特許第6193357号(P6193357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193357熱に敏感な物品を輸送する間接噴射車両の物品収納庫の温度を調節する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193357
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】熱に敏感な物品を輸送する間接噴射車両の物品収納庫の温度を調節する方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20170828BHJP
   F25D 3/10 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   F25D11/00 101D
   F25D3/10 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-506276(P2015-506276)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-517082(P2015-517082A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】FR2013050366
(87)【国際公開番号】WO2013156696
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年1月18日
(31)【優先権主張番号】1253546
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】クレモン、セシル
(72)【発明者】
【氏名】ダレス、アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ユビ−イドリッシ、モハンメド
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−220823(JP,A)
【文献】 実公昭46−015727(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0129613(US,A1)
【文献】 特開2000−193354(JP,A)
【文献】 特開2010−075094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 3/10,11/00
B60H 1/32
B60P 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法であって、該冷蔵トラックは、
− 少なくとも1つの物品貯蔵庫を備え、
− 液体窒素(又は任意の他の液体状冷却流体)のような冷却流体の貯蔵器を備え、
前記少なくとも1つの物品貯蔵庫内に前記冷却流体が循環する熱交換システムを備え、
− 前記熱交換システムの冷壁に接する前記少なくとも1つの物品貯蔵庫内に空気をもたらすことを可能にする空気循環システムを備え、
− 一方で前記少なくとも1つの物品貯蔵庫内の雰囲気温度(Tint)を決定することができ、他方で前記熱交換システムの熱交換器から去る冷蒸気の全部又は一部の温度(Tfulid outlet)を決定することができる複数の温度センサを備え、
− 前記熱交換システムに冷却流体を供給する1つ又はそれ以上の弁の開閉を、又はこのような開閉の度合いを指示することによって、基準値Trefに内部温度Tintを調節することができる制御管理ユニットを備えるタイプのものであり、
前記内部温度Tintが次の方法を実行することによって調節されることを特徴とする、
− 次のパラメータがリアルタイムで決定され、
i)ΔT=Tint−Tref;及び
j)ピンチ値=Tint−Tfulid outlet
− ΔTの関数であるパラメータPが考慮され、前記ピンチ値が前記パラメータP以下である限り、前記制御管理ユニットは、前記熱交換システムに冷却流体を供給するために使用される前記1つ又はそれ以上の弁を開に維持し、又は開度を増加する指令をする、前記冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項2】
前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるとき、前記制御管理ユニットは、この弁又はこれら弁の部分的若しくは完全な閉、又は開度を下げる指令をする、請求項1に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項3】
冷却材を前記熱交換システムに供給する前記1つ又はそれ以上の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータP以下である限り該弁又はこれら複数の弁を全開するよう指令する、請求項1に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項4】
冷却材を前記熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、比例弁タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータP以下である限り、この弁又はこれらの弁に広い開度若しくは全開、又は増加する開度を指令する、請求項1に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項5】
冷却材を前記熱交換システムに供給する前記1つ又はそれ以上の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるときこの弁又はこれらの弁の全閉を指令する、請求項2に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項6】
冷却材を熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、比例弁タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるとき、この弁又はこれら弁の部分的若しくは完全な閉、又は開度を下げる指令をする、請求項2に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【請求項7】
前記パラメータPは、次の式1を用いるΔTの関数として表現される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【数1】
ここで、“ln”はネピア対数関数であり、“abs”は絶対値関数である。
【請求項8】
前記パラメータPは、次の式2を用いるΔTの関数として表現される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【数2】
ここで、“ln”はネピア対数関数であり、“abs”は絶対値関数である。
【請求項9】
前記パラメータPは、次の式3を用いるΔTの関数として表現される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
【数3】
ここで、 “abs”は絶対値関数であり、“e”は、指数関数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製品や食料品のような熱に敏感な物品の輸送や配達の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野では、物品を低温に維持するために必要な冷蔵は、主に2つの相異なる技術により実現されている。
【0003】
− 閉ループ内で作動する機械的な蒸気圧縮冷凍ユニット
− 物品を収納する空間に開ループで冷却流体を直接又は間接に噴射する冷却ユニット
本発明は、特に、冷却材を間接的に噴射するものに関する。そのような解決法では、冷却流体(最も多く使用されるのは、液体窒素と液体二酸化炭素である)は、冷蔵トラックの通常下部に搭載される冷却貯蔵器から、トラックの1つ又は複数の冷蔵庫内にある1つ又は複数の、循環空気の手段が用いられる熱交換器に運ばれる。これら交換機は、物品が収納された庫内の空気や熱交換器の周りの空気を必要とする温度に冷やすのを可能にする。
【0004】
空気から奪われた熱は、第1に熱交換器を通して循環する冷却材の完全な気化を可能とし、そこの温度を庫内の温度に近い温度に上げることを可能にする。熱交換器を去る冷却材は、その後、冷却エネルギーの最大量を渡して外に放出される。
【0005】
当業者ならば良く知っているように、今日では、熱交換器に冷却材を供給する弁の開閉を制御するアルゴリズムに主に従った、配送物品を収納する本体の内部空気温度を制御するようにした解決法がある。
【0006】
しかしながら、使用される熱交換器に依存して、熱交換は、特に、庫内がその基準温度に未だ達しない過渡的段階の間(温度が下がったり上がったりするので)、最適化されず、熱交換のための表面領域の不十分さ、冷却材の制限された流れ、使用される熱交換器における種々のモジュールへの冷却材流の貧弱な分配、又はさらに空気側での貧弱な分配が、この段階における熱交換器性能のそのような不足の原因であろう。
【0007】
このことは、次の結果をもたらす。
【0008】
− 熱交換器によって得られたパワーでは、負温度に到達するにはときどき不十分である。
【0009】
− 温度を下げるのにかかる時間があまりにも長い。
【0010】
トラックで典型的に使用されている間接噴射による制御方法について思い出せば、以下のとおりである。
【0011】
1 トラックの冷蔵システムをスタートするとき(例えば、ラウンドのスタートのとき、又は何らかの理由その他により冷蔵システムが長い間停止していた後に)、又はドアが開けられた後でさえ、温度が急速に低下するモード(このことを、この分野では「予冷」という。)が採用される。
【0012】
2 物品収納庫内で基準温度に一旦達したら、物品収納庫の温度が基準温度値に維持されることを可能にするモード(「ホールド」)が採用される。
【0013】
この分野の専門家は、また、全負荷動作(フェーズ1)又は部分負荷動作(フェーズ2)のことを話題にする。
【0014】
そして、そもそも、なぜ熱交換が最適化されないかの理由の1つは、現在使用されている制御アルゴリズムが、冷蔵にされるべき空間の温度と熱交換器から去る冷却材の蒸気温度との固定した温度差を「予冷段階」においてセットしており、この段階における冷却材の噴射制御に関連するものと考えられよう。この差の値は、次のことのために決定される。
【0015】
− システムが種々の設定:冷蔵されるべき容積や種々の基準温度、予冷段階、ホールド段階、などで動作することを保証するため。
【0016】
− 安定状態で動作している間(ホールド段階の間)システムを最適化するため。
【0017】
結果として、調節が、この差を冷蔵されるべき空間の空気と熱交換器を去る冷却材との温度差にセットする、という事実(この差は、通常、熱交換器の「ピンチ(pinch)」として参照される。)により、温度低下を加速するためにシステムがさらに多くの冷蔵パワーを必要とする臨界的な予冷段階において、パワーが制限されることが分かった。
【0018】
現在実施されている調節のタイプについて、より詳細に見ていく。予冷段階の開始では、冷却されるべき空間(「本体」や「庫」の用語も用いられる。)の空気の温度は、基準温度に比べて非常に高い。この輸送の分野で伝統的に使用されている基準温度を例として、例えば、新鮮な物品の輸送のための基準温度は0ないし4℃であり、冷凍物品の輸送のための基準温度は−20℃であり、これら2つの基準温度が1つの同じトラックの近接した2つの庫で用いられることが可能であることに言及しておく。冷却材の噴射を調節する弁は、それゆえ、完全に開になり、冷却材が循環する熱交換器の冷壁と、基準温度に近づくまで徐々にその温度が低下する周りの空気との熱交換を可能とするように、開を維持する。そのとき、庫内の空気温度が基準温度の付近に徐々に「降下」され、残された時間、そこに維持されるよう、閉の期間の変更を課するべく、複数の弁の調節が適用されるようになる。
【0019】
しかしながら、上記で指摘したように、現状では、この制御は、好ましくは5ないし20Kの範囲で、システムの動作段階(予冷又はホールド)にかかわらず、「ピンチ」を固定値に保つように実施されている。
【0020】
予冷段階において、上記で既に指摘されてきたように、必要とされるパワーは大きくなり、庫内の空気に対しより多くのパワーが行くように流体の温度が可能な限り低いことを必要とする。
【発明の概要】
【0021】
それゆえ、作動の全段階において最適にシステムが作動するように、間接噴射運送車の作動を制御する新たな方法を提案することが本発明の明確な目的である。
【0022】
次により詳細に見られるように、本発明は、熱交換を最適化し熱交換の性能を改善することにより、予冷段階に供給される冷蔵力を著しく増加することによって、冷蔵庫の温度制御に対する解決策を明確に提案する。
【0023】
そのため、本発明は、熱交換のピンチを制御するパラメータを考慮することを提案するものであり、このパラメータは、冷蔵されるべき空間内の空気によって到達される温度に応じて変化し得る。それゆえ、目標は、庫内の空気温度が基準温度に近づかない限り冷却材の出口温度と庫内の空気温度との大きな違いを有することである。このことは、熱交換器により多くの冷却流体を供給することを促進し、かなり大きいパワーの供給を促進する。
【0024】
空気温度が基準温度に近づくと、空気体積やトラックの壁は冷えされてきており、この段階の作動において熱慣性が余程克服されてきており、それゆえ冷却材の出口温度を高く維持し、庫内の空気温度と冷却材の出口温度との間の小さな違い(ピンチ)を維持することが許容されるようになるので、エネルギー需要はそれほど大きくない。
【0025】
それゆえ本発明は、冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法に関し、該トラックが、
− 少なくとも1つの物品貯蔵庫を備え、
− 液体窒素(又は任意の他の液体状冷却流体)のような冷却流体の貯蔵器を備え、
− 少なくとも前記1つの庫内に前記冷却流体が循環する熱交換システムを備え、
− 前記熱交換システムの冷壁に接する前記庫内に空気をもたらすことを可能にする例えばブロアータイプの空気循環システムを備え、
− 一方で前記少なくとも1つの庫内の雰囲気温度(Tint)を決定することができ、他方で該システムの熱交換器から去る冷蒸気の全部又は一部の温度(Tfulid outlet)を決定することができる複数の温度センサを備え、
− 前記熱交換システムに前記冷却流体を供給する1つ又はそれ以上の弁の開閉を、又はこのような開閉の度合いを指示することによって、基準値Trefに内部温度Tintを調節することができる制御管理ユニットを備えるタイプのものであり、
前記内部温度Tintが次の方法を実行することによって調節されることを特徴とする輸送方法である。
【0026】
− 次のパラメータがリアルタイムで決定され、
i)ΔT=Tint−Tref;及び
j)ピンチ値=Tint−Tfulid outlet
− ΔTの関数であるパラメータPが考慮され、ピンチ値が前記パラメータP以下である限り、制御管理ユニットは、熱交換システムに冷却流体を供給するために使用される1つ又はそれ以上の弁を開に維持し、又は開度を増加する指令をする。
【0027】
本発明の好ましい1つの実施例によれば、冷却材を熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、本発明による調節では、ピンチ値がパラメータP以下である限り該弁又はこれら複数の弁を全開するよう指令する。
【0028】
しかしながら、本発明の範囲から離れることなく、いつでも、選択肢のより広い範囲を当然に提供する他のタイプの弁、とりわけ比例弁を使用することも可能であり、その場合、本発明による調節では、ピンチ値がパラメータP以下である限り、用いられる当該アルゴリズムに従って、この段階内で考慮される時点に依存する、この弁又はこれらの弁に広い開度若しくは全開、又は増加する開度を指令する。
【0029】
本発明によれば、ピンチ値がパラメータPより大きいとき、制御管理ユニットは、この段階内で考慮される時点に従って、そして、調節動作を支配するよう選択されたアルゴリズムに改めて従って、熱交換システムに供給するための1つ又はそれ以上の弁の閉を指令するか、又はそれら弁の開度を下げる指令をする。
【0030】
− 本発明の好ましい実施例によれば、冷却材を熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、本発明に係る調節では、それゆえ、ピンチ値がパラメータPを超えるときこの弁又はこれらの弁の全閉を指令する。
【0031】
− 本発明の他の実施例によれば、しかしながら、熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、比例弁タイプの弁であり、それゆえ、本発明に係る調節では、ピンチ値がパラメータPを超えるとき、用いられているアルゴリズムに従い、この段階内で考慮される時点に従って、この弁又はこれら弁の部分的若しくは完全な閉、又は開度を下げる指令をする。
【0032】
以上のとおりであり、本発明に係る調節のアプローチは、ピンチ値=Tint−Tfulid outletに固定するのではなく、値ΔTに応じて変化させるというものであり、すなわち、基準温度に関連する庫内の温度に応じて、そして、それゆえ、考慮される輸送の段階(予冷段階、維持段階)に必要とされるフリゴリー(frigories)に応じて変化させるものである。
【0033】
このアプローチにより、出願人はΔTの関数として表されるパラメータPについての種々の表現を通して、ΔTを考慮して種々の式を提案し、試験することとした。
【0034】
3つの異なるパラメータP、すなわち、3つの異なるΔTの関数は、次に示される。
【数1】
【数2】
【数3】
【0035】
ここで、“ln”はネピア対数関数であり、“abs”は絶対値関数であり、“e”は、指数関数である。
【0036】
当業者ならば明らかなように他の関数も提案され得るが、出願人は、ここでは、本発明によるアプローチを示し、実例を通じていかにして良い効果が実行され得るか、ΔTの関数として表されるパラメータPの関数として提案された調節による本発明のメリットと付加価値について示したい。
【0037】
以下に示されるように、実施された実験によれば、式3による調節が最適な熱交換性能を提案する調節であることが示された。
【0038】
さらに、式3については、次の範囲の値を有する因数a,b,cとdを用いてテストされた。
【0039】
a=-0.5ないし-0.005
b=0ないし100
c=0ないし20
d=0ないし20
さらに、添付された図1,2,3は、式3に従うそのような調節によって得られるメリットについての明快な理解を提供するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】庫内温度と熱交換器出口温度の、従来技術及び本発明によるそれぞれの温度変化を示す。
図2】庫内で得られた、従来技術及び本発明による温度低下を、それぞれ示す。
図3】従来技術及び本発明による供給パワー曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、庫内温度Tint(曲線x)と従来技術による熱交換器出口温度Toutlet(現状で実施されている調節:固定ピンチ=曲線y)と本発明によるToutlet(変化するピンチ、曲線z)の変化を示す。
【0042】
本発明に係る1つの好ましい実施例によれば、次のことが優先される。
【0043】
− 大きなピンチ(数十度の違い)、例えば、予冷段階の大部分のために、冷凍条件下で50度、新鮮条件下で30度。
【0044】
− 庫内温度の基準温度からの乖離が数度のとき、好ましくは2度より小さいとき、突然減少するピンチ。
【0045】
− 庫内温度が基準温度に到達すると一定値が維持されるピンチ。
【0046】
図2は、現在使用されている調節を使用して庫内で得られた温度低下(曲線m)と、本発明に係る調節を使用して得られた温度低下(曲線n)の2つの温度低下曲線を示す。
【0047】
図3は、現在使用されている調節を使用した時間の関数としての供給パワー(W)の曲線(曲線o)と、本発明に係る曲線(曲線p)の2つの供給パワー曲線を示し、ハッチがされた領域は、特に予冷の最初の時点の間の本発明に係る供給パワーの違いを表している。
【0048】
それゆえ、予冷の間のかなり大きなピンチを実施する本発明に係るアプローチ(図1)とそのようなアプローチの非常に肯定的な成果は、次のように明確に見られる。
【0049】
− 本発明のおかげで短くなる予冷時間(図2)により、(新鮮な物品用の4℃に近い温度であれ冷凍物品用の負温度であれ)およそ30%の予冷時間の減少が見られ得る。
【0050】
− このことは、本発明のおかげでシステムに移転されたパワーの違いから明白に説明され得(図3でハッチされた部分)、少なくとも25%の追加的なパワーが予冷段階の間に移転される。
【0051】
− 本発明のおかげで予冷段階はそう長く続かいないけれども、この調節は、特に予冷段階の間に実現される冷却材の節約をも可能とする。出願人によって実施された実験により、また、一通りの全期間(予冷と維持)が6ないし8時間を超えないような冷蔵輸送のシナリオのため、この調節のおかげで消費の低下が記録されることも論証された。
【0052】
当業者ならばまた明らかなように、ここで記載された発明ではトラックに1つの庫がある場合に適用しているが、トラックにいくつかの物品貯蔵庫がある場合にも適用でき、それゆえ、本発明によれば、各庫の温度が調節され、各庫に熱交換システムが配備され、各庫は、貯蔵されるべき物品に応じた固有の基準温度Trefに従わなければならず、各庫の内部温度Tintをリアルタイムで測定する制御システムが配備され、各庫の熱交換システムの熱交換器の全てから、又はいくつかから去る冷蒸気の温度(Tfluidout)、各庫に関連するピンチ値、などである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法であって、該トラックは、
− 少なくとも1つの物品貯蔵庫を備え、
− 液体窒素(又は任意の他の液体状冷却流体)のような冷却流体の貯蔵器を備え、
− 少なくとも前記1つの庫内に前記冷却流体が循環する熱交換システムを備え、
− 前記熱交換システムの冷壁に接する前記庫内に空気をもたらすことを可能にする例えばブロアータイプの空気循環システムを備え、
− 一方で前記少なくとも1つの庫内の雰囲気温度(Tint)を決定することができ、他方で該システムの熱交換器から去る冷蒸気の全部又は一部の温度(Tfulid outlet)を決定することができる複数の温度センサを備え、
− 前記熱交換システムに前記冷却流体を供給する1つ又はそれ以上の弁の開閉を、又はこのような開閉の度合いを指示することによって、基準値Trefに内部温度Tintを調節することができる制御管理ユニットを備えるタイプのものであり、
前記内部温度Tintが次の方法を実行することによって調節されることを特徴とする、
− 次のパラメータがリアルタイムで決定され、
i)ΔT=Tint−Tref;及び
j)ピンチ値=Tint−Tfulid outlet;
− ΔTの関数であるパラメータPが考慮され、ピンチ値が前記パラメータP以下である限り、制御管理ユニットは、熱交換システムに冷却流体を供給するために使用される1つ又はそれ以上の弁を開に維持し、又は開度を増加する指令をする、
前記冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[2] 前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるとき、前記制御管理ユニットは、この段階内の当の時点に依存して、この調節を支配する選択されたアルゴリズムの関数として、この弁又はこれら弁の部分的若しくは完全な閉、又は開度を下げる指令をする、[1]に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[3] 冷却材を前記熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータP以下である限り該弁又はこれら複数の弁を全開するよう指令する、[1]に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[4] 冷却材を前記熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、比例弁タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータP以下である限り、用いられる当該アルゴリズムに従って、この段階内で考慮される時点に依存する、この弁又はこれらの弁に広い開度若しくは全開、又は増加する開度を指令する、[1]に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[5] 冷却材を前記熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、全開又は全閉タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるときこの弁又はこれらの弁の全閉を指令する、[2]に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[6] 冷却材を熱交換システムに供給する弁又は複数の弁の各々は、比例弁タイプの弁であり、前記制御管理ユニットは、前記ピンチ値が前記パラメータPを超えるとき、この段階内で考慮される時点に従って、この調節を支配する選択されたアルゴリズムの関数として、この弁又はこれら弁の部分的若しくは完全な閉、又は開度を下げる指令をする、[2]に記載の冷蔵トラック内の熱に敏感な物品を輸送する方法。
[7] 前記パラメータPは、次の式1を用いるΔTの関数として表現される[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の方法。
【数4】
ここで、“ln”はネピア対数関数であり、“abs”は絶対値関数である。
[8] 前記パラメータPは、次の式2を用いるΔTの関数として表現される[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の方法。
【数5】
ここで、“ln”はネピア対数関数であり、“abs”は絶対値関数である。
[9] 前記パラメータPは、次の式3を用いるΔTの関数として表現される[1]ないし[6]
のいずれか1項に記載の方法。
【数6】
ここで、 “abs”は絶対値関数であり、“e”は、指数関数である。
図1
図2
図3