特許第6193567号(P6193567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193567
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】フィルタ枠
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20060101AFI20170828BHJP
   B01D 46/52 20060101ALN20170828BHJP
【FI】
   B01D46/00 Z
   !B01D46/52 Z
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-280719(P2012-280719)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-124536(P2014-124536A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西堀 寧
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−088718(JP,A)
【文献】 特開2001−311372(JP,A)
【文献】 特開平07−251680(JP,A)
【文献】 特開平11−131674(JP,A)
【文献】 実開昭59−146020(JP,U)
【文献】 特開2002−130760(JP,A)
【文献】 実公昭40−016854(JP,Y1)
【文献】 米国特許第04439219(US,A)
【文献】 特開2000−111115(JP,A)
【文献】 特開平11−153335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00−39/20
B01D 46/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタ用濾材を収納するためのフィルタ枠であって、
フィルタ枠を構成する枠片に設けられたレール状の溝に嵌合する連結部材が、濾材支持部材に嵌合固定されており、該濾材支持部材は断面H形の棒状であることを特徴とするフィルタ枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル空調、工場空調、病院空調などにおける空調機器に装着するフィルタ枠に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル空調、工場空調、病院空調などにおける空調機器には、塵埃やガス状汚染物質を除去するため、シート状濾材を折り曲げてその表面積を大きくしたフィルタエレメントが使用されている。このフィルタエレメントは、塵埃によって目詰まりが生じた際に或いはガス状汚染物質を吸着する能力に限界が生じた際に、新品のフィルタエレメントと容易に交換できるように、剛性のフィルタ枠に交換可能に収納したフィルタユニットの形態で用いられている。このようなフィルタユニットに用いられるフィルタ枠としては特許文献1のフィルタ用枠体が知られている。
【0003】
このフィルタ用枠体は図9に示すように、フィルタ102の一方側に当接する第1止め部材(縁枠106、止め棒105)、及びフィルタ2の他方側に当接する第2止め部材(穴104、棒部材103)が設けられた枠体101である。第1止め部材は金属、プラスチック、或いは木材からなる枠本体113に固定されており、第2止め部材は被処理流体の進行方向(矢印A)の任意位置で位置決めできるようになっており、フィルタの厚みに応じて、フィルタを第1止め部材と記第2止め部材の間に挟んで固定する構造となっている。
【0004】
この第1止め部材は縁枠106及び止め棒105から構成されており、止め棒105は下流側開口の中央を横断する様に配設されている。特にフィルタ102が大きい場合や流体の圧力が大きい場合には、フィルタ102が湾曲する恐れがあるが、このような場合でも止め棒105を備えたものはフィルタ102を枠体101内に安定して固定できることが示されている。また実施例によれば木製の枠本体113に鋼板からなる止め棒105と木製の角材からなる縁枠106とを固定しているが、止め棒105の固定方法については示されていない。
【0005】
このような止め棒105の固定方法に関しては、図10に示すように特許文献2の交換型フィルタ装置111に記載される補強杆121(121a、121b)が知られている。特許文献2は、フレーム112内にフレーム112の上方よりプリーツ形状の濾過材130が着脱可能に収納される交換型フィルタ装置111であり、濾過材130の上流面側と下流面側のフレーム112に、それぞれ管状又は長手方向に溝状の補強杆121aと121bとをプリーツの折り目に交差するように前記フレーム112に設けたものである。フレーム112には、濾過材130の装着方向を規制する規制板116がフレーム112の両側板112c、112c内面の上流側端部と下流側端部とに設けられており、これらの補強杆121は両側板112c、112cの間をリベット122で固定されている。
【0006】
この交換型フィルタ装置111では、フレーム112の両側板112c及び補強杆121はそれぞれ押出し成形による部材から形成されており、補強杆121が側板112cにリベット122によって固定されている。このように押出し成形による部材から形成することにより、部材の長さを変更するだけで、要望に応じた様々な間口の交換型フィルタ装置111を製作することが可能になっている。
【0007】
押出し成形が可能な部材としては、鉄、アルミニウムなどの金属や、樹脂などからなる部材があるが、使用後の廃棄処理を考慮した場合、焼却または熱リサイクル可能な樹脂製の部材であることが好ましい。しかし、樹脂製の部材の場合は、リベットやボルトなどの連結子を用いて補強杆121を側板112cに固定しようとすると、補強杆121又は側板112cが破損してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−141026号公報
【特許文献2】特開2004−290846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決して、エアフィルタ用濾材を収納するためのフィルタ枠に関し、リベットやボルトなどの連結子を用いることなく、濾材支持部材をフィルタ枠に容易に固定することが可能なフィルタ枠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、エアフィルタ用濾材を収納するためのフィルタ枠であって、フィルタ枠を構成する枠片に設けられたレール状の溝に嵌合する連結部材が、濾材支持部材に嵌合固定されており、この濾材支持部材は断面H形の棒状であることを特徴とするフィルタ枠をその解決手段とした。なお本発明では「嵌合」とは、ボルトやリベット等の連結子による固定形態とは異なる形態を意味している。すなわち本発明では、ボルトとナットにより2つの部材を挟んでねじで締め付けた固定構造や、穴を開けた2つの部材にリベットを通し、飛出た軸先端部(かしめ部)を専用工具や専用設備を使って潰し、2つの部材を密着させて繋ぎ合せた形態とは異なる形態を意味している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、エアフィルタ用濾材を収納するためのフィルタ枠に関し、リベットやボルトなどの連結子を用いることなく、濾材支持部材をフィルタ枠に容易に固定することが可能なフィルタ枠を提供することが可能となった。また、フィルタ枠の枠片や濾材支持部材が押出し成形が可能な樹脂製の部材であったとしても、濾材支持部材をフィルタ枠に容易に固定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のフィルタ枠の一例を示す斜視図である。(a)はフィルタ枠の全体を示す図である。(b)は(a)のA部分の拡大図である。(c)は(b)部分の組立図である。
図2】本発明のフィルタ枠の別の例を示す斜視図である。(a)はフィルタ枠の全体を示す図である。(b)は(a)のA部分の拡大図である。(c)は(b)部分の組立図である。
図3】本発明のフィルタ枠の別の例の部分拡大図を示す図である。(a)は濾材支持部材の固定状態を示す図である。(b)は(a)の組立図である。(c)は別の濾材支持部材の固定状態を示す図である。(d)は(c)の組立図である。
図4】(a)、(b)、(c)のそれぞれは、本発明のフィルタ枠の別の例を示す正面図である。
図5】(a)、(b)のそれぞれは、本発明のフィルタ枠の別の例を示す正面図である。
図6】本発明のフィルタ枠の別の例を示す斜視図である。
図7図6のフィルタ枠の組立てを示す斜視図である。
図8図6のフィルタ枠の組立て部品の一部を示す斜視図である。
図9】従来技術のフィルタ用枠体を示す斜視図である。(a)はフィルタ用枠体の全体を示す斜視図である。(b)は(a)にフィルタを固定した図である。
図10】従来技術の交換型フィルタ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るフィルタ枠の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明のフィルタ枠は、図1及び図2に例示するように、エアフィルタ用濾材を収納するためのフィルタ枠10であって、フィルタ枠10を構成する枠片20に嵌合した連結部材50に、濾材支持部材40が嵌合により固定されていることを特徴とする。
【0015】
図1及び図2では、フィルタ枠10は左側板21、右側板22、天板23及び底板24の4つの枠片20から構成されており、各枠片20はそれぞれの隅部で繋がり、気流の入口及び出口には矩形の開口が形成されている。枠片20はエアフィルタ用濾材が収納可能である限り、その形態は特に限定されないが、エアフィルタ用濾材が接する内面が平滑であることが好ましい。また枠片20の材質も特に限定されることはなく、鉄、アルミニウムなどの金属や、樹脂、木材などが可能であるが、この中でも押出し成形が可能な金属や樹脂が好ましく、また使用後の廃棄処理を考慮した場合、焼却または熱リサイクル可能な樹脂であることが更に好ましい。
【0016】
また枠片20を押出し成形による部材から形成することにより、部材の長さを変更するだけで、要望に応じた様々な寸法のフィルタ枠10を製作することが可能である。押出し成形による部材を採用した場合は、各枠片20の端部を隅部材を用いて結合することでフィルタ枠を形成することができる。なお本発明では、各枠片20は必ずしもそれぞれ独立した4つの枠片である必要はなく、例えば一枚の板を折り曲げて4辺を形成したものでも可能である。
【0017】
図1及び図2では、気流の出口側に各枠片にそれぞれレール30が立設されており、レール30によって気流の出口には気流の入口よりもやや小さい矩形の開口が形成されている。そして各枠片20と各レール30の壁から形成される空間内に、気流の入口側からエアフィルタ用濾材を隙間無く収納することができるようになっており、収納した際に各レール30はエアフィルタ用濾材の周囲がフィルタ枠10から抜け出ることを防止する機能を有している。
【0018】
本発明では、エアフィルタ用濾材が収納可能であり、且つ枠片から構成されている限り、枠片の数も各枠片から形成される開口の形も特に限定されることはなく、図1及び図2の形態以外に、3個以上の枠片であることが可能であり、また開口の形も多角形であることが可能である。
【0019】
また本発明では、図1及び図2のように気流の入口側からエアフィルタ用濾材を収納する形式以外にも、図10に示されるように3個の枠片からなるフィルタ枠の上方よりエアフィルタ用濾材を収納する形式も可能である。図10ではエアフィルタ用濾材の装着方向を規制する規制板116が枠片112の両側板112c、112c内面の上流側端部と下流側端部とに設けられている。
【0020】
本発明では、図1及び図2に例示するようにフィルタ枠10を構成する枠片20に嵌合した連結部材50に、濾材支持部材40が嵌合により固定されている。濾材支持部材40は、エアフィルタ用濾材がフィルタ枠の上流側又は下流側から脱落することを防止する機能を有する限り、また連結部材50に嵌合により固定可能である限り、その材質は特に限定されることはなく、前記枠片と同様に、鉄、アルミニウムなどの金属や、樹脂、木材などが可能であるが、この中でも押出し成形が可能な金属や樹脂が好ましく、また使用後の廃棄処理を考慮した場合、焼却または熱リサイクル可能な樹脂であることが更に好ましい。また、濾材支持部材40の形状も特に限定されることはないが、風圧や吸引圧を受けたエアフィルタ用濾材によって湾曲しない程度の強度を有し、且つ圧力損失の低い形態が好ましく、図1〜3に例示するように棒状であることや網状であることが好ましい。網状部材の場合その端部が棒状となっていて連結部材50に嵌合できる形態であることも可能である。
【0021】
また前記連結部材50は枠片20及び濾材支持部材40と嵌合可能である限り、その材質は特に限定されることはなく、鉄、アルミニウムなどの金属や、樹脂、木材などが可能であるが、枠片20または濾材支持部材40と同様な材質を選択することが好ましい。また複雑な形状に成形可能な樹脂であることが好ましく、樹脂であれば焼却または熱リサイクル可能という利点も有している。
【0022】
本発明ではフィルタ枠10を構成する枠片20に嵌合した連結部材50に、濾材支持部材40が嵌合により固定されているが、枠片20と連結部材50との嵌合部に予め接着剤が塗布され、枠片20と連結部材50が嵌合すると共に接着剤によって固定された形態も可能である。また連結部材50と濾材支持部材40との嵌合部に予め接着剤が塗布され、連結部材50と濾材支持部材40が嵌合すると共に接着剤によって固定された形態も可能である。
【0023】
フィルタ枠10を構成する枠片20に嵌合した連結部材50に、濾材支持部材40が嵌合により固定されている形態としては、図1〜3に例示するように、枠片20の気流の出口側又は入口側に、凹形又は凸形の断面を有するレール30が形成されており、連結部材50の一端に凸部51a又は凹部51bが設けられており、該凸部51a又は凹部51bが前記枠片のレール30に嵌合しており、連結部材50の他端に窪み52a又は突起52bが設けられており、該窪み52a又は突起52bが棒状の濾材支持部材40の端部と嵌合している形態を挙げることができる。
【0024】
より具体的に説明すると、フィルタ枠10を構成する枠片20に連結部材50が嵌合している形態としては、例えば図1に示すように、枠片20の気流の出口側に、凹形の断面を有するレール30が形成されており、連結部材50の一端に凸部51aが設けられており、該凸部51aが枠片20のレール30に嵌合している形態を挙げることができる。また、図2に例示するように、枠片20の気流の出口側に、凸形の断面を有するレール30が形成されており、連結部材50の一端に凹部51bが設けられており、該凹部51bが枠片20のレール30に嵌合している形態を挙げることができる。
【0025】
また図3(a)、(b)に例示するように、枠片20の気流の出口側に、溝が2つ形成された凹形の断面を有するレール30が形成されており、連結部材50の一端に2つの凸部51cが設けられており、該凸部51cが枠片20のレール30に嵌合している形態を挙げることができる。また図3(c)、(d)に例示するように、枠片20の気流の出口側に、深浅2つの溝が形成された凹形の断面を有するレール30が形成されており、連結部材50の一端に高低2つの凸部51dが設けられており、該凸部51dが枠片20のレール30に嵌合している形態を挙げることができる。
【0026】
また、連結部材50に濾材支持部材40が嵌合により固定されている形態としては、例えば図1に示すように、連結部材50の他端に角形筒状の窪み52aが設けられており、該窪み52aが角形棒状の濾材支持部材40の端部と嵌合している形態を挙げることができる。また図2に例示するように、連結部材50の他端に角形棒状の突起52bが設けられており、該突起52bが角形筒状の濾材支持部材40の端部と嵌合している形態を挙げることができる。
【0027】
また図3(a)、(b)に例示するように、連結部材50の他端に円筒状の窪み52cが設けられており、該窪み52cが円柱状の濾材支持部材40の端部と嵌合している形態を挙げることができる。また図3(c)、(d)に例示するように、連結部材50の他端に断面H形の窪み52dが設けられており、該窪み52dが断面H形の棒状の濾材支持部材40の端部と嵌合している形態を挙げることができる。濾材支持部材40が断面H形の棒状の部材であれば、軽量で強度も高いという利点がある。
【0028】
なお前記レール30は連結部材50と嵌合する部分以外の部分において、一部を切り欠く等の加工を施した構造を有することも可能であり、また前記濾材支持部材40も連結部材50と嵌合する部分以外の部分において、一部を切り欠く等の加工を施した構造を有することも可能である。
【0029】
前記濾材支持部材40の配置方法についても、連結部材50に濾材支持部材40が嵌合により固定可能である限り、特に限定されず枠片20の気流の入口側に配置することも、あるいは図1及び図2のように枠片20の気流の出口側に配置することも可能である。また図10のように3個の枠片からなるフィルタ枠の上方よりエアフィルタ用濾材を収納する形式の場合等は、枠片20の気流の入口側と出口側にそれぞれ配置することも可能である。また枠片20における位置も、濾材支持部材40の個数も適宜選択して配置することが可能である。
【0030】
具体例で説明すると、図1図2及び図4(a)では、棒状の濾材支持部材40が枠片21と枠片22の間に開口の中央を横断するように渡設されており、濾材支持部材40の両端部が、当該両端部にそれぞれ配置された各連結部材50の一端部と嵌合しており、各連結部材50の他端部は枠片21及び枠片22にそれぞれ立設配置されたレール30と嵌合している。また図4(b)では棒状の濾材支持部材41の右端部と結合部材55の左端部とが嵌合により結合し、且つ棒状の濾材支持部材42の左端部と結合部材55の右端部とが嵌合により結合することで、一本の濾材支持部材40が形成されており、当該棒状の濾材支持部材40が枠片21と枠片22の間に開口の中央を横断するように渡設されており、濾材支持部材40の両端部が、当該両端部にそれぞれ配置された各連結部材50の一端部と嵌合しており、各連結部材50の他端部は枠片21及び枠片22にそれぞれ立設配置されたレール30と嵌合している。なお棒状の濾材支持部材41、42と結合部材55との嵌合構造は、棒状の濾材支持部材41、42と連結部材50との嵌合構造と同様な構造を採用することができる。
【0031】
また図4(c)では棒状の濾材支持部材41の右端部と結合部材56の左端部とが嵌合により結合しており、棒状の濾材支持部材42の左端部と結合部材56の右端部とが嵌合により結合しており、棒状の濾材支持部材43の下端部と結合部材56の上端部とが嵌合により結合しており、且つ棒状の濾材支持部材44の上端部と結合部材56の下端部とが嵌合により結合することで、十字形の濾材支持部材40が形成されている。当該十字形の濾材支持部材40が枠片21と枠片22の間に渡設されると共に当該十字形の濾材支持部材40は枠片23と枠片24の間に渡設されており、濾材支持部材40の4つの端部が、当該4つの端部にそれぞれ配置された各連結部材50の一端部と嵌合しており、各連結部材50の他端部は枠片21、22、23及び24にそれぞれ立設配置されたレール30と嵌合している。なお棒状の濾材支持部材41、42、43、44と結合部材56との嵌合構造は、棒状の濾材支持部材41、42、43、44と連結部材50との嵌合構造と同様な構造を採用することができる。
【0032】
また図5(a)では棒状の濾材支持部材41が枠片21と枠片24の間に渡設されており、且つ棒状の濾材支持部材42が枠片22と枠片23の間に渡設されており、濾材支持部材41、42の両端部が、当該両端部にそれぞれ配置された各連結部材50の一端部と嵌合しており、各連結部材50の他端部は枠片21、24、22及び枠片23にそれぞれ立設配置されたレール30と嵌合している。
【0033】
また図5(b)では棒状の濾材支持部材41の右端部と結合部材57の左上端部とが嵌合により結合しており、棒状の濾材支持部材42の左端部と結合部材57の右下端部とが嵌合により結合しており、棒状の濾材支持部材43の左端部と結合部材57の右上端部とが嵌合により結合しており、且つ棒状の濾材支持部材44の右端部と結合部材57の左下端部とが嵌合により結合することで、十字形の濾材支持部材40が形成されている。当該十字形の濾材支持部材40は枠片21と枠片22の間に渡設されると共に当該十字形の濾材支持部材40が枠片23と枠片24の間に渡設されており、濾材支持部材40の4つの端部が、当該4つの端部にそれぞれ配置された各連結部材50の一端部と嵌合している。そして、各連結部材50の他端部は枠片21と23にそれぞれ立設配置されたレール30がなす隅部32、枠片22と24にそれぞれ立設配置されたレール30がなす隅部33、枠片23と22にそれぞれ立設配置されたレール30がなす隅部34、及び枠片24と21にそれぞれ立設配置されたレール30がなす隅部31とそれぞれ嵌合している。なお棒状の濾材支持部材41、42、43、44と結合部材57との嵌合構造は、棒状の濾材支持部材41、42、43、44と連結部材50との嵌合構造と同様な構造を採用することができる。
【0034】
つぎに、本発明のフィルタ枠の好適な例を図6〜8に示す。図6には、本発明のフィルタ枠10が突起Pを有してなる雄形フィルタ枠11と、本発明のフィルタ枠10がレール状の溝U’を有してなる雌形フィルタ枠11’とが連結して形成されたフィルタ枠連結体12が示されている。また図7には、雄形フィルタ枠11と雌形フィルタ枠11’とを連結する前の状態が示されている。図7では雄形フィルタ枠11において、当該雄形フィルタ枠11を構成する枠片21、22に嵌合した連結部材50に、濾材支持部材40が嵌合により固定されている。同様に雌形フィルタ枠11’において、当該雌形フィルタ枠11’を構成する枠片21’、22’に嵌合した連結部材50’に、濾材支持部材40’が嵌合により固定されている。
【0035】
図7に示すように、雄形フィルタ枠11を奥行き方向である矢印Aの方向に移動させるか、または雌形フィルタ枠11’を奥行き方向である矢印A’の方向に移動させて、突起Pをレール状の溝U’の中を滑らして、突起Pとレール状の溝U’とを嵌合することで、雄形フィルタ枠11と雌形フィルタ枠11’とを連結してフィルタ枠連結体12を形成することができる。ここで雄形フィルタ枠の奥行き方向または雌形フィルタ枠の奥行き方向とは、雄形フィルタ枠または雌形フィルタ枠の気流の流入面から気流の流出面に向かう方向またはその逆の方向のことを意味している。
【0036】
図7に示すように、雄形フィルタ枠11及び雌形フィルタ枠11’は、それぞれ4個の隅部材60(61〜64)、60’(61’〜64’)と、当該隅部材60、60’の間に配置され当該隅部材60、60’と嵌合したそれぞれ4個の枠片20(21〜24)、20’(21’〜24’)とから形成されており、雌形フィルタ枠11’に対向する隅部材61は突起Pを有しており、雄形フィルタ枠11に対向する隅部材63’には雌形フィルタ枠11’の奥行き方向に延びるレール状の溝U’が形成されている。なお図7の例では、雄形フィルタ枠11の右側の隅部材63はレール状の溝Uを有しており、雌形フィルタ枠11’の左側の隅部材61’は突起P’を有しており、雄形フィルタ枠11と雌形フィルタ枠11’とは同一形態のフィルタ枠になっている。
【0037】
図6、7では、枠片20は2個の隅部材60の間に配置されており、枠片20が2個の隅部材60と結合することで、雄形フィルタ枠11又は雌形フィルタ枠11’を形成している。隅部材60と枠片20としては、図8に例示する枠片20、20’と隅部材60、60’を採用することができる。この枠片20、20’は押出し成形による部材から形成されており、部材の長さを変更するだけで、要望に応じた様々な寸法の雄形フィルタ枠11又は雌形フィルタ枠11’を製作することが可能である。
【0038】
図8は前記雄形フィルタ枠11及び前記雌形フィルタ枠11’の組立て部品の一部を示す図である。隅部材61は突起Pとは別に、右方向に向かって水平方向に突出した突起Qと、上方向に突出した突起Rとを有している。同様にして、隅部材62、63、64も突起Q、Rを有している。
【0039】
図7、8に示すように枠片24は隅部材61と隅部材63の間に配置されており、枠片24の左端部には隅部材61の突起Qと嵌合する窪みVが形成されており、枠片24の右端部にも隅部材63の突起Qと嵌合する窪みVが形成されている。この窪みVは断面が鍵形のレール状の溝となっており、枠片24を押出成形によって形成したものであり、突起Qと窪みVとはプラグとソケットの関係で嵌合している。同様に枠片23も枠片24と同じ構造をしており、隅部材62、64の突起Qと枠片23の窪みVとはプラグとソケットの関係で嵌合している。
【0040】
また、図7、8に示すように枠片21は隅部材61と隅部材62の間に配置されており、枠片21の下端部には隅部材61の突起Rと嵌合する窪みWが形成されており、枠片21の上端部にも隅部材62の突起Rと嵌合する窪みWが形成されている。この窪みWは断面が鍵形のレール状の溝となっており、枠片21を押出成形によって形成したものであり、突起Rと窪みWとはプラグとソケットの関係で嵌合している。同様に枠片22も枠片21と同じ構造をしており、隅部材63、64の突起Rと枠片22の窪みWとはプラグとソケットの関係で嵌合している。
【0041】
図8では、突起Qと突起Rとは同じ形状になっており、窪みVと窪みWとは同じ形状になっている。つまり、枠片21〜24の断面形状が同じ鍵形のレール状の溝となっており、枠片21〜24を同じ型を用いた押出成形によって形成することが可能である。このように、雄形フィルタ枠11と雌形フィルタ枠11’とは、夫々異なる4個の隅部材と、同じ押出し成形によって得られた同じ断面形状の4個の枠片とから形成されている。ここで枠片は押出し成形によるものであるので、枠片の寸法は自由に選択できる。したがって、これら5種類の部材を用いて、雄形フィルタ枠11又は雌形フィルタ枠11’の、空気流入口又は空気流出口の大きさを自由に選択することができる。
【0042】
なお、図6〜8では、突起Q、Rとレール状の溝となっている窪みV、Wとに接着剤を塗布してから、突起Q、Rと窪みV、Wとを嵌合させることによって、隅部材61〜64と枠片21〜24とを結合して、雄形フィルタ枠11又は雌形フィルタ枠11’を形成することができる。
【0043】
また図6〜8に示すように、枠片20、20’がフィルタエレメント13と接する枠片の内側面は平滑な面となっている。一方外側面には枠片の補強のためリブ90、90’が設けられており、このリブ90、90’を受容するための溝80、80’が隅部材の突起Q、Q’、R、R’に設けられている。
【0044】
図6〜8に示すように枠片21、22’の気流出口部には、図3(c)、(d)に例示したと同様の深浅2つの溝が形成された凹形の断面を有するレール30、30’が立設されており、これに対して連結部材50、50’の一端に高低2つの凸部51d、51d’が設けられており、該凸部51d、51d’が前記枠片のレール30、30’に嵌合している。また連結部材50、50’の他端に断面H形の窪み52d、52d’が設けられており、該窪み52d、52d’が断面H形の棒状の濾材支持部材40、40’の端部と嵌合している。濾材支持部材40、40’が断面H形の棒状の部材であるので、軽量で強度も高いという利点がある。なお立設されたレール30、30’の内側の壁30a、30a’はフィルタエレメント13の周囲が流出側に押出されるのを防ぐための止め機能も有している。
【0045】
また図6〜8に示すように、隅部材60の気流出口部にも止め部70、70’が設けられており、フィルタエレメント13が雄形フィルタ枠11または雌形フィルタ枠11’から風圧により押出されることを防止する。また枠片20、20’の空気流入口部は内側になるに従い、雄形フィルタ枠11又は雌形フィルタ枠11’の開口部が狭くなるように傾斜面を有する形態となっており、フィルタエレメント13を挿入し易くなっている。また枠片20の気流入口部に溝35、35’が設けられており、必要に応じてこれらの溝35、35’を利用してフィルタエレメント13を押える棒状または柵状の押え部材(図示しない。)を設けることも可能である。
【0046】
前記雄形フィルタ枠及び雌形フィルタ枠は樹脂を成形することにより形成することが好ましい。例えば雄形フィルタ枠11及び雌形フィルタ枠11’を構成する隅部材60、60’は射出成形により形成することができる。この場合、樹脂の種類としては、例えばABS、塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレンまたはタルク含有ポリプロピレンなどを使用することができるが、特にABSまたは塩化ビニルであることが好ましい。また、枠片20、20’は前述したように押出成形により形成することができる。この場合も、樹脂の種類としては、例えばABS、塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレンおよびタルク含有ポリプロピレンなどを使用することができるが、特にABSまたは塩化ビニルであることが好ましい。このように前記雄形フィルタ枠及び雌形フィルタ枠は樹脂製であるので、重量が軽いという効果がある。そのため雄形フィルタ枠又は雌形フィルタ枠の配置作業の効率や交換作業の効率が向上するという効果がある。また雄形フィルタ枠又は雌形フィルタ枠を廃棄する場合は、有機質のフィルタエレメントと伴に、分別処理せずに焼却処理して、サーマルリサイクルすることも可能である。また雄形フィルタ枠及び雌形フィルタ枠をさらに軽量化するため又はコスト低減のため、雄形フィルタ枠及び雌形フィルタ枠の一部、例えば隅部材60の突起Q、Rに空洞や穴を設けることも可能である。
【0047】
本発明のフィルタ枠の大きさは、空気の流入面または流出面の一辺の長さが150〜800mmであり、奥行き方向の長さが45〜290mmであることが好ましく、奥行き方向の長さについては45〜160mmであることがより好ましい。汎用的には、空気の流入面または流出面の一辺の長さ305、610mm、奥行き方向の長さ65、150mmを組み合わせて適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 フィルタ枠
11 雄形フィルタ枠
11’ 雌形フィルタ枠
12 フィルタ枠連結体
13 フィルタエレメント
20、20’ 枠片
21、22、23、24 枠片
21’、22’、23’、24’ 枠片
30、30’ レール
30a、30a’ レール30、30’の内側の壁
35、35’ 溝
40、40’ 濾材支持部材
50、50’ 連結部材
51 凸部又は凹部
51a、51c、51d 凸部
51b 凹部
52 窪み又は突起
52a、52c、52d 窪み
52b 突起
55、56、57 結合部材
60、60’ 隅部材
61、62,63、64 隅部材
61’、62’,63’、64’ 隅部材
70、70’ 止め部
80、80’ 溝
90、90’ リブ
P、P’ 突起
U、U’ レール状の溝
Q 突起
R 突起
V 窪み
W 窪み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10