(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、好適な実施形態では、喫煙品120(例えば紙巻きタバコ)は、タバコロッド122と、任意だが、タバコロッド122に取り付けられた、チップペーパを有するフィルタ132とを備える。タバコロッド122は、柱状の喫煙可能材料(例えば、タバコの刻)と、その柱状の喫煙可能材料の周りに配置されたラッパー123を備える。好ましくは、ラッパー123は、複数の離間した周方向列131a、b、c、dを備え、各列は付加材料であるパッチ要素(または「パッチ」)126を1つまたは複数備える。列131a、b、c、dおよびそれら各々のパッチ要素126は、喫煙品120がくすぶった状態で基板に放置されたとき消火が得られるように構成されている。好ましくは、隣接する列131a、b、c、d同士の各パッチ要素126は、互いに周方向にずらして配置される。より好ましくは、第2、第3、および第4の列131b、c、dは、それぞれ、第1の列131aから徐々にずらして配置される。そして4つの列131a、b、c、dは全部合わせて、1組の列139(または列セット139)を画定する。次に
図2も参照すると、ベースウェブ140上にパッチ要素126を印刷する際、好ましくは列セット139は一様に繰り返される。列セット139内の列131の数としては4以外(例えば、2、3、5、またはそれ以上)も考えられるが、列131が公称上2つしかパッチ要素を含んでいないときは、列の数は4であると特に好ましい。
【0017】
好ましくは、各パッチ(またはパッチ要素)126は長方形であり、シングルパスのグラビア印刷操作により塗布される付加溶液から形成される。この操作は、デンプン水溶液の劣化を回避するのに十分な温度に付加材料を維持することを含む(
図3参照)。ベースウェブのしわを軽減する手段を伴うシングルパス操作により、印刷の精密さが促進され、高速マルチパス印刷操作中に起こる配置ミスまたは位置ずれの問題を回避できることが見出された。しわを軽減するための好ましい手段として、デンプン付加水溶液中に抗しわ剤を加えることが挙げられる。該水溶液は炭酸カルシウムも含むと好ましい。しわ(および紙巻きタバコのラッパーの折れ目)をさらに軽減する別の技術として、続く記載で
図13〜
図14と関連して述べるように、パッチ126の列131を塗布に、(角度のない直線に代えて)シェブロン印刷パターンを用いる技術が挙げられる。
【0018】
上記付加材料は、0cm/秒〜約0.2cm/秒、好ましくは0cm/秒〜約0.1cm/秒の拡散値を達成するのに十分なレートで塗布されると好ましい。
【0019】
次に
図15を参照すると、ベースウェブ140の印刷パターン806は、好ましくは、公称レートで付加されているパッチ126からなる離間列131、131’である、縦方向に延在する1つまたは複数のレーン810、810’、およびパッチ126を含むレーン810、810’と隣接するテストマーク814、814’、814’’からなる1つまたは複数の離間した補助レーン812、812’、812”を含む。好ましくは、テストマーク814は、パッチ要素126の付加レートと本質的に同じレート(すなわち、同じ溶液、同じ彫深さ/同じセル寸法)でベースウェブ140に塗布する。テストマーク814は、付加材料からなる複数の離間した固体バンド、または十分なサイズを有する他の幾何形態および/または品質管理を目的とした拡散値測定を容易にする幾何形状を含むことができる。
【0020】
好適な実施形態では、拡散値試験装置のクランプ機構は、ベースウェブのおよそ4mm×15mmの長方形領域を包囲する。したがって、テストマーク810、810’のサイズはクランプの包囲領域よりも大きい。本実施形態では、参照マーク810、810’の幅はおよそ5mm〜6mmであり、横方向には少なくとも数インチ(1インチは約2.54センチメートル)にわたって延在する。後者はより短くすることも可能である。
【0021】
参照マークまたはテストマーク810、810’は、拡散値試験の実施を可能にするように構成されているが、パッチ要素126それら自体はそのように構成されていない。付加材料を塗布した領域の拡散値を測定することができると、試験用紙巻きタバコを作って、くすぶった状態のタバコの着火試験を行う必要性が減少する。代わりに、テストマーク810、810’の拡散値を測定することにより、相関関係から、ベースウェブの隣接箇所にあるパッチ要素126が所望のレベルの拡散値にあり、ゆえに所望のレベルのIP性能を有することが確認または否定できる。拡散値を監視できることで、紙巻きタバコを用意し実際に着火性試験を実施することに伴う廃棄物やコストを回避できる。離間する固体バンドとしてテストマークも用いることができ、それによって、印刷操作中、ベースウェブを光学的に検査して、その変換中、ベースウェブに沿って所望の印刷パターンが存在するかどうかを確認することができる。これを達成するために、レーンの1つは所望の印刷パターンの存在を確認する試験に用い、一方、別のレーンは拡散値を測定する試験に用いることができる。本明細書に記載の試験プロトコルは、付加材料から形成される様々なパターンの吸蔵(occlusive)要素に適用可能である。それら吸蔵要素としては、限定はしないが、縦方向に離間した横方向バンドやパッチ、または米国特許出願第2011/02987736号明細書に示され記載されるような様々な吸蔵要素パターンが挙げられる。この文献の内容はすべて参照により本明細書に援用される。適した光学検査技術は米国特許第6198537号に記載されるようなものを含み、この文献の内容はすべて参照により本明細書に援用される。他の検査技術も使用可能であり、可視波長以外の波長を用いることもある。
【0022】
上述した教示内容および後述のさらなる詳細のすべては、改良され、またよりIP性能とSE性能の間のバランスのとれた喫煙品を実現可能なラッパー123に寄与する。また、しわの軽減とシングルパス操作により、商業的に許容可能な印刷速度で精密かつより一様にパッチ126を印刷することができ、またその印刷速度をパッチの作製の間監視することで、許容可能なレベルの品質管理を確保することができる。好適な実施形態のさらなる詳細は後述する。
【0023】
(定義)
本明細書において「前縁(leading edge)」という語は、パッチ要素126の縁146(
図1参照)を指す。縁146は、パッチ要素126を含むラッパー123を用いた喫煙品120がくすぶっている間近づいてくる炭に最も近い部分である。「後縁(trailing edge)」という語は、パッチ要素126の縁148を指す。縁148は、パッチ要素126を含むラッパー123を用いた喫煙品120がくすぶっている間近づいてくる炭から最も遠い部分である。
【0024】
図1に関連して、本開示の目的では、「バンド間隔」または「列間隔」は、列131にあるパッチ要素126の後縁148と、隣接列131にあるパッチ要素126の最も近い前縁146との間の距離137を意味する。
【0025】
「抗しわ剤」は、デンプン水溶液を塗布し乾燥させる際、該液によりベースウェブが収縮してしまう傾向を軽減する材料である。適した抗しわ剤は、1,2プロピレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンからなる群から選択することができる。他の抗しわ剤も、適した材料にさらに加えるかまたはその代わりに用いることができる。例えば他の適した抗しわ剤として、限定はしないが、グリセロール、ポリエチレン、グリコール、グルコース、スクロース、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、および同等な機能性を示す他の添加剤を含めたポリオールが挙げられる。
【0026】
本開示では、「層」は、ラッパーを作る元となるベースウェブに塗布される付加材料の単位量を意味する。パッチ要素126は、互いに重なり合う可能性がある一層または複数層から作られるが、マルチパス塗布を行った経験から、ベースウェブ140は、水溶液を塗布するとしわが寄る傾向があることがわかっている。これは、パッチパターンの各塗布における適切な配置や位置合わせに混乱をきたすものであり、さらにこの混乱によりラッパーのIP性能における一貫性や予測容易性が損なわれる。したがって、パッチ要素126はシングルパスグラビア操作により塗布することが好ましい。ベースウェブ140のしわを軽減する手段を含むシングルパス操作だとさらにより好ましい。
【0027】
本開示では、「縦方向」は、タバコロッドの長さに沿う方向(例えば、
図1では軸線134に沿う方向)、またはタバコロッドの作製に用いることができるラッパーの作製に用いられるベースウェブ140の長さに沿う方向(例えば、
図2では矢印141の方向)、または印刷機のいわゆる縦方向(machine-direction)、すなわち、印刷ステーションを通してベースウェブが取り出される方向を意味する。
【0028】
本開示では、「横方向」は、タバコロッド122の周方向まわりの方向(
図1参照)、または印刷機のいわゆる幅方向(cross-machine direction)に対応する、ベースウェブ140を横する方向(例えば
図2では矢印144の方向)を意味する。
【0029】
本開示では、
図1および
図2と関連して、個々のパッチ要素126の「幅」、すなわちパッチ要素の列(または「ゾーン」または「バンド」)131(例えば列131a)の「幅」は、縦方向(例えば、
図1では軸線134の方向、
図2では矢印141の方向)に延在する。
【0030】
本明細書では、坪量を測定する単位としてグラム毎平方メートルを「gsm」と略す。
【0031】
本明細書で、「重量パーセント」という語をデンプン溶液のデンプン成分について用いるとき、デンプン溶液の全重量に対するデンプン重量の割合を意味する。別途記されていない限り、本明細書で「重量パーセント」という語をデンプン溶液のデンプン成分以外の任意の成分について用いるとき、「重量パーセント」は、デンプン成分の重量に対するその任意の成分の重量の割合を意味する。
【0032】
グラビア印刷による塗布の場合、本明細書で用いられる「シングルパス」という語は、単一シリンダを用いた印刷を意図する。他の塗布技術では、「シングルパス」という語は、すべてのバンドまたはパターンが一度で塗布される工程が意図される。
【0033】
本明細書で用いられる「自由燃焼条件下での自己消火」または「自己消火」という語は、くすぶっている紙巻きタバコが自由燃焼条件下に置かれるときまたは晒されるとき、そのようなタバコが付加されることなく消火することを意味する。
【0034】
「約」という語を数値とともに本明細書で用いるとき、その語は、関連する数値が規定された数値付近で±10%の誤差を許容することを意図する。
【0035】
本明細書で用いる用語や表現は、数学的または幾何学的な正確さをもって解釈すべきものではなく、むしろ幾何学的用語は、幾何学的な用語および概念とほぼ等しいか類似のものを意味すると解釈されるべきである。「略(generally)」や「実質的に(substantially)」などの用語は、関連する用語および概念の正確な意味を画定すると同時に、形状、機能、および/または意味と矛盾しない程度の合理的な許容度を与えることを意図する。
【0036】
(改良されたラッパーを用いた喫煙品)
図1を再度参照すると、紙巻きタバコなどの喫煙品120は、好ましくは、タバコロッド122と、チップペーパ193を用いてタバコロッド122に取り付けられたフィルタ132とを備える。好ましくは、タバコロッド122は、柱状の刻まれた葉タバコ(「刻」)と、柱状の刻の周りに配置されたラッパー123を備え、ラッパー123は後述する教示にしたがって作製される。タバコロッド122は、点火可能端または点火された端124と、チップ端130(フィルタ付きでないタバコの場合、紙巻きタバコ120の吸い口130と称される)とを有する。葉たばこの刻は業界標準指定のものである。また、タバコロッド122の断面は一般に略円形であるが、他の楕円形断面および他の形状も本発明の範囲に含まれる。縦方向の合わせ目181に沿ってラッパーを封止してタバコロッド122を形成する。
【0037】
タバコロッドは、喫煙品の縦方向軸線134に沿って、チップペーパ193の縁130からタバコロッドの点火端124までを計測したものである公称長さ「L」を有する。例えば、その公称長さは約50mm〜約100mmの範囲とすることができる。
【0038】
図2に示すように、ラッパー123は、アマ、木材パルプ、セルロース繊維等から作ることができるベースウェブ140から作製され、ベースウェブ140の片面または両面に塗布された複数のパッチ要素126を有することが可能である。タバコロッド122においてラッパー123で柱状の葉タバコを包むとき(
図1参照)のことを考えると、パッチ要素126はラッパー123の内側に塗布すると好ましい。
【0039】
ラッパー123の横寸法は、完成した喫煙品の直径(約5mm〜約10mm)および縦方向における合わせ目で重なり合う部分約1mm〜約2mmを許容することに基づいて選択すると好ましい。例えば、重なりある合わせ目部分の許容長を約2mmとすると、円周約24.8mmの喫煙品の場合、ラッパーのウェブ横寸法は約27mmとすることができる。
【0040】
ラッパーは、一般的には通気性のあるベースウェブを含む。ラッパーの通気性は一般には、コレスタ(CORESTA)単位で特定される。コレスタ単位は、単位圧力降下(すなわち水のcm)当たりの単位面積(すなわちcm
2)当たりの容積流量(すなわちcm
3/秒)で換算して紙の通気性を測定する。従来のラッパーベースウェブも周知の坪量を有しており、「gsm」と略されるグラム毎平方メートルで測定される。業界で共通して用いられる典型的な喫煙品の紙のベースウェブの通気性および坪量を下記の表に示す。
【0042】
本明細書では、好適なラッパーのベースウェブの通気性は少なくとも約20コレスタ単位である。坪量約25gsmで公称通気性が約33コレスタ〜約46コレスタである一般的なベースウェブのように、ラッパーの通気性は約30コレスタを上回ると最も好ましい。いくつかの用途では、ベースウェブの通気性は、坪量約26gsm以上で、約60コレスタ超、または約80コレスタ超え、またはそれをさらに上回ることもある。
【0043】
図7〜
図10で示すようなパターンを付された紙から得られる断面図は、1つまたは複数の層を塗布することで作られるパッチ要素を有する紙ウェブ、およびそのようなパターン付きの紙を作製する塗布工程の有用な模式的図示と考えられる。しかしながら、このような図示は模式的なものであり、実際のパッチ要素または相対的な紙の厚さの縮尺を示すものではない。
【0044】
各付加材料層は実質的に連続し、均一または異なる厚さを有し、かつ/または滑らかまたは粗い表面を有していてもよい。
【0045】
したがって、一層または複数層の付加材料を有する紙の模式的な描写は、現実にベースウェブ140に一層または複数層の付加材料を塗布した結果とは著しく相違する。よって、付加層の模式図は、グラビア印刷シリンダ等の塗布パッチ要素をエッチングする際の目印として用いられる可能性があるため、工程の塗布レートを公正に示すものである。しかしながら、それら模式図は、一層または複数層の付加材料をベースウェブに塗布することにより完成するラッパーの実際の構造を正確に示してはいない。
【0046】
グラビア印刷以外の技術を用いて所望のパッチ126を作製することもできる。そのような技術としては、ゼログラフィ印刷、デジタル印刷、テンプレートを用いたコーティングまたは噴霧、または任意の他の適した技術が挙げられ、また付加材料が存在しない領域を確立する別のステップも含む。しかしながら、シングルパスのグラビア印刷技術が好ましい。
【0047】
(拡散性)
本明細書で後述する好適な付加溶液、ベースウェブ、および塗布技術を用いると、印刷溶液は、ベースウェブに塗布し乾燥させる際、拡散値を局所的に低減させるのに効果的な気体吸蔵性フィルムを該ベースウェブ上に形成する。この場合、拡散レベル値は、Sodim CO
2 Diffusivity Tester(フランスのSodim SAS社より購入)を用いて測定した場合、およそ2cm/秒以上(原状ベースウェブの場合)から、0.0〜約0.2cm/秒の範囲、またはより好ましくはおよそ0.1cm/秒未満まで低減する。Diffusivity Testerを用いて1枚の紙の拡散値を測定する際には、紙を固定ヘッド内に位置決めして、紙が2つの垂直に並んだ室を隔てるようにする。上室は窒素などのキャリアガスを含み、下室は二酸化炭素などのマーカーガスを含む。これら2室間には圧力差がないことから、ガスの移動はガスの濃度差のみに起因して発生し、また、透過効果は発生しない。なお、透過は、紙の両面間で圧力差が維持されるときに発生する。所定時間(例えば、約25秒未満)後、上室の窒素ストリーム内の二酸化炭素濃度を分析器によって測定する。次いで、コンピュータを用いて検出濃度レベルを拡散性の測定値として変換する。
【0048】
(付加材料の調製)
2008年5月23日出願の米国特許出願公開第2008/0295854号明細書(この文献の内容はすべて参照により本明細書に援用される)に記載されるように、フィルム形成組成物を用いてパッチ要素126を形成するのが好ましい。フィルム形成組成物は、水と、高濃度の吸蔵剤(例えば水と吸蔵剤の総量の約14重量%〜約50重量%)を含むと好ましい。フィルム形成複合物は、デンプン、アルギン酸塩、セルロース、またはゴムなどの1つまたは複数の吸蔵剤を含み、またフィラーとして炭酸カルシウムをさらに含むこともできる。また、フィルム形成組成物は抗しわ剤を含むと好ましい。デンプンがフィルム形成複合物の場合は、濃度が約16%〜約26%だと特に有利であり、約21%だと、現在のところ最も好ましい。
【0049】
ラッパーから作られる喫煙品の着火特性を向上させるには、パターンは、酸化デンプンを含む印刷溶液を塗布し、本明細書に記載の工程にしたがって形成すると好ましい。付加材料の好適な印刷特性およびフィルム形成特性は、20回転/分(rpm)の#1スピンドルを120°F(約48.9℃)で用いたBrookfield RVDV-2粘度計を用いて測定した場合の粘度が、約40センチポアズ(cP)〜約80cPの範囲、より好ましくは約40cP〜約60cPの範囲である酸化デンプン水溶液を用いて達成することができる。プレス時または印刷時に、熱湯および/または熱を加えることにより粘度を調節して、Zahn #2カップを用いて120°F(約48.9℃)で測定した場合の粘度が約16.5〜約19.5秒、より好ましくは約17秒〜約19秒の好適な印刷液を最終的に実現する。印刷溶液に用いられるデンプンは、好ましくは、最初から水と混ぜ合わせて、(重量で)約29%〜約34%、より好ましくは(重量で)約30%〜約33%の固形分を有するデンプン水溶液を形成することもできる。様々なデンプンを用いることができるが、本発明では、限定はしないが、酸化デンプンを用いると好ましい。好適な酸化デンプンとしては、National Starch, LLC社(現Ingredion 社)から入手可能なFloMax(登録商標)などの酸化タピオカデンプンが挙げられる。その種類(例えばタピオカ)と処理(例えば酸化)を用いることで、好適な分子量範囲内にあるデンプン成分(例えばアミロースおよびアミロペクチン)が得られる。
【0050】
印刷溶液は、印刷中にデンプン水溶液を塗布および乾燥する過程で、ベースウェブにしわが寄ってしまう傾向を軽減するのに十分な量の1,2‐プロピレングリコールも含むと好ましい(プロピレングリコールの「抗しわ」効果)。現在のところ、この効果は、最終的なラッパーにおいて、バンド内にプロピレングリコールが、グラム平方メートル当たり約0.2〜0.5グラム、またはそれ以上の坪量レベルで存在する含有レベルにおいて達成できると理解されている。プロピレングリコールおよび他の「抗しわ」剤の含有レベルについてのさらなる詳細は、「抗しわ剤を用いたパターン付きラッパー(Patterned Wrapper with an Anti-Wrinkling Agent)」と題された2008年3月5日出願の米国特許出願第61/064438号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0051】
現在のところ好適とされる溶液は、プレス時、以下を含む(ここでのパーセンテージはすべて溶液の全重量に基づく)。溶液の全重量の約18重量%〜約23重量%、より好ましくは約20重量%〜22重量%、さらにより好ましくは約21重量%の量のデンプン;溶液の全重量の約7重量%〜約10重量%、より好ましくは約7重量%〜約9重量%、さらにより好ましくは約8重量%の量のプロピレングリコール;溶液の全重量の約9重量%〜約13重量%、より好ましくは約10重量%〜12重量%、さらにより好ましくは約11重量%の量の炭酸カルシウム;および実質的に残りの量(約55重量%〜約65重量%、より好ましくは約60重量%)の水である。
【0052】
好適な含有レベルで、酸化デンプン水溶液の調合の最後または最後付近でプロピレングリコールを添加すると、プロピレングリコールはさらに有益な効果をもたらすことも発見されている。調合済みのデンプン水溶液に加えられたプロピレングリコールは、デンプン成分が逆行すなわちゲル化する傾向を軽減して、安定剤として機能する。プロピレングリコールは、得られる印刷溶液に抗菌効果ももたらす。これら効果はともに印刷溶液の貯蔵寿命を延ばす。印刷溶液の貯蔵寿命が延びれば、印刷操作を行う予定の場所から離れたところで溶液を調製し出荷することが可能になる。後述の記載でさらに説明するが、印刷溶液が利用可能な貯蔵寿命は、搬送中および/または印刷中、印刷溶液の温度を120°F(約48.9℃)〜150°F(約65.6℃)の範囲、より好ましくは約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)の範囲内に維持できるとさらに長くなる。さらに、本明細書に記載する工程においてプロピレングリコールを加えることで、印刷溶液の粘度を、その印刷適性がさらに促進されるレベルにまで低減させることができるという効果が得られる。
【0053】
好ましくは、炭酸カルシウムなどの従来のフィラー材料を所望により印刷溶液に加え、それにより、印刷材料を軽くしてラッパー上で見えにくくし、最終的な喫煙品の自己消火性能を向上させることができる。炭酸カルシウムを加える場合は、印刷の直前に印刷溶液に加えると好ましい。炭酸カルシウムは、塗布溶液中の含水量を減少させるため、ラッパーのしわを軽減するのに役立つ可能性もある。印刷溶液の炭酸カルシウム添加後のpHは、約4〜約8、より好ましくは約7〜約8だと好ましい。
【0054】
また、印刷溶液の所定パターンは、典型的には、約10コレスタ単位〜約80コレスタ単位の範囲の通気性を有するベースウェブに塗布される。印刷溶液はベースウェブ上にフィルムを形成すると好ましく、そのフィルムは、乾燥したとき、Sodim CO
2 Diffusivity Tester(フランスのSodim SAS社より入手可能)を用いて測定した場合、毎秒0〜約0.20センチメートル(cm/秒)、またはより好ましく0〜約0.10cm/秒の範囲まで局所的に拡散値を低減させるのに効果的である。
【0055】
フィルムをラッパーへの塗布に使用するにあたり、デンプンのパラメータを選択する際、様々なバランスまたはトレードオフを考慮する必要がある。例えば、高分子量のデンプンだと拡散値の減少が有効に生じる可能性があるが、反面、そのような高分子量のデンプンの溶解度は低く結果的には低濃度で用いなければならない。したがって水の含有率が非常に高い印刷溶液となってしまい、これは乾燥要件を引き上げ、ベースウェブのしわ寄りを悪化させる。
【0056】
好適な実施形態では、
図3に示すように、印刷溶液の調製は、バッチプロセスにおいて、容器に水(200)および酸化デンプン(205)を加えることにより行う。好適な実施形態ではバッチプロセスが用いられる。バッチプロセスでは、約15回転/分(rpm)という低速度で約75°F(約23.9℃)で水と酸化デンプンを混ぜ合わせて(ステップ210)、水中にデンプン顆粒を拡散させ、pH範囲が約4〜約5.5の酸化デンプン水溶液の混合物を形成する。好適な実施形態では、水を約75°F(約23.9℃)以上まで加熱してから、酸化デンプンを添加する(ステップ205)。混合時(ステップ210)、次いで、酸化デンプン混合物を、少なくとも約180°F(約82.2℃)〜少なくとも約200°F(約93.3℃)の範囲、より好ましくは約195°F(約90.6℃)まで加熱する。温度を上昇させる時間間隔は約60分〜約90分だと好ましく、また攪拌して均一性を確保すると好ましい。次いで、加熱された酸化デンプン混合物は、少なくとも約30分間、より好ましくは少なくとも約45分間混合しながら、上記述べた選択した約180°F(約82.2℃)〜約200°F(約93.3℃)の範囲、好ましくは約195°F(約90.6℃)に溶液を維持することにより(ステップ230)「加熱調理(cook)」されると好ましい。加熱ステップおよび維持ステップの間、デンプン顆粒(顕微鏡で検出可能)は、水分、膨張、破裂を吸収し、アミロースおよび/またはアミロぺクチンを溶液に放出すると考えられている。
【0057】
酸化デンプン水溶液を熱し(ステップ220)温度を維持した(ステップ230)後、その温度を上記選択した温度またはより好ましくは約180°F(約82.2℃)に実質的に一定に保持しながら、上記酸化デンプン水溶液にプロピレングリコールも添加し(ステップ250)混合する(ステップ260)すると好ましい。プロピレングリコールを添加するとき、室温である場合は、溶液の温度は上記195°F(約90.6℃)から約180°F(約82.2℃)まで低下する可能性がある。プロピレングリコールを添加したら(ステップ250)、酸化デンプン水溶液を少なくとも約30分間混合して、酸化デンプン水溶液全体にプロピレングリコールを完全に拡散させる。
【0058】
酸化デンプン水溶液は、加熱中(ステップ220)、維持中(ステップ230)、および添加後(ステップ250)も混ぜ合わせ続けると好ましい。プロピレングリコールは、室温またはそれ以上の温度に維持した後に、酸化デンプン水溶液に添加すると好ましい。さらに、プロピレングリコールは、できる限り素早く酸化デンプン水溶液に添加すると好ましい。バッチプロセスでは、例えば、加熱中(ステップ220)、維持中(ステップ230)、および酸化デンプン水溶液にプロピレングリコールを添加後(ステップ250)に、1000ガロン(3785.4リットル)のタンク中で約15rpmという低速度・低せん断混合を用いて酸化デンプン水溶液を混合することができる。好ましくは、混合(ステップ260)は、溶液が高温、好ましくは約180°F(約82.2℃)またはそれ以上である間に行うと好ましい。
【0059】
代替的実施形態では、加熱(ステップ220)は、ジェット加熱器(jet cooker)の使用により達成することができる。これは、加熱調理された(cooked)デンプンを実質的に継続的な「オンデマンド方式」で生成することができるもので、そこでは、少なくとも約180℃に加熱された液体が嵌入表面に向けて噴射され、液体におけるデンプンの顆粒構造が破壊される。
【0060】
理論上の制約がないものとすると、酸化デンプン水溶液混合物の温度を約195°F(約90.6℃)またはそれより高く維持することにより、どの残りのデンプン顆粒も、アミロースおよび/またはアミロペクチンを膨張、破裂、および放出すると考えられる。その後、プロピレングリコールを添加することにより、プロピレングリコールは酸化デンプンの再結合を抑制し、それにより、デンプン印刷溶液のフィルム形成性能/能力をより長期間持続できると考えられる。さらに、プロピレングリコールはデンプンとともに溶液に留まって、20rpmの#1スピンドルを用いたBrookfield RVDV-2粘度計で120°F(約48.9℃)で測定した場合に、約100cP未満、より好ましくは約60cP未満、より好ましくは約40cP〜約60cPの低粘度を有する、実質的に均質な混合物を実現する。
【0061】
さらに、酸化デンプン水溶液にプロピレングリコールを添加することにより、安定性および抗菌効果が得られ、したがって、印刷溶液はより長く貯蔵できる。これら効果は、溶液のpHが、印刷溶液が調製されてから数日間変化しない(すなわち、実質的に一定である)ことにより裏付けられる。
【0062】
プロピレングリコールの添加(ステップ250)および混合(ステップ260)後、印刷溶液の温度は、約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)の範囲に冷却する(ステップ240)ことができる。印刷溶液の温度を約120°F(約48.9℃)またはそれ以上に維持して、凝集および粘度上昇を回避すると好ましい。溶液温度が約100°F(約37.8℃)未満に低下すると、逆行が加速し、望まない溶液のゲル化が生じることが認められている。ゲル化効果が始まってしまうと、溶液が逆行する状態を元に戻すことはできない。
【0063】
温度約120°F(約48.9℃)では、印刷操作を始める前の印刷溶液の粘度は、20rpmの#1スピンドルを用いたBrookfield RVDV-2粘度計で120°F(約48.9℃)で測定した場合、約40cP〜約60cPだと好ましい。また、温度約120°F(約48.9℃)では、印刷溶液のpHは約4〜約5だと好ましい。印刷操作を始める直前のプレス機においては、熱湯の添加または温度上昇(150°F(約65.6℃)以下)、またはそれら両方を用いて、所望の最終的な印刷粘度(約16.5秒〜約19.5秒の範囲、より好ましくは約17秒〜約19秒の範囲)を達成する。
【0064】
一実施形態では、印刷溶液は次いで、印刷時に使用するまで、温度約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)でドラム/トートに保管される。ドラム/トートは、ドラムの温度を少なくとも約120°F(約48.9℃)に維持しつつ、必要に応じて断熱ブランケットまたは加熱トラックを用いて運搬することができる。ドラム/トートは、加熱状態で保管することもできる。好適な実施形態では、印刷溶液は保管中、低速度で継続的に攪拌することも可能である。印刷溶液は生成から72時間以内に用いられると好ましい。プロピレングリコールの添加とともに行う上記温度維持により溶液が安定し、少なくとも2日〜3日またはそれより長い貯蔵寿命が達成可能となる。
【0065】
好適な実施形態では、好ましくは、印刷溶液に炭酸カルシウムを添加する工程(ステップ270)を含むこともできる。好適な実施形態では、約300ポンド(約136.08キログラム)の印刷溶液を、約40ポンド(約18.1キログラム)の水と約40ポンド(約18.1キログラム)の炭酸カルシウムと混合し、約15分〜約25分間混ぜ合わせることができる。Neptune impellerを低速度で用いて混合物を混合し、混合物中に炭酸カルシウム(またはチョーク)を懸濁させ、泡立ちを回避して印刷溶液を生成すると好ましい。炭酸カルシウムは印刷の直前に添加して、炭酸カルシウムを溶液中で沈殿させないようにすると好ましい。
【0066】
変換器/印刷機では、次いで、印刷溶液を印刷プレス機の稼働ドラムにポンプ注入する。最終的な印刷溶液(水と炭酸カルシウムの添加後)のpHは約7〜約8、粘度は、20rpmの#1スピンドルを用いたBrookfield RVDV-2粘度計で120°F(約48.9℃)で測定した場合に、約20cPだと好ましい。
【0067】
プレス機では、本方法は、ラッパーのベースウェブを供給するステップ(ステップ280)およびそのベースウェブに印刷溶液を塗布して(ステップ290)紙巻きタバコのラッパーを形成するステップも含む。
【0068】
好適な実施形態では、印刷溶液は、ベースウェブに、より高いデンプン量を許容し、より少量の水を用い、そして、水分含量に対するプロピレングリコールの濃度がより高いため、プロピレングリコールはより高い抗しわ効果を有する。これらの特徴により、ベースウェブのしわは相乗効果を伴って実質的に減少し、また印刷溶液の粘度が下がり印刷適性が促進される。例えば、33コレスタのベースウェブ上に、27mmバンド周期で6.8mm幅の固体バンドを塗布後、そのベースウェブ上に、約0.9グラム毎平方メートル(g/m
2)のデンプン、約0.4g/m
2のプロピレングリコール、および約0.4g/m
2の炭酸カルシウムを堆積させる。
【0069】
以下の実施例を用いて本明細書に記載の方法の実施形態を例示するが、実施例はそのような実施形態の範囲を限定する解釈されるものではない。
【0070】
〔実施例〕
(実施例1)
酸化デンプンと水を約75°F(約23.9℃)で混合し、低攪拌速度(低せん断混合)で混ぜ合わせながら、約45分間、約195°F(約90.6℃)まで加熱して混合物を生成する。そこにプロピレングリコールを添加し、もう約30分間混ぜ合わせながら、溶液の温度を少なくとも約180°F(約82.2℃)に維持する。混合しながら、溶液を約140°F(約60℃)まで冷却する。次いで、溶液をパッキングし、溶液の温度を約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)の範囲に維持し、プレス機のある場所へ搬送する。
【0071】
溶液は、デンプンを約31%(重量で)と、プロピレングリコールを約10%(重量で)と、水を約59%(重量で)含む。次いで、プレス機または印刷操作において、約300ポンド(約136.1キログラム)の溶液を40ポンド(約18.1キログラム)の熱湯と約40ポンド(約18.1キログラム)の炭酸カルシウムと混合して、デンプンを約21%(重量で)と、プロピレングリコールを約8%(重量で)と、水を約60%(重量で)と、炭酸カルシウムとを約11%(重量で)含む印刷溶液を生成し、最終的な好適な印刷溶液を生成する。
【0072】
その溶液は、所望の印刷適性とフィルム形成特性を示した。
【0073】
(実施例2)
約70°F(約21.1℃)〜約80°F(26.7℃)の温度に加熱された水約51ポンド(約23.1キログラム)を、National Starch, LLC社(現Ingredion 社)から入手可能なFloMax(登録商標)などのデンプン粉約31ポンド(約14.1キログラム)と混合する。上記水とデンプン粉は、さらに混ぜ合わされ、その間、約45分間、約200°F(約93.3℃)まで加熱されて、酸化デンプン水溶液を生成する。約10ポンド(約4.5キログラム)の凝縮蒸気または約200°F(約93.3℃)に加熱された追加の水のいずれかを酸化デンプン水溶液に添加する。オーブンで焼く方法を用いて酸化デンプン水溶液を試験すると、該溶液の固形分は約31%である。20rpmの#1スピンドルを用いたBrookfield RVDV-2粘度計を用いて120°F(48.9℃)で粘度を試験すると、酸化デンプン水溶液の粘度は約50cPであることが見出される。酸化デンプン水溶液のpHは約4〜約5である。
【0074】
次いで、酸化デンプン水溶液にプロピレングリコール約8ポンド(約3.6キログラム)を添加し、約180°F(約82.2℃)〜約200°F(約93.3℃)の範囲の温度で約30分間混ぜ合わせる。次いで印刷溶液を約130°F(約54.4℃)に冷却する。再度、20rpmで#1スピンドルを用いたBrookfield RVDV-2粘度計を用いて120°F(約48.9℃)で粘度を試験すると、印刷溶液の粘度は約45cPであることが見出される。これにより、プロピレングリコールが粘度を減少させるという有益な効果が裏付けられる。印刷溶液の攪拌状態は実質的に一定に保たれ、その強度は、タンクのサイズ、寸法、および攪拌の種類に依拠する。混合中に炭酸カルシウムを添加して、炭酸カルシウムを懸濁させ、約120°F(約48.9℃)〜約130°F(約54.4℃)の温度に維持された印刷溶液を生成する。印刷溶液は、水約54.5ポンド(約24.7キログラム)、デンプン約24.5ポンド(約11.1キログラム)、炭酸カルシウム約10.5ポンド(約4.8キログラム)、およびプロピレングリコール約10.5ポンド(約4.8キログラム)を含み、Zahn #2カップを用いて120°F(48.9℃)で測定した場合の粘度は、約17.5秒〜約18.5秒である。
【0075】
あるいは、酸化デンプンおよびプロピレングリコールの水溶液の濁り度を測定することにより、粘度測定を用いて粘度変化を確認する前に、酸化デンプン水溶液およびプロピレングリコールの変化を特定することもできる。濁り度は、所与の物質量を通過する光の量で測定でき、よって、その測定を品質管理ツールとして利用し、その得られた酸化デンプンおよびプロピレングリコールの水溶液を使用すべきか、それとも炭酸カルシウムと混合する前に廃棄すべきかを判断することが可能になる。したがって、濁り度測定を用いて、酸化デンプンとプロピレングリコールの水溶液のフィルム形成能力を判断することができる。
【0076】
本発明の好適な実施形態を実践する際、溶液の温度を約120°F(約48.9℃)〜150°F(約65.6℃)の範囲に維持するステップにより多くの利点が得られる。例えば、限定はしないが、水溶液中の高デンプン含有量を達成および維持できること、水溶液の粘度を下げられること等が挙げられる。したがって、印刷ステップを行うまで温度維持ステップを用いることにより、ベースウェブにシングルパス塗布を行うのに適した所望の印刷溶液を達成できる。
【0077】
本明細書にしたがってプロピレングリコールを抗しわ剤として塗布するとき、プロピレングリコールは、ある微生物が約120°F(約48.9℃)〜約150°F(約65.6℃)のデンプン溶液中で増殖する傾向を抑制することもできる。
【0078】
フィルム形成組成物は、グラビア印刷、デジタル印刷、テンプレートを用いたコーティングまたは、または任意の他の適した技術を用いて、ラッパー140のベースウェブに塗布することもできる。様々な実施形態において、付加材料のない領域が複雑な寸法を有しているため、シングルパスグラビア印刷操作が好ましい。しかしながら望むのであれば、付加材料を含むパッチ要素126は、複数の連続層、例えば互いに位置合わせまたは配置された2つ以上の層、を印刷することにより形成することも可能である。
【0079】
シングルパスグラビア印刷操作の場合、好適なデンプン水溶液は、少なくともデンプンを25重量%、抗しわ剤(プロピレングリコールだと好ましい)を約20%〜約35%、およびチョーク(微細炭酸カルシウムだと好ましい)を約30%〜約80%を含む(ここでのパーセンテージは、デンプン重量のパーセントに基づく)。上記溶液は、プレス機において、以下を含むとより好ましい(ここでのパーセンテージはすべて溶液の全重量に基づく)。溶液の全重量の約18重量%〜約23重量%、より好ましくは約20重量%〜22重量%、さらにより好ましくは約21重量%の量のデンプン;溶液の全重量の約7重量%〜約10重量%、より好ましくは約7重量%〜約9重量%、さらにより好ましくは約8重量%の量のプロピレングリコール;溶液の全重量の約9重量%〜約13重量%、より好ましくは約10重量%〜約12重量%、さらにより好ましくは約11重量%の炭酸カルシウム;および実質的に残りの量(約55重量%〜約65重量%、より好ましくは約60重量%の量)の水である。好ましくは、デンプン水溶液は、プレス機において、約120°F(約48.9℃)〜140°F(約60℃)の温度で塗布され、2011年12月13日出願の米国特許出願第13/324747号明細書(代理人整理番号1021238−001292)の種々の記載にしたがって調製され塗布されると好ましい。この文献の内容はすべて参照により本明細書に援用される。マルチパス操作の場合、好適な水溶液は、およそ16%のデンプン、6%のチョークまたは炭酸カルシウム、および6%の1,2プロピレングリコール(溶液の重量パーセント)を含むことができる。
【0080】
上記実施形態においては、チョークを加えたことにより、パターン付き紙巻きタバコの自己消火傾向が抑制され、消費者からの製品の見栄えがよくなり、他の様々な関連する利点を得ることが可能になる。
【0081】
本明細書の記載に従う方法でパターン付きラッパーを作製するのに用いられるデンプン水溶液に、抗しわ剤(プロピレングリコールなどであると好ましい)を加えることで、利用する際に扱いやすいレベルまで横方向の収縮を低減させ、見立ったしわを軽減し、従来生じていた折れ目がついてしまうという問題を本質的に解消することができる。抗しわ剤の添加は、別の利益をもたらすことも確認されている。パッチ要素における割れや剥離も抑制できると考えられている。また、抗しわ剤が存在すると、デンプン溶液はベースウェブ内部に浸透するよりはベースウェブの表面上に留まる傾向が見られるため、フィルム形成が促進される。抗しわ剤を含むデンプン水溶液から形成されたパッチ要素付近におけるラッパーの収縮は、36インチ(約91.4センチメートル)幅のベースウェブに対して、約0.0625インチ(約0.159センチメートル)〜0.125インチ(約0.318センチメートル)の範囲であることが観測されている。その範囲であれば、ベースウェブに折れ目や過度なうねりは生じない。さらに、デンプン水溶液に抗しわ剤が含まれていると、シングル塗布や印刷パス等でベースウェブに付加材料を塗布することを可能になる。ただし十分な乾燥性能がそのような手法において確立されていることが条件である。加えて、本明細書に開示されるように、抗しわ剤を加えることによりデンプン水溶液の貯蔵寿命は著しく向上する。
【0082】
(パッチ要素を有する紙巻きタバコのラッパー)
次に
図2を参照する。付加材料を含むパッチ要素126により、喫煙品のIP特性およびSE特性は決定および調整される。これら付加材料を含むパッチ要素126をラッパー123のベースウェブ140(
図2参照)に塗布し、次いで、従来の紙巻きタバコ製造設備においてタバコロッドに形成する。ベースウェブ140の公称通気性は、約20コレスタ〜約100コレスタの範囲とすることができる。現在のところ、ベースウェブの公称通気性は、約30コレスタ〜約70コレスタの範囲にあると好ましく、約33コレスタ〜約60コレスタにあると最も好ましい。
【0083】
ベースウェブ140の製造は、数フィート(1フィートは約0.30メートル)は長(通常は約3フィート(約0.91メートル)から4フィート(約1.22メートル)長すなわち横寸法)をもつベースウェブを巻物状に巻いたものを作製することを含むと好ましい。次いで、ベースウェブは印刷機等から引き出され、巻き取られてパターン付きの巻物に形成され、次いで細長く裁断されてボビンに巻き付けられる。
図2を参照すると、ベースウェブ140は、実際は、縦方向線145a、145bに沿って裁断され、その横寸法は、以前説明したように、継ぎ目に沿った重なり合う部分を包含する喫煙品の公称外周と相関関係にある。一対のパッチ要素126(例えばパッチ要素134a、136a)は、線145aと線145bの間に確立されていると好ましく、また、
図1におけるタバコロッド122の両側に位置してパッチ要素列131を確立すると好ましい。
【0084】
長方形状の各パッチ対(例えば、パッチ134aおよび136a(後者は
図1では見えない))は、周方向パッチ列131(または「ゾーン」もしくは「バンド」)(例えば、列131a)を画定する。列131の「幅」、すなわち、列131aの2つのパッチ要素134aおよび136aの各幅は、好ましくは約5mm〜10mmの範囲、より好ましくは約6mm〜約9mmの範囲、さらにより好ましくは約6.5mm〜約8.5mmの範囲である。さらに、各周方向領域、例えば列131aにおいて、パッチ要素134aおよび136aは周方向に離間しており、それにより、パッチ要素134aおよび136aはタバコロッド122に形成されるとき、ラッパー124の両側に沿って互いに対向関係になるように配置される。パッチ要素134aおよび136aは、タバコロッド122のラッパー124の両側に沿って互いに対向関係になるように配置されると好ましい。各パッチ134a、136aの周方向(すなわち紙ウェブに対して横方向)における長さは、好ましくは約6mm〜約10mmの範囲、より好ましくは約7mm〜約9mmの範囲、さらにより好ましくは約7.5mm〜約8.5mmの範囲である。
【0085】
好ましくは、ベースウェブ140のパッチ要素126の外側部分133には、実質的に付加材料は存在しないことをさらに述べておく。より具体的には、隣接領域131a、131bの間のエリアと各領域内の対向要素間(例えば、領域131bの対向要素134b、136b間)のエリアには、本質的にパッチ要素(例えば、パッチ要素134b、136b)を含む付加材料が存在しないと好ましい。
【0086】
隣接領域間(列131a、131bの間、
図1参照)の縦方向距離は、列間隔137(またはバンド間隔137)と称され、好ましくは約6mm〜約12mm、より好ましくは約7mm〜約11mm、さらにより好ましくは約8mm〜約10mmである。
【0087】
隣接列131a、b、c、dの各パッチ要素126(
図1および
図2参照)は、好ましくは互いに周方向にずらして配置されており、より好ましくは第2の列(131b)、第3の列(131c)、および第4の列(131d)はそれぞれ、第1の列131aから徐々にずらして配置されており、4つの列131a、b、c、dはすべて合わせて一組の列139(または列セット139)を画定する。好ましくは、(バンド領域幅およびバンド間隔幅を選択する毎に)十分な数の領域131を所与のタバコロッドに沿って確立し、喫煙品が基板に載せられたときに、
図1のパッチ要素対131bの片方やタバコロッドの反対側にある第2のパッチ要素(図示されない)などの各パッチ要素対134が、タバコロッド122と実質的に平行な方向を向く、タバコロッド122に沿う位置が少なくとも1つの生じるようにする。喫煙品120がくすぶった状態で基板に放置されたとき、消火が最も頻繁に生じるのは、タバコロッド122のこの場所(位置301)またはこの場所付近である。この向きが最も近接して生じる、タバコロッド122に沿った位置を「消火領域301」と称する。
【0088】
4つ以上のパッチ列がタバコロッドの公称長さに沿って設けられると好ましい。さらに、各パッチ列131のパッチは、隣接するパッチ列のパッチから周方向にずらして配置されると好ましい。このずれた配置は、パッチ同士が互いから、タバコロッドの軸線134に対して、約40°〜約75°の範囲、より好ましくは約45°〜約60°の範囲、最も好ましくは約45°ずれるように選択することができる。
【0089】
どの特定の喫煙品120も、
図1に示す向きとは違う向きで基板に載せられる可能性があり、かつ/またはそのパッチ要素のパターンは異なる可能性があるため、方向付けられた消火領域301は、タバコロッド122の異なる回転位置ごとにタバコロッド122に沿って異なる縦方向位置に現れる可能性があることが理解できる。パッチ要素とバンド間隔137のパターンは、方向付けられた消火領域301がタバコロッド122に沿って2つ以上生じるように選択することもできる。
【0090】
好ましくは、各パッチ要素134、136は、十分な付加材料を含んでおり、よって各パッチ要素におけるラッパーの拡散性は、0.0cm/秒〜約0.2cm/秒、より好ましくは0.0cm/秒〜約0.1cm/秒の範囲まで減少させることができる。
【0091】
現在理解されているように、本記載に係る、付加材料を徐々にずらして配置したパッチ列により、低IP値と低SE値を有利に両立できるように喫煙品120(
図1参照)を設計することが可能になる。低通気性の付加材料を含むパッチ要素のパターンにより、タバコロッド122の長さに沿ったフィルム形成化合物のエリアが形成される。該エリアの存在により、基板に置かれたとき、喫煙品120の火は基板との連携により消火されるが、付加材料(例えばフィルム形成化合物)を含むこれらエリアは、喫煙品120が自由燃焼状態において成人喫煙者により保持されたとき、喫煙品120の自己消火頻度を統計的に減少させる。したがって、喫煙品120は、より低い着火性を示しつつも、本明細書の記載にしたがってベースウェブにフィルム形成化合物からなるパターン130を塗布することにより、所望の自由燃焼性質または低SE値を保持することできる。
【0092】
喫煙品の所望のIP特性およびSE特性を達成するには、ベースウェブ140が折り畳まれていない状態(
図2参照)にある間、またはベースウェブがまだ裁断されてボビンに巻き付けられていない巻物状態のタバコ紙である間に、ラッパーであるベースウェブ140にパターン130(
図2参照)を塗布すると好ましい。本記載の目的は、たばこロッド122に形成されたとき、25以下のIP値と50以下のSE値を示すラッパーを提供することである。得られる喫煙品のIP値が15以下だとさらにより好ましい。得られる喫煙品のIP値が10以下だと最も好ましい。SE値もより低いものが望まれる。これに関し、SE値は約25未満だとより好ましく、約10未満だと最も好ましい。
【0093】
パターンは、複数の周方向に延在する列131a、131b、131c、131dがタバコロッド122に沿って離間した位置に配置されるようにベースウェブに塗布するのが好ましい。付加材料は、ベースウェブの片面または両面に塗布することができる。列131は、タバコロッド122の公称長さにおいて、好ましくは3列〜6列、もっとも好ましくは4列〜6列以上設けられる。より具体的には、好適な実施形態では、列セット139は4つの列131を含むが、それより少ないかまたは多い列を含むことも可能である。一般的に、パッチ要素126の構成は、前に説明したように、喫煙品122が基板に置かれたとき消火領域301が確実に生じるように、所与の列セット139の各列から構成される。次いで、列セット139(
図2における参照符号139で表わされる)の長さ単位をたばこロッドの公称長さよりも短くすることによって、完全な列セットが確実に生じる。より具体的には、タバコロッドの公称長さ中に、整数で表わせる列数が生じると望ましい。タバコロッドの公称長さは例えば約54mmである。例として、限定はしないが、縦方向において8mm長さを有する4つのパッチ列を用いた場合、(縦方向に)隣接する列間の間隔は約5.5mmとなるはずである。
【0094】
周方向列131a、131b、131c、131dはそれぞれ、タバコロッド122の公称長さよりも短い、タバコロッド122に沿った縦方向のピッチまたは周期(すなわち、1つの列の始まりから隣接する列の始まりまでをタバコロッドに沿って測定した長さ)を有する。縦方向ピッチ長または周期が公称長さの約25%になるように選択することにより、各タバコロッド122に列が4つ形成されることになる。
【0095】
列セット139に対応するパターンが、タバコロッド122の長さに沿って少なくとも部分的に繰り返されると好ましく、タバコロッド122に沿って複数の列セットが生じるように列セット139の単位長を構成することが考えられる。
【0096】
刻みタバコにラッパー140を巻き付けてタバコロッド122を作るとき、任意の縦方向位置にある付加材料を含む各パッチ要素は互いに約180°離間していると好ましい。さらに、印刷面積対利用可能な表面積の比(所与のパッチ列のパッチ要素面積を喫煙品の外周で割ったものに、パッチ列幅および隣接するパッチ列間の間隔をかけたもの。ここでの比は「印刷面積比」と定義する。)は実質的に1未満である。このゾーン面積比は、約20%未満〜約50%未満の範囲、より好ましくは約20%未満〜約35%未満の範囲だと好ましい。より具体的には、いくつかの実施形態では、付加要素に占められる面積対全面積のゾーン面積比は30%未満、またさらに25%未満である。上記ゾーン面積の占める比率が高いと(すなわち1に近いと)主流煙における一酸化炭素濃度が増加すると考えられているため、一般的にはゾーン面積の占める比率は低く保つのが望ましい。
【0097】
パターン130のパッチ要素は、ラッパーのベースウェブにフィルム形成組成物の水溶液を一層または複数層塗布することによって形成して、それらパッチ要素における紙の通気性を低下させることができる。あるいは、セルロースを含む物質を用いてパッチ要素を形成することもできる。フィルム形成組成物を用いる場合、そのフィルム形成組成物は、好ましくは、水と、例えば20重量%〜約50重量%という高濃度の吸蔵剤とを含むことができる。フィルム形成化合物は、デンプン、アルギン酸塩、セルロース、ガムなどの1つまたは複数の吸蔵剤を含むことができ、またフィラーとして炭酸カルシウムを含むこともできる。デンプンがフィルム形成化合物の場合は、濃度が約21%だと有利となり得る。フィルム形成組成物は、グラビア印刷、デジタル印刷、テンプレートを用いたコーティングまたは噴霧、または任意の他の適した技術を用いて、ラッパー123のベースウェブに塗布することもできる。例えば、米国特許出願第11/500918号明細書に記載されたフィルム形成化合物およびフィルム形成化合物を塗布するための方法を、ラッパーのベースウェブにパターンを塗布するために選択することができる。上記文献の内容はすべて参照により本明細書に援用される。望むのであれば、付加材料を含むパッチ要素は、複数の連続層、例えば互いに位置合わせまたは配置された2つ以上の層、を印刷することにより形成することも可能である。また、複数層を用いて付加材料を含むパッチ要素を形成するとき、複数層におけるそれら材料は同じにすることも、異ならせることもできる。例えば、ある層はデンプンとし別の層はデンプンと炭酸カルシウム(またはその逆)とすることができる。
【0098】
付加材料を含むパッチ要素のパターン139について、現在のところ好適とされる実施形態を
図2に例示する。付加材料のパッチ要素は四辺形であり、具体的には、略長方形または略正方形である。
【0099】
(i)列131aのパッチ要素134a、136aと(ii)隣接する列131bの対応パッチ要素134b、136bの間の周方向ずれxは、裸の状態のボビンの横方向における全長の約10%〜約35%の範囲にあると好ましい。上記周方向ずれxは、裸の状態のボビン140の横方向における長さの約12%〜約35%の範囲にあるとより好ましい。上記周方向ずれxは、付加材料列の周方向寸法すなわち横寸法の約半分だと最も好ましい。他の列131c、131dにある付加材料を含むパッチ要素は、互いに同じずれxによって、同様に周方向にさらにずれている。一実施形態では、列セット139の各列131は、互いに横方向に約3.5mm〜約4mmの範囲でずらすことができ、一例として、4つの列131からなる列セット139および約25mm外周のタバコロッドでは約3.375mmずらすことができる。
【0100】
パターン塗布により確立された列131a〜列131dは、ベースウェブ140の長さに沿って繰り返されると好ましい。明らかに、周方向ずれxがボビンの横方向幅の12.5%未満の場合は、4より大きい数の列を用いるとパターン130は完全なサイクルまたは位相長またはピッチを画定することになる。反対に、周方向ずれxが12.5%より大きい場合は、パターン139は、(
図2におけるパターンの場合のように)4未満の数の列により完全なサイクルを画定することになる。
【0101】
基板198上に載置された喫煙品120の3つの異なる配置により、低通気性の付加材料を含むパッチ要素と基板198の間に生じる連携を例示する。一配置では(
図4参照)、本記載に係る喫煙品120の側面図を例示する。喫煙品120をその縦軸を中心として45°回転させると(
図4の左端から見て時計回り)、
図5に示す正面図と同様の図となる。同様に、喫煙品120をさらに45°回転させると(やはり
図4の左端から見て時計回り)
図6に例示された正面図となる。
図4〜
図6それぞれにおいて、付加材料を含む少なくとも一対のパッチ要素(例えば、
図4ではパッチ要素192、192’(図示せず)、
図5ではパッチ要素194、194’、
図6ではパッチ要素196、196’)は、タバコロッド122の長さ方向において喫煙品の側面に位置することがわかる。付加材料を含むパッチ要素が実質的に喫煙品120の両側面に位置するような位置(
図10)では、パッチ要素192、192’は、実質的に直立状態または基板198の表面に対して略垂直となる。パッチ要素192、192’のこの向きは、
図11に最もわかり易く示されており、
図11では対向するパッチ要素192、192’は、断面図において、喫煙品120の対応する対向側面にそれぞれ位置している。この位置はタバコロッド122の径を中心にして実質的に対称であり、この径は基板198の表面に対して実質的に平行である。
【0102】
付加材料を含むパッチ要素の、喫煙品120に沿う他の縦方向位置における向きを
図7〜
図9に示す。
図7では、付加材料を含むパッチ要素190、190’は、一方のパッチ要素190が基板198と接触するような位置にある。
図9では、一方のパッチ要素196’は基板198と接触しているが、他方のパッチ要素196は喫煙品120の上部に位置している。
図7〜
図9を検討すると、記載した付加材料を含むパッチ要素のパターンを有する喫煙品120の角度位置にかかわらず、付加材料を含む少なくとも一対の対向パッチ要素は、実質的に
図10に示す位置、またはその位置に近い僅かに回転した位置にあることがわかる。この位置は上記で、方向付けられた消火領域301と称したものである。
【0103】
喫煙品120が自由燃焼条件(
図11)にあるとき、パッチ要素192、192’は低通気性を有するため、タバコロッド122の燃焼炭への空気の流れは妨げられる。一方、ラッパーの下部304は、タバコロッド122の下部または下側への空気の自由な出入りを許容して、炭の燃焼を支援する。喫煙品120を基板198に置くと、大きな違いが生じる(
図10参照)。この場合、基板198が、タバコロッド122の下部190への上向きの空気の流れを妨げる。パッチ要素192、192’と基板198は連携して極小エリア300、302を画定し、そこを介してベースウェブを通って空気が運ばれる。より具体的には、パッチ要素192の下部と基板198の間の垂直エリア300およびパッチ要素192’下部と基板198の間の垂直エリア302により、空気を通過させてタバコロッド122のくすぶっている炭に該空気を到達させるためのエリアの実質的な減少が得られる。空気中の酸素が奪われた結果、
図10に示すような位置にある付加材料を含む対向パッチ要素に燃焼線が到達すると、くすぶっている炭は自己消火する。炭の燃焼を支援する空気が存在するエリアが実質的に減少する状態は、付加材料を含むパッチ要素が基板198に接触していないとき、
図10に示す位置と
図7に示す位置の間のタバコロッド122の回転位置においても存在する。
図10では、空気の流れにアクセス可能なエリアが最も減少する位置が表わされている。同様に、付加材料を含むパッチ要素の他の任意対が
図10に示す位置に実質的にある状態で喫煙品が基板198上に置かれた場合も、そのようなパッチ要素の他の対において自己消火が起こりやすいことになる。
【0104】
しかしながら、
図9に実質的に示すように、付加パッチ要素のうちの1つを基板198に接触するように喫煙品を基板に198に置くと、付加パッチ要素は、空気のベースウェブへ通過を可能にするエリアを十分に制限することができ、また、そのエリア減少を生じさせる、基板198と付加パッチ要素間の材料の連携度合いも、消火領域301で起こるものと比較して少ない。
【0105】
上述の例では、IP値の低減、SE値の低減、およびパターン139付きのラッパーを有する喫煙品120の自由燃焼性質の向上について、喫煙品が、3つの特定の向き(これら向きは互いに45°離間した(ずれた)ものである)のうちの1つの向きで基板198上に偶然置かれた状況と関連させて説明した。当然だが、話を簡潔にするために、前述のやり方で上記説明を行った。本記載によるパターンにより、どちら側の部分が基板198と接しているかにかかわらず、また喫煙品の所望の自由燃焼性質が失なわれてしまう程ラッパーにフィルム形成化合物を塗布しなくても、喫煙品を消火できることは容易に理解できるであろう。これは、フィルム形成化合物からなる対向するパッチ要素は、基板198と接触している側部から正確に90°の位置に出現する必要はないことを認識することで理解可能である。それらパッチ要素は、基板198と接触している側部により近いまたはより離れた場所、例えば基板と接触している側部から約60°〜120°の場所に集めることができる。3つ以上のパッチ要素126により、喫煙品120の外周に、パッチの各列131が構成されることも考えられる。
【0106】
また、特定の選択されたパターンの場合、喫煙品を消火する能力は、縦方向位置におけるフィルム形成化合物の特定の面積毎重量よりも、付加材料(例えばフィルム形成化合物)の縦方向の最小幅を実現することに依拠する。長方形パッチ要素またはパッチの長さは、用いられた特定の設計、ベースウェブ、およびフィルム形成化合物では、例えば、約7mm以上とすることができる。用いるフィルム形成化合物の量を増やして、自由燃焼性質を通常損なうことなく、IP性能を向上させることができる。望む場合は、ラッパーに燃焼促進剤を塗布してさらに高付加レベルを支援することもできる。
【0107】
付加材料を含むパッチにより、ラッパーの拡散性が、約0cm/秒〜約0.2cm/秒の範囲、より好ましくは約0cm/秒〜約0.1cm/秒の範囲まで減少すると好ましい。
【0108】
したがって、付加材料を含むパッチ要素のらせん状に回転する配置により、ラッパーのどの側部が基板198に対して載置されているかにかかわらず、タバコロッドに沿う縦方向において、タバコロッドの両側に沿って配置されたパッチ要素を有する位置が少なくとも1つは常に存在する状況が作られることが分かる。そのパッチ要素は、基板198と接触してはいないが、喫煙品が基板198に放置されたときに、くすぶっている喫煙品を消火するのに十分な形状および付加材料を有する。この構成により、IP値が25%以下の喫煙品の設計が可能になる。パッチの各列131がパッチ要素126間に覆われていないエリアを含む場合、喫煙品は、自由燃焼中、著しく向上したSE性能を示す。この構成により、SE値が50%未満、または25%未満の喫煙品の設計が可能になる。
【0109】
上記実施形態では、喫煙品の断面は略円形である。したがって、喫煙品のどの側部を基板198に対向させて置くこともできる。しかしながら、本明細書に教示するパターンは、喫煙品のどの側部が偶然基板198に対向して置かれることになるかにかかわらず、
図10および
図11と関連する上記の燃焼特性(IP値25%以下およびSE値50%以下)を実現できるようなパターンである。上記パターンは、ベースウェブがタバコロッド122に巻き付けられたとき、タバコロッド122に沿う1つまたは複数の縦方法位置において、基板198と接触していない両側に、フィルム形成化合物からなるパッチ要素が出現するように選択されると好ましい。フィルム形成化合物を有する縦方向における2つ以上の位置を両側に配置して、燃焼線が喫煙品の火を消し得た部分を超えてしまった後で喫煙品を基板198上に置くという状況にも対処できるように、または、喫煙品が基板198に置かれるとき、付加材料からなる側面パッチ要素が常に燃焼線の比較的近くに存在するようにすると好ましい。
【0110】
望むなら、付加材料を含むパッチ要素の幾何形状は、四辺形以外の、例えば楕円形や他の多角形等にすることもできる。
【0111】
付加材料を含むパッチ要素126は、好ましくは印刷技術によりベースウェブ140に塗布することができる。1つまたは複数の印刷技術(直接印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等からなる群から選択される)を用いてパッチ要素126を塗布することができるが、好ましくはグラビア印刷工程を用いることになる。グラビア印刷を用いると、堆積速度、堆積パターン等に対して十分な調節が得られ、かつグラビア印刷はベースウェブ140上での高速印刷に適している。本開示では、「高速度」印刷は、ベースウェブ40が約300フィート(約91.4メートル)/分よりも早い線速度で印刷工程を進むことを意味する。紙巻きタバコの製造が目的の場合は、450フィート(約137.2メートル)/分を上回るベースウェブ印刷速度が好ましく、500フィート(約152.4メートル)/分を上回るかまたはそれよりも速いとさらに好ましい。ここで、高速度印刷工程により製造されたラッパーと低速度印刷工程により製造されたラッパーを比較すると、付加材料の堆積速度は、堆積した付加材料のパターンの質と同様、有意に変動する可能性がある。より高速の印刷操作により、所望のIP値(性能)および所望のSE値(性能)の両方をもたらすことが可能なラッパーの製造を達成できる。
【0112】
注目すべきことに、ベースウェブは、許容可能な紙としての外観(すなわち品質欠陥がない)を有しつつも、高すぎるまたは許容できないほどの折れ目またはしわの統計的発生率は伴うことなく、約1000フィート(約304.8メートル)/分の速さで、
図1および
図2と関連して記載される実施形態にしたがって、パッチ要素を含むように変換(印刷)可能なことが確認された。
【0113】
本発明では、様々な抗しわ剤が本明細書に記載の所望の特性を達成するのに適していると考えられる。特に、抗しわ剤は、グリセリン、プロピレングリコール、および1,2、プロピレングリコールからなる群から選択される。プロピンレングリコールが抗しわ剤群のうちで好ましいが、1,2プロピレングリコールが抗しわ剤群のうちで最も好ましい。
【0114】
本発明のパッチ要素126は、デンプン、チョークまたはCaCO
3、および抗しわ剤を含む水溶液を含むと好ましい。多くの種類のデンプンを候補に挙げることができるが、付加材料層のデンプン成分としては、タピオカデンプンが現在のところ好ましい。適した市販のデンプンは、National Starch, LLC社(現Ingredion 社)から入手可能なFLO-MAX8(登録商標)である。
【0115】
多くの種類の炭酸カルシウム粒子が本明細書の趣旨および範囲内であると考えられる。しかしながら、現在のところ、Solvay Chemicals, Inc.社から入手可能なSOCAL 31が適した市販の炭酸カルシウムである。SOCAL 31は、平均粒子サイズ約70nm(ナノメートル)を有する超微細な析出形態での炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムのより大きな粒子は、少なくとも部分的により大きな粒子が溶液からより速く析出される傾向があるために、かつ少なくとも部分的に本明細書で説明した有用な特性を得るのにより多くの量を必要とするために、炭酸カルシウムの超微細な析出形態と比較すると、この用途では同じように機能しないことが観察されている。
【0116】
フィルム形成化合物は、デンプン、アルギン酸塩、セルロース、またはガムなどの1つまたは複数の吸蔵剤を含むことができ、またフィラーとして炭酸カルシウムを含むこともできる。デンプンがフィルム形成化合物の場合は、濃度が約21%だと有利となり得る。フィルム形成組成物は、グラビア印刷、デジタル印刷、テンプレートを用いたコーティングまたは噴霧、または任意の他の適した技術を用いて、ラッパーのベースウェブに塗布することができる。
【0117】
ベースウェブのコーティングされていないエリアは、通気性を低減させるどのような付加材料も含まないかまたは本質的に含まないと好ましい。
【0118】
ベースウェブ140の製造は、数フィート(1フィートは約0.30メートル)長(通常は約3フィート(約0.91メートル)長すなわち横寸法)をもつベースウェブを巻物状に巻いたものの作製を含むことになる。次いで、ベースウェブは印刷機等から引き出され、巻き取られてパターン付きの巻物に形成され、次いで細長く裁断されてボビンに巻き付けられる。印刷操作は巻物状のものに対して行うのが好ましいが、裁断後のものに行うこともできる。好ましくは、ボビン自体も、タバコロッド122を作るのに必要な幅と同等な横寸法またはそのような幅の整数倍(例えばそのような幅の1、2、または4倍)を有するようになる。ボビンは、典型的な紙巻きタバコを製造する機械での使用に適合するようにする。ラッパーの横方向寸法は、タバコロッドの公称外周および継ぎ目の重なりを考慮したものだと好ましい。結果として、ラッパーが裁断されるとき、そのラッパーから形成される喫煙品は、精密な重なりを伴う縦方向の継ぎ目を常に有することになる。
【0119】
ベースウェブは、第1のグラビア印刷ステーションに進むかまたはそこを通過する。そこでは、各パッチ要素の第1の層がラッパー上に印刷される印刷工程は、ベースウェブの「フェルト面」または「ワイヤ面」、またはその両方に対して行われる。
【0120】
デンプン水溶液を付加材料として用いるとき、その溶液を塗布するための印刷プレス機に入れる前および印刷プレス機での準備は、2011年12月13日に出願された米国特許出願第13/324747号明細書に教示されるように、付加溶液を約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)に維持するというものである。
【0121】
パッチ要素の幾何的特性を示す望ましい例が2つ確認されている。1つ目の配列では、パッチ要素の縦方向長さは約7mm、周方向寸法は約8.25mmとすることができる。2つ目の配列では、パッチ要素の縦方向長さは約8mm、周方向寸法は約8.25mmとすることができる。
【0122】
(印刷装置)
次に
図12を参照すると、好適な印刷装置は、供給リール601と、回収リール608と、くぼみ付き印刷シリンダ(グラビアローラ)610と、圧シリンダ612と、任意で備える支援ローラ614と、シリンダ610と612の間に画定されるニップ616と、付加材料のリザーバ618と、リザーバ618から付加材料を送り込むよう作動するポンプ620と、熱交換機622と、塗布器具624と、溶液槽626と、回収器627と、排水口628と、ドクター刃630と、アイドラーローラ634とを備える。
【0123】
圧シリンダ612は、逆回転するように、印刷シリンダ(またはグラビアローラ)610の軸と平行な軸に取り付けられている。いくつかの用途では、圧シリンダは非金属の弾性表面を有する。圧シリンダは、ローラと任意で備わる支援ローラ614の間に位置する。支援ローラ614もまた、回転するように、グラビアローラ610の軸と平行な軸に取り付けられており、圧シリンダに対して逆回転する。任意の支援ローラ614が提供する機能の1つは、圧シリンダの中央部を強化して、グラビアローラ610と圧シリンダ612の間に均一な印刷圧力が得られるようにする、というものである。グラビアローラ610と圧シリンダ612は連携してニップ616を画定し、印刷工程の間、そのニップ616を通ってベースウェブは引き出される。ニップ616のサイズは、ベースウェブがグラビアシリンダ610と圧シリンダ612の間を移動するとき、ベースウェブを挟んで締め付けるようなサイズである。ベースウェブにニップ圧612がかかることにより、グラビアローラ610からラッパーベースウェブ140への正確な付加材料の転写が保証される。
【0124】
好適な実施形態では、リザーバ628は、ベースウェブ140上にパッチ要素126を形成するための吸蔵組成物(付加材料)、好ましくは上記デンプン水溶液を含む。リザーバは、粘性を有する吸蔵組成物に対処可能な適したポンプ610とつながっている。次いで、吸蔵組成物は適した熱交換機622へ送られ、そこで吸蔵組成物は昇温し約40℃〜約90℃(又は約120°F〜約140°F)の範囲に保たれ、これにより吸蔵組成物の粘度は、グラビア印刷およびデンプン溶液の所望の状態を維持するのに適したレベルに調整される。上記したように、グラビア印刷は通常約200cP未満の粘度を必要とする。吸蔵組成物の温度は、粘度が約100cP未満になるように選択すると好ましい。例えば、吸蔵組成物の粘度は、約120°F(約48.9℃)で約10cP〜約40cPとすることができる。
【0125】
別に設けられた熱交換器622を開示したが、リザーバ618自体で吸蔵組成物の熱調節を行うのも望ましい。例えば、加熱素子と攪拌装置をリザーバ618に設けて、吸蔵組成物の昇温を維持することもできる。リザーバ内に熱調節器を設置することにより、ポンプの選択と動作要件を単純化することができるという利点を得られる。これは、吸蔵組成物は既に熱せられているはずであるため、低粘度を示し、温度が低いと高くなる粘度において、ポンプで吸蔵組成物に対応する必要がなくなるからである。リザーバ内で温度調節を行うか別の熱交換機で行うかにかかわらず、熱調節ステップは、吸蔵組成物が焦げてしまうことを回避するように選択された調節温度で行うことが重要である。焦げてしまうと、吸蔵組成物に変色が生じ、その特性に影響がでる可能性がある。
【0126】
またデンプン水溶液の温度は、印刷操作の前および印刷操作中、約120°F(約48.9℃)〜約140°F(約60℃)の範囲、または約その範囲の温度に維持することが重要である。デンプン水溶液はこれらの温度を下回った場合、不可逆的に劣化する傾向がある。
【0127】
熱調節ステップがどこで行われるかにかかわらず、加熱された吸蔵組成物は、好ましくは、グラビアシリンダ幅にわたって吸蔵組成物を塗る適切な塗布器具624に送達される。この塗るステップは、吸蔵組成物をグラビアシリンダに注ぐかまたは噴霧する、または液体の吸蔵組成物を回収器627に送達して吸蔵組成物の溶液槽626とグラビアシリンダ610の下部と接触を確立することにより行うことができる。グラビアシリンダ610を加熱することで吸蔵組成物の早期の冷却を防止することが可能になる。
【0128】
回収器627は、一般に、溶液を回収するのには十分だがグラビアシリンダ610の上部よりはずっと低い高さまで、部分的にグラビアローラに沿って延在する。溶液槽が回収器の上部まで達すると、吸蔵組成物は排出口628を通って装置の下部まで流れてタンクまで戻ることができる。よって吸蔵組成物は、印刷ステーション内を循環し、上述の熱調節装置により適切な印刷粘度に維持される。
【0129】
(印刷シリンダ)
次に
図13を参照すると、好適な実施形態では、複数のくぼみ領域611、611’を有するくぼみ付き印刷シリンダ(印刷ローラ)610が備えられており、それらくぼみ領域は、
図13で矢印「w」および「s」でそれぞれ表される、パッチ要素の所望の幅「w」とバンドまたは列間の所望の間隔「s」に対応するシリンダ610の周囲に沿って離間関係にある。
図13および
図14では、くぼみ領域611、611’と印刷列131、131’の詳細はそれぞれ省略されているが、省略された詳細は、
図14で印刷列131、131’として示されるものに相当するはずである。くぼみ領域611はそれぞれ、シェブロン形状をとるようわずかに角度が付いていると好ましい。シェブロンの頂部901における角度「A」は約170°よりも大きい。このような形状は、紙の縦方向(machine direction)に沿う、左右半分で逆方向につくどのようなひだまたはしわも広げることにより、付加材料を塗布する際に紙ベースウェブにかかる応力をさらに軽減するのに役立つ。くぼみ領域611は、シェブロン形状をとらず、代わりに直線状に配列されることも想定される。
【0130】
好ましくは、ローラの外周は、パッチ要素とパッチ要素幅の間の公称距離の和の整数倍となるように決定する。したがってローラの一回転につき、その所定の整数の数だけパッチ要素がベースウェブ140上に印刷される。
【0131】
印刷の均一性および効率性は、プレス機におけるニップ圧を高めることによりさらに促進される。好適な実施形態では、例えば印刷操作の分野で通常加えられる圧力より、およそ10%〜15%ニップ圧を増強した。
【0132】
図14に示すように、好適な実施形態では、各ウェブ140にはその長さ方向に沿ってパッチ要素126の列131が多数印刷される。好ましくは、パッチ要素126は、各パッチ要素126(
図1)の前縁にある頂点700が、先行するパッチ要素126の後縁148(
図1)上の外側点710、710’(
図14)と本質的に横方向において並ぶ配置で、(裁断前に)ベースウェブ上にシェブロンパターンとして印刷される。言い換えると、頂点700(
図14)および外側点710、710’は、本質的に架空の横線702に沿うものである。頂点700における角度は、ロール幅が増加または減少する場合、前述の関係が再確立できるように調節可能であることが想定される。頂点角度は約0.5°〜約5°の範囲にあると好ましい。あるいは、頂点700は、調節されたパッチ要素126の外側点710、710’より、縦方向において僅かに前に確立することもできる。
【0133】
グラビアローラ610のエッチングされた領域611、611’(
図13)は互いに対応するように構成され配列される。このシェブロン形状とそれら領域の関係性は、印刷操作の結果としてベースウェブに起こる過度のうねりを回避するのに役立つため、印刷ウェブの巻き取りおよびウェブを裁断してボビンに巻き付ける操作を、許容できないほどの折れ目および裂け目を発生させることなく行うことができる。より具体的には、付加組成物の塗布後、ベースウェブ140全体を横するどの横領域(または架空の線)においても、横領域は、ベースウェブ140上に、付加材料で処置されていない箇所および付加材料で処置された箇所を備えることになる。これに対し、シェブロン形状でない場合(すなわち、パッチ要素がウェブを横切るように直線状に配列されている場合)、付加材料水溶液の乾燥時の収縮効果はバンド位置に集中し、よってウェブの横領域のいくつかは収縮効果をすべて受け、いくつかの隣接する横領域は収縮効果を受けない。この状況がうねりを悪化させ、巻き取りおよび裁断時における、ウェブの折れ目および裂け目につながることが知られている。
【0134】
シェブロン形状(
図14)を取る場合は、付加組成物の収縮効果は縦方向成分に分配され、細い架空の横領域だけで付加材料の塗布のすべてを引き受けなくてはならないということはない。結果として、折れたり裂けたりする傾向は軽減される。したがって、付加材料を乾燥させるときに起こる横方向におけるウェブの収縮は、印刷(すなわちパッチ)エリアに集中することはなく、収縮量は、頂点700の前側における最小値から頂点における後縁頂点709まで徐々に増加し、バンド(各列131)の前縁146(
図1)がバンド(
図14)の横縁に達するまでは実質的に一定を保つ。この位置から、収縮量は、最小収縮値が存在する場所であるバンドの後縁まで減少する。したがって、シェブロン印刷設計は、非連続的な段階的収縮というよりは、漸進的な収縮変化をもたらし、結果的に、ベースウェブを垂直に横切るように配置された平行バンドを用いた従来の技術と比較して、うねりを抑えることができる。
【0135】
なおも
図14を参照する。ベースウェブ140にパッチ要素126のシェブロン形状列131が印刷されると、ベースウェブは巻かれ、次いで縦方向に裁断されて、複数の平行なリボン状となってボビンに巻き付けられる。典型的には、ベースウェブの横幅は約50インチ(約127センチメートル)とすることができる。一方、個々のリボンの横幅は約26mm〜28mmまたはその倍数とすることができ、材料の長さは6000メートル程度とすることができる。したがって、約50インチ(約127センチメートル)幅のベースウェブ140からは、約45個〜約50個のリボンまたはボビンを作製することができる。各リボンは、対応するボビンに堅く巻き付けられることで回収され、各ボビンは、6000メートル程度の長さの材料を有することができる。次いでボビンは、従来の紙巻きタバコ製造機械でたばこ材料と組み合わせて用いられ、タバコロッドが形成される。次いで、タバコロッドは所定の長さに切断され、チップペーパを用いてフィルタが取り付けられて最終的な巻きタバコまたは喫煙品が形成される。
【0136】
〔実施例〕
好適な実施形態の第1の例では、33コレスタのパッチラッパーのボビンを構成し、各パッチ要素126は、幅およそ8mm、横方向における長さおよそ8.25mm、バンド間隔(隣接列131間)およそ8.45mm、パッチ要素126間の周方向間隔または間隙(
図2の符号166に対応)およそ5.25mmである。付加溶液は水、デンプン、炭酸カルシウム、および1,2プロピレングリコールを含む。付加材料は、本明細書に教示されるシェブロン形状、調製溶液、および熱維持を用いたシングルパスグラビア印刷操作により塗布した。パッチ要素における目的拡散値はゼロとし、列セット129は4つの列131を含むものとした。紙巻きタバコをラッパーで作製し、IP性能およびSE性能の試験を行った結果、全平均IP値は7.7%、全平均SE値は31%であった。これは、許容可能なIP性能を伴うのにもかかわらず、有意かつ驚くべき低いSE値である。第2試験では、全平均IP値21.9%と全平均SE値23.6%という結果が得られた。
【0137】
好適な実施形態の第2の例では、33コレスタのパッチラッパーのボビンを構成し、各パッチ要素126は、幅およそ7mm、横方向における長さおよそ8.25mm、バンド間隔(隣接列131間)およそ9.45mm、パッチ要素126間の周方向間隔または間隙(
図2の符号166に対応)およそ5.25mmである。付加溶液は水、デンプン、炭酸カルシウム、および1,2プロピレングリコールを含む。付加材料は、本明細書に教示されるシェブロン形状、調製溶液、および熱維持を用いたシングルパスグラビア印刷操作により塗布した。パッチ要素における目的拡散値はゼロとし、列セットは4つの列を含むものとした。紙巻きタバコをラッパーで作製し、IP性能およびSE性能の試験を行った結果、全平均IP値は13.4%、全平均SE値は23.6%であった。これは、許容可能なIP性能を伴うにもかかわらず、有意かつ驚くべき低いSE値である。第2試験では、全平均IP値28.1%と全平均SE値21.7%という結果が得られた。
【0138】
この明細書には、新しく、有用かつ非自明な喫煙品が記載されていることは、当業者にとってもはや明らかであろう。多くの修正例、変形例、代替例、および均等物が、上記詳細な説明に記載された喫煙品の様々な側面に存在することも当業者にとって明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲に規定される、本発明の要旨および範囲に該当するそのような修正例、変形例、代替例、および均等物はすべて本発明に包含されることが明白に意図される。