(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193071
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】DCモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 13/14 20060101AFI20170828BHJP
H02K 13/00 20060101ALI20170828BHJP
H02K 23/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
H02K13/14
H02K13/00 U
H02K23/04
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-201019(P2013-201019)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-70658(P2015-70658A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001340
【氏名又は名称】マーレエレクトリックドライブズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松川 芳生
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 政彦
(72)【発明者】
【氏名】植松 拓
(72)【発明者】
【氏名】山先 剛
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩志
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−023434(JP,A)
【文献】
特開2012−138994(JP,A)
【文献】
特開2012−044814(JP,A)
【文献】
特開2012−070512(JP,A)
【文献】
国際公開第01/039354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨークの内周側に永久磁石を配置し、この永久磁石に対向するように巻線および積層鋼板を有する電機子が設けられ、前記電機子に導通するブラシを備えたDCモータにおいて、
前記ブラシを保持するブラシホルダが取り付けられた絶縁体のブラシプレートと、このブラシプレートと組み合わされて前記ヨークの開放部側を覆う導電性のメタルカバーとを設け、前記ブラシプレートが前記電機子に対向する面側にチョークコイルを、前記ブラシプレートが前記メタルカバーと組み合わされる面側に設けた溝にコンデンサをそれぞれ設け、前記コンデンサは一方のリード線が前記チョークコイルに電気的に接続されており、他方のリード線は絶縁耐圧試験後に前記メタルカバーに電気的に接続可能に設けられていることを特徴とするDCモータ。
【請求項2】
前記電機子は4極6スロットに構成されており、前記ブラシは前記ブラシプレート上にほぼ90度のピッチで2個配置されていることを特徴とする請求項1に記載のDCモータ。
【請求項3】
前記チョークコイルは、前記ブラシの間であって周方向間隔が広い側にほぼ対称形に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のDCモータ。
【請求項4】
前記コンデンサは2個設けられており、前記コンデンサと前記チョークコイルは、前記ブラシプレートを挟んで配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載のDCモータ。
【請求項5】
前記ブラシプレート上であって前記コンデンサを収容する前記溝の近傍に突起を設け、前記コンデンサの前記メタルカバーとの接続側のリード線をこの突起の上面に配置するとともに前記リード線の形状を、クランク形状としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDCモータ。
【請求項6】
前記コンデンサと前記チョークコイルとを電気的に接続するインサートターミナルを前記ブラシプレートと前記メタルカバー間に配置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のDCモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDCモータに係り、特に車両に用いて好適なブラシ付きDCモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のDCモータの例が、特許文献1ないし特許文献3に記載されている。これらの公報に記載のDCモータでは、有底円筒状に形成された金属製のヨーク内に永久磁石を有するステータを保持し、このステータに対向して回転磁界を発生する巻線型のロータを配置し、有底円筒状のヨークにブラシホルダを介して平板状の蓋部材を当接させている。
【0003】
より詳細には特許文献1に記載の回転電機では、電動モータのヨークの開口を、給電ユニットのブラシホルダで塞いでいる。ブラシホルダ上には、ブラシに接続された一対の給電ターミナルがアウトサート成形により、固定されている。ブラシホルダ上の入力側固定柱とブラシ側固定柱との間には所定間隔が形成されており、給電ターミナルに代えて、ブラシ側ターミナルと入力側ターミナルと、双方の間にチョークコイルとを取付け可能としている。
【0004】
また、特許文献2に記載の電動機では、ブラシホルダに、90度間隔で配置されたカーボンブラシの他に、電気ノイズを対策するため環状のフェライトコア及びコンデンサを各2個配置している。そしてフェライトコアの中心部に、カーボンブラシに給電する配線の露出した導体部分だけが位置するように、ブラシホルダ上に位置決めされている。
【0005】
さらに特許文献3に記載の小型モータでは、ケースの開口部を覆い、ケースとともに密閉状の円筒容器を形成するケース蓋の内面側に3個の空間を形成し、各空間にチップコンデンサを収納している。これにより直列接続された2個のコンデンサに並列に、3番目のコンデンサを接続することが可能になり、低周波帯域での電気ノイズの低減が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012―138994号公報
【特許文献2】特開2012―70512号公報
【特許文献3】国際公開第WO01/39354号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ブラシを有するDCモータでは、モータのブラシが発生するノイズを低減するために、モータの内部または外部にキャパシタンスとしてコンデンサあるいはインダクタンスとしてチョークコイルを設ける場合がある。そして、コンデンサとチョークコイルでLCフィルタ回路を形成すると、特に高周波のノイズを有効に低減できることが知られている。
【0008】
ところで、車載用のDCモータでは、車載用の他の電気部品への悪影響を除くために、ブラシで発生するノイズの許容値が厳しく定められている。この規制を、EMC(electric magnetic compatibility:電磁適合性)と呼び、例えばIEC規格として、国際的に規定されている。
【0009】
上記特許文献1では、電動機が発生するノイズを低減する素子の有無にかかわらず、電動機を小型化するために、ブラシホルダ上で、入力側固定柱とブラシ側固定柱の間を所定間隔とし、給電ターミナルとチョークコイルとを選択的に取り付け可能としている。しかしこの特許文献1では、ブラシで発生するノイズ対策のためにコンデンサを取り付けたときに、モータの絶縁耐圧試験によるコンデンサへの影響については考慮されていない。
【0010】
また、特許文献2では、電気ノイズ対策としてフェライトコアとコンデンサを使用し、これらの素子をブラシホルダ上面に配置している。また特許文献3では、ブラシホルダ上面にチップコンデンサを配置している。しかしながらこれら特許文献2、3においても、モータの絶縁耐圧試験によりコンデンサが影響されることについては考慮されていない。
【0011】
コンデンサを接続したままDCモータの絶縁耐圧試験をすると、負荷電圧が小さい場合でもコンデンサに流れる電流が発生するために、絶縁破壊電流との混同が生じる場合がある。また、負荷電圧を大電圧にすると、コンデンサの耐圧電圧を超えてしまってコンデンサを絶縁破壊する恐れがある。そのため、電動機の絶縁耐圧試験では、コンデンサを外した状態が望ましいが、コンデンサをブラシホルダに組み込んだ後では、コンデンサを外して絶縁耐圧試験を実行するのが難しい。この不具合を解消するために、絶縁耐圧試験後にコンデンサをブラシホルダに組み立てるようにすると、組立て工程の増加を招く。
【0012】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、車載用のDCモータの形状を大きくすることなく、DCモータの絶縁耐圧試験を容易かつ高信頼性で行えるようにすることにある。本発明の他の目的は、4極6スロットタイプのDCモータにおいて、ブラシで発生するノイズ対策としてチョークコイルとコンデンサを使用したときに、モータのフランジ面(メタルカバー表面)に電極以外の突起を形成することなくして、容易に絶縁耐圧試験を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の特徴は、ヨークの内周側に永久磁石を配置し、この永久磁石に対向するように巻線および積層鋼板を有する電機子が設けられ、前記電機子に導通するブラシを備えたDCモータにおいて、前記ブラシを保持するブラシホルダが取り付けられた絶縁体のブラシプレートと、このブラシプレートと組み合わされて前記ヨークの開放部側を覆う導電性のメタルカバーとを設け、前記ブラシプレートが前記電機子に対向する面側にチョークコイルを、前記ブラシプレートが前記メタルカバーと組み合わされる面側に設けた溝にコンデンサをそれぞれ設け、前記コンデンサは一方のリード線が前記チョークコイルに電気的に接続されており、他方のリード線は絶縁耐圧試験後に前記メタル
カバーに電気的に接続可能に設けられていることにある。
【0014】
そしてこの特徴において、前記電機子は4極6スロットに構成されており、前記ブラシは前記ブラシプレート上にほぼ90度のピッチで2個配置されているのがよく、前記チョークコイルは、前記ブラシの間であって周方向間隔が広い側にほぼ対称形に配置されていればさらによい。また、前記コンデンサは2個設けられており、前記コンデンサと前記チョークコイルとは前記ブラシプレートを挟んで配置されていることが望ましく、前記ブラシプレート上であって前記コンデンサを収容する前記溝の近傍に突起を設け、前記コンデンサの前記メタルカバーとの接続側のリード線をこの突起
の上面に配置するとともに前記リード線形状を、クランク形状とするのがよい。さらに、前記コンデンサと前記チョークコイルとを電気的に接続するインサートターミナルを前記ブラシプレートと前記メタルカバー間に配置するのがよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車載用DCモータにおいて、ブラシプレートのメタルカバーに対向する面側に溝を、メタルカバーにこの溝に対応した穴を設け、前記溝に電磁ノイズ対策用のコンデンサを収納し、コンデンサの一方のリード線はブラシプレートの背面側に配置したチョークコイルと電気的に接続し、コンデンサの他方のリード線は絶縁耐圧試験後にメタルカバーに電気的に接続したので、モータ形状を大きくすることなく、DCモータの絶縁耐圧試験を容易かつ信頼性高く行える。また、4極6スロットタイプのDCモータにおいて、モータのメタルカバー表面に電極以外の突起を形成することなくして、容易に絶縁耐圧試験を行える
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るDCモータの一実施例の外観斜視図である。
【
図3】
図1に示したDCモータが備えるメタルカバーの斜視図である。
【
図4】
図1に示したDCモータが備えるブラシプレートの斜視図である。
【
図5】
図4に示したブラシプレートの上面図である。
【
図6】
図4に示したブラシプレートの背面図である。
【
図7】
図4に示したブラシプレートの背面図であり、各部品を搭載前の図である。
【
図8】
図4に示したブラシプレートに搭載されるブラシホルダの斜視図である。
【
図9】
図4に示したブラシプレートに搭載されるインサートターミナルの斜視図である。
【
図10】
図4に示したブラシプレートに搭載されるコンデンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るDCモータの一実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、DCモータ100の一実施例の斜視図であり、被動部材との接続側を上面にして示した図である。
図2は、
図1に示したDCモータ100の縦断面図である。
【0018】
本実施例に係るDCモータ100は、ブラシ付きのDCモータである。プレス加工等により鉄板をほぼカップ状に形成したケース(ヨーク)12の内壁部には、このDCモータ100の界磁を構成し、環状に配置された永久磁石16が固定されている。ケース12と永久磁石16とは、DCモータ100の固定子を構成する。
【0019】
永久磁石16と対向して、電機子43が配置されている。電機子43は、型抜きした珪素鋼板等を積層して形成された積層鋼板(コア)41と、この積層鋼板41に形成された凸極に巻回された巻線42とを有している。なお、積層鋼板41の外表面側はモールド樹脂によりモールドされ、絶縁性を確保している。
【0020】
巻線42が巻回された積層鋼板41は、回転軸32に取り付けられ、回転軸32の回転に伴いDCモータ100の一端側に取り付けられたポンプ等の被動部材を回転駆動する。回転軸32の一方の端部は、ケース12の底部(
図2では左端部)の中央部にプレス加工等で形成したリア軸受保持部13に保持したリア転がり軸受34に支持されている。本実施例では、リア軸受保持部13は、ケース12の内側に凸の形状に形成されている。回転軸32の先端側には、本実施例ではギヤ35が取り付けられており、被動部材を減速または加速して駆動するのに用いられる。
【0021】
巻線42に電力を供給するために、回転軸32には整流子22が取り付けられている。2個のブラシ21が整流子22に、コイルばね57により付勢されている。ブラシ21は、ブラシプレート17に電気的に接続されている。ブラシ21が取り付けられていないブラシプレート17上に、チョークコイル55が配置されている。チョークコイル55は詳細を後述するように、ブラシプレート17の反対面に取り付けたコンデンサ50の一方のリード線53と端部で電気的に接続している。コンデンサ50は、メタルカバー18に電気的に接続される側のリード線52とチョークコイル55に電気的に接続されるリード線51と、コンデンサ本体50とから構成されている。
【0022】
ケース12の開口部は、メタルカバー18で覆われており、メタルカバー18はブラシプレート17に係合している。ブラシプレート17及びメタルカバー18の中央部には、フロント転がり軸受33を保持するために開口部59(
図7参照)が形成されており、この開口部59にはフロント軸受保持部14が接続されている。また、メタルカバー18のフロント軸受保持部14aは、ブラシプレート17に形成されたフロント軸受保持部14b(
図4参照)とともに、回転軸32に固定されたフロント転がり軸受33を保持する。ケース12の外周部にはフランジ11が形成されており、フランジ11に形成した被動部材との取付け孔11aにボルトを挿入して、DCモータ100を被動部材に取り付ける。
【0023】
図3に、鋼板等をプレス加工して製作する導電性のメタルカバー18の上面図を、斜視図で示す。
図3に示すように、メタルカバー18の上面側には、複数の穴65や溝61が形成されており、長孔状の溝61の下側には、ブラシプレート17に保持されてコンデンサ50が配置される。穴65は、メタルカバー18にブラシプレート17を位置決め固定するためのものであり、ブラシプレート17に形成された突起73(
図4参照)をこの孔65に嵌合させた後、熱を加えてブラシプレート17の突起を変形させて、メタルカバー18に固定する。溝62は、DCモータ100に電力を供給するための端子24用の溝であり、周方向ほぼ対称位置に設けられている。
【0024】
次に
図4ないし
図7を用いて、ブラシプレート17の一実施例を説明する。初めに、ブラシプレート17の上面の状態を説明する。
図4はブラシプレート17の斜視図であり、メタルカバー18と対向する面側を上面にした図である。
図5は、
図4の上面図である。
【0025】
本実施例のブラシプレート17は絶縁体であり、樹脂のインジェクション加工等により製作される。ブラシプレート17の上面側は、メタルカバー18に設けた複数の穴や溝に応じた形状になっている。すなわち、端子24を貫通させるための矩形状の溝が形成されたスリット付端子保持部71aと、このスリット付端子保持部71aよりも高さが低くスリット付端子保持部71a周りに形成され、メタルカバー18が取り付けられたときであっても絶縁距離を確保したベース部71bとからなる端子用突起71を、軸対称位置に2か所設けている。
【0026】
また、上記したようにメタルカバー18との係合を確保するため、上面の複数個所には円形の突起73が設けられている。さらに、コンデンサ50を安定して保持するために、コンデンサ本体51の大きさよりも深い溝深さを有するコンデンサ保持手段75cと、チョークコイル55との電気的接続のためにリード線53を通すコイル連結用穴75aと、コイル連結用穴75aとコンデンサ保持手段78cとの境に設けたリード線保持溝75bとでコンデンサ保持手段75を形成している。コンデンサ保持手段75の周囲部は、メタルカバー18に形成したコンデンサ用穴61に対応して、長円形状の突起縁であるコンデンサ用突起72を形成している。これらは、
図5において、端子24用突起71間を結ぶ線を基準に、この線よりも下側に略軸対称に配置されている。
【0027】
コンデンサ用突起72の近傍であって、コンデンサ50のリード線52が上面に載置される部分に、リード線52が延びる方向にほぼ直交する方向に延びるリード線保持用突起76が形成されている。リード線保持用突起76は、メタルカバー18の対応する位置に設けた突起と重なり合って、リード線52をメタルカバー18にスポット溶接等で接続する際に、発生する熱を集中させて溶接作業性を向上させるために設けている。
【0028】
次にブラシプレート17の背面の状態を、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は
図4の背面図であり、各種部品を搭載した図、
図7は同じく
図4の背面図であり各種部品を搭載する前のブラシプレート17単体の図である。
【0029】
端子24が貫挿するスリット71cが、中央の軸受保持孔59の左右両側に形成されている。このスリット71cを基準に、
図7で上側に略軸対称に詳細を後述するブラシホルダ係止用の溝17eが設けられている。ブラシホルダ用溝17eは、ブラシホルダ56の板厚と同程度の深さの溝で、ブラシホルダ17eを係止した状態では、ブラシプレート17の表面と同じ高さ位置になる。ブラシホルダ用溝17e内であって左右方向中央側および端子24用のスリット71cの近くには、突起17hが形成されている。この突起17hにブラシホルダ56に形成した穴を係止して、ブラシホルダ56をブラシプレート17に固定する。ブラシホルダ用溝17eよりも外周側には軸方向(
図6,7において紙面手前側)に延びるコイル保持用突起17bが設けられている。コイル保持用突起17bは、ブラシ21を整流子22に接触させるときに付勢力を得るコイルばねを保持するために設けている。
【0030】
図8に、ブラシホルダ56を斜視図で示す。図の下側が外周側で、
図8の上側が内周側、すなわちブラシ21が整流子22に当接する側である。ブラシホルダ56は、ブラシを収容する矩形のブラシ保持ボックス部91と、外周側に位置するピグテイル接続部94と、内周側に位置するコイル接続部92とを有している。コイル接続部92は、直角に折れ曲がったコイル接続板部92aを有し、このコイル接続板部92aにチョークコイル55のリード線55aが接続される。ピグテイル接続部94およびコイル接続部92にはそれぞれ孔94a、92bが形成されており、ブラシプレート17に形成した突起17hが嵌合する。そして、ブラシプレート17を加熱することにより突起17hが変形してブラシプレート17にブラシホルダ56が固定される。ブラシホルダ56のブラシ保持ボックス部91の一方の側面には、ブラシ21の摩耗に伴いブラシ21に取り付けたピグテイル21bが移動できるように、溝(図示せず)が形成されている。
【0031】
スリット71cよりも
図7で下側に、長方形状のコイル保持用溝17cが形成されている。コイル保持用溝は、チョークコイル55を内部に保持した場合に、対向する電機子43の巻線42と干渉しないように、掘り下げられている。このコイル保持用溝17dの周囲の3辺には、コイル保持用突起17cが設けられており、DCモータ100を自動車等に搭載した場合にチョークコイル55が振動や移動するのを防止する。
【0032】
図7においてハッチングで示したのは、ブラシプレート17の前面側(
図7では裏側)であってメタルカバー18との間に配置されるインサートターミナル80である。インサートターミナル80は、2つのブラシホルダ56が配置される部分を除くブラシプレート17の上面に軸対象に2個配置されており、
図7の下側ではわずかの隙間を持って位置している。このインサートターミナル80は、ブラシプレート17にインサートモールドされ、熱かしめした時にはすでにモールド内に保持されている。
【0033】
インサートターミナル80は、
図9に示すように、胴板を折り曲げた形状をしており、一端部に電源入力用の端子24が折れ曲げて形成されており、他端部には端子24と逆方向に折り曲げて、チョークコイル55のリード線55bを保持するコイルリード線支持部82が形成されている。なお、コイルリード線支持部82の近傍には、コンデンサ50の一方のリード線53が接続される接続部81が形成されている。接続部81と端子24間は、
図7に示すように、折れ曲がった平面を形成している。
【0034】
ブラシプレート17の背面側のコイル保持用溝17dの周囲部であって、コイル保持用突起17cが形成されていない部分の近傍には、溝17gが形成されている。この溝17gには、インサートターミナル80に形成した上記チョークコイル55のリード線55bを支持する支持部82が貫挿される。溝17gの近傍にはチョークコイル55のリード線をコンデンサ50のリード線53と電気的に接続するため、インサートターミナル80を露出させる孔17g及びそれに連接する溝が形成されている。孔17gの背面側にチョークコイル55のリード線55bを、孔17gの表面側にコンデンサ50のリード線53を接続することにより、両者は電気的に接続される。
【0035】
図10を用いて、コンデンサ50の接続について説明する。コンデンサ50はインサートターミナル80の接続部81に電気的に接続される側のリード線53がほぼ真っすぐな状態で接続された後、ブラシプレート17の表面側に設けた溝61に、一次的に保持される。この状態で、DCモータ100を組み立て、端子24間に通常使用する電圧よりも高圧の電圧を負荷して、絶縁耐圧試験を実施する。これにより、絶縁不良を抽出する。この時、コンデンサ50の他方のリード線52は、水平部52a、52c間にクランク部52bを形成しているので、メタルカバー18に触れて導通するのを防止される。
【0036】
絶縁耐圧試験後は、通常使用におけるノイズ除去回路であるRC回路を形成するよう、リード線52をメタルカバー18にスポット溶接等により溶接する。ここで、メタルカバー18のフランジ面よりもコンデンサ50のリード線52の高さ位置を低くしているので、コンデンサ50追加によりDCモータ100の軸方向長さが長くなるのを回避している。
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、ブラシプレートの背面側にほぼ90度の間隔でブラシを配置し、このブラシ間であって広い側に一対のチョークコイルを一部埋め込むように配置し、さらにブラシプレートの表面側に埋め込むようにコンデンサを配置して、その一方のリード線をチョークコイルに電気的に接続したので、DCモータを大型化することなく、ブラシで発生するノイズを低減するRC回路を形成できる。
【0038】
また、コンデンサの他方の端子を接続しない状態で絶縁耐圧試験を実施できるので、コンデンサを接続した結果付加した電荷がコンデンサに流れ込み、漏えい電流としてご検出される事態の発生を防止できる。絶縁試験後はDCモータの内部作業が無いので、外側でコンデンサの端子をメタルカバーに接続するだけであり、加工が容易でありかつ加工工数も少なくて済む。
【符号の説明】
【0039】
11…フランジ、11a…取付け孔、12…ケース(ヨーク)、13…リア軸受保持部、14〜14b…フロント軸受保持部、16…永久磁石、17…ブラシプレート、17b…ばね当接部材、17c…コイル保持用突起、17d…コイル保持用溝、17e…ブラシホルダ用溝、17f…ピグテイル止め、17g…コイルリード線支持部用溝、18…メタルカバー、21…ブラシ、21b…ピグテイル、22…整流子、24…端子、32…回転軸、33…フロント(転がり)軸受、34…リア(転がり)軸受、35…ギヤ、41…積層鋼板、42…巻線、43…電機子、50…コンデンサ、51…コンデンサ本体、52…リード線、52a…水平部、52b…曲がり部、52c…水平部、53…リード線、55…チョークコイル、55a、55b…リード線、56…ブラシホルダ、56a…コイル接続部、56b…ピグテイル接続部、57…ブラシばね、59…軸受保持孔、61…コンデンサ用穴、62…端子用穴、65…ブラシプレート固定用穴、71…端子用突起、71a…スリット付端子保持部、71b…ベース部、71c…スリット、72…コンデンサ用突起、73…メタルカバー係止部、75…コンデンサ保持手段、75a…コイル連結用穴、75b…リード線保持溝、75c…コンデンサ本体保持溝、76…リード線保持用突起、80…インサートターミナル、81…連接部、82…コイルリード線支持部、83…インサート部、91…ブラシ保持ボックス部、92…コイル接続部、92a…コイル接続板部、94…ピグテイル接続部、100…DCモータ。