(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193486
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ガス・蒸気タービン設備の煙道ガス路の内部への水の噴入を制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F02C 6/18 20060101AFI20170828BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20170828BHJP
F02C 7/141 20060101ALI20170828BHJP
F02C 9/28 20060101ALI20170828BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20170828BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20170828BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20170828BHJP
F22G 5/12 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
F02C6/18 A
F02C7/00 A
F02C7/141
F02C9/28 C
F02C6/18 B
F01D25/30 F
F01K23/10 D
F22B1/18 E
F22G5/12 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520358(P2016-520358)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-528417(P2016-528417A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014061536
(87)【国際公開番号】WO2014202384
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年2月17日
(31)【優先権主張番号】102013211376.5
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トールシュテン・ラウザット
(72)【発明者】
【氏名】デニス・チェチィク
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−149640(JP,A)
【文献】
特開2013−40567(JP,A)
【文献】
特開2011−144742(JP,A)
【文献】
特開2009−197800(JP,A)
【文献】
特開2003−120418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/18
F01D 25/30
F01K 23/10
F02C 7/00 − 7/141
F02C 9/28
F22B 1/18
F22G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス・蒸気タービン設備(1)を運転するための方法であって、前記ガス・蒸気タービン設備(1)では、ガスタービンの膨張された煙道ガスの内部に含まれる熱が、蒸気タービンのための蒸気を作り出すために利用され、膨張された煙道ガスの温度が、危機的な運転状態を回避するために、前記ガスタービンと流れに関して下流に接続されている廃熱蒸気発生器(20)との間に形成された煙道ガス路(6)の内部において水を膨張された煙道ガスに導入することによって低減され、導入されるべき水の量が、煙道ガス温度に従って決定される、前記方法において、
少なくとも第1の煙道ガス温度が、流れに関して水を煙道ガスに導入する前に測定され、前記ガスタービンの燃焼室の平均的な燃焼温度が、前記煙道ガス温度から決定され、且つ、導入されるべき水量が、平均的な燃焼温度に基づいて調節されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記燃焼温度が、前記煙道ガス路の内部における平均的な前記煙道ガス温度と、前記廃熱蒸気発生器(20)の様々な圧力段における蒸気の1つ又は複数の温度と、前記ガス・蒸気タービン設備(1)の回転機械の過渡的な負荷と、前記蒸気タービンの制御条件とから導かれる関数に基づいて調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス・蒸気タービン設備(1)の利用可能性とフレキシビリティとをさらに向上させるために、水が、前記煙道ガス路(6)の内部に導入されることに加えて、水・蒸気循環の蒸気ガイド用蒸気管に導入される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法を実行するための蒸気タービンの水・蒸気循環の内部で蒸気を発生させるための蒸気発生器(20)であって、煙道ガス路(6)を介してガスタービンの下流に接続されている前記蒸気発生器(20)と、前記煙道ガス路(6)の内部に水を導入するためのノズル構造体(24)とを有するガス・蒸気タービン設備(1)において、
前記ノズル構造体(24)が、煙道ガスの流れ方向において、燃焼温度を決定するための温度測定点(2)の下流に設けられていることを特徴とするガス・蒸気タービン設備。
【請求項5】
前記ノズル構造体(24)が、いかなる運転状態であっても、噴入可能な水を完全に気化させるように、且つ、凝結を回避するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のガス・蒸気タービン設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス・蒸気タービン設備(GUD)の煙道ガス路の内部に水を噴入することによって排ガス温度と蒸気温度を制御するための方法であって、ガスタービンの膨張された煙道ガス(排ガス)の内部に含まれる熱を、蒸気タービンのための蒸気を作り出すために利用する方法に関する。本発明は、さらに、この方法に従って運転されるガス・蒸気タービン設備に向けられる。
【背景技術】
【0002】
ガス・蒸気タービン設備では、ガスタービンの膨張された煙道ガスの内部に含まれる熱が、蒸気タービンのための蒸気を作り出すために利用される。熱伝導は、伝熱面が伝熱管又は管束の管の形状で設けられ、且つ、伝熱面が蒸気タービンの水・蒸気循環に設置されている、ガスタービンの下流に接続されている廃熱蒸気発生器(AHDE)において行われる。
【0003】
廃熱蒸気発生器と蒸気タービンとは、ガス・蒸気タービン設備の蒸気部を形成する。ガスタービンは一般的に、その排ガスパラメータ(温度、質量流量、過剰圧力)が広い運転領域において、下流のシステムの入口パラメータに適合するように、設計されている。
【0004】
しかしながら、そのような設備の運転時に、運転状態が異なる場合、蒸気発生器に導入される熱出力には違いがある。その際しばしば、設備コンポーネントの様々な動的行動の結果、危機的な運転状態が生じる。これらの状態は、遅延時間又は反応時間が比較的長いこと及びガスタービン設備に比べて蒸気タービン設備の感度が様々であることによって、起こる。それで、たとえば始動運転又は負荷変動運転時に、特にいわゆる急速始動又は急激な負荷変動の際に、膨張された煙道ガスの大きな温度勾配及び/又は温度の時間的な変動及び質量流量の決定的な変動が現れる。それゆえ通常は、ガスタービン設備は、始動運転と負荷変動運転時に、温度と出力について制限される。
【0005】
ガスタービンの高温ガス温度のための温度測定装置と制御装置は、特許文献1に記述されている。特許文献2は、ガスタービン群の冷却空気質量流量をコントロールする方法を記述している。しかしながら、急速始動又は急激な負荷変動の際に現れる大きな温度勾配の問題には、これらの文献において対処されていない。
【0006】
この問題に対処するために、ガスタービンと廃熱蒸気発生器との間に設置されたバイパス煙突によって、ガスタービンと蒸気部とを連結解除できる。それで、運転時に蒸気発生器にとって危機的な状態となった場合には、膨張された煙道ガスを、バイパス煙突を介して蒸気発生器の上流で方向転換させることができる。ガス・蒸気タービン設備にとってこれは、出力の低下と効率の減少とを意味する。
【0007】
バイパス煙突がない場合、ガスタービンと廃熱蒸気発生器とを互いに連結解除することができない。バイパス煙突がないガス・蒸気タービン設備では、特に、設備が部分負荷領域において、とりわけ周囲温度が高い中で運転される場合に、危機的な運転状態が現れる。バイパス煙突がないので、蒸気発生器が強制的に一緒に運転される。蒸気発生器内の温度を、蒸気管、蒸気タービン及び/又は迂回ステーションの許容できる設計限界より低くとどめるために、蒸気発生器の内部で生成される蒸気を冷却しなくてはならない。それゆえ発電所設備の管理技術は、蒸気発生器内の蒸気生産が不可避的に減少する場合、伝熱面の温度が許容できないほど高くなった結果、熱交換管とコレクタの材料温度が許容できないほど上昇するのを回避することを保証しなくてはならない。これには、ガスタービンの煙道ガス温度を人為的に下げる必要がある。そのような運転法は、設備全体の効率の損失を伴う。なぜなら、煙道ガスの内部にある熱エネルギーは低下したままで、それによって部分的に利用されないままだからである。
【0008】
この強制運転は、ガスタービンと蒸気部とが強く連結し且つ依存することによって、設備のフレキシビリティに普遍的で悪影響を及ぼす。なぜなら、蒸気部はまず、ガスタービンによって準備された廃熱に対して、明らかに遅延して且つ非常に複雑に反応するからである。
【0009】
この問題に対処するために、ヨーロッパ公開特許公報である特許文献3において、ガス・蒸気タービン設備を運転するための装置と方法が記述されており、当該方法は、あらゆる運転状態で、つまり始動運転又は負荷変動運転時の危機的な状態でも、同時に高い全効率で、できるだけ優しい運転法を可能にする。そのために、ガス・蒸気タービン設備の危機的な運転状態に達した場合に、膨張された煙道ガスの温度を、膨張された煙道ガスに水を導入することによって下げる方法が開示されている。その際水は、噴入装置によって煙道ガス路の内部に噴入される。導入されるべき水量は、煙道ガス温度に従って調節される。そのために、操作器具とコントロール要素と2つの温度センサとが、煙道ガス路の内部に備わっている。温度センサは、煙道ガス路の内部において噴入装置の下流に設けられている。それによって温度センサは、噴射された水によって既に冷却されている煙道ガスの温度を検知する。コントロール要素は、測定された実際温度をあらかじめ決められた設定温度と比較し、設定温度と実際温度との間に偏差がある場合には、導入されるべき水量を制御する。
【0010】
従来技術の不利はとりわけ、測定箇所より上流で水を噴入することによって、測定結果が歪曲され、このことが、ガスタービンの定常運転法でしかし特に非定常運転法でも、ガスタービン内の燃焼温度の決定を誤らせることになり、それによってその制御において著しくネガティブな干渉を起こすことである。噴入された水は、温度分布において大きな変動を引き起こすので、大きな歪曲が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1462633号明細書
【特許文献2】欧州特許第1442203号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0579061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、故障のない運転と、バイパス煙突のないガス・蒸気タービン設備のフレキシビリティとを、従来技術に対して向上させ得、それでガス・蒸気タービン設備の同時に優しい運転法で、改善された設備を使用可能にする、方法と装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
方法に向けられた課題は、ガス・蒸気タービン設備を運転するための方法であって、危機的な運転状態が生じた際に、ガスタービンと流れに関して下流に接続されている廃熱蒸気発生器との間の煙道ガス路の内部へ膨張された煙道ガスに水を導入することによって、膨張された煙道ガスの温度を下げることで、ガスタービンの膨張された煙道ガスの内部に含まれる熱を、蒸気タービンのための蒸気を作り出すために利用する方法によって解決される。その際本発明に従えば、少なくとも、煙道ガスの第1の煙道ガス温度が、水を煙道ガスに導入する前に測定され、測定されたこの煙道ガス温度から、ガスタービンの平均的な燃焼温度が決定され、平均的な燃焼温度に基づく制御関数によって、噴入されるべき水の量が調節される。
【0014】
本発明は、従来技術の知識を利用し、且つ、ガスタービンと蒸気発生器との間の煙道ガス路の内部に水を噴入することによって、煙道ガス温度の低下を達成する。しかしながら従来技術とは異なって、導入されるべき水量は、水噴入の後に測定される煙道ガス温度にのみ依存して決定されるのではなく、平均的な燃焼温度から導かれる複雑な制御関数にも依存して決定される。
【0015】
制御のための操作変数として、ガスタービンの煙道ガス路の内部に噴入される水の質量流量が使われる。この操作変数によって、非常に迅速且つ効果的に制御変数を調節できる。この操作変数をブロック制御レベルにまとめれば、広範囲(場合によってはほとんど運転領域全体)のガスタービンと蒸気タービンが熱的に連結解除される。これによって、現在存在する制御と運転の限界がもはやなくなって消滅し、設備が何事もなく使用可能になる。
【0016】
水噴入に関係なく今やはるかに正確に煙道ガス温度を測定することと、それによって平均的な燃焼温度を非常に正確に決定できることと、排ガスのための噴射水システムを蒸気温度コントロール装置の制御ループに制御技術的に接続することとによって、これまでの方法では未解決のままであった一連の問題が解決される。
【0017】
それで現存の設備で、アップグレードが施されたことによってガスタービンのパラメータが変化すると、蒸気部はしばしば最適な運転領域で作動しないか、又は水・蒸気循環の個々のコンポーネントの許容できる安定した運転がもはや保証され得ないという問題を、本発明によって解消できる。
【0018】
本発明によって、排出物質の放出も削減できる。それでこれまでは、部分負荷が低い運転法では、蒸気発生器の負荷限度を超えないところまで、ガスタービンの排ガス温度を下げなくてはならなかった。これはガスタービンでは、COの高い放出をもたらす。ガスタービンのCO放出が高すぎないようにして、設備のそれぞれのリミットを超えないようにするために、ガスタービンをさらに低い負荷で動かすことができるポテンシャルがあるにもかかわらず、COリミットに達すると、ガスタービンの最小出力が上げられる。この状態は、設備のフレキシビリティに著しい悪影響を及ぼす。
【0019】
平均的な燃焼温度の関数である、非常に正確に決定された制御変数に基づく、本発明に係る制御された水噴入の介入によって、部分負荷が低い場合には、蒸気発生器を保護するために、ガスタービンの排ガス温度を下げる必要はない。排ガス温度が一定であり続けるならば、もしくは排ガス温度を上げることができれば、CO排出量も既定のリミットの内部に留まる。この運転法の利点は、CO排出量の低減だけでなく、非常に低い部分負荷で安定的に且つ最適に、比較的高い効率で設備を運転し、ひいてはフレキシビリティと信頼性とを有して反応できるようにし、且つ、燃料を著しく節約する可能性にある。
【0020】
設備のスタートプロセス時に(特にコールドスタート時に)ガスタービンは蒸気発生器をゆっくりと加熱し、水・蒸気循環が利用可能になるのを待たなくてはならなかった。このためにガスタービンは、かなり長い間(約1時間又はそれ以上)部分負荷で動く。この間にガスタービンは、非常に低い出力でかなり多くの排出物質を出すだけでなく、その出力と効率とフレキシビリティも著しく失う。その上、比較的多くの燃料が必要となるが、この燃料はあまり有利には電気出力に変換され得ない。
【0021】
本発明に従ったスタートプロセス時に、水が制御されて導入されると、これによってボイラーの入口温度を調整でき、それで、蒸気発生器と水・蒸気循環がまだ予熱されておらず、それゆえまだ運転できないにもかかわらず、ガスタービンが全負荷で動くことができるようになる。それから、水噴入によって蒸気発生器の入口温度を本発明に従って制御することによって、蒸気発生器がゆっくりと(つまり運転規準に従って)予熱され、徐々に出力を上げることができるようになる。本発明に係る制御による利点は、ガスタービンのフル始動時の大きな時間節約だけでなく、大きな燃料節約と、排出物質特にCOの重大な削減とにもある。たとえばピーク負荷をカバーするために、ガスタービンが短時間だけ動くのであれば、本制御がさらに使用されるであろう。この場合蒸気部は容易に、ガスタービンから連結解除されるであろう。それにより、本発明に係る制御によって、設備の全体的なフレキシビリティが、著しく広がる。
【0022】
周囲温度が高い場合には、全負荷でも部分負荷でも、これまでしばしば蒸気発生器のリミットに達した、もしくは超えた。周囲温度が高い場合での設備の運転を保証するために、これまでは極端な場合には、ガスタービンの排ガス温度を低下させなくてはならず、これによって出力の損失と効率の損失とが起こる。本発明に従えば、周囲温度が高い場合に水噴入を正確に制御することによってガスタービンの排ガス温度とその他のパラメータ(たとえば蒸気温度)を、ボイラーリミットと蒸気タービンリミットに適合させることができる。それでガスタービンを、さらにその最適な領域において運転することができ、出力と効率の低下を招くことはない。
【0023】
ガスタービンの発火温度の上昇に関してガスタービンにアップグレードが施された場合、これまではしばしば、蒸気発生器のリミットに達し、広い領域においてそれを超えた。本発明に従って制御された水噴入の組み合わせによって、発火温度の上昇に関してガスタービンにアップグレードとさらなる発展とを施すことが可能になる。なぜなら、蒸気発生器のリミットは、もはや限界ではないからである。
【0024】
ガスタービンと蒸気発生器の制御はこれまで、非常に強く互いに依存し合っており、バイパス煙突がないと分離して実行できない。本発明に従った正確な水噴入の制御と、この制御をブロックラインに組み入れることとによって、ガスタービンと蒸気部とは非常に広い運転領域において互いに連結解除される。それによって、設備全体を、より最適に且つフレキシブルに運転できる。ガス・蒸気タービンのそれぞれの利点を、ほとんど完全に利用できる。
【0025】
煙道ガス路内の温度センサは、いずれにせよガスタービン内の燃焼温度を決定するのに必要な測定箇所である。第1の測定箇所は、煙道ガス路の入口で煙道ガス温度を測定するのに使われる。この測定箇所は、ガスタービンの出口の下流にある。まさにガスタービンの非定常運転時に、煙道ガス流の変動によって、第1の測定箇所の大きな測定不安定性がもたらされる。それゆえ、第2の測定箇所によって付加的に、煙道ガスの流れに変動がより少ない煙道ガス路の端部の温度が測定される。非定常状態では、第2の測定値によって第1の測定値が修正される。
【0026】
好適には、本発明に係る水の噴入は、温度測定点の下流で行われる。ガスタービン制御が許せば、第1の温度測定点と第2の温度測定点との間で水の噴入を行うのも有利になり得る。これには、最高設計温度が通常600℃から630℃であるガスタービン・ディフューザを、同様に冷却するという利点がある。それゆえ、追加の複雑な制御技術上の修正は、必要ない。
【0027】
排ガスディフューザの円周から排ガスディフューザの中心に噴入するように、ノズルが煙道ガス路の内部に取り付けられることになる。ノズルが蒸気部の水システム(水・蒸気循環、たとえば復水)に直接接続されることによって、ノズルには純水又はそれに類するものが供給される。第1の伝熱面への排ガス域が、温度と速度とに関して、できる限り均一のままであるように、水ノズルは煙道ガス路の内部に取り付けられる。
【0028】
特別なさらなる発展形態では、ガス・蒸気タービン設備の利用可能性とフレキシビリティとをさらに向上させるために、ガスタービンの排ガスへの水噴射を制御技術的に結び付けることに加えて、水・蒸気循環特に蒸気発生器の蒸気ガイド用蒸気管に、水噴射が取り入れられる。
【0029】
蒸気発生器の蒸気ガイド用蒸気管への水噴射は、既に蒸気温度を制御するための個々の処置として知られている。しかしながら、それによって、本発明に係る制御と協働すれば、ガス・蒸気発電設備の利用可能性とフレキシビリティを、本質的に、蒸気温度制御の既知の方法と比べて上げることができる。その上、GuDの個々のコンポーネントの発展の可能性(特にガスタービンの発展の可能性)が上がる。水・蒸気循環への水噴射は、本発明に係る制御によって負荷が軽減され、最適化されて、あらゆる種類の噴射(排ガスでの水噴入と水・蒸気循環での水噴射)の協力で、より良好に設備の運転法に合わせられる。それによって運転者は、水・蒸気循環で望ましいパラメータを、現存のコントロール技術を使って、複雑な物理的プロセス(たとえば、始動や負荷変動)の際にも迅速且つ効果的に運転するために、より多くの制御の可能性を得る。ガスタービンの排ガスへの水噴射の本発明に係る制御と、水・蒸気循環の蒸気ガイド用蒸気管への水噴射とは、互いに関連付けられ、設備全体のコントロール技術に結び付けられる。
【0030】
このような拡張の中で、煙道ガス路の内部に導入されるべき水量を決定するために、ガスタービンの平均的な燃焼温度のほかに、付加的に、水・蒸気循環への対応する水噴射冷却器の上流と下流での蒸気温度と部分蒸気タービンへの生蒸気温度とが、制御関数においてともに考慮される。その上、ガス・蒸気タービンの過渡的な負荷へのその他の要求と、循環の様々なコンポーネントの始動の要求又はブロックの周波数制御の特別な要求とオペレータの介入が、制御関数においてともに考慮され得る。その際、ガスタービン内の燃焼温度算出の正確性と独立性とが、さらに保証される。
【0031】
実質的に、本発明の記述されたさらなる発展形態は、従来技術に比べて、蒸気発生器の管への水噴入と水・蒸気循環での噴射冷却との間に制御技術上の接続があるという利点を呈する。両システムのこのような接続がなければ、設備の運転は、高度に複雑で非常に故障しやすく、おそらく故障なしには不可能である。これはとりわけ、各システムが、別々に制御されて迅速に制限されている、温度制御のための限定された使用領域を有することによって、根拠づけされる。両システムを組み合わせて互いに適合させることによってのみ、設備全体の利用領域と制御技術上のキャパシティとの決定的な拡大が実現される。システムの接続は個々の制限を明らかに緩和し、もしくは設備の運転では全く達しないほどこの制限を高くする。この領域における故障事故や破損は、明らかに最小限になり、設備の動力学は著しく高まる。
【0032】
装置に向けられた本発明の課題は、煙道ガス路を介してガスタービンの下流に接続されている蒸気タービンの水・蒸気循環の内部で蒸気を発生させるための蒸気発生器と、煙道ガス路の内部に水を導入するためのノズルとを有するガス・蒸気タービン設備によって解決され、当該ノズルは煙道ガスの流れ方向に、燃焼温度を決定するための少なくとも1つの第1の温度測定点の下流に設けられている。
【0033】
本発明に係る装置の利点は、本発明に係る方法からと同様に、もたらされる。
【0034】
以下において、本発明が図に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】煙道ガス路への本発明に従って制御される水噴入と、水・蒸気循環への水噴射と、蒸気発生器の管へ水噴射を有するさらなる発展形態とを有するガス・蒸気タービン設備1である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
示されているのは、左から右へ煙道ガスが貫流する煙道ガス路6である。ここでは、流れに関して上流において煙道ガス路6に接続されているガスタービンは示されていない。
【0037】
煙道ガス路6は、それぞれいくつかの伝熱面7を備えるいくつかの圧力段21,22,23を有する蒸気発生器20を含む。煙道ガス路6の内部において流れ方向に、第1の温度センサ2と、ノズル構造体24と、第2の温度センサ3とが、第1の温度センサがノズル構造体24の上流に位置するように、且つ、第2の温度センサがノズル構造体の下流に位置するように設けられている。
【0038】
本発明に従えば、ノズル構造体24による煙道ガス路6への水噴射は、コントロールアルゴリズムとしてコントロールキャビネット4に格納されている制御関数によって優先的にコントロールされる。制御信号を変換するために、弁の形状をしたいくつかの制御要素5が備わっている。ノズル構造体24は、付随する自らの制御要素5によってそれぞれ制御されるいくつかのノズルを含む。
【0039】
制御アルゴリズムは、外部パラメータ16と内部信号との規定された分析に基づいて、決定される。
【0040】
内部信号には、第1の温度センサ2と第2の温度センサ3の温度と、圧力段21,22,23(特に高圧段と、中間過熱器と、最終噴射冷却器と中間噴射冷却器)の制御出力からの信号とが含まれる。
【0041】
温度信号2,3をコントロールで使用することと、水噴入を煙道ガス路6の内部で温度測定点2の下流に設けることにより、ガスタービン制御は影響を受けない。
【0042】
図1はさらに、蒸気発生器の管の内部に付加的に水噴射をする本発明の好ましい実施形態の特徴を示している。水噴射は、圧力段21の蒸気管の内部へ行われる。意図されているのは、高圧部8上流での水噴射と、高圧部12下流での水噴射と、中間過熱器15上流での水噴射と、中間過熱器17下流での水噴射とである。
【0043】
水噴射装置8,12,15,17の各々は、それぞれの操作器具を介してコントロールされ、各操作器具は、それに付随する制御要素を備える。制御要素はそれぞれ、コントロールキャビネット4に影響を受ける信号を受信する。そのために制御要素はすべて、コントロールキャビネット4と接続されている。
【0044】
それぞれの操作器具をコントロールするための制御要素の各々はさらに、それぞれの噴射箇所の上流にそれぞれ1つの温度センサと、それぞれの噴射箇所の下流に1つの温度センサとを備える。
【0045】
たとえば高圧部8の上流の水噴射は、水噴射装置8の上流に温度センサ9を備え、水噴射装置8の下流に温度センサ10を備える。高圧部12の下流の水噴射は、水噴射装置12の上流に温度センサ13を備え、水噴射装置12の下流に温度センサ14を備える。
【0046】
煙道ガス路6内の水ノズルの数とデザインと構成、及び最小と最大の噴射水量と、噴射水温と噴射水圧は、煙道ガスが、第1の圧力段21の第1の伝熱面で、温度と速度と濃度とができる限り均一であるように、選択される。
【符号の説明】
【0047】
1 ガス・蒸気タービン設備
2 第1の温度センサ
3 第2の温度センサ
4 コントロールキャビネット
5 制御要素
6 煙道ガス路
7 伝熱面
8 高圧部/水噴射装置
9 温度センサ
10 温度センサ
12 高圧部/水噴射装置
13 温度センサ
14 温度センサ
15 中間過熱器/水噴射装置
16 外部パラメータ
17 中間過熱器/水噴射装置
20 廃熱蒸気発生器
21 圧力段
22 圧力段
23 圧力段
24 ノズル構造体