特許第6193073号(P6193073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193073
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】メタルマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/14 20060101AFI20170828BHJP
   B41N 1/24 20060101ALI20170828BHJP
   C25D 1/00 20060101ALI20170828BHJP
   C25D 1/08 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B41C1/14
   B41N1/24
   C25D1/00 381
   C25D1/08
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-203396(P2013-203396)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66818(P2015-66818A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 良弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 貴士
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−328873(JP,A)
【文献】 特開2006−334957(JP,A)
【文献】 特開2004−025709(JP,A)
【文献】 特開平11−295877(JP,A)
【文献】 特開平09−169103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/14
B41N 1/24
C25D 1/00
C25D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体(2)に、所望の形状に形成された開口部(3)と、前記開口部(3)内に形成されたリブ部(4)と、前記リブ部(4)に形成された支柱部(5)とを備え、前記リブ部(4)の一面が前記マスク本体(2)の一面と面一になるように形成されるとともに、前記リブ部(4)の他面に形成された前記支柱部(5)の端面が前記マスク本体(2)の他面と面一になるように形成されたメタルマスクの製造方法において、
母型(40)の表面に、前記マスク本体(2)に対応する第1パターンレジスト(42)を形成する第1パターンレジスト形成工程と、
前記第1パターンレジスト(42)を用いて、前記母型(40)の表面に、第1金属層(43)を形成する第1金属層形成工程と、
前記第1パターンレジスト(42)を除去する第1パターンレジスト除去工程と、
前記母型(40)及び前記第1金属層(43)の表面に、前記支柱部(5)に対応する第2パターンレジスト(46)を形成する第2パターンレジスト形成工程と、
前記第2パターンレジスト(46)を用いて、前記第1金属層(43)の表面に、第2金属層(47)を形成する第2金属層形成工程と、
前記第2パターンレジスト(46)を除去する第2パターンレジスト除去工程とを有し、
前記第1パターンレジスト形成工程において、前記第1パターンレジスト(42)は、前記マスク本体(2)に形成される前記開口部(3)の形成箇所に対応するレジスト体(42a)を有し、前記レジスト体(42a)の形状寸法は、所望する前記開口部(3)の形状寸法より大きく形成することを特徴とするメタルマスクの製造方法。
【請求項2】
前記第2パターンレジスト形成工程は、
前記第1金属層(43)から露出する前記母型(40)の表面に、第2レジスト層(44)を形成する第2レジスト層形成工程と、
前記第1金属層(43)及び前記第2レジスト層(44)の表面に、第3レジスト層(45)を形成する第3レジスト層形成工程と、
前記第2レジスト層(44)及び前記第3レジスト層(45)を露光して現像する露光・現像工程とを有することを特徴とする請求項1に記載のメタルマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、ペースト、クリーム、ボールなどといった材料が挿通可能な開口部の周辺に支柱部を備えるメタルマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷用のメタルマスク(印刷用マスク)として、特許文献1が開示されている。係る特許文献1に記載のメタルマスクは、図7に示すように、メッシュ部101と、その周囲のメッシュ部101より厚い基盤部102からなり、メッシュ部101の下の空間部に橋桁状の支柱103が設けられている。係る構成のメタルマスクを使用して印刷を行えば、メッシュ部101の下の空間部に設けられた橋桁状の支柱103が支えとなるため、メッシュ部101がスキージ圧により、へこみ方向に変形することを防止できるので、均一な厚みでペーストを印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−328873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
係るメタルマスクは、エレクトロフォーミング法により作成することができる。具体的には、図8に示すように、導体210上に絶縁体(レジスト)により、所定のパターンレジスト(メッシュ部101の孔101aの部分)R1を形成した後、電気メッキを行い、その絶縁体を溶液で除去して、第1層目のメッキ膜211を形成する。さらに、この第1層目のメッキ膜211の上に、同様にして、絶縁体により、別のパターンレジスト(支柱103に相当する部分を除くメッシュ部101の下の空間部)R2を形成した後、電気メッキを行い、その絶縁体を溶液で除去して、第2層目のメッキ膜212を形成したものである。これらの第1層目及び第2層目のメッキ膜を一括して剥離し、上記のスクリーン印刷用刷版が作成される。この結果、支柱103は、メッシュ部101の下の空間部を形成するための第2層目のメッキ膜212形成時に同時に形成することができる。
【0005】
上記支柱103に対応する第2層目のメッキ膜212は、メッシュ部101に対応する第1層目のメッキ膜211の孔101aを除く位置に形成されなければならず、上記製造方法においては、第2層目のメッキ膜212を形成するために、第1層目のメッキ膜211上に、新たに別のパターンレジストR2を形成しているが、この別のパターンレジストR2を形成するにあたっては、孔101aのピッチが小さくなればなるほど、つまり、メッシュ部101(第1層目のメッキ膜211)の孔101aを除く部分が狭くなればなるほど困難であった。また、図9に示すように、基盤部102側の孔101aの内壁面が段差なくストレート状に形成された構成の場合、この部分に対応するメッキ膜211とメッキ膜212との位置が正確に合わさるように形成されなければならず、この点も困難であった。本願発明は、上記課題を解決することができるメタルマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マスク本体2に、所望の形状に形成された開口部3と、開口部3内に形成されたリブ部4と、リブ部4に形成された支柱部5とを備え、リブ部4の一面がマスク本体2の一面と面一になるように形成されるとともに、リブ部4の他面に形成された支柱部5の端面がマスク本体2の他面と面一になるように形成されたメタルマスクの製造方法である。係る製造方法は、母型の表面に、マスク本体に対応する第1パターンレジストを形成する第1パターンレジスト形成工程と、第1パターンレジストを用いて、母型の表面に、第1金属層を形成する第1金属層形成工程と、第1パターンレジストを除去する第1パターンレジスト除去工程と、母型及び第1金属層の表面に、支柱部に対応する第2パターンレジストを形成する第2パターンレジスト形成工程と、第2パターンレジストを用いて、第1金属層の表面に、第2金属層を形成する第2金属層形成工程と、第2パターンレジストを除去する第2パターンレジスト除去工程とを有する。第1パターンレジスト形成工程において、第1パターンレジストは、マスク本体2に形成される開口部3の形成箇所に対応するレジスト体を有し、該レジスト体の形状寸法は、所望する開口部3の形状寸法より大きく形成することを特徴とする。
【0007】
また、第2パターンレジスト形成工程は、第1金属層から露出する母型の表面に、第2レジスト層を形成する第2レジスト層形成工程と、第1金属層及び第2レジスト層の表面に、第3レジスト層を形成する第3レジスト層形成工程と、第2レジスト層及び第3レジスト層を露光して現像する露光・現像工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る製造方法によれば、容易且つ精度良くメタルマスクを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るメタルマスクの全体構成斜視図及び部分拡大平面図である。
図2】本発明に係るメタルマスクの部分断面図である。
図3】本発明に係るメタルマスクの製造方法の説明図である。
図4】本発明に係るメタルマスクの製造方法の説明図である。
図5】本発明に係る他のメタルマスクの製造方法の説明図である。
図6】本発明に係る他のメタルマスクの製造方法の説明図である。
図7】メタルマスクの断面図である。
図8】メタルマスクの製造方法の説明図である。
図9】メタルマスクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係るメタルマスクを示す。図1(a)は、本発明に係るメタルマスクの全体構成斜視図であり、図1(b)は、図1(a)における部分拡大平面図であり、図1(c)は、図1(b)を反対側から見た部分拡大裏面図である。このメタルマスク(以下、単にマスクと記す場合もある)1は、半田ペースト等の印刷物を印刷するための印刷用マスク、半田ボール等の搭載物を配列するための配列用マスクとして供されるものであって、ここでは、印刷用マスクとして以下説明する。図2は、図1(b)及び図1(c)における部分断面図であり、図2における符号7は、マスク1による半田ペースト等といった材料の印刷対象となるワークを示す。このワーク7にはウエハや基板があり、ワーク7の上面には、入出力端子である電極部が所定のパターンで形成されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、マスク1は、ニッケルやニッケル‐コバルト等のニッケル合金、銅やその他の金属を素材として形成されたマスク本体2に、所望形状の開口部3が形成されている。この開口部3は、図2に示すように、ワーク7上における電極部の形成位置に対応したパターンで配されている。開口部3の形状としては、四角状に限らず、その他多角形状や円形状、半円状、C状、曲線状としても良い。また、開口部3内の側面は、ストレート状に形成されている。
【0013】
マスク本体2には、枠体を装着することができる。この枠体は、例えば、アルミ、42アロイ、インバー材、SUS430等の材質からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク本体2に対応する一つの四角形状の開口を備えており、一枚のマスク本体2を一枚の枠体で保持している。枠体は、マスク本体2よりも肉厚の成形品であり、マスク本体2に枠体を装着する際には、マスク本体2の外周縁と不離一体的に接合される。
【0014】
マスク本体2(マスク1)の開口部3内には、半田ペースト等の印刷物の印刷量を調整するためのリブ部4が形成されている。リブ部4は開口部3内に自由に設定することができ、リブ部4の形状や本数、形成位置を設定することで、印刷量を細かく調整することができる。このリブ部4の配置形態としては、ライン状、ハニカム状、格子状、メッシュ状、放射状などがある。もちろん、リブ部4とリブ部4またはリブ部4と開口部3の周縁によって区画される形状は、四角状に限らず、三角状、六角状、その他多角形状、円形状であっても良い。
【0015】
開口部3内に形成されたリブ部4には、支柱部5が形成されている。詳しくは、リブ部4の一面4Aとは反対側の面となる他面4Bに支柱部5が突出形成されている。この支柱部5は、図2に示すように、印刷時のスキージ8による上からの押さえ力に対する支えとなり、開口部3の形成領域がへこみ方向に変形することを防ぐことができ、半田ペースト(印刷物)9を均一な厚みで印刷することができる。支柱部5の形状は、角柱状、円柱状等とすることができる。また、支柱部5の幅寸法(角柱状の場合は長辺の長さ、円柱状の場合は直径)は、リブ部4の幅寸法と同じかそれ以下であることが好ましい。
【0016】
リブ部4の厚さ寸法(T1)と支柱部5の高さ寸法(T2)とを足し合わせた寸法は、マスク本体2(メタルマスク1)の厚さ寸法(T3)と同寸法(T3=T1+T2)になるように設定されている。また、マスク本体2の一面(スキージ面)2Aがリブ部4の一面4Aと面一になるように形成され、マスク本体2の他面(印刷面)2Bが支柱部5の端面5Bと面一になるように形成されている。本実施形態のメタルマスク1は、リブ部4の形状、寸法(厚さや幅)、本数、形成位置と支柱部5の高さ寸法とを適宜設定することで、印刷量を適量に調整することができるとともに、均一な厚みの印刷物を得ることが可能となる。なお、マスク本体2(メタルマスク1)の厚さは、15μm以上が好ましく、ここでは、20μmに設定した。また、リブ部4の厚さは、5μm以上が好ましく、ここでは、10μmに設定し、支柱部5の高さは、5μm以上が好ましく、ここでは、10μmに設定した。
【0017】
次に、係る構成のメタルマスク1の製造方法を図3及び図4に示す。まず、図3(a)に示すごとく、導電性を有する、例えば、ステンレス製や真ちゅう鋼製の母型30の表面に第1レジスト層31を形成する。この第1レジスト層31は、例えば、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成する。
【0018】
ついで、第1レジスト層31の上に、マスク本体2に対応する透光孔を有するパターンフィルム(ガラスマスク)Aを密着させたのち、紫外光ランプで紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図3(b)に示すごとく、母型30の表面に、第1レジスト体32aを有する第1パターンレジスト32を形成する(第1パターンレジスト形成工程)。この時、紫外線が透過しにくいフォトレジストを用いたり、露光量を弱めたりして、第1パターンレジスト32にテーパを付けることができる。
【0019】
ついで、所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図3(c)に示すごとく、先の第1パターンレジスト32の高さの範囲内で、母型30の第1パターンレジスト32で覆われていない表面に、ニッケルや銅等の電着金属を電鋳して、第1金属層33を形成する(第1金属層形成工程)。
【0020】
ついで、図3(d)に示すごとく、第1パターンレジスト32を除去する(第1パターンレジスト除去工程)。ここで、第1金属層33の表面に研磨処理を施しておくと良い。
【0021】
ついで、図4(a)に示すごとく、母型30の第1金属層33で覆われていない表面に、第2レジスト層34を形成する(第2レジスト層形成工程)。この第2レジスト層34は、液状のレジストを、母型30及び第1金属層33の表面に供給し、母型30の第1金属層33で覆われていない表面に、第1金属層33の厚さまで塗り込み、不要なレジストを取り除くことで形成する。
【0022】
ついで、図4(b)に示すごとく、第1金属層33及び第2レジスト層34の表面に、第3レジスト層35を形成する(第3レジスト層形成工程)。この第3レジスト層35も、第1レジスト層31と同じように、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成すると良い。
【0023】
ついで、第3レジスト層35の上に、支柱部5に対応する透光孔を有するパターンフィルム(ガラスマスク)Bを密着させたのち、紫外光ランプで紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図4(c)に示すごとく、母型30及び第1金属層33の表面に、第2パターンレジスト36を形成する(第2パターンレジスト形成工程)。ここでは、第3レジスト層35を露光、現像することで、同時に第2レジスト層34も露光、現像されることになる(露光・現像工程)。
【0024】
ついで、所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図4(d)に示すごとく、第1金属層33の表面に、先の第2パターンレジスト36の高さ程度に、ニッケルや銅等の電着金属を電鋳して、第2金属層37を形成する(第2金属層形成工程)。
【0025】
最後に、母型30及び第2パターンレジスト36を除去する、詳しくは、第2パターンレジスト36を溶解・膨潤除去(第2パターンレジスト除去工程)し、母型30を剥離除去することにより、図4(e)および図1に示すごとく、メタルマスク1が得られる。
【0026】
係る製造方法によれば、電鋳法によりメタルマスク1を精度良く作製することができる。特に、リブ部4及び支柱部5を電鋳法によって形成することで、リブ部4及び支柱部5を高精度且つ自由に設定することができるので、均一な厚みの印刷に寄与できる。
【0027】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係るメタルマスクの製造方法について説明する。なお、上記構成と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
上記第1実施形態では、第1パターンレジスト32をマスク本体2に対応するように形成し、第1パターンレジスト32を用いて第1金属層33を形成して、第1パターンレジスト32を除去することで、マスク本体2が得られるものであり、第1パターンレジスト32が有する第1レジスト体32aの形状・寸法が開口部3の形状・寸法となって現れる。これに対し、本実施形態では、開口部3に対応する第1パターンレジスト42の第1レジスト体42aを所望の開口部3の形状・寸法より大きく形成している。以下に係るメタルマスクの製造方法を説明する。
【0029】
まず、第1実施形態のように、図5(a)に示すごとく、母型40の表面に、第1レジスト層41を形成する。
【0030】
ついで、第1レジスト層41の上に、パターンフィルム(ガラスマスク)Cを密着させ、露光、現像、乾燥の各処理を行い、未露光部分を溶解除去することにより、母型40の表面に、第1パターンレジスト42を形成する(第1パターンレジスト形成工程)が、ここで、図5(b)に示すごとく、第1パターンレジスト42は第1レジスト体42aを有し、第1レジスト体42aの外形寸法(h)を所望とする開口部3の外形寸法より大きく形成する。好ましくは、所望とする開口部3の寸法の1.1〜10倍に形成する。さらに好ましくは、所望とする開口部3の寸法の1.1〜2.0倍に形成する。
【0031】
ついで、図5(c)に示すごとく、母型40の第1パターンレジスト42で覆われていない表面に、第1金属層43を形成(第1金属層形成工程)し、図5(d)に示すごとく、第1パターンレジスト42を除去(第1パターンレジスト除去工程)し、図6(a)に示すごとく、母型40及び第1金属層43の表面に、第2レジスト層44と第3レジスト層45を形成する(第2レジスト層形成工程、第3レジスト層形成工程)。
【0032】
ついで、第3レジスト層45の上に、パターンフィルム(ガラスマスク)Dを密着させ、露光、現像、乾燥の各処理を行い、未露光部分を溶解除去することにより、母型40及び第1金属層43の表面に、第2パターンレジスト46を形成(第2パターンレジスト形成工程)するが、ここで、パターンフィルム(ガラスマスク)Dは、所望する開口部3の外形寸法(H)と支柱部5に対応する透光孔を有するものを用いる。これにより、第2レジスト層44は、所望の開口部3の外形寸法(H)に対応するように露光されるとともに、第3レジスト層45は、支柱部5に対応するように露光される。この後、現像、乾燥の各処理を行い、未露光部分を溶解除去すること(露光・現像工程)により、第2パターンレジスト46が形成される。ここで、第1パターンレジスト42形成時に、第1パターンレジスト42が有する第1レジスト体42aの外形寸法(h)を所望する開口部3の外形寸法より大きく形成しているので、図6(b)に示すごとく、第1金属層43と第2パターンレジスト46との間に、母型40が露出する間隙部分Sが生じてしまうが、続いて、第2パターンレジスト46を用いて第2金属層47を形成(第2金属層形成工程)することで、図6(c)に示すごとく、第1金属層43の表面に、第2金属層47が形成されると同時に、係る間隙部分Sにも第2金属層47が形成される。
【0033】
最後に、第2パターンレジスト46を除去(第2パターンレジスト除去工程)し、母型40を除去することにより、図6(d)および図1に示すごとく、メタルマスク1が得られる。
【0034】
このように、本実施形態では、マスク本体2(リブ部4)に対応する第1パターンレジスト42の形成時では、第1レジスト体42aの外形寸法(h)を所望の開口部3の外形寸法より大きく形成し、開口部3及び支柱部5に対応する第2パターンレジスト46の形成時に、第2パターンレジスト46の外形寸法(H)を所望する実際の開口部3の外形寸法に合わせて形成する。これにより、第1実施形態では、第2パターンレジスト36を形成する際に、パターンフィルムBの位置合わせ、つまり、第2レジスト層34の外縁(第2レジスト層34と第1金属層33の境目)とパターンフィルムBの透光孔外縁がしっかり合わさるようにパターンフィルムBを第2レジスト層34上に載置させて露光等を行っていたのに対し、本実施形態では、第2パターンレジスト46を形成する際に、パターンフィルムDの位置合わせに第1実施形態のような精度は必要なく、第2レジスト層44が形成された範囲内であれば位置ズレが許容され、しかも、第3レジスト層45の露光された部分の直下にあたる部分の第2レジスト層44が一緒に露光されて第2パターンレジスト46が形成されることになるので、所望する開口部3の外形寸法が容易且つ正確に得られる。なお、第2パターンレジスト46を形成した時に、間隙部分Sが生じてしまうが、この後の金属層47を形成する(第2金属層形成工程)時に、間隙部分Sに金属層47が形成されるので、品質上問題になることはない。
【0035】
上記各実施形態では、リブ部4及び支柱部5(マスク本体2)を同一部材で一体的に形成しているが、例えば、リブ部4を鉄、ニッケル等といった磁性体で形成し、支柱部5を銅やアルミ等といった非磁性体で形成することもできる。これにより、磁石の磁力吸引力によってワーク7にメタルマスク1を固定する構成を採用することができため、メタルマスク1に対して磁力を均一に作用させることができ、メタルマスク1が不用意に撓むおそれがなく、電極部に対する開口部3の位置精度を向上することができる。
【0036】
また、支柱部5を金属に限らず、樹脂によって形成したものであっても良い。これによれば、当該樹脂の弾力性に由来するクッション作用が発揮され、支柱部5がワーク7に当接した際に、ワーク7が損傷するおそれが少なくなる。この効果を顕著に奏するために、メタルマスク1においては、ワーク7と当接する全ての部分を樹脂で形成するのが好ましい。これによっても、メタルマスク1に対して磁力を均一に作用させることができる。
【0037】
なお、各実施形態における図面に記載のマスク1は、実際のマスクの様子を示したものではなく、それを模式的に示しており、開口部3の開口寸法やマスク本体2等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものである。
【符号の説明】
【0038】
1 メタルマスク
2 マスク本体
3 開口部
4 リブ部
5 支柱部
30、40 母型
31、41 第1レジスト層
32、42 第1パターンレジスト
33、43 第1金属層
34、44 第2レジスト層
35、45 第3レジスト層
36、46 第2パターンレジスト
37、47 第2金属層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9