特許第6193539号(P6193539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本信号株式会社の特許一覧

特許6193539人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム
<>
  • 特許6193539-人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム 図000002
  • 特許6193539-人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム 図000003
  • 特許6193539-人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム 図000004
  • 特許6193539-人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム 図000005
  • 特許6193539-人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193539
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20170828BHJP
   G06F 21/34 20130101ALI20170828BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20170828BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G06F21/32
   G06F21/34
   G06K17/00
   H04L9/00 673D
   H04L9/00 673E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-6964(P2012-6964)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-148954(P2013-148954A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月13日
【審判番号】不服2016-10854(P2016-10854/J1)
【審判請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094020
【弁理士】
【氏名又は名称】田宮 寛祉
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 誉之
【合議体】
【審判長】 石井 茂和
【審判官】 高木 進
【審判官】 須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−188859(JP,A)
【文献】 特開2011−086027(JP,A)
【文献】 特開2004−348478(JP,A)
【文献】 特開2007−226560(JP,A)
【文献】 特開2007−112341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを有するICカードのID情報を読み取る読取り手段と、
利用者の生体特徴部を検知する検知手段と、
前記ID情報に基づく利用者本人認証情報と前記生体特徴部の特徴情報に基づく生体認証情報の両方に基づいて正当権利者確認のための必要な情報を生成し出力する演算制御処理手段と、
前記必要な情報を入力し人体通信データに変換する人体通信変換回路と、
前記人体通信変換回路が出力する前記人体通信データを受ける人体通信電極と、
を備えたことを特徴とする人体通信カードホルダ。
【請求項2】
前記ICカードを出し入れ自在に収納する収納部を有することを特徴とする請求項1記載の人体通信カードホルダ。
【請求項3】
前記検知手段は指紋センサであることを特徴とする請求項1または2記載の人体通信カードホルダ。
【請求項4】
前記演算制御処理手段は、前記読取り手段で読み取った前記ID情報と前記検知手段で検知した前記生体特徴部の前記特徴情報のそれぞれを登録済みの各対応情報と照合し、照合結果に基づく判断結果情報を出力する判断手段を備えることを特徴とする請求項1記載の人体通信カードホルダ。
【請求項5】
請求項1〜3に記載した人体通信カードホルダであって、前記演算制御処理手段は、前記必要な情報として、前記人体通信カードホルダの前記人体通信電極から送信される前記ID情報と前記生体特徴部の前記特徴情報を出力する前記人体通信カードホルダと、
前記ID情報と前記生体特徴部の前記特徴情報を人体通信を経由して受信する人体通信受信電極と、
前記人体通信受信電極で受信した前記ID情報と前記生体特徴部の前記特徴情報のそれぞれを登録済みの各対応情報と照合し、照合結果に基づく判断結果情報によって制御信号を出力する判断制御手段と、
前記判断制御手段から出力される前記制御信号に基づき動作制御される制御対象物と、
から構成されることを特徴とするRFIDタグ認証システム。
【請求項6】
請求項4に記載した人体通信カードホルダと、
前記人体通信カードホルダの前記人体通信電極から送信される前記判断結果情報を人体通信を経由して受信する人体通信受信電極と、
前記人体通信受信電極で受信した前記判断結果情報に基づき制御信号を出力する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記制御信号に基づき動作制御される制御対象物と、
から構成されることを特徴とするRFIDタグ認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システムに関し、特に、RFIDタグ(ICカード)のID認証と利用者の生体認証に資する構成を有した人体通信カードホルダ、および、この人体通信カードホルダとの間の人体通信を介してID認証と併せて本人の生体認証を行うことができるRFIDタグ認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特定の関係者のみが入出できる部屋の認証システムであって、かつRFIDタグ(無線ICタグ)を使用した認証システムでは、RFIDタグを備えた非接触ICカード(本明細書等では「ICカード」と記す)をドアの近くに設置されたICカードリーダ・ライタの端末の箇所でかざすと、RFIDタグのID情報をICカードリーダ・ライタが読取り、制御用コンピュータが当該IDの適否を判断し、入室を許可する。このようなRFIDタグ認証システムの場合には、本来の正当な権利を有する関係者がICカードを他者に貸与すると、正当な権利を有しない他者も入室可能になり、非関係者の入室阻止に係るセキュリティーを保つことができなくなる。
【0003】
上記において、関係者の指紋等の認証(生体認証)を行って個人を特定し、その入室の許可・不許可を判断する認証システムも従来から存在している。
【0004】
また近年では人体通信を利用した各種のシステムが知られている。例えば、下記の特許文献1に開示された人体通信の指紋認証方法や、特許文献2に開示された電界通信による自動販売機の電子決済システムでは、指紋認証の方法を組み合わせた技術的アイデアが提案されている。
特許文献1に開示される指紋認証の方法は人体通信装置を携帯した2人の使用者の間の人体接触に基づく人体通信での指紋認証を行う方法である。特許文献2に開示される自動販売機の電子決済システムは、自動券売機と利用者の携帯する電界通信端末との間での人体通信を経由して行われる電子決済システムであって、利用者が自動券売機の商品選択ボタンに設けられた指紋センサにタッチしたときに、自動券売機側で指紋情報を取得し、この指紋情報と電界通信端末に記憶された指紋情報とを電界通信端末で照合し、同一と判断されたときに決済処理を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266234号公報
【特許文献2】特開2010−108234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の人体通信モジュールによれば、この人体通信モジュールが他者に貸与されたり、あるいは盗難される場合があると、不正に使用される可能性が生じ、セキュリティーを保つことができないという問題が提起される。
また特許文献1,2に開示される技術も、人体通信機器そのものに指紋認証等の生体認証のためのセンサ等が装備された構成は開示されていない。
【0007】
さらに人体通信を利用した人体通信認証システムに関しては、近年、特定の関係者がIDを格納した人体通信モジュールを所持し、例えば当該関係者が意図的に特定の部屋のドアの前に立つと、ドアの前の床内に設けられた床電極(人体通信アンテナ)と人体通信モジュールとの間で人体を介して通信を行い、認証システム側の制御用コンピュータがIDを取り込み、適否を判断し、入室を許可するような構成が要望されている。加えて、この構成と上記の生体認証に係る構成とが組み合わせられ、セキュリティーをさらに高めることが技術的に望まれている。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、利用者に携帯される人体通信機器であって、当該人体通信携帯機器にRFIDタグのID認証と当該利用者の生体認証に資する構成を備えた極めて有用な人体通信カードホルダを提供することにある。
また本発明の目的は、上記の人体通信カードホルダとの間での人体通信を介して人体通信カードホルダを所持する利用者の本人認証を、生体認証を付加することにより、確実に行うことができ、セキュリティーを向上することができるRFIDタグ認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0010】
第1の人体通信カードホルダ(請求項1に対応)は、RFIDタグを有するICカードのID情報を読み取る読取り手段と、利用者の生体特徴部を検知する検知手段と、ID情報に基づく利用者本人認証情報と生体特徴部の特徴情報に基づく生体認証情報の両方に基づいて正当権利者確認のための必要な情報を生成し出力する演算制御処理手段と、必要な情報を入力し人体通信データに変換する人体通信変換回路と、人体通信変換回路が出力する人体通信データを受ける人体通信電極と、を備えることによって構成される。
【0011】
上記の人体通信カードホルダでは、人体通信を利用してRFIDタグのID認証を行うことができる人体通信携帯機器であり、さらにID情報に基づく利用者本人認証情報と生体特徴部の特徴情報に基づく生体認証情報の両方に基づいて正当権利者確認のための必要な情報を生成し出力する演算制御処理手段を備えて機器所有者を特定できる生体認証機能部を備えるように構成することで、不正使用の可能性を排除し、利用するシステムでのセキュリティーを高めることが可能となる。
【0012】
第2の人体通信カードホルダ(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、ICカードを出し入れ自在に収納する収納部を有することを特徴としている。この構成では、RFIDタグを内蔵するICカードを収納する収納部を有し、人体通信カードホルダ自体は人体通信機能部と生体認証機能部を備えていると同時に、ICカードを装着できるICカード付属物として形成され、ID認証と生体認証を同時に行えると共に使用上の利便性を高めることが可能となる。
【0013】
第3の人体通信カードホルダ(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、検知手段は指紋センサであることを特徴としている。この構成では、生体認証として指紋認証が用いられ、ICカードを所有する利用者は人体通信カードホルダの指紋センサの設置箇所に指を接触させるだけで簡単に指紋認証を行うことが可能となる。
【0014】
第4の人体通信カードホルダ(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、演算制御処理手段は、読取り手段で読み取ったID情報と検知手段で検知した生体特徴部の特徴情報のそれぞれを登録済みの各対応情報と照合し、照合結果に基づく判断結果情報を出力する判断手段を備え、人体通信手段は判断結果情報を送信することを特徴としている。この構成によれば、人体通信カードホルダ自体において判断手段を備えており、装着されたIDカードからID情報読取り手段が読み取ったID情報と検知手段で検知した利用者の生体特徴部の情報とを、判断手段で、登録済みの各対応情報を照合し、これにより判断結果情報を作成し、この判断結果情報を利用システム側に人体通信手段を介して送信するようにしている。
【0015】
第5のRFIDタグ認証システム(請求項5に対応)は、
上記の第1から第3の人体通信カードホルダであって、演算制御処理手段は、必要な情報として、人体通信カードホルダの人体通信電極から送信されるID情報と生体特徴部の特徴情報を出力する人体通信カードホルダと
ID情報と生体特徴部の特徴情報を人体通信を経由して受信する人体通信受信電極と、
人体通信受信電極で受信したID情報と生体特徴部の特徴情報のそれぞれを登録済みの各対応情報と照合し、照合結果に基づく判断結果情報によって制御信号を出力する判断制御手段と、
判断制御手段から出力される制御信号に基づき動作制御される制御対象物と、
から構成されている。
この構成では、上記の人体通信カードホルダを利用したRFIDタグ認証システムであり、人体通信カードホルダから送信されるID情報と生体特徴部の特徴情報とを受信して、これらの情報と登録済みの対応情報とに基づいて制御に係る判断結果を生成し、判断結果に対応する必要な制御信号を生成する。
【0016】
第6のRFIDタグ認証システム(請求項6に対応)は、上記の第4の人体通信カードホルダと、人体通信カードホルダの人体通信電極から送信される判断結果情報を人体通信を経由して受信する人体通信受信電極と、人体通信受信電極で受信した判断結果情報に基づき制御信号を出力する制御手段と、制御手段から出力される制御信号に基づき動作制御される制御対象物と、から構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、次の効果を奏する。
本発明に係る人体通信カードホルダによれば、ICカード読取り機能部と生体特徴読取り機能部を備えかつ人体通信によりシステム側と通信を行う構成を有するため、正当な権利を有した人が自身が所有するICカード(RFIDタグ)を当該カードホルダに装着し、かつその時点での利用者の指紋等の生体特徴部を読み取らせることにより、ID情報の認証と併せて生体認証を行うことができ、セキュリティーシステムの信頼性を極めて向上することができる。
また人体通信カードホルダ側にID情報と生体情報の照合・判断を行うように構成によれば、システム側の変更を可能な限り少なくすることができ、高いセキュリティーを有するRFIDタグ認証システムを簡単に実現することができる。
本発明に係るRFIDタグ認証システムによれば、人体通信カードホルダとの間での人体通信を介して人体通信カードホルダを所持する利用者の本人認証を、人体通信カードホルダに生体認証を可能にする指紋センサ等の機能部を付加することにより、確実に行うことができ、セキュリティーを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る人体通信カードホルダの使用状況と、RFIDタグ認証システムの適用例を示す図である。
図2】本実施形態に係る人体通信カードホルダの外観図である。
図3】本実施形態に係る人体通信カードホルダの正面図である。
図4】本実施形態に係る人体通信カードホルダの背面図である。
図5】本実施形態に係る人体通信カードホルダの内部の構成と、当該人体通信カードホルダおよびRFIDタグ認証システムの間の人体通信に関する構成とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、人11がドア12の前に立ち、このドア11を開けて或る特定な部屋13の中に入ろうとしている状態を示している。ドア12は、ドアノブ14の箇所に設けた電気錠15により施錠されている。人11は、電気錠15の施錠状態を解除しなければ、ドア12を開けて部屋13の中に入れない。電気錠15の施錠または施錠解除の動作は、制御装置16からの制御信号17(施錠信号または施錠解除信号)に基づいて制御される。電気錠15の構成としては任意な市販のものが使用される。人11は、例えば、特定な部屋13の中に入る正当な権利を有した人である。この人11は、特別なICカードが装着された状態の人体通信カードホルダ18を所有している。ICカードはRFIDタグを内蔵し、RFIDタグのメモリ内に人11を特定するID情報を記憶している。さらに人体通信カードホルダ18は、後述するように、人体通信装置と、生体特徴部である例えば指紋を検知するための指紋センサとを備えている。人11が、ICカードを装着した人体通信カードホルダ18を手に所持した状態で、かつ指紋センサの接触箇所を自身の人差し指等で接触した状態で、ドア11の前に立っているものとする。他方、ドア11の外側の床19の箇所には床電極20が埋設状態で設置されている。床電極20は人体通信用のアンテナとして機能する。人11が、床電極20を設置した床19の上に立つと、床電極20と、人体通信カードホルダ18内の人体通信装置との間において、人11の身体を通して通信状態が生じる。図1において、21は、人11の身体を介して人体通信が行われているときに発生する電界の状態を示している。床電極20との間の電界21に基づく人体通信によって、人体通信カードホルダ18と制御装置16との間でデータの送受が行われる。ドア11の電気錠15の動作状態を制御する制御装置16は、人11が所持する人体通信カードホルダ18から、ID情報(FRIDタグを認証するための情報)と人11に関する指紋情報(生体の特徴部情報)とを受信し、これらの受信情報に基づいて電気錠15の動作状態を制御する。以上のごとく、本実施形態に係るRFIDタグ認証システムは、ドア11の開閉の許可・不許可に係る開閉制御に適用された例であり、かつICカード(RFIDタグ)のID認証と共に、併せて、利用者である人11の生体情報の認証を行うように構成されている。人11の生体情報の認証は、人体通信カードホルダ18に指紋センサのごとき人11の生体特徴部を検知する検知手段を付設することにより、実現可能となる。
【0021】
次に、図2図4を参照して、人体通信カードホルダ18の具体的な外部形態および内部構造について説明する。
人体通信カードホルダ18の外形は、図2に示すように、厚みが薄く全体として扁平なカードホルダの形状をなし、かつ、正面から見た長方形形状のおける1つの短辺の部分にICカード31を出し入れ自在に装着することのできるスリット口32を形成している。スリット口32の壁部の一部には凹所32aが形成されている。人体通信カードホルダ18の内部には、スリット口32から挿入されたICカード31を収容する収容部33が設けられている。図3に示すように、人体通信カードホルダ18の正面形状はほぼ長方形である。人体通信カードホルダ18の正面部には、ICカードアンテナが内蔵される領域部34が設けられている。ICカードアンテナは、人体通信カードホルダ18の内部に収容されたICカード31内のRFIDタグとの間でデータの送受を行うためのアンテナである。また図4に示すように、人体通信カードホルダ18の背面部にはバッテリ収容部35と指紋センサ36が設けられている。指紋センサ36は、例えばスワイプ式の指紋検知手段であり、人体通信カードホルダ18の背面の表面に露出したセンサ読取り部に指先の指紋部分を接触して読み取らせると、当該指先の指紋を検知する。図4において、バッテリ収容部35は、蓋により閉じられた状態で示されている。なお、図2図4では明確に示されていないが、人体通信カードホルダ18の正面部と背面部の両側部分には、さらに、内蔵状態にて人体通信電極が設けられている。
【0022】
図5を参照して、本実施形態に係る人体通信カードホルダ18の内部構成と、当該人体通信カードホルダ18およびRFIDタグ認証システムの間の人体通信に関する構成とを説明する。この実施形態の場合、ICカード31すなわちRFIDタグの認証、および指紋認証は、制御装置16の側で実行される。
【0023】
人体通信カードホルダ18の内部には、受信入力部として、ICカードアンテナ41およびICカードリーダ・ライタ42と、指紋センサ36とを備えている。指紋センサ36の指紋読取り部は人体通信カードホルダ18の背面部に露出している。人体通信カードホルダ18の内部にICカード31が収容されると、ICカード31とICカードアンテナ41との間で無線通信が行われ、ICカード31のメモリに記憶されるID情報がICカードリーダ・ライタ42によって読み取られる。指紋センサ36は、利用者である人11がその指11Aの指紋部分を指紋センサ36の指紋読取り部に接触すると、当該指紋を検知し、指紋の特徴情報を取得する。
【0024】
43は演算制御処理部であり、メモリ44を備える。上記のごとくICカードリーダ・ライタ42で読み取られたID情報と、指紋センサ36で検知された指紋の特徴情報とは、演算制御処理部43に与えられる。演算制御処理部43は、与えられたICカード31のID情報と、指11Aの指紋の特徴情報とを、人体通信変換回路45に転送する。人体通信変換回路45は、ICカード31のID情報と指11Aの指紋の特徴情報を人体通信データに変換し、人体通信電極46に送る。人体通信データは、人体通信電極46と床電極20の間で、人11の人体、および電界21を経由して送信される。なお人体通信カードホルダ18と人11の人体との間も電界47により通信が行われる。床電極20を介して人体通信データを受信した制御装置16は、当該人体通信データからICカード31のID情報と指11Aの指紋の特徴情報を抽出し、さらに、これらのID情報と指紋の特徴情報を、内蔵メモリに保存した対応する登録済みのID情報と指紋の特徴情報のそれぞれに照合し、ID情報と指紋の特徴情報が、それぞれ、対応する情報と一致するか否かを判断する。制御装置16による照合判断結果において一致と判断された場合には、施錠状態を解除するための制御信号17を生成し、電気錠15に送り、電気錠の施錠状態を解除する。これにより、人11はドア12を開いて部屋13の中に入ることができる。ドア11が閉じられた場合には、再び自動的に電気錠15は施錠される。制御装置16による照合判断結果において不一致と判断された場合には、施錠状態を解除するための制御信号は生成されず、電気錠15の施錠状態は保持される。この結果、ドア12は開かず、人11は部屋13の中に入ることができない。
【0025】
なお人体通信カードホルダ18の内部には、前述した通り、バッテリ収容部35に収容されたバッテリ48が設けられている。
【0026】
以上の構成によれば、ドア12の電気錠15の施錠または施錠解除の制御に適用されたRFIDタグ認証システムにおいて、人体通信装置(人体通信変換回路45および人体通信電極46)とICカードリーダ・ライタ42と指紋センサ36を備えた人体通信カードホルダ18からID情報と指紋の特徴情報を人体通信を介してシステム側に送信し、システム側の制御装置17でID認証と併せて、利用者である人11の指紋認証を行うようにしたため、正当な権限のない第三者の不正な使用を確実に防止することができ、セキュリティーを高めることができる。
【0027】
次に、本発明の他の実施形態に係る人体通信カードホルダ18の内部構成と、当該人体通信カードホルダ18およびRFIDタグ認証システムの間の人体通信に関する構成を説明する。ハードウェアとしての構成は図5に示した構成と基本的に同じである。この実施形態では、システム側の制御装置16においてIDと指紋の照合および認証を行うのではなく、人体通信カードホルダ18の側で照合および認証を行うように構成される点に特徴がある。その他の機能的な構成は図5で説明した上記の実施形態の構成と同じである。
【0028】
図5を参照して説明する。この実施形態の場合の構成では、演算制御処理部43に備えられたメモリ44において、登録済みの上記のICカード31のID情報と人11の指11Aの指紋の特徴情報とが予め保存されている。演算制御処理部43は、ICカードリーダ・ライタ42と指紋センサ36から与えられたICカード31のID情報および指11Aの指紋の特徴情報を、それぞれ、対応する登録済みのID情報および指紋の特徴情報と照合し、ID情報と指紋の特徴情報がそれぞれ対応する情報と一致するか否かを判断する。演算制御処理部43による照合判断結果に係るデータは、人体通信変換回路45、人体通信電極46、電界47、人11の人体、電界21、床電極20を介して制御装置16に送られる。制御装置16は、人体通信カードホルダ18から送られた照合判断結果に係るデータに基づいて電気錠15の動作状態を制御する。
【0029】
上記の構成によれば、人体通信カードホルダ18側でID情報と指紋の特徴情報の認証を行うことができるために、システム側の制御装置16等に変更を加える必要がなく、従来のRFIDタグシステムを利用することができ、RFIDタグシステムの構築が容易になるという利点を有している。
【0030】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る人体通信カードホルダは、RFIDタグ認証システムに適用され、ID情報読取り機能と共に生体認証読取り部を備えてID情報と生体認証を行える構成を可能にし、セキュリティーを高めるのに利用される。
【符号の説明】
【0032】
11 人
11A 指
12 ドア
13 部屋
14 ドアノブ
15 電気錠
16 制御装置
17 制御信号
18 人体通信カードホルダ
19 床
20 床電極
21 電界
31 ICカード
32 スリット口
33 収容部
34 アンテナ領域
35 バッテリ容器
36 指紋センサ
41 ICカードアンテナ
42 ICカードリーダ・ライタ
43 演算制御処理部
44 メモリ
45 人体通信変換回路
46 人体通信電極
47 電界
48 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5