吸込ポート又は上記タンクポートとが連通するようになっている
ことを特徴とする両回転型二連内接ギヤポンプ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の両回転型二連内接ギヤポンプにおいて、
上記切換弁は、上記ミドルフランジ内に内蔵されたスプール弁であり、上記第2ポンプからの作動油を上記ミドルフランジ内に形成したパイロット流路を介して作動させることにより、上記第1ポンプ及び上記第2ポンプの正回転時にのみ上記低圧大流量運転と上記高圧小流量運転とを切換可能に構成されている
ことを特徴とする両回転型二連内接ギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両方向に駆動可能な駆動軸に回転一体に設けられた第1及び第2インナーギヤと、これら第1及び第2インナーギヤの周方向一部にそれぞれ噛み合うように第1及び第2アウターギヤをそれぞれ配置した両回転型二連内接ギヤポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1の可変容量ギヤポンプのように、互いに噛合する主駆動ギヤと主従動ギヤを有する主ギヤポンプ部と、互いに噛合する副駆動ギヤと副従動ギヤを有する副ギヤポンプ部と、主ギヤポンプ部及び副ギヤポンプ部の各吸入側空間部と連通する吸入流路と、主ギヤポンプ部及び副ギヤポンプ部の各吐出側空間部と連通する吐出流路と、副ギヤポンプ部の吐出側空間部へ吐出される作動油を吸入流路へ戻すバイパス流路と、主ギヤポンプ部の吐出側空間部へ吐出される作動油の副ギヤポンプ部の吐出側空間部への流入を防止する逆止弁と、バイパス流路を開閉する開閉弁とを有する可変容量ギヤポンプが知られている。この可変容量ギヤポンプでは、主ギヤポンプ部から吐出される作動油のみを供給する低容量運転と、副ギヤポンプ部により吐出される作動油を主ギヤポンプ部が吐出する作動油に加算して吐出する高容量運転とを切換可能に構成している。この可変容量ギヤポンプでは、電磁弁を設けなくても、圧力差から荷役時と非荷役時とで吐出量調整をすることができるが、主ギヤポンプ又は副ギヤポンプ自体の吐出圧で最高使用圧力が決まるので、低い吐出圧でよい場合には、低いレベルの運転となり無駄が発生する。
【0003】
また、例えば特許文献2のように、ケーシング内に駆動ギヤ及び駆動ギヤと噛み合う2つの従動ギヤを収容して、2系統のポンプとして作動する二重ギヤポンプが知られている。この二重ギヤポンプでは、一方の系統のポンプの吐出側をこのポンプの吸込側に接続するアンロード流路を設け、このアンロード流路を開閉する弁手段を設けている。この二重ギヤポンプでは、吐出側の圧力に応じ、低圧時に吐出容量を大きくし、高圧時に吐出容量を小さくしている。しかしながら、差圧弁やそれにつながる流路を配管しなければならず、コンパクトな構造とすることができない。
【0004】
一方、特許文献3の低高圧切換ポンプのように同じ吐出量の2個の内接歯車装置と電磁方向切換弁とを連設して組み立てるものが知られている。この低高圧切換ポンプでは、電磁方向切換弁及びそれにつながる流路を一体に設けてコンパクトな構造を実現している。
【0005】
なお、特許文献4のように、油圧回路内の作動油の過不足を調整する可逆式油圧ポンプ用逆止弁が知られている。また、特許文献5のように、逆流防止弁を用いた単独の両回転用内接ギヤポンプは知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−191754号公報
【特許文献2】特開2002−70757号公報(特に
図6)
【特許文献3】実開昭55−172684号公報(特に
図1及び
図3)
【特許文献4】実開昭54−43602号公報(特に
図2)
【特許文献5】特開2004−308547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3のギヤポンプでは、駆動軸を両回転させることは考慮されていない。特許文献5のように単独の内接ギヤポンプでは両回転可能に構成したものがあるが、二連のギヤポンプとなると、特許文献3の
図3に概略的に示すように一体に切換弁や流路を設けることは容易ではない。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトな構造で低高圧切換可能な両回転型二連内接ギヤポンプを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、一対のポンプ間のミドルフランジに切換弁と流路とを一体に設けた。
【0010】
具体的には、第1の発明では、両方向に駆動可能な駆動軸に回転一体に設けられた第1及び第2インナーギヤと、
上記第1及び第2インナーギヤの周方向一部にそれぞれ噛み合うように第1及び第2アウターギヤをそれぞれ配置した両回転型二連内接ギヤポンプを前提とする。
【0011】
そして、上記両回転型二連内接ギヤポンプは、
上記第1インナーギヤ及び上記第1アウターギヤで構成された第1ポンプと、上記第2インナーギヤ及び上記第2アウターギヤで構成された第2ポンプとの間にミドルフランジが配置されており、
上記ミドルフランジには、
該ミドルフランジ内の作動油を出し入れする第1吐出吸込ポート及び第2吐出吸込ポートと、
上記第1ポンプで吐出された作動油及び上記第2ポンプで吐出された作動油を合流させる低圧大流量運転と、上記第1ポンプで吐出した作動油を上記第2ポンプの吸込側に導いて該第2ポンプでさらに昇圧させる高圧小流量運転とを切り換える切換弁と、
上記第1吐出吸込ポートと第2吐出吸込ポートとの間での作動油の過不足を調整する過不足調整バルブと、
上記過不足調整バルブと上記切換弁とをつなぐ流路とが設けられて
おり、
上記切換弁は、上記低圧大流量運転と上記高圧小流量運転とを上記第1ポンプ及び上記第2ポンプの正回転時にのみ切換可能に構成されている。
【0012】
上記の構成によると、
第1ポンプ及び第2ポンプの正回転時にそれぞれのポンプから吐出した作動油を合算する低圧大流量運転に対し、高圧小流量運転では第1ポンプで吐出した作動油を第2ポンプの吸込側に導いて第2ポンプでさらに昇圧させる2段昇圧を行っているので、最高使用圧力へ昇圧するために必要な圧力差を、第1ポンプ及び第2ポンプのそれぞれで均等負担することとなり、圧力差に伴い増加するリーク量を極力減らすことが可能となる。これにより、必要な吐出流量にあわせるために吐出量が半分になるだけではなく、容積効率の向上も同時に実現するので、無駄が発生しない。また、油圧システム内での作動油の過不足を調整する過不足調整バルブや切換弁をミドルフランジ内に設けたので、油圧配管の接続をする必要がなく、また設置スペースを確保する必要がない。このため、コンパクトで保守が容易な構造となる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ミドルフランジには、タンクポートが形成され、該ミドルフランジ内で該タンクポートに上記切換弁及び上記過不足調整バルブが連通可能となっており、
上記低圧大流量運転において、上記第1吐出吸込ポートの流量と、上記第2吐出吸込ポートの流量との比が2:1であり、上記過不足調整バルブを介さずにタンクから作動油を補充可能に構成されると共に、
上記高圧小流量運転において、内部リーク分のみを上記過不足調整バルブで補充可能に構成されている。
【0014】
上記の構成によると、特にヘッド側とロッド側との面積比が2:1のようなシリンダを伸縮させる油圧システムの場合では、ミドルフランジ内で低圧大流量運転時に過不足調整バルブを介さずにタンクから作動油の不足分を補充できるので、過不足調整バルブのサイズを小さくすることができ、ミドルフランジ内の配置が格段に容易となる。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記ミドルフランジには、タンクポートが形成され、該ミドルフランジを介して上記第1ポンプ及び第2ポンプと、上記第1吐出吸込ポート、上記第2吐出吸込ポート又は上記タンクポートとが連通するようになっている。
【0016】
上記の構成によると、外部と接続するためのポートがミドルフランジに集まっているので、特許文献3のような外ケースを設ける必要がなく、かつ配管が極めて容易である。
【0017】
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記切換弁は、上記ミドルフランジ内に内蔵されたスプール弁であり、上記第2ポンプからの作動油を上記ミドルフランジ内に形成したパイロット流路を介して作動させることにより、
上記第1ポンプ及び上記第2ポンプの正回転時にのみ上記低圧大流量運転と上記高圧小流量運転とを切換可能に構成されている。
【0018】
上記の構成によると、運転切換のために油圧センサや電磁弁を設ける必要がなくなって構造がさらに簡単になると共に、切換のための特別な制御を必要としない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、ミドルフランジに
第1ポンプ及び第2ポンプの正回転時にのみ低圧大流量運転と高圧小流量運転とを切り換える切換弁、作動油の過不足を調整する過不足調整バルブ及び流路を内蔵したことにより、低高圧切換可能な両回転型二連内接ギヤポンプをコンパクトな構造で設置が容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態1に係る両回転型二連内接ギヤポンプを有する油圧システムを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る両回転型二連内接ギヤポンプを有する油圧システムを示す油圧回路図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る両回転型二連内接ギヤポンプを示す断面図である。
【
図4】
図3のIV−IV線断面図であり、ミドルフランジ部に関しては、構造レイアウトを把握するため、各部材・流路の詳細を示したIV−IV線矢視からの透過図である。
【
図6】低圧大流量運転のときの作動油の流れを示す
図1相当図である。
【
図7】高圧小流量運転のときの作動油の流れを示す
図1相当図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る両回転型二連内接ギヤポンプを有する油圧システムを示す
図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の両回転型二連内接ギヤポンプ1(以下、二連内接ギヤポンプ1という)を有する油圧システム2の概略を示す。
図2は、この油圧システム2の油圧回路図である。この二連内接ギヤポンプ1は、両方向に駆動可能な駆動軸3を有し、この駆動軸3が例えば電動モータ4に連結されている。詳しくは説明しないが、この電動モータ4は、サーボモータ等特に限定されず、回転数、回転トルク等を自由に制御可能となっている。二連内接ギヤポンプ1は、後述するミドルフランジ12に第1吐出吸込ポートA、第2吐出吸込ポートB及びタンクポートTを有し、油圧配管によって第1吐出吸込ポートAが油圧シリンダ5のヘッド側に接続され、第2吐出吸込ポートBが油圧シリンダ5のロッド側に接続されている。またタンクポートTが油タンク15に接続されている。本実施形態では、例えば油圧シリンダ5をプレス機械のプレスシリンダとし、油圧シリンダ5のヘッド側の面積とロッド側との面積との比が2:1となっている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、二連内接ギヤポンプ1は、1本の駆動軸3にキー結合等により回転一体に設けられた第1及び第2インナーギヤ6,7を備えている。これら第1及び第2インナーギヤ6,7の周方向一部には、第1及び第2アウターギヤ8,9がそれぞれ相互に偏心した状態で噛み合った状態で、第1及び第2ポンプケーシング10a,11a内のギヤ収容空間10b,11bに内蔵されている。第1インナーギヤ6、第1アウターギヤ8及び第1ポンプケーシング10aで第1ポンプ10が構成され、第2インナーギヤ7、第2アウターギヤ9及び第2ポンプケーシング11aで第2ポンプ11が構成されている。本実施形態では、第1ポンプ10と第2ポンプ11とは、同じ吐出量となっている。第1ポンプ10の第1ポンプケーシング10aにポンプポートP1A,P1Bが形成され、第2ポンプ11の第2ポンプケーシング11aにポンプポートP2A,P2Bが形成されている。これらのポンプポートP1A,P1B,P2A,P2Bは、第1ポンプ10と第2ポンプ11との間に配置されたミドルフランジ12の対応するポートに連通している。
【0024】
このミドルフランジ12には、切換弁としてのスプール弁13が内蔵されている。スプール弁13は、ミドルフランジ12内に形成した流路により、第1ポンプ10及び第2ポンプ11のポンプポートP1A,P1B,P2A,P2Bにそれぞれ連通するポンプポートP1A,P1B,P2A,P2Bを有している。また、スプール弁13は、ミドルフランジ12内に形成した流路により、油圧シリンダ5及び油タンク15にそれぞれ連通するポートA,B,Tを有している。さらに、ミドルフランジ12内には、
図1に示すように、第2ポンプ11のポンプポートP2Aに連通するパイロット流路13aが形成されている。パイロット流路13a内にスプール弁13のバネ13bに押し勝つ圧力が発生すると、スプール弁13が移動するようになっている。このことで、スプール弁13により、第1ポンプ10で吐出された作動油及び第2ポンプ11で吐出された作動油を合流させる低圧大流量運転と、第1ポンプ10で吐出した作動油を第2ポンプ11の吸込側に導いて第2ポンプ11でさらに昇圧させる高圧小流量運転とを切り換えるように構成されている。
【0025】
また、ミドルフランジ12には、第1吐出吸込ポートA及び第2吐出吸込ポートBが形成されると共に、この第1吐出吸込ポートAと第2吐出吸込ポートBとの間での作動油の過不足を調整する過不足調整バルブ14が内蔵されている。さらにミドルフランジ12内には、過不足調整バルブ14とスプール弁13とをつなぐ流路が形成されている。
【0026】
図3に示すように、第1ポンプケーシング10aには、第1アウターギヤ8摺接部の焼付きを防止するために、1組の潤滑機構21A,21Bが第1アウターギヤ8の外周側に位置して設けられている。1組の潤滑機構21A,21Bは、円形のギヤ収容空間10bを挟む対称位置にあり、ポンプポートP1A,P1Bにそれぞれ対応している。同様に第2ポンプケーシング11aにも、第2アウターギヤ9の摺接部の焼付きを防止するために、1組の潤滑機構22A,22Bが第2アウターギヤ9の外周側に位置して設けられている。1組の潤滑機構22A,22Bは、円形のギヤ収容空間11bを挟む対称位置にあり、ポンプポートP2A,P2Bにそれぞれ対応している。潤滑機構21A,21B,22A,22Bの各構造は実質的に同一であるので、ポンプポートP1Aに対応する潤滑機構21Aについて構造を詳しく説明する。
【0027】
潤滑機構21Aは、
図3及び
図5に示すように、第1アウターギヤ8の外周面の摺接部とポンプポートP1Aとをつなぐ分流用の細い流路23と、流路23内に設けられた逆流防止弁24とを有している。流路23は、ギヤ収容空間10bの外周側に設けられた軸方向の第1直線部23aと、第1直線部23aからギヤ収容空間10bに向けて斜めに伸びる傾斜部23bと、第1直線部23aに直角に交差する半径方向の第2直線部23cと、第2直線部23cからギヤ収容空間10bに向けて伸びる軸方向の第3直線部23dとからなり、流路23の一端は第1アウターギヤ8の外周面に対向するギヤ収容空間10bの周面に開口している。また、流路23の他端は、ギヤ収容空間10bを囲むミドルフランジ12端面の、ポンプポートP1Aに対向する位置に開口している。なお、プラグ25は第1直線部23aの一端を閉塞する役割を果たしている。
【0028】
逆流防止弁24は、第1直線部23a内に配置されたチェック弁であり、スプリング24aによりボール24bを僅かな圧力でポート側へ押圧してシート部へ押し付ける構成になっている。この構成により、ポンプポートP1Aが正圧のとき(厳密には逆流防止弁24の作動圧以上のとき)、すなわち吐出状態のときは、逆流防止弁24が開き、流路23内をポンプポートP1Aの側から第1アウターギヤ8の外周面の側へ作動流体が流れる。ポンプポートP1Aが負圧のとき(厳密には逆流防止弁24の作動圧未満のとき)、すなわち吸込状態のときは、逆流防止弁24が閉じ、流路23内を第1アウターギヤ8の外周面の側からポンプポートP1Aの側への作動流体の逆流が阻止されるようになっている。そして、潤滑機構21A,21B,22A,22Bの逆流防止弁24の作用により、駆動軸3を両回転させても潤滑油が欠乏しないようになっている。また、これら潤滑機構21A,21B,22A,22Bは、第1及び第2ポンプケーシング10a,11a内にコンパクトに内蔵されているので、両回転とするために二連内接ギヤポンプ1に別途部品を設けたり、特別な配管をつなぐ必要がなく、非常にコンパクトな構造を実現している。
【0029】
次に、本実施形態に係る二連内接ギヤポンプ1の作動について説明する。
【0030】
図6は、低圧大流量運転時の作動油の流れを示す。油圧シリンダ5を伸長させるときには、速いスピードで伸長させる必要があり、また、通常、負荷がかからないことが多く、低圧大流量運転が適している。このとき、油圧シリンダ5の反力は小さく、パイロット流路13a内にはバネ13bに打ち勝つ圧力は発生せず、スプール弁13は、中立位置にある。
【0031】
電動モータ4の回転数及び回転方向に合わせて駆動軸3が正回転する。それにより、第1及び第2ポンプ10,11が同じ回転数で正回転し、それぞれ同じ吐出量Qの作動油を吐出する。
【0032】
第1及び第2ポンプ10,11から吐出された作動油は、ポンプポートP1A,P2Aからミドルフランジ12内に入り、スプール弁13を通って第1吐出吸込ポートAから吐出され、油圧シリンダ5のヘッド側へ2Qの作動油が供給されてロッドが伸長する。
【0033】
ロッド側の面積は、ヘッド側に対して1/2なので、ロッド側からQの作動油が押し出され、ミドルフランジ12の第2吐出吸込ポートBに戻って第1ポンプ10のポンプポートP1Bに供給される。第1及び第2ポンプ10,11は、合計2Qの作動油を吐出していることから、作動油Qが不足するので、油タンク15からミドルフランジ12のタンクポートTを通って作動油が補充され、スプール弁13を通って第2ポンプ11のポンプポートP2Bに供給される。このとき、油タンク15から補充される作動油は、過不足調整バルブ14を通らないので、過不足調整バルブ14は、大容量の作動油を通過させる必要がなく、そのサイズを小さくすることができる。このことは、ミドルフランジ12のコンパクト化に役立つ。
【0034】
図7に示すように、油圧シリンダ5のロッドが伸長して例えばプレス対象のワークWに当接すると、油圧シリンダ5のヘッド側の圧力が上昇する。この状態で所定時間保持される。
【0035】
すると、パイロット流路13a内の圧力も上昇しバネ13bを押し縮めるように、スプール弁13が
図7の左側へ移動し、作動油の流れが自動的に高圧小流量運転に切り換わる。
【0036】
すなわち、第1ポンプ10からの作動油は、ポンプポートP1Aからミドルフランジ12内のスプール弁13を通って第2ポンプ11のポンプポートP2Bに供給され、第2ポンプ11でさらに昇圧されてミドルフランジ12のポンプポートP2Aに供給され、スプール弁13を通って第1吐出吸込ポートAから油圧シリンダ5のヘッド側へ供給され、2段昇圧された高い圧力でワークWがプレスされる。このとき、実質的にロッドは伸長されないので、油圧シリンダ5のロッド側からの作動油の戻り量は、ほぼ0となっている。第1及び第2ポンプ10,11等で作動油のリークがあれば、
図7で破線で示すように、その分だけ過不足調整バルブ14から作動油が補充され第2吐出吸込ポートBからミドルフランジ12内のスプール弁13を通って第1ポンプ10のポンプポートP1Bに供給される。この高圧小流量運転は、電動モータ4を停止することで終了する。
【0037】
一方、所定時間だけ油圧シリンダ5を維持した後、電動モータ4を逆回転させると、作動油の流れは逆となる。本実施形態では、第1及び第2ポンプ10,11に潤滑機構21A,21B,22A,22Bを設けているので、逆回転させた場合でも潤滑油が不足せず、第1及び第2ポンプ10,11が焼き付くのを防止することができる。
【0038】
本実施形態では、このように、スプール弁13をミドルフランジ12内に内蔵し、第2ポンプ11からの作動油をミドルフランジ12内に形成したパイロット流路13aを介して作動させることにより、低圧大流量運転と高圧小流量運転とを切換可能に構成したので、運転切換のために油圧センサや電磁弁を設ける必要がなくなって構造がさらに簡単になると共に、切換のための特別な制御を必要としない。
【0039】
また、高圧小流量運転では、第1ポンプ10で吐出した作動油を第2ポンプ11の吸込
側に導いて第2ポンプ11でさらに昇圧させる2段昇圧を行っているので、最高使用圧力へ昇圧するために必要な圧力差を、第1ポンプ及び第2ポンプのそれぞれで均等負担することとなり、圧力差に伴い増加するリーク量を極力減らすことが可能となる。これにより、必要な吐出流量にあわせるために吐出量が半分になるだけではなく、容積効率の向上も同時に実現するので、無駄が発生しない。
【0040】
また、ミドルフランジ12にタンクポートTを形成し、ミドルフランジ12を介して第1ポンプ10及び第2ポンプ11と、第1吐出吸込ポートA、第2吐出吸込ポートB又はタンクポートTとが連通するようにしているので、外部と接続するためのポートがミドルフランジ12に集まって配管が極めて容易である。
【0041】
さらに、本実施形態のようにヘッド側とロッド側との面積比が2:1のような油圧シリンダ5を伸縮させる油圧システム2では、低圧大流量運転時に過不足調整バルブ14を介さずに油タンク15から作動油の不足分を補充できるので、過不足調整バルブ14のサイズを小さくすることができ、ミドルフランジ12内の配置が格段に容易となる。
【0042】
したがって、本実施形態では、低高圧切換可能な二連内接ギヤポンプ1をコンパクトな構造で設置が容易なものとすることができる。
【0043】
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2を示し、過不足調整バルブ14’の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、
図1〜
図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態では、ミドルフランジ12内でタンクポートTがスプール弁13に連通されず、過不足調整バルブ14’にのみ接続されている。
【0045】
このため、
図8に示すように、低圧大流量運転において油圧シリンダ5のヘッド側とロッド側とでの作動油の不足分を過不足調整バルブ14を介して供給している。このため、過不足調整バルブ14’は、上記実施形態1のように小型化することはできない。
【0046】
油圧シリンダ5のヘッド側とロッド側との体積比が2:1でない場合には本実施形態の適用が有利である。
【0047】
本実施形態では、過不足調整バルブ14’のサイズは上記実施形態1に比べて大きくなるが、上記実施形態1と同様にミドルフランジ12内にスプール弁13、過不足調整バルブ14’及び流路が形成されているので、別途油圧配管を必要とせず、コンパクトな構造となっている。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0049】
すなわち、上記各実施形態では、スプール弁13をパイロット流路13aを利用して自動的に作動させるようにしているが、このスプール弁13の代わりにミドルフランジ12内に電磁弁を設け、圧力センサやタイムスイッチ等による電子制御により高圧小流量運転と低圧大流量運転とを切り換えるようにしてもよい。
【0050】
上記各実施形態では、プレス機の油圧シリンダ5を例として説明しているが、それに限定されず、高圧小流量運転と低圧大流量運転との切換が必要な油圧システムであれば適用可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、流体として作動油を例に説明しているが、水など他の流体を流通させる二連内接ギヤポンプであってもよい。
【0052】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は、両方向に駆動可能な駆動軸に回転一体に設けられた第1及び第2インナーギヤと、これら第1及び第2インナーギヤの周方向一部にそれぞれ噛み合うように第1及び第2アウターギヤをそれぞれ配置した両回転型二連内接ギヤポンプについて有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 二連内接ギヤポンプ(両回転型二連内接ギヤポンプ)
2 油圧システム
3 駆動軸
4 電動モータ
5 油圧シリンダ
6 第1インナーギヤ
7 第2インナーギヤ
8 第1アウターギヤ
9 第2アウターギヤ
10 第1ポンプ
10a 第1ポンプケーシング
10b ギヤ収容空間
11 第2ポンプ
11a 第2ポンプケーシング
11b ギヤ収容空間
12 ミドルフランジ
13 スプール弁
13a パイロット流路
13b バネ
14,14’ 過不足調整バルブ
15 油タンク
21A,21B,22A,22B 潤滑機構
23 流路
23a 第1直線部
23b 傾斜部
23c 第2直線部
23d 第3直線部
24 逆流防止弁
24a スプリング
24b ボール
25 プラグ
P1A,P1B,P2A,P2B (ポンプ)ポート
T (タンク)ポート
A 第1吐出吸込ポート
B 第2吐出吸込ポート