(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193313
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】建物のための構造システム
(51)【国際特許分類】
B66B 9/10 20060101AFI20170828BHJP
B61B 9/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B66B9/10
B61B9/00 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-137673(P2015-137673)
(22)【出願日】2015年7月9日
(62)【分割の表示】特願2015-507384(P2015-507384)の分割
【原出願日】2012年12月15日
(65)【公開番号】特開2015-231834(P2015-231834A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/687,450
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12003610.8
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516250904
【氏名又は名称】アーティキュレイテッド ファニキュレイター アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ キング
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−035254(JP,A)
【文献】
特開平04−140367(JP,A)
【文献】
特開平09−058946(JP,A)
【文献】
特開平05−193869(JP,A)
【文献】
特開平07−112875(JP,A)
【文献】
特開2011−020841(JP,A)
【文献】
特開2005−240519(JP,A)
【文献】
特開平04−338084(JP,A)
【文献】
特開昭62−264229(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00885831(EP,A2)
【文献】
仏国特許出願公開第02870839(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00−9/193
B61B 9/00
B66B 7/00−7/02
B66B 7/06
E04H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の床を有する建物のための構造システムであって、
前記建物の外面に設けられた複数の垂直チューブを備え、
前記垂直チューブのいくつかは、それぞれ複数のトレインカーを有すると共に互いに離れた状態で一連になっている複数のトレインを収容し、
中心エレベータコアを有しておらず、前記複数の床の床荷重の実質的に全てが前記複数の垂直チューブに伝えられる構造システム。
【請求項2】
前記垂直チューブを4つ有する請求項1記載の構造システム。
【請求項3】
2つの前記垂直チューブが互いに離れた状態で一連になっている前記複数のトレインを収容している請求項1又は2に記載の構造システム。
【請求項4】
互いに離れた状態で一連になっている前記複数のトレインを収容する複数の水平チューブをさらに備え、
前記複数の垂直チューブと前記複数の水平チューブが1つのフレームを形成している請求項1又は2に記載の構造システム。
【請求項5】
複数の水平チューブの間の中間の高度と、前記建物の上端の近くとにクロスチューブをさらに備える請求項4に記載の構造システム。
【請求項6】
互いに離れた状態で一連になっている前記複数のトレインを収容する前記各垂直チューブの面積の半分を互いに離れた状態で一連になっている前記複数のトレインが占め、他の面積がダクトスペースとして使用される請求項1又は2に記載の構造システム。
【請求項7】
2つの前記垂直チューブがエレベータ、階段、および、配管を収容している請求項1又は2に記載の構造システム。
【請求項8】
前記チューブは鋼入りコンクリート又は鋼のコンクリートから成る請求項1又は2に記載の構造システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
キーワード:節で繋がれたケーブルカー装置、鉛直輸送、環境に優しい、発電ブレーキ、管状のメガフレーム
鉛直方向の暮らし:日常的な現実
高層ビルの数は過去30年間で3倍になった。1982年には、完成した高層ビルの総数が2091であり、1992年にはそれが3048であり、2002年にはそれが4306であったが、今年2012年に我々は7409棟の高層ビルを有する。その数は世界中で急速に増えている(Skyscrapercity,2012)。
【0002】
世界は、最近数十年で前例のない都市成長を経験してきた。2008年に、初めて、世界の人口は、都市部と農村部とで均等となった。住民が100万人を超える都市が400を超え、1000万人を超える都市が19都市存在した。先進国は約74%が都会化され、一方、発展途上国の住民の44%が都市部に居住した。しかしながら、都会化は、多くの発展途上国で急速に生じている。世界人口の70%が2050年までに都会化され、また、その都市成長の大部分が発展途上国で起こるであろうと予想される(Population Reference Bureau,2012)。
【0003】
1950年には、英国の人口の79%が都市に居住した。これは既に大きな数字であるが、この数字は2030年までに92.2%にまで上昇することになる。他の場所では、中国の割合が1950年から2005年までの間に13%から40.4%まで上昇した。この割合は、2030年までに60.3%にまで上昇すると予想される。しかし、最も大きい人の流入を経験したのはボツワナ共和国である。来年、その人口の61.2%が都市部に住むことが予想されるが、1950年にさかのぼると、ボツワナ人の2.7%しか都市に住んでいなかった(Guardian,2012)。
【0004】
中国や東南アジアでは、多くの大都市が作られてきており、超高層ビルの数が絶え間なく増えてきている。すなわち、鉛直方向の暮らしが日常的な現実であり、その暮らしは今後も日常的な現実であり続けるだろう。エネルギーおよび空間を節約する効率的な高層ビルは、かつてないほどに需要がある。節で繋がれたケーブルカー装置や管状のメガフレームは、この増大する需要を満たすための1つの解決策である。
図1は、10棟の高層ビルに関する一般的な情報を項目書きにしている。
【発明の概要】
【0005】
鉛直輸送の見直し
超高層ビルは、1850年代のエレベータおよび1880年代の電気エレベータの発明に伴って生まれた。フロア高さ間で人や荷物を輸送するという概念は、革新的であり、超高層ビルの開発を推進させた。建物の高さが大きくなるにつれて、エレベータの数も増大し、エレベータを中央ロビーに凝集させるという概念が導入された。エレベータを列に並べることにより、効率が高まり、待ち時間が減少した。エレベータ速度は時とともに増したが、鉛直シャフトの内側の単一ボックスというもとの概念は同じままであった。高層ビルおよび超高層ビルでは、鉛直輸送のこの概念が多くのエレベータおよびシャフトを必要とし、また、この要求は、残りの賃貸できる/販売できる床面積の量を減少させる。この欠点は、より長い待ち/移動時間と、より高いエネルギー消費とによって悪化される。建物の高さが増大するにつれて、鉛直輸送の現在の概念を見直す必要があると思われる。
【0006】
高層ビルおよび超高層ビルが鉛直都市に似ていることは明らかである。水平都市では、住宅、オフィス、ホテル、ショッピングモール、映画館、病院などを有することが一般的であり、また、輸送の手段としてバスや地下鉄を使用することが普通であって論理にかなっている。同じ論理にかなった常識は鉛直都市にも当てはまり、エレベータがバスであれば、節で繋がれたケーブルカー装置は地下鉄である。
【0007】
また、地上に位置付けられる建物における鉛直輸送ニーズに関する先の議論は、例えば地下採掘作業および地下の地下鉄の駅における地下鉛直輸送ニーズにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】節で繋がれたケーブルカー装置のコンセプトを示す図である。
【
図3】節で繋がれたケーブルカー装置のコンセプトを示す図である。
【
図4】節で繋がれたケーブルカー装置のコンセプトを示す図である。
【
図5】節で繋がれたケーブルカー装置のコンセプトを示す図である。
【
図7】節で繋がれたケーブルカー装置の縦回転、横回転、左右回転を示す図である。
【
図8】節で繋がれたケーブルカー装置のトレインコンセプトを示す図である。
【
図9】単一、偶数、および奇数のループ形態のための縦回転要件および横回転要件を示す図である。
【
図10】加速度、速度、および時間の計画を示す図である。
【
図12】節で繋がれたケーブルカー装置を保持できる高層建築の例を示す図である。
【
図13】節で繋がれたケーブルカー装置のトレインステーションの図である。
【
図14】床板の選択肢および使用できる床板の比率を示す図である。
【
図16】620メートル試作建物のモード形状を示す図である。
【
図17】節で繋がれたケーブルカー装置が適合する建物形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
節で繋がれたケーブルカー装置の概念
節で繋がれたケーブルカー装置(
図2)は、ある距離だけ、例えば250メートルごとに離間された一連のトレインである。トレインは、「ステーション」と称される特定の階の高さで水平になり、また、これらのステーションは、例えばどれも皆250メートルの鉛直建物高さあるいは鉛直地下縦穴高さだけ離間される。トレインは、乗客が立った姿勢のままでいるにもかかわらず、ステーションでの水平位置(アライメント)から鉛直位置(アライメント)へとステーション間で移行する。トレインは、建物または地下縦穴の一方側から他方側へと曲がりながら進む軌道(トラック)上を昇降する。
図2に示されるように、上に向かう軌道は、右、上、および、左に進み、また、下に向かう軌道は、左、下、および、右に進む。軌道は、建物の下端および上端で一緒に移行して、連続的なループを形成する。節で繋がれたケーブルカー装置は、全ての上りに向かうおよび下りに向かうステーションで同時に停止して、乗客を乗り降りさせるとともに、次のステーションへ向けて上下に進む。ステーション間の中間にある階は、従来のエレベータによって取り扱われる。ループ形態は、変化可能であり(
図3,4,5)、建物および地下縦穴の幾何学的形態によって決まる。
【0010】
トレイン概念
節で繋がれたケーブルカー装置はトレインカーから形成される一連のトレインであり、また、トレインカーは、乗客乗車部および乗車部フレームを収容する。節で繋がれたケーブルカー装置は、トレイン配置が水平から鉛直へと移行する場合であっても乗客が立ったままであるように設計される。このことは、乗車部が乗車部フレームの内側で傾く必要があることを意味する。また、節で繋がれたケーブルカー装置は、建物および地下縦穴の上端および下端で移行のための配置を可能にするように移動する必要がある。
【0011】
建物の上端および下端での移行の動作調査によれば、乗客乗車部が3つの軸周りの回転、縦(ピッチ)、横(ロール)、および、左右(ヨー)の回転を受けることが分かる(
図6)。動作調査は以下のように結論付ける。すなわち、1.)乗車部は、乗客が立ったままでいられるように縦回転する必要があり、2.)乗車部は、湾曲部での配置の移行を容易にするために横および左右の回転の必要があり、また、3.)乗車部は、鉛直部での配置の移行を容易にするために横回転(のみ)を行う必要がある。これらの動作を容易にするための概念は、球状の乗車部フレームの内側に立方体(直平行六面体)形状の乗客乗車部を有することである。直平行六面体乗車部は、球状フレームの内側で縦、横、および、左右回転を行うことができる。
【0012】
移行動作を行うことは、湾曲部におけるよりも、むしろ位置が鉛直部である方が簡単であるように思われる。これは、乗車部が左右回転する必要性を排除する。また、乗車部内ではなくトレインカー間で横回転動作をとることも道理にかなっている。これは、旋回するトレインカー間の結合機構を用いて行うことができる。結果は、直平行六面体乗車部を伴う樽形状の乗車部フレームを有するトレインである(
図7)。自然な成り行きは、空気力学が抵抗を減らすようにトレインを形成して成形することである(
図8)。各トレインカーは、4つの軌道上にホイールとロールとの組を8つ有する。
【0013】
2.2メートルの乗車部フレーム高さおよび幅は、幾何学的形態に基づいて3.11メートルの乗車部フレーム直径をもたらし、また、3.5メートルの全乗車部フレーム外径が示される。3.5メートルの全フレーム長さも示され、この長さは正方形のトレイン断面をもたらす。最終的な乗車部サイズは、建物および地下縦穴の形態と目の前の乗客/荷物流れ需要とに適合するように寸法付けられる。
【0014】
動作方策
単一、偶数、および、奇数のループ形態のための縦回転要件および横回転要件が
図9に示される。
【0015】
加速度および速度の方策
鉛直行程上の推奨される最も速い加速度は1Gである。これは、降下加速時および上昇減速時に0G環境をもたらすとともに、降下減速時および上昇加速時に2G環境をもたらす(
図10)。1Gよりも大きい加速度は、乗客または荷物を床から引き離すため、拘束を余儀なくさせる。1Gの加速および減速では、我々の例におけるステーション間の250メートルを進むために10.1秒を要し、また、トレインが178キロメートル/時の最大速度に達する。
図10は、一連の上昇/下降区間における最小時間および最大速度を示す。1G環境が一部の乗客の快適レベルを超えることは明らかであり、そのため、最大使用可能加速度を決定するための調査を行う必要がある。
【0016】
250メートルの例に関してトレイン間のサイクル時間を概算できる。ステーションで乗客がトレインに乗り降りするのに20〜30秒を要し得ることが推定される。また、トレインがステーションから移動して上昇/降下加速前に鉛直に位置するために約5秒を要する。これにより、10秒の上昇/降下をプラスして、ピーク使用時間ではトレイン間において合計で1分の推定サイクル時間となる。オフピーク時間においてはトレイン動作およびサイクル時間を減らすことができる。
【0017】
力供給/制動歯車(COGS)
節で繋がれたケーブルカー装置は、ケーブルまたは何らかの他の媒体を用いて互いに接続されるトレインが一連になったものである。ケーブルは、トレイン間にまたがるとともに、アライメントがステーションでの水平から鉛直上昇/降下へと移行する場所で歯車の周囲に掛け回される(
図11)。歯車は、ケーブルに接続されるとともに、システムの制動および力供給の両方を行う役目を果たす。歯車は、発電機/モータに接続され、制動中にエネルギーを得て、駆動中にシステムにエネルギーを与える。
【0018】
発電ブレーキ、エネルギー蓄積、および、電力抽出
下りに向かう積載量が上りに向かうそれよりも重い時、節で繋がれたケーブルカー装置は、トレインの制動からエネルギーを得て、発電制動を行い、エネルギーを蓄える。蓄えられたエネルギーは、その後、上りに向かう最大積載量が下りに向かうそれよりも重い時、節で繋がれたケーブルカー装置を加速するために使用される。エネルギーの捕捉および再使用は、節で繋がれたケーブルカー装置を環境に優しいものにする。例えば、昼食時間が近づくにつれて、大部分の乗客が建物の下方へ移動するため、節で繋がれたケーブルカー装置を制動するために必要なエネルギーが蓄えられて、このエネルギーが昼食後に乗客を建物の上に引き上げるために使用される。
【0019】
試作建物
節で繋がれたケーブルカー装置を更に説明するために、試作建物が示される。建物は、40メートル×45メートルの平面寸法および620メートルの高さを有するとともに、約120階を有する。この形態は、短方向で1/15.5の縦横係数を有し、長方向で1/13.8の縦横係数を有する。建物は、節で繋がれたケーブルカー装置の4つのステーションを有しており、1つのステーションは地上高さにあり、1つのステーションは高度168メートルにあり、1つのステーションは高度353メートルにあり、1つのステーションは高度538メートルにある(
図12)。
【0020】
ステーションのコンセプト
節で繋がれたケーブルカー装置のためのステーションは、壁中心線−壁中心線で10メートル幅を有し、3階分の深さを有する(
図13)。乗客は真ん中の階からトレインに出入りする。そこから、乗客はエスカレータにアクセスでき、エスカレータは、上へ昇る従来のエレベータにアクセスするべく乗客を1つ上の階へと移動させ、あるいは、下へ降りる従来のエレベータにアクセスするべく乗客を1つ下の階へと移動させる。上側の階または下側の階にはステーションに亘ってドアが存在し、これらのドアは、建物の反対側へのアクセスができるようにする。歯車および発電機/モータはステーションの内側に収容されるであろう。
【0021】
構造的適合性
節で繋がれたケーブルカー装置は、高くて細い超高層ビルおよび高強度コンクリートにうまく適合される効率的な構造システムに適する。中心コアで一般的であるなら、超構造体として節で繋がれたケーブルカー装置を収容する鉛直通路を使用することは道理にかなう。鉛直の支柱は、壁中心線−壁中心線で6メートル幅であり、10メートル長さである。これは、8.5メートル×4.5メートルの内側空き寸法(1.5メートル厚壁)を与えるとともに、3.5メートル×3.5メートルのトレイン断面に適合する。また、張り出し材として一般的ならば、超構造体として水平ステーションを使用することは道理にかなう。鉛直チューブと水平チューブとの組み合わせは管状のメガフレームを形成する。構造的な性能のため、メガクロスチューブがステーション間の中間の高度と建物の上端とに配置される。これらの中間クロスチューブは、高度78メートル、264メートル、449メートル、および、615メートルにある。同じ構造システムが鉛直方向で使用され、また、対称性が3−D管状メガフレームをもたらす(
図12)。床荷重の全てがステーション高さおよび張り出し材の高さで対角的に4つの鉛直支柱へ伝えられる。
【0022】
節で繋がれたケーブルカー装置の長さは、トレイン内のカーの数の関数であり、また、この長さは、ステーションの方向における建物の最小幅を設定するとともに、管状のメガフレームの鉛直支柱の1つの組の位置を定める。
【0023】
管状のメガフレームは、様々な床板の形状およびサイズに適する。
図14は、3つの一般的な形状を示すとともに、使用できるスペースの比率を表にしている。使用できる容積率は、「床板面積−コア面積−巨大支柱」として規定される。節で繋がれたケーブルカー装置は2つの鉛直支柱の面積の半分を占め、また、これらの支柱の他の半分がダクトスペースとして使用されることが予想される。従来のエレベータ、階段、および、配管を残りの2つの支柱内に収容することが道理にかなう。鉛直輸送および配管の全てを構造体の4つの支柱の内側に配置すると、床板の残りの部分が完全に開放され、使用できるスペースの比率が高くなる。
【0024】
鉛直輸送の計画
鉛直輸送の計画は、
図15に記載されるように、3つのループと4つのステーションとを有する節で繋がれたケーブルカー装置の1つと、ステーション間で走行する従来のエレベータとの組み合わせである。乗客は、移動のための3つの選択肢を有する。乗客は、節で繋がれたケーブルカー装置に乗って1つのステーションまで行き、従来のエレベータを利用して上まで昇ること、節で繋がれたケーブルカー装置に乗って1つのステーションまで行き、従来のエレベータを利用して下へ降りること、あるいは従来のエレベータに乗ることができる。3つ目の選択肢は、1つのエレベータ走行から他のエレベータ走行への乗り換えを必要とする場合がある。これらの複数の移動選択肢は、乗客の流れの量を増大させるとともに混雑を減らすことが予想される。
【0025】
ステーション間には、35個の居住可能なフロアと2つの機械室フロアとが存在する。したがって、ステーション間に約6個のエレベータが必要とされるとともに、高さが最も高いステーションよりも上側に4個のエレベータが必要とされることが予想される。この結果、建物には全部で22個のエレベータが必要となる。
【0026】
構造的な性能
管状のメガフレームは、荷重のほぼ全てが建物の外面に設定される4つの鉛直支柱によって支持されるため、効率的な構造である。
【0027】
超構造体は、7つの鉛直方向の領域と、底面の1.50メートルから頂上の0.30メートルまでの壁厚ステップとを有する。構造的解析がETABSを使用して実行され、83mph(37.1m/s)の風速は、最小補強比率を伴う60−70MPaのコンクリート強度を示す。
【0028】
最初の5つのモード形状および周期が
図16に示される。モード1は40メートル傾向であり、モード2は45メートル傾向であり、モード3は40メートル傾向であり、モード4は45メートル傾向であり、モード5はねじれている。
【0029】
77.5mph(34.6m/s)の風速は、50.0GPaの弾性率を使用して、40メートル傾向で約H/360の最大階間ドリフト率をもたらすとともに、45メートル傾向でH/540の最大階間ドリフト率をもたらす。
【0030】
建築計画
中心コアの除去は、高くて細い超高層ビルに今まで組み込まれてこなかった新規な面白い計画の可能性をもたらす。床板が開放されているため、コンサートホール、会議室、劇場、および、スイミングプールを建物の本体に組み入れることが可能である。
【0031】
管状のメガフレームは、柔軟な建築的形態を与えるとともに、
図17に示されるような多くの形態および形状をサポートできる。
【0032】
結論
垂直方向の暮らしは、都会生活では日常的な現実であり、また、今後も日常的な現実となり続け、したがって、高くて細い超高層ビルのための効率的で持続可能な解決策が必要とされる。節で繋がれたケーブルカー装置および管状のメガフレームの目的は、効率性および環境に優しい特性を向上させるとともに、高くて細い超高層ビルの開発を補助することである。節で繋がれたケーブルカー装置および管状のメガフレームは、
・従来のエレベータの数を減少させる。
・従来のエレベータシャフトの数を減少させる。
・乗客輸送のスピードを増大させる。
・荷物輸送のスピードを増大させる。
・エネルギーを得ることおよびエネルギーの再使用により鉛直輸送エネルギーコストを低減し、環境に優しい。
・待ち時間およびサイクル時間を減少させる。
・高層ビルの賃貸可能/販売可能なスペースの比率を増大させる。
【0033】
速度、大きな乗客量/荷物量、および、リサイクル可能なエネルギーに光をあてることにより、節で繋がれたケーブルカー装置が将来の手段となる。次世代のエレベータシステムが一段階進歩する時である。
【0034】
参考文献
Skyscrapercity,2012,http://skyscrapercity.com[Accessed April 2012].
Population Reference Bureau,2012,http://prb.org[Accessed April 2012].
Guardian,2012,http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2009/aug/18/percentage−population−living−cities[Accessed April 2012].
Binder,G.,2006,101 of the World’s Tallest Buildings.Images Publishing.
Council on Tall Buildings and Urban Habitat,2012.CTBUH Skyscraper Center.
http://skyscrapercenter.com[Accessed April 2012].
Sarkisian,M.,2006.Jin Mao Tower’s Influence on China’s New Innovative Tall Buildings,Council on Tall Buildings and Urban Habitat.
Xia,J.,Poon,D.& Mass,D.C,2010.Case Study:Shanghai Tower.CTBUH Journal,Issue II,pp.12−18.