特許第6193232号(P6193232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193232
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】複数の流体流動制御部材を有する流体弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/22 20060101AFI20170828BHJP
   F16K 41/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   F16K11/22 Z
   F16K41/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-526066(P2014-526066)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公表番号】特表2014-527605(P2014-527605A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】US2012049811
(87)【国際公開番号】WO2013022867
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】61/522,334
(32)【優先日】2011年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】アナグノス, リチャード, ジェームス
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−009725(JP,A)
【文献】 実開昭58−069161(JP,U)
【文献】 特開2002−181212(JP,A)
【文献】 特表平10−511329(JP,A)
【文献】 特開2010−203618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポートと第2のポートとの間の第1の通路と、前記第1のポートと第3のポートとの間の第2の通路とを画定する弁体と、
前記第1の通路を通る流体流動を制御するように前記第1の通路内に配設される第1の流動制御部材であって、第1のアクチュエータに動作可能に結合されている第1の弁軸を含む第1の流動制御部材と、
前記第2の通路を通る流体流動を制御するように前記第2の通路内に配設される第2の流動制御部材であって、第2のアクチュエータに動作可能に結合されている第2の弁軸を含み、前記第1の流動制御部材に摺動可能に結合される、第2の流動制御部材と、
を備える流体弁であって、
前記弁体は、弁帽を含み、前記弁帽は、前記第1の弁軸を摺動可能に受容する開口部を画定しているとともに、前記第1の弁軸に沿った流体漏出を防止する第1のパッキンを受容している第1の空洞を画定しており、
前記第1の弁軸は、前記第2の弁軸に沿った流体漏出を防止する第2のパッキンを受容している第2の空洞を画定しており、
更に、前記第2の空洞内に前記第2のパッキンを保持するパッキン保持具を備えている、流体弁。
【請求項2】
前記第1の流動制御部材は、前記第2の流動制御部材とは独立して移動するものである、請求項1に記載の流体弁。
【請求項3】
前記第1の流動制御部材は、前記第1の弁軸を介して前記第1の通路の第1のオリフィスに対して移動可能であり、前記第2の流動制御部材は、前記第2の弁軸を介して前記第2の通路の第2のオリフィスに対して移動可能である、請求項1又は2に記載の流体弁。
【請求項4】
前記第1の弁軸は、前記第2の弁軸を摺動可能に受容する開孔を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体弁。
【請求項5】
前記第1の流動制御部材は、前記第1の弁軸を介して第1のアクチュエータ構成要素に動作可能に結合され、前記第2の流動制御部材は、前記第2の弁軸を介して第2のアクチュエータ構成要素に動作可能に結合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体弁。
【請求項6】
前記第2の空洞が、前記開孔と同軸方向に整列される、請求項4に記載の流体弁。
【請求項7】
前記第1の通路内に配設される第1の弁座と、前記第2の通路内に配設される第2の弁座とをさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体弁。
【請求項8】
前記第1の流動制御部材は、前記第1の通路を通る流体流動を防止または制限するように前記第1の弁座と封止係合し、前記第2の流動制御部材は、特定の例で同時に前記第2の通路を通る流体流動を防止または制限するように前記第2の弁座と封止係合
前記第1のポートは出口を含んでおり、
前記第2のポートは第1の入口を含んでおり、
前記第3のポートは第2の入口を含んでおり、
前記第1の入口からの流体流動及び前記第2の入口からの流体流動が前記出口に向かって流れ、前記第1の入口からの流体流動と前記第2の入口からの流体流動とが混合されるように、前記第1の流動制御部材が前記第1の弁座から離れるように移動し、前記第2の流動制御部材が前記第2の弁座から離れるように移動する、請求項7に記載の流体弁。
【請求項9】
流体弁とともに使用するための弁トリムアセンブリであって、
弁体の第1の通路を通る流体流動を制御するための第1の流体制御手段と、
前記弁体の第2の通路を通る流体流動を制御するための第2の流体制御手段と、
前記弁体の開口部であって、そこを通って前記第1の流体制御手段が前記第1の流体制御手段に沿った、および環境への流体漏出を防止するように摺動可能に係合する、開口部を封止するための第1の封止手段と、
前記第1の流体制御手段の開口部であって、そこを通って前記第2の流体制御手段が前記第2の流体制御手段に沿った、および環境への流体漏出を防止するように摺動可能に係合する、開口部を封止するための第2の封止手段と、
を備え、
前記第1の通路が前記第2の通路とは異なり、流体流動を制御するための前記第1の流体制御手段が、流体流動を制御するための前記第2の流体制御手段に摺動可能に結合されており、
前記第1の封止手段は、弁帽により画定される第1の空洞および前記弁体の開口部に隣接する前記第1の空洞内に配置されたパッキンを含んでおり、
前記第2の封止手段は、前記第1の流体制御手段により画定される第2の空洞、前記第2の空洞内に配置されたパッキンおよび前記第2の空洞内の前記パッキンを保持するパッキン保持具を含んでいる、弁トリムアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の流体制御手段から独立して前記第1の流体制御手段を動作させるための手段をさらに備える、請求項9に記載の弁トリムアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許は、流体弁に関し、より具体的には、複数の流体流動制御部材を有する流体弁に
する。
【背景技術】
【0002】
過程制御システムは、過程パラメータを制御する様々なフィールドデバイスを使用する。例えば、集束用途(すなわち、2つの入口のうちの1つからの流体流動を共通の出口へ導くこと)または分流用途(すなわち、共通の入口からの流体流動を2つ出口のうちの1つへ導くこと)での使用のために、三方流体弁が用いられる場合がある。三方弁は典型的に、流体弁の第1のポートと第2のポートとの間の第1の流体流動通路と、流体弁の第1のポートと第3のポートとの間の第2の流体流動通路とを画定する弁体を含む。それぞれの第1および第2の流体流動通路を通る流体流動を制御するために、三方弁は典型的に、第1の通路の第1の弁座および第2の通路の第2の弁座に対して移動する流動制御部材を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、三方弁では、弁栓は、一度に弁座のうちの1つのみと封止係合することができる。換言すれば、流動制御部材は、同時に両方の通路を通る流体流動を防止または制限するように第1および第2の弁座と同時に係合することができない。結果として、同時に流体弁のすべてのポートを通る流体流動を防止する追加の上流および/または下流の流体流動制御デバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な弁トリム装置は、流体弁の第1の通路を通る流体流動を制御する第1の弁トリム装置と、流体弁の第2の通路を通る流体流動を制御する第2の弁トリム装置とを含む。第1の通路は、第2の通路とは異なり、第1の弁トリム装置は、第2の弁トリム装置の第2の弁軸を摺動可能に受容する第1の弁軸を含む。
【0005】
例示的な流体弁は、第1のポートと第2のポートとの間の第1の通路と、第1のポートと第3のポートとの間の第2の通路とを画定する弁体を含む。第1の流動制御部材が、第1の通路を通る流体流動を制御するように第1の通路内に配設され、第2の流動制御部材が、第2の通路を通る流体流動を制御するように第2の通路内に配設される。第2の流動制御部材は、第1の流動制御部材に摺動可能に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】分流用途で使用するための既知の三方弁を示す。
図2】集束用途で使用するための別の既知の三方弁を示す。
図3】分流用途で使用するための本明細書に記載される例示的な三方弁の一例を示す。
図4図3の例示的な三方弁の弁トリム装置の断面図を示す。
図5】集束用途で使用するための本明細書に記載される例示的な三方弁の一例を示す。
図6】閉鎖位置で示される本明細書に記載される三方弁の別の例を示す。
図7】第1の位置で示される本明細書に記載される三方弁の別の例を示す。
図8】第2の位置における図7の例示的な三方弁を示す。
図9】第3の位置における図7の例示的な三方弁を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される例は、複数の流体流動制御部材(例えば、弁栓)または弁トリム装置を有する流体弁に関する。より具体的には、本明細書に記載される流体流動制御部材は、流体弁の複数のオリフィスおよび/または通路を通る流体流動を制御する。特に、本明細書に記載される例示的な流体流動制御部材は、それぞれの流体流動通路を通る流体流動を独立して制御することができる。このように、本明細書に記載される例示的な流動制御部材は、同時に流体弁のそれぞれの流体流動通路のすべて(例えば、流体弁の閉鎖位置)を通る流体流動を防止または制限するようにそれぞれの弁座と封止係合するように同時に位置決めされてもよい。結果として、同時にすべての通路を通る流体流動を防止または制限する追加の遮断弁または流動制御でデバイスが、流体弁の通路から上流および/または下流で必要とされることはない。それに対して、例えば、従来の三方流体弁は、一度に通路のうちの1つのみを通る流体流動のみを防止または制限することができる。
【0008】
本明細書に記載される第1の流動制御部材を、本明細書に記載される第2の流動制御部材とは独立して、かつそれに対して移動させるために、本明細書に記載される例は、第2の弁トリム装置に対して摺動可能に結合される第1の弁トリム装置を含むことができる。例えば、本明細書に記載される第1の弁トリム装置は、第1の弁軸を介して第1のアクチュエータに動作可能に結合される第1の制御部材を有してもよく、本明細書に記載される第2の弁トリム装置は、第1の弁軸が第2の弁軸に摺動可能に結合される、第2の弁軸を介して第2のアクチュエータに動作可能に結合される第2の流動制御部材を有してもよい。特に、第1の弁軸は、第2の弁軸が第1の弁軸に対して、それを通って、またはその中に摺動し、かつ第1の弁軸が第2の弁軸に対して、その周りを、またはその上で摺動するように、第2の弁軸を摺動可能に受容する開孔を含んでもよい。いくつかの例では、本明細書に記載される第1の弁軸は、棒状構造を有する第2の弁軸を摺動可能に受容するスリーブ状構造を提供してもよい。
【0009】
加えて、アクチュエータのそれぞれが第2の弁軸から独立して第1の弁軸を移動させ得るため、第1の流動制御部材は、第2の弁座に対する第2の流動制御部材の位置によって提供される第2の流体流動開口部または第2の通路を通る流量から独立して変動する第1の流体流動開口部または第1の通路を通る流量を提供するように第1の弁座に対して位置決めされてもよい。
【0010】
図1は、既知の三方流体弁100を示す。流体弁100は、第1のポートまたは入口110と第2のポートまたは出口112との間の弁体108の第1の流体通路106を通る流体流動を制御するように第1の弁座104に対して移動する第1の側102aを有する弁栓102(例えば、二重弁栓)を含む。弁栓102は、第1のポート110と第3のポートまたは出口118との間の弁体108の第2の流体通路116を通る流体流動を制御するように第2の弁座114に対して移動する第2の側102bを有する。
【0011】
動作中、アクチュエータ(図示せず)は、第1の弁座104および第2の弁座114に対して弁栓102を移動させる。例えば、アクチュエータのゼロパーセントのストローク長の位置では、弁栓102は、第1の通路106を通る流体流動を制限するように第1の弁座104と封止係合し、弁栓102は、第2の通路116を通る流体流動を可能にするように第2の弁座114に対して完全に開放位置にある。アクチュエータの100パーセントのストローク長の位置では、弁栓102は、第1の通路106を通る流体流動を可能にするように第1の弁座104に対して完全に開放位置にあり、第2の通路116を通る流体流動を制限するように第2の弁座114と封止係合する。
【0012】
したがって、弁栓102は、同時かまたは特定の場合に流体流動通路106または116のうちの1つのみを通る流体流動を防止または制限するように弁座104、114のうちの1つとのみ封止係合することができる。
【0013】
同時に流体流動通路106および116の両方を通る流体流動を防止または制限するために、1つ以上の遮断弁または流動制御デバイス120、122、および/または124が、それぞれの流体ポート110、112、および/または118から上流および/または下流に流体的に結合される。このように、例えば、弁栓102が第1の弁座104と封止係合するとき、ポート110の上流の遮断弁120および/またはポート118の下流の遮断弁124は、弁栓102が第1の弁座104と封止係合しているときに第2の通路116を通る流体流動を防止するように、閉鎖位置に移動されてもよい。このような追加の流動制御デバイス120、122、124は、製造費用を増加させ、および/または過程システムの複雑化および設計を増大させる。
【0014】
加えてまたはあるいは、弁栓102の位置が第1の弁座104に対して25パーセントのストローク長の位置に移動されると、弁栓102はまた、ゼロパーセントのストロークのアクチュエータの位置が弁栓102を第1の弁栓104に対して閉鎖位置に、かつ第2の弁座114に対して完全に開放位置に移動させることを条件として、第2の弁座114に対して75パーセントのストローク長の位置に位置決めされる。したがって、流体流動開口部または第1の通路106を通る流量は、流体流動開口部または第2の通路116を通る流量に対して逆に変動する。
【0015】
図1の既知の弁100は、共通の入口110から出口112、118のうちの1つまたは両方へ流体流動を導く流動分流流体弁として使用するために構成される。しかしながら、他の例では、既知の流体弁は、それぞれの入口202、204から共通出口206へ流体流動を混合および集束するために図2に示されるように、流動集束流体弁200として構成されてもよい。図1の弁100のように、追加の流動制御デバイス120、122、124はまた、同時に両入口202、204と出口206との間の流体弁200を通る流体流動を防止または制限するように図2の流体弁200とともに使用されてもよい。
【0016】
図3は、分流用途に使用され得る本明細書に記載される例示的な三方流体弁300を示す。特に、例示的な流体弁300は、流体弁300を通るすべての流体流動を防止または制限するように同時遮断を可能にする。
【0017】
図3の流体弁300は、第1のポート304、第2のポート306、および第3のポート308を有する弁体302を含む。弁体302は、第1のポート304と第2のポート306との間の第1の流体流路または通路310と、第1のポート304と第3のポート308との間の第2の流体流路または通路312とを画定する。例えば、図示されるように、第1のポート304は、配管314を介して上流の流体源に流体的に結合される入口であってもよく、第2のポート306および第3のポート308は、それぞれの配管316および318を介して下流の流体源に流体的に結合される出口ポートであってもよい。
【0018】
図1の流体弁100とは異なって、図3の例示的な流体弁300は、第1の通路310を通る流体流動を制御する第1の弁トリム装置またはアセンブリ320と、第2の通路312を通る流体流動を制御する第2の弁トリム装置またはアセンブリ322とを含む。特に、第1の弁トリム装置320は、弁トリム装置320および322が互いに対して摺動することを可能にするように第2の弁トリム装置322に対して摺動可能に結合される。図示されるように、第1の弁トリム装置320は、第2の弁トリム装置322に対して摺動し、第2の弁トリム装置322は、第1の弁トリム装置320に対して摺動する。加えてまたはあるいは、以下により詳細に記載されるように、第1の弁トリム装置320および第2の弁トリム装置322は、互いに対して独立して移動され得る。
【0019】
図3の図解された例では、第1の弁トリム装置320は、第1の流動制御部材324(例えば、弁栓)と、第1または外側弁軸326と、第1の弁座328とを含む。第2の弁トリム装置322は、第2の流動制御部材330(例えば、弁栓)と、第2または内側弁軸332と、第2の弁座334とを含む。図3に示されるように、第1の流動制御部材324(例えば、弁栓)は、第2の流動制御部材330を摺動可能に受容する。より具体的には、第1の弁軸326は、棒状構造である第2の弁軸332を摺動可能に受容するスリーブ状構造である。
【0020】
第1の弁座328は、第1の通路310の第1のオリフィス336を画定するように第1の通路310内に配設され、第2の弁座334は、第2の通路312の第2のオリフィス338を画定するように第2の通路312内に配設される。動作中、第1の流動制御部材324は、第1の通路310を通る流体流動を制御または調節するように第1の弁座328に対して移動し、第2の流動制御部材330は、第2の通路312を通る流体流動を制御または調節するように第2の弁座334に対して移動する。特に、以下により詳細に記載されるように、第1の流動制御部材324は、第2の流動制御部材330に対して独立して移動する。
【0021】
図解された例の第1の弁トリム装置320はまた、第1の弁軸326を介して環境への流体漏出を防止する第1の封止またはパッキンシステム340を含む。同様に、図解された例の第2の弁トリム装置322は、第2の弁軸332を介して環境への流体漏出を防止する第2の封止またはパッキンシステム342を含む。
【0022】
図4は、図3の例示的な弁トリム装置320および322の断面図を示す。図4に示されるように、第1の弁軸326は、流体弁300の弁帽406の開口部404と摺動可能に係合する外表面402を有する。第1のパッキンシステム340(例えば、常時付勢(live−loaded)パッキン)は、開口部404に隣接する弁帽406の空洞410内に配設されるパッキンまたは封止408(例えば、黒鉛リング、PTFEリングなど)を含む。パッキン保持具またはフォロア412は、空洞410内のパッキン408を保持する。パッキンシステム342は、第1の弁軸326に沿った、および弁帽406の開口部404を介した環境への流体漏出を防止または制限するように、第1の弁軸326の外表面または直径および開口部404の内表面または直径を封止する。
【0023】
第1の流動制御部材324は、第1の弁軸326の第1の端部414aに結合される。加えて、第1の弁軸326および第1の流動制御部材324は、第2の弁軸332を摺動可能に受容するそれぞれの開孔416および418を有する。例えば、それぞれの弁軸332および第1の流動制御部材324の開孔416および418のそれぞれは、第2の弁軸332の外表面または直径420を受容するようにサイズ決めされる(例えば、それより小さい)開口部または直径を有する。このように、第2の弁軸332は、第1の弁軸326および第1の流動制御部材324に対して、その中に、またはそれを通って摺動する。図4に示されるように、第1の弁軸326の開孔416は、第1の端部414aに隣接し、第1の流動制御部材324の開孔418と同軸方向に整列される。
【0024】
第1の弁軸326はまた、第2のパッキンシステム342を受容するように第1の弁軸326の第2の端部414bに隣接する空洞422を含む。第2のパッキンシステム342(例えば、常時付勢パッキン)は、第1の弁軸326の空洞422内に配設されるパッキンまたは封止424(例えば、黒鉛リング、PTFEリングなど)を含む。パッキン保持具またはフォロア426は、空洞422内のパッキン424を保持する。図解された例では、パッキンシステム342は、第2の弁軸332の外表面420と摺動可能に係合するようにサイズ決めされる内側開口部または直径を含み、空洞422の内側開口部または直径430と適合するようにサイズ決めされる外表面または直径を含む。第2のパッキンシステム342は、第2の弁軸332に沿った、および弁帽406ならびに第1の弁軸326および第1の流動制御部材324のそれぞれの開孔416および418を介して環境への流体漏出を防止または制限するように、第2の弁軸332の外表面および第1の弁軸330の内表面または直径を封止する。
【0025】
したがって、第1の弁軸326は、弁帽406の開口部404およびパッキンシステム340に対して移動または摺動し、第2の弁軸332は、パッキンシステム342ならびに第1の弁軸326および第1の流動制御部材324の開孔416および418に対して移動または摺動する。
【0026】
図3および4の例では、弁軸326および332は、円筒形状のプロファイルまたは円形の断面形状を有する。しかしながら、他の例では、弁軸326および332は、正方形のプロファイルもしくは断面形状、長方形のプロファイルもしくは断面形状、または任意の他の好適なプロファイル(複数可)および/または断面形状(複数可)を有してもよい。
【0027】
図3の例示的な流体弁300は、共通の入口304から出口306、308のうちの1つ(または両方)へ流体流動を導く流動分流流体弁として使用するために構成される。しかしながら、他の例では、本明細書に記載される例示的な弁トリム装置320および322は、図5に示されるように2つのそれぞれの入口502、504から共通の出口506に流体流動を混合するための集束用途で使用するために例示的な三方流体弁500で用いられてもよい。
【0028】
図6は、本明細書に記載される例示的な流体制御弁アセンブリ600を示す。流体制御弁アセンブリ600は、弁帽606を介して流体弁604に結合されるアクチュエータ602(例えば、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータなど)を含む。流体弁604は、第1のポート612と第2のポート614との間の第1の流体流路または通路610と、第1のポート612と第3のポート618との間の第2の流体流路または通路616とを画定する弁体608を有する。例示的な流体弁604は、第1の弁トリム装置620と、第2の弁トリム装置622とを含む。より具体的には、弁トリム装置620および622は、第1の弁トリム装置620が第2の弁トリム装置622に対して摺動することを可能にするように互いに摺動可能に結合される。
【0029】
第1の弁トリム装置620は、第1の弁軸626(例えば、スリーブ)に結合される流動制御部材624(例えば、弁栓)を含み、第2の弁トリム装置622は、第2の弁軸630(例えば、棒)に結合される第2の流動制御部材628(例えば、弁栓)を含む。より具体的には、第1の弁軸626および第1の流動制御部材624は、第2の弁軸630を摺動可能に受容する。図示されないが、図6の弁トリム装置620および622のそれぞれは、第1の弁軸626および第2の弁軸628の外表面を介して環境への流体漏出を防止する封止またはパッキンシステム(例えば、図3のパッキンシステム340および342と類似)を用いる。
【0030】
第1の流動制御部材624は、第1の通路610を通る流体流動を制御または調節するように第1の通路610内に配設される第1の封止または弁座636に対して移動し、第2の流動制御部材628は、第2の通路612を通る流体流動を制御または調節するように第2の通路612内に配設される第2の封止または弁座638に対して移動する。
【0031】
特に、第1の流動制御部材624は、第1の通路610を通る流体流動を制限または防止するように第1の通路610の弁座636と封止係合し、第1の通路610を通る流体流動を可能にするように弁座636から離れる。同様に、第2の流動制御部材628は、第2の通路616を通る流体流動を制限または防止するように第2の通路616の弁座638と封止係合し、第2の通路616を通る流体流動を可能にするように弁座638から離れる。
【0032】
図解された例では、アクチュエータ602は、互いに独立してそれぞれの弁座636および638に対して第1の流動制御部材624および第2の流動制御部材628を移動させる。図6に示されるアクチュエータ602は、第1の弁軸626を介して第1の流動制御部材624に動作可能に結合される第1の圧力センサ640と、第2の弁軸630を介して第2の流動制御部材628に動作可能に結合される第2の圧力センサ642とを含む。図解された例では、アクチュエータ602の圧力センサ640および642は、ピストン644および646としてそれぞれ示される。しかしながら、他の例では、圧力センサ640および642は、ダイヤフラムまたは任意の他の好適な圧力センタ(複数可)であってもよい。
【0033】
第1のピストン644は、第1の制御チャンバ648aと、第2の制御チャンバ648bとを画定するように第1のアクチュエータチャンバ648内に配設される。同様に、第2のピストン646は、第3の制御チャンバ650aと、第4の制御チャンバ650bとを画定するように第2のアクチュエータチャンバ650内に配設される。アクチュエータチャンバ648および650は、アクチュエータ602のハウジングまたはケーシングと一体に形成される。
【0034】
アクチュエータ602はまた、第1の弁軸626および第1のピストン644を動作可能に結合するアクチュエータ軸652を含む。図示されるように、アクチュエータ軸652は、ピストン644と一体に形成されてもよく、および/または第1の端部652aで締結具、溶接などを介してピストン644に結合されてもよい。アクチュエータ軸652の第2の端部652bは、コネクタ654を介して第1の弁軸626に結合される。加えて、アクチュエータ軸652およびピストン644はそれぞれ、締結具656を介して第2のピストン646に結合される第2の弁軸630を摺動可能に受容する開孔または開口部(図示せず)を含む。したがって、第1のピストン644は、第1の弁軸626を介する弁座636、アクチュエータ軸652、およびコネクタ654に対して第1の流動制御部材624を移動させる。同様に、第2のピストン646は、第1のピストン644、アクチュエータ軸652、第1の弁軸626、および第1の流動制御部材624を通って摺動可能に移動する第2の弁軸630を介する第2の弁座638に対して第2の流動制御部材628を移動させる。
【0035】
第1のピストン644は、第2のピストン646から独立して動作することができる。結果として、第1のピストン644は、第2の流動制御部材628から独立して第1の流動制御部材624を動作または移動させることができる。同様に、第2のピストン646は、第1の流動制御部材624から独立して第2の流動制御部材628を動作または移動させることができる。例えば、図6に示されるように、流動制御部材624および628の両方は、それぞれの閉鎖位置658および660にある。したがって、図1および2の流体弁100および200とは異なって、第1の流動制御部材624および第2の流動制御部材628は、同時に通路610および616の両方を通る流体流動を防止または制限するようにそれぞれの閉鎖位置658および660に位置決めされてもよい。
【0036】
動作中、ピストン644および646の独立した運動は、それぞれのピストン644および646にわたって提供される圧力差によって制御される。より具体的には、第1のピストン644ひいては第1の流動制御部材624の運動は、ポート662aおよび662bの中へ、およびそこから外へ流体(例えば、加圧流体)を運搬することによって制御され、第2のピストン646ひいては第2の流動制御部材628の運動は、ポート664aおよび664bの中へ、およびそこから外へ流体(例えば、加圧流体)を運搬することによって制御される。
【0037】
例えば、制御流体(例えば、加圧空気)は、第1の弁座636および/または第2の弁トリム装置622に対して第1の流動制御部材624を移動させる第1のピストン644にわたる圧力差を提供するように、それぞれのポート662aおよび662bを介する第1のチャンバ648aおよび第2のチャンバ648bに提供されるか、またはそこから排出される。同様に、制御流体(例えば、加圧空気)は、第2の弁座638および/または第1の弁トリム装置620に対して第2の流動制御部材628を移動させる第2のピストン646にわたる圧力差を提供するように、それぞれのポート664aおよび664bを介する第3のチャンバ650aおよび第4のチャンバ650bに提供されるか、またはそこから排出される。加えて、図示されないが、例示的な流体弁アセンブリ600は、それぞれの位置(例えば、ストローク長の位置)の指標を検出または提供するように、流動制御デバイス624および628のそれぞれに動作可能に結合される二重制御デバイス、ポジショナ、および/または送信器を含んでもよい。
【0038】
図7は、第1の位置700における図6の例示的な流体制御弁600を示す。例えば、位置700では、第2の流動制御部材628は、第2の通路616を通る流体流動を可能にするように第2の弁座638から離れて開放位置702に位置決めされ、第1の流動制御部材624は、第1の通路610を通る流体流動を防止または制限するように閉鎖位置658に位置決めされる。第2の流動制御部材628を弁座638から離れて開放位置702に移動させるために、ピストン646にわたる圧力差がピストン646を第4のチャンバ650bに向かって(例えば、図7の配向における上方方向に)移動させるように、加圧流体が第4のチャンバ650b内の流体の圧力より大きい圧力を有するポート664aを介する第3のチャンバ650aで提供される。ピストン646が第4のチャンバ650bに向かって移動するとき、ピストン646は、第2の弁軸630を第4のチャンバ650bに向かって移動させ、それによって第2の流動制御部材628を第1の流動制御部材624に向かい、および弁座638から離れて移動させる。特に、第2の弁軸630は、第1の流動制御部材624、第1の弁軸626、アクチュエータ軸652、および第1のピストン644に対し、および/またはそれらを通って摺動し、それぞれが第2の弁軸630を受容するように同軸方向に整列される開孔または開口部を有する。
【0039】
図8は、第2の位置800における図6の例示的な流体制御弁600を示す。第2の位置800では、第1の流動制御部材624は、第1の通路610を通る流体流動を可能にする開放位置802(弁座636から離れる)であり、第2の流動制御部材628は、第2の通路616を通る流体流動を制限または防止する閉鎖位置660にある。例えば、第1の流動制御部材624を弁座636から離れて開放位置802に移動させるために、第1のピストン644にわたる圧力差が第1のピストン644を第1のチャンバ648aに向かって(例えば、図8の配向における下方方向に)移動させるように、ポート662bを介して第2のチャンバ648bに提供される加圧流体が第1のチャンバ648a内の流体の圧力より大きい圧力を有する。ピストン644が第1のチャンバ648aに向かって移動するとき、アクチュエータ軸652は、第1の弁軸626を、コネクタ654を介する第2の流動制御部材628に向かって移動させ、それによって第1の流動制御部材624を第2の流動制御部材628に向かい、および弁座636から離れて移動させる。特に、第1の弁軸626は、第2の弁軸630に対し、その上で、および/またはその周りに摺動する。特に、第1の流動制御部材624、第1の弁軸626、アクチュエータ軸652、および第1のピストン644は、第2の弁軸630の周りか、その上か、その周囲か、またはそれに対して摺動可能に移動する。したがって、第2の弁軸630は、第1の弁トリム装置620が第2の弁トリム装置622に対して摺動可能に移動するときに、第1の流動制御部材624、第1の弁軸626、およびアクチュエータ軸652にガイドを提供してもよい。
【0040】
図9は、第3の位置900における図6の例示的な流体制御弁600を示す。例えば、第3の位置900では、第1の流動制御部材624は、第1の通路610を通る流体流動を可能にするように第1の弁座636から離れた第1の位置または距離902(例えば、第1のピストン644のストローク長)であってもよく、第2の流動制御部材628は、第2の通路616を通る流体流動を可能にするように第2の弁座638から離れた第2の位置または距離904(例えば、第2のピストン646のストローク長)であってもよい。特に、第1のピストン644のストローク長の位置は、第2のピストン646のストローク長の位置から独立している。したがって、第1の流量は、第2の通路616を通って提供される第2の流量に実質的に等しいか、または異なる第1の通路610を通って提供されてもよい。図1および2の流体弁100および200とは対照的に、第1の弁座636に対する第1の流動制御部材624の位置は、第2の弁座638に対する第2の流動制御部材628の位置に依存しない。
【0041】
例えば、第1の流動制御部材624は、第1のピストン644の10パーセントのストローク長の位置に位置決めされてもよく、第2の流動制御部材628は、第2のピストン646の30パーセントのストローク長の位置に位置決めされてもよい。他の例では、流動制御部材624および628の位置は、補完的であってもよいか、または第1のストローク長の位置が第1のピストン644のストローク長の10パーセントであり、かつ第2のストローク長の位置が第2のピストン646のストローク長の90パーセントであるように一致してもよい。加えてまたはあるいは、流動制御部材624および628は、互いに、および/またはそれぞれの弁座636および638に対して任意の位置であってもよい。
【0042】
したがって、図1および2の例示的な流体弁100および200とは異なって、本明細書に記載される例示的な流体弁300および600は、第1の流動制御部材324、624と、第2の流動制御部材330、628とを含み、これらは、互いに独立して位置決めされるかまたは動作されてもよい。このように、流体弁300および600は、図1および2の流体弁100および200とともに必要とされるものと類似する追加の遮断デバイスまたは構成を必要とすることなく、流体弁300および600を通る流体流動を防止または制限するように閉鎖位置に移動されてもよい。
【0043】
加えてまたはあるいは、図1および2の流体流動弁100および200とは異なって、本明細書に記載される流体弁300および600の例示的な弁トリム装置320、322、620、および622は、開口部または第1の通路(例えば、通路310、610)を通る流量が開口部または第2の通路(例えば、通路312、616)を通る流量から独立することを可能にする。例えば、第1の流動制御部材624が第1のピストン644の25パーセントのストローク長の位置で位置決めされる場合、第2の流動制御部材628は、図1および2の流体流動弁100および200によって必要とされるように第2のピストン646の75パーセントのストローク長の位置で位置決めされる必要はない。したがって、例示的な第1の流動制御部材324、624は、第2の弁座334、638に対する第2の流動制御部材330、628の位置から独立する第1の弁座328、636に対して位置決めされてもよい。
【0044】
ある例示的な方法、装置、および製品が本明細書に記載されたが、本特許の包含する範囲はこれらに限定されない。それとは反対に、本特許は、字義的または均等論下のいずれかで添付の特許請求の範囲内に適正に含まれるすべての方法、装置、および製品を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9