【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の第1実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。
【0026】
この図に示すように、OCT計測システム1は、低コヒーレンス光源2からの光をレンズ3を介して光ファイバー4によりファイバーカプラー(分波素子)5により光ファイバー6を介した参照光7と光ファイバー9を介した物体光10に分波し、参照光7は参照ミラー8で反射し、同一光路をファイバーカプラー(分波素子)5に戻り、物体光10は計測ヘッド11の対物レンズ12を介して、金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23に照射され、照射箇所からの表面反射光、内部散乱光、境界面反射光は同一光路をファイバーカプラー(分波素子)5に戻り、ファイバーカプラー(分波素子)5で合波干渉した光は光ファイバー13を介したレンズ14を介して回折格子15で分光され、分光器(CCDカメラ)16で合波光のスペクトルを検出し、この検出データを演算手段(PCユニット)17によりフーリエ逆変換処理して、前記透明樹脂23の断層画像を形成し、断層画像の解析により透明樹脂23の塗布領域と塗布量を検出し、表示手段(表示装置)18に表示する。つまり、ここでは、全ファイバー型の干渉計を構築し、干渉計の出力光を分光器16で波数解析することで、金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23の断層プロファイルを取得するシステムを採用している。この実施例では、透明樹脂23の走査は、透明樹脂23を移動させる走査機構により行うように構成したので、計測ヘッド11の簡素化を図ることができる。
【0027】
図2は本発明の第2実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。 この実施例では、計測ヘッド51には透明樹脂23の走査を行うガルバノミラー53を内蔵させて光学的走査を行うように構成し、透明樹脂23は所定位置にセットし、固定するようにしている。よって、透明樹脂23のセットは、正確に、かつ容易に行うことができる。
【0028】
図3は屈折率n
i とn
t の異なる媒質の境界での光反射率Rと光透過率Tの模式図である。
【0029】
この図において、光コヒーレンストモグラフィー計測システムで、被検体としての金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23の断層像を計測する場合、
図3に示すように、空気25の屈折率をn
i と透明樹脂23の屈折率をn
t とすると、屈折率n
i と屈折率n
t の異なる媒質の境界での光反射率Rは、
R=(n
t −n
i )
2 /(n
t +n
i )
2
で与えられる。
【0030】
一方、光透過率Tは、
T=4n
t n
i /(n
t +n
i )
2
で与えられる。
【0031】
図4は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の反射の模式図である。
【0032】
この図に示すように、金属基板21の金属光沢面22に透明樹脂23が塗布されている場合、透明樹脂23の屈折率が1.5とすると、透明樹脂23の塗布表面24では照射光量に対し4%しか反射しないが、透明樹脂23が塗布される金属基板21の金属光沢面22では照射光量の96%が反射する。透明樹脂23の塗布表面24と金属基板21の金属光沢面22での反射光は同軸で反射し重なるため、金属基板21の金属光沢面22の高強度の反射光量で検出が飽和してしまい、低強度の透明樹脂23の塗布表面24の反射光量を十分に検出することができない。
【0033】
また、局所的に透明樹脂23が塗布されることから、透明樹脂23の塗布表面24が
図3のようにドーム状になる。透明樹脂23の塗布部中心以外のところでは、透明樹脂23の塗布表面24が光照射軸と垂直にならず、透明樹脂23の塗布表面24からの反射光は軸外に逃げてしまい検出できない。
【0034】
このように、光コヒーレンストモグラフィー計測システムでの断層像の計測において、透明樹脂23の塗布表面24からの反射光を捉えきれないため、透明樹脂23の塗布形状から透明樹脂23の塗布領域や塗布量を検出することは簡単にはできない。
【0035】
このような現状から、本発明は、金属基板の金属面に塗布される透明樹脂23の塗布領域と塗布量を自動判定可能にして、生産ライン上で利用できるようにした、光コヒーレンストモグラフィー計測システムを提供するようにした。
【0036】
図5は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂の実形状(実際の厚さg)を示す模式図、
図6は本発明の光コヒーレンストモグラフィー計測システムを用いて計測した断面像の模式図である。
【0037】
本発明の光コヒーレンストモグラフィー計測システムで、被検体としての金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23を計測する場合、
図6に示されるように、計測される距離は被検体としての透明樹脂23の実厚さg(
図5参照)ではなく光学距離であり、光学距離は実距離g×透明樹脂23の屈折率n
t で与えられる。空気25の屈折率は、ほぼ1であるため、空気25中での測定距離は被検体としての透明樹脂23の実距離と一致するが、屈折率が1ではない媒質を測定する場合には、実距離より実距離g×(媒質の屈折率n
t −1)だけ長く測定される。例えば厚み3mmのガラス(屈折率1.5)の厚みを測定すると、4.5mmと測定される。
【0038】
そのため、平面の金属基板の金属光沢面に局所的に透明樹脂を塗布した場合、その屈折率は1以上であることから、
図6に示すように透明樹脂が塗布される位置での金属基板の位置は、透明樹脂の塗布表面が平面であるにも関わらず、塗布されていない金属基板の位置より深いところで検出されることになる。透明樹脂の塗布領域での金属基板の検出位置は透明樹脂の塗布表面を基準とすると、実距離g×媒質の屈折率n
t となり、透明樹脂が塗布されていない領域の金属基板の検出位置はg×1(空気の屈折率)となるから、透明樹脂が塗布されていない金属基板の位置を基準とすると、透明樹脂の塗布領域での金属基板の位置は、
g×(n
t −1)
となる。この量は、透明樹脂の厚みgに比例することから、この量を検出することにより、透明樹脂塗布量を求めることができる。透明樹脂が塗布されていない金属基板の位置より深層に金属基板の位置が検出されるかどうかで、透明樹脂塗布の有無を確認できる。また、十分に強度のある金属基板からの反射光を測定に使用するため、十分な検出感度が保たれる。
【0039】
図7は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図、
図8はその透明樹脂塗布部の3D像を示す図、
図9はその透明樹脂塗布部のXZ断層面を示す図、
図10はその透明樹脂塗布部のXY断層面を示す図である。
【0040】
図7において、31は電子回路の素子(金属光沢面)、32は金属光沢面31に塗布された透明樹脂(半透明の接着剤)であり、
図9において、33は素子(金属光沢面)の信号強度、34は透明樹脂部、35は配線部と素子を電気的に接続するAgペースト表面部の信号強度であり、透明樹脂32を検出できているが、ノイズとの信号強度が小さい。生産ライン上で使用するには工夫が必要である。
図10において、36,37は透明樹脂部、38,39,40はAgペースト表面部である。
【0041】
図11は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図であり、OK丸部は透明樹脂塗布有部、NG丸部は透明樹脂塗布部の無部である。
図12はそのOCT像を示す図であり、41は透明樹脂が塗布されていない素子部、42はAgペースト表面部である。
図13はその計測の判定の流れを示す図であり、
図13(a)は透明樹脂塗布部の識別を示す図であり、反射信号のピーク強度をマップを作成する。素子部や金属基板部からの反射信号は強いため(白で表示)、透明樹脂塗布部とは明確な違いが現れる。
図13(b)は透明樹脂塗布部の形状を示す図であり、反射信号の位置情報(高低情報)のマップを作成する。
図13(c)は透明樹脂塗布部の傾斜形状を数値化し、Agペースト部の上記
図13(b)の位置情報から傾斜マップを作成する。
【0042】
例えば
図12(a)の断層画像において素子部41から右方Agペースト部42にかけての境界部においてほぼ平行を維持しており素子部に透明樹脂が塗布されていないことが判る。
【0043】
これに対して
図12(b)の断層画像において素子部41から右方Agペースト部42にかけての境界部において基準面(素子面)から下降している。
【0044】
これは、素子部表面に透明樹脂が塗布されているための塗布量に応じて光学距離が伸びて表されていることを示している。
【0045】
これらの傾斜を塗布部全体として表したものが傾斜マップであり、負の傾斜(黒)から正の傾斜(白)をグレースケールで表す。
【0046】
図14は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のNG丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図、
図15は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のOK丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図である。
【0047】
傾斜マップにおいてOK丸部はその外周部に負の傾斜(黒)部分が存在し、金属基板上に透明樹脂が十分に塗布されていることが判る。
【0048】
また、NG丸部分は、その外周部に負の傾斜(黒)部分が存在せず、金属基板上に透明樹脂が塗布されていないことが判る。
【0049】
この図から明らかなように、透明樹脂の塗布領域を判別可能である。
【0050】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。