(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
植立穀稈を左右のデバイダ(12)によって分草し掻込リール(16)で掻き込み刈刃(13)によって刈取り、刈取られた穀稈をプラットホーム(11)内で螺旋プレート(31)を有するプラットホームオーガ(14)の掻込回転によりオーガ後壁(11b)に形成される取込口(11e)に取込ませ、取込んだ穀稈を搬送部(10)を介して脱穀部(6)に搬送供給する刈取部(9)を備え、且つ該刈取部(9)のプラットホームオーガ(14)の外周に、螺旋プレート(31)によって取込口(11e)側に集合送りされる穀稈を、取込口(11e)内に向けて掻込送りをする掻込プレート(32)を着脱自在に備えるコンバインの刈取部において、
前記プラットホームオーガ(14)から取外した掻込プレート(32)を、刈取部(9)に設けた保持部材(40)に収納自在に保持可能とし、
前記保持部材(40)を、プラットホーム(11)後部のオーガ側壁(11c)とオーガ後壁(11b)とを接合する接合片部(11f)に設けることを特徴とするコンバインの刈取部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるコンバインは、稲の収穫を行なうときプラットホームオーガによって取込口に集合送りされる稲は、穂先が重く茎稈に水分を含んで柔らかく腰が弱いことから、螺旋プレート及びフィンガ等の掻込回転によって茎稈を屈折させて十分に解された状態となって取込口に集合するため、該取込口から搬送部のフィーダハウス内にスムーズに取込まれて、コンベアの掻揚げ後方送りによって脱穀部に連続的に供給することができる。一方、麦の収穫を行なうときは、麦は茎稈が硬くて腰が強いことから折れ難い茎稈特性であるため、解されないで立ち姿のまま集合して取込口の入口を塞ぐことになるので、この入口塞ぎ穀稈が順次送られてくる穀稈のスムーズな取込みを妨げると共に、この部で大きく滞留する穀稈が一挙に取込口に取込まれることによる穀稈詰まりを発生させ易い等の欠点がある。
そこで、従来上記のような汎用型のコンバインで麦を収穫する際の刈取部には、プラットホームオーガのドラムに立設された螺旋プレートの取込口に臨む終端位置に、集合する麦穀稈を強制的に解しながら取込口内に向けて掻込送りをさせる複数の掻込プレートを取付けてコンバイン作業を行なうことが一般的である。このため上記のようなコンバインによって麦収穫を行ったのち、稲を再度収穫する際には、上記掻込プレートはドラムから取外した状態でコンバイン作業が行われることになる。そこで、このとき取外しされた掻込プレート及びボルトとナット等は、操縦部内に一時的に保管したり工具箱内に入れて保管される。従って、次に時間が経過して使用する際には、その保管場所を失念して探す手間を要したり、掻込プレートやボルト等の部品を散逸し易いため、一連のコンバイン作業を非能率にする等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、第1に、植立穀稈を左右のデバイダ12によって分草し掻込リール16で掻き込み刈刃13によって刈取り、刈取られた穀稈をプラットホーム11内で螺旋プレート31を有するプラットホームオーガ14の掻込回転によりオーガ後壁11bに形成される取込口11eに取込ませ、取込んだ穀稈を搬送部10を介して脱穀部6に搬送供給する刈取部9を備え、且つ該刈取部9のプラットホームオーガ14の外周に、螺旋プレート31によって取込口11e側に集合送りされる穀稈を、取込口11e内に向けて掻込送りをする掻込プレート32を着脱自在に備えるコンバインの刈取部において、前記プラットホームオーガ14から取外した掻込プレート32を、刈取部9
に設けた保持部材40に収納自在に保持
可能とし、前記保持部材40を、プラットホーム11後部のオーガ側壁11cとオーガ後壁11bとを接合する接合片部11fに設けることを特徴としている。
第2に、
植立穀稈を左右のデバイダ12によって分草し掻込リール16で掻き込み刈刃13によって刈取り、刈取られた穀稈をプラットホーム11内で螺旋プレート31を有するプラットホームオーガ14の掻込回転によりオーガ後壁11bに形成される取込口11eに取込ませ、取込んだ穀稈を搬送部10を介して脱穀部6に搬送供給する刈取部9を備え、且つ該刈取部9のプラットホームオーガ14の外周に、螺旋プレート31によって取込口11e側に集合送りされる穀稈を、取込口11e内に向けて掻込送りをする掻込プレート32を着脱自在に備えるコンバインの刈取部において、前記プラットホームオーガ14から取外した掻込プレート32を、刈取部9に設けた保持部材40に収納自在に保持可能とし、前記保持部材40を、プラットホーム11のオーガ後壁11bと搬送部10のフィーダハウス20とで形成されるコーナー状の空間スペースSに設けることを特徴としている。
第3に、
植立穀稈を左右のデバイダ12によって分草し掻込リール16で掻き込み刈刃13によって刈取り、刈取られた穀稈をプラットホーム11内で螺旋プレート31を有するプラットホームオーガ14の掻込回転によりオーガ後壁11bに形成される取込口11eに取込ませ、取込んだ穀稈を搬送部10を介して脱穀部6に搬送供給する刈取部9を備え、且つ該刈取部9のプラットホームオーガ14の外周に、螺旋プレート31によって取込口11e側に集合送りされる穀稈を、取込口11e内に向けて掻込送りをする掻込プレート32を着脱自在に備えるコンバインの刈取部において、前記プラットホームオーガ14から取外した掻込プレート32を、刈取部9に設けた保持部材40に収納自在に保持可能とし、前記保持部材40を、掻込プレート32を取付けるボルト孔41を形成した板状の取付部材にすると共に、上記保持部材40に取外したデバイダ12を取付け自在に構成することを特徴としている。
第4に、
植立穀稈を左右のデバイダ12によって分草し掻込リール16で掻き込み刈刃13によって刈取り、刈取られた穀稈をプラットホーム11内で螺旋プレート31を有するプラットホームオーガ14の掻込回転によりオーガ後壁11bに形成される取込口11eに取込ませ、取込んだ穀稈を搬送部10を介して脱穀部6に搬送供給する刈取部9を備え、且つ該刈取部9のプラットホームオーガ14の外周に、螺旋プレート31によって取込口11e側に集合送りされる穀稈を、取込口11e内に向けて掻込送りをする掻込プレート32を着脱自在に備えるコンバインの刈取部において、前記プラットホームオーガ14から取外した掻込プレート32を、刈取部9に設けた保持部材40に収納自在に保持可能とし、前記掻込プレート32を、プラットホーム11のオーガ側壁11cに設けた保持部材40に取付けると共に、取外したデバイダ12を、プラットホーム11のオーガ後壁11bにコーナー状の空間スペースSに臨ませて取付けることを特徴としている
。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、プラットホームオーガの外周に、螺旋プレートによって取込口側に集合送りされる穀稈を、取込口内に向けて掻込送りをする掻込プレートを着脱自在に備える刈取部において、前記プラットホームオーガの外周から取外した掻込プレートを、刈取部に対して設けた保持部材に収納自在に保持させることにより、プラットホームオーガから取外した掻込プレート及びボルト等を、本機側でなく刈取部に対し外観し易いプラットホームオーガに近い位置等に設けた保持部材に収納することができるため、掻込プレート及びボルト等の収納を速やかに行うことができると共に、掻込プレート及びボルト等の再取付け作業を部品の散逸を防止しながら能率よく行うことができる。
また、前記保持部材を、プラットホーム
後部のオーガ側壁とオーガ後壁とを接合する接合片部に設けることにより、プラットホームオーガに対する掻込プレートの着脱作業と保持部材に対する着脱作業を、作業者は共に略同じ立ち姿の作業姿勢で行なうことができると共に、大きく移動することなく略その場で行うことができるため、掻込プレートの数毎に行なう交互着脱切換作業を部品の散逸も防止しながら行い易くすることができる。
請求項
2の発明によれば、前記保持部材を、プラットホームのオーガ後壁と搬送部のフィーダハウスとで形成されるコーナー状の空間スペースに設けることにより、掻込プレートは空間スペースを有効利用して保持することができると共に、保持部材に保持された掻込プレートは、側方に大きく突出しないため邪魔になる等の影響なく収納することができる。
請求項
3の発明によれば、前記保持部材を掻込プレートを取付けるボルト孔を形成した板状の取付部材にすると共に、上記保持部材に取外したデバイダを取付け自在に構成することにより、掻込プレートを取付ける保持部材をデバイダの保持部材として利用することができるので、デバイダやボルトの散逸を防止しながら部品数を増やすことなく簡潔で廉価なデバイダ収納構造にすることができる。また本機側でなく刈取部の特に空間スペース内に収納するようにしたデバイダは着脱作業性に優れると共に、側方に大きく突出せず他に影響なく収納することができる等の特徴がある。
請求項
4の発明によれば、前記掻込プレートを、プラットホームのオーガ側壁に設けた保持部材に取付けると共に
、取外したデバイダを、プラットホームのオーガ後壁にコーナー状の空間スペースに臨ませて取付けることにより、掻込プレートとデバイダは、プラットホームのオーガ側壁とオーガ後壁を利用して刈取部の後方に近接状態で個別に纏めて収納できるため、両者の収納構造を簡潔な構成にすることができると共に、それぞれの着脱作業を行い易くすることができる。またコーナー状の空間スペースに臨ませてオーガ後壁に収納されるデバイダは、オーガ側壁からはみ出すことなく保持されるので、人体や他物との接触を防止し荷積み作業や納屋等の格納場所での運転を行い易くすることができる等の特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図示する符号Aは本発明に係る掻込プレート収納構造1を備えた汎用型のコンバインであり、このコンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部2aを備える走行機体2に、右側の前部から操縦部3とエンジンが搭載される原動機部4と穀粒排出オーガ装置5aを備えるグレンタンク5とを配設している。また走行機体2の左側には、スレッシャー型の脱穀部6を配設し、該脱穀部6の前方位置に刈取部9と搬送部10等を昇降自在に支持し、刈取部9による作物の刈高さ調節を自在とするように設置している。
【0009】
これにより圃場に植立する作物を刈取部9で刈取り、刈取った作物は搬送部10を介し脱穀部6に搬送し、脱穀部6により脱穀選別された穀粒(精粒)をグレンタンク5に供給して貯留する。そして、貯留した穀粒は穀粒排出オーガ装置5aから機外に排出して回収する。上記穀粒排出オーガ装置5aは、グレンタンク5の後部に縦軸中心に回動自在に立設される縦螺旋筒体5bと、該縦螺旋筒体5bの上端側に中継筒体5cを介して上下揺動自在に連結した横螺旋筒体5d等からなり、筒内部に一連に内装している螺旋体をエンジン側から変速駆動機構を介して回転駆動させるようにしている。尚、変速駆動機構は油量調節によって変速自在な油圧モータにすることが望ましいものであり、この場合には、上記油量調節操作用の操作スイッチを、操縦部3並びに地上操作用のリモコン機器に対して容易に設置することができる等の利点がある。
【0010】
次に、刈取部9の構成について
図1〜
図7を参照し詳述する。この刈取部9は、刈取幅を有するプラットホーム11の前端部に左右一対のデバイダ(分草具)12を着脱自在に設けており、該デバイダ12,12間の後方位置に刈刃13を設けると共に、該刈刃13の後方に後述する構成からなるプラットホームオーガ14を設け、プラットホーム11の後端上部に左右一対のリール支持アーム15の基端を取付け、且つ両リール支持アーム15,15間に収穫機用リールとしての掻込リール16を回転自在に軸支している。また未刈地側となる左側のデバイダ12の後方には、植立穀稈を側方に向けて傾倒案内するナローガイド17を作用姿勢と格納姿勢とに切換自在に配設している。
【0011】
上記プラットホーム11はそのフレーム構造を、プラットホームオーガ14の下方に沿って敷設されるオーガ底板11aと、その後方から上方に向けて立ち上がるオーガ後壁11bと、該オーガ底板11aとオーガ後壁11bとの両端を接続して立設されるオーガ側壁11cとによって構成している。実施形態のプラットホーム11は、左右のオーガ側壁11cの各後端片とオーガ後壁11bの左右側端を後方に向けて屈曲させた左屈曲片とを、ボルト又は溶着等の接合手段によって接合してリブ状の接合片部11fを有するフレーム構造となしている。そして、左右のオーガ側壁11cにプラットホームオーガ14を駆動軸14a(
図5)を介して回転駆動自在に軸支している。
【0012】
またオーガ後壁11bは、左側寄りの中途部に搬送部10に通ずる取込口11eを開設しており、該取込口11eを囲う位置の背後に搬送部10の搬送路を形成するフィーダハウス10aの先端を一体的に接続している。これにより搬送部10は、プラットホーム11内でプラットホームオーガ14によって集合送りされる穀稈を、取込口11eから取込んで、取込んだ穀稈をフィーダハウス10a内に沿って張設されるコンベア10bを介して掻揚げ後方送りし脱穀部6に供給する。
【0013】
また上記構成によるプラットホーム11は平面視において、オーガ後壁11bの左右側とフィーダハウス10aの左右側壁とにより、コーナー状をなす空間スペースSを形成している。またオーガ後壁11bの右側と操縦部3の前部との間には、刈取部9の昇降移動を許容する移動スペースを有している。そして、図示例のプラットホーム11は、その左側後部並びに左側の空間スペースSに対して、後述する掻込プレート32を一時的に収納することができる掻込プレート収納構造1を構成していると共に、必要によって前記デバイダ12を収納保管するデバイダ収納構造1aを構成するようにしている。
【0014】
掻込リール16は、左右のリール外枠16a,16a間に複数のタイン18を有するタイン取付バー19を円周方向に掻き込み間隔を有して横設しており、下向き矢印方向(
図1)に回転駆動することにより、植立穀稈を刈刃13側に誘導しプラットホーム11内に掻き込む。これにより刈取部9は、作物(穀稈)をリール16によって掻き込みながら刈刃13で刈取り、刈取った穀稈をプラットホームオーガ14を介して搬送部10内に取込み後方搬送をしてフィーダハウス10aの終端部から脱穀部6に供給する。
【0015】
次に、
図3〜
図8を参照し前記掻込リール16の下方左右に配設されるデバイダ12ついて説明する。各デバイダ12はプラットホーム11の両端から前方に向けて突設されるデバイダ取付部材20の先端に着脱自在に取付けられており、コンバイン作業時に植立穀稈を機体の前進走行にともない左右に仕分けて分草する。図示例のデバイダ12は、従来のものと同様に、デバイダ本体12aと該デバイダ本体12a内から後方に向けて突設される取付部12bとからなる。デバイダ本体12aは、先鋭状の前部から後方に向けて末広がり状をなすように平面視で扇形状をなし、且つ側面視で前部から後方に向けて順次高くなるように傾斜させた分草斜面を形成している。また取付部12bは縦板状の板面にボルト21を挿入する複数(図示例では2個)の取付孔22を上下方向に穿設している。
【0016】
上記デバイダ取付部材20は、先端に設けた縦板状の取付部20aに、上記ボルト21を挿入する複数の取付孔23を上下方向に穿設している。(
図8)これによりデバイダ12は、その取付部12bをデバイダ取付部材20の取付部20aに一側から重ねた状態で両者の取付孔22と取付孔23に各ボルト21を挿入しナット掛け等の締着手段によって、デバイダ取付部材20の先端に着脱自在に取付けることができる。尚、上記左右のデバイダ12は前記左側の空間スペースSにおいて、後述するデバイダ収納構造1aによって収納保持するようにしている。
【0017】
次に、
図1〜
図9を参照し前記プラットホームオーガ14及び掻込プレート収納構造1ついて説明する。先ず、プラットホームオーガ14は、
図4〜
図6に示すように前記駆動軸14aを介して矢印方向に掻込回転駆動自在に軸支される円筒状のドラム30と、該ドラム30内で軸支し穀稈を掻込むように出没自在に内装される複数のフィンガ31a等からなる。上記ドラム30は、ドラム外周面に左右端から螺旋方向を異にして取込口11e側に向けて穀稈を掻込送りをする左右の螺旋プレート31を立設している。尚、上記フィンガ31aは、公知の構成によってドラム30内で駆動軸14aの前方下方に変位させて固設されるフィンガ軸31bに回動自在に軸支した状態で、先端側をドラム30に穿設されるフィンガ孔にスライド自在に挿入している。これにより各フィンガ31aは、ドラム30の回転に伴い前方及び下方側で大きく突出し、且つ後方及び上方側で短く突出して穀稈の掻込を行う。
【0018】
またドラム30の外周面には、前記左右の螺旋プレート31の送り方向終端側に、穀稈を該取込口11eに向けて強制的に掻込送りをする掻込プレート(掻込部材)32を、取込口11eの左右に対向する前方位置で180度の位相を設けて着脱自在に設置している。即ち、実施形態の掻込プレート32は、
図5,
図6に示すように、ドラム30の直径方向に対をなして対向する位置で左右の螺旋プレート31に近接させて固設した側面視でV字状のアングル部材で形成した取付座33に対し、複数(図示例では2個)のボルト35とナット35aとによって着脱自在に取付けている。上記取付座33は、先鋭状の屈曲部が回転方向下手となるように下辺をドラム30に固設しており、後退角を有する上辺に2つのボルト孔36を横方向に穿設している。
【0019】
左右の掻込プレート32は、方形状の平板を側面視で逆Z状に屈曲した形状にしており、これにより前記取付座33の上辺に重ねた状態でボルト孔36に合致するボルト孔37を穿設した下辺部32aと、該下辺部32aから直角状に立設した掻込片部32bと、該掻込片部32bから後方に向けて直角状に屈曲させた跳出片部32cを形成し、取付け高さを螺旋プレート31の高さと同等又はやや低くし、且つ長さ(幅)を取込口11eの半分程度にしている。そして、
図6に示すように各掻込プレート32は、下辺部32aを取付座33の上辺に重ね、両者を各ボルト孔37とボルト孔36にボルト35を挿入しナット35aによって締着固定するようにしている。
【0020】
これによりコンバインAは、茎稈が硬く折れに難い麦等の穀稈を収穫する場合に、掻込プレート32を装着したプラットホームオーガ14が、左右の螺旋プレート31及び各フィンガ31aによって穀稈を取込口11eに向けてスムーズに集合送りをする。このとき取込口11eの入口を略立姿で塞ぐように集合する穀稈(立塞ぎ穀稈)の中途に対し、取込口11eに至る掻込プレート32が掻込回転によって接当するため、当該穀稈を屈曲または粉砕しながら取込口11e内に強制的に入り込ませる。これにより立塞ぎ穀稈による取込口11eの穀稈詰まりを生じさせることなく、穀稈を搬送部10内にスムーズに取込ませ脱穀部6に連続的に供給する。
【0021】
また掻込プレート32は逆Z形状にしているため、掻込片部32bと跳出片部32cとで形成される屈曲頂部が穀稈の中途部に強く接当して麦の茎稈を確実に屈曲又は切断粉砕すると共に、砕いた穀稈を跳出片部32の後退傾斜面によって取込口11e内に向けて速やかに取り込ませることができる。そして、上記掻込プレート32は、矢印方向の掻込回転により前方の上方から下方に回転移動するので、左右の螺旋プレート31の終端間で前方からの刈取穀稈と側方から送られる集合穀稈とを共に砕きながら取込口11eに向けて掻込送りをする。
【0022】
一方、上記のように掻込プレート32をプラットホームオーガ14に装着した麦収穫作業仕様のコンバインAを稲収穫作業仕様に切換えて稲を収穫する場合には、上記掻込プレート32をボルト35とナット35aを緩めて共に取付座33から外した状態にして行う。即ち、この場合に水分が多く茎稈が柔らかい稲は、プラットホームオーガ14によって取込口11eに集合送りされる際に、螺旋プレート31及びフィンガ31a等の掻込回転によって茎稈が十分に屈折して解された状態になるため、取込口11eを詰まらせることなく搬送部10のフィーダハウス10a内にスムーズに取込まれ、コンベア10bの掻揚げ後方送りによって脱穀部6に連続的に供給される。
【0023】
次に、
図6〜
図8を参照し掻込プレート収納構造1について詳述する。先ず、プラットホーム11は、左側オーガ側壁11cの後端片とオーガ後壁11bの左側端を後方に向けて屈曲させた左屈曲片とを、ボルト又は溶着等の接合手段によって接合することにより、リブ状の接合片部11fを有するフレーム構造にしている。そして、図示例の掻込プレート収納構造1は、上記接合片部11fを利用し、その上下方向に沿って前記2つの掻込プレート32を取付ける各対をなすボルト孔41を穿設して保持部材40にすることにより構成している。
【0024】
上記構成による掻込プレート収納構造1によれば、保持部材40をプラットホーム11のフレーム構造を製作する際に形成される接合片部11fを保持部材40としているので、特別な取付部品(保持部材)を要することなくプラットホーム11の後方の構造部材を利用し、掻込プレート収納構造1を簡潔で安価な構成にすることができる。これにより掻込プレート収納構造1は、掻込プレート32を
図7に実線と点線で示すように、接合片部11fの内側又は外側の取付面を適宜選択して接当させた状態で、両者のボルト孔37,41にボルト35を挿入し、次いでナット35aを掛けて締着することにより掻込プレート32を安定よく取付保持することができる。
【0025】
即ち、麦収穫作業から稲収穫作業を行うときは、プラットホームオーガ14に取付けられている掻込プレート32を、ボルト35とナット35aと共に取付座33から取外すと共に、
図3,
図7に示すように掻込プレート32を、接合片部11fの取付面に接当させた状態で両者のボルト孔37,41にボルト35を挿入し、ナット35aを締付け取付けることにより簡単に収納保持することができる。
【0026】
これによりコンバインAは、掻込プレート32を外したプラットホームオーガ14が、稲穀稈の掻込送りをスムーズに行ない稲収穫を能率よく行う。また次に麦収穫作業を行なうときは、保持部材40に保持している掻込プレート32をボルト35とナット35aを共に外したのち、該ボルト35とナット35aとによって掻込プレート32を取付座33に取付けて、掻込プレート32を装着したプラットホームオーガ14が、麦穀稈の掻込送りをスムーズに行ない麦収穫を能率よく行う。
【0027】
以上のように構成される掻込プレート収納構造1を備えたコンバインAは、刈取部9に掻込プレート32及びボルト35とナット35aを収納自在に保持させる保持部材40を設けていることにより、稲収穫作業を行うとき、ドラム30から取外された掻込プレート32及びボルト35等を保持部材40を介して簡単に収納することができる。このとき取外した掻込プレート32は、プラットホームオーガ14から離れた本機側でなく、刈取部9に対し外観し易いプラットホームオーガ14の近傍位置に構成される掻込プレート収納構造1に対し、外したボルト35とナット35aによって取付けるようにしているため、掻込プレート32及びボルト等の収納箇所を敢えて探すことなく速やかに収納することができると共に、掻込プレート32及びボルト等の部品の散逸を防止することができる。
【0028】
また麦収穫作業への切換時において、収納場所を時間の経過等により失念していたとしても、この場所は容易に外観することができて認知できることから、掻込プレート32の再取付け作業も能率よく行うことができる等の特徴がある。さらに、保持部材40はプラットホーム11の後部に設けることが望ましく、この場合には、プラットホームオーガ14に対する掻込プレート32の着脱作業と保持部材40に対する着脱作業を、作業者は共に略同じ立ち姿の作業姿勢で行なうことができると共に、大きく移動することなく略その場で行うことができるため、掻込プレート32の数毎に行なう交互着脱切換作業を部品の散逸も防止しながら行い易くすることができる等の特徴がある。
【0029】
また保持部材40を接合片部11fに構成することができない構造である場合には、オーガ側壁11cの後部側面の適所に対し、
図7に点線で示すようにボルト孔41を穿設することにより、この部を保持部材40として掻込プレート収納構造1を簡単に構成することができる。即ち、この場合のボルト孔41は、オーガ側壁11cに対しドラム30の側方を避けて該ドラム30の後方上部に穿設することが望ましい。これにより掻込プレート32の下辺部32aをオーガ側壁11cの外側面に接当させて両者にボルト35を挿入した状態で、プラットホーム11の内部に手を差し込んで、当該ボルト35に対しナット35aを掛けて締着することができるので、ドラム30に支障されることなく容易に取付けることができる。
【0030】
次に、掻込プレート収納構造1の別実施形態について
図3,
図7〜
図9を参照し説明する。尚、前記実施形態のもと同様の構成及び作用については説明を省略する。この場合の掻込プレート収納構造1は、オーガ後壁11bの左側後面に掻込プレート32を着脱自在に収納するボルト孔41を有する保持部材40を突設することにより、掻込プレート32を刈取部9の後方に形成される前記コーナー状をなす空間スペースSを利用して外観し易く収納するようにしている。
【0031】
即ち、図示例の保持部材40は、長方形の板状体となし長辺部をオーガ後壁11bの左側後面に縦向きにして突設し、その上下方向の取付面に沿って2つの掻込プレート32を取付ける各対をなすボルト孔41を穿設している。これにより
図7に点線で示すように掻込プレート32を、保持部材40の取付面に接当させた状態で、両者にボルト35を挿入しナット35aを締着することにより、前記実施形態のものと同様に取付けて収納することができる。従って、この掻込プレート収納構造1によれば、掻込プレート32を保持部材40を介して空間スペースS内に纏めて収納した状態で、外観し易く且つ着脱作業も容易に保持することができる。
【0032】
そして、上記のように設ける保持部材40は、後述する構成にすることにより、デバイダ12を着脱自在に取付けるデバイダ収納用の保持部材としても兼用させることができる。この場合には
図8,
図9に示すように当該保持部材40に対し、デバイダ取付用のボルト孔42を穿設付加することによって構成する。これにより上記掻込プレート収納構造1の保持部材40は、デバイダ12を着脱自在に収納するデバイダ収納構造1aを簡潔で廉価に構成することができ、図示する左側の空間スペースSに対して、デバイダ12を利便性を有して一時的に収納することができる。
【0033】
即ち、図示例のデバイダ収納構造1aは、保持部材40に対し前記左右のデバイダ12の取付部12bに穿設される複数の取付孔22と合致する複数(図示例では2個)の取付孔43を、板状体の上下にそれぞれ前記後方向(横向き)に穿設することによって構成することができる。また上記保持部材40は、オーガ後壁11bの背面に対し、取付けられる左右のデバイダ12がオーガ後壁11bの側方及び上下方向から大きく突出しない位置に設けるようにする。
【0034】
上記構成により、左右のデバイダ12は、デバイダ取付部材20に取付けられた分草作業状態から、ボルト21を緩めて除去することにより、デバイダ取付部材20の取付部20aから取外すことができる。そして
図8,
図9に示すように、外された左右のデバイダ12は、各取付部12bを保持部材40の上下のボルト孔42を選択し取付孔22を合致させ、両者に対し取外しされたボルト21を挿入して締着する。これにより左右のデバイダ12は、保持部材40に対し上下に振り分けた状態で取付けた収納姿勢で保持することができる。(
図9)
【0035】
従って、左右のデバイダ12は収納姿勢において、前記適正位置に設置された保持部材40に、互いの取付部12bを上下方向に近接させて取付けられるため、空間スペースS内にコンパクトに纏めて取付けた収納姿勢になる。このとき上下のデバイダ12の先端はオーガ後壁11bの背後で、上下方向にはみ出したりフィーダハウス10aに接当することなく近接した位置に取付けられ、且つ他物との接触を防止するように収納される。さらに、空間スペースSは側方が広く開放されていると共に、保持部材40は地上から離間した適正高さ位置にあるため、デバイダ12の取付け及び取外し等の着脱作業を能率よく簡単に行うことができる。
【0036】
さらに、このデバイダ収納構造1aは、デバイダ12を保持するためのデバイダ保持用の保持部材40をデバイダ取付部材20の取付部12bと同形状となして、デバイダ12を同一のボルト21によって着脱自在に取付けるようにしているため、簡単で廉価な構成にすることができると共に、ボルト21の散逸を防止しながら、デバイダ12のデバイダ取付部材20と保持部材40との択一的な着脱作業を能率よく行うことができる等の特徴がある。
【0037】
またデバイダ12を上記デバイダ収納構造1aに保持したコンバインAは、機体下部の全長がデバイダ12の長さ分だけ短くなり、積載スペースを少なくすることができるので、生産工場からトラック積みやコンテナ積みをする際に、効率の高い積み込み作業を行いながら輸送することができる。また収納したデバイダ12は、オーガ側壁11cからはみ出すことなく保持されるので、人体や他物との接触を心配することなく、荷積み作業や納屋等の格納場所での運転を能率よく行うことができる。
【0038】
そして、プラットホーム11のオーガ後壁11bと搬送部10のフィーダハウス10aとで形成されるコーナー状の空間スペースSにデバイダ収納構造1aを設けたコンバインAは、フィーダハウス10a内の清掃や点検及び修理等のメンテナンス作業を行なう際に、例えばフィーダハウス10aの上側壁に設けられる蓋カバーを、作業者が側方又は該側方から上側壁に上り開けて行なうとき、収納状態にあるデバイダ12に邪魔されることなくメンテナンス作業を行うことができる。
【0039】
さらに上記構成によれば、掻込プレート32をプラットホーム11のオーガ側壁11cに設けた保持部材40に取付けると共に、前記取外したデバイダ12をプラットホーム11のオーガ後壁11bにコーナー状の空間スペースSに臨ませて取付けるようにしてもよく、この場合には掻込プレート32とデバイダ12は、プラットホーム11のオーガ側壁11cとオーガ後壁11bを利用して刈取部9の後方に近接状態で個別に纏めて収納できるため、両者の収納構造を簡潔な構成にすることができ、またそれぞれの着脱作業を行い易くすることができる。また空間スペースSに臨ませてオーガ後壁11bに収納されるデバイダ12は、前記したものと同様にオーガ側壁11cからはみ出すことなく保持されるので、運転を行い易くすることができる等の特徴がある。
【0040】
従って、コンバインAの荷積み作業や路上走行をする際に、従来、デバイダ12の先端に取付ける必要のあるバンパを省略でき割安な構成にでき、またデバイダ12と人体との接触を懸念することなく、道路交通法で定められる安全な運転を行うことができる。尚、図示例では掻込プレート収納構造1及びデバイダ収納構造1aを、刈取部9の左側に対し、掻込プレート32及びデバイダ12を纏めて収納するように構成したが、
図9に示すように、オーガ後壁11bの右側の背後に保持部材40を設けて構成してもよいものである。また上記掻込プレート収納構造1及びデバイダ収納構造1aは、前記設置位置に限定することなく、例えばフィーダハウス10aの側壁や底板の裏側或いは掻込リール16の取付機構の後部等に設けてもよい。