【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し得るような、構造物とビークルとを具備した発電所に関しての、独創的な構成を提供することである。この目的は、請求項1の特徴部分に規定された各特徴点によって得られる。本発明の追加的な特徴点は、従属請求項において規定されている。
【0007】
本発明は、電力を生成するための発電所に関するものである。発電所は、構造物と、少なくとも1つのウィングを有したビークルと、を具備している。ビークルは、少なくとも1つのテザーによって構造物に対して係留され得るよう構成されている。ビークルは、ウィングを通過する流体流れによって所定軌跡に沿って移動し得るよう構成されている。ビークルは、所定軌跡上において速度を変更し得るよう構成されている。発電所は、ウィングと構造物との間に取り付けられ得るよう構成された構成部材を具備している。この構成部材は、所定軌跡の一部にわたってビークルと構造物との間の距離を連続的に変更し得るよう構成されあるいはそのような距離の変更を許容し得るよう構成され、これにより、所定軌跡上におけるビークルの速度変動を低減させるものとされている;および/または、発電所に設けられたトランスデューサによってビークルと構造物との間の距離の変動から電力を生成し得るものとされている。
【0008】
現在、ビークルと構造物との間の距離は、所定軌跡上においてテザーが様々な引っ張り負荷を受けることに基づいて、変化する。引っ張り負荷の変化は、ウィングの速度の2乗に比例して、ひいてはビークルの速度の2乗に比例して、変化するものである。このため、テザーは、所定軌跡上において弾性的な伸縮を示す。これにより、ビークルと構造物との間の距離が変化する。このことは、場合によっては、いくつかの観点から、望ましくない。
【0009】
本発明の1つの利点は、構成部材が、所定軌跡の一部にわたってビークルと構造物との間の距離を連続的に変更し得るよう構成されているあるいはそのような距離の変更を許容し得るよう構成されていることである。変更を許容し得るということは、構成部材が、例えば発電所の性質や発電所の立地や他の構造特性に依存し得るスプリング定数といったような所定の特徴点を有しつつも、受動的であることを意味している。変更し得るということは、そのような距離が所定パラメータ内において制御され得るように、構成部材が、能動的に制御され得ることを意味している。どちらの場合においても、ビークルの軌跡の様々な部分において速度の平滑化をもたらすことができる。速度は、ビークルが所定軌跡をカバーする際のビークルの速度の大きさとして定義される。
【0010】
ビークルの構造的な完全性を保護するための1つの方法は、軌跡のうちの、流体からビークルのウィング上に作用する動的な力のために最大設計速度を超える速度でもってビークルが移動するというリスクが存在する部分において、すなわち、最大設計速度を超える速度となる速度ピークの際に、ビークルの速度を制限することである。同様に、軌跡の一部においては、ビークルは、流体やテザーや慣性や流体動力学的力や流体静力学的力からビークル上に作用する力のために、必要な速度よりも小さな速度で移動する。これは、速度落下と称される。このため、タービンによって、最大限可能なエネルギー量よりも、より少ないエネルギー部分しか変換することができない。ビークルの速度が制限される時間を増大させることにより、軌跡の全体にわたって速度変動を低減することが有利である。これは、ビークルと構造物との間の距離を変更し得るあるいはそのような距離の変更を許容し得る構成部材によって、得られる。
【0011】
ビークルに関して設定される構造的制限は、製造コストと、時間にわたっての合計での電力出力と、の間の最適化の結果である。ウィングは、小さな流れ速度の時に適切なエネルギー量を抽出/変換し得るように、十分に大きくて十分に効率的なものである必要がある。そのような比較的大きくて効率的なウィングの速度は、そのような最適化された構造的制限を超えることがないように、大きな流れ速度の時に制限を必要とする。
【0012】
発電所に作用する力の変化の大きさを低減させることは、例えば材質の疲労という理由から、有利である。電力生成という理由から、速度と生成電力との間の3乗という関係性は、考慮される必要がある。電力生成は、速度の3乗の積分に大いに比例する、すなわち、電力曲線の下方の面積に大いに比例する。大きな力がビークル上に作用するときに、ある種の平均速度に向けて速度を下げることにより、電力生成が、所定軌跡のそれら部分においては、3分の1へと下げられる。このことは、極めて意義深い電力生成損失を引き起こす。したがって、速度落下が同じある種の平均速度へと持ち上げられたならば、速度落下における電力生成の増大化は、ピークが下げられたときの電力生成損失よりも、ずっと小さなものとなる。速度変動が下げられた大きさでの一定の平均速度は、電力生成を小さなものとする。
【0013】
速度変動の大きさが低減した場合に得られるようにおよび速度ピークが同じレベルに維持された場合に得られるように、平均速度が増大した場合には、増大した電力出力を得ることができる。このことは、ピークにおける電力損失が発生しないことを意味し、速度曲線の他のすべての部分においては、電力生成が増大することを意味する。これは、ピークをカットする必要があるような大潮において当てはまる。ピークをカットする必要がないような小潮の場合には、軌跡の全体にわたって電力出力の増大化が引き起こされる。
【0014】
速度曲線あるいは力曲線は、例えばより大きなウィングを使用することによって、あるいは、より大きな流れ速度の設置場所を選択することによって、より大きな平均値へと上昇させることができる。
【0015】
また、ビークルと構造物との間の距離の変化を許容する構成部材を使用することにより速度変動の大きさを低減させることは、大潮が大きくなりすぎないときにピーク速度を迎えることなく小潮時のビークル速度を上昇させ得る他の場合と比較して、小潮と大潮との間のより大きな変動を有した立地上における設置を、経済的により容易なものとすることができる。
【0016】
よって、上述したような構成部材の使用は、速度ピークの低減をもたらし、これにより、所定軌跡上において起こる速度変動の大きさを低減することができ、システム負荷の変動を低減させることができる。さらに、流体流れにおける例えば乱流や波動の擾乱といったような突発的な変動によって、システムに対して、ショック負荷が引き起こされ得る。そのようなショック負荷は、部分的には、テザーの引っ張り力伝達部材の引っ張り硬さに基づくものである。すなわち、引っ張り的に硬いテザーは、ビークル上において、より大きなショック負荷を引き起こすこととなる。そのようなショック負荷も、また、上述したような構成部材を使用することにより、低減させることができる。これにより、システムの様々な部材の疲労を、低減させることができる。これは、構成部材が、ビークルと構造物との間の距離の変動を許容することにより、得られる。ビークルと構造物との間の距離を増大させることにより、ビークル速度は、距離の増大につれて低減される。これに対し、距離の増大が起こらないならば、ビークルが流体流れと同じ向きに移動している場合には、ビークル上に作用する動的な力が低減する。同様に、ビークルと構造物との間の距離を低減させることにより、ビークル速度は、距離の低減につれて増大する。これに対し、距離の増大が起こらないならば、ビークルが流体流れと逆向きに移動している場合には、ビークル上に作用する動的な力が増大する。言い換えれば、比較的一定と見なされ得るウィングの滑空比により、ウィングが水流の中を移動する際には、ウィングと構造物との間の距離の減少のために、ウィングを衝撃する水流の相対速度が増大し、軌跡に沿っての移動方向におけるウィング速度が増大することとなることがわかる。したがって、ウィングが水流と一緒に移動する際には、ウィングを衝撃する水流の相対速度が低減し、軌跡に沿っての移動方向におけるウィング速度が低減することとなる。
【0017】
上記により、発電所を、現在よりも、流体流れの速度がより大きいあるいはより小さい立地において使用することができる。なぜなら、本発明は、大きな流体流れ速度を、また、速度落下時の速度上昇を、補償し得るからである。流体流れの速度が大きい立地においては、本発明は、ビークル速度が制限される時間を増大させることによって、エネルギーをより多く抽出することを可能とする。流体流れの速度が小さい立地においては、本発明は、例えばウィングのサイズを大きくし得ることのために、エネルギーをより多く抽出することを可能とする。大きなウィングは、低流体速度のより良好な利用を可能とする。
【0018】
印加された力のためにビークルと構造物との間の距離が変動すると(すなわち、印加された力が変動するのではなく)、力と変位との積として、機械的作用がもたらされ、すなわち、機械的エネルギーがもたらされ、これを、並進移動と見なして、電力の生成に利用することができ、トランスデューサによって、様々な態様のエネルギーへと、例えば電気的エネルギーへと、変換することができる。
【0019】
トランスデューサは、所定軌跡の一部にわたってビークルと構造物との間の距離を連続的に変更し得るよう構成されたあるいはそのような距離の変更を許容し得るよう構成された構成部材を備えることができる。トランスデューサは、所定軌跡の一部にわたってビークルと構造物との間の距離を連続的に変更し得るよう構成されたあるいはそのような距離の変更を許容し得るよう構成された構成部材に対して取り付けることができる。また、これら2つの構成の組合せも可能である。それは、例えば、構成部材が、2つ以上の部分を備えている場合であり、あるいは、発電所が2つ以上の構成部材を備えている場合である。構成部材の第1部分は、トランスデューサに対して取り付けることができ、構成部材の第2部分は、トランスデューサの一部とすることができる。同様に、第1の構成部材を、トランスデューサに対して取り付けることができ、第2の構成部材を、トランスデューサの一部とすることができる。構成部材は、例えば圧縮螺旋スプリングや圧縮ディスクスプリン
グや弾性ゴムスプリングやおよび/またはガススプリングといったような、様々なタイプの弾性部材を備えることができる。圧縮螺旋スプリングあるいは圧縮ディスクスプリン
グは、スチールから形成することができる、あるいは、複合材料から形成することができる。構成部材あるいはトランスデューサは、さらに、エネルギー貯蔵装置を備えることができる。このエネルギー貯蔵装置は、ビークル上に作用する合計の力が、ビークルと構造物との間の距離あるいはウィングと構造物との間の距離における所望の変化を引き起こし得るほどに大きなものではない場合には、ビークルに対してエネルギーを提供することができる。
【0020】
発電所は、機械的エネルギートランスデューサに対して連結されたあるいはトランスデューサの一部を構成する少なくとも1つの回転式発電機を備えることができる。その場合、ビークルと構造物との間の距離の変動によって引き起こされた機械的な移動が回転移動へと変換され、この回転移動が発電機によって電気エネルギーへと変換されることによって、電力が生成される。電力生成のためにトランスデューサから出力される回転移動は、直線移動から変換される。
【0021】
これに代えてあるいはこれに加えて、発電所は、ビークルと構造物との間の距離の変動を直接的に電気エネルギーへと変換する少なくとも1つのリニア発電機を具備することができる。よって、リニア発電機は、トランスデューサの大部分を構成する。機械的トランスデューサの一方サイドにおける並進移動は、機械的トランスデューサによって、他方サイドにおける回転移動へと変換することができる。そして、その回転移動が、発電機を駆動する。トランスデューサは、例えば、シリンダの中に配置された油圧ピストンを備えることができる。その場合、ピストンは、発電機に対して連結された油圧モータを駆動する油圧を生成する。また、トランスデューサは、機械的な態様でもって、例えば、発電機を駆動するウィンチを備えることによって、発電機を駆動することができる。また、トランスデューサは、適切なギヤ比や速度比や角速度比を有したギヤまたは機構を備えることができる。また、発電所は、ビークルと構造物との間の距離の変動に起因する並進的な機械的作用を電気エネルギーへと変換することによって電力を生成するためのリニア発電機を備えたトランスデューサを具備することができる。よって、発電所は、電気エネルギーを直接的に生成するリニア発電機を備えることができる。ビークルと構造物との間の距離の変化によって引き起こされた直線移動/並進移動からのみ電力を生成する発電所は、より安価にかつより軽量に形成することができる。なぜなら、発電所のビークルを、大きな浮力容積または厚さを必要とすることなく、より軽量のものとして形成し得るからである。さらに、ビークルからの電気的エネルギーをテザーを通して搬送する必要がないために、より薄くかつより軽量のテザーケーブルを使用することができ、より薄いテザーを使用することができる。さらに、ビークルと構造物との間の距離の変動からのみ電力を生成する発電所は、ビークルがタービンと発電機とを備えた発電所と比較して、多様な立地に適用して設置することができるとともにより安価に設置することができる。
【0022】
エネルギー貯蔵装置は、シリンダ内に配置されたプレテンションが付与されたフェザーを備えることができる。フェザーは、速度落下時には、ピストンを所定位置に向けて押し込む/引っ張る。これにより、ウィングと構造物との間の距離をあるいはビークルと構造物との間の距離を低減させ、これにより、速度を増大させることができる。これに代えて、電力網やキャパシタや同様のものから取得した電気エネルギーを、この場合にはモータとして機能する発電機を介して、発電所のビークルに対して提供することができる。
【0023】
構成部材の重要な特性は、構成部材が、可能な限りの最小の損失でもって、距離の変化に起因するエネルギーを、貯蔵または変換することである。これは、例えば、低損失スプリングや、低損失のものとして構成されたトランスデューサ/発電機、とすることができる。この特性は、エネルギーをできる限り高効率で変換できること、および/または、速度落下時にエネルギーを提供し得るよう、できる限り多くのエネルギーを貯蔵し得ること、に起因する。
【0024】
発電所は、ビークルに対して取り付けられ得るよう構成された、少なくとも1つのタービンおよびタービン発電機を具備することができ、タービン発電機は、所定軌跡内における流体を通してのビークルの移動に起因してタービンによって変換された回転移動を電気エネルギーへと変換することによって、電力を生成し得るよう構成されている。ビークルに対して取り付けられたタービンの存在は、流体を通してのビークルの移動に基づいてタービンが回転した際に電気エネルギーを生成するための1つの手段の可能性ををもたらす。タービンおよびタービン発電機は、ビークルから構造物へとエネルギーを移送するための手段に対して連結され、さらに、エネルギーの消費者に対して連結される。この手段は、例えば、ビークルと構造物とを連結しているテザーの中に配置された1つまたは複数の電気導体とすることができる。
【0025】
発電所は、ウィングと構造物との間の距離の変化速度を制御し得るよう構成された手段を具備することができる。軌跡の様々な部分上におけるビークルの速度に応じて、あるいは、流体流れの速度の変化に応じて、ウィングと構造物との間の距離あるいはビークルと構造物との間の距離の変化速度の制御は、望ましいものとすることができる。
【0026】
テザーは、構成部材を備えることができる。これに代えて、テザーは、2つ以上の構成部材を備えることができる、あるいは、2つ以上の部分を有した1つの構成部材を備えることができる。これに加えて、構成部材は、テザーの一部を備えることができる、あるいは、テザーの全体を備えることができる。テザーを、構成部材の全体を備えるものとして、あるいは、構成部材の一部を備えるものとして、構成することにより、テザー上における望ましくない応力という問題点を、少なくとも部分的に回避し得るとともに、これと同時に、本発明の目的を達成することができる。よって、テザーは、所望の態様で構成部材として機能し得るように十分に弾性的なものとして構成することができる。テザーは、 Dyneema (登録商標)または他の人工ファイバや、カーボンファイバや、スチールや、同様のものから、形成することができ、これにより、上述したような構成部材として機能することができる。
【0027】
発電所は、液体内に浸漬され得るよう構成された水中設置型の発電所とすることができる。