(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライド機構は、前記ベッセルに積荷が積み込まれるとき、及び前記ベッセルから積荷を排出するときの一方又は両方において、前記ベッセルの少なくとも一部が前記車体の外側に配置されるように前記ベッセルを移動する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の運搬機械。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、水平面内の所定方向をX
0軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY
0軸方向、X
0軸方向及びY
0軸方向のそれぞれと直交する方向をZ
0軸方向として、各部の位置関係を適宜説明する。
【0023】
<採掘現場の概要>
図1は、本実施形態に係る運搬機械1及び積込機械2が稼働する現場の一例を示す模式図である。運搬機械1及び積込機械2は、地下から鉱石を採掘する坑内採掘に使用される。運搬機械1は、坑道Rにおいて積荷を運搬する鉱山機械の一種であり、積込機械2は、運搬機械1に積荷を積み込む鉱山機械の一種である。本実施形態においては、ブロックケービング工法により採掘が行われる。ブロックケービング工法とは、鉱体(鉱脈)の下部に、鉱石の抽出部DPと、抽出された鉱石を搬送するための坑道Rとを設け、その抽出部DPの上部をアンダーカットして発破し、鉱石を自然崩落させることによって、その抽出部DPから鉱石を採取する工法をいう。鉱脈の下部から鉱石が抽出されると、崩落が上部まで伝播するため、鉱脈の鉱石を効率良く抽出することができる。
【0024】
本実施形態においては、管理装置80を有する管制施設3が地上又は坑内に配置される。管制施設3を含む管理システム100によって採掘現場が管理される。管制施設3は、通信システム4を介して、運搬機械1及び積込機械2を含む坑内の鉱山機械と通信可能である。本実施形態において、通信システム4は、Wi−Fiのような無線通信を含む。通信システム4は、管制施設3と有線で接続され、坑内に配置される中継器4Aを有する。運搬機械1及び積込機械2の一方又は両方は、中継器4Aを介して、管制施設3と通信する。
【0025】
図2は、坑内の一例を示す模式図であり、
図3は、
図2の一部を拡大した図である。本実施形態において、坑道Rは、運搬機械1が走行する第1坑道DRと、抽出部DPと結ばれ、積込作業を行う積込機械2が配置される第2坑道CRと、を含む。本実施形態において、運搬機械1は、無人車であり、決められた経路CSに従って、坑道Rを自律走行する。運搬機械1に対する積込機械2による積込作業が行われる積込位置LPは、第2坑道CR又はその近傍に定められる。また、坑内には、運搬機械1により運搬された積荷が排出される排土位置OPが設けられる。
【0026】
抽出部DPは、ドローポイント又はドローベルとも呼ばれる。以下の説明においては、抽出部DPを、ドローポイントDP、と称する。また、以下の説明においては、第1坑道DRを、ドリフトDR、と称し、第2坑道CRを、クロスカットCR、と称し、排土位置OPを、オアパスOP、と称する。なお、ドローポイントDP及び積込位置LPを含む領域を、積込場所、と称してもよい。また、オアパスOPを含む領域を、排土場所、と称してもよい。運搬機械1は、ドローポイントDP近傍の積込位置LPにおいて積込機械2により積荷を積み込まれた後、ドリフトDRを走行して、オアパスOPまで移動し、そのオアパスOPにおいて、積荷を排出する。
【0027】
以下の説明においては、便宜上、運搬機械1が走行する坑道Rの路面とX
0Y
0平面(水平面)とが実質的に平行であることとする。なお、実際には、坑道Rの路面は、凹凸を有していたり、上り坂及び下り坂を有していたりする場合が多い。
【0028】
図2において、ドリフトDRは、X
0Y
0平面内に複数設けられる。ドリフトDRは、XX
0軸方向に複数配置され、それぞれがY
0軸方向に長い第1のドリフトDR1と、その第1のドリフトDR1の端部を結ぶ第2のドリフトDR2と、を含む。オアパスOPは、第2のドリフトDR2に設けられる。
【0029】
図3に示すように、1つの第1のドリフトDR1に対して両側にクロスカットCRが配置される。運搬機械1は、両側に配置されたクロスカットCRの少なくとも一方に配置されている積込機械2によって積荷を積み込まれる。
【0030】
<運搬機械>
次に、運搬機械1について説明する。
図4は、運搬機械1の一例を示す斜視図であり、
図5は、運搬機械1の一例を示す側面図であり、
図6は、運搬機械1の一例を示す上面図であり、
図7は、運搬機械1の一例を示す正面図である。
【0031】
以下の説明においては、便宜上、運搬機械1の車幅方向をX軸方向とする。また、以下の説明においては、便宜上、直進時における運搬機械1の走行方向(進行方向)とY軸方向とが平行であることとし、運搬機械1が+Y方向に前進することとする。運搬機械1の直進時において、車輪(前輪8及び後輪9)の回転軸とX軸方向とは平行であり、車輪の回転軸とY軸とは直交する。図中の矢印方向をそれぞれ、+X方向、+Y方向、及び+Z方向とし、反対方向をそれぞれ、−X方向、−Y方向、及び−Z方向とする。
【0032】
運搬機械1は、走行装置5と、少なくとも一部が走行装置5の上方に配置される車体6と、車体6に支持されるベッセル7と、を備えている。
【0033】
走行装置5は、前輪8と、後輪9と、前輪8を駆動する前輪駆動装置10と、後輪9を駆動する後輪駆動装置11と、を有する。以下の説明において、前輪8及び前輪駆動装置10を含む走行装置5の一部分を適宜、フロント走行装置5A、と称し、後輪9及び後輪駆動装置11を含む走行装置5の一部分を適宜、リア走行装置5B、と称する。
【0034】
車体6は、少なくとも一部が前輪8の上方に配置されるフロント部6Aと、少なくとも一部が後輪9の上方に配置されるリア部6Bと、フロント部6Aとリア部6Bとの間に設けられる中間部6Dと、フロント部6Aとリア部6Bとの間に配置される凹部6Cと、を含む。中間部6Dは、フロント部6Aの下部とリア部6Bの下部とを結ぶように配置される。凹部6Cは、フロント部6Aとリア部6Bと中間部6Dとにより規定される。Y軸方向に関して、凹部6Cは、前輪8と後輪9との間に配置される。
【0035】
ベッセル7は、積込機械2によって積荷が積み込まれる部材である。ベッセル7の少なくとも一部は、凹部6Cに配置される。ベッセル7の少なくとも一部は、Y軸方向に関して、フロント走行装置5Aとリア走行装置5Bとの間に配置される。
【0036】
フロント部6Aは、機器12を着脱可能に保持する保持部13を有する。リア部6Bは、機器12を着脱可能に保持する保持部14を有する。本実施形態において、機器12は、バッテリを含む。保持部13及び保持部14のそれぞれは、バッテリ12からの電力が供給されるコネクタを有する。バッテリ12から供給される電力によって、運搬機械1が有する電子機器及び電動機が作動する。
【0037】
本実施形態において、走行装置5の走行方向であるY軸方向に関して車体6の中心AXよりも前方に配置される車体6の一部分(前半分)と後方に配置される車体6の一部分(後半分)とは対称(前後対称)である。また、Y軸方向に関して車体6の中心AXよりも前方に配置される走行装置5の一部分と後方に配置される走行装置5の一部分とは対称である。また、Y軸方向に関して車体6の中心AXよりも前方に配置されるベッセル7の一部分と後方に配置されるベッセル7の一部分とは対称である。
【0038】
本実施形態において、対称(前後対称)とは、中心AXを通り、XZ平面と平行な仮想面(対称面)に対して、その仮想面よりも一側(+Y側、前側)に配置される一部分と他側(−Y側、後側)に配置される一部分とが鏡面対称であることを含む。
【0039】
また、本実施形態において、走行装置5の走行方向と交差するX軸方向に関して車体6の中心AXよりも右方に配置される車体6の一部分(右半分)と左方に配置される車体6の一部分(左半分)とは対称(左右対称)である。また、X軸方向に関して車体6の中心AXよりも右方に配置される走行装置5の一部分と左方に配置される走行装置5の一部分とは対称である。また、X軸方向に関して車体6の中心AXよりも右方に配置されるベッセル7の一部分と左方に配置されるベッセル7の一部分とは対称である。
【0040】
本実施形態において、対称(左右対称)とは、中心AXを通り、YZ平面と平行な仮想面(対称面)に対して、その仮想面よりも一側(+X側、右側)に配置される一部分と他側(−X側、左側)に配置される一部分とが鏡面対称であることを含む。
【0041】
また、本実施形態において、対称とは、外形が対称である場合、及び構造が対称である場合の少なくとも一方を含む。対称とは、対称形状及び対称構造の一方又は両方であることを含む。また、対称とは、完全に対称な場合、及び実質的に対称な場合の少なくとも一方を含む。
【0042】
Y軸方向に関して車体6の中心AXよりも前半分は、フロント部6Aと、フロント部6Aと接続され、中心AXよりも前方に配置される中間部6Dの前半分と、を含む。Y軸方向に関して車体6の中心AXよりも後半分は、リア部6Bと、中心AXよりも後方に配置される中間部6Dの後半分と、を含む。フロント部6Aの外形及び構造と、リア部6Bの外形及び構造とは、実質的に等しく、中間部6Dの前半分の外形及び構造と、中間部6Dの後半分の外形及び構造とは、実質的に等しい。
【0043】
フロント部6Aは、前面31と、前面31の一側である+X側に配置される側面32と、前面31の他側である−X側に配置される側面33と、上面34と、下面35と、前面31の反対方向を向き、ベッセル7と対向する背面36と、を有する。前面31は、XZ平面と実質的に平行である。側面32及び側面33のそれぞれは、XY平面に対して実質的に直交し、YZ平面に対して傾斜する。側面32と側面33とは、中心AXから運搬機械1の進行方向である+Y方向に向かって、側面32と側面33との距離が徐々に小さくなるように傾斜している。下面35は、XY平面と実質的に平行でもよいし、下面35の少なくとも一部が中心AXから+Y方向に向かって上方に傾斜していてもよい。前面31の外形及び面積は、背面36の外形及び面積よりも小さい。側面32の外形及び面積と側面33の外形及び面積とは等しい。
【0044】
フロント部6Aは、バッテリ12が配置される凹部37を有する。凹部37は、フロント部6Aの上部に設けられる。凹部37に保持部13が配置される。上面34は、凹部37の上端の開口の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、凹部37は、前面31と背面36とを結ぶように形成される。上面34は、走行装置5の走行方向と交差するX軸方向に関して、凹部37の両側に配置される。以下の説明において、フロント部6Aの+X側の端部を含み、凹部37の+X側に配置される上面34を適宜、上面34A、と称し、フロント部6Aの−X側の端部を含み、凹部37の−X側に配置される上面34を適宜、上面34B、と称する。フロント部6Aの+X側の端部は、側面32の上端部を含み、フロント部6Aの−X側の端部は、側面33の上端部を含む。
【0045】
上面34A及び上面34Bのそれぞれは、XY平面と実質的に平行である。また、Z軸方向に関する上面34Aの位置と上面34Bの位置とは、等しい。Z軸方向に関する位置とは、高さである。上面34Aと上面34Bとは、同一平面内に配置される(面一である)。
【0046】
なお、上面34Aと上面34Bとの高さが異なってもよい。また、上面34A及び上面34Bの少なくとも一方に機器が搭載されてもよい。
【0047】
また、上面34Aの外形と、上面34Bの外形とは等しい。本実施形態においては、X軸方向に関して、凹部37及び保持部13は、フロント部6Aの中央部に配置される。上述のように、車体6は、左右対称である。
【0048】
本実施形態において、バッテリ12の外形は、直方体状である。バッテリ12は、前面12Aと、側面12Bと、側面12Cと、上面12Dと、下面12Eと、背面12Fと、を有する。凹部37は、バッテリ12の外形に沿った形状を有する。凹部37の内面は、バッテリ12の下面12Eと対向する底面37Eと、バッテリ12の側面12Bと対向する第1内側面37Bと、バッテリ12の側面12Cと対向する第2内側面37Cと、を含む。凹部37の底面37Eと第1内側面37Bとは、実質的に直交し、凹部37の底面37Eと第2内側面37Cとは、実質的に直交する。
【0049】
バッテリ12が凹部37の保持部13に保持された状態で、X軸方向に関して、バッテリ12の上面12Dは、第1上面34Aと第2上面34Bとの間に配置される。本実施形態において、凹部37の深さは、バッテリ12の高さよりも小さい。凹部37の深さは、Z軸方向に関する第1内側面37B及び第2内側面37Cの寸法であり、バッテリ12の高さは、バッテリ12のZ軸方向に関する寸法である。バッテリ12が凹部37の保持部13に保持された状態で、バッテリ12の上面12Dは、上面34A及び上面34Bよりも上方(+Z方向)に配置される。すなわち、フロント部6Aの上面34(上面34A及び上面34B)は、保持部13に保持されたバッテリ12の上面12Dよりも下方(−Z方向)に配置される。
【0050】
Y軸方向に関して、バッテリ12の寸法は、上面34の寸法とほぼ等しくてもよいし、小さくてもよい。バッテリ12が保持部13に保持された状態で、上面34の+Y側の端部の位置とバッテリ12の+Y側の端部の位置とは一致してもよいし、一致しなくてもよいし、上面34の−Y側の端部の位置とバッテリ12の−Y側の端部の位置とは一致してもよいし、一致しなくてもよい。Y軸方向に関して、バッテリ12は、上面34の外側に配置されず(はみ出さず)、バッテリ12の前面12Aとフロント部6Aの前面31とは、同一平面内に配置されてもよい。
【0051】
リア部6Bは、後面41と、側面42と、側面43と、上面44と、下面45と、背面46と、を有する。リア部6Bの上部には、保持部14が配置される凹部47が設けられ、凹部47の両側に上面44A及び上面44Bが設けられる。上述のように、リア部6Bは、フロント部6Aと対称形状である。すなわち、X軸方向に関して、凹部47及び保持部14は、リア部6Bの中央に配置される。また、凹部47及び保持部14は、上面44Aと上面44Bとの間に配置される。リア部6Bの上面44(上面44A及び上面44B)は、保持部14に保持されたバッテリ12の上面12Dよりも下方に配置される。また、上面44Aと上面44Bとは、同一平面内に配置される。本実施形態において、上面34Aと上面34Bと上面44Aと上面44Bとは、同一平面内に配置される。
【0052】
なお、上面44Aと上面44Bとの高さが異なってもよい。また、上面44A及び上面44Bの少なくとも一方に機器が搭載されてもよい。
【0053】
本実施形態において、保持部13に保持されるバッテリ12の外形及び構造と、保持部14に保持されるバッテリ12の外形及び構造とは、実質的に等しい。したがって、保持部13にバッテリ12が保持され、保持部14にバッテリ12が保持された状態においても、運搬機械1は、前後対称であり、左右対称である。
【0054】
本実施形態においては、保持部13に保持されたバッテリ12から供給される電力と、保持部14に保持されたバッテリ12から供給される電力とが足し合わされた後、その足し合わされた電力が、運搬機械1の前半分に配置される電子機器及び電動機と、運搬機械1の後半分に配置される電子機器及び電動機とのそれぞれに分配される。なお、保持部13に保持されたバッテリ12から供給される電力によって、運搬機械1の前半分に配置される電子機器及び電動機が作動し、保持部14に保持されたバッテリ12から供給される電力によって、運搬機械1の後半分に配置される電子機器及び電動機が作動してもよい。
【0055】
ベッセル7は、積荷が収容される凹部70と、凹部70の上端部の開口の周囲に配置される上面7Aと、下面7Bと、+X側を向く側面7Cと、−X側を向く側面7Dと、フロント部6Aの背面36と対向する対向面7Eと、リア部6Bの背面46と対向する対向面7Fと、を有する。対向面7Eは、中心AXから+Y方向に向かって上方に傾斜している。対向面7Fは、中心AXから−Y方向に向かって上方に傾斜している。中心AXよりも前方に配置され、対向面7Eを含むベッセル7の前半分の外形及び構造と、中心AXよりも後方に配置され、対向面7Fを含むベッセル7の後半分の外形及び構造とは、実質的に等しい。
【0056】
凹部6Cは、ベッセル7の外形に沿った形状を有する。凹部6Cの内面は、下面7Bの少なくとも一部と対向可能な底面50と、背面36と、背面46と、を含む。車体6の底面50は、XY平面と実質的に平行である。車体6の背面36は、中心AXから+Y方向に向かって上方に傾斜している。車体6の背面46は、中心AXから−Y方向に向かって上方に傾斜している。
【0057】
X軸方向に関して、車体6の寸法とベッセル7の寸法とは、ほぼ等しい。X軸方向に関して車体6の中心とベッセル7の中心とが一致するようにベッセル7と車体6とが位置決めされた場合、X軸方向に関して、側面7Cの位置と、背面36の+X側の端部の位置と、背面46の+X側の端部の位置とは一致し、側面7Dの位置と、背面36の−X側の端部の位置と、背面46−X側の端部の位置とは一致する。換言すれば、X軸方向に関して、側面7Cは、側面32及び側面42の外側に配置されず、側面7Dは、側面33及び側面43の外側に配置されない。なお、X軸方向に関して車体6の中心とベッセル7の中心とが一致するようにベッセル7と車体6とが位置決めされた状態において、側面7Cが側面32及び側面42の外側にはみ出してもよいし、側面7Dが側面33及び側面43の外側にはみ出してもよい。
【0058】
ベッセル7の上面7Aは、保持部13及び保持部14の少なくとも一方に保持されたバッテリ12の上面12Dよりも下方に配置される。また、ベッセル7の上面7Aは、フロント部6Aの上面34及びリア部6Bの上面44よりも下方に配置される。なお、上面7Aは、上面12Dよりも下方で、上面34及び上面44よりも上方に配置されてもよいし、上面34及び上面44と同じ高さ(同一平面内)に配置されてもよい。
【0059】
フロント走行装置5Aは、中心AXよりも前方である+Y側に配置される。リア走行装置5Bは、中心AXよりも後方である−Y側に配置される。フロント走行装置5Aの外形及び構造と、リア走行装置5Bの外形及び構造とは、実質的に等しい。
【0060】
図8は、フロント走行装置5Aの一部を示す図である。フロント走行装置5Aは、前輪8と、前輪8を駆動する前輪駆動装置10とを含む。前輪8は、タイヤ15を支持する。本実施形態において、前輪8は、X軸方向に関して、車体6の中心AXの両側に配置される。前輪8には1つのタイヤ15が配置されてもよいし、2つのタイヤが配置されてもよい。
図8に示すように、本実施形態において、1つの前輪8に2つのタイヤ15が配置される。すなわち、本実施形態において、フロント走行装置5Aは、所謂、ダブルタイヤ形式である。
【0061】
また、タイヤ15は、ソリッドタイヤである。タイヤ15の内部に気体は充填されていない。これにより、タイヤ15が小径となり、運搬機械1の高さが高くなることが抑制される。なお、タイヤ15がニューマチックタイヤ(空気入りタイヤ)でもよい。
【0062】
前輪駆動装置10は、少なくとも一部が前輪8のハブ内に配置される電気モータ(インホイールモータ)16を含む。電気モータ16は、バッテリ12から供給される電力によって作動する。フロント部6Aの保持部13に保持されたバッテリ12から前輪駆動装置10の電気モータ16に電力が供給される。前輪8を駆動するための電気モータ16は、フロント部6Aの保持部13に保持されたバッテリ12から供給される電力によって作動する。電気モータ16は、2つの前輪8のそれぞれに配置されている。
【0063】
なお、図示は省略するが、リア走行装置5Bもフロント走行装置5Aと同様の構成である。すなわち、リア走行装置5Bの後輪9は、X軸方向に関して車体6の中心AXの両側に配置される。また、リア走行装置5Bは、ダブルタイヤ方式である。また、前輪8に支持されるタイヤ15の外形及び構造と、後輪9に支持されるタイヤ15の外形及び構造とは、実質的に等しい。また、後輪駆動装置11は、2つの後輪9のそれぞれに接続される電気モータ16を含む。リア部6Bの保持部14に保持されたバッテリ12から後輪駆動装置11の電気モータ16に電力が供給される。後輪9を駆動するための電動モータ16は、リア部6Bの保持部14に保持されたバッテリ12から供給される電力によって作動する。
【0064】
このように、本実施形態において、前輪8は、前輪駆動装置10により駆動され、後輪9は、後輪駆動装置11に駆動される。すなわち、走行装置5は、4つの車輪の全てが駆動装置によって駆動される、所謂、全輪駆動方式である。また、前輪駆動装置10は、前輪8を駆動して、後輪9を駆動しない。後輪駆動装置11は、後輪9を駆動して、前輪8を駆動しない。
【0065】
図9は、走行装置5の一例を示す模式図である。走行装置5のフロント走行装置5Aは、前輪8と、前輪8を駆動する前輪駆動装置10Bとを含む。前輪駆動装置10Bは、電気モータ160と、電気モータ160が発生した動力を左右の前輪8のそれぞれに伝達する動力伝達装置161とを有する。動力伝達装置161は、トランスミッションとディファレンシャルギアとを一体化したトランスアクスルを含む。後輪9を駆動する後輪駆動装置11Bは、前輪駆動装置10Bと同等の構造である。
図9に示す走行装置5によって運搬機械1が走行してもよい。
【0066】
本実施形態において、運搬機械1は、+Y方向及び−Y方向のそれぞれに進行可能である。したがって、上述した例において、運搬機械1が−Y方向に走行するとき、リア部6Bがフロント部として機能し、後輪9が前輪として機能し、フロント部6Aがリア部として機能し、前輪8が後輪として機能する。
【0067】
また、本実施形態においては、前輪8及び後輪9のそれぞれが操舵輪として機能する。例えば、運搬機械1が+Y方向に移動するとき、前輪8が操舵輪となり、運搬機械1が−Y方向に移動するとき、後輪9が操舵輪となる。また、運搬機械1が+Y方向及び−Y方向の少なくとも一方に移動するときにおいて、前輪8及び後輪9の両方が操舵輪として機能してもよい。
【0068】
図10は、ベッセル7を支持する支持装置17の一例を示す模式図である。支持装置17は、ベッセル7を移動可能に支持する。支持装置17の少なくとも一部は、車体6とベッセル7との間に配置される。支持装置17は、車体6に対してベッセル7を移動可能に支持する。
【0069】
支持装置17は、車体6に対してX軸方向にベッセル7を移動させるスライド機構18と、ベッセル7の積荷をX軸方向に排出させるサイドダンプ機構19と、を有する。サイドダンプ機構19は、Y軸方向と平行な軸を中心にベッセル7を傾斜させて、ベッセル7から積荷を排出する。
【0070】
スライド機構18は、車体6(凹部6Cの底面50)とベッセル7の下面7Bとの間に配置され、X軸方向に移動可能なスライドテーブル20と、車体6に配置され、X軸方向に移動するスライドテーブル20をガイドするガイド機構21と、スライドテーブル20をX軸方向に移動させる油圧シリンダ22とを備えている。油圧シリンダ22は、スライドテーブル20の少なくとも一部に接続される。油圧シリンダ22の作動により、スライドテーブル20がX軸方向に移動する。
【0071】
ベッセル7は、スライドテーブル20に支持される。したがって、スライドテーブル20がX軸方向に移動すると、スライドテーブル20と一緒にベッセル7がX軸方向に移動する。ベッセル7は、X軸方向に関して一側(+X方向)及び他側(−X方向)のそれぞれに移動可能である。
【0072】
サイドダンプ機構19は、スライドテーブル20とベッセル7との間に配置されるホイストシリンダ23を含む。
図10に示すように、ホイストシリンダ23は、2つ配置されてもよい。ホイストシリンダ23の作動により、ベッセル7が持ち上げられる。
【0073】
図11は、スライド機構18によりベッセル7が移動する状態の一例を示す模式図である。本実施形態において、X軸方向に関して、車体6の寸法とベッセル7の寸法とは、ほぼ等しい。X軸方向に関して、車体6の中心とベッセル7の中心とが一致するようにベッセル7と車体6とが位置決めされた場合、ベッセル7は、車体6の外側にはみ出さない。
【0074】
図11に示すように、スライド機構18は、ベッセル7の少なくとも一部がX軸方向に関して車体6の一側及び他側のそれぞれに配置されるように、ベッセル7を移動可能である。すなわち、スライド機構18は、油圧シリンダ22を使って、ベッセル7の一方の側面7Cが、車体6の一方の側面32及び側面42よりも外側に配置されるように、ベッセル7を+X方向に移動可能である。また、スライド機構18は、油圧シリンダ22を使って、ベッセル7の他方の側面7Dが、車体6の他方の側面33及び側面43よりも外側に配置されるように、ベッセル7を−X方向に移動可能である。このように、スライド機構18は、ベッセル7をX軸方向に関して両側にスライド可能である。
【0075】
図12は、サイドダンプ機構19によりベッセル7が持ち上げられている状態の一例を示す模式図である。
図11に示すように、サイドダンプ機構19は、Y軸と平行な軸Jを中心にベッセル7を傾斜させる。すなわち、本実施形態において、運搬機械1は、サイドダンプ方式で、ベッセル7の積荷を排出する。本実施形態において、ベッセル7は、ベッセル本体24と、ベッセル本体24に対して回動可能なサイドゲート25とを有する。サイドゲート25は、ベッセル本体24の傾斜(上昇)に同期して回動する。これにより、ベッセル本体24とサイドゲート25との間に開口7Kが形成される。ベッセル7の積荷は、その開口7Kを介して、運搬機械1の横側に排出される。なお、ベッセル7の回転軸である軸JとY軸とが平行であるとは、Y軸と軸Jとが完全に平行であること、及び実質的に平行であることの少なくとも一方を含む。また、軸Jは、Y軸と非平行でもよい。例えば、軸JとY軸とがなす角度が、1度以上45度以下でもよい。
【0076】
本実施形態において、ベッセル7が持ち上げられていない状態において、支持装置17は、前輪8の上端部及び後輪9の上端部よりも下方に配置される。すなわち、運搬機械1がドリフトDRを走行している状態において、支持装置17は、前輪8の上端部及び後輪9の上端部よりも下方に配置される。
【0077】
図13は、サイドダンプ機構19Bの一例を示す模式図である。
図13に示すサイドダンプ機構19Bは、所謂、サイドイジェクタ方式であり、ベッセル7Bの積荷をX軸方向に排出させる。
図13において、ベッセル7Bは、ベッセル本体24Bと、ベッセル本体24Bに対して回動可能なサイドゲート25Bとを有する。サイドゲート25Bは、シリンダ機構251の動力により回動可能である。サイドダンプ機構19Bは、ベッセル本体24Bに配置されたプレート191と、そのプレート191をX軸方向に移動する駆動装置192とを有する。駆動装置192は、ベッセル本体24Bとプレート191との間に配置された多段シリンダ機構を含む。ベッセル7の積荷を排出するとき、シリンダ機構251によりサイドゲート25Bが上昇する。これにより、ベッセル本体24Bとサイドゲート25Bとの間に開口7Kが形成される。開口7Kが形成されている状態で、駆動装置192によりプレート191がX軸方向(
図13に示す例では−X方向)に移動する。これにより、ベッセル7Bの積荷が開口7Kを介して、運搬機械1の横側に排出される。
【0078】
<自律走行>
次に、運搬機械1の走行について説明する。本実施形態において、運搬機械1は、無人車であり、自律走行可能な自律走行車両である。
図14は、運搬機械1の検出システム60を含む機能ブロック図である。
【0079】
図14に示すように、運搬機械1は、処理装置51と、記憶装置52と、通信装置53と、検出システム60と、を備えている。検出システム60は、空間の物理的な形状データを出力する測域センサ61と、障害物を検出する非接触センサ62と、ベッセル7の重量を検出する重量センサ63と、物体の光学像を取得して、その物体の外形を検出可能な撮像装置64と、ドリフトDRに設けられたマークM(
図14参照)を検出する読取装置65と、運搬機械1の走行速度を検出する速度センサ66と、運搬機械1の加速度又は角速度を検出する加速度センサ67と、前輪8及び後輪9の少なくとも一方の操舵角を検出するステアリングセンサ68と、を備えている。
【0080】
処理装置51は、CPU(Central Processing Unit)を含む。処理装置51は、検出システム60の検出結果に基づいて、決められた目的位置に運搬機械1が移動するように、走行装置5を制御する。処理装置51は、走行装置5の電気モータ16(駆動装置)及びブレーキシステムを制御するとともに、前輪8及び後輪9の少なくとも一方の操舵角を制御して、所定の走行速度及び加速度で、決められた経路(目標経路)CSに従って走行するように、走行装置5を制御する。
【0081】
記憶装置52は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、処理装置51と接続される。記憶装置52には、自律走行するために必要な各種の情報が記憶されている。
【0082】
通信装置53は、処理装置51と接続され、積込機械2及び管制施設3の一方又は両方との間でデータ通信する。管制施設3は、通信システム4を介して、運搬機械1の通信装置53と通信する。通信装置53は、坑内に配置された中継器4Aを介して、管制施設3と無線通信する。また、通信装置53は、積込機械2に設けられた通信装置とデータ通信可能である。通信装置53は、管制施設3及び積込機械2の少なくとも一方から送信された情報(指令信号を含む)を受信可能である。また、通信装置53は、検出システム60で検出した情報を管制施設3及び積込機械2の少なくとも一方に送信可能である。
【0083】
測域センサ61は、空間の物理的な形状データを出力可能な走査型の光波距離計を含む。測域センサ61は、レーザスキャナ、及び3次元距離センサの少なくとも一つを含み、3次元の空間データを取得可能である。測域センサ61は、積込機械2及びドリフトDRの壁面の少なくとも一方を検出する。本実施形態において、測域センサ61は、積込機械2の形状データ、ドリフトDRの壁面の形状データ、及びベッセル7の積荷の形状データの少なくとも一つを取得可能である。また、測域センサ61は、積込機械2との相対位置(相対的な距離及び方位)、及びドリフトDRの壁面との相対位置の少なくとも一方を検出可能である。すなわち、測域センサ61は、ベッセル7の積荷の状態(積荷の外形)を検出する積荷検出装置(外形検出装置)、積込機械2を検出する積込機械検出装置(第1検出装置)、及びドリフトDR(坑道R)を検出する第2検出装置の少なくとも一つとして機能することができる。測域センサ61は、処理装置51と接続され、検出結果を処理装置51に出力する。なお、測域センサ61が、レーダーを含んでもよい。
【0084】
本実施形態において、ドリフトDRの壁面に関する情報が予め求められており、記憶装置52に記憶されている。すなわち、ドリフトDRの壁面に関する情報は、事前に測定された既知な情報である。ドリフトDRの壁面に関する情報は、壁面の複数の部分それぞれの形状に関する情報、及びそれら壁面の部分それぞれの絶対位置に関する情報を含む。記憶装置52には、壁面の複数の部分の形状と、その形状を有する壁面の部分それぞれの絶対位置との関係が記憶されている。処理装置51は、運搬機械1に設けられている測域センサ61で検出したドリフトDRの壁面の検出結果(壁面の形状データ)と、記憶装置52の記憶情報とに基づいて、ドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置及び方位を求めることができる。このように、測域センサ61は、ドリフトCR(坑道R)を走行する運搬機械1の位置を検出する位置検出装置としても機能することができる。
【0085】
処理装置51は、測域センサ61を使って導出された運搬機械1の現在位置(絶対位置)に基づいて、決められた経路CSに従って運搬機械1が走行するように、ドリフトDRにおいて走行装置5を制御することができる。
【0086】
非接触センサ62は、運搬機械1の前方の障害物を検出する。非接触センサ62は、レーダーを含み、電波及び超音波の少なくとも一方を発射して、障害物で反射した電波を受信して、障害物との相対的な距離及び方位を検出可能である。なお、非接触センサ62が、レーザスキャナ、及び3次元距離センサの少なくとも一つを含んでもよい。非接触センサ62は、処理装置51と接続され、検出結果を処理装置51に出力する。
【0087】
重量センサ63は、ベッセル7の重量を検出する。重量センサ63は、ベッセル7及びベッセル7に積み込まれた積荷の重量を検出可能である。すなわち、重量センサ63は、ベッセル7の積荷の状態(ベッセル7の重量)を検出する積荷検出装置(重量検出装置)として機能することができる。重量センサ63は、処理装置51と接続され、検出結果を処理装置51に出力する。処理装置51は、重量センサ63の検出結果に基づいて、ベッセル7に積み込まれた積荷の重量、及びベッセル7における積荷の有無に関する情報を取得する。重量センサ63は、例えばスライドテーブル20とベッセル7との間に設けられるひずみゲージ式ロードセルを含んでもよいし、ホイストシリンダ23の油圧を検出する圧力センサを含んでもよい。
【0088】
撮像装置64は、CCDのような撮像素子を含み、物体の光学像を取得して、その物体の外形を検出可能である。本実施形態において、撮像装置64は、ステレオカメラを含み、物体の3次元の外形データを取得可能である。撮像装置64は、ベッセル7の積荷の外形(荷姿)を検出可能である。すなわち、撮像装置64は、ベッセル7の積荷の状態(積荷の外形)を検出する積荷検出装置(外形検出装置)として機能することができる。撮像装置64は、処理装置51と接続され、検出結果を処理装置51に出力する。処理装置51は、撮像装置64の検出結果に基づいて、ベッセル7における積荷の状態に関する情報を取得する。なお、レーザスキャナ、及び3次元距離センサの少なくとも一つを用いて、ベッセル7の積荷の外形が検出されてもよい。
【0089】
読取装置65は、ドリフトDRに設けられたマークMを検出する。マークMは、ドリフトDRに沿って複数配置されている。マークMは、バーコード及び2次元コードのような識別子(コード)でもよいし、ICタグ及びRFIDのような識別子(タグ)でもよい。読取装置65は、マークMの識別情報又は固有情報を検出する。読取装置65は、処理装置51と接続され、検出結果を処理装置51に出力する。
【0090】
本実施形態において、ドリフトDRにおいてマークMが配置されている位置(絶対位置)に関する情報は、事前に測定された既知な情報である。マークMの絶対位置に関する情報は、記憶装置52に記憶されている。処理装置51は、運搬機械1に設けられている読取装置65で検出したマークMの検出結果であるマークMの識別情報又は固有情報と、記憶装置52の記憶情報とに基づいて、ドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置を求めることができる。すなわち、読取装置65は、ドリフトDR(坑道R)を走行する運搬機械1の位置を検出する位置検出装置として機能することができる。また、読取装置65は、ドリフトDR(坑道R)に設けられたマークMを検出する第2検出装置として機能する。
【0091】
処理装置51は、読取装置65を使って導出された運搬機械1の現在位置(絶対位置)に基づいて、決められた経路CSに従って運搬機械1が走行するように、ドリフトDRにおいて走行装置5を制御することができる。
【0092】
なお、マークMが、ランドマークのような構造物でもよい。マークMがランドマークの場合、読取装置65がレーダーを含んでもよい。読取装置65は、レーダーから電波を発射し、ランドマークで反射した電波の少なくとも一部を受信することによって、ランドマークとの相対的な距離及び方位を検出することができる。ランドマークが配置されている位置(絶対位置)が既知であり、そのランドマークの絶対位置に関する情報が記憶装置52に記憶されている場合、処理装置51は、運搬機械1に設けられている読取装置65の検出値と、記憶装置52の記憶情報とに基づいて、ドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置を求めることができる。
【0093】
速度センサ66、加速度センサ67、及びステアリングセンサ68のそれぞれは、処理装置51と接続されている。速度センサ66は、運搬機械1の走行速度の検出値を処理装置51に出力する。加速度センサ67は、運搬機械1の加速度の検出値を処理装置51に出力する。ステアリングセンサ68は、前輪8及び後輪9の少なくとも一方の操舵角の検出値を処理装置51に出力する。
【0094】
本実施形態において、処理装置51は、例えば速度センサ66及びステアリングセンサ68の検出値を使って、推測航法に基づいて走行装置5を走行させることができる。すなわち、処理装置51は、推測航法を用いて運搬機械1の現在位置を推測し、決められた経路CSに従って運搬機械1が走行するように、ドリフトDRにおいて走行装置5を制御することができる。
【0095】
推測航法とは、絶対位置が既知の基準位置(起点)からの方位(方位変化量)と移動距離とに基づいて、対象物(運搬機械1)の現在位置を推測する航法をいう。運搬機械1の方位は、運搬機械1に配置されたステアリングセンサ68を用いて検出される。運搬機械1の移動距離は、運搬機械1に配置された速度センサ66を用いて検出される。ステアリングセンサ68の検出値及び速度センサ66の検出値は、運搬機械1の処理装置51に出力される。処理装置51は、ステアリングセンサ68の検出値に基づいて、既知の基準位置からの運搬機械1の方位を求めることができる。処理装置51は、速度センサ66の検出値に基づいて、既知の基準位置からの運搬機械1の移動距離を求めることができる。このように、ステアリングセンサ68及び速度センサ66を含む検出システム60は、推測航法に基づいて基準位置に対する運搬機械1の相対位置を検出することができる。すなわち、本実施形態においては、速度センサ66及びステアリングセンサ68が、推測航法に基づいて基準位置に対する相対位置を検出する相対位置検出装置として機能する。処理装置51は、ステアリングセンサ68の検出値及び速度センサ66の検出値に基づいて、運搬機械1が決められた経路CSに従って走行するように、走行装置5を制御する。なお、運搬機械1の方位(方位変化量)が、運搬機械1に配置されたジャイロセンサによって検出されてもよい。
【0096】
また、処理装置51は、推測航法に基づいて検出された、基準位置に運搬機械1の相対位置の検出結果を、測域センサ61及び読取装置65の一方又は両方の検出結果を使って求められたドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置に関する情報に基づいて補正してもよい。すなわち、運搬機械1の走行距離が長くなると、ステアリングセンサ68及び速度センサ66の一方又は両方の検出誤差の蓄積により、推測された位置(推測位置)と実際の位置との間に誤差が生じる可能性がある。その結果、運搬機械1は、経路CSから外れて走行してしまう可能性がある。本実施形態において、処理装置51は、推測航法により導出(推測)された運搬機械1の位置(推測位置)を、測域センサ61及び読取装置65の少なくとも一方の検出結果から求められた運搬機械1の絶対位置に関する情報を使って補正しつつ、走行装置5を制御してもよい。処理装置51は、ステアリングセンサ68の検出値と、速度センサ66の検出値と、運搬機械1の絶対位置に関する情報とに基づいて、運搬機械1が経路CSに従って走行するように、運搬機械1の位置を補正する補正量を含む、運搬機械1の走行に関する制御量を算出する。処理装置51は、運搬機械1が経路CSに従って走行するように、算出した補正量及び制御量に基づいて、走行装置5を制御する。
【0097】
図15は、運搬機械1に搭載された検出システム60の一例を示す模式図である。
図15に示すように、撮像装置(積荷検出装置、外形検出装置)64は、支持装置69を介して、車体6に支持される。撮像装置64は、ベッセル7の積荷の外形を検出可能な位置に配置される。なお、上述したように、撮像装置64にかえて、又は、撮像装置64とともに、レーザスキャナ、及び3次元距離センサの少なくとも一つを含む測域センサ61を用いて、ベッセル7の積荷の外形を検出してもよい。すなわち、測域センサ61が支持装置69に支持されてもよい。
【0098】
なお、撮像装置64が、積込機械2の光学像を取得可能な車体6の所定位置に配置されてもよいし、ドリフトDRの壁面の光学像(3次元形状データ)を取得可能な車体6の所定位置に配置されてもよい。この場合、撮像装置64が、積込機械2を検出する積込機械検出装置(第1検出装置)、及びドリフトDR(坑道R)を検出する第2検出装置の少なくとも一つとして機能する。
【0099】
図16は、運搬機械1に搭載された検出システム60の一例を示す模式図である。
図16に示すように、障害物を検出するための非接触センサ62が、車体6の前面31及び後面41の一方又は両方に配置されてもよい。
【0100】
積込機械2の形状データ、ドリフトDRの壁面の形状データ、積込機械2との相対位置、及びドリフトDRの壁面との相対位置の少なくとも一つを検出可能な測域センサ(第2検出装置、位置検出装置、積込機械検出装置、第1検出装置)61は、車体6の所定位置に配置される。
図16に示す例では、測域センサ61は、ドリフトDRの壁面の形状データ、及びドリフトDRの壁面との相対位置の少なくとも一方を検出可能なように、車体6の側面に配置される。なお、積込機械2の形状データ、及び積込機械2との相対位置の少なくとも一方を検出可能なように、測域センサ61は、車体6の上面、側面、前面、及び後面の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0101】
読取装置(位置検出装置、第2検出装置)65は、ドリフトDRの壁面に配置されたマークMを検出可能なように、車体6の側面など、車体6の所定位置に配置される。
【0102】
<管理装置>
次に、管制施設3に配置される管理装置80について説明する。
図17は、本実施形態に係る管理装置80の一例を示す機能ブロック図である。
図17に示すように、管理装置80は、コンピュータシステム81と、表示装置85と、入力装置86と、通信装置87と、を備えている。
【0103】
コンピュータシステム81は、処理装置82と、記憶装置83と、入出力部84とを備えている。表示装置85、入力装置86、及び通信装置87は、入出力部84を介して、コンピュータシステム81と接続される。入出力部84は、処理装置82と、表示装置85、入力装置86、及び通信装置87の少なくとも一つとの情報の入出力(インターフェース)に用いられる。
【0104】
処理装置82は、CPU(Central Processing Unit)を含み、運搬機械1及び積込機械2を含む鉱山機械の管理に関する各種の処理を実行する。処理装置82は、通信システム4を介して取得した運搬機械1の位置に関する情報を処理する。また、処理装置82は、運搬機械1が走行する経路CSを生成する。経路CSは、絶対位置座標系において生成され、運搬機械1は、坑道Rの少なくとも一部において、処理装置82により生成された経路CSに従って走行する。
【0105】
記憶装置83は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、鉱山機械の管理に関する各種の情報を記憶する。表示装置85は、例えば、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含み、鉱山機械の位置に関する情報を表示可能である。入力装置86は、キーボード、タッチパネル、マウス、及び操作スイッチの少なくとも一つを含み、操作されることにより、操作信号を生成し、処理装置82に入力する。
【0106】
通信システム4は、管制施設3に配置される通信装置87を含む。通信装置87は、有線で中継器4Aと接続される。処理装置82は、通信装置87から、経路CSに関する情報など、各種の情報を運搬機械1に送信可能である。また、運搬機械1の検出システム60で検出された、運搬機械1の位置情報及び積荷の状態に関する情報の少なくとも一方は、通信装置87を介して受信され、記憶装置83に記憶される。
【0107】
<運搬機械の動作>
次に、運搬機械1の動作の一例について、
図18を参照して説明する。
図18は、本実施形態に係る運搬機械1の動作の一例を示すフローチャートである。積荷を積んでいない状態(空荷状態)の運搬機械1が、積荷を積むために、積込位置LPに通じるドリフトDRを走行する(ステップSP1)。ドリフトDRを走行中においては、X軸方向に関してベッセル7の中心と車体6の中心とは一致し、ベッセル7は持ち上げられていない。管理装置80から通信システム4を介して運搬機械1に経路CSに関する情報が送信され、その情報は、運搬機械1の記憶装置52に記憶される。経路CSは、絶対位置に基づく経路である。運搬機械1の処理装置51は、管理装置80によって生成された経路CSに従って運搬機械1がドリフトDRを走行するように、走行装置5を制御する。運搬機械1は、ベッセル7が目標位置である積込位置LPに配置されるように、その積込位置LPに通じるドリフトDRを自律走行する。
【0108】
上述したように、処理装置51は、測域センサ61及び読取装置65の少なくとも一方の検出結果と、記憶装置52の記憶情報とに基づいて、ドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置を導出可能である。処理装置51は、運搬機械1が積込位置LPに向かって経路CSに従ってドリフトDRを走行するように、走行装置5を制御する。また、処理装置51は、測域センサ61及び読取装置65の少なくとも一方の検出結果に基づいて、ベッセル7が積込位置LPに配置されるように、積込位置LPに通じるドリフトDRにおいて走行装置5を制御する。
【0109】
また、測域センサ61は、ドリフトDRの壁面との相対位置を検出可能である。処理装置51は、測域センサ61の検出結果に基づいて、運搬機械1がドリフトDRの壁面に沿って走行するように、走行装置5を制御する。処理装置51は、例えば、ドリフトDRの走行中に運搬機械1がドリフトDRの壁面に接触しないように、走行装置5を制御する。
【0110】
なお、ドリフトDRにおいて、運搬機械1がドリフトDRの壁面に接触してもよい。例えば、ドリフトDRの幅(道幅)が狭い場合、又はドリフトDRのコーナーを運搬機械1が曲がる場合、運搬機械1は、ドリフトDRの壁面と接触しつつ走行してもよい。また、ドリフトDRのコーナーにガイド部材(例えばガイドレール)を設け、運搬機械1にガイド部材にガイドされる被ガイド部(例えばローラ)を設けておき、そのガイド部材に被ガイド部を接触させつつ、運搬機械1がドリフトDRのコーナーを曲がってもよい。
【0111】
本実施形態において、運搬機械1は、ドリフトDRを+Y
0方向に移動して、積込位置LPに進入する。処理装置51は、運搬機械1が積込位置LPの近傍に到着した後、走行装置5を制御して、運搬機械1を停止(停車)させる。運搬機械1が積込位置LPの近傍に到着した後、処理装置51は、測域センサ61を使って、積込機械2を検出する(ステップSP2)。処理装置51は、測域センサ61を使って、積込機械2の外形データを取得するとともに、運搬機械1と積込機械2との相対位置を検出する。処理装置51は、測域センサ61の検出結果に基づいて、積込機械2による積込位置LPにベッセル7が配置されるように、ベッセル7の位置を調整する。
【0112】
積込機械2の外形データを取得し、積込機械2との相対位置を検出することによって、処理装置51は、ベッセル7を積込作業に適した位置に配置することができる。また、処理装置51は、測域センサ61の検出結果に基づいて、ベッセル7を含む運搬機械1と積込機械2とが接触しないように、ベッセル7を積込位置LPに配置する。
【0113】
図19は、積込機械2によりベッセル7に積荷が積み込まれている状態の一例を示す斜視図であり、
図20は、側面図である。
図19及び
図20において、積込機械2は、クローラを含む下部走行体90と、下部走行体90に支持され、積荷である鉱石をベッセル7に供給可能なフィーダ装置91と、フィーダ装置91に積荷を掻き込む掻き込み装置92と、鉱石の山に貫入する貫入部材93と、を備えている。
【0114】
フィーダ装置91は、傾斜したコンベアを含む。フィーダ装置91は、そのフィーダ装置91の前部から後部に積荷を移送する。本実施形態において、フィーダ装置91の前部は、後部よりも下方に配置される。フィーダ装置91の前部(下部)に掻き込まれた積荷は、フィーダ装置91によって上昇し、フィーダ装置91の後部(供給部、上部)からベッセル7に供給される。本実施形態において、積込位置LPは、フィーダ装置91の供給部の下方の位置を含む。
【0115】
本実施形態においては、測域センサ61の検出結果に基づいて、運搬機械1と積込機械2とが接触しないように走行装置5が制御されつつ、フィーダ装置91の供給部の下方に運搬機械1の少なくとも一部が進入する。本実施形態においては、積込位置LPにベッセル7が進入するときにフィーダ装置91に近い位置に配置される上面34A及び上面44Aが低い位置に配置されているため、フィーダ装置91と車体6とが接触することが抑制される。
【0116】
図19及び
図20に示すように、処理装置51は、フィーダ装置91の供給部の下方にベッセル7が配置されるように、ベッセル7の位置を調整する(ステップSP3)。本実施形態においては、ベッセル7に積荷が積み込まれるとき、ベッセル7の少なくとも一部が車体6の外側に配置されるように、スライド機構18によってベッセル7が移動される。本実施形態においては、ドリフトDRを+Y
0方向に移動した運搬機械1に対して+X側に積込機械2が配置されている。処理装置51は、測域センサ61を使って運搬機械1と積込機械2との相対位置を検出し、その検出結果に基づいて、+X側に配置されているフィーダ装置91の供給部の下方にベッセル7が配置されるように、スライド機構18を制御する。処理装置51は、測域センサ61の検出結果に基づいてスライド機構18を制御して、ベッセル7を+X方向に移動して、積込機械2に対するベッセル7の位置を調整する。本実施形態において、処理装置51は、車体6の位置が固定された状態で、ベッセル7が積込位置LPに配置されるように、スライド機構18を使ってベッセル7を移動する。
【0117】
なお、処理装置51は、積込位置LPにベッセル7が配置されるようにベッセル7の位置を調整する場合、走行装置5を制御して、車体6を移動することによってベッセル7の位置を調整してもよい。なお、処理装置51は、ベッセル7が最適な位置に配置されるように、走行装置5及びスライド機構18の両方を制御して、路面に対して車体6を移動するとともに、車体6に対してベッセル7を移動してもよい。
【0118】
フィーダ装置91に対してベッセル7が最適な位置に配置された状態で、フィーダ装置91からベッセル7に積荷が供給される。これにより、積込機械2からベッセル7に積荷が積み込まれる(ステップSP4)。ベッセル7の位置が調整されるため、積荷の漏出(荷こぼれ)が抑制される。
【0119】
図21は、フィーダ装置91からベッセル7に積荷が供給されている状態の一例を示す模式図である。
図21に示すように、フィーダ装置91から供給された鉱石がベッセル7の一部に積み上がり、ベッセル7において積荷が偏って積まれる可能性がある。
図14及び
図15を参照して説明したように、本実施形態においては、運搬機械1は、ベッセル7の積荷の状態を検出可能な撮像装置64を備えている。本実施形態において、処理装置51は、撮像装置64の検出結果に基づいて、スライド機構18を制御して、ベッセル7の位置を調整することができる。撮像装置64は、ベッセル7の積荷の外形を検出可能である。処理装置51は、撮像装置64の検出結果に基づいて、ベッセル7において積荷が偏って積まれると判断した場合、その偏りが低減されるように、ベッセル7をX軸方向に移動して、積込機械2のフィーダ装置91に対するベッセル7の位置を調整する。
図21に示す例では、ベッセル7の−X側の端に積荷が偏って積まれているため、その偏りが改善されるように、処理装置51は、ベッセル7を−X方向に移動する。これにより、フィーダ装置91からベッセル7の+X側の端に積荷が供給されるため、ベッセル7において積荷が偏ることが抑制される。
【0120】
なお、ベッセル7の重量を検出可能な重量センサ63の検出結果に基づいて、スライド機構19によりベッセル7がX軸方向に移動して、積込機械2に対するベッセル7の位置を調整してもよい。例えば、予め定められた所定重量の増加を重量センサ63が検出する毎に、ベッセル7がX軸方向に所定距離ずつ移動してもよい。ベッセル7の重量とその重量に対応する積荷の外形(荷姿)との関係が既知である場合、処理装置51は、重量センサ63の検出結果に基づいて、積荷の荷姿が適切な形状になるように、ベッセル7を移動してもよい。
【0121】
なお、例えば、ベッセル7の重量を検出可能な重量センサ63がベッセル7の積荷の状態を検出可能な場合、その重量センサ63の検出結果に基づいて、スライド機構18によりベッセル7がX軸方向に移動されてもよい。例えば、重量センサ63が、積荷の偏りに起因するベッセル7の偏荷重を検出可能な場合、処理装置51は、その偏りが改善されるように、ベッセル7をX軸方向に移動してもよい。
【0122】
また、処理装置51は、スライド機構18を制御して、ベッセル7をX軸方向に関して往復移動(揺動)させてもよい。例えば、ベッセル7に積荷が偏って積まれたり、積荷が高く積み上がったりした場合、ベッセル7を往復移動させることによって、その積荷を均すことができる。また、積荷が均されることにより、ベッセル7における積荷の満杯率を高めることができる。
【0123】
処理装置51は、撮像装置64の検出結果に基づいて、ベッセル7の往復移動の振幅を決定してもよい。例えば、撮像装置64の検出結果に基づいて、積荷が高く積み上がっていると判断した場合、処理装置51は、振幅を大きくしてベッセル7を往復移動させてもよい。また、撮像装置64の検出結果に基づいて、積荷が積み上がっている部位が複数存在すると判断した場合、処理装置51は、振幅を小さくしてベッセル7を往復移動させてもよい。なお、処理装置51は、振幅を大きくする場合、ベッセル7の移動速度を低くし、振幅を小さくする場合、ベッセル7の移動速度を高くしてもよい。こうすることにより、積荷を効率良く均すことができる。
【0124】
また、処理装置51は、ベッセル7の積荷の外形を検出する撮像装置64、及びベッセル7の重量を検出する重量センサ63の検出結果に基づいて、ベッセル7を往復移動するか否かを判断してもよいし、往復移動の振幅及び速度の一方又は両方を決定してもよい。例えば、撮像装置64の検出結果より、ベッセル7が積荷で満杯であると判断されるにもかかわらず、重量センサ63の検出結果より、ベッセル7は未だ積荷で満杯でないと判断される場合、ベッセル7に積まれた鉱石の間に隙間がたくさん形成されていると推測される。処理装置51は、撮像装置64の検出結果と重量センサ63の検出結果とに基づいて、鉱石の間に隙間がたくさん形成されていると判断した場合、スライド機構18を制御して、ベッセル7を往復移動させる。これにより、積荷を均して隙間を無くすことができ、満杯率を高めることができる。
【0125】
ベッセル7を往復移動させる動作は、フィーダ装置91からベッセル7に積荷が供給される動作の少なくとも一部と並行して行われてもよい。すなわち、スライド機構18は、ベッセル7に積荷が積み込まれる積込作業期間において、ベッセル7を往復移動させてもよい。なお、ベッセル7を往復移動させる動作は、フィーダ装置91からベッセル7に積荷が供給された後に行われてもよい。すなわち、スライド機構18は、ベッセル7に対する積込作業後の期間において、ベッセル7を往復移動させてもよい。
【0126】
積込作業が終了した後、積荷を積んだ状態(積荷状態)の運搬機械1が、積荷を排出するために、オアパスOPに通じるドリフトDRを走行する(ステップSP5)。積込位置LPから出発した運搬機械1は、ドリフトDRを+Y
0方向に進行する。ドリフトDRを走行中においては、X軸方向に関してベッセル7の中心と車体6の中心とは一致し、ベッセル7は持ち上げられていない。処理装置51は、管理装置80によって生成された経路CSに従って運搬機械1がドリフトDRを走行するように、走行装置5を制御する。運搬機械1は、ベッセル7が目標位置であるオアパスOPに配置されるように、そのオアパスOPに通じるドリフトDRを自律走行する。
【0127】
オアパスOPに向かうときも、処理装置51は、測域センサ61及び読取装置65の少なくとも一方の検出結果と、記憶装置52の記憶情報とに基づいて、ドリフトDRにおける運搬機械1の絶対位置を導出し、運搬機械1がオアパスOPに向かって経路CSに従ってドリフトDRを走行するように、走行装置5を制御する。処理装置51は、測域センサ61及び読取装置65の少なくとも一方の検出結果に基づいて、ベッセル7がオアパスOPに配置されるように、オアパスOPに通じるドリフトDRにおいて走行装置5を制御する。また、処理装置51は、測域センサ61の検出結果に基づいて、運搬機械1がドリフトDRに沿って走行するように、走行装置5を制御する。例えば、処理装置51は、ドリフトDRの走行中に運搬機械1がドリフトDRの壁面に接触しないように、走行装置5を制御する。
【0128】
図22は、オアパスOPにおいてベッセル7から積荷が排出される状態の一例を示す図である。運搬機械1がオアパスOPに到着した後、処理装置51は、サイドダンプ機構19を作動して、ベッセル7を持ち上げる。これにより、
図22に示すように、ベッセル7の上昇に伴って、サイドゲート25が回動し、ベッセル本体24とサイドゲート25との間に開口7Kが形成される。ベッセル7の積荷は、開口7Kを介してベッセル7から排出される(ステップSP6)。
図22に示す例においては、車体6の−X側に積荷が排出されるようにベッセル7が持ち上げられる。
【0129】
ベッセル7から積荷を排出するとき、処理装置51は、スライド機構18を作動して、ベッセル7の少なくとも一部が車体6の外側に配置されるように、ベッセル6を移動してもよい。例えば、処理装置51は、スライド機構18を作動して、ベッセル7を−X方向に移動した後、サイドダンプ機構19を作動して、ベッセル7を持ち上げてもよい。処理装置51は、ベッセル7を−X方向に移動しつつ、ベッセル7を持ち上げてもよい。
【0130】
積荷の排出作業が終了した後、空荷状態の運搬機械1は、積込作業のために、積込位置LPに向かって走行を開始する。運搬機械1は、以上の処理を繰り返す。
【0131】
なお、
図19及び
図20に示した例においては、ドリフトDRを+Y
0方向に進行する運搬機械1が、+X側のクロスカットCRに配置されている積込機械2から積荷を積み込まれる例について説明した。
図3などを参照して説明したように、運搬機械1に対して−X側のクロスカットCRに配置されている積込機械2から運搬機械1に積荷が積み込まれてもよい。例えば、ドリフトDRを+Y
0方向に進行する運搬機械1に対して−X側に配置されている積込位置LPにベッセル7が配置されるように、処理装置51は、測域センサ61を使って、運搬機械1と、運搬機械1に対して−X側に配置されている積込機械2との相対位置を検出し、その検出結果に基づいて、その積込機械2のフィーダ装置91の供給部の下方にベッセル7が配置されるように、スライド機構18を制御して、ベッセル7を−X方向に移動して、積込機械2に対するベッセル7の位置を調整してもよい。この場合においても、積込位置LPにベッセル7が進入するときにフィーダ装置91に近い位置に配置される上面34B及び上面44Bが低い位置に配置されているため、フィーダ装置91と車体6とが接触することが抑制される。本実施形態においては、運搬機械1は左右対称なので、運搬機械1に対する+X側からの積荷の積込作業及び−X側からの積荷の積込作業のそれぞれが円滑に行われる。このように、運搬機械1の進行方向に対して両側のいずれか一方に積込位置LPが定められても、その両側のいずれか一方からの積込作業が円滑に行われる。
【0132】
なお、本実施形態においては、ドリフトDRを+Y方向に進行する運搬機械1が、+Y
0方向に移動しつつ積込位置LPに進入した後、運搬機械1に対する積込作業が行われ、その積込作業後、運搬機械1が積込位置LPから+Y
0方向に移動する例について説明した。もちろん、ドリフトDRを−Y
0方向に進行する運搬機械1が、−Y
0方向に移動しつつ積込位置LPに進入した後、運搬機械1に対する積込作業が行われ、その積込作業後、運搬機械1が積込位置LPから−Y
0方向に移動してもよい。運搬機械1が−Y
0方向に移動する場合、リア部6Bがフロント部として機能し、リア走行装置5Bがフロント走行装置として機能してもよい。また、そのときの積込位置LPは、運搬機械1の+X側に定められてもよいし、−X側に定められてもよい。積込位置LPが+X側に定められる場合、ベッセル7が+X側にスライドし、積込位置LPが−X側に定められる場合、ベッセル7が−X側にスライドしてもよい。また、ドリフトDRを+Y
0方向(又は−Y
0方向)に進行する運搬機械1が、+Y
0方向(又は−Y
0方向)に移動しつつ積込位置LPに進入した後、運搬機械1に対する積込作業が行われ、その積込作業後、運搬機械1が積込位置LPから−Y
0方向(又は+Y
0方向)に移動してもよい。すなわち、積込作業のために積込位置LPに進入するときと、積込作業後に積込位置LPから出発するときとで、運搬機械1の進行方向が切り替えられてもよい。本実施形態においては、運搬機械1は、前後対称なので、進行方向が切り替えられても、+Y
0方向及び−Y
0方向のいずれの方向にも円滑に走行可能である。
【0133】
<障害物検知>
上述のように、本実施形態において、運搬機械1は、障害物を検出する非接触センサ62を有する。運搬機械1がドリフトDRを走行中において、非接触センサ62がドリフトDRに存在する障害物を検出した場合、処理装置51は、通信システム4を介して、管制施設3の管理装置80に、非接触センサ62の検出結果を出力する。管理装置80は、例えば、その障害物を回避するように、経路CSを作成してもよい。
【0134】
また、非接触センサ62が運搬機械1の前方の障害物を検出した場合、処理装置51は、走行装置5を制御して、運搬機械1と障害物とが接触しないように、運搬機械1の走行を停止させたり、運搬機械1を後退させたり、障害物を回避して走行させたりしてもよい。
【0135】
図23は、運搬機械1の別の例を示す。
図23において、運搬機械1は、路面の障害物又は異物を払うバンパー150を有する。非接触センサ62により運搬機械1の前方の障害物が検出された場合、運搬機械1は、バンパー150で障害物を押しのけつつ、走行を継続してもよい。
【0136】
<バッテリ交換>
上述のように、運搬機械1の少なくとも一部は、バッテリ12から供給される電力によって作動する。
図24は、バッテリ12が保持部13及び保持部14から解放される例を示す。
図24に示すように、バッテリ12は、交換可能である。ドリフトDRの一部には、バッテリ12を交換するための交換ステーションEX(
図2参照)が設けられる。保持部13及び保持部14は、バッテリ12を着脱可能に保持する。バッテリ12の残存容量が低下した場合、運搬機械1は、交換ステーションEXに移動して、バッテリ12を交換することができる。本実施形態において、バッテリ12は、凹部37に対して前後にスライドさせることによって交換可能である。凹部47についても同様である。
【0137】
なお、本実施形態においては、保持部13及び保持部14に着脱可能に保持される機器12がバッテリであることとした。機器12は、バッテリに限定されない。例えば、走行に関するプログラムを記憶した記憶装置を含む電子機器が、保持部13及び保持部14に着脱可能に保持されてもよい。また、本実施形態においては、走行装置5が電力により作動することとしたが、燃料で走行する場合、保持部13及び保持部14に燃料を収容した容器が着脱可能に保持されてもよい。そのような機器12であっても、交換ステーションEXにおいて交換することができる。
【0138】
<管理システムによる管理>
上述の実施形態においては、運搬機械1に搭載された測域センサ61などの検出システム60を使って、運搬機械1が自律走行する例について説明した。例えば、積込機械2に配置された検出システム602、及びドリフトDRに配置された検出システム60Dを含む管理システム100を用いて、運搬機械1が制御されてもよい。
【0139】
図25は、積込機械2に搭載された検出システム602の測域センサ612、及び坑道Rに配置された検出システム60Dの測域センサ61Dの一例を示す図である。例えば、上述の実施形態においては、運搬機械1と積込機械2との相対位置が、運搬機械1に配置された測域センサ61により検出された。積込機械2に設けられた測域センサ(位置検出装置)612により、運搬機械1と積込機械2との相対位置が検出されてもよい。その相対位置の検出結果は、積込機械2から運搬機械1に送信されてもよいし、積込機械2から管理装置80を介して運搬機械1に送信されてもよい。運搬機械1の処理装置51は、その測域センサ612の検出結果に基づいて、積込機械2による積込位置LPにベッセル7が配置されるように、ベッセル7の位置を調整してもよい。処理装置51は、スライド機構18を使ってベッセル7の位置を調整してもよいし、走行装置5を使ってベッセル7の位置を調整してもよい。また、管理装置80が、測域センサ612の検出結果に基づいて、積込位置LPにベッセル7が配置されるように、支持装置17及び走行装置5に指令信号を送信してもよい。すなわち、管理装置80が、運搬機械1を遠隔操作してもよい。
【0140】
また、測域センサ61Dが、ドリフトDR及びクロスカットCRの一方又は両方の所定位置に配置されてもよい。測域センサ61Dが、積込位置LPに配置される運搬機械1及び積込機械2を検出可能な位置に配置されていれば、運搬機械1と積込機械2との相対位置を検出可能である。その測域センサ61Dの検出結果は、管理装置80を介して、運搬機械1に送信されてもよい。
【0141】
また、上述の実施形態においては、運搬機械1とドリフトDRの壁面との相対位置又は運搬機械1の絶対位置が、運搬機械1に配置された測域センサ61及び読取装置65などを含む検出システム60によって検出された。例えば、ドリフトDRに、運搬機械1に配置された識別子を読み取り可能な読取装置を複数設け、その読取装置の検出結果に基づいて、運搬機械1の絶対位置が求められてもよい。この場合、その読取装置が、ドリフトDR(坑道R)を走行する運搬機械1の位置を検出する位置検出装置として機能する。また、ドリフトDRに、運搬機械1との相対位置を検出可能な測域センサ61Dを複数設けてもよい。ドリフトDRに設けられた検出システム60Dの検出結果に基づいて、運搬機械1のベッセル7が目的位置(積込位置LP、オアパスOPなど)に配置されるように、その目的位置に通じるドリフトDRにおいて運搬機械1の走行装置5が制御されてもよい。その走行装置5の制御は、管理装置80が行ってもよい。すなわち、管理装置80が、ドリフトDRに配置された検出システム60Dの検出結果に基づいて、運搬機械1を目的位置に移動させるための指令信号を送信し、走行装置5は、その指令信号に基づいて、走行してもよい。すなわち、管理装置80が、運搬機械1を遠隔操作してもよい。
【0142】
また、ベッセル7の積荷の状態を検出可能な撮像装置(積荷検出装置、外形検出装置)が、積込機械2に搭載されてもよいし、ドリフトDRの所定位置に配置されてもよい。その撮像装置の検出結果に基づいて、ベッセル7の位置が調整されたり、ベッセル7のスライド移動量が調整されたり、ベッセル7がX軸方向に往復移動されたりしてもよい。また、運搬機械1に配置された撮像装置、積込機械2に配置された撮像装置、及びドリフトDRの所定位置に配置された撮像装置の少なくとも一つを使って検出されたベッセル7の積荷の状態に基づいて、積込機械2の積込条件が制御されてもよい。積込機械2の積込条件は、フィーダ装置91による積荷の単位時間当たりの供給量(フィーダ速度)、及びベッセル7に対する積込機械2の位置を含む。
【0143】
また、ベッセル7の積荷の状態を検出可能な、運搬機械1、積込機械2、及びドリフトDRの少なくとも一つに配置された撮像装置、及びベッセル7の重量を検出可能な重量センサの少なくとも一方の検出結果に基づいて、積込機械2の積込条件が制御されてもよい。この場合の積込機械2の積込条件は、フィーダ装置91のフィーダ速度、及び積込機械2によりベッセル7に積み込まれた積荷の積込量(総重量)の少なくとも一方を含む。
【0144】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、運搬機械1の外形及び構造が実質的に前後対称なので、運搬機械1は、フロント部6Aの前方方向である+Y方向及びリア部6Bの前方方向である−Y方向のいずれの方向にも円滑に走行可能である。運搬機械が前後対称でない場合、例えば、フロント部の前方方向に向かって走行することは可能であるが、リア部の前方方向に向かって円滑に走行できなくなる可能性がある。前後対称でない運搬機械が進行方向を切り替える場合、例えば、フロント部を+Y
0方向に向けて走行後、フロント部が−Y
0方向を向くように、坑道R内においてスイッチバック動作(切り返し動作)することが考えられる。しかし、坑道Rの大きさ(幅)は制限される場合が多い。そうすると、そのようなスイッチバック動作は困難となる可能性がある。本実施形態においては、運搬機械1が前後対称なので、そのようなスイッチバック動作などを行うことなく、いずれの方向にも円滑に進行することができる。
【0145】
また、本実施形態において、運搬機械1は、左右対称である。そのため、ドリフトDRの両側(+X
0側及び−X
0側)に積込位置LP及びドローポイントDPが定められていても、その両側からの積込作業が円滑に行われる。
【0146】
また、本実施形態においては、フロント走行装置5Aとリア走行装置5Bとの間にベッセル7が配置されているため、運搬機械1の高さが高くなることが抑制される。坑道Rの大きさ(高さ)は制限される場合が多い。本実施形態においては、運搬機械1の車高が抑制されるため、運搬機械1は、狭い坑道Rを円滑に走行可能である。
【0147】
また、本実施形態においては、前輪8が前輪駆動装置10によって駆動され、後輪9が後輪駆動装置11によって駆動される、全輪駆動方式である。したがって、走行装置5は、坑道Rを円滑に移動可能である。また、運搬機械1の前後のそれぞれに、電気モータ16をそれぞれ含む前輪駆動装置10及び後輪駆動装置11が配置されるため、運搬機械1の車高が高くなることを抑制することができるとともに、高い出力を有する電気モータ16(160)を配置することができる。
【0148】
また、本実施形態においては、ベッセル7を支持する支持装置17は、前輪8の上端部及び後輪9の上端部よりも下方に配置される。こうすることによっても、運搬機械1の高さが高くなることが抑制される。
【0149】
また、本実施形態においては、ベッセル7は、スライド機構18によりX軸方向に移動される。したがって、狭い坑道Rにおいて、ベッセル7をフィーダ装置91の下方に円滑に潜り込ませることができ、積込作業を円滑に行うことができる。すなわち、高さに制限がある坑道Rにおいて、ベッセル7とともに車体6の一部もフィーダ装置91の下方に配置することは困難である可能性が高い。本実施形態においては、ベッセル7をスライドさせてベッセル7のみをフィーダ装置91の下方に配置することが可能である。したがって、狭い坑道Rにおいても、フィーダ装置91は、積込作業を円滑に行うことができる。また、本実施形態において、ベッセル7は、+X側及び−X側の両側にスライド可能である。したがって、運搬機械1に対して+X側及び−X側のそれぞれに配置される積込機械2に対してベッセル7を円滑に位置決めすることができる。
【0150】
また、本実施形態において、支持装置17は、サイドダンプ機構19を含み、運搬機械1は、サイドダンプ方式で、ベッセル7の積荷を排出する。これにより、運搬機械1の高さが高くなることが抑制される。
【0151】
また、本実施形態においては、X軸方向に関して、フロント部6Aの上面(第1上面)34A及び上面(第1上面)34Bが、上面34Aと上面34Bとの間のバッテリ12の上面(第3上面)12Dよりも下方に配置され、リア部6Bの上面(第4上面)44A及び上面(第5上面)44Bが、上面44Aと上面44Bとの間のバッテリ12の上面12Dよりも下方に配置される。したがって、例えば、フィーダ装置91の下方にベッセル7を配置するとき、フィーダ装置91の供給部よりも下方に上面34A、上面34B、上面44A、及び上面44Bの少なくとも一つが配置された状態で、車体6の少なくとも一部をフィーダ装置91の供給部の下方に進入させることができる。そのため、フィーダ装置91と車体6との接触を抑制しつつ、フィーダ装置91の下方にベッセル7を配置することができる。また、本実施形態においては、ベッセル7の上面7Aは、上面34及び上面44と同じ高さ、又は上面34及び上面44よりも低い位置に配置されるため、フィーダ装置91と車体6との接触を抑制しつつ、フィーダ装置91の下方にベッセル7を配置することができる。
【0152】
また、上面34及び上面44を低くすることによって、フロント部6A及びリア部6Bに配置しきれなかった機器12は、X軸方向に関して中央部に配置すればよく、運搬機械1は、必要な機器12を搭載した状態で走行可能である。
【0153】
また、本実施形態において、機器12は、保持部13及び保持部14のそれぞれに着脱可能に保持されるため、機器12を円滑に交換可能である。機器12がバッテリのような消耗品である場合、あるいは、コンピュータプログラム又は電子機器のような更新される機器である場合、その機器12が交換可能であることによって、運搬機械1は、円滑に走行可能である。
【0154】
なお、本実施形態において、保持部13及び保持部14の両方が機器12を着脱可能に保持してもよいし、保持部13及び保持部14のいずれか一方が機器12を着脱可能に保持し、他方が機器12を着脱不可能に保持してもよい。
【0155】
なお、本実施形態において、上面34A、バッテリ12の上面12D、及び上面34Bを覆うように、バッテリ12を保護する保護部材(バッテリカバー)が配置されてもよいし、検出システム60の各種のセンサを取り付けるためのブラケットが配置されてもよい。その場合、X軸方向に関してフロント部6Aの一端部を含むフロント部6Aの第1上面と、他端部を含むフロント部6Bの第2上面と、第1上面と第2上面との間に配置され、第1上面及び第2上面よりも上方に配置される第3上面とを、その保護部材又はブラケットが有してもよい。すなわち、第1上面及び第2上面が、車体6とは別の部材に配置されてもよい。あるいは、第1上面及び第2上面を有する部材が、車体6(フロント部6A)の一部とみなされてもよい。リア部6Bについても同様である。
【0156】
なお、本実施形態において、ベッセル7とは異なる構造物がベッセル7に取り付けられてもよい。
図26は、ベッセル7とは異なる構造物として、バッテリ12を保護するための保護部材(バッテリガード)170がベッセル7に取り付けられている例を示す。保護部材170は、例えばベッセル7に対する積荷の積込作業において、バッテリ12に積荷(鉱石)が当たることを防止する部材である。
図26に示すように、保護部材170は、ベッセル7の上面7A、フロント部6Aの上面34、リア部6Bの上面44、及びバッテリ12の上面12Dよりも上方に配置される。なお、
図26において、ベッセル7の上面7Aは、上面34及び上面44よりも下方に配置されてもよいし、上方に配置されてもよいし、上面34及び上面44と同一平面内に配置されてもよい。なお、
図26に示す例において、保護部材170はベッセル7とは異なる構造物であるが、ベッセル7の一部とみなされてもよい。その場合、ベッセル7の上面は、上面34、上面44、及び上面12Dよりも上方に配置されることとなる。
【0157】
なお、本実施形態において、上面34(上面34A及び上面34B)が車体6(フロント部6A)に配置され、上面34Aと上面34Bとの間に配置される上面12Dが、車体6とは別の機器12に配置されることとした。車体6と機器12とが一体でもよい。すなわち、上面34と上面12Dとが単一の部材の上面でもよい。上面44(上面44A及び上面44B)と上面12Dについても同様である。
【0158】
また、本実施形態においては、ベッセル7の積荷の外形(荷姿)を検出する撮像装置64が設けられている。したがって、その撮像装置64の検出結果に基づいて、積荷の外形が所望の形状となるように、フィーダ装置91の供給部に対するベッセル7の位置を調整したり、ベッセル7を往復移動させたりすることができる。そのため、荷崩れ又は荷こぼれが抑制され、ベッセル7における積荷の満杯率を高くした状態で、その積荷を運搬することができる。
【0159】
また、本実施形態において、処理装置51は、検出システム60の検出結果に基づいて、自律走行可能である。処理装置51は、検出システム60(測域センサ61など)の検出結果に基づいて、運搬機械1と積込機械2との相対位置を求めることができるため、積込機械2に対してベッセル7を最適な位置に配置することができる。また、処理装置51は、検出システム60(測域センサ61など)の検出結果に基づいて、運搬機械1とドリフトDRの壁面との相対位置を求めることができるため、ドリフトDRとの接触を抑制しつつ、走行装置5を走行させることができる。また、処理装置51は、検出システム60(読取装置65など)の検出結果に基づいて、運搬機械1の絶対位置を求めることができるため、運搬機械1を円滑に自律走行させることができる。
【0160】
なお、上述の実施形態においては、ベッセル7は、車体6とは別体に設けられ、車体6に移動可能に支持されることとした。ベッセル7は、車体6と一体に設けられてもよい。
【0161】
なお、上述の実施形態において、運搬機械1に作業者が搭乗し、その作業者の操作によって運搬機械1が走行する、有人車でもよい。
【0162】
上述した各実施形態の構成要件は、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、所謂、均等の範囲のものを含む。また、上述した各実施形態の構成要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。