特許第6193353号(P6193353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193353複数のカプセルを含む組織厚さコンペンセータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193353
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】複数のカプセルを含む組織厚さコンペンセータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】13
【全頁数】127
(21)【出願番号】特願2015-503520(P2015-503520)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-512725(P2015-512725A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013034073
(87)【国際公開番号】WO2013148815
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】13/433,096
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バスデバン・ベンカタラマナン・マンダコラトゥール
(72)【発明者】
【氏名】アロンホルト・テイラー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】オールドリッジ・ジェフリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・チュンリン
(72)【発明者】
【氏名】シャル・クリストファー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・チェスター・オー・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】チュン・イクスー
(72)【発明者】
【氏名】ベズワダ・ラオ・エス
(72)【発明者】
【氏名】コンロン・ショーン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】クロッパー・マイケル・エス
(72)【発明者】
【氏名】ウス・ジョシュア・アール
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
(72)【発明者】
【氏名】コルビック・ドナ・エル
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−203047(JP,A)
【文献】 特表2008−510515(JP,A)
【文献】 特開2009−006137(JP,A)
【文献】 特開2009−072595(JP,A)
【文献】 特開2011−78763(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0187179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068−17/072
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結器具と共に使用するための組織厚さコンペンセータであって、該組織厚さコンペンセータが、
締結具によって少なくとも部分的に捕捉されるように構成された圧縮可能な層と、
該圧縮可能な層に埋め込まれた複数のカプセルと、を備え、
前記複数のカプセルが、薬剤を含み、
前記圧縮可能な層が、前記カプセルから延在するチャネルを備え、該チャネルが、前記薬剤を運搬するように構成される、組織厚さコンペンセータ。
【請求項2】
前記締結器具が、アンビルを備え、前記組織厚さコンペンセータが、該アンビルに取り付けられるように構成された取り付け部を備える、請求項1に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項3】
前記圧縮可能な層が、組織当接面を含み、前記カプセルが、該組織当接面に埋め込まれる、請求項1又は2に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項4】
各カプセルが、脆弱な外殻を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項5】
前記複数のカプセルが、第1のカプセルと、第2のカプセルと、を含み、該第1のカプセルが、第1の薬剤を含み、該第2のカプセルが、該第1の薬剤とは異なる第2の薬剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項6】
前記第1のカプセル及び前記第2のカプセルが、経路に沿って交互に配置される、請求項5に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項7】
前記チャネルが、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤を運搬するように構成される、請求項5又は6に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項8】
前記アンビルが、複数の凹部を含み、各凹部が、前記カプセルの少なくとも1つを受容するように構成される、請求項7に記載の組織厚さコンペンセータ。
【請求項9】
ステープルカートリッジであって、
デッキと、前記デッキ内に画定されたステープル空洞と、を含む、カートリッジ本体と、
ステープルであって、各ステープルが、該ステープル空洞の1つの中に少なくとも部分的に位置付けられ、該ステープルは、未発射位置と発射済み位置との間で可動である、ステープルと、
圧縮可能な組織厚さコンペンセータであって、該ステープルが、該組織厚さコンペンセータ内に少なくとも部分的に延在し、該ステープルは、該未発射位置と該発射済み位置との間で移動するとき、該組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に捕捉するように構成される、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、
該組織厚さコンペンセータと該デッキとの中間に位置付けられた基板と、を備え
前記基板が、内部に薬剤を含む複数の密閉管を備え、
前記カートリッジ本体が、切断部材を受容するように構成されたスロットを更に備え、前記密閉管が、該スロットの上方に延在し、該密閉管が、該切断部材によって切開されるように構成され、該密閉管の内部に含有される前記薬剤を放出し、
各密閉管が、管軸に沿って延在し、各管軸が、前記スロットに対して横断する方向に延在する、ステープルカートリッジ。
【請求項10】
前記密閉管が、前記ステープルと位置合わせされる、請求項に記載のステープルカートリッジ。
【請求項11】
前記薬剤が、流体を含む、請求項9または10に記載のステープルカートリッジ。
【請求項12】
前記ステープルのそれぞれが、少なくとも1つのステープル脚部を備え、前記基板が、複数の開口部を含み、該ステープル脚部の一部又は全てが、該開口部を通って延在する、請求項9〜1のいずれか一項に記載のステープルカートリッジ。
【請求項13】
前記圧縮可能な組織コンペンセータが、前記基板に取り付けられる、請求項9〜1のいずれか一項に記載のステープルカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許非仮出願は、米国特許法第120条に基づく、米国特許出願第12/894,388号、発明の名称「Fastener System Comprising A Retention Matrix And A Cover」(2010年9月30日出願)の一部継続出願であり、この開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科用器具に関するものであり、様々な実施形態において、組織の切断及びステープリングのために設計された、外科用切断及びステープリング器具並びにステープルカートリッジに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下は、請求される、あるいは請求され得る本発明の実施形態のリストであるが、全てを網羅しているわけではない。
1.組織厚さコンペンセータを製造する方法であって、
親水性材料を含む溶液を調製することと、
薬剤を前記溶液に溶解することと、
前記溶液と疎水性材料とを混合することと、
前記溶液を成形型の中に注入することと、
前記溶液を凍結乾燥することと、を含む、方法。
2.前記凍結乾燥することが、前記成形型を真空チャンバ内に置くことと、該真空チャンバ内の気圧を下げることと、該真空チャンバ内の温度を下げることと、を含む、第1の実施形態に記載の方法。
3.前記凍結乾燥することにより、1枚の材料を生成し、前記方法が、該1枚の材料を切り離すことを更に含む、第1の実施形態又は第2の実施形態に記載の方法。
4.前記薬剤が、溶解して、前記溶液中のミクロ粒子になる、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
5.前記溶液と前記疎水性材料とが混合された後、前記ミクロ粒子が、前記疎水性材料中で懸濁する、第4の実施形態に記載の方法。
6.締結器具と共に使用するための組織厚さコンペンセータであって、該組織厚さコンペンセータが、
締結具によって少なくとも部分的に捕捉されるように構成された圧縮可能な層と、
該圧縮可能な層に埋め込まれた複数のカプセルと、を備える、組織厚さコンペンセータ。
7.前記締結器具が、アンビルを備え、前記組織厚さコンペンセータが、該アンビルに取り付けられるように構成された取り付け部を備える、第6の実施形態に記載の組織厚さコンペンセータ。
8.前記圧縮可能な層が、組織当接面を含み、前記カプセルが、該組織当接面に埋め込まれる、第6の実施形態又は第7の実施形態に記載の組織厚さコンペンセータ。
9.各カプセルが、脆弱な外殻を含む、第6〜第8の実施形態のいずれか1つに記載の組織厚さコンペンセータ。
10.前記複数のカプセルが、第1のカプセルと、第2のカプセルと、を含み、該第1のカプセルが、第1の薬剤を含み、該第2のカプセルが、該第1の薬剤とは異なる第2の薬剤を含む、第6〜第9の実施形態のいずれか1つに記載の組織厚さコンペンセータ。
11.前記第1のカプセル及び前記第2のカプセルが、経路に沿って交互に配置される、第10の実施形態に記載の組織厚さコンペンセータ。
12.前記圧縮可能な層が、前記カプセルから延在するチャネルを備え、該チャネルが、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤を運搬するように構成される、第10の実施形態又は第11の実施形態に記載の組織厚さコンペンセータ。
13.前記アンビルが、複数の凹部を含み、各凹部が、前記カプセルの少なくとも1つを受容するように構成される、第12の実施形態に記載の組織厚さコンペンセータ。
14.ステープルカートリッジであって、
デッキと、前記デッキ内に画定されたステープル空洞と、を含むカートリッジ本体と、
ステープルであって、各ステープルが、該ステープル空洞の1つの中に少なくとも部分的に位置付けられ、該ステープルは、未発射位置と発射済み位置との間で可動である、ステープルと、
圧縮可能な組織厚さコンペンセータであって、該ステープルが、該組織厚さコンペンセータ内に少なくとも部分的に延在し、該ステープルは、該未発射位置と該発射済み位置との間で移動するとき、該組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に捕捉するように構成される、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、
該組織厚さコンペンセータと該デッキとの中間に位置付けられた基板と、を備える、ステープルカートリッジ。
15.前記基板が、内部に薬剤を含む複数の密閉管を備える、第14の実施形態に記載のステープルカートリッジ。
16.前記密閉管が、前記ステープルと位置合わせされる、第15の実施形態に記載のステープルカートリッジ。
17.前記カートリッジ本体が、切断部材を受容するように構成されたスロットを更に備え、前記密閉管が、該スロットの上方に延在し、該密閉管が、該切断部材によって切開されるように構成され、該密閉管の内部に含有される前記薬剤を放出する、第15の実施形態に記載のステープルカートリッジ。
18.各密閉管が、管軸に沿って延在し、各管軸が、前記スロットに対して横断する方向に延在する、第17の実施形態に記載のステープルカートリッジ。
19.前記薬剤が、流体を含む、第15〜第18の実施形態のいずれか1つに記載のステープルカートリッジ。
20.前記ステープルのそれぞれが、少なくとも1つのステープル脚部を備え、前記基板が、複数の開口部を含み、該ステープル脚部の一部又は全てが、該開口部を通って延在する、第14〜第19の実施形態のいずれか1つに記載のステープルカートリッジ。
21.前記圧縮可能な組織コンペンセータが、前記基板に取り付けられる、第14〜第20の実施形態のいずれか1つに記載のステープルカートリッジ。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の特徴及び利点、並びにそれらを実現する方法は、本発明の実施形態の以下の説明文を添付の図面と併せて参照することで、より明らかとなり、また、発明自体のより深い理解が得られるであろう。
図1】外科用器具の一実施形態の断面図である。
図1A】埋め込み可能なステープルカートリッジの一実施形態の斜視図である。
図1B】埋め込み可能なステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの部分を示す。
図1C】埋め込み可能なステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの部分を示す。
図1D】埋め込み可能なステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの部分を示す。
図1E】埋め込み可能なステープルカートリッジで組織をクランピング及びステープリングするエンドエフェクタの部分を示す。
図2】エンドエフェクタが外科用ステープルカートリッジを支持し、そのアンビルが開放位置にある、外科用器具の一部に連結された別のエンドエフェクタの部分断面側面図である。
図3】閉鎖位置における図2のエンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
図4】ナイフバーがエンドエフェクタを通って前進し始める際の、図2及び図3のエンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
図5】ナイフバーが内部を通って部分的に前進した図2図4のエンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
図6A】少なくとも1つの実施形態による、圧壊式ステープルカートリッジ本体内に位置付けられた、外科用ステープルの変形を示す。
図6B】少なくとも1つの実施形態による、圧壊式ステープルカートリッジ本体内に位置付けられた、外科用ステープルの変形を示す。
図6C】少なくとも1つの実施形態による、圧壊式ステープルカートリッジ本体内に位置付けられた、外科用ステープルの変形を示す。
図6D】少なくとも1つの実施形態による、圧壊式ステープルカートリッジ本体内に位置付けられた、外科用ステープルの変形を示す。
図7A】圧潰式ステープルカートリッジ本体内に位置付けられたステープルを示す図である。
図7B】アンビルにより圧潰される図7Aの圧潰式ステープルカートリッジ本体を示す図である。
図7C】アンビルにより更に圧潰される図7Aの圧潰式ステープルカートリッジを示す図である。
図7D】完全に形成された構成の図7Aのステープル、及び完全に圧潰した状態の図7Aの圧潰式ステープルカートリッジを示す図である。
図8】圧壊式ステープルカートリッジ本体内に埋め込まれたステープルを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの上面図である。
図9図8のステープルカートリッジの立面図である。
図10】内部にステープルを含む圧縮可能なステープルカートリッジ及びアンビルに対してステープルを駆動するためのシステムの代替的実施形態の分解斜視図である。
図10A図10のステープルカートリッジの代替的実施形態の部分切り欠き図である。
図11図10のステープルカートリッジの断面図である。
図12図10のステープルカートリッジを横断し、ステープルをアンビルの方に移動するように構成されたスレッドの立面図である。
図13図12のスレッドによって、アンビルの方に持ち上げられることができる、ステープルドライバの図である。
図14】本発明の少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープリング器具と共に使用するための、剛性支持部と、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、を含む、ステープルカートリッジの斜視図である。
図15図14のステープルカートリッジの一部分解図である。
図16図14のステープルカートリッジの完全分解図である。
図17】組織厚さコンペンセータを覆うラップがない図14のステープルカートリッジの別の分解図である。
図18図14のステープルカートリッジのカートリッジ本体(又は支持部)の斜視図である。
図19】ステープルカートリッジからステープルを配備するための、図14のステープルカートリッジ内で可動であるスレッドの上面斜視図である。
図20図19のスレッドの下面斜視図である。
図21図19のスレッドの立面図である。
図22】ステープルカートリッジからステープルを排出するため、1つ以上のステープルを支持し、図19のスレッドにより上方に持ち上げられるように構成されたドライバの上面斜視図である。
図23図22のドライバの下面斜視図である。
図24】ステープルカートリッジの圧縮可能な組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に取り巻くように構成されたラップである。
図25】第1のシーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動した状態を示す、剛性支持部と、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、を含む、ステープルカートリッジの一部切り欠き図である。
図26図25のステープルカートリッジの立面図である。
図27図25のステープルカートリッジの詳細立面図である。
図28図25のステープルカートリッジの断面端面図である。
図29図25のステープルカートリッジの下面図である。
図30図25のステープルカートリッジの詳細下面図である。
図31】第1のシーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動した状態を示す、閉鎖位置のアンビルと、剛性支持部及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジと、の長手方向断面図である。
図32】発射シーケンスが完了した後の開放位置にあるアンビルを示す、図31のアンビル及びステープルカートリッジの別の断面図である。
図33】未発射位置にあるステープルを示す、図31のステープルカートリッジの部分詳細図である。
図34】未発射位置にあるステープルを示す、剛性支持部と、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、を含む、ステープルカートリッジの断面立面図である。
図35図34のステープルカートリッジの詳細図である。
図36】未発射位置にあるステープルを示す、開放位置にあるアンビルと、剛性支持部及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジと、の立面図である。
図37】未発射位置にあるステープルと、アンビルと組織厚さコンペンセータとの間に捕捉された組織を示す、閉鎖位置にあるアンビルと、剛性支持部及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジと、の立面図である。
図38図37のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
図39】未発射位置にあるステープルを示し、アンビルとステープルカートリッジとの間に位置付けられたより厚い組織を示す、閉鎖位置にあるアンビルと、剛性支持部及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの立面図である。
図40図39のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
図41】アンビルとステープルカートリッジとの間に位置付けられた、異なる厚さを有する組織を示す、図39のアンビル及びステープルカートリッジの立面図である。
図42図41に示す図39のアンビル及びステープルカートリッジの詳細図である。
図43】異なるステープル内に捕捉された異なる組織厚さを補正する、組織厚さコンペンセータを示す図である。
図44】ステープルのラインにより横切された1本以上の脈管に対して圧縮圧力をかけている組織厚さコンペンセータを示す図である。
図45】1つ以上のステープルが形成不良である状況を示す図である。
図46】形成不良ステープルを補正することができる組織厚さコンペンセータを示す図である。
図47】複数のステープルラインが交差する組織の領域に位置付けられた組織厚さコンペンセータを示す図である。
図48】ステープル内に捕捉された組織を示す図である。
図49】ステープル内に捕捉された組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図50】ステープル内に捕捉された組織を示す図である。
図51】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図52】ステープル内に捕捉された薄い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図53】ステープル内に捕捉された中間の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図54】ステープル内に捕捉された別の中間の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図55】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
図56】外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの部分断面図であり、後退した未発射位置にある発射バーとステープル発射スレッドを示す。
図57図56のエンドエフェクタの別の部分断面図であり、部分的に前進した位置にある発射バーとステープル発射スレッドを示す。
図58図56のエンドエフェクタの断面図であり、完全に前進した、又は発射済みの位置にある発射バーを示す。
図59図56のエンドエフェクタの断面図であり、発射後の後退位置にある発射バーと、完全発射済み位置に残されているステープル発射スレッドを示す。
図60図59の後退位置にある発射バーの詳細図である。
図61】組織を切開するための外科用器具のエンドエフェクタ内で遠位方向に前進する切刃の実施形態の断面斜視図である。
図62】組織厚さコンペンセータ内の物質を組織に方向付けるように構成された図61の切刃の特徴を示す、断面側面図である。
図63】組織を切開するための外科用器具のエンドエフェクタ内で遠位方向に前進する切刃の代替的実施形態の断面斜視図である。
図64】組織を切開するための外科用器具のエンドエフェクタ内で遠位方向に前進する切刃の別の代替的実施形態の断面斜視図である。
図65】第1の組織厚さコンペンセータ内の物質と第2の組織厚さコンペンセータからの物質とを混合するように構成された図64の切刃の特徴を示す断面側面図である。
図66】第1の組織厚さコンペンセータ内の物質と第2の組織厚さコンペンセータからの物質とを混合するように構成された図64の切刃の特徴を示す正面図である。
図67】第1の組織厚さコンペンセータ内の物質と第2の組織厚さコンペンセータからの物質とを混合するように構成された図64の切刃の特徴を示す断面上面図である。
図68】組織を切開するための外科用器具のエンドエフェクタ内で遠位方向に前進する切刃の別の代替的実施形態の断面斜視図である。
図69】組織厚さコンペンセータ内に含有される物質を拡散させるように構成された図68の切刃の特徴を示す断面側面図である。
図70】物質を拡散させる図68の切刃の断面側面図である。
図71】少なくとも1つの実施形態による組織厚さコンペンセータの部分切り欠き斜視図である。
図72】組織厚さコンペンセータに装填される薬剤を示す。
図73】管の内部に含有される薬剤を含む図71の組織厚さコンペンセータ内に位置付けられた管の断面端面図である。
図74】患者の組織に対して位置付けられ、かつ、圧縮される図71の組織厚さコンペンセータを示す。
図75図71の組織厚さコンペンセータを通って発射されるステープルを示す、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの断面端面図である。
図76】組織厚さコンペンセータ内に含有されるカプセルの溶解を示すグラフであり、カプセルは、複数の薬剤層を含む。
図77】溶解している図76のカプセルの第1の層、すなわち、外層を示す。
図78】溶解している図76のカプセルの第2の層を示す。
図79】溶解している図76のカプセルの第3の層を示す。
図80】溶解している図76のカプセルの第4の層、すなわち、内層を示す。
図81】複数の垂直のカプセルを含む組織厚さコンペンセータを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
図82図81の垂直のカプセルの斜視図である。
図83】ステープルカートリッジ内に含まれる未発射位置にあるステープルを示す、図81のステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
図84】未発射位置から発射済み位置へと移動した図83のステープルを示す、図81のステープルカートリッジの断面側面図である。
図85】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータ内に位置付けられた垂直のカプセルを含む、組織厚さコンペンセータの部分切り欠き図である。
図86】内部に画定される開口を有する複数のカプセルを含む、組織厚さコンペンセータの部分切り欠き図である。
図87】少なくとも1つの実施形態による、未発射位置にある複数のステープルと、組織厚さコンペンセータ内に含有されるカプセル又は管を破裂させるように構成された複数の貫通部材を備える、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの断面端面図である。
図88】未発射構成にある図87のステープルの立面図である。
図89】発射構成にある図88のステープルの立面図である。
図90図87の貫通部材の立面図である。
図91】発射済み位置にあるステープル及び貫通部材を示す、図87のエンドエフェクタの断面端面図である。
図92】未発射位置から発射済み位置へと移動したステープル及び貫通部材を示す、図87のエンドエフェクタの断面側面図である。
図93】内部に位置付けられた複数のカプセルを含む組織厚さコンペンセータを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの上面切り欠き図である。
図94図93のステープルカートリッジの詳細図である。
図95】発射済み位置にあるステープルカートリッジ内に含有されるステープルを示す、エンドエフェクタ内に位置付けられた図93のステープルカートリッジの断面端面図である。
図96】組織厚さコンペンセータの中のカプセルを通って前進している切断部材を示す、図95のエンドエフェクタ内の図93のステープルカートリッジの断面端面図である。
図97】少なくとも1つの実施形態による、長手方向部材を備える、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
図98図97の組織厚さコンペンセータを生成するように構成された成形型の断面図である。
図99】成形型の内部に位置付けられた図97の長手方向部材を示す、図98の成形型の断面端面図である。
図100図98の成形型に注入されている組織厚さコンペンセータ材料を示す、図98の成形型の断面端面図である。
図101】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの切り欠き斜視図である。
図102】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータに埋め込まれるように構成された、支持部材の斜視図である。
図103】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの切り欠き斜視図である。
図104図103の組織厚さコンペンセータを製造するための成形型を示す、断面端面図である。
図105図103の組織厚さコンペンセータの断面図である。
図106図104Aの成形型の断面側面図である。
図107】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの断面端面図である。
図108】少なくとも1つの実施形態による、別の組織厚さコンペンセータの断面端面図である。
図109】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータのスキャフォールド材料の詳細図である。
図110】少なくとも1つの実施形態による、膨張していない状態の組織厚さコンペンセータの詳細図である。
図111】膨張した状態の図110の組織厚さコンペンセータの詳細図である。
図112】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの切り欠き斜視図である。
図113】少なくとも1つの実施形態による、成形型の中で製造されている、組織厚さコンペンセータの部分切り欠き斜視図である。
図114】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの断面斜視図である。
図115】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの断面端面図である。
図116】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
図117】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの立面図である。
図118】組織厚さコンペンセータが複数の層を備える図117の組織厚さコンペンセータの分解図である。
図119】組織厚さコンペンセータの層の断面図である。
図120】組織厚さコンペンセータの別の層の断面図である。
図121】外科用ステープリング器具のアンビルとステープルカートリッジとの間に位置付けられた図117の組織厚さコンペンセータの部分断面立面図である。
図122】ステープルカートリッジから排出されたステープルの内部に捕捉され、かつ外科用ステープリング器具のアンビルによって変形された図117の組織厚さコンペンセータの別の部分断面立面図である。
図123図122のステープルによって組織に取り付けられた図117の組織厚さコンペンセータの別の部分断面立面図である。
図124】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの層の斜視図である。
図125図124の層を含む組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図126】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
図127図126の組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図128】複数の被覆繊維の斜視図である。
図129】被覆繊維及び/又は切り離して被覆繊維にし得る被覆撚り糸を生成するための押し出し加工プロセスを示す、斜視図である。
図130】被覆繊維の断面斜視図である。
図131】繊維上及び/又は繊維内部に材料を堆積させるように構成された担体液を利用する被覆プロセスを示す、斜視図である。
図132図128の繊維を含む組織厚さコンペンセータを含む、ステープルカートリッジの斜視図である。
図133】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの部分切り欠き斜視図である。
図134】少なくとも1つの実施形態による、親水性材料によって包まれた薬剤の断面図である。
図135】外科用器具のエンドエフェクタ内部に位置付けられた図133の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
図136】液体にさらされて、これにより、薬剤が図133の組織厚さコンペンセータから滲み出し得る図134の薬剤の部分切り欠き斜視図である。
図137】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
図138】液体にさらされた後の図137の組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
図139】アンビルに取り付けられた図137の組織厚さコンペンセータを含む、エンドエフェクタの斜視図である。
図140図134の薬剤及び図128の繊維を含む、組織厚さコンペンセータの部分切り欠き斜視図である。
図141】複数のカプセルを含む組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの部分斜視図である。
図142図141のステープルカートリッジの側面図である。
図143】成形型の中に置かれている図141のカプセルを示す。
図144図143の成形型の底に沈む図141のカプセルを示す。
図145図141のカプセルの上方に注入されているコンペンセータ本体材料を示す。
図146図141のカプセルの方が、コンペンセータ本体材料よりも密度が高く、図143の成形型の底にとどまっている実施形態を示す。
図147図141のカプセルの方が、コンペンセータ本体材料よりも密度が低く、図143の成形型の最も上に浮くことができる、実施形態を示す。
図148図141のカプセルを受容するように構成された複数の凹部又はくぼみを含む、成形型の代替的実施形態を示す。
図149】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの上方に位置付けられた、組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの断面端面図である。
図150】ステープルカートリッジから発射され図149の組織厚さコンペンセータを通って延在するステープルを示す、図149のエンドエフェクタの断面端面図である。
図151】成形型と、成形型の内部に位置付けられた複数の薬剤カプセルと、を示す。
図152】成形型に注入され、組織厚さコンペンセータを形成する、コンペンセータ本体材料を示す、成形型の断面端面図である。
図153】外科用ステープリング器具のアンビルに取り付けられた図152の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
図154】成形型の中に注入されている第1の層を示す、図157の組織厚さコンペンセータを形成するように構成された成形型の断面図である。
図155】第1の層の上に位置付けられたカプセルを示す、図154の成形型の断面図である。
図156】カプセルの上に注入されている第2の層を示す、図154の成形型の断面図である。
図157】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
図158】外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの内部に位置付けられた図157の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
図159図162の組織厚さコンペンセータのコンペンセータ本体の斜視図である。
図160図159のコンペンセータ本体に画定される長手方向開口部の斜視図である。
図161図160の長手方向開口部の内部に位置付けられているカプセルを示す図である。
図162】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図163図166の組織厚さコンペンセータのコンペンセータ本体の斜視図である。
図164図163のコンペンセータ本体の中に画定された複数の横断開口部の斜視図である。
図165図164の横断開口部の内部に位置付けられているカプセルを示す図である。
図166】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータを含む、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図167】組織厚さコンペンセータを製造するように構成された、垂直の成形型の斜視図である。
図168図167の成形型の内部に位置付けられているカプセルの斜視図である。
図169図167の成形型の内部に位置付けられた図168のカプセルの斜視図である。
図170図167の成形型に相対して置かれたカバーと、成形型の内部に位置付けられているコンペンセータ本体材料の斜視図である。
図171図170のカバーが取り外された状態を示す、図167の成形型の斜視図である。
図172】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータと、組織厚さコンペンセータマットと、を含む、ステープルカートリッジを示す。
図173図172の組織厚さコンペンセータマットの部分下面斜視図である。
図174図172の組織厚さコンペンセータマットの部分上面斜視図である。
図175】発射部材によって、発射されている図172のステープルカートリッジの部分断面図であり、ステープルカートリッジは、その上に位置付けられた組織厚さコンペンセータなしで示されている。
図176図175の発射部材に係合された切断部材によって切開される図172の組織厚さコンペンセータマットの上面図であり、ステープルカートリッジは、その上に位置付けられた組織厚さコンペンセータなしで示されている。
図177図175の発射部材に係合された切断部材によって切開される図172の組織厚さコンペンセータマットの上面図であり、ステープルカートリッジは、その上に位置付けられた組織厚さコンペンセータとともに示されている。
図178】円形の組織厚さコンペンセータマットを備える、少なくとも1つの代替的実施形態による、円形のステープルカートリッジの平面図である。
図179】複数のステープルカートリッジ本体上で組織厚さコンペンセータを同時に形成するように構成される複数の空洞を含む成形型を示す。
図180図179の空洞の内部に位置付けられたステープルカートリッジ本体、及びそのカートリッジ本体の上方に置かれている1枚以上のシートを示す。
図181図179の成形型の内部の適切な場所に固定された図180のシートを示す。
図182図179の成形型の内部で複数の柱支持体の周囲に巻かれた細長管部材を示す。
図183図179のステープルカートリッジ本体上方の適所に固定された図180のシートを示す。
図184図180のシート上方の適所における図182の管部材を示す。
図185図179の成形型の中に注入されている、コンペンセータ本体材料を示す。
図186図179の成形型の上方に位置付けられた抜型を示す。
図187】下方に移動されて図185のコンペンセータ本体材料及び図180のシートを切断する、抜型を示す。
図188図179の成形型から離れて上方に移動された抜型を示す。
図189】少なくとも1つの実施形態による図179図188で概説された製造プロセスによって生成された組織厚さコンペンセータの断面端面図である。
図190】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの上面図である。
図191図190のステープルカートリッジの斜視図である。
図192図190のステープルカートリッジの組織厚さコンペンセータの製造を示す図である。
図193】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータを形成する材料の管を平らにするローラーの図である。
図194】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータを形成するローラーの図である。
図195図194に示すプロセスによって生成された組織厚さコンペンセータを含む、ステープルカートリッジの部分斜視図である。
図196図195のステープルカートリッジから配備されているステープルの断面立面図である。
図197図195のステープルカートリッジから配備されているステープルの断面端面図である。
【0005】
対応する参照符号は、複数の図面の全体に亘って対応する部材を示す。本明細書において説明される例示は、一形態による本発明の特定の実施形態を示し、かかる例示は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本出願の出願人は、また、以下に示す米国特許出願も所有し、それらのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許出願第12/894,311号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH RECONFIGURABLE SHAFT SEGMENTS」(代理人整理番号第END6734USNP/100058号)、
米国特許出願第12/894,340号、発明の名称「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES SUPPORTING NON−LINEARLY ARRANGED STAPLES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH COMMON STAPEL−FORMING POCKETS」(代理人整理番号第END6735USNP/100059号)、
米国特許出願第12/894,327号、発明の名称「JAW CLOSURE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」(代理人整理番号第END6736USNP/100060号)、
米国特許出願第12/894,351号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH SEPARATE AND DISTINCT FASTENER DEPLOYMENT AND TISSUE CUTTING SYSTEMS」(代理人整理番号第END6839USNP/100524号)、
米国特許出願第12/894,338号、発明の名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE HAVING A NON−UNIFORM ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END6840USNP/100525号)、
米国特許出願第12/894,369号、発明の名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A SUPPORT RETAINER」(代理人整理番号第END6841USNP/100526号)、
米国特許出願12/894,312号、発明の名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING MULTIPLE LAYERS」(代理人整理番号第END6842USNP/100527号)、
米国特許出願第12/894,377号、発明の名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6843USNP/100528号)、
米国特許出願第12/894,339号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH COMPACT ARTICULATION CONTROL ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END6847USNP/100532号)、
米国特許出願第12/894,360号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH A VARIABLE STAPLE FORMING SYSTEM」(代理人整理番号第END6848USNP/100533号)、
米国特許出願第12/894,322号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH INTERCHANGEABLE STAPLE CARTRIDGE ARRANGEMENTS」(代理人整理番号第END6849USNP/100534号)、
米国特許出願第12/894,350号、発明の名称「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES WITH DETACHABLE SUPPORT STRUCTURES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH SYSTEMS FOR PREVENTING ACTUATION MOTIONS WHEN A CARTRIDGE IS NOT PRESENT」(代理人整理番号第END6855USNP/100540号)、
米国特許出願第12/894,383号、発明の名称「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING BIOABSORBABLE LAYERS」(代理人整理番号第END6856USNP/100541号)、
米国特許出願第12/894,389号、発明の名称「COMPRESSIBLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6857USNP/100542号)、
米国特許出願第12/894,345号、発明の名称「FASTENERS SUPPORTED BY A FASTENER CARTRIDGE SUPPORT」(代理人整理番号第END6858USNP/100543号)、
米国特許出願第12/894,306号、発明の名称「COLLAPSIBLE FASTENER CARTRIDGE」(代理人整理番号第END6859USNP/100544号)、
米国特許出願第12/894,318号、発明の名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF CONNECTED RETENTION MATRIX ELEMENTS」(代理人整理番号第END6860USNP/100546号)、
米国特許出願第12/894,330号、発明の名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND AN ALIGNMENT MATRIX」(代理人整理番号第END6861USNP/100547号)、
米国特許出願第12/894,361号、発明の名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」(代理人整理番号第END6862USNP/100548号)、
米国特許出願第12/894,367号、発明の名称「FASTENING INSTRUMENT FOR DEPLOYING A FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」(代理人整理番号第END6863USNP/100549号)、
米国特許出願第12/894,388号、発明の名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND A COVER」(代理人整理番号第END6864USNP/100550号)、
米国特許出願第12/894,376号、発明の名称「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF FASTENER CARTRIDGES」(代理人整理番号第END6865USNP/100551号)、
米国特許出願第13/097,865号、発明の名称「SURGICAL STAPLER ANVIL COMPRISING A PLURALITY OF FORMING POCKETS」(代理人整理番号第END6735USCIP1/100059CIP1号)、
米国特許出願第13/097,936号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER」(代理人整理番号第END6736USCIP1/100060CIP1号)、
米国特許出願第13/097,954号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A VARIABLE THICKNESS COMPRESSIBLE PORTION」(代理人整理番号第END6840USCIP1/100525CIP1号)、
米国特許出願第13/097,856号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING STAPLES POSITIONED WITHIN A COMPRESSIBLE PORTION THEREOF」(代理人整理番号第END6841USCIP1/100526CIP1号)、
米国特許出願第13/097,928号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING DETACHABLE PORTIONS」(代理人整理番号第END6842USCIP1/100527CIP1号)、
米国特許出願第13/097,891号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER COMPRISING AN ADJUSTABLE ANVIL」(代理人整理番号第END6843USCIP1/100528CIP1号)、
米国特許出願第13/097,948号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING AN ADJUSTABLE DISTAL PORTION」(代理人整理番号第END6847USCIP1/100532CIP1号)、
米国特許出願第13/097,907号、発明の名称「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE ASSEMBLY」(代理人整理番号第END6848USCIP1/100533CIP1号)、
米国特許出願第13/097,861号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING PORTIONS HAVING DIFFERENT PROPERTIES」(代理人整理番号第END6849USCIP1/100534CIP1号)、
米国特許出願第13/097,869号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE LOADING ASSEMBLY」(代理人整理番号第END6855USCIP1/100540CIP1号)、
米国特許出願第13/097,917号、発明の名称「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE COMPRISING ALIGNMENT MEMBERS」(代理人整理番号第END6856USCIP1/100541CIP1号)、
米国特許出願第13/097,873号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE PORTION」(代理人整理番号第END6857USCIP1/100542CIP1号)、
米国特許出願第13/097,938号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING COMPRESSIBLE DISTORTION RESISTANT COMPONENTS」(代理人整理番号第END6858USCIP1/100543CIP1号)、
米国特許出願第13/097,924号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6859USCIP1/100544CIP1号)、
米国特許出願第13/242,029号、発明の名称「SURGICAL STAPLER WITH FLOATING ANVIL」(代理人整理番号第END6841USCIP2/100526CIP2号)、
米国特許出願第13/242,066号、発明の名称「CURVED END EFFECTOR FOR A STAPLING INSTRUMENT」(代理人整理番号第END6841USCIP3/100526CIP3号)、
米国特許出願第13/242,086号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK」(代理人整理番号第END7020USNP/110374号)、
米国特許出願第13/241,912号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK ARRANGEMENT」(代理人整理番号第END7019USNP/110375号)、
米国特許出願第13/241,922号、発明の名称「SURGICAL STAPLER WITH STATIONARY STAPLE DRIVERS」(代理人整理番号第END7013USNP/110377号)、
米国特許出願第13/241,637号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH TRIGGER ASSEMBLY FOR GENERATING MULTIPLE ACTUATION MOTIONS」(代理人整理番号第END6888USNP3/110378号)、
米国特許出願第13/241,629号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVELY ARTICULATABLE END EFFECTOR」(代理人整理番号第END6888USNP2/110379号)、
【0007】
本出願の出願人は、また、本明細書と同日に出願され、それらの全ての内容がそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる、以下に示す米国特許出願も所有する。
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF LAYERS」(代理人整理番号第END6864USCIP2/100550CIP2号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「EXPANDABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6843USCIP2/100528CIP2号)。
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A RESERVOIR」(代理人整理番号第END6843USCIP3/100528CIP3号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「RETAINER ASSEMBLY INCLUDING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6843USCIP4/100528CIP4号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING AT LEAST ONE MEDICAMENT」(代理人整理番号第END6843USCIP5/100528CIP5号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CONTROLLED RELEASE AND EXPANSION」(代理人整理番号第END6843USCIP6/100528CIP6号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING FIBERS TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」(代理人整理番号第END6843USCIP7/100528CIP7号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING STRUCTURE TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」(代理人整理番号第END6843USCIP8/100528CIP8号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING RESILIENT MEMBERS」(代理人整理番号第END6843USCIP9/100528CIP9号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「METHODS FOR FORMING TISSUE THICKNESS COMPENSATOR ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLERS」(代理人整理番号第END6843USCIP10/100528CP10号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS」(代理人整理番号第END6843USCIP11/100528CP11号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「LAYERED TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END6843USCIP12/100528CP12号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS FOR CIRCULAR SURGICAL STAPLERS」(代理人整理番号第END6843USCIP13/100528CP13号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CAPSULES DEFINING A LOW PRESSURE ENVIRONMENT」(代理人整理番号第END7100USNP/110601号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISED OF A PLURALITY OF MATERIALS」(代理人整理番号第END7101USNP/110602号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「MOVABLE MEMBER FOR USE WITH A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」(代理人整理番号第END7107USNP/110603号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF MEDICAMENTS」(代理人整理番号第END7102USNP/110604号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND METHOD FOR MAKING THE SAME」(代理人整理番号第END7103USNP/110605号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CHANNELS」(代理人整理番号第END7104USNP/110606号)、
米国出願第_______________号、発明の名称「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING TISSUE INGROWTH FEATURES」(代理人整理番号第END7105USNP/110607号)、及び
米国出願第_______________号、発明の名称「DEVICES AND METHODS FOR ATTACHING TISSUE THICKNESS COMPENSATING MATERIALS TO SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」(代理人整理番号第END7106USNP/110608号)。
【0008】
本明細書に開示される装置、並びに方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を与えるため、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付図面に示す。当業者であれば、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示される装置及び方法は、非限定的かつ例示的な実施形態である点を理解するであろう。ある例示的実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。かかる修正及び変形は、本発明の範囲に含まれる。
【0009】
物品又は製品を製造、形成、あるいは生成するために、本明細書において開示又は請求されている方法のいずれをも採用して、対象の物品又は製品のすべて又は一部を製造、形成、あるいは生成してもよく、かかる方法を採用して、対象の物品又は製品の一部を製造、形成、あるいは生成する場合、物品又は製品の残りは、任意の方法で生成してもよく、それには、物品又は製品を製造、形成、あるいは生成するために本明細書において開示かつ請求されている他の方法のいずれをも採用することによって、そのように生成された様々な部品を任意の形で組み合わせることが含まれる。同様に、本明細書において開示又は請求されている任意の物品又は製品は、単独で、又は、他の任意の物品又は製品と組み合わせて、若しくは該物品又は製品と互換性があると開示されている該物品又は製品の必須部分として存在してもよい。よって、1つの物品、製品、又は方法に関連して示され又は記載された、具体的な特徴、構造、又は特性は、制限なく、1つ以上の他の互換性がある物品、製品、又は方法の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に組み合わせてもよい。かかる修正及び変形は、本発明の範囲に含まれる。
【0010】
本明細書において開示する場合、具体的な図を参照するか、あるいは、発明の特定の実施形態、又は特定の物品、製品、若しくは方法が、特定の構造、特性、又は特徴を含み得る場合、これらの構造、特性、又は特徴を、任意の互換性のある組み合わせにおいて対象の物品、製品、又は方法で具現化することができることを意味することは、読者によって理解されよう。特に、多くの任意の構造、特性、又は特徴の、かかる開示は、互いに選択肢として開示されている構造、特徴、又は特性のケースを除いて、組み合わせたこれらの構造、特性、又は特徴のすべてを開示することも理解されよう。これらの構造、特性、又は特徴が、互いに選択肢として開示されている場合、これらの選択肢が互いに代用として開示されることが理解されよう。
【0011】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準にして用いられている。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの、空間的用語は、本明細書では図面に関連して使用することができることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0012】
腹腔鏡下及び最小侵襲の外科手技を実施するための様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書で開示する様々な方法及び装置が、例えば、開放的な外科手技に関連することを含めて、多数の外科手技及び用途で用いられ得ることが、読者には、容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進むにつれて、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、生得の孔を通って、組織に形成された切開又は穿刺穴を通ってなど、任意のやり方で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作業部すなわちエンドエフェクタ部は、患者の体内に直接挿入されてもよく、又は外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトを進めることが可能な作業チャネル(working channel)を有するアクセス装置を通って挿入されてもよい。
【0013】
図面に戻り、図面では、同様の参照符号が、複数の図面の全体に亘って同様の構成要素を示す。図1は、いくつかの固有の利点を実施できる外科用器具10を示す。外科用ステープリング器具10は、これに動作可能に取り付けられた、様々な形状及び大きさのエンドエフェクタ12を操作及び/又は作動させるように設計される。図1図1Eにおいて、例えば、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタ12の下方ジョー13を形成する細長チャネル14を含む。細長チャネル14は、「埋め込み可能な」ステープルカートリッジ30を支持するように構成され、またエンドエフェクタ12の上方ジョー15として機能するアンビル20を動作可能に支持する。
【0014】
細長チャネル14は、300 & 400シリーズ、17−4 & 17−7ステンレススチール、チタンなどから製作されてもよく、離間した側壁16で形成されてもよい。アンビル20は、例えば、300 & 400シリーズ、17−4 & 17−7ステンレススチール、チタンなどから製作されてもよく、内部に形成される複数のステープル形成ポケット23を有する、概ね22として標識される、ステープル形成下面を有してもよい。図1B図1Eを参照されたい。加えて、アンビル20は、そこから近位方向に突出する、二又の傾斜アセンブリ24を有する。アンビルピン26は、細長チャネル14の側壁16内の対応するスロット又は開口18内に受容される、傾斜アセンブリ24の各側方から突出し、ここに可動又は枢動可能に取り付けることを容易にする。
【0015】
様々な形態の埋め込み可能なステープルカートリッジが、本明細書において開示される外科用器具で利用され得る。特定のステープルカートリッジの構成及び構造を、以下で更に詳細に論じる。しかしながら、図1Aにおいては、埋め込み可能なステープルカートリッジ30が示される。ステープルカートリッジ30は、内部で未定形の金属ステープル32のラインを支持する、例えば、酸化再生セルロース(「ORC」)又は生体吸収性フォームなどの圧縮可能な止血材料からなる、本体部分31を有する。ステープルが影響を受け、止血材料が、導入及び位置付けプロセス中に活性化することを防ぐため、カートリッジ全体が、生分解性フィルム38、例えば、商標名PDS(登録商標)で販売されるポリジオキサノンフィルム、又はポリグリセロールセバケート(PGS)フィルム、又はPGA(Vicrylの商標名で販売されるポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA、若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25)、又はPGA、PCL、PLA、PDSの複合物(破裂するまでは、不透過性である)などで、コーティングされ又は包まれてもよい。ステープルカートリッジ30の本体31は、図示されるように、細長チャネル14内に取り外し可能に支持されるような大きさであり、それによって、アンビル20がステープルカートリッジ30と接触する際に、内部の各ステープル32が、アンビル内の対応するステープル形成ポケット23と位置合わせされる。
【0016】
使用の際、エンドエフェクタ12が標的組織に隣接するように位置付けられると、エンドエフェクタ12は、ステープルカートリッジ30の上面36と、アンビル20のステープル形成表面22との間に、標的組織を捕捉又はクランプするように操作される。ステープル32は、細長チャネル14と実質的に平行な経路内でアンビル20を動かして、ステープル形成表面22、及びより具体的には内部のステープル形成ポケット23を、ステープルカートリッジ30の上面36と実質的に同時に接触させることによって形成される。アンビル20がステープルカートリッジ30内に移動し続けると、ステープル32の脚部34は、アンビル20内の対応するステープル形成ポケット23に接触して、ステープル脚部34を折り曲げ、ステープル32を「B字型」に形成することができる。アンビル20の細長チャネル14への更なる移動により、ステープル32を更に圧縮して、所望の最終的に形成される高さ「FF」へと形成する。
【0017】
上記のステープル形成プロセスは、図1B〜1Eで概ね示される。例えば、図1Bは、アンビル20と埋め込み可能なステープルカートリッジ30の上面36との間に標的組織「T」を有する、エンドエフェクタ12を示す。図1Cは、アンビル20の最初のクランピング位置を示し、アンビル20は、標的組織「T」の上に閉鎖されて、アンビル20とステープルカートリッジ30の上面36との間に標的組織「T」をクランプする。図1Dは、最初のステープル形成を示し、アンビル20は、ステープルカートリッジ30を圧縮し始め、それによってステープル32の脚部34は、アンビル20内のステープル形成ポケット23によって形成され始めている。図1Eは、明確にするためにアンビル20が取り除かれた、標的組織「T」を貫いた、その最終的な形成状態にある、ステープル32を示す。一旦、ステープル32が標的組織「T」に形成及び締結されると、外科医は、アンビル20を開放位置へと移動させて、エンドエフェクタ12が患者から引き抜かれる間、カートリッジ本体31及びステープル32が標的組織に付けられたままとなることを可能にする。エンドエフェクタ12は、2つのジョー13、15が一緒にクランピングされると、全てのステープルを同時に形成する。残っている「圧潰された」本体材料31は、止血剤(ORC)及びステープルのライン補強部(PGA、PDS又は上記の他のいずれかのフィルム組成38)の両方として機能する。また、ステープル32は、形成中において、カートリッジ本体31を離れることはないため、ステープル32が形成中に変形する可能性は、最小限度に抑えられる。本明細書において使用するとき、用語「埋め込み可能な」とは、ステープルに加えて、ステープルを支持するカートリッジ本体の材料もまた、患者内に留まり、最終的には、患者の身体に吸収されてもよいことを意味する。そのような埋め込み可能なステープルカートリッジは、発射された後に全体がエンドエフェクタ内に位置付けられたままである従来のカートリッジの構成とは区別される。
【0018】
様々な実施において、エンドエフェクタ12は、ハンドルアセンブリ100から突出する細長シャフトアセンブリ40と連結されるように構成される。エンドエフェクタ12(閉鎖時)及び細長シャフトアセンブリ40は、同様の断面形状を有してもよく、トロカール管又は別の形状のアクセス器具内の作業チャネルを動作可能に通過するような大きさであり得る。本明細書において使用するとき、用語「動作可能に通過」とは、エンドエフェクタ及び細長シャフトアセンブリの少なくとも一部が、チャネル又は管開口を通って挿入されるか、又は通過することができ、外科用ステープリング手技を完了するために必要に応じてチャネル又は管開口内部で操作され得ることを意味する。閉鎖位置にある際、エンドエフェクタ12のジョー13及び15により、エンドエフェクタはほぼ円形の断面形状を有することができ、これにより、円形の通路/開口を容易に通過することができる。しかしながら、本発明のエンドエフェクタ、並びに細長シャフトアセンブリは、あるいは、非円形の断面形状を有するアクセス通路及び開口を通過することができる他の断面形状を備えてもよい。したがって、閉鎖したエンドエフェクタの断面の全体的な大きさは、エンドエフェクタが通過することが意図される通路又は開口の大きさに関連付けられるであろう。したがって、あるエンドエフェクタは、例えば、「5mmの」エンドエフェクタと呼ばれてもよく、これは、直径が少なくとも約5mmである開口をそのエンドエフェクタが動作可能に通過し得ることを意味する。
【0019】
細長シャフトアセンブリ40は、閉鎖位置にあるときのエンドエフェクタ12の外径と実質的に同じである外径を有してもよい。例えば、5mmのエンドエフェクタは、5mmの断面直径を有する、細長シャフトアセンブリ40と連結されてもよい。しかしながら、本発明の詳細な説明を読み進めると、本発明が、異なる大きさのエンドエフェクタと接続して有効に使用され得ることが明らかになるであろう。例えば、10mmのエンドエフェクタが、5mmの断面直径を有する細長シャフトに取り付けられてもよい。逆に、10mm以上のアクセス開口又は通路が設けられるこれらの用途において、細長シャフトアセンブリ40は、10mm(又はそれ以上)の断面直径を有してもよく、また5mm又は10mmのエンドエフェクタを作動させてもよい。したがって、外側シャフト40は、これに取り付けられる閉鎖したエンドエフェクタ12の外径と同じ、又はこれと異なる外径を有してもよい。
【0020】
図示されるように、細長シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からほぼ直線上に遠位方向に延在して、長手方向軸線A−Aを画定する。例えば、細長シャフトアセンブリ40は、約229〜406mm(9〜16インチ)の長さであってもよい。しかしながら、細長シャフトアセンブリ40は、別の長さで設けられてもよく、又はその内側に接合箇所を有してもよく、以下で更に詳しく説明されるように、シャフト又はハンドルアセンブリの他の部分に対するエンドエフェクタ12の結合を容易にするように構成されてもよい。細長シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からエンドエフェクタ12まで延在する、スパイン部材50を含む。エンドエフェクタ12の細長チャネル14の近位端は、そこから突出する一対の保持トラニオン17を有し、これは、スパイン部材50の遠位端内に設けられる、対応するトラニオン開口又は受台52に受容される大きさであり、エンドエフェクタ12が、細長シャフトアセンブリ40に取り外し可能に連結されることを可能にする。スパイン部材50は、例えば、6061又は7075アルミニウム、ステンレススチール、チタンなどから製作されてもよい。
【0021】
ハンドルアセンブリ100は、組み立て用途の2つ以上の部品で製作され得る、ピストルグリップタイプのハウジングを含む。例えば、図示されるハンドルアセンブリ100は、右手ケース部材102、及び左手ケース部材を含み(図示せず)、これらは、ポリマー又はプラスチック材料から成形、あるいは製作され、互いに噛み合うように設計される。かかる場合の部材は、スナップ機構、ペグ、及びその内側に成形、あるいは形成されたソケット、及び/又は接着剤、ねじ等により付着させることができる。スパイン部材50は、その上部に形成されたフランジ56を有する近位端54を有する。フランジ56は、ケース部材102、104のそれぞれから内方向に突出する噛み合うリブ108により形成される溝106内に回転可能に支持されるように構成される。かかる構成により、スパイン部材50をハンドルアセンブリ100に容易に取り付けることができる一方で、スパイン部材50がハンドルアセンブリ100に対し、長手方向軸線A−Aを中心に360°の経路で回転可能にする。
【0022】
図1に更に見られるように、スパイン部材50は、ハンドルアセンブリ100に回転可能に付けられた取り付けブッシング60を通過し、これによって支持される。取り付けブッシング60は、近位フランジ62、及び遠位フランジ64を有し、これらは、その間のハンドルアセンブリ100の鼻部分101を回転可能に受容するように構成される回転可能な溝65を画定する。かかる構成により、取り付けブッシング60が、ハンドルアセンブリ100に対し、長手方向軸線A−Aを中心に回転することができる。スパイン部材50は、スパインピン66により、取り付けブッシング60に回転不可能にピン留めされている。加えて、回転ノブ70は、取り付けブッシング60に取り付けられる。例えば、回転ノブ70は、内部に取り付けブッシング60の一部を受容するような大きさの中空の取り付けフランジ部72を有する。回転ノブ70は、例えば、ガラス又は炭素充填ナイロン、ポリカーボネート、Ultem(登録商標)などから製作されてもよく、また同様に、スパインピン66によって取り付けブッシング60に付けられる。加えて、内方向に突出する保持フランジ74は、取り付けフランジ部72上に形成され、取り付けブッシング60内に形成された放射状の溝68内に延在するように構成される。したがって、外科医は、回転ノブ70を保持し、これをハンドルアセンブリ100に対して回転させることによって、スパイン部材50(及びこれに取り付けられたエンドエフェクタ12)を長手方向軸線A−Aを中心に、360°の経路で回転させることができる。
【0023】
アンビル20は、アンビルばね21、及び/又は他の付勢の構成によって開放位置に維持される。アンビル20は、概ね109として示される、発射システムによって、開放位置から様々な閉鎖又はクランピング及び発射位置へと、選択的に可動である。発射システム109は、「発射部材」110を含み、これは、中空発射管110を含む。中空発射管110は、スパイン部材50上で軸方向に可動であり、したがって、細長シャフトアセンブリ40の外側部分を形成する。発射管110は、ポリマー、又は他の好適な材料から製作されてもよく、発射システム109の発射ヨーク114に取り付けられる近位端を有してもよい。例えば、発射ヨーク114は、発射管110の近位端にオーバーモールドされてもよい。しかしながら、他の締結具の構成が利用されてもよい。
【0024】
図1に見られるように、発射ヨーク114は、ハンドルアセンブリ100内で軸方向に動くように構成された支持カラー120内で回転可能に支持される。支持カラー120は、一対の横方向に延在するフィンを有し、これは、右手ケース部材及び左手ケース部材に形成される、フィンスロット内に摺動可能に受容されるような大きさである。したがって、支持カラー120は、ハンドルハウジング100内で軸方向に摺動可能であり、一方で発射ヨーク114及び発射管110がこれに対して、長手方向軸線A−Aを中心に回転可能である。本発明によると、長手方向のスロットが、発射管110を通って設けられ、スパインピン66が発射管110を貫通してスパイン部材50に延在することを可能にする一方で、スパイン部材50上における発射管110の軸方向の移動を促進している。
【0025】
発射システム109は、スパイン部材50上の発射管110の軸方向の移動を制御するのに役立つ、発射トリガー130を更に含む。図1を参照されたい。発射管110を遠位方向の軸方向に移動させて、発射のためにアンビル20と相互作用させることは、本明細書では、「発射運動」と称される。図1に見られるように、発射トリガー130は、枢動ピン132によってハンドルアセンブリ100に可動、又は枢動可能に連結されている。発射トリガー130を、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部107から、非作動の「開放」又は開始位置へと付勢するために、トーションばね135が利用される。図1に見られるように、発射トリガー130は、支持カラー120に可動に取り付けられた(ピン留めされた)発射リンク136に可動に取り付けられた上部134を有する。したがって、開始位置(図1)から、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部107に隣接する終了位置への、発射トリガー130の移動により、発射ヨーク114及び発射管110を遠位方向「DD」に移動させる。(トーションばね135の付勢により)発射トリガー130のハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部107から離れる動きにより、発射ヨーク114及び発射管110は、スパイン部材50の近位方向「PD」に移動するであろう。
【0026】
本発明は、異なる大きさ及び構成の埋め込み可能なステープルカートリッジと共に利用することができる。例えば、外科用器具10は、第1の発射アダプタ140に接続して使用されるとき、埋め込み可能なステープルカートリッジ30を支持する、およそ20mmの長さ(又は他の長さ)の、5mmのエンドエフェクタ12と共に使用され得る。かかるエンドエフェクタの大きさは、例えば、比較的細かい切開、及び血管処置を完成させるために、特に好適である。しかしながら、以下でより詳細に記載されるように、外科用器具10は、また、例えば、第1の発射アダプタ140を第2の発射アダプタと交換することにより、他の大きさのエンドエフェクタ及びステープルカートリッジと接続して利用することができる。追加の選択肢として、細長シャフトアセンブリ40は、1つだけの形状又は大きさのエンドエフェクタに取り付けられるように構成されてもよい。
【0027】
エンドエフェクタ12をスパイン部材50に取り外し可能に連結する1つの方法がこれから説明される。連結プロセスは、細長チャネル14上の保持トラニオン17を、スパイン部材50のトラニオン受台52内に挿入することにより開始される。その後、外科医が発射トリガー130を、ハウジングアセンブリ100のピストルグリップ107の方に前進させ、発射管110及び第1の発射アダプタ140を、細長チャネル14の近位端部47を超えて遠位方向に前進させ、それによってトラニオン17をこれらの各受台52に保持する。トラニオン17を超える第1の発射アダプタ140のかかる位置は、本明細書において「連結位置」と称される。本発明は、また、エンドエフェクタ12がスパイン部材50に取り付けられた後、発射トリガー130を適所にロックするために、エンドエフェクタロッキングアセンブリを有してもよい。
【0028】
より具体的に、エンドエフェクタロッキングアセンブリ160の一実施形態は、発射トリガー130の上部134内に可動に支持される、保持ピン162を含む。上記のように、発射管110は、最初に、第1の発射アダプタ140がエンドエフェクタ12の保持トラニオン17をスパイン部材50のトラニオン受台52内に保持する、連結位置へと、遠位方向に前進しなくてはならない。外科医は、発射トリガー130を開始位置からピストルグリップ107へ向かってと引くことによって、発射アダプタ140を連結位置へと遠位方向に前進させる。発射トリガー130が最初に作動されると、保持ピン162は、発射管110が第1の発射アダプタ140を連結位置まで前進させるまで、遠位方向に移動し、この連結位置の点において保持ピン162は、ケース部材内に形成されるロッキング空洞164内に付勢される。任意で、保持ピン162がロッキング空洞164に入るとき、ピン162は、可聴「クリック音」、又は他の音を生じてもよく、またエンドエフェクタ12がスパイン部材50に「ロックされた」という触覚表示を外科医に与えてもよい。加えて、外科医は、保持ピン162をロッキング空洞164から意図的に付勢しない限り、不注意により発射トリガー130を作動し続けて、ステープル32をエンドエフェクタ12内に形成し始めることはない。同様に、外科医が連結位置にある発射トリガー130を解放する場合、保持ピン162によってその位置に保持され、発射トリガー130が開始位置に戻り、それによってエンドエフェクタ12がスパイン部材50から解放するのを防ぐことができる。
【0029】
本発明は、ハンドルアセンブリ100に枢動可能に取り付けられた、発射システムロックボタン137を更に含んでもよい。一形態において、発射システムロックボタン137は、その遠位端上に形成されたラッチ138を有し、これは、発射解放ボタンが第1のラッチング位置にあるときに、発射ヨーク114と係合するように配向される。図1に見られるように、ラッチばね139は、発射システムロックボタン137を、第1のラッチング位置へと付勢するのに役立つ。様々な状況において、ラッチ138は、スパイン部材50上の発射ヨーク114の位置が、第1の発射アダプタ140がアンビル20上のクランピング傾斜面28を遠位方向へと前進して上り始める点と対応する点で、発射ヨーク114と係合する役割を果たす。第1の発射アダプタ140がクランピング傾斜面28を軸方向に前進して上ると、アンビル20が、そのステープル形成表面部22がステープルカートリッジ30の上面36と実質的に平行となるような経路を移動することが理解されるであろう。
【0030】
エンドエフェクタ12がスパイン部材50と連結すると、ステープル形成プロセスは、発射システムロックボタン137を最初に押圧することによって開始され、発射ヨーク114がスパイン部材50上で遠位方向に更に移動し、最終的にアンビル20をステープルカートリッジ30へと圧迫する。発射システムロックボタン137を押圧した後、外科医は、発射トリガー130をピストルグリップ107の方へ作動し続け、それによって第1のステープルカラー140を、対応するステープル形成傾斜面29を登るように駆動し、アンビル20を、ステープルカートリッジ30内のステープル32と接触させる。発射システムロックボタン137は、外科医がプロセスに備えるまで、ステープル32の不注意による形成を防ぐ。この実施形態において、外科医は、発射トリガー130が更に作動されてステープル形成プロセスを開始する前に、発射システムロックボタン137を押圧しなくてはならない。
【0031】
外科用器具10は、所望により、単に組織ステープリング装置として使用されてもよい。しかしながら、本発明は、また、概ね170として示される、組織切断システムを含んでもよい。少なくとも一形態において、組織切断システム170は、ナイフ部材172を含み、これは、ナイフ前進トリガー200を作動することによって、エンドエフェクタ12の近位端に隣接する非作動位置から、作動位置へと選択的に前進することができる。ナイフ部材172は、スパイン部材50内に可動に支持され、取り付けられるか、あるいは、ナイフロッド180から突出する。ナイフ部材172は、例えば、38HRC超の硬度(Rockwell硬度Cスケール)を有する420又は440ステンレススチールから製作され、かつその遠位端174上に形成される組織切断縁176を有し、アンビル20のスロット、及びステープルカートリッジ30の中央に配置されたスロット33を通って摺動可能に延在し、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織を切断する。ナイフロッド180は、スパイン部材50を通って延在し、ナイフ伝達器と駆動可能に境界面で接続する近位端部を有し、このナイフ伝達器は、ナイフ前進トリガー200に動作可能に取り付けられている。ナイフ前進トリガー200は、枢動ピン132に取り付けられ、それによって、発射トリガー130を作動することなく、枢動、又は作動することができる。本発明によると、第1のナイフギア192もまた、枢動ピン132に取り付けられ、それによって、ナイフ前進トリガー200の作動により、第1のナイフギア192も枢動することができる。発射戻りばね202は、第1のナイフギア192とハンドルハウジング100との間に取り付けられて、ナイフ前進トリガー200を開始又は非作動位置に付勢する。
【0032】
ナイフ伝達器はまた、第2のギアスピンドル上に回転可能に支持され、第1のナイフギア192と噛合係合する、第2のナイフギア194を含む。第2のナイフギア194は、第3のギアスピンドルに支持される第3のナイフギア196と噛合係合する。第4のナイフギア198もまた、第3のギアスピンドル195に支持される。第4のナイフギア198は、ナイフロッド180の近位端上で一連の環状ギアの歯又はリングと駆動しながら係合するように適合される。かかる構成により、第4のナイフギア198は、ナイフロッド180を遠位方向「DD」、又は近位方向「PD」に軸方向に駆動することができる一方で、発射ロッド180が第4のナイフギア198に対して長手方向軸線A−Aを中心に回転することを可能にする。したがって、外科医は、ナイフ前進トリガー200をハンドルアセンブリ100のピストルグリップ107の方へ引くことによって、発射ロッド180を軸方向に前進させ、最終的にナイフ部材172を遠位方向に前進させることができる。
【0033】
本発明は、ナイフロックアウトシステム210を更に含み、これは、発射トリガー130が完全な発射済み位置に引かれるとき以外、ナイフ部材172の前進を防ぐ。したがって、かかる特徴により、ステープルが組織内に最初に発射、又は形成されるとき以外、ナイフ前進システム170の作動を防ぐことができる。図1に見られるように、ナイフロックアウトシステム210の様々な実施は、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部107内に枢動可能に支持される、ナイフロックアウトバー211を含む。ナイフロックアウトバー211は、発射トリガー130が完全に発射済み位置にあるときに、発射トリガー130と係合するように適合される、作動端部212を有する。加えて、ナイフロックアウトバー211は、その他端に保持フック214を有し、これは、第1の切断ギア192上のラッチロッド216に引っ掛けるようにして係合するように適合される。ナイフロックばね218は、ナイフロックアウトバー211を、「ロックされた」位置に付勢するように利用され、ここで保持フック214は、ラッチロッド216と係合した状態に維持され、それによって、発射トリガー130が完全に発射済み位置にある場合を除いてナイフ前進トリガー200の作動を防ぐ。
【0034】
ステープルが、標的組織内に「発射」(形成)された後、外科医は、発射トリガー解放ボタン167を押圧し、発射トリガー130をトーションばね135の付勢力により開始位置に戻し、これにより、アンビル20は、ばね21の付勢力により開放位置に付勢される。開放位置にあるとき、外科医は、埋め込み可能なステープルカートリッジ30及びステープル32を残してエンドエフェクタ12を引き抜いてもよい。エンドエフェクタが通路、作業チャネルなどを通って挿入される用途において、外科医は、通路又は作業チャネルを通ってエンドエフェクタ12が引き抜けるようにするために、発射トリガー130を起動することによりアンビル20を閉じた位置に戻すであろう。しかしながら、ステープルの発射の後に外科医が標的組織を切断することを所望する場合、外科医は、ナイフ前進トリガー200を上記の方法で起動して、標的組織を通ってナイフバー172を、エンドエフェクタの端部まで駆動する。その後、外科医は、ナイフ前進トリガー200を解放し、これにより、発射戻しばね202により、発射伝達器はナイフバー172を開始(非作動)位置に戻すことができる。ナイフバー172が開始位置に戻ると、外科医は、エンドエフェクタジョー13、15を開き、埋め込み可能なカートリッジ30を患者内で解放し、その後、エンドエフェクタ12を患者から引き抜く。したがって、かかる外科用器具は、比較的小さな作業チャネル及び通路を通って挿入することができる小さい埋め込み可能ステープルカートリッジの使用を促進し、一方で、外科医に、組織を切断せずにステープルを発射するか、又は所望によりステープルが発射された後にまた組織を切断するかの選択肢を提供する。
【0035】
本発明の様々な固有かつ新規の実施形態は、アンビルと接触する実質的に静的な位置にステープルを支持する、圧縮可能なステープルカートリッジを利用する。アンビルは、未形成ステープルの中へ駆動され、このとき、例えば、達成されるステープル形成の度合いは、アンビルがどの程度までステープルの中へ駆動されるかに依存する。かかる構成により、外科医は、ステープルにかけられる成形圧力又は発射圧力の度合いを調節し、それによって最終的に形成されるステープルの高さを変更する能力を有することができる。本発明において、外科用ステープリングの構成は、ステープルをアンビルに向かって持ち上げることができるステープル駆動要素を採用することができる。これらの更なる詳細については、後述する。
【0036】
任意で、上記に関し、可動性アンビルにかけられる発射運動の量は、発射トリガーの作動の度合いに依存する。例えば、外科医が部分的にのみ形成されたステープルを得ることを所望する場合、発射トリガーは、ピストルグリップ107の方へ向かって内側に、部分的にのみ押圧される。更なるステープルの形成を得るため、外科医は、単純に更に発射トリガーを圧縮し、これによりアンビルは、ステープルと接触するように更に駆動される。本明細書において使用するとき、用語「接触する」とは、ステープル形成表面又はステープル形成ポケットがステープル脚部の端と接触し、脚部を形成した位置へと形成又は屈曲させ始めたことを意味する。ステープル形成の度合いとは、ステープル脚部がどれだけ折り畳まれたかを指し、ひいては、上記のステープル形成高さに関連する。当業者であれば、アンビル20は、発射運動がそこにかけられる際に、ステープルカートリッジに対して実質的に平行な関係で移動するため、ステープルが実質的に同時に、実質的に同じ形成高さで形成されることを更に理解するであろう。
【0037】
図2及び図3は、上記のエンドエフェクタ12’と同様の代替的なエンドエフェクタ12’’を示すが、ただし、ナイフバー172’を収容するように構成された、以下の差異を含むものとする。ナイフバー172’は、ナイフロッド180に連結されるか、又はこれから突出し、他の点においては、ナイフバー172に関連する上記の方法で操作される。しかしながら、本実施形態において、ナイフバー172’は、エンドエフェクタ12’’の全長を横断する十分な長さであり、したがって、別個の遠位ナイフ部材は、エンドエフェクタ12’’で利用されない。ナイフバー172’は、その上に形成される、上方横断部材173’、及び下方横断部材175’を有する。上方横断部材173’は、アンビル20’’の対応する細長スロット250を摺動可能に横断するように配向され、下方横断部材175’は、エンドエフェクタ12’’の細長チャネル14’’の細長スロット252を横断するように配向される。係合離脱スロット(図示されない)がまたアンビル20’’内に設けられ、それによりナイフバー172’が薄いエンドエフェクタ12’’と共に終了位置に駆動されるとき、上方横断部材173’は、対応するスロットを通って降下し、アンビル20’’が開放位置へと移動して、ステープリング及び切断された組織と係合離脱する。アンビル20’’は、その他の点においては、上記のアンビル20と同一であってもよく、細長チャネル14’’は、その他の点においては、上記の細長チャネル14と同一であってもよい。
【0038】
これらの実施形態において、アンビル20’’は、ばね又は他の開口の構成(図示せず)により、完全な開放位置(図2)に付勢される。アンビル20’’は、上記の方法により、発射アダプタ150の軸方向の移動によって、開放位置と、完全にクランプした位置との間で移動する。発射アダプタ150が完全にクランプした位置(図3)まで前進すると、次に、外科医は、ナイフバー172’’を上記の方法で遠位方向に前進させることができる。外科医がエンドエフェクタを、組織を操作するための保持装置として使用することを所望する場合、発射アダプタが近位方向に移動し、アンビル20’’は細長チャネル14’’から離れることができる(図4に破線で表される)。この実施形態において、ナイフバー172’’が遠位方向に移動すると、上方横断部材173’、及び下方横断部材175’は、アンビル20’’及び細長チャネル14’’を一緒に引き、ナイフバー172’’がエンドエフェクタ12’’を通って遠位方向に前進するに伴い、所望のステープル形成を達成する。図5を参照されたい。したがって、この実施形態において、ステープル形成は、組織切断と同時に生じるが、ステープル自体は、ナイフバー172’’が遠位方向に駆動される際に順次形成される。
【0039】
本発明の様々な外科用ステープルカートリッジ、及び外科用器具の固有かつ新規の特徴により、これらのカートリッジのステープルを1つ以上の線形又は非線形のラインに配置することができる。複数のかかるステープルのラインは、その内部を通って組織切断部材を受容するために、ステープルカートリッジ内に中央に配置された、細長スロットの両側に設けられてもよい。1つの構成において、例えば、1つのラインのステープルは、隣接するステープルの(複数の)ラインのステープルと実質的に平行であるが、そこからオフセットしてもよい。追加の選択肢として、1つ以上のステープルのラインは、非線形の性質を有してもよい。すなわち、ステープルのラインの少なくとも1つのステープルの基部は、同じステープルのラインの他のステープルの基部を、実質的に横断する方向である軸に沿って延在してもよい。例えば、細長スロットの両側のステープルのラインは、ジグザグの外観を有してもよい。
【0040】
本発明によると、ステープルカートリッジは、カートリッジ本体と、カートリッジ本体内に格納される複数のステープルと、を含んでもよい。使用の際、ステープルカートリッジは、手術部位の中へ導入され、処置される組織の側に位置付けられ得る。加えて、ステープル形成アンビルは、組織の反対側に位置付けられ得る。アンビルは、第1のジョーにより担持され、ステープルカートリッジは、第2のジョーによって担持され、第1のジョー及び/又は第2のジョーは、互いの方向へ移動することができる。ステープルカートリッジ及びアンビルが組織に対して位置付けられると、ステープルがステープルカートリッジ本体から排出され、ステープルが組織を貫通してステープル形成アンビルと接触することができる。ステープルがステープルカートリッジ本体から配備されると、その後、ステープルカートリッジ本体が手術部位から取り除かれる。ステープルカートリッジ又はステープルカートリッジの少なくとも一部が、ステープルと共に埋め込まれてもよい。例えば、以下で更により詳細に記載されるように、ステープルカートリッジは、アンビルが開放位置から閉鎖位置へと移動するときに、アンビルにより圧縮、圧潰、及び/又は圧壊され得る、カートリッジ本体を含んでもよい。カートリッジ本体が、圧縮、圧潰及び/又は圧壊されるとき、カートリッジ本体内に位置付けられるステープルは、アンビルによって変形され得る。あるいは、ステープルカートリッジを支持するジョーは、アンビルに向かい、閉鎖位置へと移動し得る。いずれにしても、ステープルは、これらが少なくとも部分的にカートリッジ本体内に位置付けられるときに、変形され得る。場合によっては、ステープルは、ステープルカートリッジから排出しなくてもよく、一方で他の場合において、ステープルは、カートリッジ本体の一部と共に、ステープルカートリッジから排出されてもよい。
【0041】
ここで図6A図6Dを参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1000などの圧縮可能なステープルカートリッジは、圧縮可能、埋め込み可能なカートリッジ本体1010、加えて、圧縮可能なカートリッジ本体1010内に位置付けられる、複数のステープル1020を含むことができるが、図6A図6Dでは、1つのステープル1020のみが示されている。図6Aは、ステープルカートリッジ支持体、又はステープルカートリッジチャネル1030によって支持されるカートリッジ1000を示し、ステープルカートリッジ1000は、未圧縮状態で示される。かかる未圧縮状態において、アンビル1040は、組織Tと接触してもしなくてもよい。使用の際、アンビル1040は、図6Bに見られるように、開放位置から組織Tへと接触させ、組織Tを、カートリッジ本体1010に対して位置付けるように移動してもよい。図6Bを再び参照すると、アンビル1040は、組織Tをステープルカートリッジ本体1010の組織当接面1019に対して位置付けることができるが、ステープルカートリッジ本体1010は、かかる時点において、圧縮力又は圧力を(受けたとしても)ほとんど受けなくてもよく、ステープル1020は、未形成又は未非発射状態にあってもよい。図6A及び図6Bに示すように、ステープルカートリッジ本体1010は、1つ以上の層を含んでもよく、ステープル1020のステープル脚部1021は、これらの層を通って上方に延在してもよい。カートリッジ本体1010は、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013を含んでもよく、第2の層1012は、第1の層1011と第3の層1013及び第4の層1014との中間に位置付けられてもよく、第3の層1013は、第2の層1012と第4の層1014との中間に位置付けられてもよい。ステープル1020の基部1022は、第4の層1014の空洞1015内に位置付けられてもよく、ステープル脚部1021は、基部1022から、例えば、第4の層1014、第3の層1013、及び第2の層1012を通って上方に延在してもよい。任意で、各変形可能な脚部1021は、先端、例えば鋭い先端1023を含んでもよく、これは、例えば、ステープルカートリッジ1000が未圧縮状態にあるときに、第2の層1012内に位置付けられてもよい。例えば、先端1023は、第1の層1011内に、かつ/又はこれを通って延在しなくてもよく、先端1023は、ステープルカートリッジ1000が未圧縮状態にあるときに、組織当接面1019を通って突出しなくてもよい。ステープルカートリッジが未圧縮状態にあるときに、鋭い先端1023は、第3の層1013、及び/又は他の任意の好適な層内に位置付けられてもよい。あるいは、ステープルカートリッジのカートリッジ本体は、例えば、3層以下、又は5層以上など、任意の好適な数の層を有してもよい。
【0042】
任意で、以下において、より詳細に記載されるように、第1の層1011は、バットレス材料及び/又はプラスチック材料、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)から構成されてもよく、第2の層1012は、生体吸収性フォーム材料及び/又は圧縮可能な止血材料、例えば、酸化再生セルロース(ORC)から構成されてもよい。任意で、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013、及び第4の層1014の1つ以上が、ステープルカートリッジ本体1010内にステープル1020を保持してもよく、加えて、ステープル1020を、互いに位置合わせした状態に維持してもよい。第3の層1013は、バットレス材料、又は極めて非圧縮性又は非弾性の材料から構成されてもよく、ステープル1020のステープル脚部1021を互いに対して適所に保持するように構成されてもよい。更に、第3の層1013の両側に位置付けられる、第2の層1012及び第4の層1014は、第2の層1012及び第4の層1014が、圧縮可能なフォーム又は弾性材料から構成することができる場合であっても、ステープル1020の移動を固定又は低減することができる。ステープル脚部1021のステープル先端部1023は、少なくとも部分的に第1の層1011内に埋め込まれてもよい。例えば、第1の層1011及び第3の層1013は、協調して、かつしっかりと、ステープル脚部1021を適所に保持するように構成することができる。第1の層1011及び第3の層1013は、それぞれ、例えば、商標名Vicrylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくは、PCLの複合物などの生体吸収性プラスチックのシートから構成されてもよく、第2の層1012及び第4の層1014は、それぞれ、少なくとも1つの止血材料又は止血剤から構成されてもよい。
【0043】
第1の層1011は、圧縮可能であってもよく、第2の層1012は、第1の層1011よりも実質的に更に圧縮可能であってもよい。例えば、第2の層1012は、第1の層1011の約2倍圧縮可能、約3倍圧縮可能、約4倍圧縮可能、約5倍圧縮可能、及び/又は約10倍圧縮可能であってもよい。換言すると、第2の層1012は、所与の力により第1の層1011の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍圧縮してもよい。第2の層1012は、例えば、第1の層1011の、約2〜約10倍圧縮可能であってもよい。第2の層1012は、内部に画定される複数の空隙を含んでもよく、第2の層1012における空隙の量及び/又は大きさは、第2の層1012の所望の圧縮性をもたらすために制御され得る。上記と同様に、第3の層1013は、圧縮可能であってもよく、第4の層1014は、第3の層1013よりも実質的に更に圧縮可能であってもよい。例えば、第4の層1014は、第3の層1013の約2倍圧縮可能、約3倍圧縮可能、約4倍圧縮可能、約5倍圧縮可能、及び/又は約10倍圧縮可能であってもよい。換言すると、第4の層1014は、所与の力により第3の層1013の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍圧縮してもよい。第4の層1014は、例えば、第3の層1013の、約2〜約10倍圧縮可能であってもよい。第4の層1014は、内部に画定される複数の空隙を含んでもよく、第4の層1014における空隙の量及び/又は大きさは、第4の層1014の所望の圧縮性をもたらすために制御され得る。様々な状況において、カートリッジ本体、又はカートリッジ本体層の圧縮性は、圧縮率(すなわち、所与の力において層が圧縮される距離)という観点で表現されてもよい。例えば、高い圧縮率を有する層は、層にかけられる所与の圧縮力において、より低い圧縮率を有する層と比較して、より大きな距離を圧縮する。すなわち、第2の層1012は、第1の層1011よりも高い圧縮率を有してもよく、同様に第4の層1014は、第3の層1013よりも高い圧縮率を有してもよい。第2の層1012及び第4の層1014は、同じ材料から構成されてもよく、同じ圧縮率を含んでもよい。第2の層1012及び第4の層1014は、異なる圧縮率を有する材料から構成されてもよい。同様に第1の層1011及び第3の層1013は、同じ材料から構成されてもよく、同じ圧縮率を含んでもよい。第1の層1011及び第3の層1013は、異なる圧縮率を有する材料から構成されてもよい。
【0044】
図6Cに示すように、アンビル1040が閉鎖位置に移動すると、アンビル1040は、組織Tに接触し、組織T及びステープルカートリッジ1000に圧縮力をかけることができる。かかる状況において、アンビル1040は、カートリッジ本体1010の上面又は組織当接面1019を、ステープルカートリッジ支持体1030に向かって下方に押すことができる。ステープルカートリッジ支持体1030は、ステープルカートリッジ1000がカートリッジ支持表面1031と、アンビル1040の組織当接面1041との間で圧縮される際に、ステープルカートリッジ1000を支持するように構成されてもよいカートリッジ支持表面1031を含んでもよい。アンビル1040によりかけられる圧力により、カートリッジ本体1010は、圧縮され、アンビル1040がステープル1020と接触することができる。より具体的には、カートリッジ本体1010の圧縮、及び組織当接面1019の下方向への移動により、ステープル脚部1021の先端部1023がカートリッジ本体1010の第1の層1011を貫通し、組織Tを貫通し、アンビル1040の形成ポケット1042内に入ることができる。カートリッジ本体1010が、アンビル1040によって更に圧縮されると、先端部1023は、形成ポケット1042を画定する壁部に接触することができ、結果として脚部1021は、例えば図6Cに示すように、変形するか、内方向に湾曲し得る。図6Cにまた示すように、ステープル脚部1021が変形すると、ステープル1020の基部1022は、ステープルカートリッジ支持体1030と接触するか、又はこれによって支持され得る。任意で、以下において、より詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ支持体1030は、例えば、複数の支持機構、例えば、ステープル支持溝、スロット又はトラフ1032を含んでもよく、これらは、ステープル1020が変形される際に、ステープル1020、又は少なくとものステープル1020の基部1022を支持するように構成されてもよい。図6Cにまた示すように、第4の層1014の空洞1015は、ステープルカートリッジ本体1010にかけられた圧縮力の結果として圧壊することができる。空洞1015に加えて、ステープルカートリッジ本体1010は、1つ以上の空隙、例えば空隙1016を更に含んでもよく、これは、その内部に位置付けられたステープルの一部を含んでも、含まなくてもよく、これは、カートリッジ本体1010が圧壊されることを可能にするように構成されてもよい。空洞1015及び/又は空隙1016は、空洞及び/又は壁部を画定する壁部が下方に屈曲して、カートリッジ支持表面1031と接触し、かつ/又は空洞及び/若しくは空隙の下に位置付けられるカートリッジ本体1010の層と接触するようにして、圧壊されるように構成される。
【0045】
図6B図6Cを比較すると、第2の層1012及び第4の層1014が、アンビル1040によってかけられた圧縮圧力によって実質的に圧縮されていることが明らかである。尚、第1の層1011及び第3の層1013も同様に圧縮されることに注目されたい。アンビル1040がその閉鎖位置に移動すると、アンビル1040は、組織当接面1019をステープルカートリッジ支持体1030に向かって下方に押すことによって、カートリッジ本体1010を更に圧縮し続けることができる。図6Dに示すように、カートリッジ本体1010が更に圧縮されると、アンビル1040は、ステープル1020を、それらの完全に形成された形状に変形することができる。図6Dを参照すると、各ステープル1020の脚部1021は、変形可能な脚部1021と基部1022との間に、組織T、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013、及び第4の層1014の少なくとも一部を捕捉するため、各ステープル1020の基部1022の方に向かって下方に変形され得る。図6C図6Dを比較すると、第2の層1012及び第4の層1014が、アンビル1040によってかけられた圧縮圧力によって実質的に更に圧縮されていることが更に明らかである。同様に、図6C図6Dを比較した際に、第1の層1011及び第3の層1013が更に圧縮されていることにも注目されたい。ステープル1020が完全に又は少なくとも十分に形成された後、アンビル1040が組織Tから離れるように持ち上げられてもよく、ステープルカートリッジ支持体1030は、ステープルカートリッジ1000から離れ、かつ/又は分離されてもよい。図6Dに示すように、上記の結果として、カートリッジ本体1010は、ステープル1020と共に埋め込まれてもよい。様々な状況において、埋め込まれたカートリッジ本体1010は、ステープルのラインに沿って組織を支持することができる。いくつかの状況において、埋め込まれたカートリッジ本体1010内に含有される止血剤及び/又は他の任意の好適な治療用薬剤によって、時間をかけて組織を治療することができる。上記のように、止血剤によって、ステープリング及び/又は切開された組織の出血を低減することができる一方で、結合剤又は組織接着剤によって、時間をかけて組織に強度をもたらすことができる。埋め込まれたカートリッジ本体1010は、例えば、ORC(酸化再生セルロース)、コラーゲンなどの細胞外タンパク質、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくは、PCLの複合物などの材料から構成されてもよい。ある状況において、カートリッジ本体1010は、抗生物質及び/又は抗菌性物質、例えば、コロイド状銀及び/又はトリクロサンを含んでもよく、これらは、手術部位における感染の可能性を低減させることができる。
【0046】
カートリッジ本体1010の層は、互いに接続されてもよい。例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1つの接着剤を使用して、第2の層1012は、第1の層1011に接着されてもよく、第3の層1013は、第2の層1012に接着されてもよく、第4の層1014は、第3の層1013に接着されてもよい。図示されていないが、カートリッジ本体1010の層は、機械的機構を結合させることによって互いに接続されてもよい。例えば、第1の層1011及び第2の層1012は、それぞれ、例えば、舌部及び溝部の配置及び/又はあり継手の構成などの、対応するインターロック機構を含んでもよい。同様に、第2の層1012及び第3の層1013は、それぞれ、対応するインターロック機構を含んでもよく、一方で第3の層1013及び第4の層1014は、それぞれ、対応するインターロック機構を含んでもよい。図示されていないが、ステープルカートリッジ1000は、例えば、カートリッジ本体1010の1つ以上の層を通って延在し得る1つ以上のリベットを含んでもよい。例えば、各リベットは、第1の層1011と隣接するように位置付けられた第1の端部又はヘッドと、及び第2のヘッドであって、このリベットの第2の端部によって付けられるか、又は形成され得る第4の層1014と隣接するように位置付けられた、第2のヘッドと、を含んでもよい。カートリッジ本体1010の圧縮可能な性質により、リベットは、カートリッジ本体1010を圧縮してもよく、これにより、リベットのヘッドは、例えば、組織当接面1019、及び/又はカートリッジ本体1010の底面1018に対して陥没してもよい。例えば、リベットは、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくは、PCLの複合物などの生体吸収性材料から構成されてもよい。カートリッジ本体1010の層は、その内部に含有されるステープル1020によって以外は、互いに接続されなくてもよい。例えば、ステープル脚部1021と、カートリッジ本体1010との間の摩擦係合により、カートリッジ本体1010の層を一緒に保持してもよく、ステープルが形成されると、層は、ステープル1020内に捕捉されてもよい。ステープル脚部1021の少なくとも一部は、粗い表面又は粗いコーティングを含んでもよく、これにより、ステープル1020とカートリッジ本体1010との間の摩擦力を増加させることができる。
【0047】
上記のように、外科用器具は、ステープルカートリッジ支持体1030を含む第1のジョー、及びアンビル1040を含む第2のジョーを含んでもよい。任意で、以下で更により詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ1000は、ステープルカートリッジ支持体1030と係合し、結果として、ステープルカートリッジ1000をステープルカートリッジ支持体1030に対して解放可能に保持するように構成されてもよい1つ以上の保持機構を含んでもよい。ステープルカートリッジ1000は、例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1つの接着剤によって、ステープルカートリッジ支持体1030に接着されてもよい。使用の際、少なくとも1つの状況において、特に腹腔鏡及び/又は内視鏡手術において、例えば、第2のジョーは、第1のジョーと反対側の閉鎖位置に移動しもよく、それによって第1及び第2のジョーがトロカールを通って手術部位に挿入されてもよい。例えば、トロカールは、およそ5mmの開口部又はカニューレを画定してもよく、これを通って第1及び第2のジョーが挿入されてもよい。第2のジョーは、開放位置と閉鎖位置との中間の、ステープルカートリッジ本体1010内に含有されるステープル1020を変形することなく、トロカールを通って第1及び第2のジョーが挿入されることを可能にし得る、部分的に閉鎖した位置に移動することができる。例えば、第2のジョーがその部分的に閉鎖した中間位置にあるとき、アンビル1040は、圧縮力をステープルカートリッジ本体1010にかけることができないが、第2のジョーが部分的に閉鎖した中間位置にあるときに、アンビル1040は、ステープルカートリッジ本体1010を圧縮することができる。アンビル1040が、そのような中間位置にあるときに、ステープルカートリッジ本体1010を圧縮することができる場合であっても、アンビル1040は、アンビル1040がステープル1020と接触するように、かつ/又はステープル1020がアンビル1040によって変形されるように、ステープルカートリッジ本体1010を十分に圧縮することができない。第1及び第2のジョーが、トロカールを通って手術部位に挿入されると、第2のジョーは、もう一度、開放され、アンビル1040及びステープルカートリッジ1000が、上記のように標的組織に対して位置付けられることができる。
【0048】
ここで図7A図7Dを参照すると、外科用ステープラーのエンドエフェクタは、アンビル1140とステープルカートリッジ支持体1130との中間に位置付けられた埋め込み可能なステープルカートリッジ1100を含んでもよい。上記と同様に、アンビル1140は、組織当接面1141を含んでもよく、ステープルカートリッジ1100は、組織当接面1119を含んでもよく、ステープルカートリッジ支持体1130は、ステープルカートリッジ1100を支持するように構成されてもよい支持表面1131を含んでもよい。図7Aを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ1100を変形することなく、ステープルカートリッジ1100の組織当接面1119に対して組織Tを位置付けるために使用されてもよく、アンビル1140がかかる位置にあるとき、組織当接面1141は、ステープルカートリッジ支持表面1131から距離1101aで位置付けられてもよく、組織当接面1119は、ステープルカートリッジ支持表面1131から距離1102aで位置付けられてもよい。その後、アンビル1140がステープルカートリッジ支持体1130に向かって移動すると、ここで図7Bを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ1100の上面又は組織当接面1119を下方に押し、カートリッジ本体1110の第1の層1111及び第2の層1112を圧縮することができる。図7Bを再び参照すると、層1111及び1112が圧縮されると、第2の層1112が圧潰し、ステープル1120の脚部1121が、第1の層1111を貫通して組織T内に入ることができる。例えば、ステープル1120は、第2の層1112のステープル空洞又は空隙1115内に少なくとも部分的に位置付けられてもよく、第2の層1112が圧縮されると、ステープル空洞1115が圧壊され、結果として、第2の層1112がステープル1120の周囲で圧壊される。第2の層1112は、ステープル空洞1115上に延在し、ステープル空洞1115を密閉するか、又は少なくとも部分的に密閉することができるカバー部1116を含んでもよい。図7Bは、ステープル空洞1115内へと下方に圧潰されている、カバー部1116を示す。第2の層1112は、第2の層1112が圧壊されるのを容易にし得る1つ以上の弱化部を含んでもよい。任意で、かかる弱化部は、例えば、刻み目、穿孔、及び/又は薄い断面を含んでもよく、これにより、カートリッジ本体1110の制御された圧壊を促進することができる。第1の層1111は、1つ以上の弱化部を含んでもよく、これにより、第1の層1111を通ってステープル脚部1121を貫入し易くすることができる。任意で、かかる弱化部は、例えば、刻み目、穿孔、及び/又は薄い断面を含んでもよく、これにより、ステープル脚部1121と位置合わせ又は少なくとも実質的に位置合わせすることができる。
【0049】
図7Aを再び参照すると、アンビル1140が、部分的に閉鎖した、未発射位置にあるとき、アンビル1140は、カートリッジ支持表面1131から、その間に隙間が画定されるように、距離1101aで位置付けられ得る。この隙間は、ステープルカートリッジの高さ1102aを有するステープルカートリッジ1100、及び組織Tで充填されてもよい。図7Bを再び参照すると、アンビル1140が下方に移動し、ステープルカートリッジ1100を圧縮すると、組織当接面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は、距離1101aよりも短い距離1101bで画定され得る。様々な状況において、距離1101bで画定される、アンビル1140の組織当接面1141と、カートリッジ支持表面1131との間の隙間は、元の変形していないステープルカートリッジの高さ1102aよりも大きくてもよい。ここで図7Cを参照すると、アンビル1140がカートリッジ支持表面1131により近く移動すると、第2の層1112は、圧壊し続け、ステープル脚部1121と形成ポケット1142との間の距離は、減少し得る。同様に、組織当接面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は、1101cまで減少してもよく、これは、元の変形していないカートリッジの高さ1102aより大きい、これと等しい、又はこれより小さくてもよい。図7Dを参照すると、アンビル1140は、ステープル1120が完全に形成された又は少なくとも所望の高さまで形成された、最終的な、発射済み位置まで移動することができる。かかる位置において、アンビル1140の組織当接面1141は、カートリッジ支持表面1131から距離1101dの距離であってもよく、距離1101dは、元の変形していないカートリッジの高さ1102aより短くてもよい。また、図7Dに示すように、ステープル空洞1115は、完全に又は少なくとも実質的に、圧壊されてもよく、ステープル1120は、圧壊された第2の層1112によって完全に又は少なくとも実質的に囲まれてもよい。様々な状況において、アンビル1140は、その後、ステープルカートリッジ1100から離れてもよい。アンビル1140がステープルカートリッジ1100から係合離脱すると、カートリッジ本体1110は、様々な位置(すなわち、例えば、ステープル1120に隣接するステープルの中間の位置)において、少なくとも部分的に再膨張することができる。圧潰したカートリッジ本体1110は、弾性的に再膨張しなくてもよい。形成されたステープル1120、加えて、隣接するステープル1120の中間に位置付けられるカートリッジ本体1110は、様々な治療的効果をもたらすることができる圧力、又は圧縮力を組織Tにかけてもよい。
【0050】
上記のように図7Aを再び参照すると、各ステープル1120は、そこから延在するステープル脚部1121を含んでもよい。ステープル1120は、2つのステープル脚部1121を含むものとして示されるが、1つのステープル脚部、あるいは、3つ以上のステープル脚部、例えば、3つのステープル脚部、又は4つのステープル脚部を含んでもよい様々なステープルが使用されてもよい。図7Aに示すように、各ステープル脚部1121は、ステープル1120が第2の層1112内に固定されるように、カートリッジ本体1110の第2の層1112内に埋め込まれ得る。ステープル1120は、ステープル脚部1121の先端1123が、基部1122の前に空洞1115内に入るように、カートリッジ本体1110のステープル空洞1115内に挿入され得る。先端1123が、空洞1115内に挿入された後、先端1123は、カバー部1116に押し込まれて、第2の層1112を切開することができる。ステープル1120は、ステープル1120が第2の層1112に対して動かないか、又は少なくとも実質的に動かないように、第2の層1112内の十分な深さに据え付けられ得る。ステープル1120は、基部1122がステープル空洞1115内に位置付けられるか又は埋め込まれるように、第2の層1112内の十分な深さに据え付けられる。あるいは、基部1122は、第2の層1112内に位置付けられなくてもよく、又は埋め込まれなくてもよい。図7Aを再び参照すると、基部1122は、カートリッジ本体1110の底面1118の下に延在してもよい。基部1122は、カートリッジ支持表面1130上に据えてもよく、又はカートリッジ支持表面1130に対して直接位置付けられてもよい。カートリッジ支持表面1130は、そこから延在し、かつ/又は内部に画定される支持機構を備えてもよく、例えば、ステープル1120の基部1122は、以下で更により詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ支持体1130内の、1つ以上の支持溝、スロット、又はトラフ1132内に位置付けられ、かつ、これによって支持されてもよい。
【0051】
ここで図8及び図9を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1200などのステープルカートリッジは、外層1211と、内層1212と、を含む、圧縮可能な、埋め込み可能なカートリッジ本体1210を含んでもよい。上記と同様に、ステープルカートリッジ1200は、カートリッジ本体1210内に位置付けられる、複数のステープル1220を含んでもよい。任意で、各ステープル1220は、基部1222と、そこから延在する1つ以上のステープル脚部1221と、を含んでもよい。例えば、ステープル脚部1221は、内層1212に挿入され、例えば、ステープル1220の基部1222が、内層1212の底面1218と当接し、かつ/又は隣接するように位置付けられるような深さに据えられてもよい。図8及び図9において、内層1212は、ステープル1220の一部を受容するように構成されたステープル空洞を含まず、あるいは、内層1212は、かかるステープル空洞を含んでもよい。上記に加え、内層1212は、例えば、生体吸収性フォーム及び/又は酸化再生セルロース(ORC)などの、圧縮可能な材料から構成されてもよく、圧縮負荷をカートリッジ本体1210にかける際に、カートリッジ本体1210が、圧壊されることを可能にするよう構成されてもよい。内層1212は、例えば、ポリ乳酸(PLA)及び/又はポリグリコール酸(PGA)を含む凍結乾燥フォームから構成されてもよい。ORCは、商標名Surgicelで、市販で入手可能であり、緩く織られた(外科用スポンジのような)ファブリック、(コットンボールのような)緩い繊維、及び/又はフォームを含んでもよい。内層1212は、例えば、水による活性化及び/又は、例えば、患者の体液による活性化が可能な、内層1212の内部に含有され、かつ/又は内層1212の上に被覆される凍結乾燥トロンビン及び/又はフィブリンのような、薬剤を含む材料から構成されてもよい。例えば、凍結乾燥したトロンビン及び/又はフィブリンを、例えば、Vicryl(PGA)マトリックス上に保持してもよい。しかしながら、特定の状況では、ステープルカートリッジ1200が、例えば、患者の体内の手術部位に挿入されたときに、活性化可能な薬剤が、意図せずして、活性化される場合がある。図8及び図9を再び参照すると、外層1211は、水不透過性、又は少なくとも実質的に水不透過性の材料から構成されてもよく、それによりカートリッジ本体1210が圧縮されてステープル脚部が外層1211に貫入した後、かつ/又は外層1211が何らかの様式により切開された後まで、液体が内層1212と接触しないか、又は少なくとも実質的に接触しない。外層1211は、例えば、ポリジオキサノン(PDS)、及び/又はポリグリコール酸(PGA)などのバットレス材料及び/又はプラスチック材料から構成されてもよい。外層1211は、内層1212及びステープル1220を囲むラップを含んでもよい。より具体的に、ステープル1220は、内層1212の中へ挿入されてもよく、外層1211は、内層1212と、ステープル1220と、を含む、サブアセンブリの周囲に巻かれ、その後封止されてもよい。
【0052】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉鎖位置に移動するときに、アンビルによって完全に形成され得る。あるいは、図10図13を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ4100などのステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉鎖位置へ移動するときにアンビルによって、加えて、ステープルを閉鎖したアンビルの方へ移動させるステープルドライバシステムによって、変形され得る。ステープルカートリッジ4100は、例えば、フォーム材料、及び圧縮可能なカートリッジ本体4110内に少なくとも部分的に位置付けられた、複数のステープル4120から構成されてもよい、圧縮可能なカートリッジ本体4110を含んでもよい。ステープルドライバシステムは、ドライバホルダ4160と、ドライバホルダ4160内に位置付けられた複数のステープルドライバ4162と、ドライバホルダ4160内にステープルドライバ4162を保持するように構成することができるステープルカートリッジパン4180と、を含んでもよい。例えば、ステープルドライバ4162は、ドライバホルダ4160の1つ以上のスロット4163内に位置付けられてもよく、スロット4163の側壁は、ステープルドライバ4162をアンビルに向かって上方に案内することを補助してもよい。ステープル4120は、ステープルドライバ4162によってスロット4163内で支持されてもよく、ステープル4120は、ステープル4120及びステープルドライバ4162がこれらの未発射位置にある際、スロット4163内に完全に位置付けられてもよい。あるいは、ステープル4120の少なくとも一部は、ステープル4120及びステープルドライバ4162がこれらの未発射位置にあるときに、スロット4163の開放端部4161を通って上方に延在してもよい。例えば、ここで主として図11を参照すると、ステープル4120の基部は、ドライバホルダ4160内に位置付けられてもよく、ステープル4120の先端部は、圧縮可能なカートリッジ本体4110内に埋め込まれてもよい。ステープル4120の高さのおよそ1/3がドライバホルダ4160内に位置付けられてもよく、ステープル4120のおよそ2/3が、カートリッジ本体4110内に位置付けられてもよい。図10Aを参照すると、ステープルカートリッジ4100は、例えば、カートリッジ本体4110及びドライバホルダ4160を包囲する、水不透過性ラップ又は膜4111を更に備えてもよい。
【0053】
使用の際、ステープルカートリッジ4100は、例えば、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられてもよく、アンビルは、ステープルカートリッジ4100に向かって閉鎖位置へと移動することができる。アンビルは、アンビルがその閉鎖位置に移動するときに、圧縮可能カートリッジ本体4110と接触し、かつこれを圧縮することができる。アンビルは、アンビルがその閉鎖位置にあるときに、ステープル4120に接触しなくてもよい。アンビルは、アンビルがその閉鎖位置に移動する際に、ステープル4120の脚部に接触し、少なくとも部分的にステープル4120を変形させてもよい。いずれにしても、ステープルカートリッジ4100は、ステープルカートリッジ4100内で長手方向に前進してもよい1つ以上のスレッド4170を更に含んでもよく、それによって、スレッド4170は、順次、ステープルドライバ4162と係合し、ステープルドライバ4162及びステープル4120をアンビルの方に移動させることができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジパン4180と、ステープルドライバ4162との間で摺動することができる。アンビルの閉鎖により、ステープル4120の形成プロセスを開始した場合、ステープル4120のアンビルへの上方向への移動により、形成プロセスは完了し、ステープル4120をこれらの完全に形成した、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。アンビルの閉鎖により、ステープル4120が変形されていない場合、ステープル4120のアンビルの方への上方向への移動により、形成プロセスを開始及び完了し、ステープル4120をこれらの完全に形成した、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジ4100の近位端から、ステープルカートリッジ4100の遠位端まで前進することができ、それによって、ステープルカートリッジ4100の近位端内に位置付けられるステープル4120は、ステープルカートリッジ4100の遠位端内に位置付けられるステープル4120が完全に形成される前に、完全に形成される。図12を参照すると、スレッド4170は、それぞれ、少なくとも1つの角度が付いた、又は傾いた表面4711を含んでもよく、これは図13に示すように、ステープルドライバ4162の下を摺動し、ステープルドライバ4162を持ち上げるように構成することができる。
【0054】
上記に加え、ステープル4120は、組織Tの少なくとも一部、及びステープルカートリッジ4100の圧縮可能なカートリッジ本体4110の少なくとも一部を内部に捕捉するために、形成され得る。ステープル4120が形成された後、外科用ステープラーのアンビル及びステープルカートリッジチャネル4130は、埋め込まれたステープルカートリッジ4100から離れることができる。様々な状況において、カートリッジパン4180は、ステープルカートリッジチャネル4130としっかりと係合することができ、その結果、カートリッジパン4180は、ステープルカートリッジチャネル4130が、埋め込まれたカートリッジ本体4110から引き離される際に、圧縮可能なカートリッジ本体4110から分離される。図10を再び参照すると、カートリッジパン4180は、その間にカートリッジ本体4110が取り外し可能に位置付けられ得る、対向する側壁4181を含んでもよい。例えば、圧縮可能なカートリッジ本体4110は、カートリッジ本体4110が使用中に側壁4181の間に取り外し可能に保持され、カートリッジパン4180が引き離される際にカートリッジパン4180から解放可能に係合離脱されるように、側壁4181の間で圧縮されてもよい。例えば、ドライバホルダ4160は、カートリッジパン4180を手術部位から取り除くときに、ドライバホルダ4160、ドライバ4162、及び/又はスレッド4170が、カートリッジパン4180内に留まることができるようにして、カートリッジパン4180内に接続されてもよい。ドライバ4162は、ドライバホルダ4160から排出されて、手術部位に残されてもよい。例えば、ドライバ4162は、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくは、PCLの複合物などの生体吸収性材料から構成されてもよい。ドライバ4162は、ドライバ4162が、ステープル4120と共に配備されるように、ステープル4120に取り付けることができる。例えば、各ドライバ4162は、例えば、ステープル4120の基部を受容するように構成されたトラフを含んでもよく、トラフは、圧力嵌め及び/又はスナップ嵌めの方法により、ステープル基部を受容するように構成されてもよい。
【0055】
更に上記に加えドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170は、カートリッジパン4180から排出されてもよい。例えば、スレッド4170は、カートリッジパン4180と、ドライバホルダ4160との間で摺動してもよく、それにより、スレッド4170がステープルドライバ4162及びステープル4120を上方に駆動するためにスレッド4170が前進する際に、スレッド4170がドライバホルダ4160も同様に、カートリッジパン4180の外側に上方向へと移動させることができる。例えば、ドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170は、商標名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商標名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくは、PCLの複合物などの生体吸収性材料から構成することができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジ4100を通ってスレッド4170を押すドライブバー又は切断部材に一体的に形成され、かつ/又はこれに取り付けられてもよい。そのような場合において、スレッド4170は、カートリッジパン4180から排出されなくてもよく、外科用ステープラーと共に留まってもよいが、スレッド4170がドライブバーに取り付けられていない他の場合において、スレッド4170は、手術部位に残ってもよい。いずれにせよ、上記に加え、カートリッジ本体4110の圧縮性は、ステープラーのアンビルが閉鎖するときにカートリッジ本体4110が圧縮又は収縮し得る際に、より厚いステープルカートリッジが、外科用ステープラーのエンドエフェクタ内で使用されることを可能にし得る。アンビルの閉鎖の際に少なくとも一部が変形されるステープルの結果として、例えば、およそ4.6mm(0.18”)を有するステープルなどの、より高いステープルが使用されてもよく、およそ3.0mm(0.12”)のステープル高さが圧縮可能な層4110内に位置付けられてもよく、圧縮可能な層4110は、例えば、およそ3.6mm(0.14”)の未圧縮高さを含んでもよい。
【0056】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジは、内部に複数のステープルを備えることができる。任意で、かかるステープルは、2つのステープル脚部を有する実質的にU字型の構成に変形される金属ワイヤから構成することができる。ステープルが、3つ以上のステープル脚部を有する、接合された2つ以上のワイヤなどの異なる構成を備え得る、代替例が想到される。ステープルを形成するために使用されるワイヤ又は複数のワイヤは、丸い、又は少なくとも実質的に丸い断面を含んでもよい。ステープルワイヤは、例えば、正方形及び/又は矩形の断面などの、他の任意の好適な断面を含んでもよい。ステープルは、プラスチックワイヤから構成されてもよい。ステープルは、プラスチックコーティングされた金属ワイヤから構成されてもよい。本発明によると、カートリッジは、ステープルに加えて、又はその代わりに、任意の好適な種類の締結具を備えてもよい。例えば、かかる締結具は、アンビルで係合する際に折られる、枢動可能なアームを備えてもよい。二つの部分を含む締結具を利用し得る。例えば、ステープルカートリッジは、複数の第1の締結部を含んでもよく、アンビルは、アンビルがステープルカートリッジに対して圧縮される際に、第1の締結部に接続される、複数の第2の締結部を含んでもよい。上記のように、スレッド又はドライバは、ステープルの形成プロセスを完了するために、ステープルカートリッジ内で前進することができる。スレッド又はドライバは、1つ以上の形成部材を、内部に位置付けられた、対向するステープルカートリッジ及びステープル又は締結具と係合するように、下方に移動させるために、アンビル内で前進することができる。
【0057】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジは、その内部に格納された4列のステープルを含んでもよい。4つのステープル列は、2つの内側ステープル列、及び2つの外側ステープル列に配置されてもよい。例えば、内側ステープル列及び外側ステープル列は、ステープルカートリッジ内の切断部材又はナイフ、スロットの第1の側部に位置付けられてもよく、同様に、内側ステープル列及び外側ステープル列は、切断部材又はナイフスロットの第2の側部に位置付けられてもよい。ステープルカートリッジは、切断部材スロットを含まなくてもよいが、かかるステープルカートリッジは、ステープルカートリッジスロットの代わりに、切断部材によって切開されるように構成された指定部分を含んでもよい。内側ステープル列は、ステープルカートリッジ内において、これらが切断部材スロットから均等に、又は少なくとも実質的に均等に離間するように配置され得る。同様に、外側ステープル列は、ステープルカートリッジ内において、これらが切断部材スロットから均等に、又は少なくとも実質的に均等に離間するように配置され得る。本発明によると、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ内に格納された5列以上、又は3列以下のステープルを含んでもよい。ステープルカートリッジは、6列のステープルを含んでもよい。例えば、そのステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1の側部に3列のステープルを含み、切断部材スロットの第2の側部に3列のステープルを含んでもよい。ステープルカートリッジは、奇数のステープル列を含んでもよい。例えば、ステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1の側部に2列のステープルを含み、切断部材スロットの第2の側部に3列のステープルを含んでもよい。ステープル列は、同じ又は少なくとも実質的に同じ、形成されていないステープル高さを含んでもよい。あるいは、1つ以上のステープル列は、他のステープルとは、異なる非形成ステープル高さを有するステープルを含んでもよい。例えば、切断部材スロットの第1の側部のステープルは、第1の非形成高さを有してもよく、切断部材スロットの第2の側部のステープルは、第2の非形成高さを有してもよく、これは、例えば、第1の高さとは、異なる。
【0058】
任意で、上記のように、ステープルカートリッジは、内部に画定された複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体を含んでもよい。カートリッジ本体は、デッキ及びデッキ上表面を含んでもよく、各ステープル空洞は、デッキ表面に開口を画定してもよい。上記のように、ステープルは、カートリッジ本体から排出されるまでの間、カートリッジ本体内に格納されるように、各ステープル空洞内に位置付けることができる。ステープルは、カートリッジ本体から排出される前に、ステープルがデッキ表面の上に突出しないように、カートリッジ本体内に含有され得る。そのような場合、ステープルは、デッキ表面の下に位置付けられているため、ステープルの損傷及び/又は標的組織に時期尚早に接触する可能性を低減することができる。様々な状況において、ステープルは、カートリッジ本体から突出していない未発射位置と、カートリッジ本体から出現して、ステープルカートリッジの反対側に位置付けられているアンビルに接触することができる発射済み位置との間で、移動することができる。アンビル、及び/又はアンビル内に画定されている形成ポケットは、デッキ表面の上の所定距離に位置付けることができ、これにより、ステープルがカートリッジ本体から配備される際に、ステープルが所定の形成高さに変形される。いくつかの状況において、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織の厚さは、変化してもよく、その結果、より厚い組織が特定のステープル内に捕捉されてもよく、より薄い組織が他の特定のステープル内に捕捉されてもよい。いずれにしても、ステープルによって組織にかけられるクランプ圧又はクランプ力は、ステープルによって変化してもよく、あるいは、例えば、ステープル列の一方の端にあるステープルと、そのステープル列の他方の端にあるステープルとの間で変化してもよい。特定の状況において、アンビルとステープルカートリッジデッキとの間の隙間は、ステープルが各ステープル内に所定の最低クランプ圧をかけるように制御することができる。しかしながら、いくつかのそのような状況において、異なるステープル内でクランプ圧の顕著な変動が依然として存在し得る。外科用ステープリング器具が、米国特許第7,380,696号(2008年6月3日発行)に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。外科用ステープリング及び切断用器具の例示的なマルチストロークハンドルは、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、同時係属かつ共同出願の米国特許出願第10/374,026号の発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM」に詳細が記述されている。本発明と一貫性がある他の出願は、単一の発射ストロークを組み込んでもよく、例えば、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、同時係属かつ共同出願の米国特許出願第10/441,632号の発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」に記述されている。
【0059】
本明細書に記載されるように、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジから配備されるステープル内に捕捉される組織の厚さの補正を行う手段を備えてもよい。図14を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ10000)は、剛性の第1の部分(例えば、支持部10010)と、圧縮可能な第2の部分(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)とを含んでもよい。主として図16を参照すると、支持部10010は、カートリッジ本体と、デッキ上側表面10011と、複数のステープル空洞10012と、を備え、上記と同様に、各ステープル空洞10012は、デッキ表面10011に開口を画定し得る。例えば、ステープル10030は、各ステープル空洞10012内に取り外し可能に位置付けることができる。例えば、各ステープル10030は、基部10031と、及び基部10031から延在する1つ以上の脚部10032と、を含んでもよい。ステープル10030が配備される前に、これも詳しくは、後述されるように、ステープル10030の基部10031は、支持部10010内に位置付けられているステープルドライバによって支持されることができ、同時に、ステープル10030の脚部10032は、ステープル空洞10012内に少なくとも部分的に含有されてもよい。ステープル10030は、脚部10032が組織厚さコンペンセータ10020を通って移動し、組織厚さコンペンセータ10020の上側表面に貫入し、組織Tに貫入し、ステープルカートリッジ10000の反対側に位置付けられるアンビルに接触するよう、未発射位置と発射済み位置との間に配備することができる。脚部10032がアンビルに当たって変形すると、各ステープル10030の脚部10032が、各ステープル10030内で、組織厚さコンペンセータ10020の一部と組織Tの一部とを捕捉し、この組織に圧縮力をかけることができる。上記に対して更に、各ステープル10030の脚部10032は、ステープルの基部10031に向かって下方に変形して、ステープル捕捉領域10039を形成することができ、組織Tと組織厚さコンペンセータ10020が捕捉され得る。様々な状況において、ステープル捕捉領域10039は、変形した脚部10032の内側表面と、基部10031の内側表面との間で画定され得る。ステープルの捕捉領域の大きさは、例えば、脚部の長さ、脚部の直径、基部の幅、及び/又は脚部の変形の程度などのいくつかの要素に依存し得る。
【0060】
これまで、外科医は、しばしば、ステープリングされる組織に対して適切なステープル高さを有する適切なステープルを選択する必要があった。例えば、外科医は、厚い組織に使用するには、長いステープルを選択し、薄い組織に使用するには、短いステープルを選択することができた。しかしながら、いくつかの状況において、ステープリングされる組織は、均一な厚さを有しておらず、ステープルによっては、望ましい発射形状を達成することができなかった。例えば、図48は、薄い組織に使用された長いステープルを示す。ここで図49を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)を薄い組織に使用した場合、大きなステープルであっても、望ましい発射形状を形成することができる。
【0061】
組織厚さコンペンセータの圧縮性のおかげで、組織厚さコンペンセータは、各ステープル内に捕捉された組織の厚さを補正することができる。より具体的には、ここで図43及び44を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)は、ステープル捕捉領域10039内に含有された組織の厚さ及び/又はタイプに応じて、各ステープル10030のステープル捕捉領域10039のより大きな部分及び/又はより小さな部分を占めることができる。例えば、より薄い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より厚い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039のより大きな部分を占めることができる。同様に、より厚い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より薄い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039の中で、より小さな部分を占める場合がある。このようにして、組織厚さコンペンセータは、より薄い組織及び/又はより厚い組織を補正することができ、ステープル内に捕捉された組織厚さとは、無関係に、又は少なくとも実質的に無関係に、圧縮圧力を組織にかけることができる。上記に加え、組織厚さコンペンセータ10020は、異なるステープル10030内に捕捉された組織の様々なタイプ又は圧縮性を、補正することができる。ここで図44を参照すると、組織厚さコンペンセータ10020は、脈管Vを含み得る脈管組織Tに対して圧縮力をかけることができ、その結果、圧縮性のより低い脈管Vを通る血流を制限する一方、周囲の組織Tに対して望ましい圧縮圧力をかけることができる。様々な状況において、上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ10020は、また、形成不良ステープルをも補正することができる。図45を参照すると、様々なステープル10030の形成不良により、そのようなステープル内に画定される、より大きなステープル捕捉領域10039が生じることがある。ここで図46を参照すると、組織厚さコンペンセータ10020の弾力性のおかげで、形成不良ステープル10030内に位置付けられた組織厚さコンペンセータ10020は、そのような形成不良ステープル10030内に画定されたステープル捕捉領域10039が増大している場合であっても、依然として組織Tに十分な圧縮圧力をかけることができる。様々な状況において、例えば、隣接するステープル10030の中間にある組織厚さコンペンセータ10020は、形成不良ステープル10030を包囲する適正形成ステープル10030により、組織Tに対して付勢することができ、その結果、周囲の組織、及び/又は形成不良ステープル10030内に捕捉された組織に対して、圧縮圧力をかけることができる。様々な状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば、石灰化、線維性領域、及び/又は以前にステープリングされた又は治療が行われた組織などによって生じ得る、異なる組織密度を補正することができる。
【0062】
本発明によると、固定された(変更不能な)組織間隔は、支持部とアンビルとの間で画定することができ、その結果、ステープルは、ステープル内に捕捉された組織の厚さにかかわらず、所定の高さに変形され得る。組織厚さコンペンセータをそのような場合に使用すると、組織厚さコンペンセータが、アンビルと支持部ステープルカートリッジとの間に捕捉された組織に対して適合することができ、この組織厚さコンペンセータの弾力性のおかげで、組織厚さコンペンセータが追加の圧縮圧力を組織に対してかけることができる。ここで図50〜55を参照すると、ステープル10030が、所定の高さHに形成されている。図50に関して、組織厚さコンペンセータは、使用されておらず、組織Tがステープル捕捉領域10039の全体を占めている。図57に関して、組織厚さコンペンセータ10020の一部がステープル10030内に捕捉され、組織Tを圧縮し、ステープル捕捉領域10039の少なくとも一部を占めている。ここで図52を参照すると、薄い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態において、例えば、圧縮された組織Tは、約2/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は、約7/9Hの高さを有する。ここで図53を参照すると、中間の厚さを有する組織Tが、ステープル10030内に捕捉されている。この実施形態において、例えば、圧縮された組織Tは、約4/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は、約5/9Hの高さを有する。ここで図54を参照すると、中間の厚さを有する組織Tが、ステープル10030内に捕捉されている。この実施形態において、例えば、圧縮された組織Tは、約2/3Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は、約1/3Hの高さを有する。ここで図53を参照すると、厚い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態において、例えば、圧縮された組織Tは、約8/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は、約1/9Hの高さを有する。様々な状況において、この組織厚さコンペンセータは、例えば、ステープル捕捉高さの約10%、ステープル捕捉高さの約20%、ステープル捕捉高さの約30%、ステープル捕捉高さの約40%、ステープル捕捉高さの約50%、ステープル捕捉高さの約60%、ステープル捕捉高さの約70%、ステープル捕捉高さの約80%、及び/又はステープル捕捉高さの約90%を含む圧縮高さを含んでもよい。
【0063】
ステープル10030は、任意の好適な未形成高さを含んでもよい。ステープル10030は、例えば、約2mm〜約4.8mmの未形成高さを含んでもよい。ステープル10030は、例えば約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.8mm、約4.0mm、約4.1mm、及び/又は約4.8mmの未形成高さを含んでもよい。ステープルが変形され得る高さHは、支持部10010のデッキ表面10011と、それに対向するアンビルとの間の距離によって規定され得る。デッキ表面10011とアンビルの組織当接面との間の距離は、例えば、約2.5mm(0.097”)であってもよい。高さHは、アンビル内に画定される形成ポケットの深さによっても規定され得る。形成ポケットは、例えば、組織当接面から測定される深さを有してもよい。任意で、以下において、より詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ10000は、更にステープルドライバを含んでもよく、これは、ステープル10030をアンビルに向かって持ち上げることができ、また、ステープルをデッキ表面10011の上に持ち上げる(又は「オーバードライブさせる」)ことができる。そのような場合において、ステープル10030が形成される高さHは、ステープル10030がオーバードライブされる距離によっても規定され得る。例えば、ステープル10030は、例えば、約0.71mm(0.028”)だけオーバードライブされてもよく、これによりステープル10030が、例えば、約4.80mm(0.189”)の高さに形成され得る。ステープル10030は、例えば、約0.8mm、約1.0mm、約1.5mm、約1.8mm、約2.0mm、及び/又は約2.25mmの高さに形成されてもよい。ステープルは、例えば、約2.25mm〜約3.0mmの高さに形成されてもよい。上記に対して更に、ステープルのステープル捕捉領域の高さは、ステープルの形成高さと、そのステープルを構成するワイヤの幅(又は直径)とによって決定され得る。ステープル10030のステープル捕捉領域10039の高さは、ステープルの形成高さHから、ワイヤの直径幅の2倍を引いたものとなり得る。ステープルワイヤは、例えば、約0.23mm(0.0089”)の直径を含んでもよい。ステープルワイヤは、例えば、約0.18mm(0.0069”)〜約0.30mm(0.0119”)の直径を含んでもよい。例えば、ステープル10030の形成高さHは、約4.8mm(0.189”)であってもよく、ステープルワイヤ直径は、約0.23(0.0089”)であってもよく、これによりステープル捕捉高さは、例えば、約4.34mm(0.171”)となる。
【0064】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、未圧縮(又は配備前の)高さを含んでもよく、複数の圧縮高さの1つに変形されるように構成されてもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、約3.18mm(0.125”)の未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、約2.0mm(0.080”)以上の未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さよりも高い、未圧縮(又は配備前)高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、未発射のステープル高さよりも、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、及び/又は約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、最高約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、100%以上高くてもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さに等しい未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さより低い未圧縮高さを含んでもよい。厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、ステープルの未発射高さよりも、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及び/又は約90%小さくてもよい。圧縮可能な第2の部分は、ステープリングされる組織Tの未圧縮高さよりも高い、未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープリングされる組織Tの未圧縮高さに等しい未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープリングされる組織Tの未圧縮高さよりも低い未圧縮高さを含んでもよい。
【0065】
上記のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル内に捕捉される組織が厚いか薄いかにかかわらず、複数の形成されたステープル内に圧縮され得る。例えば、ステープルのライン(又は列)内のステープルは、各ステープルのステープル捕捉領域が例えば、約2.0mmの高さを含むように変形されてもよく、組織Tと組織厚さコンペンセータが、この高さ内に圧縮され得る。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを含んでもよく、一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを含んでもよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。
【0066】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも低い未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さに等しい未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも高い未圧縮高さを含んでもよい。例えば、組織厚さコンペンセータの未圧縮高さは、例えば、形成済みステープル高さの約110%、形成済みステープル高さの約120%、形成済みステープル高さの約130%、形成済みステープル高さの約140%、形成済みステープル高さの約150%、形成済みステープル高さの約160%、形成済みステープル高さの約170%、形成済みステープル高さの約180%、形成済みステープル高さの約190%、及び/又は形成済みステープル高さの約200%の厚さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも2倍超の未圧縮高さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、形成済みステープル高さの約85%〜約150%の圧縮高さを含んでもよい。任意で、上記のように、組織厚さコンペンセータは、未圧縮厚さと圧縮済み厚さとの間まで圧縮されてもよい。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、例えば、その未圧縮厚さの約10%、その未圧縮厚さの約20%、その未圧縮厚さの約30%、その未圧縮厚さの約40%、その未圧縮厚さの約50%、その未圧縮厚さの約60%、その未圧縮厚さの約70%、その未圧縮厚さの約80%、及び/又はその未圧縮厚さの約90%であってもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さは、例えば、その圧縮済み厚さの約2倍、約10倍、約50倍、及び/又は約100倍であってもよい。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、その未圧縮厚さの約60%〜約99%であってもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さは、その圧縮済み厚さより少なくとも50%厚くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さは、その圧縮済み厚さより最高100倍厚くてもよい。圧縮可能な第2の部分は、弾性、又は少なくとも部分的に弾性であってもよく、ステープルの変形した脚部に対して組織Tを付勢し得る。例えば、圧縮可能な第2の部分は、組織Tをステープルの脚部に対して押し付けるために、組織Tとステープルの基部との間で弾力的に膨張してもよい。更に詳しくは、後述されるように、組織厚さコンペンセータは、組織Tと変形したステープル脚部との中間に位置付けられ得る。様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内の任意の隙間を埋めるように構成することができる。
【0067】
組織厚さコンペンセータは、例えば、生体適合性、生体吸収性、生体再吸収性、生体耐久性、生分解性、圧縮可能性、液吸収性、膨潤性、自己膨張性、生理活性、薬剤、薬理活性、抗接着性、止血性、抗生性、抗菌性、抗ウイルス性、栄養性、接着性、透過性、親水性及び/又は疎水性といった1つ以上の特性によって特徴付けられる材料を含んでもよい。本発明によると、アンビルと、ステープルカートリッジと、を備える、外科用器具は、フィブリン及びトロンビンなどの止血剤、ドキシプル(doxycpl)などの抗生物質、マトリックスメタロプロテアーゼ類(MMP)などの薬剤の少なくとも1つを含む、アンビル及び/又はステープルカートリッジと関連付けられた組織厚さコンペンセータを含んでもよい。
【0068】
組織厚さコンペンセータは、合成及び/又は非合成材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、1つ以上の合成ポリマー及び/又は1つ以上の非合成ポリマーを含む、ポリマー組成物を含んでもよい。この合成ポリマーは、吸収性合成ポリマー及び/又は非吸収性合成ポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物は、例えば、生体適合性フォームを含んでもよい。生体適合性フォームは、例えば、多孔質連続気泡フォーム、及び/又は多孔質独立気泡フォームを含んでもよい。生体適合性フォームは、均一の孔形態を有してもよく、あるいは、勾配のある(すなわち、フォームの厚さにわたって一方向に、小さい孔から大きい孔へと徐々に大きくなる)孔形態を有してもよい。ポリマー組成物は、多孔質スキャフォールド、多孔質マトリックス、ゲルマトリックス、ヒドロゲル溶液、溶液マトリックス、繊維状マトリックス、管状マトリックス、複合体マトリックス、膜状マトリックス、生体安定性ポリマー、及び生分解性ポリマー、並びにこれらの組み合わせのうち1つ以上を含んでもよい。例えば、組織厚さコンペンセータは、繊維状マトリックスにより補強されたフォームを含んでもよく、また、体液の存在下で膨張して組織に更に圧力を与える追加のヒドロゲル層を有するフォームを含んでもよい。本発明によると、組織厚さコンペンセータはまた、材料のコーティングから構成されてもよく、かつ/又は体液の存在下で膨張して組織に更に圧力を与える第2若しくは、第3の層を含んでもよい。そのような層は、例えば、合成及び/又は天然由来の材料であり得るヒドロゲルであってもよく、生体耐久性及び/又は生分解性であってもよい。組織厚さコンペンセータは、ミクロゲル又はナノゲルを含んでもよい。ヒドロゲルは、炭水化物由来のミクロゲル及び/又はナノゲルを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、追加の柔軟性、剛性、及び/又は強度をもたらし得るような、例えば、繊維性不織布材料又は繊維性メッシュタイプの構成要素で強化されてもよい。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、多孔質形態を有してもよく、これは、例えば、一方の表面に小さい孔、もう一方の表面により大きい孔を備えた勾配構造を呈する。そのような形態は、成長中の組織又は止血処置用に、より最適であり得る。更に、この勾配は、様々な生体吸収性プロフィールと共に構成することもできる。短期的な吸収プロフィールは、止血対処のために好ましく、一方、長期的な吸収プロフィールは、漏れを生じずにより良い組織治癒を行うことができる。
【0069】
非合成材料の例としては、凍結乾燥した多糖類、糖タンパク質、牛の心膜、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース(ORC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、カゼイン、アルギン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
合成吸収性材料の例としては、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(TMC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、グリコリドとε−カプロラクトン(PGCL)とのコポリマー、グリコリドと−トリメチレンカーボネートとのコポリマー、ポリ(グリセロールセバシン酸)(PGS)、ポリ(ジオキサノン)(PDS)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル類)、ポリオキサエステル類、ポリエーテルエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミドエステル類、ポリ無水物類、多糖類、ポリ(エステル−アミド類)、チロシンベースのポリアリレート類、ポリアミン類、チロシンベースのポリイミノカーボネート類、チロシンベースのポリカーボネート類、ポリ(D,L−乳酸−ウレタン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(B−ヒドロキシブチレート)、ポリ(E−カプロラクトン)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[ビス(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン]ポリ(アミノ酸)、擬似−ポリ(アミノ酸)、吸収性ポリウレタン類、ポリ(ホスファジン)、ポリホスファゼン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリアクリルアミド類、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール類、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル類、グリセロール類、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアミド類、ポリ(イミノカーボネート類)、ポリアルキレンオキサレート類、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルは、ポリ乳酸類、ポリグリコリド類、トリメチレンカーボネート類、ポリジオキサノン類、ポリカプロラクトン類、ポリブテステル類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0071】
合成吸収性ポリマーは、例えば、90/10ポリ(グリコリド−L−ラクチド)コポリマー(Ethicon、Inc.から商品名VICRYL(ポリグラクチン(polyglactic)910)として市販)、ポリグリコリド(American Cyanamid Co.から商品名DEXONとして市販)、ポリジオキサノン(Ethicon、Inc.から商品名PDSとして市販)、ポリ(グリコリド−トリメチレンカーボネート)ランダムブロックコポリマー(American Cyanamid Co.から商品名MAXONとして市販)、75/25ポリ(グリコリド−ε−カプロラクトン−ポリグレカプロラクトン25)コポリマー(Ethiconから商品名MONOCRYLとして市販)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0072】
合成非吸収性材料の例としては、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロクロロエチレン(PTFCE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリアセタール、ポリスルホン、シリコン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。合成非吸収性ポリマーには、例えば、シリコーン、ポリイソプレン、及びゴムなどの発泡エラストマー及び多孔質エラストマーが挙げられ得るがこれらに限定されない。合成ポリマーには、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)(W.L.Gore & Associates,Inc.から商品名GORE−TEX軟組織パッチとして市販)及びコ−ポリエーテルエステルウレタンフォーム(Polyganicsから商品名NASOPOREとして市販)が含まれてもよい。
【0073】
このポリマー組成物には、例えば、PLLAのポリマー組成物が約50重量%〜約90重量%、PCLのポリマー組成物が約50重量%〜約10重量%含まれてもよい。このポリマー組成物には、例えば、PLLAが約70重量%、PCLが約30重量%含まれてもよい。このポリマー組成物には、例えば、PGAのポリマー組成物が約55重量%〜約85重量%、PCLのポリマー組成物が15重量%〜45重量%含まれてもよい。このポリマー組成物には、例えば、PGAが約65重量%、PCLが約35重量%含まれてもよい。このポリマー組成物には、例えば、PGAのポリマー組成物が約90重量%〜約95重量%、PLAのポリマー組成物が約5重量%〜約10重量%含まれてもよい。
【0074】
合成吸収性ポリマーは、生体吸収性で生体適合性のエラストマーコポリマーを含んでもよい。好適な生体吸収性、生体適合性のエラストマーコポリマーは、ε−カプロラクトンとグリコリドとのコポリマー(好ましくは、ε−カプロラクトン対グリコリドのモル比が、約30:70〜約70:30、好ましくは、35:65〜約65:35、より好ましくは、45:55〜35:65)、ε−カプロラクトンとラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの配合物、又は乳酸コポリマーを含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、ε−カプロラクトン対ラクチドのモル比が、約35:65〜約65:35、より好ましくは、45:55〜30:70)p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)とラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、及び乳酸を含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、p−ジオキサノン対ラクチドのモル比が、約40:60〜約60:40)、ε−カプロラクトンとp−ジオキサノンとのエラストマーコポリマー(好ましくは、ε−カプロラクトン対p−ジオキサノンのモル比が、約30:70〜約70:30)、p−ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのエラストマーコポリマー(好ましくは、p−ジオキサノン対炭酸トリメチレンのモル比が、約30:70〜約70:30)、炭酸トリメチレンとグリコリドとのエラストマーコポリマー(好ましくは、炭酸トリメチレン対グリコリドのモル比が、約30:70〜約70:30)、炭酸トリメチレンとラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの配合物、又は乳酸コポリマーを含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、炭酸トリメチレン対ラクチドのモル比が、約30:70〜約70:30)及びこれらの配合物を含むが、これらに限定されない。エラストマーコポリマーは、グリコリドとε−カプロラクトンとのコポリマーであってもよい。あるいは、エラストマーコポリマーは、ラクチドとε−カプロラクトンとのコポリマーである。
【0075】
米国特許第5,468,253号、発明の名称「ELASTOMERIC MEDICAL DEVICE」(1995年11月21日発行)、及び同第6,325,810号、発明の名称「FOAM BUTTRESS FOR STAPLING APPARATUS」(2001年12月4日)の開示が、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
組織厚さコンペンセータは、乳化剤を含んでもよい。乳化剤の例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PLURONICS、TWEENS、多糖類、及びこれらの組み合わせなどの水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
組織厚さコンペンセータは、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤の例としては、ポリアクリル酸、メタロース(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びポリオキサマー(polyoxamer)類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
ポリマー組成物は、薬理活性剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、治療有効量の薬理活性剤を放出することができる。薬理活性剤は、ポリマー組成物が脱着/吸着される際に放出されてもよい。薬理活性剤は、そのポリマー組成物の上又は中を通過する流体(例えば、血液)内に放出されてもよい。薬理活性剤の例としては、止血剤及び薬品(例えばフィブリン、トロンビン、及び酸化再生セルロース(ORC))、抗炎症薬品(例えば、ジクロフェナク、アスピリン、ナプロキセン、スリンダク、及びヒドロコルチゾン)、抗生及び抗菌薬品又は抗生及び抗菌剤(例えば、トリクロサン、銀イオン、アンピシリン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、クロラムフェニコール)、並びに抗癌剤(例えば、シスプラチン、マイトマイシン、アドリアマイシン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
ポリマー組成物は、止血材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアルキレンオキシド類、コポリ(エーテル−エステル類)、コラーゲン、ゼラチン、トロンビン、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、アルブミン、ヘモグロビン、オボアルブミン、多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシエチルスターチ、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アガロース、麦芽糖、マルトデキストリン、アルギン酸、凝固因子類、メタクリレート、ポリウレタン類、シアノアクリレート類、血小板アゴニスト類、血管収縮剤類、ミョウバン、カルシウム、RGDペプチド類、タンパク質類、硫酸プロタミン、ε−アミノカプロン酸、硫酸第二鉄、塩基性硫酸第二鉄類、塩化第二鉄、亜鉛、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム類、酢酸アルミニウム類、過マンガン酸塩類、タンニン類、骨ろう、ポリエチレングリコール類、フカン類及びこれらの組み合わせを含む止血材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、止血特性によって特徴付けられてもよい。
【0080】
組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば、パーセント有孔率、孔径、及び/又は硬度によって特徴付けられてもよい。ポリマー組成物は、例えば、約30体積%〜約99体積%のパーセント有孔率を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、約60体積%〜約98体積%のパーセント有孔率を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、約85体積%〜約97体積%のパーセント有孔率を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、約70重量%のPLLAと約30重量%のPCLを含んでもよく、例えば、約90体積%の有孔率を含んでもよい。例えば、その結果、ポリマー組成物は、約10体積%のコポリマーを含むであろう。ポリマー組成物は、例えば、約65重量%のPGAと約35重量%のPCLを含んでもよく、例えば、約93体積%〜約95体積%の有孔率を有してもよい。ポリマー組成物は、85体積%超の有孔率を含んでもよい。ポリマー組成物は、例えば、約5マイクロメートル〜約2000マイクロメートルの孔径を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、約10マイクロメートル〜約100マイクロメートルの孔径を有してもよい。例えば、ポリマー組成物は、例えば、PGAとPCLのコポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物は、例えば、約100マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの孔径を有してもよい。例えば、ポリマー組成物は、例えば、PLLAとPCLのコポリマーを含んでもよい。
【0081】
特定の態様により、ポリマー組成物の硬度は、ショア硬度で表わしてもよく、これは、例えば、ショアデュロメータなどのデュロメータで測定される、材料の恒久的な陥凹に対する抵抗として定義され得る。所与の材料のデュロメータ値を評価するために、「Standard Test Method for Rubber Property−Durometer Hardness」と題されるASTM手順D2240−00に従って、デュロメータインデンターフットで、材料に対して圧力がかけられる。デュロメータインデンターフットは、例えば15秒間などの十分な時間、材料に対して適用してよく、この測定値が適切な目盛で取得される。使用する目盛のタイプに応じて、インデンターフットが材料に完全に貫入したときに読取り値0が得られ、材料に対する貫入が起こらなかった場合に読取り値100が得られる。この読取り値は、無次元である。デュロメータは、ASTM D2240−00に従って、任意の好適な目盛、例えば、タイプA及び/又はタイプOO目盛に従って測定されてもよい。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば、約4A〜約16AのショアA硬度値を有してもよく、これは、ショアOO範囲で約45 OO〜約65 OOである。例えば、ポリマー組成物は、例えば、PLLA/PCLコポリマー又はPGA/PCLコポリマーを含んでもよい。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、15A未満のショアA硬度値を有してもよい。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、10A未満のショアA硬度値を有してもよい。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、5A未満のショアA硬度値を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、約35 OO〜約75 OOのショアOO組成物値を有してもよい。
【0082】
ポリマー組成物は、上述の特性のうち少なくとも2つを有してもよい。ポリマー組成物は、上述の特性のうち少なくとも3つを有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、85体積%〜97体積%の有孔率、5マイクロメートル〜2000マイクロメートルの孔径、並びに4A〜16AのショアA硬度及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、70重量%のPLLAポリマー組成物と、30重量%のPCLポリマー組成物と、を含み、90体積%の有孔率、100マイクロメートル〜1000マイクロメートルの孔径、並びに4A〜16AのショアA硬度及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有してもよい。ポリマー組成物は、例えば、65重量%のPGAポリマー組成物と、35重量%のPCLポリマー組成物と、を含み、93体積%〜95体積%の有孔率、10マイクロメートル〜100マイクロメートルの孔径、並びに4A〜16AのショアA硬度値及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有してもよい。
【0083】
組織厚さコンペンセータは、膨張する材料を含んでもよい。上記のように、組織厚さコンペンセータは、例えば、未圧縮のとき又は配備されたときに膨張する、圧縮済み材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、インサイチュで形成された自己膨張材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、他の(複数の)前駆体、水、及び/又は体液の少なくとも1つと接触した際、自然に架橋するよう選択された少なくとも1つの前駆体を含んでもよい。本発明によると、第1の前駆体は、1つ以上の他の前駆体と接触して、膨張性及び/又は膨潤性組織厚さコンペンセータを形成することができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、水膨潤性組成物などの液膨潤性組成物を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、水を含むゲルを含んでもよい。
【0084】
組織厚さコンペンセータは、封入部に埋め込まれた乾燥ヒドロゲル粒子又は微粒子を含む封入部を有する生分解性フォームを含んでもよい。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ヒドロゲル前駆体の水溶液と生体適合性材料の有機溶液とを接触させてフォームを形成することにより、フォーム中の封入部を形成してもよい。水溶液及び有機溶液は、ミセルを形成してもよい。水溶液及び有機溶液を乾燥して、乾燥ヒドロゲル粒子又は微粒子をフォーム内に封入してもよい。例えば、親水性ポリマーなどのヒドロゲル前駆体は、水中で溶解してミセルの分散を形成してもよい。水溶液は、ポリ(グリコール酸)と、ポリカプロラクトンと、を含む、ジオキサンの有機溶液と接触してもよい。水溶液及び有機溶液は、凍結乾燥されて、生分解性フォーム中で分散された乾燥ヒドロゲル粒子又は微粒子を有する生分解性フォームを形成してもよい。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ミセルが、フォーム構造内に分散された乾燥ヒドロゲル粒子又は微粒子を有する封入部を形成すると考えられる。封入部を破裂させてもよく、乾燥ヒドロゲル粒子又は微粒子は、体液などの流体と接触し、膨張してもよい。
【0085】
任意で、上記のように、組織厚さコンペンセータは、最初の厚さ及び膨張した厚さを含んでもよい。組織厚さコンペンセータの最初の厚さは、例えば、その膨張した厚さの約0.001%、その膨張した厚さの約0.01%、その膨張した厚さの約0.1%、その膨張した厚さの約1%、その膨張した厚さの約10%、その膨張した厚さの約20%、その膨張した厚さの約30%、その膨張した厚さの約40%、その膨張した厚さの約50%、その膨張した厚さの約60%、その膨張した厚さの約70%、その膨張した厚さの約80%、及び/又はその膨張した厚さの約90%であってもよい。組織厚さコンペンセータの膨張した厚さは、例えば、その最初の厚さよりも、約2倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、及び/又は約1000倍、厚くなってもよい。組織厚さコンペンセータの最初の厚さは、その膨張した厚さの最大1%、その膨張した厚さの最大5%、その膨張した厚さの最大10%、また、その膨張した厚さの最大50%になってもよい。組織厚さコンペンセータの膨張した厚さは、その最初の厚さよりも少なくとも50%厚く、その最初の厚さよりも少なくとも100%厚く、その最初の厚さよりも少なくとも300%厚く、また、その最初の厚さよりも少なくとも500%厚くなってもよい。上記のように、様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内の任意の隙間を占めるように構成することができる。
【0086】
上記のように、組織厚さコンペンセータは、ヒドロゲルを含んでもよい。ヒドロゲルは、一般的にホモポリマーヒドロゲル、コポリマーヒドロゲル、マルチポリマーヒドロゲル、相互貫入ポリマーヒドロゲル、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ヒドロゲルは、ミクロゲル、ナノゲル、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ヒドロゲルは、流体を吸収及び/又は保持可能な親水性ポリマー網を含んでもよい。ヒドロゲルは、非架橋ヒドロゲル、架橋ヒドロゲル、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ヒドロゲルは、化学的架橋、物理的架橋、疎水性領域及び/又は水不溶性領域を含んでもよい。ヒドロゲルは、重合、小分子架橋、及び/又はポリマー−ポリマー架橋によって、化学的に架橋してもよい。ヒドロゲルは、イオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合相互作用、ステレオコンプレックス(sterocomplexation)形成、及び/又は超分子化学によって、物理的に架橋してもよい。ヒドロゲルは、架橋、疎水性領域及び/又は水不溶性領域により実質的に不溶性であってもよく、流体を吸収及び/又は保持することにより膨張性及び/又は膨潤性であってもよい。前駆体は、内因性物質及び/又は組織と架橋してもよい。
【0087】
ヒドロゲルは、環境感受性ヒドロゲル(ESH)を含んでもよい。ESHは、環境条件に関する液膨潤特性を有する材料を含んでもよい。環境条件としては、手術部位の物理的条件、生物学的条件、及び/又は化学的条件が挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロゲルは、例えば、温度、pH、電界、イオン強度、酵素及び/又は化学的反応、電気及び/又は磁気刺激、並びに他の生理的及び環境変数に反応して、膨潤又は収縮してもよい。ESHは、多官能アクリレート類、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エラストマーアクリレート類、及び関連のモノマーを含んでもよい。
【0088】
ヒドロゲルを含む組織厚さコンペンセータは、上記の非合成材料及び合成材料の少なくとも1つを含んでもよい。ヒドロゲルは、合成ヒドロゲル及び/又は非合成ヒドロゲルを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、複数の層を含んでもよい。複数の層は、多孔層及び/又は非多孔層を含んでもよい。例えば、組織厚さコンペンセータは、非多孔層及び多孔層を含んでもよい。別の例において、組織厚さコンペンセータは、第1の非多孔層と第2の非多孔層との中間の多孔層を含んでもよい。別の例において、組織厚さコンペンセータは、第1の多孔層と第2の多孔層との中間の非多孔層を含んでもよい。非多孔層及び多孔層は、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルの表面に対して任意の順序で位置付けられてもよい。
【0089】
非合成材料の例としては、アルブミン、アルギン酸、炭水化物、カゼイン、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、血液、デキストラン、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲン、ゼラチン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ケラチン、タンパク質、しょう液、及び澱粉が挙げられるが、これらに限定されない。セルロースは、ヒドロキシエチルセルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース(ORC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。コラーゲンは、牛の心膜を含んでもよい。炭水化物は、凍結乾燥した多糖類などの多糖類を含んでもよい。タンパク質は、糖タンパク質、プロテオグリカン、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0090】
合成材料の例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−co−ポリプロピレンオキシド、co−ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシド類、ポリアクリルアミド類、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール類、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル類、グリセロール類、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアミド類、ポリ(イミノカーボネート類)、ポリオキサエステル類、ポリオルトエステル類、ポリホスファゼン類、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記の非合成材料は、従来の方法を利用して、例えば、合成ヒアルロン酸により、合成して調製されてもよい。
【0091】
ヒドロゲルは、1つ以上のヒドロゲル前駆体から製造されてもよい。前駆体は、モノマー及び/又はマクロマーを含んでもよい。ヒドロゲル前駆体は、求電子官能基及び/又は求核求電子官能基を含んでもよい。概して、求電子剤は、求核剤に反応して、結合を形成することができる。本明細書において使用するとき、用語「官能基」は、互いに反応して結合を形成することができる求電子又は求核基を指す。求電子官能基の例としては、N−ヒドロキシスクシンイミド類(「NHS」)、スルホスクシンイミド類、カルボニルジイミダゾール、塩化スルフォニル、ハロゲン化アリール類、スルホスクシンイミジルエステル類、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル類、スクシンイミジルコハク酸塩類及び/又はスクシンイミジルプロピオン酸塩類などのスクシンイミジルエステル類、イソシアン酸塩類、チオシアン酸塩類、カルボジイミド類、ベンゾトリアゾール炭酸塩類、エポキシド類、アルデヒド類、マレイミド類、イミドエステル類、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。求電子官能基は、スクシンイミジルエステルを含んでもよい。求核官能基の例としては、−NH、−SH、−OH、−PH、及び−CO−NH−NHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
ヒドロゲルは、単一の前駆体又は複数の前駆体から形成されてもよい。ヒドロゲルは、第1の前駆体及び第2の前駆体から形成されてもよい。第1のヒドロゲル前駆体及び第2のヒドロゲル前駆体は、接触すると、ヒドロゲルをインサイチュ及び/又はインビボで形成してもよい。ヒドロゲル前駆体は、一般的に、ヒドロゲルを形成する反応に関与することができるポリマー、官能基、巨大分子、小分子、及び/又は架橋剤を指す。前駆体は、均一溶液、例えば、水又は緩衝剤など好適な溶媒における、不均一又は相分離溶液を含んでもよい。緩衝剤のpHは、例えば、約8.2〜約9など、約8〜約12であってもよい。緩衝剤の例としては、ホウ酸緩衝剤が挙げられるが、これに限定されない。(複数の)前駆体は、乳剤中にあってもよい。本発明によると、第1の前駆体は、第2の前駆体に反応して、ヒドロゲルを形成することができる。第1の前駆体は、第2の前駆体に接触すると、自然に架橋することができる。本発明によると、第1の前駆体上の第1の組の求電子官能基は、第2の前駆体上の第2の組の求核官能基に反応してもよい。前駆体が、(例えば、pH、温度、及び/又は溶媒に関する)反応を可能にする環境において混合されると、官能基は、互いに反応して共有結合を形成することができる。前駆体は、前駆体の少なくとも一部が2つ以上の他の前駆体と反応すれば、架橋されてもよい。
【0093】
組織厚さコンペンセータは、3−スルホプロピルアクリル酸カリウム塩(「KSPA」)、アクリル酸ナトリウム(「NaA」)、N−(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド(「トリスアクリル」)、及び2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、KSPA、NaA、トリスアクリル、aMPSからなる群から選択される、2つ以上のモノマーを含む、コポリマーを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、KSPA、NaA、トリスアクリル及びAMPS由来のホモポリマーを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、それと共重合可能な親水性変性モノマーを含んでもよい。親水性変性モノマーは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸を含んでもよい。
【0094】
組織厚さコンペンセータは、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、エチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、ジ−、トリ−又はテトラエチレン−グリコールジアクリレート又はジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、C〜C−アルキレンジアクリレート又はジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジ−及びトリビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート又はトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート又はテトラメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート又はジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド又はビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド又はエチレンビスメタクリルアミド、トリアリルフタレート又はジアリルフタレートなどの、低分子量ジ−又はポリビニル架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(「MBAA」)を含んでもよい。
【0095】
組織厚さコンペンセータは、アクリレート及び/又はメタクリレート官能性ヒドロゲル、生体適合性光開始剤、アルキルシアノクリレート類、イソシアネート官能性マクロマー類の少なくとも1つを含んでもよく、任意でアミン官能性マクロマー類、スクシンイミジルエステル官能性マクロマー類を含み、任意でアミン及び/又はスルフヒドリル官能性マクロマー類、エポキシ官能性マクロマー類を含み、任意でアミン官能性マクロマー類、タンパク質及び/又はポリペプチド類及びアルデヒド架橋剤の混合物、Genipin、及び水溶性カルボジイミド類、アニオン多糖類、及び多価カチオン類を含む。
【0096】
組織厚さコンペンセータは、不飽和有機酸モノマー、アクリル置換アルコール類、及び/又はアクリルアミド類を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、メタクリル酸類、アクリル酸類、アクリル酸グリセロール、メタクリル酸グリセロール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリレート、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド、及び/又はN、N−ジメチルアクリルアミドポリ(メタクリル酸)を含んでもよい。
【0097】
組織厚さコンペンセータは、補強材料を含んでもよい。補強材料は、上記の非合成材料及び合成材料の少なくとも1つを含んでもよい。補強材料は、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキシド類、ポリアクリルアミド類、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール類、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル類、グリセロール類、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアミド類、ポリ(イミノカーボネート類)、ポリアルキレンオキサレート類、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン類、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0098】
組織厚さコンペンセータは、補強材料を含む層を含んでもよい。組織厚さコンペンセータの多孔層及び/又は非多孔層は、補強材料を含んでもよい。例えば、多孔層は、補強材料を含んでもよく、非多孔層は、補強材料を含まなくてもよい。補強層は、第1の非多孔層と第2の非多孔層との中間の内層を含んでもよい。補強層は、組織厚さコンペンセータの外層を含んでもよい。補強層は、組織厚さコンペンセータの外面を含んでもよい。
【0099】
補強材料は、メッシュ、モノフィラメント、マルチフィラメントブレード、繊維、マット、フェルト、粒子、及び/又は粉末を含んでもよい。補強材料は、組織厚さコンペンセータの層の中に組み込まれてもよい。補強材料は、非多孔層及び多孔層の少なくとも1つの中に組み込まれてもよい。補強材料を含むメッシュは、例えば、編み、織り、タッチング、及び/又はニップリング(knipling)など、従来の技術を用いて形成してもよい。
【0100】
本発明によると、複数の補強材料は、ランダム方向及び/又は通常の方向に配向されてもよい。通常の方向は、例えば、ステープルのラインに平行及びステープルのラインに垂直、のうちの1つであってもよい。例えば、モノフィラメント及び/又はマルチフィラメントブレードは、ランダム方向及び/又は通常の方向に配向されてもよい。モノフィラメント及びマルチフィラメントブレードは、非多孔層及び/又は多孔層と関連付けられてもよい。組織厚さコンペンセータは、非多孔層内でランダム方向に配向された複数の補強繊維を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、非多孔層内で通常の方向に配向された複数の補強繊維を含んでもよい。
【0101】
繊維は、例えば、マット及びフェルトなどの不織布材料を形成してもよい。繊維は、例えば、0.1mm〜100mm及び0.4mm〜50mmなど、任意の好適な長さであってもよい。補強材料は、粉末に砕かれてもよい。粉末の粒径は、例えば、10マイクロメータ〜1cmであってもよい。粉末は、組織厚さコンペンセータの中に組み込まれてもよい。
【0102】
組織厚さコンペンセータは、インサイチュで形成されてもよい。ヒドロゲルは、インサイチュで形成されてもよい。組織厚さコンペンセータは、共有結合、イオン結合、及び/又は疎水結合により、インサイチュで形成されてもよい。物理的(非共有結合性)架橋は、錯化、水素結合、脱溶媒和、ファンデルワールス相互作用、イオン結合、及びこれらの組み合わせから生じてもよい。化学的(共有結合性)架橋は、フリーラジカル重合、縮合重合、アニオン又はカチオン重合、段階成長重合、求電子−求核反応、及びこれらの組み合わせを含む、多くのメカニズムのいずれかによって達成されてもよい。
【0103】
任意で、組織厚さコンペンセータのインサイチュでの形成は、インサイチュで接触するまでは物理的に分離している2つ以上の前駆体を反応させること及び/又は環境条件に反応し、互いに反応してヒドロゲルを形成することを含んでもよい。インサイチュの重合性ポリマーは、反応して手術部位にポリマーを形成し得る、(複数の)前駆体から調製されてもよい。組織厚さコンペンセータは、インサイチュで、(複数の)前駆体の架橋反応によって形成されてもよい。前駆体は、インサイチュ組織厚さコンペンセータを形成するための重合反応を開始できる開始剤を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、架橋ヒドロゲルを作る適用時に活性化され得る前駆体を含んでもよい。組織厚さコンペンセータのインサイチュ形成は、少なくとも1つの前駆体を活性化して、組織厚さコンペンセータを形成するための結合を形成することを含んでもよい。任意で、活性化は、手術部位の、温度、pH、電界、イオン強度、酵素及び/又は化学的反応、電気及び/又は磁気刺激、を含むが、これらに限定されない、物理的条件、生物学的条件、及び/又は化学的条件の変化、並びに他の生理学的及び環境変数によって達成し得る。前駆体は、人体の外で接触してもよく、また、手術部位に導入されてもよい。
【0104】
組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの構成要素をその中に格納するように構成することができる、1つ以上の封入部、又はセルを含んでもよい。封入部は、その中に、ヒドロゲル前駆体を格納するように構成されてもよい。封入部は、その中に、例えば、2つの構成要素を格納するように構成されてもよい。封入部は、その中に、第1のヒドロゲル前駆体及び第2のヒドロゲル前駆体を格納するように構成されてもよい。第1の封入部は、その中に、第1のヒドロゲル前駆体を格納するように構成されてもよく、第2の封入部は、その中に、第2のヒドロゲル前駆体を格納するように構成されてもよい。上記のように、ステープル脚部が封入部に接触するとき、封入部を穿刺及び/又は破裂させるステープル脚部に、封入部は、位置合わせされ得るか、又は少なくとも実質的に位置合わせされ得る。ステープルが配備されると、封入部は、圧縮され、圧潰され、圧壊され、かつ/又は破裂されてもよい。封入部を破裂させた後、その内部に格納された(複数の)構成要素は、封入部から流出し得る。内部に格納された構成要素は、他の構成要素、組織厚さコンペンセータの層、及び/又は組織に接触してもよい。他の構成要素は、同じ又は異なる封入部から流れてもよく、組織厚さコンペンセータの層の中に設けられてもよく、かつ/又は、臨床医によって手術部位に設けられてもよい。上記の結果、封入部の内部に格納された(複数の)構成要素は、組織厚さコンペンセータの膨張及び/又は膨潤をもたらし得る。
【0105】
組織厚さコンペンセータは、封入部を含む層を含んでもよい。封入部は、層に関連付けられた、空隙、ポケット、ドーム、管、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。封入部は、層の中に空隙を含んでもよい。この層は、互いに取り付けられ得る2つの層を含んでもよく、封入部は、その2つの層の間で画定され得る。封入部は、層の表面上に、ドームを含んでもよい。例えば、封入部の少なくとも一部は、層から上方に延在するドームの内部に位置付けられ得る。封入部は、層の内部に形成されたポケットを含んでもよい。封入部の第1の部分は、ドームを含んでもよく、封入部の第2の部分は、ポケットを含んでもよい。封入部は、層の内部に埋め込まれた管を含んでもよい。管は、PLAなど、本明細書に記載の、非合成材料及び/又は合成材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、内部に埋め込まれたPLA管を備えるORCなどの生体吸収性フォームを含んでもよく、管は、例えば、ヒドロゲルを封入してもよい。封入部は、互いに接続していない個別セルを含んでもよい。封入部の1つ以上は、例えば、層を通って延在する1つ以上の経路、導管及び/又はチャネルを介して、互いに流体連通することができる。
【0106】
封入部からの構成要素の放出速度は、例えば、組織厚さコンペンセータの厚さ、組織厚さコンペンセータの組成物、構成要素の大きさ、構成要素の親水性、並びに/又は、構成要素間の物理的及び/若しくは化学的相互作用、組織厚さコンペンセータの組成物、並びに/又は外科用器具、によって制御されてもよい。層は、1つ以上の薄い区分又は弱化部分、例えば、部分的穿孔を含んでもよく、これは、層の切開、及び封入部の破裂を促進することができる。部分的穿孔は、層を通って完全に延在しなくてもよく、場合によっては、穿孔は、層を通って完全に延在してもよい。
【0107】
任意で、アンビルは、少なくとも1つの微細球粒子を含む封入された構成要素を含む組織厚さコンペンセータを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、第1の封入された構成要素と、第2の封入された構成要素と、を含む、封入部を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、第1の微細球粒子と、第2の微細球粒子と、を含む、封入部を含んでもよい。
【0108】
組織厚さコンペンセータは、外科用器具と共に使用するのに好適であってもよい。上記のように、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに関連付けられてもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに合うのに好適な、任意の形状、大きさ、及び/又は寸法に構成されてもよい。本明細書に記載されるように、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに、解放可能に取り付けられてもよい。ステープリングプロセスの前及び間に、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに接触した組織厚さコンペンセータを、保持することが可能な、任意の機械的及び/又は化学的方法で、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに取り付けられてもよい。ステープルが、組織厚さコンペンセータに貫入した後、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルから、取り外されてもよく、又は解放されてもよい。ステープルカートリッジ及び/又はアンビルが、組織厚さコンペンセータから離れると、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルから、取り外されてもよく、又は解放されてもよい。
【0109】
ここで図14を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ10000)は、支持部10010と、圧縮可能な組織厚さコンペンセータ10020と、を含んでもよい。ここで図16図18を参照すると、支持部10010は、支持部10010内に画定されたデッキ表面10011と、複数のステープル空洞10012と、を含んでもよい。各ステープル空洞10012は、例えば、その中にステープル(例えば、ステープル10030)を取り外し可能に格納するようにサイズ決めされ構成することができる。ステープルカートリッジ10000は、更に、複数のステープルドライバ10040を含んでもよく、これは、それぞれ、ステープル10030とステープルドライバ10040が未発射位置にあるときに、ステープル空洞10012内に1つ以上のステープル10030を支持するように構成することができる。例えば、主として図22及び図23を参照すると、各ステープルドライバ10040は、例えば、1つ以上の受台(又はトラフ)10041を含んでもよく、これは、ステープルを支持し、かつステープル10030とステープルドライバ10040との間の相対的な動きを制限するように構成することができる。図16を再び参照すると、ステープルカートリッジ10000は、ステープル発射スレッド10050を更に含んでもよく、これは、ステープルドライバ10040とステープル10030とを、それらの未発射位置から、ステープルカートリッジ10000の反対側に位置付けられているアンビルに向かって順次持ち上げるために、ステープルカートリッジの近位端10001から遠位端10002へと移動することができる。主として図16及び図18を参照すると、各ステープル10030は、基部10031と、その基部10031から延在する1つ以上の脚部10032と、を含み、各ステープルは、例えば、実質的にU字型及び実質的にV字型の少なくとも1つであり得る。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端が支持部10010のデッキ表面10011に対して陥没しているように構成されてもよい。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端が支持部10010のデッキ表面10011に対して同一面であるように構成されてもよい。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚部10032の先端、又はステープル脚部10032の少なくとも一部が、支持部10010のデッキ表面10011の上に延在するように構成されてもよい。そのような場合において、ステープル脚部10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ10020内に延在し、この中に埋め込まれ得る。例えば、ステープル脚部10032は、例えば、デッキ表面10011の上に約1.9mm(0.075”)だけ延在してもよい。ステープル脚部10032は、例えば、デッキ表面10011の上に約0.64mm(0.025”)〜約3.18mm(0.125”)の距離だけ延在してもよい。上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ10020は、例えば、約2.0mm(0.08”)〜約3.18mm(0.125”)の未圧縮厚さを含んでもよい。
【0110】
上記に対して更に主として図31を参照すると、使用の際、アンビル(例えば、アンビル10060)は、ステープルカートリッジ10000の反対側の閉鎖位置に移動することができる。以下において、より詳細に記載されるように、アンビル10060は、組織厚さコンペンセータ10020に対して組織を位置付けることができ、かつ、例えば、組織厚さコンペンセータ10020を、支持部10010のデッキ表面10011に対して圧縮することができる。アンビル10060が好適に位置付けられると、図31にも示されるように、ステープル10030を配備することができる。任意で、前述のように、ステープル発射スレッド10050は、図32に示すように、ステープルカートリッジ10000の近位端10001から遠位端10002に向かって移動することができる。スレッド10050が前進すると、スレッド10050がステープルドライバ10040に接触して、ステープルドライバ10040をステープル空洞10012内で上方に持ち上げることができる。スレッド10050とステープルドライバ10040は、それぞれ、1つ以上の傾斜路、すなわち、傾斜面を備えてもよく、これが協働して、ステープルドライバ10040を未発射位置から上方に移動させることができる。例えば、図19図23を参照すると、各ステープルドライバ10040は、少なくとも1つの傾斜面10042を含んでもよく、スレッド10050は、1つ以上の傾斜面10052を含んでもよく、これは、スレッド10050がステープルカートリッジ内で遠位方向に前進する際に、傾斜面10052が傾斜面10042の下を摺動できるように構成することができる。ステープルドライバ10040がそれぞれのステープル空洞10012内で上方に持ち上げられると、ステープルドライバ10040がステープル10030を上方に持ち上げ、これによりステープル10030がステープルデッキ10011の開口を通ってステープル空洞10012から現われ得る。主として図25図27を参照すると、代表的な発射シーケンス中に、スレッド10050は、最初にステープル10030aに接触し、ステープル10030aを上方に持ち上げ始めることができる。スレッド10050が更に遠位方向に前進すると、スレッド10050が順に、ステープル10030b、10030c、10030d、10030e、及び10030f、並びに他の任意の後続ステープルを持ち上げ始めることができる。図27に示すように、スレッド10050は、ステープル10030を上方に駆動することができ、これによりステープルの脚部10032が対向するアンビルに接触し、望ましい形状に変形され、支持部10010から排出される。様々な状況において、スレッド10030は、発射シーケンスの一部として同時に、いくつかのステープルを上方に移動させることができる。図27に示す発射シーケンスに関して、ステープル10030a及び10030bは、完全に発射済みの位置に移動し、支持部10010から排出されており、ステープル10030c及び10030dは、発射が進行中で、少なくとも部分的に支持部10010内に含有されており、ステープル10030e及び10030fは、まだ未発射位置にある。
【0111】
上記のように図33を参照すると、ステープル10030のステープル脚部10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、支持部10010のデッキ表面10011の上に延在することができる。更に図27に示されるこの発射シーケンスに関して、ステープル10030e及び10030fは、未発射位置に図示されており、そのステープル脚部10032は、デッキ表面10011の上に出て、組織厚さコンペンセータ10020内に延在している。ステープル10030が未発射位置にあるときには、ステープル脚部10032の先端、又はステープル脚部10032の他の任意の部分も、組織厚さコンペンセータ10020の組織接触上側表面10021を貫通して突出することはできない。ステープル10030が未発射位置から発射済み位置へと移動すると図27に示すように、ステープル脚部の先端が、組織当接面10032を貫通して突出することができる。ステープル脚部10032の先端は、鋭い先端を含んでもよく、これが組織厚さコンペンセータ10020を切開し、貫入することができる。組織厚さコンペンセータ10020は、複数の開口部を含んでもよく、これは、ステープル脚部10032を受容して、ステープル脚部10032が組織厚さコンペンセータ10020に対して摺動することができるように構成することができる。支持部10010は、デッキ表面10011から延在する複数のガイド10013を更に備えてもよい。ガイド10013は、デッキ表面10011内のステープル空洞開口に隣接して位置付けることができ、これによりステープル脚部10032は、ガイド10013により少なくとも部分的に支持され得る。ガイド10013は、ステープル空洞開口の近位端及び/又は遠位端に位置付けられ得る。本発明によると、第1のガイド10013は、各ステープル空洞開口の第1の端部に位置付けることができ、第2のガイド10013は、各ステープル空洞開口の第2の端部に位置付けることができ、これにより各第1のガイド10013は、ステープル10030の第1のステープル脚部10032を支持することができ、各第2のガイド10013は、ステープルの第2のステープル脚部10032を支持することができる。図33を参照すると、各ガイド10013は、溝又はスロット(例えば、溝10016)を備えてもよく、この中にステープル脚部10032が摺動可能に受容され得る。任意で、各ガイド10013は、デッキ表面10011から延在し得る滑り止め、突起、及び/又はスパイクを含んでもよく、これは、組織厚さコンペンセータ10020内に延在することができる。詳しくは、後述されるように、滑り止め、突起、及び/又はスパイクは、組織厚さコンペンセータ10020と支持部10010との間の相対的な動きを低減させることができる。ステープル脚部10032の先端は、ガイド10013内に位置付けられてもよく、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ガイド10013の上側表面の上に延在することができない。例えば、ガイド10013は、ガイド高さを画定し、ステープル10030は、未発射位置にあるときにこのガイド高さを超えて延在することができない。
【0112】
本発明によると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)は、1枚のシート材料から構成することができる。組織厚さコンペンセータは、支持部10010のデッキ上側表面10011全体を覆うことができる、あるいは、デッキ表面10011全体よりも小さい領域を覆うことができる、1枚の連続シート材料を含んでもよい。シート材料は、支持部10010のステープル空洞開口を覆うことができる一方、あるいは、シート材料は、開口を含んでもよく、これは、ステープル空洞開口と位置合わせ、又は少なくとも部分的に位置合わせすることができる。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、複数層の材料から構成することができる。ここで図15を参照すると、組織厚さコンペンセータは、圧縮可能コアと、その圧縮可能コアを包囲するラップと、を含んでもよい。ラップ10022は、圧縮可能コアを支持部10010に対して解放可能に保持するように構成することができる。例えば、支持部10010は、そこから延在する1つ以上の突起(例えば、突起10014(図18))を含んでもよく、これは、ラップ10022内に画定された1つ以上の開口部及び/又はスロット(例えば、開口部10024)内に受容され得る。突起10014と開口部10024は、突起10014がラップ10022を支持部10010に対して保持できるように構成することができる。突起10014の端部は、突起10014の端部を大きくするために、例えば、熱かしめプロセスなどによって変形することができ、その結果、ラップ10022と支持部10010との間の相対的な動きを制限することができる。図15に示すように、ラップ10022は、1つ以上の穿孔10025を含み、これがラップ10022を支持部10010から剥がすのを促進し得る。ここで図24を参照すると、組織厚さコンペンセータは、複数の開口部10223を備えるラップ10222を含んでもよく、開口部10223は、支持部10010のステープル空洞開口に位置合わせ、又は少なくとも部分的に位置合わせされ得る。組織厚さコンペンセータのコアも、開口部を備えてもよく、これらは、ラップ10222の開口部10223に位置合わせ、又は少なくとも部分的に位置合わせされ得る。あるいは、組織厚さコンペンセータのコアは、連続体を備えてもよく、これは、連続体がデッキ表面10011のステープル空洞開口を覆うように、開口部10223の下側に延在することができる。
【0113】
任意で、上記のように、組織厚さコンペンセータは、圧縮可能コアを支持部10010に対して解放可能に保持しているラップを含んでもよい。例えば、図16を参照すると、ステープルカートリッジは、保持クリップ10026を更に含んでもよく、これは、ラップ及び圧縮可能コアが、支持部10010から時期尚早に分離するのを阻止するように構成することができる。任意で、各保持クリップ10026は、開口部10028を含んでもよく、これは、支持部10010から延在する突起10014を受容し、これにより保持クリップ10026が支持部10010に保持され得るように構成することができる。保持クリップ10026は、それぞれ、少なくとも1つの皿状部10027を備えてもよく、これは、支持部10010の下側に延在し、ステープルドライバ10040を支持部10010内に支持し、かつ保持することができる。上記のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル10030によって支持部10010に取り外し可能に取り付けることができる。より具体的には、これも上記のように、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル10030の脚部が組織厚さコンペンセータ10020内に延在することができ、その結果、組織厚さコンペンセータ10020を支持部10010に解放可能に保持することができる。ステープル10030の脚部は、各ステープル空洞10012の側壁と接触状態にあってもよく、ステープル脚部10032と側壁との間の摩擦のおかげで、ステープル10030がステープルカートリッジ10000から配備されるまでの間、ステープル10030と組織厚さコンペンセータ10020が定位置に保持され得る。ステープル10030が配備されたとき、組織厚さコンペンセータ10020は、ステープル10030内に捕捉され、ステープリングされた組織Tに対して保持され得る。その後、アンビルが開放位置に移動して組織Tを解放すると、支持部10010が、組織に締結されている組織厚さコンペンセータ10020から離れることができる。接着剤を使用して、組織厚さコンペンセータ10020を支持部10010に取り外し可能に保持することができる。2成分接着剤を使用することができ、接着剤の第1の成分をデッキ表面10011上に配置してもよく、接着剤の第2の成分を組織厚さコンペンセータ10020上に配置してもよく、これにより、組織厚さコンペンセータ10020がデッキ表面10011に相対して配置されたときに、第1の成分が第2の成分と接触して接着剤を活性化させ、組織厚さコンペンセータ10020を支持部10010に対して着脱可能に結合させることができる。任意で、他の任意の好適な手段を使用して、組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジの支持部に着脱可能に保持することができるであろう。
【0114】
上記に対して更に、スレッド10050を近位端10001から遠位端10002に前進させて、ステープルカートリッジ10000内に含有されているステープル10030全てを完全に配備させることができる。ここで図56図60を参照すると、スレッド10050は、外科用ステープラーの発射部材(又はナイフバー)10052によって、支持部10010内の長手方向の空洞10016内で遠位方向に前進することができる。使用の際、ステープルカートリッジ10000は、外科用ステープラーのジョー内のステープルカートリッジチャネル、すなわち、ステープルカートリッジチャネル10070)に挿入され、これにより図56に示すように、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触することができる。スレッド10050が発射部材10052によって遠位方向に前進すると、スレッド10050が最も近位側の(複数の)ステープルドライバ10040に接触でき、上述のように、カートリッジ本体10010からステープル10030を発射又は排出させることができる。図56に示すように、発射部材10052は、切断縁部10053を更に含んでもよく、ステープル10030が発射されると、これが、支持部10010内のナイフスロットを通って遠位方向に前進し得る。本発明によると、対応するナイフスロットは、ステープルカートリッジ10000の反対側に位置付けられるアンビルを通って延在することができ、これにより、切断縁部10053がアンビルと支持部10010との間に延在し、その間に位置付けられた組織及び組織厚さコンペンセータを切開することができる。様々な状況において、スレッド10050は、図58に示すように、スレッド10050がステープルカートリッジ10000の遠位端10002に達するまで、発射部材10052により遠位方向に前進することができる。その時点において、発射部材10052は、近位側に後退させることができる。スレッド10050は、発射部材10052で近位側に後退させることができるが、ここで図59を参照すると、スレッド10050は、発射部材10052が後退したときに、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に残され得る。発射部材10052が十分に後退すると、アンビルが再び開き、組織厚さコンペンセータ10020が支持部10010から分離され、消費されたステープルカートリッジ10000の残りの非埋込み部分(支持部10010を含む)が、ステープルカートリッジチャネル10070から取り除かれ得る。
【0115】
消費されたステープルカートリッジ10000がステープルカートリッジチャネルから取り除かれた後、上記に対して更に、新しいステープルカートリッジ10000、又は他の任意の好適なステープルカートリッジを、ステープルカートリッジチャネル10070に挿入することができる。上記に対して更に、ステープルカートリッジチャネル10070、発射部材10052、及び/又はステープルカートリッジ10000は、協働機構を構成することができ、これは、ステープルカートリッジチャネル10070内に位置付けられる新しい(又は未発射の)ステープルカートリッジ10000なしに、2回目(又は後続)に発射部材10052が遠位方向に前進するのを防ぐことができる。より具体的には図56を再び参照すると、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触し、スレッド10050が近位側の未発射位置にあるとき、発射部材10052の支持ノーズ10055は、スレッド10050の支持棚部10056の上及び/又は上方に位置付けることができ、これにより、発射部材10052が十分に上側の位置に保持され、発射部材10052から延在するロック(又はビーム)10054が、ステープルカートリッジチャネル内に画定されるロック凹部内に落ちるのを防ぐことができる。ロック10054がロック凹部に落ちない場合、そのような状況において、ロック10054は、発射部材10052が前進する際に、ロック凹部の遠位側側壁10057に接することができない。発射部材10052がスレッド10050を遠位方向に押すと、発射部材10052は、支持棚部10056の上に乗った支持ノーズ10055のおかげで、上側の発射位置に支持され得る。発射部材10052がスレッド10050に対して後退すると、上記のように、かつ図59に示すように、支持ノーズ10055がスレッド10050の支持棚部10056の上に乗った状態ではなくなり、発射部材10052がその上側位置から下に向かって落ち得る。例えば、外科用ステープルは、ばね10058、及び/又は他の任意の好適な付勢構成要素を含んでもよく、これは、発射部材10052を下側位置に付勢するように構成することができる。発射部材10052が一旦完全に後退すると、図60に示すように、発射部材10052は、使用済みステープルカートリッジ10000を通って再び遠位方向に前進することはできない。より具体的には、スレッド10050は、操作シーケンスのこの時点において、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に残されているため、発射部材10052は、スレッド10050によって上側位置に保持され得ない。よって、前述のように、発射部材10052が再び、ステープルカートリッジの交換なしに前進する場合、ロックビーム10054がロック凹部の側壁10057に接触し、これにより発射部材10052がステープルカートリッジ10000に対して再び遠位方向に前進するのを妨げる。換言すると、使用済みステープルカートリッジ10000を新しいステープルカートリッジと交換すれば、その新しいステープルカートリッジは、近位側に位置付けられたスレッド10050を有し、これが発射部材10052を上側位置に保持することができ、発射部材10052が再び遠位方向に前進することができる。
【0116】
上記のように、スレッド10050は、支持部10010からステープル10030を排出するために、第1の未発射位置と、第2の発射済み位置との間で、ステープルドライバ10040を移動させるように構成することができる。ステープル10030が支持部10010から排出された後、ステープルドライバ10040は、ステープル空洞10012内に含有され得る。支持部10010は、1つ以上の保持機構を含むことができ、これは、ステープルドライバ10040がステープル空洞10012から排出され又は脱落するのをブロックするように構成することができる。あるいは、スレッド10050は、ステープル10030内の支持部10010からステープルドライバ10040を排出するように構成することができる。例えば、ステープルドライバ10040は、生体吸収性及び/又は生体適合性の材料(例えば、Ultemなど)から構成することができる。ステープルドライバは、ステープル10030に取り付けることができる。例えば、ステープルドライバは、ドライバがステープルと一体成形されるように、各ステープル10030の基部の上及び/又は周囲に成形することができる。米国特許出願第11/541,123号、発明の名称「SURGICAL STAPLES HAVING COMPRESSIBLE OR CRUSHABLE MEMBERS FOR SECURING TISSUE THEREIN AND STAPLING INSTRUMENTS FOR DEPLOYING THE SAME」(2006年9月29日出願)が、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
上記のように、外科用ステープリング器具は、ステープルカートリッジと、ステープルカートリッジチャネルに回転可能に連結されたアンビルと、アンビル及びステープルカートリッジチャネルに対して可動であるナイフエッジを含む発射部材と、を受容するように構成された、ステープルカートリッジチャネルを含んでもよい。使用の際、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられ、ステープルカートリッジが少なくとも部分的に消費された後、ステープルカートリッジをステープルカートリッジチャネルから取り外し、新しいステープルカートリッジに交換することができる。例えば、外科用ステープリング器具のステープルカートリッジチャネル、アンビル、及び/又は発射部材は、交換用ステープルカートリッジと共に再使用することができる。あるいは、ステープルカートリッジは、使い捨て搭載ユニットアセンブリの一部を含むことができ、これは、ステープルカートリッジチャネル、アンビル、及び/又は発射部材を含んでもよく、例えば、これは、使い捨て搭載ユニットアセンブリの交換の一環として、ステープルカートリッジと共に交換することができる。特定の使い捨て搭載ユニットアセンブリは、米国特許出願第12/031,817号、発明の名称「END EFFECTOR COUPLING ARRANGEMENTS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」(2008年2月15日出願)に開示されており、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
組織厚さコンペンセータは、本明細書に記載の合成及び/又は非合成材料の少なくとも1つを含む、押し出し加工可能、鋳造可能、及び/又は成形可能な組成物を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、2つ以上の層を含むフィルム又はシートを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、混合、配合、調合、噴霧、ウィッキング、溶媒蒸発、浸漬、ブラッシング、蒸着、押し出し加工、カレンダリング(calendaring)、鋳造、成形などといった従来の方法を用いて得ることができる。押し出し加工において、開口は、少なくとも1つの開口を含み、出てくる押出成形物に形を与える、ダイの形態であってもよい。カレンダリングにおいて、開口は、2つのロールの間にニップを含んでもよい。従来の成形方法としては、吹き込み成形、射出成形、フォーム射出、圧縮成形、熱成形、押し出し加工、発泡押し出し加工、インフレーション成形、カレンダリング、スピニング、溶着、ディップコーティング及びスピンコーティングなどのコーティング法、溶液流延及び流延成形、プラスチゾル処理(ナイフコーティング、ローラーコーティング及びローラー鋳造を含む)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。射出成形において、開口は、ノズル及び/又はチャネル/ランナー及び/又は成形型空洞及び機構を含んでもよい。圧縮成形において、組成物は、成形型空洞内に位置付けられてもよく、好適な温度に熱せられてもよく、比較的高圧で圧縮されることにより成形されてもよい。鋳造において、組成物は、成形型又は物体の中、上、及び/又は周囲に注入、又は供給されてもよい液体又は懸濁液を含んでもよく、成形型又は物体の形体を複製する。鋳造後、組成物を、乾燥、冷却及び/又は硬化して固体を形成することができる。
【0119】
本発明によると、内部に格納及び/又は吸収された少なくとも1つの薬剤を含む、組織厚さコンペンセータを製造する方法は、一般的に、組織厚さコンペンセータを提供することと、組織厚さコンペンセータと薬剤とを接触させて、組織厚さコンペンセータの中の薬剤を保持することと、を含む。抗菌性材料を含む組織厚さコンペンセータを製造する方法は、ヒドロゲルを提供することと、ヒドロゲルを乾燥することと、硝酸銀水溶液中でヒドロゲルを膨潤させることと、ヒドロゲルと塩化ナトリウム溶液とを接触させて抗菌特性を有する組織厚さコンペンセータを形成することと、を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、その内部に分散された銀を含んでもよい。
【0120】
ここで図71を参照すると、組織厚さコンペンセータ21020は、コンペンセータ本体21022と、その内部に位置付けられた複数のカプセル又は管21024と、を含んでもよい。管21024のそれぞれは、その内部に1つ以上の薬剤を含んでもよい、その内部に画定された空洞21026を含んでもよい。以下において、より詳細に記載されるように、組織厚さコンペンセータ21020は、例えば、管21024を成形型の中に置き、コンペンセータ本体21022を管21024の周囲に形成することにより、製造することができる。管21024が成形型の中に置かれる前に、1つ以上の薬剤が、管21024の中に置かれてもよく、例えば、コンペンセータ本体21022が、固体化、凍結乾燥、及び/又は硬化された後、管21024を、コンペンセータ本体21022の中に封入することができる。あるいは、ここで図72を参照すると、組織厚さコンペンセータ21120は、コンペンセータ本体21122の内部に位置付けられた複数のカプセル又は管21124を含んでもよく、コンペンセータ本体21122が、管21124の周囲に形成された後に、1つ以上の薬剤が、管21124の中に装填されてもよい。例えば、組織厚さコンペンセータ21120は、管21124と流体連通してもよく、例えば、注射器21125を利用して、1つ以上の薬剤が管21124の中に注射されるように構成することができる、ポート21123を含んでもよい。いくつかの状況において、外科医又は他の臨床医は、組織厚さコンペンセータ21120が患者の体内に挿入される直前に、1つ以上の薬剤を、管21124の中に装填可能である。組織厚さコンペンセータ21120の保存期間又は使用期限が長いことが予測される、又は必要とされるとき、これらは、特に有用である。
【0121】
ここで図73を参照すると、組織厚さコンペンセータ21020のコンペンセータ本体21022は、例えば、生体吸収性材料から構成することができる。コンペンセータ本体21022は、例えば、PGA及び/又はPCLなどの、任意の好適な材料から構成することができる。管21024は、例えば、任意の好適な生体吸収性材料から構成することができる。管21024は、例えば、ヒアルロン酸、ゼラチン、PDS、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)などの、任意の好適な材料から構成することができる。空洞21026の内部に含有される1つ以上の薬剤21025は、例えば、ドキシサイクリンといった流体を含んでもよい。例えば、管21024のそれぞれは、例えば、管21024の少なくとも一部が、溶解及び/又は生体吸収されるまで、薬剤21025が管21024の内部に格納され得るように封止することができる。ここで図74を参照すると、使用の際、管21024は、例えば、血液などの体液にさらされてもよく、体液は、管21024に接触することができ、管21024を溶解することができる。図75を参照すると、組織T及び組織厚さコンペンセータ21020が、例えば、アンビル21060及び/又は複数のステープル21030によって圧縮されると、体液が、組織Tから現われ得る。本発明によると、生体吸収性ラップは、コンペンセータ本体21022を密閉、又は少なくとも部分的に密閉するために利用されてもよい。例えば、ラップは、例えば、ヒアルロン酸及び/又はORCから構成することができる。
【0122】
ここで図77を参照すると、カプセル又は管21224は、例えば、複数の層21224a〜21224dを含んでもよい。各管21224は、例えば、外層又は第1の層21224a、第2の層21224b、第3の層21224c、及び内層21224dを含んでもよい。外層21224aは、例えば、トロンビンなどの止血材料から構成することができる。第2の層21224bは、例えば、ドキシサイクリン及び/又はゲンタマイシンなどの、抗菌性及び/又は抗生材料から構成することができる。第3の層21224cは、例えば、ジクロフェナク及び/又はNSAIDSなどの抗炎症性材料から構成することができる。内層21224dは、例えば、粉末状コラーゲン合成材料などの治癒作用のある材料から構成することができる。図77を再び参照すると、管21224は、第2の層21224bが溶解するか、又は少なくとも部分的に溶解する前に、外層21224aが溶解するか、又は少なくとも実質的に溶解するような構造及び配置にされてもよい。図76を参照すると、外層21224aは、体液にさらされるとすぐに、溶解を開始してもよい。この瞬間を時間t0として表す。外層21224aは、分、時間、及び/又は日の経過とともに完全に溶解し、外層21224aを含む材料は、時間t1として表される時点で、最大効力又は最大濃度に達することができる。しばらくして、外層21224aは、時間t2で表される時点までに、完全に又は少なくとも実質的に、溶解することができる。
【0123】
外層21224aが溶解している時、体液は、第2の層21224bに達することができ、第2の層21224bを少なくとも部分的に溶解し始める。上記と同様に、第2の層21224bは、分、時間、及び/又は日の経過とともに完全に溶解し、第2の層21224bを含む材料は、時間t3として表される時点で、最大効力又は最大濃度に達することができる。様々な状況において、体液は、外層21224aを通過することができ、第2の層21224bに達し、それによって、外層21224a及び第2の層21224bは、同時に、又は少なくとも実質的に同時に、溶解を開始することができる。いずれにせよ、外層21224aを含む材料が、その最大効力又は最大濃度に達する時間t1は、時間t3よりも前であり得ることを、読者は、注目するであろう。しばらくして、第2の層21224bは、時間t5で表される時点までに、完全に又は少なくとも実質的に、溶解することができる。また、読者が注目するように、時間t5は、時間t2よりも後であり得る。第2の層21224bが溶解している時、体液は、第3の層21224cに達することができ、第3の層21224cを少なくとも部分的に溶解し始める。上記と同様に、第3の層21224cは、分、時間、及び/又は日の経過とともに完全に溶解することができ、第3の層21224cを含む材料は、時間t6として表される時点で、最大効力又は最大濃度に達することができる。様々な状況において、体液は、外層21224a及び第2の層21224bを通過することができ、第3の層21224cに達し、それによって、外層21224a、第2の層21224b、及び/又は第3の層21224cは、同時に、又は少なくとも実質的に同時に、溶解を開始することができる。いずれにせよ、第2の層21224bを含む材料が、その最大効力又は最大濃度に達する時間t3は、時間t6よりも前であり得ることを、読者は注目するであろう。しばらくして、第3の層21224cは、時間t8で表される瞬間までに、完全に又は少なくとも実質的に、溶解することができる。また、読者が注目するように、時間t8は、時間t5よりも後であり得る。
【0124】
第3の層21224cが溶解している時、体液は、第4の層21224dに達することができ、時間t4で表される時点で、第4の層21224dを少なくとも部分的に溶解し始めることができる。上記と同様に、第4の層21224bは、分、時間、及び/又は日の経過とともに完全に溶解することができ、第4の層21224dを含む材料は、時間t7として表される瞬間に、最大効力又は最大濃度に達することができる。様々な状況において、体液は、外層21224a、第2の層21224b、及び第3の層21224cを通過することができ、第4の層21224dに達し、それによって、外層21224a、第2の層21224b、第3の層21224c、及び/又は第4の層21224dは、同時に、又は少なくとも実質的に同時に、溶解を開始することができる。いずれにせよ、第3の層21224cを含む材料が、その最大効力又は最大濃度に達する時間t6は、時間t7よりも前であり得ることを、読者が注目するであろう。しばらくして、第4の層21224dは、時間t9で表される時点までに、完全に又は少なくとも実質的に、溶解することができる。また、読者が注目するように、時間t9は、時間t8よりも後であり得る。任意で、上記の結果、薬剤の段階的放出が起こってもよい。
【0125】
ここで図81及び図83を参照すると、ステープルカートリッジ21300は、複数のステープル空洞21312を含むカートリッジ本体21310と、その内部に位置付けられる複数のステープル21330と、を含んでもよい。ステープルカートリッジ21300は、カートリッジ本体21310に対して位置付け可能なコンペンセータ本体21322と、加えて、コンペンセータ本体21322の内部に位置付けられた複数の個別カプセル21324と、を含んでもよい、組織厚さコンペンセータ21320を更に含んでもよい。カプセル21324は、垂直に配向されてもよく、ステープル21330がその未発射構成にあるとき、図83に示すように、各カプセル21324は、ステープル21330のステープル脚部21322間に位置付けられてもよい。例えば、ステープル脚部21322は、ステープル21330が、カプセル21324を破裂させることなく、その未発射位置にあるとき、組織厚さコンペンセータ21320の中に少なくとも部分的に延在してもよい。ここで図84を参照すると、ステープル21330が、その未発射位置から発射済み位置へと移動するとき、ステープル21330は、カプセル21324を破裂させることにより、その内部に格納された少なくとも1つの薬剤を放出することができる。より具体的には、ステープル21330が上方に持ち上げられ、これにより、ステープル脚部21332が、その間に位置付けられたカプセル21324に向かって下方及び内方に、湾曲又は変形することができるとき、ステープル21330は、アンビル21060内に画定された形成ポケット21062により変形することができる。ステープル21330は、ドライバ21340と、スレッド21345と、を備える発射システムによって上方に持ち上げられ、スレッド21345は、ステープルカートリッジ21000を長手方向に横断し、ステープルドライバ21340と、その上に位置付けられたステープル21330と、を順次持ち上げて発射するように構成することができる。いずれにせよ、ステープル脚部21332は、カプセル21324を貫通及び/又は圧潰することができ、その結果、カプセル21324内に画定された内部空洞21326は、裂けてもよく、内部空洞21326に含有される1つ以上の薬剤は、そこから漏れ出すことができる。1つ以上の薬剤は、例えば、その中に含有される、1つ以上の粉末及び/又は流体を含んでもよい。ステープルカートリッジ21300は、例えば、ステープルカートリッジ21300とアンビル21060との間に位置付けられた組織Tを横切するために、スレッド21345と共に遠位方向に前進し得る、切断部材21380を更に含んでもよい。切断部材21380は、カートリッジ本体21310内に画定されたナイフスロット21314を通過するように構成されてもよく、例えば、カプセル21324などの1つ以上のカプセルは、例えば、ナイフスロット21314の内部及び/又は上方に位置付けられてもよく、それにより、切断部材21380は、かかるカプセル21324を横切することができる。いずれにせよ、組織厚さコンペンセータ21320は、カートリッジ本体21322の上部、及び/又は下部に位置付けられた層21321を更に含んでもよく、該層21321は、例えば、ヒアルロン酸などから構成されてもよく、カートリッジ本体21322及び/又はステープル21330を安定させることができる。例えば、上記のように、切断部材21380が、ステープルカートリッジ21300を通って前進するとき、切断部材21380は、層21321を横切するように構成することができる。
【0126】
ここで、図85を参照すると、組織厚さコンペンセータ21420は、コンペンセータ本体21422と、その中に位置付けられた複数のカプセル21444と、を含んでもよい。上記と同様に、各カプセル21444は、封止空洞21446を含んでもよく、これは、封止空洞21446の内部の1つ以上の薬剤を放出可能に格納するように構成することができる。カプセル21444のそれぞれは、例えば、円錐形及び/又は先細りの端部21447を含んでもよい。例えば、先細りの端部21447は、その周囲でカートリッジ本体21422が形成されている間、カプセル21444を適所に保持するために利用される。本発明によると、成形型は、先細りの端部21447を受容、及び/又は固定するように構成することができる複数の開口部及び/又は陥凹を含んでもよく、それによって、コンペンセータ材料が、カプセル21444の周囲に注入されるとき、成形型は、カプセル21444を適所に保持することができる。上記に対して更に、カプセル21444は、例えば、ステープルが、使用中の組織厚さコンペンセータ21420の中に、かつ/又は、組織厚さコンペンセータ21420を通って発射されるまで、カプセル21444が破裂することも、張り裂けることも無いように位置付けられ、配置されてもよい。
【0127】
あるいは、ここで図86を参照すると、組織厚さコンペンセータ21520は、コンペンセータ本体21522内に位置付けられた複数のカプセル21524を含んでもよい。カプセル21524は、それぞれ、その外壁内に画定された1つ以上の開口部21528を含んでもよく、開口部21528は、1つ以上の薬剤21525が、カプセル21524内に画定された空洞21526から漏れ出ることを可能にするように構成することができる。開口部21528は、薬剤21525が、空洞21526から漏れ出る速度を制御するようにサイズ決めされ構成することができる。例えば、より大きい開口部21528は、薬剤21525の放出を、より速くすることができる一方、例えば、より小さい開口部21528は、薬剤21525の放出を、より遅くすることができる。各カプセル21524の外壁は、閉鎖及び/又は封止された端部21527を有する管から構成することができる。カプセル21524の外壁は、例えば、1つ以上の生体吸収性ポリマーから構成されてもよく、端部21527は、例えば、熱かしめプロセス、熱溶接プロセス、及び/又はレーザ溶接プロセスを利用して、閉鎖及び/又は封止され得る。カプセル21524の外壁又は外殻は、射出成形プロセスを利用して製造することができ、外殻が形成された後、1つ以上の薬剤は、その1つ以上の開放端部を通って、外殻の中に位置付けられる。その後、外殻の中の開放端部、又は複数の開放端部は、例えば、ポリマー溶液を利用して末端保護されてもよい。カプセル21524の壁が、生体吸収性材料から構成される場合、その内部に画定された開口部21528は、時間をかけて大きくなり得る。例えば、薬剤21525が空洞21526から放出される速度は、時間をかけて速くなり得る。
【0128】
コンペンセータ本体21522は、例えば、ゼラチンから構成されてもよく、例えば、凍結乾燥プロセスを利用してフォーム材料に製造される。カプセル21524は、コンペンセータ本体21522に挿入することができ、例えば、コンペンセータ本体21522は、カプセル21524を受容するように構成された開口部と共に形成され得る。次に、例えば、層又はフィルムは、コンペンセータ本体21522の上方に置かれてもよく、その内部のカプセル21524を末端保護するか、又は密閉することができる。カプセル21524は、成形型の内部に位置付けられてもよく、コンペンセータ材料は、カプセル21524の周囲で少なくとも部分的に形成されて、コンペンセータ本体21522を形成し得る。いずれにせよ、コンペンセータ本体21552は、カプセル21524が所望の位置に位置付けられるように、ステープルカートリッジのカートリッジ本体に対して組織厚さコンペンセータ21520を位置合わせ、及び配向するように構成することができる、1つ以上のキーイング又はインデクシング機構を含み得る。
【0129】
ここで図87を参照すると、外科用ステープリングシステムは、ステープルカートリッジ21600と、アンビル21060と、を含んでもよく、ステープルカートリッジ21600及びアンビル21060は、組織Tの反対側に位置付けられ得る。本明細書に開示の他のステープルカートリッジと同様に、ステープルカートリッジ21600は、複数のステープル空洞21312と、その内部に位置付けられた複数のステープル21330と、を含む、カートリッジ本体21310を含んでもよい。図91を参照すると、使用の際、ステープル21330は、ドライバ21340によって、未発射位置から発射済み位置へと上方に持ち上げられてもよく、それにより、ステープル21330は、アンビル21060に対して変形するか、又は、より具体的には、形成ポケット21062の内部で変形する。ステープル21330が発射されている際、ステープル21330が、その未発射構成(図88)と発射済み構成(図89)との間で変形する前に、ステープル21330は、組織T及びアンビル21060に取り付けられた組織厚さコンペンセータ21620を貫通することができる。ステープル21330は、例えば、ステンレススチール及び/又はチタンなどの任意の好適な材料から構成されてもよく、組織厚さコンペンセータ21620及び組織Tに対して、圧縮力又はクランプ力をかけるように構成することができる。図87に示すように、ステープル21330は、複数の列で配置されてもよく、1つのステープル21330は、各ステープル空洞21312の中に位置付けられ得る。ステープルカートリッジ21300は、例えば、組織T、組織厚さコンペンセータ21620、及び/又は該組織厚さコンペンセータ21620の内部に位置付けられた1つ以上の薬剤カプセルに係合し、かつ、これらを貫通するように構成することができる、貫通部材21635(図90)を更に含んでもよい。例えば、貫通部材21635は、ステープル空洞21312の内部に位置付けられてもよく、貫通部材21635は、ドライバ21340によって、ステープル空洞21312から発射又は排出されてもよい。上記に対して更に、ステープルカートリッジ21600のいくつかのステープル空洞21312は、その内部に位置付けられたステープル21330を含んでもよく、一方、他のステープル空洞21312は、その内部に位置付けられた貫通部材21635を含んでもよい。ステープルカートリッジ21600は、ステープル空洞21312の内部に位置付けられたステープル21330のみを有するいくつかの列のステープル空洞21312、その内部に位置付けられた貫通部材21635のみを有するいくつかの列、及び/又は、ステープル21330とステープル空洞21312の内部に位置付けられた貫通部材21635の両方を有するいくつかの列、を含んでもよい。図91を参照すると、示されるように、内側4列のステープル空洞21312は、その内部にステープル21330のみを含んでもよく、一方、外側列のステープル空洞21312は、その内部にステープル21330と貫通部材21635の両方を含んでもよい。ステープル21330、及びステープル空洞21312の外側列内の貫通部材21635は、例えば、交互に配置されてもよい。ここで図92を参照すると、ステープル21330及び貫通部材21635は、例えば、2つのステープル21330、続いて貫通部材21635、続いて更に2つ以上のステープル21330、続いて貫通部材21635(以下同様)を備えるパターンに配置されてもよい。
【0130】
主として図90を参照すると、各貫通部材21635は、基部21638と、該基部21638の反対側から上方に延在する脚部21637と、を備えてもよい。ここで図91を参照すると、ドライバ21340は、それぞれ、貫通部材21635の基部21638を受容、かつ支持するように構成することができる、トラフ21348を含んでもよい。ここで図92を参照すると、ドライバ21340が、スレッド21345によって上方に押されると、スレッド21345は、ステープル21330及び貫通部材21635を、順次発射することができる。ここで図91を参照すると、ステープル21330は、アンビル21060に対して変形してもよい一方、貫通部材21635は、アンビル21060に触れなくてもよい。主として図90を参照すると、各貫通部材21635の脚部21636の一方又は両方は、例えば、組織T及び/又は組織厚さコンペンセータ21620を貫通するように構成することができる鋭い先端21639と、脚部21636を組織T及び/又は組織厚さコンペンセータ21620の中で保持するように構成することができる少なくとも1つの返し部21637と、を含んでもよい。組織厚さコンペンセータを全く使用しなくてもよい。貫通部材21635の脚部21636は、アンビル21060に触れることは言うまでもなく、組織Tをすべて通過するほど長くなくてもよい。脚部21636は、アンビル21060に接触することができ、かつ異なる構成に変形することができるほど長くてもよい。
【0131】
貫通部材21635は、ステープル21330を含む材料とは異なる材料から構成することができる。貫通部材21635は、例えば、PGAなどの少なくとも1つの生体吸収性ポリマーから構成することができる。貫通部材21635は、それぞれ、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、鎮痛薬剤、及び/又はMMP阻害剤などの少なくとも1つの薬剤を含んでもよい。貫通部材21635は、ステープルのラインの中に位置することができ、例えば、貫通部材21635が溶解及び/又は生体吸収されている時に、貫通部材21635は、1つ以上の薬剤を、ステープルのラインの中、及び/又はステープルのラインに隣接する組織Tに供給することができる。貫通部材21635は、1つ以上の薬剤に被覆されてもよい。貫通部材21635は、貫通部材21635を備える構造基板内に埋め込まれた、1つ以上の薬剤を含んでもよい。いくつかの貫通部材21635は、第1の構造基板及び/又は第1の薬剤から構成することができる一方、他の貫通部材21635は、例えば、第2の、すなわち、異なる構造基板、及び/又は第2の、すなわち、異なる薬剤から構成することができる。貫通部材21635は、例えば、射出成形プロセスを利用して製造することができる。
【0132】
ここで図93及び図94を参照すると、ステープルカートリッジ21700は、カートリッジ本体21710と、カートリッジ本体21710のデッキ表面21711の上又はデッキ表面21711に隣接して位置付けられた組織厚さコンペンセータ21720と、を含んでもよい。上記と同様に、カートリッジ本体21710は、複数のステープル空洞21312と、その内部に位置付けられた複数のステープルと、を含んでもよい。カートリッジ本体21710は、例えば、切断部材21380(図95)などの切断部材を内部に受容するように構成することができるスロット21714も含んでもよい。図95に示すように、使用の際、切断部材21380は、アンビル21060とステープルカートリッジ21700との間に位置付けられた組織Tを横切するように構成することができる。図93及び図94を再び参照すると、組織厚さコンペンセータ21720は、コンペンセータ本体21722と、該コンペンセータ本体21722の内部に位置付けられた複数の薬剤パケット又はカプセル21724と、を含んでもよい。カプセル21724は、コンペンセータ本体21722の中に位置付けられ、配置されてもよく、それにより、カプセル21724は、カートリッジ本体21710内に画定されたスロット21714を覆う。主として図96を参照すると、使用の際、切断部材21380がステープルカートリッジ21700を通って前進する際、切断部材21380が、カプセル21724を切開するように構成することができる。例えば、カプセル21724は、切断部材21380によって切開される前に、封止されてもよく、カプセル21724が切開された後、その内部に含有される1つ以上の薬剤を放出することができる。スロット21714の上方にあるカプセル21724の位置により、1つ以上の薬剤を、切断部材21380によって横切された組織Tの部分の上に放出することができる。カプセル21724の内部に含有される1つ以上の薬剤は、例えば、粉末形態の生物学的薬剤を含んでもよい。カプセル21724の中の1つ以上の薬剤は、例えば、酸化再生セルロース、アルギン酸、及び/又はカルシウムを含んでもよい。
【0133】
図93及び図94を再び参照すると、カプセル21724は、その内部に同じ薬剤を含んでもよい。あるいは、1つ以上のカプセル21724は、その内部に1つ以上の異なる薬剤を含んでもよい。第1の複数のカプセル21724は、その内部に第1の薬剤を含んでもよく、第2の複数のカプセル21724は、その内部に第2の薬剤を含んでもよい。例えば、カプセル21724は、例えば、切断部材21380の長手方向経路に沿って交互に配置されてもよく、それにより、例えば、第1の薬剤を含むカプセル21724に、第2の薬剤を含むカプセル21724が続いてもよく、該第2の薬剤を含むカプセル21724に、第1の薬剤を含むカプセル21724(以下同様)が続いてもよい。切断部材21380は、ステープルカートリッジ21300を通って前進する際、第1の薬剤と第2の薬剤とを混合するように構成することができる。図93及び図94を再び参照すると、組織厚さコンペンセータ21720は、各カプセル21724から外方に延在する1つ以上のチャネル21726を更に含んでもよい。チャネル21726は、カプセル21724が切られた後、カプセル21724内部の薬剤が、組織厚さコンペンセータ21720及びそれに対して位置付けられた組織Tの内部で移動できるように構成することができる。カプセル21724は、アンビル21060によって、圧縮負荷がそこにかけられるとき、張り裂けないように構成することができる。主として図93及び図96を参照すると、カートリッジ本体21710は、それぞれが、カプセル21724の少なくとも一部を内部に受容するように構成することができる複数の凹部21715を含んでもよい。例えば、凹部21715は、圧縮負荷がそこにかけられるとき、カプセル21724が凹部21715内部で下方に摺動し、カプセル21724が、張り裂けないように構成することができる。あるいは、1つ以上のカプセル21724は、そこにかけられる特定の圧縮力が、満たされるか又は超過すると、張り裂けるように構成することができる。例えば、カプセル21724は、アンビル21060によってかけられたクランプ圧に耐えるように構成されてもよいが、例えば、切断部材21380が、ステープルカートリッジ21700を通って前進する結果、カプセル21724にかけられる圧縮圧力が増大すると、カプセル21724は、張り裂け得る。カプセル21724は、その内部に、切断部材21380が、ステープルカートリッジ21700内で、前進及び/又は後退する際に、切断部材21380を移動し易くすることができる潤滑油を含んでもよい。
【0134】
ここで図97を参照すると、組織厚さコンペンセータ21820は、コンペンセータ本体21822と、それを通って延在する長手方向管21824と、を含んでもよい。上記と同様に、管21824は、その内部に画定された長手方向の空洞21826と、空洞21826の内部に位置付けられた1つ以上の薬剤21825と、を含んでもよい。長手方向管21824は、そこから外方に延在する1つ以上の支持脚部21827を更に含んでもよく、これは、管21824を支持するように構成することができる。例えば、ここで図98を参照すると、支持脚部21827は、成形型21890内部で管21824を支持することができる一方、コンペンセータ本体21822は、管21824の周囲に形成される。ここで図99及び図100を参照すると、PGA及び/又はPCLなどの、コンペンセータ本体21822を含む材料は、例えば、管21824の周囲に注入され、次に、凍結乾燥され、発泡し、及び/又は凝固され得る。図98を再び参照すると、コンペンセータ本体21822を含む材料は、管21824を包囲する空洞21891の中に注入され、その後、空洞21891は、カバー21892によって閉鎖される。図97を参照すると、支持脚部21827の端部は、注入された材料によって覆われなくてもよく、コンペンセータ本体21822の下面21821と同一面であってもよい。支持脚部21827及び/又は管21824は、例えば、ゼラチン、ヒアルロン酸、PDS、及び/又はORCなどの溶解性及び/又は生体吸収性材料から構成することができる。脚部21827は、例えば、体液及び/又は食塩水によって迅速に溶解することができ、組織厚さコンペンセータ21820の外周と内側との間に延在するチャネル又は経路は、残されてもよい。かかる経路は、管21824の内部に位置付けられた1つ以上の薬剤21825が迅速に溶解及び/又は吸収されるように作られてもよい。あるいは、組織厚さコンペンセータ21920は、例えば、図101に示すように、複数の支持脚部21927を備えるコンペンセータ本体21922と、管21924と、を含んでもよい。図102を参照すると、支持脚部21927は、コンペンセータ本体21922を通って延在してもよい、より大きい支持網又は構造格子21928の一部であってもよい。
【0135】
図97を再び参照すると、管21824から延在する脚部21827はまた、その内部に1つ以上の薬剤を含んでもよい。脚部21827が溶解及び/又は吸収されると、上記のように、脚部21827中の1つ以上の薬剤は、ステープリング及び/又は切開された組織に、第1の投薬反応をもたらし得る一方、管21824中の1つ以上の薬剤21825は、第2(又は後続)の投薬反応をもたらし得る。ここで図103及び105を参照すると、組織厚さコンペンセータ22020は、コンペンセータ本体22022と、該コンペンセータ本体22022を通って延在する長手方向薬剤管22024と、を含んでもよい。上記と同様に、管22024は、その内部に位置付けられた1つ以上の薬剤22025aを含む長手方向の空洞22026aを画定することができる。上記と同様に、管22024は、管22024の長さに沿って延在し得る、複数の長手方向脚部支持体22027を含み得る。任意で、脚部支持体22027のそれぞれは、その内部に、例えば、空洞22026b及び22026cなどの長手方向の空洞を画定してもよく、空洞22026b及び22026cは、それぞれ、その内部に、例えば、薬剤22025b及び22025cなど、1つ以上の薬剤を含んでもよい。脚部支持体22027は、迅速に溶解及び/又は吸収され得る材料から構成することができ、それにより、薬剤22025b及び22025cは、迅速に放出され得る。その後、支持脚部22027及び管22024は、更に溶解及び/又は吸収され、それにより、薬剤22025aは、引き続いて放出される。薬剤22025a、22025b、及び/又は22025cは、同じ材料から構成することができる。あるいは、薬剤22025a、22025b、及び/又は22025cは、異なる材料から構成することができる。薬剤22025b及び22025cは、同じ材料、又は該材料とは異なり得る材料、又は薬剤22025aを含む材料から構成することができる。
【0136】
上記に対して更に、管22024、脚部22027、及び/又は、その内部に画定された空洞22026a〜22026cは、射出成形プロセスを利用して製造することができる。管22024、脚部22027、及び/又は空洞22026a〜22026cは、例えば、押し出し加工プロセスを利用して製造することができ、その結果、かかる形体は、それらの長さに沿った連続断面を含んでもよい。かかるプロセスにより、管22024及び脚部22027を一体成形することができる。その後、薬剤22025a〜22025cは、それぞれ、空洞22026a〜22026cの内部に、位置付けら得る。薬剤22025a〜22025cは、それぞれ、例えば、1種以上の粉末、及び/又は1種以上の流体から構成することができる。ここで図106を参照すると、空洞22026a〜22026cの端部22029は、空洞22026a〜22026cの内部に薬剤22025a〜22025cを含有するために封止され得る。いずれにせよ、管22024は、上記の成形型21890などの成形型の内部に位置付けられてもよく、例えば、コンペンセータ本体22022を含む材料は図104に示すように管22024の周囲に注入されてもよく、組織厚さコンペンセータ22020を形成することができる。様々な代替例を図107及び図108に示す。図107を参照すると、組織厚さコンペンセータ22120は、接続されたコンペンセータ本体22122と、複数の長手方向管22124と、を含んでもよい。管22124のそれぞれは、その内部に長手方向の空洞22126を画定してもよく、これは、それぞれ、その内部に1つ以上の薬剤22125を含んでもよい。長手方向の空洞22126は、互いに流体連通してもよく、又は1つ以上の長手方向の空洞22126が、互いに流体連通することができる。上記と同様に、コンペンセータ22120は、管22124から下方に延在し、かつ、それぞれが、長手方向の空洞22126と、その内部の少なくとも1つの薬剤22125と、を含んでもよい、脚部22127を更に含んでもよい。管22124及び/又は支持脚部22127は、異なる速度で溶解及び/又は生体吸収されるように構成することができる材料から構成することができる。例えば、支持脚部22127は、例えば、管22124を含む材料よりも早い速度で、溶解及び/又は生体吸収され得る材料から構成することができる。ここで図108を参照すると、組織厚さコンペンセータ22220は、コンペンセータ本体22222と、長手方向管22224と、を含んでもよく、管22224は、そこから延在する複数の支持脚部22227を含んでもよい。単一の長手方向の空洞22226は、管22224内に画定されてもよく、支持脚部22227の中に延在してもよい。上記と同様に、空洞22226は、その内部に位置付けられた1つ以上の薬剤22225を含んでもよい。
【0137】
図97を再び参照すると、支持脚部21827は、例えば、血液及び/又は食塩水などの流体を吸収するように構成することができる1つ以上の材料から構成することができる。支持脚部21827は、管21824及びその内部に含有される1つ以上の薬剤21825に向けて、流体をウィッキングするように構成することができる。かかるウィッキングにより、治癒プロセスにおいて、より早く、薬剤21825を溶解及び/又は生体吸収することができる。支持脚部21827の端部は、コンペンセータ本体21822によって覆われなくてもよく、流体にさらされてもよい。このウィッキングプロセスは、毛管現象によって発生してもよく、例えば、組織厚さコンペンセータ21820の配向に関わらず発生してもよい。
【0138】
ここで図112を参照すると、組織厚さコンペンセータ22320は、コンペンセータ本体22322と、その内部に位置付けられた複数の管22324と、を含んでもよい。コンペンセータ本体23222は、例えば、無細胞大網バイオマトリックス(acellular omentum biomatrix)、Omentum Scaffold Material、及び/又はACellなどの再生組織スキャフォールドフォームから構成することができる。Omentum Scaffold Materialは、骨格化された大網から生成された親水性フォームを含んでもよく、場合によっては圧縮可能であってもよい。流体にさらされると、Omentum Scaffold Materialは、膨張してもよく、それに対して位置付けられた組織に圧力をかけてもよい。ACellは、細胞外マトリックス又はスキャフォールディングネットワークをもたらし、細胞増殖及び移動を助長する再生製品である。コンペンセータ本体22322を含む組織スキャフォールドには、例えば、幹細胞、PRP又は成長因子を装填することができる。コンペンセータ本体22322を含む組織スキャフォールドは、例えば、コラーゲンマトリックスにおいて被覆されてもよい。コンペンセータ本体22322の組織スキャフォールドマトリックスは、繊維マトリックスから構成することができ、該繊維マトリックスは、ランダム配向繊維から構成することができる。いくつかの状況において、ランダム配向繊維から構成された繊維マトリックスは、コンペンセータ本体22322内に所望の弾性又は弾力性をもたらすことができない。このことを説明するため、ランダム配向繊維は、液体にさらされた後、膨張してもよく、かつ繊維マトリックスに所望の弾力性を与え、かつ/又は、組織に所望の圧縮力を与えることができるように構成することができる親水性材料から構成することができ、かつ/又は親水性材料によって被覆されてもよい。様々な状況において、繊維マトリックスは、上記のように、複数のステープルによって組織に対して捕捉されるまで、液体にさらされない。例えば、コンペンセータ本体22322は、例えば、使用中に、破られ、穿刺され、切開され、及び/又は裂かれてもよく、液体がコンペンセータ本体22322の中に入り、親水性繊維に接近することを可能にした、液体不透過性ラップを含んでもよい。いずれにせよ、液体がステープル内に捕捉されたスキャフォールドマトリックスによって吸収されると、スキャフォールドマトリックスは、膨張して、ステープル内に同じく捕捉された組織に、圧縮圧力をかけることができ、時間をかけて、組織内殖をスキャフォールドマトリックスに収容することができる。
【0139】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ22320の管22324は、溶解及び/又は生体吸収するように構成することができる分解性材料から構成することができる。上記と同様に、各管22324は、1つ以上の薬剤を内部に有する封止内側空洞と、加えて、管22324内部に格納された薬剤に達するようにするための液体用のチャネル又は流路を分解及び提供するように構成することができる1つ以上の支持脚部22327と、を含んでもよい。かかる支持脚部22327の分解は、時間がかかってもよく、その結果、管22324の内部に含まれる薬剤が、すぐに放出されなくてもよい。ある意味で、流体が脚部22327を分解するのに一定の期間が必要であってもよく、その結果、脚部22327は、管22324内部の薬剤の放出を遅らせるよう設計されたヒューズとしての役割を果たすことができる。よって、様々な状況において、より長く、断面がより厚い脚部22327は、より長い遅延をもたらし得る一方、より短く、かつ/又は、断面がより薄い脚部22327は、より短い遅延をもたらし得る。管22324は、迅速に、かつ/又はゆっくり溶解する材料から構成することができるが、いずれにしても、管22324の分解は、一定時間をかけて発生してもよく、これにより、管22324の内部に含有される1つ以上の薬剤の放出を遅延させることができる。本発明によると、第1の管22324は、第1の速度で分解する第1の材料から構成されてもよく、第2の管22324は、第2の速度又は異なる速度で分解する第2の材料から構成されてもよい。そのような場合において、第1の管22324の内部に含有される第1の薬剤は、例えば、第2の管22324の内部に含有される第2の薬剤の前に、放出され得る。第1の管22324は、第2の管22324よりも薄い外壁を有してもよく、これにより、例えば、第1の管22324が第2の管22324よりも早く分解することが可能になり、第1の管22334の内部に含有される薬剤を、第2の管22324の中の薬剤より前に放出することが可能になる。上記の結果、第1の管22324は、第1の時点で、第1の薬剤を放出するように構成されてもよく、第2の管22324は、第2の時点、又は、より遅い時点で、第2の薬剤を放出するように構成されてもよく、第3の管22324は、第3の時点、又は、より遅い時点で、第3の薬剤を放出するように構成されてもよい。
【0140】
ここで図113及び図114を参照すると、組織厚さコンペンセータ22420は、コンペンセータ本体22422と、該コンペンセータ本体22422の内部に位置付けられた封止脈管22424と、を含んでもよい。上記と同様に、脈管22424は、長手方向の空洞22426と、該長手方向の空洞22426の内部に位置付けられた1つ以上の薬剤22425と、を画定することができる。脈管22424は、弾力性があってもよく、それにより、組織厚さコンペンセータ22420が、圧縮されるか、又は平らにされると、図114に示すように、脈管22424は、跳ね反るか、又はその元の変形していない形状を保持しようとすることができる。例えば、脈管22424は、コンペンセータ本体22422の内部に位置付けられた弾性ばね部材を含んでもよい。脈管22424は、破裂することなく形状を変えるように構成することができる。本明細書に記載されるように、例えば、脈管22424は、例えば、液体にさらされると分解し得る。
【0141】
ここで図115を参照すると、組織厚さコンペンセータ22520は、コンペンセータ本体22522と、複数の封止脈管22524a〜22524cと、を含んでもよい。脈管22524a〜22524cのそれぞれは、例えば、血液及び/又は食塩水などの液体と接触する、脈管の表面積を増大、最大化及び/又は最適化するように構成される外周を画定することができる。様々な状況において、より大きい表面積を有する脈管は、より大量の液体にさらされてもよく、その結果、該脈管は、より速い速度で、溶解及び/又は生体吸収され得る。これに対応して、より小さい表面積を有する脈管は、より少量の液体にさらされてもよく、その結果、より遅い速度で、溶解及び/又は生体吸収され得る。脈管22524a〜22524cは、例えば、ゼラチン、ヒアルロン酸、PDS、及び/又はORCから構成することができる。上記と同様に、脈管22524a〜22524cは、弾力性があってもよく、跳ね返る力、又は弾性付勢力を与え得る。ここで図116を参照すると、組織厚さコンペンセータ22620は、コンペンセータ本体22622と、該コンペンセータ本体22622の内部に位置付けられた複数の弾力性ラミネート部材22624と、を含んでもよい。ラミネート部材22624のそれぞれは、内部に位置付けられた1つ以上の薬剤を含む封止内側チャネルを含んでもよい。
【0142】
ここで図117を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、アンビル21060と、ステープルカートリッジ22700と、を含んでもよい。アンビル21060は、それに取り付けられた組織厚さコンペンセータ22770を含んでもよく、ステープルカートリッジ22700は、カートリッジ本体22710と、組織厚さコンペンセータ22720と、を含んでもよい。ここで図118を参照すると、組織厚さコンペンセータ22770は、複数の層を含んでもよく、組織厚さコンペンセータが3つ以上の層を含んでもよい選択肢が想到されるが、組織厚さコンペンセータ22720は、第1の層22771と、第2の層22772と、を含んでもよい。任意で、1つ以上の組織厚さコンペンセータの層は、織物材料を含んでもよい。第1の層22771は、第1の材料から構成された複数の第1の糸22773と、第2の材料、すなわち、異なる材料から構成された複数の第2の糸22774と、から構成することができる。同様に、第2の層22772は、複数の第1の糸22773と、複数の第2の糸22774と、から構成することができる。第1の層22771の中の第1の糸22773及び第2の糸22774の密集度は、第2の層22772の中の第1の糸22773及び第2の糸22774の密集度と同じであってもよい。詳しくは、後述されるように、第1の層22771の中の第1の糸22773及び第2の糸22774の密集度は、第2の層22772の中の第1の糸22773及び第2の糸22774の密集度と異なってもよい。
【0143】
上記に対して更に、第1の糸22773は、例えば、PGA、PDS、PCL、及び/又はPLAなどの生体吸収性ポリマーから構成されてもよく、第2の糸22774は、例えば、酸化再生セルロース(ORC)から構成されてもよい。第1の層22771は、組織厚さコンペンセータ22770の外層を含んでもよく、組織当接面を含んでもよい。第1の層22771は、第2の糸22774よりも多くの第1の糸22773を含んでもよい。例えば、第1の層22771は、例えば、約80%の第1の糸22773対約20%の第2の糸22774という比を含んでもよい。第1の層22771は、例えば、約60%の第1の糸22773対約40%の第2の糸22774という比、約67%の第1の糸22773対約33%の第2の糸22774という比、約70%の第1の糸22773対約30%の第2の糸22774という比、約75%の第1の糸22773対約25%の第2の糸22774という比、及び/又は約90%の第1の糸22773対約10%の第2の糸22774という比を含んでもよい。
【0144】
上記に対して更に、第1の糸22773は、第2の糸22774を含む材料よりも遅い速度で、溶解し、生体吸収し、かつ/又は状態を変化させる材料から構成することができる。例えば、第2の糸22774は、例えば、液体にさらされると、固体からゲルに変化し得るORC糸から構成されてもよく、ORC糸は、例えば、血小板にさらされると、反応し、かつ固体からゲルに変化し得る。しかしながら、そのような場合において、第1の層22773は、ORC糸よりもかなりゆっくりと液体に反応し得る生体吸収性ポリマー糸からほとんど構成されてもよく、よって、第1の層22773は、その全体の形状及び構造を失うことなく、複数の機会において、組織又は体液と接触することができる。とは言え、第1の層22773の中のORC繊維は、液体及び/又は組織に最初に接触した時に反応し得るが、ORCゲルは、第1の層22773内で、少なくとも部分的に、又は、ほとんど保持され得る。
【0145】
第2の層22772は、組織厚さコンペンセータ22770の内層を含んでもよく、直接組織当接面を含まなくてもよい。第2の層22772は、第2の糸22774よりも少ない第1の糸22773を含んでもよい。例えば、第2の層22772は、例えば、約20%の第1の糸22773対約80%の第2の糸22774という比を含んでもよい。第2の層22772は、例えば、約40%の第1の糸22773対約60%の第2の糸22774という比、約33%の第1の糸22773対約67%の第2の糸22774という比、約30%の第1の糸22773対約70%の第2の糸22774という比、約25%の第1の糸22773対約75%の第2の糸22774という比、及び/又は約10%の第1の糸22773対約90%の第2の糸22774という比を含んでもよい。
【0146】
上記に対して更に、第2の層22772は、例えば、生体吸収性ポリマー糸よりも多くのORC糸を含んでもよい。第2の層22772は、第1の層22771よりも多くのORC糸を含んでもよい。第2の層22772が、外層ではない場合、液体は、第2の層22772に接触する前に第1の層22771を最初に通過する必要があるため、第2の層22772にすぐに接触しなくてもよい。そのような場合において、第2の保護された層22772の中のORC糸が、すぐにゲルにならないため、第2の層22772は、より高い密度のORC糸を含んでもよい。第2の層22772の中のORC糸が、液体に接触し、かつゲルになったとしても、上記のように、少なくとも最初は、その全体的な形状を維持することができ、第2の層22772に支持メッシュを設ける、第1の層22771によって、ORCゲルは、組織厚さコンペンセータ22770の中に含有され得る。ORC繊維及び生体吸収性繊維を任意で利用してもよい一方、他の好適な材料を利用してもよい。
【0147】
上記に対して更に、ここで図121図123を参照すると、組織厚さコンペンセータ22770は、アンビル21060と組織Tとの中間に位置付けられてもよく、ステープル21330がステープルカートリッジ22700から発射される前に、組織厚さコンペンセータ22770は、組織Tに対して圧縮され得る。ステープル21330が発射され、組織Tと、組織厚さコンペンセータ22720及び22770とを、ステープル21330の内部に捕捉した後、アンビル21060とステープルカートリッジ22700のカートリッジ本体22710を、コンペンセータ22720、22770及び組織Tから移動させて手術部位から取り除くことができる。ここで図119を参照すると、組織厚さコンペンセータの層22871は、例えば、細長い、又は平らにされた断面を含んでもよい織糸22873を含んでもよい。ここで図120を参照すると、組織厚さコンペンセータの層22971は、例えば、丸い断面を含んでもよい織糸22973を含んでもよい。
【0148】
様々な代替例を図124図127に示す。ここで図125を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、アンビル21060と、その上に位置付けられた組織厚さコンペンセータ22770’と、を含んでもよい。図124を参照すると、組織厚さコンペンセータ22270’は、複数の第2の繊維22774’と共に織られた複数の第1の繊維22773’を含んでもよい層22771’を含んでもよい。例えば、第1の繊維22773’は、第2の繊維22774’よりも速い速度で、溶解及び/又は生体吸収するように構成することができる。隙間、開口、及び/又はポケットは、第1の繊維22773’と、液体が層22771’を通って流れることを可能にする第2の繊維22773’’との間に画定されてもよい。ここで図127を参照すると、外科用ステープリング器具のエンドエフェクタは、アンビル21060に取り付けられた組織厚さコンペンセータ22770’’を含んでもよい。図126を参照すると、組織厚さコンペンセータ22770’’は、基板22772’’内部に埋め込まれ、かつ/又は包まれ得る、糸22771’’の織物層を含んでもよい。糸22771’’が露出され得る一方、あるいは、糸22771’’が露出される前に、基板22772’’の少なくとも一部が、溶解及び/又は生体吸収されなければならない。例えば、基板22772’’を含む材料は、糸22771’’の間に画定された、任意の隙間、開口又はポケットの内部を満たしてもよい。
【0149】
ここで図132を参照すると、ステープルカートリッジ23000は、組織厚さコンペンセータ23020を含んでもよい。本明細書に記載の通り、例えば、凍結乾燥プロセスを利用して、組織厚さコンペンセータを製造することができる。PGA及び/又はPCLを含む溶液は、例えば、成形型に注入されてもよく、例えば、真空雰囲気及び/又は下げられた温度の下、溶液は、連続気泡フォームになってもよい。例えば、PGA材料は、例えば、PLA材料に対して約64/36の重量比で、溶液中に存在してもよい。図128を参照すると、繊維及び/又はフィラメント23021を、例えば、溶液に混合してもよい。例えば、PGA繊維を、成形型に注入する前に、溶液中で分散させてもよく、それにより、例えば、PGA繊維を、均一に、又は少なくとも実質的に均一に、組織厚さコンペンセータ23020全体に亘って分布することができる。他の状況において、PGA繊維は、例えば、溶液中、及び/又は成形型の中に直接置かれてもよく、それにより、PGA繊維は、例えば、成形型の底に向けて、沈殿、又は沈むことができる。他の状況において、PGA繊維は、溶液の上部に浮くように構成することができる。いずれにせよ、例えば、ジオキサン溶媒などの溶媒は、凍結乾燥プロセスを補助することができる溶液の中に存在し得る。ジオキサン溶媒は、溶液中のPGA繊維に反応しない、又は少なくとも実質的に反応しなくてもよい。
【0150】
上記に対して更に、繊維23021は、溶液中に、かつ/又は溶液と混合する前に、1つ以上の薬剤で被覆されてもよい。図130を参照すると、各繊維23021は、任意の好適な製造プロセスを利用してコーティング23023で少なくとも部分的に被覆され得る基板23022を含んでもよい。図129を参照すると、繊維23021は、少なくとも1つの薬品コーティングを、例えば、PGA基板上に置く、押し出し加工プロセスを利用して製造することができる。これらは、押し出し加工プロセスの高温に耐え得る薬品に特に有用であってもよい。図131を参照すると、繊維23021は、例えば、超臨界二酸化炭素などの担体液を利用して、薬品で被覆され、かつ/又は薬品をしみこませてもよい。いずれにせよ、薬品被覆繊維23021は、溶液と混合することができ、それにより、繊維23021は、組織厚さコンペンセータ23020の内部に埋め込まれる。その結果、様々な状況において、繊維23021のコーティングにより、その内部に含有される1つ以上の薬剤の溶解及び溶出を開始することができる。組織厚さコンペンセータ23020の周縁のより近くに位置付けられた繊維23021は、該組織厚さコンペンセータ23020の内側のより近くに位置付けられた繊維23021の前に、溶解を開始することができる。そのような場合において、溶解した繊維23021は、組織厚さコンペンセータ23020内の複数の空洞、又は網状の空洞を残すことができ、かかる空洞は、組織厚さコンペンセータ23020内の細胞、又は組織内殖を可能にし得る。組織厚さコンペンセータは、複数の第2の繊維よりも早く溶解することができる複数の第1の繊維を含んでもよい。例えば、第1の繊維は、例えば、ガンマ線を照射されたPGA繊維を含んでもよい。任意で、ガンマ線照射PGA繊維は、例えば、ガンマ線非照射PGA繊維よりも速く溶解することができる。
【0151】
任意で、1つ以上の着色剤を上記の溶液に加えてもよく、それにより、該溶液から生成された組織厚さコンペンセータは、好適な色を有してもよい。組織厚さコンペンセータが、周囲の環境と対照して引き立つ色を有することが望ましい。例えば、組織厚さコンペンセータは、例えば、緑色及び/又は青色であってもよい。
【0152】
ここで図133及び図135を参照すると、組織厚さコンペンセータ23120は、コンペンセータ本体23122と、該コンペンセータ本体23122全体に亘って分布した複数の薬剤粒子23121と、を含んでもよい。コンペンセータ本体23122は、疎水性材料から構成することができる。例えば、コンペンセータ本体23122は、例えば、PCL/PGAを含む材料から構成されてもよく、PCL及びPGAは、65/35の重量比により、材料中に存在してもよい。ここで図134を参照すると、薬剤粒子23121は、例えば、ドキシサイクリン、過炭酸塩、及び/又はアスコルビン酸リン酸などの1つ以上の薬品23123を含んでもよく、該薬品23123は、例えば、親水性材料から構成されたケーシング又は外殻23124によって封入されてもよく、かつ/又は該ケーシング又は外殻23124の中に組み込まれてもよい。外殻23124は、例えば、低分子量のゼラチン、ヒアルロン酸、及び/又はCMCから構成することができる。薬剤23121は、例えば、上記のように、溶液中で分布し、溶液が後に凍結乾燥され得る成形型に注入されてもよい、ミクロ粒子として製造することができる。使用の際、一旦、組織厚さコンペンセータ23120が液体にさらされると、流体23129(図136)が、例えば、コンペンセータ本体23122の中に入ることができ、薬剤粒子23121の親水性の外殻23124を溶解、及び/又は吸収することができる。ここで図139を参照すると、組織厚さコンペンセータ23220は、第1の層23222と、例えば、内部に分散された複数の被覆された薬品粒子23221を含んでもよい第2の層、すなわち、外層23224と、を含んでもよい。上記と同様に、粒子23221は、第2の層23224から、溶解、かつ/又は吸収されてもよく、例えば、第2の層23224内で、例えば、開口又は毛管経路23225を残してもよい。ここで図140を参照すると、組織厚さコンペンセータ23320は、例えば、コンペンセータ本体23322の内部に分布した、複数の薬剤粒子23121と、複数の繊維23021と、を含む、コンペンセータ本体23322を含んでもよい。
【0153】
ここで図141及び142を参照すると、ステープルカートリッジ23400は、例えば、カートリッジ本体23410と、その上に位置付けられた組織厚さコンペンセータ23420と、を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ23420は、コンペンセータ本体23422内に位置付けられた複数のカプセル23421を含んでもよい。カプセル23421は、例えば、emoulism(emoulism)又はスピンディスクプロセスを利用して製造することができ、カプセル23421は、例えば、固体及び/又は液体バイオメトリクスの微粒子を含んでもよい。カプセル23421は、カプセル23421から放出されると、組織の封止を補助することができる1つ以上の接着剤を含んでもよい。カプセル23421は、例えば、止血剤を含んでもよい。いずれにせよ、カプセル23421は、任意の好適な方法で、コンペンセータ本体23422内に分布することができる。ここで図143を参照すると、カプセル23421は、成形型21890内に画定された成形型空洞21891の中に置かれてもよく、例えば、カプセル23421は、成形型21890の底21893に沈んでもよい。図144を参照すると、成形型21890は、振動することができ、それにより、カプセル23421は、底21893に、一様の、又は少なくとも実質的に一様の層を形成することができる。ここで図145を参照すると、コンペンセータ本体23422を含む材料を、カプセル23421を有する成形型空洞21891の中へ注入することができる。カプセル23421は、コンペンセータ本体材料よりも密度が高くてもよく、その結果、カプセル23421は図146に示すように、成形型21890の底21893に残存することができる。例えば、図148を参照すると、成形型21890の底21893は、カプセル23421を受容するように構成することができる複数の凹部、へこみ、及び/又はくぼみ21899を含んでもよい。あるいは、図147を参照すると、カプセル23421は、コンペンセータ本体材料よりも密度が低くてもよく、成形型21890の上部に浮いてもよい。以下で更により詳細に記載されるように、任意で、カプセル23421が、コンペンセータ本体材料の全体に亘って浮くようにカプセル23421の密度を選択することができる。
【0154】
カプセル23421及びコンペンセータ本体材料を含む混合物を、成形型21890に好適に注入した後、混合物は、例えば、凍結乾燥プロセスを経て、組織厚さコンペンセータ23420を形成することができる。例えば、カプセル23421は、コンペンセータ本体23422内の位置に固定、又はフリーズドライされる。その後、図141を再び参照すると、組織厚さコンペンセータ23420を、成形型21890から、取り外すことができ、次にステープルカートリッジ23400のカートリッジ本体23410に組み付けることができる。図141に示すように、組織厚さコンペンセータ23420は、カプセル23421が、組織厚さコンペンセータ23420の組織当接面又は表皮23425に隣接して画定、又は位置付けられるように、位置付けられ、かつ配置されてもよい。カプセル23421は、例えば、親水性材料から、少なくとも部分的に構成されてもよく、組織厚さコンペンセータ23420が、例えば、組織に対して位置付けられた後に、該親水性材料は、迅速に溶解及び/又は生体吸収され得る。カプセル23421のそれぞれは、時間をかけて溶解及び/又は生体吸収され得る複数層の材料から構成することができる。例えば、カプセル23421の外層は、例えば、溶解及び/又は生体吸収され、次に溶解及び/又は生体吸収され得る第2の薬剤を含む第2の層又は内層を曝露し得る第1の薬剤を含んでもよい。カプセル23421のいくつかは、切断部材が、遠位方向に進んで、組織及び/又は組織厚さコンペンセータ23420を切開する際、該カプセル23421が、本明細書の他の箇所に記載の切断部材によって切開されるように位置付けられてもよい。カプセル23421は、組織厚さコンペンセータ23420の密度を低くすることができ、これにより、例えば、組織厚さコンペンセータ23420を通って切断部材を前進させるのに必要な力又はエネルギーを小さくすることができる。
【0155】
上記のように、組織厚さコンペンセータ23420は、コンペンセータ本体23422上の、1つ以上の側部、又は表皮に位置付けられたカプセル23421を含んでもよい。また、上記のように、組織厚さコンペンセータ23420は、コンペンセータ本体23422の全体に亘って分散されたカプセル23421を含んでもよい。例えば、カプセル23421は、コンペンセータ本体材料と同じ密度を有してもよく、それにより、カプセル23421は、コンペンセータ本体材料内で浮いてもよい。カプセル23421は、コンペンセータ本体材料の全体に亘って分散、又は均質化されてもよく、混合物は、カプセル23421が、成形型の底に沈む、又は少なくとも実質的に沈む前に、冷却され得る。
【0156】
ここで図149を参照すると、組織厚さコンペンセータ23520は、外殻23522と、該外殻23522の内部に位置付けられた複数の可動性要素23524と、を含んでもよい。外殻23322は、例えば、内部で可動性要素23524が移動できる、空洞23523などの密閉及び/又は封止された空間を画定することができる。可動性要素23254は、例えば、球形状であってもよく、例えば、互いに対して摺動及び/又は転がるように構成することができる。組織厚さコンペンセータ23520は、ステープルカートリッジのカートリッジ本体21310の上方に位置付けられてもよく、ステープル21330は図150に示すように、ステープルカートリッジから、組織厚さコンペンセータ23520を通って発射され得る。様々な状況において、可動性要素23524は、組織厚さコンペンセータ23520を通って発射されるステープル21330の側部に移動するように構成されてもよく、それにより、要素23524は、発射プロセスの間、破裂しない。例えば、外殻23522は、可動性要素23524の動きを収容し、その内部で生成された力を動的に再分配するために、曲がる、かつ/又は偏位するように構成することができる弾力性材料から構成することができる。外殻23522は、媒質を密閉することができる。例えば、媒質は、例えば、内部で可動性要素23524が移動することができる、1種以上の粉末、液体、気体、流体、及び/又はゲルを含んでもよい。可動性要素23524は、例えば、溶解性及び/又は生体吸収性材料と、その内部に含有される1つ以上の薬剤と、から構成することができる。例えば、かかる構成は、1つ以上の薬剤の、徐放性の、かつ/又は持続した放出をもたらすように構成することができる。あるいは、図示されていないが、組織厚さコンペンセータ23520は、例えば、組織Tとアンビル21060との間に位置付けられ得る。いずれにせよ、組織厚さコンペンセータ23520は、密閉された「豆の袋」の構成を含んでもよい。外殻23522は、例えば、切断部材21380などの切断部材が、そこを通過するまで、破裂しない、又は少なくとも実質的に破裂しないように構成することができる。かかる点で、1つ以上の可動性要素23524は、外殻23522から抜け出るであろう。
【0157】
ここで図153を参照すると、組織厚さコンペンセータ23620は、コンペンセータ本体23622と、その内部に少なくとも部分的に含有される複数のカプセル23624と、を含んでもよい。ここで図151を参照すると、成形型23690を、利用して組織厚さコンペンセータ23620を製造することができる。例えば、複数の球形カプセル23624は、成形型23690内に画定された空洞23691の内部に位置付けられてもよく、成形型23690内のカプセル23624の横方向の移動は、例えば、成形型23690の横方向の側壁23694と、該横方向の側壁23694の間に延在する横方向の止め具23693と、によって、阻まれ得るか、又は止められ得る。横方向の側壁23694及び横方向の止め具23693は、内部でカプセル23624が、位置付けられ、含有される、複数のポケットを画定することができる。カプセル23624は、成形型23690の底表面23699に載るように構成することができる。あるいは、図151及び152を参照すると、成形型23690は、カプセル23624を浮かせるように構成することができる1つ以上の長手方向支持体23692を更に含んでもよく、それにより、該長手方向支持体23692は、成形型23690の底表面23699に接触しない。例えば、長手方向支持体23692は、底表面23699に位置付けられ得る一方、あるいは、図152を参照すると、長手方向支持体23692は、横方向支持体23693に位置付けられ得る。
【0158】
図151及び図152を再び参照すると、コンペンセータ本体23622を含む材料を、成形型23690の空洞23691の中に注入することができ、それにより、カプセル23624は、材料によって、少なくとも実質的に取り囲まれる。主として図153を参照すると、カプセル23624の部分は、組織厚さコンペンセータ23620のコンペンセータ本体23622から突出し得る。横方向支持体23693及び/又は長手方向支持体23692は、例えば、コンペンセータ本体23622が凍結乾燥プロセスを経る間、及び/又はその後、成形型23691から引き抜くことができる。かかる点で、カプセル23624は、構造的支持体なしで、コンペンセータ本体23622内で浮かせることができる。あるいは、横方向支持体23693及び/又は長手方向支持体23692は、コンペンセータ本体23622の中に残存してもよい。例えば、横方向支持体23693及び/又は長手方向支持体23692は、例えば、生体吸収性材料から構成することができる。支持体23692及び/又は支持体23693は、例えば、コンペンセータ本体23622の弾力性を高めることができる、コンペンセータ本体23622の内部に位置付けられた弾力性部材を含んでもよい。
【0159】
ここで図157を参照すると、組織厚さコンペンセータ23720は、第1の部分23722a及び第2の部分23722bと、その間に位置付けられた少なくとも1つのカプセル23724と、を有する、コンペンセータ本体を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ23720は、例えば、成形型21890を利用して製造することができる。ここで、図154を参照すると、第1の材料を成形型21890の中へ注入して、コンペンセータ本体の第1の部分23722aを形成することができる。その後、図155を参照すると、カプセル23724は、第1の部分23722aの上に位置付けられ得る。カプセル23724は、例えば、一定時間経過後、かつ/又は第1の材料が凍結乾燥プロセスを経た後、第1の部分23722aの上に位置付けられ得る。ここで図156を参照すると、第2の材料を成形型21890の中へ注入して、コンペンセータ本体の第2の部分23722bを形成することができる。一定時間経過後、及び/又は第2の材料が凍結乾燥プロセスを経た後、例えば、組織厚さコンペンセータ23720を、成形型21890から取り外すことができ、例えば図158に示すように、ステープルカートリッジ23700に接続して使用することができる。第2の材料は、第1の材料と異なってもよく、あるいは、第2の材料は、第1の材料と同じであってもよい。いずれにしても、第1の材料及び/又は第2の材料は、生体吸収性材料から構成されてもよく、カプセル23724は、例えば、少なくとも1つの薬剤から構成されてもよい。
【0160】
ここで、図162を参照すると、ステープルカートリッジ23800は、コンペンセータ本体23822と、その内部に位置付けられた長手方向カプセル23824と、を含んでもよい、組織厚さコンペンセータ23820を含んでもよい。ここで図159及び図160を参照すると、長手方向開口部23821は、例えば、機械的穴あけプロセス及び/又はレーザ穴あけプロセスなど、任意の好適なプロセスによって、コンペンセータ本体23822の中に形成され得る。一旦、長手方向開口部23821が形成されると、長手方向カプセル23824は図161に示すように、長手方向開口部23821の内部に位置付けられ得る。ここで、図166を参照すると、ステープルカートリッジ23900は、コンペンセータ本体23922と、その内部に位置付けられた複数の横断カプセル23924と、を含んでもよい、組織厚さコンペンセータ23920を含んでもよい。ここで、図163及び図164を参照すると、横断開口部23921は、例えば、機械的穴あけプロセス及び/又はレーザ穴あけプロセスなど、任意の好適なプロセスによって、コンペンセータ本体23922の中に形成され得る。一旦、横断開口部23921が形成されると、複数の横断カプセル239824は、図165に示すように、横断開口部23921の内部に位置付けられ得る。
【0161】
図167図171は、垂直の成形型24090を利用して組織厚さコンペンセータ23820を製造する代替的な方法を示す。主として図167を参照すると、成形型24090は、側壁24092及び下端壁24093に画定された空洞24091を含んでもよい。図168を参照すると、端壁24093は図169に示すように、長手方向カプセル23824の端部を受容し、カプセル23824を直立姿勢で保持するように構成することができる開口部24094を含んでもよい。その後、ここで図170を参照すると、空洞24091の開放側は、カバー24095によって、閉鎖、及び/又は封止されてもよく、それにより、コンペンセータ本体23822を含む材料は、成形型24090の開放端部を通って、空洞24091の中に注入される。コンペンセータ本体を含む材料が、凝固、硬化、及び/又は凍結乾燥した後、例えば、組織厚さコンペンセータ23820を、成形型24090から取り外すことができる。
【0162】
ここで図172を参照すると、ステープルカートリッジ24100は、カートリッジ本体24110と、該カートリッジ本体24110のデッキ表面24111に対して位置付けられた組織厚さコンペンセータマット24170と、該組織厚さコンペンセータマット24170の上部に位置付けられた組織厚さコンペンセータ24120と、を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ24120及び組織厚さコンペンセータマット24170は、共に、又は独立して、例えば、ステープルカートリッジ24100から発射されたステープル21330(図175)などのステープル内に補足された組織の厚さのばらつきを補正することができる。主として図172及び図173を参照すると、コンペンセータマット24170は、デッキ表面24111に当接するように構成された底表面24171と、加えて、カートリッジ本体24110内に画定されたナイフスロット24114内で確実に受容されるように構成することができる該底表面24171から延在する取り付けフランジ又はレール24174と、を含んでもよい。コンペンセータマット24170は、コンペンセータマット24170を横断して延在し得る複数のパケット24172を更に含んでもよい。例えば、パケット24172のそれぞれは図176に示すように、ナイフスロット24114によって画定された長手方向軸線に対して横断しており、かつ/又は垂直である、横軸に沿って画定され得る。コンペンセータマット24170は、複数の層の間でパケット24172を画定し得る、複数の層を含んでもよい。例えば、層は、例えば、PDS及び/又はコラーゲンから構成することができる。各パケット24172は、その内部に、例えば、ドキシサイクリン、凝固剤、及び/又は抗菌性材料などの1つ以上の薬剤を格納するように構成することができる。
【0163】
図175を再び参照すると、組織厚さコンペンセータマット24170は、カートリッジ本体24110に対して位置付けられてもよく、それにより、パケット24172は、カートリッジ本体24110内に画定されたステープル空洞21312を覆う。より具体的には、各パケット24172は、ステープル21330のステープル脚部21332の間に延在するように位置付けられてもよく、かつ配置されてもよい。コンペンセータマット24170は、例えば、ステープル21330の端部を受容するように構成することができる、複数の開口部及び/又は貫通孔を含んでもよい。これらの貫通孔は、例えば、パケット24172に隣接して位置付けられ得る。ステープル21330が、未発射位置から発射済み位置へと移動するとき、図175に示すように、ステープル21330は、その内部にパケット24172を捕捉するように構成することができる。例えば、ステープル21330及びパケット24172は、ステープル21330が発射されている間、パケット24172が、穿刺されず、破裂もしないように構成及び配置することができる。そのような場合において、パケット24172は、弾力的圧力又は圧縮圧力を、ステープル21330内で捕捉された組織Tに与えることができ、例えば、組織Tとステープル21330との間の隙間を埋めることができる。図176を再び参照すると、切断部材21380が、カートリッジ本体24110、組織T、及び/又はコンペンセータマット24170内に画定されたナイフスロット24114を通って前進するとき、パケット24172は、切断部材21380によって切開され得る。組織厚さコンペンセータ24120が図175及び図176に記載されていないことを、読者が、注目するであろう。例えば、ステープルカートリッジ24100が、組織厚さコンペンセータ24120ではなく、組織厚さコンペンセータマット24170を含む、様々な実施形態が想到される一方、あるいは、ここで図177を参照すると、ステープルカートリッジ24100は、組織厚さコンペンセータマット24170と組織厚さコンペンセータ24120の両方を含んでもよい。
【0164】
ステープルカートリッジの代替的実施形態を図178に示す。本発明によると、円形のステープルカートリッジ24200は、例えば、同心円に配置された複数のステープル空洞21312を含む円形のカートリッジ本体24210を含んでもよい。例えば、ステープルカートリッジ24200は、カートリッジ本体24210の上に位置付けられた円形の組織厚さコンペンセータマット24270を更に含んでもよく、コンペンセータマット24270は、例えば、放射状に外方に延在するパケット24272を含んでもよい。上記と同様に、パケット24272は、ステープル空洞21312を覆う方向に延在してもよく、それにより、パケット24272は、ステープル空洞21312内に位置付けられたステープル21330の脚部の間に延在してもよい。また、上記と同様に、ステープル21330がステープルカートリッジ24200から発射されるとき、ステープル21330は、その内部にパケット24272を捕捉するように構成することができる。
【0165】
ここで図189を参照すると、ステープルカートリッジ24300は、カートリッジ本体24310と、コンペンセータ本体24322及び該コンペンセータ本体24322内に位置付けられた複数の管状部材24324を含む、組織厚さコンペンセータ24320と、を含んでもよい。例えば、ステープルカートリッジ24300は、例えば、組織厚さコンペンセータ24320とカートリッジ本体24310との中間に位置付けられた組織厚さコンペンセータ層又はシート24370を更に含んでもよい。ここで図179を参照すると、複数のステープルカートリッジ24300を、成形型24390を利用して、同時に製造することができる。成形型24390は、図180に示すように、複数の空洞24391のそれぞれが、内部にカートリッジ本体24310を受容するように構成することができる複数の空洞24391を含んでもよい。その後、組織厚さコンペンセータ層24370を含む1枚以上の大きなシートの材料を、カートリッジ本体24310の上方に置いてもよい。図181及び図183に示すように、成形型24390は、複数の上方に延在する支持ピン又は柱24392を含んでもよく、シート24370は、柱24392に対して位置付けられてもよく、その後、下方に押されてもよく、それにより、柱24392は、シート24370を穿刺することができる。ここで、図182及び図184を参照すると、細長管24324は、管24324が、各カートリッジ本体24310の上方を少なくとも1回通るように、柱24392の周囲及び間に巻かれてもよい。管24324は、管24324が、例えば、各カートリッジ本体24310の上方を6回通るように、柱24392の周囲及び間に巻かれてもよい。管24324は、管24324が、ぴんと張られ、シート24370の上に浮かせることができるように、シート24370の上に据えられ、柱24392の周囲及び間に、しっかりと巻かれてもよい。主として図185を参照すると、一旦、管24324が適切に位置付けられると、コンペンセータ本体24322を含む材料は、シート24370の上部の成形型24390に注入され得る。シート24370は、カートリッジ本体24310を保護する、又は覆い隠すように構成されてもよく、コンペンセータ本体材料24322が、例えば、カートリッジ本体24310内に画定されたステープル空洞21312に入るのを防ぐことができる。本発明によると、十分な量のコンペンセータ本体材料24322を成形型に注入してもよく、それにより、コンペンセータ本体材料24322は、細長管24322を覆うことができる。
【0166】
上記に対して更に、コンペンセータ本体材料24322は、例えば、その後、硬化、凝固、及び/又は凍結乾燥されて、カートリッジ本体24310の上方に組織厚さコンペンセータ24320を形成することができる。その後、ここで図186を参照すると、抜型24395を利用して、コンペンセータ本体材料24322、組織厚さコンペンセータシート24370、及び細長管24322を切断することができる。ここで図187を参照すると、抜型24395は、組織厚さコンペンセータ24320と、組織厚さコンペンセータシート24370とを互いに単体化、及び分離するように構成することができる、複数の切刃24396を含んでもよい。図188に示すように、抜型24395は、単体化された組織厚さコンペンセータ24320と組織厚さコンペンセータシート24370との間の、あらゆる余剰材料を取り除くように構成することができる、複数のウェル24397を含んでもよい。抜型24935、及び/又は他の任意の好適なダイは、例えば、組織厚さコンペンセータの24320の端部及び/又は縁部を封止するように構成することができる、1つ以上の加熱要素を含んでもよい。管24324は、1種以上の流体で満たされ得る。そのような場合において、切刃24396は、管24324を切開し、同時に、組織厚さコンペンセータ24320の内部に含有される管部分の端部を封止するように構成することができる。その後、複数のステープルカートリッジ24300を成形型から取り外すことができる。
【0167】
ここで図190及び191を参照すると、ステープルカートリッジ24400は、複数のステープルを内部で取り外し可能に格納するように構成することができる、カートリッジ本体24410を含んでもよい。加えて、ステープルカートリッジ24400は、組織厚さコンペンセータ24420を更に含んでもよい。組織厚さコンペンセータ24420は、複数の層24422から構成されたコンペンセータ本体を含んでもよく、層24422は、例えば、セルロースフィルムから構成することができる。図192aに示すように、材料24424は、2つ以上の隣接層24422の間に位置付けられてもよく、材料24424は、隣接層24422が互いに離れるように離間させ得る。例えば、材料24424は、ポリブレンドバイオメディクス(biomedics)押し出し品を含んでもよく、材料24424は、止血材料、抗炎症性材料、及び/又は抗生材料を含んでもよい。ここで図192を参照すると、材料24424は、ディスペンサ24490によって、層24422に、例えば、波型に塗布されてもよく、波型は、材料24424が、カートリッジ本体24410内に画定された1つ以上のステープル空洞の上方に位置付けられ得るように構成することができる。そのような場合において、材料24424は、ステープル空洞から排出されたステープル内に捕捉されてもよく、同じくステープル内に捕捉された組織に弾力性付勢力を与えることができる。いずれにせよ、1つ以上の層24422は、例えば、材料24424の上方で真空成形され、かつ/又は熱で封止されて、組織厚さコンペンセータ24420を作ることができる。次に、組織厚さコンペンセータ22420を、任意の長さに切断してもよい。組織厚さコンペンセータ22420が、ステープルカートリッジのデッキ表面に対して位置付けられ、別の組織厚さコンペンセータ22420が、アンビルに対して位置付けられる、様々な実施形態が、想到される。
【0168】
ここで図195を参照すると、ステープルカートリッジ24600は、カートリッジ本体24610の上方に位置付けられた、1つ以上の組織厚さコンペンセータ24620を含んでもよい。主として図194を参照すると、各組織厚さコンペンセータ24620は、複数の層24622と、該層24622の間に位置付けられた、圧縮可能な、又は圧壊可能な、部材24624を含んでもよい。圧壊可能な部材24624は、内部に画定された複数のポケットを含む波板状部材を含んでもよく、1つ以上の薬剤は、ポケット内に格納され得る。例えば、第1の薬剤は、波板状部材の第1の側部上のポケット内に置かれてもよく、第2の薬剤は、例えば、波板状部材の第2の側部上のポケット内に置かれてもよい。例えば、層24622及び圧縮可能な部材24624が、共に、ローラー24590によって圧縮されると、組織厚さコンペンセータ24620が形成され得る。ここで図193を参照すると、組織厚さコンペンセータ24520は、例えば、ローラー24590によって、部分的に平らにされた形状に巻かれる材料の管から形成され得る。ここで図196及び図197を参照すると、カートリッジ本体24610の内部に位置付けられたステープル21330は、カートリッジ本体24610から排出されてもよく、それにより、ステープル21330は、その内部に、組織厚さコンペンセータ24620の少なくとも一部を捕捉することができる。そのような場合において、圧縮可能な部材24624は、ステープル21330内で同じく捕捉された組織Tに対して、弾力性付勢力をかけるように構成することができる。組織厚さコンペンセータ24620の層24622も、組織Tに対して弾力性付勢力をかけるように構成することができる。ステープル21330は、波板状部材24624のポケットを穿刺し、かつ、その内部に含有される1つ以上の薬剤を放出することができる。
【0169】
上記の組織厚さコンペンセータは、その内部に物質を含んでもよい。物質は、例えば、凝固剤、薬剤、及び/又は抗炎症薬を含んでもよい。物質は、液体であってもよいが、例えば、固体及び/又はゲルなど、他の形態であってもよい。かかる組織厚さコンペンセータを含む外科用デバイスにおいて、外科用デバイスが、組織厚さコンペンセータの外に物質を方向付ける特性を有することは、有益である。例えば、物質を、組織厚さコンペンセータから、切開され、ステープリングされた組織に向けてもよい。別の例において、第1の組織厚さコンペンセータは、第1の物質を含んでもよく、第2の組織厚さコンペンセータは、第2の物質を含んでもよく、第1の物質と第2の物質は、外科用デバイスによって混合されてもよい。別の例として、物質は、例えば、ステープルカートリッジに向かって、及び/又は外科用デバイスのアンビルに向かって、互いに離れて方向付けられてもよい。
【0170】
図390図391は、切断縁部19016と、ステープルカートリッジ19002と、アンビル19008と、ステープルカートリッジ19002上に位置付けられた第1の組織厚さコンペンセータ19004と、アンビル19008上に位置付けられた第2の組織厚さコンペンセータ19006と、を含む、切刃19000を含む、外科用ステープリングシステムを示す。使用の際、切刃19000は、矢印Dの方向の遠位方向に移動し、患者の組織Tと、第1の組織厚さコンペンセータ19004と、第2の組織厚さコンペンセータ19006と、を切断する。第1の組織厚さコンペンセータ19004は、その内部に含有される物質Sを含み、第2の組織厚さコンペンセータ19006は、その内部に含有される物質S’を含む。第1の組織厚さコンペンセータ19004は、内部に物質Sを含むエンケースメントを含む。エンケースメントは、フィルムを切断する切刃19000によって開けられる、材料のフィルムを含んでもよく、フィルムが開けられると、物質Sは、放出される。第2の組織厚さコンペンセータ19006は、同様のエンケースメントを含んでもよく、第2の組織厚さコンペンセータ19006のエンケースメントが、切刃19000により切断されて開けられると、第2の物質S’は、放出されてもよい。刃19000が、遠位方向に移動すると、ガイド19030及び19022は、物質S及びS’を、第1の組織厚さコンペンセータ19004及び第2の組織厚さコンペンセータ19006から、それぞれ、方向付けてもよく、又は変位させてもよい。例えば、物質S及びS’を、切開された組織Tに向けて方向付けてもよい。刃19000は、シャフト19012に連結されてもよく、該シャフト19012は、今度は、刃19000を、遠位方向D、及び矢印Pが示す近位方向Pに移動させる作動メカニズムに接続されてもよい。
【0171】
ガイド19030は、物質Sを第1の組織厚さコンペンセータ19004から切開された組織Tに方向付けてもよい。ガイド19030の鏡像は、刃19000の対向面上に位置付けられてもよい。ガイド19030は、2つの隆起部19032及び19034の間にチャネルCを画定する、2つの隆起部19032及び19034を含んでもよい。外科用ステープラーが組織Tに対して位置付けられると、チャネルCの遠位端19035は、第1の組織厚さコンペンセータ19004の近位に位置付けられ、チャネルCの近位端19037は、組織Tの近位に位置付けられる。使用の際、切刃19000が遠位方向Dに移動する際、第1の組織厚さコンペンセータ19004からの物質Sは、遠位端19035でチャネルCに入り、チャネルCを通って流れ、組織Tの近位の近位端19037でチャネルCを出る。
【0172】
ガイド19022は、物質S’を、第2の組織厚さコンペンセータ19006から、切開された組織Tに向けて方向付けることができる。ガイド19022は、傾斜表面19023を有する突起19025を備える。図61に示す通り、突起19025は、第2の組織厚さコンペンセータ19006を貫通、又は切断して、物質S’を放出することができる。刃19000が遠位方向Dに移動する際、傾斜表面19025は、物質S’を、組織Tに向けて方向付けることができる。
【0173】
物質S及びS’は、組織Tに向けて方向付ける際、混合することができる。物質S及びS’は、異なってもよく、混合されると反応することができる。例えば、物質S及びS’は、混合されて化学的に反応し、新しい物質S’’を形成してもよい。新しい物質S’’は、例えば、薬剤、抗生物質、凝固剤、及び/又は他の任意の好適な種類の物質であってもよい。刃19000が、遠位方向Dに好適に前進した後、刃19000は、近位方向Pに移動することにより戻ることができ、刃19000の近位移動により、物質S及びS’を更に混合することができる。
【0174】
あるいは、ガイド19022及び19030は、物質S及びS’を組織Tから離すように方向付けるように構成することができる。例えば、ガイド19030は、物質Sをステープルカートリッジ19002に向けて方向付けるように構成されてもよく、ガイド19022は物質S’をアンビル19008に向けて方向付けるように構成されてもよい。例えば、かかる構成は、例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19004が、接合部19005で接着剤によりステープルカートリッジ19002に保持され、例えば、第2の組織厚さコンペンセータ19906が、接合部19007で接着剤によりアンビル19008に保持される場合、有益であり得る。物質S及びS’は、接着剤を溶解又は中和してもよく、これにより、第1の組織厚さコンペンセータ19004と第2の組織厚さコンペンセータ19006を、それぞれ、ステープルカートリッジ19002とアンビル19008から、少なくとも部分的に放出する。
【0175】
図63は、チャネルC’が、刃19014の表面のへこみ又は溝によって画定される、代替的なガイド19030’を示す。チャネルC’は、単一のチャネルを含んでもよく、又は複数のチャネルを含んでもよい。
【0176】
図64図67は、切刃19060及び切断縁部19056と、第1の組織厚さコンペンセータ19004と、第2の組織厚さコンペンセータ19006と、を含む、別の外科用ステープリングシステムを示す。刃19060は、刃19060の第1の側部上に第1の突起19062を備えてもよく、第1の突起19062は、刃19060の第1の側部から刃19060の第2の側部に通る、孔19064を画定する。第1の突起19062及び第1の孔19064は、第1の組織厚さコンペンセータ19004と位置合わせされ得る。使用の際、刃19060が、遠位方向に移動する際、第1の組織厚さコンペンセータ19004中の物質Sの少なくとも一部は、第1の孔19064を通過することができる。任意で、第1の突起19062の輪郭により、物質Sを刃19060の第2の側部、及び/又は組織Tに向けて方向付けることができる。
【0177】
刃19060は、刃19060の第2の側部上に第2の突起19066を備えてもよく、第2の突起は、刃19060の第2の側部から刃19060の第1の側部へ通る孔19068を画定する。第2の突起19066及び第2の孔は、第2の組織厚さコンペンセータ19006と位置合わせされてもよい。使用の際、刃19060が、遠位方向に移動する際、組織厚さコンペンセータ19006中の物質S’の少なくとも一部が、第2の孔19068を通過し得る。任意で、第2の突起19066の輪郭は、物質S’を刃19060の第1の側部及び/又は組織Tに向けて方向付けてもよい。
【0178】
主として図64及び図65を参照すると、シャフト19059は、例えば、物質S及びS’の乱流及び/又は変位を増大させることができるくぼみ19070などの表面形体を含んでもよい。この増大した乱流及び/又は変位により、例えば、物質S及びS’のより大きな部分が、互いに接触することができる。くぼみ19070は、孔19064及び19068に対して近位方向に位置付けられ得る。刃19000が遠位方向に前進する際、くぼみ19070は、孔19064及び19068の下流にあってもよいが、刃19000が近位方向に後退すると、くぼみ19070は、孔19064及び19068の上流にあってもよい。
【0179】
図68図70は、刃19100及び切断縁部19108と、第1の組織厚さコンペンセータ19120と、第2の組織厚さコンペンセータ19122と、を含む、別の外科用ステープラーを示す。第1の組織厚さコンペンセータ19120は、第1の物質S及び第2の物質S’を含んでもよい。例えば、第1の物質Sは、上記の第1のエンケースメントの中に含有されてもよい。第2の物質S’は、第1のエンケースメントの近位、及び/又は周囲にあってもよい、第2のエンケースメントの中で担持されてもよい。第2の組織厚さコンペンセータ19122は、第3の物質S’’を含んでもよい。第2の組織厚さコンペンセータ1922は、第4の物質S’’’を含んでもよい。第3の物質S’’及び第4の物質S’’’は、上記のエンケースメントのように、エンケースメントの中で担持されてもよい。刃19100は、その上で物質S、S’、S’’、及びS’’’が拡散し得る、刃19100の第1の側部19102上にテクスチャ表面19110を含んでもよい。別のテクスチャ表面が、刃19100の対向する第2の側面(図示せず)上に位置してもよい。テクスチャ表面19110は、例えば、第1の表面19102において、切断された、刻み目を入れた、エッチングされた、かつ/又は、形成された溝など、一連の中断機構を含んでもよい。中断機構はまた、例えば、第1の表面19102上に、隆起部などの一連の隆起機構も含んでもよい。図68図70に示すように、テクスチャ表面19110の中断機構は、中断機構の規則的に繰り返すパターンを含んでもよい。中断機構は、繰り返さないパターンで置かれてもよく、又は、ランダムに置かれてもよい。
【0180】
刃19100は、第1の表面19102に対して近位方向に位置付けられた第2の表面19104も含んでもよい。第2の表面19104は、第1の表面19102に対して隆起し得る。第1の表面19102と第2の表面19104との間の接合部は、第3の表面19106を画定することができ、第3の表面19106は刃19100の長手方向軸線に対する角度で位置付けられ得る。刃19100が遠位方向Dに動いた結果、第3の表面19106の第1の端部19107が、第3の表面19106の第2端部19109に先行することができる。その結果、図70に示すように、第3の表面19106は、第1の組織厚さコンペンセータ19120からの物質S及びS’を切開された組織Tに向けて方向付けさせることができる。表面19105は、第2の表面19104と同様に、刃19100の、対向する第2の側面(図示せず)上に位置してもよい。
【0181】
図68図70に示す刃19100を図61図67に示す第1の組織厚さコンペンセータ19004と、第2の組織厚さコンペンセータ19006と、を含む、外科用デバイスの中で使用してもよい。上記のように、テクスチャ表面19110は、刃の第1の表面19102上の各組織厚さコンペンセータ19004及び19006からの物質S及びS’を分布させることができ、それにより、該物質S及びS’は、混合され、組織Tの近くに位置付けられ得る。
【0182】
図68図70に示す刃19100も図68図70に示す第1の組織厚さコンペンセータ19120と、第2の組織厚さコンペンセータ19122と、を含む、外科用デバイスにおいて使用されてもよい。第1の組織厚さコンペンセータ19120は、第1の物質Sを含む内側部分19121を含んでもよい。第1の組織厚さコンペンセータ19120が、刃19100の切断縁部19108によって切断されると、物質Sは、内側部分19121から放出され得る。刃19100が、組織厚さコンペンセータ19120に対して移動する際、物質Sは、テクスチャ表面19110上に拡散され、第3の表面19106は、物質Sを組織Tに向かって方向づけることができる。上記のように、第1の組織厚さコンペンセータ19120は、内側部分19121の外で第2の物質S’を含んでもよい。刃19100の切断縁部19108によって第1の組織厚さコンペンセータ19120が切断されると、第1の物質Sと第2の物質S’の両方が、テクスチャ表面19110上に分布してもよい。テクスチャ表面19110上の分布により、第1の物質S及び第2の物質S’を混合させてもよい。混合されると、第1の物質S及び第2の物質S’は、例えば、化学的に反応して新しい物質を形成してもよい。第3の表面19106は、第1の物質S及び第2の物質S’を組織に向かって方向づけてもよい。上記のように、第2の組織厚さコンペンセータ19122は、第3の物質S’’を含んでもよい。第2の組織厚さコンペンセータ19122が、刃19100の切断縁部19108によって切断されると、第3の物質S’’は、テクスチャ表面19110上に分布されてもよく、該第3の物質S’’は、第1の物質S及び/又は第2の物質S’と混合してもよく、組織Tに向かって方向づけられてもよい。上記のように、第2の組織厚さコンペンセータ19122は、第4の物質S’’’を含んでもよい。第2の組織厚さコンペンセータ19122が刃19100の切断縁部19108によって切断されると、第3の物質S’’及び第4の物質S’’’は、テクスチャ表面19110上に分布してもよく、該第3の物質S’’及び第4の物質S’’’は、第1の物質S、第2の物質S’と及び/又は互いに混合してもよく、組織Tに向かって方向づけられてもよい。
【0183】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、生体適合性材料から構成することができる。フォームなどの生体適合性材料は、粘着剤、界面活性剤、充填剤、架橋剤、顔料、染料、抗酸化剤、及び他の安定剤、並びに/又はこれらの組み合わせを含んでもよく、所望の特性を材料に与えることができる。生体適合性フォームは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を、材料の表面に塗布し、かつ/又は、材料の中で分散させてもよい。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、生体適合性材料に塗布される界面活性剤は、材料に接触する流体の表面張力を低減することができる。例えば、界面活性剤は、材料に接触する水の表面張力を低減して、水の材料への貫入を加速させることができる。水は、触媒として作用してもよい。界面活性剤は、材料の親水性を増大することができる。
【0184】
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び/又は非イオン界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の例としては、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、ポロキサマー類、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤は、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのコポリマーを含んでもよい。界面活性剤は、リン脂質界面活性剤を含んでもよい。リン脂質界面活性剤は、抗菌性安定化特性を与えることができ、かつ/又は生体適合性材料中に他の材料を分散させることができる。
【0185】
組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの薬剤を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、本明細書に記載の、1つ以上の天然材料、非合成材料、及び/又は合成材料を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、酸化再生セルロース、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグレカプロン、及びこれらの組み合わせを含む生体適合性フォームを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの薬剤を含むフィルムを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、少なくとも1つの薬剤を含む生分解性フィルムを含んでもよい。薬剤は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含んでもよい。薬剤は、例えば、シスプラチン、マイトマイシン、及び/又はアドリアマイシンなどの抗ガン剤を含んでもよい。
【0186】
組織厚さコンペンセータは、生分解性材料が分解する際、少なくとも1つの薬剤の制御溶出をもたらすための生分解性材料を含んでもよい。生分解性材料が、例えば、活性剤液(activator fluid)などの活性剤に接触すると、生分解性材料は、分解、分離し、又は構造的一体性を失い得る。活性剤液は、例えば、生理食塩水、又は他の任意の電解液を含んでもよい。生分解性材料は、噴霧、浸漬、及び/又はブラッシングを含むが、これらに限定されない従来の技術によって、活性剤液に接触してもよい。使用の際、例えば、外科医は、少なくとも1つの薬剤を含む組織厚さコンペンセータを備えるエンドエフェクタ及び/又はステープルカートリッジを、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び/又は塩化カリウムなどの食塩水を含む活性剤液に浸漬してもよい。組織厚さコンペンセータが劣化する際、組織厚さコンペンセータは、薬剤を放出してもよい。組織厚さコンペンセータからの薬剤の溶出は、速い初期溶出速度及び、徐放的で持続的な溶出速度によって特徴付けられることができる。
【0187】
本発明によると、組織厚さコンペンセータは、例えば、酸化剤を含んでもよい生体適合性材料から構成することができる。酸化剤は、有機過酸化物及び/又は無機過酸化物であってもよい。酸化剤の例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、及び過酸化マグネシウム、及び過炭酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩類、次亜ヨウ素酸塩類、及び過炭酸塩類などの、過酸化物ベースの酸化剤類及び次亜ハロゲン酸ベースの酸化剤類を含んでもよい。酸化剤は、例えば、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウムなどの、アルカリ金属塩類、次亜塩素酸塩類、及び過ホウ酸塩類を含んでもよい。酸化剤は、バナジン酸塩を含んでもよい。酸化剤は、アスコルビン酸を含んでもよい。酸化剤は、活性酸素発生剤を含んでもよい。本発明によると、組織スキャフォールドは、酸化剤を含む生体適合性材料を含んでもよい。
【0188】
生体適合性材料は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含んでもよい。酸化剤は、例えば、ミクロ粒子及び/又はナノ粒子を含んでもよい。例えば、酸化剤は、ミクロ粒子及び/又はナノ粒子に粉砕されてもよい。酸化剤は、酸化剤をポリマー溶液中に浮かせることによって、生体適合性材料の中に組み込まれてもよい。酸化剤は、凍結乾燥プロセスの間、生体適合性材料の中に組み込まれてもよい。凍結乾燥後、酸化剤は、生体適合性材料の細胞壁に付着して、組織に接触すると組織と相互作用し得る。酸化剤は、生体適合性材料に、化学的に結合しなくてもよい。過炭酸塩乾燥粉末は、生体適合性フォーム内部に埋め込まれ、酸素をゆっくり放出することにより、長期の生物学的効果をもたらしてもよい。過炭酸塩乾燥粉末は、不織布構造のポリマー繊維の内部に埋め込まれ、酸素をゆっくり放出することにより、長期の生物学的効果をもたらしてもよい。生体適合性材料は、例えば、ドキシサイクリン及びアスコルビン酸などの、酸化剤及び薬剤を含んでもよい。
【0189】
生体適合性材料は、速放性酸化剤及び/又は、徐放的で持続的な酸化剤を含んでもよい。生体適合性材料からの酸化剤の溶出は、初期溶出速度及び徐放的で持続的な溶出速度によって、特徴付けられることができる。酸化剤は、例えば、水などの体液に接触すると、酸素を生成することができる。体液の例としては、血液、血漿、腹腔液、脳脊髄液、尿、リンパ液、滑液、硝子体液、唾液、胃腸管腔の内容物、及び/又は胆汁が挙げられるが、これらに限定されない。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、酸化剤は、細胞死を低減させることができ、組織の生存能を強化することができ、かつ/又は、切断及び/若しくはステープリングの間に損傷し得る組織に対する組織の機械的強度を維持することができる。
【0190】
生体適合性材料は、少なくとも1つのミクロ粒子及び/又はナノ粒子を含んでもよい。生体適合性材料は、本明細書に記載の、1つ以上の天然材料、非合成材料、及び合成材料を含んでもよい。生体適合性材料は、例えば、45〜50nm及び/又は45〜50μmなどの、約10nm〜約100nm、及び/又は約10μm〜約100μmの平均粒径を有する粒子を含んでもよい。生体適合性材料は、生体適合性フォーム内部に埋め込まれた少なくとも1つのミクロ粒子及び/又はナノ粒子を含む、生体適合性フォームを含んでもよい。ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、生体適合性材料に、化学的に結合しなくてもよい。ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、薬剤の制御放出をもたらしてもよい。ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、少なくとも1つの薬剤を含んでもよい。ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、例えば、止血剤、抗菌剤、及び/又は酸化剤を含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、酸化再生セルロースを含む止血剤、ドキシサイクリン及び/又はゲンタマイシンを含む抗菌剤、及び/又は過炭酸塩を含む酸化剤を含む、生体適合性フォームを含んでもよい。ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、例えば、最大3日間の、薬剤の制御放出をもたらしてもよい。
【0191】
ミクロ粒子及び/又はナノ粒子は、製造プロセスの間、生体適合性材料内に埋め込まれてもよい。例えば、PGA/PCLなどの、生体適合性ポリマーは、例えば、ジオキサンなどの溶媒と接触して、混合物を形成してもよい。生体適合性ポリマーを砕いて粒子を形成してもよい。ORC粒子を有する、又は有しない乾燥粒子を、混合物と接触させて、懸濁液を形成してもよい。懸濁液を、凍結乾燥して、生体適合性フォーム内部に埋め込まれた乾燥粒子及び/又はORC粒子を有するPGA/PCLを含む生体適合性フォームを形成してもよい。
【0192】
本明細書に開示の、組織厚さコンペンセータ又は層は、例えば、吸収性ポリマーから構成することができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、フォーム、フィルム、繊維織布、繊維不織布PGA、PGA/PCL(ポリ(グリコール酸−co−カプロラクトン))、PLA/PCL(ポリ(乳酸−co−ポリカプロラクトン))、PLLA/PCL、PGA/TMC(ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート))、PDS、PEPBO又は他の吸収性ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル類、ポリ無水物類、ポリエステルアミド類、及び/又はポリオキサエステル類から構成することができる。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、例えば、PGA/PLA(ポリ(グリコール酸−co−乳酸))及び/又はPDS/PLA(ポリ(p−ジオキサノン−co−乳酸))、から構成することができる。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、例えば、有機材料から構成することができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、架橋ヒアルロン酸、及び/又は酸化再生セルロースから構成することができる。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、例えば、3〜7のショアA(30〜50のショアOO)範囲で、最大剛性が15のショアA(65のショアOO)である、デュロメータを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、例えば、13N(3lbf)の負荷で40%の圧縮、27N(6lbf)の負荷で60%の圧縮、及び/又は89N(20lbf)の負荷で80%の圧縮を受け得る。例えば、空気、窒素、二酸化炭素、及び/又は酸素などの1つ以上の気体は、組織厚さコンペンセータを通って泡を形成することができ、かつ/又は組織厚さコンペンセータの内部に含有されてもよい。組織厚さコンペンセータは、組織厚さコンペンセータを含む約50%〜約75%の材料剛性を含むビーズをその内部に含んでもよい。
【0193】
本発明によると、組織厚さコンペンセータは、例えば、ヒアルロン酸、栄養塩類、フィブリン、トロンビン、血小板浮遊血漿、スルファサラジン(Sulfasalazine)(Azulfidine(登録商標)−5ASA+スルファピリジン(Sulfapyridine)ジアゾ結合(diazo bond))−プロドラッグ−結腸細菌性(Azoreductase)、メサラミン(Mesalamine)(徐放性放出のためにプロドラッグ構成が異なる5ASA)、asacol(登録商標)(5ASA+オイドラギット(Eudragit)−S被覆−pH>7(被覆溶解))、Pentasa(登録商標)(5ASA+エチルセルロース被覆−時間/pH依存性徐放性放出)、Mesasal(登録商標)(5ASA+オイドラギット(Eudragit)−L被覆−pH>6)、Olsalazine(5ASA+5ASA−結腸細菌性(Azoreductase))、Balsalazide(5ASA+4アミノベンゾイル−B−アラニン)−結腸細菌性(Azoreductase))、顆粒メサラミン(Granulated mesalamine)、Lialda(メサラミンの徐放性及びSR製剤)、HMPL−004(TNF−アルファ、インターロイキン−1ベータ、及び核−カッパB活性化を阻害し得る薬草混合物)、CCX282−B(Tリンパ球が腸粘膜に移動するのを妨げる経口ケモカイン受容体拮抗剤)、Rifaximin(非吸収性広域抗生物質)、Infliximab、マウスキメラ(chymieric)(従来の治療への反応が不十分であった中等症/重症管腔及び瘻孔を伴う(fistulizing)クローン病の成人/小児患者の兆候/症状を低減し、かつ臨床的寛解を維持するために承認されたTNF−アルファを対象としたモノクローナル抗体)、アダリムマブ、Total Human IgG1(従来の治療に対する反応が不十分、又はInfliximabに耐えられなくなった中等症/重症の活動性クローン病の成人患者の、クローン病の兆候/症状を軽減するため、また臨床的寛解を誘起かつ維持するために承認された、抗TNF−アルファモノクローナル抗体)、Certolizumab pegoll、ヒト化抗−TNF FAB’(従来の治療に対する反応が不十分な中等症/重症の成人患者の、クローン病の兆候/症状を軽減するため、また反応を誘起及び維持するために承認されたポリエチレングリコールに結合されたモノクローナル抗体断片)、Natalizumab、第1非−TNF−アルファ阻害剤(クローン病に対して承認された生体化合物)、ヒト化(Humanized)モノクローナルIgG4抗体(炎症の形跡がある中等症/重症であり、かつ従来のクローン病の治療及びTNF−アルファの阻害剤に十分反応しなかった、又は、これらに耐えられない患者の、臨床反応及び臨床的寛解を、誘起かつ維持するためにFDAに承認された、アルファ−4インテグリンを対象とする)、Infliximabと共に与えられる可能性のある随伴性免疫調整剤(Immunomodulator)、アザチオプリン6−Mercaptopurine(プリン合成阻害剤−プロドラッグ)、メトトレキサート(Methotrexate)(テトラヒドロ葉酸合成に加わり、全てのプリン合成を阻害する、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を結合する)、アロプリノール及びThioprine治療、PPI、治癒のラインを保護する酸抑制のためのH2、C−Diff−Flagyl、バンコマイシン(Vancomycin)(便転座(translocation)治療、プロバイオティクス(菌)、正常な内腔内菌叢の再増殖)、及び/又はRifaximin(細菌過剰繁殖の治療(特に、肝性脳症)、管腔内細菌への作用で胃腸管に吸収されない)を含んでもよい。
【0194】
本明細書に記載されるように、組織厚さコンペンセータによって、例えば、ステープルカートリッジから排出された、かつ/又はステープルのラインの内部に含有される、ステープルの内部で捕捉される組織の厚さのばらつきを補正することができる。換言すると、ステープルのライン中の特定のステープルは、組織の厚い部分を捕捉することができ、ステープルのライン中の他のステープルは、組織の薄い部分を捕捉することができる。かかる状況において、組織厚さコンペンセータは、ステープル内の高さ又は厚さが異なることを想定することができ、捕捉された組織が厚いか薄いかに関わらず、ステープル内に捕捉された組織に圧縮力をかけることができる。本発明によると、組織厚さコンペンセータは、組織の硬度のばらつきを補正することができる。例えば、ステープルのライン内の特定のステープルは、組織の圧縮性の高い部分を捕捉することができ、ステープルのライン内の他のステープルは、組織の圧縮性のより低い部分を捕捉することができる。かかる状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば、圧縮性がより低い、又は硬度がより高い組織を捕捉したステープル内の高さがより低いこと、及び、これに対応して、圧縮性がより高い、又は硬度がより低い組織を捕捉したステープル内の高さがより高いことを想定するように構成することができる。いずれにせよ、組織厚さコンペンセータは、例えば、組織の厚さのばらつき、及び/又は組織の硬度のばらつきを補正するか否かに関わらず、例えば、「組織コンペンセータ」、及び/又は「コンペンセータ」と称されてもよい。
【0195】
本明細書において開示される装置は、1回の使用の後に処分されるような設計とするか、又は複数回使用されるような設計とすることができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整されることができる。再調整は、装置の分解工程、これに続く洗浄工程又は特定部品の交換工程、及びその後の再組み付け工程の任意の組み合わせを含むことができる。詳細には、装置は、分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部材を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部材の洗浄及び/又は交換に際し、装置を再調整施設において、あるいは、外科手術の直前に手術チームによって再び付けてから、その後の使用に供することができる。当業者であれば、装置の再調整に、分解、洗浄/交換、及び再組み付けのための様々な技術を利用できる点を、認識するであろう。かかる技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0196】
好ましくは、本明細書で説明した本発明は、外科手術の前に処理される。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌してもよい。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖及び封止容器に器具を入れる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子線などの、容器を貫入することができる放射線野の中に置く。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内に格納することができる。封止容器は、医療施設において開封されるまで器具を無菌状態に保つ。
【0197】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように、また必要な範囲で、本明細書に明確に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する内容に優先するものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾する全ての内容、又はそれらの部分は、援用された内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0198】
以上、本発明を例示的な設計を有するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に改変することができる。したがって、本出願は、その一般的原理を利用した本発明のあらゆる変形、使用又は適応を網羅するものとする。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における公知の、又は従来の実施に含まれるところの本開示からの発展形を網羅するものとする。
【0199】
〔実施の態様〕
(1) 組織厚さコンペンセータを製造する方法であって、
親水性材料を含む溶液を調製することと、
薬剤を前記溶液に溶解することと、
前記溶液と疎水性材料とを混合することと、
前記溶液を成形型の中に注入することと、
前記溶液を凍結乾燥することと、を含む、方法。
(2) 前記凍結乾燥することが、前記成形型を真空チャンバ内に置くことと、該真空チャンバ内の気圧を下げることと、該真空チャンバ内の温度を下げることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記凍結乾燥することにより、1枚の材料を生成し、前記方法が、該1枚の材料を切り離すことを更に含む、実施態様1又は2に記載の方法。
(4) 前記薬剤が、溶解して、前記溶液中のミクロ粒子になる、実施態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(5) 前記溶液と前記疎水性材料とが混合された後、前記ミクロ粒子が、前記疎水性材料中で懸濁する、実施態様4に記載の方法。
【0200】
(6) 締結器具と共に使用するための組織厚さコンペンセータであって、該組織厚さコンペンセータが、
締結具によって少なくとも部分的に捕捉されるように構成された圧縮可能な層と、
該圧縮可能な層に埋め込まれた複数のカプセルと、を備える、組織厚さコンペンセータ。
(7) 前記締結器具が、アンビルを備え、前記組織厚さコンペンセータが、該アンビルに取り付けられるように構成された取り付け部を備える、実施態様6に記載の組織厚さコンペンセータ。
(8) 前記圧縮可能な層が、組織当接面を含み、前記カプセルが、該組織当接面に埋め込まれる、実施態様6又は7に記載の組織厚さコンペンセータ。
(9) 各カプセルが、脆弱な外殻を含む、実施態様6〜8のいずれかに記載の組織厚さコンペンセータ。
(10) 前記複数のカプセルが、第1のカプセルと、第2のカプセルと、を含み、該第1のカプセルが、第1の薬剤を含み、該第2のカプセルが、該第1の薬剤とは異なる第2の薬剤を含む、実施態様6〜9のいずれかに記載の組織厚さコンペンセータ。
【0201】
(11) 前記第1のカプセル及び前記第2のカプセルが、経路に沿って交互に配置される、実施態様10に記載の組織厚さコンペンセータ。
(12) 前記圧縮可能な層が、前記カプセルから延在するチャネルを備え、該チャネルが、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤を運搬するように構成される、実施態様10又は11に記載の組織厚さコンペンセータ。
(13) 前記アンビルが、複数の凹部を含み、各凹部が、前記カプセルの少なくとも1つを受容するように構成される、実施態様12に記載の組織厚さコンペンセータ。
(14) ステープルカートリッジであって、
デッキと、前記デッキ内に画定されたステープル空洞と、を含む、カートリッジ本体と、
ステープルであって、各ステープルが、該ステープル空洞の1つの中に少なくとも部分的に位置付けられ、該ステープルは、未発射位置と発射済み位置との間で可動である、ステープルと、
圧縮可能な組織厚さコンペンセータであって、該ステープルが、該組織厚さコンペンセータ内に少なくとも部分的に延在し、該ステープルは、該未発射位置と該発射済み位置との間で移動するとき、該組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に捕捉するように構成される、圧縮可能な組織厚さコンペンセータと、
該組織厚さコンペンセータと該デッキとの中間に位置付けられた基板と、を備える、ステープルカートリッジ。
(15) 前記基板が、内部に薬剤を含む複数の密閉管を備える、実施態様14に記載のステープルカートリッジ。
【0202】
(16) 前記密閉管が、前記ステープルと位置合わせされる、実施態様15に記載のステープルカートリッジ。
(17) 前記カートリッジ本体が、切断部材を受容するように構成されたスロットを更に備え、前記密閉管が、該スロットの上方に延在し、該密閉管が、該切断部材によって切開されるように構成され、該密閉管の内部に含有される前記薬剤を放出する、実施態様15に記載のステープルカートリッジ。
(18) 各密閉管が、管軸に沿って延在し、各管軸が、前記スロットに対して横断する方向に延在する、実施態様17に記載のステープルカートリッジ。
(19) 前記薬剤が、流体を含む、実施態様15〜18のいずれかに記載のステープルカートリッジ。
(20) 前記ステープルのそれぞれが、少なくとも1つのステープル脚部を備え、前記基板が、複数の開口部を含み、該ステープル脚部の一部又は全てが、該開口部を通って延在する、実施態様14〜19のいずれかに記載のステープルカートリッジ。
【0203】
(21) 前記圧縮可能な組織コンペンセータが、前記基板に取り付けられる、実施態様14〜20のいずれかに記載のステープルカートリッジ。
図1
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図1A
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図183
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図184
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図185
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図186
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図187
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図188
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図189
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図190
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図191
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図192
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図193
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図194
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図195
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図196
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図197
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