特許第6193088号(P6193088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193088金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193088
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   G01N21/17 630
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-220710(P2013-220710)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-81874(P2015-81874A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(72)【発明者】
【氏名】梅津 枝里子
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−202761(JP,A)
【文献】 特開2013−068529(JP,A)
【文献】 特開2013−108766(JP,A)
【文献】 特開2001−212086(JP,A)
【文献】 特開2004−105708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0320380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01N 21/84−21/958
G01N 33/00−33/46
G01B 9/00− 9/10
G01B 11/00−11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割し、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰させ、該回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とし、前記合波光を分光する回折格子で分光された前記合波光のスペクトルを検出し、該検出データをフーリエ逆変換処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、該断層画像の解析により前記透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示することを特徴とする金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法。
【請求項2】
低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割し、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される前記透明樹脂に走査して照射し回帰させ、該回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とし、前記合波光の位相を変調し、ビート信号を発生させ、前記合波光の干渉を検出し、該検出データを演算処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、該断層画像の解析から前記透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示することを特徴とする金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、前記物体光が金属光沢面に局所的に塗布される前記透明樹脂への走査照射は、前記透明樹脂が塗布される領域と塗布されない領域を含むことを特徴とする金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、前記透明樹脂の塗布領域と塗布量の検出は、塗布量に応じて検出位置が異なる塗布面を検出することで行うことを特徴とする金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法。
【請求項5】
低コヒーレンス光源と、該低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割する手段と、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰する手段と、前記回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とする手段と、前記合波光を分光する回折格子と、前記回折格子で分光された前記合波光のスペクトルを検出する検出手段と、該検出手段からの検出データを演算処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、該断層画像の解析から前記透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示する手段を具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【請求項6】
低コヒーレンス光源と、該低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割する手段と、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰する手段と、前記回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とする手段と、前記合波光の位相を変調し、ビート信号を発生させる手段と、前記合波光の干渉を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出データを演算処理して、前記被検体の断層画像を形成し、該断層画像の解析から前記透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示する手段を具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【請求項7】
請求項5又は6記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記物体光が金属光沢面に局所的に塗布される前記透明樹脂への走査照射は、前記透明樹脂が塗布される領域と塗布されない領域を含むことを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【請求項8】
請求項5又は6記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂の塗布領域と塗布量の検出は、塗布量に応じて検出位置が異なる塗布面を検出することで行うことを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【請求項9】
請求項5又は6記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂の走査は、前記透明樹脂を移動させる走査機構により行うことを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【請求項10】
請求項5又は6記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂は所定位置に固定し、前記物体光をガルバノミラーによる走査機構により行うことを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属光沢面に塗布される接着剤や保護膜等の透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布の有無の検査は、顕微鏡を用いて目視で行っており、OCT装置(下記特許文献2,3参照)によった透明樹脂の塗布の有無を自動判定することは実現されていないのが現状である。
【0003】
なお、OCT装置によった、被計測試料として歯を取り扱ったものが開示されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−132996号公報
【特許文献2】特開2003−329577号公報
【特許文献3】特開2002−310897号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】レーザー研究,2003年10月号:医療を中心とする光コヒーレンストモグラフィーの技術展開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属板上に配線を持つ金属基板の配線上には配線保護や絶縁、素子固定のため、半透明やほぼ透明に近い保護樹脂や接着剤(以下、透明樹脂という)が局所的に塗布されている。これらの塗布箇所において透明樹脂は、金属基板を繋ぐ金属配線領域を完全に覆う必要があり、配線付近の塗布領域及び塗布量の検出が求められている。しかし、現在では透明樹脂の塗布領域の検出は顕微鏡を用いて目視で行われ、自動検出が難しく、いまだ自動検出による塗布量の検出は実現できなかった。しかしながら、そもそも光コヒーレンストモグラフィー計測システムは、光をプローブとして用い、被検体内での光反射信号を光干渉として捉え、被検体の断層像を非接触、非侵襲で検出できるものである。光反射は、ミラーや金属光沢表面のような鏡面でおこる他、被検体内の媒質の屈折率差のあるところでも発生するが、ミラーや金属光沢面の反射では照射光量のほぼ100%が反射するのに対し、屈折率差のあるところでの反射は非常に小さい。
【0007】
したがって、金属光沢面上に透明樹脂が塗布される場合、OCTでは金属光沢面からの反射光量で検出器の感度がとられてしまい、透明樹脂の塗布表面の検出が困難であり、断層像から透明樹脂の塗布の有無及び塗布量を計測することが難しい。
【0008】
このように、光コヒーレンストモグラフィー計測システムでの断層像の計測において、透明樹脂の表面からの反射光を捉えきれないために、透明樹脂の塗布形状から透明樹脂の塗布領域や塗布量を検出することは簡単にはでいない。
【0009】
このような現状から、本発明は、金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を自動判定可能にして、生産ライン上で利用できるようにした、光コヒーレンストモグラフィー計測システムを提供するようにした。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布の塗布領域と塗布量を自動判定可能にする金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割し、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰させ、この回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とし、前記合波光を分光する回折格子で分光された前記合波光のスペクトルを検出し、この検出データをフーリエ逆変換処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、この断層画像の解析により透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示することを特徴とする。
【0012】
〔2〕金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割し、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰させ、この回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とし、前記合波光の位相を変調し、ビート信号を発生させ、前記合波光の干渉を検出し、この検出データを演算処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、この断層画像の解析から透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示することを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、前記物体光が金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂への走査照射は、透明樹脂が塗布される領域と塗布されない領域を含むことを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載の金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法において、前記透明樹脂の塗布領域と塗布量の検出は、塗布量に応じて検出位置が異なる塗布面を検出することで行うことを特徴とする。
【0015】
〔5〕光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割する手段と、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰する手段と、前記回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とする手段と、前記合波光を分光する回折格子と、前記回折格子で分光された前記合波光のスペクトルを検出する検出手段と、この検出手段からの検出データを演算処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、この断層画像の解析から前記透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示する手段を具備することを特徴とする。
【0016】
〔6〕光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割する手段と、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰する手段と、前記回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とする手段と、前記合波光の位相を変調し、ビート信号を発生させる手段と、前記合波光の干渉を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出データを演算処理して、前記被検体の断層画像を形成し、この断層画像の解析から透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示する手段を具備することを特徴とする。
【0017】
〔7〕上記〔5〕又は〔6〕記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記物体光が金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂への走査照射は、前記透明樹脂が塗布される領域と塗布されない領域を含むことを特徴とする。
【0018】
〔8〕上記〔5〕又は〔6〕記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂の塗布領域と塗布量の検出は、塗布量に応じて検出位置が異なる塗布面を検出することで行うことを特徴とする。
【0019】
〔9〕上記〔5〕又は〔6〕記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂の走査は、前記透明樹脂を移動させる走査機構により行うことを特徴とする。
【0020】
〔10〕上記〔5〕又は〔6〕記載の光コヒーレンストモグラフィー計測システムにおいて、前記透明樹脂は所定位置に固定し、前記物体光をガルバノミラーによる走査機構により行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布の塗布領域と塗布量を自動判定可能にする、金属光沢面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。
図2】本発明の第2実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。
図3】屈折率ni とnt の異なる媒質の境界での光反射率Rと光透過率Tの模式図である。
図4】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の反射の模式図である。
図5】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂の実形状(実際の厚さg)を示す模式図である。
図6】本発明の光コヒーレンストモグラフィー計測システムを用いて計測した断面像の模式図である。
図7】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図である。
図8】透明樹脂塗布部の3D像を示す図である。
図9】透明樹脂塗布部のXZ断層面を示す図である。
図10】透明樹脂塗布部のXY断層面を示す図である。
図11】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図である。
図12】OCT像を示す図である。
図13】計測の判定の流れを示す図である。
図14】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のNG丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図である。
図15】金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のOK丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の金属面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法は、低コヒーレンス光源からの光を物体光と参照光に2分割し、前記物体光を金属光沢面に局所的に塗布される透明樹脂に走査して照射し回帰させ、この回帰した物体光と前記参照光を合波し、物体光路長と参照光路長との差を可変とし、前記合波光を分光する回折格子で分光された前記合波光のスペクトルを検出し、この検出データをフーリエ逆変換処理して、前記透明樹脂の断層画像を形成し、この断層画像の解析により透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出し、表示する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の第1実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。
【0026】
この図に示すように、OCT計測システム1は、低コヒーレンス光源2からの光をレンズ3を介して光ファイバー4によりファイバーカプラー(分波素子)5により光ファイバー6を介した参照光7と光ファイバー9を介した物体光10に分波し、参照光7は参照ミラー8で反射し、同一光路をファイバーカプラー(分波素子)5に戻り、物体光10は計測ヘッド11の対物レンズ12を介して、金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23に照射され、照射箇所からの表面反射光、内部散乱光、境界面反射光は同一光路をファイバーカプラー(分波素子)5に戻り、ファイバーカプラー(分波素子)5で合波干渉した光は光ファイバー13を介したレンズ14を介して回折格子15で分光され、分光器(CCDカメラ)16で合波光のスペクトルを検出し、この検出データを演算手段(PCユニット)17によりフーリエ逆変換処理して、前記透明樹脂23の断層画像を形成し、断層画像の解析により透明樹脂23の塗布領域と塗布量を検出し、表示手段(表示装置)18に表示する。つまり、ここでは、全ファイバー型の干渉計を構築し、干渉計の出力光を分光器16で波数解析することで、金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23の断層プロファイルを取得するシステムを採用している。この実施例では、透明樹脂23の走査は、透明樹脂23を移動させる走査機構により行うように構成したので、計測ヘッド11の簡素化を図ることができる。
【0027】
図2は本発明の第2実施例を示す全ファイバー型のスペクトルドメイン型のOCT計測システムのブロック図である。 この実施例では、計測ヘッド51には透明樹脂23の走査を行うガルバノミラー53を内蔵させて光学的走査を行うように構成し、透明樹脂23は所定位置にセットし、固定するようにしている。よって、透明樹脂23のセットは、正確に、かつ容易に行うことができる。
【0028】
図3は屈折率ni とnt の異なる媒質の境界での光反射率Rと光透過率Tの模式図である。
【0029】
この図において、光コヒーレンストモグラフィー計測システムで、被検体としての金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23の断層像を計測する場合、図3に示すように、空気25の屈折率をni と透明樹脂23の屈折率をnt とすると、屈折率ni と屈折率nt の異なる媒質の境界での光反射率Rは、
R=(nt −ni 2 /(nt +ni 2
で与えられる。
【0030】
一方、光透過率Tは、
T=4nt i /(nt +ni 2
で与えられる。
【0031】
図4は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の反射の模式図である。
【0032】
この図に示すように、金属基板21の金属光沢面22に透明樹脂23が塗布されている場合、透明樹脂23の屈折率が1.5とすると、透明樹脂23の塗布表面24では照射光量に対し4%しか反射しないが、透明樹脂23が塗布される金属基板21の金属光沢面22では照射光量の96%が反射する。透明樹脂23の塗布表面24と金属基板21の金属光沢面22での反射光は同軸で反射し重なるため、金属基板21の金属光沢面22の高強度の反射光量で検出が飽和してしまい、低強度の透明樹脂23の塗布表面24の反射光量を十分に検出することができない。
【0033】
また、局所的に透明樹脂23が塗布されることから、透明樹脂23の塗布表面24が図3のようにドーム状になる。透明樹脂23の塗布部中心以外のところでは、透明樹脂23の塗布表面24が光照射軸と垂直にならず、透明樹脂23の塗布表面24からの反射光は軸外に逃げてしまい検出できない。
【0034】
このように、光コヒーレンストモグラフィー計測システムでの断層像の計測において、透明樹脂23の塗布表面24からの反射光を捉えきれないため、透明樹脂23の塗布形状から透明樹脂23の塗布領域や塗布量を検出することは簡単にはできない。
【0035】
このような現状から、本発明は、金属基板の金属面に塗布される透明樹脂23の塗布領域と塗布量を自動判定可能にして、生産ライン上で利用できるようにした、光コヒーレンストモグラフィー計測システムを提供するようにした。
【0036】
図5は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂の実形状(実際の厚さg)を示す模式図、図6は本発明の光コヒーレンストモグラフィー計測システムを用いて計測した断面像の模式図である。
【0037】
本発明の光コヒーレンストモグラフィー計測システムで、被検体としての金属基板21の金属光沢面22に塗布される透明樹脂23を計測する場合、図6に示されるように、計測される距離は被検体としての透明樹脂23の実厚さg(図5参照)ではなく光学距離であり、光学距離は実距離g×透明樹脂23の屈折率nt で与えられる。空気25の屈折率は、ほぼ1であるため、空気25中での測定距離は被検体としての透明樹脂23の実距離と一致するが、屈折率が1ではない媒質を測定する場合には、実距離より実距離g×(媒質の屈折率nt −1)だけ長く測定される。例えば厚み3mmのガラス(屈折率1.5)の厚みを測定すると、4.5mmと測定される。
【0038】
そのため、平面の金属基板の金属光沢面に局所的に透明樹脂を塗布した場合、その屈折率は1以上であることから、図6に示すように透明樹脂が塗布される位置での金属基板の位置は、透明樹脂の塗布表面が平面であるにも関わらず、塗布されていない金属基板の位置より深いところで検出されることになる。透明樹脂の塗布領域での金属基板の検出位置は透明樹脂の塗布表面を基準とすると、実距離g×媒質の屈折率nt となり、透明樹脂が塗布されていない領域の金属基板の検出位置はg×1(空気の屈折率)となるから、透明樹脂が塗布されていない金属基板の位置を基準とすると、透明樹脂の塗布領域での金属基板の位置は、
g×(nt −1)
となる。この量は、透明樹脂の厚みgに比例することから、この量を検出することにより、透明樹脂塗布量を求めることができる。透明樹脂が塗布されていない金属基板の位置より深層に金属基板の位置が検出されるかどうかで、透明樹脂塗布の有無を確認できる。また、十分に強度のある金属基板からの反射光を測定に使用するため、十分な検出感度が保たれる。
【0039】
図7は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図、図8はその透明樹脂塗布部の3D像を示す図、図9はその透明樹脂塗布部のXZ断層面を示す図、図10はその透明樹脂塗布部のXY断層面を示す図である。
【0040】
図7において、31は電子回路の素子(金属光沢面)、32は金属光沢面31に塗布された透明樹脂(半透明の接着剤)であり、図9において、33は素子(金属光沢面)の信号強度、34は透明樹脂部、35は配線部と素子を電気的に接続するAgペースト表面部の信号強度であり、透明樹脂32を検出できているが、ノイズとの信号強度が小さい。生産ライン上で使用するには工夫が必要である。図10において、36,37は透明樹脂部、38,39,40はAgペースト表面部である。
【0041】
図11は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合の透明樹脂塗布部の顕微鏡像を示す図であり、OK丸部は透明樹脂塗布有部、NG丸部は透明樹脂塗布部の無部である。図12はそのOCT像を示す図であり、41は透明樹脂が塗布されていない素子部、42はAgペースト表面部である。図13はその計測の判定の流れを示す図であり、図13(a)は透明樹脂塗布部の識別を示す図であり、反射信号のピーク強度をマップを作成する。素子部や金属基板部からの反射信号は強いため(白で表示)、透明樹脂塗布部とは明確な違いが現れる。図13(b)は透明樹脂塗布部の形状を示す図であり、反射信号の位置情報(高低情報)のマップを作成する。図13(c)は透明樹脂塗布部の傾斜形状を数値化し、Agペースト部の上記図13(b)の位置情報から傾斜マップを作成する。
【0042】
例えば図12(a)の断層画像において素子部41から右方Agペースト部42にかけての境界部においてほぼ平行を維持しており素子部に透明樹脂が塗布されていないことが判る。
【0043】
これに対して図12(b)の断層画像において素子部41から右方Agペースト部42にかけての境界部において基準面(素子面)から下降している。
【0044】
これは、素子部表面に透明樹脂が塗布されているための塗布量に応じて光学距離が伸びて表されていることを示している。
【0045】
これらの傾斜を塗布部全体として表したものが傾斜マップであり、負の傾斜(黒)から正の傾斜(白)をグレースケールで表す。
【0046】
図14は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のNG丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図、図15は金属基板の金属面に透明樹脂が塗布されている場合のOK丸を有する顕微鏡像及び透明樹脂の塗布部の傾斜マップを示す図である。
【0047】
傾斜マップにおいてOK丸部はその外周部に負の傾斜(黒)部分が存在し、金属基板上に透明樹脂が十分に塗布されていることが判る。
【0048】
また、NG丸部分は、その外周部に負の傾斜(黒)部分が存在せず、金属基板上に透明樹脂が塗布されていないことが判る。
【0049】
この図から明らかなように、透明樹脂の塗布領域を判別可能である。
【0050】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の金属面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー計測システムは、金属面に塗布される透明樹脂の塗布の塗布領域と塗布量を自動判定可能にする金属面に塗布される透明樹脂の塗布領域と塗布量を検出する方法及びその光コヒーレンストモグラフィー装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 OCT計測システム
2 低コヒーレンス光源
3 レンズ
4,6,9,13 光ファイバー
5 ファイバーカプラ(分波素子)
7 参照光
8 参照ミラー
10 物体光
11 計測ヘッド
12,54 対物レンズ
14,52 レンズ
15 回折素子
16 分光器(CCDカメラ)
17 演算手段(PCユニット)
18 表示手段(表示装置)
21 金属基板
22 金属光沢面
23,32 接着剤や保護樹脂等の透明樹脂
24 透明樹脂の塗布表面
25 空気
31 素子部(金属光沢面)
33 素子部(金属光沢面)の信号強度
34 接着剤や保護樹脂等の透明樹脂部
35 Agペースト表面部の信号強度
36,37 接着剤部
38,39,40,42 Agペースト表面部
41 接着剤が塗布されている素子部
51 計測ヘッド
53 ガルバノミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15