特許第6193346号(P6193346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストラ エンソ オサケ ユキチュア ユルキネンの特許一覧

特許6193346深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器
<>
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000002
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000003
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000004
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000005
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000006
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000007
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000008
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000009
  • 特許6193346-深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193346
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】深絞り紙トレイ、深絞り紙トレイを製造する方法および装置、ならびにトレイ状製品包装容器
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/59 20170101AFI20170828BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B31B50/59
   B65D1/34
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-500956(P2015-500956)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-515398(P2015-515398A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】FI2013050296
(87)【国際公開番号】WO2013140034
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】20125304
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】508189175
【氏名又は名称】ストラ エンソ オサケ ユキチュア ユルキネン
【氏名又は名称原語表記】STORA ENSO OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レセネン、ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ペイヘネン、ニーロ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツネン、マリ
(72)【発明者】
【氏名】キュッリエイネン、オウチ
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−301064(JP,A)
【文献】 特開昭61−002546(JP,A)
【文献】 米国特許第05083699(US,A)
【文献】 特開2003−312629(JP,A)
【文献】 特開2008−189341(JP,A)
【文献】 特許第3893342(JP,B2)
【文献】 特開2003−326619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/59
B65D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深絞りによって紙のトレイ(4)を製造する方法であって、
(a)上側の成形型と下側の成形型(2、3;10、11;12、13)との間に重量120〜500g/m2の板紙またはボール紙のブランク(1)を配置する工程と、
(b)トレイの底部(4a)と該底部の周りで上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの段とを形成するために、前記成形型を互いに対して移動させる工程と、
(c)単一のまたは複数の加工ステップで形成する側壁の段を増やすことによって、前記トレイの底部の周りに同心状の段形状(4b、4c、4d)を有するように前記トレイの側壁を成形する工程であって、該側壁の段(4b、4c、4d)のそれぞれが、成形における屈曲力に前記厚紙を適合させて、前記トレイ(4)のしわのない側壁を得るために、最大6mmの高さを有するような寸法とされる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記上側および下側の成形型(2、3、10)の少なくとも1つが、互いに対して可動の複数の同心状のフレーム(2b、2c、2d)を備え、該フレームが、複数の加工ステップでトレイの側壁の段(4b、4c、4d)を1つずつ形成するために段構造にされることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記成形型のいずれかまたは両方の前記同心状のフレーム(2b〜2d、3c〜3d、10b〜10d)が、トレイの側壁の同心状の段を、最も内側の段から最も外側の段へと1つずつ形成するために移動させられることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記上側および下側の成形型が同心状の段構造を有し、前記成形型を互いに対して移動させる工程が、前記トレイの側壁に、対応する段形状(4b、4c、4d)をもたらす、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記上側および下側の成形型(2、3)の両方が、前記トレイの側壁を1段ずつ形成するために互いに対して可動である複数の同心状のフレーム(2b〜2d、3c〜3d)を備えることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記上側および下側の成形型の両方が、単一の加工ステップでトレイを成形する、固定された段のあるワークピースであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
トラックに沿って移動する成形型(10;12)の第1の組と前記トラック沿いの複数の加工ステーションに取り付けられた成形型(11;13)の第2の組とを使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、
(a)第1の加工ステーションで、第1の組の成形型と第2の組の成形型との間に前記板紙またはボール紙のウェブ材料(8)のブランク(1)を供給する工程と、
(b)前記第1の加工ステーションで、トレイの底部(4a)と該底部の周りで上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの段(4b)とを形成するために、前記成形型を互いに対して移動させる工程と、
(c)前記成形型を後退させる工程と、
(d)成形される前記ブランクとともに前記第1の組の成形型を第2の加工ステーションへ送り、前記第1の組の成形型を前記第2の組の加工型と並べる工程と、
(e)前記トレイの上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの別の段を形成するために、前記第2の加工ステーションで並べられた前記成形型を互いに対して移動させ、前記成形型を後退させる工程と、
(f)前記トレイの底部の周りの前記トレイの側壁に複数の同心状の段(4b、4c、4d)を有するトレイを得るために、1つまたは2つ以上のさらなる加工ステーションで工程(d)および(e)を適宜繰り返す工程と、
(g)完成したトレイ(4)をトレイ収集ステーションで解放する工程と、
(h)前記第1の組の成形型を前記第1の加工ステーションへ戻す工程と
を含む方法。
【請求項8】
前記成形型(10;12)の第1の組が、回転可能なタレット(9)によって運ばれ、前記成形型(11;13)の第2の組が、前記タレットの外周に沿って加工ステーションに取り付けられることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記トレイの側壁の同心状の段(4b、4c、4d)が、前記タレット(9)の外周に沿って連続する加工ステーションで1つずつ形成されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記板紙またはボール紙が連続ウェブ(8)として供給され、前記第1の加工ステーションでブランク(1)に切り分けられることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記板紙またはボール紙が、重量170〜350g/2あることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
板紙またはボール紙のブランク(1)から紙のトレイ(4)を深絞りする装置であって、互いに対して可動であり、前記ブランクを両側から成形するように構成された、上側および下側の成形型(2、3)を備え、形成される前記トレイの側壁に、対応する段形状をもたらすために、前記上側および下側の成形型の両方が、中央部(2a、3a)と該中央部の周りに段構造の複数の同心状のゾーン(2b〜2d、3b〜3d)とを含み、前記側壁の段(4b、4c、4d)のそれぞれが、成形における屈曲力に前記厚紙を適合させて、前記トレイ(4)のしわのない側壁を得るために、最大6mmの高さを有するような寸法とされることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記上側および下側の成形型(2、3)の両方が、前記トレイ(4)の段状の側壁を形成するために、センターピース(2a、3a〜3b)と該センターピースに対してかつ互いに対して可動である複数の同心状のフレーム(2b〜2d、3c〜3d)とを備えることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
板紙またはボール紙のウェブ材料(8)から紙のトレイ(4)を深絞りする装置であって、トラックに沿って移動する成形型(10;12)の第1の組と該トラック沿いの複数の加工ステーションに取り付けられた成形型(11;13)の第2の組とを備え、前記第1の組の成形型が、前記加工ステーションを通じて成形される板紙またはボール紙のブランク(1)を運び、完成したトレイは、トレイ収集ステーションで前記トラックから解放され、各加工ステーションで第1の組および第2の組の成形型(10、11;12、13)のそれぞれが、互いに対して可動であり、連続する前記加工ステーションで底部(4a)と前記トレイの側壁に1つずつの同心状の段(4b〜4d)とを形成することによって、前記ブランクを両側から成形するように構成され、前記段のそれぞれが、成形における屈曲力に前記厚紙を適合させて、前記トレイ(4)のしわのない側壁を得るために、最大6mmの高さを有するような寸法とされる装置。
【請求項15】
前記成形型(10;12)の第1の組が、回転可能なタレット(9)によって運ばれ、前記成形型(11;13)の第2の組が、前記タレットの外周に沿って円周方向に加工ステーションに取り付けられることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法および/または請求項1215のいずれか1項に記載の装置を使用することによって得ることができる板紙またはボール紙のトレイ(4)であって、前記板紙またはボール紙(1)が、120〜500g/m2の重量を有し、前記トレイが、底部(4a)と該底部の周りで上方向に拡張する側壁とを備え、前記トレイの側壁が、複数の周囲段(4b、4c、4d)によって拡張するように成形され、前記周囲段がそれぞれ、成形における屈曲力に前記板紙またはボール紙を適合させて、前記トレイ(4)の側壁にしわをなくすために、最大6mmの高さを有するような寸法とされる板紙またはボール紙のトレイ。
【請求項17】
請求項16記載の板紙またはボール紙のトレイ(4)を備える製品包装容器(5)であって、前記トレイが、平らでしわのない外周フランジ(4d)を備え、蓋(6)が前記トレイの外周フランジに液密性および気密性をもってヒートシールされることを特徴とする製品包装容器(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深絞り紙トレイ、特に板紙またはボール紙で作られた浅いトレイ、そのようなトレイを深絞り技術によって製造する方法および装置、ならびに本発明のトレイを含む密封された製品包装容器、特にヒートシールされた気密性および液密性のある食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
包装トレイは、大部分が生鮮食品または調理済み食品に使用される。トレイは、ポリマー被覆されたヒートシール可能な板紙またはボール紙で作られ、ヒートシールされたポリマーフィルムまたはポリマー被覆厚紙の蓋で密封することができる。生鮮食品の消費期限は非常に短く、漏れ防止密封および気密密封がしばしば必要とされる。いくつかの食品は、堅い包装トレイも必要とする。
【0003】
平らな板紙のブランク(blank)で食品等の包装容器に用いる容器およびトレイを作製することが知られている。そのようなプロセスにおける重要な問題は、絞り加工の間に基板が破れること、およびトレイが形成されるときの厚紙のしわによってトレイの上側の周縁部またはフランジに平らでない面ができることである。そのようなしわは、特に略矩形のトレイの角部に生じるが、円形および楕円形のトレイの側壁および外周フランジに沿っても生じる。しわは、製品包装容器の液密性および気密性のある密封においてマイナス要因であり、トレイのフランジとそれに対して密封される蓋の縁部との間で漏れを引き起こす傾向がある。
【0004】
先行技術のトレイおよび密封カバー蓋の実施例が、特許文献1に記載されている。ポリエステル被覆された厚紙材料をトレイ状容器にプレス加工することによって、トレイの角部の側壁から周縁フランジまで延びるひだ(しわ)が生じている。フランジ表面にそのような凹凸が生じた後、漏れを防ぐ包装容器を提供するために、薄い膜のカバーが、周縁フランジにヒートシールされている。
【0005】
特許文献2は、ポリマー被覆された板紙のブランクから深絞りされ、しわが寄って容器の角部の側壁および周縁フランジにひだのある折り目を有する矩形の容器を示している。深絞りの成形型は、容器の形状を選択するために、上側のマンドレルおよび下側の金型を備えており、それらはブランクを金型に引き寄せるために互いに対して可動である。容器を閉じることは特許文献2には記載されていないが、明らかに、密封された包装容器を得るために、ポリマーの蓋またはポリマー被覆された蓋を周縁フランジにヒートシールすることができる。
【0006】
特許文献3は、角部に屈曲線(しわ)を有する紙容器および容器の環状の縁部(フランジ)にヒートシールされた蓋を備える密封包装容器の潜在的な漏れの問題を扱っている。この参照文献は、角部のむらを平滑化し、それによってしわによる漏れを防ぐことができるように、最小厚さの被覆層を用いることを提案している。しかしながら、この文献には、被覆材および被覆層の厚さに関してこれ以上の詳細の記載はない。
【0007】
特許文献4は、プレス成形された紙トレイを説明することによって全く異なる方法を示しており、成形作業から生じるしわをほとんど有さないとしている。その解決法は、トレイを形成するブランクとして段ボールシートを使用することである。しかしながら、トレイや密封包装容器が、通常の食品包装容器に要求されるように普通の板紙やボール紙から作られるとき、そのような技術は役に立たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許出願公開第2123786号明細書
【特許文献2】米国特許第4026458号明細書
【特許文献3】欧州特許第1115572号明細書
【特許文献4】特開2000−211043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、深絞り紙トレイを形成するために今までにないコンセプトや技術を導入することによって、密封トレイ包装容器の漏れる角部および/または周縁フランジの問題を解決することである。本発明の様々な態様は、全て共通の発明コンセプトによるもので、トレイを形成する方法、トレイを形成する装置または型、そのプロセスから生じるトレイ、および本発明によるトレイと包装容器を閉じるためのヒートシールされた蓋とを含むトレイ状の包装容器である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、その問題は、深絞りによって紙トレイを製造する方法によって解決され、その方法は、(a)上側の成形型と下側の成形型との間に紙のブランクを配置する工程と、(b)トレイの底部とその底部の周りで上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの段とを形成するために、これらの成形型を互いに対して移動させる工程と、(c)1つのまたは複数の加工ステップで形成する側壁の段を増やすことによって、トレイの底部の周りに同心状の段形状を有するようにトレイの側壁を成形する工程とを含む。
【0011】
本発明のコンセプトは、基本的に、特にトレイの角部で、しわに曲がることなく紙がはげしい変形に適合することができないために先行技術において生じていた、トレイの側壁の全体の高さに渡って典型的に延びるしわの発生を防ぐことである。その解決方法は、ある意味において、そうでなければそのしわを生成するであろう上向きの変形ラインを、しわが寄ることなく紙を屈曲力に適合させるために十分短い断片にカットすることである。そのような断片の長さ、またはトレイの側壁の段の高さは、使用される紙材によって異なり得るが、通常の板紙またはボール紙では、最大でも6mm程度である。新たな張力で変形を繰り返す次のステップの前に紙材に生じた張力を均一にするために、その変形ラインにカットを入れる段は、少なくともほぼ同じくらいの幅であり得る。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、上側および下側の成形型の少なくとも1つは、互いに対して可動の複数の同心状のフレームを備える。フレームは、トレイの側壁の段を1つずつ形成するために段構造にされている。
【0013】
先行技術において、平らなブランクを完成品のトレイにする深絞り工程は、単一のステップで行なわれてきた。上述の本発明の実施形態は、一連の連続した成形工程として深絞りを行うことによって、この方法から大きな進歩を構成する。
【0014】
これらの成形型のうち1つだけが同心状の可動フレームの構造を有する場合、ブランクまたは形成されるトレイの反対側の型は、完成品のトレイの側壁に対応する段構造を有する固定されたワークピースであってもよい。好ましくは、この固定されたワークピースは、上側の成形型で、そのブランクは、下側の成形型によって下側から1段ずつ上側の成形型に対してプレスされる。しかしながら、上側および下側の成形型の両方が、互いに対して可動である複数の同心状のフレームを備えてもよく、この場合、上側および下側の成形型の対応する動くフレームは、トレイの段のある側壁を形成するために、縦一列になって動かされる。
【0015】
上述のように、トレイの段状の成形において、トレイの側壁の同心状の段は、最も内側の段から始まって、徐々にトレイの周縁部のそばの最も外側の段にすすむことによって成形されることが好ましい。
【0016】
しかしながら、本発明は、上側および下側の成形型の両方が、固定された段のあるワークピースである実施形態も含む。この場合、トレイは、単一の深絞り工程だけで形成される。
【0017】
さらに、トレイの大きさに切られた個々のブランクに加えて、ブランクは、紙の連続ウェブによって供給されてもよく、紙の連続ウェブは、上側の成形型と下側の成形型との間に供給され、成形作業の後、個々の完成したトレイに切り分けられる。
【0018】
単一の加工ステーションで1組の上側および下側の成形型を用いてトレイを成形する別の方法は、トラックに沿って移動する成形型の第1の組と、そのトラック沿いの複数の加工ステーションに取り付けられた成形型の第2の組とを使用することであって、この方法は、(a)第1の加工ステーションで第1の組の成形型と第2の組の成形型との間に紙ウェブ材料のブランクを供給する工程と、(b)第1の加工ステーションで、トレイの底部と底部の周りで上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの段とを形成するために、これらの成形型を互いに対して移動させる工程と、(c)これらの成形型を後退させる工程と、(d)成形されるブランクとともに第1の組の成形型を第2の加工ステーションへ送り、その成形型を第2の組の加工型と並べる工程と、(e)トレイの上方向に拡張する側壁の少なくとも1つの別の段を形成するために、第2の加工ステーションで並べられた成形型を互いに対して移動させ、これらの成形型を後退させる工程と、(f)トレイの底部の周りのトレイの側壁に複数の同心状の段(4b、4c、4d)を有するトレイを得るために、1つまたは2つ以上のさらなる加工ステーションで工程(d)および(e)を適宜繰り返す工程と、(g)完成したトレイをトレイ収集ステーションで解放する工程と、(h)第1の組の成形型を第1の加工ステーションへ戻す工程とを含む。
【0019】
好ましくは、トラックに沿って移動する成形型の第1の組は、完成したトレイの上部を成形する上側の成形型の機能を有し、固定された加工ステーションにある第2の組は、完成品のトレイの下部を成形する下側の成形型の機能を有するが、これらの役割を逆にすることも同様に全く可能である。
【0020】
成形型の第1の組は、回転可能なタレットによって運ばれてもよく、成形型の第2の組は、タレットの外周に沿って加工ステーションに取り付けられてもよい。トレイの側壁の同心状の段は、タレットの外周に沿って連続する加工ステーションで1つずつ形成される。しかしながら、成形型の第1の組のトラックは円形である必要はなく、加工ステーションは例えば線形に配置されてもよい。連続プロセスにおいて、シーケンス中にある加工ステーションの数と同じ数だけ、成形プロセスの異なる工程で進行するトレイがある。紙は、連続ウェブとして供給されてもよく、第1の加工ステーションでブランクに切り分けられてもよい。
【0021】
本発明のプロセスのさらなる変形例は、固定されてもよい一連の上側および下側の成形型の組を配置することであり、その一連の成形型の組を通じて移動するブランクまたは紙の連続ウェブを有し、成形型の各組が、形成されるトレイの側壁の同心状の段の1つを成形することである。
【0022】
本発明に有用な紙は、特に重量120〜500g/m2、好ましくは170〜350g/m2の板紙またはボール紙である。しわのないトレイを得るためには、トレイの側壁の同心状の段を、上述のようにしわが寄ることなく確実に変形するのに十分低い寸法にすべきである。その特定の板紙およびボール紙では、それぞれの段の高さが、好ましくは最大でもほぼ6mmである。
【0023】
本発明の第2の態様は、上述の発明コンセプトを実現させるように設計された、紙のブランクから紙トレイを深絞りする装置である。単一の加工ステーションにおける上側および下側の成形型の単一の組のアプローチに関して、装置は、互いに対して可動であり、ブランクを両側から形成するように構成された、上側および下側の成形型を備える。基本的に、上側および下側の成形型の両方は、中央部と中央部の周りに段構造の複数の同心状のゾーンとを備える。中央部は、トレイの底部を形成するためのもので、その周りの段状のゾーンは、形成されるトレイの側壁に対応する段形状をもたらす。
【0024】
本発明の実施形態において、上側および下側の成形型の少なくとも1つ、および好ましくはその両方が、センターピースおよび複数の同心状のフレームを備え、同心状のフレームは、センターピースに対して、かつ互いに対して可動であり、センターピースは、ブランクおよび形成されるトレイの底部を受け入れる。フレームは、トレイの側壁の段を1つずつ形成するために段構造にされる。
【0025】
紙トレイの成形型に関して、互いに対して可動な平行成形要素を備える先行技術の装置が、特開2001−096646号公報に示されている。しかしながら、その要素は、同心状のフレームではなく、トレイの底部を成形するように配置されるが、本発明のような側壁を成形しない。その参照文献の図1は、矩形のトレイが角部に一般的なしわを依然と有することを示している。しわの問題、あるいは本発明者らによって考え出されたその解決法は、特開2001−096646号公報では記載も示唆もされていない。
【0026】
上側および下側の成形型の両方が、単一の深絞りステップでトレイを成形する、固定された段状のワークピースであることも可能である。代わりの構造を組み合わせることによって、本発明による装置は、上側の成形型として固定された段状のワークピースと、下側の成形型としてセンターピースおよびその周りの複数の可動フレームの配列とを備える。
【0027】
複数の連続する加工ステーションのアプローチに関して、本発明による装置は、トラックに沿って移動する成形型の第1の組と、トラック沿いの複数の加工ステーションに取り付けられた成形型の第2の組とを備え、第1の組の成形型が、加工ステーションを通じて成形される紙のブランクを運び、完成したトレイは、トレイ収集ステーションでトラックから解放され、各加工ステーションで第1の組および第2の組の成形型のそれぞれが互いに対して可動であり、連続する加工ステーションでトレイの底部とトレイの側壁に1つずつの同心状の段とを形成することによって、ブランクを両側から成形するように構成されている。本装置は、円周方向に配置された成形型の第1の組を有する回転可能なタレットと、タレットの外周に沿って複数の加工ステーションに取り付けられた成形型の第2の組とを備えてもよい。各加工ステーションで協働する成形型の動きは、好ましくは、タレット軸に対して放射状であり、タレットに対向する成形型は、ブランクを解放して次の加工ステーションへ送るように後退可能である。好ましくは、タレットの外周上の成形型も、加工ステーション間でブランクを送るために機能する。
【0028】
本発明の第3の態様は、本発明による方法および/または加工型を使用することによって製造することができる紙トレイである。このトレイは、底部と底部の周りで上方向に拡張する側壁とを備え、本発明の特徴として、トレイの側壁は、複数の周囲段によって拡張するように成形される。
【0029】
トレイに用いられる紙は、典型的にはポリマー被覆された板紙またはボール紙であり、好ましくは、重量120〜500g/m2、より好ましくは170〜350g/m2のものである。一般的に、側壁の各段の高さは、最大でほぼ6mmであり、好ましくは3〜6mm、より好ましくは3〜4mmの範囲であってもよい。
【0030】
トレイの紙材にかかわらず、段は、トレイのしわのない側壁を得るために十分低い寸法にすべきである。液密性および気密性のあるトレイ包装容器を得るためには、トレイの側壁で最も外側の段を形成する外周フランジにしわが寄らないことが特に重要である。
【0031】
本発明による紙トレイは、矩形、円形または楕円形であってもよい。それぞれの例において、先行技術のトレイおよび包装容器に生じるしわおよび漏れの問題は避けることができる。
【0032】
本発明の第4の態様は、上述の第3の態様による紙トレイを含む製品包装容器である。本包装容器の特徴は、トレイが、底部、底部の周りで上方向に拡張する側壁、および平らな外周フランジを備え、トレイの側壁が、複数の周囲段によって拡張するように成形され、蓋が、トレイのフランジに液密性および気密性をもってヒートシールされることである。
【0033】
トレイおよびヒートシールされた蓋は、ポリマー被覆された板紙またはボール紙で作られてもよい。あるいは、蓋は、ヒートシールされたポリマーフィルムカバーであってもよい。本発明の範囲内で、上述のトレイの特定の実施形態は、同様に、そのようなトレイが使用される製品包装容器の特定の実施形態を構成する。
【0034】
トレイの側壁の段構造は、側壁の傾斜に実質的な制限を加える。このため、本発明によるトレイは、比較的平らなまたは浅いトレイ包装容器に最も適しており、包装された製品の形状または性質に対応した、あるいは透明のプラスチックカバーによって製品が良く見えることが望ましい、調理済み食品、スライスチーズおよび肉製品、野菜、チョコレートなどの消費者向け包装容器として用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1〜4は、上側の成形型と下側の成形型との間で紙トレイを深絞りするプロセスの連続的なステップを示す概略図である。より詳細には、以下の通りである。
【0036】
図1】プロセスの開始時において、成形型の間に配置された紙のブランクを示す。
図2】形成されるトレイの側壁に対する第1の段の成形を示す。
図3】形成されるトレイの側壁に対する第2の段の成形を示す。
図4】形成されるトレイの側壁に対する第3および最も外側の段の成形を示す。
図5】上側から見た、図1〜4によって作られた完成したトレイを示す。
図6図5のVI−VI線に沿ったトレイの断面を示す。
図7】部分的に開かれ、部分的に製品が見えた、図5および6のトレイを含む密封製品包装容器を示す。
図8】本発明による紙トレイの製造の別の成形プロセスを示す。
図9図8のプロセスの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1〜4の深絞りプロセスにおいて、ポリマー被覆された板紙の平らな矩形のブランク1は、1組の成形型2、3の間で、比較的浅い矩形のトレイ4に形を変えられる。図1は、初期位置を示し、ブランク1が、上側の成形型2と下側の成形型3との間に配置されている。上側の成形型2は、一連の同心状の矩形のフレーム2b、2c、2dによって囲繞された矩形のセンターピース2aを有し、センターピースとこれらのフレームは、下側の成形型3に対して、および互いに対して可動である。センターピース2aは、形成されるトレイの底部4aに面している。フレーム2b、2c、2dは、形成されるトレイの側壁の3つの同心状の段4b、4c、4dに面し、最も内側のフレーム2bは最も内側の段4bに面し、中央のフレーム2cは中央の段4cに面し、最も外側のフレーム2dは最も外側の段4dに面している。上側の成形型2のパーツの反対側で、形成されるトレイの裏側で、下側の成形型3が対応するパーツ3a〜3dを含み、すなわち、矩形の中央部3aが一連の同心状の矩形フレーム3b、3c、3dによって囲繞される。中央部3aは、最も内側のフレームまたはゾーン3bと一体になって、ゾーン3bに対して凹んでいるが、その一方で、中央および最も外側のフレーム3c、3dは、中央部3a、3bに対して、および互いに対して可動の別個のパーツである。したがって、上側の成形型のセンターピース2aの反対側に、下側の成形型の中央部3aがあり、上側の成形型の最も内側のフレーム2bの反対側に、下側の成形型の最も内側のフレームまたはゾーン3bがあり、上側の成形型の中央のフレーム2cの反対側に、下側の成形型の中央のフレーム3cがあり、上側の成形型の最も外側のフレーム2dの反対側に、下側の成形型の最も外側のフレーム3dがある。
【0038】
図1に示されるように、深絞りプロセスの初期位置において、上側および下側の成形型2、3のパーツは、ブランク1の両側に水平に配置される。第1のステップとして、上側の成形型のセンターピース2aは、図2に示されるように、下側の成形型の凹んだ中央部3aと滑合する(snug fit)まで下方向へ引かれる。それによって底部4aおよび底部を囲繞する最も内側の段4bが、ブランク1に形成される。次のステップで、下側の成形型の最も内側のパーツ3a、3b、ならびに上側の成形型のセンターピース2aおよびセンターピースを囲繞する最も内側のフレーム2bが、図3に示される位置に入るために下方向に引かれ、よって次に出来るトレイの中央の段4cがブランクに形成される。最後のステップは、図4に示されるように、それぞれの最も外側のフレーム3dおよび4dを除いた、全ての成形型2、3のパーツの下方向の動きを含み、トレイに最も外側の段4dを形成し、この最も外側の段は、完成したトレイ4に対して平らな周縁フランジ4dを構成する。上側および下側の成形型2、3は、完成したトレイ4を取り出すために、互いに対する十分な逆の動作によって分離される。
【0039】
下側の成形型の一体となったセンターピース3a、3bの代わりに、中央部3aを囲繞するゾーン3bは、可動である中央および外側のフレーム3cおよび3dと同様の、あるいは上側の成形型の最も内側のフレーム2bと同様の、別個の可動フレームであってもよい。この例において、上側および下側の成形型は同一で、プロセスの初期位置で水平である。上側の成形型のセンターピース2aの第1の下方向の打ち込み(strike)は、下側の成形型のセンターピース3aの対応する下方向の動き、すなわち図2の凹んだ位置に対応する凹んだ位置に到達する動きを伴う。
【0040】
可動パーツ2a〜2d、3b〜3dを備える成形型2、3の代わりに、上側および下側の成形型は、それぞれの全体の配置が、図4の成形型のパーツの位置に対応する単体として設計されてもよい。そのような固定された構造の成形型は、トレイが、単一の深絞りステップで形成されることを可能にする。
【0041】
さらに、トレイのサイズに切断された、図1に示されるそれぞれのブランク1は、上側の成形型2と下側の成形型3との間に供給され、成形工程の後、まずそれぞれのトレイ4に切り分けられる紙の連続ウェブを使用することに置き換えられてもよい。
【0042】
完成したトレイ4が、図5および6においてそれぞれ、上側から、および断面側面図において示されている。トレイの好ましい材料は、製品に接触する少なくとも上側(内側)にポリオレフィンまたはポリエステルなどのヒートシール可能なポリマーの被覆層を有し、重量170〜350g/m2の板紙またはボール紙である。好ましくは、トレイの両面を被覆するポリマーを有する。
【0043】
段4b、4c、4dの高さは、好ましくは最大ほぼ6mmであり、より好ましくは、2〜6mmの範囲である。これだけ低い段は、屈曲部で厚紙を変形させることによって、単一の深絞りステップで形成される先行技術の紙トレイでは生じていた、矩形のトレイの角部でのしわを生じさせないで、形成することができる。また、全体的に丸みを帯びた形状、円形、または楕円形のトレイを、段状の側壁および最も外側の周縁フランジにしわが寄らない状態で成形することができる。したがって、完全に平らなしわのない周縁フランジが、矩形の紙トレイや円形の紙トレイに対して実現され、従来の漏れ問題を引き起こさず、または漏れを防ぐために被覆ポリマーを過度に使用することなく、フランジに対して蓋の液密性および気密性のある密封が可能になる。
【0044】
本発明によると、一般的にトレイの側壁における段4b、4c・・・の数は少なくとも2つであるが上限はない。図面に示される3つの段は、浅いトレイに適しており、コールドカット食品の包装容器に有用である。段の数を増やすことによって、トレイの深さは増やされる。段の高さおよび幅は変えてもよく、それぞれの段が同じである必要はない。周縁フランジを形成する最も外側の段4dは、カバーする蓋のヒートシールを確実にするために、内側の段より幅広であってもよい。上述のように、トレイの一般的な形状は、図5および6のように、しわを防ぐのを助けるのに望ましい、わずかに丸みを帯びた角部を有する矩形であってもよいし、あるいは円形または楕円形であってもよい。非対称あるいは不規則な形状でさえ可能であり、複数のトレイ状の凹所が、同じまたは異なる成形型を用いることによって、同時にまたは順に、本発明の教示にしたがって単一の紙に作られてもよい。
【0045】
図5および6のトレイ4は、図7に示されるような密封製品包装容器5において使用されるのに特に適している。透明なポリマーフィルムの蓋6は、液密性および気密性のある包装容器5を形成するために、トレイのポリマー被覆された周縁フランジ4dにヒートシールされている。図7は、製品、この例ではスライス肉またはチーズ7などの典型的なコールドカット製品を取り出すために、角部の取っ手(lug)から蓋をはがすことによって、部分的に開いた包装容器を示している。
【0046】
トレイの側壁の段がかなり低いと、トレイの全体の形状は浅くなり、スライスチーズ、コールドカット肉(スライスハムおよび他の肉加工食品)、魚、野菜、菓子などの調理済み食品の包装に適している。トレイは、食品以外の製品の消費者向け包装にも有用である。フィルムの代わりに、トレイの厚紙と同様のポリマー被覆された厚紙が、密封可能な蓋に用いられてもよい。特にポリマーフィルムのカバーは平らである必要はなく、凸状であってもよく、または製品の形状に適合してもよく、それによって完成品の包装容器の容量を増加させる。
【0047】
図8において、本発明によるトレイ4を形成する別の技術が示され、紙の連続ウェブ8がブランクに切り分けられ、加工ステーションのシーケンスを通じて移動し、これらの加工ステーションで1段ずつトレイに成形される。図8によると、装置は、放射状に可動の成形型10を外周に沿って有する回転可能なタレット9を備え、その成形型10の数は、プロセスにおける加工ステップの数に依存している。タレット9上のそれぞれの成形型10の構造と作動は、図1〜4に関連して上側の成形型2に関して記述されたものに対応する。それぞれの対向する位置で放射状に後退可能なシャフト12に取り付けられた、いくつかの固定された型板11が、回転タレット9の外周に沿って配置されている。連続する加工ステーションにおいて、タレット9によって運ばれたブランクがこれらのステーションを通じて移動している間に、トレイ4の側壁の同心状の段4b、4c、4dが、最も内側の段から最も外側の段まで1つずつ形成される。
【0048】
第1の加工ステーションにおいて、タレット9の成形型10の1つが、形成されるトレイの底部4aと底部を囲繞する最も内側の段4bとを形成するように設計され、凹部11aおよび囲繞フレーム11bを有する、外周に配置された型板11と協働する。フレーム11bは、成形プロセスにおいてトレイに形を変えるブランクをウェブ8から切り離す刃先を備える。パーツを水平な状態で有する成形型10と型板11は、ブランク8とその両側から接触させられる。成形型の動くセンターピース10aは、型板の凹部11aと滑合するまで引かれ、トレイの底部4aを画定し、トレイの側壁の最も内側の段4bを形成する。一方、ブランクは、別に、ツール10のフレーム10b、10c、10dおよび型板11の11bによって所定の位置に保持される。機能的にこの第1の加工ステップは、図2に関する説明と図示されたステップに対応する。この成形型のセンターピース10aの打ち込み(strike)の後、図8に示されるように、吸引手段(図示せず)を用いて、新しく形成されたトレイ底部を有するブランクを第2の加工ステーションへタレットに運ばせるために、型板11は後退させられる。
【0049】
次に、第2の加工ステーションでは、第2の段4cが、概して図3に関して記述し図示した方法で、次に出来るトレイの側壁に形成される。第1の位置で第1の成形ステップをすでに行い、ブランクをこの第2のステーションへ運んだ成形型10は、トレイの上側からブランクに接触し、同心状の周囲段11’bとともに凹部11’aを有する固定された型板11’は、ブランク8に下側から接触させられ、成形型10の最も内側のフレーム10bとともにセンターピース10aが、型板11’に滑合するまで引かれる。一方、型板の外側フレーム11’cおよび外側フレーム10c、10dは、ブランクを所定の位置に保持する。型板11’は、図8に示されるように後退させられ、タレット9によって運ばれるブランクは、第3の加工ステーションに進む。
【0050】
第3の加工ステーションで、成形型10および後退可能な型板11”が、類似した方法で、トレイの側壁に第3の段4dを形成するように設計され、操作される。2つの同心状の段11”b、11”cとともに凹部11”aを有する型板11”は、ブランクの下側に接触させられ、成形型10の最も内側および中央のフレーム10b、10cとともにセンターピース10aは、型板11’に滑合するまで引かれる。一方、型板11”の外側フレーム11”dおよび成形型10の最も外側のフレーム10dは、ブランクを所定の位置に保持する。型板11”は、図8に示されるように後退させられ、すでに成形されたトレイ4は、タレット9から解放され、最後のトレイ収集ステーションで積み重ねられる。トレイから離れた成形型10は、水平位置に後退させられ、加工サイクルを繰り返すために第1の加工ステーションに戻る。
【0051】
図9は、図8のプロセスの変形例を示し、概して、成形型と型板の位置が逆にされていて、タレット9は、その外周上で固定された型ピース12を運び、放射状に動く成形型13が、回転タレットの外周に沿って連続する加工ステーションに配置されている。さらに、第1の加工ステーションで紙ウェブ8をブランクに切り分ける代わりに、すでに成形されたトレイ4が、最後の収集ステーションでまずウェブから分離されていることが示されている。
【0052】
タレット9の型ピース12は、作製される紙トレイ4の凹んだ上部に対応する突出した段構造を有する。それぞれの加工ステーションにおける成形型13は、固定されたセンターピース14およびセンターピースに対して可動の囲繞フレーム15を備える。フレーム15は、それぞれの加工ステーションで、トレイの側壁の同心状の段4b、4c、4dを1つずつ形成するように設計されている。
【0053】
第1の加工ステーションで、平らなセンターピース14aおよび周辺フレーム15bが水平な状態で、型ピース12の最も上にある中央部12aおよび成形型13が、紙ウェブ8にその両側から接触し、フレーム15bは、型ピース12の第1の段12bに対して押し込まれ、トレイの底部4aおよびトレイの側壁の最も内側の段4bを形成する。次に成形型13は、タレット9によってウェブを第2の加工ステーションに移動させるために、図9に示される位置に後退させられる。
【0054】
次に、第2の加工ステーションでは、成形型13’は、次に出来るトレイの底部および最も内側の段に対応する、固定され、枠組みされたセンターピース14’と、可動フレーム15’cとを有する。成形型13’は、固定されたセンターピース14’のフレーム14’bおよび可動フレーム15’cを水平の状態にして、それぞれの型ピース12’およびそれとの間にあるウェブに対して移動させられ、可動フレーム15’cは、型ピース12’の第2の段12’cに対して押し込まれ、トレイの側壁の中央の段4cを形成する。次に成形型13’は、タレット9によってウェブを第3の加工ステーションに移動させるために、図9に示されるように後退させられる。
【0055】
第3の加工ステーションで、型ピース12”および後退可能な成形型13”が、類似した方法で、トレイの側壁に第3の段4dを形成するように設計され、操作される。成形型13”は、段状のセンターピース14”の外側フレーム14”cおよび可動フレーム15”dを水平の状態にして、それぞれの型ピース12”およびそれとの間にあるウェブに対して移動させられ、次に可動フレーム15”dは、型ピース12”の第3の段12”dに対して押し込まれ、トレイの側壁の最も外側の段4dを形成する。成形型13”は、図9に示されるように後退させられ、すでに成形されたトレイを運ぶウェブが、タレット9から分離され、最後の収集ステーションで積み重ねられる個々の完成品のトレイ4に切り分けられる。ウェブから離れた型ピース12は、加工サイクルを繰り返すために第1の加工ステーションに戻る。
【0056】
図8および9に示されるプロセスは、回転タレットに代えて、加工ステーションが、例えば線形トラック沿いに別の形で配置され、完成したトレイの放出の後、成形型の第1の組が、平行トラックによって第1のステーションに戻されるように変更されてもよい。加工ステーションが並んで配置された状態で、図9の原理に従って、成形ステップの後、ウェブがまずトレイの形状に切られてもよく、切られていないウェブは、ウェブ材料を著しく失うことなくプロセスを進めることに有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9