(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種類の薬物は第1の薬物と第2の薬物とを含み、前記空洞のうちの1つ又は2つ以上は、その中に配置された前記第1の薬物を有し、前記1つ又は2つ以上の空洞は、その中に配置された前記第2の薬物を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のステープリングアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の特徴及び利点、並びにそれらを実現する方法は、本発明の実施形態の以下の説明文を添付の図面と併せて参照することでより明らかとなり、また発明自体のより深い理解が得られるであろう。
【
図1A】埋込み式ステープルカートリッジの一実施形態の斜視図である。
【
図1B】埋込み式ステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの一部分を示す。
【
図1C】埋込み式ステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの一部分を示す。
【
図1D】埋込み式ステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの一部分を示す。
【
図1E】埋込み式ステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの一部分を示す。
【
図2】エンドエフェクタが外科用ステープルカートリッジを支持し、そのアンビルが開位置にある、外科用器具の一部分に連結された別のエンドエフェクタの側方部分断面図である。
【
図3】閉位置にある、
図2のエンドエフェクタの別の側方部分断面図である。
【
図4】ナイフバーがエンドエフェクタを通じて前進し始める際の、
図2及び
図3のエンドエフェクタの別の側方部分断面図である。
【
図5】ナイフバーが内部を通じて部分的に前進した、
図2〜4のエンドエフェクタの別の側方部分断面図である。
【
図6A】少なくとも1つの実施形態による折り畳み式ステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図6B】少なくとも1つの実施形態による折り畳み式ステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図6C】少なくとも1つの実施形態による折り畳み式ステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図6D】少なくとも1つの実施形態による折り畳み式ステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図7A】圧壊式ステープルカートリッジ本体内に配置されたステープルを示す図である。
【
図7B】アンビルによって圧壊されている、
図7Aの圧壊式ステープルカートリッジ本体を示す図である。
【
図7C】アンビルによって更に圧壊されている、
図7Aの圧壊式ステープルカートリッジ本体を示す図である。
【
図7D】完全に成形された形態をなす
図7Aのステープル及び完全に圧壊された状態の
図7Aの圧壊式ステープルカートリッジを示す図である。
【
図8】折り畳み式ステープルカートリッジ本体内に埋め込まれたステープルを備える、少なくとも1つの実施形態によるステープルカートリッジの頂面図である。
【
図9】
図8のステープルカートリッジの立面図である。
【
図10】内部にステープルを備える圧縮可能なステープルカートリッジ、及びアンビルに対してステープルを駆動するためのシステムの、代替的な実施形態の分解斜視図である。
【
図10A】
図10のステープルカートリッジの代替的な実施形態の部分切欠図である。
【
図12】
図10のステープルカートリッジを横断し、ステープルをアンビルに向かって移動させるように構成されたスレッドの立面図である。
【
図13】
図12のスレッドによってアンビルに向かって持ち上げられ得る、ステープルドライバの図である。
【
図14】本発明の少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープリング器具と共に使用するための、剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの斜視図である。
【
図15】
図14のステープルカートリッジの部分分解図である。
【
図16】
図14のステープルカートリッジの完全分解図である。
【
図17】組織厚さコンペンセータを覆うラップ(warp)がない、
図14のステープルカートリッジの別の分解図である。
【
図18】
図14のステープルカートリッジのカートリッジ本体又は支持部分の斜視図である。
【
図19】ステープルカートリッジからステープルを配備するために、
図14のステープルカートリッジ内で移動可能なスレッドの上面斜視図である。
【
図22】1つ又は2つ以上のステープルを支持するように、また
図19のスレッドによって上方に持ち上げられてステープルカートリッジからステープルを発射するように構成されたドライバの上面斜視図である。
【
図24】ステープルカートリッジの圧縮可能な組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に囲繞するように構成されたラップである。
【
図25】第1シーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動された状態を示している、剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの部分切欠図である。
【
図27】
図25のステープルカートリッジの詳細立面図である。
【
図28】
図25のステープルカートリッジの横断端面図である。
【
図30】
図25のステープルカートリッジの詳細底面図である。
【
図31】第1シーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動された状態を示している、閉位置にあるアンビル及び剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの縦断面図である。
【
図32】発射シーケンスが完了した後の開位置にあるアンビルを示している、
図31のアンビル及びステープルカートリッジの別の断面図である。
【
図33】未発射位置にあるステープルを示している、
図31のステープルカートリッジの部分詳細図である。
【
図34】未発射位置にあるステープルを示している、剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの断面立面図である。
【
図36】未発射位置にあるステープルを示している、開位置にあるアンビル及び剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの立面図である。
【
図37】未発射位置にあるステープル及びアンビルと組織厚さコンペンセータとの間に捕捉された組織を示している、閉位置にあるアンビル及び剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの立面図である。
【
図38】
図37のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
【
図39】未発射位置にあるステープル及びアンビルとステープルカートリッジとの間に配置されたより厚い組織を示している、閉位置にあるアンビル及び剛性支持部分と圧縮可能な組織厚さコンペンセータとを備えるステープルカートリッジの立面図である。
【
図40】
図39のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
【
図41】アンビルとステープルカートリッジとの間に配置された、異なる厚さを有する組織を示している、
図39のアンビル及びステープルカートリッジの立面図である。
【
図42】
図41に示されている、
図39のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
【
図43】異なるステープル内に捕捉された異なる組織厚さを補償する、組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図44】ステープルラインによって切断された1つ又は2つ以上の血管に対して圧縮圧力を加えている組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図45】1つ又は2つ以上のステープルが不適切に成形されている状況を示す図である。
【
図46】不適切に成形されたステープルを補償し得る組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図47】複数のステープルラインが交差する組織領域に配置された組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図48】ステープル内に捕捉された組織を示す図である。
【
図49】ステープル内に捕捉された組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図50】ステープル内に捕捉された組織を示す図である。
【
図51】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図52】ステープル内に捕捉された薄い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図53】ステープル内に捕捉された中程度の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図54】ステープル内に捕捉された別の中程度の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図55】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図56】後退した未発射位置にある発射バー及びステープル発射スレッドを示す、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図57】部分的に前進した位置にある発射バー及びステープル発射スレッドを示す、
図56のエンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図58】完全に前進した、つまり発射済み位置にある発射バーを示す、
図56のエンドエフェクタの断面図である。
【
図59】発射後の後退位置にある発射バー、及び完全発射済み位置に残されたステープル発射スレッドを示す、
図56のエンドエフェクタの断面図である。
【
図61】少なくとも1つの実施形態による、リテーナと2つの組織厚さコンペンセータとを備えるリテーナアセンブリの分解図である。
【
図63】
図61のリテーナアセンブリと共に使用され得るアンビルの斜視図である。
【
図64】
図61に示すリテーナアセンブリが、アンビルとステープルカートリッジとを含む外科用ステープラのエンドエフェクタに挿入されるところを示す図である。
【
図65】
図64のステープルカートリッジと係合された、
図61に示すリテーナアセンブリの側面図である。
【
図66】
図64のステープルカートリッジ及びアンビルと係合された、
図61に示すリテーナアセンブリの側面図であり、閉位置にあるアンビルを示している。
【
図67】
図64のエンドエフェクタから取り外されている、
図61のリテーナアセンブリの側面図である。
【
図69】組織厚さコンペンセータが底面及び頂面に取り付けられた、
図68のリテーナの側面図であり、組織厚さコンペンセータのうちの1つが、アンビルを備える外科用ステープラ内のステープルカートリッジと係合されているところを示している。
【
図70】閉位置にある、
図69のアンビルを示す側面図である。
【
図71】少なくとも1つの実施形態によるリテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解斜視図である。
【
図72】
図71の組織厚さコンペンセータ及び外科用ステープラのアンビルの分解斜視図である。
【
図73】少なくとも1つの実施形態によるリテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解上面斜視図である。
【
図74】
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解下面斜視図である。
【
図75】外科用ステープラと係合された、
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの上面斜視図である。
【
図76】
図75の外科用ステープラと係合された、
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの下面斜視図である。
【
図77】
図75の外科用ステープラと係合された、
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの側面図である。
【
図78】
図75の外科用ステープラのアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータを示す、
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの下面斜視図である。
【
図79】
図78のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータを示す、
図73のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの上面斜視図である。
【
図80】
図78のアンビルに取り付けられた、
図73の組織厚さコンペンセータの側面図である。
【
図81】外科用ステープラのステープルカートリッジ及びチャネルに取り付けられた、
図73及び74のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図82】
図81の外科用ステープラのステープルカートリッジ及びチャネルに取り付けられた、
図73及び74のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの断面図であり、組織厚さコンペンセータと係合された、外科用ステープラのアンビルを示している。
【
図83】外科用ステープラのアンビルに取り付けられ、リテーナから離れて移動されている、
図73の組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図84】少なくとも1つの実施形態による、リテーナと、そのリテーナの第1及び第2の表面に装着された組織厚さコンペンセータと、リテーナの孔を通過するコネクタと、を備える、リテーナアセンブリの側断面図である。
【
図85】説明を目的として組織厚さコンペンセータの一部分を取り除いて示した、
図84のリテーナアセンブリの斜視図である。
【
図86】開位置で示すアンビルを備える外科用ステープラと係合された、
図84のリテーナアセンブリの側面図である。
【
図88】
図84のリテーナアセンブリの側面図であり、リテーナアセンブリの組織厚さコンペンセータの間からリテーナが取り除かれるところを示している。
【
図89】
図84の組織厚さコンペンセータから取り除かれたリテーナの側面図である。
【
図90】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープラのアンビルと係合するように構成されたリテーナの斜視図である。
【
図94】
図90のリテーナを備えるリテーナアセンブリ及び外科用ステープラのステープルカートリッジに取り付けられた組織厚さコンペンセータを示している。
【
図95】外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルに係合する、
図94のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジを示している。
【
図96】
図95の外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルに係合する、
図94のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジを示している。
【
図97】
図95の外科用ステープラのアンビルに係合した、
図94のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジを示している。
【
図98】
図95の外科用ステープラのアンビルに係合した、
図94のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジを示しており、アンビルは閉位置に移動されている。
【
図99】組織厚さコンペンセータがアンビルに取り付けられた、開位置にある
図95の外科用ステープラのアンビル、及び外科用ステープラのステープルカートリッジチャネルと係合されたリテーナを示している。
【
図100】
図95の外科用ステープラのステープルカートリッジチャネルと係合された
図94のリテーナ、及び開位置にあるアンビルを示している。
【
図101】外科用ステープラのアンビルに係合するように構成された突起又はウィングを備える組織厚さコンペンセータを含むリテーナの断面図である。
【
図102】外科用ステープラのアンビルに係合するように構成されたソックスを備える組織厚さコンペンセータを含むリテーナの断面図である。
【
図103】少なくとも1つの実施形態による、ヒンジによって連結された2枚のプレートを含むリテーナの斜視図である。
【
図105】
図103のリテーナと共に使用するように構成された挿入用具の一実施形態の後面斜視図である。
【
図107】説明を目的として挿入用具の一部分を取り除いた、
図105の挿入用具の後面斜視図である。
【
図108】説明を目的として挿入用具の一部分を取り除いた、
図105の挿入用具の側面図である。
【
図110】
図103のリテーナを備えるリテーナアセンブリ、リテーナ上に配置された組織厚さコンペンセータ、リテーナ上に配置されたステープルカートリッジ、及びリテーナと係合された
図105の挿入用具の斜視図であり、説明を目的として挿入用具の一部分が取り除かれている。
【
図111】
図103のリテーナを備えるリテーナアセンブリ、リテーナ上に配置された組織厚さコンペンセータ、及びリテーナと係合された
図105の挿入用具の側面図であり、説明を目的として挿入用具の一部分が取り除かれている。
【
図112】アンビルとステープルカートリッジチャネルとを備える外科用器具に挿入されている、
図110のリテーナアセンブリを示しており、説明を目的として挿入用具の一部分は取り除かれている。
【
図113】アンビルとステープルカートリッジチャネルとを備える外科用器具に挿入されている、
図110のリテーナアセンブリを示しており、説明を目的として挿入用具の一部分は取り除かれている。
【
図114】ステープルカートリッジをステープルカートリッジチャネル内に係合させるように、また組織厚さコンペンセータをアンビルと係合させるように、リテーナに対して移動されている
図105の挿入用具を示しており、説明を目的として挿入用具の一部分は取り除かれている。
【
図115】リテーナが組織厚さコンペンセータから、そしてステープルカートリッジから解放されるように、リテーナに対して移動されている
図105の挿入用具を示しており、説明を目的として挿入用具の一部分は取り除かれている。
【
図116】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープリング器具のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図117】
図116の組織厚さコンペンセータを中に少なくとも部分的に捕捉する、変形したステープルを示す図である。
【
図118】少なくとも1つの実施形態による、第1の組織厚さコンペンセータを備えるステープルカートリッジと、第2の組織厚さコンペンセータを備えるアンビルと、を含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図119】
図118のエンドエフェクタの断面図であり、ステープルカートリッジからのステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動されたところを示している。
【
図120】エンドエフェクタのアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図であり、組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの実施形態による複数のカプセルを備えている。
【
図121】
図120の組織厚さコンペンセータのカプセルを穿刺するために未発射位置から発射済み位置へと移動されているステープルの断面図である。
【
図122】少なくとも1つの実施形態によるアンビル及び組織厚さコンペンセータの分解図である。
【
図123】少なくとも1つの実施形態による、複数のステープル形成ポケットを備えるアンビル及びそれら成形ポケットと整列された複数のカプセルを備える組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図125】組織の反対側に配置されたステープルカートリッジからのステープルによってステープリングされる組織に対して配置された、
図123のアンビル及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図126】
図125のステープルカートリッジに向かって移動された
図123のアンビル、及びステープルカートリッジから部分的に発射されたステープルを示す図である。
【
図127】完全に発射された形態の
図126のステープル、及び破裂状態にある
図123の組織厚さコンペンセータのカプセルを示す図である。
【
図129】完全に発射された形態の
図126のステープル、及び少なくとも部分的に切断された状態にある
図123の組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図130】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの別の実施形態の断面斜視図である。
【
図131】外科用ステープリング器具の切断部材と整列された複数のカプセルを備える組織厚さコンペンセータの別の実施形態の斜視図である。
【
図133】外科用ステープリング器具のアンビルのナイフスロットと整列された複数のカプセルを備える、
図131の組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図134】アンビルに取り付けられている組織厚さコンペンセータの別の実施形態を示している。
【
図135】アンビルに取り付けられている組織厚さコンペンセータの別の実施形態を示している。
【
図136】少なくとも1つの実施形態によるアンビル及び組織厚さコンペンセータの分解断面図である。
【
図138】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータ及びその組織厚さコンペンセータを切開する切断要素の部分斜視図である。
【
図139】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの代替的な実施形態の部分断面図である。
【
図140】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの別の代替的な実施形態の部分断面図である。
【
図141】様々な実施形態による、複数の不規則的及び/又は非対称的な空洞を含む組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図142】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープリング器具のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの部分切欠図である。
【
図143】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの継目なし押出しケーシング又は外管の斜視図である。
【
図144】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの別の継目なし押出しケーシング又は外管の斜視図である。
【
図145】酸化再生セルロース繊維の斜視図である。
【
図148】
図147のストランドが毛羽立てられ、少なくとも部分的に切断されているところを示している。
【
図149】把持器が
図147のストランドを把持するように、組織厚さコンペンセータのケーシング又は外管を通じて挿入され、位置決めされているところを示している。
【
図150】
図149の把持器がケーシングから引き抜かれ、
図147のストランドがケーシングを通じて引っ張られているところを示している。
【
図151】
図150のケーシング及びストランドが切り分けられているところを示している。
【
図152】ケーシングの端部が熱溶着及び/又は封止されているところを示している。
【
図153】側方の継目なしに組織厚さコンペンセータを作製するプロセスを示している。
【
図154】外科用ステープリング器具のアンビル及びそのアンビルに選択的に取り付けられ得る複数のコンペンセータを示しており、コンペンセータのそれぞれは毛管路の配列を備えている。
【
図155】アンビルに取り付けられるように構成されたコンペンセータの平面図である。
【
図157】外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図158】
図157のエンドエフェクタの別の斜視図であり、流体がエンドエフェクタの組織厚さコンペンセータ上に配置されているところを示している。
【
図159】
図159のエンドエフェクタの別の斜視図であり、組織厚さコンペンセータがエンドエフェクタのアンビルに取り付けられているところを示している。
【
図161】少なくとも1つの実施形態による、複数の層を備えるコンペンセータの分解図である。
【
図162】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープリング器具のコンペンセータ及びアンビルの分解図である。
【
図164】少なくとも1つの実施形態による、細胞内部成長母材を備えるコンペンセータの分解図である。
【
図166】コンペンセータの材料の繊維層の斜視図である。
【
図167】少なくとも1つの実施形態による、互いに積み重ねられた複数の繊維層の斜視図である。
【
図168】少なくとも1つの実施形態による、互いに積み重ねられた別の複数の繊維層の斜視図である。
【
図169】コンペンセータの材料の繊維層の斜視図である。
【
図170】少なくとも1つの実施形態による、様々な方向に繊維が配列された、互いに積み重ねられた複数の繊維層の斜視図である。
【
図171】少なくとも1つの実施形態による、互いに積み重ねられた別の複数の繊維層の斜視図である。
【
図172】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタインサート及びエンドエフェクタの斜視図である。
【
図173】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタに配置された組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図174】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタに配置された組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図175】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに配置されたスリーブの斜視図である。
【
図180】少なくとも1つの実施形態による、スリーブの組織コンペンセータの平面図である。
【
図183】少なくとも1つの実施形態による、スリーブの組織コンペンセータの平面図である。
【
図188】内部の幾何学的形状を仮想線で示す、
図186のノーズ部の平面図である。
【
図189】内部の幾何学的形状を仮想線で示す、
図186のノーズ部の立面図である。
【
図193】アンビルに配置された、
図175のスリーブの平面図であり、仮想線で示す並進発射バーを表している。
【
図194】アンビルに配置された、
図175のスリーブの立面図であり、仮想線で示す並進発射バーを表している。
【
図195】アンビルに配置された、
図175のスリーブの平面図であり、スリーブからのノーズ部の解放を表している。
【
図196】アンビルに配置された、
図175のスリーブの立面図であり、スリーブからのノーズ部の解放を表している。
【
図197】アンビルに配置された、
図175のスリーブの平面図であり、発射バーを仮想線で、またスリーブからのノーズ部の解放を表している。
【
図198】アンビルに配置された、
図175のスリーブの立面図であり、発射バーを仮想線で、またスリーブからのノーズ部の解放を表している。
【
図202】
図175のアンビルの立断面図であり、スリーブからの組織コンペンセータの解放を表している。
【
図203】少なくとも1つの実施形態によるエンドエフェクタインサートの平面図である。
【
図206】
図203のエンドエフェクタインサートの部分斜視図であり、エンドエフェクタインサートが外科用器具のエンドエフェクタのアンビルと係合するところを表している。
【
図207】
図203のエンドエフェクタインサートの部分斜視図であり、エンドエフェクタインサートが外科用器具のエンドエフェクタのステープルカートリッジと係合するところを表している。
【
図208】
図203のエンドエフェクタインサートの立面図であり、エンドエフェクタインサートが外科用器具のエンドエフェクタと係合するところを表している。
【
図209】外科用器具のエンドエフェクタに配置された、
図203のエンドエフェクタインサートの立面図である。
【
図210】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタに配置された組織厚さコンペンセータの斜視図であり、組織厚さコンペンセータの一部分を切欠きして示されている。
【
図211】エンドエフェクタのアンビルに静電荷で固定された、
図210の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図212】エンドエフェクタのアンビルに吸引要素で固定された、
図210の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図213】エンドエフェクタのアンビルにフックループ式ファスナで固定された、
図210の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図214】エンドエフェクタのアンビルにバンドで固定された、
図210の組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
【
図215】エンドエフェクタのアンビルに組織厚さコンペンセータの遠位端部のソックスで固定された、
図210の組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
【
図216】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視部分断面図である。
【
図219】少なくとも1つの実施形態による、閉位置にあるラッチを表す、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図220】開位置にあるラッチを表す、
図219の組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図221】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図222】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図223】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図224】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図225】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視断面図である。
【
図226】アンビルに向かう組織厚さコンペンセータの移動を表す、
図225の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図227】アンビルと係合した
図225の組織厚さコンペンセータの立断面図である。
【
図228】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視断面図である。
【
図229】
図228の組織厚さコンペンセータ及びアンビルの斜視断面分解図である。
【
図230】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図233】外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに向かう組織厚さコンペンセータの移動を表す、
図230の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図234】アンビル上に配置された、
図230の組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図235】アンビル上に配置された、
図230の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図236】アンビル上に配置された、
図230の組織厚さコンペンセータの斜視図であり、組織厚さコンペンセータを切断する切断要素を示している。
【
図237】少なくとも1つの実施形態による、アンビルと帯電性層とを備える外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図239】
図237のアンビル及び帯電性層、並びに帯電性層に着脱自在に取り付け可能な組織厚さコンペンセータの分解図である。
【
図240】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図240A】少なくとも1つの別の実施形態による組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図242】少なくとも1つの別の実施形態による組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図244】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図245】少なくとも1つの実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図248】少なくとも1つの別の実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図251】少なくとも1つの別の実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図253】少なくとも1つの別の実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図255】少なくとも1つの別の実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図257】少なくとも1つの別の実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【0005】
対応する参照符合は、複数の図面を通じて対応する部品を示している。本明細書に記載する事例は、ある形態において本発明の特定の実施形態を示しており、そのような事例は、いかなる方式においても本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の出願人はまた、以下で確認される米国特許出願を所有しており、これらの米国特許出願はそれぞれ、参照によってそれぞれの全容が本明細書に組み込まれる:
米国特許出願番号第12/894,311号、名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH RECONFIGURABLE SHAFT SEGMENTS」(代理人整理番号第END6734USNP/100058号)、
米国特許出願番号第12/894,340、名称「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES SUPPORTING NON−LINEARLY ARRANGED STAPLES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH COMMON STAPLE−FORMING POCKETS」(代理人整理番号第END6735USNP/100059号)、
米国特許出願番号第12/894,327号、名称「JAW CLOSURE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」(代理人整理番号第END6736USNP/100060号)、
米国特許出願番号第12/894,351号、名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH SEPARATE AND DISTINCT FASTENER DEPLOYMENT AND TISSUE CUTTING SYSTEMS」(代理人整理番号第END6839USNP/100524号)、
米国特許出願番号第12/894,338号、名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE HAVING A NON−UNIFORM ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END6840USNP/100525号)、
米国特許出願番号第12/894,369号、名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A SUPPORT RETAINER」(代理人整理番号第END6841USNP/100526号)、
米国特許出願番号12/894,312号、名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING MULTIPLE LAYERS」(代理人整理番号第END6842USNP/100527号)、
米国特許出願番号第12/894,377号、名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6843USNP/100528号)、
米国特許出願番号第12/894,339号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH COMPACT ARTICULATION CONTROL ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END6847USNP/100532号)、
米国特許出願番号第12/894,360号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH A VARIABLE STAPLE FORMING SYSTEM」(代理人整理番号第END6848USNP/100533号)、
米国特許出願番号第12/894,322号、名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH INTERCHANGEABLE STAPLE CARTRIDGE ARRANGEMENTS」(代理人整理番号第END6849USNP/100534号)、
米国特許出願番号第12/894,350号、名称「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES WITH DETACHABLE SUPPORT STRUCTURES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH SYSTEMS FOR PREVENTING ACTUATION MOTIONS WHEN A CARTRIDGE IS NOT PRESENT」(代理人整理番号第END6855USNP/100540号)、
米国特許出願番号第12/894,383号、名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING BIOABSORBABLE LAYERS」(代理人整理番号第END6856USNP/100541号)、
米国特許出願番号第12/894,389号、名称「COMPRESSIBLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6857USNP/100542号)、
米国特許出願番号第12/894,345号、名称「FASTENERS SUPPORTED BY A FASTENER CARTRIDGE SUPPORT」(代理人整理番号第END6858USNP/100543号)、
米国特許出願番号第12/894,306号、名称「COLLAPSIBLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6859USNP/100544号)、
米国特許出願番号第12/894,318号、名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF CONNECTED RETENTION MATRIX ELEMENTS」(代理人整理番号第END6860USNP/100546号)、
米国特許出願番号第12/894,330号、名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND AN ALIGNMENT MATRIX」(代理人整理番号第END6861USNP/100547号)、
米国特許出願番号第12/894,361号、名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」(代理人整理番号第END6862USNP/100548号)、
米国特許出願番号第12/894,367号、名称「FASTENING INSTRUMENT FOR DEPLOYING A FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」(代理人整理番号第END6863USNP/100549号)、
米国特許出願番号第12/894,388号、名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND A COVER」(代理人整理番号第END6864USNP/100550号)、
米国特許出願番号第12/894,376号、名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF FASTENER CARTRIDGES」(代理人整理番号第END6865USNP/100551号)、
米国特許出願番号第13/097,865号、名称「SURGICAL STAPLER ANVIL COMPRISING A PLURALITY OF FORMING POCKETS」(代理人整理番号第END6735USCIP1/100059CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,936号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER」(代理人整理番号第END6736USCIP1/100060CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,954号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A VARIABLE THICKNESS COMPRESSIBLE PORTION」(代理人整理番号第END6840USCIP1/100525CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,856号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING STAPLES POSITIONED WITHIN A COMPRESSIBLE PORTION THEREOF」(代理人整理番号第END6841USCIP1/100526CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,928号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING DETACHABLE PORTIONS」(代理人整理番号第END6842USCIP1/100527CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,891号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER COMPRISING AN ADJUSTABLE ANVIL」(代理人整理番号第END6843USCIP1/100528CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,948号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING AN ADJUSTABLE DISTAL PORTION」(代理人整理番号第END6847USCIP1/100532CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,907号、名称「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE ASSEMBLY」(代理人整理番号第END6848USCIP1/100533CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,861号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING PORTIONS HAVING DIFFERENT PROPERTIES」(代理人整理番号第END6849USCIP1/100534CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,869号、名称「STAPLE CARTRIDGE LOADING ASSEMBLY」(代理人整理番号第END6855USCIP1/100540CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,917号、名称「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE COMPRISING ALIGNMENT MEMBERS」(代理人整理番号第END6856USCIP1/100541CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,873号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE PORTION」(代理人整理番号第END6857USCIP1/100542CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,938号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING COMPRESSIBLE DISTORTION RESISTANT COMPONENTS」(代理人整理番号第END6858USCIP1/100543CIP1号)、
米国特許出願番号第13/097,924号、名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6859USCIP1/100544CIP1号)、
米国特許出願第13/242,029号、名称「SURGICAL STAPLER WITH FLOATING ANVIL」(代理人整理番号第END6841USCIP2/100526CIP2号)、
米国特許出願第13/242,066号、名称「CURVED END EFFECTOR FOR A STAPLING INSTRUMENT」(代理人整理番号第END6841USCIP3/100526CIP3号)、
米国特許出願第13/242,086号、名称「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK」(代理人整理番号第END7020USNP/110374号)、
米国特許出願第13/241,912号、名称「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END7019SNP/110375)、
米国特許出願第13/241922号、名称「SURGICAL STAPLER WITH STATIONARY STAPLE DRIVERS」(代理人整理番号第END7013USNP/110377号)、
米国特許出願第13/241,637号、名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH TRIGGER ASSEMBLY FOR GENERATING MULTIPLE ACTUATION MOTIONS」(代理人整理番号第END6888USNP3/110378号)、及び
米国特許出願第13/241,629号、名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVELY ARTICULATABLE END EFFECTOR」(代理人整理番号第END6888USNP2/110379号)。
【0007】
本出願の出願人はまた、本明細書と同日に出願され、それぞれ参照によってそれぞれの全容が本明細書に組み込まれる、以下に示す米国特許出願も所有する:
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF CAPSULES」(代理人整理番号第END6864USCIP1/100550CIP1号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF LAYERS」(代理人整理番号第END6864USCIP2/100550CIP2号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「EXPANDABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第ENDEND6843USCIP2/100528CIP2号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A RESERVOIR」(代理人整理番号第END6843USCIP3/100528CIP3号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「RETAINER ASSEMBLY INCLUDING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6843USCIP4/100528CIP4号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CONTROLLED RELEASE AND EXPANSION」(代理人整理番号第END6843USCIP6/100528CIP6号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING FIBERS TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」(代理人整理番号第END6843USCIP7/100528CIP7号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING STRUCTURE TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」(代理人整理番号第END6843USCIP8/100528CIP8号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING RESILIENT MEMBERS」(代理人整理番号第END6843USCIP9/100528CIP9号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「METHODS FOR FORMING TISSUE THICKNESS COMPENSATOR ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLERS」(代理人整理番号第END6843USCIP10/100528CP10号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS」(代理人整理番号第END6843USCIP11/100528CP11号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「LAYERED TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6843USCIP12/100528CP12号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS FOR CIRCULAR SURGICAL STAPLERS」(代理人整理番号第END6843USCIP13/100528CP13号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CAPSULES DEFINING A LOW PRESSURE ENVIRONMENT」(代理人整理番号第END7100USNP/110601号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISED OF A PLURALITY OF MATERIALS」(代理人整理番号第END7101USNP/110602号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「MOVABLE MEMBER FOR USE WITH A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END7107USNP/110603号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF MEDICAMENTS」(代理人整理番号第END7102USNP/110604号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND METHOD FOR MAKING THE SAME」(代理人整理番号第END7103USNP/110605号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CHANNELS」(代理人整理番号第END7104USNP/110606号)、
米国特許出願番号第____________号、名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING TISSUE INGROWTH FEATURES」(代理人整理番号第END7105USNP/110607号)、及び
米国特許出願番号第____________号、名称「Devices And Methods For Attaching Tissue Thickness Compensating Materials To Surgical Stapling Instruments」(代理人整理番号第END7106USNP/110608号)。
【0008】
本明細書で開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるよう、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の例を添付図面に示す。当業者には理解されることであるが、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示された装置及び方法は非限定的で例示的な実施形態である。ある例示的な実施形態に関連して例示又は説明した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれる。
【0009】
物品又は製品を製造、形成、又は別様に生産するための、本明細書で開示又は請求される方法のうちのいずれかが、当該の物品又は製品のすべて又は一部を製造、形成、又は別様に生産するために用いられてよく、また、そのような方法が、当該の物品又は製品の一部を製造、形成、又は別様に生産するために用いられる場合、その物品又は製品の残りは、物品又は製品を製造、形成、又は別様に生産するための、本明細書で開示又は請求される他の方法のうちのいずれかを用いることを含めて、いかなる方式で生産されてもよく、そのように生産された様々な部品はいかなる方式で組み合わされてもよい。同様に、本明細書で開示又は請求される任意の物品又は製品は、単独で存在してもよいし、そのように開示された、互換性のある任意の他の物品又は製品と組み合わせて、あるいはその一体部分として存在してもよい。したがって、ある物品、製品、又は方法と関連させて説明又は記述された特定の機構、構造、又は特徴は、無制限に、1つ又は2つ以上の他の互換性のある物品、製品、又は方法の機構、構造、又は特徴と、全部又は一部が組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれる。
【0010】
本発明の特定の実施形態、つまり特定の物品、製品、又は方法が、特定の構造、特徴、又は機構を含み得ることが、特定の図を参照してあるいは別様に、本明細書で開示されている場合、これは、それらの構造、特徴、又は機構が、当該の物品、製品、又は方法において、互換性のある任意の組み合わせで実現され得ることを意味することが、読者には理解されよう。特に、任意選択による多数の構造、特徴、又は機構のそのような開示はまた、互いに対する代替物として開示される構造、特徴、又は機構の場合を除き、それらの構造、特徴、又は機構のすべての組み合わせを開示するものであると、理解されるものとする。そのような構造、特徴、又は機構が互いに対する代替物として開示される場合、これは、それらの代替物を互いに対する置換物として開示するものであると理解されるものとする。
【0011】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準にして用いられている。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜のため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」など、空間に関する用語は、本明細書において、図面を基準にして用いられ得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0012】
腹腔鏡下及び低侵襲の外科手技を実施するための様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書で開示される様々な方法及び装置が、開腹外科手技との関連を含めて、多数の外科手技及び用途で用いられ得ることが、読者には容易に理解されよう。この「発明を実施するための形態」を読み進めると、本明細書で開示される様々な器具が、天然の開口部を通じて、組織に形成された切込み又は穿刺孔を通じてなど、任意の方式で体の中に挿入され得ることが、読者には更に明らかとなろう。器具の作業部分又はエンドエフェクタ部分は、直接患者の体の中に挿入されてもよく、あるいは、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトを前進させ得る作業チャネルを有するアクセス装置を通じて挿入されてもよい。
【0013】
図面に戻るが、図面では、同様の参照符号が、複数の図を通して同様の構成要素を示している。
図1は、いくつかの固有の利点を実施できる外科用器具10を示している。外科用ステープリング器具10は、外科用器具10に動作可能に取り付けられている様々な形態及び大きさのエンドエフェクタ12を操作及び/又は作動するように設計されている。
図1〜1Eにおいて、例えば、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタ12の下部ジョー13を形成する細長チャネル14を含む。細長チャネル14は、「埋め込み式の」ステープルカートリッジ30を支持すると共にエンドエフェクタ12の上部ジョー15として機能するアンビル20を移動可能に支持するように構成されている。
【0014】
細長チャネル14は、例えば300及び400系、17−4及び17−7ステンレス鋼、チタンなどから製作されてよく、また離間された側壁16で形成されてよい。アンビル20は、例えば300及び400系の17−4及び17−7のステンレス鋼、チタンなどから製作されてよく、複数のステープル形成ポケット23が形成された、概して22と記されるステープル形成下面を有する。
図1B〜1Eを参照されたい。加えて、アンビル20は、そこから近位側に突出する、二又の傾斜アセンブリ24を有する。アンビルピン26が、細長チャネル14の側壁16の対応するスロット又は開口部18内に受容されるように傾斜アセンブリ24の各側方面から突出して、ここに移動可能又は枢動可能に取り付けられることを容易にしている。
【0015】
様々な形態の埋込み式ステープルカートリッジが、本明細書において開示される外科用器具で利用され得る。特定のステープルカートリッジの構成及び構造について、以下で更に詳細に議論することにする。しかしながら、
図1Aには、埋込み式ステープルカートリッジ30が示されている。ステープルカートリッジ30は本体部分31を有し、この本体部分31は、例えば酸化再生セルロース(「ORC」)又は生体吸収性フォームなどの圧縮性止血材料からなり、この圧縮静止血材料内に、何列かの未形成の金属ステープル32が支持されている。ステープルが変質すること、及び止血材料が導入及び配置プロセスの初めに活性化されることを防ぐために、カートリッジ全体が、商標PDS(登録商標)として販売されているポリジオキサノンフィルムなどの生分解性フィルム38で、あるいは、ポリグリセロールセバケート(PGS)フィルム、又はPGA(Vicrylの商標で販売されているポリグリセロール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(Monocrylの商標で販売されているポリグレカプロン25)、又は破裂するまで不浸透性であるPGA、PCL、PLA、PDSの複合体から形成された他の生分解性フィルムでコーティング又は被覆され得る。ステープルカートリッジ30の本体31は、図示されるように、細長チャネル14内に取り外し可能に支持されるような大きさであり、それによって、アンビル20がステープルカートリッジ30と接触する際に、内部の各ステープル32が、アンビル内の対応するステープル形成ポケット23と位置合わせされる。
【0016】
使用中、エンドエフェクタ12が標的組織に隣接するように位置付けられると、エンドエフェクタ12は、ステープルカートリッジ30の上面36と、アンビル20のステープル形成表面22との間で、標的組織を捕捉又はクランプするように操作される。ステープル32は、細長チャネル14と実質的に平行な経路内でアンビル20を動かして、ステープル成形表面22、及びとりわけ内部のステープル形成ポケット23を、ステープルカートリッジ30の上面36と実質的に同時に接触させることによって成形される。アンビル20がステープルカートリッジ30内に移動し続けると、ステープル32の脚部34はアンビル20内の対応するステープル形成ポケット23に接触し、ステープル脚部34を折り曲げて、ステープル32を「B字型」に形成するように機能する。アンビル20の細長チャネル14への更なる移動は、ステープル32を更に圧縮して、所望の最終的に成形される高さ「FF」へと形成する。
【0017】
上記のステープル形成プロセスは、概して
図1B〜1E内に示される。例えば、
図1Bは、アンビル20と埋め込み可能なステープルカートリッジ30の上面36との間に標的組織「T」を有する、エンドエフェクタ12を例示する。
図1Cは、アンビル20の初期クランピング位置を示すが、ここでアンビル20は標的組織「T」の上に閉鎖されて、アンビル20とステープルカートリッジ30の上面36との間に標的組織「T」をクランプする。
図1Dは、初期ステープル形成を示すが、ここでアンビル20はステープルカートリッジ30を圧縮し始め、それによってステープル32の脚部34は、アンビル20内のステープル成形ポケット23によって形成し始めている。
図1Eは、明確性の目的のためにアンビル20が取り除かれた、標的組織「T」を貫通してその最終的な形成状態にある、ステープル32を示す。ステープル32が形成され標的組織「T」に締結されると、外科医はアンビル20を開位置へと移動させて、カートリッジ本体31及びステープル32が標的組織に固定されたままとなることを可能にし、同時にエンドエフェクタ12が患者から引き抜かれる。エンドエフェクタ12は、2つのジョー13、15がともにクランピングされると、全てのステープルを同時に形成する。残っている「圧壊した」本体材料31は、止血剤(ORC)及びステープルライン補強部(PGA、PDS又は上記の他のいずれかのフィルム組成38)の両方として機能する。また、ステープル32は、形成中、カートリッジ本体31を離れなくてよいため、ステープル32が形成中に不適切に形成される可能性は極小化される。本明細書において使用するとき、用語「埋め込み式」とは、ステープルに加えて、ステープルを支持するカートリッジ本体の材料もまた、患者内に留まり、最終的には患者の身体に吸収され得ることを意味する。そのような埋め込み式ステープルカートリッジは、発射された後に全体がエンドエフェクタ内に位置したまま残る従来のカートリッジ構成とは区別される。
【0018】
様々な実施において、エンドエフェクタ12は、ハンドルアセンブリ100から突出する細長シャフトアセンブリ40と連結されるように構成される。エンドエフェクタ12(閉鎖時)及び細長シャフトアセンブリ40は、同様の断面形状を有してもよく、トロカール管又は別の形態のアクセス器具内の作業チャネルを動作可能に通過するような大きさであり得る。本明細書において使用するとき、用語「動作可能に通過」とは、エンドエフェクタ及び細長シャフトアセンブリの少なくとも一部分が、チャネル又は管開口部を通じて挿入されるか、又は通過することができ、外科用ステープリング手技を完了するために必要に応じて内部で操作され得ることを意味する。閉鎖位置にあるとき、エンドエフェクタ12のジョー13及び15は、エンドエフェクタにほぼ円形の断面形状をもたらすことができ、この断面形状は、円形の通路/開口部の通過を容易にする。しかしながら、本発明のエンドエフェクタ、並びに細長シャフトアセンブリは、おそらく、非円形の断面形状を有するアクセス通路及び開口部を別様に通り抜けることができる他の断面形状を得ることができる。したがって、閉鎖したエンドエフェクタの断面の全体的な大きさは、エンドエフェクタを通すことが意図される通路又は開口部の大きさに関連する。したがって、例えば、あるエンドエフェクタは、「5mmの」エンドエフェクタと呼ばれることができ、これは、直径が少なくとも約5mmである開口部をそのエンドエフェクタが動作可能に通り抜け得ることを意味する。
【0019】
細長シャフトアセンブリ40は、閉位置にあるときのエンドエフェクタ12の外径と実質的に同じである外径を有してもよい。例えば、5mmエンドエフェクタは、5mmの断面直径を有する細長シャフトアセンブリ40に連結されてもよい。しかしながら、本明細書の詳細な説明を読み進めると、本発明を、異なる大きさのエンドエフェクタと接続させて有効に使用され得ることが明らかとなろう。例えば、10mmのエンドエフェクタが、5mmの断面直径を有する細長シャフトに取り付けられてもよい。逆に、10mm以上のアクセス開口部又は経路が提供される用途において、細長シャフトアセンブリ40は、10mm(又はそれ以上)の断面直径を有してもよいが、5mm又は10mmのエンドエフェクタも作動させることができる。したがって、外側シャフト40は、これに取り付けられる閉鎖したエンドエフェクタ12の外径と同じ、又はこれと異なる外径を有し得る。
【0020】
図示されるように、細長シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からほぼ直線状に遠位方向に延びて、長手方向軸A−Aを画定する。例えば、細長シャフトアセンブリ40は、約229〜406ミリメートル(9〜16インチ)の長さであり得る。しかしながら、細長シャフトアセンブリ40は別の長さで提供されてもよく、あるいは、その内側に接合箇所を有するか、以下で更に詳しく説明されているように、シャフト又はハンドルアセンブリの他の部分に対してエンドエフェクタ12のアーティキュレーションを容易にするように構成されてもよい。細長シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からエンドエフェクタ12まで延びる背骨部材50を含む。エンドエフェクタ12の細長チャネル14の近位端は、そこから突出する一対の保持トラニオン17を有し、これは背骨部材50の遠位端内に設けられる、対応するトラニオン開口部又は受台52に受容される大きさであり、エンドエフェクタ12が、細長シャフトアセンブリ40に取り外し可能に連結できるようにする。背骨部材50は、例えば、6061又は7075アルミニウム、ステンレス鋼、チタンなどから作製されてもよい。
【0021】
ハンドルアセンブリ100は、組み立てる目的のために、2つ以上の部品で作製され得る、ピストルグリップタイプのハウジングを含む。例えば、図示されるハンドルアセンブリ100は、右手ケース部材102、及び左手ケース部材(図示なし)を含み、これらは、ポリマー又はプラスチック部材から成形又は別様に製作され、互いに噛み合うように設計される。このようなケース部材は、スナップ機能、ペグ、及び内側に成形又は形成されたソケットにより、かつ/又は接着剤、ねじ等により取り付けられることができる。背骨部材50は、上部にフランジ56が形成された近位端54を有する。フランジ56は、ケース部材102、104のそれぞれから内側に突出する嵌合リブ108により形成される溝106内に回転可能に支持されるように構成される。このような構成は、背骨部材50のハンドルアセンブリ100への取り付けを容易にし、一方で背骨部材50がハンドルアセンブリ100に対し、長手方向軸A−Aを中心に360°の軌道で回転することを可能にする。
【0022】
図1に更に見られるように、背骨部材50は、ハンドルアセンブリ100に回転可能に固定された取り付けブッシング60を通過し、これによって支持される。取り付けブッシング60は、近位フランジ62と遠位フランジ64とを有し、これらは、その間のハンドルアセンブリ100のノーズ部分101を回転可能に受容するように構成される回転可能な溝65を画定する。このような構成は、取り付けブッシング60が、ハンドルアセンブリ100に対して長手方向軸A−Aを中心に回転できるようにする。背骨部材50は、背骨ピン66によって取り付けブッシング60に回転不可能にピン留めされている。更に、回転ノブ70が、取り付けブッシング60に取り付けられている。例えば、回転ノブ70は、内部に取り付けブッシング60の一部分を受容するような大きさの中空の取り付けフランジ部分72を有する。回転ノブ70は、例えば、ガラス又は炭素充填ナイロン、ポリカーボネート、Ultem(登録商標)などから作製されてもよく、また同様に背骨ピン66によって取り付けブッシング60に固定される。加えて、内側に突出する保持フランジ74は、取り付けフランジ部分72上に形成され、取り付けブッシング60内に形成された放射状の溝68内に延びるように構成される。したがって、外科医は、回転ノブ70を把持し、これをハンドルアセンブリ100に対して回転させることによって、背骨部材50(及びこれに取り付けられたエンドエフェクタ12)を長手方向軸A−Aを中心に360°の経路で回転させることができる。
【0023】
アンビル20は、アンビルばね21、及び/又は別の付勢構成によって開位置に維持される。アンビル20は、概して109として指定される発射システムによって、開位置から様々な閉鎖又はクランピング及び発射位置へと選択的に可動である。発射システム109は、中空発射管110を備える「発射部材」110を含む。中空発射管110は、背骨部材50上で軸方向に可動であり、したがって、細長シャフトアセンブリ40の外部を形成する。発射管110は、ポリマー又はその他の好適な材料から作製され得、発射システム109の発射ヨーク114に取り付けられる近位端を有する。例えば、発射ヨーク114は、発射管110の近位端にオーバーモールドされてもよい。しかしながら、他の締結具手段が利用されてもよい。
【0024】
図1に見られるように、発射ヨーク114は、ハンドルアセンブリ100内で軸方向に動くように構成された支持カラー120内で回転可能に支持されてもよい。支持カラー120は、一対の横方向に延在するフィンを有し、これらは、右手ケース部材及び左手ケース部材に形成されるフィンスロット内に摺動可能に受容されるような大きさである。したがって、支持カラー120はハンドルハウジング100内で軸方向に摺動することができ、同時に、発射ヨーク114及び発射管110がこれに対して長手方向軸A−Aを中心に回転できるようにする。本発明によれば、細長スロットが、発射管110を通して設けられて、背骨ピン66が内部を通って背骨部材50内に延在できるようにし、一方で、背骨部材50上における発射管110の軸方向の移動を促進する。
【0025】
発射システム109は、背骨部材50上の発射管110の軸方向の移動を制御するように機能する、発射トリガー130を更に含む。
図1を参照されたい。発射管110を遠位方向、軸方向に移動させて、発射のためにアンビル20と相互作用させることは、ここでは「発射運動」と称される。
図1に見られるように、発射トリガー130は、枢動ピン132によってハンドルアセンブリ100に移動可能又は枢動可能に連結されている。発射トリガー130を、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107から非作動の「開放」又は開始位置へと付勢するために、トーションばね135が利用される。
図1に見られるように、発射トリガー130は、(ピン留めされた)支持カラー120に可動に取り付けられた(ピン留めされた)発射リンク136に可動に取り付けられた上部134を有する。したがって、開始位置(
図1)から、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107に隣接する終了位置への、発射トリガーの移動により、発射ヨーク114及び発射管110を遠位方向「DD」に移動させる。ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107から離れる発射トリガー130の動き(トーションばね135の付勢下にて)により、発射ヨーク114及び発射管110は、背骨部材50において近位方向「PD」に移動する。
【0026】
本発明は、異なる大きさ及び構成の埋め込み式ステープルカートリッジで利用することができる。例えば、外科用器具10は、第1発射アダプタ140と共に使用されるとき、埋め込み式ステープルカートリッジ30を支持する、およそ20mmの長さ(又は他の長さ)の、5mmエンドエフェクタ12と共に使用され得る。このようなエンドエフェクタの大きさは、例えば、比較的細かい切開及び血管横切(transactions)を完成させるために、特に好適である。しかしながら、以下でより詳細に記載されるように、外科用器具10はまた、例えば、第1発射アダプタ140を第2発射アダプタと交換することにより、他の大きさのエンドエフェクタ及びステープルカートリッジと共に利用され得る。更なる代替例として、細長シャフトアセンブリ40は、1つの形態又は大きさのエンドエフェクタに取り付けられるように構成されてもよい。
【0027】
ここで、エンドエフェクタ12を背骨部材50に取り外し可能に連結させる1つの方法を説明する。連結プロセスは、細長チャネル14上の保持トラニオン17を、背骨部材50のトラニオン受台52内に挿入することにより開始される。その後、外科医は、ハウジングアセンブリ100のピストルグリップ107の方に発射トリガー130を前進させて、発射管110及び第1発射アダプタ140を、細長チャネル14の近位端部分47を超えて遠位方向に前進させ、それによってトラニオン17をそれらの対応する受台52に保持する。トラニオン17を超える第1発射アダプタ140のこのような位置は、本明細書において「連結位置」と称される。本発明はまた、エンドエフェクタ12が背骨部材50に取り付けられた後に発射トリガー130を適所に固定するために、エンドエフェクタ固定アセンブリを有し得る。
【0028】
より具体的には、エンドエフェクタ固定アセンブリ160の一実施形態は、発射トリガー130の上部134内に可動に支持される保持ピン162を含む。上記のように、発射管110は最初に、第1発射アダプタ140がエンドエフェクタ12の保持トラニオン17を背骨部材50のトラニオン受台52内に保持する連結位置へと、遠位方向に前進されなくてはならない。外科医は、発射トリガー130を開始位置からピストルグリップ107の方へ引くことによって、発射アダプタ140を連結位置へと遠位方向に前進させる。発射トリガー130が最初に作動されると、保持ピン162は、発射管110が第1発射アダプタ140を連結位置まで前進させるまで遠位方向に動き、この連結位置の点において保持ピン162は、ケース部材内に形成される固定空洞164内に付勢される。必要に応じて、保持ピン162が固定空洞164に入るとき、ピン162は、可聴の「クリック音」又は他の音をさせてもよく、またエンドエフェクタ12が背骨部材50に「固定された」という触覚的指示を外科医に提供してもよい。加えて、外科医は、保持ピン162を固定空洞164から意図的に付勢しない限り、不注意により発射トリガー130を作動し続けて、ステープル32をエンドエフェクタ12内に形成し始めることはない。同様に、外科医が発射トリガー130を、これが連結位置にあるときに解放すると、これは保持ピン162によってこの位置に保持されて、発射トリガー130が開始位置に戻り、それによってエンドエフェクタ12を背骨部材50から解放するのを防ぐ。
【0029】
本発明は、ハンドルアセンブリ100に枢動可能に取り付けられた発射システム固定ボタン137を更に含み得る。一形態において、発射システム固定ボタン137は、その遠位端上に形成されたラッチ138を有し、これは、発射解放ボタンが第1ラッチング位置にあるときに、発射ヨーク114と係合するように向けられる。
図1に見られるように、ラッチばね139は、発射システム固定ボタン137を第1ラッチング位置へと付勢するように機能する。様々な状況において、ラッチ138は、背骨部材50上の発射ヨーク114の位置が、第1発射アダプタ140がアンビル20上のクランピング傾斜面28を遠位方向へと前進して上り始める点と対応する点において、発射ヨーク114と係合するように機能する。第1発射アダプタ140がクランピング傾斜面28を軸方向に前進すると、アンビル20が、そのステープル形成表面部分22がステープルカートリッジ30の上面36と実質的に平行となるようにして経路を移動することが理解されるであろう。
【0030】
エンドエフェクタ12が背骨部材50と連結すると、ステープル形成プロセスは、発射システム固定ボタン137を最初に押圧することによって開始されて、発射ヨーク114が背骨部材50上で遠位方向に更に移動され、最終的にアンビル20をステープルカートリッジ30内へと圧迫する。発射システム固定ボタン137を押圧した後、外科医は発射トリガー130をピストルグリップ107の方に作動し続け、それによって第1ステープルカラー140を、対応するステープル形成傾斜面29を登るように駆動させて、アンビル20を、ステープルカートリッジ30内のステープル32と接触させる。発射システム固定ボタン137は、外科医がプロセス開始の準備ができるまで、ステープル32の不注意による形成を防ぐ。この実施形態において、外科医は、発射トリガー130が更に作動されてステープル形成プロセスを開始し得る前に、発射システム固定ボタン137を押圧しなくてはならない。
【0031】
外科用器具10は、所望される場合は、組織ステープリング装置としてのみ使用されてよい。しかしながら、本発明はまた、概して170として指定される組織切断システムを含んでもよい。少なくとも一形態において、組織切断システム170は、ナイフ部材172を含み、これは、ナイフ前進トリガー200を作動させることによって、エンドエフェクタ12の近位端に隣接する非作動位置から作動位置へと選択的に前進し得る。ナイフ部材172は、背骨部材50内に可動に支持され、ナイフロッド180取り付けられるか、ないしは別の方法によりナイフロッド180から突出する。ナイフ部材172は、例えば、38HRC超の硬度(Rockwell硬度Cスケール)を有する420又は440ステンレス鋼から作製され得、かつその遠位端174上に形成された組織切断縁部176を有し、アンビル20のスロット、及びステープルカートリッジ30の中央に配置されたスロット33を通して摺動可能に延びて、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織を貫通して切断することができる。ナイフロッド180は、背骨部材50を通って延在し、ナイフ伝達器と駆動可能に連結される近位端部分を有し、このナイフ伝達器はナイフ前進トリガー200に操作可能に取り付けられている。ナイフ前進トリガー200は、駆動ピン132に取り付けられ、それによって、これは、発射トリガー130を作動することなく、枢動するかないしは別の方法で作動し得る。本発明によれば、第1ナイフギア192はまた、枢動ピン132に取り付けられ、それによって、ナイフ前進トリガー200の作動がまた第1ナイフギア192を枢動させる。発射戻りばね202は、第1ナイフギア192とハンドルハウジング100との間に取り付けられて、ナイフ前進トリガー200を開始又は非作動位置に付勢する。
【0032】
ナイフ伝達器は更に、第2ギアスピンドル上に回転可能に支持され、第1ナイフギア192と噛合係合する、第2ナイフギア194を含む。第2ナイフギア194は、第3ギアスピンドル上に支持される第3ナイフギア196と噛合係合している。第4ナイフギア198も、第3ギアスピンドル195に支持される。第4ナイフギア198は、ナイフロッド180の近位端上で一連の環状ギア歯又はリングと駆動しながら係合するように適合される。このように、かかる配置は、第4ナイフギア198がナイフロッド180を遠位方向「DD」、又は近位方向「PD」に軸方向に駆動することを可能にし、一方で、発射ロッド180が第4ナイフギア198に対して長手方向軸A−Aを中心に回転することを可能にする。したがって、外科医は、ナイフ前進トリガー200をハンドルアセンブリ100のピストルグリップ107の方に引くことによって、発射ロッド180を軸方向に前進させ、最終的にナイフ部材172を遠位方向に前進させることができる。
【0033】
本発明は、ナイフロックアウトシステム210を更に含み、これは、発射トリガー130が完全な発射した位置に引かれるとき以外は、ナイフ部材172の前進を防ぐ。したがって、このような特徴は、ステープルが組織内に最初に発射されるか形成されるとき以外は、ナイフ前進システム170の作動を防ぐ。
図1に見られるように、ナイフロックアウトシステム210の様々な実施は、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107内に枢動可能に支持される、ナイフロックアウトバー211を含む。ナイフロックアウトバー211は、発射トリガー130が完全に発射した位置にあるときに、発射トリガー130と係合するように適合される、作動端部212を有する。加えて、ナイフロックアウトバー211は、そのもう一方の端部に保持フック214を有し、これは第1切断ギア192上のラッチロッド216に引っ掛けるようにして係合するように適合される。ナイフ固定ばね218は、ナイフロックアウトバー211を「固定」位置に付勢するように利用され、ここで保持フック214はラッチロッド216と係合した状態に維持され、それによって、発射トリガー130が完全に発射した位置にある場合を除いてナイフ前進トリガー200の作動を防ぐ。
【0034】
ステープルが、標的組織内に「発射」(形成)された後、外科医は発射トリガー解放ボタン167を押圧して、発射トリガー130が、トーションばね135の付勢力により開始位置に戻ることを可能にすることができ、これによりアンビル20はばね21の付勢力により開位置に付勢されることができる。開位置にあるとき、外科医は、埋め込み式ステープルカートリッジ30及びステープル32を後ろに残してエンドエフェクタ12を引き抜くことができる。エンドエフェクタが経路、作業チャネルなどを通して挿入される用途において、外科医は、発射トリガー130を起動させることにより、アンビル20を閉じた位置に戻して、経路又は作業チャネルを通してエンドエフェクタ12を引き抜くことができる。しかしながら、ステープルの発射の後に外科医が標的組織を切断することを所望する場合、外科医はナイフ前進トリガー200を上記の方法で起動して、標的組織を通じてナイフバー172をエンドエフェクタの端部まで駆動させる。その後、外科医はナイフ前進トリガー200を解放し、これにより発射戻しばね202は、発射伝達器がナイフバー172を開始(非作動)位置に戻すことを可能にする。ナイフバー172が開始位置に戻ると、外科医はエンドエフェクタジョー13、15を開いて、埋め込み可能な式カートリッジ30を患者内で解放し、その後エンドエフェクタ12を患者から引き抜くことができる。したがって、このような外科用器具は、比較的小さな作業チャネル及び経路を通して挿入され得、同時に、外科医に、組織を切断せずにステープルを発射するか、又は所望により更にステープルが発射された後に組織を切断する選択肢を提供する、小さい埋め込み式ステープルカートリッジの使用を促進する。
【0035】
本発明の様々な固有かつ新規の実施形態は、アンビルと接触するために実質的に固定した位置にステープルを支持する、圧縮可能なステープルカートリッジを利用する。アンビルは未形成ステープルに対して駆動され、このとき例えば、達成されるステープル形成の度合いは、アンビルがどの程度までステープルに対して駆動されたかに依存する。このような構成は、外科医に、ステープルに適用される形成又は発射圧力の量を調節し、それによって最終的に形成されるステープルの高さを変更する能力を提供する。他の本発明において、外科用ステープリング構成は、ステープルをアンビルに向かって持ち上げることができるステープル駆動要素を採用することができる。これらについては更に以下で詳細に説明する。
【0036】
任意に、上記に関し、可動性アンビルに適用される発射運動の量は、発射トリガーの作動の度合いに依存する。例えば、外科医が部分的にのみ形成されたステープルを得ることを所望する場合、発射トリガーは、ピストルグリップ107の方に向かって内側に、部分的にのみ押圧される。更なるステープル形成を得るために、外科医は単純に更に発射トリガーを圧縮し、これによりアンビルは、ステープルとより深く接触するように更に駆動される。本明細書において使用するとき、用語「接触する」とは、ステープル形成表面又はステープル形成ポケットがステープル脚部の端部と接触し、脚部を形成した位置へと形成又は屈曲させ始めたことを意味する。ステープル形成の度合いとは、ステープル脚部がどれだけ折り畳まれたかを指し、ひいては、上記のステープル形成高さに関連する。当業者は更に、アンビル20が、発射運動がそこに適用される際に、ステープルカートリッジと実質的に平行な関係で移動するため、ステープルが実質的に同時に、実質的に同じ形成高さで形成されることを理解するであろう。
【0037】
図2及び
図3は、上記のエンドエフェクタ12’と同様の別のエンドエフェクタ12”を例示するが、ナイフバー172’に適合するように構成された、以下の違いを伴う。ナイフバー172’は、ナイフロッド180に連結されるか、又はこれから突出し、他の点においては、ナイフバー172に関連する上記の方法で操作される。しかしながら、本実施形態において、ナイフバー172’は、エンドエフェクタ12”の全長を横断するのに十分な長さであり、したがって別個の遠位ナイフ部材はエンドエフェクタ12”で利用されない。ナイフバー172’は、その上に形成される、上方横断部材173’及び下方横断部材175’を有する。上方横断部材173’は、アンビル20”の対応する細長いスロット250を摺動自在に横断するように向けられ、下方横断部材175’は、エンドエフェクタ12”の細長チャネル14”の細長スロット252を横断するように向けられる。係合離脱スロット(図示せず)もアンビル20”内に提供され、それによりナイフバー172’が薄いエンドエフェクタ12”と共に終了位置に駆動されると、上方横断部材173’は対応するスロットを通って降下して、アンビル20”を開位置へと移動させて、ステープリング及び切断された組織と係合離脱する。アンビル20”は、その他の点においては上記のアンビル20と同じであり得、細長チャネル14”は、その他の点においては上記の細長チャネル14と同じであり得る。
【0038】
これらの実施形態において、アンビル20”は、ばね又は他の開口部構成(図示せず)によって、完全に開いた位置(
図2)に付勢される。アンビル20”は、上記の方法により、発射アダプタ150の軸方向の移動によって、開放位置と完全にクランプした位置との間で移動する。発射アダプタ150が完全にクランプした位置(
図3)まで前進すると、外科医は次いでナイフバー172”を上記の方法で遠位方向に前進させることができる。外科医がエンドエフェクタを、組織を操作するための把持装置として使用することを望む場合、発射アダプタは近位方向に移動されて、アンビル20”を細長チャネル14”から離れるように移動させる(
図4に破線で表される)。この実施形態において、ナイフバー172”が遠位方向に移動すると、上方横断部材173’、及び下方横断部材175’は、アンビル20”及び細長チャネル14”を一緒に引いて、ナイフバー172”がエンドエフェクタ12”を通って遠位方向に前進するに伴い、所望のステープル形成を達成する。
図5を参照されたい。したがって、この実施形態において、ステープル形成は組織切断と同時に起こるが、ステープル自体は、ナイフバー172”が遠位方向に駆動される際に順次形成されてもよい。
【0039】
本発明の様々な外科用ステープルカートリッジ及び外科用器具の固有かつ新規の特徴は、これらのカートリッジ内のステープルが1つ又は2つ以上の線形又は非線形のラインに構成されることを可能にする。複数のこのようなステープルラインは、内部を通って組織切断部材を受容するために、ステープルカートリッジ内に中央に配置された細長いスロットの両側に提供されてもよい。例えば、一構成において、1つのラインのステープルは、ステープルの隣接するラインのステープルと実質的に平行であるがここからオフセットされていてもよい。更なる代替例として、1つ又は2つ以上のステープルラインは、非線形の性質を有してもよい。即ち、ステープルのラインの少なくとも1つのステープルの基部は、同じステープルラインの他のステープルの基部を実質的に横断する軸に沿って延びてもよい。例えば、細長いスロットの両側にあるステープルのラインは、ジグザグの外観を有し得る。
【0040】
本発明によれば、ステープルカートリッジは、カートリッジ本体、及びカートリッジ本体内に収容された複数のステープルを含み得る。使用中、ステープルカートリッジは、手術部位に導入され、処理される組織の側に配置され得る。加えて、ステープル形成アンビルは、組織の反対側に位置し得る。アンビルは、第1ジョーにより保持され得、ステープルカートリッジは、第2ジョーによって保持され得、第1ジョー及び/又は第2ジョーは互いに向かって移動することができる。ステープルカートリッジ及びアンビルが組織に対して位置付けられると、ステープルがステープルカートリッジ本体から発射され得、ステープルが組織を貫通しステープル形成アンビルと接触し得る。ステープルがステープルカートリッジ本体から展開されると、ステープルカートリッジ本体をその後、手術部位から取り除くことができる。ステープルカートリッジ又はステープルカートリッジの少なくとも一部分は、ステープルと共に埋め込まれ得る。例えば、以下でより詳細に記載されるように、ステープルカートリッジは、アンビルが開位置から閉位置へと移動するときに、アンビルにより圧縮、圧壊、及び/又は折り畳まれ得るカートリッジ本体を含み得る。カートリッジ本体が圧縮、圧壊及び/又は折り畳まれると、カートリッジ本体内に位置付けられたステープルは、アンビルによって変形され得る。あるいは、ステープルカートリッジを支持するジョーは、アンビルに向かって閉鎖位置へと移動し得る。いずれにせよ、ステープルは、これらが少なくとも部分的にカートリッジ本体内に位置付けられるときに、変形され得る。場合によっては、ステープルは、ステープルカートリッジから発射しなくてもよく、一方で、ステープルは、カートリッジ本体の一部分と共に、ステープルカートリッジから発射され得る。
【0041】
ここで
図6A〜6Dを参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1000などの圧縮可能なステープルカートリッジは、圧縮可能な埋め込み式カートリッジ本体1010、またそれに加えて、圧縮可能なカートリッジ本体1010内に位置付けられる複数のステープル1020を含んでもよいが、
図6A〜6Dでは、1つのステープル1020のみが示されている。
図6Aは、ステープルカートリッジ支持体又はステープルカートリッジチャネル1030によって支持されるカートリッジ1000を例示し、ステープルカートリッジ1000は、非圧縮状態で例示されている。このような非圧縮状態において、アンビル1040は、組織Tと接触していてもしていなくてもよい。使用中、アンビル1040は、
図6Bに見られるように、開位置から組織Tへと接触させ、組織Tを、カートリッジ本体1010に対して位置付けるように移動してもよい。アンビル1040は、組織Tをステープルカートリッジ本体1010の組織接触表面1019に対して位置付けることができるが、再び
図6Bを参照すると、ステープルカートリッジ本体1010は、このような時点において、圧縮力又は圧力を(受けたとしても)ほとんど受けないことがあり、ステープル1020は、未形成又は非発射状態にあり得る。
図6A及び
図6Bに例示されるように、ステープルカートリッジ本体1010は、1つ又は2つ以上の層を含むことができ、ステープル1020のステープル脚部1021は、これらの層を通して上方に延びることができる。カートリッジ本体1010は、第1層1011、第2層1012、第3層1013を含むことができ、第2層1012は、第1層1011と第3層1013及び第4層1014との中間に位置付けられてよく、第3層1013は、第2層1012と第4層1014との中間に位置付けられてよい。ステープル1020の基部1022は、第4層1014の空洞1015内に位置付けられてよく、ステープル脚部1021は、基部1022から、例えば第4層1014、第3層1013、及び第2層1012を通って上方に延びてよい。任意に、各変形可能な脚部1021は、先端部、例えば鋭い先端部1023などを含んでよく、これは、ステープルカートリッジ1000が非圧縮状態にあるときに、例えば第2層1012内に位置付けられることができる。例えば、先端部1023は、第1層1011内に及び/又はこれを通って延在しなくてもよく、少なくとも一実施形態において、先端部1023は、ステープルカートリッジ1000が非圧縮状態にあるときに、組織接触表面1019を通って突出しなくてもよい。ステープルカートリッジが非圧縮状態にあるとき、鋭い先端部1023は、第3層1013、及び/又は他の好適な層内に位置付けられ得る。あるいは、ステープルカートリッジのカートリッジ本体は、例えば4層未満又は4層を超えるなど、任意の好適な数の層を有してもよい。
【0042】
任意に、以下でより詳細に記載されるように、第1層1011は、バットレス材料及び/又はプラスチック材料、例えばポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)から構成されることができ、第2層1012は、生体吸収性フォーム材料及び/又は圧縮可能な止血材料、例えば酸化再生セルロース(ORC)から構成されることができる。任意に、1つ又は2つ以上の第1層1011、第2層1012、第3層1013、及び第4層1014は、ステープルカートリッジ本体1010内にステープル1020を保持してもよく、更に、ステープル1020を互いに位置合わせした状態に維持し得る。第3層1013は、バットレス材料、又はかなり非圧縮性又は非弾性の材料から構成されることができ、これはステープル1020のステープル脚部1021を互いに対して適所に保持するように構成されることができる。更に、第3層1013の両側に配置される第2層1012及び第4層1014は、第2層1012及び第4層1014が、圧縮可能なフォーム又は弾性材料から構成されていても、ステープル1020の移動を安定化又は低減することができる。ステープル脚部1021のステープル先端部1023は、少なくても一部分が第1層1011内に埋め込まれていてよい。例えば、第1層1011及び第3層1013は、協調して、かつしっかりと、ステープル脚部1021を適所に保持するように構成され得る。第1層1011及び第3層1013はそれぞれ、生体吸収性プラスチック、例えば、商標名Vicrylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合体のシートから構成されてよく、第2層1012及び第4層1014はそれぞれ、少なくとも1つの止血材料又は薬剤を含んでもよい。
【0043】
第1層1011は、圧縮可能であり得るが、第2層1012は、第1層1011よりも実質的に圧縮可能である。例えば、第2層1012は、第1層1011の約2倍圧縮可能、約3倍圧縮可能、約4倍圧縮可能、約5倍圧縮可能、及び/又は約10倍圧縮可能であり得る。換言すると、第2層1012は、所定の力に関して第1層1011の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍圧縮し得る。第2層1012は、第1層1011の、例えば約2倍〜約10倍圧縮可能であり得る。第2層1012は、内部に画定される複数の空隙を含むことができ、第2層1012の空隙の量及び/又は大きさは、第2層1012の所望の圧縮性をもたらすために制御され得る。上記と同様に、第3層1013は圧縮可能であり得るが、第4層1014は、第3層1013よりも実質的に圧縮可能であり得る。例えば、第4層1014は、第3層1013の約2倍圧縮可能、約3倍圧縮可能、約4倍圧縮可能、約5倍圧縮可能、及び/又は約10倍圧縮可能であり得る。換言すると、第4層1014は、所定の力に関して第3層1013の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍圧縮し得る。第4層1014は、第3層1013の、例えば約2倍〜約10倍圧縮可能であり得る。第4層1014は、内部に画定される複数の空隙を含むことができ、第4層1014の空隙の量及び/又は大きさは、第4層1014の所望の圧縮性をもたらすために制御され得る。様々な状況において、カートリッジ本体、即ちカートリッジ本体層の圧縮性は、圧縮率(即ち、所定量の力において層が圧縮される距離)という観点で表現され得る。例えば、高い圧縮率を有する層は、層に適用される所定量の圧縮力において、より低い圧縮率を有する層と比較して、より大きな距離だけ圧縮する。即ち、第2層1012は、第1層1011よりも高い圧縮率を有することができ、同様に第4層1014は、第3層1013よりも高い圧縮率を有することができる。第2層1012及び第4層1014は、同じ材料で構成されてもよく、また同じ圧縮率を有してもよい。第2層1012及び第4層1014は、異なる圧縮率を有する材料から構成されてもよい。同様に、第1層1011及び第3層1013は、同じ材料で構成されてもよく、また同じ圧縮率を有してもよい。第1層1011及び第3層1013は、異なる圧縮率を有する材料から構成されてもよい。
【0044】
図6Cに例示されるように、アンビル1040がその閉位置に移動すると、アンビル1040は、組織Tに接触し、組織T及びステープルカートリッジ1000に圧縮力を適用することができる。そのような状況において、アンビル1040は、カートリッジ本体1010の頂面、即ち組織接触表面1019を、ステープルカートリッジ支持体1030に向かって下方に押すことができる。ステープルカートリッジ支持体1030は、カートリッジ支持表面1031を含み得、これは、ステープルカートリッジ1000がカートリッジ支持表面1031と、アンビル1040の組織接触表面1041との間で圧縮される際に、ステープルカートリッジ1000を支持するように構成され得る。アンビル1040により適用される圧力により、カートリッジ本体1010は圧縮され得、アンビル1040がステープル1020と接触し得る。より具体的には、カートリッジ本体1010の圧縮、及び組織接触表面1019の下方移動により、ステープル脚部1021の先端部1023がカートリッジ本体1010の第1層1011を貫通し、組織Tを貫通し、アンビル1040の形成ポケット1042内に入ることができる。カートリッジ本体1010が、アンビル1040によって更に圧縮されると、先端部1023は形成ポケット1042を画定する壁部に接触することができ、結果として脚部1021は、
図6Cに例示されるように、変形するか、内側に湾曲し得る。やはり
図6Cに見られるように、ステープル脚部1021が変形すると、ステープル1020の基部1022は、ステープルカートリッジ支持体1030と接触するか、又はこれによって支持され得る。任意に、以下に更に詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ支持体1030は例えば、複数の支持機構、例えば、ステープル支持溝、スロット又はトラフ1032を備えてもよく、これらは、ステープル1020が変形される際に、ステープル1020又はステープル1020の少なくとも基部1022を支持するように構成され得る。また
図6Cに例示されるように、第4層1014の空洞1015は、ステープルカートリッジ本体1010に適用された圧縮力の結果として折り畳まれ得る。空洞1015に加えて、ステープルカートリッジ本体1010は、1つ又は2つ以上の空隙、例えば空隙1016を更に含んでよく、これは、ステープルの一部分が内部に配置されても配置されなくてもよく、これは、カートリッジ本体1010が折り畳まれることを可能にするように構成され得る。空洞1015及び/又は空隙1016は、空洞及び/又は壁部を画定する壁部が下方に屈曲し、カートリッジ支持表面1031と接触並びに/又は空洞及び/若しくは空隙の下に位置付けられるカートリッジ本体1010の層と接触するようにして、折り畳まれるように構成されることができる。
【0045】
図6B及び
図6Cを比較すると、第2層1012及び第4層1014が、アンビル1040によって適用される圧縮圧力によって実質的に圧縮されていることが明らかである。第1層1011及び第3層1013が同様に圧縮されたことも認識され得る。アンビル1040がその閉位置に移動されると、アンビル1040は、組織接触表面1019をステープルカートリッジ支持体1030に向かって下方に押すことによって、カートリッジ本体1010を更に圧縮し続けることができる。
図6Dに例示されるように、カートリッジ本体1010が更に圧縮されると、アンビル1040は、ステープル1020を、これらの完全に形成された形状に変形し得る。
図6Dを参照すると、各ステープル1020の脚部1021は、変形可能な脚部1021と基部1022との間に、組織T、第1層1011、第2層1012、第3層1013、及び第4層1014の少なくとも一部分を捕捉するために、各ステープル1020の基部1022の方に向かって下方に変形され得る。
図6Cと
図6Dとを比較すると、第2層1012及び第4層1014が、アンビル1040によって適用される圧縮圧力によって更に実質的に圧縮されていることが更に明らかである。同様に、
図6Cと
図18Dとを比較した際に、第1層1011及び第3層1013が更に圧縮されていることに留意することができる。ステープル1020が完全に又は少なくとも十分に形成された後、アンビル1040は組織Tから離れるように持ち上げられることができ、ステープルカートリッジ1030は、ステープルカートリッジ1000から離れるように動かされる、及び/又はこれから分離されることができる。
図6Dに示されるように、また上記の結果として、カートリッジ本体1010は、ステープル1020と共に埋め込まれ得る。様々な状況において、埋め込まれたカートリッジ本体1010は、ステープルラインに沿って組織を支持し得る。いくつかの状況において、埋め込まれたカートリッジ本体1010内に収容される止血剤及び/又は他の任意の好適な治療用薬剤は、時間が経つにつれて組織を治療することができる。上述のように、止血剤は、ステープリング及び/又は切開された組織の出血を低減させ得る一方で、結合剤又は組織接着剤は、時間と共に組織に強度をもたらし得る。埋め込まれたカートリッジ本体1010は、例えば、ORC(酸化再生セルロース)、コラーゲンなどの細胞外タンパク質、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合体などの材料を含み得る。特定の状況において、カートリッジ本体1010は、抗生物質及び/又は抗菌剤物質、例えば、コロイド状銀及び/又はトリクロサンを含んでもよく、これらは、手術部位における感染の可能性を低減させることができる。
【0046】
カートリッジ本体1010の層は、互いに接続され得る。例えば、繊維素及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1つの接着剤を使用して、第2層1012は、第1層1011に接着されてもよく、第3層1013は、第2層1012に接着されてもよく、第4層1014は第3層1013に接着されてもよい。図示されないが、カートリッジ本体1010の層は、連結機械機構によって共に連結され得る。例えば、第1層1011及び第2層1012はそれぞれ、例えば舌部及び溝部構成及び/又はあり継手構成などの、対応する連結機構を含み得る。同様に、第2層1012及び第3層1013はそれぞれ、対応する連結機構を含み得、同時に第3層1013及び第4層1014はそれぞれ、対応する連結機構を含み得る。図示されないが、ステープリングカートリッジ1000は、例えばカートリッジ本体1010の1つ又は2つ以上の層を通って延び得る1つ又は2つ以上のリベットを含み得る。例えば、各リベットは、第1層1011と隣接するように位置付けられる第1端部又はヘッド、及び第2ヘッドであって、このリベットの第2端部に組み付けられるか、又はそれによって形成され得る第4層1014と隣接するように位置付けられた、第2ヘッドを含み得る。カートリッジ本体1010の圧縮可能な性質により、リベットはカートリッジ本体1010を圧縮することができ、これにより、リベットのヘッドは、例えば組織接触表面1019、及び/又はカートリッジ本体1010の底面1018に対して陥没し得る。例えば、リベットは、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合体などの生体吸収性材料で構成され得る。カートリッジ本体1010の層は、内部に含まれるステープル1020によって以外は、互いに接続されない場合がある。例えば、ステープル脚部1021と、カートリッジ本体1010との間の摩擦係合は、カートリッジ本体1010の層を一緒に保持することができ、ステープルが形成されると、層はステープル1020内に捕捉され得る。ステープル脚部1021の少なくとも一部分は、非平坦化表面又は非平坦なコーティングを含むことができ、これは、ステープル1020とカートリッジ本体1010との間の摩擦力を増大させ得る。
【0047】
上記のように、外科用器具は、ステープルカートリッジ1030を含む第1ジョー、及びアンビル1040を含む第2ジョーを含み得る。任意に、以下で更に詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ1000は、1つ又は2つ以上の保持機構を含んでもよく、これはステープルカートリッジ支持体1030と係合するように構成されてよく、結果として、ステープルカートリッジ1000をステープルカートリッジ支持体1030に解放可能に保持する。ステープルカートリッジ1000は、例えば、繊維素及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1つの接着剤によって、ステープルカートリッジ支持体1030に接着され得る。使用中、少なくとも1つの状況において、特に腹腔鏡及び/又は内視鏡手術において、例えば、第2ジョーは第1ジョーと反対側の閉位置に移動され得、それによって第1及び第2のジョーがトロカールを介して手術部位に挿入され得る。例えば、トロカールは、およそ5mmの開口又はカニューレを画定することができ、これを通して第1及び第2ジョーが挿入され得る。第2ジョーは、開位置と閉位置との中間の部分的に閉鎖した位置に移動することができ、これは、ステープルカートリッジ本体1010内に収容されるステープル1020を変形させることなく、トロカールを通して第1及び第2のジョーが挿入されることを可能にし得る。例えば、第2ジョーがその部分的に閉じた中間位置にあるとき、アンビル1040は圧縮力をステープルカートリッジ本体1010に適用しないことがある一方で、第2ジョーが部分的に閉じた中間位置にあるときに、アンビル1040はステープルカートリッジ本体1010を圧縮することができる。アンビル1040は、そのような中間位置にあるときに、ステープルカートリッジ本体1010を圧縮し得るにもかかわらず、アンビル1040は、ステープルカートリッジ本体1010を十分に圧縮しないことがあり、その結果、アンビル1040がステープル1020と接触及び/又はステープル1020がアンビル1040によって変形される。第1及び第2ジョーが、トロカールを通して手術部位に挿入されると、第2ジョーは再び開放されることができ、アンビル1040及びステープルカートリッジ1000は、上記のように標的組織に対して位置付けられることができる。
【0048】
ここで
図7A〜7Dを参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル1140とステープルカートリッジ支持体1130との中間に位置付けられた埋め込み可能なステープルカートリッジ1100を含み得る上記と同様に、アンビル1140は、組織接触表面1141を含んでよく、ステープルカートリッジ1100は、組織接触表面1119を含んでよく、ステープルカートリッジ支持体1130は支持表面1131を含んでよく、これはステープルカートリッジ1100を支持するように構成されている。
図7Aを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ1100を変形させることなく、ステープルカートリッジ1100の組織接触表面1119に対して組織Tを位置付けるために使用され得、アンビル1140がこのような位置にあるとき、組織接触表面1141は、ステープルカートリッジ支持表面1131から距離1101a離れて位置付けられ得、組織接触表面1119は、ステープルカートリッジ支持表面1131から距離1102a離れて位置付けられ得る。その後、アンビル1140がステープルカートリッジ支持体1130に向かって移動される際、ここで
図7Bを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ110の頂面、即ち組織接触表面1119を下方に押し、カートリッジ本体1110の第1層1111及び第2層1112を圧縮することができる。再び
図7Bを参照すると、層1111及び1112が圧縮される際、第2層1112が圧壊し、ステープル1120の脚部1121は、第1層1111を通過して組織T内に貫通し得る。例えば、ステープル1120は第2層1112のステープル空洞又は空隙1115内に少なくとも一部分が位置付けられ得、第2層1112が圧縮されると、ステープル空洞1115は折り畳まれ、結果として、第2層1112がステープル1120の周囲で折り畳まれる。第2層1112は、カバー部分1116を含んでもよく、これはステープル空洞1115上に延在し、かつステープル空洞1115を包囲するか又は少なくとも一部分を包囲し得る。
図7Bは、ステープル空洞1115内へと下方に圧壊されているカバー部分1116を図示する。第2層1112は、1つ又は2つ以上の弱化部分を含んでもよく、これは第2層1112が折り畳まれるのを促進し得る。任意に、そのような弱化部分は、例えば、刻んだ線、穿孔、及び/又は薄い断面を含んでもよく、これはカートリッジ本体1110の制御された折り畳みを促進させることができる。第1層1111は、1つ又は2つ以上の弱化部分を含んでもよく、これは、第1層1111を通るステープル脚部1121の貫通を促進させることができる。任意に、そのような弱化部分は、例えば、刻んだ線、穿孔、及び/又は薄い断面を含んでもよく、これはステープル脚部1121と位置合わせされるか又は少なくとも実質的に位置合わせされ得る。
【0049】
図7Aを再び参照すると、アンビル1140が、部分的に閉じた発射していない位置にあるとき、アンビル1140は、カートリッジ支持表面1131から距離1101a離れて位置付けられ得、その結果、その間に間隙が画定される。この間隙は、ステープルカートリッジ高さ1102aを有するステープルカートリッジ1100、及び組織Tで充填され得る。
図7Bを再び参照すると、アンビル1140が下方に移動されてステープルカートリッジ1100を圧縮すると、組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は、距離1101aよりも短い距離1101bによって画定され得る。様々な状況において、距離1101bにより画定される、アンビル1140の組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の間隙は、元々の変形していないステープルカートリッジ高さ1102aよりも大きいことがある。ここで
図7Cを参照すると、アンビル1140がカートリッジ支持表面1131により近く移動されると、第2層1112は、折り畳み続け、ステープル脚部1121と形成ポケット1142との間の距離は減少し得る。同様に、組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は1101cまで減少することがあり、これは、元の変形してないカートリッジ高さ1102aより大きくてもよいし、これと等しくてもよいし、これより小さくてもよい。
図7Dを参照すると、アンビル1140は、ステープル1120が完全に形成された又は少なくとも所望の高さまで形成された、最終的な発射位置まで移動され得る。このような位置において、アンビル1140の組織接触表面1141は、カートリッジ支持表面1131から距離1101dの距離離れていてよく、距離1101dは、元の変形していないカートリッジ高さ1102aより短くてもよい。これも
図7Dに図示されるように、ステープル空洞1115は、完全に又は少なくとも実質的に折り畳まれることができ、ステープル1120は完全に又は少なくとも実質的に、折り畳まれた第2層1112によって囲まれ得る。様々な状況において、アンビル1140はその後、ステープルカートリッジ1100から離れるように動くことができる。アンビル1140がステープルカートリッジ1100から係合離脱されると、カートリッジ本体1110は、様々な位置(即ち、例えば隣接するステープル1120の中間の位置)において、少なくとも部分的に再拡張し得る。圧壊したカートリッジ本体1110は、弾性的に再拡張しないことがある。形成されたステープル1120、加えて、隣接するステープル1120の中間に位置付けられるカートリッジ本体1110は、組織Tに圧力即ち圧縮力を適用することができ、これは様々な治療的効果を提供し得る。
【0050】
図7Aを再び参照すると、上記のように、各ステープル1120は、そこから延びるステープル脚部1121を含み得る。ステープル1120は、2つのステープル脚部1121を含むものとして示されるが、1つのステープル脚部、又は代わりに2つを超えるステープル脚部、例えば3つのステープル脚部又は4つのステープル脚部を含み得る様々なステープルを使用することができる。
図7Aに図示されるように、各ステープル脚部1121は、ステープル1120が第2層1112内に固定されるように、カートリッジ本体1110の第2層1112内に埋め込まれ得る。ステープル1120は、ステープル脚部1121の先端部1123が、基部1122の前に空洞1115内に入るようにして、カートリッジ本体1110のステープル空洞1115内に挿入されることができる。先端部1123が、空洞1115内に挿入された後、先端部1123は、カバー部分1116に押し込まれて、第2層1112を切開する。ステープル1120は、ステープル1120が第2層1112に対して動かないか、又は少なくとも実質的に動かないように、第2層1112内の十分な深さに据え付けられ得る。ステープル1120は、基部1122がステープル空洞1115内に位置付けられるか又は埋め込まれるように、第2層1112内の十分な深さに据え付けられ得る。あるいは、基部1122は、第2層1112内に位置付けられないか、又は埋め込まれなくてもよい。
図7Aを参照すると、基部1122は、カートリッジ本体1110の底面1118の下に延在してもよい。基部1122は、カートリッジ支持表面1130上に静置し得るか、又はそれに対して直接位置付けられ得る。カートリッジ支持表面1130は、ここから延びるか、及び/又はその内部に画定される支持機構を含み得、例えば、ステープル1120の基部1122は、以下でより詳細に記載されるように、ステカートリッジ支持体1130内の、1つ又は2つ以上の支持溝、スロット、又はトラフ1132内に位置付けられるか、これによって支持され得る。
【0051】
ここで
図8及び
図9を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1200などのステープルカートリッジは、外層1211及び内層1212を含む、圧縮可能な、埋め込み可能なカートリッジ本体1210を含み得る。上記と同様に、ステープルカートリッジ1200は、カートリッジ本体1210内に位置付けられた、複数のステープル1220を含み得る。任意に、各ステープル1220は、基部1222及びそこから延びる1つ又は2つ以上のステープル脚部1221を含み得る。例えば、ステープル脚部1221は、内層1212に挿入され、例えば、ステープル1220の基部1222が、内層1212の底面1218と接する、及び/又は隣接するように位置付けられるような深さに据え付けられ得る。
図8及び9において、内層1212は、ステープル1220の一部分を受容するように構成されたステープル空洞を含まないが、それに代わって内層1212は、そのようなステープル空洞を含んでもよい。上記に加え、内層1212は、例えば、生体吸収性フォーム及び/又は酸化再生セルロース(ORC)などの、圧縮可能な材料を含んでよく、これは、カートリッジ本体1210が圧縮負荷がそこに適用される際に折り畳まれることを可能にするように構成され得る。内層1212は、例えば、ポリ乳酸(PLA)及び/又はポリグリコール酸(PGA)を含む凍結乾燥フォームから構成され得る。ORCは、商標名Surgicelで市販で入手することができ、緩く編まれた(外科用スポンジのような)布地、(コットンボールのような)緩い繊維、及び/又はフォームを含み得る。内層1212は、例えば、水で活性化すること及び/又は例えば患者の体液によって活性化することが可能な、そこに含有されている及び/又はそこにコーティングされている凍結乾燥トロンビン及び/又は繊維素のような、医薬品を含む材料で構成され得る。例えば、凍結乾燥したトロンビン及び/又は繊維素をVicryl(PGA)マトリックス上に保持することができる。しかしながら、特定の状況では、ステープルカートリッジ1200が、例えば患者の体内の外科的部位に挿入されたときに、活性化可能な医薬品が、意図せずして活性化される場合がある。再び
図8及び9を参照すると、外層1211は、水不透過性、又は少なくとも実質的に水不透過性の材料から構成され得、それによりカートリッジ本体1210が圧縮されステープル脚部が外層1211を貫通した後、及び/又は外層1211が何らかの様式により切開された後まで、液体は内層1212と接触しないか、又は少なくとも実質的に接触しない。外層1211は、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などのバットレス材料及び/又はプラスチック材料から構成され得る。外層1211は、内層1212及びステープル1220を囲むラップを含み得る。より具体的には、ステープル1220は、内層1212内に挿入されることができ、外層1211は、内層1212及びステープル1220を含むサブアセンブリの周囲に巻かれ、その後封止され得る。
【0052】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉位置に動かされたときに、アンビルによって完全に形成され得る。あるいは、
図10〜13を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ4100などのステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉位置へと動くときにアンビルによって、加えて、ステープルを閉鎖したアンビルの方へ動かすステープルドライバシステムによって、変形され得る。ステープルカートリッジ4100は、例えば、フォーム材料、及び圧縮可能なカートリッジ本体4110内に少なくとも一部分が位置付けられた複数のステープル4120を含み得る、圧縮可能なカートリッジ本体4110を含み得る。ステープルドライバシステムは、ドライバホルダ4160、ドライバホルダ4160内に位置付けられた複数のステープルドライバ4162、及びドライバホルダ4160内にステープルドライバ4162を保持するように構成され得るステープルカートリッジパン4180を含み得る。例えば、ステープルドライバ4162は、ドライバホルダ4160の1つ又は2つ以上のスロット4163内に位置付けられてよく、スロット4163の側壁は、ステープルドライバ4162をアンビルに向かって上方に案内するのを補助することができる。ステープル4120は、ステープルドライバ4162によってスロット4163内に支持されることができ、ステープル4120は、ステープル4120及びステープルドライバ4162がそれらの非発射位置にあるときに、スロット4163内に完全に位置付けられることができる。あるいは、ステープル4120の少なくとも一部分は、ステープル4120及びステープルドライバ4162がそれらの非発射位置にあるときに、スロット4163の解放端部4161を通って上方に延在し得る。例えば、ここで主に
図11を参照すると、ステープル4120の基部は、ドライバホルダ4160内に位置付けられることができ、ステープル4120の先端部は、圧縮可能なカートリッジ本体4110内に埋め込まれることができる。ステープル4120の高さのおよそ1/3は、ドライバホルダ4160内に位置付けられることができ、ステープル4120のおよそ2/3は、カートリッジ本体4110内に位置付けられることができる。
図10Aを参照すると、ステープルカートリッジ4100は、例えば、カートリッジ本体4110及びドライバホルダ4160を囲む、水不透過性ラップ又は膜4111を更に備えてもよい。
【0053】
使用中、ステープルカートリッジ4100は、例えば、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられることができ、アンビルは、ステープルカートリッジ4100に向かって閉位置へと動かされ得る。アンビルは、アンビルがその閉位置に動かされると、圧縮可能カートリッジ本体4110と接触し、かつそれを圧縮することができる。アンビルは、アンビルがその閉位置にあるときに、ステープル4120に接触しなくてもよい。アンビルは、アンビルがその閉位置に動かされる際に、ステープル4120の脚部に接触し、少なくとも部分的にステープル4120を変形させてもよい。いずれにせよ、ステープルカートリッジ4100は、1つ又は2つ以上のスレッド4170を更に含んでよく、これは、ステープルカートリッジ4100内で長手方向に前進させられることができ、それによって、スレッド4170は、連続的にステープルドライバ4162と係合し、ステープルドライバ4162及びステープル4120をアンビルの方に動かすことができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジパン4180とステープルドライバ4162との間で摺動することができる。アンビルの閉鎖が、ステープル4120の形成プロセスを開始させると、ステープル4120のアンビルに向かう上方への移動は、形成プロセスを完了し、ステープル4120をそれらの完全に形成した、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。アンビルの閉鎖が、ステープル4120を変形させていない場合、ステープル4120のアンビルの方への上方移動は、形成プロセスを開始及び完了させ、ステープル4120をそれらの完全に形成した、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジ4100の近位端から、ステープルカートリッジ4100の遠位端まで前進することができ、それによって、ステープルカートリッジ4100の近位端に位置付けられたステープル4120は、ステープルカートリッジ4100の遠位端に位置付けられるステープル4120が完全に形成される前に、完全に形成される。
図12を参照すると、スレッド4170は、それぞれ、少なくとも1つの角度付き、又は傾いた表面4711を含むことができ、これは、
図13に例示されるように、ステープルドライバ4162の下を摺動し、かつステープルドライバ4162を持ち上げるように構成され得る。
【0054】
上記に加え、ステープル4120は、組織Tの少なくとも一部分、及びステープルカートリッジ4100の圧縮可能なカートリッジ本体4110の少なくとも一部分を内部に捕捉するように、形成され得る。ステープル4120が形成された後、外科用ステープラのアンビル及びステープルカートリッジチャネル4130は、埋め込まれたステープルカートリッジ4100から離れるように動かされ得る。様々な状況において、カートリッジパン4180は、ステープルカートリッジチャネル4130としっかりと係合され得、その結果、カートリッジパン4180は、ステープルカートリッジチャネル4130が、埋め込まれたカートリッジ本体4110から引き離される際に、圧縮可能なカートリッジ本体4110から取り外され得る。
図10を再び参照すると、カートリッジパン4180は、間にカートリッジ本体4110が取り外し可能に取り付けられ得る対向する側壁4181を含み得る。例えば、圧縮可能なカートリッジ本体4110は、側壁4181の間で圧縮され得、その結果、カートリッジ本体4110は使用中に側壁4181の間に取り外し可能に保持され、カートリッジパン4180が引き離される際にカートリッジパン4180から解放可能に係合離脱される。例えば、ドライバホルダ4160は、カートリッジパン4180が手術部位から取り外されたときに、ドライバホルダ4160、ドライバ4162、及び/又はスレッド4170が、カートリッジパン4180内に留まり得るようにして、カートリッジパン4180に接続され得る。ドライバ4162は、ドライバホルダ4160から押し出され、手術部位に残されてもよい。例えば、ドライバ4162は、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合体などの生体吸収性材料で構成され得る。ドライバ4162は、ドライバ4162がステープル4120と共に配備されるように、ステープル4120に取り付けられることができる。例えば、各ドライバ4162は、例えば、ステープル4120の基部を受容するように構成されたトラフを含んでよく、トラフは、圧力嵌め及び/又はスナップ嵌めの方法でステープル基部を受容するように構成され得る。
【0055】
上記に加え、ドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170は、カートリッジパン4180から押し出され得る。例えば、スレッド4170は、カートリッジパン4180とドライバホルダ4160との間で摺動することができ、それにより、スレッド4170がステープルドライバ4162及びステープル4120を上方に駆動させるためにスレッド4170が前進すると、スレッド4170はドライバホルダ4160も同様に、カートリッジパン4180の外側に上方へと移動させることができる。例えば、ドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170は、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合体などの生体吸収性材料で構成され得る。スレッド4170は、駆動バー又は切断部材に一体的に形成される及び/又はこれに取り付けられてよく、これがステープルカートリッジ4100を通してスレッド4170を押す。そのような場合、スレッド4170は、カートリッジパン4180から押し出されなくてもよく、外科用ステープラと共に留まってもよいが、スレッド4170が駆動バーに取り付けられていないその他の場合は、スレッド4170は、手術部位に残ってもよい。いずれにせよ、上記に加え、カートリッジ本体4110の圧縮性は、ステープルのアンビルが閉じるときにカートリッジ本体4110が圧縮又は収縮し得る際に、より厚いステープルカートリッジが、外科用ステープラのエンドエフェクタ内で使用されることを可能にし得る。アンビルの閉鎖の際に少なくとも一部分が変形されるステープルの結果として、例えば、およそ0.46cm(0.18”)のステープル高さを有するステープルなど、より高いステープルが使用されてよく、約0.30cm(0.12”)のステープル高さが圧縮可能な層4110内に位置付けられてよく、圧縮可能な層4110は、例えば、約0.36mm(0.14”)の非圧縮高さを有してよい。
【0056】
本明細書に記載するように、ステープルカートリッジは、内部に複数のステープルを備えることができる。任意に、そのようなステープルは、2つのステープル脚部を有する実質的にU字型の構成に変形される金属ワイヤから構成され得る。ステープルが3つ以上のステープル脚部を有する、一緒に結合された2つ以上のワイヤなどの異なる構成を備え得る代替例が想到される。ステープルを形成するために使用されるワイヤは、丸い、又は少なくとも実質的に丸い断面を含み得る。ステープルワイヤは、例えば正方形及び/又は矩形の断面などの、他の任意の好適な断面を含んでもよい。ステープルは、プラスチックワイヤで構成され得る。ステープルは、プラスチックコーティングされた金属ワイヤで構成され得る。本発明によれば、カートリッジは、ステープルに加えて、又はその代わりに、任意の好適な種類の締結具を備えることができる。例えば、そのような締結具は、アンビルと係合する際に折り畳まれ得る枢動可能なアームを備えることができる。2部型のファスナが利用され得る。例えば、ステープルカートリッジは、複数の第1締結部分を備えてよく、アンビルは、アンビルがステープルカートリッジに対して圧縮される際に第1締結部分に接続される、複数の第2締結部分を備えてよい。上記のように、スレッド又はドライバは、ステープルの形成プロセスを完了させるために、ステープルカートリッジ内で前進し得る。スレッド又はドライバは、1つ又は2つ以上の形成部材を、内部に位置付けられた対向するステープルカートリッジ及びステープル又は締結具と係合するように下方に動かすために、アンビル内で前進し得る。
【0057】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジは、内部に保存された4列のステープルを含み得る。4つのステープル列は、2つの内側ステープル列と2つの外側ステープル列とに構成され得る。例えば、内側ステープル及び外側ステープル列は、ステープルカートリッジ内の切断部材又はナイフスロットの第1側部に位置付けられてよく、同様に、内側ステープル列及び外側ステープル列は、切断部材又はナイフスロットの第2側部に位置付けられてもよい。ステープルカートリッジは、切断部材スロットを含まなくてもよいが、そのようなステープルカートリッジは、ステープルカートリッジスロットの代わりに、切断部材によって切開されるように構成された指定部分を含み得る。内側のステープル列は、ステープルカートリッジ内において、それらが切断部材スロットから均等に又は少なくとも実質的に均等に離間するように配置され得る。同様に、外側のステープル列は、ステープルカートリッジ内において、それらが切断部材スロットから均等に、又は少なくとも実質的に均等に離間するように配置され得る。本発明によれば、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ内に保存された4列を超える、又は4列未満のステープルを備え得る。ステープルカートリッジは6列のステープルを備えてもよい。例えば、ステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1側部に3列のステープルを含み、切断部材スロットの第2側部に3列のステープルを含むことができる。ステープルカートリッジは、奇数のステープル列を備えてもよい。例えば、ステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1側部に2列のステープルを含み、切断部材スロットの第2側部に3列のステープルを含んでもよい。ステープル列は、同じ又は少なくとも実質的に同じ、未形成のステープル高さを有するステープルを含み得る。あるいは、1つ又は2つ以上のステープル列は、他のステープルとは異なる、未形成のステープル高さを有するステープルを含み得る。例えば、切断部材スロットの第1側部のステープルは、第1の未形成高さを有し、切断部材スロットの第2側部のステープルは、例えば、第1高さとは異なる第2の未形成高さを有してもよい。
【0058】
任意に、上述のように、ステープルカートリッジは、内部に画定された複数のステープル空洞を含むカートリッジ本体を備えてもよい。カートリッジ本体は、デッキ及びデッキ上表面を含み得、各ステープル空洞は、デッキ表面に開口部を画定し得る。上述のように、ステープルは、そこから発射されるまでの間、カートリッジ本体内に保存されるように、各ステープル空洞内に配置することができる。ステープルは、カートリッジ本体から発射される前に、ステープルがデッキ表面の上に突出しないように、カートリッジ本体内に受容され得る。ステープルはデッキ表面の下に配置されているため、そのような場合、ステープルの損傷及び/又は標的組織に時期尚早に接触する可能性を低減することができる。様々な状況において、ステープルは、カートリッジ本体から突出していない未発射位置と、カートリッジ本体から出現し、ステープルカートリッジに相対して配置されているアンビルに接触することができる発射済み位置との間で、移動することができる。アンビル、及び/又はアンビル内に画定されている形成ポケットは、デッキ表面から所定距離だけ上に配置することができ、これにより、ステープルがカートリッジ本体から配備されると、ステープルが所定の形成高さに変形される。いくつかの状況において、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織の厚さは異なり得るが、その結果、より厚い組織が特定のステープル内に捕捉され得る一方、より薄い組織は他の特定のステープル内に捕捉され得る。いずれの場合においても、ステープルによって組織にかかるクランプ圧力又はクランプ力は、ステープルによって、例えば、ステープル列の一方の端にあるステープルと、そのステープル列の他方の端にあるステープルとの間で異なり得る。特定の状況において、アンビルとステープルカートリッジデッキとの間の間隙は、ステープルが各ステープル内で所定の最小クランプ圧力を適用するように制御することができる。しかしながら、いくつかのそのような状況において、異なるステープル内でクランプ圧力の顕著な変動が依然として存在し得る。外科用ステープリング器具は、米国特許番号第7,380,696号(2008年6月3日発行)に開示されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。外科用ステープリング及び切断用器具の例示的なマルチストロークハンドルは、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、同時係属かつ共同出願の米国特許出願「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM」、Ser.第10/374,026号に詳述されている。本発明と一貫しているその他の出願は、例えば、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、同時係属かつ共同出願の米国特許出願「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」第10/441,632号に詳述されている。
【0059】
本明細書に記載されているように、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジから配備されたステープル内に捕捉される組織の厚さに関して補償する手段を備え得る。
図14を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ10000)は、剛性の第1部分(例えば、支持部分10010)、及び圧縮可能な第2部分(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)を備え得る。主に
図16を参照すると、支持部分10010は、カートリッジ本体、デッキ上表面10011、及び複数のステープル空洞10012を備え得、上記と同様に、各ステープル空洞10012はデッキ表面10011に開口部を画定し得る。例えばステープル10030は、各ステープル空洞10012内に取り外し可能に配置することができる。例えば、各ステープル10030は、基部10031、及び基部10031から延びる1つ又は2つ以上の脚部3521を含み得る。ステープル10030が配備される前に、これも詳しく後述されるように、ステープル10030の底面10031は、支持部分10010内に配置されているステープルドライバによって支持されることができ、同時に、ステープル10030の脚部10032は、ステープル空洞10012内に少なくとも部分的に収容され得る。ステープル10030は、脚部10032が組織厚さコンペンセータ10020を通って移動し、組織厚さコンペンセータ10020の上側表面を貫通し、組織Tを貫通し、ステープルカートリッジ10000に相対して配置されるアンビルに接触するよう、未発射位置と発射済み位置との間に配備することができる。脚部10032がアンビルに当たって変形されると、各ステープル10030の脚部10032が、各ステープル10030内で、組織厚さコンペンセータ10020の一部及び組織Tの一部を捕捉し、この組織に圧縮力をかけることができる。上記に加えて、各ステープル10030の脚部10032は、ステープルの底面10031に向かって下向きに変形して、ステープル捕捉領域10039を形成することができ、組織T及び組織厚さコンペンセータ10020が捕捉され得る。様々な状況において、ステープル捕捉領域10039は、変形した脚部10032の内側表面と、底面10031の内側表面との間で画定され得る。ステープルの捕捉領域の大きさは、例えば脚部の長さ、脚部の直径、底面の幅、及び/又は脚部の変形の程度などのいくつかの要素に依存し得る。
【0060】
これまでは、外科医はしばしば、ステープルを適用する組織に対して適切なステープル高さを有する適切なステープルを選択する必要があった。例えば、外科医は、厚い組織に使用するには長いステープルを選択し、薄い組織に使用するには短いステープルを選択することができた。しかしながら、いくつかの状況において、ステープルが適用される組織は均一な厚さを有しておらず、ステープルによっては、望ましい発射形状を達成することができなかった。例えば、
図48は、薄い組織に使用された長いステープルを示す。ここで
図49を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)を薄い組織に使用した場合、大きなステープルであっても、望ましい発射済み状態に形成することができる。
【0061】
組織厚さコンペンセータの圧縮性のおかげで、組織厚さコンペンセータは、各ステープル内に捕捉された組織の厚さを補償することができる。より具体的には、ここで
図43及び44を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10020)は、ステープル捕捉領域10039内に収容された組織の厚さ及び/又はタイプに応じて、各ステープル10030のステープル捕捉領域10039のより大きな部分及び/又はより小さな部分を占めることができる。例えば、より薄い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より厚い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039のより大きな部分を占めることができる。これに対応して、より厚い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より薄い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039のより小さな部分を占めることができる。このようにして、組織厚さコンペンセータは、より薄い組織及び/又はより厚い組織を補償することができ、ステープル内に捕捉された組織厚さとは無関係に、又は少なくとも実質的に無関係に、確実に圧縮圧力を組織に適用する。上記に加え、組織厚さコンペンセータ10020は、異なるステープル10030内に捕捉された組織の様々なタイプ又は圧縮性を、補償することができる。ここで
図44を参照すると、組織厚さコンペンセータ10020は、管Vを含み得る脈管組織Tに対して圧縮力を適用することができ、その結果、圧縮性のより低い管Vを通る血流を制限する一方、周囲の組織Tに対して望ましい圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、上記に加えて、組織厚さコンペンセータ10020はまた、形成不良ステープルも補償することができる。
図45を参照すると、様々なステープル10030の形成不良により、そのようなステープル内に画定される、より大きなステープル捕捉領域10039が生じることがある。ここで
図46を参照すると、組織厚さコンペンセータ10020の弾力性のおかげで、形成不良ステープル10030内に配置された組織厚さコンペンセータ10020は、そのような形成不良ステープル10030内に画定されたステープル捕捉領域10039が増大した場合であっても、依然として組織Tに十分な圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、例えば、隣接するステープル10030の中間にある組織厚さコンペンセータ10020は、形成不良ステープル10030を取り囲む正しく形成されたステープル10030により、組織Tに対して付勢されることができ、その結果、形成不良ステープル10030の周囲及び/又は形成不良ステープル10030内に捕捉された組織に対して、圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば石灰化、線維性領域、及び/又は以前にステープル若しくは治療が行われた組織などによって生じ得る、異なる組織密度を補償することができる。
【0062】
本発明によれば、固定された(即ち変更不能な)組織間隙は、支持部分とアンビルとの間で画定されることができ、その結果、ステープルは、ステープル内に捕捉された組織の厚さにかかわらず、所定の高さに変形され得る。組織厚さコンペンセータをそのような場合に使用すると、組織厚さコンペンセータは、アンビルと支持部分ステープルカートリッジとの間に捕捉された組織に対して適合することができ、この組織厚さコンペンセータの弾力性のおかげで、組織厚さコンペンセータは、追加の圧縮圧力を組織に適用することができる。ここで
図50〜55を参照すると、ステープル10030は、所定の高さHに形成されている。
図50に関して言えば、組織厚さコンペンセータは使用されておらず、組織Tはステープル捕捉領域10039の全体を占めている。
図57に関して言えば、組織厚さコンペンセータ10020の一部がステープル10030内に捕捉されており、組織Tを圧縮し、ステープル捕捉領域10039の少なくとも一部分を占めている。ここで
図52を参照すると、薄い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約2/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約7/9Hの高さを有する。ここで
図53を参照すると、中間的な厚さを有する組織Tがステープル10030内に補足されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約4/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約5/9Hの高さを有する。ここで
図54を参照すると、中間的な厚さを有する組織Tがステープル10030内に補足されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約2/3Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約1/3Hの高さを有する。ここで
図53を参照すると、厚い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約8/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約1/9Hの高さを有する。様々な状況において、この組織厚さコンペンセータは、例えば、ステープル捕捉高さの約10%、ステープル捕捉高さの約20%、ステープル捕捉高さの約30%、ステープル捕捉高さの約40%、ステープル捕捉高さの約50%、ステープル捕捉高さの約60%、ステープル捕捉高さの約70%、ステープル捕捉高さの約80%、及び/又はステープル捕捉高さの約90%を含む圧縮高さを含み得る。
【0063】
ステープル10030は、任意の好適な未形成高さを有し得る。ステープル10030は、例えば、約2mm〜4.8mmの未形成高さを有し得る。ステープル10030は、例えば約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.8mm、約4.0mm、約4.1mm、及び/又は約4.8mmの未形成高さを有し得る。ステープルが変形され得る高さHは、支持部分10010のデッキ表面10011と、それに相対するアンビルとの間の距離によって規定され得る。デッキ表面10011とアンビルの組織接触表面との間の距離は、例えば、約0.246cm(0.097”)であり得る。高さHは、アンビル内に画定される形成ポケットの深さによっても規定され得る。形成ポケットは、例えば組織接触表面から測定される深さを有し得る。任意に、詳しく後述されるように、ステープルカートリッジ10000はステープルドライバを更に含み得、これはステープル10030をアンビルに向かって持ち上げることができ、又はステープルをデッキ表面10011の上に持ち上げる(又は「オーバードライブさせる」)ことができる。そのような場合、ステープル10030が形成される高さHは、ステープル10030がオーバードライブされる距離によっても規定され得る。例えば、ステープル10030は、例えば約0.071cm(0.028”)だけオーバードライブされ得、これによりステープル10030は、例えば約0.480cm(0.189”)の高さに形成され得る。ステープル10030は、例えば約0.8mm、約1.0mm、約1.5mm、約1.8mm、約2.0mm、及び/又は約2.25mmの高さに形成され得る。ステープルは、例えば約2.25mm〜約3.0mmの高さに形成され得る。上記に加えて、ステープルのステープル捕捉領域の高さは、ステープルの形成高さ、及びそのステープルを構成するワイヤの幅(又は直径)によって決定され得る。ステープル10030のステープル捕捉領域10039の高さは、ステープルの形成高さHから、ワイヤの直径幅の2倍を引いたものとなり得る。ステープルワイヤは、例えば、約0.0226cm(0.0089”)の直径を有し得る。ステープルワイヤは、例えば、約0.0175cm(0.0069”)〜約0.0302cm(0.0119”)の直径を有し得る。例えば、ステープル10030の形成高さHは、約0.480cm(0.189”)であってよく、ステープルワイヤ直径は約0.0226cm(0.0089”)であってよく、これによりステープル捕捉高さは約0.434cm(0.171”)となる。
【0064】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータは、未圧縮(即ち配備前)高さを有し、複数の圧縮高さの1つに変形されるように構成され得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、約0.318cm(0.125”)の未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、約0.203cm(0.080”)以上の未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さよりも高い、未圧縮(即ち配備前)高さを有し得る。組織厚さコンペンセータの未圧縮(即ち配備前)高さは、未発射のステープル高さよりも、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、及び/又は約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(即ち配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、最大約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(即ち配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、100%超高くてもよい。組織厚さコンペンセータは、未発射のステープル高さと等しい未圧縮高さを有してもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さよりも低い未圧縮高さを有してもよい。厚さコンペンセータの未圧縮(即ち配備前)高さは、例えば、ステープルの未発射高さよりも、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及び/又は約90%小さくてもよい。圧縮可能な第2部分は、ステープリングされている組織Tの未圧縮高さよりも高い、未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープリングされている組織Tの未圧縮高さと等しい未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープリングされている組織Tの未圧縮高さよりも低い未圧縮高さを有し得る。
【0065】
上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル内に捕捉される組織が厚いか薄いかにかかわらず、複数の形成されたステープル内に圧縮され得る。例えば、ステープルライン(列)内のステープルは、各ステープルのステープル捕捉領域が、例えば約2.0mmの高さを有するように変形され得、組織T及び組織厚さコンペンセータは、この高さ内に圧縮され得る。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを有し得る一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを有し得、これによって、合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。
【0066】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも低い未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さと等しい未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも高い未圧縮高さを有し得る。例えば、組織厚さコンペンセータの未圧縮高さは、例えば、形成済みステープル高さの約110%、形成済みステープル高さの約120%、形成済みステープル高さの約130%、形成済みステープル高さの約140%、形成済みステープル高さの約150%、形成済みステープル高さの約160%、形成済みステープル高さの約170%、形成済みステープル高さの約180%、形成済みステープル高さの約190%、及び/又は形成済みステープル高さの約200%の厚さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも2倍超高い未圧縮高さを有し得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、形成済みステープル高さの約85%〜約150%の圧縮高さを有し得る。任意に、上述のように、組織厚さコンペンセータは、未圧縮厚さと圧縮済み厚さとの間に圧縮され得る。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、例えば、未圧縮厚さの約10%、未圧縮厚さの約20%、未圧縮厚さの約30%、未圧縮厚さの約40%、未圧縮厚さの約50%、未圧縮厚さの約60%、未圧縮厚さの約70%、未圧縮厚さの約80%、及び/又は未圧縮厚さの約90%であり得る。組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さは、例えば、圧縮済み厚さの約2倍、約10倍、約50倍、及び/又は約100倍であり得る。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、未圧縮厚さの約60%〜約99%であり得る。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、圧縮済み厚さより少なくとも50%厚くてもよい。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、圧縮済み厚さより最大100倍厚くてもよい。圧縮可能な第2部分は、弾性、又は少なくとも部分的に弾性であってよく、ステープルの変形した脚部に対して組織Tを付勢し得る。例えば、圧縮可能な第2部分は、組織Tをステープルの脚部に対して押し付けるために、組織Tとステープルの底面との間で弾力的に膨張し得る。詳しく後述されるように、組織厚さコンペンセータは、組織Tと変形したステープル脚部との中間に配置され得る。様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内の任意の間隙を埋めるように構成することができる。
【0067】
組織厚さコンペンセータは、例えば、生体適合性、生体吸収性、生体再吸収性、生体耐久性(biodurable)、生分解性、圧縮性、流体吸収性、膨潤性、自己膨張性、生体活性、薬物性(medicament)、製薬的活性、抗接着性、止血性、抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性、栄養性、接着性、浸透性、親水性及び/又は疎水性という特性のうちの1つ又は2つ以上を特徴とする材料を含み得る。本発明によれば、アンビルとステープルカートリッジとを備える外科用器具は、フィブリン及びトロンビンなどの止血剤、doxycplなどの抗生剤、並びにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)などの薬物のうちの少なくとも1つを含む、アンビル及び/又はステープルカートリッジと結合される組織厚さコンペンセータを備え得る。
【0068】
組織厚さコンペンセータは合成及び/又は非合成材料を含み得る。組織厚さコンペンセータは、1つ又は2つ以上の合成ポリマー及び/又は1つ又は2つ以上の非合成ポリマーを含むポリマー組成物を含み得る。この合成ポリマーは、合成吸収性ポリマー及び/又は合成非吸収性ポリマーを含み得る。ポリマー組成物は、例えば生体適合性フォームを含み得る。生体適合性フォームには、例えば多孔質連続気泡フォーム、及び/又は多孔質独立気泡フォームが含まれ得る。生体適合性フォームは均一の孔形態を有してもよく、又は勾配のある孔形態(即ち、フォームの厚さにわたって一方向に、小さい孔から大きい孔へと徐々に大きくなる)を有してもよい。ポリマー組成物は、多孔質スカフォールド、多孔質マトリックス、ゲルマトリックス、ヒドロゲルマトリックス、溶液マトリックス、繊維状マトリックス、管状マトリックス、複合体マトリックス、膜状マトリックス、生体安定性ポリマー、及び生分解性ポリマー、及びこれらの組み合わせのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。例えば、組織厚さコンペンセータは、繊維状マトリックスにより補強されたフォームを含んでもよく、又は体液の存在下で膨張して組織に更に圧縮を提供する追加のヒドロゲル層を有するフォームを含んでもよい。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、更に材料の上のコーティングから構成されてもよく、及び/又は体液の存在下で膨張して組織に更に圧縮を提供する第2若しくは第3の層を含んでもよい。そのような層は、例えば、合成及び/又は天然由来の材料であり得るヒドロゲルであり得、また生体耐久性及び/又は生分解性であってよい。組織厚さコンペンセータは、ミクロゲル又はナノゲルを含んでよい。ヒドロゲルは、炭水化物由来のミクロゲル及び/又はナノゲルを含んでよい。組織厚さコンペンセータは、更なる柔軟性、剛性、及び/又は強度を提供できる、例えば繊維性不織布材料又は繊維性メッシュタイプ要素で強化され得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、多孔質形態を有し、これは例えば、一方の表面に小さい孔、もう一方の表面により大きい孔を備えた勾配構造を呈する。そのような形態は、組織内殖又は止血挙動に、より最適であり得る。更に、この勾配は、様々な生体吸収性プロフィールと共に組成されることもできる。短期的な吸収プロフィールは、止血対処のために好ましいことがあり、一方、長期的な吸収プロフィールは、漏れを生じずにより良い組織治癒を行い得る。
【0069】
非合成材料の例には、これらに限定されるものではないが、凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、ウシの心膜、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース(ORC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、チタン(chitan)、キトサン、カゼイン、アルギン酸塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
合成吸収性材料の例には、これらに限定されるものではないが、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(TMC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、グリコリドとεカプロラクトンとのコポリマー(PGCL)、グリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマー、ポリ(セバシン酸グリセロール)(PGS)、ポリ(ジオキサノン)(PDS)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリオキサエステル、ポリエーテルエステル、ポリカーボネート、ポリアミドエステル、ポリ無水物、多糖類、ポリ(エステル−アミド)、チロシン系ポリアリルレート(tyrosine-based polyarylates)、ポリアミン、チロシン系ポリイミノカーボネート、チロシン系ポリカーボネート、ポリ(D,L−ラクチド−ウレタン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(B−ヒドロキシブチレート)、ポリ(E−カプロラクトン)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[ビス(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン]ポリ(アミノ酸)、疑似ポリ(アミノ酸)、吸収性ポリウレタン、ポリ(ホスファジン)、ポリホスファゼン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ポリエステルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、トリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリブトエステル(polybutesters)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0071】
合成吸収性ポリマーは、例えば90/10ポリ(グリコリド−L−ラクチド)コポリマー(Ethicon、Inc.から商品名VICRYL(ポリグラクチン(polyglactic)910)として市販)、ポリグリコリド(American Cyanamid Co.から商品名DEXONとして市販)、ポリジオキサノン(Ethicon、Inc.から商品名PDSとして市販)、ポリ(グリコリド−トリメチレンカーボネート)ランダムブロックコポリマー(American Cyanamid Co.から商品名MAXONとして市販)、75/25ポリ(グリコリド−ε−カプロラクトン−ポリグレカプロラクトン25)コポリマー(Ethiconから商品名MONOCRYLとして市販)のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0072】
合成非吸収性材料の例としては、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロクロロエチレン(PTFCE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリアセタール、ポリスルホン、ケイ素、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。合成非吸収性ポリマーには、例えばシリコーン、ポリイソプレン、及びゴムなどの発泡エラストマー及び多孔質エラストマーを挙げることができるが、これらに限定されない。合成ポリマーには、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)(W.L.Gore & Associates、Inc.から商品名GORE−TEX軟組織パッチとして市販)及びコ−ポリエーテルエステルウレタンフォーム(Polyganicsから商品名NASOPOREとして市販)が含まれ得る。
【0073】
このポリマー組成物には、例えばポリマー組成物の約50重量%〜約90重量%のPLLA、及びポリマー組成物の約50重量%〜約10重量%のPCLが含まれ得る。このポリマー組成物には、例えば約70重量%のPLLA及び約30重量%のPCLが含まれ得る。このポリマー組成物には、例えばポリマー組成物の約55重量%〜約85重量%のPGA、及びポリマー組成物の15重量%〜45重量%のPCLが含まれ得る。このポリマー組成物には、例えば約65重量%のPGA及び約35重量%のPCLが含まれ得る。このポリマー組成物には、例えばポリマー組成物の約90重量%〜約95重量%のPGA、及びポリマー組成物の約5重量%〜約10重量%のPLAが含まれ得る。
【0074】
合成吸収性ポリマーは、生体吸収性で生体適合性のエラストマーコポリマーを含み得る。好適な生体吸収性で生体適合性のエラストマーコポリマーには、これらに限定されるものではないが、ε−カプロラクトンとグリコリドとのコポリマー(ε−カプロラクトンとグリコリドのモル比は、好ましくは約30:70〜約70:30、好ましくは35:65〜約65:35、より好ましくは45:55〜35:65である);ε−カプロラクトンと、L−ラクチド、D−ラクチド、それらのブレンド又は乳酸コポリマーを含むラクチドとのエラストマーコポリマー(ε−カプロラクトンとラクチドとのモル比は、好ましくは約35:65〜約65:35、より好ましくは45:55〜30:70である);p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)と、L−ラクチド、D−ラクチド及び乳酸を含むラクチドとのエラストマーコポリマー(p−ジオキサノンとラクチドとのモル比は、好ましくは約40:60〜約60:40である);ε−カプロラクトンとp−ジオキサノンとのエラストマーコポリマー(ε−カプロラクトンとp−ジオキサノンとのモル比は、好ましくは約30:70〜約70:30である);p−ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのエラストマーコポリマー(p−ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのモル比は、好ましくは約30:70〜約70:30である);炭酸トリメチレンとグリコリドとのエラストマーコポリマー(炭酸トリメチレンとグリコリドとのモル比は、好ましくは約30:70〜約70:30である);炭酸トリメチレンと、L−ラクチド、D−ラクチド、それらのブレンド又は乳酸コポリマーを含むラクチドとのエラストマーコポリマー(炭酸トリメチレンとラクチドとのモル比は、好ましくは約30:70〜約70:30である)、並びにそれらのブレンドが挙げられる。
【0075】
エラストマーコポリマーは、グリコリドとε−カプロラクトンとのコポリマーであってよい。あるいは、エラストマーコポリマーは、ラクチドとε−カプロラクトンとのコポリマーである。米国特許第5,468,253号「ELASTOMERIC MEDICAL DEVICE」(1995年11月21日発行)、及び同第6,325,810号「FOAM BUTTRESS FOR STAPLING APPARATUS」(2001年12月4日)の開示は、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
組織厚さコンペンセータは、乳化剤を含んでもよい。乳化剤の例には、これらに限定されるものではないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PLURONICS、TWEENS、多糖類、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0077】
組織厚さコンペンセータは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の例には、これらに限定されるものではないが、ポリアクリル酸、メタローズ(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びポリオキサマーを挙げることができる。
【0078】
ポリマー組成物は、製薬的活性薬剤を含み得る。ポリマー組成物は、治療有効量の製薬的活性薬剤を放出し得る。製薬的活性薬剤は、ポリマー組成物が脱着/吸収される際に放出され得る。製薬的活性薬剤は、そのポリマー組成物の上又は中を通過する流体(例えば、血液など)内に放出され得る。製薬的活性薬剤の例としては、止血薬剤及び薬物(例えばフィブリン、トロンビン、及び酸化再生セルロース(ORC)など)、抗炎症薬(例えばジクロフェナク、アスピリン、ナプロキセン、スリンダク、及びヒドロコルチゾンなど)、抗生物質及び抗菌薬剤又は薬物(例えば、トリクロサン、銀イオン、アンピシリン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、クロラムフェニコールなど)、並びに抗癌剤(例えばシスプラチン、ミトマイシン、アドリアマイシンなど)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0079】
ポリマー組成物は、止血材料を含み得る。組織厚さコンペンセータは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(カプロタクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアルキレンオキシド、コポリ(エーテル−エステル)、コラーゲン、ゼラチン、トロンビン、フィブリン、フィブリノゲン、フィブリネクチン、エラスチン、アルブミン、ヘモグロビン、オバルブミン、多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、チタン(chitan)、キトサン、アガロース、マルトース、マルトデキストリン、アルギン酸塩、凝固因子、メタクリレート、ポリウレタン、シアノアクリレート、血小板アゴニスト(platelet agonists)、血管収縮薬、ミョウバン、カルシウム、RGDペプチド、タンパク質、硫酸プロタミン、ε−アミノカプロン酸、硫酸第二鉄、塩基性硫酸第二鉄、塩化第二鉄、亜鉛、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、過マンガン酸、タンニン、骨ろう、ポリエチレングリコール、フカン、及びそれらの組み合わせを含む止血材料を含み得る。
【0080】
組織厚さコンペンセータは、止血特性を特徴とし得る。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば有孔率、孔径、及び/又は硬度によって特性付けられ得る。ポリマー組成物は、例えば、約30体積%〜約99体積%の有孔率を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、約60体積%〜約98体積%の有孔率を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、約85体積%〜約97体積%の有孔率を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、約70重量%のPLLAと約30重量%のPCLとを含み得、例えば、約90体積%の有孔率を有し得る。例えば、その結果、ポリマー組成物は約10体積%のコポリマーを含み得る。ポリマー組成物は、例えば、約65重量%のPGAと約35重量%のPCLとを含み得、例えば約93体積%〜約95体積%の有孔率を有し得る。ポリマー組成物は、85体積%超の有孔率を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、約5マイクロメートル〜約2000マイクロメートルの孔径を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、約10マイクロメートル〜約100マイクロメートルの孔径を有し得る。例えば、ポリマー組成物は、例えばPGAとPCLとのコポリマーを含み得る。ポリマー組成物は、例えば、約100マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの孔径を有し得る。ポリマー組成物は、例えばPLLAとPCLとのコポリマーを含み得る。
【0081】
特定の態様によると、ポリマー組成物の硬度は、ショア硬度で表わすことができ、これは例えばショアデュロメーターなどのデュロメーターで測定されたときの材料の恒久的な陥凹に対する抵抗として定義され得る。所与の材料のデュロメーター値を評価するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるASTM手順D2240−00「Standard Test Method for Rubber Property−Durometer Hardness」に従って、デュロメーター圧子の先で、材料に対して圧力が適用される。デュロメーター圧子の先は、例えば15秒間などの十分な時間、材料に適用でき、そこで読取り値が適切な目盛で取得される。使用する目盛のタイプに応じて、圧子の先が材料に完全に貫入したときに読取り値0が得られ、材料に対する貫入が起こらなかった場合に読取り値100が得られる。この読取り値は無次元である。デュロメーターは、ASTM D2240−00に従って、任意の好適な目盛、例えば、タイプA及び/又はタイプOOに従って測定され得る。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば約4A〜約16AのショアA硬度値を有し得、これはショアOO範囲で約45 OO〜約65 OOである。例えば、ポリマー組成物は、例えば、PLLA/PCLコポリマー又はPGA/PCLコポリマーを含み得る。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は15A未満のショアA硬度値を有し得る。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は10A未満のショアA硬度値を有してもよい。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は5A未満のショアA硬度値を有してもよい。ポリマー材料は、例えば、約35 OO〜約75 OOのショアOO組成物値を有し得る。
【0082】
ポリマー組成物は、上で確認される特性のうちの少なくとも2つを有してもよい。ポリマー組成物は、上で確認される特性のうちの少なくとも3つを有してもよい。ポリマー組成物は、85体積%〜97体積%の有孔率、5マイクロメートル〜2000マイクロメートルの孔径、及び4A〜16AのショアA硬度、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、70重量%のPLLAポリマー組成物と30重量%のPCLポリマー組成物とを含んでもよく、90体積%の有孔率、100マイクロメートル〜1000マイクロメートルの孔径、及び4A〜16AのショアA硬度、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有し得る。ポリマー組成物は、例えば、65重量%のPGAのポリマー組成物と35重量%のPCLのポリマー組成物とを含んでもよく、93体積%〜95体積%の有孔率、10マイクロメートル〜100マイクロメートルの孔径、及び4A〜16AのショアA硬度、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有し得る。
【0083】
組織厚さコンペンセータは膨張する材料を含んでもよい。上で議論したように、組織厚さコンペンセータは、例えば、非圧縮時又は展開時に膨張する圧縮材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、原位置で形成される自己膨張材料を含んでよい。組織厚さコンペンセータは、他の前駆体、水、及び/又は体液のうちの少なくとも1つと接触すると自発的に架橋するように選択された、少なくとも1つの前駆体を含んでよい。本発明によれば、第1の前駆体が1つ又は2つ以上の他の前駆体と接触して、膨張性及び/又は膨潤性の組織厚さコンペンセータを形成し得る。組織厚さコンペンセータは、例えば水膨潤性の組成物など、流体膨潤性の組成物を含み得る。組織厚さコンペンセータは、水を含むゲルを含んでよい。組織厚さコンペンセータは、中に埋め込まれた乾燥ヒドロゲルの粒子又は顆粒を含む封入部を有する生分解性フォームを含み得る。特定のいかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、このフォーム中の封入部は、ヒドロゲル前駆体の水溶液と生体適合性材料の有機溶液とを接触させてフォームを形成することによって形成され得る。
【0084】
水溶液及び有機溶液は、ミセルを形成し得る。水溶液及び有機溶液は、乾燥ヒドロゲルの粒子又は顆粒をフォームに封入するように乾燥され得る。例えば、親水性ポリマーなどのヒドロゲル前駆体は、水に溶解されてミセルの分散体を形成し得る。水溶液は、ポリ(グリコール酸)とポリカプロラクトンとを含むジオキサンの有機溶液と接触し得る。水溶液及び有機溶液は、凍結乾燥されて、乾燥ヒドロゲルの粒子又は顆粒が中に分散した生分解性フォームを形成し得る。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、乾燥ヒドロゲルの粒子又は顆粒をフォーム構造内に分散させた封入部をミセルが形成すると考えられる。封入部は破裂され得るものであり、乾燥ヒドロゲルの粒子又は顆粒は、体液などの液体と接触し、膨張し得る。
【0085】
任意に、上述のように、組織厚さコンペンセータは、初期厚さと膨張厚さとを有し得る。組織厚さコンペンセータの初期厚さは、例えば、膨張厚さの約0.001%、膨張厚さの約0.01%、膨張厚さの約0.1%、膨張厚さの約1%、膨張厚さの約10%、膨張厚さの約20%、膨張厚さの約30%、膨張厚さの約40%、膨張厚さの約50%、膨張厚さの約60%、膨張厚さの約70%、膨張厚さの約80%、及び/又は膨張厚さの約90%であり得る。組織厚さコンペンセータの膨張厚さは、例えば、初期厚さの約2倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、及び/又は約1000倍となり得る。組織厚さコンペンセータの初期厚さは、膨張厚さの1%以下、膨張厚さの5%以下、膨張厚さの10%以下、及び膨張厚さの50%以下であり得る。組織厚さコンペンセータの膨張厚さは、初期厚さよりも少なくとも50%厚く、初期厚さよりも少なくとも100%厚く、初期厚さよりも少なくとも300%厚く、また初期厚さよりも少なくとも500%厚くなり得る。上述のように、様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内の任意の間隙を埋めるように構成され得る。
【0086】
上で議論したように、組織厚さコンペンセータはヒドロゲルを含み得る。ヒドロゲルは、ホモポリマーヒドロゲル、コポリマーヒドロゲル、マルチポリマーヒドロゲル、相互貫入ポリマーヒドロゲル、及びそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロゲルは、ミクロゲル、ナノゲル、及びそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロゲルは一般に、流体を吸収及び/又は保持することが可能な親水性のポリマー網目構造を備え得る。ヒドロゲルは、非架橋ヒドロゲル、架橋ヒドロゲル、及びそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロゲルは、化学架橋、物理架橋、疎水性セグメント、及び/又は水不溶性セグメントを含み得る。ヒドロゲルは、重合、小分子架橋、及び/又はポリマー間架橋によって化学的に架橋され得る。ヒドロゲルは、イオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合相互作用、立体錯体化、及び/又は超分子化学によって物理的に架橋され得る。ヒドロゲルは、架橋、疎水性セグメント、及び/又は水不溶性セグメントによって実質的に不溶性となり得るが、流体を吸収及び/又は保持することによって膨張可能及び/又は膨潤可能となり得る。前駆体は、内生の物質及び/又は組織と架橋し得る。
【0087】
ヒドロゲルは、環境敏感性ヒドロゲル(ESH)を含み得る。ESHは、環境条件と関連した流体膨潤特性を有する材料を含み得る。環境条件には、これらに限定されないが、手術部位における物理的条件、生物的条件、及び/又は化学的条件を挙げることができる。ヒドロゲルは、例えば、温度、pH、電界、イオン強度、酵素及び/又は化学反応、電気的及び/又は磁気的刺激、並びにその他の生理的及び環境的変数要因に応答して、膨潤又は収縮し得る。ESHは、多官能アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エラストマーアクリレート、及びそれらに関連するモノマーを含み得る。ヒドロゲルを備える組織厚さコンペンセータは、上述した非合成材料及び合成材料のうちの少なくとも1つを含み得る。ヒドロゲルは、合成ヒドロゲル及び/又は非合成ヒドロゲルを含み得る。
【0088】
組織厚さコンペンセータは複数の層を備えることができる。複数の層は、多孔質層及び/又は非多孔質の層を含み得る。例えば、組織厚さコンペンセータは、非多孔質層と多孔質層とを備えてもよい。別の例において、組織厚さコンペンセータは、第1の非多孔質層と第2の非多孔質層との中間に多孔質層を備えてもよい。別の例において、組織厚さコンペンセータは、第1の多孔質層と第2の多孔質層との中間に非多孔質層を備えてもよい。非多孔質層及び多孔質層は、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルの表面に対して任意の順序で配置されてよい。
【0089】
非合成材料の例には、これらに限定されるものではないが、アルブミン、アルギン酸塩、炭水化物、カゼイン、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、血液、デキストラン、エラスチン、フィブリン、フィブリノゲン、ゼラチン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ケラチン、タンパク質、血清、及びデンプンを挙げることができる。セルロースは、ヒドロキシエチルセルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース(ORC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの組み合わせを含み得る。コラーゲンはウシの心膜を含み得る。炭水化物は、凍結乾燥された多糖類などの多糖類を含み得る。タンパク質は、糖タンパク質、プロテオグリカン、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0090】
合成材料の例には、これらに限定されるものではないが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ホスファジン)(poly(phosphazine))、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシド、コ−ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。上記の非合成材料は、従来の方法を利用して合成的に調製されることができ、例えば合成ヒアルロン酸である。
【0091】
ヒドロゲルは、1つ又は2つ以上のヒドロゲル前駆体から作製され得る。前駆体は、モノマー及び/又はマクロマーを含み得る。ヒドロゲル前駆体は、求電子性の官能基及び/又は求核性求電子性の官能基を含み得る。一般に、求電子試薬は求核試薬と反応して結合を形成し得る。「官能基」という用語は、本明細書で用いられるとき、互いに反応して結合を形成できる求電子性又は求核性の基を指す。求電子性の官能基の例には、これらに限定されるものではないが、N−ヒドロキシスクシンイミド(「NHS」)、スルホスクシンイミド、カルボニルジイミダゾール、塩化スルホニル、ハロゲン化アリール、スルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、スクシンイミジルコハク酸及び/又はスクシンイミジルプロピオン酸などのスクシンイミジルエステル、イソシアネート、チオシアネート、カルボジイミド、ベンゾトリアゾールカーボネート、エポキシド、アルデヒド、マレイミド、イミドエステル、それらの組み合わせなどを挙げることができる。求電子性の官能基は、スクシンイミジルエステルを含み得る。求核性の官能基の例には、これらに限定されるものではないが、−NH
2、−SH、−OH、−PH
2、及び−CO−NH−NH
2を挙げることができる。
【0092】
ヒドロゲルは、1つの前駆体又は複数の前駆体から形成され得る。ヒドロゲルは、第1の前駆体及び第2の前駆体から形成され得る。第1のヒドロゲル前駆体及び第2のヒドロゲル前駆体は、接触時に原位置でかつ/又は生体内でヒドロゲルを形成し得る。ヒドロゲル前駆体は、一般に、反応に寄与してヒドロゲルを形成し得るポリマー、官能基、巨大分子、小分子、及び/又は架橋剤を指し得る。前駆体は、例えば、水又は緩衝液などの好適な溶媒中に、均質な溶液、不均質な若しくは相分離した溶液を含み得る。緩衝液は、例えば約8.2〜約9など、約8〜約12のpHを有し得る。緩衝液の例には、これに限定されるものではないが、ホウ酸緩衝液を挙げることができる。前駆体は、エマルションの形態であってもよい。本発明によれば、第1の前駆体が第2の前駆体と反応してヒドロゲルを形成し得る。第1の前駆体は、第2の前駆体と接触されると、自発的に架橋し得る。本発明によれば、第1の前駆体の求電子性の官能基の第1の組が、第2の前駆体の求核性の官能基の第2の組と反応し得る。反応を可能にする環境(例えば、pH、温度、及び/又は溶媒に関する)で各前駆体が混合されると、官能基が互いに反応して共有結合を形成し得る。前駆体は、前駆体の少なくとも一部が1つを超える他の前駆体と反応するときに架橋され得る。
【0093】
組織厚さコンペンセータは、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩(「KSPA」)、アクリル酸ナトリウム(「NaA」)、N−(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド(「トリスアクリル」)、及び2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み得る。組織厚さコンペンセータは、KSPA、NaA、トリスアクリル、aMPSからなる群から選択される2つ以上のモノマーを含むコポリマーを含み得る。組織厚さコンペンセータは、KSPA、NaA、トリスアクリル、及びAMPSから誘導されたホモポリマーを含み得る。組織厚さコンペンセータは、それと共重合可能な親水性改質モノマーを含み得る。親水性改質モノマーは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸を含み得る。
【0094】
組織厚さコンペンセータは架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、エチレングリコールジアクリレート若しくはジメタクリレート、ジ、トリ若しくはテトラエチレングリコールジアクリレート若しくはジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、C
2〜C
8−アルキレンジアクリレート若しくはジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジ及びトリビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート若しくはトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート若しくはテトラメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート若しくはジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド若しくはビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド若しくはエチレンビスメタクリルアミド、トリアリルフタレート若しくはジアリルフタレートなどの、低分子量のジ又はポリビニル架橋剤を含み得る。架橋剤は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(「MBAA」)を含み得る。
【0095】
組織厚さコンペンセータは、アクリレート及び/又はメタクリレート官能性ヒドロゲル、生体適合性光開始剤、アルキルシアノアクリレート、所望によりアミン官能性マクロマーを含むイソシアネート官能性マクロマー、所望によりアミン及び/又はスルフヒドリル官能性マクロマーを含むスクシンイミジルエステル官能性マクロマー、所望によりアミン官能性マクロマーを含むエポキシ官能性マクロマー、タンパク質及び/又はポリペプチドとアルデヒド架橋剤のゲニピンとの混合物、並びに水溶性のカルボジイミド、アニオン性多糖類、及び多価カチオンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0096】
組織厚さコンペンセータは、不飽和有機酸モノマー、アクリル置換アルコール、及び/又はアクリルアミドを含み得る。組織厚さコンペンセータは、メタクリル酸、アクリル酸、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート(glycerolmethacryulate)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリレート、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド、及び/又はN,N−ジメチルアクリルアミドポリ(メタクリル酸)を含み得る。
【0097】
組織厚さコンペンセータは強化材を含んでもよい。強化材は、上述の非合成材料及び合成材料のうちの少なくとも1つを含み得る。強化材は、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、チタン(chitan)、キトサン、アルギン酸塩、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0098】
組織厚さコンペンセータは、強化材を含んだ層を備えてもよい。組織厚さコンペンセータの多孔質層及び/又は非多孔質層が、強化材を含んでもよい。例えば、多孔質層は強化材を含んでもよく、非多孔質層は強化材を含まなくてもよい。強化層は、第1の非多孔質層と第2の非多孔質層との中間に内層を含んでもよい。強化層は、組織厚さコンペンセータの外層を含んでもよい。強化層は、組織厚さコンペンセータの外面を含んでもよい。
【0099】
強化材は、メッシュ、モノフィラメント、マルチフィラメント編組体、繊維、マット、フェルト、粒子、及び/又は粉末を含んでもよい。強化材は、組織厚さコンペンセータの層に組み込まれてもよい。強化材は、非多孔質層及び多孔質層のうちの少なくとも一方に組み込まれてよい。強化材を含むメッシュは、例えば、編組、機織り、タッチング、及び/又はニップリング(knipling)など、従来の技術を用いて形成され得る。本発明によれば、複数の強化材がは、不規則な方向及び/又は共通の方向に向けられ得る。共通の方向は、例えば、ステープルラインに対して平行な方向及びステープルラインに対して垂直な方向のいずれかであり得る。例えば、モノフィラメント及び/又はマルチフィラメント編組体は、不規則な方向及び/又は共通の方向に向けられ得る。モノフィラメント及びマルチフィラメント編組体は、非多孔質層及び/又は多孔質層と会合され得る。組織厚さコンペンセータは、非多孔質層内で不規則な方向に向けられた複数の強化繊維を含み得る。組織厚さコンペンセータは、非多孔質層内で共通の方向に向けられた複数の強化繊維を含んでもよい。
【0100】
繊維は、例えばマット及びフェルトなどの不織布材料を形成し得る。繊維は、例えば0.1mm〜100mm及び0.4mm〜50mmなど、任意の好適な長さを有し得る。強化材は、粉末に粉砕されてもよい。粉末は、例えば10マイクロメートル〜1cmの粒径を有し得る。粉末は、組織厚さコンペンセータに組み込まれてもよい。
【0101】
組織厚さコンペンセータは原位置で形成され得る。ヒドロゲルは原位置で形成され得る。組織厚さコンペンセータは、共有結合、イオン結合、及び/又は疎水結合によって原位置で形成され得る。物理的な(非共有結合)架橋は、錯化、水素結合、脱溶媒和、ファンデルワールス相互作用、イオン結合、及びそれらの組み合わせの結果として生じ得る。化学的な(共有結合)架橋は、フリーラジカル重合、縮合重合、アニオン性又はカチオン性重合、逐次重合、求電子性−求核性反応、及びそれらの組み合わせなどの多数の作用のうちのいずれかによって達成され得る。
【0102】
任意に、組織厚さコンペンセータを原位置で形成することは、原位置で接触されるまでは物理的に分離されており、かつ/又は環境条件に反応して互いに反応してヒドロゲルを形成する、2つ以上の前駆体を反応させることを含み得る。原位置で重合可能なポリマーは、手術部位で反応してポリマーを形成し得る前駆体から調製され得る。組織厚さコンペンセータは、原位置での前駆体の架橋反応によって形成され得る。前駆体は、原位置で組織厚さコンペンセータを形成するために重合反応を開始できる開始剤を含み得る。組織厚さコンペンセータは、架橋されたヒドロゲルを生成するために適用の時点で活性化され得る前駆体を含んでもよい。組織厚さコンペンセータを原位置で形成することは、少なくとも1つの前駆体を活性化して結合を形成し、組織厚さコンペンセータを形成することを含み得る。任意に、活性化は、これらに限定するものではないが、温度、pH、電界、イオン強度、酵素及び/又は化学反応、電気的及び/又は磁気的刺激、並びにその他の生理的及び環境的変数要因を含めて、手術部位における物理的条件、生物学的条件、及び/又は化学的条件の変化によって達成されてもよい。前駆体は、身体の外側で接触され、手術部位に導入されてもよい。
【0103】
組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの成分を中に貯蔵するように構成され得る、1種類以上の封入部、即ちセルを備えてもよい。封入部は、ヒドロゲル前駆体を中に貯蔵するように構成されてもよい。封入部は、例えば2つの成分を中に貯蔵するように構成されてもよい。封入部は、第1のヒドロゲル前駆体及び第2のヒドロゲル前駆体を中に貯蔵するように構成されてもよい。第1の封入部は、第1のヒドロゲル前駆体を中に貯蔵するように構成されてよく、第2の封入部は、第2のヒドロゲル前駆体を中に貯蔵するように構成されてよい。上述したように、封入部は、ステープル脚部が封入部と接触したときに封入部を穿刺及び/又は別様に破裂させるように、ステープル脚部と整列され得るか、あるいは少なくとも実質的に整列され得る。封入部は、ステープルが配備されるときに、圧縮され、粉砕され、折り畳まれ、かつ/又は別様に破裂されてもよい。封入部が破裂された後、中に貯蔵された構成成分は封入部から流出し得る。中に貯蔵された構成成分は、他の構成要素、組織厚さコンペンセータの層、及び/又は組織と接触し得る。他の構成成分は、組織厚さコンペンセータの層に設けられた、同じ又は異なる封入部から流出し、かつ/又は臨床医によって手術部位に供給され得る。上記の結果、封入部内に貯蔵された構成成分は、組織厚さコンペンセータの膨張及び/又は膨潤をもたらし得る。
【0104】
組織厚さコンペンセータは、封入部を含む層を備えてもよい。封入部は、層と会合する空隙、ポケット、ドーム、チューブ、及びそれらの組み合わせを含み得る。封入物は、層内に空隙を含み得る。層は、互いに付着され得る2つの層を含んでよく、封入部はそれら2つの層の間に画定され得る。封入部は、層の表面上にドームを含み得る。例えば、封入部の少なくとも一部分が、層から上向きに延びるドーム内に配置され得る。封入部は、層内に形成されたポケットを含み得る。封入部の第1の部分はドームを含んでよく、封入部の第2の部分はポケットを含んでもよい。封入部は、層内に埋め込まれたチューブを含み得る。チューブは、PLAなど、本明細書で説明した非合成材料及び/又は合成材料を含んでもよい。例えば、組織厚さコンペンセータは、中に埋め込まれたPLAチューブを含むORCなどの生体吸収性フォームを含んでもよく、チューブはヒドロゲルを封入してもよい。この封入部は、互いに連結されていない別個のセルを含み得る。封入部の1つ又は2つ以上が、層を通って延びる1つ又は2つ以上の、例えば経路、導管、及び/又はチャネルを介して互いに流体連通していてもよい。
【0105】
封入部から構成成分が放出される速度は、例えば、組織厚さコンペンセータの厚さ、組織厚さコンペンセータの組成物、構成成分の大きさ、構成成分の親水性、並びに/又は構成成分、組織厚さコンペンセータの組成物、及び/若しくは外科用器具の間の物理的及び/若しくは化学的相互作用によって制御され得る。この層は、例えば部分的穿孔など、1つ又は2つ以上の薄い区分又は弱化部分を備え得るが、これは、層の切開、及び封入部の破裂を促進し得る。部分的穿孔は、完全に層を貫いて延びていなくてもよいが、場合によっては、穿孔は完全に層を貫いて延びてもよい。
【0106】
所望により、アンビルは、少なくとも1つのミクロスフェア粒子を含む封入成分を含む組織厚さコンペンセータを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、第1の封入成分と第2の封入成分とを含む封入部を含み得る。組織厚さコンペンセータは、第1のミクロスフェア粒子と第2のミクロスフェア粒子とを含む封入部を含み得る。
【0107】
組織厚さコンペンセータは、外科用器具と共に使用するのに好適であり得る。上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルと会合され得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに嵌合するのに好適な任意の形状、大きさ、及び/又は寸法に構成され得る。上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに解放可能に取り付けられ得る。組織厚さコンペンセータは、ステープリングプロセスの前及びその間に組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジ及び/又はアンビルと接触させて保持できる任意の機械的及び/又は化学的な方式で、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに取り付けられ得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルが組織厚さコンペンセータに貫入した後にステープルカートリッジ及び/又はアンビルから取り外されるかあるいは解放され得る。組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルが組織厚さコンペンセータから離れて移動されるときにステープルカートリッジ及び/又はアンビルから取り外されるかあるいは解放され得る。
【0108】
ここで
図14を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ10000)は、支持部分10010と圧縮可能な組織厚さコンペンセータ10020とを含み得る。ここで
図16〜18を参照すると、支持部分10010は、デッキ表面10011及び支持部分10010内に画定された複数のステープル空洞10012を含み得る。各ステープル空洞10012は、例えば、その中にステープル(例えばステープル10030)を取り外し可能に保管するような寸法で構成され得る。ステープルカートリッジ10000は、複数のステープルドライバ10040を更に含み得、これはそれぞれ、ステープル10030及びステープルドライバ10040が未発射位置にあるときに、ステープル空洞10012内に1つ又は2つ以上のステープル10030を支持するように構成することができる。例えば、
図22及び23を主に参照すると、各ステープルドライバ10040は、例えば、1つ又は2つ以上の受台(即ちトラフ)10041を含み得、これはステープルを支持し、かつステープル10030とステープルドライバ10040との間の相対的な動きを制限するように構成することができる。再び
図16を参照すると、ステープルカートリッジ10000は、ステープル発射スレッド10050を更に含み得、これは、ステープルドライバ10040及びステープル10030を、それらの未発射位置から、ステープルカートリッジ10000に対向して配置されているアンビルに向かって連続的に持ち上げるために、ステープルカートリッジの近位端10001から遠位端10002へと動くことができる。
図16及び18を主に参照すると、各ステープル10030は、基部10031と、その基部10031から延在する1つ又は2つ以上の脚部10032と、を含み、各ステープルは例えば、実質的にU字型及び実質的にV字型の少なくとも1つであり得る。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端が支持部分10010のデッキ表面10011に対して引っ込んでいるように構成することができる。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端が支持部分10010のデッキ表面10011に対して同一面であるように構成することができる。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端、又はステープル脚部10032の少なくとも一部が、支持部分10010のデッキ表面10011の上に延出するように構成することができる。そのような場合、ステープル脚部10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ10020内に延出し、この中に埋め込まれることができる。例えば、ステープル脚部10032は、例えばデッキ表面10011の上に約0.191cm(0.075”)延出することができる。ステープル脚部10032は、例えばデッキ表面10011の上に約0.064cm(約0.025”)〜約0.318cm(0.125”)の距離だけ延出することができる。上記に加えて、組織厚さコンペンセータ10020は、例えば約0.203cm(約0.08”)〜約0.318cm(約0.125”)の未圧縮厚さを有し得る。
【0109】
使用中、上記に加えて、また
図31を主に参照すると、アンビル(例えばアンビル10060)は、ステープルカートリッジ10000に対向する閉位置に動くことができる。詳しく後述されるように、アンビル10060は、組織を組織厚さコンペンセータ10020に対して配置することができ、例えば、組織厚さコンペンセータ10020を、支持部分10010のデッキ表面10011に対して圧縮することができる。アンビル10060が好適に配置されると、
図31にも示されているように、ステープル10030を配備することができる。任意に、上述のように、ステープル発射スレッド10050は、
図32に示すように、ステープルカートリッジ10000の近位端10001から遠位端10002に向かって動くことができる。スレッド10050が前進すると、スレッド10050はステープルドライバ10040に接触し、ステープルドライバ10040をステープル空洞10012内で上方向に持ち上げることができる。スレッド10050及びステープルドライバ10040はそれぞれ、1つ又は2つ以上の傾斜面、即ち傾いた表面を備えてよく、これが協働して、ステープルドライバ10040を未発射位置から上側に動かすことができる。例えば、
図19〜23を参照すると、各ステープルドライバ10040は、少なくとも1つの傾いた表面10042を含み得、スレッド10050は、1つ又は2つ以上の傾いた表面10052を含み得、これは、スレッド10050がステープルカートリッジ内で遠位方向に前進する際に、傾いた表面10052が傾いた表面10042の下を摺動できるように構成され得る。ステープルドライバ10040がそれぞれのステープル空洞10012内で上側に持ち上げられると、ステープルドライバ10040がステープル10030を上側に持ち上げ、これによりステープル10030はステープルデッキ10011の開口部を通ってステープル空洞10012から上に現われることができる。
図25〜27を主に参照すると、代表的な発射シーケンス中に、スレッド10050が最初にステープル10030aに接触し、ステープル10030aを上に持ち上げ始めることができる。スレッド10050が更に遠位方向に前進すると、スレッド10050は順に、ステープル10030b、10030c、10030d、10030e、及び10030f、並びにその他の後続ステープルを更に持ち上げ始めることができる。
図27に示すように、スレッド10050はステープル10030を上方向に駆動することができ、これによりステープルの脚部10032は対向するアンビルに接触し、望ましい形状に変形され、支持部分10010から発射される。様々な状況において、スレッド10030は、発射シーケンスの一部として、同時にいくつかのステープルを上側に動かすことができる。
図27に示す発射シーケンスに関して、ステープル10030a及び10030bは、それらの完全に発射済みの位置に動かされ、支持部分10010から発射されており、ステープル10030c及び10030dは発射が進行中であり、少なくとも部分的に支持部分10010内に収容されており、ステープル10030e及び10030fはまだ未発射位置にある。
【0110】
前述のように、また
図33を参照すると、ステープル10030のステープル脚部10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、支持部分10010のデッキ表面10011の上に延出し得る。更に
図27に示されるこの発射シーケンスに関して、ステープル10030e及び10030fは未発射位置に図示されており、それらのステープル脚部10032は、デッキ表面10011の上に出て、組織厚さコンペンセータ10020内に延出している。ステープル10030が未発射位置にあるときには、ステープル脚部10032の先端部、又はステープル脚部10032のいずれの部分も、組織厚さコンペンセータ10020の組織接触上表面10021を貫通して突出することはできない。ステープル10030がその未発射位置から発射済み位置へと動くと、
図27に示すように、ステープル脚部の先端部が、組織接触表面10032を貫通して突出し得る。ステープル脚部10032の先端部は鋭い先端部を含み得、これが組織厚さコンペンセータ10020を切開し貫入することができる。組織厚さコンペンセータ10020は複数の開口を含み得、これはステープル脚部10032を受容し、ステープル脚部10032が組織厚さコンペンセータ10020に対して摺動することができるように構成され得る。支持部分10010は更に、デッキ表面10011から延出する複数のガイド10013を備え得る。ガイド10013は、デッキ表面10011内のステープル空洞開口部に隣接して配置することができ、これによりステープル脚部10032は、ガイド10013により少なくとも部分的に支持され得る。ガイド10013は、ステープル空洞開口部の近位端及び/又は遠位端に配置され得る。本発明によれば、第1ガイド10013は、各ステープル空洞開口部の第1端に配置することができ、第2ガイド10013は、各ステープル空洞開口部の第2端に配置することができ、これにより各第1ガイド10013は、ステープル10030の第1ステープル脚部10032を支持することができ、各第2ガイド10013は、ステープルの第2ステープル脚部10032を支持することができる。
図33を参照すると、各ガイド10013は、溝又はスロット(例えば、溝10016)を備え得、この中にステープル脚部10032が摺動可能に受容され得る。任意に、各ガイド10013は、デッキ表面10011から延出し得る滑り止め、突起、及び/又はスパイクを含んでよく、これは組織厚さコンペンセータ10020内に延びることができる。詳しく後述されるように、滑り止め、突起、及び/又はスパイクは、組織厚さコンペンセータ10020と支持部分10010との間の相対的な動きを低減させることができる。ステープル脚部10032の先端部は、ガイド10013内に配置することができ、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ガイド10013の上表面の上に延在することはできない。例えば、ガイド10013は、ガイド高さを画定することができ、ステープル10030は、未発射位置にあるときに、このガイド高さを超えて延びることはできない。
【0111】
本発明によれば、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020など)は、1枚のシート材料から構成され得る。組織厚さコンペンセータは、支持部分10010のデッキ上表面10011全体を覆うことができる、あるいは、デッキ表面10011全体よりも小さい領域を覆うことができる、1枚の連続シート材料を含み得る。シート材料は支持部分10010のステープル空洞開口部を覆ってもよいと同時に、それに代わって、シート材料が開口部を含んでもよく、これはステープル空洞開口部と整合、又は少なくとも部分的に整合させることができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、複数層の材料から構成され得る。ここで
図15を参照すると、組織厚さコンペンセータは、圧縮性コアと、その圧縮性コアを包むラップと、を含み得る。ラップ10022は、圧縮性コアを支持部分10010に対して解放可能に保持するように構成され得る。例えば、支持部分10010は、そこから延出する1つ又は2つ以上の突起(例えば、突起10014(
図18)など)を含むことができ、これは、ラップ10022内に画定された1つ又は2つ以上の開口及び/又はスロット(例えば開口10024)内に受容され得る。突起10014及び開口10024は、突起10014がラップ10022を支持部分10010に対して維持できるように構成され得る。突起10014の端部は、例えば熱カシメ工程などによって変形させることができ、これにより突起10014の端部を大きくし、その結果、ラップ10022と支持部分10010との間の相対的動きを制限することができる。
図15に示すように、ラップ10022は1つ又は2つ以上の穿孔10025を含むことができ、これはラップ10022を支持部分10010から剥がすのを促進し得る。ここで
図24を参照すると、組織厚さコンペンセータは、複数の開口10223を備えるラップ10222を含み得、開口10223は、支持部分10010のステープル空洞開口部に整合、又は少なくとも部分的に整合し得る。組織厚さコンペンセータのコアも、開口を備えてよく、これらは、ラップ10222の開口10223に整合、又は少なくとも部分的に整合し得る。あるいは、組織厚さコンペンセータのコアは連続体を備えてよく、連続体がデッキ表面10011のステープル空洞開口部を覆うように、開口10223の下側に延在することができる。
【0112】
任意に、上述のように、組織厚さコンペンセータは、圧縮性コアを支持部分10010に対して解放可能に保持するためのラップを含み得る。例えば、
図16を参照すると、ステープルカートリッジは更に保持クリップ10026を含み得、これは、ラップ及び圧縮性コアが、支持部分10010から時期尚早に外れるのを阻止するように構成することができる。任意に、各保持クリップ10026は開口10028を備えてよく、これは、支持部分10010から延在する突起10014を受容し、これにより保持クリップ10026は支持部分10010に維持され得るように構成され得る。保持クリップ10026は、それぞれ、少なくとも1つの皿状部分10027を備え得、これは支持部分10010の下側に延在し、ステープルドライバ10040を支持部分10010内に支持及び保持することができる。上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル10030によって支持部分10010に取り外し可能に取り付けられ得る。より具体的には、これも上述されているが、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル10030の脚部は組織厚さコンペンセータ10020内に延びることができ、その結果、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に解放可能に保持することができる。ステープル10030の脚部は、それぞれのステープル空洞10012の側壁と接触状態にあり得、ステープル脚部10032と側壁との間の摩擦のおかげで、ステープル10030がステープルカートリッジ10000から配備されるまでの間、ステープル10030及び組織厚さコンペンセータ10020は定位置に保持され得る。ステープル10030が配備されると、組織厚さコンペンセータ10020は、ステープル10030内に捕捉され、ステープル適用された組織Tに対して保持され得る。その後アンビルが開位置に動いて組織Tを解放すると、組織に締結されていた支持部分10010が組織厚さコンペンセータ10020から離れるように動くことができる。接着剤を使用して、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に取り外し可能に保持することができる。2成分接着剤を使用することができ、接着剤第1成分をデッキ表面10011上に配置し、接着剤第2成分を組織厚さコンペンセータ10020上に配置することができ、これにより、組織厚さコンペンセータ10020がデッキ表面10011に相対して配置されると、第1成分が第2成分と接触して接着剤を活性化させ、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に対して取り外し可能に結合させることができる。任意に、任意のその他の好適な手段を使用して、組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジの支持部分に取り外し可能に保持することができる。
【0113】
上記に加えて、スレッド10050を近位端10001から遠位端10002に前進させて、ステープルカートリッジ10000内に収容されているステープル10030全てを完全に配備させることができる。ここで
図56〜60を参照すると、スレッド10050は、外科用ステープラの発射部材(又はナイフバー)10052によって、支持部分10010内の長手方向空洞10016内で遠位方向に前進することができる。使用中、ステープルカートリッジ10000は、外科用ステープラのジョー内のステープルカートリッジチャネル(例えばステープルカートリッジチャネル10070など)に挿入されることができ、
図56に示すように、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触することができる。スレッド10050が発射部材10052によって遠位方向に前進すると、スレッド10050は最も近位側のステープルドライバ(又はドライバ)10040に接触でき、上述のように、カートリッジ本体10010からステープル10030を発射又は押し出すことができる。
図56に示すように、発射部材10052は刃先10053を更に含み得、ステープル10030が発射されると、これが、支持部分10010内のナイフスロットを通って遠位方向に前進し得る。本発明によれば、対応するナイフスロットは、ステープルカートリッジ10000に相対して配置されるアンビルを通って延在することができ、これにより、刃先10053がアンビルと支持部分10010との間に延び、その間にある組織及び組織厚さコンペンセータを切断することができる。様々な状況において、スレッド10050は、
図58に示すように、スレッド10050がステープルカートリッジ10000の遠位端10002に達するまで、発射部材10052により遠位方向に前進することができる。その時点において、発射部材10052は近位方向に後退させることができる。スレッド10050は、発射部材10052で近位方向に後退させることができるが、ここで
図59を参照すると、スレッド10050は、発射部材10052が後退したときに、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に残され得る。発射部材10052が十分に後退すると、アンビルは再び開くことができ、組織厚さコンペンセータ10020は支持部分10010から離れ、消費されたステープルカートリッジ10000の残りの非インプラント部分(支持部分10010を含む)は、ステープルカートリッジチャネル10070から除去され得る。
【0114】
消費されたステープルカートリッジ10000がステープルカートリッジチャネルから除去された後、上記に加えて、新しいステープルカートリッジ10000、又は任意のその他の好適なステープルカートリッジを、ステープルカートリッジチャネル10070に挿入することができる。上記に加えて、ステープルカートリッジチャネル10070、発射部材10052、及び/又はステープルカートリッジ10000は、協働機能を構成することができ、これは、ステープルカートリッジチャネル10070内に配置される新しい(又は未発射の)ステープルカートリッジ10000なしに、2回目に(又は後続して)発射部材10052が遠位方向に前進するのを阻止することができる。より具体的には、再び
図56を参照すると、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触し、スレッド10050が近位側の未発射位置にあるとき、発射部材10052の支持ノーズ部10055は、スレッド10050の支持棚部10056の上及び/又は上方に配置することができ、これにより、発射部材10052は十分に上側の位置に保持されて、発射部材10052から延びるロック(又はビーム)10054が、ステープルカートリッジチャネル内に画定されるロック凹部内に落ちるのを防ぐことができる。ロック10054がロック凹部に落ちない場合、そのような状況において、ロック10054は、発射部材10052が前進する際に、ロック凹部の遠位側側壁10057に接しない。発射部材10052がスレッド10050を遠位方向に押すと、発射部材10052は、支持棚部10056の上に静置された支持ノーズ部10055のおかげで、上向きの発射位置に支持され得る。発射部材10052がスレッド10050に対して後退されると、前述及び
図59に示すように、支持ノーズ部10055がスレッド10050の支持棚部10056の上に乗った状態ではなくなり、発射部材10052がその上側位置から下に向かって落ち得る。例えば、外科用ステープルは、ばね10058、及び/又は任意のその他の好適な付勢要素を含み得、これは、発射部材10052を下向きの位置に付勢するように構成され得る。発射部材10052がいったん完全に後退すると、
図60に示すように、発射部材10052は使用済みステープルカートリッジ10000を通って再び遠位方向に前進することはできない。より具体的には、スレッド10050は、操作シーケンスのこの時点において、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に残されているため、発射部材10052は、スレッド10050によって上方位置に保持されることができない。よって、前述のように、発射部材10052が再び、ステープルカートリッジの交換なしに前進された場合、ロックビーム10054がロック凹部の側壁10057に接触し、これにより発射部材10052がステープルカートリッジ10000に対して再び遠位方向に前進するのを妨げる。換言すれば、使用済みステープルカートリッジ10000を新しいステープルカートリッジと交換すると、その新しいステープルカートリッジは近位側に配置されたスレッド10050を有し、これが発射部材10052を上側位置に保持することができ、発射部材10052が再び遠位方向に前進するのが可能になる。
【0115】
上述のように、スレッド10050は、支持部分10010からステープル10030を発射させるために、第1の未発射位置と第2の発射済み位置との間で、ステープルドライバ10040を動かすように構成することができる。ステープル10030が支持部分10010から発射された後、ステープルドライバ10040は、ステープル空洞10012内に受容され得る。支持部分10010は1つ又は2つ以上の保持機構を構成することができ、これは、ステープルドライバ10040がステープル空洞10012から発射又は脱落するのを阻止するように構成され得る。あるいは、スレッド10050は、ステープル10030と共に支持部分10010からステープルドライバ10040を発射するように構成することができる。例えば、ステープルドライバ10040は、生体吸収性及び/又は生体適合性の材料(例えばUltemなど)から構成され得る。ステープルドライバは、ステープル10030に取り付けることができる。例えば、ステープルドライバは、ドライバがステープルと一体成形されるように、各ステープル10030の底部の上及び/又は周囲に成形することができる。米国特許出願第11/541,123号「SURGICAL STAPLES HAVING COMPRESSIBLE OR CRUSHABLE MEMBERS FOR SECURING TISSUE THEREIN AND STAPLING INSTRUMENTS FOR DEPLOYING THE SAME」(2006年9月29日出願)が、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0116】
上述のように、外科用ステープリング器具は、ステープルカートリッジと、ステープルカートリッジチャネルに回転可能に連結されたアンビルと、アンビル及びステープルカートリッジチャネルに対して移動可能なナイフエッジを含む発射部材と、を受容するように構成された、ステープルカートリッジチャネルを含み得る。使用中、ステープルカートリッジはステープルカートリッジチャネル内に配置されることができ、ステープルカートリッジが少なくとも部分的に消費された後、ステープルカートリッジをステープルカートリッジチャネルから取り出し、新しいステープルカートリッジに交換することができる。例えば、外科用ステープリング器具のステープルカートリッジチャネル、アンビル、及び/又は発射部材は、交換用ステープルカートリッジと共に再使用することができる。あるいは、ステープルカートリッジは、使い捨て搭載ユニットアセンブリの一部を含むことができ、これには例えば、ステープルカートリッジチャネル、アンビル、及び/又は発射部材が含まれ得、これは、使い捨て搭載ユニットアセンブリの交換の一環として、ステープルカートリッジと共に交換することができる。特定の使い捨て搭載ユニットアセンブリは、米国特許出願第12/031,817号「END EFFECTOR COUPLING ARRANGEMENTS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」(2008年2月15日出願)に開示されており、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
組織厚さコンペンセータは、本明細書で説明した合成材料及び/又は非合成材料のうちの少なくとも1種類を含んだ、押出し可能、注型可能、及び/又は成形可能な組成物を含み得る。組織厚さコンペンセータは、2枚以上の層を含むフィルム又はシートを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、混合、調合、配合、噴霧、吸上げ、溶剤蒸発、浸漬、ブラッシング、蒸着、押出し、カレンダー加工、注型、成形など、従来の方法を用いて得ることができる。押出しにおいては、開口部は、出現する押出し物に形状を付与するための少なくとも1つの開口部を備えたダイの形態をなし得る。カレンダー加工においては、開口部は、2本のロールの間にニップを含んでよい。従来の成形法には、これらに限定されるものではないが、ブロー成形、射出成形、発泡注入、圧縮成形、熱成形、押出し、発泡押出し、フィルムブローイング、カレンダー加工、スピニング、溶剤溶接、浸漬コーティング及びスピンコーティングなどのコーティング法、溶液流延及びフィルム流延、プラスチゾル加工(ナイフコーティング、ローラーコーティング及び注型を含む)、並びにそれらの組み合わせを挙げることができる。射出成形においては、開口部は、ノズル及び/又はチャネル/ランナー及び/又は金型キャビティ及び機構を備え得る。圧縮成形においては、組成物は、金型キャビティに配置され、好適な温度に加熱され、比較的高圧下で圧縮にさらすことによって成形され得る。注型においては、組成物は、金型又は物体の特徴を複製するように、金型又は物体の中、上、及び/又は周りに注がれるかあるいは別様に供給され得る液体又はスラリーを含み得る。注型後、組成物は、乾燥、冷却、及び/又は硬化されて固体を形成し得る。
【0118】
本発明によれば、中に貯蔵及び/又は吸収された少なくとも1種類の薬物を含む組織厚さコンペンセータを製造する方法は、一般に、組織厚さコンペンセータを用意する工程と、組織厚さコンペンセータと薬物とを接触させて組織厚さコンペンセータ内に薬物を保持する工程と、を含み得る。抗菌性の物質を含む組織厚さコンペンセータを製造する方法は、ヒドロゲルを用意する工程と、ヒドロゲルを乾燥させる工程と、硝酸銀の水溶液中でヒドロゲルを膨潤させる工程と、ヒドロゲルと塩化ナトリウムの溶液とを接触させて、抗菌特性を有する組織厚さコンペンセータを形成する工程と、を含み得る。組織厚さコンペンセータは、内部に分散された銀を含んでもよい。
【0119】
ここで
図116を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ22020などの組織厚さコンペンセータは、例えばアンビル22060などの外科用ステープリング器具のアンビルに取り付けられ得る。組織厚さコンペンセータ22020は、第1のフィルム22026と第2のフィルム22027との間に画定された空洞22024を有することができ、ここで第1のフィルム22026の少なくとも一部分は第2のフィルム22027に取り付けられる。例えば、第1のフィルム22026は、例えば側方の継目22028a及び22028bに沿って第2のフィルム22027に取り付けられ得る。第1のフィルム22026は、空洞22024を密閉するために、封止された周囲に沿って第2のフィルム22027に取り付けられ得る。第1のフィルム22026及び第2のフィルム22027は、例えば、側方の継目22028a、22028b及び/又はフィルム22026と22027とを接合する任意の他の継目に沿って熱溶接され得る。再び
図116を参照すると、アンビル22060は、それぞれステープルの脚部を受容し変形させるように構成され得る複数のステープル形成ポケット22062を備えることができ、第2のフィルム22027は、形成ポケット22062の中に延び得る突起22022を備えることができる。突起22022は、形成ポケット22062の中にぴったりと嵌まるように寸法決め及び構成され得、組織厚さコンペンセータ22020をアンビル22060に留め得る。図示するように、例えば、アンビル22060は、6列の形成ポケット22062を備え得るが、組織厚さコンペンセータ22020も同様に、形成ポケット22062と整列される6列の突起22022を備え得る。6列超又は6列未満の形成ポケット22062及び/又は突起22022を備える他の実施形態も利用され得る。組織厚さコンペンセータ22020をアンビル20060に留めるために、1種類以上の接着剤が利用され得る。
【0120】
上で議論したように、組織厚さコンペンセータ22020は、中に画定される空洞22024を備え得る。空洞22024は、アンビル22060に沿って長手方向に延び得る。再び
図116を参照すると、組織厚さコンペンセータ22020は、空洞22024内に配置された圧縮性材料を備え得る。ここで
図117を参照すると、例えばステープル22030などのステープルは、ステープル22030が、アンビル22060に接触する前に組織Tに侵入し、次いで組織厚さコンペンセータ22020に侵入するように、ステープルカートリッジから発射され得る。ステープル22030の脚部がアンビル22060によって変形されると、脚部は、もう一度、組織厚さコンペンセータ22020に再侵入するように、下に向けられ得る。いずれにせよ、ステープル22030が組織厚さコンペンセータ22020に侵入すると、例えば、空洞22024内に収容された1種類以上の流体が、組織厚さコンペンセータ22020から組織Tへと流出又は滲出し得る。例えば、空洞22024は、中に収容された1種類以上の粉末を含むことができ、その粉末は、組織厚さコンペンセータ22020がステープル22030によって少なくとも部分的に破裂されると、空洞22024から脱出し得る。本発明によれば、例えば、材料22025内に貯蔵された流体が材料22025から圧出され得るようにステープル22030が発射形態へと変形されると、空洞22024内に配置された材料22025は、ステープル22030内で圧縮又は圧搾され得る。再び
図117を参照すると、ステープル22030はまた、組織Tのもう一方の側に当接してステープルカートリッジに着脱可能に取り付けられた、例えばコンペンセータ22029などの組織厚さコンペンセータを捕捉するように構成され得る。
【0121】
上記に加えて、材料22025は、例えば、凍結乾燥されたトロンビン、凍結乾燥されたフィブリン、及び/又は微細繊維不織酸化再生セルロースを含み得る。材料22025は、圧縮された粉末ウェーハを含み得る。封止された空洞22024は、組織厚さコンペンセータ22020を囲む大気の圧力よりも低い圧力を有する内部雰囲気を含み得る。そのような場合、内部空洞22024内の雰囲気と大気との圧力差が、フィルム22027及び22028を内向きに引き込むことができる。内部空洞22024がステープル22030によって破裂されると、上述のように、内部空洞22024内の真空は周囲大気と等しくなることができ、材料22025は、これも上述のように、内部空洞22024から脱出し得る。そのような状況において、組織厚さコンペンセータ22020は膨張し、ステープル20030内に捕捉された組織Tに圧縮力を加えることができる。材料22025が組織厚さコンペンセータ22020内に真空パックされている場合、材料22025は、内部空洞22024が穿刺された後に膨張し得る。フィルム22026、22027は、生体吸収性材料から構成され得、患者の体内に入れられると溶解するように構成され得る。例えば、各フィルム22026、22027は、例えば、約0.25ミル〜約0.50ミル厚の層又は薄層から構成され得る。いずれにせよ、上記に加えて、材料22025を含む組織厚さコンペンセータ22020は、ステープル22030がステープルカートリッジから発射されると、切断要素によって切除され得る。
【0122】
再び
図116を参照すると、組織厚さコンペンセータ22020の空洞22024及び材料22025は、ステープル形成ポケット22062の内側4列の下に配置され得、継目22028a、22028bは、形成ポケット22062の外側の列の下に配置され得る。そのような場合、ステープルの外側の列にある各ステープルは、材料22025と係合しなくてもよく、したがって、材料22025を中に捕捉しなくてもよい。むしろ、そのようなステープルは、継目22028a、22028bに沿ってフィルム22026及び22027を捕捉するだけでよい。あるいは、ここで
図118及び119を参照すると、組織厚さコンペンセータ22120は、上記と同様に、第1のフィルム22126と、第2のフィルム22127と、その第1のフィルム22126と第2のフィルム22127との間に捕捉された複数の材料22125a〜22125dとを備え得る。例えば、主として
図118を参照すると、第1の材料22125aは、ステープルカートリッジ22000内のステープル22030の外側の列及びアンビル22060のステープル空洞22062の外側の列と整列されることができ、第2の材料22125b及び第3の材料22125cはそれぞれ、ステープル22030及びステープル空洞22062の内側2列と整列されることができ、第4の材料22126dは、ステープル22030及びステープル空洞22062の別の外側の列と整列されることができる。そのような場合、ここで
図119を参照すると、ステープル22030はすべて、材料22125a〜22125dのうちの少なくとも1つを中に捕捉することができるように配列され得る。
図118及び119に示すように、上記に加えて、ステープル22030は、ステープルカートリッジ22000内に配置されたステープルドライバ22040によって、未発射位置と発射済み位置との間で上向きに持ち上げられ得る。
【0123】
再び
図118及び119を参照すると、層22126及び22127は、材料22125a〜22125dが中に配置され得る1つ又は2つ以上の封止空洞を画定し得る。層22126及び22127は、例えば熱溶接及び/又はレーザー溶接など、任意の好適なプロセスを利用して、例えば側方の継目22128a及び22128bを含み得る周囲に沿ってともに封止され得る。材料22125a〜22125dのそれぞれは、別々の空洞内に封止されてもよいが、それに代わって、材料22125a〜22125dのうちの2種類以上が、同じ空洞内に封止されてもよい。材料22125a〜22125dは、同じ材料から構成されてもよいが、それに代わって、材料22125a〜22125dのうちの1種類以上が、異なる材料から構成されてもよい。材料22125a〜22125dのうちの1種類以上が、例えば、ステアリン酸ナトリウム(sodium sterate)及び/又はLAEから構成されてもよい。材料22125a〜22125dは潤滑剤を含んでもよい。そのような場合、ステープル22030の脚部は、ステープル脚部が組織厚さコンペンセータ22120の材料22125a〜22125dに侵入するときに、潤滑剤にさらされ得る。脚部が組織厚さコンペンセータ22120を通過した後、脚部はアンビル22060と接触し得るが、ここで潤滑剤は、ステープル脚部とアンビル22060との間の摩擦係数、即ち摩擦力を低減し得る。そのような状況においては、ステープル22030を発射するのに必要な力が低減され得る。アンビル22060に対する組織厚さコンペンセータ22120の位置により、ステープル22030のステープル脚部は、組織厚さコンペンセータ22120から出た直後にアンビル22060と接触し、それによって、ステープル脚部がアンビル22060と接触する前に潤滑剤がステープル脚部から拭い取られ得る可能性を低下させることができる。同様に、ステープル22030のステープル脚部は、組織厚さコンペンセータ22120内の1種類以上の薬物にさらされた直後にアンビルと接触し、それによって、ステープル脚部が組織Tに再侵入する前に薬物がステープル脚部から拭い取られ得る可能性を低下させることができる。いくつかの状況において、ステープル脚部は、例えば、ステープル脚部が組織Tに再侵入する前に薬物に再びさらされ得るように、ステープル脚部が下向きに変形されているときに、組織厚さコンペンセータ22120に再侵入し得る。任意に、上記と同様に、第2のフィルム22127は、例えば、複数の突起22122を備え得るが、これらの突起22122は、例えば、組織厚さコンペンセータ22120をアンビルに留めるために、ステープル空洞22062内にぴったりと受容され得る。
【0124】
ここで
図120及び121を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、例えばコンペンセータ22220などの組織厚さコンペンセータを含み得るが、このコンペンセータ22220は、アンビル22060のステープル形成ポケット22062と整列する複数の空洞22222を備え得る。コンペンセータ22220は、第1の、つまり底部の層22226と、第2の、つまり上部の層22227とから構成され得るが、第1の層22226及び/又は第2の層22227は、空洞22222を画定し得る複数の隆起部分又は不完全な気泡を含み得る。
図120に示すように、コンペンセータ22220は、空洞22222がアンビル22060のステープル形成ポケット22062と整列するか、あるいは少なくとも実質的に整列するように、アンビル22060に取り付けられることができる。任意に、各空洞22222は、例えば、酸化再生セルロース、カルシウム、及び/又はアルギン酸塩など、中に収容された1種類以上の薬物を含み得る。使用の際、各空洞22222は、例えば、ステープルカートリッジ22000から発射されたステープル22030によって穿刺されるまで、封止された未穿刺状態をなし得る。ここで
図121を参照すると、ステープル22030の脚部が組織Tを通過した後、各ステープル脚部は、第1の層22226に穿孔及び貫入し、空洞22222に侵入し得るが、ここでステープル脚部は次いで、第2の層22227に穿孔及び貫入する前に、中に収容された1種類以上の薬物を通過し得る。上記と同様に、ステープル22030の脚部は次いで、アンビル22060と接触することができる。
【0125】
空洞22222は、破壊されるまで、中に貯蔵された1種類以上の薬物を、乾燥した、あるいは少なくとも実質的に乾燥した状態に、維持し得る。空洞22222が破裂された後、例えば血液などの流体が空洞22222に侵入し、1種類以上の薬物を混合し得る。例えば、この流体が薬物と混合することにより、薬物は空洞22222内で膨張され得るが、ここで例えば、薬物は少なくとも1種類のヒドロゲルを含み得る。薬物は、例えば少なくとも1種類の止血材料を含み得る。第1の層22226及び/又は第2の層22227は、薬物の膨張に適応するように伸張し得る可撓性材料から構成され得る。層22226、22227は、例えばCAP/GLY材料から構成され得る。いずれにせよ、例えば、薬物が膨張することにより、ステープル22030内に捕捉されかつ/又はステープル22030の周りに位置する組織Tに圧縮力が加えられ得る。様々な状況において、薬物が膨張することにより、空洞22222を破ることができる。空洞22222の第1の群がその中に第1の薬物を含み得るのに対し、空洞22222の第2の群はその中に例えば第2の薬物を含み得る。例えば、第1の薬物は、第1の量及び/又は第1の速度で膨張するように構成され得るのに対し、第2の薬物は、例えば第2の量及び/又は第2の速度で膨張するように構成され得るが、ここで、第1の量は第2の量と異なってもよく、かつ/又は第1の速度は第2の速度と異なってもよい。上記に加えて、例えば、1つ又は2つ以上の空洞22222は、各空洞内に貯蔵された2種類以上の薬物を含むことができ、ここでこの薬物は第1の薬物と第2の薬物とを含んでよい。空洞22222は、破裂されるまで、第1の薬物と第2の薬物を、乾燥した状態に、あるいは少なくとも実質的に乾燥した状態に維持し得る。上述のように、空洞22222が破裂された後、例えば血液が空洞22222の中に侵入し、そこで第1及び第2の薬物と混合することができ、第1及び第2の薬物は、膨張するゲルを形成し得る。
【0126】
ここで
図122〜124を参照すると、例えばコンペンセータ22320などの組織厚さコンペンセータは、それぞれステープル形成ポケット22062a及び22062bと整列し得る複数の第1の空洞22322aと複数の第2の空洞22322bとを備え得る。主として
図123を参照すると、ステープル形成ポケット22062a及び22062bは、アンビル22060上の別々の段状表面に画定され得る。より具体的には、例えば、形成ポケット22062aはアンビル22060の第1の表面22069aに画定されることができ、形成ポケット22062bは第2の表面22069bに画定されることができ、第1の表面22069aは、第2の表面22069bに対して偏位して、つまりより高く配置され得る。組織厚さコンペンセータ22320の第1の空洞22322aは第2の空洞22322bより大きくてもよく、例えば、第1の空洞22322aは、第2の空洞22322bよりも高く延びてもよい。上記の結果、第1の空洞22322aは、第1のステープル形成ポケット22062aの中へと上向きに延び得るが、それと同時に、第2の空洞22322bは、第2のステープル形成ポケット22062bの中へと上向きに延び得る。任意に、例えば、第1の空洞22322aのそれぞれは、第2の空洞22322bよりも多量の薬物を収容するように構成され得る。あるいは、第1の空洞22322a及び第2の空洞22322bは異なる大きさを有してよいが、空洞22322a及び22322bは、同じかあるいは少なくとも実質的に同じ量の薬物を中に収容することができる。
【0127】
上記に加えて、第1の空洞22322aは、ある列をなして配列され得るが、第2の空洞22322bは、異なる列をなして配列され得る。組織厚さコンペンセータは、各形成ポケットと整列する空洞を備え得る一方で、それに代わって、
図130を参照すると、例えばコンペンセータ22420などの組織厚さコンペンセータは、形成ポケットのうちの一部とのみ整列する空洞を備えてもよい。再び
図123を参照すると、コンペンセータ22320はアンビル22060に取り付けられることができる。空洞22322a及び/又は空洞22322bは、それぞれステープル形成ポケット22062a及び/又は22062b内にぴったりと嵌まるように構成され得る。コンペンセータ22320は、コンペンセータ22320の第2の層22327がアンビル22060の第2の表面22069bに当接して配置されるように、アンビル22060に組み付けられ得る。それに代わって、ここで
図125及び126を参照すると、コンペンセータ22320は、アンビル22060がステープルカートリッジ22000に向かって変位されて組織Tをそれらの間で圧縮するときにコンペンセータ22320がアンビル22060と当接するように、アンビル22060に隣接して配置され得る。あるいは、ここで
図127を参照すると、ステープル22030がステープルカートリッジ22000から発射され、アンビル22060によって変形されると、コンペンセータ22320は、ステープル22030によって組織Tに捕らえられ、アンビル22060はコンペンセータ22320から離れて移動され得る。ここで
図128を参照すると、特定の状況において、ステープル22030のうちの1つ又は2つ以上が、アンビル22030によって適切に変形されないことがある。ここで
図129を参照すると、そのような状況においては、誤発射又は誤形成されたステープルの上にある組織厚さコンペンセータの空洞は、ステープルが発射されたときに穿刺されないことがある。例えば、組織厚さコンペンセータは、生体吸収性材料から構成されてもよく、その生体吸収性材料は、穿刺されていない空洞に収容されている薬物を溶解しその後放出することができる。
【0128】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータ22320の第1の空洞22322a及び/又は第2の空洞22322bは、例えば空気、二酸化炭素、及び/又は窒素など、中に密封された気体を含み得る。空洞22322a及び/又は22322bは、ステープル22030が空洞22322a及び/又は22322bを通って発射されて、中に収容された気体を放出するとき、破裂され得る気泡を含み得る。そのような破裂は、空洞22322a及び22322bが破壊されているという聴覚フィードバックを外科医に提供することができる。しかしながら、いくつかの状況において、ステープル22030のうちの一部は、上述のように誤発射されることがあり、またそれらに関連付けられる空洞22322a及び22322bは破裂されないことがある。様々な状況において、外科医は、破裂されていない気泡、つまり空洞22322a及び22322bがないか、ステープリングされた組織を走査し、何らかの是正処置を取る必要があるか判断することができる。
【0129】
ここで
図131を参照すると、上で議論したように、外科用ステープリング器具は、例えば、切断部材又は切断縁部22081を有し得る、発射部材22080などの発射部材を備えることができ、この切断部材又は切断縁部22081は、発射部材22080がカートリッジを通って前進してステープル22030をそこから配備させると、組織T及び1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータを通って前進することができる。主として
図133を参照すると、例えばコンペンセータ22520などのコンペンセータは、外科用ステープリング器具のアンビル22060に取り付けられることができ、アンビル22060は、切断部材22081の少なくとも一部分を受容するように寸法決めされ構成されたナイフスロット22061を含み得る。同様に、ステープルカートリッジ22000はナイフスロット22011を備えることができ、このナイフスロット22011もまた、切断部材22081の少なくとも一部分を受容するように寸法決めされ構成され得る。再び
図131を参照すると、コンペンセータ22520は、例えば、コンペンセータ22520の切断線22521に沿って配置された、空洞22522などの1つ又は2つ以上の空洞を備えることができ、空洞22522は、アンビル22060に画定されたナイフスロット22061と整列され得る。切断部材22081がステープルカートリッジ22000を通って遠位方向に進行されてステープル22030を配備すると、切断部材22081は、組織T及びコンペンセータ22520の空洞22522を切開することができる。上記と同様に、主として
図132を参照すると、各空洞22522は、1種類以上の薬物22525を中に収容することができる密封空洞22524を画定し得る。空洞22522のうちの1つ又は2つ以上は、空洞22522が切断部材22081によって少なくとも部分的に切開されると解放され得る流体を収容するように構成され得る。様々な状況において、切断部材22081は空洞22522を順次切開し、その結果、中に収容された薬物を順次解放することができる。
【0130】
主として
図133を参照すると、コンペンセータ22520は、その側面に沿って延びる側方突起、つまり翼部22529を備え得る。突起22529は、例えば、1種類以上の接着剤を利用して、アンビル表面22069a及び/又はアンビル表面22069bに固定され得る。突起22522は、アンビル22060のナイフスロット22061にぴったりと嵌まるように寸法決めされ構成され得、そのため、例えば、突起22522はコンペンセータ22520をアンビル22060に留めることができる。側方突起22529は、ステープル形成ポケット22062b及び/又はステープル形成ポケット22062aに被さって延びるかあるいはそれらを覆うように、寸法決めされ構成され得る。あるいは、ここで
図134及び135を参照すると、例えば、コンペンセータ22620は側方突起22629を備え得るが、これらの側方突起22629は、アンビル22060のステープル形成ポケット22062a及び22062b、並びに/又は他のいかなるステープル形成ポケットに被さって延びることも、それらを覆うこともない。例えば、コンペンセータ22620は、ステープルカートリッジ22030から発射されたステープル22030内に捕捉されなくてもよい。いずれにせよ、再び
図131を参照すると、切断部材22081は、コンペンセータ22520がステープル22030によって組織Tに固定されているときに、コンペンセータ22520を切断し得る。そのような場合、コンペンセータ22520はアンビル22060から分離し、組織Tに残留し得る。
図134及び135に示すコンペンセータ22620を再び参照すると、ステープル22030は、コンペンセータ22620をアンビル22060に固定しなくてもよく、また、切断部材22081がコンペンセータ22620を切断した後も、依然としてアンビル22060に取り付けられていてもよい。
【0131】
ここで
図136及び137を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、例えばコンペンセータ22720などの組織厚さコンペンセータを備えることができ、この組織厚さコンペンセータは、とりわけ、アンビル22760などのアンビルに取り付けられ得るか、あるいは取り付けられるように構成され得る。上記と同様に、アンビル22760は、複数のステープル形成ポケット22762と、長手ナイフスロット22761とを備えることができ、長手ナイフスロット22761は、切断部材がエンドエフェクタを通って前進するときに中に切断部材を受容するように構成されている。コンペンセータ22720は、空洞22724を画定するように互いに付着され得る、第1のフィルム層22726と第2のフィルム層22727とを備え得る。例えば、第1のフィルム層22726は、封止された外周22728に沿って第2のフィルム層22727に付着され得、封止された外周22728は、例えば、空洞22724内に少なくとも1種類の薬物22725を収容することができる。
図137に示すように、空洞22724及び薬物22725は、ステープル空洞22762のすべての下方で延びることができ、封止された周囲22728は、最外方のステープル空洞22762に対して側方に配置され得る。コンペンセータ22720は更に、例えば長手リブ22721を備えることができ、この長手リブ22721はナイフスロット22761の中へと上向きに延びるように構成され得る。例えば、リブ22721は、コンペンセータ22720をアンビル22760に固定するために、ナイフスロット22761内にぴったりと嵌まるように寸法決めされ構成され得る。リブ22721は、コンペンセータ22720を、アンビル22760と整列させるかあるいはアンビル22760と中心を合わせるように構成され得る。同様に、
図138を参照すると、組織厚さコンペンセータ22820は、コンペンセータ22820をアンビル22760に固定するために、例えば、ナイフスロット22761内に配置され得る保持リブ22821を備え得る。再び
図137を参照すると、切断部材がナイフスロット22761を通って前進されるとき、様々な状況において、切断部材はリブ22721を切断し、コンペンセータ22720をアンビル22760から解放することができる。そのような切断部材が、例えば、発射部材22080の一部として
図138に示されている。
【0132】
再び
図138を参照すると、組織厚さコンペンセータ22820は、第1の層22826と第2の層22827とを備え得るが、これらは、複数の第1のパケット22824aと複数の第2のパケット22824bとを画定するように構成及び配列され得る。第1のパケット22824aのそれぞれは、第1の薬物を収容するように構成されることができ、第2のパケット22824bのそれぞれは、第2の薬物を収容するように構成されることができるが、第2の薬物は第1の薬物と異なっていてよい。第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bは、交互に並ぶ配列をなして配列され得る。例えば、第1のパケット22824a及び第2パケット22824bは、例えば、第2のパケット22824bが2つの第1のパケット22824aの中間に配置され、第1のパケット22824aが2つの第2のパケット22824bの中間に配置されるように、組織厚さコンペンセータ22820を横方向に横断して延び得る。
図138に示すように、切断部材22080がコンペンセータ22820を通って進行すると、切断部材22080は第1のパケット22824aを、続いて第2のパケット22824bを、続いて第1のパケット22824aを、続いて第2のパケット22824bを、というように切断し得る。それに対応して、そのような場合、切断部材22080は、例えば、交互に並ぶ配列をなす、第1のパケット22824aに収容された第1の薬物及び第2のパケット22824bに収容された第2の薬物を順次放出することができる。第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bが互いに隣接して配置されている場合、第1の薬物は、各薬物が第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bからそれぞれ放出されるとき、第2の薬物と混合するように構成され得る。例えば、切断部材がコンペンセータ22820を通って前進することにより、第1の薬物が第2の薬物と混合し得る。
【0133】
上記に加えて、第1の薬物が第1の粉末を含み得るのに対し、第2の薬物は第2の粉末を含み得る。第1の薬物及び/又は第2の薬物は、例えば、止血剤、酸化再生セルロース、アルギン酸塩、及び/又はカルシウムからなり得る。第1の薬物及び/又は第2の薬物は流体を含み得る。第1のパケット22824aの1つ又は2つ以上及び/又は第2のパケット22824bの1つ又は2つ以上は、コンペンセータ22820及び/又は組織Tを通して発射部材22080を前進させるのに必要な力を低減し得る潤滑剤を含み得る。第1のフィルム層22826及び/又は第2のフィルム層22827は、例えば、PDSなどの生体吸収性材料からなり得る。第1のフィルム層22826及び第2のフィルム層22827は、第1のパケット22824aが発射部材22080によって切開されるまで第2のパケット22824bに対して封止されているように、互いに付着され得る。第1のパケット22824a及び/又は第2のパケット22825bは、一定の破裂圧力に耐えるために、一定の破裂強さを備える得る。より具体的には、例えばアンビル22760などのアンビルが、アンビル22760の反対に配置されたステープルカートリッジに向かってコンペンセータ22820を移動させるとき、パケット22824a、22824bは、パケット22824a、22824bとステープルカートリッジとの中間に位置する組織に当接して配置され得るが、アンビル22760は次いで、組織をステープルカートリッジとの間で圧縮するために、ステープルカートリッジに向かって下向きに押されるか、あるいはクランピングされ得る。そのような状況において、パケット22824a、22824bは圧縮圧力にさらされ得る。いくつかの状況において、パケット22824a及び/又はパケット22824bは、切断部材22080によって切開され、かつ/又はステープルカートリッジから発射されたステープルによって穿刺されるまで、元のままであることが望ましい場合がある。特定の他の状況においては、パケット22824a及び/又はパケット22824bが、それらに加えられた圧縮性のクランプ負荷によって破裂することが望ましい場合がある。
【0134】
上で議論したように、第1のパケット22824a及び第2のパケット22842bはコンペンセータ22820を横断して横方向に延び得る。例えば、第1のパケット22824aは横軸22823aに沿って延び得るのに対し、第2のパケット22824bは横軸22823bに沿って延び得る。第1の軸22823a及び/又は第2の軸22823bは、コンペンセータ22820の長手軸22038に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直となり得る。例えば、長手軸22038は発射部材22080の切断経路を画定し得る。第1の軸22823a及び/又は第2の軸22823bは長手軸22083に垂直でなくてもよく、また長手軸22083に対して斜行してもよい。任意に、上で議論したように、第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bは、交互に並ぶ配列をなして配列されることができる。あるいは、第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bの任意のその他の好適な配列が利用されてもよい。例えば、組織厚さコンペンセータに配列された一連のパケットは、第1のパケット22824aと、第2のパケット22824bと、第2のパケット22824bと、第1のパケット22824aと、を含み得る。組織厚さコンペンセータは、第3の薬物を含む複数の第3のパケットを更に備えてもよく、この第3の薬物は第1の薬物及び第2の薬物とは異なるものである。例えば、第1のパケット、第2のパケット、及び第3のパケットは、交互に並ぶ配列をなして配列され得る。例として、組織厚さコンペンセータに配列された一連のパケットは、例えば、第1のパケットを、続いて第2のパケットを含み得るが、この第2のパケットに第3のパケットが続く。
【0135】
再び
図138を参照すると、組織厚さコンペンセータ22820の第1のパケット22824a及び/又は第2のパケット22824bは、例えば、U字型、又は少なくとも実質的にU字型の断面を画定し得る。ここで
図139を参照すると、組織厚さコンペンセータ22920のパケット22924は、例えば、円形又は少なくとも実質的に円形の断面を画定し得る。ここで
図140を参照すると、組織厚さコンペンセータ23020のパケット23024は、例えば、長円形及び/又は楕円形の断面を画定し得る。再び
図138を参照すると、第1の空洞22824a及び第2の空洞22824bは、平行又は少なくとも実質的に平行な列をなして画定される、対照的又は少なくともほぼ対照的な構成を有することができる。あるいは、ここで
図141を参照すると、例えばコンペンセータ23120などの組織厚さコンペンセータは、その中に画定された非対称的な空洞23122を備え得るが、これらの空洞23122は、例えば不規則的及び/又は非反復的なパターンを有し得る。例えば、空洞23122のそれぞれは、1種類以上の異なる薬物を中に収容し得る。
【0136】
ここで
図142を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ23220などの組織厚さコンペンセータは、空洞23224を中に画定するケーシング23226と、空洞23224内に配置された材料23225と、を含み得る。ケーシング23226は、例えば再吸収性ポリマー、PDS、PGA、PLLA、Cap Gly、及び/又はPCLからなり得るのに対し、材料23225は、例えば止血剤、酸化再生セルロース、Hercules、フィブリン、及び/又はトロンビンからなり得るが、これらは、例えば粉末、繊維、及び/又はゲルなど、任意の好適な形態をとり得る。ケーシング23226は、押出しプロセスを利用して製造されることができる。そのような場合、ケーシング23226は、その長さ方向に沿って一定又は少なくとも実質的に一定の断面を備えることができ、これは継目を互いに溶接する必要なしに作ることができる。例えば、空洞23224は、中に画定された開口部を伴わずに、その周囲全体に沿って延びる側壁によって画定され得る。ケーシング23226は、中に開口部を画定されたメッシュ及び/又は藁様材料からなり得る。開口部は、例えばレーザー切断プロセス及び/又は打抜きプロセスによってケーシング23226に切断され得る。
【0137】
ここで
図145〜147を参照すると、材料23225を製造することの一部として、例えば、酸化再生セルロースなどの繊維及び/又は繊維質材料を利用して、ヤーンストランド(yarn strand)を作ることができる。
図145に示す長い繊維23325と、
図146に示す短い繊維23425が、
図147に示すように混合されて、材料23225のヤーンストランドを形成することができる。ヤーンストランドは、中に収容された繊維を長手方向に伸張させるために、延伸されかつ/又は張力下に置かれ得る。ここで
図148を参照すると、材料23225のヤーンストランドは、グラスパー23290によって毛羽立ちさせることができるが、このグラスパー23290は、ヤーンストランドの体積を増加させるように、材料23225を掴み、捻ることができる。例えば、グラスパー23290は、例えばヤーンストランドがグラスパー23290に対して移動している際に、材料23225を毛羽立ちさせることができる。再び
図148を参照すると、例えば、材料23225のヤーンストランドに、小さな切開部及び/又は微小切断部を作るために、切断部材23291が利用され得る。上記と同様に、切断部材23291は、ヤーンストランドが切断部材23291に対して移動しているときに材料23225を切断し得る。材料23225のヤーンストランドは、上述の切開部が作られる前に毛羽立ちされ得るが、それに代わって、材料23225のヤーンストランドは、毛羽立ちされる前に切開されてもよい。
【0138】
材料23225のヤーンストランドが適切に調製されると、材料23225はケーシング23226内に配置され得る。ここで
図149を参照すると、2つ以上のケーシング23226が、上で議論したように、押出しプロセスの一部としてともに形成され得るが、ここでケーシング23226はチューブ23227の一部としてともに連結され得る。材料23225のヤーンストランドは、チューブ23227内に画定された空洞23224内に配置されるか、あるいはこの空洞23224の中に引き込まれ得る。材料23225のヤーンストランドは、空洞23224の第1の開口端部23221に隣接してかつ/又はその中に配置され得るが、ここでグラスパー23292が空洞23224の第2の開口端部23222を通して挿入され得る。グラスパー23292は次いで、グラスパージョー23292aを操作して材料23225のヤーンストランドを掴むことができるように、グラスパー23292のジョー23292aが第1の開口端部23222を通過しかつ/又は第1の開口端部23222に対して位置決めされるまで、空洞23224を通して押し込まれ得る。グラスパーは、例えば、材料23225のヤーンストランドを掴むように構成され得るフック部材を備えてもよい。いずれにせよ、グラスパー23292が材料23225のヤーンストランドを十分に掴むと、グラスパー23292は、材料23225のヤーンストランドを空洞23224の中に引き入れるために、空洞23224の中に引き戻され得る。グラスパー23292は、ヤーンストランドがチューブ23227の中に引き込まれる前、引き込まれる間、及び/又は引き込まれた後に、材料23225のヤーンストランドをねじるように構成され得る。
【0139】
材料23225のヤーンストランドがチューブ23227内に適切に配置されると、グラスパー23292は次いで、材料23225のヤーンストランドを解放するように操作され得る。ヤーンストランドは、チューブ23227の第2の開口端部23222を通してヤーンストランドが引っ張られる前に解放され得るが、それに代わって、ヤーンストランドは、
図150に示すように、第2の開口端部23222を通じてヤーンストランドが引っ張られた後に解放されてもよい。特定の状況において、ヤーンストランドが解放されるとき、ヤーンストランドが第2の開口端部23222を通ってチューブ23227の中へと縮むか、あるいは復元し得るように、ヤーンストランドは第2の開口端部23222を通って引っ張られ得る。様々な状況において、上記と同様に、ヤーンストランドが第1の開口端部23222を通ってチューブ23227の中へと縮む、あるいは復元し得るように、ヤーンストランドは第1の開口端部23221に隣接する位置で切断され得る。様々な状況において、上記に加えて、グラスパー23292は材料23225のヤーンストランドに引張力を加えることができ、その結果、グラスパー23292がヤーンストランドを解放するとき、及び/又はヤーンストランドが切断されるとき、ヤーンストランド内の引張力が減じられ、それによってヤーンストランドを収縮させることができる。
【0140】
例えば、ここで
図151を参照すると、材料23225のヤーンストランドがチューブ23227内に十分に配置されると、チューブ23227及び材料23225を複数の区間に切断することができ、各区間は、例えば、組織厚さコンペンセータ23220に作製され得る。そのような各区間のカバー23226を通って延びる空洞23224は、その両端部に開口端部を含み得る。例えば、開口端部の一方又は両方が、例えば熱かしめ、熱溶接、及び/又はレーザー溶接プロセスによって閉鎖及び/又は封止され得る。
図152を参照すると、カバー23226及びその中にある材料23225の一部分とを備える区間は、カバー23226の開口端部を閉鎖及び/又は封止するように構成されたダイ内に配置され得る。より具体的には、ダイは、例えば基部23294と可動部分23296とを備えることができ、区間は、基部23294に画定された空洞23295内に配置され得る。配置されると、可動部分23296は下向きに移動されて、その区間に力を加えることができる。任意に、基部23294及び/又は可動部分23296を介して区間に熱を加えることができ、その区間に加えられた熱及び/又は力はカバー23226を変形させ得る。より具体的には、可動部分23296はポケット23297を画定し得るが、このポケット23297は、カバー23226の開口端部など、カバー23226の特定の部分にクランプ力を加えて、組織厚さコンペンセータ23220のそのような部分を閉鎖、平坦化、及び/又は縮径するように付形され得る。例えば、ポケット23297は、組織厚さコンペンセータ23220の閉鎖端部を形成し、組織厚さコンペンセータ23220の、その閉鎖端部23228の中間に位置する部分を平坦化するように構成され得る。組織厚さコンペンセータ23220が適切に形成された後、可動部分23296を開位置に移動させることができ、組織厚さコンペンセータ23220をダイから取り除くことができる。組織厚さコンペンセータ23220は次いで、冷却容器内に配置され得るが、ここでコンペンセータ23220は、室温及び/又はその他の任意の好適な温度へ冷却され得る。
【0141】
あるいは、上記に加えて、チューブ23227は、材料23225が中に配置された後に、熱成形ダイ内に配置され得る。例えば、チューブ23227、及びそのチューブ23227内に配置された材料23225が形成された後、チューブ23227及び材料23225は次いで、複数の組織厚さコンペンセータ23220に分割され得る。再び
図142を参照すると、例えば、組織厚さコンペンセータ23220は、アンビル22060に取り付けられるように構成され得る側方ウィング又はクリップ23229を備え得る。例えば、上述のように、側方ウィング23229は、組織厚さコンペンセータ23220がダイ部分23294と23296との間に形成されるときにカバー23226に形成され得る。ここで
図143を参照すると、組織厚さコンペンセータ23220は、カバー23326から延びる側方ウィング23329を備え得る。ここで
図144を参照すると、例えば、組織厚さコンペンセータ23420は、1つ又は2つ以上の側方フレキシブルジョイント23428を有するカバー23426を備えることができ、これによってカバー23426は、上述の熱成形ダイで圧縮圧力にさらされるときに屈曲及び平坦化することができる。任意に、上記の結果として、組織厚さコンペンセータ23220は側方継目を備えなくてもよい。そのような場合、再び
図142を参照すると、例えば、材料23225はアンビル22060の側方縁部へと延びてもよい。
【0142】
上述のように、ヤーンストランドはチューブを通して引っ張られ、次いで、1枚以上の組織厚さコンペンセータを形成する長さに切断され得る。上記に加えて、ヤーンストランドは、材料の硬質なストランドを利用して、チューブを通して引っ張られるか又は押し込まれることができる。例えばPCLなどのポリマー材料の硬質なストランドがそのガラス転移温度を超えて加熱され、変形形状に伸張され得る。例えば、硬質なストランドは、無変形の蛇行形状を有し得るが、例えば無変形の形状に伸張されると、直線状又は少なくとも実質的に直線状の形状を有し得る。その後、硬質なストランドはその材料のガラス転移温度未満に冷却され得るが、硬質なストランドは、その変形の形状を維持し得るように拘束される。硬質なストランドは、その変形した繊維をなすと、硬質なストランドの周りに形成され得る。例えば、ORCヤーンストランドは、硬質なストランドの周りに巻かれ、フロック加工され、かつ/又は折り畳まれ得る。あるいは、硬質なストランドは、例えばORC繊維に挿入され得る。硬質なストランドは、ORC繊維内で圧延及び/又は浸漬され得る粘着面を備え得る。いずれにせよ、硬質なストランド及びORC繊維は次いで、上記と同様にチューブに挿入され、硬質なストランドのガラス転移温度を超えて再加熱され得る。そのような状況において、硬質なストランドは、拘束されないか、又は少なくとも実質的に拘束されなくてもよく、元の無変形の形状に戻るか、又は少なくとも実質的に戻ることができる。例えば、硬質なストランドは、元の形状に戻るときに収縮し、ORC繊維をチューブの中へと後退させ得る。チューブの中心は、硬質なチューブが収縮するときに、硬質なストランド及びORC繊維をチューブの中心に保持するようにクランピングされ得る。上記と同様に、チューブの端部は、硬質なストランド及びORC繊維を中に封入するように封止され得る。
【0143】
ここで
図244を参照すると、組織厚さコンペンセータ33320は、シェル33326と、シェル33326内に配置された圧縮性コアと、圧縮性コアをシェル33326内に収容するように構成され得る閉鎖端部33328と、を備え得る。上記に加えて、シェル33326は、連続的な押出しプロセスによって生産され得、その長さ方向に沿って連続的な断面形状を備え得る。ここで
図245〜247を参照すると、組織厚さコンペンセータ33420は、シェル33426と、シェル33426に画定された空洞33424と、空洞33424内に配置されたコア33425と、を備え得る。例えば、シェル33426は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33425は、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。シェル33426は、1つ又は2つ以上の可撓性脚部33423を備えることができ、それら可撓性脚部33423は、アンビル22060に画定されたナイフスロット22063の中に延び、組織厚さコンペンセータ33420をアンビル22060に解放可能に保持するように構成され得る。ここで
図248〜250を参照すると、組織厚さコンペンセータ33520は、シェル33526と、シェル33526に画定された空洞33524と、空洞33524内に配置されたコア33425と、を備え得る。例えば、シェル33526は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33425は、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。シェル33526は、1つ又は2つ以上の保持部材33528を備えることができ、それら保持部材33528は、アンビル22060の外部表面を囲んで延び、組織厚さコンペンセータ33520をアンビル22060に解放可能に保持するように構成され得る。例えば、主として
図250を参照すると、シェル33526は、可動部分33527と、それら可動部分33527の間に画定された間隙33523と、を備えることができ、組織厚さコンペンセータ33520がアンビル22060から分離された後、可動部分33527はばね様に開放して、中に収容されたコア33425を露出させ得る。ここで
図251〜252を参照すると、組織厚さコンペンセータ33620は、シェル33626と、シェル33626に画定された空洞33424と、空洞33424内に配置されたコア33525と、を備え得る。例えば、シェル33626は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33425は、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。シェル33626は、アンビル22060に画定されたナイフスロット22063と整列され得る薄化区間33623を備えることができ、そのため、組織厚さコンペンセータ33620を通過する切断部材は薄化区間33623を通過し、組織厚さコンペンセータ33620を切断するのに必要な力又はエネルギーを低減することができる。ここで
図253〜254を参照すると、組織厚さコンペンセータ33720は、シェル33726と、シェル33726に画定された空洞33424と、空洞33424内に配置されたコア33425と、を備え得る。例えば、シェル33726は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33425は、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。シェル33726は、1つ又は2つ以上の保持部材33723を備えることができ、それら保持部材33723は、アンビル22060の外面を包み、組織厚さコンペンセータ33720をアンビル22060に解放可能に保持するように構成され得る。ここで
図255〜256を参照すると、組織厚さコンペンセータ33820は、シェル33826と、シェル33826に画定された空洞33424と、空洞33424内に配置されたコア33425と、を備え得る。例えば、シェル33826は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33425は、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。シェル33826は、例えば、実質的に矩形の空洞33424と、弓状の空洞33424と対照的な実質的に平坦な組織接触表面33829と、
図254に示す組織接触表面と、を備え得る。ここで
図257〜258を参照すると、組織厚さコンペンセータ33920は、シェル33926と、シェル33926に画定された複数の空洞33924と、空洞33924のそれぞれの中に配置されたコア33925と、を備え得る。例えば、シェル33926は、連続的な押出し形状から形成されたフィルム本体を備えることができ、コア33925はそれぞれ、例えばORCなどの繊維性薬物コアを備え得る。コア33925は、種々の材料からなり得る。シェル33926は、1つ又は2つ以上の保持部材33923を備え得るが、それら保持部材33923は、アンビル22060のナイフスロット22063の中に延びるように構成され得る。
【0144】
ここで
図153を参照すると、組織厚さコンペンセータは、折り畳みプロセスを利用して形成され得る。本発明によれば、例えば酸化再生セルロースなどの材料23525が、カバーシート23526上に置かれ得るが、このカバーシート23526は、材料23525を封入するために折り畳まれ、次いで封止され得る。例えば、カバーシート23526は、例えばCap Glyからなり得る。ホッパー23592の下方にカバーシート23526を通すことができる連続プロセスが利用され得るが、このホッパー23592は、材料23525をカバーシート23526の上に分配するように構成されている。例えば、カバーシート23526は、材料23525がカバーシート23526の上に置かれる前に、ローラー23591とアンビル23590との間で平坦化され得る。材料23525は、カバーシート23526の片側、つまり半分に置かれてよく、カバーシート23526のもう一方の側、つまり半分は、材料23525の上に折り畳まれるか、あるいは裏返されることができる。材料23525がカバーシート23526の上に置かれる前、置かれている間、及び/又は置かれた後に、カバーシート23526は折り畳まれるか、あるいは少なくとも部分的に折り畳まれ得る。例えばアンビル23590は、カム表面23594を備え得るが、このカム表面23594は、例えば、長手方向に移動するカバーシート23526の縁部又は側部を持ち上げ、次いでカバーシート23526を半分に折り畳むように構成され得る。カム表面23594は、3次元カム、つまり筒形カムを備え得るが、このカムは、カバーシート23526がカム表面23594を通り過ぎるとき、カバーシート23526の一部分を次第に持ち上げ、回転させる。
【0145】
カバーシート23526が材料23525の上に折り畳まれた後、その折り畳まれたカバーシート23526及びその中に配置された材料23525はダイ23593を通過することができ、ダイ23593は、折り畳まれたカバーシート23526及び材料23525を圧縮及び/又は小型化してチューブ23527を形成することができる。折り畳まれたカバーシート23526の縁部は、例えば、熱溶接及び/又はレーザー溶接など、任意の好適なプロセスを利用して密閉され得る。チューブ23527は、チューブ23527の側壁が封止される前に、例えば1本以上のローラー23595によって更に平坦化され得る。チューブ23527は、チューブ23527の側壁が封止された後に、1本以上のローラーによって更に平坦化されてもよい。いずれにせよ、チューブ23527は、別個の組織厚さコンペンセータを作るように、部分に分割され得る。組織厚さコンペンセータの端部は、例えば、熱溶接及び/又はレーザー溶接など、任意の好適なプロセスを利用して封止され得るのに対し、それに代わって、組織厚さコンペンセータの端部の一方又は両方は、例えば開放した構成のままでもよい。
【0146】
ここで
図154を参照すると、例えば、アンビル22060などのアンビルにコンペンセータを取り付けることができるが、コンペンセータは、その中に少なくとも1種類の薬物を貯蔵するように構成され得る。コンペンセータ23620は、中央本体部分と、側方取り付け部分23628と、を備えることができ、側方取り付け部分23628はアンビル22060に取り付けられるように構成され得る。コンペンセータ23620は、コンペンセータ23620の組織接触表面23625に画定された複数の毛管路23627を更に備えることができ、毛管路23627はその中に1種類以上の薬物を貯蔵するように構成され得る。例えば、薬物は流体を含み得るが、その流体は、流体張力により、毛管路23627の側壁の間に保持され得る。様々な状況において、薬物は、コンペンセータ23620がアンビル22060に取り付けられる前に、コンペンセータ23620に適用され得るのに対し、いくつかの状況においては、薬物は、例えば、コンペンセータ23620がアンビル22060に取り付けられた後に、コンペンセータ23620に適用され得る。いずれにせよ、コンペンセータ23620は、アンビル22060とアンビル22060の反対に配置されたステープルカートリッジとの間に位置する組織と接触するように構成され得、毛管路23627に貯蔵された薬物は組織の上に流れることができる。様々な状況において、薬物は毛管路23627内を流れることができる。
【0147】
図154に示すコンペンセータ23620を再び参照すると、毛管路23627の配列が、クロスハッチパターンをなして構成及び配列されることができ、第1の量のチャネル23627が第1の方向に延び得ると共に、第2の量のチャネル23627が第2の方向に延び得る。第1の量のチャネル23627は、第2の量のチャネル23627と交差することができ、また第2の量のチャネルと流体連通し得る。ここで
図155を参照すると、コンペンセータ23920は本体23926を備えることができ、本体23926は、組織接触表面23925に画定された毛管路23927の配列を有している。チャネル23927は直線状の経路に沿って画定され得るが、チャネル23927は非直線状の経路に沿って画定されてもよい。例えば、第1の量のチャネル23927は軸線23923に沿って延び得る一方で、第2の量のチャネル23927は軸線23924に沿って延び得るが、軸線23923は、軸線23924とは異なる方向に延びてよい。軸線23923は、軸線23924に対して垂直又は少なくとも実質的に垂直となり得るが、チャネル23627はそれらの間に島23922を画定し得る。例えば、島23922の上面は、コンペンセータ23920の組織接触表面23925を画定し得る。コンペンセータ23920は、長手方向の軸線23921を備えることができ、チャネル23627は、長手方向の軸線23921に対して横断又は斜行する方向に延び得る。再び
図154を参照すると、コンペンセータ23720は、本体23726と、本体23726に画定された複数の毛管路23727と、を備え得る。コンペンセータ23720は、長手方向のチャネル23721を更に備えることができ、この長手方向のチャネル23721は、毛管路23727と流体連通し得る。任意に、1種類以上の薬物が長手方向のチャネル23721に貯蔵され得るが、その薬物は、例えば、チャネル23721と毛管路23727との間を流れ得る。チャネル23721は、長手方向の突起を画定し得るが、この突起は、アンビル22060に画定された長手方向のナイフスロット22061の中へと上向きに延び得る。
【0148】
上で議論したように、再び
図154を参照すると、コンペンセータに画定された毛管路の配列は、クロスハッチパターンを有し得る。しかしながら、それに代わって、毛管路の配列は任意の好適な形状又は構成を備えてもよい。例えば、
図154に示すコンペンセータ23820を参照すると、コンペンセータ23820の本体23826に画定されたチャネル23827は、平行する斜めのチャネルを備え得るが、このチャネルは、例えば、中央チャネル23821に向かって収束し、かつ/又は中央チャネル23821から離れて分岐する。ここで
図158を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、組織厚さコンペンセータ24010を含むステープルカートリッジ24000を含み得るが、組織厚さコンペンセータ24010は、その中及び/又はその上に、例えば薬物24001など、少なくとも1種類の薬物を含み得る。ここで
図159を参照すると、例えば、アンビル24060に取り付けられたコンペンセータ24020は、コンペンセータ24020を組織厚さコンペンセータ24010と接触させて置くために、閉位置へと移動され得る。そのような状況において、例えば、薬物24001は、組織厚さコンペンセータ24010からコンペンセータ24020へと移送されることができる。ここで
図160を参照すると、コンペンセータ24020は組織接触表面24025を備えることができ、組織接触表面24025は、組織厚さコンペンセータ24010と接触させることができ、薬物24001は、組織接触表面24025に画定された毛管路24027に流入することができる。ここで
図157を参照すると、コンペンセータ24020は、その上及び/又はその中に、例えば薬物24002など、少なくとも1種類の薬物を含むことができ、その薬物は、コンペンセータ24020から組織厚さコンペンセータ24010へと移送され得る。
【0149】
ここで
図240及び241を参照すると、組織厚さコンペンセータ33020は、その表面に画定された複数のチャネル及び/又はウェルを備え得る。組織厚さコンペンセータ33020は、長手方向のチャネル33026を備えることができ、この長手方向のチャネル33026は、組織厚さコンペンセータ33020を通って画定された長手方向の軸線に沿って延びる。例えば、長手方向のチャネル33026の端部は、組織厚さコンペンセータ33020の周囲と流体連通し得る。組織厚さコンペンセータ33020は、複数のウェル33022と、それに加えて複数の斜めのチャネル33024と、を更に備え得るが、それらの斜めのチャネル33024は、ウェル33022及び長手方向のチャネル33026と流体連通している。組織厚さコンペンセータ33020は、組織厚さコンペンセータ33020のウェル33022及び周囲と流体連通し得る、複数の入口出口チャネル33027を更に備え得る。任意に、上記の結果、組織厚さコンペンセータ33020が患者の組織に対して埋め込まれる前、埋め込まれている間、及び/又は埋め込まれた後、流体は、組織厚さコンペンセータ33020の中にかつ/又は組織厚さコンペンセータ33020の外に流れ得る。組織厚さコンペンセータ33020の組織接触表面33025に画定されたチャネル33024、33026、及び33027、並びにウェル33022のパターンは、把持縁部を画定し得るが、この把持縁部は、組織と接触すると共に組織厚さコンペンセータ33020と組織との間の滑りを制限するように構成され得る。ここで
図240A及び241Aを参照すると、組織厚さコンペンセータ33120は、その表面に画定された複数の円状のチャネルを備え得る。組織厚さコンペンセータ33120は同心円状のチャネル33127を備え得るが、それら同心円状のチャネル33127は、組織厚さコンペンセータ33120の周囲に画定された開口部を備える。上記と同様に、流体はチャネル33127を通って、組織厚さコンペンセータ33020の中にかつ/又は組織厚さコンペンセータ22120から外に流れ得る。組織厚さコンペンセータ33120は同心円状のチャネル33122を備え得るが、それら同心円状のチャネル33122は、組織厚さコンペンセータ33120の周囲に画定された開口部を備えなくてもよい。ここで
図242及び243を参照すると、組織厚さコンペンセータ33220は、それから延びる複数のリッジ33227を備えることができ、これらリッジ33227は、組織厚さコンペンセータ33220に当接して配置された組織を把持するように構成され得る。例えば、リッジ33227は直線状であってもよく、あるいはリッジ33227は曲線状の輪郭を有してもよい。上述のリッジ及びチャネルは組織厚さコンペンセータに有用となり得るが、そのようなリッジ及びチャネルは、任意の好適な生体吸収性及び/又は生体適合性の層と共に利用され得る。
【0150】
本発明によれば、コンペンセータは複数の層からなり得る。例えば、コンペンセータは、第1の層と、その第1の層に付着された第2の層と、を備え得る。第1の層は、組織接触表面と、その組織接触表面に画定された複数の毛管路と、を備え得る。第1の層はまた、第2の層に面しかつ組織接触表面の反対に面する側面に形成された毛管路を備え得る。第2の層は、その中に画定された毛管路を備え得る。コンペンセータの第1の層と第2の層との間に、ウェルが画定され得る。毛管路は、例えば、各層が形成される成形プロセス、及び/又は熱かしめプロセスなどの間に、任意の好適なプロセスを利用してコンペンセータの層に形成され得る。例えば、熱かしめプロセスが、コンペンセータの層を互いに付着させるために利用され得る。例えば、層は、例えばCAP/GLY(36/64)など、熱が加えられると変形可能となり得る材料からなり得る。いずれにせよ、コンペンセータの組織接触表面に画定された毛管路は、それらの間に把持表面を画定し得るが、それら把持表面は、外科用ステープリング器具のアンビルとステープルカートリッジとの間に配置された組織に加えられ得る把持力又は制御性を改善し得る。換言すれば、コンペンセータの組織接触表面に画定された毛管路は、コンペンセータが組織と接触し得る面積を低減することができる。そのような状況において、接触面積がより小さくなる結果、所与の力に対し、コンペンセータと組織との接触圧力がより高くなり得る。様々な状況において、接触圧力がより高くなることにより、コンペンセータと組織との間の滑りが低減され得る。
【0151】
任意に、第1の層及び第2の層の中にかつ/又はそれらの間に画定された毛管路及び/又は空所内に、1種類以上の薬物が配置され得る。コンペンセータを備える複数の層は、1組の治療層又は治療薬(therapies)を含み得る。例えば、第1の層は第1の薬物からなることができ、第2の層は第2の薬物からなることができるが、第1の薬物は第2の薬物と異なり得る。例えば、第1の層に画定された毛管路は第3の薬物を貯蔵することができ、第2の層に画定された毛管路は第4の薬物を貯蔵することができるが、例えば、第1、第2、第3、及び/又は第4の薬物は異なり得る。例えば、第1、第2、第3、及び/又は第4の薬物は異なり得る。ここで
図161を参照すると、コンペンセータ24120は、例えば層24121〜24125など、複数の層を備え得る。第1の層24121及び/又は第5の層24125は、第2の層24122、第3の層24123、及び/又は第4の層24124が間に挟み込まれ得る材料のフラットシートを構成し得る。任意に、層24121〜24125のうちの1層以上が、中に画定された1つ又は2つ以上のチャネル24127を備えてもよい。チャネル24127は、コンペンセータ24120の一方の端部からもう一方の端部へと延びることができ、またチャネル24127は、コンペンセータ24120の一方の側部ともう一方の側部との間に延び得る。チャネル24127は、コンペンセータ24120の任意の好適な側部及び/又は端部の間で、任意の好適な方向に延びることができる。ここで
図164及び165を参照すると、コンペンセータ24820がは2層以上の内層24827を備えることができ、これら内層24827は、例えば、コンペンセータ24820の一方の側部からもう一方の側部へと延びる側方のチャネル24822を画定し得る。再び
図161を参照すると、層24121〜24125のうちの1層に画定されたチャネル24127は、その層に隣接して配置された層に画定されたチャネルと整列され得る。層24121〜24125のうちの1層に画定されたチャネル24127は、その層に隣接して配置された層の平坦面に面するか、あるいはその平坦面に向かって開口し得る。再び
図161を参照すると、層24121〜24125のうちの1層以上が、その層に画定された少なくとも1つのウェル24129を備え得る。ウェル24129は、その層に画定されたチャネル24127のうちの1つ又は2つ以上と流体連通し得る。上記と同様に、ウェル24129は、隣接する層に向かって開口するか、あるいはその層に面する開口部を備えることができ、隣接する層はその開口部を被覆し得る。
【0152】
上記に加えて、チャネル24127及び/又はウェル24129は、1種類以上の薬物を中に収容するように構成され得る。チャネル24127は、薬物をチャネル24127から流出させ得る、1つ又は2つ以上の開放端部を備え得る。同様に、チャネル24127は、例えば血液などの流体をチャネル24127に流入させることができるように構成され得る、1つ又は2つ以上の開口部を有し得る。そのような場合、流体は、コンペンセータ24120に流入し、薬物及び/又は層24121〜24125の少なくとも一部分を吸収し、次いでコンペンセータ24120から流出し得る。再び
図164及び165を参照すると、コンペンセータ24820は、例えば、外層24826に画定された開口24828を備え得る。再び
図161を参照すると、層24121〜24125は、例えば、生体吸収性ポリマー、PLA、及び/又はPGAなど、任意の好適な材料から構成され得る。層24121〜24125のすべてが同じ材料から構成されてもよい。あるいは、層24121〜24125のうちの1層以上が、異なる材料から構成されてもよい。任意に、例えば、層24121〜24125のうちの1層以上が、それらの層を貫いて延びるスルーホール24128を有することができ、スルーホール24128は、例えば血液などの流体を、チャネル24127、ウェル24126の中に、かつ/又は層24121〜24125のうちの2層以上の間に流入させるように構成され得る。層24121〜24125のうちの1層以上は、例えば、熱溶接及び/又はレーザー溶接プロセスを利用して互いに連結され得る。そのような場合、コンペンセータ24120に流入する流体は、層24121〜24125の溶接部分を溶解させ、層24121〜24125を分離及び/又は離層させ得る。層24121〜24125のうちの1層以上が、他の層24121〜24125を構成する材料よりも速い速度及び/又は遅い速度で溶解する材料から構成され得る。例えば、コンペンセータ24120の内層24122〜24124は、例えば外層24121及び24125を構成する材料よりも速い速度で溶解する材料から構成され得る。そのような場合、コンペンセータ24120は、一貫した又は少なくとも実質的に一貫した全体的形状を維持し得る一方で、コンペンセータ24120の内部は溶解される。コンペンセータの最外層は、例えば、コンペンセータの最内層を構成する材料よりも速い速度で溶解する材料から構成され得る。層は、例えば、約1ミル〜約4ミルの厚さを有するシート材料を含み得る。
【0153】
ここで
図162及び163を参照すると、例えばコンペンセータ24220などのコンペンセータは支持層24226を備えることができ、この支持層24226は、例えばアンビル22060などのアンビル及び/又はステープルカートリッジに取り付けられるように構成され得る。コンペンセータ24220は、支持層24226に取り付けられたスカフォールド24222を更に備えることができ、スカフォールド24222は、複数のスカフォールド層24227を備え得る。スカフォールドは、例えば3次元構造のマトリックスを含み得る。任意に、スカフォールド24227のそれぞれは、複数の繊維から構成され得る。ここで
図166を参照すると、各スカフォールド層24227は、第1の方向に延びる第1の複数の繊維24228と、第2の、つまり異なる方向に延びる第2の複数の繊維24229と、を含む繊維織物から構成され得る。各繊維織物は、複数のポケット、又は空洞24223を備えることができ、層24227、繊維24228、24229、及び空洞24223は、組織及び細胞の内部成長に好都合なマトリックスを規定し得る。繊維24228、24229、及び/又は任意のその他の好適な繊維は、生体吸収性材料から構成され得る。それらの繊維は、例えば、止血剤、生物学的にかつ/若しくは薬理学的に活性なものなどの結合活性剤(bound active agents)、及び/又は互いに織り合わされ得る支持部材から構成され得る。いずれにせよ、繊維の材料は、例えば、スカフォールド24222への細胞移動、ECM分泌、及び/又は構造支持細胞の増殖など、望ましい生物学的反応を誘発するように選択することができる。
【0154】
上記に加えて、支持層24226は、スカフォールド24222を構造的に支持するように構成され得る。スカフォールド24222は、例えば、1種類以上の生体吸収性接着剤を利用して、支持層24226に取り付けられ得る。同様に、支持層24226は、例えば、1種類以上の生体適合性接着剤を利用して、アンビル又はステープルカートリッジに取り付けられてもよい。スカフォールド24222の層24227は、任意の好適な方式で、配列されるかあるいは積み重ねられ得る。各層24227は、ある繊維のパターンを含むことができ、ここで層24227は、層24227のパターンが互いに整列されるように、スカフォールド24222に配列され得る。
図167を参照すると、層24227は、第1の層24227の繊維24228が第2の層24227の繊維24228と整列されるように、互いに積み重ねられ得る。同様に、層24227は、第1の層24227の繊維24229が第2の層24227の繊維24229と整列されるように、互いに積み重ねられ得る。ここで
図168を参照すると、スカフォールド24422は、複数のスカフォールド層24427を備えることができ、各スカフォールド層24427の繊維24429は、例えば長手方向など、同じ方向に配向される。ここで
図170を参照すると、各スカフォールド層24227は、ある繊維のパターンを含むことができ、ここで層24227は、層24227のパターンが互いに整列されないように、スカフォールド24322に配列されてもよい。層24227は、第1の層24227の繊維24228が、第2の層24227の繊維24228に対して直角又は斜めの方向に延びるように積み重ねられ得る。同様に、層24227は、第1の層24227の繊維24229が、第2の層24227の繊維24229に対して直角又は斜めの方向に延びるように積み重ねられ得る。ここで
図171を参照すると、例えば、スカフォールド24522は、複数のスカフォールド層24427を備えることができ、これは異なる方向に配向される。
【0155】
上記に加えて、例えば、スカフォールド24222の第1のスカフォールド層24227は第1の材料から構成され得る一方で、スカフォールド24222の第2のスカフォールド層24227は、第2の、つまり異なる材料から構成され得る。例えば、第1の材料は第1の薬物を含み得る一方で、第2の材料は、第2の、つまり異なる薬物を含み得る。上記に加えて、例えば、スカフォールド24222の第1のスカフォールド層24227が、その繊維に吸収された第1の薬物を含み得る一方で、スカフォールド24222の第2のスカフォールド層24227は、その繊維に吸収された第2の、つまり異なる薬物を含み得る。例えば、第1の材料は第1の薬物を含み得る一方で、第2の材料は、第2の、つまり異なる薬物を含み得る。スカフォールドは、任意の好適な密度の繊維を有する、任意の好適な枚数の層を備えることができ、それらの繊維は、任意の好適な種類の材料から構成される。
【0156】
組織厚さコンペンセータは、例えば、リテーナを利用して、外科用切断及びステープリング装置などの外科用装置に据付けられ得る。例えば、リテーナは把持表面を有し、外科医、看護師、技師、又はその他の人員が、組織厚さコンペンセータの1つ又は2つ以上を、アンビル及び/又はステープルカートリッジなど、外科用器具の機構と整列させることを可能にする。リテーナは、外科用器具のステープルカートリッジを係合させることによって、1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータを整列させる機構を含んでもよい。リテーナは、外科用器具のアンビルを係合させることによって、1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータを整列させる機構を含んでもよい。外科用器具のステープルカートリッジはリテーナを含められてよく、また、リテーナを外科用器具と係合させることにより、ステープルカートリッジを外科用器具に据付け、組織厚さコンペンセータの1つ又は2つ以上を整列させることができる。組織厚さコンペンセータが外科用器具と整列され、外科用器具に取り付けられた後、リテーナは組織厚さコンペンセータから取り外され、次いで外科用器具から取り除かれることができる。
【0157】
図61〜67は、例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に、及び第2の組織厚さコンペンセータ19004を外科用ステープラのステープルカートリッジ19050に取り付けるために使用され得るリテーナ19000の実施形態を示している。リテーナ19000と、第1の組織厚さコンペンセータ19002と、第2の組織厚さコンペンセータ19004と、を含むリテーナアセンブリ19060が提供され得る。使用の際、一般に、リテーナアセンブリ19060は、アンビル19040と、ステープルカートリッジ19050を支持するように構成されたチャネルと、の間に挿入され得る。その後に、アンビル19040を閉鎖することができる。アンビル19040を閉鎖することにより、アンビル19040は、第1の組織厚さコンペンセータ19002がアンビル19040に取り付けられ得るように、第1の組織厚さコンペンセータを下向きに押し付けることができる。アンビル19040を閉鎖することにより、リテーナ19000が下向きに押し付けられ、ステープルカートリッジ19050を外科用器具のチャネルに静置させる。アンビルが再び開放されると、第1の組織厚さコンペンセータ19002はリテーナ19000から分離することができ、また、リテーナ19000がそれに続いて外科用装置から取り除かれるとき、リテーナ19000は第2の組織厚さコンペンセータ19004から分離することができる。外科用装置は次いで、第1の組織厚さコンペンセータ19002がアンビル19040に取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータ19004がステープルカートリッジ19050に取り付けられて、使用できるようになる。
【0158】
図61を参照すると、リテーナ19000はグリップ19014を含んでよく、このグリップ19014によって、外科用器具を準備する外科医、看護師、又は技師などの人は、リテーナ19000を把持することができる。リテーナ19000は、第1の組織厚さコンペンセータ19002が上に配置され得る第1の表面19001と、第2の組織厚さコンペンセータ19004が上に配置され得る、対向する第2の表面19003と、を含み得る。任意に、第1及び第2の組織厚さコンペンセータ19002及び19004を第1の表面19001及び/又は第2の表面19003に取り付けるために、1種類以上の接着剤がそれらの表面に塗布され得る。リテーナ19000はまた、例えば、外科用装置のステープルカートリッジ19050と係合し得るクリップを含んでもよい。
図64を参照すると、リテーナ19000は、ステープルカートリッジ19050の遠位端部で凹部19056と係合するように構成された遠位クリップ19108、及び/又はステープルカートリッジ19050のリッジ若しくは縁部19054と係合するように構成された近位クリップ19106を含み得る。
【0159】
図61を参照すると、第1の組織厚さコンペンセータ19002は、リテーナ接面19006とアンビル接面19010とを含み得る。リテーナ接面19006は、例えば、接着剤及び/又は係合機構によって、リテーナ19000の第1の表面19001に付着され得る。アンビル接面19010は、第1の組織厚さコンペンセータ19002を外科用装置のアンビル19040に取り付けることができる少なくとも1種類の接着剤を上に含み得る。例えば、接着剤は、アンビル19040のステープル形成面19044(
図63)に付着し得る、活性化可能な接着剤を含み得る。
【0160】
図61及び63〜66を参照すると、第1の組織厚さコンペンセータのアンビル接面19010は、アンビル19040上の同様の係合機構19042と係合する係合機構19020を含んでよい。したがって、第1の保持力は第1の組織厚さコンペンセータ19002をリテーナ19000に保持することができ、第2の保持力は第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に保持することができる。第2の保持力は第1の保持力よりも大きくなり得るが、そのため、リテーナ19000がエンドエフェクタから取り除かれるとき、第1の組織厚さコンペンセータ19002はアンビル19040に取り付けられたままであり、リテーナ19000からは分離し得るようになる。
【0161】
再び
図61を参照すると、第2の組織厚さコンペンセータ19004は、リテーナ接面19008とステープルカートリッジ接面19012とを有し得る。リテーナ接面19006は、例えば、1種類以上の接着剤及び/又は係合機構によって、リテーナ19000の第1の表面19001に付着され得る。ステープルカートリッジ接面19012は、第2の組織厚さコンペンセータ19004を外科用装置のステープルカートリッジ19050に取り付けることができる接着剤を上に含んでよい。例えば、
図64を参照すると、接着剤は、第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050のステープルデッキ19052に接着させ得る。ステープルカートリッジ接面19012はまた、ステープルカートリッジ19050上の協働する係合機構と係合する係合機構を含んでよい。したがって、第1の保持力は第2の組織厚さコンペンセータ19004をリテーナ19000に保持することができ、第2の保持力は第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050に保持することができる。第2の保持力は第1の保持力よりも大きくなり得るが、そのため、リテーナ19000がエンドエフェクタから取り除かれるとき、第2の組織厚さコンペンセータ19004はステープルカートリッジ19050に取り付けられたままであり、リテーナ19000からは分離し得るようになる。
【0162】
図64に示すように、リテーナアセンブリ19060は、矢印Aで示すように、ステープルカートリッジ19050に取り付けられ得る。上述のように、リテーナ19000上の遠位クリップ19018はステープルカートリッジの凹部19056と係合することができ、リテーナ上の近位クリップ19016はステープルカートリッジ19050上の縁部又はリッジ19054と係合することができる。そのような時点において、リテーナ19000は、
図65に示すように、ステープルカートリッジ19050に取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータ19004はステープルカートリッジ19050に取り付けられ得る。
図66に示すように、外科用装置のアンビル19040を矢印Bの方向に閉鎖することにより、例えば、ステープル形成表面及び/又は組織接触表面などのアンビルの表面19044を第1の組織厚さコンペンセータ19002と接触させることができる。上述のように、アンビル19040が第1の組織厚さコンペンセータ19002と接触することで、第1の組織厚さコンペンセータ19002はアンビル19040に取り付けられることになり得る。
【0163】
リテーナアセンブリ19060がステープルカートリッジ19050に取り付けられ、アンビル19040が閉鎖された後、第1の組織厚さコンペンセータ19002はアンビル19040に取り付けられることができ、第2の組織厚さコンペンセータ19004はステープルカートリッジ19050に取り付けられることができる。上述のように、第1の組織厚さコンペンセータ19002をリテーナ19000に保持する保持力は、第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に保持する保持力よりも小さくてよい。したがって、
図67に示すように、アンビル19040が再び開放されると、第1の組織厚さコンペンセータ19002はリテーナ19000から分離し、アンビル19040と残ることができる。また上述のように、第2の組織厚さコンペンセータ19004をリテーナ19000に保持する保持力は、第1の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050に保持する保持力よりも小さくてよい。したがって、リテーナ19000が
図67の矢印C及びDの方向に取り除かれるとき、リテーナ19000は第2の組織厚さコンペンセータ19004から分離し得る。
図67に示す外科用ステープラは、アンビル19040に取り付けられた第1の組織厚さコンペンセータ19002と、ステープルカートリッジ19050に取り付けられた第2の組織厚さコンペンセータ19004と、を含み、使用できる状態である。
【0164】
図390〜396は、第1の組織厚さコンペンセータ19002及び第2の組織厚さコンペンセータ19004と共に使用されているリテーナ19000を示している。リテーナ19000はまた、第1の組織厚さコンペンセータ19002及び第2の組織厚さコンペンセータ19004のうちの一方のみと共に使用されてもよい。例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19002は、省略されてもよい。
【0165】
図68〜70は、表面19101上に係合機構19108を含み得るリテーナ19100の一実施形態を示している。
図69及び70に示すように、リテーナ19100上の係合機構19108は、第1の組織厚さコンペンセータ19102上の協働する係合機構19109と係合する。
【0166】
図71及び72は、組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230と整列させ、アンビル19230に取り付けるように構成された表面19202を含み得るリテーナ19200の一実施形態を示している。リテーナ19200は、表面19202から延びる整列ペグ19204を含んでよい。
図71及び72に示すリテーナ19200は、4つの整列ペグ19204を含むが、それより多い又は少ない整列ペグ19204が存在してもよい。
図72を参照すると、組織厚さコンペンセータ19210は本体19212を含み得るが、この本体19212は、リテーナ19200から延びる整列ペグ19204の位置に対応するように位置決めされ得るホール19216を含む。組織厚さコンペンセータ19210の各ホール19216は、整列ペグ19204に嵌合し、また、ホール19216とペグ19204との密接な嵌合により、組織厚さコンペンセータ19210はリテーナ19200と整列され得る。任意に、各ホール19216は、そのペグ19204上に置かれると広がるように、各ホール19216は、対応するペグ19204よりもわずかに小さくてもよい。そのような広がりにより、ホール19216はペグ19204上に保持され得る。各ホール19216は、ペグ19204と組織厚さコンペンセータ19210との間に解放可能な結合を生じさせるように、接着剤を中に含んでもよい。
【0167】
組織厚さコンペンセータ19220は、組織厚さコンペンセータ19220の本体19212から延びるタブ19220を含んでよく、このタブ19220は、アンビル19230のアンビル19230のスロット19234に受容されるように構成され得る。アンビル19230のスロット19234は、例えば、ステープル形成表面19232に位置してもよい。上記と同様に、リテーナ19200がステープルカートリッジに取り付けられた後、アンビル19230は、リテーナ19200上の組織厚さコンペンセータ19210に対して閉鎖され得る。アンビル19230が閉鎖される際、
図72を参照すると、組織厚さコンペンセータ19210のタブ19220はスロット19234と係合し、それによって、組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230に取り付けることができる。主として
図71を参照すると、各タブ19220は先細部分19222を有してよく、先細部分19222は、タブ19220をアンビル19230のスロット19234の中に案内するものである。先細部分19222は傾斜壁を有することができ、その長さ方向に沿って断面積を増加させてよい。各タブ19220の土台部分19226は、先細部分19222の最大断面積よりも小さな断面積を有し得る。先細部分19222はロック表面19224を備えてもよく、タブ19220がスロット19234に侵入するとき、ロック表面19224はスロット19234のリップ19235に引っ掛かることができる。結果として、ロック表面19224は、タブ19220をスロット19234内に保持し、それによって組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230に保持することができる。組織厚さコンペンセータ19210に画定され、タブ19220の間に延びるスロット19228により、タブ19220を内向きに屈曲させ、スロット19234内に嵌合させることができる。スロット19234で保持されているタブ19220は、組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230に保持する第1の保持力を規定することができ、ペグ19204に保持されている組織厚さコンペンセータ19210のホール19216は第2の保持力を規定することができる。第1の保持力は第2の保持力よりも大きくなり得るが、そのため、リテーナ19200がエンドエフェクタから取り除かれるとき、組織厚さコンペンセータ19210はアンビル19230に取り付けられたままであり、リテーナ19200からは分離し得るようになる。
【0168】
図71及び72の組織厚さコンペンセータ19210の本体19212も、その中にスロット19214を画定し得る。スロット19214は、組織厚さコンペンセータ19210の長手方向の軸線に沿って整列され得る。例えば、組織厚さコンペンセータ19210がアンビル19230に取り付けられるとき、スロット19214が外科用装置の切断ブレードの長手方向の経路と整列されるように、スロット19214は長手方向の軸線上に配列され得る。スロット19214は、切断ブレードが組織厚さコンペンセータ19210を切断するのに必要なエネルギー量を低減し得る。
【0169】
図73〜83は、クリップ19310を含むリテーナ19300の一実施形態を示しており、クリップ19310は、組織厚さコンペンセータ19340をリテーナ19300の第1の表面19302上に保持するように構成されている。アンビル19360がリテーナ19300上に閉鎖されるとき、上記と同様に、アンビル19360はクリップ19310を外向きに押し、変位させ、その結果、リテーナ19300を組織厚さコンペンセータ19340から分離し得る。組織厚さコンペンセータ19340は、アンビル19360が組織厚さコンペンセータ19340に対して押圧されるとアンビル19360に取り付けられ、アンビル19360が再び開放されるとリテーナ19300から離れて移動し得る。
【0170】
リテーナ19300は、ステープルカートリッジ装着クリップ19312及び19314を含んでよく、これらは
図61〜70に関連して上述したものに類似し得る。上述した第1の表面19302に加えて、リテーナ19300はまた、第2の組織厚さコンペンセータを担持するように構成され得る第2の表面19304を含んでもよい。第2の表面19304は、例えば隆起リッジ19308などの整列機構を含んでよい。隆起リッジ19308は、例えば、第2の組織厚さコンペンセータのスロット及び/又はステープルカートリッジ19370のスロットと係合し得る。
【0171】
図75〜77を参照すると、使用の際、リテーナ19300はクリップ19314及び19312によってステープルカートリッジ19370に取り付けられ得る。第1の組織厚さコンペンセータ19340は、リテーナ19300の第1の表面19302に配置されることができ、クリップ19310によって適所に保持され得る。主として
図81〜83を参照すると、各クリップは平部19313を含み、平部19313は、第1の組織厚さコンペンセータ19340をリテーナ19300の第1の表面19302に対してクランプし得る。各クリップ19310は、内向きの先細面又は曲面19311を含み得る。
図82を参照すると、アンビル19360が矢印Eの方向に移動すると、アンビル19360の縁部19366がクリップ19310の内向きの曲面19311と接触し得る。アンビル19360が引き続き矢印Eの方向に移動すると、アンビル19360の縁部19366とクリップ19310の曲面19311との干渉により、クリップ19310は、
図82に示すように、矢印Fの方向に外向きに押されることができる。クリップ19310が矢印Fの方向に移動すると、第1の組織厚さコンペンセータ19340はクリップ19310の平部19313から解放される。
【0172】
アンビル19360が引き続き矢印Eの方向に移動すると、アンビル19360はまた組織厚さコンペンセータ19340に接触し、取り付けられる。例えば、アンビル19360が矢印Eの方向に移動すると、組織厚さコンペンセータ19340上の、例えば隆起リッジ19344などの係合機構が、アンビル19360のチャネル19364と係合する。組織厚さコンペンセータ19340がアンビル19360に取り付けられるようにするために、隆起リッジ19344は、チャネル19364と締まり嵌めするように構成されてよい。組織厚さコンペンセータ19340は、アンビル19360の表面に接着する接着剤を含んでもよい。隆起リッジ19344は、チャネル19364の表面に接着する接着剤を含んでもよい。同様に、組織厚さコンペンセータ19340の本体19342の表面は、アンビル19360の表面19362に接着する接着剤を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ19340がアンビルに取り付けられた後、
図83に示すように、アンビル19360が矢印Gの方向に移動することによって開位置に戻ると、組織厚さコンペンセータ19340はリテーナ19300から持ち上げられると共にアンビル19360に残存することができる。
【0173】
図84は、リテーナ19400の一実施形態の横断側面図を示している。第1の組織厚さコンペンセータ19410は、リテーナ19400の第1の面19402に配置されており、第2の組織厚さコンペンセータ19420は、リテーナ19400の対向する第2の面19404に配置されている。リテーナ19400は、それを貫いて延びる1つ又は2つ以上のホール19406を画定している。第1の組織厚さコンペンセータ19410及び第2の組織厚さコンペンセータ19420は、ホール19406を通って延びるコネクタ19430によって、ホールを介して連結されている。第1の組織厚さコンペンセータ19410、第2の組織厚さコンペンセータ19420、及びコネクタ19430はすべて、一体の材料から形成されてよい。例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19410、第2の組織厚さコンペンセータ19420、及びコネクタ19430は、リテーナ19400の上にオーバーモールドされてよい。あるいは、コネクタ19430は、例えば第1の組織厚さコンペンセータ19410など、組織厚さコンペンセータのうちの1つの一部として形成されてもよい。コネクタ19430は、ホール19406に通され、次いで、例えば第2の組織厚さコンペンセータ19420など、残りの組織厚さコンペンセータに取り付けられ得る。コネクタ19430は、例えば、接着剤を用いることによって、又はコネクタの端部と第2の組織厚さコンペンセータ19420の受容ポート(図示せず)との締まり嵌めを用いることによって、第2の組織厚さコンペンセータ19420に取り付けられ得る。コネクタ19430は、ホール19406の中に設置される別々の構成要素であってもよく、例えば、接着剤、又はコネクタ19430の端部と第1の組織厚さコンペンセータ19410及び第2の組織厚さコンペンセータ19420の受容ポートとの間の締まり嵌めを用いることによって、この構成要素に第1の組織厚さコンペンセータ19410及び第2の組織厚さコンペンセータ19410が取り付けられてもよい。
【0174】
リテーナ19400が、例えば、ステープルカートリッジ19450上に設置された後、外科用装置のアンビル19440は、矢印Hの方向に閉位置へと移動され得る。第1の組織厚さコンペンセータ19410の表面19414上の接着剤及び/又は係合機構は、アンビル19440が閉鎖すると、第1の組織厚さコンペンセータ19410をアンビル19440に取り付けることができる。同様に、第2の組織厚さコンペンセータ19420の表面19424上の接着剤及び/又は係合機構は、第2の組織厚さコンペンセータ19420をステープルカートリッジ19450に取り付けることができる。アンビル19440が閉鎖され、第1及び第2の組織厚さコンペンセータ19410及び19420がそれぞれアンビル19440及びステープルカートリッジ19450に取り付けられた後、リテーナ19400を第1の組織厚さコンペンセータ19410と第2の組織厚さコンペンセータ19420との間から取り除き、コネクタ19430を破断するために、リテーナ19400は矢印I(
図88)の方向に引っ張られることができる。
図89に示すように、コネクタ19430が破断され、リテーナ19400が取り除かれた後、アンビル19440は再び開放されることができ、第1の組織厚さコンペンセータ19410はアンビル19440に取り付けられることになり、第2の組織厚さコンペンセータ19420はステープルカートリッジ19450に取り付けられることになる。
【0175】
本発明によれば、リテーナ19400の各ホール19406の近位部分19407は切断縁部を含んでもよい。リテーナが矢印I(
図88)の方向に引っ張られるとき、ホール19406の近位部分19407を通じて引張力が伝達されて、コネクタが破断される。各ホール19406の近位部分19407の切断縁部は、伝達された力を各コネクタの比較的小さな面積に集中させる。その結果として、コネクタはより容易に破断することになり、また、第1の組織厚さコンペンセータ19410と第2の組織厚さコンペンセータ19420との間からリテーナ19400を取り除くのに必要な力はより小さくなり得る。
【0176】
上述のように、リテーナアセンブリは、第1の組織厚さコンペンセータと第2の組織厚さコンペンセータとの間に配置されたリテーナを含むことができ、2つの組織厚さコンペンセータが外科用器具のエンドエフェクタに挿入され、そのエンドエフェクタに取り付けられた後、リテーナは、それら組織厚さコンペンセータの間から引っ張られ、エンドエフェクタから取り除かれることができる。リテーナは、第1の組織厚さコンペンセータと第2の組織厚さコンペンセータとの間に障壁を設けることができる。リテーナが第1の組織厚さコンペンセータと第2の組織厚さコンペンセータとの間から取り除かれると、例えば、第1の組織厚さコンペンセータの中及び/又は上の物質は、第2の組織厚さコンペンセータの中及び/又は上の物質と反応し得る。組織厚さコンペンセータの一方又は両方は、組織厚さコンペンセータの中に物質を包み込むことができるフィルムを含み得る。フィルムはリテーナに取り付けることができるが、リテーナが上述のように組織厚さコンペンセータの間から引っ張られるとき、リテーナは、フィルムを組織厚さコンペンセータから引き離して、中に収容された物質を露出させることができる。そのような時点において、組織厚さコンペンセータのそれぞれの中の物質は、互いに作用し得る。
【0177】
図90〜100は、例えば外科用ステープラなどの外科用装置のアンビルと係合するリテーナの一実施形態を示している。リテーナは、第1の組織厚さコンペンセータをアンビルと、及び第2の組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジと整列させ得る。アンビルを閉鎖することにより、第1の組織厚さコンペンセータはアンビルに取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータはステープルカートリッジに取り付けられることになる。リテーナはまた、組織厚さコンペンセータがリテーナとステープルカートリッジとの間に任意に配設された状態で、ステープルカートリッジを担持し得る。アンビルを閉鎖することにより、ステープルカートリッジは外科用ステープラのチャネルに取り付けられることになり、第1の組織厚さコンペンセータはアンビルに取り付けられることになる。
【0178】
図90〜93はリテーナ19500の一実施形態を示している。リテーナ19500はグリップ19502を含み、このグリップ19502により、外科医、看護師、技師、又はその他の人員はリテーナ19500を操作することができる。グリップ19502は、例えば隆起部分19503など、より良好な把持面を提供し得る非平滑化表面を含み得る。リテーナ19500は、組織厚さコンペンセータが装着され得る表面19504を含み得る。表面19504は、1つ又は2つ以上の突起19506を含んでよく、突起19506は組織厚さコンペンセータの凹部と係合し、組織厚さコンペンセータをリテーナ19500の表面19504に対して整列させ得る。突起19506が、凹部と係合すると、組織厚さコンペンセータを表面19504に保持することができるように、組織厚さコンペンセータの凹部は、突起19506よりもわずかに小さくてもよい。突起19506は、組織厚さコンペンセータのホールを通り抜け、例えば、
図95に示すアンビル19550の切断ブレードスロット19558などのスロットと係合し、それによって、組織厚さコンペンセータをリテーナ19500と整列させると共に、リテーナ19500とアンビル19550との更なる整列をもたらし得る。組織厚さコンペンセータ19540は、組織厚さコンペンセータをアンビル19550に取り付けるために、上述した接着剤及び/又は係合機構を表面19542上に含み得る。
【0179】
図94aに示すように、ステープルカートリッジ19530は、リテーナ19500に取り付けられ得る。ステープルカートリッジ19530は、リテーナ19500から延びるクリップ19510及び19512によって、リテーナ19500に取り付けることができる。リテーナ19500のクリップ19512は、ステープルカートリッジ19530のスロット19534と係合することができる。リテーナ19500のクリップ19510は、ステープルカートリッジ19532の底部19532を囲むことができる。本発明によれば、第2の組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ19530に取り付けられ得る。第2の組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ19530のステープルデッキ19536に取り付けられ得る。
【0180】
図95及び96に示すように、リテーナ19500と、組織厚さコンペンセータ19540と、ステープルカートリッジ19530と、を含むリテーナアセンブリ19590は、外科用ステープラなどの外科用装置のアンビル19550の上に、矢印Lの方向に滑動し得る。リテーナ19500の案内タブ19508は、アンビル19950の縁部19552を囲み、リテーナアセンブリ19590をアンビル19550に対して配置し得る。リテーナアセンブリ19590は、
図97及び98に示すように、アンビル19550に係合した後、アンビルは矢印Mの方向に閉鎖され得る。アンビル19550を閉鎖することにより、ステープルカートリッジ19530を外科用装置のチャネル19560内に配置することができる。アンビル19550を閉鎖することにより、リテーナ19500から延びるクリップ19510は、ステープルカートリッジ19530をチャネル19560内に確実に配置するために、チャネル19560のリッジ19562と係合する。ここで
図99及び100を参照すると、アンビル19550が矢印Nの方向に再び開放されるとき、組織厚さコンペンセータ19540は、アンビル19550に取り付けられたままであり、リテーナ19500から分離し得る。リテーナ19500は次いで、矢印O(
図99及び100)の方向に外科用器具から取り除かれて、ステープルカートリッジ19530を外科用装置のチャネル19560内に残し、組織厚さコンペンセータ19540をアンビル19550に取り付けられた状態に残すことができる。
【0181】
図101及び102は、それぞれ組織厚さコンペンセータ19570及び19580の2つの代替的な実施形態の例を示している。
図101は、リテーナ19501に取り付けられた組織厚さコンペンセータ19570の断面図であるが、組織厚さコンペンセータ19570は突出部19574を含むことができ、突出部19574は、アンビル19550の縁部19552と接触し、アンビル19550の外面19556を部分的に囲むことができる。突出部は、アンビル19550を把持し、かつ/又は1種類以上の接着剤を利用してアンビル19550に取り付けられ得る。組織厚さコンペンセータ19570が患者の組織に対して埋め込まれた後に、コンペンセータ19570をアンビル19550から解放するために、突出部19574は、アンビル19550から外向きに屈曲することができ、それによって、組織厚さコンペンセータ19570をアンビル19550から引き離すことを可能にする。
図102は、
図101に示すリテーナ19501に取り付けられた組織厚さコンペンセータ19580の断面図である。組織厚さコンペンセータ19580はソックス19584を含み、ソックス19584は、組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550と整列させるように、かつ/又は、組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550上に保持するように、アンビル19550を囲むことができる。ソックス19584は、組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550上に保持することができる。ソックス19584をアンビル19550から分離させるために、組織厚さコンペンセータ19580は、例えば、穿孔19586にてソックス19584から引き裂かれ得る。したがって、ソックス19584はアンビル19550上に残留することができ、組織厚さコンペンセータ19580の残部は、患者の組織にステープリングされた状態を維持することができる。
【0182】
例えば、組織厚さコンペンセータ19570などの組織厚さコンペンセータは、中に配置された生体適合性物質を含む内側部分を含み得る。生体適合性物質は、例えば、抗炎症剤、凝固剤、及び/又は抗生剤を含み得る。本発明によれば、例えばウェーハなどの本体が、組織厚さコンペンセータの内側部分に挿入され得る。例えば、ウェーハは、組織厚さコンペンセータの開放端部を介して、中に画定された空洞に挿入され得る。ウェーハは、締まり嵌めによって組織厚さコンペンセータの空洞内に保持され得る。ウェーハを組織厚さコンペンセータに組み付けるための工程は、組織厚さコンペンセータが膨張するように組織厚さコンペンセータを加熱する第1の工程を含み得る。組織厚さコンペンセータが膨張するとき、中に画定された空洞もまた膨張し得る。組織厚さコンペンセータが膨張状態にあるとき、第2の工程によれば、ウェーハは空洞に挿入され得る。次いで、組織厚さコンペンセータが冷めるとき、第3の工程によれば、空洞はウェーハの上へと収縮し、ウェーハを空洞内の適所に保持することができる。
【0183】
図105〜115は、別個の挿入用具を含むリテーナの一実施形態を示している。挿入用具は、例えば外科用ステープラなどの外科用器具にアセンブリを挿入するために使用され得る。挿入用具はまた、リテーナアセンブリのステープルカートリッジ及び1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータを外科用器具内の適所に押し込むことができる。
図103及び104を参照すると、リテーナ19600は、第1のプレート19620と第2のプレート19622とを含み得る。第1のプレート19620及び第2のプレート19622は、ヒンジ19612によって連結され得る。ヒンジ19612は、第1のプレート19620を、第2のプレート19622に対してある角度をなして配置することができ、また、第1のプレート19620を、ヒンジ19612を中心として第2のプレート19622に対して回転させることができる。
【0184】
第1のプレート19620は、外向きの面19604と内向きの面19606とを含み得る。同様に、第2のプレート19622は、外向きの面19610と内向きの面19608とを含み得る。第1のプレート19620の内向きの面19606は、カム突出部19614を含み得る。同様に、第2のプレート19622の内向きの面19608は、カム突出部19616を含み得る。
図110〜115を参照すると、第1のプレートの外向きの面19604は、その上に配置された組織厚さコンペンセータを含み得る。第2のプレート19622の外向きの面19601もまた、その上に配置された組織厚さコンペンセータを含み得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、接着剤、係合機構、及び/又はその他の好適な取り付け手段を使用して、外面19604及び19610に取り付けられ得る。リテーナ19600は、
図110及び112〜115に示すように、第2のプレート19622から延びるクリップ19618を含むことができ、これは、ステープルカートリッジ19690と係合するように構成され得る。
【0185】
ここで
図105〜109を参照すると、挿入用具19630は第1の端部19632と第2の端部19634とを含み得る。第1の端部19632は、例えば、外科医、看護師、及び/又は技師によって把持されるよう十分に大きいものであってよい。第2の端部19634は空洞19640を画定し、この空洞は、中に配置されたカム19648を含み得る。カム19648の第1の側は、第1のローブ19642と、第2のローブ19644と、それらの間に配置されたアンチローブ19646と、を含み得る。カム19648の第2の側は、第3のローブ19643と、第4のローブ19645と、それらの間に配置された第2のアンチローブ19647と、を含み得る。例えば、ローブ及びアンチローブは、鏡像の様式で配列され得る。換言すれば、第1のローブ19642は、カム19648の第2の側の第3のローブ19643と正反対に、カム19648の第1の側に配列され得る。同様に、第2のローブ19644は、カム19648の第2の側の第4のローブ19645と正反対に、カム19648の第1の側に配列され得る。更に、第1のアンチローブ19464は、カム19648の第2の側の第2のアンチローブ19647と正反対に、カム19648の第1の側に配列され得る。
【0186】
使用中、挿入用具19630の第2の端部19634は、例えば、第1のプレート19620のカム突出部19614がアンチローブ19646と係合され、第2のプレート19622のカム突出部19616がアンチローブ19647と係合されるように、リテーナ19600の第1のプレート19620と第2のプレート19622との間に設置される。
図112及び113に示すように、リテーナ19600と、挿入用具19630と、1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータと、ステープルカートリッジ19690と、を含む挿入アセンブリ19700が、外科用器具に挿入され得る。外科用ステープラなどの外科用器具は、ステープルカートリッジ19690を受容するように構成されたチャネル19740と、アンビル19720と、を含み得る。挿入アセンブリ19700は、矢印P(
図113)の方向に外科用器具内に挿入されて、ステープルカートリッジ19690をチャネル19740にロックすることができる。そのような位置において、カム19614及び19616は、それぞれアンチローブ19646及び19647と整列されることができる。
【0187】
図114に示すように、ステープルカートリッジ19690がチャネル19470内にロックされた後、挿入用具19600は引き続き、外科用器具に対して、矢印Qの方向に移動されることができる。挿入用具19600が矢印Qの方向に更に移動することにより、第1のローブ19642は第1のカム突出部19614と、第3のローブ19634は第2のカム突出部19616と整列し得る。そのような整列により、リテーナプレート19620及び19622は、ヒンジ19612を中心として矢印R(
図114)の方向に、互いから離れて回転される。そのような状況において、リテーナ19620及び組織厚さコンペンセータ19670はアンビル19720に向かって移動することができ、またリテーナ19622はアンビル19720に向かって移動し、アンビル19720と接触することができる。任意に、上記の結果として、組織厚さコンペンセータ19670はアンビルの上に静置され得る。組織厚さコンペンセータ19670がアンビル19720に取り付けられた後、挿入用具19630は、矢印S(
図115に示す)の方向に後退又は移動され得る。挿入用具19630が矢印Sの方向に移動することにより、カム突出部19614及び19616をそれぞれ第1のローブ19642及び第3のローブ19643から分離させ、それぞれ第1のアンチローブ19646及び第2のアンチローブ19647と再び整列させることができる。第2のローブ19642及び第4のローブ19645は、それぞれカム突出部19614及び19616と当接することができ、挿入用具19630がリテーナ19600から完全に分離するのを防止することができる。カム突出部19614及び19616がアンチローブ19646及び19647と再び整列された状態で、第1のプレート19620は、第2のプレート19622に向かってヒンジ19612を中心として、またアンビル19720から離れて少なくとも部分的に回転することができる。リテーナ19600はまた、例えば、組織厚さコンペンセータ19670をアンビル19720に取り付けられた状態に残して、チャネル19740から分離され、次いで矢印Sの方向に取り除かれることができる。
【0188】
本明細書で説明するように、1つ又は2つ以上の組織厚さコンペンセータを外科用ステープリング器具のエンドエフェクタに取り付けるために、リテーナアセンブリが利用され得る。リテーナアセンブリは、組織厚さコンペンセータ以外の層を外科用器具に取り付けることができる。層は、例えば、吸収性材料及び/又は生体適合性材料を含み得る。
【0189】
図172を参照すると、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタインサート25002を受容するように構成され得る。エンドエフェクタ12は、下部ジョー25070とアンビル25060とを備えることができ、アンビル25060は下部ジョー25070に対して旋回するように構成されている。エンドエフェクタインサート25002は、アンビルインサート25004に旋回可能に連結されるステープルカートリッジ25000を備え得る。エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタインサート25002を受容するように構成されることができ、その結果、例えばステープルカートリッジ25000は下部ジョー25070のステープルカートリッジチャネル25072内に嵌合し、アンビルインサート25004はアンビル25060と接触する。下部ジョー25070は、ステープルカートリッジ25000をステープルカートリッジチャネル25072に固定するように構成された複数の固定部材25074を備え得る。アンビルインサート25004は、アンビル25060の少なくとも1つの保持溝に係合するように構成された少なくとも1つの保持突出部を備え得る。アンビルインサート25004は、本明細書で更に詳細に説明するように、アンビル25060が下部ジョー25070に向かって旋回するとき、それに対応してステープルカートリッジ25000に向かって旋回するように構成され得る。
【0190】
依然として
図172を参照すると、エンドエフェクタインサート25002は、リテーナ25010を更に備え得る。リテーナ25010は、ステープルカートリッジ25000及びアンビルインサート25004のうちの少なくとも一方としっかりと係合し得る。リテーナ25010は、ステープルカートリッジ25000をクリップ留め、係合、スナップ嵌め、クランプ締め、及び/又はフック留めする少なくとも1つの固定クリップ25012を備え得る。
図172に示すように、リテーナ25010は、例えば、その各長手側に2つの固定クリップ25012を備え得る。例えば、固定クリップ25012は、例えばステープルカートリッジ25000の一部分にクリップ留めするように構成され得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、リテーナ25010によってエンドエフェクタインサート25002に対して適所に保持され得る。例えば、組織厚さコンペンセータは、リテーナ25010とステープルカートリッジ25000との間に配置され得る。
【0191】
任意に、操作者がエンドエフェクタインサート25002をエンドエフェクタ12に挿入しているとき、リテーナ25010は、操作者が握るための硬い又は実質的に硬い要素を提供することができる。更に、リテーナ25010は、例えば、リテーナ25010によって閉じ込められている組織厚さコンペンセータが時期尚早に変形することを防止することができる。リテーナ25010は、エンドエフェクタ12を利用して組織を切断及び/又は締結するのに先立って、エンドエフェクタ12から取り除かれることができる。あるいは、リテーナ25010は、エンドエフェクタ12内に配置されたままでもよい。例えば、リテーナ25010は、ステープルがステープルカートリッジ25000のステープル空洞25002(
図207)から発射される際、切断要素25052(
図207)によって切断され得る。リテーナ25010は、例えば、生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えばリテーナ25010は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。リテーナ25010は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。
【0192】
図173を参照すると、エンドエフェクタ26012は、アンビル26060と下部ジョー26070と、を備え得る。本発明によれば、組織コンペンセータ26020は、アンビル26060、下部ジョー26070、及び/又はアンビル26060と下部ジョー26070との両方に解放可能に固定され得る。例えば、第1の組織コンペンセータ26020は下部ジョー26070のステープルカートリッジ26000に解放可能に固定されることができ、第2の組織コンペンセータ26022はアンビル26060に解放可能に固定され得ることができる。第1及び第2の組織コンペンセータ26020、26022は、本明細書で説明した少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様に、変形可能及び/又は弾性であってよい。例えば、第1及び第2のコンペンセータ26020、26022は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えば第1及び第2の組織コンペンセータ26020、26022は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。第1及び第2の組織コンペンセータ26020、26022は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。
【0193】
組織コンペンセータ26020、26022は、堅固な又は実質的に堅固な先端部26024、26026を備え得る。例えば、第1の先端部26024は第1の組織コンペンセータ26020の遠位端部に配置されることができ、第2の先端部26026は第2の組織コンペンセータ26022の遠位端部に配置されることができる。先端部26024、26026は、組織コンペンセータ26020、26022が時期尚早に変形するのを防止又は制限し得る。例えば、先端部26024、26026は、例えば組織コンペンセータ26020、26022がトロカールを通して移動されかつ/又は患者の組織の周りで操作されるとき、組織コンペンセータ26020、26022を保護することができる。同様に、
図174を参照すると、エンドエフェクタ12は、下部ジョー25070のステープルカートリッジ25000に解放可能に固定された第1の組織コンペンセータ25020と、アンビル25060に解放可能に固定された第2の組織コンペンセータ26022と、を備え得る。本発明によれば、先端部25026は第2の組織コンペンセータ25022の遠位端部に配置され得る。先端部25026は、組織コンペンセータ25022の変形可能及び/又は弾性部分に隣接して配置されてもよい。先端部25026は、組織コンペンセータ25022の一部分を越えてかつ/又はその周囲を延びることができ、それにより、先端部25026は組織コンペンセータ25022の遠位端部及び中間部分を保護する。
【0194】
図175〜202を参照すると、例えば、スリーブ27010が、外科用器具のエンドエフェクタ12のアンビル25060と係合するように構成され得る。スリーブ27010は、叉部分27040(
図176〜179)と、ノーズ部27080(
図186〜189)と、コンペンセータ27120(
図180〜182)と、を備え得る。スリーブ27010は、並進している発射バー25052(
図196)がエンドエフェクタ12の遠位端部に接近するときにコンペンセータ27020を解放するように構成され得る。コンペンセータ27020は、本明細書で説明した少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様に、変形可能及び/又は弾性であってよい。例えば、コンペンセータ27020は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えばコンペンセータ27020は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。コンペンセータ27020は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。主として
図175を参照すると、叉部分27040は、アンビル25060の外面25061の上及び/又は周りに配置され得る。スリーブ27010のノーズ部27080は、アンビル25060の遠位部分及び/又はその周りに配置され得る。コンペンセータ27020は、アンビル25060の内面の上及び/又は周りに配置され得る。
【0195】
依然として
図175を参照すると、叉部分27040は少なくとも1つの叉27042aを備え得る。任意に、
図505〜508に示すように、叉部分27040は第1の叉27042aと第2の叉27042bとを備え得る。叉27042a、27042bは、例えば、対照的又は実質的に対照的であり得る。第1の叉27042aは、第2の叉27042bに対して非対称的であってもよい。第1及び/又は第2の叉27042a、27042bは、それらの遠位端部で狭小化してもよい。例えば、各叉27042a、27042bは狭小化端部27048を備え得る。主として
図178を参照すると、叉部分27040は、例えば付形され得る。再び
図175を参照すると、叉部分27040の外形は、例えば、アンビル25060の外面25061の外形に一致又は実質的に一致し得る。主として
図178及び179を参照すると、叉部分27040はまた、第1の叉27042aから延びる少なくとも1つのキャッチ27044aを備え得る。第1のキャッチ27044aは、叉部分27040の第1の側に配置されることができ、第2のキャッチ27044bは叉部分27040の第2の側に配置されることができる。キャッチ27044a、27044bは、例えば、叉部分27040の近位端部又はその近くに配置され得る。キャッチ27044a、27044bは、例えば、第1及び/又は第2の叉27042a、27042bに沿ってなど、叉部分27040の遠位端部又はその近くに配置され得る。キャッチ27044a、27044bは、叉部分27040の相当な長さにわたって、かつ/又は叉部分27040の短い方の長さにわたって延び得る。複数のキャッチ27044a、27044bが、例えば、叉部分の各長手側部に沿って配置され得る。主として
図179を参照すると、第1のキャッチ27044aは第1のキャッチ延長部27046aを備えることができ、かつ/又は第2のキャッチ27044bは第2のキャッチ延長部27046bを備えることができる。例えば、第1のキャッチ延長部27046aは、キャッチ27044aの少なくとも一部分から突出することができ、第2のキャッチ延長部27046bは、キャッチ27044bの少なくとも一部分から突出し得る。更に、本明細書で詳細に説明するように、第1のキャッチ延長部27046a及び第2のキャッチ延長部27046bはそれぞれ、コンペンセータ27020の間隙27128(
図181)と係合するように構成され得る。
【0196】
ここで
図201を参照すると、スリーブ27010用のコンペンセータ27020は、長手突出部27024と、コンペンセータ27020の各長手側部の縁部27026と、を備え得る。コンペンセータ27020は、アンビル25060の内面25063に隣接して配置され得る。更に、スリーブ27010がアンビル25060上に配置されるとき、長手突出部27024は、アンビル25060の長手スロット25062と実質的に整列されかつ/又はこの長手スロット25062内に配置され得る。コンペンセータ27020の縁部27026は、アンビル25060の外面25061に向かってアンビル25060を少なくとも部分的に包み得る。主として
図180〜181を参照すると、スリーブ27110用のコンペンセータ27120は、長手突出部27124を有する本体27122を備えることができ、長手突出部27124は本体27122の少なくとも一部分に沿って延びている。長手突出部27124は、例えば、本体27122の中央に沿って長手経路を画定し得る。長手突出部27124は、スリーブ27110がアンビル25060上に配置されるとき、アンビル25060の長手スロット25062(
図201)によって受容され得る。主として
図182を参照すると、長手突出部27124は、丸みを帯びた突起を含み得る。例えば、長手突出部27124の断面は、円弧及び/又は不完全な輪を形成し得る。あるいは、長手突出部27124は、角張った及び/又は段状の突起を備えてもよい。コンペンセータ27120は、例えば、直線、屈曲、溝付き、波形、かつ/又はZ字形であり得る縁部27126を更に備え得る。縁部27126は間隙27128を備え得るが、間隙27128は、組み立てられたスリーブ27110がアンビル25060上に配置されるとき、キャッチ延長部27046a、27046b(
図179)を受容するように構成され得る。例えば、キャッチ延長部27046a、27046bは、間隙27128に嵌り込んで25060と係合することができ、そのため、キャッチ延長部27046a、2704アンビル6bはスリーブ27110をアンビル25060に固定するのを助けるようになっている。
【0197】
主として
図183〜185を参照すると、スリーブ27210用のコンペンセータ27220は、長手突出部27224を備える本体27222を備えることができ、長手突出部27224は本体27222の少なくとも一部分に沿って延びている。任意に、上記と同様に、長手突出部27224は、スリーブ27210がアンビル25060上に配置されるとき、アンビル25060の長手スロット25062(
図202)によって受容され得る。主として
図185を参照すると、長手突出部27224は、角張った突起を備えることができ、そのため、突出部70224の断面は実質的に矩形の形状を形成する。コンペンセータ27220は、例えば、直線、屈曲、溝付き、波形、かつ/又はZ字形であり得る縁部27226を更に備え得る。縁部27226は間隙27228を備え得るが、間隙27228は、組み立てられたスリーブ27210がアンビル25060上に配置されるとき、キャッチ延長部27046a、27046b(
図179)を受容するように構成され得る。例えば、キャッチ延長部27046a、27046bは、間隙27228に嵌り込んでアンビル25060と係合することができ、そのため、キャッチ延長部27046a、27046bはスリーブ27210をアンビル25060に固定するのを助けるようになっている。コンペンセータ27220は、コンペンセータ27220の本体27222を横方向に横断する複数のリブ27229を更に備え得る。リブ27229は、スリーブ27210がアンビル25060上に配置されるとき、及び/又はコンペンセータ27220が組織と接触するとき、コンペンセータ27220の本体27222を支持することができる。
【0198】
図386〜390を参照すると、スリーブ27010のノーズ部27080は、整列リッジ27082を備えることができ、整列リッジ27082は、アンビル25060の長手スロット25062(
図201)と実質的に整列され得る。整列リッジ27082が長手スロット25062と整列されるとき、そしてスリーブ27010がアンビル25060上に配置されるとき、ノーズ部27082は、スリーブ27010の叉部分27040の遠位部分を少なくとも部分的に囲み得る。例えば、各叉27042a、27042bの狭小化端部27048は、スリーブ27010がアンビル25060上に配置されるとき、ノーズ部27080内に配置され得る。本明細書で更に詳細に説明するように、叉部分27042がノーズ部27080と係合されるとき、ノーズ部27080は叉27042a、27042bを更に互いに接近させてかつ/又は下向きに屈曲させ得る。更に、
図190に示すように、例えば、叉部分27040の狭小化端部27048がノーズ部27080内に配置されるとき、叉部分27040のキャッチ27044a、27044bは、コンペンセータ27020の縁部27026と係合し得る。そのような係合の結果として、コンペンセータ27010はアンビル25060に固定され得る。
【0199】
図191〜195を参照すると、ノーズ部27080がスリーブ27010の叉部分27040と係合されると、コンペンセータ27020はアンビル25060に固定され得る。ノーズ部27080は、発射バー25050がアンビル25060の長手スロット25062の一部分に沿って並進する際、叉部分27040と係合したままであることができる。ここで
図195〜200を参照すると、例えば、発射バー25050の切断要素25052、及び/又は、保持フランジ25054など、発射バー25050の他の任意の好適な部分が、アンビル25060の遠位端部に接近するとき、発射バー25050はノーズ部27080を叉部分27040から分離することができる。例えば発射バー25050はノーズ部27080と接触し、ノーズ部27080を押してアンビル25060から外すことができ、そのため、ノーズ部27080はスリーブ27010の叉部分27040から切り離されるようになる。ここで
図202を参照すると、ノーズ部27080が叉部分27040から分離されるとき、第1及び第2の叉27042a、27042bは、撓曲してアンビル25060から離れるように構成され得る。例えば、叉部分27070がノーズ部27080と係合されると、叉27042a、27042bは、互いに接近してかつ/又はアンビル25060に向かって下向きに撓曲され、ノーズ部27080によってそのような位置に保持されることができる。叉27042a、27042bは、ノーズ部27080によってばね荷重下に保持されることができ、そのため、ノーズ部27080が叉27042a、27042bから分離されると、叉27042a、27042bは中立の形態に戻ろうとする。あるいは、ノーズ部27080が叉27042a、27042bから分離されると、叉27042a、27042bが、発射バー25050によって外向きに変形又は広がることができるように、叉27042a、27042bは十分に変形可能となり得る。叉27042a、27042bがアンビル25060から離れて移動するとき、各叉27042a、27042bの長手側部に沿ったキャッチ27044a、27044bは、コンペンセータ27020を分離することができ、それによってコンペンセータ27020をアンビル25060から解放することができる。
【0200】
図203〜209を参照すると、例えば外科用器具のエンドエフェクタ12は、エンドエフェクタインサート28010を受容するように構成され得る。エンドエフェクタインサート28010は、コンペンセータ本体28012と、少なくとも1つのクリップ28014a、28014bと、を備え得る。エンドエフェクタインサート28010は、例えば、コンペンセータ本体28012の近位端部にある近位クリップ28014bと、コンペンセータ本体28012の遠位端部にある遠位クリップ28014aと、を備え得る。主として
図206を参照すると、遠位クリップ28014aは、エンドエフェクタ12のアンビル25060に、アンビル25060の遠位端部又はその近くで固定され得る。例えば、遠位クリップ28014aは、アンビル25060の長手スロット25062と実質的に整列され、かつ/又はこの長手スロット25062内に部分的に配置され得る。主として
図207を参照すると、近位クリップ28014bは、エンドエフェクタ12(
図208)の下部ジョー25070においてステープルカートリッジ25000に固定され得る。近位クリップ28014bは、ステープルカートリッジ25000の近位端部又はその近くでステープルカートリッジ25000に固定され得る。例えば、近位クリップ28014bは、ステープルカートリッジ25000の長手スロット25062と実質的に整列され、かつ/又はこの長手スロット25004内に配置され得る。
【0201】
ここで
図208及び209を参照すると、エンドエフェクタインサート28010は、外科用器具のエンドエフェクタ12に挿入され得る。任意に、例えば、コンペンセータ本体28012、遠位クリップ28014a、及び/又は近位クリップ28014bなど、エンドエフェクタインサート28010の少なくとも一部分は、変形可能及び/又は弾性であってよい。エンドエフェクタインサート28010がエンドエフェクタ12に挿入されると、遠位及び/又は近位クリップ28014a、28014bは湾曲又は撓曲することができる。例えば、クリップ28014a、28014bが撓曲されると、クリップ28014a、28014bは、例えば、それらの初期の未変形の形態に戻ろうとすることができ、またそれに応じた戻り又は復元力を生じさせることができる。任意に、エンドエフェクタインサート28010がエンドエフェクタ12内に配置されると、エンドエフェクタインサート28010はばね荷重をエンドエフェクタ12に加えることができる。エンドエフェクタインサート28010は、硬い又は実質的に硬くてよく、そのため、操作者がエンドエフェクタインサート28010及びステープルカートリッジ25000をエンドエフェクタ12に挿入しているとき、操作者はインサート28010をつかむことができる。
【0202】
エンドエフェクタインサート28010は、エンドエフェクタ12の切断及び/又は締結操作に先立って、エンドエフェクタ12から取り除かれ得る。あるいは、エンドエフェクタインサート28010は、切断及び/又は発射操作の間、エンドエフェクタ12内に配置されたままでいることができる。例えば、エンドエフェクタインサート28010は、ステープルがステープルカートリッジ25000のステープル空洞25002(
図207)から発射される際、切断要素25052によって切断され得る。エンドエフェクタインサート28010は、本明細書で説明した組織厚さコンペンセータのうちの少なくとも1つと類似した組織厚さ補償材料を含み得る。例えば、エンドエフェクタインサート28010は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えばエンドエフェクタインサート28010は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。エンドエフェクタインサート28010は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。
【0203】
図210〜215を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020は、外科用器具のエンドエフェクタ12内に配置され得る。組織厚さコンペンセータ29020は、本明細書で説明した組織厚さコンペンセータのうちの少なくとも1つと実質的に類似し得る。例えば、組織厚さコンペンセータ29020の変形によって戻り又は復元力が生じるように、組織厚さコンペンセータ29020は十分に変形可能かつ弾性であり得る。主として
図211を参照すると、静電荷が組織厚さコンペンセータ29020をエンドエフェクタ12のアンビル25060に引きつけることができ、そのため、この静電荷によって組織厚さコンペンセータ29020がアンビル25060に固定される。アンビル25060が組織厚さコンペンセータ29020を解放するように、静電荷は中和され得る。それに加えてあるいはそれに代わって、ここで
図212を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020は少なくとも1つの吸引要素29022によってアンビル25060に固定され得る。例えば、組織厚さコンペンセータ29020の表面上にある複数のマイクロ吸引要素29022は、組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に解放可能に固定することができる。それに加えて又はそれに代わって、
図213を参照すると、フックループ式ファスナ29024が組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に固定することができる。例えば、組織厚さコンペンセータ29020の表面は複数のフック型ファスナ29024aを備えることができ、アンビル25060の表面は複数のループ型ファスナ29024bを備えることができる。フック型ファスナ29024aは、組織厚さコンペンセータ29020がアンビル25060に解放可能に固定されるように、ループ型ファスナ29024bと係合し得る。
【0204】
それに加えてあるいはそれに代わって、ここで
図214を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020はバンド29026によってアンビル25060に固定され得る。バンド29026はエラストマーポリマーを含むことができ、かつ/又はアンビル25060の周りに縛られるか若しくは結ばれ得る。バンド29026がアンビル25060から取り外されると、組織厚さコンペンセータ29020はアンビル25060から解放され得る。バンド29026の取外しを容易にするために、バンド29026は、例えば伸張及び/又は切断されてよい。本発明によれば、複数のバンド29026が組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に固定してもよい。それに代わってあるいはそれに加えて、ここで
図215を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020は、組織厚さコンペンセータ29020の遠位端部に配置されたソックス29028によって、アンビル25060に固定され得る。ソックス29028は、例えば、中にアンビル25060の遠位端部を受容するように構成され得る。組織厚さコンペンセータ29020の整列レッジ29029は、アンビル25060の長手スロット25062と整列されかつ/又はこの長手スロット25062内に配置され得る。例えば、組織厚さコンペンセータ29020がアンビル25060上に配置及び/又はアンビル25060から取り外されると、整列レッジ29029は長手スロット25062内で滑動し得る。
【0205】
図216〜218を参照すると、組織厚さコンペンセータ30020は外科用器具のエンドエフェクタ12のアンビル25060に配置され得る。組織厚さコンペンセータ30020は本体30022とポケット30024とを備え得る。コンペンセータ材料30026は、例えば、本体30022とポケット30024との間に保持され得る。例えばコンペンセータ材料30026は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。それに加えてあるいはそれに代わって、コンペンセータ30026は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。組織厚さコンペンセータ30020は、本明細書で説明した少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様に、変形可能及び/又は弾性であってよい。例えば、組織厚さコンペンセータ30020は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えば組織厚さコンペンセータ30020は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。
【0206】
主として
図217を参照すると、組織厚さコンペンセータ30020の本体30022は整列要素30028を備えることができ、整列要素30028は、組織厚さコンペンセータ30020がアンビル25060に固定されると、アンビル25060の長手スロット25062内に受容され得る。本体30022は、段状の厚さを備えることができ、そのため、本体30022の幾何学的形状はアンビル25060の幾何学的形状と実質的に対応するようになっている。更に、本体30022は長手フランジ30029を備え得る。例えば、長手フランジ30029は、例えば組織厚さコンペンセータ30020の本体30022の各長手側部に沿って延び得る。長手フランジ30029は、アンビル25060を少なくとも部分的に包んで、組織厚さコンペンセータ30020をアンビル25060に固定することができる。更に、例えば、長手フランジ30029は十分に弾性であることができ、そのため、長手フランジ30029は撓曲してアンビル25060に適合及び/又は係合することができる。長手フランジ30029は、フランジ30029がアンビル25060と係合すると、クランプ力をアンビル25060に及ぼし得る。ポケット30024はくぼみ30025を備え得る。例えば、組織厚さコンペンセータ30020がアンビル25060に固定されると、くぼみ30025はアンビル25060の長手スロット25062と実質的に整列され得る。並進している切断要素25052(
図207)が、組織厚さコンペンセータ30020を、その組織厚さコンペンセータ30020が薄くなるところで切断するようにするため、組織厚さコンペンセータ30020はくぼみ30025にてより薄くなり得る。
【0207】
ここで
図219及び220を参照すると、組織厚さコンペンセータ30120は、補償材料30026を中に保持するように構成された本体30122を備え得る。組織厚さコンペンセータ30120は、整列要素30128、くぼみ30125、及び/又は長手フランジ30129を備え得る。組織厚さコンペンセータ30120はまた、開位置と閉位置との間で移動され得るラッチ30124を備え得る。
図219に示すように、ラッチ30124が閉位置にあるとき、補償材料30026は組織厚さコンペンセータ30120の本体30122内に封入されることができ、また、
図220に示すように、ラッチ30124が開位置にあるとき、補償材料30026は本体30122から出ることができる。本明細書で説明した組織厚さコンペンセータのうちの少なくとも1つと同様に、組織厚さコンペンセータ30120は変形可能及び/又は弾性であり得る。例えば、組織厚さコンペンセータ30120は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えば、組織厚さコンペンセータ30120は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。組織厚さコンペンセータ30120が弾性であることにより、本体30122の少なくとも一部分は撓曲して、ラッチ30124を開位置と閉位置との間で移動させ得る。組織厚さコンペンセータ30120の本体30122は、アンビルが手術部位から取り除かれたときに、アンビルに取り付けられたままであることができる。例えば、本体30122は、本体30122を中に捕捉した可能性のある任意のステープルから引き離されるように構成され得る。
【0208】
図221を参照すると、組織厚さコンペンセータ30220は、本体30222とポケット30224とを備え得る。コンペンセータ材料30026は、例えば、本体30222とポケット30224との間に保持され得る。組織厚さコンペンセータ30220は、整列要素、くぼみ、及び/又は長手フランジ30229を備え得る。更に、少なくとも1つの長手フランジ30229は溝又はスロット30228を備えることができ、この溝又はスロット30228は、組織厚さコンペンセータ30220のポケット30224から延びるタブ30225を受容するように構成され得る。そのような場合、溝30228とタブ30225との係合により、本体30222とポケット30224とが連結され得る。更に、そのような場合、溝30028とタブ30025との連結により、補償材料30026が組織厚さコンペンセータ30220内に封入及び/又は保持され得る。ここで
図222を参照すると、組織厚さコンペンセータ30320のポケット30324は、ポケット30324から延びるアンカー30325を備え得る。更に、組織厚さコンペンセータ30320は、開口部30328を有する本体30322を備え得る。アンカー30325は、ポケット30324から延びて本体30322の開口部30328と係合し得る。そのような構成において、ポケット30324及び本体30222は、それらの間に補償材料30026を包み込むことができる。組織厚さコンペンセータ30320は、1つ又は2つ以上のフランジ30229を更に備えることができ、フランジ30229は、本体30322をアンビルに保持するために、アンビルに装着され得る。
【0209】
ここで
図223を参照すると、組織厚さコンペンセータ30420は本体30422とポケット30424とを備え得る。補償材料30026は、組織厚さコンペンセータ30420の本体30422とポケット30424との間に保持され得る。本体30422は穴30428を備えることができ、ポケット34024はアンカー30425を備え得る。アンカー30425は、例えば、ポケット30424から本体30422の穴30428を通って延び得る。アンカー30425は、例えば、組織厚さコンペンセータ30420がアンビル25060に固定されるときに、アンビル25060と係合し得る。アンカー30525は、アンカー30425がアンビル25060と係合するときにアンカー30425が撓曲するように、十分に変形可能でかつ弾性であり得る。更に、撓曲したアンカー30425はクランプ力をアンビル25060に加えて、組織厚さコンペンセータ30420をアンビル25060に固定する、又は固定するのを助けることができる。あるいは、アンカーは、コンペンセータ本体の穴を完全に貫いて延びなくてもよい。
図224を参照すると、組織厚さコンペンセータ30520のポケット30524のアンカー30525は、組織厚さコンペンセータ30520の本体30522の穴30528と係合し得る。アンカー30525は穴30528と係合して、ポケット30524を本体30522に固定することができる。例えば、穴30528は、受け口へと延びるネック付き部分を備え得る。アンカー30525は固定縁部を備えることができ、この固定縁部は、ネック付き部分を通過し、受け口と係合して、アンカー20525を穴30528内に固定することができる。組織厚さコンペンセータ30520はまた、例えば、整列要素、くぼみ、及び/又は長手フランジ30529を備え得る。
【0210】
図225〜227を参照すると、組織厚さコンペンセータ31020は、外科用器具のエンドエフェクタ31012のアンビル31060と係合するように構成され得る。組織厚さコンペンセータ31020は、外側フィルム31022と、内側フィルム31024と、それらの間に配置される補償材料31026と、を含み得る。組織厚さコンペンセータ31020は、本明細書で説明した組織厚さコンペンセータのうちの少なくとも1つと同様に、変形可能及び/又は弾性であり得る。例えば、補償材料31026は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えば組織厚さコンペンセータ31020は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。組織厚さコンペンセータ31020は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。組織厚さコンペンセータ31020の補償材料31206は治療薬を含み得る。
【0211】
内側フィルム31024は、例えば、アンビル31060のステープル形成ポケット31066に隣接して配置され得る。主として
図225を参照すると、内側フィルム31024は段状の幾何学的形状を備えることができ、その結果、内側フィルム31024の幾何学的形状がアンビル31060の幾何学的形状に実質的に対応するようになっている。例えば、内側フィルム31024は整列リッジ31028を更に備えることができ、整列リッジ31028は、アンビル31060の長手スロット31062と実質的に整列されかつ/又はそれと平行であり得る。本明細書で更に詳細に説明するように、内側フィルム31024は内側フランジ31025を備えることができ、内側フランジ31025は、内側フィルム31024の各長手側部から延び、キャッチ31027で終端する。外側フィルム31022は、例えば、本体31021と、少なくとも1つの外側フランジ31023と、を備え得る。任意に、例えば外側フランジ31023は、本体31021の各長手側部から延び得る。外側フランジ31023は内側フランジ31025に固定されることができ、そのため、補償材料31026は外側フィルム31022と内側フィルム31024との間に保持される。
【0212】
主として
図227を参照すると、アンビル31060は、外面31061と、その外面31061の少なくとも一部分に沿った少なくとも1つの溝31064と、を備え得る。本発明によれば、内側フィルム31024の内側フランジ31025上のキャッチ31027は溝31064内に配置され得る。
図226を参照すると、例えば、組織厚さコンペンセータ31020はアンビル31060の周りを滑動することができる。アンビル31060の溝31064は、アンビル31060の遠位端部へと延びることができる。そのような場合、組織厚さコンペンセータ31020のキャッチ31027は、溝31064の中へ、また組織厚さコンペンセータ31020の長さに沿って滑動し得る。
【0213】
ここで
図228及び229を参照すると、組織厚さコンペンセータ31120は、補償材料31026と少なくとも1つのコネクタ31124とを備え得る。各コネクタ31124は、補償材料31026の周囲を延びることができ、その対向端部にあるキャッチ31127で終端し得る。キャッチ31127は、アンビル31060の溝31064内に配置されて、組織厚さコンペンセータ31120をアンビル31060に締結し得る。アンビル31060の溝31164は、アンビル31060の遠位端部へと延びることができる。そのような場合、コネクタ31124のキャッチ31127は溝31064の中に滑動し得る。あるいは、コネクタ31224は、アンビル31060の周りで撓曲及びスナップ嵌めすることができるように、弾性であり得る。使用の際、コネクタ31224は、補償材料31026がアンビル31060から分離するまで、補償材料31026を適所に保持し得る。特定の状況において、コネクタ31224は、アンビル31060に取り付けられたままであることができ、アンビルと共に手術部位から取り除かれることができる。特定のその他の状況において、コネクタ31224はアンビル31060から分離することができ、補償材料31026と共に埋め込まれることができる。
【0214】
図230〜236を参照すると、組織厚さコンペンセータ32020は、本体部分32022と、少なくとも1つの長手フランジ32024と、少なくとも1つのポケット32026と、を備え得る。組織厚さコンペンセータ31020は、本明細書で説明した組織厚さコンペンセータのうちの少なくとも1つと同様に、変形可能及び/又は弾性であり得る。例えば、補償材料31026は、例えば生体吸収性で生体適合性のエラストマーポリマーなど、ポリマー組成物を含み得る。例えば組織厚さコンペンセータ31020は、例えば凍結乾燥された多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)など、生体吸収性ポリマーを更に含み得る。長手フランジ32024は、本体部分32022の各長手側部に沿って延び得る。主として
図233を参照すると、組織厚さコンペンセータ32020の長手フランジ32024は、アンビル25060と係合するように構成され得る。例えば、組織厚さコンペンセータ32020は、アンビル25060及び長手フランジへと滑動することができ、アンビル25060の一部分を少なくとも部分的に包むことができる。そのような場合、フランジ32024は、例えば組織厚さコンペンセータ32020をアンビル25060に固定し得る。任意に、組織厚さコンペンセータ32020がアンビルに固定されるとき、組織厚さコンペンセータ32020の本体部分32022は、アンビル25060の内面のステープル形成ポケット25066と重なり得る。
【0215】
上記に加えて、複数のポケット32026は、本体部分32022を横方向に横断し得る。主として
図234を参照すると、複数のポケット32026は、製薬的に活性の薬剤又は薬物など、少なくとも1種類の治療薬を含み得る。本発明によれば、複数の第1のポケット32026aは第1の治療薬又はその組み合わせを含むことができ、複数の第2のポケット32026bは第2の治療薬又はその組み合わせを含むことができる。第1のポケット32026a及び第2のポケット32026bは、例えば、本体部分32022に沿って交互に配置され得る。更に、第1の治療薬が第1のポケット32026aから放出され、第2の治療薬が第2のポケット32026bから放出されるとき、第1及び第2の治療薬は互いに反応するように構成され得る。
図236を参照すると、例えば、発射バー25050の切断要素25052がアンビル25060の長手スロット25062に沿って並進するとき、ポケット32026は、中に保持されている治療薬を放出することができる。
【0216】
ここで
図237を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、アンビル32560と、組織厚さコンペンセータ32520を含むステープルカートリッジ32500と、を備え得る。上記と同様に、ステープルカートリッジ32500は、中に少なくとも部分的に収容された複数のステープル32530を備えることができ、ステープル32530はステープルカートリッジ32500から発射されて、その中に組織厚さコンペンセータ32520を捕捉することができる。やはり上記と同様に、ステープル32530は、組織厚さコンペンセータ32520を貫通し、アンビル32560に画定されたステープル形成ポケット3256と接触し得る。ここで
図239を参照すると、アンビル32560は、アンビル32560に付着された層32570を更に備えることができ、層32570は、組織厚さコンペンセータ32580をアンビル32560に保持するように構成され得る。例えば、層32570は、電荷を保持及び/又は生成し、組織厚さコンペンセータ32580を引きつけるように構成され得る帯電性層を含み得る。より具体的に言えば、例えば、ファンデルワールス分子力が、能動的に作動されるか受動的に作動されるかにかかわらず、組織厚さコンペンセータ32580を層32570に保持することができる。帯電性層32570は、制御器を備え得る外科用ステープリング器具のハンドルと電気通信していることができ、その制御器は、帯電性層32570を電源と選択的に結合させ、その結果、静電荷を帯電性層32570内に選択的に発生させるように構成されている。例えば、帯電性層32570は、例えばポリマーに埋め込まれた導電性電極を備え得る。いずれにせよ、静電的に帯電した層32570は、反対に帯電した粒子を組織厚さコンペンセータ32580に引き寄せ、組織厚さコンペンセータ32580をアンビルに保持することができる。ここで
図238を参照すると、帯電性層32570は、互いに電気通信している導体32571のグリッド又は格子を備え得る。例えば、導体は、アンビル32560に画定されたステープル形成ポケット32562を囲むように、配置及び配列され得る。そのような場合、ステープル32530はステープルカートリッジ32500から発射され、次いで、中に導体32571を捕捉することなくアンビル32560によって変形され得る。様々な状況において、帯電性層32570は、層32570内の静電荷が散逸し得るように、ステープル32530が組織厚さコンペンセータ32580と係合された後、電源から分離され得る。特定の他の状況において、帯電性層32570は、ステープル32530が発射されるのに先立って、電源から分離され得る。いずれにせよ、静電荷が散逸すると、アンビル32560は再び開放されることができ、層32570は組織厚さコンペンセータ32580から離れて移動され得る。層32570が組織厚さコンペンセータ32580から分離され得る前に静電荷が完全に散逸する必要がある場合があるが、それに代わって、層32570内の静電荷が完全に散逸する前に、層32570が組織厚さコンペンセータ32580から分離されてもよい。上記の結果として、組織厚さコンペンセータ32580は、化学的な接着剤を使用することなくアンビル32560に取り付けられることができる。
【0217】
上記に加えて、層32570はまた、外科用ステープリング器具のハンドルにフィードバック能力を提供することができる。例えば、層32570は感圧性であってよく、また例えば、アンビル32560によってクランプ圧力が層32570に加えられていることを検知するように構成されてもよい。
【0218】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータは生体適合性材料から構成され得る。フォームなどの生体適合性材料は、所望の特性を材料にもたらすために、粘着付与剤、界面活性剤、充填剤、架橋剤、顔料、染料、抗酸化剤、及びその他の安定剤、並びに/又はそれらの組み合わせを含み得る。生体適合性フォームは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、材料の表面に塗布されてもよいし、かつ/又は材料中に分散されてもよい。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、生体適合性材料に塗布された界面活性剤は、その材料と接触する流体の表面張力を低減し得る。例えば、界面活性剤は、その材料と接触する水の表面張力を低減して、水が材料に浸透するのを加速させ得る。その水は、触媒として作用し得る。界面活性剤は、材料の親水性を増大させ得る。
【0219】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又は非イオン生界面活性剤を含み得る。例示的な界面活性剤には、これらに限定されるものではないが、ポリアクリル酸、メタロース(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びポリオキサマー、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤は、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含んでもよい。界面活性剤は、リン脂質の界面活性剤を含んでもよい。リン脂質の界面活性剤は、抗菌性の安定化特性をもたらし、かつ/又は他の材料を生体適合性材料中に分散させ得る。組織厚さコンペンセータは、少なくとも1種類の薬物を含み得る。組織厚さコンペンセータは、本明細書で説明した天然材料、非合成材料、及び/又は合成材料のうちの1種類以上を含み得る。組織厚さコンペンセータは、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、酸化再生セルロース、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリグレカプロン、及びそれらの組み合わせを含む生体適合性フォームを含み得る。組織厚さコンペンセータは、少なくとも1種類の薬物を含むフィルムを含み得る。組織厚さコンペンセータは、少なくとも1種類の薬物を含む生分解性フィルムを含み得る。薬物は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含み得る。薬物は、例えば、シスプラチン、マイトマイシン、及び/又はアドリアマイシンなどの抗がん剤を含み得る。
【0220】
組織厚さコンペンセータは、生分解性材料が分解するときに少なくとも1種類の薬物の制御された溶出又は放出をもたらすように、生分解性材料を含んでよい。生分解性材料は、例えば活性剤の流体など、活性剤と接触すると、分解し得るか、崩壊し得るか、又は構造的完全性を失い得る。活性剤の流体は、例えば、食塩水又は任意の他の電解質溶液を含み得る。生分解性材料は、これらに限定されるものではないが、噴霧、浸漬、及び/又はブラッシングなどの従来の技術によって活性剤の流体と接触し得る。使用の際、例えば、外科医は、少なくとも1種類の薬物を含む組織厚さコンペンセータを備えるエンドエフェクタ及び/又はステープルカートリッジを、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び/又は塩化カリウムなどの食塩水を含む活性剤の流体に浸漬することができる。組織厚さコンペンセータが分解すると、組織厚さコンペンセータは薬物を放出することができる。組織厚さコンペンセータからの薬物の溶出又は放出は、高速な初期溶出又は放出速度、及びより低速な持続性の溶出又は放出速度によって特徴付けられ得る。
【0221】
本発明によれば、例えば、組織厚さコンペンセータは、酸化剤を含み得る生体適合性材料から構成され得る。酸化剤は、有機過酸化物及び/又は無機過酸化物であってよい。酸化剤の例には、これらに限定されるものではないが、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、及び過酸化マグネシウム、並びに過炭酸ナトリウムを挙げることができる。酸化剤は、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、ハイポコダイト(hypocodites)、及び過炭酸など、過酸化系の酸化剤及び次亜ハロゲン酸塩系の酸化剤を含み得る。酸化剤は、アルカリ金属の亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、及び過ホウ酸塩、例えば、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウムなどを含み得る。酸化剤はバナジウム酸塩を含み得る。酸化剤はアスコルビン酸を含み得る。酸化剤は活性酸素発生剤を含み得る。本発明によれば、組織スカフォールドは、酸化剤を含む生体適合性材料を含み得る。
【0222】
生体適合性材料は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含み得る。酸化剤は、例えば微小粒子及び/又はナノ粒子を含んでもよい。例えば、酸化剤は、微小粒子及び/又はナノ粒子へとミリングされ得る。酸化剤は、酸化剤をポリマー溶液中に懸濁させることによって、生体適合性材料に組み込むことができる。酸化剤は、凍結乾燥プロセス中に生体適合性材料に組み込むことができる。凍結乾燥の後、酸化剤は生体適合性材料の気泡壁に付着されて、接触時に組織と相互作用し得る。酸化剤は、生体適合性材料に化学結合されなくてもよい。酸素が緩やかに放出されることによる生物学的効果を持続させるために、過炭酸の乾燥粉末が生体適合性フォームに埋め込まれてもよい。酸素が緩やかに放出されることによる生物学的効果を持続させるために、過炭酸の乾燥粉末が、不織構造内のポリマー繊維に埋め込まれてもよい。生体適合性材料は、酸化剤、並びに例えばドキシサイクリン及びアスコルビン酸などの薬物を含んでもよい。
【0223】
生体適合性材料は、急速放出性の酸化剤及び/又はそれより緩やかな持効性の酸化剤を含んでもよい。生体適合性材料からの酸化剤の溶出又は放出は、高速な初期溶出又は放出速度、及びより低速な持続性の溶出又は放出速度によって特徴付けられることができる。酸化剤は、例えば水などの体液と接触するときに酸素を生成し得る。体液の例には、これらに限定されるものではないが、血液、血漿、腹水、脳脊髄液、尿、リンパ液、滑液、硝子体液、唾液、胃腸の管腔内容物、及び/又は胆汁を挙げることができる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、酸化剤は、細胞死を低減させ、組織の生存率を向上させ、かつ/又は切断及び/又はステープリング中に損なわれ得る組織同士の機械的強度を維持させることができる。
【0224】
生体適合性材料は、少なくとも1つの微小粒子及び/又はナノ粒子を含み得る。生体適合性材料は、本明細書で説明する天然材料、非合成材料、及び合成材料のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。生体適合性材料は、約10nm〜約100nm及び/又は約10μm〜約100μm、例えば45nm〜50nm及び/又は45μm〜50μmなどの平均直径を有する粒子を含み得る。生体適合性材料は、中に埋め込まれた少なくとも1つの微小粒子及び/又はナノ粒子を含む生体適合性フォームを含み得る。微小粒子及び/又はナノ粒子は、生体適合性材料に化学結合されなくてもよい。微小粒子及び/又はナノ粒子は、薬物の制御放出をもたらし得る。微小粒子及び/又はナノ粒子は、少なくとも1種類の薬物を含むことができる。微小粒子及び/又はナノ粒子は、例えば止血剤、抗菌剤、及び/又は酸化剤を含んでよい。組織厚さコンペンセータは、酸化再生セルロースを含む止血剤、ドキシサイクリン(doxycline)及び/若しくはゲンタマイシンを含む抗菌剤、並びに/又は過炭酸(percarbant)を含む酸化剤を含む生体適合性フォームを含み得る。微小粒子及び/又はナノ粒子は、例えば最大で3日間、薬物を制御放出することができる。
【0225】
微小粒子及び/又はナノ粒子は、製造プロセス中に生体適合性材料に埋め込まれてもよい。例えば、PGA/PCLなどの生体適合性ポリマーは、例えばジオキサンなどの溶媒と接触して混合物を形成することができる。生体適合性ポリマーは、粉砕されて粒子を形成してもよい。乾燥した粒子は、ORC粒子の有無にかかわらず、混合物と接触されて懸濁液を形成することができる。この懸濁液は凍結乾燥されて、中に乾燥粒子及び/又はORC粒子が埋め込まれたPGA/PCLを含む生体適合性フォームを形成することができる。
【0226】
本明細書で開示する組織厚さコンペンセータ又は層は、例えば吸収性ポリマーから構成され得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、フォーム、フィルム、繊維性織物、繊維性不織PGA、PGA/PCL(ポリ(グリコール酸−コ−カプロラクトン))、PLA/PCL(ポリ(乳酸−コ−ポリカプロラクトン))、PLLA/PCL、PGA/TMC(ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート))、PDS、PEPBO若しくは他の吸収性ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリエステルアミド、及び/又はポリオキサエステルから構成され得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば、PGA/PLA(ポリ(グリコール酸−コ−乳酸))及び/又はPDS/PLA(ポリ(p−ジオキサノン−コ−乳酸))から構成され得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば有機材料から構成され得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、架橋ヒアルロン酸、及び/又は酸化再生セルロースから構成され得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば、15ショアA(65ショアOO)の最高剛度を有する3〜7ショアA(30〜50ショアOO)の範囲のジュロ硬度を有し得る。組織厚さコンペンセータは、例えば、0.03N(3lbf)の荷重下で40%の圧縮、0.06N(6lbf)の荷重下で60%の圧縮、及び/又は0.20N(20lbf)の荷重下で80%の圧縮を受けることができる。例えば、空気、窒素、二酸化炭素、及び/又は酸素など、1種類以上の気体が、組織厚さコンペンセータを通じて泡立てられ、かつ/又は組織厚さコンペンセータに含められ得る。組織厚さコンペンセータは、組織厚さコンペンセータをなす材料剛性の約50%〜約75%をなすビーズを含み得る。
【0227】
本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、ヒアルロン酸、栄養素、フィブリン、トロンビン、多血小板血漿、スルファサラジン(アザルフィジン(Azulfidine)(登録商標)−5ASA+スルファピリジンジアゾ結合))−プロドラッグ−結腸細菌(アゾレダクターゼ)、メサラミン(放出を遅延させるための種々のプロドラッグ構成を有する5ASA)、アサコール(asacol)(登録商標)(5ASA+オイドラギット−Sコーティング−pH>7(コーティング溶解))、ペンタサ(Pentasa)(登録商標)(5ASA+エチルセルロースコーティング−時間/pH依存の徐放性)、メササル(Mesasal)(登録商標)(5ASA+オイドラギット−Lコーティング−pH>6)、オルサラジン(Olsalazine)(5ASA+5ASA−結腸細菌(アゾレダクターゼ))、バルサラジド(5ASA+4アミノベンゾイル−B−アラニン)−結腸細菌(アゾレダクターゼ))、粒状メサラミン、リアルダ(Lialda)(メサラミンの遅延及びSR処方)、HMPL−004(TNFα、インターロイキン1β、及び核−カッパB活性を抑制し得る生薬混合物)、CCX282−B(腸管粘膜へのTリンパ球の輸送に干渉する内服用ケモカイン受容体拮抗剤)、リファキシミン(非吸収性広域抗生物質)、インフリキシマブ、キメラマウス(murine chymieric)(既存療法に対して不適切な反応を示した、中程度/重度の管腔及び瘻管のクローン病を持つ成人/小児の患者において、徴候/症状を軽減し、臨床的な寛解を維持するために承認されたTNFαに対する単クローン抗体)、アダリムマブ、ヒトIgG1(Total Human IgG1)(クローン病の徴候/症状を軽減するために、また、既存療法に対して不適切な反応を示す、中程度/重度の活性のクローン病を持つ、又はインフリキシマブに対して不耐性となった成人患者において、臨床的な寛解を導入及び維持するために承認された抗TNFα単クローン抗体)、セルトリズマブペゴル、ヒト化抗TNF FAB’(クローン病の徴候/症状を軽減するために、また、既存療法に対して不適切な反応を示す、中程度/重度の疾患を持つ成人患者において、反応を導入及び維持するために承認された、ポリエチレングリコールに連結された単クローン抗体断片)、ナタリズマブ、第1の非TNFα阻害剤(クローン病に対して承認された生物学的配合物)、ヒト化単クローンIgG4抗体(炎症の証拠があり、通常のクローン病の治療法及びTNFαの阻害剤に対して不適切な反応を示したかあるいはそれらに耐えられない、中程度/重度の疾患を持つ患者において、臨床反応及び寛解を導入及び維持するためにFDAにより承認された、α4インテグリンに対するもの)、場合によってはインフリキシマブと共に与えられる併用の免疫調節剤、アザチオプリン6−メルカプトプリン(プリン合成阻害剤−プロドラッグ)、メトトレキセート(テトラヒドロ葉酸合成に寄与し、すべてのプリン合成を阻害する、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)酵素を結合する)、アロプリノール及びチオプリン療法、PPI、治癒ライン(healing line)を保護するための制酸薬のH2、C−ディフ−フラジル(C-Diff - Flagyl)、バンコマイシン(糞便の転位置処置;プロバイオティクス;正常な腔内細菌叢の再増殖)、及び/又はリファキシミン(細菌過剰繁殖(特に肝性脳症)の処置;腔内細菌に対する作用では胃腸管に吸収されない)を含み得る。
【0228】
本明細書で説明したように、組織厚さコンペンセータは、例えば、ステープルカートリッジから発射されたステープル内に捕捉されかつ/又はステープルライン内に収容された組織の厚さの変化を補償することができる。換言すれば、ステープルライン内の特定のステープルは、組織の厚い部分を捕捉し得る一方で、ステープルライン内の他のステープルは組織の薄い部分を捕捉し得る。そのような状況において、組織厚さコンペンセータは、ステープル内に様々な高さ又は厚さを想定し、捕捉された組織が厚いか薄いかにかかわらず、ステープル内に捕捉された組織に圧縮力を加え得る。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、組織の硬さにおける変化を補償することができる。例えば、ステープルライン内の特定のステープルは、組織の極めて圧縮性の部分を捕捉し得る一方で、ステープルライン内の他のステープルは、組織のあまり圧縮性ではない部分を捕捉し得る。そのような状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば、より低い圧縮性、つまりより高い硬度を有する組織を捕捉したステープル内にはより低い高さを、それに対応して、より高い圧縮性、つまりより低い硬度を有する組織を捕捉したステープル内にはより高い高さを想定するように構成され得る。いずれにせよ、例えば、組織厚さコンペンセータは、それが組織の厚さの変化及び/又は組織の硬度の変化を補償するかにかかわらず、例えば「組織コンペンセータ」及び/又は「コンペンセータ」と呼ばれ得る。
【0229】
本明細書において開示される装置は、1回の使用の後に処分されるような設計としてもよいし、又は複数回使用されるような設計としてもよい。しかしながら、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整されることができる。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含み得る。具体的には、装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部材の洗浄及び/又は交換に際し、装置は、再調整施設において、あるいは外科手術の直前に手術チームによって、再組み立てしてからその後の使用に供することができる。当業者であれば、装置の再調整に、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できる点が認識されるであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0230】
好ましくは、本明細書で説明した本発明は、外科手術の前に処理される。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖かつ密封された容器に器具を入れる。次いで、容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子線などの、容器を貫通することができる放射線野の中に置く。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は医療施設において開封されるまで器具を無菌状態に保つ。
【0231】
本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許、公報又はその他の開示物も、全体的に又は部分的に、組み込まれた事物が現行の定義、見解、又は本開示に記載されているその他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。したがって、また必要な範囲で、本明細書に明確に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する内容に優先するものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが既存の定義、見解、又は本明細書に記載されているその他の開示内容と矛盾するすべての内容又はそれらの一部は、援用された内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0232】
以上、本発明を例示的な構成を有するものとして説明したが、本発明は本開示の趣旨及び範囲内で更に改変することができる。したがって、本出願はその一般的原理を利用した本発明のいかなる変形、使用又は適応をも網羅するものとする。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における公知の又は従来の実施に含まれるところの本開示からの発展形を網羅するものとする。
【0233】
〔実施の態様〕
(1) 締結器具のアンビルに取り付け可能な薬物送達システムであって、前記アンビルは形成表面を有し、前記薬物送達システムは、
空洞を含む解放材料であって、前記空洞は前記アンビルの前記形成表面と整列されるように構成される、解放材料と、
前記空洞内に配置された薬物と、
前記アンビルに取り付けられるように構成された取り付け部分と、
を備える、薬物送達システム。
(2) 前記空洞は側壁によって画定され、前記解放材料は第1の層と第2の層とを備え、前記第1の層の一部分は、前記第2の層に連結されて前記側壁を画定する、実施態様1に記載の薬物送達システム。
(3) 前記形成表面は、ファスナを変形させるように構成された形成ポケットを備え、前記解放材料は前記形成ポケット内に配置される、実施態様1又は2に記載の薬物送達システム。
(4) 前記薬物は不織酸化再生セルロースを含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の薬物送達システム。
(5) 前記空洞は第1の空洞を含み、前記薬物送達システムは更に、第2の空洞と、前記第2の空洞内に配置された薬物と、を備える、実施態様1〜4のいずれかに記載の薬物送達システム。
【0234】
(6) 前記アンビルの前記形成表面は、ファスナを変形させるように構成された形成ポケットの第1の列と、ファスナを変形させるように構成された形成ポケットの第2の列と、を備え、前記第1の空洞は前記形成ポケットの第1の列と整列され、前記第2の空洞は前記形成ポケットの第2の列と整列される、実施態様5に記載の薬物送達システム。
(7) ステープラと共に使用するためのステープリングアセンブリであって、
複数の形成表面を備えるアンビルと、
前記アンビルに取り付けられたコンペンセータであって、前記形成表面と整列された複数の空洞を備える、コンペンセータと、
各空洞内に配置された少なくとも1種類の薬物と、
を備える、ステープリングアセンブリ。
(8) 前記複数の形成表面は形成ポケットの配列を備え、各形成ポケットはファスナを変形させるように構成され、前記空洞は前記形成ポケットと整列される、実施態様7に記載のステープリングアセンブリ。
(9) 前記複数の形成表面は、形成ポケットの第1の列と、形成ポケットの第2の列と、を備え、各形成ポケットはファスナを変形させるように構成され、前記複数の空洞は、前記形成ポケットの第1の列と整列される第1の空洞と、前記形成ポケットの第2の列と整列される第2の空洞と、を備える、実施態様7又は8に記載のステープリングアセンブリ。
(10) 前記複数の空洞は複数の気泡(bubbles)を備える、実施態様7〜9のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
【0235】
(11) 前記複数の形成表面は形成ポケットの配列を備え、各形成ポケットはファスナを変形させるように構成され、前記気泡は前記形成ポケットの中へ延びる、実施態様10に記載のステープリングアセンブリ。
(12) 前記コンペンセータは第1の層と第2の層とを備え、前記気泡は前記第1の層と前記第2の層との間に画定される、実施態様10又は11に記載のステープリングアセンブリ。
(13) 前記少なくとも1種類の薬物は、粉末の酸化再生セルロースを含む、実施態様7〜12のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
(14) 前記少なくとも1種類の薬物は第1の薬物と第2の薬物とを含み、前記空洞のうちの1つ又は2つ以上は、その中に配置された前記第1の薬物を有し、前記1つ又は2つ以上の空洞は、その中に配置された前記第2の薬物を有する、実施態様7〜13のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
(15) 前記少なくとも1種類の薬物は第1の薬物と第2の薬物とを含み、各空洞は、その中に配置された前記第1の薬物と前記第2の薬物とを備える、実施態様7〜13のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
【0236】
(16) 前記少なくとも1種類の薬物は、水を吸収し膨張するように構成される、実施態様7〜15のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
(17) 前記少なくとも1種類の薬物はヒドロゲルを含む、実施態様7〜16のいずれかに記載のステープリングアセンブリ。
(18) ステープラと共に使用するためのステープリングアセンブリであって、
アンビルであって、
複数の形成表面と、
切断部材を受容するように構成されたスロットと、
を備える、アンビルと、
前記アンビルに取り付けられたコンペンセータであって、前記スロットと整列された複数の空洞を備える、コンペンセータと、
各空洞内に配置された少なくとも1種類の薬物と、
を備える、ステープリングアセンブリ。