特許第6193612号(P6193612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193612
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】アンテナ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20170828BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01Q1/38
   H01Q1/24 Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-99385(P2013-99385)
(22)【出願日】2013年5月9日
(65)【公開番号】特開2014-11796(P2014-11796A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0071193
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リム,ドン ウク
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−288360(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/126306(WO,A1)
【文献】 特開平11−355023(JP,A)
【文献】 特開平11−328339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/38
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックカバーと、
前記バックカバーに付着され、給電構造体と、前記給電構造体から提供された信号を外部に放射する放射体が一つの一体型パターンに形成されたアンテナパターンとを含み、
前記放射体で一体に形成された前記給電構造体は、
RF信号を供給する給電源及びインピーダンス整合のための整合素子を含む給電部と、
第1容量性素子と導電線路によって形成された第1閉ループと、
前記第1容量性素子及び第2容量性素子並びに導電線路によって形成された第2閉ループと、を含み、
前記放射体及び前記給電構造体を含む一体型パターンは
前記バックカバーの上面に配置された第1部分と
前記バックカバーの下面に配置された第2部分と
前記バックカバーの側面に配置された第3部分と、を含むことを特徴とする、アンテナ。
【請求項2】
プレートの上に給電構造体と、前記給電構造体から提供された信号を外部に放射する放射体が一体に形成されたアンテナパターンを印刷するステップと、
前記印刷されたアンテナパターンの上に前記給電構造体を構成する第1及び第2容量性素子を配置するステップと、
前記第1及び第2容量性素子が配置されたアンテナパターンを切断するステップと、
バックカバーに前記切断されたアンテナパターンを付着させるステップと、を含み、
前記放射体で一体に形成された前記給電構造体は、
RF信号を供給する給電源及びインピーダンス整合のための整合素子を含む給電部と
前記第1容量性素子と導電線路によって形成された第1閉ループと
前記第1容量性素子及び前記第2容量性素子並びに導電線路によって形成された第2閉ループと、を含み
前記放射体及び前記給電構造体を含む一体型パターンは
前記バックカバーの上面に配置される第1部分と
前記バックカバーの下面に配置される第2部分と
前記バックカバーの側面に配置された第3部分と、を含むことを特徴とする、アンテナの製造方法。
【請求項3】
前記付着させるステップは、
前記切断されたアンテナパターンを熱蒸着して、前記バックカバーに付着させるステップを含むことを特徴とする、請求項に記載のアンテナの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、移動体通信端末機は小型化及び軽量化し、かつ互いに異なる周波数帯域の移動体通信サービスを一つの端末機を用いて提供を受けることができる機能が必要とされている。例えば、韓国で商用化された824〜894MHz帯域のCDMAサービス及び1750〜1870MHz帯域のPCSサービスと、日本で商用化された832〜925MHz帯域のCDMAサービスと、米国で商用化された1850〜1990MHz帯域のPCSサービスと、ヨーロッパ、中国などで商用化された880〜960MHz帯域のGSM(登録商標)サービスと、ヨーロッパの一部地域で商用化された1710〜1880MHz帯域のDCSサービスと、などの多様な周波数帯域を用いた移動体通信サービスにおいて、必要に応じて複数帯域の信号を同時に利用することができる端末機が必要とされており、このような複数帯域の収容のために広帯域特性を有するアンテナが必要とされている。
【0003】
その他にも、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、無線LAN、GPSなどのサービスを利用できる複合端末機が必要とされている実状がある。このような複数帯域のサービスを用いるために、端末機には広帯域特性を有するアンテナを使用しなければならない。一般的に、移動体通信端末機のアンテナには、ヘリカルアンテナと、平面逆Fアンテナ(PIFA)と、π型の広帯域アンテナとが主に使われる。
【0004】
ここで、ヘリカルアンテナは端末機の上端に固定された外装型アンテナであって、モノポールアンテナと共に使われる。ヘリカルアンテナとモノポールアンテナとが併用される形態は、アンテナを端末機本体から引出したときモノポールアンテナとして動作し、引込めたときλ/4ヘリカルアンテナとして動作する。このようなアンテナは高い利得を得ることができる長所があるが、無指向性のため、電磁波人体有害基準であるSAR特性が良くない。また、ヘリカルアンテナは端末機の外部に突出した形態として構成されるため、端末機の美的外観及び携帯機能に適合した外観の設計が困難であるが、これに対する内蔵型の構造はまだ研究されたことがない。
【0005】
そして、逆Fアンテナはこのような短所を克服するために、低プロファイル構造を有するように設計されたアンテナである。逆Fアンテナは、放射部に誘起された電流によって発生する全体ビームのうち、接地面側に向かうビームが再誘起されて人体に向かうビームを減衰させてSAR特性を改善する。同時に、放射部方向に誘起されるビームを強化させる指向性を有し、矩形である平板型放射部の長さが半分に減少した矩形のマイクロストリップアンテナとして作動するため、低プロファイル構造を実現することができる。また、モノポール形態のアンテナ又は低プロファイル構造を実現する内蔵型アンテナに用いられる。
【0006】
また、広帯域アンテナは給電構造体を有するアンテナを提供して、簡単な構造を有し、かつ広帯域特性を有する。
【0007】
しかしながら、広帯域アンテナは、一般的に、アンテナを形成する放射体と、給電構造体とを互いに異なる構造物に各々付着させ、それによって複数の構造物に付着した放射体と給電構造体とを接続して広帯域アンテナを構成する。
【0008】
このため、放射体と給電構造体とを各々製造しなければならないことに伴って、製造工程が複雑になる短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、既存の広帯域アンテナが有する構造的な複雑度を簡素化できるアンテナ及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、放射体と給電構造体とが一つの一体型パターンに形成され、それによって形成された一体型パターンを、一つの構造物に付着させることができるアンテナ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
提案される実施形態で達成しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない更に他の技術的課題は、以下の記載から提案される実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できることである。
【0012】
実施形態に従うアンテナは、構造物と、構造物の上に付着されたアンテナパターンとを含み、アンテナパターンは、放射体と給電構造体とが一体に形成される。
【0013】
また、給電構造体は、信号を提供する給電部と、容量性素子と、導電線路とによって形成された閉ループを含む。
【0014】
また、給電構造体は、信号を提供する給電部と、第1容量性素子及び導電線路によって形成された第1閉ループと、第1容量性素子及び第2容量性素子と導電線路とによって形成された第2閉ループとを含む。
【0015】
また、構造物は、構造物が適用される機器のバックカバーを含む。
【0016】
また、放射体は構造物の第1面に付着させられ、給電構造体は第1面及び他の構造物の第2面に付着させられる。
【0017】
一方、実施形態に従うアンテナの製造方法は、プレートの上にアンテナパターンを形成するステップと、形成されたアンテナパターンの上に容量性素子を配置するステップと、容量性素子が配置されたアンテナパターンを切断するステップと、構造物に切断されたアンテナパターンを付着させるステップと、を含み、形成するステップは、放射体と給電構造体とが一体に形成されたアンテナパターンを形成するステップを含む。
【0018】
また、構造物は、構造物が適用される機器のバックカバーを含む。
【0019】
また、付着するステップは、一体に形成されたアンテナパターンのうち、放射体領域を構造物の第1面に付着させるステップと、一体に形成されたアンテナパターンのうち、給電構造体領域を構造物の第1面及び他の第2面に付着させるステップとを含む。
【0020】
また、付着させるステップは、切断されたアンテナパターンを熱蒸着して、構造物の上に付着させるステップを含む。
【発明の効果】
【0021】
実施形態によれば、π型を有するアンテナにおいて、放射体と給電構造体とを一つの一体型パターンとして形成し、それによって一体型パターンを一つの構造物に付着させ、既存形態に比べて、別途のフレキシブル印刷回路基板(FPCB)が不要になることによって製造コストを低減することができる。
【0022】
また、実施形態によれば、放射体及び給電構造体を一度に形成することによって、製造工程を簡素化し、かつ構造物の曲面設計自由度及び密着度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に従うアンテナのための給電構造体を示す第1実施形態の説明図である。
図2】本発明に従うアンテナの給電構造体の多様な実施形態を示す図である。
図3図1に図示された給電構造体を適用した本発明に従うアンテナを示す第1実施形態の説明図である。
図4】本発明に従うアンテナのための給電構造体を示す第2実施形態の説明図である。
図5図4に図示された給電構造体の動作原理を説明する図である。
図6図4に図示された給電構造体を適用した本発明に従うアンテナを示す第2実施形態の説明図である。
図7】本発明の実施形態に従うアンテナの構造を説明する図である。
図8】本発明の実施形態に従うアンテナの製造方法をステップ別に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の内容は単に本発明の原理を例示するものである。したがって、当業者は、たとえ本明細書に明確に説明及び図示されていなくとも、本発明の原理を具現し、本発明の概念及び範囲に含まれる多様な装置を発明することができる。また、本明細書に列挙されたすべての条件付き用語及び実施形態は、原則的に本発明の概念が理解されるようにするための目的のみに明確に意図され、このように特別に列挙された実施形態及び状態に制約されないことを理解すべきである。
【0025】
また、本発明の原理、観点及び実施形態だけでなく、特定の実施形態を列挙するすべての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的な均等物を含むように意図されることを理解すべきである。また、このような均等物は現在公知の均等物だけでなく、将来開発される均等物、すなわち構造に関わらず、同一な機能を遂行するように発明されたすべての素子を含むことと理解されるべきである。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に従うアンテナのための給電構造体を示す第1実施形態の説明図である。
【0027】
図1に示すように、本発明に従うアンテナのための給電構造体は、給電部11と、容量性素子13と、給電部11の両端と容量性素子13の両端とを接続する第1導電線路12と、容量性素子13及び給電部11の両端を接続する第2導電線路14とからなる。
【0028】
給電部11は、RF信号を提供する給電源だけからなってもよいし、給電源及びインピーダンス整合のための整合素子を含んで構成してもよい。
【0029】
一方、容量性素子13の両端を接続する第2導電線路14は、容量性素子13と共に一定の広さ(S)を有する閉ループを形成する。
【0030】
図1に図示された給電構造体の動作原理を説明すれば、次の通りである。RF環境では、容量性素子13及び第2導電線路14が形成する閉ループ15には導電線路及びループによるインダクタンスが発生する。
【0031】
このようなインダクタンス及び容量性素子13が特定の周波数で共振を起こす。共振周波数において、閉ループ15に流れる電流は閉ループを通じて磁束を発生させ、閉ループによって発生した磁束はアンテナ放射体に提供される。
【0032】
図2は、本発明に従うアンテナの給電構造体の多様な実施形態を示す図である。図2には多様な形態のアンテナ給電構造体が図示されているが、共通に図1で説明した特徴を有する。
【0033】
すなわち、導電線路24及び容量性素子23は閉ループ25を形成し、閉ループ25によるインダクタンスと、容量性素子23によるキャパシタンスとが共振を起こす。また、閉ループ25で発生する磁束はアンテナ放射体に供給できる。
【0034】
一方、図2の実施形態のうち、(e)、(f)、(g)、(h)には容量性素子23及び導電線路24だけでなく、誘導性素子Lが閉ループ25を形成している。ここで、誘導性素子Lは、閉ループ25で発生するインダクタンスを補強するためのものである。
【0035】
すなわち、所望の周波数で共振が発生するようにするために、閉ループ25で発生するインダクタンスだけでは足りない場合、これを補充するために集中回路素子によるインダクタンスを追加するものである。
【0036】
図3は、図1に図示された給電構造体を適用した本発明に従うアンテナを示す第1実施形態の説明図である。
【0037】
図3を参照すると、本発明に従うアンテナ100は、放射体110と、給電構造体120と、グラウンド130とからなる。
【0038】
給電部121は、給電源122だけで構成してもよいし、給電源122に追加的にインピーダンス整合のための整合素子123を付加して構成してもよい。
【0039】
給電部121と、第1導電線路127と、容量性素子125と、第2導電線路124とは、図1に図示された形態のような給電構造体120を形成する。
【0040】
本実施形態のアンテナには図1に図示された形態の給電構造体120を適用したが、図2に図示された形態の給電構造体のうち、いずれか一つを選択して適用することもできる。
【0041】
図1に従う給電構造体に関する説明で明示したように、閉ループ126のインダクタンス及び容量性素子125のキャパシタンスによって、特定の周波数で共振現象が起こる。
【0042】
この際、閉ループ126は、容量性素子125及び第2導電線路124によって形成される。共振による電流は閉ループ126に磁束を発生させ、閉ループ126によって発生した磁束が放射体110を励起するとき、閉ループ126の共振周波数を有する信号が放射体110を通じて外部に放射される。
【0043】
上述のようなアンテナの周波数特性を見ると、従来の帯域に比べて格段に広いということが分かる。
【0044】
すなわち、上述のような給電構造体を適用すると、アンテナ放射体による共振帯域の以外に、給電構造体による共振帯域が加わるため、帯域が広くなる。このようなアンテナをπ型の広帯域アンテナという。
【0045】
したがって、共振を起こす要素であるキャパシタンス値及びインダクタンス値を調節して、従来の放射体による共振周波数の近くに給電構造体による共振帯域を発生させることによって、広帯域アンテナを設計できるようになる。
【0046】
この際、共振帯域調節に必要なキャパシタンスは、集中回路素子のキャパシタンス値を変化させることによって得られる。また、共振帯域調節に必要なインダクタンス値は、閉ループの広さを調節したり、集中回路素子であるインダクタを挿入したりすることによって得ることができる。
【0047】
図4は、本発明に従うアンテナのための給電構造体を示す第2実施形態の説明図である。図4に示すように、本発明に従うアンテナのための第2実施形態の給電構造体は、給電部41と、第1容量性素子43と、第2容量性素子45と、第1導電線路42と、第2導電線路44と、第3導電線路48とを含んで構成される。
【0048】
給電部41は、RF信号を提供する給電源だけで構成してもよいし、給電源及びインピーダンス整合のための整合素子を含んで構成してもよい。
【0049】
第1導電線路42は、給電部41の両端と第1容量性素子43の両端とを接続する。一方、第1容量性素子43の両端を接続する第2導電線路44は、容量性素子43と共に一定の広さ(S1)を有する第1閉ループ46を形成する。
【0050】
一方、第1容量性素子43及び第2容量性素子45と、これらを接続する第1導電線路42及び第3導電線路48とは、一定の広さ(S2)を有する第2閉ループ47を形成する。
【0051】
図5は、図4に図示された給電構造体の動作原理を説明するための説明図である。図4に図示された給電構造体は、第1容量性素子43のキャパシタンスが第2容量性素子45より十分に大きいとき、2つの主要な共振帯域を有する。
【0052】
図5(a)は、低い周波数領域で共振が発生する第1共振回路を示す図である。低い周波数領域では第2容量性素子45側に電流がほとんど流れることができないため、第1閉ループ46で共振が起こる。すなわち、第1閉ループ46によって提供されるインダクタンスと、第1容量性素子43によって提供されるキャパシタンスとによって第1共振帯域が形成される。
【0053】
図5(b)は、高い周波数領域で共振が発生する第2共振回路を示す図である。高い周波数領域では導線のインダクタンスが高まって第1閉ループ46側に電流がほとんど流れることができないため、第2閉ループ47による共振が起こる。すなわち、第2閉ループ47によって提供されるインダクタンスと、第1容量性素子43及び第2容量性素子45によって提供されるキャパシタンス(主に、第2容量性素子によって提供されるキャパシタンス)とによる共振が起こる。
【0054】
第1閉ループ46及び第2閉ループ47は、各々の共振周波数帯域で発生した磁束をアンテナ放射体に供給する。
【0055】
したがって、アンテナ放射体は各閉ループの共振周波数帯域でRF信号を外部に放射する。
【0056】
図6は、図4に図示された給電構造体を適用した本発明に従うアンテナを示す第2実施形態の説明図である。
【0057】
図6を参照すると、本発明の第2実施形態に従うアンテナ200は、放射体210と、給電構造体220と、グラウンド230とを含む。
【0058】
給電部221は、給電源222だけで構成してもよいし、給電源222に追加的にインピーダンス整合のための整合素子223を付加することによって構成してもよい。
【0059】
給電部221と、第1導電線路227と、第1容量性素子225と、第2導電線路224と、第2容量性素子228と、第3導電線路211とは、図4に図示された形態のような給電構造体を形成する。
【0060】
図4に従う給電構造体に関する説明で記載したように、第1閉ループ226によって第1共振周波数で共振が起こる。
【0061】
この際、第1閉ループ226は第1容量性素子225及び第2導電線路224によって形成される。
【0062】
また、共振は、第1容量性素子225によって提供されるキャパシタンスと、第1閉ループ226によって提供されるインダクタンスとによって発生する。
【0063】
第2閉ループ212によって第2共振周波数で共振が起こる。この際、第2閉ループ212は、第1容量性素子225と、第1導電線路227の一部と、第3導電線路211と、第2容量性素子228とによって形成される。
【0064】
また、共振は、第2閉ループ212によって提供されるインダクタンスと、第1容量性素子225及び第2容量性素子228によって提供されるキャパシタンスとによって発生する。
【0065】
各共振周波数において、共振による電流は各閉ループ226、212に磁束を発生させ、各閉ループ226、212によって発生した磁束が放射体210を励起するとき、各閉ループ226、212の共振周波数の信号が、放射体210を通じて外部に放射される。
【0066】
図7は、本発明の実施形態に従うアンテナの構造を説明する図である。
【0067】
図7を参照すると、アンテナの構造は、射出成形された構造物300と、構造物300の表面に付着したアンテナパターン310とを含む。
【0068】
この際、アンテナパターン310は、図1乃至6で説明したような放射体110、210及び給電構造体120、220を含む。
【0069】
放射体110、210及び給電構造体120、220は一体に形成され、それによって一つの同一な構造物300の表面に付着する。
【0070】
構造物300は、移動端末機の中に挿入される特定形態のキャリアであってもよいし、これとは異なり、移動端末機を構成するバックカバーであってもよい。
【0071】
この際、放射体110、210及び給電構造体120、220は一体に形成されるが、放射体110、210は構造物300の第1面(上面、トップ面)に付着し、給電構造体120、220は構造物300の折曲面に沿って、第1面及び他の第2面(下面、底面)に付着する。
【0072】
すなわち、従来の技術によれば、放射体110、210及び給電構造体120、220は互いに分離して製作され、その後、各々製作された状態で放射体110、210及び給電構造体120、220を相互接続することによって、図1乃至図6に図示されたアンテナを製造した。
【0073】
このために、従来は、第1構造物に放射体を付着させ、また、第1構造物と分離された第2構造物に給電構造体を付着させる。そして、それぞれ放射体及び給電構造体が付着した第1構造物及び第2構造物を、移動端末機の適当な位置に挿入して相互接続されるようにすることによって、広帯域アンテナを構成した。
【0074】
しかしながら、本実施形態では放射体110、210及び給電構造体120、220を一体型パターンに形成し、それによって放射体110、210及び給電構造体120、220を一つの構造物に付着させる。
【0075】
上述のような実施形態によれば、π型を有するアンテナにおいて、放射体及び給電構造体を一つの一体型パターンとして形成し、一体型パターンを一つの構造物に付着させ、既存の形態に比べて、別途のフレキシブル印刷回路基板(FPCB)が不要になることによって製造コストを低減することができる。
【0076】
また、実施形態によれば、放射体及び給電構造体を一度に形成することによって、製造工程を簡素化し、かつ構造物の曲面設計自由度及び密着度を向上させることができる。
【0077】
図8は、本発明の実施形態に従うアンテナの製造方法をステップ別に説明する図である。
【0078】
図8を参照すると、先に金属プレートの上にアンテナパターンを印刷する(ステップ110)。この際、印刷されるアンテナパターンは、放射体110、210及び給電構造体120、220が一体に形成されたパターンである。
【0079】
その後、形成されたアンテナパターンの上の特定の位置に、容量性素子を配置する(ステップ120)。
【0080】
また、容量性素子が配置された後、容量性素子が配置されたアンテナパターンを切断する(ステップ130)。
【0081】
その後、熱蒸着方法を用いて一つの構造物に、容量性素子が配置されたアンテナパターンを付着する(ステップ140)。
【0082】
実施形態によれば、π型を有するアンテナにおいて、放射体及び給電構造体を一つの一体型パターンとして形成し、一体型パターンを一つの構造物に付着させ、既存形態に比べて、別途のフレキシブル印刷回路基板(FPCB)が不要になることによって製造コストを低減することができる。
【0083】
また、実施形態によれば、放射体及び給電構造体を一度に形成することによって、製造工程を簡素化し、かつ構造物の曲面設計自由度及び密着度を向上させることができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について図示及び説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は、本発明の技術的思想又は展望とは別であると理解してはならない。
【符号の説明】
【0085】
10 給電構造体
11 給電部
12 第1導電線路
13 容量性素子
14 第2導電線路
23 容量性素子
24 導電線路
25 閉ループ
100 アンテナ
110 放射体
120 給電構造体
130 グラウンド
40 給電構造体
41 給電部
42 第1導電線路
43 第1容量性素子
44 第2導電線路
45 第2容量性素子
46 第1閉ループ
47 第2閉ループ
48 第3導電線路
200 アンテナ
210 放射体
220 給電構造体
230 グラウンド
300 構造物
310 アンテナパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8