(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル部(23)の噴口(24)において、その直径方向に切込(24k)を形成し、ノズル部(23)の噴口(24)からエアゾール容器の内容物が切込(24k)の設けられた方向に幅広に噴霧されることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップ。
前記ノズル部(23)の下方で、このノズル部(23)と前記接続ヒンジ部(30)との間に、このノズル部(23)を補強するための板状の補強部材(25)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップ。
前記ノズル部(23)を囲繞するように筒体形状を有する補強筒体(26, 27)を押下ボタン(20)に一体形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップ。
前記キャップ本体(10)、押下ボタン(20)及び接続ヒンジ部(30)が一体成形されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップ。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の押下ボタン付きキャップとしては、下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
特許文献1に記載のエアゾールキャップは、押しボタンの不用意な押し下げを確実に防止し得るワンタッチ式エアゾールキャップを提供することを課題とするものであり、その主要な構成は、
エアゾール缶に被せる冠着部及び一対の側壁を有するキャップ本体と、噴射口が形成されたノズル部を有した押しボタンと、側壁間に設けられた庇部とを備えたものである。
【0003】
このエアゾールキャップにおける押しボタンにおいては、そのノズル部の先端の噴射口が一体的に成形されている。
即ち、従来の噴射ノズルでは、当該ノズルの先端部に適宜形態の噴口チップや噴口ピースを嵌合させることにより形成していたのであるが、この特許文献1に記載の噴射ノズル部は噴口一体型でボタンと一体成形し、同時に所望の噴口も形成できるものである。
同様に、特許文献2に記載のエアゾールキャップにおいても上記特許文献1に記載のものと同様のものである。
【0004】
これらの特許文献に記載の噴射ノズル部(噴射口部)においては、特許文献2の
図12に図示された金型を用いて成形されるのであるが、この金型4Mには、噴射口及び流出路を形成する針状部分42Mを備えており、この針状部分は非常に細く(その直径は約0.4mmから1.0mm程度に)形成する必要があり、その長手方向長さには限界があり、それ故、流出路及び噴射口の長手方向長さも適宜短いものに限定されていた。
というのも、この噴射口部を長くするためには、金型の上記針状部分を長く形成する必要があり、そのように長く形成すると針状部分が曲がったり、折れたり等して、適切な成形が行われず、製造不能なのであった。
【0005】
他方、
図9には、従来の他の噴射ノズル部を図示しており、その(A)が一部切欠斜視図、その(B)が中央縦断面図であり、その噴射ノズル部の長さの長いものを示したものである。
この図から解るとおり、押下ボタンBに長い噴射ノズル部Nを形成するためには、噴射ノズル部Nの流出路Pの内径を所定の大きさ以上のものとする必要があるのである。
というのも、この流出路Pの流路の長さが長くなる関係上、その流出路Pを成形する金型の外径を適宜大きくし、強度を保持せねばならず、それ故、噴射ノズル部Nの流出路Pの内径は適宜大きなものとする必要があった。
そのために、この従来の噴射ノズルの場合には、その噴口に噴口ピースFや噴口チップを別体として形成し、この噴口ピースF等を噴射ノズル部Nの先端に嵌合して形成していたのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明においては、噴口一体型の噴射ノズルを提供することを目的とし、しかも、噴口一体型であっても、その長さを長く成形できる金型を完成し、それにより噴口一体型であって、且つ長さの長い噴射ノズルを実現することをその第一の課題とする。
なぜこのように、長さの長い噴口一体型噴射ノズルの実現を目指すかというと、本発明においては後に説明するが、噴射パターンとして上下方向に又は横方向に幅広の噴霧形態を得ることもその課題としており、このような上下に又は左右に幅広の噴霧パターンを実現させるためには、ノズルの先端の噴口位置をキャップの外周部近傍位置まで延長しないと、エアゾール容器の内容物の霧状噴射物がキャップ本体の両側壁部の前端部分に邪魔され、適切で幅広の噴霧状態が得られなくなるからである。
【0008】
また、本発明では、上記従来の発明と同様に、噴射パターンが縦又は横方向に所定の拡散幅を有する噴霧パターンを実現できる噴口を備えるものを提供することもその課題となる。
更には、本発明においては、上記の通り、噴射ノズルを適宜長く形成し、且つ、噴口と一体型であるため、その噴射ノズルの外径は自ずと小さいものとなり、その強度の面で不安もあり、その強度を補強するための手段を講じることも本発明の課題となる。
最後に、本発明に係る噴口一体型ボタンキャップにおいても、使用後の残留ガス抜き機構を付加することもその課題となる。
この残留ガス抜き機構としては各種のものが従来より創案されているが、本発明においては、この残留ガス抜き機構をより簡易な構成により実現することをその課題とする。
【0009】
尚、上記特許文献1及び2のそれぞれの
図10及び
図11には、噴射ノズル部400として、その長さの長いものが図示されているが、この噴射ノズル400は、上記
図9に図示したものと同様に、噴射口を形成する噴口ピース36が別体に形成されたものであって、一体的に成形されたものではない。
即ち、既に述べたとおり、噴射ノズル部400を長く形成するためには、その流出路42の内径を大きく形成して金型の針状部分の外径を大きくし、その強度を高める必要があるのである。
換言すれれば、噴口一体型の噴射ノズルを形成するためには、このノズル部の長さを短くせねばならなかったのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器の上端部に装着固定できる押下ボタンを一体的に形成したキャップであって、キャップ本体は、エアゾール容器の上端部に冠着する冠着部とこの冠着部から上方に延長する一対の側壁部を有し、押下ボタンは、前記側壁部間に配置され、これら側壁部間の後方側で手指によって押下され、その前方下端部でキャップ本体の冠着部と接続ヒンジ部を介して接続され、この押下ボタンにはエアゾール容器の内容物を流出させる流出路が形成され、当該流出路はバルブステムの上端開口部と連結し、上方に延長する第1流出路と、この第1流出路と略直交する方向に設けられた第2流出路とからなり、この第2流出路の出口部が噴口を形成する噴口一体型ボタンキャップにおいて、前記噴口をキャップ本体の外周部近傍位置まで延長する針状のノズル部を押下ボタンの側面に一体的に形成し
、前記押下ボタンの第1流出路の後方に残留ガス抜き用ステム装着部を設け、この残留ガス抜き用ステム装着部にバルブステムが当接する当接部は、前記第1流出路にバルブステムが当接する当接部よりも低い位置に設けられ、押下ボタンの両側前端角部が、前記キャップ本体の両側壁部のそれぞれの壁面に設けられた嵌合凹部に嵌合でき、且つ押下ボタンの両側後端角部が両側面部のそれぞれの壁面に設けられた係合凸部と係合することができ、これにより、キャップ本体をエアゾール容器から取り外し、押下ボタンを前方に移動させ、前記キャップ本体の嵌合凹部及び係合凸部に押下ボタンの両側前端角部及び両側後端角部を強制嵌合及び強制係合させ、その後、キャップ本体をエアゾール容器に装着固定することにより、押下ボタンの前記残留ガス抜き用ステム装着部がバルブステムに装着され、エアゾール容器内の残留ガスが排出されることを特徴とするエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップである。
ここで、上記「前方」及び「後方」というのは、エアゾール容器の内容物が噴霧される方向を前方とし、その反対側を後方という。以下同じである。
【0011】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記ノズル部の噴口において、その直径方向に切込を形成し、ノズル部の噴口からエアゾール容器の内容物が切込の設けられた方向に幅広に噴霧されることを特徴とするエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップである。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記ノズル部の下方で、このノズル部と前記接続ヒンジ部との間に、このノズル部を補強するための板状の補強部材を設けたことを特徴とするエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップである。
【0013】
本発明の第4のものは、上記第1又は第2の発明において、前記ノズル部を囲繞するように筒体形状を有する補強筒体を押下ボタンに一体形成したことを特徴とするエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップである。
【0014】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4のそれぞれの発明において、前記キャップ本体、押下ボタン及び接続ヒンジ部が一体成形されたことを特徴とするエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップである。
【0015】
(削除)
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1のものにおいては、噴口一体型の押下ボタン付きキャップに係るものであるが、押下ボタンの側面に一体的に噴射用のノズル部を形成し、このノズル部の先端部には同時に噴口が形成されており、従って、この噴射用ノズル部は、所定の細い外径を有する針状のものから形成されている。
このような針状の噴射用ノズル部を形成できることにより、その先端部の噴口を同時形成することが出来ることになったのである。
これにより、噴射用ノズル部の先端の噴口位置をキャップ本体の外周部近傍位置にまで延長することができ、後に説明する本発明の他の特徴である幅広の噴霧パターンを実現する際に、キャップ本体に設けられている両側壁部にエアゾール容器の内容物の噴射が邪魔されることがなくなるのである。
【0017】
更に本発明においては、より簡易な手段により使用後の残留ガス抜き機構を付加したものである。
即ち、押下ボタンの第1流出路の後方に残留ガス抜き用ステム装着部を設け、このステム装着部にバルブステムが当接する当接部は、前記第1流出路にバルブステムが当接する当接部よりも低い位置に設けられ、押下ボタンの両側前端角部が、前記キャップ本体の両側壁部のそれぞれの壁面に設けられた嵌合凹部に嵌合でき、且つ押下ボタンの両側後端角部が両側面部のそれぞれの壁面に設けられた係合凸部と係合することができ、これにより、キャップ本体をエアゾール容器から取り外し、押下ボタンを前方に移動させ、前記キャップ本体の嵌合凹部及び係合凸部に押下ボタンの両側前端角部及び両側後端角部を強制嵌合及び強制係合させ、その後、キャップ本体をエアゾール容器に装着固定することにより、押下ボタンの前記残留ガス抜き用ステム装着部がバルブステムに装着され、エアゾール容器内の残留ガスが排出されることを特徴とするものである。
【0018】
このように、本発明においては、押下ボタンとキャップ本体との接続構造、即ち、押下ボタンの前端部とキャップ本体が接続ヒンジ部により接続されているために、エアゾール容器の内容物の使用が完了した際に、当該キャップ本体をエアゾール容器から取り外し、その後、押下ボタンを前方方向に移動する1動作にのみによって、押下ボタンが前方位置に移行されて、キャップ本体の両側壁部間に挟持されて固定され、その後、キャップ本体をエアゾール容器に装着すると、押下ボタンの残留ガス抜き用ステム装着部がバルブステムに装着されて、当該ステムが下方に押下されたままの状態を維持し、残留ガスが排出される状態を維持することができることとなるのである。
【0019】
本発明の第2のものにおいては、上記した通り、内容物の噴霧パターンを所定方向に幅広のものとするために、噴射用ノズル部の噴口において、その直径方向に切込を形成したことを特徴とするものである。
本発明のように、ノズル部の第2流出路の内径を適宜小さく形成できたことにより、噴口チップや噴口ピースを別体として後に嵌合等、装着する必要がなくなり、ノズル部の先端をそのまま噴口とすることができ、しかも、その際に適宜方向に幅広な噴霧パターンを設定するために単にその噴口部分の直径方向に切込を形成することにより容易に実現することが可能となるのである。
【0020】
本発明の第3のものにおいては、ノズル部の下方で、このノズル部と前記接続ヒンジ部との間に板状の補強部材を設けたことを特徴とするものである。
本発明においては、その噴射ノズルの外径を小さく設定することができたのであるが、その分強度の面で劣ることとなる。
その強度を向上させるために、この第3の発明においては、噴射ノズル部の下方に板状の補強部材を設けたのである。
【0021】
本発明の第4のものにおいては、ノズル部を囲繞するように筒体形状を有する補強筒体を押下ボタンに一体形成したことを特徴とするものである。
本発明においては、上記した通り、その噴射ノズルの外径を小さく設定することができたのであるが、その分強度の面で劣ることとなる。
その強度を向上させるために、この第4の発明においては、ノズル部を囲繞するような筒体形状を有する補強筒体を押下ボタンに一体形成したものである。
【0022】
本発明の第5のものにおいては、上記それぞれの発明において、キャップ本体、押下ボタン及び接続ヒンジ部を一体成形したこと、即ち、本発明の構成要素の全てを一体成形できることを特定し、明確にしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の噴口一体型ボタンキャップに係る第1実施形態を図示したものであり、その(A)が半部切欠斜視図、その(B)が中央縦断面図である。
【0025】
このボタンキャップ1は、図示はしていないエアゾール容器の上端部に装着固定されるものであって、キャップ本体10と押下ボタン20とから成る。
キャップ本体10は、エアゾール容器の上端部に冠着する冠着部11と、この冠着部11から上方に延長する一対の側壁部12、12とからなる。
【0026】
これら両側壁部12、12の間に押下ボタン20が配置される。
押下ボタン20の前方下端部と冠着部11とを接続する接続ヒンジ部30が設けられ、押下ボタン20はこの接続ヒンジ部30により上下に動作可能となる。
【0027】
この接続ヒンジ部30は、より詳細には、側面視略L字形状(右に90度回転した略L字形状)を有し、その一方端はキャップ本体10の冠着部11に接続し、その他端は押下ボタン20の前方下端部に接続している。
その接続ヒンジ部30の折曲部30fの両側には、この接続ヒンジ部30とキャップ本体10の両側壁部12を連結する連結部を設け、これらの連結部は、容易に手で引き千切ることができる程度の切断可能なものである。
【0028】
このような構成により、キャップ本体10をエアゾール容器から離脱させ、前記接続部を引き千切り、押下ボタン20を噴射方向である前方に移動させることができる。
この動作は後に説明するが、残留ガス抜きのために行うものである。
【0029】
押下ボタン20の構成は以下の通りである。
この押下ボタン20には、エアゾール容器のバルブステムに接続する鉛直上方に延長する第1流出路21と、この第1流出路21と略直交する第2流出路22が設けられたノズル部23が一体成形されている。
【0030】
このノズル部23の先端が噴口24を形成しており、即ち、本発明においては、この噴口24はノズル部23と一体的に形成されていることがその特徴となっている。
またこのノズル部23は、噴口24と一体的に成形されている関係上、その第2流出路22の内径は、非常に小さく、およそ0.4mmから1.0mm程度である。
従って、ノズル部23の外径も、およそ2.5mmから4.0mm程度となり、非常に細く針状の形態を有しているものである。
【0031】
このノズル部23の外径が小さいために、その補強のため、本発明においては、ノズル部23の下方に板状の補強部材25を設けている。
この板状の補強部材25は、その上端でノズル部23を支持し、その下端で接続ヒンジ部30に接続し、下方からノズル部23を支持する態様である。
【0032】
押下ボタン20には、更に、前記第1流出路21の後方に残留ガス抜き用ステム装着部28が設けられている。
この残留ガス抜き用ステム装着部28のバルブステムとの当接部28tは、前記第1流出路21のバルブステムとの当接部21tの当接位置よりも低い位置に設けられている。
これにより、残留ガス抜き用ステム装着部28がエアゾール容器のバルブステムに装着された際にバルブステムは押し下げられた状態を維持して残留ガスが排出されたままの状態を維持できるのである。
【0033】
より詳しくは、エアゾール容器内の内容物の使用が終了した際に、キャップ本体10を容器から取り外し、キャップ本体10の押下ボタン20を前記接続ヒンジ部30の両側の連結部を引き千切って前方に移動させ、押下ボタン20が、後に説明する構成によりキャップ本体10の両側壁部12の間に固定され、その後にキャップ本体10を容器に装着することにより、押下ボタン20の残留ガス抜き用ステム装着部28が容器のステムに装着されて残留ガス抜き状態とすることができるのである。
【0034】
押下ボタン20がキャップ本体10の両側壁部12、12の間に固定される構成は、後に第2実施形態にて説明するが、押下ボタン20の両側前端角部が両側壁部12、12に設けられた嵌合凹部と嵌合し、他方、押下ボタン20の両側後端角部が両側壁部12、12に設けられた係合凸部と係合することにより実現される。
【0035】
即ち、キャップ本体10を容器から取り外し、押下ボタン20を前方に移動させると、押下ボタン20の両側前端角部が両側壁部の嵌合凹部に嵌合し、また押下ボタン20の両側後端角部が両側壁部の係合凸部と係合して、押下ボタン20は両側壁部12、12の間に挟持され固定されるのである。その後、再度キャップ本体10を容器に取り付けることにより、押下ボタン20の残留ガス抜き用ステム装着部28が容器のステムに装着され、当該ステムは押し下げられた状態を維持し、そのため残留ガス抜き状態を維持することができることとなるのである。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について、
図2乃至
図4を用いて説明する。
図2は、本発明の噴口一体型ボタンキャップに係る第2実施形態を図示しており、その(A)が斜視図、その(B)が一部切欠斜視図である。
図3は、その(A)が上記第2実施形態の半部切欠斜視図、その(B)が中央縦断面図である。
図4は、その(A)が上記第2実施形態のノズル部の中央水平方向断面図、その(B)がノズル部の中央縦断面図である。
尚、図中符号は、上記第1実施形態と同じ構成部材には同一の符号を付与している。後に説明する第3及び第4実施形態においても同様である。
【0037】
この第2実施形態においては、上記第1実施形態と異なる部分は、上記第1実施形態に設けられた板状の補強部材がなく、この第2実施形態においては、その補強部材として、ノズル部23を囲繞するように円筒形状の補強筒体26が設けられている点である。
その他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0038】
この第2実施形態における補強筒体26は、ノズル部23の全体を囲繞しているのではなく、その先端部の噴口24の部分をその補強筒体26の先端からその外部に突出させるように形成している。
後に説明するが、ノズル部23の先端の噴口24には、その縦方向に切欠を設けており、この切欠により噴射される内容物は、上下方向に幅広の噴霧パターンを得ることができる。
この構成は、前記第1実施形態と同じである。
【0039】
上記のように、ノズル部23の噴口24を補強筒体26の先端部から外部に突出させたのは、この幅広の噴射パターンが阻害されないようにしたものである。
つまり、この補強筒体26がノズル部23の先端までの全てを被覆すると、補強筒体26の先端部が内容物の幅広噴霧パターンの障害となってしまうのである。
【0040】
この補強筒体26も押下ボタン及びノズル部と共に一体成形できる。
図4の断面図を参照することにより、本発明に係るノズル部の形態をよく見て取ることができるが、この第2実施形態に係るノズル部23(上記第1実施形態のノズル部も同じである。)は、第1流出路21と直交する方向に第2流出路22が設けられ、この第2流出路22がそのまま噴口24まで至り、その内径も同一である。
【0041】
即ち、この第2流出路22は、そのまま噴口24を形成するのである。つまり、この第2流出路の内径は、噴口24を形成できる程度の小さな内径を有するものである。
従来、この小さい内径を有し、適宜その流路の長いノズル部を形成することができなかったのであるが、本発明においてはこれを実現することができ、このような針状の形態を有するノズル部23を完成することができたのである。
【0042】
そして、その噴口24の部分に、その直径方向に切込24kを設けることのみにより、噴射パターンを幅広にすることができ、即ち、鉛直上下方向に切込24kを設ければ、縦方向に幅広の噴霧パターンを得、また水平方向の横方向に切込を設ければ、横方向に幅広の噴霧パターンを得ることができるのである。
【0043】
尚、この第2実施形態では、
図4(A)から解るとおり、この切込24kをその噴口24の先端から内部方向に向かって徐々に幅狭に形成している。
これにより、噴霧パターンがより良好に幅広に形成されることとなるのである。
また、この実施形態においては、
図2(A)、
図3(B)及び
図4(B)から解るとおり、噴口24の上方部分及び下方部分が切り欠かれた状態に形成されている。
この切り欠き部分は、噴霧される内容物の付着をより少なくするために設けたものであり、つまり、噴霧液の付着面をより小さくするためであり、これにより噴霧後の液だれ等を防止することができるのである。
【0044】
押下ボタン20の前方移動とその固定に関して、以下説明をする。
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、押下ボタン20は、キャップ本体10の両側壁部12、12の間で固定される。
キャップ本体10の両側壁部12、12の中央部からやや前方寄りに、それぞれ嵌合凹部が形成されており、この嵌合凹部の上面が庇部12hとなっている(
図2及び
図3)。
【0045】
換言すると、嵌合凹部が側壁部12に形成されることにより、その上方に庇部12hが形成されることとなるのである。
この嵌合凹部に押下ボタン20の両側前端角部20k、20kが嵌り込むのである。
他方、押下ボタン20の両側後端角部20j、20jは、両側壁部12、12の嵌合凹部の後端部に設けられた係合凸部12j、12jと係合できる。
この係合凸部12jは、上下方向に設けられた突条部から成る。
【0046】
以上の構成により、キャップ本体10をエアゾール容器から取り外し、押下ボタン20を前方方向に移動させることにより、接続ヒンジ部と側壁部12との連結部が切断され、押下ボタン20の両側前端角部20kが側壁部12の庇部12hの下の嵌合凹部に嵌合し、また、押下ボタン20の両側後端角部20jが側壁部12の係合凸部12jと係合して、押下ボタン20は両側壁部12、12の間で挟持され、固定される。
【0047】
その状態で、キャップ本体10をエアゾール容器の上端部に冠着させることにより、押下ボタン20の後方に設けられた残留ガス抜き用ステム装着部28が容器のステムに装着され、ステムを押し下げた状態のままに維持することとなり、残留ガスが外部に排出されるのである。
この第2実施形態でも、押下ボタン20の第1流出路21の当接部よりも、残留ガス抜き用ステム装着部28の当接部の高さが低く設けられており、それ故、キャップ本体10を容器に冠着するだけで残留ガス抜き状態となることは前記第1実施形態と同じである。
【0048】
次に
図5及び
図6により本発明の第3実施形態について説明する。
図5(A)は、その斜視図、
図5(B)は、その一部切欠斜視図である。
図6は、この第3実施形態のノズル部を示し、その(A)が中央水平方向断面図、その(B)が中央縦断面図である。
【0049】
この第3実施形態は、上記第2実施形態と同様に、補強筒体を設けているが、その補強筒体27はノズル部23の全体を囲繞するように形成されている。
そして、ノズル部23の全体を囲繞する関係上、内容物の幅広の噴射パターンを阻害しないように、その上方部分及び下方部分を切り欠いて、それぞれ切欠部27kを設けている。
【0050】
その他の構成は、上記第2実施形態と同じである。
ノズル部23は針状の形態を有し、その先端の噴口24には縦方向に切欠24kを設け、噴口24の上下も切り欠かれ、押下ボタン20を前方に移動させてキャップ本体10の両側壁部12、12間に固定できる構成も全く同じである。
これにより、残留ガス抜き機能をも実行することができる。
【0051】
図7及び
図8は、本発明の第4の実施形態を図示している。
図7(A)は、その斜視図、その(B)は、半部切欠斜視図、その(C)は、(A)図のC部分の拡大図、その(D)は、(B)図のD部分の拡大図である。
図8は、その断面図である。
この実施形態は、基本的に上記第3実施形態と同様であるが、ノズル部23の両側に補強部材23h、23hが形成されたものである。
【0052】
即ち、この第4実施形態では、ノズル部23の横方向の両側に板状の補強部材23h、23hが設けられ、このノズル部23の両側と外側の補強筒体27の内壁とを橋渡しをするようにして補強されたものである。
その他の構成は、上記第3実施形態と同じである。
【0053】
針状のノズル部23の先端には噴口24が一体成形され、噴口24には縦方向に切込が形成され、噴口24の上下部分は切り欠かれた形態を有している。
また、押下ボタン20には、残留ガス抜き用ステム装着部28が形成され、この押下ボタン20を前方に移動してキャップ本体10の両側壁部12、12の間で挟持し固定することができる。
【0054】
より詳しくは、上記の実施形態と同様に、キャップ本体10を容器から取り外し、押下ボタン20を前方方向に移動させて、押下ボタン20の両側前端角部をキャップ本体10の両側壁部12、12に設けられた嵌合凹部に嵌合させ、押下ボタン20の両側後端角部を両側壁部12、12の係合凸部に係合させることにより、押下ボタン20が両側壁部12、12間に固定され、その後、キャップ本体10を容器に冠着することにより、押下ボタン20の残留ガス抜き用ステム装着部28が容器のステムに装着されて残留ガスが排出される状態となるのである。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更をすることができる。
先ず本発明の第一の特徴部分は、ノズル部の外径を細く形成し、針状の形態とすることにより、従来のように別体の噴口ピースや噴口チップを嵌合する手間が不要となり、即ち、噴口とノズル部とを一体的に形成することができる点にある。
この特徴部分を実施化したものが上記のそれぞれの実施形態であり、上記第1実施形態では、この特徴部分に更に板状の補強部材をノズル部の下に設けたものである。
【0056】
ノズル部の第2流出路の内径は、約0.4mmから1.0mm程度の範囲内に設定し、ノズル部の外径は適宜必要に応じて設計することができる。
このノズル部の外径を大きく設定すれば、補強部材は不要となる。
ノズル部の長さは、その先端の噴口がキャップ本体の外周の内側近傍であればよい。
【0057】
キャップ本体の両側壁部の間隔は、その後方側では使用者の手指が入り、容易に押下ボタンを押し下げることができればよく、その前方側では、押下ボタンの両側前端角部が、両側壁部に設けた嵌合凹部と嵌合し、固定できる間隔であればよい。
【0058】
押下ボタンの前方下端部とキャップ本体の冠着部とを接続する接続ヒンジ部も、上記各実施形態では側面視略L字型の板状体のものを用いたが、この折曲部で適宜自在に折曲できる強度のものであればよい。
この折曲部は、単なる湾曲部として形成することもできる。
この接続ヒンジ部の両側で、キャップ本体と連結する連結部が設けられているが、この連結部も容易に引き千切ることができる程度の強度のものであればよい。
【0059】
ノズル部を補強する補強部材である補強筒体の外径も自由に設計することができる。
また、ノズル部先端の噴口に設ける切欠は、上下方向でなく、水平方向に設けることにより横方向に幅広の噴霧パターンを呈するように設計変更することもできる。
上記第4実施形態で設けた補強部材は、ノズル部の両側水平方向に一対設けているが、この補強部材は斜め方向に二対設けてもよいことは勿論である。
【0060】
以上、本発明は、ノズル部を押下ボタンと一体形成でき、このノズル部を針状に細く形成できたことにより噴口一体型のものとすることができ、しかも幅広の噴射パターンをも得ることができ、尚且つ、これらの機能と共に残留ガス抜き機構をも付加することができた極めて便利なエアゾール容器の噴口一体型ボタンキャップを提供することができたものである。