(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一のコネクター部に電流を供給したときに、当該一のコネクター部から供給された電流を自己の他のコネクター部に分流する分流経路と、自己の有機EL装置へ供給する自己導電経路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機ELモジュール。
面状に広がりを有する基材に、2層の電極層と、前記電極層に挟まれた有機発光層が積層され、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置と、前記発光面の裏面側に少なくとも3つのコネクター部を有する有機ELモジュールにおいて、
前記有機EL装置は、基材を平面視したときに、駆動時に実際に発光する発光領域を有し、
前記有機EL装置は、前記2層の電極層のうち一方の電極層と電気的に接続された給電部を2以上有し、
前記有機EL装置の給電部とコネクター部を電気的に接続する導電部材を備え、
前記導電部材は、有機EL装置の発光領域を囲む環状部と、環状部から発光領域内に延びた接続部を有し、
当該環状部は各給電部と接続されており、
前記接続部は、発光領域内でベース部材と直接的又は間接的に接続されている端子部を有し、
当該端子部を経由して有機EL装置とコネクター部が電気的に接続されていることを特徴とする有機ELモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の照明装置の給電構造を採用する場合、有機ELモジュールを取り付ける前にあらかじめ設置環境(例えば、電源位置や設置位置など)に合わせて、電線の長さや突出端子の距離を厳密に設計する必要がある。そのため、リフォームや模様替えなどの理由によって、レイアウトの変更が必要になった場合でも、既存の給電構造に合わせたレイアウトにしか変更できない。それ故に、有機ELモジュールの配置替えなどをする場合には、設置場所の制約が少ないという有機ELモジュールの長所が損なわれる問題があった。
また、特許文献1の給電構造は、レイアウトの変更などに伴って有機ELモジュールを増設する場合に、電線に接続されたすべての突出端子に有機ELモジュールが接続されていると、新たに有機ELモジュールを増設することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、有機ELモジュールの特長を活かすものであり、設置環境に合わせて、容易にレイアウトを変更できる有機ELモジュールを提供することを課題とする。また、その有機ELモジュールを用いた給電構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置と、前記発光面の裏面側に配置された少なくとも3つのコネクター部とを有する有機ELモジュールにおいて、前記有機EL装置は、面状に広がりを有する基材に、2層の電極層と、前記電極層に挟まれた有機発光層が積層されており、前記コネクター部は、平面状に広がりをもって配置されたものであり、前記コネクター部は、少なくとも給電端子を有し、前記給電端子は、電気的に並列に接続され、かつ、当該2層の電極層と電気的に接続されていることを特徴とする有機ELモジュールである。
【0010】
本様相によれば、コネクター部は、平面状に広がりをもって分布されるものである。すなわち、少なくとも3つのコネクター部は、直線状に連なって配されていない。また、本様相によれば、それぞれのコネクター部の給電端子が互いに電気的に並列に接続されているとともに、有機EL装置内の電極層と電気的に接続されている。そのため、当該コネクター部のうち、どのコネクター部の給電端子に外部電源を電気的に接続させても、有機EL装置の電極層間に電圧を印加することが可能であり、有機発光層を発光させることが可能である。
さらに、当該コネクター部のうち、いずれのコネクター部の給電端子に外部電源を電気的に接続しても、有機EL装置を発光させることができるため、有機ELモジュールの設置状況に合わせて、外部電源を接続するコネクター部を選択することができる。それ故に、たとえレイアウトの変更を行う場合であっても、所望のレイアウトに合わせて、好適に接続できるコネクター部を選択できる。すなわち、本様相の有機ELモジュールは、レイアウトの変更に柔軟に対応でき、有機ELモジュールの設置場所の制約が少ない。
【0011】
そして、本様相によれば、コネクター部の給電端子がそれぞれ電気的に並列に接続されている。そのため、例えば、1つのコネクター部の給電端子に外部電源を接続し、その他のコネクター部の給電端子と、他の有機ELモジュールのコネクター部の給電端子と、を電気的に接続させることによって、当該外部電源から有機ELモジュールを介して、当該他の有機ELモジュールに電力を供給することができる。すなわち、本様相の有機ELモジュールは、給電端子間を接続する給電用の配線の一部としても機能する。そのため、1つの外部電源で、複数の有機ELモジュールを発光させることができるとともに、余分な配線が必要なく、コストも低減できる。
さらに、既設の有機ELモジュールに新たに有機ELモジュールを増設する場合であっても、本様相の有機ELモジュールは、給電端子間を接続する給電用の配線の一部としても機能するため、有機ELモジュールの増設位置に対応した有機ELモジュールへの給電用の端子を新たに設ける必要がなく、給電用の端子の個数に影響されない。それ故に、本様相によれば、容易に新たな有機ELモジュールを増設することができる。
【0012】
ところで、有機ELモジュールを照明として使用する場合には、上記したように有機ELモジュールは面状に発光可能であるため、点発光のLED照明とは異なり、複数の有機ELモジュールを天井などの壁面に縦横広がりをもって、敷き詰めて設置することが多い。このような場合、点発光のLED照明とは異なり、全面を均等に光らすためには、できる限り隣接する有機ELモジュール間の隙間をなくして、有機ELモジュールの発光面間の間隔を近接させて設置することが好ましい。
【0013】
そこで、好ましい様相は、前記コネクター部を備えたベース部材を有し、前記ベース部材は、平面状に敷き詰め可能な形状であり、前記コネクター部は、敷き詰めた場合に、少なくとも他の有機ELモジュールが隣接する数だけ設けられていることである。
【0014】
ここでいう「敷き詰め可能」とは他のベース部材とともに並べたときにほぼ隙間がないように敷くことが可能であることをいう。
「ほぼ隙間がない」とは、完全に隙間がない状態に加えて、ほぼ無視できる程度に隙間が空いている状態も含む。具体的には、数mm程度の隙間が空いている状態も含む。
【0015】
この様相によれば、ベース部材は、平面状に敷き詰め可能な形状であり、コネクター部は、敷き詰めた場合に、少なくとも他の有機ELモジュールが隣接する数を設けられているため、有機ELモジュールの発光面と、隣接する他の有機ELモジュールの発光面との間隔を近接させて設置することができる。また、接続時にコネクター部の給電端子の数が欠乏することがない。
【0016】
また、好ましい様相は、前記ベース部材は、平面視すると多角形状であり、各辺に対応してコネクター部が配されていることである。
【0017】
この様相によれば、他の有機ELモジュールと接続しやすい。
【0018】
好ましい様相は、ベース部材は、有機EL装置の部材厚方向の投影面上に配されていることである。
【0019】
好ましい様相は、一のコネクター部に電流を供給したときに、当該一のコネクター部から供給された電流を自己の他のコネクター部に分流する分流経路と、自己の有機EL装置へ供給する自己導電経路を備えていることである。
【0020】
この様相の有機ELモジュールによれば、一のコネクター部に電流を供給することで、自己を発光させるだけでなく、他のコネクター部に接続した配線にも電流を流すことができる。
【0021】
さらに好ましい様相は、前記分流経路を複数備えていることである。
【0022】
推奨される様相は、回路構造を有した実装部を備え、当該回路構造は、実装回路と、当該実装回路とコネクター部を電気的に接続するコネクター側接続配線を有し、当該コネクター側接続配線は、面状に広がりを有していることである。
【0023】
この様相によれば、実装回路とコネクター部を接続するコネクター側接続配線は、面状に広がりを有している。すなわち、コネクター側接続配線が一定以上の幅を有しているため、従来の線状の配線に比べて断線しにくい。
【0024】
推奨される様相は、有機EL装置を被取付面に固定するベース部材を有し、ベース部材は、前記発光面側に有機EL装置と前記2層の電極層に電気的に接続する通電端子を有し、回路構造を有した実装部を備え、当該回路構造は、実装回路と、当該実装回路と通電端子を電気的に接続する通電端子側接続配線を有し、当該通電端子側接続配線は、面状に広がりを有していることである。
【0025】
この様相によれば、実装回路と通電端子を接続する通電端子側接続配線は、面状に広がりを有している。すなわち、通電端子側接続配線が一定以上の幅を有しているため、従来の線状の配線に比べて断線しにくい。
【0026】
好ましい様相は、ベース部材を有し、当該ベース部材は、実装部と、実装部を載置する本体部を有し、当該実装部は、回路基板と回路部から形成されており、当該回路部は、回路基板の一方の主面側に回路部が集中しており、当該回路基板の一方の主面は、本体部と対面していることである。
【0027】
この様相によれば、取り付け時において使用者が回路部に触れることによる感電等を防止することができる。そのため、安全性が高い。
【0028】
さらに好ましい様相は、前記本体部と回路基板は、所定の空間を空けて配されており、当該空間内に回路部が収納されていることである。
【0029】
この様相によれば、空間内に回路部が収納されているため、回路部が圧迫されず、ショートしにくい。
【0030】
特に好ましい様相は、前記コネクター部は、回路基板の前記一方の主面に対して反対側の面に設けられていることである。
【0031】
この様相によれば、コネクター部に配線を接続しやすい。
【0032】
好ましい様相は、前記有機EL装置は、前記2層の電極層と電気的に接続された給電部を有し、当該給電部は、有機EL装置の基材の辺又は弧の近傍に形成されていることである。
【0033】
ここでいう「辺又は弧の近傍」とは、基材の1辺又は直径の0パーセント以上10パーセント以内の領域を表す。好ましくは、基材の1辺又は直径の0パーセント以上5パーセント以内の領域である。
【0034】
この様相によれば、給電部が有機EL装置の基材の辺又は弧の近傍に形成されているため、給電部が駆動時に発光する発光面の発光の妨げにならない。
【0035】
好ましい様相は、前記有機EL装置は、前記2層の電極層のうち一方の電極層と電気的に接続された給電部を2以上有し、前記有機EL装置とコネクター部を電気的に接続する導電部材を備え、当該導電部材は、前記2以上の給電部のうち、少なくとも2つの給電部間を接続していることである。
【0036】
この様相によれば、導電部材と2つの給電部が繋がっているため、片方の給電部が損傷しても有機EL装置に給電することができる。
【0037】
さらに好ましい様相は、前記基材は、多角形状であり、前記2つの給電部は、基材の一辺及び当該1辺の対辺の近傍に配されていることである。
【0038】
ここでいう「一辺及び対辺の近傍」とは、上記と同様、基材の1辺又は直径の0パーセント以上10パーセント以内の領域を表す。好ましくは、基材の1辺又は直径の0パーセント以上5パーセント以内の領域である。
【0039】
この様相によれば、1辺と対辺に給電部をそれぞれ有しているため、1辺と対辺を繋ぐ方向において、発光面の隅から隅まで電流を流すことができる。そのため、発光むらが生じにくい。
【0040】
好ましい様相は、前記導電部材は、複数の導電箔が平面的に配置され、前記複数の導電箔の表裏両面に絶縁性を有した樹脂膜が設けられていることである。
【0041】
この様相によれば、導電部材は、複数の導電箔が平面的に配置され、前記複数の導電箔の表裏両面に絶縁性を有した樹脂膜が設けられているため、有機EL装置の給電部とコネクター部を電気的に接続するにあたって、殆ど厚みが増加しない。そのため、有機ELモジュールの薄いという特長を損ないにくい。
【0042】
さらに好ましい様相は、1以上の導電箔が有機EL装置の前記2層の電極層の一方に電気的に接続され、他の1以上の導電箔が有機EL装置の前記2層の電極層の他方に電気的に接続されていることである。
【0043】
この様相によれば、それぞれの導電箔によって独立して有機EL装置の給電部から各電極層に給電することができる。
【0044】
ところで、吊り下げ照明のような一般的な照明装置は、中央から照明装置に給電されて発光する構造となっている場合がある。このような場合において、有機ELモジュールを照明装置として使用するためには、中央から集中的に給電できる給電構造を備えていることが必要となる。
【0045】
そこで、特に好ましい様相は、前記導電部材は、片面の樹脂膜から複数の導電箔が露出した通電領域を有し、当該通電領域は、導電部材の中央に位置していることである。
【0046】
この様相によれば、導電部材の中央の通電領域を経由して有機EL装置の端部に位置する給電部に給電することができる。そのため、中央から集中給電することができる。
【0047】
好ましい様相は、前記導電部材は、有機EL装置の発光面に対して反対側の面に載置されており、当該反対側の面を横切っていることである。
【0048】
好ましい別の様相は、前記有機EL装置は、基材を平面視したときに、駆動時に実際に発光する発光領域を有し、前記導電部材は、有機EL装置の発光領域を囲む環状部と、環状部から発光領域内に延びた接続部を有し、当該環状部は各給電部と接続されており、前記接続部は、発光領域内でベース部材と直接的又は間接的に接続される端子部を有し、当該端子部を経由して有機EL装置とコネクター部が電気的に接続されることである。
【0049】
この様相によれば、発光領域内に延びた接続部から環状部を介して各給電部に給電することができるため、中央側から集中給電することができる。
【0050】
より好ましい様相は、前記端子部は、接続部の延伸方向先端近傍に位置し、かつ、発光領域の中央に位置していることである。
【0051】
さらに好ましい様相は、熱伝導性を有した均熱部材を有し、当該均熱部材は、シート又は板状体であって、かつ、有機EL装置の発光領域全域を覆っていることである。
【0052】
この様相によれば、熱伝導性を有した均熱部材によって、有機EL装置の発光領域全域が覆われているため、発光面内の熱分布を均一にすることができる。それ故に、輝度むらの発生を抑制することができる。
【0053】
特に好ましい様相は、前記環状部は、均熱部材の周りを所定の間隔を空けて囲んでいることである。
【0054】
好ましい様相は、緩衝板を有し、当該緩衝板は、有機EL装置の発光領域全域を覆い、有機EL装置側への圧力を緩和させるものであることである。
【0055】
この様相によれば、緩衝板によって、有機EL装置側への圧力を緩和できるため、有機EL装置内の各層が圧迫されにくく、短絡しにくい。
【0056】
より好ましい様相は、前記緩衝板は、前記接続部と有機EL装置の間に介在していることである。
【0057】
この様相によれば、有機EL装置上に位置する接続部による押圧力を緩衝板によって緩和することができる。
【0058】
さらに好ましい様相は、前記有機EL装置は、前記2層の電極層と電気的に接続された給電部を有し、前記環状部は、前記端子部と電気的に接続された接地部を有し、当該接地部は、給電部と直接的又は間接的に接続されていることである。
【0059】
好ましい様相は、前記有機EL装置とコネクター部を電気的に接続する導電部材を備え、有機EL装置に装着可能な枠体を有し、当該枠体は、前記導電部材と有機EL装置を一体化していることである。
【0060】
この様相によれば、枠体の剛性によって、前記導電部材と有機EL装置を一体化できるため、導電部材と有機EL装置が互いに分離しにくい。
【0061】
より好ましい様相は、前記枠体は、前記ベース部材に係合可能な係止片を有していることである。
【0062】
この様相によれば、枠体の係止片によって、ベース部材に係合可能であるため、ベース部材に有機EL装置を取り付けやすい。
【0063】
さらに好ましい様相は、前記枠体は、有機EL装置の発光面と反対側の面を覆う有機EL素子側覆部を有し、当該有機EL素子側覆部は、部材厚方向に貫通した貫通孔を有し、前記導電部材は当該貫通孔のコネクター側の開口を通過していることである。
【0064】
この様相によれば、容易に枠体の外から給電できる。
【0065】
本発明の一つの様相は、面状に広がりを有する基材に、2層の電極層と、前記電極層に挟まれた有機発光層が積層され、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置と、前記発光面の裏面側に少なくとも3つのコネクター部を有する有機ELモジュールにおいて、回路構造を有した実装部を備え、当該回路構造は、実装回路と、当該実装回路とコネクター部を電気的に接続するコネクター側接続配線を有し、当該コネクター側接続配線は、面状に広がりを有していることである。
【0066】
本発明の一つの様相は、面状に広がりを有する基材に、2層の電極層と、前記電極層に挟まれた有機発光層が積層され、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置と、前記発光面の裏面側に少なくとも3つのコネクター部を有する有機ELモジュールにおいて、前記有機EL装置は、前記2層の電極層のうち一方の電極層と電気的に接続された給電部を2以上有し、前記有機EL装置とコネクター部を電気的に接続する導電部材を備え、当該導電部材は、前記2つの給電部間を接続していることである。
【0067】
本発明の一つの様相は、面状に広がりを有する基材に、2層の電極層と、前記電極層に挟まれた有機発光層が積層され、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置と、前記発光面の裏面側に少なくとも3つのコネクター部を有する有機ELモジュールにおいて、前記有機EL装置は、基材を平面視したときに、駆動時に実際に発光する発光領域を有し、前記有機EL装置は、前記2層の電極層のうち一方の電極層と電気的に接続された給電部を2以上有し、前記有機EL装置の給電部とコネクター部を電気的に接続する導電部材を備え、前記導電部材は、有機EL装置の発光領域を囲む環状部と、環状部から発光領域内に延びた接続部を有し、当該環状部は各給電部と接続されており、前記接続部は、発光領域内でベース部材と直接的又は間接的に接続されている端子部を有し、当該端子部を経由して有機EL装置とコネクター部が電気的に接続されていることである。
【0068】
上記した様相の有機ELモジュールが少なくとも3つと、当該有機ELモジュールのコネクター部間を電気的に接続する接続部材を有した有機ELモジュールの給電構造であって、前記有機ELモジュール間で、外部電源と、接続部材と、有機発光層を負荷とする有機EL装置とを経由する、少なくとも2つの閉回路を形成するものであることを特徴とする有機ELモジュールの給電構造であることが好ましい。
【0069】
この様相によれば、外部電源と、外部電源に接続された有機ELモジュールと他の有機ELモジュールとを電気的に接続する接続部材と、当該他の有機ELモジュール内の有機EL装置と、を含んだ閉回路が、外部電源と電気的に接続された有機ELモジュール以外の有機ELモジュール毎に形成されている。そのため、1つの外部電源から複数の有機ELモジュールに電流を流し、発光させることが可能である。
【0070】
好ましい様相は、前記少なくとも3つの有機ELモジュールのベース部材は、平面充填になるように配されていることである。
【0071】
ここでいう「平面充填」とは、1又は複数種類の形状のベース部材を隙間がないように敷き詰めた状態をいう。ベース部材の形状は、問わない。例えば、四角形状のベース部材だけを敷き詰めてもよいし、三角形状のベース部材と六角形状のベース部材を組み合わせて敷き詰めてもよい。
【0072】
この様相によれば、有機ELモジュールを隙間なく敷き詰めることができる。
【0073】
より好ましい様相は、前記2つの閉回路は、異なる有機ELモジュールを経由していることである。
【0074】
さらに好ましい様相は、一の有機ELモジュールは、自己の有機発光層を負荷とする有機EL装置を経由する第1閉回路と、他の有機ELモジュールの有機発光層を負荷とする有機EL装置を経由する第2閉回路を形成することである。
【0075】
この様相によれば、同時に2以上の有機ELモジュールを発光することができる。
【0076】
特に好ましい様相は、一の有機ELモジュールに対する外部電源から給電される給電経路を複数備えていることである。
【発明の効果】
【0077】
本発明の有機ELモジュール及びその給電構造によれば、前記コネクター部は、平面状に広がりをもって分布されるものであり、それぞれのコネクター部は、電気的に並列であって、かつ、有機EL装置内の2つの電極層と電気的に接続されているため、設置環境に合わせて、容易にレイアウトを変更できる。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、有機ELモジュール1の上下左右の位置関係は、
図1の姿勢を基準に説明する。すなわち、基板11側を下側、実装部5側を上側とする。また、図面は、理解を容易にするために全体的に実際の大きさ(長さ、幅、厚さ)に比べて極端に描写している。
【0080】
有機ELモジュール1は、主に照明装置として好適に使用されるものである。有機ELモジュール1は、
図1に示すように、複数のコネクター部10を備えた接続板2(ベース部材)と、有機EL装置3から形成されている。そして、有機ELモジュール1は、接続板2のコネクター部10に外部電源を電気的に接続することによって、有機EL装置3の発光面53(
図14参照)が発光可能となり、照明として機能する。
【0081】
以下、有機ELモジュール1を構成する各部材について説明する。
接続板2は、
図1のように固定部6と、実装部5から形成されている。
固定部6は、平面状に広がりをもっており、少なくとも3辺を有している。すなわち、固定部6は、多角形状をしている。本実施形態の固定部6は、方形状をしており、4辺を有している。言い換えると、固定部6は、互いに対向する辺が2つずつ存在する。
【0082】
実装部5は、直流安定化回路と、調光、調色、信号送受信等の公知の実装部品を備えている。また、実装部5は、当該実装部品と電気的に接続される複数のコネクター部10(10a,10b,10c,10d)を有している。
有機ELモジュール1は、他の有機ELモジュール1とともに敷き詰めた場合に、少なくとも他の有機ELモジュール1が隣接する数のコネクター部10を有している。
以下、コネクター部10a,10b,10c,10dについて同様の構成の場合、まとめてコネクター部10とも称する。
【0083】
実装部5は、固定部6と同様、平面状に広がりをもっており、少なくとも3辺を有している。すなわち、実装部5は、多角形状をしている。本実施形態の実装部5は、方形状をしており、4辺を有している。また、実装部5の各辺は、固定部6の対応する各辺と平行となっている。
実装部5は、
図1のように固定部6の中央に位置しており、コネクター部10a,10b,10c,10dは、接続板2の固定部6の各辺に対応する位置に設けられている。
すなわち、コネクター部10aとコネクター部10cは、実装部5の中心を挟んで、長さ方向lに対向する位置に配されている。一方、コネクター部10bとコネクター部10dは、実装部5の中心を挟んで、長さ方向lに直交する方向w(以下、幅方向wともいう)に対向する位置に配されている。
言い換えると、コネクター部10aとコネクター部10cとを結んだ仮想線は、コネクター部10bとコネクター部10dとを結んだ仮想線と実装部5の中心で交差する。
【0084】
また、コネクター部10a〜10dは、
図1のように実装部5の各辺に近接した位置に配されている。
具体的には、各辺から対応するコネクター部10a〜10dまでの距離は、実装部5の短辺の1/4以内の範囲に配されており、1/5以内の範囲に配されていることが好ましい。さらには、実装部5の各辺の近傍、すなわち、各辺から実装部5の短辺の1/6以内の範囲に配されていることがより好ましい。
コネクター部10a〜10dは、実装部5の各辺に沿って配されていることが特に好ましい。
【0085】
コネクター部10は、
図1,
図2(a)のように第1給電端子7(給電端子)と、第2給電端子8(給電端子)をそれぞれ有している。
第1給電端子7は、
図2のように実装部5を介して有機EL装置3内の陽極たる第1電極層16と電気的に接続されている。
第2給電端子8は、実装部5を介して、有機EL装置3内の陰極たる第2電極層18と電気的に接続されている。
【0086】
また、コネクター部10(10a,10b,10c,10d)は、
図3のように外部電源や接続部材12と電気的に接続可能となっている。
具体的には、コネクター部10の第1給電端子7は、
図3,
図4のように外部電源の電源端子22や接続部材12の接続端子20(20a,20b)と接続可能となっている。コネクター部10の第2給電端子8は、外部電源の電源端子23や接続部材12の接続端子21(21a,21b)と接続可能となっている。
そして、各コネクター部10a,10b,10c,10dは、
図2(b)のように、互いに電気的に並列に接続されている。さらに、各コネクター部10a,10b,10c,10dは、有機EL装置3に対しても電気的に並列に接続されている。すなわち、各コネクター部10a,10b,10c,10dは、有機EL装置3とそれぞれ閉回路を形成している。
【0087】
ところで、有機ELモジュールには、有機EL装置に安定した電流を供給するための安定化電流回路などの実装回路を備えているものがある。そして、外部電源と有機EL装置との間の導電経路内に当該実装回路を配して、電流を有機EL装置に供給することがある。この場合、外部電源と実装回路、実装回路と有機EL装置間の接続には、基板上に薄膜であってかつ線状の配線を用いる。
そのため、例えば外力などによって、突発的に当該配線に負荷がかかると、配線が断線するおそれがあった。配線が断線すると、有機EL装置に電流を供給できないことは勿論、断線状態で電流を流し続けると、回路基板が発熱し発火等の原因となるおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態の有機ELモジュール1の実装部5には、このような問題を解消するための特徴的な回路構造30を設けている。以下、実装部5の回路構造30について説明する。
本実施形態の実装部5の回路構造30は、回路基板31上に
図29,
図33に示されるように環状の絶縁領域36,37によって平面状に広がりを有した複数の領域に分断されている。
具体的には、回路構造30は、
図30の太線で囲まれる回路領域32(通電端子側接続配線)と、
図31の太線で囲まれるプラス領域33(コネクター側接続配線)と、
図32の太線で囲まれるマイナス領域35(コネクター側接続配線)と、を有している。
【0089】
回路領域32は、直流化安定化回路等の実装回路が設けられた領域である。回路領域32は、
図30のように回路基板31の内部配線を介してプラス領域33と電気的に接続されており、その領域内部に通電端子73が位置している。すなわち、回路領域32は、実装回路や端子を繋ぐ配線として機能する領域である。
【0090】
プラス領域33は、
図31のようにコネクター部10の第1給電端子7に電気的に接続された領域である。また、プラス領域33は、それぞれのコネクター部10の第1給電端子7間を電気的に並列に接続する領域である。すなわち、プラス領域33は、実装回路や端子を繋ぐ配線として機能する領域である。
プラス領域33は、回路基板31表面上で絶縁領域36によって回路領域32と電気的に切り離れている。すなわち、プラス領域33と回路領域32は、回路基板31の内部配線又は、実装回路の構成部材を介さない限り、通電しない。
【0091】
マイナス領域35は、
図32のようにコネクター部10の第2給電端子8に電気的に接続された領域である。また、マイナス領域35は、それぞれのコネクター部10の第2給電端子8間を電気的に並列に接続する領域である。すなわち、マイナス領域35は、実装回路や端子を繋ぐ配線として機能する領域である。
マイナス領域35は、回路基板31表面上で絶縁領域37によってプラス領域33と電気的に切り離れている。すなわち、マイナス領域35とプラス領域33は、回路基板31の内部配線又は、実装回路の構成部材を介さない限り、通電しない。
また、マイナス領域35は、その領域内に通電端子75が位置している。
【0092】
実装部5の回路構造30の各領域の位置関係について説明すると、回路構造30は、
図30のように、回路基板31の略中央に回路領域32が位置している、また、回路構造30は、
図31のように、回路領域32の周りを囲むようにプラス領域33が配されており、回路領域32とプラス領域33との間に絶縁領域36が介在している。プラス領域33側からみると、プラス領域33は環状の領域となっており、その環状内部に回路領域32が位置している。
また、回路構造30は、
図32のように、プラス領域33の周りを囲むようにマイナス領域35が配されており、プラス領域33とマイナス領域35の間に絶縁領域37が介在されている。マイナス領域35側からみると、マイナス領域35は環状の領域となっており、その環状内部にプラス領域33が位置している。
【0093】
本実施形態の回路構造30であれば、コネクター部10と実装回路、実装回路と通電端子73,75を接続する配線が面状に広がっているため、単位面積当たりの電流量を小さくすることができる。そのため、例えば外力などによって、突発的に配線に負荷がかかっても、発熱等によって断線しにくい。
【0094】
有機EL装置3について注目すると、有機EL装置3は、
図1のように透光性を有した基板11(基材)上に少なくとも有機EL素子15が積層されたものであり、その面内において、駆動時に実際に発光する発光面53を有したものである。
有機EL素子15は、
図1のように少なくとも第1電極層16と第2電極層18との間に実際に発光する機能層17(有機発光層)を備えたものである。
【0095】
基板11は、材質については特に限定されるものではなく、例えば、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板などから適宜選択され用いられる。特にガラス基板や透明なフィルム基板は透明性や加工性の良さの点から好適である。
本実施形態の基板11は、透明性及び絶縁性を有した透明絶縁基板を採用しており、具体的には、ガラス基板を採用している。
【0096】
第1電極層16の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物や、銀(Ag)、クロム(Cr)等のような金属などが採用される。
機能層17内の有機発光層から発生した光を効果的に取り出せる点では、透明導電性酸化物が好ましく、特にその中でも透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。本実施形態では、ITOを採用している。
【0097】
機能層17は、第1電極層16と第2電極層18との間に設けられ、少なくとも一層の有機発光層を備えた層である。本実施形態の機能層17は、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。この機能層17は、一般な有機EL装置に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料などの公知のもので形成することができる。また、この機能層17は、ホール注入層、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の層からなる積層多層構造であってもよい。
ここで、機能層17は、PN結合を有するものであり、整流作用を持つ。すなわち、機能層17は、陽極から陰極のみに電流を流し、陰極から陽極には電流を流さない。本実施形態では、有機発光層は、陽極たる第1電極層16から陰極たる第2電極層18に向かってのみ電流を流すものである。
【0098】
第2電極層18の素材は、特に限定されるものではなく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの金属が挙げられる。本実施形態の第2電極層18は、Alで形成されている。
【0099】
続いて、複数の有機ELモジュール1を接続した場合の有機ELモジュールの給電構造100について説明する。なお、本実施形態では、
図3のように接続部材12を介して4つの有機ELモジュール1a〜1dを接続した場合について説明する。
本実施形態の有機ELモジュールの給電構造100は、
図3,
図4のように直接外部電源と接続した有機ELモジュール1(1b)に対して、行方向l(列方向wに対して直交方向)及び列方向wに隣接するように有機ELモジュール1(1c,1a,1d)が敷設されている。
【0100】
有機ELモジュール1bの行方向lに並設されているコネクター部10a,10cについて注目すると、有機ELモジュール1bのコネクター部10aは、
図3のように外部電源と電気的に接続されている。
また、有機ELモジュール1bのコネクター部10cは、接続部材12を介して行方向lに隣接する有機ELモジュール1dのコネクター部10aと電気的に接続されている。
なお、接続部材12は、導電性を有した接続ケーブルである。接続部材12は、
図4のように接続端子20a,20b間及び接続端子21a,21b間を電気的に接続することができる。すなわち、接続部材12は、接続対象の各有機ELモジュール1のコネクター部10に接続することで、接続対象の有機ELモジュール1のコネクター部10,10間を電気的に接続可能となっている。
【0101】
具体的には、有機ELモジュール1bのコネクター部10aの給電端子7,8は、
図4のように、外部電源の電源端子22,23と接続されている。
また、有機ELモジュール1bのコネクター部10cの給電端子7,8は、接続部材12の一方側の接続端子20a,21aと接続されている。接続部材12の他方側の接続端子20b,21bは、有機ELモジュール1dのコネクター部10aの給電端子7,8と接続されている。
【0102】
一方、
図3に示される有機ELモジュール1bの列方向wに並設されているコネクター部10d,10bについて注目すると、有機ELモジュール1bのコネクター部10dは、接続部材12を介して、列方向wに隣接する有機ELモジュール1aのコネクター部10bと電気的に接続されている。同様に、有機ELモジュール1bのコネクター部10bは、接続部材12を介して、列方向wに隣接する有機ELモジュール1cのコネクター部10dと電気的に接続されている。
【0103】
さらに詳細には、
図4のように、有機ELモジュール1bのコネクター部10bの給電端子7,8は、接続部材12の一方側の接続端子20a,21aと接続されている。接続部材12の他方側の接続端子20b,21bは、有機ELモジュール1cのコネクター部10dの給電端子7,8と接続されている。同様に、有機ELモジュール1bのコネクター部10dの給電端子7,8は、接続部材12の一方側の接続端子20a,21aと接続されている。接続部材12の他方側の接続端子20b,21bは、有機ELモジュール1aのコネクター部10bの給電端子7,8と接続されている。
【0104】
続いて、本実施形態の有機ELモジュールの給電構造100における電流の流れについて説明する。
【0105】
有機ELモジュールの給電構造100は、
図5〜
図8に示されるように、外部電源から供給された電流が有機ELモジュール1b内で、有機EL装置3b及び各コネクター部10b,10c,10dのそれぞれを通る4つの導電経路に分流されている。当該導電経路によって分流された電流は、接続部材12を介して有機ELモジュール1a〜1dのそれぞれに設けられた有機EL装置3a〜3dを流れる。
【0106】
具体的には、第1の導電経路(自己導電経路)では、
図5のように、外部電源からコネクター部10aを介して有機ELモジュール1b内に供給された電流は、その一部が有機ELモジュール1b内の有機EL装置3bに伝わり、コネクター部10aを介して外部電源に戻る。
このとき、有機ELモジュールの給電構造100では、外部電源から有機ELモジュール1b内の有機EL装置3bに給電されるので、有機EL装置3b内の機能層17が発光する。すなわち、有機ELモジュール1bが照明として機能する。
【0107】
第2の導電経路(分流経路)では、
図6のように、外部電源からコネクター部10aを介して有機ELモジュール1b内に供給された電流は、有機ELモジュール1bのコネクター部10bから接続部材12を介して有機ELモジュール1cのコネクター部10dに伝わる。当該コネクター部10dに伝わった電流は、有機EL装置3cに伝わり、有機EL装置3cからコネクター部10dに伝わる。当該コネクター部10dに伝わった電流は、有機ELモジュール1cのコネクター部10dから接続部材12を介して有機ELモジュール1bのコネクター部10bに伝わる。当該コネクター部10bに伝わった電流は、有機ELモジュール1b内に伝わり、コネクター部10aから外部電源に戻る。
このとき、有機ELモジュールの給電構造100では、外部電源と、接続部材12と、機能層17を負荷とする有機EL装置3cを経由する閉回路が形成されており、外部電源から有機ELモジュール1c内の有機EL装置3cに給電されるので、有機EL装置3c内の機能層17が発光する。すなわち、有機ELモジュール1cが照明として機能する。
【0108】
第3の導電経路(分流経路)では、
図7のように、外部電源からコネクター部10aを介して有機ELモジュール1b内に供給された電流は、有機ELモジュール1bのコネクター部10cから接続部材12を介して有機ELモジュール1dのコネクター部10aに伝わる。当該コネクター部10aに伝わった電流は、有機ELモジュール1d内の有機EL装置3dに伝わり、有機EL装置3dからコネクター部10aに伝わる。当該コネクター部10aに伝わった電流は、有機ELモジュール1dのコネクター部10aから接続部材12を介して有機ELモジュール1bのコネクター部10cに伝わる。当該コネクター部10cに伝わった電流は、有機ELモジュール1b内に伝わり、コネクター部10aから外部電源に戻る。
このとき、有機ELモジュールの給電構造100では、外部電源と、接続部材12と、機能層17を負荷とする有機EL装置3dを経由する閉回路が形成されており、有機ELモジュール1d内の有機EL装置3dに給電されるので、有機EL装置3d内の機能層17が発光する。すなわち、有機ELモジュール1dが照明として機能する。
【0109】
第4の導電経路(分流経路)では、
図8のように、外部電源からコネクター部10aを介して有機ELモジュール1b内に供給された電流は、有機ELモジュール1bのコネクター部10dから接続部材12を介して有機ELモジュール1aのコネクター部10bに伝わる。当該コネクター部10bに伝わった電流は、有機ELモジュール1a内の有機EL装置3aに伝わり、有機EL装置3aからコネクター部10bに伝わる。当該コネクター部10bに伝わった電流は、有機ELモジュール1aのコネクター部10bから接続部材12を介して有機ELモジュール1bのコネクター部10dに伝わる。当該コネクター部10dに伝わった電流は、有機ELモジュール1b内に伝わり、コネクター部10aから外部電源に戻る。
このとき、有機ELモジュールの給電構造100では、外部電源と、接続部材12と、機能層17を負荷とする有機EL装置3aを経由する閉回路が形成されており、外部電源から有機ELモジュール1a内の有機EL装置3aに給電されるので、有機EL装置3a内の機能層17が発光する。すなわち、有機ELモジュール1aが照明として機能する。
【0110】
上記したように、外部電源から供給される電流は、複数の導電経路に分流され、各々の有機ELモジュール1a〜1d内の有機EL装置3a〜3dに給電される。すなわち、有機ELモジュールの給電構造100は、1つの外部電源から複数の有機ELモジュール1a〜1dに電流を流すことが可能であり、それぞれの有機ELモジュール1a〜1dの発光面53(
図14参照)を発光させることができる。
【0111】
また、上記したように、有機ELモジュール1は、コネクター部10a〜10dがいずれも電気的に並列であり、有機EL装置3a〜3dに対しても電気的に並列である。
そのため、有機ELモジュール1のコネクター部10a〜10dのうち、未使用のコネクター部10、すなわち、接続部材12の接続端子20,21(20a,21a又は20b,21b)、又は、外部電源の電源端子22,23が接続されていないどのコネクター部10に外部電源を接続しても、接続した有機ELモジュール1の有機EL装置3内の第1電極層16と第2電極層18間に電圧を印加させることが可能である。
それ故に、有機ELモジュール1を密集させた状態で敷き詰めて設置した場合でも、外部電源を接続できるコネクター部10a〜10dを選択することができ、容易に所望のコネクター部10a〜10dに接続することができる。つまり、レイアウトの変更を行いやすい。
【0112】
第1実施形態の有機ELモジュールの給電構造100では、有機ELモジュール1が給電用の配線の一部として機能するため、設置環境によって、接続部材12の長さを変える必要がない。そのため、接続部材12を規格化しやすく、汎用性が高い。
また、レイアウトの変更等によって新たに有機ELモジュール1を増設する際には、増設する有機ELモジュール1のコネクター部10の給電端子7,8と、既存の有機ELモジュール1のコネクター部10a〜10dのうち接続されていないコネクター部10(未使用コネクター部)の給電端子7,8と、を接続部材12によって接続する。このようにすれば、既存の有機ELモジュール1を介して、増設する有機ELモジュール1に給電でき、新たな有機ELモジュール1を増設しやすい。
【0113】
続いて、第2実施形態における有機ELモジュールの給電構造200について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0114】
第2実施形態における有機ELモジュールの給電構造200は、第1実施形態の有機ELモジュールの給電構造100と、接続する有機ELモジュール1の個数が異なる。
本第2実施形態における有機ELモジュールの給電構造200は、
図9のように、9つの有機ELモジュール1(1A〜1I)をそれぞれ接続部材12によって接続している。
本実施形態の有機ELモジュールの給電構造200は、
図9のように、有機ELモジュール1が縦横に碁盤状に並設されている。
具体的には、有機ELモジュールの給電構造200は、
図9のように、縦方向(行方向l)に3つずつ、横方向(列方向w)に3つずつ、計9つの有機ELモジュールが敷設されている。そして、有機ELモジュールの給電構造200は、接続部材12を用いて隣接する有機ELモジュール1間をそれぞれ電気的に接続している。すなわち、経路、有機ELモジュール1(1A〜1I)間で、外部電源を経由しない閉回路が複数形成されている。
また、有機ELモジュール1(1A〜1I)は、
図10のように、そのそれぞれが互いに電気的に並列になっているため、有機ELモジュール1(1A〜1I)のいずれのコネクター部10a〜10dも有機EL装置3A〜3Iに対して、互いに電気的に並列となっている。
【0115】
有機ELモジュールの給電構造200は、
図9のように、それぞれの有機ELモジュール1A〜1Iにおいて、複数の接続部材12が接続されており、有機EL装置3A〜3Iへの複数の給電経路を有している。
そこで、代表例として、行方向l及び列方向wの中央に位置する有機ELモジュール1Eについて注目し、外部電源から有機ELモジュール1Eへの給電経路について説明し、他の有機ELモジュール1については説明を省略する。
【0116】
有機ELモジュール1Eのコネクター部10aは、
図9のように接続部材12を介して隣接する有機ELモジュール1Bのコネクター部10cと電気的に接続されている。有機ELモジュール1Eのコネクター部10bは、接続部材12を介して隣接する有機ELモジュール1Fのコネクター部10dと電気的に接続されている。有機ELモジュール1Eのコネクター部10cは、接続部材12を介して隣接する有機ELモジュール1Hのコネクター部10aと電気的に接続されている。有機ELモジュール1Eのコネクター部10dは、接続部材12を介して隣接する有機ELモジュール1Dのコネクター部10bと電気的に接続されている。
そして、有機ELモジュールの給電構造200は、
図11のように、有機ELモジュール1Eへの給電用の経路として、4つの給電経路を有している。
【0117】
具体的には、第1の給電経路は、
図11(a)のように外部電源から有機ELモジュール1Bを介して、直接有機ELモジュール1Eに伝わる経路である。
第2の給電経路は、
図11(b)のように外部電源から有機ELモジュール1B、有機ELモジュール1A、有機ELモジュール1Dを経由して有機ELモジュール1Eに伝わる経路である。
第3の給電経路は、
図11(c)のように外部電源から有機ELモジュール1B、有機ELモジュール1C、有機ELモジュール1Fを経由して有機ELモジュール1Eに伝わる経路である。
第4の給電経路は、
図11(d)のように、外部電源から有機ELモジュール1B、有機ELモジュール1A、有機ELモジュール1D、有機ELモジュール1Gを経由して有機ELモジュール1Hに伝わる。外部電源から有機ELモジュール1B、有機ELモジュール1C、有機ELモジュール1F、有機ELモジュール1Iを経由して有機ELモジュール1Hに伝わる。そして、有機ELモジュール1Hから有機ELモジュール1Eに伝わる経路である。
【0118】
有機ELモジュールの給電構造200は、上記したように給電対象の有機ELモジュール1への給電経路が複数あるため、各有機ELモジュール1を接続する接続部材12への負荷を分散させて、給電対象の有機ELモジュール1に給電することができる。すなわち、有機ELモジュールの給電構造200は、給電するにあたって接続部材12が断線しにくい。また、接続部材12の負荷を小さくできるため、接続部材12のケーブルの太さを細くすることができる。すなわち、有機ELモジュールの給電構造200であれば、コストを低減できる。
また、別の観点からみると、有機ELモジュール1Eへの給電経路のうち、1つの給電経路が確保できれば、有機ELモジュール1Eの有機EL装置3に給電できるため、レイアウトの変更の際に容易に有機ELモジュール1間の接続関係を変更可能である。
【0119】
上記した実施形態では、コネクター部10に外部電源を直接接続したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダクトレール内に設けた給電部材25などを介して接続してもよい。このとき、
図12のように1つの給電部材25からそれぞれ分岐させてコネクター部10に接続することが好ましい。
【0120】
上記した実施形態では、方形状の接続板2を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも異なる3辺を有していれば、接続板2の形状は限定されない。例えば、接続板2の形状は、
図13(a)のように3角形状であってもよいし、
図13(b)のように6角形状であってもよい。このとき、コネクター部10の位置は、他の接続板2を敷設した際に、他の接続板2と近接する辺と対応する位置に配されていることが好ましい。また、直線状の辺だけではなく、曲線状の辺などを含んでいてもよい。
有機ELモジュール1を全面に敷き詰められる観点から、接続板2の形状は、特に平面充填となる形状であることが好ましい。
【0121】
上記した実施形態では、外部電源として直流電源を使用した場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電源の種類は問わない。交流電源であってもよい。その場合、それぞれの有機ELモジュール1の実装部5に整流回路を備えることが好ましい。
【0122】
ここで、上記した実施形態の有機ELモジュール1は、実装部5が固定部6の中央に設けられている。言い換えると、実装部5は、有機EL装置3の発光面53の上方に位置する。
そのため、電流を実装部5から給電部55へつなげるための有機EL装置3の給電構造が必要となる。そこで、以下に本発明の実施例を示し、当該実施例に採用する給電構造についても説明する。
【0123】
なお、有機ELモジュール1の実施例1をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0124】
実施例1の有機ELモジュール1は、
図14のように複数の有機ELモジュール1とともに平面状に広がりをもって敷き詰めて設置可能なものである。
有機ELモジュール1は、
図15,
図16のように有機EL装置3と、導電部材52と、枠体70と、ベース部材71(固定部6に対応)を備えている。
【0125】
以下、各部材の構成について説明する。
有機EL装置3は、上記したように透光性を有した基板11に有機EL素子15を積層したものである。有機EL装置3は、
図16のように、その面内において駆動時に実際に発光する発光面53が位置する発光領域50と、駆動時に給電される複数の給電領域51に分けられる。具体的には、発光領域50は、有機EL装置3の長手方向l(幅方向wに直交する方向)の中央に位置している。給電領域51は、発光領域50の周囲であって、発光領域50を挟んだ2辺側にそれぞれ配されている。また、本実施例1の有機EL装置3は、少なくとも基板11側から光を取り出す、いわゆる「ボトムエミッション」型の有機EL装置である。
【0126】
有機EL装置3には、発光領域50に1又は複数の有機EL素子15が内蔵されている。なお、本実施例1の有機EL装置3は、発光領域50に複数の有機EL素子15が内蔵された構造が採用されている。本実施例1では、多数の有機EL素子15が基板11の一面に平面的に分布しており、各有機EL素子15が基板11上で電気的に直列に接続されている。すなわち、本実施例1で使用する有機EL装置3は、いわゆる集積型の有機EL装置である。そのため、有機EL素子15の電極層間の電圧降下による電力ロスを低減することが可能である。また、基板11の一面に平面状に分布した有機EL素子15がそれぞれ発光するため、発光面53内の発光均一性を高めることもできる。
【0127】
給電領域51においては、
図16のように基板11と反対側(導電部材52側)に複数の給電部55が露出している。より具体的には、給電領域51では、
図16のように基板11の裏面側(発光面53に対して反対側,
図16では下側)に給電部55が4つ形成されている。すなわち、一つの辺に2つの給電部55a,55bが設けられている。また、当該辺に対向する辺にも2つの給電部55a,55bが設けられている。
給電部55は、後述する導電膜56a,56bが露出した部分であり、数mm
2〜数cm
2程度の面積を有している。
給電部55は、有機EL素子15内の第1電極層16又は第2電極層18に電気的に接続されている。
図17では、円内に示した拡大図を用いて給電部55aが第1電極層16に電気的に接続され、給電部55bが第2電極層18に電気的に接続された状態を模式的に図示している。
基板11の長さ方向lにおいて、対向する位置にある給電部55a,55aは、それぞれ有機EL素子15内の第1電極層16又は第2電極層18のうちの一方に接続されている。また、対向する位置にある給電部55b,55bは、それぞれ有機EL素子15内の第1電極層16又は第2電極層18のうちの他方に接続されている。
具体的には、給電部55a,55aは、
図17のように、それぞれ有機EL素子15内の第1電極層16と電気的に接続されている。一方、給電部55b,55bは、それぞれ有機EL素子15内の第2電極層18と電気的に接続されている。
【0128】
一方、基板11の幅方向wにおいては、有機EL素子15内の第1電極層16と電気的に接続された給電部55aと、第2電極層18と電気的に接続された給電部55bが配されている。
【0129】
また、有機EL素子15は、上記したように少なくとも第1電極層16と第2電極層18との間に機能層17を備えたものである。さらに、有機EL素子15は、
図17のように第1電極層16又は第2電極層18に電気的に接続された導電膜56a,56bが有機EL素子15の内部に積層されている。
なお、
図17は、
図16の有機EL装置3について有機EL素子15の一部を分解した斜視図である。導電膜56a,56bは給電部55a,55bを形成する電気伝導性を有した薄膜である。導電膜56a,56bは有機EL装置3の長手方向l全体に延びている。また、給電部55a,55b以外の領域には、2枚の導電膜56a,56bに亘って絶縁膜57が積層している。逆に言えば、給電部55は、導電体である導電膜56a,56bが露出した部分である。
すなわち、有機EL装置3では、導電膜56a,56bによって、給電部55a,55a、給電部55b,55b間を電気的に接続している。
【0130】
続いて、導電部材52について説明する。
導電部材52は、
図18のように有機EL装置3の基板11とは反対側の一部又は全面を覆う部材である。なお、
図18は、導電部材52の導電箔60a,60bを平面状に引き延ばした説明図である。
導電部材52は、
図18のように複数の導電箔60a,60bと、導電箔60a,60bの両面を覆った絶縁性の樹脂膜61と、によって形成されている。本実施例1では、2枚の導電箔60a,60bと、その導電箔60a,60bのそれぞれの中間部を2枚の樹脂膜61,61が覆っている。そして、
図15のように一方の面(上面)において、樹脂膜61の中央部位は、樹脂膜61の一部が剥がされて、開口が形成されており、当該開口から導電箔60a,60bが露出している。すなわち、導電部材52は、開口からの導電箔60a,60bの露出部位を介して電気伝導が可能となっている。
【0131】
なお、導電箔60の枚数は、有機EL装置3の給電部55a,55bの設置数に対応して決まる。より具体的には、導電部材52の導電箔60の枚数は、給電部55の設置数の半数となっている。また、隣接する導電箔60間の間隔は、幅方向wの給電部55a,55b間の距離と等しい。
【0132】
導電箔60a,60bは、
図18のように長方形状の箔体であり、その長辺が有機EL装置3の長手方向lに沿うように配置されている。また、それぞれの導電箔60a,60bは、幅方向wに所定の間隔を空けて平行に配されており、樹脂膜61によって一体化されている。
導電箔60a,60bは、導電性を有した箔体であれば特に限定されるものではなく、例えば、銅箔や銀箔、金箔、白金箔などの金属製の導電箔などが採用できる。
なお、本実施例1の導電箔60a,60bでは、帯状の銅箔を用いている。
【0133】
樹脂膜61は、
図18のように導電箔60a,60bの並設方向w(導電箔60a,60bの長手方向lに対して直交する方向)に広がっており、2枚の導電箔60a,60bに亘って覆っている。導電箔60a,60bの両面を覆う樹脂膜61,61は、導電箔60a,60bの並設方向wのさらに外側で接合されている。言い換えると、導電部材52は、2枚の樹脂膜61が密着しており、樹脂膜61の間に導電箔60a,60bが挿通した状態となっている。
【0134】
樹脂膜61は、絶縁性を有した樹脂薄膜であれば特に限定されるものではなく、素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)などの絶縁性樹脂薄膜が採用できる。また、樹脂膜61は、シート状のものであってもよい。
【0135】
また、導電部材52は、
図15に示される絶縁領域65と、
図18に示され絶縁領域65の長手方向lの両外側に位置する導電領域63と、
図15に示される絶縁領域65の長手方向l中央に位置する通電領域62と、に分けられる。
絶縁領域65は、
図15のように導電箔60a,60bの両面を樹脂膜61が覆った領域である。
導電領域63は、
図18のように導電箔60a,60bが樹脂膜61の長手方向l両側から露出した領域である。
通電領域62は、
図15のように一方の面のみ樹脂膜61から導電箔60a,60bが露出した領域である。すなわち、導電箔60a,60bの他方の面は、通電領域62において樹脂膜61が被覆している。
【0136】
導電領域63の導電箔60a,60bは、
図15のように有機EL装置3の長手方向に延びる辺(長辺)に合わせて、複数回折り曲げて加工されている。具体的には、導電領域63の導電箔60a,60bは、
図15のように有機EL装置3の一辺の端面を覆うように2回折り曲げられている。すなわち、導電領域63の導電箔60a,60bは、側面視すると、
図16のように「コ」の字状になっている。
【0137】
さらに詳細には、導電領域63の導電箔60a,60bは、
図15,
図16のように、上面保護部67と、端面保護部68と、下面保護部69を有している。
上面保護部67は、
図15のように絶縁領域65と略同一平面上であって、有機EL装置3の上面(基板11と有機EL素子15を挟んで対向する側)に配された部位である。
端面保護部68は、
図16のように上面保護部67に対して下方(
図16では上方)に向けて突出した部位であり、有機EL装置3の端面を保護する部位である。
下面保護部69は、
図16のように端面保護部68の突出方向端部から有機EL装置3側に折り返された部位であり、有機EL装置3の下面(基板11側)を保護する部位である。
【0138】
続いて、枠体70について説明する。
枠体70は、有機EL装置3の外周縁を覆う額縁状の部材である。枠体70は、
図19のように開口82を有したフレームである。すなわち、枠体70は、有機EL装置3の4辺の端面を覆う部材であり、有機EL装置3の縁に沿って装着可能となっている。開口82は、平面視すると長方形状となっている。有機EL装置3に枠体70を取り付けた際には、枠体70の開口82から有機EL装置3の発光面53の一部又は全部が露出する。
【0139】
枠体70は、
図19のように発光面側覆部83と、有機EL素子側覆部85と、発光面側覆部83と有機EL素子側覆部85を接続する端面覆部86を有している。また、枠体70は、発光面側覆部83と有機EL素子側覆部85と端面覆部86とによって囲まれた固定空間87を有している。固定空間87は、その内部に有機EL装置3及び導電部材52を収納可能となっている。
【0140】
枠体70の材質は、弾性及び可撓性を有した材質であれば、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン製やゴム製などの弾性樹脂が採用できる。また、枠体70は一体成形によって形成されていることが好ましい。
【0141】
枠体70単体の大きさは、有機ELモジュール1に取り付けた際の枠体70の大きさに比べて、一回り小さい。
具体的には、枠体70単体の縦、横、高さのいずれかの大きさは、有機ELモジュール1に取り付けた際の縦、横、高さのうち、対応する大きさの90パーセント以上100パーセント未満となっており、95パーセント以上99パーセント以下であることが好ましく、96パーセント以上98パーセント以下であることがより好ましい。
【0142】
また、枠体70には、
図20に示されるように有機EL装置3に取り付けたときに導電部材52の通電領域62(
図15参照)に対応する位置に貫通孔81が設けられている。
具体的には、有機EL素子側覆部85の中央に貫通孔81が設けられている。
貫通孔81の開口形状は、方形状をしており、有機EL装置3に取り付けたときに、その開口から通電領域62の導電箔60a,60bの一部又は全部が露出する。
【0143】
続いて、ベース部材71について説明する。
ベース部材71は、
図15,
図21のように支持部材72と、実装部5と、通電端子73,75によって形成されている。
支持部材72は、
図21のように、本体部76と、取付部77,78と、本体部76と取付部77,78を接続する接続部79,80から形成されている。また、本体部76は、
図15,
図21のように取付部77,78に対して厚み方向(上下方向)に突出している。
本体部76と取付部77は、
図21のように接続部79を介して段状に連続している。同様に、本体部76と取付部78は、接続部80を介して段状に連続している。
取付部77,78は、ねじ等の公知の締結要素によって、
図14のように天井などの壁面(被取付面)に有機ELモジュール1を取り付けることが可能となっている。
【0144】
実装部5は、
図15のようにコネクター部10a〜10dが設けられている。コネクター部10a〜10dは、実装部5を介して通電端子73,75(
図21参照)と電気的に接続されている。コネクター部10a〜10dは、
図15のように支持部材72の上方側に設けられている。一方、通電端子73,75は、
図21のように支持部材72の下方側に設けられている。
また、通電端子73,75は、
図22のように有機ELモジュール1を取り付けた際に、導電部材52の通電領域62に位置する導電箔60a,60bと接触し、有機ELモジュール1内の有機EL装置3の給電部55a,55bと実装部5とを電気的に接続する部位である。すなわち、通電端子73,75は、支持部材72を厚み方向に挿通し、導電部材52と物理的に接続可能となっている。
【0145】
続いて、有機ELモジュール1の一般的な組み立て手順に沿って有機ELモジュール1の各構成部材の位置関係について説明する。
【0146】
まず、有機EL装置3に導電部材52を取り付けて一体化する。そして、一体となった有機EL装置3と導電部材52の縁を覆うように枠体70を取り付ける。
具体的には、枠体70の弾性と可撓性を利用して枠体70を有機EL装置3の外形よりも大きくなるように広げ(伸ばして)、枠体70の固定空間87内に有機EL装置3の縁を嵌める。
有機EL装置3は、常に枠体70の弾性によって、導電部材52と密着するように付勢されている。そのため、有機ELモジュール1は、有機EL装置3から導電部材52が離反することが防止されている。
また、有機ELモジュール1は、弾性と可撓性を有した枠体70を広げて有機EL装置3を嵌め込んでおり、枠体70の復元力によって、有機EL装置3を押しつけているため、有機EL装置3から枠体70が外れにくい。
【0147】
そして、
図22のようにベース部材71の通電端子73,75を導電部材52の通電領域62に位置する導電箔60a,60bに接触させてベース部材71に対して枠体70を固定する。すなわち、枠体70の貫通孔81を経由して通電端子73,75と導電箔60a,60bとが接触している。
【0148】
最後に、本実施例1の有機ELモジュール1に外部電源から電流が供給された場合の予想される電流の流れについて説明する。
【0149】
外部電源から流れる電流は、コネクター部10の第1給電端子7から伝わり、実装部5を介して、通電端子73に伝わる。通電端子73に伝わった電流は、通電端子73から導電部材52の通電領域62を介して導電箔60aに伝わり、有機EL装置3の給電部55aに伝わる。そして、給電部55aから有機EL装置3内の第1電極層16に伝わる。
有機EL装置3内の第1電極層16に伝わった電流は、有機EL装置3内で機能層17を通過して第2電極層18に至る。このとき、機能層17内の発光層が発光する。
有機EL装置3内の第2電極層18に伝わった電流は、給電部55b及び導電部材52の導電領域63を介して導電箔60bに伝わり、導電部材52の通電領域62から通電端子75に伝わる。通電端子75に伝わった電流は、通電端子75から実装部5を介してコネクター部10の第2給電端子8に伝わる。
【0150】
このように、コネクター部10に接続部材12を接続することで、有機ELモジュール1内の有機EL装置3内の機能層17に電圧を印加可能であり、機能層17で発生した光を第1電極層16及び基板11を透過させて発光面53を発光させることができる。
【0151】
以下に、実施例1と別の有機ELモジュール201の実施例2をもって本発明を説明する。
有機ELモジュール201は、実施例1と同様、複数の有機ELモジュール201とともに平面状に広がりをもって敷き詰めて設置可能なものである。
有機ELモジュール201は、
図23,
図24,
図25のようにベース部材202と、有機EL装置203と、均熱部材205と、緩衝板206と、通電部材208と、枠体207と、を備えている。
【0152】
以下、各部材の構成について説明する。
実施例2の有機EL装置203は、実施例1の有機EL装置3と同様の構成を有している。実施例2の有機EL装置203は、
図25のように実施例1の有機EL装置3と給電部55の個数が異なる。
具体的には、実施例2の有機EL装置203は、
図25のように一辺側に3つの給電部55A〜55C、その対辺側に3つの給電部55A〜55C、の計6つの給電部55を有している。
また、有機EL装置203は、基板11の幅方向wにおいて、両端側に有機EL素子15内の第1電極層16と電気的に接続された給電部55Aと給電部55Cが配されており、それらの内側には、第2電極層18と電気的に接続された給電部55Bが配されている。すなわち、基板11の幅方向wには、片側から給電部55A,55B,55Cの順に配されている。
一方、有機EL装置203は、基板11の長さ方向l(幅方向wと直交方向)において、発光領域50を挟んで対向する給電部55,55同士が同一電極層と接続されている。
具体的には、有機EL装置203では、給電部55A,55Aと給電部55C,55Cが、それぞれ有機EL素子15内の第1電極層16と電気的に接続されており、給電部55B,55Bが、それぞれ有機EL素子15内の第2電極層18と電気的に接続されている。
【0153】
続いて、均熱部材205について説明する。
【0154】
均熱部材205は、面状に広がりをもったシート又は板状体であり、好ましくは四角形状のシートである。
均熱部材205の大きさは、有機EL装置203の発光領域50の全領域を覆うものであることが好ましい。
均熱部材205の厚みは、50μm以上1mm以下であることが好ましい。均熱部材205の厚みは、70μm以上500μm以下であることがより好ましく、100μm以上300μm以下であることが特に好ましい。
上記した範囲であれば、放熱及び均熱機能を発揮できる。また、厚みも厚くなりすぎない。
【0155】
均熱部材205の材料としては、高熱伝導性を有したものであれば特に限定されるものではなく、グラファイトや、セラミック、金属、無機化合物等が採用できる。特に金属の場合には、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、真鍮、ステンレスなどが挙げられる。放熱性、均熱性の観点から、グラファイトシートやアルミニウム箔が特に好ましい。
【0156】
続いて、緩衝板206について説明する。
緩衝板206は、
図24,
図25のように有機ELモジュール201を組み立てた時に、導電部材210の接続部215と、均熱部材205との間に介在する部材であり、導電部材210が有機EL装置203を押圧する力を緩和する部材である。
また、緩衝板206の素材は、有機ELモジュール201を組み立てた時にほぼ弾性変形しない程度の剛性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、絶縁性の樹脂や金属板に絶縁フィルムを覆ったものなどが採用できる。
緩衝板206の厚みは、樹脂製の場合、0.3mm以上2mm以下であることが好ましく、金属板の場合、0.05mm以上1mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
また、緩衝板206は、有機ELモジュール201を組み立てた時に片面で受けた外力をその反対側の面に伝えない素材で形成していることが好ましい。
【0157】
続いて、通電部材208について説明する。
通電部材208は、ベース部材202の通電端子73,75(
図26参照)と、有機EL装置203の給電部55A〜55C(
図25参照)とを電気的に接続する部材である。
通電部材208は、
図25のように導電部材210と、導電部材210と有機EL装置203の給電部55を接続する接着部材211A〜211Cとによって形成されている。
【0158】
導電部材210は、フレキシブルプリント基板(FPC)によって形成されており、所定のパターンニングが施されている。
具体的には、導電部材210は、少なくとも、ベース部材202の通電端子73(
図26参照)と給電部55A,55Cとを電気的に接続するパターンと、ベース部材202の通電端子75(
図26参照)と給電部55Bとを電気的に接続するパターンと、を有している。
【0159】
また、導電部材210は、
図25のように、環状部212と、接続部215を有している。
環状部212は、平面視すると(ベース部材202側からみると)、四角環状の部位であり、
図24のように有機EL装置203の給電部55A〜55Cの上方を覆う部位である。
すなわち、環状部212は、
図24のように有機EL装置203の各辺に沿って載置されており、内側に開口部216を有している。開口部216の形状は、
図25のように方形状をしており、その開口の大きさは、緩衝板206より一回り大きく、その内側に緩衝板206を収納可能な大きさとなっている。
環状部212は、
図25のように、幅方向wに延伸する辺に接地部217A〜217Cを有している。接地部217A,217Cは、接続部215の端子部213aと電気的に接続されており、接地部217Bは、接続部215の端子部213bと電気的に接続されている。
【0160】
接続部215は、
図25のように環状部212の一辺の幅方向wの中央から環状部212の環状中心(長さ方向lの中央)に向かって延びた舌状の部位である。接続部215は、環状部212からの延伸方向先端近傍に端子部213a,213bを有している。言い換えると、接続部215は、有機ELモジュール201を組み立てた際に、有機EL装置203の長さ方向lに延伸しており、発光面53の中心側に向かって延びている。
また、端子部213a,213bは、有機EL装置203の幅方向wに並んでおり、ベース部材202の通電端子73,75(
図26参照)と接触可能となっている。
【0161】
接着部材211A〜211Cに目を移すと、接着部材211A〜211Cは、
図25のように有機EL装置203の給電部55A〜55Cと、接地部217A〜217Cを接着し、電気的に接続する部材である。接着部材211A〜211Cは、それぞれ幅方向wに所定の間隔を空けて配されている。
【0162】
接着部材211A〜211Cの素材は、接着性と電気伝導性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、異方性導電膜(ACF)や低温半田などの導電性接着材が採用できる。
【0163】
続いて、枠体207について説明する。
枠体207は、
図27,
図28のように有機EL装置203の外周縁を覆う額縁状の部材であり、実施例1の枠体70とほぼ同様の構成を有している。具体的には、枠体207は、実施例1の枠体70の構成に加えて、ベース部材202に係合可能な係止片218を有している。
係止片218は、
図24,
図27のように有機EL素子側覆部85の面上に分布を持って設けられている。また、係止片218は、それぞれ
図24のように引掛部220と、引掛部220と有機EL素子側覆部85を接続する接続部221を有している。
接続部221は、有機EL素子側覆部85の上面に対して直交方向(部材厚方向)に突出している。引掛部220は、その接続部221の突出方向端部から有機EL素子側覆部85の上面と平行となるように突出している。
そして、それぞれの引掛部220の突出方向は、同一方向を向いている。具体的には、有機ELモジュール201を組み立てた際に、通電部材208の導電部材210の接続部215の延伸方向lを向いている。
【0164】
枠体207は、
図27のように有機EL装置203に枠体207を取り付けたとき、端子部213a,213bに対応する位置に貫通孔222が位置している。
具体的には、有機EL素子側覆部85の中央に貫通孔222が設けられている。貫通孔222の開口形状は、方形状をしている。
有機EL装置203に枠体207を取り付けたときには、その開口内に端子部213a,213bが露出する。そのため、ベース部材202の通電端子73,75(
図26参照)は、貫通孔222を経由して端子部213a,213bと接触可能となっており、電気的に接続可能となっている。
【0165】
続いて、ベース部材202について説明する。
ベース部材202は、
図26,
図27のように骨格部223と、実装部5と、通電端子73,75によって形成されている。
骨格部223は、1枚の板材を折り曲げ加工することによって形成されている。骨格部223は、本体部225と、天井等の壁面に取り付け可能な取付部226と、骨格部223の剛性を高めるための補強部227を有している。
本体部225は、
図27のように、その中央に実装部5が取り付けられており、その実装部5の外側に複数の固定孔228を有している。
具体的には、
図23のようにベース部材202に枠体207を取り付けたときに、実装部5の幅方向の外側であって、枠体207の係止片218に対応する位置に4つの固定孔228が設けられている。固定孔228は、それぞれ対応する係止片218と係合可能となっている。
【0166】
取付部226は、ベース部材202を平面視したときに、
図27のように本体部225の4角に設けられている。取付部226は、本体部225から上方に向けて折り曲げられた立壁部230と、立壁部230の折り曲げ方向(部材厚方向)先端から本体部225と平行に向けて折り曲げられた取付面231とによって形成されている。
取付面231は、天井等の壁面に取り付けた時に、天井等の壁面と接触する面であり、その中央には、ボルト等の公知の締結要素が挿通可能な孔が設けられている。すなわち、取付部226は、公知の締結要素を用いて、天井などの壁面に有機ELモジュール1を取り付ける機能を有している。
また、取付部226は、本体部225と高さが異なっており、実装部5の回路基板31と天井等の壁面(被取付面)とを所定の間隔に維持するための間隔維持機能も有する。そのため、実装部5の回路基板31が被取付面に圧迫されることがない。
【0167】
補強部227に目を移すと、補強部227は、本体部225の長さ方向l両端に設けられており、本体部225から上方に向けて折り曲げられた折り曲げ部位である。
【0168】
ここで、実装部5についてさらに詳細に説明すると、実装部5は、
図28のように回路基板31と、直流安定化回路等の回路部233によって形成されており、主に、回路基板31の一方の主面側に回路部233が集中している。
実装部5を骨格部223に取り付けてベース部材202を形成した際には、
図28のように回路基板31の主に回路部233が取り付けられた面は、本体部225の上面と対面している。また、本体部225と回路基板31は、所定の空間を空けて配されており、当該空間内に回路部233が収納されている。コネクター部10は、回路基板31の主に回路部233が取り付けられた面の反対側の面に設けられている。
【0169】
続いて、有機ELモジュール201の一般的な組み立て手順に沿って有機ELモジュール201の各構成部材の位置関係について説明する。
【0170】
まず、有機EL装置203上に均熱部材205を載置し、その上に緩衝板206を載置する。
このとき、均熱部材205は、有機EL装置203の発光面53の一部又は全面を覆っている。また、均熱部材205は、給電部55A〜55Cを覆っていない。逆に言うと、給電部55A〜55Cは、均熱部材205から露出している。
【0171】
その後、導電部材210の接地部217A〜217Cと、有機EL装置203の給電部55A〜55Cとを接着部材211A〜211C(通電部材208)を介して接続する。
このとき、導電部材210の環状部212は、有機EL装置203上であって、緩衝板206の外側に位置している。そして、緩衝板206及び均熱部材205と、環状部212と接着部材211A〜211Cは、
図28のように所定の間隔を空けて配されている。すなわち、緩衝板206及び均熱部材205は、環状部212と接触しておらず、接着部材211A〜211Cにも接触していない。
また、舌状の接続部215は、
図24のように緩衝板206上に載置されている。接続部215の端子部213a,213bは、有機EL装置203の幅方向w及び長さ方向lの中心に位置している。
【0172】
その後、一体となった有機EL装置203と通電部材208(導電部材210の環状部212)の縁を覆うように枠体207を取り付けて一体化する。具体的には、枠体207の弾性と可撓性を利用して枠体207を有機EL装置203の外形よりも大きくなるように広げ(伸ばして)、枠体207の固定空間87内に有機EL装置203の縁を嵌める。
このとき、有機EL装置203は、常に枠体207の弾性によって、導電部材210と有機EL装置203とが密着するように付勢されている。そのため、有機ELモジュール201は、有機EL装置203から導電部材210が離反することが防止されている。
【0173】
その後、別工程によって天井等の壁面に取り付けられたベース部材202に枠体207を取り付ける。具体的には、ベース部材202の固定孔228に枠体207の係止片218をスライドして挿入し、ベース部材202の本体部225に係止部214を係止させる。
このとき、通電端子73,75と端子部213a,213bが接触し、通電端子73,75が端子部213a,213bを押圧した状態で固定されている。
ここで、本実施例2の有機ELモジュール201は、上記したように有機EL装置203と接続部215との間には緩衝板206が介在しているため、有機EL装置203への押圧力が緩和され有機EL装置203に通電端子73,75の押圧力が伝わらない。そのため、有機EL装置203内の有機EL素子15が圧迫されず、短絡しにくい。
【0174】
上記した実施例2の有機ELモジュール201の構成によると、有機EL装置203上の均熱部材205上に緩衝板206が載置されているため、駆動時に有機EL装置203内で発生した熱が均熱部材205で均熱され、さらに、緩衝板206を介して熱が逃げるため、有機EL装置203内に熱が留まりにくく、局所的に集中することもない。それ故に、発光欠陥が生じにくい。
【0175】
また、上記した実施例2の有機ELモジュール201の構成によると、ベース部材202の固定孔228に枠体207の係止片218を係合させることによって一体化しているため、ベース部材202に対して容易に枠体207を着脱することができる。
【0176】
最後に、本実施例2の有機ELモジュール201に外部電源から電流が供給された場合の予想される電流の流れについて説明する。
【0177】
外部電源から流れる電流は、コネクター部10の第1給電端子7から伝わり、実装部5内の回路部233を介して、通電端子73に伝わる。通電端子73に伝わった電流は、導電部材210の接続部215の端子部213aを介して環状部212に伝わり、接地部217A,217Cを介して、有機EL装置203の給電部55A,55Cに伝わる。そして、給電部55A,55Cに伝わった電流は、有機EL装置203内の第1電極層16に伝わる。
有機EL装置3内の第1電極層16に伝わった電流は、有機EL装置203内の機能層17を通過して第2電極層18に至る。このとき、機能層17内の発光層が発光する。
有機EL装置3内の第2電極層18に伝わった電流は、給電部55B及び接地部217Bを介して導電部材210の環状部212に伝わり、導電部材210の接続部215から端子部213bに伝わる。端子部213bから通電端子75、実装部5内の回路部233を介して、コネクター部10の第2給電端子8に伝わる。
【0178】
このように、コネクター部10に接続部材12を接続することで、有機ELモジュール201内の有機EL装置203に電圧を印加可能であり、有機EL装置203の発光面53を発光させることができる。
【0179】
上記した実施例1,2では、コネクター部10に給電端子7,8のみ備えた場合を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実装部5に調光回路等を備える場合には、コネクター部10に信号端子を備えていてもよい。その場合、接続部材12内に信号線を備えることが好ましい。