(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
シートの側面に感圧センサを設けた自動二輪車用シート装置が明らかとなる。このような自動二輪車用シート装置によれば、運転者の内腿がシートの側面に接したときに、その圧力を検出できる。
【0011】
前記感圧センサは、上側ほど左右の間隔が狭くなるように傾斜した部位に設けられていることが望ましい。これにより、運転者の内腿からの圧力を検出しやすくなる。
【0012】
前記感圧センサは、前側ほど左右の間隔が狭くなる部位に設けられていることが望ましい。これにより、運転者の内腿からの圧力を検出しやすくなる。
【0013】
前記感圧センサは、前記シートの左右のそれぞれの前記側面に設けられていることが望ましい。これにより、自動二輪車の運転者は停車中に少なくとも一方の足を路面に着けることを利用して、少なくとも一方の感圧センサが内腿からの圧力を検出できる。
【0014】
右側の前記側面の前記感圧センサと、左側の前記側面の前記感圧センサは、電気的に並列に接続されていることが望ましい。これにより、少なくとも一方の感圧センサが圧力を受けたことを検出できる。
【0015】
前記側面の前記感圧センサとは別の感圧センサが、前記シートの上面に設けられていることが望ましい。これにより、シートの上面から受けた圧力も検出できる。
【0016】
前記上面の前記感圧センサと、前記側面の前記感圧センサは、電気的に直列に接続されていることが望ましい。これにより、シートの上面と側面の両方から圧力を受けたことを検出できる。
【0017】
前記シートの上面にクッション部材が設けられており、前記感圧センサは、前記上面の前記クッション部材よりも低い位置に配置されていることが望ましい。これにより、誤検出を抑制できる。
【0018】
また、シートの側面に感圧センサを設けた自動二輪車が明らかとなる。このような自動二輪車によれば、運転者の内腿がシートの側面に接したときに、その圧力を検出できる。
【0019】
===第1実施形態===
<シートが運転者から受ける圧力>
まず、シートが運転者から受ける圧力について説明する。
【0020】
図1A〜
図1Cは、スクータ型自動二輪車の運転者の姿勢の説明図である。
図1Aは、走行中の運転者の様子の説明図である。
図1B及び
図1Cは、停車中の運転者の様子の説明図である。なお、図中のスクータ型自動二輪車(以下、自動二輪車3)のシートには、布状の圧力分布測定用シートがかぶせられている。以下の説明では、運転者から見た方向に従って、前後、上下、左右の各方向を示すことがある。また、以下の説明では、左右方向の中心の側のことを「内側」と呼ぶことがある。
【0021】
図1Aに示すように、自動二輪車3の走行中、運転者は、ステップフロア5に両足を載せている。以下の説明では、運転者が両足をステップフロア5に載せた姿勢のことを「走行姿勢」と呼ぶことがある。一方、
図1B及び
図1Cに示すように、自動二輪車3が停止した状態では、運転者は、車体を支持するために、少なくとも一方の足を路面に着けることになる。以下の説明では、運転者が少なくとも一方の足を路面に着けた姿勢のことを「停車姿勢」と呼ぶことがある。
【0022】
図2A〜
図2Cは、運転者から受ける圧力の分布を示す図である。
図3A〜
図3Cは、比較的体重の重い運転者から受ける圧力の分布を示す図である。
図4は、測定時の圧力分布測定用シートの説明図である。
図5は、シートの上面と側面の境界部を示す図であり、V字状の領域の内側の領域はシートの上面の領域を示し、V字状の領域の外側の領域はシートの側面の領域を示している。
図4に示すように自動二輪車3のシートに圧力分布測定用シートをかぶせて、その上から運転者を着座させて圧力の分布を測定し、測定結果の圧力分布と
図5とを重ね合わせることによって、
図2A〜
図2Cや
図3A〜
図3Cが作成されている。
図2A〜
図2C及び
図3A〜
図3Cでは、色の濃い領域ほど高い圧力を受けている。
【0023】
図2A及び
図3Aは、走行姿勢での圧力分布の測定結果である。走行姿勢では、シートは、主に上面で運転者からの圧力を受けている。なお、最大圧力を受けている領域(最大圧力領域)は、運転者の座骨の位置に相当し、シートの上面に位置している(V字状の領域の内側に位置している)。このとき、シートの側面は、運転者からの圧力をほとんど受けていない。これは、走行姿勢では、運転者の大腿がほぼ水平方向になり、運転者の内腿がシートの側面から離れるためである。
【0024】
図2B及び
図3Bは、両足を路面に着けた停車姿勢での圧力分布の測定結果である。両足を路面に着けた状態では、シートの上面から左右両側の側面にわたって、運転者から圧力を受けている。これは、ステップフロア5よりも下の路面まで足を伸ばしたことによって、運転者の大腿の位置が
図1Aの状態(大腿がほぼ水平な状態)よりも下がり、運転者の内腿がシートの側面に接するためである。
【0025】
図2C及び
図3Cは、片足(右足)を路面に着けた停車姿勢での圧力分布の測定結果である。右足を路面に着けた状態では、右側の側面において運転者から圧力を受けている。これは、路面に足を着けた側の内腿がシートの側面に接するためである。なお、仮に逆側の片足(左足)を路面に着けた場合には、左側の側面において運転者から圧力を受けることになる。
【0026】
なお、シートの側面が停車姿勢の運転者から圧力を受ける領域は、そのときの最大圧力領域よりも前側である。これは、運転者の大腿が骨盤よりも前方に位置するためである。また、走行姿勢から停車姿勢に移行するときに運転者の骨盤の姿勢が変化した結果、停車姿勢のときの最大圧力領域(
図2B、
図2C、
図3B及び
図3Cの最大圧力領域)は、走行姿勢のときの最大圧力領域(
図2A及び
図3Aの最大圧力領域)よりも、前側に移動している。つまり、停車姿勢の運転者からシートの側面が圧力を受ける領域は、走行姿勢のときの最大圧力領域よりも前方になる。
【0027】
以上の説明から分かる通り、シートの側面には、停車姿勢のときに運転者からの圧力を受ける領域が存在する。このような領域は、運転者が跨るように着座する自動二輪車に特有のものであり、四輪自動車の場合には存在しないものである。
【0028】
更に、シートの側面には、走行姿勢のときには運転者からの圧力を受けずに、停車姿勢のときに運転者からの圧力を受ける領域が存在する。以下、この領域のことを「検出対象領域」と呼ぶ。
【0029】
検出対象領域は、シートの側面のうち、走行姿勢のときには内腿に接触せず、停車姿勢のときに内腿に接触する領域である。なお、検出対象領域は、
図2B及び
図2C(若しくは
図3B及び
図3C)から理解できるように、最大圧力領域(運転者の骨盤に相当する位置)よりも前側に位置する。
【0030】
以下に説明する本実施形態のシート装置1は、検出対象領域に感圧センサ51を配置することによって、自動二輪車3のシートに運転者が着座しているか否かを検出する。また、本実施形態のシート装置1は、検出対象領域に感圧センサ51を配置することによって、運転者が足を路面に着けているか否か(停車姿勢であるか否か)を検出する。
【0031】
<シート装置の構成>
図6は、自動二輪車3のシート装置1の説明図である。
図7Aは、シート装置1の斜視図である。
図7Bは、シート装置1の上面図である。
図7Cは、シート装置1の側面図である。
図8は、
図7B(又は
図7C)のA−A断面の説明図である。
【0032】
シート装置1は、シート10と、感圧センサ51とを有する。シート装置1は、自動二輪車3において運転者の座席を提供する。通常、シート10は、収容部4A(
図8参照)を開閉可能に車体4に取り付けられている。感圧センサ51は、圧力を検出するセンサ(圧力センサ)である。感圧センサ51は、シート10の表皮13(
図8参照)の下側に隠れて配置されており、
図7A〜
図7Cでは点線で感圧センサ51の配置が示されている。図示するように、感圧センサ51はシート10の側面30に設けられており、運転者の内腿からの圧力を検出する。
【0033】
シート10は、ベース11と、クッション部材12と、表皮13とを有している(
図8参照)。ベース11は、シート10の底板となる部材であり、例えば樹脂製又は金属製の板状部材である。ベース11の下面には、強度を保つためのリブ(不図示)等が適宜形成されている。クッション部材12は、クッション性を有する部材であり、弾力性を有し、圧力を受けると潰れるように変形する。クッション部材12は、例えばウレタンで構成されている。表皮13は、クッション部材12の外側を覆い、シート10の外面を構成する部材である。感圧センサ51は、ベース11とクッション部材12との間に配置されている。
なお、クッション部材12と表皮13との間に防水シートが配置されていても良い。また、シート10は、必ずしもこれらの部材から構成されていなくても良い。
【0034】
シート10は、その外形上、上面20と、側面30とを有する。
シート10の上面20は、運転者が着座する座面である。上面20は、左右対称のほぼ水平な平坦面から構成されている。上面20は、フラットな面で形成されても良いし、滑り止め効果やデザイン効果等を兼ね備えた凹凸が表面に形成されていても良い。また、上面20の少なくとも一部に、斜面や湾曲面が形成されていても良い。例えば、ここでは、上面20の前側に、運転者の臀部が前側にずれることを防止するための前上がりの前側緩斜面21が形成されている(
図7C参照)。また、上面20の後側には、運転者の臀部が後側にずれることを防止するための後上がりの後側緩斜面22が形成されている(
図7C参照)。
なお、上面20に、運転者の臀部が安定するように、窪みが形成されていても良い。また、上面20の後側には、運転者の腰や背中を支持する急斜面(バックレスト)が形成されても良いし、別部品のバックレストが取り付けられていても良い。
【0035】
運転者がシート10に正規着座すると、運転者の臀部がシート10の上面20に位置し、シート10の上面20は主に臀部から圧力を受けることになる。前述の
図2A〜C及び
図3A〜Cの最大圧力領域は、運転者の臀部(特に座骨)の位置に相当し、シート10の上面20(V字状の領域の内側)に位置している。以下の説明では、正規着座したときの運転者の座骨の位置を「ヒップポイント」と呼ぶことがある。
【0036】
なお、「正規着座」とは、運転者がシート10に正常に着座することを意味する。正規着座したときの運転者の臀部は、シート10に対してほぼ左右均等な位置とし、左右のどちから一方に極端に片寄っていないものする。例えば、運転者の臀部がシート10の側面30に位置する座り方は、正規着座ではない。正規着座したときの運転者の臀部の前後方向の位置は、シート10の設計上、所定の想定範囲に規定されている。実際上の臀部の位置は、設計上の正規着座したときの臀部の位置とは異なり、特に運転者の体型や姿勢によって異なることがある。例えば、
図2A〜
図2Cの運転者の臀部の位置と、
図3A〜
図3Cの運転者の臀部の位置は、異なっている。但し、運転者の臀部を安定させる部位が上面20にある場合には、その外形に基づいて、正規着座したときの運転者の臀部の前後方向の位置がほぼ特定される。例えば、上面20にバックレストがある場合、正規着座したときの運転者の臀部の前後方向の位置は、運転者の腰(又は背中)がバックレストに支持された状態での臀部の位置として特定される。
【0037】
側面30は、シート10の上面20以外の面であり、左右対称に形成されている。側面30は、シート10上に平底の荷物を載置したときに荷物と接触しない面でもある。このため、側面30は、基準となる上面20の角度を0度としたときに、0度よりも大きい角度の面である。また、側面30の一部が、上面20に対して90度よりも傾いた面(下側を向く面)を有しても良い。但し、後述する感圧センサ51の配置される位置では、側面30は、上面20に対して15度以上90度以下の角度の面(上側又は横を向く面)となる。上面20に対して僅かにしか傾いていない面(上面20に対する角度が15度よりも小さい面)に感圧センサ51を配置してしまうと、上面20に荷物を置いたときに感圧センサ51が圧力を検出してしまい、誤検出のおそれがあるからである。また、上面20に対して90度よりも大きく傾いた面(下側を向く面)に感圧センサ51を配置してしまうと、その面には運転者の内腿が接触しにくいため、感圧センサ51が内腿からの圧力を検出しにくいからである。
【0038】
側面30は、傾斜面31を有する(
図8参照)。傾斜面31も左右対称に形成されている。傾斜面31は、側面30の上側(上面20寄り)に形成されおり、左右の側面30(左側側面及び右側側面)の間隔が上側ほど狭くなるように、上下方向(鉛直方向)に対して傾斜している。つまり、左右のそれぞれの傾斜面31は、上側ほど内側に傾いている。言い換えると、傾斜面31は、若干上側を向くように傾斜した面になっている。なお、傾斜面31は、フラットな面であっても良いし、湾曲した面であっても良い。
【0039】
側面30に傾斜面31があることにより、運転者が路面に足を着けたときに、運転者の内腿が傾斜面31から支持されて、運転者の姿勢が安定しやすくなる。このため、傾斜面31は、停車姿勢の運転者の内腿に接しやすい面となる。停車姿勢の運転者の内腿を支持するために、傾斜面31は、上面20に対して20度以上80度以下の角度の面であることが望ましい。
【0040】
シート10の前側には、勾配部40が形成されている(
図7A〜
図7C参照)。勾配部40も左右対称に形成されている。勾配部40では、シート10の前側ほど、左右の寸法が狭く形成されている。このため、勾配部40では、上面20は、前側ほど左右方向の幅が狭く形成されている(
図7B参照)。つまり、勾配部40では、上面20の前側が先細り形状になる。
【0041】
また、勾配部40では、左右の側面30(左側側面及び右側側面)の間隔が前側ほど狭くなっている(
図7B参照)。つまり、勾配部40では、左右のそれぞれの側面30は、いずれも前側ほど内側に位置するように、前後方向に対して傾いている。言い換えると、勾配部40における側面30は、若干前側を向くように傾斜した面になっている。なお、勾配部40における側面30は、フラットな面であっても良いし、湾曲した面であっても良い。
【0042】
シート10の前側に勾配部40が形成されることにより、運転者は、大腿を前方向に沿わせやすくなり、シート前方のステップフロア5に足を載せやすくなる。また、シート10の前側に勾配部40が形成されることにより、運転者は、前方向に沿わせている大腿をそのまま下げやすくなり、停車中に足を路面に着けやすくなる。このため、勾配部40における側面30は、停車姿勢の運転者の内腿に接しやすい面となる。
【0043】
感圧センサ51は、圧力を検出するセンサ(圧力センサ)である。ここでは、感圧センサ51としてシート状のメンブレンセンサが採用されており、感圧センサ51の位置で運転者が違和感を受けにくくなっている。
図21は、感圧センサ51(メンブレンセンサ)の概略構成の断面図である。感圧センサ51は、一対の電極シートとスペーサとを有し、これらの部材を積層して構成されている。電極シートは、電極を有するフィルム状の絶縁性のシート部材である。スペーサには円形状の開口が形成されており、開口の内部において一対の電極が所定の間隔を空けて対向配置されている。感圧センサ51(メンブレンセンサ)は、圧力(荷重)に応じて対向する電極が接触/非接触となり、ON/OFFの2値を出力するスイッチ(感圧スイッチ)として機能する。
【0044】
<感圧センサの配置>
感圧センサ51は、シート10の側面30に設けられている。これにより、感圧センサ51は、シート10の側面30から受ける圧力を検出する。
図1Aに示すように、運転者が走行姿勢のときには、運転者の内腿がシート10の側面30から離れているため、感圧センサ51は圧力を検出しない。一方、
図1Bや
図1Cに示すように、運転者が停車姿勢のときには、運転者の内腿がシート10の側面30に接し、シート10の側面30が圧力を受けるため、感圧センサ51が圧力を検出する。
【0045】
感圧センサ51は、運転者の内腿からの圧力を検出するために、シート10の側面30のうち、運転者の内腿と接触する部位に配置される。このため、感圧センサ51は、シート10の側面30のうち、ヒップポイント(正規着座したときの運転者の座骨の位置)よりも前側に配置されることになる。これは、
図2B及び
図2C(若しくは
図3B及び
図3C)に示すように、停車姿勢のときにシート10の側面30が運転者から圧力を受ける領域が、ヒップポイントよりも前側に位置するからである。
【0046】
また、本実施形態では、
図8に示すように、感圧センサ51は、傾斜面31(左右の側面30の間隔が上側ほど狭い部位)に設けられている。傾斜面31は、停車姿勢の運転者の内腿に接しやすい面であるため、このような傾斜面31に感圧センサ51を配置することによって、感圧センサ51が運転者の内腿からの圧力を検出しやすくなる。なお、
図8の傾斜面31よりも下側の側面30(上面20に対する角度が約90度の面)では、傾斜面31よりも内腿が接触しにくいため、仮にこの位置に感圧センサ51を配置すると、感圧センサ51が運転者の内腿からの圧力を検出しにくくなってしまう。
【0047】
また、本実施形態では、
図7A〜
図7Cに示すように、感圧センサ51は、勾配部40(左右の側面30の間隔が前側ほど狭くなっている部位)に設けられている。勾配部40の側面30は、停車姿勢の運転者の内腿に接しやすい面であるため、このような勾配部40の側面30に感圧センサ51を配置することによって、感圧センサ51が運転者の内腿からの圧力を検出しやすくなる。
【0048】
また、本実施形態では、
図8に示すように、上面20(及び側面30)にクッション部材12が設けられており、感圧センサ51は、上面20のクッション部材12よりも低い位置(すなわち、上面20のクッション部材12の下面よりも下方)に配置されている。これにより、上面20のクッション部材12が圧力を受けて潰れても、側面30から圧力を受けていなければ、感圧センサ51はON状態になりにくい。この結果、誤検出を抑制できる。
【0049】
また、本実施形態では、感圧センサ51は、シート10の左右のそれぞれの側面30に設けられている。自動二輪車の場合、停車姿勢の運転者は少なくとも一方の足を路面に着けるため、シート10の左右両側の側面30に感圧センサ51を配置することによって、少なくとも一方の感圧センサ51が確実に圧力を検出することができる。
【0050】
図9は、感圧センサモジュール50の等価回路を示す図である。感圧センサモジュール50は、左右の側面30に設けられた一対の感圧センサ51と、端子52と、必要な配線とを有する。図示する通り、一対の感圧センサ51(右側の側面30の感圧センサ51と左側の側面30の感圧センサ51)は、端子52に対して、電気的に並列に接続されている。言い換えると、感圧センサモジュール50は、一対の感圧センサ51によるOR回路を構成している。これにより、少なくとも一方の感圧センサ51が圧力を検出したとき(少なくとも一方の感圧スイッチがON状態のとき)、端子52間が接続状態(ON状態)になる。また、両方の感圧センサ51とも圧力を検出していないとき(両方の感圧スイッチがOFF状態のとき)、端子52間が切断状態(OFF状態)になる。
【0051】
つまり、左右の側面30に設けられた一対の感圧センサ51を並列接続した感圧センサモジュール50がON状態であれば、シート10に運転者が着座していること、若しくは、運転者が足を路面に着けていることを検出できる。また、感圧センサモジュール50がOFF状態であれば、シート10に運転者が着座していないこと、若しくは、運転者が足を路面に着けていないことを検出できる。
【0052】
<感圧センサを用いた制御>
図10は、自動二輪車3の制御ブロック図である。自動二輪車3は、前述の感圧センサ51を有する感圧センサモジュール50と、モーター6と、回転検出センサ6Aと、キースイッチ7と、アクセル8Aと、ブレーキ8Bと、制御部9と、を備える。ここでは、自動二輪車3は、電動式自動二輪車を想定している。
【0053】
モーター6は、自動二輪車3の後輪を駆動する駆動源である。回転検出センサ6Aは、モーター6(又は後輪)の回転数を検出するセンサである。回転検出センサ6Aの検出信号は、回転数を示す回転情報であるが、自動二輪車3の速度を示す速度情報でもある。キースイッチ7は、自動二輪車3の主電源のON/OFFを切り替えるスイッチである。キースイッチ7がOFFのときには、自動二輪車3は動作しない。
【0054】
制御部9は、自動二輪車3の全体の制御を行う。制御部9は、演算回路とメモリとを有する。演算回路は、例えばCPUやMPU等の小型演算回路である。メモリは、ROMやRAM等から構成された記憶手段であり、制御プログラムやデータテーブルを記憶したり、制御プログラムを展開するための領域を提供したりする。制御部9は、メモリに記憶された制御プログラムを演算回路が実行することによって、各種処理を実現する。
【0055】
図11は、制御部9が行う発進制御処理のフロー図である。この発進制御処理は、停車中にアクセル8Aが操作されたときに、実行される。つまり、制御部9は、キースイッチ7がONであり、回転検出センサ6Aの示す回転数がゼロ(速度がゼロ)であり、アクセル8Aから制御信号が出力されたときに、この発進制御処理を実行する。
【0056】
まず、制御部9は、感圧センサモジュール50のON/OFF状態を判断する(S001)。感圧センサモジュール50がON状態(
図9の端子52間が接続状態)であれば、制御部9は、モーター6に駆動信号を出力することによってモーター6の駆動を開始し、停止中の自動二輪車3を発進させる(S002)。一方、感圧センサモジュール50がOFF状態(
図9の端子52間が切断状態)であれば、制御部9は、モーター6の駆動を禁止し、自動二輪車3の停止状態を維持する(S003)。
【0057】
この発進制御処理によれば、シート10に運転者が着座していない状態でアクセル8Aが誤って操作されてしまっても、自動二輪車3が発進することを禁止できる。特に、電動式の自動二輪車3の場合、エンジン(内燃機関)の音が無く、キースイッチ7が入っていることが気づかれにくいため、キースイッチ7が入った状態でアクセル8Aが誤操作されやすいので、この発進制御処理は特に有効である。
【0058】
本実施形態によれば、シート10の側面30に感圧センサ51が設けられているため、仮にシート10に荷物が載置されていても、感圧センサ51はOFF状態である。したがって、シート10の側面30に感圧センサ51を設けることによって、シート10上の運転者の有無を正常に検出でき、自動二輪車3の誤発進を防止できる。
【0059】
図12は、制御部9が行うアイドリングストップ開始処理のフロー図である。このアイドリングストップ開始処理は、走行中の自動二輪車3が停止したときに、実行される。つまり、制御部9は、回転検出センサ6Aの示す回転数がゼロ(速度がゼロ)に変化したときに、このアイドリングストップ開始処理を実行する。
【0060】
まず、制御部9は、感圧センサモジュール50のON/OFF状態を判断する(S101)。感圧センサモジュール50がOFF状態(
図9の端子52間が切断状態)であれば、まだ運転者が路面に足を着けてない状態であり、自動二輪車3の走行が直ぐに再開されるおそれがあるため、制御部9は、所定時間が経過してから(S102でNOを繰り返した後、S102でYES)、アイドリングストップを開始する(S103)。一方、感圧センサモジュール50がON状態(
図9の端子52間が接続状態)になれば、制御部9は、アイドリングストップを開始し、自動二輪車3の所定の装置への給電を停止する(S103)。
【0061】
本実施形態によれば、シート10の側面30に感圧センサ51が設けられているため、運転者が路面に足を着けたことを検出でき、所定時間の経過を待たずにアイドリングストップを開始することが可能になる。ここでは電動式の自動二輪車3を例に説明したが、エンジン(内燃機関)を備えた自動二輪車であれば、アイドリングストップの開始を早めてエンジンを早く停止できることは特に有効になる。
【0062】
===第2実施形態===
第1実施形態では、シート10の左右の側面30に設けられた感圧センサ51のうちの一方が圧力を検出すると、感圧センサモジュール50がON状態(
図9の端子52間が接続状態)になる。このため、仮に、着座していない人がシート10に横から寄り掛かると、感圧センサモジュール50がON状態(
図9の端子52間が接続状態)になってしまう。この結果、停車中に人がシート10に寄り掛かりながらアクセル8Aを誤操作したときに、
図11の発進制御処理に従うと、人がシート10に着座していないまま自動二輪車3が誤発進するおそれがある。
そこで、第2実施形態では、シート10の側面30に感圧センサ51を設けるだけでなく、シート10の上面20にも感圧センサ55を設けている。
【0063】
図13A〜
図13Cは、第2実施形態のシート装置1の説明図である。シート10の上面20の感圧センサ55は、シート10の上面20から受ける圧力を検出する。つまり、上面20の感圧センサ55は、座面に運転者が着座したことを検出する。この感圧センサ55は、運転者の臀部からの圧力を検出するため、正規着座したときの運転者の臀部の領域に配置される。ここでは、シート10の上面20の感圧センサ55は1つであるが、シート10の上面20に圧力のピークが2つできることを考慮して(
図2A等参照)、シート10の上面20に左右対称に2つの感圧センサ55を配置しても良い。
【0064】
上面20の感圧センサ55は運転者の臀部の領域に配置されるのに対し、側面30の感圧センサ51は、運転者の内腿の領域に配置される。このため、側面30の感圧センサ51は、上面20の感圧センサ55よりも前方に配置される。
【0065】
また、上面20の感圧センサ55は運転者の体重を検出することが目的であるのに対し、側面30の感圧センサ51は内腿との接触を検出することが目的である。このため、側面30の感圧センサ51がON状態になる圧力(以下、「オン荷重」という)は、上面20の感圧センサ55のオン荷重よりも、低い。
例えば、上面20の感圧センサ55を感圧センサ51と同様にメンブレンセンサで構成する場合、側面30の感圧センサ51のスペーサの開口径D(
図21参照)は、上面20の感圧センサ55のスペーサの開口径よりも大きくすると良い。また、側面30の感圧センサ51のスペーサの膜厚t(
図21参照)は、上面20の感圧センサ55のスペーサの膜厚よりも小さくすると良い。これにより、側面30の感圧センサ51のオン荷重が上面20の感圧センサ55のオン荷重よりも低くなるように、感圧センサ51及び感圧センサ55のオン荷重が調整される。
【0066】
図14は、第2実施形態の感圧センサモジュール50の等価回路を示す図である。図に示すように、上面20の感圧センサ55と側面30の感圧センサ51(並列接続された一対の感圧センサ51)は、端子52に対して、電気的に直列に接続されている。言い換えると、感圧センサモジュール50は、上面20の感圧センサ55及び側面30の感圧センサ51によるAND回路を構成している。これにより、側面30の感圧センサ51が圧力を検出しても、上面20の感圧センサ55が圧力を検出していなければ(上面20の感圧センサ55がON状態にならなければ)、端子52間が接続状態(ON状態)にはならない。
【0067】
したがって、着座していない人がシート10に横から寄り掛かった状態では、上面20の感圧センサ55はON状態にはならないので、感圧センサモジュール50の端子52間は切断状態のままとなる。この結果、停車中に人がシート10に寄り掛かりながらアクセル8Aを誤操作しても、
図11の発進制御処理によって自動二輪車3の誤発進を防止できる。
【0068】
<変形例>
図15A〜
図15Cは、第2実施形態の変形例のシート装置1の説明図である。変形例では、シート10の上面20の前後方向の異なる位置に2つの感圧センサ55が配置されている。
図16は、第2実施形態の変形例の感圧センサモジュール50の等価回路を示す図である。変形例では、シート10の上面20の2つの感圧センサ55が電気的に並列に接続されている。
【0069】
走行姿勢と停車姿勢とでは、最大圧力領域の前後方向の位置が異なることになるが(
図2A〜
図2C及び
図3A〜
図3C参照)、変形例によれば、上面20の2つの感圧センサ55によって、それぞれの姿勢での運転者の着座を検出できる。また、正規着座したときの運転者の臀部の前後方向の位置は、運転者の体型や姿勢によって異なることがあるが、変形例によれば、運転者の体型や姿勢にかかわらずに、運転者の着座を検出できる。
【0070】
===第3実施形態===
図17は、第3実施形態の鞍乗型自動二輪車3’のシート装置1’の説明図である。
図18A及び
図18Bは、第3実施形態の鞍乗型自動二輪車3’の運転者の姿勢の説明図である。
図18Aは、走行姿勢の運転者の説明図である。
図18Bは、停車姿勢の運転者の説明図である。図中には感圧センサ51の配置が点線で示されている。
【0071】
第3実施形態においても、シート装置1’の側面30に感圧センサ51が設けられている。これにより、感圧センサ51は、シート10の側面30から受ける圧力を検出する。
図18A及び
図18Bに示すように、運転者の内腿に接する領域に感圧センサ51を配置すれば、感圧センサ51の検出結果に基づいて、運転者がシート10に着座しているか否かを検出することが可能である。
【0072】
鞍乗型自動二輪車3’の場合、運転者は、走行中に両膝でシート10を挟みこんで、姿勢を安定させることがある。このため、鞍乗型自動二輪車3’の場合、走行中においても、運転者の内腿がシート10の側面30に接することがある。但し、
図18Aに示すように、走行姿勢の運転者の内腿に接しない領域に感圧センサ51を配置すれば、感圧センサ51の検出結果に基づいて、運転者が足を路面に着けているか否かを検出することが可能である。
【0073】
第3実施形態においても、感圧センサ51は、傾斜面31(左右の側面30の間隔が上側ほど狭い部位)に設けられていることが好ましい。このような傾斜面31に感圧センサ51を配置すれば、運転者が足を路面に着けたときに感圧センサ51が圧力を検出しやすくなる。
【0074】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0075】
<シートについて1>
前述の実施形態では、一人乗りであることを前提に説明を行っているが、自動二輪車は、二人乗りでも良い。この場合、リアシートが、運転者用のシート10を備えたシート装置1と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。なお、感圧センサ51は、運転者用のシート10の側面30に設けられることになる。但し、リアシートに感圧センサを設けても良い。
【0076】
<シートについて2>
図19Aに示すように、シート10の前側に勾配部40が形成されていなくても良い。勾配部40を備えていないシート10であっても、側面30に感圧センサ51を設ければ、運転者が足を路面に着けたときに内腿からの圧力を検出することができる。また、勾配部40を備えていないシート10であっても、傾斜面31に感圧センサ51を配置すれば、運転者の内腿からの圧力を検出しやすくなる。
【0077】
また、
図19Bに示すように、シート10の側面30に傾斜面31が形成されていなくても良い。側面30に傾斜面31が無くても、側面30に感圧センサ51を設ければ、運転者の内腿から感圧センサ51が圧力を検出することは可能である。
【0078】
<シートの側面について>
図20は、シート10の表皮の説明図である。2つの表皮が接合されており、それぞれの表皮がハッチングで区別されて図示されている。2つの表皮の間に接合部13Aが形成されている。2つの表皮が縫合されることによって接合部13Aが形成されている。接合部13Aが、溶着やその他の手段で形成されることもある。
ここでは、シート10の後側の側面30の表皮は、シート10の上面20の表皮と別の部材から構成されている。このため、シート10の後側では、接合部13Aは、シート10の上面20と側面30との境界を構成している。但し、シート10の前側の側面30の表皮は、シート10の上面20の表皮と同じ部材から構成されている。このように、接合部13Aは、上面20と側面30との境界を形成することもあるが、必ずしも上面20と側面30との境界を定義するものではない。つまり、シート10の側面30は、接合部13Aによって定義されるものではない。
【0079】
なお、
図20では、上面20と同じ部材で構成された側面30の表皮の下に、感圧センサ51が配置されている。但し、上面20と別の部材で構成された側面30の表皮の下に感圧センサ51が配置されていても良い。
【0080】
<感圧センサについて>
前述の感圧センサ51は、ON/OFFの2値を出力するスイッチとして機能していたが、感圧センサ51は、圧力に応じて出力値(圧力値)の変化するセンサ(圧力センサ)でも良い。この場合、コントローラが感圧センサ51の検出した圧力値と閾値とを比較することによって、オン荷重か否かを検出することが可能である。更に、第2実施形態のように上面20に感圧センサ55を設ける場合には、感圧センサ51と感圧センサ55とを同じ構成にしつつ、感圧センサ51の閾値を感圧センサ55の閾値よりも低く設定することによって、側面30の感圧センサ51のオン荷重が上面20の感圧センサ55のオン荷重よりも低くなるように調整しても良い。
また、感圧センサ51は、シート状のメンブレンセンサに限られず、他の形状の圧力センサでも良い。
【0081】
<感圧センサの配置について1>
前述の感圧センサ51は、走行姿勢のときには運転者からの圧力を受けない領域であって、停車姿勢のときに運転者からの圧力を受ける領域に(検出対象領域に)、配置されていた。但し、感圧センサ51は、走行姿勢のときに運転者から圧力を受ける領域(走行姿勢の運転者の内腿と接する領域)に配置しても良い。このような領域に感圧センサ51を配置しても、感圧センサ51がシートの側面30に設けられていれば、上面20に荷物が載置されたときに感圧センサ51が圧力を検出することを回避しつつ、運転者の内腿からの圧力を検出でき、運転者の着座を検出できる。但し、走行姿勢及び停車姿勢の両姿勢で感圧センサ51が運転者からの圧力を検出する場合、走行姿勢か停車姿勢かを検出することは困難になる。
【0082】
<感圧センサの配置について2>
前述の感圧センサ51は、ベース11とクッション部材12との間に配置されていた(
図8参照)。但し、感圧センサ51をクッション部材12と表皮13との間に配置しても良い。
【0083】
<感圧センサの接続について>
左右の側面30の感圧センサ51は、必ずしも電気的に並列接続されていなくても良い。例えば、左右の側面30の感圧センサ51がそれぞれ制御部9に信号を出力し、制御部9が2つの感圧センサ51の信号に基づいて発進の可否等を判断しても良い。