特許第6193243号(P6193243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6193243-非水電解質二次電池 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193243
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20170828BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20170828BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20170828BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170828BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170828BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170828BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01M10/052
   H01M10/0567
   H01M4/48
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/58
   H01M4/36 A
   H01M4/36 E
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-538103(P2014-538103)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(86)【国際出願番号】JP2013004695
(87)【国際公開番号】WO2014049931
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-211874(P2012-211874)
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【弁理士】
【氏名又は名称】来代 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100131864
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 正憲
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】福井 厚史
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 毅
【審査官】 小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/067102(WO,A1)
【文献】 特開2011−159619(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086277(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/099265(WO,A1)
【文献】 特開2005−196992(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004973(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/139130(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/040443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/13−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類化合物が表面に付着されたリチウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質を有する正極と、
SiO(0.8≦X≦1.2)で表される酸化ケイ素と黒鉛とを含む負極活物質を有する負極と、
溶媒と溶質とを有し、且つ、環状エーテル化合物を前記溶媒に対して0.1質量%以上10質量%以下含む非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって
前記環状エーテル化合物が、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール及びクラウンエーテルから選択される少なくとも1種である、非水電解質二次電池
【請求項2】
上記リチウム含有遷移金属酸化物が、一般式Li(0.9≦y≦1.5、MはCo、Ni及びMnから選ばれる少なくとも1種を含む元素)で表される岩塩層状型リチウム含有遷移金属酸化物、一般式Li(0.9≦z≦1.1、Mは少なくともMnを含む元素)で表されるスピネル型リチウム含有遷移金属酸化物、及び一般式LiPO(0.9≦a≦1.1、MはFe、Co及びMnから選ばれる少なくとも1種を含む元素)で表されるオリビン型リチウム含有遷移金属酸化物から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
上記リチウム含有遷移金属酸化物が、一般式LiCo1−c(0.9≦b≦1.1、0.8≦c≦1.0、MはZr、Mg、Ti、Al、Ni及びMnから選ばれる少なくとも一種を含む元素)で表されるコバルト酸リチウムである、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
上記希土類化合物が、希土類のオキシ水酸化物、希土類の水酸化物、又は希土類の酸化物である、請求項1〜3の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
希土類化合物における希土類元素が、サマリウム、ネオジム、又はエルビウムである、
請求項1〜4の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
上記環状エーテル化合物が、1,3−ジオキサン及び/又は1,4−ジオキサンである、請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
上記負極活物質の総量に対する上記酸化ケイ素の割合が、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
上記酸化ケイ素の表面には炭素がコーティングされている、請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項9】
上記非水電解質には、更にスルホニル基を含有する化合物が添加されており、
上記非水電解質の溶媒に対する上記スルホニル基を含有する化合物の割合が0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項10】
上記スルホニル基を含有する化合物が、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、及び1,4−ブタンスルトンから成る群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水電解質二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源として用いる電池の高容量化が要求されている。このような要求に対応するため、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行う非水電解質二次電池が広く利用されている。
しかしながら、今日では、移動情報端末における動画再生、ゲーム機能といった娯楽機能の充実が進み、消費電力はさらに上昇する傾向にあるため、上記非水電解質二次電池の更なる高容量化が求められている。
【0003】
ここで、非水電解質二次電池を高容量化する方策としては、(1)活物質の容量を高くする、(2)充電電圧を高くする、(3)活物質の充填量を増やし充填密度を高くする、等の方法が考えられる。
しかし、(2)の方法を用いた場合(特に、充電電圧を4.3Vよりも高くした場合)には、非水電解液が分解し易くなる。このため、高温で保存したり、連続充電した場合に、非水電解液が分解して、ガス発生する結果、電池が膨らんだり、電池の内部圧力が高くなるという問題を生じる。
【0004】
この問題に対し、特許文献1に示されるように、リチウム含有遷移金属酸化物の表面に希土類の水酸化物や希土類のオキシ水酸化物の微粒子を分散した状態で付着させた正極活物質を用いることで、高温で充電保存した時の電解液分解反応を抑制し、電池膨れを抑制することが提案されている。
また、特許文献2に示されるように、1,3−ジオキサンを添加した非水電解液を用いることで、高温保存特性とサイクル特性を改善することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−159619号
【特許文献2】WO2007−139130号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に示した技術と上記特許文献2に示した技術とを組み合わせた場合には、高温充電保存特性は改善する。しかしながら、これら技術を組み合わせた場合、過放電保存時(特に、高温過放電保存時)に、正極活物質の表面で1,3−ジオキサン等の環状エーテルが還元分解してガスを発生し、電池膨れが生じるということを本願発明者らは見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面は、希土類化合物が表面に付着されたリチウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質を有する正極と、SiO(0.8≦X≦1.2)で表される酸化ケイ素と黒鉛とを含む負極活物質を有する負極と、溶媒と溶質とを有し、且つ、環状エーテル化合物を含む非水電解質と、を備える。環状エーテルは、溶媒に対して0.1質量%以上10質量%以下含まれることが好ましい。環状エーテルは、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール及びクラウンエーテルから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一の局面によれば、高温充電保存特性と過放電保存特性(特に、高温過放電保存特性)とを向上できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電池放電時における放電時間と電位との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(リチウム含有遷移金属酸化物)
本発明の一の局面におけるリチウム含有遷移金属酸化物としては、一般式Li(0.9≦y≦1.5、MはCo、Ni及びMnから選ばれる少なくとも1種を含む元素)で表される岩塩層状型リチウム含有遷移金属酸化物、一般式Li(0.9≦z≦1.1、Mは少なくともMnを含む元素)で表されるスピネル型リチウム含有遷移金属酸化物、及び一般式LiPO(0.9≦a≦1.1、MはFe、Co及びMnから選ばれる少なくとも1種を含む元素)で表されるオリビン型リチウム含有遷移金属酸化物等が例示される。
【0011】
これらの中でも、作動電圧が高く、高エネルギー密度化が可能な上記岩塩層状型リチウム含有遷移金属酸化物が好ましく、特に、一般式LiCo1−c(0.9≦b≦1.1、0.8≦c≦1.0、MはZr、Mg、Ti、Al、Ni及びMnから選ばれる少なくとも一種を含む元素)で表されるコバルト酸リチウムであることが好ましい。
【0012】
(希土類化合物)
本発明の一の局面において、リチウム含有遷移金属酸化物の表面には希土類化合物の微粒子が分散した状態で付着している。このような構成であれば、リチウム含有遷移金属酸化物と非水電解液との接触面積が小さくなるので、高温充電保存した場合であっても非水電解液が分解し難くなる。したがって、電池内でガスが発生するのを抑制できるので、電池が膨らんだり、電池の内部圧力が高くなるのを抑えることができる。
【0013】
ここで、希土類化合物の平均粒子径は、100nm以下であることが望ましく、特に、1nm以上100nm以下であることが望ましく、その中でも、10nm以上100nm以下であることが望ましい。希土類化合物の平均粒子径が1nm未満になると、リチウム含有遷移金属酸化物の表面が希土類化合物によって緻密に覆われ過ぎるため、リチウムの挿入、離脱が困難となる場合がある。一方、希土類化合物の平均粒子径が100nmを超えると、リチウム含有遷移金属酸化物の表面が希土類化合物によって十分に覆われず、上記作用効果が十分に発揮されない場合がある。
【0014】
リチウム含有遷移金属酸化物の表面に希土類化合物の微粒子が分散した状態で付着した構成の上記正極活物質は、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物を分散した溶液中で、希土類元素の水酸化物を析出させ、この水酸化物をリチウム含有遷移金属酸化物の表面に付着させる工程を含む製造方法によって得ることができる。希土類元素の水酸化物を付着させた後、一般には、乾燥及び熱処理がなされる。
【0015】
この場合の熱処理の温度としては、一般に80℃以上600℃以下であることが好ましく、特に、80℃以上400℃以下であることが好ましい。熱処理の温度が600℃を超えると、表面に付着した希土類化合物の微粒子の一部がリチウム含有遷移金属酸化物の内部に拡散し、初期の充放電効率が低下する。したがって、容量が高く、より選択的に表面に希土類化合物が付着した状態の正極活物質を得るには、熱処理温度は600℃以下に規制することが好ましい。一方、熱処理温度が80℃未満になると、リチウム含有遷移金属酸化物の表面に水分が残留することがあるので、80℃以上で行うのが好ましい。また、
表面に析出した水酸化物は、その後の熱処理により、水酸化物、オキシ水酸化物、又は酸化物などの形態となる。したがって、本発明の一の局面における正極活物質表面に付着する希土類化合物は、水酸化物、オキシ水酸化物、又は酸化物などの形態で付着している。
ここで、400℃以下で熱処理した場合には、主に水酸化物や、オキシ水酸化物の状態となり、400℃を超える温度で熱処理した場合には、主に酸化物の状態となる。尚、熱処理時間は、一般に、3〜7時間であることが好ましい。
【0016】
本発明の一の局面の正極活物質において、リチウム含有遷移金属酸化物に対する希土類化合物の割合は、希土類元素換算で、0.005質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、特に、0.01質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。希土類化合物の付着量が0.005質量%未満になると、高温充電保存特性の改善が十分に得られない場合がある。一方、希土類化合物の付着量が1.0質量%を超えると、分極が大きくなって、電池特性が低下することがある。
【0017】
希土類化合物における希土類元素としては、特に限定されるものではないが、例えば、エルビウム、サマリウム、ネオジム、イッテルビウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、ツリウム、ルテチウム、ランタンなどが挙げられる。中でも、充電保存特性の改善効果が大きいサマリウム、ネオジム、エルビウムが好ましい。
【0018】
(非水電解液)
本発明の一の局面に用いる非水電解液には、環状エーテル化合物が含有されている。このような構成であれば、初期充電時に環状エーテル化合物が正極側で優先的に分解されて、正極活物質表面に被膜が形成される。そして、この被膜が非水電解液の分解を抑制する保護被膜として機能するので、高温充電保存した場合であっても非水電解液が分解し難くなる。したがって、電池内でガスが発生するのを抑制できるので、電池が膨らんだり、電池の内部圧力が高くなるのを抑えることができる。
【0019】
ここで、非水電解液の溶媒に対する環状エーテル化合物の割合は、0.1質量%以上10質量%以下であることが望ましく、特に、0.5質量%以上2質量%以下であることが望ましい。環状エーテル化合物量が0.1質量%未満の場合は、正極活物質表面で酸化分解する環状エーテル化合物量が減少し、正極活物質の保護機能が十分に発揮されない。したがって、高温充電保存時に電池膨れを十分に抑制できないことがある。一方、環状エーテル化合物が10質量%を超えると、負極にSiOを加えた場合でも、高温過放電保存時に正極活物質表面での還元分解量が増加し、高温過放電保存時における電池膨れを十分
に抑制できないことがある。
【0020】
上記環状エーテル化合物の例としては、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、特に、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンが好ましい。
【0021】
また、非水電解液には、上記環状エーテル化合物に加えて、スルホニル基を含有する化合物が含有されていることが好ましい。非水電解質の溶媒に対する該スルホニル基を含有する化合物の割合は、0.1質量%以上10質量%以下であることが望ましく、特に、0.5質量%以上2質量%以下であることが望ましい。スルホニル基を含有する化合物が0.1質量%未満の場合、正極活物質表面での被膜形成量が減少し、高温充電保存特性の改善効果が小さくなる。一方、スルホニル基を含有する化合物が10質量%以上を超えた場合は、正極活物質表面における被膜量が増加するため、放電性能が低下する。
【0022】
上記スルホニル基を含有する化合物としては、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルビニルスルホン、エチレングリコールジメタンスルホネート、1,3−プロパンジオールジメタンスルホネート、1,5−ペンタンジオールジメタンスルホネート、1,4−ブタンジオールジエタンスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、特に、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトンが好ましい。
【0023】
非水電解液の溶媒、溶質については、非水電解質二次電池に用いることができるものであれば特に限定されるものではない。
上記非水電解液の溶質としては、LiBF,LiPF,LiN(SOCF,LiN(SO,LiPF6−x(C2n+1[但し、1<x<6,n=1または2]、或いは、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を用いることもできる。このオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、LiBOB〔リチウム−ビスオキサレートボレート〕の他、中心原子にC2−が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C](式中、Mは遷移金属,周期律表のIIIb族,IVb族,Vb族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C)F]、Li[P(C)F]、Li[P(C]等がある。但し、高温環境下においても負極の表面に安定な被膜を形成するためには、LiBOBを用いることが最も好ましい。
【0024】
尚、上記溶質は、単独で用いるのみならず、2種以上を混合して用いても良い。また、溶質の濃度は特に限定されないが、電解液1リットル当り0.8〜1.7モルであることが望ましい。更に、大電流での放電を必要とする用途では、上記溶質の濃度が電解液1リットル当たり1.0〜1.6モルであることが望ましい。
【0025】
一方、上記非水電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、ジエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒や、これらの溶媒の水素の一部がFにより置換されているカーボネート系溶媒が好ましく用いられる。溶媒としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組み合わせて用いることが好ましい。
【0026】
(負極活物質)
本発明の一の局面における負極活物質としては、黒鉛とSiO(0.8≦X≦1.2)とが混合されたものを用いる。このような構成とすれば、高温充電保存時のみならず過放電保存時(特に、高温過充電保存時)であっても、ガス発生に起因する電池膨れを抑制できる。これは、以下に示す理由によると考えられる。
【0027】
上述の如く、希土類化合物が表面に付着された正極活物質と、環状エーテル化合物が添加された非水電解質とを用いれば、高温過充電保存特性を向上させることができる。しかしながら、上記環状エーテル化合物は、過放電保存時に、正極活物質表面で還元分解されるため、ガスが発生し、電池膨れが生じる。これを、図1に基づいて説明する。図1において、線分Aは正極の放電曲線であり、線分Bは、負極活物質を黒鉛のみから構成した場合の(負極活物質にSiOが含まれていない場合の)負極の放電曲線である。また、線分Cは、負極活物質を黒鉛とSiOとから構成した場合の負極の放電曲線であり、線分Dは、負極活物質を黒鉛とSiOとから構成しているが、SiOの割合が僅かである場合の負極の放電曲線である。
【0028】
正負極間の電位差ΔVが小さくなった段階(例えば、2V)で放電は終了するが、負極活物質を黒鉛のみから構成した場合には、電位差(線分Aと線分Bとの電位差)ΔV=2Vとなった時点で、正極電位は大きく低下している。このため、正極活物質表面で環状エーテル化合物が還元分解される。これに対して、負極活物質を黒鉛とSiOとから構成した場合には、電位差(線分Aと線分Cとの電位差)ΔV=2Vとなった時点において、正極電位の低下を抑えることができる。このため、正極活物質表面で環状エーテル化合物が還元分解されるのを抑制できる。以上の理由により、負極活物質を黒鉛とSiOとか
ら構成すれば、環状エーテル化合物の還元分解を抑制できるので、過充電保存特性が向上する。
【0029】
但し、負極活物質を黒鉛とSiOとから構成しているが、SiOの割合が僅かである場合には、電位差(線分Aと線分Dとの電位差)ΔV=2Vとなった時点において、正極電位の低下を十分に抑えることできない。このため、正極活物質表面で環状エーテル化合物が還元分解されるのを十分に抑制できない場合がある。したがって、負極活物質の総量に対するSiOの割合は、0.5質量%以上であることが望ましい。
一方、負極活物質の総量に対するSiOの割合の上限は、10質量%以下であることが望ましく、特に、5質量%以下であることが望ましい。SiOの割合が10質量%を超える場合には、充放電時における負極活物質の膨張収縮量が増加し、充放電サイクル特性が低下することがある。
【0030】
ここで、上記黒鉛としては、非水電解質二次電池に用いることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、又は黒鉛の表面を非晶質炭素でコーティングしているもの等が挙げられる。
また、SiOにおけるXの値を、0.8≦X≦1.2に規制するのは、Xの値が0.8未満の場合には、SiO中のSi比率が増加するため、充放電時における負極活物質の膨張収縮量が増加し、充放電サイクル特性が低下する。一方、Xが1.2を超えた場合には、初回充放電時の不可逆容量が増加し、初期充放電効率が低下するため、電池容量が低下する。
尚、SiOの表面を炭素被覆しても良い。但し、SiOの表面を炭素被覆しなくても本発明の一の局面の効果は発揮される。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0032】
(実施例1)
[正極の作製]
(1)リチウム含有遷移金属酸化物の作製
Mg及びAlをそれぞれ1.5mol%固溶し、かつZrを0.05mol%含有したコバルト酸リチウムを作製した。具体的には、原料としてのLiCO、Co、MgO、Al、及びZrOを所定の比率で混合し、空気雰囲気中にて、850℃で24時間熱処理することにより作製した。
【0033】
(2)正極活物質の作製
上記コバルト酸リチウム1000gを、3リットルの純水に添加し、攪拌して、コバルト酸リチウムが分散した懸濁液を調製した。次に、この懸濁液に、硝酸エルビウム5水和物3.18gを溶解した溶液を添加した。硝酸エルビウム5水和物を溶解した液を懸濁液に添加する際には、10質量%の水酸化物ナトリウム水溶液を添加し、コバルト酸リチウムを含む溶液のpHを9に保った。次いで、これを吸引濾過し、水洗して、得られた粉末を120℃で乾燥した。これにより、コバルト酸リチウムの表面に水酸化エルビウムが均一に付着したものが得られた。
【0034】
その後、水酸化エルビウムが付着したコバルト酸リチウムを、300℃で5時間空気中にて熱処理し、正極活物質を得た。得られた正極活物質について、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、コバルト酸リチウムの表面に均一に分散された状態で、平均粒子径100nm以下のエルビウム化合物が均一に付着していた。エルビウム化合物の付着量は、エルビウム元素換算で、コバルト酸リチウムに対して、0.12質量%であった。尚、エルビウム化合物の付着量は、ICP(Inductivity Coupled Plasma:プラズマ発光分析)により測定した。
【0035】
(3)正極の作製
上記正極活物質と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合して、正極合剤スラリーを調製した。尚、正極活物質と、導電剤と、結着剤との割合は、質量比で、95:2.5:2.5のなるように規定した。最後に、この正極合剤スラリーを正極集電体であるアルミ箔の両面に塗布した後、乾燥し、更に、正極活物質の充填密度が3.60g/cmとなるように圧延して、正極を作製した。
【0036】
[負極の作製]
(1)負極活物質としての酸化ケイ素の作製
先ず、SiO(X=0.93)粒子の表面に、SiOに対する割合が10質量%となるように炭素をコーティングした。尚、炭素のコーティングはアルゴンガス雰囲気中において、CVD法を用いて行った。次に、炭素被覆されたSiO粒子をアルゴンガス雰囲気下1000℃で不均化処理を行った後、解砕・分級を行って、負極活物質としてのSiOを得た。
【0037】
(2)負極の作製
黒鉛(人造黒鉛)と上記SiOとを混合して負極活物質を作製した。この際、負極活物質の総量(黒鉛とSiOとの合計)に対するSiOの割合が2質量%となるように規制した。次に、この負極活物質と、分散剤としてのCMCと、結着剤としてのSBRとを、負極活物質と分散剤と結着剤との質量比が97:1.5:1.5となるように水溶液中で攪拌し、負極合剤スラリーを調製した。次いで、ドクターブレード法を用いて、上記負極合剤スラリーを、銅箔から成る負極集電体の両面に塗布、乾燥し、更に、負極活物質の充填密度が1.70g/cmとなるように圧延して、負極を作製した。
【0038】
[非水電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比3:6:1の割合で混合して、混合溶媒を調製した。次に、この混合溶媒に対し、1,3−ジオキサン(環状エーテル化合物)を0.5質量%添加し、更に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの割合で溶解させて、非水電解質液を調製した。
【0039】
[電池の作製]
上記正極と上記負極とを、セパレータを介して対向するように巻取って巻取り体を作製した後、アルゴン雰囲気下のグローボックス中にて、該巻取り体を非水電解液とともにアルミニウムラミネート内に封入することにより、電池容量が800mAhの非水電解質二次電池を得た。尚、電池サイズは、厚み3.6mm、幅3.5cm、長さ6.2cmである。
このようにして作製した電池を、以下、電池A1と称する。
【0040】
(実施例2、3)
非水電解液の調製時に、混合溶媒に対する1,3−ジオキサンの割合を、それぞれ、1.0質量%、2.0質量%としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、電池A2、A3と称する。
【0041】
(実施例4)
非水電解液の調製時に添加する環状エーテル化合物として、1,3−ジオキサンに代えて1,4−ジオキサンを用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A4と称する。
【0042】
(実施例5、6)
負極活物質の混合時に、負極活物質の総量に対するSiOの割合を、それぞれ、0.5質量%、5.0質量%としたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、電池A5、A6と称する。
【0043】
(実施例7〜9)
非水電解液の調製時に、1,3−ジオキサンに加えて、それぞれ、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトンを添加したこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。尚、混合溶媒に対する1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトンの割合は、全て1.0質量%である。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、電池A7〜A9と称する。
【0044】
(実施例10)
コバルト酸リチウムの表面に付着した希土類化合物として、エルビウム化合物に代えてネオジム化合物を用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。具体的には、正極活物質を作製する際に、硝酸エルビウム5水和物3.18gを溶解した水溶液に代えて、硝酸ネオジム6水和物3.65gを溶解した水溶液を用いた点が異なる。
得られた正極活物質について、SEMにて観察したところ、正極活物質の表面に均一に分散された状態で、平均粒子径100nm以下のネオジム化合物が均一に付着していた。
ネオジム化合物の付着量は、ネオジム元素換算で、コバルト酸リチウムに対して、0.12質量%であった。尚、ネオジム化合物の付着量は、ICPにより測定した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A10と称する。
【0045】
(実施例11)
コバルト酸リチウムの表面に付着した希土類化合物として、エルビウム化合物に代えてサマリウム化合物を用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。具体的には、正極活物質を作製する際に、硝酸エルビウム5水和物3.18gを溶解した水溶液に代えて、硝酸サマリウム6水和物3.54gを溶解した水溶液を用いた点が異なる。
得られた正極活物質について、SEMにて観察したところ、正極活物質の表面に均一に分散された状態で、平均粒子径100nm以下のサマリウム化合物が均一に付着していた。サマリウム化合物の付着量は、サマリウム元素換算で、コバルト酸リチウムに対して、0.12質量%であった。尚、サマリウム化合物の付着量は、ICPにより測定した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A11と称する。
【0046】
(実施例12)
コバルト酸リチウムの表面に付着した希土類化合物として、エルビウム化合物に代えてランタン化合物を用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。具体的には、正極活物質を作製する際に、硝酸エルビウム5水和物3.18gを溶解した水溶液に代えて、硝酸ランタン6水和物3.75gを溶解した水溶液を用いた点が異なる。
得られた正極活物質について、SEMにて観察したところ、正極活物質の表面に均一に分散された状態で、平均粒子径100nm以下のランタン化合物が均一に付着していた。
ランタン化合物の付着量は、ランタン元素換算で、コバルト酸リチウムに対して、0.12質量%であった。尚、ランタン化合物の付着量は、ICPにより測定した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A12と称する。
【0047】
(比較例1)
負極活物質として、黒鉛のみを用いた(SiOは含まれていない)以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z1と称する。
【0048】
(比較例2)
非水電解液を調製する際、1,3−ジオキサンに代えてジエチルエーテルを添加したこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z2と称する。
【0049】
(比較例3)
負極活物質として黒鉛のみを用いると共に、非水電解液を調製する際、1,3−ジオキサンを添加しなかったこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z3と称する。
【0050】
(比較例4)
コバルト酸リチウムの表面に付着した希土類化合物として、エルビウム化合物に代えてジルコニウム化合物を用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。具体的には、正極活物質を作製する際に、硝酸エルビウム5水和物3.18gを溶解した水溶液に代えて、ジルコニウムオキシナイトレート2水和物3.51gを溶解した水溶液を用いた点が異なる。
得られた正極活物質について、SEMにて観察したところ、正極活物質の表面に均一に分散された状態で、平均粒子径100nm以下のジルコニウム化合物が均一に付着していた。ジルコニウム化合物の付着量は、ジルコニウム元素換算で、コバルト酸リチウムに対して、0.12質量%であった。尚、ジルコニウム化合物の付着量は、ICPにより測定した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z4と称する。
【0051】
(比較例5)
負極活物質として、黒鉛のみを用いた(SiOは含まれていない)以外は、上記比較例4と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z5と称する。
【0052】
(実験)
上記電池A1〜A12、Z1〜Z5を下記条件で充放電し、高温充電保存特性(高温充電保存膨れ)及び高温過放電保存特性(高温過放電保存膨れ)を調べたので、それらの結果を表1に示す。
【0053】
[高温充電保存特性]
1.0It(800mA)の電流で電池電圧4.4Vまで定電流充電を行った後、4.4Vの定電圧で電流0.05It(40mA)になるまで定電圧充電した。この充電終了後に、保存前電池厚みTaを測定した。次に、上記充電した電池を80℃の恒温槽内で2日間保存した後、恒温槽から電池を取り出した。次いで、室温にて電池を1時間放置した後、保存後電池厚みTbを測定し、下記(1)式から、高温充電保存膨れを算出した。
高温充電保存膨れ=(保存後電池厚みTb)−(保存前後電池厚みTa)・・・(1)
【0054】
[高温過放電保存特性]
0.2It(160mA)の電流で電池電圧2.0Vまで定電流放電を行った後、保存前電池厚みTcを測定した。次に、上記過放電した電池を60℃の恒温槽内で20日間保存した後、恒温槽から電池を取り出した。次いで、電池を室温で1時間放置した後、保存後電池厚みTdを測定し、下記(2)式から、高温過放電保存膨れを算出した。
高温過放電保存膨れ=(保存後電池厚みTd)−(保存前後電池厚みTc)・・・(2)
【0055】
【表1】
【0056】
上記表1から明らかなように、電池A1〜A12は高温充電保存膨れが小さくて高温充電保存特性に優れ、且つ、高温過放電保存膨れが小さくて高温過放電保存特性に優れていることが認められる。これは、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着され、且つ、非水電解液に環状エーテル化合物が添加され、しかも、負極活物質にSiOが含まれているからである。
【0057】
これに対して、電池Z1では、高温充電保存特性に優れるが、高温過放電保存特性に劣ることが認められる。電池Z1では、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着され、且つ、非水電解液に環状エーテル化合物が添加されているので高温充電保存特性に優れる。但し、負極活物質にSiOが含まれていないので、高温過放電保存特性に劣る。
また、電池Z2では、高温充電保存特性に劣るが、高温過放電保存特性に優れることが認められる。電池Z2では、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着されているが、非水電解液に環状エーテル化合物が添加されていないので高温充電保存特性に劣る。但し、このように環状エーテル化合物が添加されていないので、高温過放電保存特性に優れる。
【0058】
更に、電池Z3では、高温充電保存特性に劣るが、高温過放電保存特性に優れることが認められる。電池Z3では、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着されているが、非水電解液に環状エーテル化合物が添加されていないので高温充電保存特性に劣る。
但し、環状エーテル化合物が添加されていないので、高温過放電保存特性に優れる。また、電池Z4では、高温充電保存特性に劣るが、高温過放電保存特性に優れることが認められる。電池Z4では、非水電解液に環状エーテル化合物が添加されているが、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着されていないので(Zr化合物が付着されるのみなので)高温充電保存特性に劣る。但し、負極活物質にSiOを含んでいるので、高温過放電保存特性に優れる。
【0059】
加えて、電池Z5では、高温充電保存特性に劣り、且つ、高温過放電保存特性に劣ることが認められる。電池Z5では、非水電解液に環状エーテル化合物が添加されているが、コバルト酸リチウムの表面に希土類化合物が付着されていないので高温充電保存特性に劣る。加えて、負極活物質にSiOを含んでいないので、高温過放電保存特性に劣る。
【0060】
ここで、1,3−ジオキサンの添加量のみが異なる電池A1〜A3を比較すると、いずれも同等の特性を有することが認められる。したがって、1,3−ジオキサンの添加量が0.5質量%以上2質量%以下であれば、本発明の一の局面の作用効果を十分に発揮できる。また、環状エーテル化合物の種類のみが異なる電池A2、A4を比較すると、いずれも同等の特性を有することが認められる。したがって、環状エーテル化合物であれば、本発明の一の局面の作用効果を十分に発揮できる。更に、SiOの割合のみが異なる電池A2、A5、A6を比較すると、SiOの割合が多くなるほど、高温過放電保存特性が向上していることが認められる。したがって、高温過放電保存特性の向上という観点からは、SiOの割合が多いのが好ましい。
【0061】
また、スルホニル基を含有する化合物の添加の有無だけが異なる電池A2と電池A7〜A9とを比較すると、スルホニル基を含有する化合物が添加された電池A7〜A9は当該化合物が添加されていない電池A2に比べて、高温充電保存特性と高温過放電保存特性に優れることが認められる。したがって、非水電解液にはスルホニル基を含有する化合物を添加するのが好ましい。
【0062】
電池A2と電池A10〜A12から、コバルト酸リチウムの表面に付着した希土類化合物はその種類を問わず、本発明の一の局面の作用効果を十分に発揮できることが認められる。特に、希土類化合物がサマリウム、ネオジム又はエルビウムの場合、高温充電保存膨れが更に抑制されることが認められる。
図1