【文献】
LG Electronics,Power control for dual connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG1♯76b R1-141344,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76b/Docs/R1-141344.zip,2014年 3月31日
【文献】
Panasonic,Uplink transmission power management and PHR reporting for dual connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2♯85 R2-140477,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140477.zip,2013年11月11日
【文献】
NTT DOCOMO,Outcome of offline discussion on TPC aspects of dual connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG1♯76b R1-141863,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76b/Docs/R1-141863.zip,2014年 3月31日
【文献】
LG Electronics Inc.,Management of UE Transmit Power in Dual Connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2♯83 R2-132582,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_83/Docs/R2-132582.zip,2013年 8月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明が解決しようとする課題は、上記背景技術で説明したDCにおけるULの送信電力制御に関連するものであるから、まず、LTEのULの送信電力制御の概要を説明する。
【0008】
ユーザ装置UEが基地局eNBにデータを送信する際の送信電力は適切な大きさである必要があるため、ユーザ装置UEは、UL送信電力を所定の関数を用いて算出し、算出されたUL送信電力でUL送信を行っている。以下に、例として、PUSCHに関する上記所定の関数を示す。なお、PUSCH以外のチャネルについても所定の算出式によりUL送信電力が算出される。
【0009】
【数1】
式1において、P
CMAX,c(i)は、サービングセル(serving cell)cのi番目のサブフレーム(subframe)における最大送信電力(必要な電力バックオフ考慮後)であり、M
PUSCH,C(i)はリソースブロック数であり、Δ
TF,cはMCS(Modulation Coding Scheme)から誘導されるパワーオフセットであり、PL
cはパスロスであり、f
c(i)はaccumulated TPC commandである。その他は報知パラメータである。
【0010】
ユーザ装置UEは、基地局eNBから割り当てを受けたリソース量と適用するMCS等を上記所定の関数に入力して送信電力を決定してUL送信を行う。算出された送信電力が最大送信電力を超える場合は、最大送信電力を適用してUL送信を行う。
【0011】
基地局eNBは、ユーザ装置UEの送信電力が適切な値になるように電力制御やスケジューリング(リソース割り当て、MCS決定等)を行うために、上記の式1に基づいて、ユーザ装置UEの送信電力を把握する。ただし、上記の式1における変数のうち、パスロスが未知であるため、ユーザ装置UEは、所定のトリガ(例:パスロスが変わったとき)で、PH(power headroom、パワーヘッドルーム)を含むPHR(power headroom report)を基地局eNBに通知し、基地局eNBは、PHRに基づいて、ユーザ装置UEの送信電力を算出する。
【0012】
パワーヘッドルーム(PH)とは、以下の式2で算出される値であり、最大送信電力と算出送信電力(最大送信電力への張り付きを考慮しない送信電力)との差を意味する。
【0013】
【数2】
図3A、Bは、PHの例を示す図である。
図3Aは、最大送信電力のほうが算出される送信電力よりも大きい場合であり、PHは正の値となる。
図3Bは、算出される送信電力が最大送信電力よりも大きい場合である。この場合、実際の送信電力は最大送信電力となり、PHは負の値となる。
【0014】
さて、DCでは、独立な複数の基地局eNB(MACスケジューラ)が同一のユーザ装置UEに対してULリソース割り当て、及びTPC command制御を行うため、容易に送信電力が最大値へ張り付き、UL送信が適切に実施できずULスループットが劣化する可能性がある。しかし、各基地局eNBは、当該電力張り付きが、他方の基地局eNBの割り当てによるものであるかを検出することができない。
【0015】
このような点に鑑みて、DCにおける送信電力制御案として、CG毎に最大送信電力を設定する案が検討されている。これを
図4A、Bを参照して説明する。
図4Aは、CG毎の最大送信電力を設けない場合のユーザ装置UEにおける送信電力の変化例を示す図である。
図4Aに示すように、MCGとSCGにおいてそれぞれ独立に算出される送信電力の合計が最大送信電力を超え、電力張り付きが頻繁に発生する。
【0016】
一方、
図4Bは、CG毎の最大送信電力を設ける場合のユーザ装置UEにおける送信電力の変化例を示す図である。この場合は、MeNBとSeNBはそれぞれ、MCGの最大送信電力とSCGの最大送信電力を考慮したスケジューリングを行うため、電力張り付きの発生は減少する。
【0017】
しかし、
図4Bに示す案のように、ユーザ装置UEの送信電力値をsemi−staticに分割する場合、ユーザ装置UEはMCGに対して設定されたCGあたりの最大電力を超えてUL送信を行うことができないので、MCGのserving cellで送信されることが想定される重要なデータ(例:SRB(Signaling Radio Bearer)や音声)が送信電力不足のために送信できない(送信してもMeNBに届かない)可能性がある。このため、UE−NW間の接続性を担保することができなかったり、音声のような重要なサービスを安定して提供することができない可能性があるという問題がある。
【0018】
一例として、
図5に示すように、最初はMCGの最大送信電力で信号が基地局MeNBに届いていたが、ユーザ装置UEの移動に伴って、MCGの最大送信電力では信号が基地局MeNBに届かなくなる場合がある。特に、UL SRBが基地局MeNBに届かない場合、例えば、measurement reportを送信することができず、NWはユーザ装置UEのmobilityに追従しながら適切にハンドオーバをトリガすることができないといった問題が生じる。
【0019】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、DCを行うユーザ装置UEが、送信電力不足により基地局MeNBに対してUL信号を送信できなくなることを回避する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の実施の形態によれば、
デュアルコネクティビティによりユーザ装置と通信を行う第1の基地局及び第2の基地局を含む移動通信システムにおける前記ユーザ装置であって、
予め設定した最大送信電力を保持する最大送信電力保持部と、
前記ユーザ装置が信号送信を行うために使用する送信電力が、前記最大送信電力保持部により保持される前記最大送信電力に達しているか否かを判定する送信電力判定部と、
前記送信電力判定部により、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する送信制御部
と、を備え、
前記送信電力判定部は、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達しているか否かを判定し、
前記送信制御部は、前記送信電力判定部により、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する
ことを特徴とするユーザ装置が提供される。
【0021】
また、本発明の実施の形態によれば、
デュアルコネクティビティによりユーザ装置と通信を行う第1の基地局及び第2の基地局を含む移動通信システムにおける前記ユーザ装置が実行する送信制御方法であって、
前記ユーザ装置は、予め設定した最大送信電力を保持する最大送信電力保持部を備え、
前記ユーザ装置が信号送信を行うために使用する送信電力が、前記最大送信電力保持部により保持される前記最大送信電力に達しているか否かを判定する送信電力判定ステップと、
前記送信電力判定ステップにより、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する送信制御ステップと
、を備え、
前記送信電力判定ステップにおいて、前記ユーザ装置は、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達しているか否かを判定し、
前記送信制御ステップにおいて、前記ユーザ装置は、前記送信電力判定ステップにより、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する
ことを特徴とする送信制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施の形態によれば、DCを行うユーザ装置UEが、送信電力不足により基地局MeNBに対してUL信号を送信できなくなることを回避することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態の通信システムは、LTEに対応していることを想定しているが、本発明はLTEに限らず、他の方式にも適用可能である。また、本明細書及び特許請求の範囲では、特に断らない限り、「LTE」の用語は3GPPのRel−12、もしくは、Rel−12以降の方式の意味で使用する。
【0025】
また、以下の説明において、PCell、SCell等の「セル」は、当該セルを構成するコンポーネントキャリア(CC)と同義と考えてもよい。
【0026】
また、以下では、例として、MCG(第1の基地局)とSCG(第2の基地局)よりなるDCにおいて、MCGのserving cellにおけるUL送信を継続させるための実施形態を説明しているが、複数のSCG間(第1の基地局と第2の基地局間)で、例えば、あるSCGについての電力張り付きを検出した場合に、他のSCGのUL送信を停止する(又は当該SCGを解放する)といった制御を行うことも可能である。
【0027】
(通信システム全体構成、基本動作)
図6に本発明の実施の形態に係る移動通信システムの構成例を示す。
図6に示すように、本実施の形態に係る移動通信システムは、それぞれコアネットワーク10に接続される基地局MeNBと基地局SeNBを備え、ユーザ装置UEとの間でDual connectivity(DC)を可能としている。また、基地局MeNBと基地局SeNBとの間は、例えばX2インターフェースにより通信可能である。
【0028】
本実施の形態における基本的な動作を
図7を参照して説明する。本実施の形態では、ユーザ装置UEがDCにより基地局MeNB及び基地局SeNBと通信を行う際に、
図4Bに示すように、CG毎の最大送信電力がユーザ装置UE、基地局MeNB、及び基地局SeNBにおいて設定され、基地局MeNBは、基本的に、MCGに割り当てられた最大送信電力を超えないようにスケジューリングを行い、基地局SeNBは、基本的に、SCGに割り当てられた最大送信電力を超えないようにスケジューリングを行う。
【0029】
ここで、
図7(a)に示すように、MCGにおけるユーザ装置UEの送信電力が最大送信電力になったとする。ここでは、例えば、
図3Bに示す状況と同様に、ULの信号送信のために、
図7の点線で示す電力も加えた送信電力が必要であるが、予め定められた最大送信電力の制限のために、当該最大送信電力で送信を行っていることが想定される。
【0030】
つまり、この場合、送信電力が不足して、UL信号を基地局MeNBに送信できない可能性がある。
【0031】
そこで、本実施の形態では、ユーザ装置UEが、MCGの送信電力が最大送信電力になったことを検知した場合(「電力張り付きを検知した場合」と言い換えることができる)に、
図7(b)に示すように、基地局SeNBへのUL送信を停止する。UL送信の停止にあたっては、例えば、SCG(或いはSCell)を解放することで、UL送信を停止させる。また、SCGはそのままで、単にSCGにおけるUL送信を行わないようにすることでもよい。また、SCGのうちのULを含むSCellのディアクティベートを行うこととしてもよい。SCGの解放や、SCellのディアクティベートは、いずれも「UL送信の停止」に含まれるものである。
【0032】
SCGのUL送信を停止した後、例えば、ユーザ装置UEは、設定されているMCG最大送信電力よりも大きな送信電力(かつ、UEの最大送信電力以下の送信電力)で、MCGでのUL送信を行うことができる。
【0033】
また、MCGの送信電力が最大送信電力に達したことが一時的なものである場合には、すぐにMCG側でのUL送信電力が十分である状態になることが考えられ、SCGのUL送信停止が不必要であるにもかかわらず、SCGのUL送信停止を行う可能性がある。
【0034】
そこで、ユーザ装置UEは、MCGの電力張り付きを予め定めた時間長(Time to triger)、継続して検知した場合に、SCGのserving cellにおけるUL送信停止を行うこととしててもよい。また、予め定めた時間の中で、所定回数以上、電力張り付きを検知した場合に、SCGのserving cellにおけるUL送信停止を行うこととしててもよい。これらの動作は、後述する例においても同様に実施することができる。
【0035】
また、上記のようにMCGへの接続を継続したまま、SCGの解放等を行うことのほか、一旦、ユーザ装置UEは、MCG及びSCGとの接続を切断し、基地局MeNBに再接続することとしてもよい。
【0036】
なお、ユーザ装置UEが基地局SeNBへのUL送信を停止することで、下り受信に対するACK等も送信できなくなるから、結果として、DL受信も停止することになる。
【0037】
上記のような制御は、基地局MeNBと基地局SeNBに対するDual接続から、基地局MeNBとの単一接続となる制御であることから、これを「Single connectivityへfallbackする」と称してもよい。
【0038】
このように、SCG側でUL送信の停止を行うことにより、MCG側で送信電力が不足することによる接続性の低下回避や音声等の重要なサービスの提供が可能となる。以下では、本実施の形態におけるより具体的な処理の例を説明する。
【0039】
(特定のチャネルに関する制御)
SCGのserving cellにおけるUL送信停止のトリガは、MCG側でどのようなチャネルがUL送信されているかに関わらず、MCGの電力張り付きを検出したこととしてもよいが、特定のチャネルの送信時に、MCGの電力張り付きを検出したことをSCGのUL送信停止のトリガとしてもよい。
【0040】
特定のチャネルとしては例えばPRACH(Physical Random Access Channel)がある。一般に、ユーザ装置UEは、ULのデータ通信のためのリソースを有しない場合に、PRACHを基地局に送信することで、リソースを要求し、基地局からUL Grantを受信することで、リソースの割り当てを受け、UL送信(例:measurement report送信)を行う。DCにおいて、RRC接続状態におけるmeasurementの管理や設定(configuration)は、基地局MeNBが行うことが想定されるから、measurement reportが基地局MeNBに送信されない場合、基地局MeNBはハンドオーバの制御等を適切に実施できない。
【0041】
このように、PRACHを基地局MeNBに常に送信できるようにすることは重要であるため、特定のチャネルとしてPRACHを取り上げている。もちろん、特定のチャネルはPRACHに限定されるわけではなく、例えば、特定チャネルをPUCCH、PUSCH、又はSRS(Sounding Reference Symbol)とすることもできる。
【0042】
上記のようにSCGのUL送信停止のトリガを特定のチャネルに限定することで、ユーザ装置UEの実装の複雑性(complexity)を低減することができる。
【0043】
特定のチャネルをPRACHとした場合のユーザ装置UEの動作を
図8を参照して説明する。
図8に示すように、ユーザ装置UEは、PRACHを送信している時に、MCG電力張り付きを検知したことをトリガとしてSCGのserving cellにおけるUL送信を停止し、例えば、
図8に示す点線部分の電力を含めた送信電力でPRACHの送信を行う。
【0044】
なお、特定のチャネルをPRACHとする場合に関し、MCG内では、PCell、SCellの両方でPRACHを送信することができるが、より重要なPCellにおけるPRACHのみが対象とされてもよい。つまり、ユーザ装置UEは、MCGのPCellでPRACHを送信している時に、MCG電力張り付きを検知したことをトリガとしてSCGのUL送信を停止することとしてよい。
【0045】
(UL送信の限定について)
SCGのUL送信停止を行った場合において、MCG内のサービングセルについてはPRACHを送信するセルでのみUL送信が行われても良い。この場合、SCGのUL送信停止のトリガは、PRACHに限らず、他のチャネルでもよく、また、特定のチャネルに限定しないトリガであってもよい。
図9に、PRACHを送信するセルでのみUL送信を行う場合の例を示す。
図9の例では、MCGはPCellとSCellを有するが、SCellではPRACHを送信せず、PCellでのみPRACHを送信する設定になっている。そこで、
図9に示すように、SCGのUL送信が停止された場合において、MCGのPCellでのみUL送信を行うこととしている。なお、これは一例であり、PCellでPRACHを送信せずに、SCellでPRACHを送信する場合は、SCellでのみUL送信を行うこととしてよい。
【0046】
ここで、PRACHを送信しないほうのセルにおけるUL送信停止については、単にユーザ装置UEが当該セルでのUL送信を行わないようにしてもよいし、当該セルがSCellである場合に、SCellのディアクティベートもしくは解放(削除)を行ってもよい。また、PRACHを送信しないほうのセルに関連するTA(Time Alignment)タイマを停止することとしてもよい。
【0047】
(処理シーケンス例)
次に、
図10を参照して、SCGのUL送信停止に関するユーザ装置UEと基地局MeNM/SeNB間の処理のシーケンスの例を説明する。
【0048】
図10に示す例では、少なくともULに関し、MCGは、PCellとなるCC1とSCellとなるCC2を有し、SCGは、PSCellとなるCC3とSCellとなるCC4を有する。また、MCGではCC1のみでPRACHが送信される設定になっており、SCGのUL送信停止時に、MCGにおいてPRACHを送信するCCのみでUL送信を行うものとする。
【0049】
まず、ユーザ装置UEは、DCによるUL送信を行っている。つまり、MCGとSCGの両方でUL送信を行っている。
【0050】
ステップ101において、ユーザ装置UEは、MCGのUL送信電力について、電力張り付きが発生したことを検知する。ステップ101での検知をトリガとして、ステップ102において、ユーザ装置UEはSCGにおけるUL送信を停止するとともに、MCGのCC2(PRACHを送信しないほうのCC)におけるUL送信を停止する。UL送信の停止として、本例では、CC2、CC3、CC4を解放(削除)することをしている。
【0051】
また、本例では、UL送信停止をトリガとして、当該事象を基地局MeNBに通知することとしている(ステップ103)。当該通知には、MAC信号を用いてもよいし、RRC接続がなされている基地局に対しては、RRCメッセージで通知してもよい。また、
図10の例では、SCGが解放されるために、基地局SeNBへの通知を行っていないが、SCG(或いはSCell)を解放(UL送信を停止)する直前に、UL送信を停止することを基地局SeNBにも通知することとしてもよい。
【0052】
このようなUL送信停止の通知を行うことで、基地局MeNB/SeNBは、例えば、該当CCにおけるULリソース割り当て動作を停止することができる。また、ユーザ装置UEにおいて、CCを解放した場合には、基地局MeNB/SeNBもユーザ装置UEにおいてCCが解放されたことを把握でき、当該CCを管理から削除するといった動作を行うことができる。
【0053】
また、
図10の例では、UL送信停止が発生したことをトリガとして、PHRを基地局MeNBに送信することとしている(ステップ104)。
図10の例では、SCGが解放されるために、基地局SeNBへのPHR送信を行っていないが、SCGを解放(UL送信を停止)する直前に、PHRを基地局SeNBにも送信することとしてもよい。
【0054】
ここでのPHRのフォーマット(信号)は、例えば、解放されないで残るCCが1つである場合には、
図11に示す、1つのCCの情報を格納するMAC Control Elementとすることができる(非特許文献2参照)。また、UL送信停止が発生する前の全てのアクティブCCの情報を含む
図12に示すMAC Control Elementを用いることとしてもよい(非特許文献2参照)。
【0055】
(3つ以上のCGが設定される場合について)
例えば
図13に示すように、1つのMCGと2つ(あるいは2つ以上)のSCGを用いるDCを使用することが考えられる。この場合、UL送信停止を段階的に実施してもよい。例えば、3CGが設定されている場合には、3CG=>2CG=>1CGと段階的にUL送信停止が実施されてもよい。これにより、不要にCGを解放することを回避することが可能である。
【0056】
3CGが設定されている場合の動作例を
図14に示す。
図14は、
図13に示す場合と同様に、MCG、SCG1、SCG2の3つのCGがユーザ装置UEに設定されている場合を示している。また、この場合には、DCの実施にあたって、CG毎に最大送信電力が割り当てられているとする。例えば、ここでは、全体を10として、MCGに5が割り当てられ、SCG1に3が割り当てられ、SCG2に2が割り当てられているとする。
【0057】
図14に示すように、ユーザ装置UEは、各CGにおいてUL送信を行っているときに、MCGのUL送信電力についての電力張り付き(MCG割り当て最大送信電力5になったこと)を検出する(ステップ201)。そこで、ユーザ装置UEは、まず、SCG1についてのUL送信停止(SCG1解放)を行う(ステップ202)。複数のSCGのうち、どのSCGの順番でUL送信停止を行うかについては、予め設定しておいてもよいし、基地局MeNBからRRCシグナリングで設定してもよいし、UL送信電力の大きなSCGから先にUL送信停止を行うこととしてもよい。
【0058】
SCG1を解放した結果、最大送信電力の割り当ては、MCGが8、SCG2が2となる。ステップ203では、ユーザ装置UEは、この割り当てにおいて、MCGの電力張り付きが解消されたかどうか(電力張り付きが発生しないかどうか)を判断する。解消されれば処理を終了し、解消しなければ(電力張り付きが発生するならば)、ステップ204においてSCG2の解放(UL送信停止)を行う。
【0059】
(装置構成、動作フロー)
図15に、これまでに説明した動作を実行するユーザ装置UEの構成例を示す。なお、
図15は、ユーザ装置UEにおいて本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものであり、少なくともLTE方式に準拠した動作を行うための図示しない機能も有するものである。
【0060】
図15に示すように、本実施の形態のユーザ装置UEは、DL信号受信部101、UL信号送信部102、DC設定管理部103、UL送信電力算出部104、送信電力判定部105、UL送信制御部106を有する。
【0061】
DL信号受信部101は、基地局(MeNB、SeNB)から無線信号を受信し、無線信号から情報を抽出する。UL信号送信部102は、送信情報から無線信号を生成し、基地局(MeNB、SeNB)に送信する。DC設定管理部103は、DCを構成する各セル(CC)の管理(設定されているCCの識別情報及び状態の保持等)、追加、削除、アクティベート、ディアクティベート等を行う。また、DC設定管理部103は、CG毎の最大送信電力割り当て情報も保持(格納)している。CG毎の最大送信電力割り当て情報は、例えば、基地局MeNB又はSeNBから、セミスタティックにユーザ装置UEに通知される。
【0062】
UL送信電力算出部104は、CG毎のUL送信電力を算出し、算出したUL送信電力でUL送信を行うよう、UL信号送信部102に指示を行う。あるCGの送信電力は、CGを構成するCC毎の送信電力の合計として算出することができる。なお、本実施の形態では、
図4Bに示すように、CG毎に最大送信電力が設定されるから、例えば式1下側の式を用いてUL送信電力を算出した結果、当該最大送信電力を超える場合は、原則として、最大送信電力でUL送信を行う。ただし、これまでに説明したように、SCGのUL送信停止を行うことで、MCGに関しては、当該最大送信電力を超える送信電力でUL送信を行うことができる。例えば、UL送信電力算出部104は、UL送信制御部106から、SCGのUL送信を停止したことの通知を受け、当該通知に基づき、MCG最大送信電力を超える送信電力でMCGのUL送信を行うよう、UL信号送信部102に指示を行う。
【0063】
送信電力判定部105は、UL送信電力算出部104により算出されるUL送信電力と、DC設定管理部103が保持する最大送信電力に基づいて、MCGの送信電力が最大送信電力になったかどうか、つまり、電力張り付きが発生したかどうかの判定を行う。この判定においては、前述したように、所定の期間だけ継続して最大送信電力になったことや、所定の期間内に、所定回数以上、最大送信電力になったことを判定することとしてもよい。
【0064】
UL送信制御部106は、送信電力判定部105によりMCGの電力張り付きが発生したと判定された場合に、SCGのserving cellにおけるUL送信停止の制御を行う。制御としては、UL信号送信部102に対し、SCGのserving cellにおけるUL送信を行わないように指示することや、DC設定管理部103に対してSCG解放を指示することなどがある。UL送信制御部106は、PHR送信やUL送信停止事象の通知等のこれまでに説明したUL送信停止に関する制御を行うことが可能である。
【0065】
図16に、ユーザ装置UEにおけるSCGのserving cellにおけるUL送信停止(Single connectivityへのfallback)に係る動作例のフローチャートを示す。
【0066】
ユーザ装置UEのDC設定管理部103は、例えば、基地局MeNBから受信するRRCメッセージに基づいて、DCを設定する(ステップ301)。つまり、MCGとSCGを設定する。また、ここでは、CG毎の最大送信電力も設定される。この後、ユーザ装置UEは、基地局(MeNB、SeNB)からのスケジューリング情報等に基づいて、UL送信電力算出部104により算出される送信電力に従って、UL送信を行う。
【0067】
このようにUL送信を行う中で、ユーザ装置UEの送信電力判定部105は、MCGの電力張り付きが発生したかどうかの判定を行う(ステップ302)。MCGにおける電力張り付きが検出された場合(ステップ302のYes)、ユーザ装置UEのUL送信制御部106は、SCGのUL送信停止を行う(ステップ303)。
【0068】
SCGのUL送信停止を行ったことはUL送信電力算出部104に通知される。UL送信電力算出部104は、当該通知に基づいて、MCGのUL送信電力を、割り当てられている最大送信電力よりも大きな値として算出し、ユーザ装置UEは、当該送信電力によりMCGのserving cellにおけるUL送信を行うことができる。
【0069】
なお、
図15に示す装置の構成(機能区分)は一例に過ぎない。本実施の形態で説明する処理を実現できるのであれば、その実装方法(具体的な機能部の配置等)は、特定の実装方法に限定されない。例えば、本実施の形態のユーザ装置は、下記のような機能部からなる装置として構成することもできる。
【0070】
すなわち、本実施の形態におけるユーザ装置は、基地局間キャリアアグリゲーションによりユーザ装置と通信を行う第1の基地局及び第2の基地局を含む移動通信システムにおける前記ユーザ装置であって、前記第1の基地局に対して予め設定した最大送信電力を保持する最大送信電力保持部と、前記ユーザ装置が前記第1の基地局に対して信号送信を行うために使用する送信電力が、前記最大送信電力保持部により保持される前記最大送信電力に達しているか否かを判定する送信電力判定部と、前記送信電力判定部により、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する送信制御部とを備えるユーザ装置として構成される。この構成により、例えば、DCを行うユーザ装置UEが、送信電力不足により基地局MeNBに対してUL信号を送信できなくなることを回避することが可能となる。
【0071】
前記送信電力判定部は、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達しているか否かを判定し、前記送信制御部は、前記送信電力判定部により、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止するように構成してもよい。この構成により、特定のチャネルに限定した制御を行えばよいので、ユーザ装置UEのcomplexityを低減できる。
【0072】
前記ユーザ装置は、複数のコンポーネントキャリアを使用して前記第1の基地局への信号送信を行っており、前記送信制御部により、前記第2の基地局への信号送信が停止された場合に、前記ユーザ装置は、前記複数のコンポーネントキャリアのうち、特定のチャネルの信号送信を行うコンポーネントキャリアを用いて前記第1の基地局への信号送信を行うようにしてもよい。この構成により、例えば、重要なチャネルの信号をより確実に基地局MeNBに送信することが可能となる。
【0073】
前記特定のチャネルは、例えばPRACHである。PRACHを特定のチャネルとすることで、基地局MeNBへのPRACH送信を確実に行うことが可能となり、基地局MeNBに重要なデータを送信することが可能となる。
【0074】
前記ユーザ装置は、セルグループを構成する1つ又は複数のコンポーネントキャリアを使用して前記第2の基地局への信号送信を行い、前記送信制御部は、前記セルグループの解放を行うことにより前記第2の基地局への信号送信を停止するようにしてもよい。セルグループの解放を行うことで、効率的にUL送信を停止できる。
【0075】
前記送信電力判定部は、前記送信電力が、所定の時間、継続して前記最大送信電力になったこと、又は、前記送信電力が、所定の時間内で所定回数以上、前記最大送信電力になったことを検出した場合に、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定するようにしてもよい。この構成により、一時的に最大送信電力に達した場合にUL送信停止を行ってしまうことを回避できる。
【0076】
前記送信制御部は、前記第2の基地局への信号送信を停止する場合に、パワーヘッドルームを前記第1の基地局又は前記第2の基地局に報告するようにしてもよい。この構成により、基地局(MeNB、SeNB)は、MCGにおいて最大送信電力張り付きが発生した状況におけるパスロス等を把握でき、適切なスケジューリングを行うことができる。
【0077】
前記送信制御部は、前記第2の基地局への信号送信を停止する場合に、当該停止を行うことを前記第1の基地局又は前記第2の基地局に通知することとしてもよい。この通知により、基地局(MeNB、SeNB)は、SCGのserving cell等でUL送信停止が行われることを把握でき、例えば、それを考慮してスケジューリング等を行うことができる。
【0078】
前記第2の基地局は複数の基地局を含み、前記送信制御部は、前記送信電力判定部により、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、当該複数の基地局への信号送信の停止を、基地局毎に段階的に行うようにしてもよい。この構成により、例えば、複数のSCGがある場合に、不要にSCGを解放することを回避できる。
【0079】
本実施の形態で説明するユーザ装置の機能構成は、CPUとメモリを備えるユーザ装置において、プログラムがCPU(プロセッサ)により実行されることで実現される構成であってもよいし、本実施の形態で説明する処理のロジックを備えたハードウェア回路等のハードウェアで実現される構成であってもよいし、プログラムとハードウェアが混在していてもよい。
【0080】
明細書には以下の事項が開示されている。
(第1項)
基地局間キャリアアグリゲーションによりユーザ装置と通信を行う第1の基地局及び第2の基地局を含む移動通信システムにおける前記ユーザ装置であって、
前記第1の基地局に対して予め設定した最大送信電力を保持する最大送信電力保持部と、
前記ユーザ装置が前記第1の基地局に対して信号送信を行うために使用する送信電力が、前記最大送信電力保持部により保持される前記最大送信電力に達しているか否かを判定する送信電力判定部と、
前記送信電力判定部により、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する送信制御部と
を備えることを特徴とするユーザ装置。
(第2項)
前記送信電力判定部は、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達しているか否かを判定し、
前記送信制御部は、前記送信電力判定部により、前記ユーザ装置が特定のチャネルで信号送信を行っているときに、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する
ことを特徴とする第1項に記載のユーザ装置。
(第3項)
前記ユーザ装置は、複数のコンポーネントキャリアを使用して前記第1の基地局への信号送信を行っており、
前記送信制御部により、前記第2の基地局への信号送信が停止された場合に、前記ユーザ装置は、前記複数のコンポーネントキャリアのうち、特定のチャネルの信号送信を行うコンポーネントキャリアを用いて前記第1の基地局への信号送信を行う
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載のユーザ装置。
(第4項)
前記特定のチャネルはPRACHであることを特徴とする第2項又は第3項に記載のユーザ装置。
(第5項)
前記ユーザ装置は、セルグループを構成する1つ又は複数のコンポーネントキャリアを使用して前記第2の基地局への信号送信を行い、
前記送信制御部は、前記セルグループの解放を行うことにより前記第2の基地局への信号送信を停止する
ことを特徴とする第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第6項)
前記送信電力判定部は、前記送信電力が、所定の時間、継続して前記最大送信電力になったこと、又は、前記送信電力が、所定の時間内で所定回数以上、前記最大送信電力になったことを検出した場合に、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定する
ことを特徴とする第1項ないし第5項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第7項)
前記送信制御部は、前記第2の基地局への信号送信を停止する場合に、パワーヘッドルームを前記第1の基地局又は前記第2の基地局に報告する
ことを特徴とする第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第8項)
前記送信制御部は、前記第2の基地局への信号送信を停止する場合に、当該停止を行うことを前記第1の基地局又は前記第2の基地局に通知する
ことを特徴とする第1項ないし第7項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第9項)
前記第2の基地局は複数の基地局を含み、前記送信制御部は、前記送信電力判定部により、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、当該複数の基地局への信号送信の停止を、基地局毎に段階的に行う
ことを特徴とする第1項ないし第8項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第10項)
基地局間キャリアアグリゲーションによりユーザ装置と通信を行う第1の基地局及び第2の基地局を含む移動通信システムにおける前記ユーザ装置が実行する送信制御方法であって、
前記ユーザ装置は、前記第1の基地局に対して予め設定した最大送信電力を保持する最大送信電力保持部を備え、
前記ユーザ装置が前記第1の基地局に対して信号送信を行うために使用する送信電力が、前記最大送信電力保持部により保持される前記最大送信電力に達しているか否かを判定する送信電力判定ステップと、
前記送信電力判定ステップにより、前記送信電力が前記最大送信電力に達していると判定された場合に、前記第2の基地局への信号送信を停止する送信制御ステップと
を備えることを特徴とする送信制御方法。
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、ユーザ装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ユーザ装置のプロセッサにより動作するソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【0081】
本国際特許出願は2014年5月9日に出願した日本国特許出願第2014−098139号に基づきその優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2014−098139号の全内容を本願に援用する。