(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193405
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】フィルタデバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-556460(P2015-556460)
(86)(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公表番号】特表2016-514387(P2016-514387A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2014052055
(87)【国際公開番号】WO2014122095
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】102013101323.6
(32)【優先日】2013年2月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ベック, ファビアン
【審査官】
小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/059132(WO,A1)
【文献】
特表2014−500650(JP,A)
【文献】
特開平08−336226(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/094162(WO,A1)
【文献】
特開2006−024772(JP,A)
【文献】
実開平03−046224(JP,U)
【文献】
特開平07−226639(JP,A)
【文献】
特開2005−080337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01−7/09
H01F 19/00−19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのハウジング体(100)と、
それぞれ1つの第1の端部(211,221)および1つの第2の端部(212,222)を備え、かつ当該第1の端部および当該第2の端部の間にそれぞれ1つの中央部(213,223)が配設されている、少なくとも2つのバスバー(210,220)を備えるフィルタデバイスであって、
前記2つのバスバーの内の1つの第1のバスバー(210)は、第1の電位の接続のための1つの第1の接続部(214)と、第1の負荷(L1)を接続するための1つの第2の接続部とを備え、
前記2つのバスバーの少なくとも1つの第2のバスバー(220)は、前記第1の電位と異なる第2の電位の接続のための1つの第1の接続部(224)と、前記第1の負荷と異なる第2の負荷(L2)を接続するため、または基準電位(N)の接続のための1つの 第2の接続部(225)とを備え、
それぞれの前記第1の接続部(214,224)は、前記少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第1の端部(211)に配設されており、それぞれの前記第2の接続部(215,225)は、前記少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第2の端部(212,222)に配設されており、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記第1の端部(211,221)は、前記ハウジング体(100)の第1の側面(S100a)で当該ハウジング体から突出しており、前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記第2の端部(212,222)は、前記ハウジング体(100)の第1の側面と異なる第2の側面(S100b)で当該ハウジング体から突出しており、前記少なくとも2つのバスバーのそれぞれの前記中央部(213,223)は、前記ハウジング体に配設されており、
前記第1のバスバー(210)の前記第1の接続部(214)を含む前記第1の端部(211),前記第2の接続部(215)を含む前記第2の端部(212),および前記中央部(213)は、第1のレベル面(E1)に配設されており、
前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第1の接続部(224)を含む前記第1の端部(221),前記第2の接続部(225)を含む前記第2の端部(222),および前記中央部(223)は、前記第1のレベル面(E1)と異なる第2のレベル面(E2)に配設されており、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記第1の端部(211,221)は、前記第1のバスバー(210)の前記第1の接続部(214)と、前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第1の接続部(224)とが、互いに向きが揃わないような、互いの形状となっており、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記第2の端部(212,222)は、前記第1のバスバー(210)の前記第2の接続部(215)と、前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第2の接続部(225)とが互いに向きが揃わないような、互いの形状となっている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバー(210)の前記第1の端部および前記第2の端部の内の1つの端部(212)は、前記第1のレベル面(E1)内で、前記第1のバスバー(210)の前記中央部(213)と異なる方向に向いており、
前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第1の端部および前記第2の端部の内の1つの端部(221)は、前記第2のレベル面(E2)内で、前記第2のバスバー(220)の前記中央部(223)と異なる方向に向いている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバー(210)の前記第1の端部および前記第2の端部の内の前記1つの端部(212)は、前記第1のバスバーの前記中央部(213)に対して80°〜100°の角度で配設されており、
前記第2のバスバー(220)の前記第1の端部および前記第2の端部の内の前記1つの端部(221)は、前記第2のバスバーの前記中央部(223)に対して80°〜100°の角度で配設されている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項4】
請求項2または3に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバー(210)の前記第1の端部および前記第2の端部の内のもう1つの端部(211)は、前記第1のレベル面(E1)内で、前記第1のバスバー(210)の前記中央部(213)と同じ方向に向いており、
前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第1の端部および前記第2の端部の内のもう1つの端部(222)は、前記第2のレベル面(E2)内で、前記第2のバスバー(220)の前記中央部(223)と同じ方向に向いている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)は、それぞれL形状に形成されていることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)は、それぞれ1つの扁平導体として形成されていることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバー(210)および前記第2のバスバー(220)のそれぞれの前記第1の接続部(214,224)は、前記第1のバスバー(210)および前記第2のバスバー(220)のそれぞれの第1の端部(211,221)における1つの凹部として形成されており、
前記第1のバスバー(210)および前記第2のバスバー(220)のそれぞれの前記第2の接続部(215,225)は、前記第1のバスバー(210)および前記第2のバスバー(220)のそれぞれの第2の端部(212,222)における1つの凹部として形成されている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバー(210)の前記第1の接続部(214)は、第1の電位を準備するための、前記第1のバスバー(210)の前記第1の端部(211)を第1の導電体(10)に固定するための第1の固定機構として形成されており、
前記第1のバスバー(210)の前記第2の接続部(215)は、前記第1のバスバー(210)の前記第2の端部(212)を前記第1の電気的負荷(L1)または前記基準電位(N)に接続するための、前記第1のバスバー(210)の前記第2の端部(212)を第2の導電体(20)に固定するための第2の固定機構として形成されており、
前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第1の接続部(224)は、第2の電位を準備するための、前記第2のバスバー(220)の前記第1の端部(221)を第3の導電体(30)に固定するための第3の固定機構として形成されており、
前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第2の接続部(225)は、前記少なくとも1つの第2のバスバー(220)の前記第2の端部(222)を前記第2の電気的負荷(L2)または前記基準電位(N)に接続するための、前記少なくとも1つの 第2のバスバー(220)の前記第2の端部(222)を第4の導電体(40)に固定するための第4の固定機構として形成されている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記第1の接続部(214,224)および前記第2の接続部(215,225)は、1つのねじ山として形成されていることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
少なくとも1つの磁気コア(300)を備え、
前記少なくとも1つの磁気コア(300)は、前記ハウジング体に配設されており、前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの前記中央部(213,223)を包囲していることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)は、前記少なくとも2つのバスバー(210,220)のそれぞれの第1および第2の端部の少なくとも1つ(211,222)およびそれぞれの前記中央部(213,223)が、前記少なくとも1つの磁気コア(300)の中に挿入可能であるように、形成されていることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
前記第1のバスバーおよび前記少なくとも1つの第2のバスバーの内の少なくとも1つ(210,220)は、前記ハウジング体(100)において1つの積層構造体で配設されており、前記少なくとも1つの磁気コア(300)によって包囲されている複数の導電体を備えることを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
少なくとも2つのコンデンサ(401,402)を備え、
前記少なくとも2つのバスバー(210,220)は、前記少なくとも2つのコンデンサ(401,402)のそれぞれを介して前記基準電位(N)と接続されている、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のフィルタデバイスにおいて、
少なくとも1つのコンデンサ(403)を備え、
前記少なくとも1つのコンデンサ(403)は、前記少なくとも2つのバスバー(210,220)を互いに接続している、
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタデバイスに関し、特にEMVフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、たとえばハイブリッドおよび電気自動車の分野においては、高電圧バッテリと駆動ユニットとの間の高電圧バスの長い接続線が実装されなければならない。この駆動ユニットは、典型的にこの接続線上に150MHzで120dbμVのノイズ電圧を生成する。将来的にこの高電圧バスは、オープンアーキテクチャを備えることが計画されており、したがってこの自動車における多数の部品、たとえば交流電圧発電機,ポンプ,等が共通な高電圧バスにアクセスし得る。このためこの高電圧バッテリと駆動ユニットとの間の接続線をコストのかかるシールドされたコネクタおよびケーブルで実装することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、導電ライン上でのノイズ電圧を充分に抑圧し、小さな必要スペースを有し、かつできる限り容易に取り付けられるフィルタデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの可能な実施形態によれば、フィルタデバイスは1つのハウジング体および少なくとも2つのバスバーを備え、これらのバスバーはそれぞれ1つの第1の端部と1つの第2の端部とを備え、これらの端部の間にはそれぞれ1つの中央部が配設されている。これらのバスバーの1つの第1のバスバーは、1つの第1の電位の接続のための1つの第1の接続部と、1つの第1の負荷を接続するための1つの第2の接続部とを備える。これらのバスバーの少なくとも1つの第2のバスバーは、上記の第1の電位と異なる1つの第2の電位の接続のための1つの第1の接続部と、上記の第1の負荷と異なる第2の負荷を接続するため、または基準電位の接続のための1つの第2の接続部とを備える。これらのそれぞれの第1の接続部は、上記の少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第1の端部に配設されており、それぞれの第2の接続部は、上記の少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第2の端部に配設されている。これらの少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第1の端部は、上記のハウジング体の1つの第1の側面でこのハウジング体から外に突出している。これらの少なくとも2つのバスバーのそれぞれの第2の端部は、上記のハウジング体の第1の側面と異なる1つの第2の側面でこのハウジング体から外に突出している。これらの少なくとも2つのバスバーのそれぞれの中央部は、このハウジング体内に配設されている。第1のバスバーの第1の端部,第2の端部,および中央部は、第1のレベル面に配設されている。少なくとも1つの第2のバスバーの第1の端部,第2の端部,および中央部は、この第1のレベル面と異なる第2のレベル面に配設されている。
【0005】
本発明によるフィルタデバイスは、1つのEMVフィルタとして使用することができる。上記の端部(複数)は、それぞれのバスバー用の接続部(複数)と同一のレベル面にあり、かつ上記の2つのバスバーは異なるレベル面に配設されているので、このフィルタデバイスの接続部の延長導体への取り付けは、1つの取り付け装置によって行うことができる。これらの2つのバスバーの第1のバスバーおよび少なくとも1つの第2のバスバーの端部(複数)が、それぞれのレベル面において異なる方向に配設されている場合は、たとえば上記の延長導体へのねじ止めを行うために、全ての接続部が1つの取り付け装置によって容易にアクセスできる。このため、この第1のバスバーおよび少なくとも1つの第2のバスバーは、L形状に曲げられていてよい。これらのバスバーのL形状の幾何形状は、たとえばこれらのバスバーの金属板から打ち抜き加工では、ほんの僅かな材料の使用で行われるという利点がある。
【0006】
本発明によるフィルタデバイスの、さらなる有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0007】
本発明が、以下の本発明の実施形態を示す図を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイスの1つの実施形態を示す。
【
図2】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイス用の少なくとも2つのバスバーの1つの実施形態を示す。
【
図3】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイス用の少なくとも2つのバスバーの1つの実施形態の構成を示す。
【
図4A】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイス用の少なくとも2つのバスバーの1つの構成の上面図を示す。
【
図4B】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイス用の少なくとも2つのバスバーの1つの構成の上面図を示す。
【
図5】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイス用の少なくとも2つのバスバーのもう1つの実施形態を示す。
【
図6】1つの導電ライン上のノイズ電圧をフィルタリングするための1つのフィルタデバイスの1つの実施形態を示す。
【0009】
図1は、1つのフィルタデバイス1、特に有効信号と共に1つの導電ライン上を伝播され得るノイズ信号をフィルタリングするための1つのEMVフィルタデバイスの1つの実施形態の上面図を示す。このフィルタデバイスは、1つのハウジング体100を備え、このハウジング体には1つのバスバー210および1つのバスバー220が配設されている。これらのバスバー210および220は、それぞれ扁平導体として形成されていてよい。このバスバー210は、上記のハウジング体の1つの側面S100a上にこのハウジングから突出している1つの端部211を備える。このバスバー210のもう1つの端部212は、この反対側にある側面S100b上にこのハウジングから突出している。このバスバー210の中央部213は、このハウジング内部に配設されている。上記のバスバー220は、ハウジング100の側面S100aから突出している1つの端部221を備える。このバスバー220のもう1つの端部222は、1つの側面S100b上でこのハウジング体100から突出している。このバスバー220の中央部223は、このハウジング内部に延在している。
【0010】
フィルタデバイス1を導電体に接続するために、バスバー210は、1つの接続部214および1つの接続部215を備える。この接続部214は、バスバー210の端部211に配設されている。この接続部215は、バスバー210の端部212に配設されている。接続部214を用いて、バスバー210は、たとえば1つの電源電圧に接続されていてよく、たとえば1つのバッテリに接続されていてよい。接続部215は、1つの負荷あるいは1つの電力消費体(Verbraucher)に接続されてよい。バスバー220は、導電体(複数)と接続するために、このバスバー220の端部221に配設されている1つの接続部224と、このバスバー220の端部222に配設されている1つの接続部225とを備える。
【0011】
バスバー210および220の中央部213および223は、ハウジング体100の内部において磁気コア(複数)300によって包囲されている。
図1の実施形態例においては、ハウジング体100の内部において、たとえば4個の磁気リングコアが配設されており、これらはバスバー210および220のそれぞれの中央部213,223を包囲している。バスバー210は、1つのコンデンサ401を介して参照電圧端子N、たとえば接地端子に接続されていてよい。バスバー220は、1つのコンデンサ402を介してこの参照電圧端子Nに接続されていてよい。
【0012】
図1に示すフィルタデバイスの実施形態では、上記のバスバー210および220は、直線状に延在する扁平導体として形成されている。
図2は、同様に扁平導体として形成されているバスバー210,220の1つの実施形態を示す。ただしこれらのバスバーは、
図1に示すバスバーの実施形態と異なり、直線状でなく、L形状に形成されている。これらのバスバー210および220は、その電流定格に依存して、たとえば10cm〜1mの長さ,10mm〜10cmの幅,および1mm〜20mmの高さ/厚さを有してよい。
【0013】
バスバー210は、1つの導電体10に接続するための1つの接続部214を有する1つの端部211を備える。この接続部214は、この導電体10を介して1つの電位V1、たとえば1つの電源電圧の電位に接続されていてよい。さらにこのバスバー210は、1つの電気的負荷L1を接続するための1つの接続部215を有する1つの端部212を備える。この接続部215は、1つの導電体20を介してこの電気的負荷L1に接続されていてよい。これら2つの端部211と212との間には、バスバー210の1つの中央部213が配設されている。
【0014】
端部211は、このバスバー210の中央部213および端部212からなる、このバスバーの残りの部分より短く形成されている。このバスバー210の端部211,端部212,および中央部213は、1つの共通なレベル面に配設されている。直線状に形成する代わりに、この端部211は中央部213に対して80°〜100°の角度で配設されている。
図2に示す実施形態では、この端部211は、中央部213に対して直角すなわち90°の角度で配設されている。
【0015】
バスバー220は、バスバー210と同様に構成されている。このバスバーは、1つの電位に接続するための、たとえば1つの電源電圧V2に接続するための1つの接続部224を有する1つの端部221と、1つの負荷L2に接続するための1つの接続部225を有する1つの端部222とを備える。接続部224には、たとえば1つの導電体30が接続されていてよく、この導電体は、接続部224を上記の電位V2に接続している。接続部225には1つの導電体40が接続されていてよく、この導電体は、接続部225を上記の負荷L2に接続している。これら2つの端部221と222との間には、バスバー220の1つの中央部223が配設されている。
【0016】
このバスバー220では、その端部222は、このバスバー220の中央部223および端部221からなる、このバスバーの残りの部分より短く形成されている。端部221,中央部223,および端部212は、1つの共通なレベル面に配設されている。直線状に形成する代わりに、この端部222は中央部223に対して80°〜100°の角度で配設されている。
図2に示す実施形態では、この端部222は、中央部223に対して直角すなわち90°の角度で配設されている。
【0017】
図3は、
図2に示すL形状に形成されたバスバー210および220の構成を示す。これら2つのバスバー210および220は、1つの積層構造体で重なって積層されている。これら2つのバスバーは、バスバー210の端部210およびバスバー220の端部221が積層構造体の一方の端部に配設されるように、この積層構造体に配設されている。これに対応して、この積層構造体においては、バスバー210の端部212およびバスバー220の端部222が、この構造体のもう一方の端部に配設されている。これらの端部211および221の形状のおかげで、バスバー210の接続部214およびバスバー220の接続部224は、互いに揃わずに配置されている。同様にこれらの端部212および222の形状のおかげで、これらの接続部215および225は、互いに揃わずに配置されている。
【0018】
図4Aは、
図3に示すバスバー210の構成で、端部211,212およびバスバー210の中央部213が、1つの共通なレベル面E1に配設されていることを示す。このレベル面E1は、1つのxおよびy方向に張られている。バスバー210では、その端部211はこのレベル面E1内で、中央部213とは別の1つの方向に向いている。このバスバー210の端部212は、このレベル面E1内で、中央部213と同じ方向を向いている。
【0019】
バスバー220では、その端部221,222および中央部223が1つの共通なレベル面E2に配設されている。このレベル面E2は、1つのxおよびy方向に張られている。バスバー210が配設されている上記のレベル面E1と、バスバー220が配設されているこのレベル面E2とは互いにずれて配設されている。バスバー220では、その端部222はこのレベル面E2内で、中央部223とは別の1つの方向に向いている。このバスバー210の端部221は、このレベル面E2内で、中央部223と同じ方向を向いている。以上により、端部211および221に存在する接続部214および224、あるいは端部212および222にある接続部215および225は、互いに揃わずに配置されている。
【0020】
図4Bは、扁平導体として形成されたバスバー210および扁平導体として形成されたバスバー220を断面で示す。バスバー210は、1つの側面S210aおよび1つの側面S210bを備え、これらの2つの側面は、その扁平導体の幾何形状のおかげで、この扁平導体の全ての側面の最も大きな面積を備えている。同様に扁平導体として形成されたバスバー220は、1つの側面S220aおよび1つの側面S220bを有する。これら2つの側面S220aおよびS220bは、この扁平導体220の全ての側面の中で、最も大きな面積を有する。上記のレベル面E1は、側面S210aおよびS210bの間に、これらの側面S210aおよびS210bに対し平行に配設されている。上記のレベル面E2は、側面S220aおよびS220bの間に、これらの側面S220aおよびS220bに対し平行に配設されている。
図4Bを参照すれば明らかなように、上記の2つのバスバー210および220が配設されている、これらのレベル面E1およびE2は、互いにずれて配設されている。
【0021】
図5は、1つのフィルタデバイスのバスバー210および220の1つの実施形態を示し、ここでこれらのバスバーのそれぞれは、複数の導電体を備える。これらの導電体は、扁平導体として形成されていてよい。このバスバー210は、たとえば個別の導電体210aおよび210bを備え、これらは重なり合って積層されて配設されている。バスバー220は、導電体220aおよび220bを備え、これらは同様に1つの積層構造体で重なり合って配設されている。
【0022】
これらの導体210aおよび210bは、それぞれ接続部214および215を有する端部211および212を備える。それぞれの端部211および212の間には、導体210a,210bの中央部213が配設されている。これらの導電体220aおよび220bは、それぞれ接続部224および225を有する端部221および222を備える。それぞれの端部221および222の間には、導体220a,220bの中央部223が配設されている。
【0023】
バスバー210では、これらの導電体210aおよび210bは、これらの導電体210a,および210bのそれぞれの端部211が重ねられて配設されるように、配設されている。同様にこれらの導電体210a,210bのそれぞれの端部212、およびこれらの導電体210a,210bのそれぞれの中央部213は重ねられて配設されている。ここで個々の部分は、
図5に示すように、互いに全く重なり合うように配設することができる。こうしてこれらの導電体210a,210bのそれぞれの接続部214および215は、互いに全く重なり合うように配設されている。
【0024】
バスバー220では、これらの導電体220aおよび220bは、これらの導電体220a,および220bのそれぞれの端部221が重ねられて配設されるように、重ねられて配設されている。同様にこれらの導電体220a,220bのそれぞれの端部222、およびこれらの導電体220a,220bのそれぞれの中央部213は重ねられて配設されている。個々の部分はこのバスバー220でも、
図5に示すように、互いに全く重なり合うように配設することができる。この場合これらの導電体220a,220bのそれぞれの接続部224および225は、互いに全く重なり合うように配設されている。
【0025】
図6は、有効信号と共に1つの導電体上を伝播し得るノイズ信号をフィルタリングするためのEMVフィルタデバイスとして形成されている1つのフィルタデバイス2を示す。このフィルタデバイス2は、1つのハウジング体100を備え、このハウジング体には1つのバスバー210および1つのバスバー220が配設されている。これらのバスバー210および220は、
図2,3,4A,4Bおよび5に示す実施形態を備えてよい。これらのバスバー210および220は、それぞれ扁平導体として形成されていてよい。
【0026】
図6に示すフィルタデバイスの実施形態は、
図5に示すようなバスバー210および220を備え、複数の積層された導電体を備える。これらのバスバーのいずれも、
図3に示すように、それぞれただ1つの導電体を備えてもよい。これらのバスバーは、その端部211が、上記のハウジング体の側面S100aでこのハウジングから突出するように、このハウジング体に配設されている。端部212は、この反対側にある側面S100b上にこのハウジング体100から突出している。このバスバー210の中央部213は、このハウジング内部に配設されている。バスバー220では、その端部221がハウジング100の側面S100a上でこのハウジング体から突出している。このバスバー220の端部222は、側面S100b上でこのハウジング体100から突出している。このバスバー220の中央部223は、このハウジング内部に延在している。これらのバスバーの互いの絶縁のために、これらのバスバー210と220との間に1つの絶縁体500が配設されていてよい。
【0027】
フィルタデバイス1を導電体に接続するために、バスバー210は、上記の接続部214および上記の接続部215を備える。この接続部214は、バスバー210の端部211に配設されている。この接続部215は、バスバー210の端部212に配設されている。接続部214を用いて、バスバー210は、たとえば1つの電源電圧に接続されていてよく、たとえば1つのバッテリに接続されていてよい。接続部215は、1つの負荷あるいは1つの消費体(Verbraucher)に接続されてよい。バスバー220は、導電体(複数)と接続するために、このバスバー220の端部221に配設されている上記の接続部224と、このバスバー220の端部222に配設されている上記の接続部225とを備える
バスバー210および220の中央部213および223は、ハウジング体100の内部において少なくとも1つの磁気コア300によって包囲されている。
図6の実施形態例においては、ハウジング体100の内部において、たとえば4個の磁気リングコアが配設されており、これらはバスバー210および220のそれぞれの中央部213,223を包囲している。このフィルタデバイスは、少なくとも2つのコンデンサを備えてよい。
【0028】
バスバー210および220はそれぞれ、これらのコンデンサの1つを介して参照電圧端子N、たとえば接地端子に接続されている。バスバー210は、1つのコンデンサ401を介してこの参照電圧端子Nに接続されていてよい。バスバー220は、1つのコンデンサ402を介してこの参照電圧端子Nに接続されていてよい。この代替あるいは追加として、これら2つのバスバーは、少なくとも1つのコンデンサを介して相互に接続されている。フィルタデバイスのこの対称的な実施形態では、バスバー210とバスバー220との間に1つのコンデンサ403が回路接続されていてよい。
【0029】
バスバー210の端部211,端部212,および中央部213は、1つのレベル面E1に配設されている。バスバー220の端部221,端部222,および中央部223は、このレベル面E1とは異なるレベル面E2に配設されている。
図1に示す1つのフィルタデバイスの実施形態1と異なり、これらのバスバー210および220は、このように1つの共通なレベル面には配設されていない。その代わりに、これらのバスバー210および220は、
図3,4A,および4Bを参照して説明したように、異なるレベル面E1およびE2に配設されている。以上により少なくとも1つの磁気コア300は、
図1に示す1つのフィルタデバイスの変形例より小さく形成することができ、これより
図1に示す実施形態より顕著に効果的である。
【0030】
接続部214,215,224,および225は、それぞれ、導電体10,20,30,および40の固定のための1つの固定機構として形成されていてよい。これらはたとえばそれぞれ、延長導電体がそれにねじ止めされ得る1つの凹部または1つのねじ山として、これらのバスバー210および220のそれぞれの端部に形成されていてよい。
【0031】
これらの接続部214,215は、バスバー210の端部211,212に含まれているので、これら2つの接続部は同じレベル面E1に存在している。同様に、バスバー220の端部221および222に含まれる接続部224,225も、共通なレベル面E2に配設されている。
図2,4A,および4Bを参照して説明したように、これら2つのレベル面E1およびE2は互いに平行に延在しているので、上記の接続部214,215,224,および225も1つの方向に向いて配置されている。以上により、接続部214,215,224,および225に接続される導電体は、ハウジング体に対して、あるいは、このハウジング体が固定される基材に対して、1つの方向からバスバー210および220に接続することを可能とする。ハウジング体の1つの共通な側面に配設されているバスバー210および220の端部は、これらのそれぞれのレベル面において異なる方向に配設されているので、それらの接続部が重ならず、したがって取付け方向から容易にアクセスできる。これらの電気的接続部をねじ山として形成することによって、フィルタデバイス2の上記の延長導電体とのねじ止めは、こうして1つの取付け方向から行うことができる。
【0032】
L形状のバスバー210および220の幾何形状のおかげで、これらの導電体のバスバーへの取付けは、これらのバスバーの様々な部分を互いに回転させ、ばらばらに曲げあるいは延ばすことなしに、1つの方向から実現することができる。さらにこれらのバスバーの製造、具体的には1つの金属板からのこれらのバスバーの打ち抜き加工の際に、このL形状のバスバーの幾何形状のおかげで、ほんの僅かな材料しか使用されない。このL形状のバスバーの幾何形状のおかげで、本発明によるフィルタデバイスの取付けは容易となるが、これはこれらのバスバーが一方の側から、少なくとも1つのリングコアからなる構造体に挿入することができるからである。
【符号の説明】
【0033】
1,2 : 1つのフィルタデバイスの実施形態
100 : ハウジング体
210 : バスバー
211,212 : バスバーの端部
213 : バスバーの中央部
214,215 : バスバーの接続部
220 : バスバー
221,222 : バスバーの端部
223 : バスバーの中央部
224,225 : バスバーの接続部
300 : 磁気コア
401,402,403 : コンデンサ
500 : 絶縁体