(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層がアクリル酸2−エチルヘキシルを構成単位として含有するアクリルポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のダイシングテープ付きダイボンドフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルム10は、ダイシングテープ上にダイボンドフィルム3が積層された構造である(
図1参照)。前記ダイシングテープは、基材1上に粘着剤層2が積層された構造である。ダイボンドフィルム3はダイシングテープの粘着剤層2上に積層されている。
【0024】
<ダイボンドフィルム>
ダイボンドフィルム3は、熱可塑性樹脂(a)と、25℃での粘度が0.1〜50Pa・secである熱硬化性樹脂(b)とを含有する。ダイボンドフィルム3の170℃で1時間加熱硬化した後の260℃での貯蔵弾性率は、0.05MPa以上であり、0.07MPa以上であることが好ましい。また、ダイボンドフィルム3の170℃で1時間加熱硬化した後の260℃での貯蔵弾性率は、特に制限されないが、例えば、2000MPa以下である。ダイボンドフィルム3の170℃で1時間加熱硬化した後の260℃での貯蔵弾性率は、0.05MPa以上であるため、耐湿半田リフロー試験での信頼性を良好とすることができる。
【0025】
(熱可塑性樹脂(a))
前記熱可塑性樹脂(a)としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、官能基含有アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、官能基含有アクリル共重合体が特に好ましい。熱硬化時に、この官能基と、熱硬化性樹脂(b)との間で架橋が進行する。その結果、低分子成分が架橋される結果、耐熱半田リフロー試験での信頼性を良好とすることができる。
【0026】
前記官能基含有アクリル共重合体としては、官能基を有するアクリル共重合体であれば特に限定されない。前記官能基としては、グリシジル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。官能基含有アクリル共重合体への前記官能基の導入方法は特に限定されず、官能基含有モノマーと他のモノマー成分との共重合により導入してもよく、アクリル系モノマーの共重合体を調製した後にこの共重合体と前記官能基を有する化合物とを反応させて導入してもよい。官能基含有アクリル共重合体の調製の容易性等を考慮すると、官能基含有モノマーと他のモノマーとの共重合による導入が好ましい。官能基含有モノマーとしては、前記官能基を有し、かつ共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーを好適に用いることができ、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。官能基含有アクリル共重合体における官能基含有モノマーの含有量としては、目的とする官能基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)等を考慮して決めればよい。
【0027】
前記官能基含有アクリル共重合体を構成する他のモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマー等が挙げられる。これらの他のモノマーは1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。前記他のモノマーの中でも、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアクリレート、アクリロ二トリル、のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。混合比率は、共重合体のガラス転移点(Tg)等を考慮して調整することが好ましい。
【0028】
前記官能基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)は、ダイボンドフィルムとシリコンウェハとの間の適度な接着性が得られる限り特に限定されないものの、−30℃以上40℃以下が好ましく、−20℃以上30℃以下がより好ましい。ガラス転移点が−30℃未満であると、前記官能基含有アクリル共重合体に常温でタック性が生じてしまい、ハンドリングしにくくなる場合がある。一方、ガラス転移点が40℃を超えると、シリコンウェハへの接着力が低下するおそれがある。
【0029】
(熱硬化性樹脂(b))
前記熱硬化性樹脂(b)は、25℃での粘度が0.1〜50Pa・secであり、0.5〜40Pa・secであることがより好ましい。また、前記熱硬化性樹脂(b)の全樹脂成分(ダイボンドフィルムの全樹脂成分)に対する含有量は、1重量%以上50重量%以下であり、1重量%以上40重量%以下であることが好ましい。ダイボンドフィルム3が、25℃での粘度が0.1〜50Pa・secである熱硬化性樹脂(b)を全樹脂成分に対して1重量%以上含有するため、冷蔵輸送、保管した際にもフィルムにヒビ、割れ、カケが生じることを抑制することが可能となる。一方、前記熱硬化性樹脂(b)を全樹脂成分に対して50重量%以下含有するため、過度なタック性を抑制でき、ピックアップ性を良好とすることができる。
【0030】
前記熱硬化性樹脂(b)は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群から選ばれる1つ以上であり、前記熱可塑性樹脂(a)、特に、前記官能基含有アクリル共重合体の硬化剤として作用するものが好ましい。
【0031】
前記熱硬化性樹脂(b)としては、例えば、液状フェノールノボラック樹脂、液状エポキシ樹脂、液状イソシアネート樹脂等が挙げられ、なかでも、液状フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂が好ましく、液状フェノール樹脂が特に好ましい。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。なお、液状とは、25℃での粘度が前記範囲内にあることをいう。
【0032】
前記熱硬化性樹脂(b)のなかでも、下記化学式(1)で表される熱硬化性樹脂が好ましい。
【0033】
【化2】
(但し、式中、nは0〜10の整数であり、R
1はそれぞれ独立してアリル基又はHを示し、少なくとも1つはアリル基であり、mは1〜3の整数である。)
【0034】
前記R
1におけるアリル基の数とHの数の割合は、適度に粘度を所望の範囲とすることができる観点から、(アリル基の数):(Hの数)で表すと、1:3であることが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂(b)の重量平均分子量は、100以上5000以下であることが好ましく、より好ましくは200以上3000以下である。前記熱硬化性樹脂(b)の重量平均分子量を100以上5000以下とすることにより、他の材料と相溶性良く分散できる。また、ダイシングテープへの移行を防止することができる。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0035】
前記熱硬化性樹脂(b)が、上記化学式(1)で表される熱硬化性樹脂であると、アリル基を有するため、アリル基のかさ高さのために、熱硬化反応の進行速度が抑制される。その結果、ダイボンドフィルム3の輸送、保管時に硬化反応が進行してしまうことを抑制することができる。
【0036】
前記熱硬化性樹脂(b)の具体的な製品としては、明和化成社製のMEH−8000−4L、MEH−8000H、MEH−8015、MEH−8005、群栄化学工業社製のXPL−4437E等を挙げることができる。
【0037】
ダイボンドフィルム3には、必要に応じて無機充填剤、添加剤を適宜に配合することができる。前記無機充填剤(無機フィラー)としては例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、アルミナ、酸化亜鉛、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカなどが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、熱伝導性向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化亜鉛、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。前記無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し0〜95重量部に設定することが好ましい。特に好ましくは0〜90重量部である。ダイボンドフィルム3に無機充填剤が含まれていると、吸湿性をコントロールすることができる。
【0038】
前記添加剤としては、例えば難燃剤、染料、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0039】
ダイボンドフィルム3の5℃での破断伸度は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。ダイボンドフィルム3の5℃での破断伸度が10%以上であると、冷蔵輸送、保管した際にもフィルムにヒビ、割れ、カケが生じることをより抑制することが可能となる。また、前記ダイボンドフィルム3の5℃での破断伸度は、ハンドリングの観点から、1500%以下であることが好ましく、1000%以下であることがより好ましい。
【0040】
また、ダイボンドフィルム3の5℃の破断伸度と25℃の破断伸度との差が1000%未満であることが好ましく、800%未満であることがより好ましい。前記破断伸度の差が前記数値範囲内であると、温度変化によるダイボンドフィルムのシワを抑制することができる。
【0041】
なお、ダイボンドフィルムの5℃の破断伸度、及び、25℃の破断伸度の測定は、実施例記載の方法による。
【0042】
ダイボンドフィルム3の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、3〜200μm程度、好ましくは5〜150μm程度である。
【0043】
また、ダイボンドフィルム3は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルムを保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、ダイシングテープにダイボンドフィルム3、3’を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイボンドフィルム上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0044】
なお、本発明に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムとしては、
図1に示すダイボンドフィルム3の他に、
図2に示す様に半導体ウェハ貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を積層したダイシングテープ付きダイボンドフィルム11の構成であってもよい。
【0045】
<ダイシングテープ>
ダイシングテープ付きダイボンドフィルム10、11を構成するダイシングテープは、基材1上に粘着剤層2が積層された構造である。以下、基材及び粘着剤層の順で説明する。
【0046】
(基材)
前記基材1は紫外線透過性を有するものを使用することができ、ダイシングテープ付きダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0047】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップ(半導体素子)の回収の容易化を図ることができる。
【0048】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
【0049】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0050】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を用いることができる。前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0051】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なかでも、アクリル酸2−エチルヘキシルを構成単位として含有することが好ましい。粘着剤層2がアクリル酸2−エチルヘキシルを構成単位として含有するアクリルポリマーを含んでいると、ダイボンドフィルム3からの剥離性を良好とすることができる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0052】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0053】
更に、前記アクリル系ポリマーは、架橋させる為、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0054】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、更に好ましくは40万〜300万程度である。
【0055】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高める為、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、更には0.1〜5重量部配合するのが好ましい。更に、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0056】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、
図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0057】
また、
図2に示すダイボンドフィルム3’に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付けられる為、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。
【0058】
前述の通り、
図1に示すダイシングテープ付きダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いて、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、チップ状ワーク(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着する為のダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。
図2に示すダイシングテープ付きダイボンドフィルム11の粘着剤層2に於いては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0059】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
【0060】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0061】
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
【0062】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0063】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0064】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0065】
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0066】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0067】
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0068】
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、粘着剤層2に於ける前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射してもよい。
【0069】
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、支持基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、ワーク貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを支持基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
【0070】
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、支持基材1の少なくとも片面の、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシングテープ付きダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0071】
尚、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、前記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0072】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
【0073】
<ダイシングテープ付きダイボンドフィルムの製造方法>
本実施の形態に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルム10、11は、例えばダイシングテープ及びダイボンドフィルムを別々に作製しておき、最後にこれらを貼り合わせることにより作成することができる。具体的には、以下のような手順に従って作製することができる。
【0074】
先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0075】
次に、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製する。粘着剤組成物には、粘着剤層の項で説明したような樹脂や添加物等が配合されている。調製した粘着剤組成物を基材1上に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、基材1及び粘着剤層2を備えるダイシングテープが作製される。なお、ダイシングテープとしては、少なくとも基材及び粘着剤層を備えていればよく、セパレータ等の他の要素を有している場合もダイシングテープという。
【0076】
ダイボンドフィルム3、3’は、例えば、以下のようにして作製される。先ず、ダイボンドフィルム3、3’の形成材料である接着剤組成物を作製する。当該接着剤組成物には、ダイボンドフィルムの項で説明した通り、熱可塑性樹脂(a)や、25℃での粘度が0.1〜50Pa・secである熱硬化性樹脂(b)、各種の添加剤等が配合されている。
【0077】
次に、調製した接着剤組成物を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着剤層を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に接着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着剤層を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着剤層をセパレータと共に貼り合わせる。なお、本発明には、ダイボンドフィルムが接着剤層単独で形成されている場合だけでなく、接着剤層とセパレータ等の他の要素とで形成されている場合も含まれる。
【0078】
続いて、ダイボンドフィルム3、3’及びダイシングテープからそれぞれセパレータを剥離し、接着剤層と粘着剤層とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着剤層上の基材セパレータを剥離し、本実施の形態に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムが得られる。
【0079】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルム10を用いた半導体装置の製造方法について、以下に説明する。
【0080】
先ず、
図1に示すように、ダイシングテープ付きダイボンドフィルム10に於ける接着剤層3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り合わせ工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。
【0081】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する(ダイシング工程)。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシングテープ付きダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシングテープ付きダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0082】
ダイシングテープ付きダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離する為に、半導体チップ5のピックアップを行う(ピックアップ工程)。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシングテープ付きダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0083】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型の場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の接着剤層3aに対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップを損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、前述のものを使用することができる。
【0084】
次に、
図3に示すように、ダイシングにより形成された半導体チップ5を、ダイボンドフィルム3aを介して被着体6にダイボンドする(ダイボンド工程)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0085】
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0086】
ダイボンドは圧着により行われる。ダイボンドの条件としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。具体的には、例えば、ダイボンド温度80〜160℃、ボンディング圧力5N〜15N、ボンディング時間1〜10秒の範囲内で行うことができる。
【0087】
続いて、ダイボンドフィルム3aを加熱処理することによりこれを熱硬化させ、半導体チップ5と被着体6とを接着させる。加熱処理条件としては、温度80〜180℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間、好ましくは0.1〜4時間、より好ましくは0.1〜1時間の範囲内であることが好ましい。
【0088】
次に、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する(ワイヤーボンディング工程)。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。
【0089】
なお、ワイヤーボンディング工程は、加熱処理によりダイボンドフィルム3を熱硬化させることなく行ってもよい。この場合、ダイボンドフィルム3aの25℃における剪断接着力は、被着体6に対し0.2MPa以上であることが好ましく、0.2〜10MPaであることがより好ましい。前記剪断接着力を0.2MPa以上にすることにより、ダイボンドフィルム3aを熱硬化させることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3aと半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることがない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことがなく、これにより、ワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
【0090】
また、未硬化のダイボンドフィルム3aは、ワイヤーボンディング工程を行っても完全に熱硬化することはない。更に、ダイボンドフィルム3aの剪断接着力は、80〜250℃の温度範囲内であっても、0.2MPa以上であることが必要である。当該温度範囲内で剪断接着力が0.2MPa未満であると、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動き、ワイヤーボンディングを行うことができず、歩留まりが低下するからである。
【0091】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行う。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3aが熱硬化されていない場合は当該ダイボンドフィルム3aも熱硬化させる。即ち、本発明に於いては、後述する後硬化工程が行われない場合に於いても、本工程に於いてダイボンドフィルム3aを熱硬化させて接着させることが可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
【0092】
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程に於いてダイボンドフィルム3aが熱硬化されない場合でも、本工程に於いて封止樹脂8の硬化と共にダイボンドフィルム3aを熱硬化させて接着固定が可能になる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0093】
また、本発明のダイシングテープ付きダイボンドフィルムは、
図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。
図4は、ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
図4に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3aを被着体6上に貼り付けた後、ダイボンドフィルム3aを介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて貼り付ける。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。その後、ダイボンドフィルム3a、13を加熱することにより熱硬化させて接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、前述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0094】
また本発明においては、ダイボンドフィルム3a、13を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0095】
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15に於けるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。なお、本工程は、ダイボンドフィルム3a、13の加熱工程を経ることなく実施される。
【0096】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。それと共に、熱硬化が行われていない場合は、ダイボンドフィルム3aの熱硬化により被着体6と半導体チップ5との間を接着固定する。また、ダイボンドフィルム13の熱硬化により、半導体チップ5と他の半導体チップ15との間も接着固定させる。なお、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
【0097】
半導体チップの3次元実装の場合に於いても、ダイボンドフィルム3a、13の加熱による加熱処理を行わないので、製造工程の簡素化及び歩留まりの向上が図れる。また、被着体6に反りが生じたり、半導体チップ5及び他の半導体チップ15にクラックが発生したりすることもないので、半導体素子の一層の薄型化が可能になる。
【0098】
また、
図5に示すように、半導体チップ間にダイボンドフィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。
図5は、2つの半導体チップをスペーサを介してダイボンドフィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0099】
図5に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3a、半導体チップ5及びダイボンドフィルム21を順次積層してダイボンドする。更に、ダイボンドフィルム21上に、スペーサ9、ダイボンドフィルム21、ダイボンドフィルム3a及び半導体チップ5を順次積層してダイボンドする。その後、ダイボンドフィルム3a、21を加熱することにより熱硬化させて接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、前述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0100】
また本発明においては、ダイボンドフィルム3a、21を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0101】
次に、
図5に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。なお、本工程は、ダイボンドフィルム3a、21の加熱工程を経ることなく実施される。
【0102】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3a、21が未硬化の場合は、これらを熱硬化させることにより、被着体6と半導体チップ5との間、及び半導体チップ5とスペーサ9との間を接着固定させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
【0103】
なお、前記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、前記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス被着体を使用できる。
【0104】
(その他の事項)
前記被着体上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
【0105】
また、半導体素子の3次元実装の際に、各段で使用されるダイボンドフィルムは同一組成からなるものに限定されるものではなく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
【0106】
また、前記実施の形態において説明した積層方法は単なる例示であって、必要に応じて適宜変更することができる。例えば、
図4を参照して説明した半導体装置の製造方法においては、3段目以降の半導体素子を、
図5を参照して説明した積層方法で積層することも可能である。
【0107】
また、前記実施の形態に於いては、被着体に複数の半導体素子を積層させた後に、一括してワイヤーボンディング工程を行う態様について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子を被着体の上に積層する度にワイヤーボンディング工程を行うことも可能である。
【実施例】
【0108】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、部とあるのは、重量部を意味する。
【0109】
<ダイシングテープの作製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」という。)82.1部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」という。)13.2部、過酸化ベンゾイル0.2部及びトルエン67部を入れ、窒素気流中で60℃にて6時間重合処理をし、アクリル系ポリマーAを得た。
【0110】
このアクリル系ポリマーAに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」という。)11部を加え、空気気流中で50℃にて48時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーA’を得た。
【0111】
次に、アクリル系ポリマーA’100部に対し、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)8部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)5部を加えて、粘着剤溶液を作製した。
【0112】
前記で調製した粘着剤溶液を、PET剥離ライナーのシリコーン処理を施した面上に塗布し、120℃で2分間加熱架橋して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次いで、当該粘着剤層面に、厚さ100μmのポリオレフィンフィルムを貼り合せた。その後、50℃にて24時間保存をした後、ダイシングテープAを作製した。
【0113】
(実施例1)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8000−4L)70部と、エポキシ樹脂(DIC製、HP−4700)15部と、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)30部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。なお、明和化成(株)製、MEH−8000−4Lは、オルト位にアリル基を有する熱硬化性樹脂である。すなわち、MEH−8000−4Lは、化学式(1)のR
1におけるアリル基の数とHの数の割合(アリル基の数):(Hの数)が1:3の場合に相当する。MEH−8000−4Lの重量平均分子量は、400である。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムAを作製した。
このダイボンドフィルムAを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムAを得た。
【0114】
(実施例2)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8015)30部と、エポキシ樹脂(DIC製、HP−4700)10部と、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)150部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。なお、明和化成(株)製、MEH−8000Hは、オルト位にアリル基を有する熱硬化性樹脂である。すなわち、MEH−8000Hは、化学式(1)のR
1におけるアリル基の数とHの数の割合(アリル基の数):(Hの数)が1:3の場合に相当する。MEH−8000Hの重量平均分子量は、510である。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムBを作製した。
このダイボンドフィルムBを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムBを得た。
【0115】
(実施例3)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8000−4L)1.5部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムCを作製した。
このダイボンドフィルムCを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムCを得た。
【0116】
(実施例4)
熱可塑性樹脂(a)としてのカルボキシル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8000−4L)1.5部と、エポキシ樹脂(DIC製、HP−4700)1.5部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムDを作製した。
このダイボンドフィルムDを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムDを得た。
【0117】
(実施例5)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(三菱化学(株)製、828XA)1.5部と、エポキシ樹脂(DIC製、HP−4700)1.5部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。なお、三菱化学(株)製、828XAは、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂である。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムEを作製した。
このダイボンドフィルムEを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムEを得た。
【0118】
(比較例1)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、HF−1M)1.5部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。なお、明和化成(株)製、HF−1M式は、一般的な固形のノボラック型フェノール樹脂である。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムFを作製した。
このダイボンドフィルムFを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本比較例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムFを得た。
【0119】
(比較例2)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、HF−1M)90部と、エポキシ樹脂(DIC製、HP−4700)90部をメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムGを作製した。 このダイボンドフィルムGを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本比較例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムGを得た。
【0120】
(比較例3)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8000−4L)1部とをメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムHを作製した。
このダイボンドフィルムHを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本比較例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムHを得た。
【0121】
(比較例4)
熱可塑性樹脂(a)としてのグリシジル基含有アクリル共重合体(ナガセケムテックス(株)製、SG−P3)100部と、熱硬化性樹脂(b)としての(明和化成(株)製、MEH−8000−4L)120部、をメチルエチルケトンに溶解して濃度23.6重量%となるように調整した。
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムIを作製した。
このダイボンドフィルムIを前述のダイシングテープAにおける粘着剤層側に転写して、本比較例に係るダイシングテープ付きダイボンドフィルムIを得た。
【0122】
(熱硬化性樹脂(b)の25℃での粘度測定)
実施例、比較例で用いた熱硬化性樹脂(b)について、粘度計(RE80U(東機産業(株)製))を用い、ローターコードNo.1を使用して測定した。測定条件は、下記の通りとした。結果を表1、表2に示す。
測定時間:5分
回転数:実施例1〜4、比較例3、及び、比較例4は20rpm
実施例5は、4rpm
【0123】
(ダイボンドフィルムの5℃での破断伸度測定)
実施例、比較例で作成したダイボンドフィルムを厚さ200um、幅10mmの短冊状とした。次に引張試験機(テンシロン、島津製作所社製)を用い、引張り速度0.5mm/分、チャック間距離20mmで測定した。破断伸度は下記式により算出した。結果を表1、表2に示す。
破断伸度(%)=(((破断時のチャック間長さ(mm))−20)/20)×100
【0124】
(貯蔵弾性率の測定)
実施例、比較例で作成したダイボンドフィルムを、170℃で1時間加熱硬化させた。その後、厚さ200μm、幅10mmの短冊状とした。次に、固体粘弾性測定装置(RSA(III)、レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて、−50〜300℃での貯蔵弾性率を周波数1Hz、昇温速度10℃/分の条件下にて測定した。その際の260℃での貯蔵弾性率を、表1、表2に示す。
【0125】
(封止工程後の気泡(ボイド)消失性1)
各実施例及び比較例で得られたダイボンドフィルムを60℃で9.5mm角のミラーチップに貼り付け、温度120℃、圧力0.1MPa、時間1sの条件でBGA基板にボンディングした。これをさらに乾燥機にて130℃で2時間の熱処理を施した。次いで、モールドマシン(TOWAプレス社製、マニュアルプレスY−1)を用いて、成形温度175℃、クランプ圧力184kN、トランスファー圧力5kN、時間120秒、封止樹脂GE−100(日東電工(株)製)の条件下で封止工程を行った。封止工程後のボイドを超音波映像装置(日立ファインテック社製、FS200II)を用いて観察した。観察画像においてボイドが占める面積を二値化ソフト(WinRoof ver.5.6)を用いて算出した。ボイドの占める面積がダイボンドフィルムの表面積に対して10%未満であった場合を「○」、10%以上30%未満であった場合を「△」、30%以上の場合を「×」として評価した。結果を表1、表2に示す。
【0126】
(封止工程後の気泡(ボイド)消失性2)
各実施例及び比較例で得られたダイボンドフィルムを60℃で9.5mm角のミラーチップに貼り付け、温度120℃、圧力0.1MPa、時間1sの条件でBGA基板にボンディングした。これをさらに乾燥機にて170℃で1時間の熱処理を施した。次いで、モールドマシン(TOWAプレス社製、マニュアルプレスY−1)を用いて、成形温度175℃、クランプ圧力184kN、トランスファー圧力5kN、時間120秒、封止樹脂GE−100(日東電工(株)製)の条件下で封止工程を行った。封止工程後のボイドを超音波映像装置(日立ファインテック社製、FS200II)を用いて観察した。観察画像においてボイドが占める面積を二値化ソフト(WinRoof ver.5.6)を用いて算出した。ボイドの占める面積がダイボンドフィルムの表面積に対して10%未満であった場合を「○」、10%以上30%未満であった場合を「△」、30%以上の場合を「×」として評価した。結果を表1、表2に示す。
【0127】
(耐湿半田リフロー試験1)
各実施例及び比較例で得られたダイボンドフィルムを60℃で9.5mm角のミラーチップに貼り付け、温度120℃、圧力0.1MPa、時間1sの条件でBGA基板にボンディングした。これをさらに乾燥機にて130℃で2時間の熱処理を施した。次いで、モールドマシン(TOWAプレス社製、マニュアルプレスY−1)を用いて、成形温度175℃、クランプ圧力184kN、トランスファー圧力5kN、時間120秒、封止樹脂GE−100(日東電工(株)製)の条件下で封止工程を行った。その後、175℃×5hの熱硬化を行い、温度30℃、湿度60%RH、時間72hの条件で吸湿操作を行い、260℃以上の温度を10秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通した。9個のミラーチップについて、ダイボンドフィルムと基板との界面に剥離が発生しているか否かを超音波顕微鏡で観察し、剥離が生じている割合を算出した。結果を表1、表2に示す。
【0128】
(耐湿半田リフロー試験2)
各実施例及び比較例で得られたダイボンドフィルムを60℃で9.5mm角のミラーチップに貼り付け、温度120℃、圧力0.1MPa、時間1sの条件でBGA基板にボンディングした。これをさらに乾燥機にて170℃で1時間の熱処理を施した。次いで、モールドマシン(TOWAプレス社製、マニュアルプレスY−1)を用いて、成形温度175℃、クランプ圧力184kN、トランスファー圧力5kN、時間120秒、封止樹脂GE−100(日東電工(株)製)の条件下で封止工程を行った。その後、175℃×5hの熱硬化を行い、温度30℃、湿度60%RH、時間72hの条件で吸湿操作を行い、260℃以上の温度を10秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通した。9個のミラーチップについて、ダイボンドフィルムと基板との界面に剥離が発生しているか否かを超音波顕微鏡で観察し、剥離が生じている割合を算出した。
【0129】
(ピックアップ性)
各実施例及び比較例のダイシングテープ付きダイボンドフィルムを用いて、以下の要領で、実際に半導体ウェハのダイシングを行った後にピックアップを行い、各ダイシングテープ付きダイボンドフィルムの性能を評価した。
【0130】
半導体ウェハ(直径8インチ、厚さ0.6mm)を裏面研磨処理し、厚さ0.075mmのミラーウェハをワークとして用いた。裏面研磨処理の条件は、下記の<ウェハ研削条件>の通りとした。ダイシングテープ付きダイボンドフィルムからセパレータを剥離した後、そのダイボンドフィルム上にミラーウェハを40℃でロール圧着して貼り合わせ、更にダイシングを行った。ロール圧着の条件は、下記の<貼り合わせ条件>の通りとした。また、ダイシングは10mm角のチップサイズとなる様にフルカットした。ダイシングの条件は、下記の<ダイシング条件>の通りとした。
【0131】
次に、各ダイシングテープ付きダイボンドフィルムに対し紫外線照射を行い、それらを引き伸ばして、各チップ間を所定の間隔とするエキスパンド工程を行った。紫外線照射の条件は、下記の<紫外線の照射条件>の通りとした。更に、各ダイシングテープ付きダイボンドフィルムの基材側からニードルによる突き上げ方式で半導体チップをピックアップし、ピックアップ性の評価を行った。ピックアップの条件は、下記の<ピックアップ条件>の通りとした。評価は、100個の半導体チップを連続してピックアップし、成功率が100%の場合を○とし、100%未満である場合を×とした。結果を表1、表2に示す。
【0132】
<ウェハ研削条件>
研削装置:ディスコ社製 DFG−8560
半導体ウェハ:8インチ径(厚さ0.6mmから0.075mmに裏面研削)
【0133】
<貼り合わせ条件>
貼り付け装置:日東精機製、MA−3000II
貼り付け速度計:10mm/min
貼り付け圧力:0.15MPa
貼り付け時のステージ温度:40℃
【0134】
<ダイシング条件>
ダイシング装置:ディスコ社製、DFD−6361
ダイシングリング:2−8−1(ディスコ社製)
ダイシング速度:80mm/sec
ダイシングブレード:
Z1;ディスコ社製2050HEDD
Z2;ディスコ社製2050HEBB
ダイシングブレード回転数:
Z1;40,000rpm
Z2;40,000rpm
ブレード高さ:
Z1;0.170mm(半導体ウェハの厚みによる(ウェハ厚みが75μmの場合、0
170mm))
Z2;0.085mm
カット方式:Aモード/ステップカット
ウェハチップサイズ:10.0mm角
【0135】
<紫外線の照射条件>
紫外線(UV)照射装置:日東精機(商品名、UM−810製)
紫外線照射積算光量:300mJ/cm
2
尚、紫外線照射はポリオレフィンフィルム側から行った。
【0136】
<ピックアップ条件>
SHINKAWA社製 SPA−300
ピックアップハイト350um
ピン数9
【0137】
(冷蔵評価)
各実施例及び比較例のそれぞれダイボンドフィルムを用いて、以下の要領で、冷蔵評価を行った。20cm角にカットしたダイボンドフィルムを5℃の冷蔵庫内でアルミ板上に置き、1時間放置した後、そのフィルムを半分に折り曲げた。その際、フィルムの割れ、カケが発生するか否かを確認し、割れ、欠けが無いものは○、有るものは×として評価を行った。表1、表2に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】