(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る走査型レーザ検眼鏡について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
〈構成〉
実施形態に係る走査型レーザ検眼鏡の構成例を
図1に示す。走査型レーザ検眼鏡1は、被検眼Eの眼底Efをレーザ光で走査し、その戻り光を受光デバイスで検出することにより、眼底Efの正面画像を形成する。走査型レーザ検眼鏡1は、光学系と、処理系とを有する。光学系は、眼底Efの光学的な計測を行う。光学系は、各種の光学素子や光学デバイスを含んで構成される。処理系は、光学系により取得されたデータの処理や、装置各部の制御などを行う。処理系は、演算装置、制御装置、記憶装置(RAM、ROM、ハードディスクドライブなど)、ユーザインターフェイス、通信インターフェイスなどを含んで構成される。
【0014】
(光学系)
光源部10には、光源11と、コリメートレンズ12と、光学素子13とが設けられている。光源11としては、空間的コヒーレンシの高いレーザ光L0を出力する光源が用いられる。そのような光源として、半導体レーザ光源(波長掃引レーザ、スーパルミネッセンとダイオードなど)、固体レーザ、ガスレーザなどがある。また、このような光源から出力された光を光ファイバに結合させたものや、ファイバレーザなどを、光源11として用いることも可能である。コリメートレンズ12は、光源11から出力されたレーザ光L0を平行光束にする。
【0015】
光学素子13は、各種機能を有する1つ以上の光学素子を含む。その例として、波長板・偏光子などの偏光制御素子、開口(絞り)などの光束制限素子、波長選択フィルタなどの波長制限素子がある。また、光学素子13は、同種または異種の光学素子を組み合わせた複合素子であってよい。また、複数の光学素子13を選択的に適用可能な構成としてもよい。なお、光学素子13の構成例については後述する。
【0016】
コリメートレンズ12により平行光束とされたレーザ光L0は、光学素子13を経由してビームスプリッタ30に導かれる。レーザ光L0のうちビームスプリッタ30を透過した成分(同じくレーザ光L0と呼ぶ)は、光スキャナ40に導かれる。実施形態の光スキャナ40は、2軸光スキャナであるとする。つまり、光スキャナ40は、レーザ光L0を2次元的に偏向可能な構成を有する。
【0017】
光スキャナ40から出力されるレーザ光Lは、2次元的に偏向されたコリメート光である。コリメートされたレーザ光Lは、リレーレンズ50により集束光とされ、眼底Efと共役な面(眼底共役面)Pcにおいて空中結像される。さらに、レーザ光Lは、合焦レンズとしての対物レンズ60を透過し、被検眼Eに入射する。なお、対物レンズ60と被検眼Eとの間に、四分の一波長板などの偏光制御素子を挿入可能に構成されていてもよい。
【0018】
被検眼Eに入射したレーザ光Lの一部は、被検眼Eの前眼部にて散乱される。また、レーザ光Lの他の一部は、虹彩Eiの中央の瞳孔を通過し、水晶体Ecを透過し、眼底Efにスポット光として結像される。対物レンズ60と鏡筒部61は、その軸方向(つまり光軸方向)に移動可能に設けられている。対物レンズ60と鏡筒部61は、被検眼Eの屈折力に応じて光軸方向に移動される。それにより、眼底共役面Pcが眼底Efと共役な位置に配置される。その結果、レーザ光Lは、鮮明なスポット光を眼底Ef上に形成する。
【0019】
眼底Efに照射されたレーザ光Lの戻り光(眼底戻り光と呼ぶことがある)は、スポット光の形成位置(およびその近傍)から走査型レーザ検眼鏡1に戻ってくる光である。眼底戻り光には、眼底Efによるレーザ光Lの散乱光(反射光や後方散乱光)、並びに、レーザ光Lを励起光とする蛍光およびその散乱光などが含まれる。眼底戻り光は、水晶体Ecを通過し、瞳孔を通過し、被検眼Eから出射する。
【0020】
一方、前述したように、被検眼Eに入射されたレーザ光Lの一部は前眼部にて散乱される。この散乱光(前眼部散乱光)には角膜反射光などが含まれる。前眼部散乱光の少なくとも一部は、眼底戻り光とともに走査型レーザ検眼鏡1に戻ってくる。前眼部散乱光のうち走査型レーザ検眼鏡1に戻ってくる光を前眼部戻り光と呼ぶことがある。後述する受光部70の光束制限素子73などこの光学系の構成により、受光素子74に到達する前眼部戻り光のほとんどは角膜による正反射光である。以下、眼底戻り光と前眼部戻り光とをまとめて(被検眼Eからの)戻り光と呼ぶことがある。この戻り光を符号RLで示す。
【0021】
被検眼Eからの戻り光RLは、対物レンズ60を透過し、眼底共役面Pcにおいて空中結像され、リレーレンズ50により平行光束に変換され、光スキャナ40を経由し、ビームスプリッタ30に導かれる。戻り光RLのうちビームスプリッタ30に反射された成分(同じく戻り光RLと呼ぶ)は、受光部70に導かれる。
【0022】
なお、受光部70に導かれる戻り光RLには、光スキャナ40の内部の光学素子(レンズ)によるレーザ光L0の反射光や、リレーレンズ50または対物レンズ60によるレーザ光Lの反射光などが混入していることがある。
【0023】
受光部70は、光学素子71と、集光レンズ72と、光束制限素子73と、受光素子74とを含む。
【0024】
光学素子71は、各種機能を有する1つ以上の光学素子を含む。その例として、波長板・偏光子などの偏光制御素子、開口(絞り)などの光束制限素子、波長選択フィルタなどの波長制限素子がある。また、光学素子71は、同種または異種の光学素子を組み合わせた複合素子であってよい。また、複数の光学素子71を選択的に適用可能な構成としてもよい。なお、光学素子71の構成例については後述する。
【0025】
光学素子71を透過した戻り光RLは、集光レンズ72により集束光とされ、光束制限素子73に導かれる。光束制限素子73には、光を遮断する遮光領域と、光を通過させる開口(透光領域)とが設けられている。開口は、たとえば、円形開口、楕円形開口、ドーナツ状開口などである。開口は、1つ以上の任意個数だけ設けられる。複数の開口が設けられる場合、戻り光RLの光路に対してこれら開口が択一的に配置される。
【0026】
光束制限素子73の開口を通過した戻り光RL(の一部)は、受光素子74により検出される。受光素子74は、検出された戻り光RLを光電変換し、電気信号(受光信号)を出力する。受光素子74は、たとえばアバランシェフォトダイオードである。
【0027】
以上のプロセスは、眼底Efの一点の計測に相当する。すなわち、以上のプロセスは、
図2に示す単一のスポット光の照射領域SLの計測に相当する。光スキャナ40による2次元的走査によって、スポット光の照射領域SLが移動される。
図2の符号STi(i=1〜N)は、照射領域SLの移動パターンの例を示す。本例では、同方向を向く互いに平行な複数の直線状の軌跡に沿って、スポット光の照射領域SLが移動される。なお、照射領域SLの移動パターンはこれに限定されるものではない。他の移動パターンの例として、交互に逆方向を向き且つ互いに平行な複数の直線状の軌跡や、非平行な複数の直線状の軌跡や、曲線状の軌跡などがある。受光素子74は、各照射領域SLからの戻り光RLを検出して受光信号を出力する。それにより、眼底Efの複数の位置における計測が順次に実行される。
【0028】
なお、
図2において、符号Ef1は視神経乳頭を示し、符号Ef2は黄斑部を示し、符号Ef3は血管を示す。
【0029】
上記構成では、簡単のために、光源部10により出力されるレーザ光L0を一種類に限定しているが、光源部10は複数種類の光を出力可能に構成されていてよい。たとえば、出力波長が異なる複数の光源と、各光源に対応するコリメートレンズとを設け、これら光路を合流させる光学部材(ダイクロイックミラー等)を設けた構成を適用することが可能である。また、受光部70についても、ビームスプリッタ30からの光路を複数に分割する光学部材(ダイクロイックミラー等)を設け、これら光路のそれぞれに集光レンズおよび受光素子を配置した構成を適用することが可能である。
【0030】
(処理系)
処理系は、制御部100と、電源部110と、光源制御部120と、画像形成部130と、データ処理部140と、ユーザインターフェイス(UI)150とを含む。
【0031】
(制御部100)
処理系は、制御部100を中心として構成される。制御部100は、装置各部の制御を行う。制御部100は、マイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、走査型レーザ検眼鏡1を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、光源制御用プログラム、光スキャナ制御用プログラム、電源制御用プログラム、統括制御用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムにしたがってマイクロプロセッサが動作することにより、制御部100は制御処理を実行する。
【0032】
光学系に対する制御として、光源制御部120を介した光源11の制御、複数の光学素子13(71)が設けられている場合における光学素子13(71)の選択、光スキャナ40の制御、対物レンズ60および鏡筒部61の移動、光束制限素子73の開口の切り替え、受光素子74の動作制御などがある。処理系に対する制御として、各部の動作制御がある。
【0033】
眼底Efの光学的計測が行われているときに、または光学的計測が終了した後に、制御部100は、画素位置信号を生成し、画像形成部130に送る。画素位置信号は、光スキャナ制御用プログラムに基づく複数のスポット光の照射領域SLの配置(つまり、光スキャナ40による光の偏向パターン、ないし光スキャナ40のミラースキャナの光反射面の向きの変更の流れ)に対応する複数の画素の配置を示す。
【0034】
(電源部110)
電源部110は、商用電源や自家発電設備、バッテリなどから入力される電力に基づいて、走査型レーザ検眼鏡1の各部に電力を供給する。制御部100は、電源部110を制御することにより、電力供給モードの切り替えを行う。電力供給モードとしては、通常モード、省電力モード、休止モードなどがある。
【0035】
(光源制御部120)
光源制御部120は、制御部100による制御の下に光源11を制御する。光源11の制御は、たとえば電源部110から供給される電力を制御することにより行われる。また、複数の光源が設けられている場合、光源制御部120は、制御部100による制御の下に、複数の光源に対して選択的に電力を供給する。それにより、複数の光源が選択的に使用される。光源制御部120は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。また、光源制御部120は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
【0036】
(画像形成部130)
画像形成部130は、受光素子74から入力される受光信号と、制御部100から入力される画素位置信号とに基づいて、画像データを形成する。この画像データは、眼底Efの正面画像に相当する。
【0037】
画像形成部130は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、画像形成用プログラムがあらかじめ格納される。マイクロプロセッサが画像形成用プログラムにしたがって動作することによって画像形成処理の少なくとも一部が実行される。また、光源制御部120は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
【0038】
画像形成部130は、A/D変換部131と、眼底像形成部132と、メモリ部133とを含む。A/D変換部131は、受光素子74から入力される受光信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。
【0039】
眼底像形成部132は、A/D変換部131から入力されるデジタル信号と、制御部100から入力される画素位置信号とに基づいて、眼底Efの正面画像の画像データを形成する。この画像データ形成処理は、スポット光の各照射位置SLに対応するデジタル信号に基づく情報(輝度などの画素値)と、その照射位置SLに対応する画素位置とを関連付ける処理を含む。
【0040】
メモリ部133は、画像形成部130の内部メモリとして機能し、眼底像形成部132により形成された画像データを一時的に記憶する。なお、メモリ部133の適用は任意である。画像形成部130により形成された画像データは、制御部100に送られる。
【0041】
(データ処理部140)
データ処理部140は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部130または他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
【0042】
データ処理部140は、走査型レーザ検眼鏡1の一部であってもよいし、外部装置であってもよい。前者の場合、データ処理部140は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、1つ以上のデータ処理用プログラムがあらかじめ格納される。マイクロプロセッサがデータ処理用プログラムにしたがって動作することによってデータ処理が実行される。また、データ処理部140は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
【0043】
後者の場合、データ処理部140は、コンピュータを含んで構成される。このコンピュータの例として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、サーバなどがある。制御部100は、このコンピュータと通信するためのインターフェイスを有する。コンピュータが表示機能を有する場合、外部装置としてのデータ処理部140は、制御部100から送信された情報に基づく表示処理を実行する。この表示処理の対象の例として、画像データに基づく画像、撮影日時情報、撮影条件(スキャン条件、光源11の種別、撮影光量など)がある。また、コンピュータがデータベース機能を有する場合、データ処理部140は、制御部100から送信された情報の保管処理を実行する。データ処理部140による処理結果を走査型レーザ検眼鏡1(制御部100)や他の装置に送信することができる。
【0044】
なお、前者の場合においても後者の場合においても、データ処理部140の機能は上記に限定されるものではない。
【0045】
(ユーザインターフェイス150)
ユーザインターフェイス150は、表示機能と、操作・入力機能とを有する。表示機能は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示デバイスにより実現される。表示デバイスは、制御部100による制御の下に情報を表示する。
【0046】
操作・入力機能は、操作デバイスや入力デバイスにより実現される。これらの例として、ボタン、レバー、ノブ、マウス、キーボード、トラックボールなどがある。また、制御部100が表示デバイスにグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示させる構成としてもよい。この表示デバイスはタッチスクリーンであってよい。
【0047】
〈第1の構成例〉
この実施形態の第1の構成例について、
図3および
図4を参照して説明する。本例では、光源部10および受光部70として、
図3に示す構成が適用される。すなわち、光源部10には、光学素子13として偏光子13aと波長板13bとが設けられる。さらに、受光部70には、光学素子71として波長板71aと偏光子71bとが設けられる。
【0048】
なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。
【0049】
偏光子13aおよび波長板13bは、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1回転方向の円偏光に変換する偏光特性変換素子として機能する。ここで、円偏光の回転方向は、レーザ光L0の進行方向に対して定義される。つまり、円偏光の回転方向は、レーザ光L0の進行方向側の視点から見たときの回転方向として、または、レーザ光L0の進行方向とは反対側の視点から見たときの回転方向として、定義される。前者は、レーザ光L0が進む先の視点から見たときの回転方向、あるいはレーザ光L0の進行を示すベクトルの終点側の視点から見たときの回転方向とも言える。後者は、レーザ光L0の進行を示すベクトルの始点側の視点から見たときの回転方向とも言える。いずれにしても、この構成例において、円偏光の回転方向の定義は一貫して使用されるものとする。これは、他の例においても同様である。
【0050】
偏光子13aは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光に変換する。この第1方向は、たとえば垂直方向または水平方向である。
【0051】
波長板13bは、たとえば四分の一波長板、フレネルロムなどからなり、偏光子13aを通過したレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光から第1回転方向の円偏光に変換する。直線偏光の第1方向と円偏光の第1回転方向とは互いに対応している。つまり、波長板13bは、第1方向の直線偏光のレーザ光L0を、あらかじめ決められた回転方向(第1回転方向)の円偏光に変換する。たとえば、第1方向が垂直方向である場合には第1回転方向は右回りとなり、第1方向が水平方向である場合には第1回転方向は左回りとなる。本例では、このようにして得られた円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0052】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、第1回転方向の円偏光成分と、それとは逆の第2回転方向の円偏光成分とが含まれる。第1回転方向の円偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。第2回転方向の円偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。なお、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、第1回転方向の円偏光成分と第2回転方向の円偏光成分の双方を含んでいる。
【0053】
波長板71aおよび偏光子71bは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。第1回転方向と第1方向との対応関係は上記の通りである。
【0054】
波長板71aは、たとえば四分の一波長板、フレネルロムなどからなり、戻り光RLに含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換する。さらに、波長板71aは、戻り光RLに含まれる第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。一例として、第1方向が垂直方向である場合、第1回転方向は右回りであり、第2回転方向は左回りであり、第2方向は水平方向である。逆に、第1方向が水平方向である場合、第1回転方向は左回りであり、第2回転方向は右回りであり、第2方向は垂直方向である。
【0055】
偏光子71bは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、波長板71aにより得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。つまり、偏光子71bは、第2方向の直線偏光成分を選択的に遮断する。
【0056】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図4に示す。光源11から出力されたレーザ光L0は、偏光子13aにより垂直方向の直線偏光のレーザ光L0に変換され、さらに波長板13bにより右回りの円偏光のレーザ光L0に変換される。この右回りの円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0057】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、照射されたレーザ光L0と同じ右回りの円偏光成分と、それとは逆の左回りの円偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは波長板71aに入射する。右回りの円偏光成分(眼底Efによる散乱光や蛍光)は、波長板71aにより、垂直方向の直線偏光成分に変換される。また、左回りの円偏光成分(角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズによる正反射光)は、波長板71aにより、水平方向の直線偏光成分に変換される。
【0058】
波長板71aにより生成された垂直方向の直線偏光成分は、偏光子71bを通過して受光素子74に到達する。一方、波長板71aにより生成された水平方向の直線偏光成分は、偏光子71bにより遮断され、受光素子74に到達しない。つまり、受光部70は、戻り光RLに基づく垂直方向の直線偏光成分を選択的に受光するように構成されている。垂直方向の直線偏光成分は、右回りの円偏光成分に基づくものであるから、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、偏光子71bにより遮断された水平方向の直線偏光成分は、左回りの円偏光成分に基づくものであるから、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0059】
〈第2の構成例〉
この実施形態の第2の構成例について、
図5および
図6を参照して説明する。本例は、第1の構成例における波長板13bおよび波長板71aを同一の部材で構成したものである。
【0060】
図5に示すように、本例においては、ビームスプリッタ30と光スキャナ40との間に波長板80が設けられている。なお、波長板80の配置はこれに限定されるものではなく、ビームスプリッタ30と被検眼Eとの間であればよい。また、前述した対物レンズ60と被検眼Eとの間に配置される四分の一波長板を波長板80として用いることも可能である。また、波長板80としてフレネルロムなどを用いることも可能である。
【0061】
また、光源部10には光学素子13として偏光子(同じく符号13で示す)が設けられ、受光部70には光学素子71として偏光子(同じく符号71で示す)とが設けられる。
【0062】
偏光子13および波長板80は、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1回転方向の円偏光に変換する偏光特性変換素子として機能する。偏光子13は、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光に変換する。波長板80は、偏光子13を通過したレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光から第1回転方向の円偏光に変換する。このようにして得られた円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0063】
波長板80および偏光子71は、被検眼Eからの戻り光RLのうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。波長板80は、戻り光RLに含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換する。さらに、波長板80は、戻り光RLに含まれる第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。偏光子71は、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、波長板80により得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。つまり、偏光子71は、第2方向の直線偏光成分を選択的に遮断する。
【0064】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図4に示す。光源11から出力されたレーザ光L0は、偏光子13により垂直方向の直線偏光のレーザ光L0に変換され、さらに波長板80により右回りの円偏光のレーザ光L0に変換される。この右回りの円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0065】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、照射されたレーザ光L0と同じ右回りの円偏光成分と、それとは逆の左回りの円偏光成分とが含まれる。右回りの円偏光成分(眼底Efによる散乱光や蛍光)は、波長板80により、垂直方向の直線偏光成分に変換される。また、左回りの円偏光成分(角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズによる正反射光)は、波長板80により、水平方向の直線偏光成分に変換される。これら直線偏光成分が受光部70に入射する。
【0066】
波長板80により生成された垂直方向の直線偏光成分は、偏光子71を通過して受光素子74に到達する。一方、波長板80により生成された水平方向の直線偏光成分は、偏光子71により遮断され、受光素子74に到達しない。よって、受光素子74から出力される受光信号は、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報を含み、且つ、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。したがって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0067】
〈第3の構成例〉
この実施形態の第3の構成例について、
図7および
図8を参照して説明する。本例は、第1の構成例における波長板13bおよび波長板71aを同一の部材(波長板80)で構成し、且つ、偏光子13aおよび偏光子71bを同一の部材(偏光子90)で構成したものである。
【0068】
図7に示すように、本例においては、ビームスプリッタ30と光スキャナ40との間に、ビームスプリッタ30側から順に偏光子90と波長板80とが設けられている。なお、偏光子90および波長板80の配置はこれに限定されるものではなく、ビームスプリッタ30と被検眼Eとの間であればよい。ただし、偏光子90は、波長板80に対して光源部10側且つ受光部70側に配置される。
【0069】
前述した対物レンズ60と被検眼Eとの間に配置される四分の一波長板を波長板80として用いることも可能である。また、波長板80としてフレネルロムなどを用いることも可能である。また、偏光子90は、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなる。
【0070】
光源部10には任意の光学素子13が設けられ、受光部70には任意の光学素子71が設けられる。
【0071】
偏光子90および波長板80は、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1回転方向の円偏光に変換する偏光特性変換素子として機能する。偏光子90は、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光に変換する。波長板80は、偏光子13を通過したレーザ光L0の偏光特性を、第1方向の直線偏光から第1回転方向の円偏光に変換する。このようにして得られた円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0072】
波長板80および偏光子90は、被検眼Eからの戻り光RLのうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。波長板80は、戻り光RLに含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換する。さらに、波長板80は、戻り光RLに含まれる第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。偏光子90は、波長板80により得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。つまり、偏光子90は、第2方向の直線偏光成分を選択的に遮断する。
【0073】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図8に示す。光源11から出力されたレーザ光L0は、偏光子90により垂直方向の直線偏光のレーザ光L0に変換され、さらに波長板80により右回りの円偏光のレーザ光L0に変換される。この右回りの円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0074】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、照射されたレーザ光L0と同じ右回りの円偏光成分と、それとは逆の左回りの円偏光成分とが含まれる。右回りの円偏光成分(眼底Efによる散乱光や蛍光)は、波長板80により、垂直方向の直線偏光成分に変換される。また、左回りの円偏光成分(角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズによる正反射光)は、波長板80により、水平方向の直線偏光成分に変換される。
【0075】
波長板80により生成された垂直方向の直線偏光成分は、偏光子90を通過し、受光部70に入射して受光素子74に到達する。一方、波長板80により生成された水平方向の直線偏光成分は、偏光子90により遮断され、受光部70に入射しない。よって、受光素子74から出力される受光信号は、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報を含み、且つ、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。したがって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0076】
〈第4の構成例〉
この実施形態の第4の構成例について、
図9および
図10を参照して説明する。本例において、光源11は、第1方向の直線偏光のレーザ光L0を出力する。光源部10および受光部70は、
図9に示す構成を有する。
【0077】
光源部10には、光学素子13として、光源11から出力された第1方向の直線偏光のレーザ光L0の偏光特性を第1回転方向の円偏光に変換する波長板が設けられる。この波長板13は、偏光特性変換素子および第1波長板として機能する。波長板13は、たとえば四分の一波長板、フレネルロムなどからなる。
【0078】
受光部70には、第1の構成例と同様に、光学素子71として波長板71aと偏光子71bとが設けられる。波長板71aおよび偏光子71bは、円偏光のレーザ光Lの被検眼Eからの戻り光RLのうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。
【0079】
波長板71aは、被検眼Eからの戻り光RLに含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換し、且つ、第1回転方向とは逆の第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。波長板71aは第2波長板として機能する。波長板71aは、たとえば四分の一波長板、フレネルロムなどからなる。
【0080】
偏光子71bは、波長板71aにより得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。偏光子71bは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなる。
【0081】
本例における光の偏光状態の変化の例を
図10に示す。光源11は、第1方向(垂直方向とする)の直線偏光のレーザ光L0を出力する。このレーザ光L0は、波長板13bにより、右回りの円偏光のレーザ光L0に変換される。この右回りの円偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0082】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、照射されたレーザ光L0と同じ右回りの円偏光成分と、それとは逆の左回りの円偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは波長板71aに入射する。右回りの円偏光成分(眼底Efによる散乱光や蛍光)は、波長板71aにより、垂直方向の直線偏光成分に変換される。また、左回りの円偏光成分(角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズによる正反射光)は、波長板71aにより、水平方向の直線偏光成分に変換される。
【0083】
波長板71aにより生成された垂直方向の直線偏光成分は、偏光子71bを通過して受光素子74に到達する。一方、波長板71aにより生成された水平方向の直線偏光成分は、偏光子71bにより遮断され、受光素子74に到達しない。よって、受光素子74から出力される受光信号は、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報を含み、且つ、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。したがって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0084】
本例の変形として、第2の構成例と同様に、波長板13および波長板71aを同一の部材で構成することが可能である。
【0085】
〈第5の構成例〉
この実施形態の第5の構成例について、
図11および
図12を参照して説明する。本例において、光源11は、進行方向に対して第1回転方向の円偏光のレーザ光L0を出力する。光源部10および受光部70は、
図11に示す構成を有する。光源部10には、偏光制御用の光学素子13を設ける必要はない。
【0086】
受光部70には、第4の構成例と同様の波長板71aおよび偏光子71bが光学素子71として設けられる。波長板71aおよび偏光子71bは、円偏光のレーザ光Lの被検眼Eからの戻り光RLのうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。波長板71aは、被検眼Eからの戻り光RLに含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換し、且つ、第1回転方向とは逆の第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。波長板71aは、第2波長板として機能し、たとえば四分の一波長板、フレネルロムなどからなる。偏光子71bは、波長板71aにより得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。偏光子71bは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなる。
【0087】
本例における光の偏光状態の変化の例を
図12に示す。光源11は、進行方向に対して第1回転方向(右回りとする)の円偏光のレーザ光L0を出力する。この右回りの円偏光のレーザ光L0と同じ偏光特性のレーザ光Lが被検眼Eに照射される。
【0088】
受光部70に入射した戻り光RLは波長板71aに入射する。右回りの円偏光成分(眼底Efによる散乱光や蛍光)は、波長板71aにより、垂直方向の直線偏光成分に変換される。また、左回りの円偏光成分(角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズによる正反射光)は、波長板71aにより、水平方向の直線偏光成分に変換される。
【0089】
波長板71aにより生成された垂直方向の直線偏光成分は、偏光子71bを通過して受光素子74に到達する。一方、波長板71aにより生成された水平方向の直線偏光成分は、偏光子71bにより遮断され、受光素子74に到達しない。よって、受光素子74から出力される受光信号は、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報を含み、且つ、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。したがって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0090】
〈第6の構成例〉
この実施形態の第6の構成例について、
図13および
図14を参照して説明する。本例では、光源部10および受光部70として、
図13に示す構成が適用される。光源部10には、光学素子13として偏光子13cと第1偏光制御素子13dとが設けられる。さらに、受光部70には、光学素子71として第2偏光制御素子71cが設けられる。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。
【0091】
偏光子13cおよび第1偏光制御素子13dは、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性をラジアル偏光に変換する偏光特性変換素子として機能する。ラジアル偏光とは、放射方向に偏光している偏光状態を示す。なお、この発明におけるラジアル偏光には、完全なラジアル偏光だけでなく、ビーム擬似ラジアル偏光も含まれるものとする。擬似ラジアル偏光とは、ビームの断面の複数の領域のそれぞれにおける偏光の向きが、中心からラジアル方向の直線偏光となっている偏光状態を示す。
【0092】
偏光子13cは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を直線偏光に変換する。
【0093】
第1偏光制御素子13dとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。第1偏光制御素子13dは、偏光子13cを通過したレーザ光の偏光特性を、直線偏光からラジアル偏光に変換する。本例では、このようにして得られたラジアル偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0094】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。なお、アジマス偏光とは、ラジアル偏光に直交する偏光方向であり、アジマス方向(回転方向)に偏光している偏光状態を示す。なお、この発明におけるアジマス偏光には、完全なアジマス偏光だけでなく、ビーム擬似アジマス偏光も含まれるものとする。擬似アジマス偏光とは、ビームの断面の複数の領域のそれぞれにおける偏光の向きが、径方向に対して直交する方向の直線偏光となっている偏光状態を示す。
【0095】
第2偏光制御素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、アジマス偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。第2偏光制御素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0096】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図14に示す。光源11から出力されたレーザ光L0は、偏光子13cにより直線偏光のレーザ光L0に変換され、さらに第1偏光制御素子13dによりラジアル偏光のレーザ光L0に変換される。このラジアル偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0097】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは第2偏光制御素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、第2偏光制御素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。一方、アジマス偏光成分は、第2偏光制御素子71cを通過して受光素子74に到達する。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるアジマス偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、アジマス偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、ラジアル偏光成分は第2偏光制御素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0098】
〈第7の構成例〉
この実施形態の第7の構成例について説明する。本例では、第6の構成例とは逆に、アジマス偏光のレーザ光を被検眼に照射し、その戻り光のラジアル偏光成分を受光する場合について説明する。光学系の構成については第6の構成例の
図13を参照する。
【0099】
光源部10には、光学素子13として偏光子13cと第1偏光制御素子13dとが設けられる。さらに、受光部70には、光学素子71として第2偏光制御素子71cが設けられる。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。
【0100】
偏光子13cおよび第1偏光制御素子13dは、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性をアジマス偏光に変換する偏光特性変換素子として機能する。偏光子13cは、たとえば偏光板、偏光ビームスプリッタ、グラントムソン偏光プリズムなどからなり、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を直線偏光に変換する。第1偏光制御素子13dとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。第1偏光制御素子13dは、偏光子13cを通過したレーザ光の偏光特性を、直線偏光からアジマス偏光に変換する。本例では、このようにして得られたアジマス偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0101】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。
【0102】
第2偏光制御素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、ラジアル偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。第2偏光制御素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0103】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図15に示す。光源11から出力されたレーザ光L0は、偏光子13cにより直線偏光のレーザ光L0に変換され、さらに第1偏光制御素子13dによりアジマス偏光のレーザ光L0に変換される。このアジマス偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0104】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは第2偏光制御素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、第2偏光制御素子71cを通過して受光素子74に到達する。一方、アジマス偏光成分は、第2偏光制御素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるラジアル偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、ラジアル偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、アジマス偏光成分は第2偏光制御素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0105】
〈第8の構成例〉
この実施形態の第8の構成例について、
図16および
図17を参照して説明する。本例において、光源11は、直線偏光のレーザ光L0を出力する。光源部10および受光部70は、
図16に示す構成を有する。
【0106】
光源部10には、光学素子13として偏光特性変換素子13dが設けられる。受光部70には、光学素子71として偏光成分選択素子71cが設けられる。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。
【0107】
偏光特性変換素子13dは、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、直線偏光からラジアル偏光に変換する。偏光特性変換素子13dとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。本例では、このようにして得られたラジアル偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0108】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。
【0109】
偏光成分選択素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、アジマス偏光成分を選択的に通過させる。偏光成分選択素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0110】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図17に示す。光源11から出力された直線偏光のレーザ光L0は、偏光特性変換素子13dによりラジアル偏光のレーザ光L0に変換される。このラジアル偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0111】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは偏光成分選択素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、偏光成分選択素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。一方、アジマス偏光成分は、偏光成分選択素子71cを通過して受光素子74に到達する。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるアジマス偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、アジマス偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、ラジアル偏光成分は偏光成分選択素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0112】
〈第9の構成例〉
この実施形態の第9の構成例について説明する。本例では、第8の構成例と同様に直線偏光のレーザ光を出力する光源を適用する場合であって、第8の構成例とは逆に、アジマス偏光のレーザ光を被検眼に照射し、その戻り光のラジアル偏光成分を受光する場合について説明する。光学系の構成については第8の構成例の
図16を参照する。
【0113】
光源部10には、光学素子13として偏光特性変換素子13dが設けられる。受光部70には、光学素子71として偏光成分選択素子71cが設けられる。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。
【0114】
偏光特性変換素子13dは、光源11から出力されたレーザ光L0の偏光特性を、直線偏光からアジマス偏光に変換する。偏光特性変換素子13dとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。本例では、このようにして得られたアジマス偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0115】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。
【0116】
偏光成分選択素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、ラジアル偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子として機能する。偏光成分選択素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0117】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図18に示す。光源11から出力された直線偏光のレーザ光L0は、偏光特性変換素子13dによりアジマス偏光のレーザ光L0に変換される。このアジマス偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0118】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは偏光成分選択素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、偏光成分選択素子71cを通過して受光素子74に到達する。一方、アジマス偏光成分は、偏光成分選択素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるラジアル偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、ラジアル偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、アジマス偏光成分は偏光成分選択素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0119】
〈第10の構成例〉
この実施形態の第10の構成例について、
図19および
図20を参照して説明する。本例において、光源11は、ラジアル偏光のレーザ光L0を出力する。光源部10および受光部70は、
図19に示す構成を有する。光源部10には、偏光制御用の光学素子13を設ける必要はない。また、受光部70は、偏光成分選択素子71cを含む。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。本例では、ラジアル偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0120】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。
【0121】
偏光成分選択素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、アジマス偏光成分を選択的に通過させる。偏光成分選択素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0122】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図20に示す。光源11から出力されたラジアル偏光のレーザ光L0は、光スキャナ40等を経由し、レーザ光Lとして被検眼Eに照射される。
【0123】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは偏光成分選択素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、偏光成分選択素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。一方、アジマス偏光成分は、偏光成分選択素子71cを通過して受光素子74に到達する。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるアジマス偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、アジマス偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、ラジアル偏光成分は偏光成分選択素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0124】
〈第11の構成例〉
この実施形態の第11の構成例について説明する。本例では、第10の構成例とは逆に、アジマス偏光のレーザ光を出力する光源を適用し、このアジマス偏光のレーザ光を被検眼に照射し、その戻り光のラジアル偏光成分を受光する場合について説明する。光学系の構成については第10の構成例の
図19を参照する。光源部10および受光部70は、
図19に示す構成を有する。光源部10には、偏光制御用の光学素子13を設ける必要はない。また、受光部70は、偏光成分選択素子71cを含む。なお、本例に係る計測を行うときには、対物レンズ60と被検眼Eとの間の位置に配置可能な四分の一波長板などの偏光制御素子(前述)は、光路から退避される。本例では、アジマス偏光のレーザ光L0(レーザ光L)が被検眼Eに照射される。
【0125】
被検眼Eからの戻り光RLには、前述のように眼底戻り光と前眼部戻り光とが含まれる。また、被検眼Eからの戻り光には、ラジアル偏光成分と、アジマス偏光成分とが含まれる。ラジアル偏光成分には、角膜による正反射光、眼底Efによる正反射光、眼底Efによる散乱光や蛍光、レンズ(リレーレンズ50等)による正反射光などが含まれる。アジマス偏光成分には、眼底Efによる散乱光や蛍光が含まれる。ここで、眼底Efによる散乱光や蛍光は、眼底Efの偏光特性により、ラジアル偏光成分とアジマス偏光成分の双方を含んでいる。
【0126】
偏光成分選択素子71cは、被検眼Eからの戻り光RLのうち、ラジアル偏光成分を選択的に通過させる。偏光成分選択素子71cとしては、水晶などの異方性光学結晶から作成された複数の波長板(位相板)を貼り合わせてなる光学素子、複数の直線偏光素子(偏光子)を貼り合わせるなる光学素子、フォトニック結晶素子、液晶を利用した光学素子などを用いることが可能である。
【0127】
このような構成を有する本例における光の偏光状態の変化の例を
図21に示す。光源11から出力されたアジマス偏光のレーザ光L0は、光スキャナ40等を経由し、レーザ光Lとして被検眼Eに照射される。
【0128】
前述したように、被検眼Eからの戻り光RLには、ラジアル偏光成分と、それに直交するアジマス偏光成分とが含まれる。受光部70に入射した戻り光RLは偏光成分選択素子71cに入射する。ラジアル偏光成分は、偏光成分選択素子71cを通過して受光素子74に到達する。一方、アジマス偏光成分は、偏光成分選択素子71cにより遮断され、受光素子74に到達しない。つまり、受光部70は、戻り光RLに含まれるラジアル偏光成分を選択的に受光するように構成されている。前述したように、ラジアル偏光成分は、眼底Efによる散乱光や蛍光に関する情報を含んでいる。つまり、受光素子74から出力される受光信号には、レーザ光Lのスポット光の照射領域SL(
図2を参照)に関する情報が含まれている。これに対し、アジマス偏光成分は偏光成分選択素子71cにより遮断されるので、受光素子74から出力される受光信号は、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。よって、受光信号に基づき画像形成部130により形成される眼底Efの正面画像の画像データは、角膜による正反射光やレンズによる正反射光に関する情報を実質的に含まない。つまり、角膜やレンズによる正反射光に起因するゴースト光を含まない正面画像が得られる。
【0129】
〈作用・効果〉
実施形態に係る走査型レーザ検眼鏡の作用および効果について説明する。なお、実施形態において、光源(11)は、走査型レーザ検眼鏡(1)の一部であってもよいし、走査型レーザ検眼鏡(1)の外部装置であってもよい。
【0130】
走査型レーザ検眼鏡(1)は、光学系と、画像形成部(130)とを有する。光学系は、被検眼(E)にレーザ光(L)を照射することで眼底(Ef)をスキャンし、レーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)を検出する。画像形成部(130)は、戻り光(RL)の検出結果に基づいて眼底(Ef)の正面画像を形成する。
【0131】
光学系は、光学素子群(13、71)と、受光素子(74)とを有する。光学素子群(13、71)は、レーザ光(L)の眼底(Ef)からの戻り光(RL)のうち、前眼部からの戻り光と実質的に異なる偏光成分を選択的に通過させる。受光素子(74)は、光学素子群を通過した偏光成分を検出して電気信号を出力する。画像形成部(130)は、受光素子(74)から出力された電気信号に基づいて、眼底(Ef)の正面画像を形成する。
【0132】
このような走査型レーザ検眼鏡(1)によれば、被検者への負担や画質の低下といった問題を伴うことなくゴースト光を除去することが可能である。すなわち、走査型レーザ検眼鏡(1)においては、被検者への負担となる散瞳剤を投与したり、共焦点絞りを用いたり、直線偏光のレーザ光を被検眼に照射したりすることなく、眼底の正面画像にゴースト光が混入することを防止できる。
【0133】
実施形態において、所定の回転方向の円偏光のレーザ光(L)を被検眼(E)に照射し、その戻り光(RL)のうち当該回転方向の円偏光の成分を検出して画像を形成するように構成することが可能である。その例として次のものがある。
【0134】
光学素子群(13、71)は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性を、レーザ光(L0)の進行方向に対して第1回転方向の円偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、円偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0135】
偏光特性変換素子(13)および偏光成分選択素子(71)として、次のような構成を適用することが可能である。偏光特性変換素子(13)は、第1偏光子(13a)と、第1波長板(13b)とを含む。第1偏光子(13a)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性を、第1方向の直線偏光に変換する。第1波長板(13b)は、第1の偏光子(13a)を通過したレーザ光(L0)の偏光特性を、第1方向の直線偏光から第1回転方向の円偏光に変換する。さらに、偏光成分選択素子(71)は、第2波長板(71a)と、第2偏光子(71b)とを含む。第2波長板(71a)は、被検眼(E)からの戻り光(RL)に含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換し、且つ、第1回転方向とは逆の第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。第2偏光子(71b)は、第2波長板(71a)により得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0136】
実施形態において、第1波長板(13b)と、第2波長板(71a)とを共通化することが可能である。すなわち、第1波長板(13b)と第2波長板(71a)とを同一の部材(80)として構成することができる。この部材(80)は、レーザ光(L0、L)の光路と、戻り光(RL)の光路との共通部分の任意の位置に配置される。
【0137】
波長板の共通化に加え、第1偏光子(13a)と第2偏光子(71b)とを同一の部材(90)として構成することが可能である。この部材(90)は、レーザ光(L0、L)の光路と、戻り光(RL)の光路との共通部分の任意の位置に配置される。さらに、この部材(90)は、共通の波長板としての部材(80)よりも、光源(11)側且つ受光素子(74)側に配置される。
【0138】
実施形態において、直線偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いることが可能である。その場合、次のような構成を適用することができる。光学素子群は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力された第1方向の直線偏光のレーザ光(L0)の偏光特性を、このレーザ光(L0)の進行方向に対して第1回転方向の円偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、円偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0139】
直線偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いる場合において、偏光特性変換素子(13)および偏光成分選択素子(71)は次のように構成されていてよい。偏光特性変換素子(13)は、第1方向の直線偏光のレーザ光(L0)の偏光特性を、第1回転方向の円偏光に変換する第1波長板(13)を含む。偏光成分選択素子(71)は、第2波長板(71a)と、偏光子(71b)とを含む。第2波長板(71a)は、被検眼(E)からの戻り光(RL)に含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換し、且つ、第1回転方向とは逆の第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。偏光子(71b)は、第2波長板(71a)により得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0140】
このような構成において、第1波長板(13)と第2波長板(71a)とを同一の部材として構成することが可能である。この部材は、レーザ光(L0、L)の光路と、戻り光(RL)の光路との共通部分の任意の位置に配置される。
【0141】
実施形態において、円偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いることが可能である。その場合、次のような構成を適用することができる。光学系は、光源(11)から出力された、進行方向に対して第1回転方向の円偏光のレーザ光(L0、L)を、被検眼(E)に照射する。光学素子群(13、71)は、円偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうち、第1回転方向に対応する第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0142】
円偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いる場合において、偏光成分選択素子(71)は次のように構成されていてよい。なお、本例においては、偏光特性変換素子(13)を設ける必要はない。偏光成分選択素子(71)は、波長板(71a)と、偏光子(71b)とを含む。波長板(71a)は、被検眼(E)からの戻り光(RL)に含まれる第1回転方向の円偏光成分を第1方向の直線偏光成分に変換し、且つ、第1回転方向とは逆の第2回転方向の円偏光成分を、第1方向に直交する第2方向の直線偏光成分に変換する。偏光子(71b)は、波長板(71a)により得られた第1方向の直線偏光成分および第2方向の直線偏光のうち、第1方向の直線偏光成分を選択的に通過させる。
【0143】
実施形態において、円偏光以外の偏光状態のレーザ光を用いることが可能である。その例として、ラジアル偏光およびアジマス偏光がある。本例では、ラジアル偏光(またはアジマス偏光)のレーザ光(L)を被検眼(E)に照射し、その戻り光(RL)のうちアジマス偏光の成分(またはラジアル偏光の成分)を検出して画像を形成するように構成することが可能である。その例として次のものがある。
【0144】
光学素子群(13、71)は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性をラジアル偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、ラジアル偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちアジマス偏光成分を選択的に通過させる。
【0145】
偏光特性変換素子(13)および偏光成分選択素子(71)として、次のような構成を適用することが可能である。偏光特性変換素子(13)は、偏光子(13c)と、第1偏光制御素子(13d)とを含む。偏光子(13c)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性を直線偏光に変換する。第1偏光制御素子(13d)は、偏光子(13c)を通過したレーザ光(L0)の偏光特性を、直線偏光からラジアル偏光に変換する。さらに、偏光成分選択素子(71)は、被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちアジマス偏光成分を選択的に通過させる第2偏光制御素子(71c)を含む。なお、偏光成分選択素子(71)は、第2偏光制御素子(71c)を通過したアジマス偏光成分を直線偏光に変換する偏光子をさらに含んでいてよい。
【0146】
ラジアル偏光およびアジマス偏光を利用する場合の他の例として、次のような構成を適用することが可能である。光学素子群(13、71)は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性をアジマス偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、アジマス偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちラジアル偏光成分を選択的に通過させる。
【0147】
偏光特性変換素子(13)および偏光成分選択素子(71)として、次のような構成を適用することが可能である。偏光特性変換素子(13)は、偏光子(13c)と、第1偏光制御素子(13d)とを含む。偏光子(13c)は、光源(11)から出力されたレーザ光(L0)の偏光特性を直線偏光に変換する。第1偏光制御素子(13d)は、偏光子(13c)を通過したレーザ光(L0)の偏光特性を、直線偏光からアジマス偏光に変換する。さらに、偏光成分選択素子(71)は、被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちラジアル偏光成分を選択的に通過させる第2偏光制御素子(71c)を含む。なお、偏光成分選択素子(71)は、第2偏光制御素子(71c)を通過したラジアル偏光成分を直線偏光に変換する偏光子をさらに含んでいてよい。
【0148】
ラジアル偏光およびアジマス偏光を利用する場合において、直線偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いることが可能である。その場合、次のような構成を適用することができる。光学素子群(13、71)は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力された直線偏光のレーザ光(L0)の偏光特性をラジアル偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、ラジアル偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちアジマス偏光成分を選択的に通過させる。
【0149】
ラジアル偏光およびアジマス偏光を利用し、且つ、直線偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いる場合において、次のような構成を適用することも可能である。光学素子群(13、71)は、偏光特性変換素子(13)と、偏光成分選択素子(71)とを含む。偏光特性変換素子(13)は、光源(11)から出力された直線偏光のレーザ光(L0)の偏光特性をアジマス偏光に変換する。偏光成分選択素子(71)は、アジマス偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちラジアル偏光成分を選択的に通過させる。
【0150】
ラジアル偏光およびアジマス偏光を利用する場合において、ラジアル偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いることが可能である。その場合、次のような構成を適用することができる。光学系は、光源(11)から出力されたラジアル偏光のレーザ光(L0、L)を被検眼(E)に照射する。光学素子群(13、71)は、ラジアル偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちアジマス偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子(71c)を含む。
【0151】
ラジアル偏光およびアジマス偏光を利用する場合において、アジマス偏光のレーザ光を出力する光源(11)を用いることが可能である。その場合、次のような構成を適用することができる。光学系は、光源(11)から出力されたアジマス偏光のレーザ光(L0、L)を被検眼(E)に照射する。光学素子群(13、71)は、アジマス偏光のレーザ光(L)の被検眼(E)からの戻り光(RL)のうちラジアル偏光成分を選択的に通過させる偏光成分選択素子(71c)を含む。
【0152】
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。