(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
椅子部と前記椅子部を載せる台車部とを有し、外部昇降装置に含まれる係合部を前記椅子部に設けられる被係合部に係合させて前記椅子部を持ち上げることによって、前記椅子部と前記台車部とを分離可能な入浴用車椅子であって、
前記椅子部と前記台車部とが分離される場合に前記係合部と前記被係合部との係合が外れないようにロックを行うとともに、前記椅子部と前記台車部とが合体される場合に前記ロックを解除するロック機構を備え、
前記椅子部に設けられる係合穴と、前記台車部に含まれる係合フレーム部と、を嵌め合わせることによって前記椅子部と前記台車部とが合体され、
前記ロック機構は、前記係合フレーム部の前記係合穴に対する嵌脱に連動して、前記ロックと前記ロックの解除とを行うことを特徴とする入浴用車椅子。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明にあたっては、入浴用車椅子に座った入浴者(要介助者)からみて前方となる側を入浴用車椅子の前側とし、当該入浴者からみて後方となる側を入浴用車椅子の後ろ側とし、当該入浴者から見て右方となる側を入浴用車椅子の右側とし、当該入浴者から見て左方となる側を入浴用車椅子の左側とする。
<入浴用車椅子の概略構成>
【0019】
まず、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子の概略構成について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
図1〜
図4に示すように、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1は、椅子部(上部)10と台車部(下部)20とに分離可能である。
【0020】
なお、
図1は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1の概略斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1を前方側から見た場合の概略平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1を後方側から見た場合の概略平面図である。
図4は、
図2のA−A位置における概略断面図である。
図1〜4において、(a)は入浴用車椅子1の椅子部10と台車部20とが合体状態である場合の構成を示しており、(b)は入浴用車椅子1の椅子部10と台車部20とが分離状態である場合の構成を示している。
【0021】
椅子部10は、入浴者が臀部を載せる座面部11と、入浴者の背もたれとなる背当部12と、を有する。座面部11及び背当部12は、椅子部10が備える椅子フレーム13によって支持されている。その他、椅子フレーム13には、回動可能に設けられる一対の手すり14a、14bと、座面部11の下側への収納と座面部11の下側からの水平方向への引き出しとが可能に設けられる足受部15と、背当部12の背面(後面)側に位置する一対の走行用ハンドル16a、16bと、が取り付けられている。なお、足受部15は、本発明の伸縮可能な足受部の一例である。
【0022】
また、椅子部10には、その上部の右側と左側とに設けられる、一対の係合フック17a、17bが形成されている。一対の係合フック17a、17bは、いずれも、側面視、L字が略180°回転されたような形状に設けられ、椅子フレーム13に固着されている。
【0023】
また、椅子部10を構成する座面部11の後ろ側には、左右方向に延びる長穴形状の係合穴18aが形成された係合部18が設けられている。なお、係合穴18aは、本発明の係合穴の一例である。また、係合穴18aが形成される係合部18は、座面部11と一体形成されるものでもよいし、別部材として設けられるものであってもよい。
【0024】
台車部20は、その下端に4つの車輪22が取り付けられた台車フレーム21を備える。台車フレーム21の前側には、入浴者が足を載せる足載せ部23が取り付けられている。台車フレーム21には、椅子部10に設けられる係合穴18aに係合する係合フレーム部21aが含まれる。係合フレーム部21aは、台車フレーム21の後ろ側に位置する。
【0025】
椅子部10と台車部20とが合体した状態では、係合フレーム部21aが係合穴18aに嵌合された状態となる。この嵌合状態においては、係合フレーム部21aは、その上端部が係合穴18aから突出する。椅子部10と台車部20とが合体した状態では、座面部11が、台車フレーム21の支持フレーム部21bによって支持される。
【0026】
また、椅子部10と台車部20とが合体した状態では、台車フレーム21に含まれる一対の横揺れ防止フレーム部21c、21cによって、椅子部10が台車部20に対して左右に揺れる(横揺れする)ことが防止される。一対の横揺れ防止フレーム部21c、21cは、台車フレーム21の後方側左右の、側面視略逆U字状の部分が該当する。一対の横揺れ防止フレーム部21c、21cは、本発明の横揺れ防止部の一例である。各横揺れ防止フレーム部21cは、椅子部10と台車部20とが合体した状態において、椅子部10の係合部18と協働して椅子フレーム13の一部を挟み込む(例えば
図1(a)や
図3(a)参照)。このために、椅子部10が横揺れするのが防止され、入浴者は入浴用車椅子1に安心して乗ることができる。
【0027】
その他、台車部20の右側面側の下部には、入浴用車椅子1から浴槽(後述する)へと入浴者を移動させる場合に、入浴用車椅子1の位置決めに使用される一対の位置決め係合部24a、24bが設けられている。円板状に設けられる一対の位置決め係合部24a、24bは、それぞれ、別々の車輪22の上側に固着されている。位置決め係合部24a、24bの形状や配置等は適宜変更してよい。
<浮き上り防止機構>
【0028】
本実施形態の入浴用車椅子1の概略構成は以上のようであるが、入浴用車椅子1は、椅子部10と台車部20とが合体した状態において、椅子部10が台車部20に対して浮き上ることを防止する浮き上り防止機構30を備えている。以下、この浮き上り防止機構30について、主に
図5を参照しながら説明する。なお、
図5は、
図4の一点鎖線Bで囲まれた部分の拡大図である。
図5(a)は椅子部10と台車部20とが合体した状態を想定した図であり、
図5(b)は椅子部10と台車部20とが分離した状態を想定した図である。
【0029】
浮き上り防止機構30は、椅子部10に設けられる浮防止用係合部31と、台車部20に設けられる浮防止用被係合部32と、を備えている。
【0030】
断面視略Z字状に設けられる浮防止用係合部31は、回転軸31aを中心として回動可能に、座面部11の下面側に設けられている。
図5に示すように、浮防止用係合部31は、椅子部10が備える足受部15の伸縮によって、その姿勢が変更される。すなわち、足受部15が縮められて座面部11の下側に収納されると、浮防止用係合部31は、足受部15に押されて、その先端部(回転軸31aから遠い方の端部;後端部)が持ち上げられる方向に回転(
図5において反時計回り方向の回転)して第1の姿勢(
図5(a)に示す姿勢)になる。一方、足受部15が伸ばされて座面部11の下側から引き出されると、浮防止用係合部31は、足受部15から力を受けないために、自重によって、その先端部が下がる方向に回転(
図5において時計回り方向の回転)して第2の姿勢(
図5(b)に示す姿勢)になる。
【0031】
平面視(側面視)略五角形状に設けられる浮防止用被係合部32は、台車フレーム21の支持フレーム部21bの前方端面に設けられている(
図2(b)参照)。浮防止用被係合部32は、浮防止用係合部31が第1の姿勢である場合、上方から見ると(
図5(a)に示す矢印D方向に沿って見ると)、その一部が浮防止用係合部31と重なるように設けられている。このために、椅子部10が台車部20に対して浮き上ろうとすると、浮防止用係合部31と浮防止用被係合部32とが接触して、椅子部10の浮き上りを阻止する。換言すると、椅子部10と台車部20とが合体した状態で、足受部15が座面部11の下側に収納されていると、椅子部10と台車部20とは分離することができない。
【0032】
一方、浮防止用被係合部32は、浮防止用係合部31が第2の姿勢である場合、上方から見ると、浮防止用係合部31は重ならないように設けられている。このために、椅子部10と台車部20とが合体した状態で、足受部15が座面部11の下側から引き出されると、椅子部10と台車部20との分離が可能になる。足受部15は、入浴者を椅子部10に座ったままの状態で浴槽に入浴させる場合に使用されるものであり、入浴用車椅子1で入浴者を搬送する場合には使用されない(この場合足載せ部23が使用される)。すなわち、足受部15は、椅子部10と台車部20とを分離状態とする際に伸ばした状態とすることを前提に設けられたものであり、浮き上り防止機構30と連動させるのに適している。
【0033】
なお、本実施形態では、浮防止用係合部31が座面部11の下側に設けられる構成としたが、浮防止用係合部は足受部15に設けられても構わない。この場合、浮防止用係合部は、姿勢変更しなくてもよく、本実施形態のように回動する構成である必要はない。
【0034】
ところで、椅子部10と台車部20とを合体させようとした場合に、足受部15が座面部11の下側に収納されてしまっていることも有り得る。例えば、入浴者が椅子部10に座っていない状態で、椅子部10と台車部20とを合体させる場合等が想定される。このような状態で椅子部10と台車部20とを合体させようとすると、浮防止用係合部31と浮防止用被係合部32とが衝突して、入浴用車椅子1に損傷が発生することが考えられる。本実施形態の入浴用車椅子1では、このような事態を避けるために、浮防止用被係合部32が、回転軸32a(
図5(a)参照)を中心として回動できるようになっている。
【0035】
浮防止用被係合部32は、外部から力が加えられない場合、図示しない付勢部材と、浮防止用被係合部32に当接する壁面32bとを利用して、
図5(a)に示す状態で維持されるようになっている。足受部15が座面部11の下側に収納された状態の椅子部10が台車部20に合体される場合、浮防止用係合部31が、一旦、浮防止用被係合部32に接触する。しかし、この接触状態で椅子部10が下げられると、浮防止用被係合部32が、付勢部材の付勢力に反して回動(
図5おいて反時計回り方向に回転)を開始する。そして、更に椅子部10が下げられると、浮防止用係合部31と浮防止用被係合部32との接触が回避される。
【0036】
この接触が回避された状態になると、浮防止用被係合部32は、付勢部材の付勢力によって回動し、元の位置(
図5(a)に示す状態)に戻る。すなわち、足受部15が座面部11の下側に収納された状態の椅子部10が台車部20に合体されるような事態が生じても、入浴用車椅子1に損傷が発生することを防止できる。そして、椅子部10と台車部20との合体後は、浮き上り防止機構30の存在により、椅子部10が台車部20に対して浮き上ることは防止される。
<ロック機構>
【0037】
次に、入浴用車椅子1が備えるロック機構40について説明する。このロック機構40は、外部昇降装置(本実施形態では、後述の入浴装置が該当する)によって椅子部10が台車部20から持ち上げられた場合に、椅子部10と外部昇降装置とが係合した状態が外れることを防止する機構である。ロック機構40の説明にあたっては、
図1〜
図4の他に、
図6が適宜参照される。なお、
図6は、
図4の一点鎖線Cで囲まれた部分の拡大図である。
図6(a)は椅子部10と台車部20とが合体した状態を想定した図であり、
図6(b)は椅子部10と台車部20とが分離した状態を想定した図である。
【0038】
ロック機構40は、椅子部10に形成されている。ロック機構40は、椅子部10の上部側に設けられる第1の回動部材41と、椅子部10の下部側に設けられる第2の回動部材42と、一端部が第1の回動部材41に固着されるとともに他端部が第2の回動部材42に固着されるワイヤ43と、回動部材41に付勢力を与える付勢部材44と、を備えている(例えば
図1や
図4参照)。ワイヤ43は、本発明の接続部材の一例である。
【0039】
第1の回動部材41は、互いに対向配置される一対の板状部41a、41bと、一対の板状部41a、41bを連結する連結部41cと、背当部12に対して回動可能に第1の回動部材41を支持する回転軸41dと、を有する構成になっている(例えば
図3参照)。第1の回動部材41は、背当部12の背面(後面)に設けられる凹部空間12a内に設けられている。凹部空間12aは、椅子部10の上部寄り、左右方向の略中央部に設けられている。
【0040】
第2の回動部材42は、断面視略L字状(例えば
図4参照)に設けられた棒状部材であり、左右方向に延びる保持部材13aに回動可能に保持されている。保持部材13aは、椅子フレーム13に固定されている。第2の回動部材42は、その一端部42aが椅子部10の左右方向の略中央部に位置し、他端部42bが椅子部10の左寄りとなるように配置されている(例えば
図3(b)参照)。また、第2の回動部材42は、係合穴18aのほぼ真上となるように配置されている(例えば
図4参照)。
【0041】
ワイヤ43は、背当部12の背面に沿うように設けられている。第1の回動部材41に一端部が固着されるワイヤ43の他端部は、第2の回動部材42の一端部42aに固着されている(例えば
図3(b)参照)。なお、椅子部10と台車部20とが分離した状態では、第2の回動部材42はワイヤ43によって上側に引っ張られて水平状態から傾いた状態となる。すなわち、ワイヤ43が固着された一端部42aが上、ワイヤ43が固着されていない他端部42bが下となった状態で傾く。
【0042】
付勢部材44は、第1の回動部材41に対して所定方向の回転力を付与する。付勢部材44は、特に限定されるものではないが、例えばバネ部材等で構成でき、本実施形態では引っ張りバネで構成している。付勢部材44の一端は、背当部12に固定され、他端は第1の回動部材41に固定されている。付勢部材44は、回転軸41dからずれた位置を上方に引きあげるように第1の回動部材41に固定されているために、第1の回動部材に対して回転力を与える(
図6参照)。
図6において、付勢部材44は、第1の回動部材41に対して時計回り方向の回転力を与える。
【0043】
椅子部10と台車部20とが合体する場合、台車フレーム21を構成する係合フレーム部21aの上端(係合穴18aから突出している)が第2の回動部材42と当接して、第2の回動部材42を回転する。この回転によって、第1の回動部材41は、ワイヤ43によって引っ張られ、付勢部材44によって付与される方向と反対方向の回転力を受ける。このために、例えば
図6(a)に示すように、第1の回動部材41は凹部空間12a内に収納される(第1の回動部材41は第2の位置に配置される)。
【0044】
一方、椅子部10と台車部20とが分離する場合、台車フレーム21を構成する係合フレーム部21aと第2の回動部材42との当接が解除される。このために、第1の回動部材41は、付勢部材44によって与えられる回転力を受ける。このために、例えば
図6(b)に示すように、第1の回動部材41は、その一部(一対の板状部41a、41bの一部)が凹部空間12aから突出する(第1の回動部材41は第1の位置に配置される)。なお、付勢部材44の付勢力による、第1の回動部材41の回転量は、凹部空間12aの内壁との当接を利用して調整されている。
【0045】
椅子部10と台車部20とが合体している場合、ロック機構40を構成する第1の回動部材41は、凹部空間12a内に収納されている。このために、外部昇降装置(後述の入浴装置が該当する)が備える係合部と、一対の係合フック17a、17bとの係合、及び、係合解除を自由に行える。一方、外部昇降装置の係合部と一対の係合フック17a、17bとが係合されて、椅子部10が持ち上げられる状態(分離状態)となった場合には、第1の回動部材41の一部が凹部空間12aから突出する。そして、この突出した部分が、外部昇降装置の係合部と一対の係合フック17a、17bとの係合が外れないようにロックを行う。以上からわかるように、ロック機構40は、係合フレーム部21aの係合穴18aに対する嵌脱に連動して、外部昇降装置の係合部と一対の係合フック17a、17bとの係合のロックと、アンロック(ロック解除)とを行う。
<入浴装置及び浴槽の構成例>
【0046】
以下に、本実施形態の入浴用車椅子1の作用効果を説明するが、その前に、本実施形態の入浴用車椅子1とセットで使用される入浴装置及び浴槽の構成例について簡単に説明しておく。
【0047】
図7は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1とセットで使用される入浴装置5及び浴槽6を上から見た場合の概略平面図であり、
図7(a)と
図7(b)とでは入浴装置5が備えるアーム部51の位置が異なっている。
図8は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1とセットで使用される入浴装置5及び浴槽6を側面から見た場合の概略平面図であり、
図8(a)は
図7(a)の状態と、
図8(b)は
図7(b)の状態と対応している。なお、
図8においては、入浴装置5及び浴槽6が配置される浴室の床Fと、壁Wとも合わせて示している。そして、床F及び壁Wによって実際には見えない部分は、一点鎖線で示している。
【0048】
図7及び
図8に示すように、入浴装置5は、平面視略矩形状に設けられる浴槽6の長手方向に並ぶように、浴槽6に並設される。入浴装置5は、基台部50と、入浴用車椅子1の椅子部10を着脱可能に設けられるアーム部51と、アーム部51を基台部50に対して昇降可能とする昇降部52と、アーム部51を基台部50に対してスライド移動可能とするスライド移動部53と、を備える。入浴装置5は、本発明の外部昇降装置の一例である。
【0049】
アーム部51は、上下方向に並列配置される2本の棒状部と、2本の棒状部の端部間を連結する2つの円弧状部とで構成される環状部51aと、環状部51aをスライド移動部53と接続する連結部51bとを備える。なお、環状部51aの中央には、貫通孔が形成された板状部が設けられている(後述する)。
【0050】
このような入浴装置5は、例えば中度から重度の要介助者を、容易に浴槽6内に運んで入浴させることが可能である。また、このような入浴装置5は、椅子部10を取り外した状態でアーム部51が手すりとして利用できるので、例えば軽度の要介助者等の浴槽6内への移動を容易にする。更に、椅子部10を取り外した状態で、アーム部51が手すりとして利用されるために、アーム部51をカバー部材等で覆う必要がない。すなわち、入浴装置5には、カバー部材を開閉するためのスペースが不要であり、入浴装置5の配置スペースの狭小化が期待できる。
【0051】
なお、昇降部52は、例えば油圧装置等を使用したリフト機構を備えるものであってよい。また、スライド移動部53は、例えばレールを利用したスライド機構を備えるものであってよい。本実施形態では、スライド移動部53は、第1のスライド部531と第2のスライド部532とを備え、アーム部51を多段階で引き出せるようになっている。ただし、これに限らず、スライド移動部53は1つのスライド部のみで構成されてもよい。
【0052】
浴槽6は、4つの側壁60a〜60dと、底壁60eとに囲まれた凹部空間61を有する。この凹部空間61に湯や水を溜めることで、入浴者は湯等に浸かる(入浴する)ことができる。凹部空間61に湯等を溜める方法は特に限定されるものではないが、本実施形態では、浴室の壁Wに設けられる蛇口7から湯等を出すことによって、凹部空間61に湯等を溜めることができる(
図8参照)。なお、底壁60eには、凹部空間61に溜めた湯等を外部へと排出する排出口(排水口)62が設けられている。
【0053】
浴槽6は、4つの側壁60a〜60dのうち、2つの側壁60a、60bが浴室の壁Wに接するように配置されている。浴槽6の長手方向に平行な2つの側壁60a、60cのうち、浴室の壁Wに接しない側の側壁60cは、浴室に設けられる洗い場等として使用される空間に面している。また、浴槽6の短手方向に平行な2つの側壁60b、60dのうち、浴室の壁Wに接しない側の側壁60dは、入浴装置5に面している。
【0054】
浴槽6が配置される領域は、その底面Bが浴室の床Fよりも低く設けられており、浴槽6は、この底面Bに固定配置されている。すなわち、浴槽6の底壁60eは、浴室の床Fよりも低い場所に位置する構成になっている。このように構成することによって、浴槽6を構成する側壁60a〜60dの上面の、床Fからの高さを低くできるので、入浴者(ここでは入浴用車椅子1を使用しない入浴者が想定される)は側壁60cを難なく跨いで入浴することができる。なお、本実施形態では、入浴装置5を構成する基台部50も底面Bに配置されている。
【0055】
その他、浴槽6の側壁60cには、一対の溝部63a、63bが設けられている。一対の溝部63a、63bは、入浴用車椅子1に設けられる一対の位置決め係合部24a、24bと協働して、入浴用車椅子1の位置を位置決めする機能を発揮する。
<入浴用車椅子の作用効果>
【0056】
次に、入浴用車椅子1に乗った要介助者(入浴者)を、入浴装置5及び浴槽6を使って入浴させる場合に行われる一連の動作を説明しながら、入浴用車椅子1の作用効果について説明する。
【0057】
図9〜
図11は、いずれも、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1を利用して要介助者を入浴させる場合に行われる一連の動作を説明するための図である。なお、
図9、
図10、
図11の順に、一連の動作は進行する。
【0058】
まず、
図9に示すように、要介助者Mが乗せられた入浴用車椅子1が浴室に運ばれてくる。なお、浴室に運ばれて来る段階では、足受部15は座面部11の下側に収納されており、浮き上り防止機構30(例えば
図4(a)参照)によって、椅子部10が台車部20に対して浮き上ることは防止されている。足受部15は、例えば、入浴用車椅子1が浴室に運びこまれて、位置決めされた段階で、座面部11の下側から引き出されればよい。そして、これにより、浮き上り防止機構30による、椅子部10と台車部20との分離不能状態が解除され、入浴の準備が進められることになる。
【0059】
なお、入浴用車椅子1の位置決めは、入浴用車椅子1に設けられる一対の位置決め係合部24a、24bを、浴槽6に設けられる一対の溝部63a、63bに嵌め込むことで達成できる。また、要介助者Mが乗せられた入浴用車椅子1が浴室に運ばれて来ることに前後して、介助者等は、スライド移動部13を利用して、アーム部51を洗い場側に引っ張り出しておく必要がある。
【0060】
入浴用車椅子1が所定の位置にセットされると、例えば介助者等は、昇降部52を上向きに駆動させる電源スイッチ(不図示)をオンにする。これによって、浴室側に引っ張り出されたアーム部51が上昇され、アーム部51と、入浴用車椅子1に設けられる一対の係合フック17a、17bとが係合される。そして、入浴用車椅子1の椅子部10が持ち上げられて、椅子部10と台車部20とが分離する(
図10参照)。なお、アーム部51は本発明の係合部の一例であり、一対の係合フック17a、17bは本発明の被係合部の一例である。
【0061】
ところで、椅子部10が台車部20から分離されると、ロック機構40によって、アーム部51と一対の係合フック17a、17bとの係合が外れないようにロックがかけられる。詳細には、
図12に示すように、ロック機構40を構成する第1の回動部材41の一部が凹部空間12aから突出して、アーム部51と係合するようになる。更に詳細には、環状部51a(アーム部51の構成要素)の中央に設けられた板状部51cが備える貫通孔Hと、第1の回動部材41の突出部分が干渉し合うことによって、アーム部51と一対の係合フック17a、17bとの係合状態が解消されることを邪魔する(すなわちロックを行う)。このために、要介助者Mの安全性が高められる。
【0062】
なお、
図12は、本発明の実施形態に係る入浴用車椅子1が備えるロック機構40の作用を説明するための図である。
図12は、
図6(b)にアーム部51が追加された図に該当する。
【0063】
要介助者Mを乗せた椅子部10が所定の高さまで持ち上げられると、介助者等は、スライド移動部13を利用して、椅子部10がぶら下げられたアーム部51を、浴槽6側に向けて押し込む。そして、介助者等は、昇降部12を下向きに駆動させる電源スイッチをオンにする。これによって、椅子部10がアーム部51とともに下降され、湯が溜められた浴槽6内(凹部空間61内)に要介助者Mが移動される(
図11参照)。要介助者Mが浴槽6外へと運び出される場合には、以上と反対の動作が行われる。
【0064】
なお、要介助者Mを浴槽6外へと運び出して、椅子部10と台車部20とが合体されると、ロック機構40による、アーム部51と一対の係合フック17a、17bとの係合をロックした状態は解除される。このために、入浴用車椅子1(椅子部10)とアーム部51との係合を解消できる。また、椅子部10と台車部20とが合体されると、要介助者Mは足載せ部23に足を載せることが可能になる。このために足受部15は、座面部11の下側に収納される。そして、これにより、浮き上り防止機構30によって、椅子部10が台車部20から浮き上ることが防止されるようになるために、要介助者Mは安全に運搬されることになる。
【0065】
ところで、例えば、椅子部10と台車部20とを合体させる際に、アーム部51の位置が正規の位置(本来あるべき位置)からずれた状態となることが生じ得る。例えば、椅子部10に載っている入浴者Mが暴れたり、台車部20の位置が所定の位置からずれていたりした場合等に、前述のアーム部51の位置ずれが生じ得る。 アーム部51の位置が非正規な位置にある状態で、椅子部10と台車部20とを合体させようとした場合、第1の回動部材41がアーム部51に引っ掛かった状態となることがある。そして、この引っ掛かりが発生した状態で椅子部10を下げると、係合フレーム部21aと当接する第2の回動部材42の回動によってワイヤ43に過負荷が加わり、ワイヤ43が切れたり、伸びてしまったりする事態が起こり得る。
【0066】
上述の懸念事項を解消するために、第1の回動部材41と第2の回動部材42との連結がワイヤ43のみを用いて行われるのではなく、
図13(変形例を示している)に示すように、ワイヤ43と、伸縮可能な弾性部材45とを用いて行われるようにしてよい。伸縮可能な弾性部材45は、ワイヤ43の一端側(上端側或いは下端側)に配置されてもよいし、ワイヤ43に挟まれるように配置されてもよい。また、場合によっては複数位置に配置されてもよい。ただし、伸縮可能な弾性部材45は、部品点数を減らすために、ワイヤ43の一端側に配置するのが好ましい。また、
図13に示す構成においては、伸縮可能な弾性部材45がユーザーから見えないように(意匠性を考慮して)、伸縮可能な弾性部材45は、ワイヤ43の下端側ではなく上端側に配置されている。
【0067】
伸縮可能な弾性部材45は、例えば引っ張りバネ等のバネ部材で構成できるが、これに限定される趣旨ではなく、例えばゴム等の他の部材で構成されてもよい。
図13に示す例では、第1の回動部材41を付勢する付勢部材44が引っ張りバネで構成されていることを考慮して、伸縮可能な弾性部材45は引っ張りバネで構成している。伸縮可能な弾性部材45は、原則として、ワイヤ43と当該弾性部材45とで構成される接続部材に過負荷が加わっていない状態では伸びず、過負荷が加わった状態で伸びるのが好ましい。第1の回動部材41を付勢する付勢部材44と、伸縮可能な弾性部材45とをいずれも引っ張りバネで構成すると、このような状態の設計(計算)を行い易い。
【0068】
図13に例示する構成にすると、第1の回動部材41がアーム部51に引っ掛かった状態で椅子部10を下げて接続部材(ワイヤ43と弾性部材45を含む)に過負荷が加わっても、弾性部材45が伸びるためにワイヤ43が切れたり、伸びたりすることがない。そして、過負荷が加わった状態が解消されれば、弾性部材45は元の長さに戻るために、接続部材を過負荷が加わる前の状態に復帰することができる。
<その他>
【0069】
以上に示した実施形態は本発明の例示であり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、以上に示した浮き上り防止機構30やロック機構40はあくまでも例示であり、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が行われてよい。また、本発明の入浴用車椅子が適用される入浴装置5や浴槽6も例示にすぎず、本発明の入浴用車椅子が適用される入浴装置や浴槽の構成は別の形態であっても勿論構わない。