特許第6193478号(P6193478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193478波長変換要素の製造方法、波長変換要素、および波長変換要素を備えた部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193478
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】波長変換要素の製造方法、波長変換要素、および波長変換要素を備えた部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20170828BHJP
   H01L 33/50 20100101ALN20170828BHJP
【FI】
   G02B5/20
   !H01L33/50
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-512341(P2016-512341)
(86)(22)【出願日】2014年5月6日
(65)【公表番号】特表2016-524180(P2016-524180A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014059231
(87)【国際公開番号】WO2014180842
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年1月4日
(31)【優先権主張番号】102013104776.9
(32)【優先日】2013年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ゲーツ ブリッタ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドル マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フォン マルム ノーヴィン
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−154913(JP,A)
【文献】 特開2007−169525(JP,A)
【文献】 特開2004−039833(JP,A)
【文献】 特開2010−253775(JP,A)
【文献】 特開平06−208150(JP,A)
【文献】 特開平09−219339(JP,A)
【文献】 特開2013−004734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換要素(10)の製造方法であって、
A) 第1の表面(100a)、および、前記第1の表面(100a)とは反対側の第2の表面(100b)を有する波長変換層(100)を設けるステップであって、前記第2の表面は、キャリア層(200)上に配置されるステップと、
B) 前記第1の表面(100a)をプラズマ(50)で処理するステップと、
C) 少なくとも前記波長変換層(100)を打ち抜くステップであって、第1の表面(10a)と、反対側の第2の表面(10b)とを有する少なくとも1つの波長変換要素(10)が得られるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記キャリア層(200)は、方法ステップB)後に除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記波長変換層(100)の前記第2の表面(100b)は、方法ステップB)後の方法ステップB1)においてプラズマ(50)で処理される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
方法ステップC)において、前記波長変換層(100)は打ち抜かれ、前記波長変換要素(10)は容器(60)内に収集される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法ステップC)において、前記波長変換層(100)は打ち抜かれ、前記波長変換要素(10)は、前記第2の表面(10b)によって補助層(70)上に配置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
方法ステップC)において、前記波長変換層(100)および前記キャリア層(200)は、打ち抜かれ、打ち抜かれたキャリア層(220)上に配置された前記波長変換要素(10)が得られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
方法ステップC)において、前記打ち抜かれたキャリア層(220)は、前記波長変換要素(10)とは反対側の面によって接着層(80)上に配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法ステップC)後の方法ステップC1)において、補助層(70)が前記波長変換要素(10)の前記第1の表面(10a)上に配置され、前記接着層(80)は除去される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
四辺形、円形、少なくとも1つの凹部(11)を有する四辺形、少なくとも1つの凹部(11)を有する円形から選択される内側形状を有する打抜きツール(40)が方法ステップC)において使用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の表面(10a)と、前記第1の表面(10a)とは反対側の第2の表面(10b)とを備える波長変換要素(10)であって、前記波長変換要素(10)は、前記第1の表面(10a)および/または前記第2の表面(10b)から垂直方向に浸入深さまでガラスを含み、前記浸入深さを越えて前記ガラス材料より粘着性の高い材料を含む、波長変換要素(10)。
【請求項11】
前記第1の表面(10a)および/または第2の表面の側部上に鋭い縁部を有する、請求項10に記載の波長変換要素(10)。
【請求項12】
30μm〜300μmの範囲から選択される厚さの、請求項10〜11のいずれか一項に記載の波長変換要素(10)。
【請求項13】
0.1mm〜20mmの範囲から選択される面積の、請求項10〜12のいずれか一項に記載の波長変換要素(10)。
【請求項14】
放射出射型の半導体チップ(2)と、前記第1の表面(10a)または前記第2の表面(10b)によって前記半導体チップ(2)上に前記半導体チップ(2)のビーム経路内に配置された、請求項1013のいずれか一項に記載の波長変換要素(10)と、を備える、オプトエレクトロニクス部品。
【請求項15】
前記半導体チップ(2)を包囲し、前記波長変換要素(10)の前記第2の表面(10b)または前記第1の表面(10a)と面一であるポッティング部(5)をさらに備える、請求項14に記載のオプトエレクトロニクス部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換要素の製造方法と、波長変換要素と、波長変換要素を備えた部品とに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)が狭波長域の光を生成することにより、通常、単色光の印象が得られる。多色光または混色光の印象を得るために、通常は色素がLEDの下流に配置され、かかる色素は、LEDによって出射された光の一部を異なる波長の光に変換する。変換された光と、LEDによる一次出射光とを重ね合せることによって、多色光または混色光の印象を与え得る広い波長スペクトルを得ることができる。
【0003】
この場合、波長変換色素は、一般的には、オプトエレクトロニクス部品内で使用することができるように波長変換要素に個別化される必要がある波長変換層内に埋め込まれる。今日まで、満足な品質の個別化を行なうことができなかった。レーザを用いた個別化では、上記要素は黒色化しうるため、LEDの輝度が失われ得る。ソーイングでは、上記要素内に凹部を形成し得ず、水ジェット切削では、波長変換要素の縁部の品質が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長変換要素を製造するための改良した方法を提供することが本発明の少なくとも一実施形態の目的である。性質を向上させた波長変換要素を提供すること、および、そのような波長変換要素を備えた部品を提供することがさらなる目的である。
【0005】
A) 第1の表面、および、第1の表面とは反対側の第2の表面を有する波長変換層を設けるステップであって、第2の表面は、キャリア層上に配置されるステップと、
B) 第1の表面をプラズマで処理するステップと、
C) 少なくとも上記波長変換層を打ち抜くステップであって、第1の表面と、反対側の第2の表面とを有する少なくとも1つの波長変換要素が得られるステップと、
を含む、波長変換要素の製造方法が提供される。
【0006】
方法ステップA)において、波長変換層を最初に製造する。この方法ステップは、圧縮成形、射出成形、または、射出圧縮成形等によって行なわれ得る。
【0007】
波長変換層および波長変換要素の第1のおよび第2の表面それぞれに関し、「反対側」とは、これら2つの表面の実質的に互いに平行な配置を意味する。
【0008】
波長変換要素は、波長変換要素が横方向に延在する主延在面を有し得る。この主延在面に直交して垂直方向に、波長変換要素は厚さを有し得る。波長変換要素の厚さは、好ましくは、波長変換要素の横方向の最大限の大きさに比して小さい。波長変換要素の主面は、波長変換要素の第1の表面を形成する。
【0009】
波長変換層の性質、組成、材料、および充填率に関する以下の説明は、波長変換層から個別化される波長変換要素にも等しく適用される。本発明の場合、波長変換層の個別化は、波長変換層が物理的または化学的に変形することなく、または、波長変換層の第1のおよび/または第2の表面の変形のみを伴って行なわれる。
【0010】
本波長変換層は、マトリックス材料内に表面全体に亘って埋め込まれた、少なくとも1種の波長変換物質を含む。波長変換物質は、半導体チップによって生成された光(一次放射)を少なくとも部分的に吸収し、吸収した光を一次放射とは少なくとも部分的に異なる波長の二次放射として出射することに特に適していてもよい。一次放射および二次放射は、赤外線から紫外線までの波長域内、特に、可視の波長域内の1つ以上の波長および/または波長域を含み得る。この場合、一次放射のスペクトルおよび/または二次放射のスペクトルは、狭帯域であり得る(すなわち、一次放射および/または二次放射は、単色の、または実質的に単色の波長域を有し得る)。代替として、一次放射のスペクトルおよび/または二次放射のスペクトルは、広帯域であってもよい(すなわち、一次放射および/または二次放射は、混色波長域を有し得、この場合、上記混色波長域は、連続スペクトル、または異なる波長域内の複数の離散スペクトル要素を有し得る)。一次放射および二次放射は、重ね合わされるとき、白色光の印象を与える。代替として、本波長変換要素は、一次放射を二次放射に完全に変換してもよく、これは、いわゆる全変換(full conversion)といわれ得る。
【0011】
本発明において、波長変換物質は、希土類金属およびアルカリ土類金属のガーネット(例:YAG:Ce3+)、窒化物、ニトリドシリケート、SiON、サイアロン、アルミン酸塩、酸化物、ハロリン酸塩、オルトシリケート、硫化物、バナジン酸塩、ならびに、クロロシリケートのうちの1種以上の材料を含み得る。さらに、追加または代替として、本波長変換物質は、有機材料を含んでもよく、有機材料は、ペリレン、ベンゾピレン、クマリン、ローダミン、および、アゾ色素からなる群から選択され得る。
【0012】
本波長変換層は、マトリックス材料内に埋め込まれる波長変換物質として、上記波長変換物質の適切な混合物および/または組合せを含み得る。マトリックス材料は、波長変換物質を封入または含有していてもよいし、波長変換物質に化学結合していてもよい。この場合、波長変換物質は、マトリックス材料内に均一に分散され得る。波長変換物質を、例えば、粒子状に構成してもよく、かかる粒子の大きさを、100μm以下、特に2μm〜30μmの間としてもよい。
【0013】
さらに、本波長変換層は、マトリックス材料として、波長変換物質が埋め込まれる透明マトリックス材料を備え得る。かかる透明マトリックス材料は、ガラス、シロキサン、エポキシド、アクリレート、メタクリル酸メチル、イミド、炭酸塩、ウレタン、または、これらのモノマー、オリゴマーもしくはポリマーの形態の誘導体、および、これらのさらなる混合物、コポリマー、もしくは、化合物からなる群から選択され得る。例えば、本マトリックス材料は、エポキシ樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロキサン等のシリコーン樹脂、または、これらの混合物を含んでもよいし、上記材料のいずれかであってもよい。
【0014】
特に、本マトリックス材料は、シリコーン樹脂を含んでもよく、シリコーンであってもよい。シリコーンは、その熱可塑特性によって、容易に加工され得る一方、波長変換要素に必要な放射安定性のみならず透明性等の求められる光学的性質を他方で有し得る。
【0015】
さらに、本波長変換層もシリコーンを含み得る。シリコーンの場合、Si−O基および/またはSi−OH基が波長変換層のプラズマ処理面上にプラズマによって生成され得る。さらに、本波長変換層は、加水分解性化学基を含むことができる。
【0016】
波長変換物質は、例えば、15%以上かつ80%以下の充填率でマトリックス材料内に存在し得る。
【0017】
本波長変換層は、第1の表面、および、第1の表面とは反対側の第2の表面を備え、これらはまた、波長変換層の上面および下面ともいわれ得る。上記製造方法では、第2の表面、すなわち下面は、キャリア層上に配置される。
【0018】
第1の表面が方法ステップB)において処理されるときのプラズマは、酸素プラズマおよび/またはオゾンプラズマ等の、酸化プラズマであってもよい。本明細書において、「処理する」とは、第1の表面に改質が起こるまで第1の表面をプラズマに曝すことを意味するものと解釈されたい。改質とは、例えば、波長変換層内のマトリックス材料の、第1の表面上に配置された分子または分子の置換基と反応するプラズマによって引き起こされる化学反応であり得る。シリコーンを含有するマトリックス材料の場合、C基が酸化し得、その結果、SiOが第1の表面上に残存する。上記改質はまた、第1の表面上に配置されたマトリックス材料のポリマーの再編成によっても引き起こされ得る。この改質によって、第1の表面の粘着性を低下させ得る、すなわち、例えばシリコーンの第1の表面の表面付着を低減し得る。プラズマ処理によるアッシングプロセスによるガラス化にも言及される。このため、波長変換層内に存在する非常に高い粘着性または弾性のマトリックス材料にさえ、方法ステップC)において打抜きを行なうことができる。
【0019】
プラズマ処理によるガラス化の間、酸素プラズマおよび/またはオゾンプラズマによって酸素が波長変換層の粘着性材料内に混合される。その結果、波長変換層の粘着性材料は、波長変換層のガラス化面上でより低粘着性のガラス材料に変換される。この場合、ガラス化面は、第1の表面および/または第2の表面であり得る。したがって、この場合、波長変換層は、粘着性材料およびガラス材料を含み、このガラス材料は、酸素および/またはOH基を加えることによって粘着性材料から得られる。
【0020】
さらに、ガラス化によって、波長変換層のガラス化面上への汚染物質の付着を減少させることができる。この場合、粘着性が低減される程度は、上記付着の減少の程度によって決定され得る。換言すれば、材料の粘着性が低いほど、不純物の付着は少ない。さらに、付着物が少ないことから、ガラス化面の表面粗さがガラス化前の表面粗さに比して低減されていることを推論することができる。
【0021】
特に、ガラス化には特定の侵入深さがある。換言すれば、プラズマ処理によるガラス化後、波長変換層は、垂直方向(すなわち、ガラス化面に対して直交方向)において侵入深さまでガラス化され得る(すなわち、ガラスを含み得る)。上記侵入深さは、例えば、波長変換層の厚さの高々2%、好ましくは高々1%に一致し得る。例えば、侵入深さは、少なくとも30nm、高々600nmである。このように、波長変換層は、製造公差の範囲内で第1の表面に対して直交して延在する方向に、ガラス化面から侵入深さまでガラスを含み得る。侵入深さに沿って、波長変換層は、波長変換層のガラス化された材料とガラス化されていない材料との混合物を含む。
【0022】
方法ステップC)において、少なくとも波長変換層を打ち抜き、少なくとも1つの波長変換要素を得る。1つ以上の波長変換要素が一度の方法ステップC)において得られるかどうかは、使用される打抜きツールが1つのみの波長変換要素を打ち抜くことができるか、または、複数の波長変換要素を同時に打ち抜くことができるかによる。これは、製造される波長変換要素に関して「少なくとも1つの」という表現が明示的に使用されていないとしても、本方法に関する下記説明にも同様に当てはまる。
【0023】
方法ステップC)を複数回繰り返してもよく、その結果、方法ステップA)において製造され、方法ステップB)においてプラズマで処理された波長変換層から、複数の波長変換要素を個別化することができる。この場合、一度目の方法ステップC)が行なわれる前に、波長変換層の製造およびプラズマ処理は、一度のみ行なわれる。
【0024】
本波長変換要素は、第1の表面と、反対側の第2の表面とを備え、この波長変換要素は、波長変換層の第1のおよび第2の、任意でプラズマ処理された表面の一部の領域に対応する。本波長変換要素は側縁部をさらに備え、この側縁部は、第1の表面または第2の表面と共に縁部を形成する。
【0025】
したがって、方法ステップC)は、波長変換要素の波長変換層からの個別化に関する。
【0026】
本方法では、方法ステップB)後にキャリア層を除去してもよい。したがって、プラズマ処理は、キャリア層が波長変換層の第2の表面上に依然として配置されている間に、第1の表面上に行なわれ得る。そのため、プラズマ処理中の波長変換層のための複雑なホルダが場合によっては不要となり得る。
【0027】
代替として、方法ステップB)前に、すなわち、波長変換層の第1の表面のプラズマ処理前に、キャリア層を除去してもよい。この場合、波長変換層の第1の表面と、同時に第2の表面とがプラズマ処理され得る。
【0028】
さらに、本方法では、方法ステップB)後の方法ステップB1)において波長変換層の第2の表面をプラズマ処理してもよい。方法ステップB1)は、特に、方法ステップB)後にキャリア層が除去される場合に行なわれ得る。この場合、波長変換層の第1のおよび第2の表面は、同時にではなく連続的にプラズマ処理される。波長変換層の第2の表面のプラズマ処理には、波長変換層の第1の表面のプラズマ処理に関する説明が同様に当てはまる。
【0029】
さらに、方法ステップC)において、波長変換層を打ち抜いてもよく、波長変換要素を容器内に収集してもよい。したがって、第1のおよび第2の表面上がプラズマで処理された波長変換要素は、キャリアなしで容器内に得られる。上記容器は、波長変換要素を輸送するために使用されてもよく、さらなる方法ステップにおいて、装置を使用して波長変換要素を分類してもよく、波長変換要素の性質を試験してもよい。最後に、波長変換要素は、補助層上に設けられ得るか、または、補助層上に設けられた後に、波長変換要素が設けられるための半導体チップに転写され得る。補助層を、熱放出膜またはUV放出膜等の、除去可能膜としてもよい。
【0030】
本方法では、方法ステップC)を複数回繰り返してもよく、その結果、1つの波長変換要素について説明したように、複数の波長変換要素が容器内に収集され得、さらに処理され得る。
【0031】
他の実施形態では、キャリア層を、方法ステップB)の前または後に除去してもよく、かつ、方法ステップC)において、波長変換層を打ち抜いてもよく、この場合、波長変換要素は、第2の表面によって補助層上に配置される。補助層を、熱放出膜またはUV放出膜等の除去可能な膜としてもよい。したがって、この実施形態では、波長変換要素の第2の表面が補助層上において打ち抜かれる。方法ステップC)は複数回繰り返され得、その結果、複数の波長変換要素が共に補助層上に配置される(すなわち、打ち抜かれる)。この場合、毎回方法ステップC)が行なわれた後、打抜きツールは、次の方法ステップC)で製造される波長変換要素が、補助層の波長変換要素が未だ配置されていない領域上において打ち抜かれるように、補助層に対して平行に移動する。
【0032】
補助層上に配置された1つ以上の波長変換要素は、試験、分類、輸送され得る。適用可能であれば、1つ以上の波長変換層は、後続の輸送のためにその第1の表面によって新たな補助層上に配置され、波長変換要素の第2の表面側の補助層は除去される。この実施形態では、プラズマ処理は、一方の側からのみ、すなわち、波長変換層の第1の表面からのみ必要である。
【0033】
他の実施形態では、波長変換層をキャリア層上に配置してもよく、かつ、方法ステップC)において、波長変換層およびキャリア層を共に打ち抜いてもよい。この場合、打ち抜かれたキャリア層上に配置された波長変換要素が得られる。かかる実施形態では、波長変換層の第1の表面のみがプラズマ処理される。この場合、打ち抜かれたキャリア層、および、当該打ち抜かれたキャリア層上に配置された波長変換要素の側縁部は、互いに上方に一致して配置され得る。
【0034】
さらに、方法ステップC)において、打ち抜かれたキャリア層は、波長変換要素とは反対側の面によって接着層上に配置され得る。上記打ち抜かれたキャリア層上に配置され、また、当該打ち抜かれたキャリア層が接着層上に配置されている波長変換要素が得られる。
【0035】
方法ステップC)が複数回繰り返され得る結果、打ち抜かれたキャリア層上にそれぞれが配置された複数の波長変換要素が得られる。さらに、打ち抜かれたキャリア層上に配置された多数の波長変換要素を、方法ステップC)において、一体的に接着層上に配置してもよい。この目的のために、行なわれた各方法ステップC)の後に、接着層は、次の方法ステップC)において得られる、打ち抜かれたキャリア層上に配置された波長変換要素が、接着層の、打ち抜かれたキャリア層および波長変換要素が存在しない領域上に配置されるように、打抜きツールに対して平行に移動する。
【0036】
さらに、方法ステップC)後の方法ステップC1)において、補助層を波長変換要素の第1の表面上に配置してもよく、かつ、接着層を除去してもよい。熱放出膜またはUV放出膜等の除去可能膜を補助層として使用してもよい。補助層が波長変換要素の第1の表面上に設けられるとすぐに、接着膜は、打ち抜かれたキャリア層と共に波長変換要素から除去される。代替として、接着層を最初に除去してもよく、次いで、異なる工程において打抜かれたキャリア層を除去してもよい。このように、第1の表面によって補助層上に配置された波長変換要素が得られる。次いで、上記波長変換要素は、その性質について試験され得、分類され得、また、適用可能であれば、後の輸送のために新たな補助層上に設置され得る。
【0037】
方法ステップC)が複数回繰り返される場合、補助層を、接着層上に配置された全波長変換要素上に設けてもよく、接着層および打ち抜かれたキャリア層を全波長変換要素から除去してもよい。
【0038】
したがって、波長変換層内の、粘着性または弾性が非常に高いマトリックス材料を打ち抜くことができ、波長変換要素の、打抜き工程によって丸みを付けられ得る縁部が、一方の面(例えば、波長変換要素の下面、すなわち第2の表面)上に制御されて位置し、鋭い縁部が他方の面(例えば、波長変換要素の第1の表面)上に制御されて位置する。
【0039】
上記において、また、以下において、鋭い縁部は、これら鋭い縁部が波長変換要素の第1のおよび/または第2の表面と側縁部とによって形成される約90°の角度を含むことを意味するものと理解されたい。鋭い縁部は、特に、波長変換要素の一方の表面と面一であることが意図されるポッティング部によって包囲される場合に特に有利である。
【0040】
さらに、四辺形、略四辺形、円形、少なくとも1つの凹部を有する四辺形、少なくとも1つの凹部を有する略四辺形、および、少なくとも1つの凹部を有する円形から選択される内側形状を有する打抜きツールが方法ステップC)において使用され得る。他の形状(例えば、多角形、楕円形、または、非対称形状であって、それぞれが凹部を有するかまたは有しない形状)も同様に想定され得る。上記において、また、以下において、「凹部」は、波長変換要素の縁部、特に周縁部において、打抜きツールの内側形状によって製造される切欠き部を意味するものである。さらに、凹部は、波長変換要素の表面の内部にも存在し得る。例えば、波長変換要素の縁部に2つの凹部があってもよい。これら2つの縁部は、例えば、互いに隣接して配置されても、互いに反対側に配置されてもよい。
【0041】
凹部は、波長変換要素を通してオプトエレクトロニクス部品内の、波長変換要素の下部の半導体チップにアクセスすることができるように、また、かかるアクセスを上記半導体チップの接触等のために使用するために使用され得る。
【0042】
このように、本明細書に記載の方法によって、波長変換層を打ち抜くことができ、したがって、波長変換層内に含有される波長変換物質またはマトリックス材料にダメージを与えることなく波長変換要素に個別化することができる。さらに、本方法は、波長変換要素の一方の表面において終端するように意図された、後に形成されるポッティング部のための鋭い縁部を有する波長変換要素の費用効率の高い製造方法である。さらに、波長変換要素を製造するための本方法は、波長変換プレートレットとして使用されるセラミックプレートレットの製造より安価である。本打抜き工程によって、スクリーン印刷法等によって得ることができるものより良好な表面および縁部の品質が得られる。
【0043】
さらに、上述の本方法によって製造される波長変換要素を提供する。本波長変換要素は、第1のおよび/または第2の表面の側部上に鋭い縁部を有し得る。これにより、例えば、波長変換要素の第2の表面は、波長変換要素の側縁部と共に約90°の角度を形成し得る。
【0044】
波長変換要素の厚さは、30μm〜300μmの範囲から選択される厚さであり得る。この場合、厚さは、製造公差の範囲内で、波長変換要素の第1の表面に直交して延在する方向に沿って特定され得る。上述の本方法によって、本波長変換要素が使用される分野に応じて、さまざまな厚さの波長変換要素が製造され得る。さらに、本波長変換要素の面積は、0.1mm〜20mmの範囲、特に0.1mm〜10mmの範囲、好ましくは0.25mm〜5mmの範囲、例えば0.5mm〜2mmの範囲から選択される面積であり得る。
【0045】
放射出射型の半導体チップと、第1の表面または第2の表面によって上記半導体チップ上に上記半導体チップのビーム経路内に配置された、上記説明に基づく波長変換要素と、を備えるオプトエレクトロニクス部品を提供する。したがって、波長変換要素は半導体チップ上に配置されており、この場合、波長変換要素を半導体チップ上に取り付けるために使用される接続層が半導体チップの上面と波長変換要素との間に配置され得る。発光半導体チップは、例えば、ヒ化物化合物半導体材料系、リン化物化合物半導体材料系、および/または、窒化物化合物半導体材料系をベースとする、光を生成する活性領域を有する半導体積層体を備える発光ダイオードとして構成され得る。このような半導体チップは当業者に既知であり、本明細書ではさらに詳細には説明しない。
【0046】
さらに、半導体チップおよび波長変換要素を備える上記オプトエレクトロニクス部品は、キャリア上に、および/または、ハウジング内に配置され得、かつ、いわゆるリードフレーム等の電気接続部によって電気的に接続可能であり得る。
【0047】
さらに、本波長変換要素は、上述のように少なくとも1つの凹部を備えてもよく、本波長変換要素は、半導体チップの上面に亘って配置され得、また、上記凹部内に半導体チップの接触領域が配置される。換言すれば、例えば、半導体チップの表面上の半導体チップの接触領域には、波長変換要素を通してアクセス可能であり得、その結果、半導体チップは、ボンディングコンタクト等のワイヤ接触のために本波長変換要素を通してアクセス可能であり得る。本半導体部品は、上記凹部を通って半導体チップの接触領域に接続されるボンディングワイヤをさらに備えてもよい。この場合、接触領域は、半導体チップの上面の縁部領域内、または代替的に、半導体チップの上面の縁部から離れた中心領域内にされ得、この場合、波長変換要素の凹部はまた、対応して縁部(すなわち、特に周縁部の領域内)または中心領域内に配置され得る。
【0048】
本オプトエレクトロニクス部品は、半導体チップを包囲し、かつ、波長変換要素の第2の表面または第1の表面と面一のポッティング部をさらに備えてもよい。上述の本方法によって製造される波長変換要素は、第2の表面の、および/または、第1の表面の側部上に鋭い縁部を有する。このように、ポッティング部は、半導体チップおよび波長変換要素を包囲する。ポッティング部は、例えば、TiOおよびシリコーン等を含んでもよく、したがって、不透明であり得るか、または、ポッティング材の放射透過性は低くてもよい。ポッティング部の代替材料を、SiO2、Al、BaSOから選択してもよく、これら材料を、それぞれ、シリコーンと混合してもよい。
【0049】
以下の図および例示的実施形態によって、本発明の態様を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1a図1aは、オプトエレクトロニクス部品の概略側面図である。
図1b図1bは、オプトエレクトロニクス部品の概略平面図である。
図2a図2aは、第1の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図2b図2bは、第1の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図2c図2cは、第1の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図3a図3aは、第2の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図3b図3bは、第2の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図3c図3cは、第2の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図4a図4aは、第3の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図4b図4bは、第3の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図4c図4cは、第3の実施形態に係る本発明の方法のステップを概略的に示す図である。
図5a図5aは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図5b図5bは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図5c図5cは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図5d図5dは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図6a図6aは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6b図6bは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6c図6cは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6d図6dは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6e図6eは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6f図6fは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図6g図6gは、本方法の第1の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図7a図7aは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図7b図7bは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図7c図7cは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図7d図7dは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図7e図7eは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の顕微鏡画像である。
図8a図8aは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図8b図8bは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図8c図8cは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図8d図8dは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図8e図8eは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
図8f図8fは、本方法の第2の実施形態に基づき製造された波長変換要素の電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例示的実施形態および図において、同一の要素または同一の効果の構成要素には、それぞれ、同一の参照符号が付され得る。図示した要素とそれら要素の互いに対する大きさの比は、基本的には正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、表現性を高め、かつ/または、理解しやすくするために、個々の要素(例えば、各層、各部分、各構成要素、および、各領域)は、誇張した厚さまたは大きさで示され得る。
【0052】
図1aは、半導体チップ2および波長変換要素10を有するオプトエレクトロニクス部品の概略側面図を示す。波長変換要素10は、第1の表面10aによって半導体チップ上に配置され、また、上記半導体チップは、キャリア1上に配置されている。半導体チップ2および波長変換要素10は、ポッティング部5によって包囲され、ポッティング部5は、波長変換要素の第2の表面10bと面一である。波長変換要素10は、凹部11を有し、接触部4が凹部11を通って半導体チップ2に達している。第2の接触部3がキャリア1を通って半導体チップ2まで達している。
【0053】
不図示のさらなる実施形態によれば、波長変換要素10は、第2の凹部11を有し、接触部3が第2の凹部11を通って半導体チップに達する。さらに、代替として、2つの接触部3および4がキャリア1を通って半導体チップ2に達していてもよい。この場合、波長変換要素10は、凹部を有しない。
【0054】
ポッティング部5は、例えば、TiOを含む、不透明または低透過性、好ましくは高反射性のポッティング部であり得る。波長変換要素10は、上述のマトリックス材料のうちの1種以上と、当該マトリックス材料内に分散される波長変換物質とを含み得る。したがって、半導体チップ2によって出射される一次放射が波長変換要素10に突き当り、波長変換要素10は、半導体チップによって出射される一次放射を少なくとも部分的に二次放射に変換する。
【0055】
図1bは、オプトエレクトロニクス部品の、ポッティング部5と波長変換要素の第2の表面10bとを含む概略平面図を示す。この図では、波長変換要素の凹部11を視認でき、接触部4が凹部11を通して送り込まれている。
【0056】
図2a〜図2cは、波長変換要素10の製造方法の第1の実施形態を示す。
【0057】
図2aは、破線の矢印で概略的に示される酸素プラズマ等のプラズマ50で両面が処理される波長変換層100を示す。かかる図示は、本方法を簡略化して表現したものである。波長変換層100をキャリア200(図2aでは不図示)上に配置し、波長変換層の第1の表面100aのみをはじめにプラズマ50で処理し、次いで、キャリア200を除去し、最後に、第2の表面100b(すなわち下面)をプラズマ50で処理することもできる。
【0058】
図2bは、足部42およびキャビティ41を有する打抜きツール40内に固定された波長変換層100を示す。打抜きツール自体が、キャビティ41を通って打抜きツール40を貫通して送り込まれるスタンプ20とハンドル30とを備える。
【0059】
図2cは、打抜きツール40を貫通して送り込まれ、かつ、本図では波長変換要素10を打ち抜いているスタンプ20を示す。波長変換要素10は、容器60内に収集され、そこからさらに輸送されることができ、かつ/または、容器60内で、もしくは、輸送層上に配置されている間に処理されることができる。図2cに図示された打抜きステップを複数回繰り返してもよく、波長変換層100は、各繰返しの後に、さらなる波長変換要素10を打ち抜くことができるように移動される。得られた各波長変換要素10は、容器60内にまとめて収集され得る。
【0060】
図3aは、第1の層100aがプラズマ50で処理された波長変換層100を示す。かかる図示も簡略化された表現である。波長変換層100は、キャリア200上に配置されていてもよいからである(この場合、キャリア200はプラズマ処理後に除去され得る)。
【0061】
次に図3bは、波長変換層100が配置されている打抜きツール40を示す。図2bとは異なり、図3bの場合、打抜きツール40は、足部42によって熱放出膜等の補助層70上に配置されている。
【0062】
図3cに概略的に表される打抜き工程中、波長変換要素10は、その第2の表面10bによって補助層70上に直接配置される。波長変換要素の第1の表面10aは、波長変換要素の補助層70とは反対側にある。この補助層70上で、波長変換要素10を試験してもよく、任意で分類してもよく、新たな補助層70上に配置してもよい。図3bに示す打抜き工程を複数回繰り返してもよく、各繰返しの後に、波長変換層100は、新たな波長変換要素10を得るために移動され、また、補助層70も同様に、補助層70の波長変換要素10(不図示)が存在しない領域上に新たな波長変換要素10を配置するために移動される。
【0063】
図4aは、本方法の第3の実施形態を示す。図4aでは、波長変換層100はキャリア200上に配置されている。波長変換層の第1の表面100aが、一方の面でプラズマ50によって処理される。
【0064】
図4bは、キャリア層200およびプラズマ処理された波長変換層100の両方が打抜きツール40内に配置されていることを示す。打抜きツール40は、足部42によって接着層80上に配置されている。打抜き工程後、打ち抜かれたキャリア層220と波長変換要素10とは、接着層80上に配置され、波長変換要素10は、その第2の表面10bによって打ち抜かれたキャリア層220上に配置されている。
【0065】
図4cは、補助層70が波長変換要素10の、打ち抜かれたキャリア層220とは反対側の第1の表面10a上に配置され、接着層80が打ち抜かれたキャリア層220と共に波長変換要素から除去されていることを示す。図4cでは、対応する回数の打抜き工程後に接着層80上に得られた複数の波長変換要素10と打ち抜かれたキャリア層220とが既に示されている。
【0066】
図1a〜図4cは、それぞれ、一度の打抜き工程中に1つの波長変換要素のみを製造する打抜きツールを示す。代替として、打抜きツールを、一度の打抜き工程中に複数の波長変換要素が同時に得られるように構成してもよい。明確にするために、これは本図には示していない。
【0067】
本方法の実施形態によって製造された波長変換要素を以下に提示する。図5および図6に示す例では、面積が1mmの波長変換要素を示す。この波長変換要素は、酸素プラズマによって両面上をガラス化され、打抜き工程(すなわち個別化)後に容器内に収集されている。上記波長変換要素は、例えば、マトリックス材料としてのシリコーン、色素I(黄緑色発光物質)、および、色素II(赤色発光物質)を含む。酸化物または窒化物、酸窒化物、サイアロン、および、オルトシリケートが発光物質の例である。波長変換要素の厚さは、約110μmである。
【0068】
図7および図8は、面積が2mmであり、かつ、一方の面のみが酸素プラズマで処理され、かつ、個別化中に補助層である熱放出膜上において打ち抜かれた波長変換要素を示す。波長変換要素の厚さおよび材料は、図5および図6の例と同一である。
【0069】
個別化の前に、波長変換層は、それぞれ、キャリア層上に配置されている。
【0070】
図5a〜図5dは、波長変換要素の顕微鏡画像を示す。図5aは波長変換要素の第1の表面10a(すなわち上面)を示し、図5bは波長変換要素の第2の表面10b(すなわち下面)を示す。図5cおよび図5dは、それぞれ、波長変換要素の側縁部を含む、拡大された詳細部分を示す。これらの図からわかるように、波長変換要素は、角部に凹部11を有する四辺形の波長変換要素である。
【0071】
図6a〜図6gは、それぞれ、波長変換要素の電子顕微鏡画像を示す。図6a〜図6dは波長変換要素の第1の表面10aを示し、図6e〜図6gは波長変換要素の第2の表面10bを示す。特に図6bおよび図6dにおいて、波長変換要素の第1の表面10aと側縁部との間の鋭い縁部をはっきりと視認できる。さらに、第1の表面10aのガラス化の侵入深さは、波長変換要素の厚さの約1%に一致する小さい侵入深さのみであることがわかる。図6cは、波長変換要素の角部の凹部11の拡大図を示す。
【0072】
図7a〜図7eは、上述のように製造された波長変換要素の顕微鏡画像を示す。これら画像中では、図7a〜図7eからわかるように、2つの凹部11が波長変換要素の両側に形成されている。図7aは波長変換要素の第1の表面10aを示し、図7cは波長変換要素の第2の表面10bを示す。図7dは、波長変換要素の拡大側面図を示し、第2の表面(すなわち下面)は上方に示され、第1の表面(すなわち上面)は下方に示される。図7eは、波長変換要素の拡大側面図を示し、第1の表面(すなわち上面)は上方に配置され、第2の表面(すなわち下面)は下方に配置されている。
【0073】
図8a〜図8fは、波長変換要素の電子顕微鏡画像を示す。図8a〜図8cは、第1の表面10aを示し、図8d〜図8fは第2の表面10bを示す。特に図8bおよび図8cにおいても、波長変換要素の第1の表面10aと側縁部との間の鋭い縁部を視認できる。
【0074】
本波長変換要素の例において視認できる鋭い縁部は、本方法が、オプトエレクトロニクス部品内で使用することができ、かつ、当該オプトエレクトロニクス部品内で波長変換要素を包囲するポッティング部と面一になることができる波長変換要素の製造に非常に適していることを示す。
【0075】
本特許出願は、独国特許出願第102013104776.9号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【0076】
本発明は、本発明の例示的実施形態を用いた説明によって、かかる例示的実施形態に制限されない。むしろ、任意の新規な特徴、または、特に請求項中の特徴の任意の組合せを含む特徴の任意の組合せが、それら自体、請求項または例示的実施形態に明示的に特定されていないとしても、本発明は、上記特徴または上記組合せを含む。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f