(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータ用清掃装置が取り付けられるエスカレータを示す側面図、
図2は
図1のエスカレータの要部を示す拡大図である。図において、エスカレータ(乗客コンベヤ)は、上階床と下階床とに渡って設けられ、上部機械室11、下部機械室12および上部機械室11と下部機械室12との間を繋ぐトラス中間部13が形成されたトラス1と、上部機械室11に設けられた駆動スプロケット2と、下部機械室12に設けられた従動スプロケット3と、駆動スプロケット2と従動スプロケット3とに渡って設けられた踏段チェーン4と、踏段チェーン4に取り付けられた複数の踏段5とを備えている。上部機械室11は、トラス1の上階側部分に形成されている。下部機械室12は、トラス1の下階側部分に形成されている。
【0010】
上部機械室11には、駆動機(図示せず)が設けられている。駆動スプロケット2は、この駆動機が駆動することによって回転する。踏段チェーン4は、駆動スプロケット2が回転することによって、従動スプロケット3の回転とともに循環移動する。踏段5は、踏段チェーン4とともに循環移動する。上部機械室11におけるトラス1の長手方向を向いた側壁111と踏段チェーン4との間の寸法(
図2の寸法A)は、700mm〜800mm程度となっている。
【0011】
図3は
図2の踏段チェーン4および踏段5を示す側面図である。踏段チェーン4は、踏段5の幅方向両端部に1つずつ設けられている。踏段5は、踏段本体51と、踏段本体51の幅方向に離れて設けられ、踏段本体51に取り付けられた一対の回転座52と、一対の回転座52に渡って設けられ、踏段本体51の幅方向に延びたステップ軸53と、ステップ軸53の両端部に設けられた一対の駆動ローラ54と、踏段本体51の幅方向に離れて設けられ、踏段本体51に取り付けられた一対の従動ローラ55とを有している。回転座52は、ステップ軸53の径方向外側に配置されている。ステップ軸53は、それぞれの踏段チェーン4に形成された貫通孔に挿入されている。それぞれの踏段チェーン4は、ステップ軸53における回転座52と駆動ローラ54との間の部分に配置されている。
【0012】
図2に示すように、駆動ローラ54は、踏段チェーン4が循環移動することによって、駆動ローラ軌跡541を循環移動する。従動ローラ55は、踏段チェーン4が循環移動することによって、従動ローラ軌跡551を循環移動する。駆動ローラ軌跡541および従動ローラ軌跡551は、上部機械室11および下部機械室12において反転するようにトラス1内を通っている。
【0013】
図4はエスカレータ用清掃装置6が取り付けられたエスカレータを示す正面図、
図5は
図4のエスカレータ用清掃装置6を示す拡大図、
図6は
図4のエスカレータ用清掃装置6が上部機械室11に移動した場合のエスカレータおよびエスカレータ用清掃装置6の要部を示す拡大図、
図7は
図6のエスカレータおよびエスカレータ用清掃装置6を示す側面図である。図において、この発明の実施の形態1に係るエスカレータ用清掃装置(乗客コンベヤ用清掃装置)6は、踏段チェーン4およびステップ軸53に取り付けられる固定台組立601と、固定台組立601に取り付けられる刷毛用中間台組立602と、固定台組立601に取り付けられるブレード用中間台組立603と、刷毛用中間台組立602に取り付けられる刷毛組立604と、ブレード用中間台組立603に取り付けられるブレード組立605とを備えている。
【0014】
刷毛組立604およびブレード組立605から清掃装置本体が構成されている。なお、清掃装置本体は、刷毛組立604およびブレード組立605の何れか一方のみから構成されてもよい。
【0015】
固定台組立601、刷毛用中間台組立602およびブレード用中間台組立603から、清掃装置本体を支持する支持装置が構成されている。
【0016】
刷毛組立604およびブレード組立605は、トラス1の底面に接触するように配置される。刷毛用中間台組立602は、ブレード用中間台組立603よりも、踏段5の移動方向について後方に配置されている。したがって、刷毛組立604は、踏段5の移動方向についてブレード組立605よりも後方に配置されている。
【0017】
図8は
図6の固定台組立601を示す正面図、
図9は
図8の固定台組立601を示す平面図である。図において、固定台組立601は、第1固定台(固定台)606と、第2固定台(固定台)607と、第1固定台606と第2固定台607とを連結した蝶番608とを有している。第1固定台606は、踏段5(
図6)の移動方向について第2固定台607よりも後方に配置される。
【0018】
また、固定台組立601は、第1固定台606に設けられ、それぞれの踏段チェーン4(
図6)と係合する一対の係合部材609と、第2固定台607に設けられ、それぞれの踏段チェーン4と係合する一対の係合部材610と、係合部材609を変位させる係合部材変位装置611と、係合部材610を変位させる係合部材変位装置612とを有している。一対の係合部材609は、踏段5(
図7)の幅方向に離れて配置されている。一対の係合部材610は、踏段5の幅方向に離れて配置されている。
【0019】
また、固定台組立601は、ステップ軸53(
図7)を把持する一対の把持装置613と、それぞれの把持装置613を付勢する一対の付勢装置614と、それぞれの把持装置613の位置を保持する一対の保持装置615と、それぞれの保持装置615の保持を解除する保持解除装置616とを有している。一対の把持装置613は、踏段5(
図7)の幅方向に離れて配置されている。
【0020】
第1固定台606は、内部が空洞となっている箱形状に形成されている。第2固定台607は、第1固定台606と同様に、内部が空洞となっている箱形状に形成されている。蝶番608は、第1固定台606の高さ方向一端部と、第1固定台606に対向する第2固定台607の高さ方向一端部とに接続されている。つまり、第1固定台606と第2固定台607は、高さ方向に並んで連結されている。第1固定台606および第2固定台607の幅方向の寸法は、一対の踏段チェーン4の間の寸法よりも大きくなっている。この例では、第1固定台606および第2固定台607における高さ方向とは、固定台組立601がエスカレータに取り付けられた場合に踏段5(
図7)の移動方向と一致する方向である。また、この例では、第1固定台606および第2固定台607における幅方向とは、固定台組立601がエスカレータに取り付けられた場合に踏段5の幅方向と一致する方向である。
【0021】
係合部材変位装置611は、第1固定台606に設けられ、第1固定台606の幅方向に延びたた回動軸617と、回動軸617から径方向外側に向かって延びて形成され、回動軸617を中心に回動するケース618と、一端部が係合部材609の基端部に接続された紐619と、紐619の他端部に接続されたフック620と、第1固定台606に回転可能に設けられた第1ローラ621Aおよび第2ローラ621Bと、第1固定台606から離れる方向に係合部材609を付勢する引張ばね622と、引張ばね622の変形を規制する一対のピン623と、第1固定台606に設けられたロック部材624とを有している。
【0022】
ケース618の形状は、長手方向に延びた四角形の貫通孔を直方体に形成することによって形成される箱形状となっている。
【0023】
紐619は、第1ローラ621Aおよび第2ローラ621Bに巻き掛けられている。第2ローラ621Bには、第1ローラ621Aよりもフック620に近い紐619の部分が巻き掛けられている。
【0024】
係合部材609は、ケース618に挿入されている。係合部材609は、ケース618とともに回動軸617を中心に回動可能となっている。係合部材609は、先端部がL字形状に折り曲げられ、中間部がくの字に折り曲げられ、基端部が互いにまとめられた一対の板ばね625A、625Bから構成されている。一方の板ばね625Aの先端部および中間部は、他方の板ばね625Bの先端部および中間部に対して、第1固定台606の高さ方向についてずれて配置されている。それぞれの板ばね625A、625Bの先端部は、第1固定台606の高さ方向に見た場合に、互いに離れる方向を向くように折り曲げられている。それぞれの板ばね625A、625Bの先端部は、第1固定台606から離れる方向にケース618から突出している。
【0025】
それぞれの板ばね625A、625Bの中間部は、中間部分に向かうにつれて互いに離れるように折り曲げられている。ケース618は、ケース618の内側に設けられた一対のこぶ626A、626Bを有している。それぞれのこぶ626A、626Bは、第1固定台606の高さ方向に延びるように配置されている。それぞれのこぶ626A、626Bは、第1固定台606の幅方向に離れて配置されている。一対の板ばね625A、625Bの中間部は、一対のこぶ626A、626Bに挟まれるように配置されている。
【0026】
引張ばね622の弾性力に逆らうようにフック620を押圧して、フック620をローラ621Bから離れる方向に移動させると、係合部材609は第1固定台606に近づく方向に移動する。一方、フック620への押圧力を解除すると、引張ばね622の弾性力によって、係合部材609は第1固定台606から離れる方向に移動する。
【0027】
一対の板ばね625A、625Bが第1固定台606に近づく方向に移動すると、一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの中間部は、一対のこぶ626A、626Bによって互いに近づく方向に押圧される。これにより、一対の板ばね625A、625Aは、それぞれの先端部が第1固定台606の幅方向について互いに離れるように変形する。一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの先端部が互いに離れることによって、一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの先端部は、踏段チェーン4における第1固定台606側とは反対側のエッジ部分と係合する。つまり、この場合に、係合部材609の位置は、踏段チェーン4と係合する係合位置となる。
【0028】
一方、一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの先端部が踏段チェーン4と係合している状態から一対の板ばね625A、625Bが第1固定台606から離れる方向に移動すると、一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの中間部は、一対のこぶ626A、626Bによる押圧が解除される。これにより、一対の板ばね625A、625Bは、それぞれの先端部が第1固定台606の幅方向について互いに近づくように変形する。一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの先端部が互いに近づくことによって、一対の板ばね625A、625Bのそれぞれの先端部は、踏段チェーン4との係合が解除される。つまり、この場合に、係合部材609の位置は、踏段チェーン4との係合が解除される係合解除位置となる。
【0029】
係合部材610は、係合部材609と同様の構成となっている。
【0030】
フック620には、刷毛用中間台組立602(
図5)が取り付けられるようになっている。フック620に刷毛用中間台組立602が取り付けられると、刷毛用中間台組立602の自重によって、フック620がローラ621Bから離れる方向に移動して、係合部材609の位置が係合位置となる。
【0031】
一方、フック620に刷毛用中間台組立602が取り付けられている場合にフック620から刷毛用中間台組立602が取り外されると、引張ばね622の弾性力によって、フック620がローラ621Bに近づく方向に移動して、係合部材609の位置が係合解除位置となる。
【0032】
ロック部材624は、フック620に取り付けられた刷毛用中間台組立602と係合するロック位置と、フック620に取り付けられた刷毛用中間台組立602との係合が解除されるロック解除位置との間で変位する。ロック部材624は、ロック部材624の位置がロック位置となるように付勢するばねを有している。
【0033】
係合部材変位装置612は、係合部材変位装置611と同様の構成となっている。係合部材変位装置612のフック620およびロック部材624には、刷毛用中間台組立602の替わりに、ブレード用中間台組立603が取り付けられる。
【0034】
把持装置613は、第1固定台606に設けられた回動軸支持部材627と、回動軸支持部材627に支持され、第1固定台606の幅方向に延びた回動軸628と、回動軸628に回転可能に設けられ、それぞれが断面半円形状に形成された一対の円弧部材629A、629Bとを有している。一対の円弧部材629A、629Bのそれぞれの一端部は、回動軸628に取り付けられている。一対の円弧部材629A、629Bの他端部は、一対の円弧部材629A、629Bが回動軸628を中心に回動することによって、互いに離接する方向に移動する。把持装置613は、一対の円弧部材629A、629Bのそれぞれの他端部が接する場合に、ステップ軸53を把持する把持位置となり、一対の円弧部材629A、629Bのそれぞれの他端部が離れている場合に、ステップ軸53への把持が解除される把持解除位置となる。
【0035】
それぞれの把持装置613は、把持解除位置にある場合に、一対の円弧部材629A、629Bの内側にステップ軸53が配置されるようにステップ軸53に向かって押し付けられることによって、把持解除位置から把持位置に変位する。これにより、把持装置613は、ステップ軸53を把持する。
【0036】
付勢装置614は、円弧部材629Aと第1固定台606とに接続された引張ばね630Aと、円弧部材629Bと第2固定台607とに接続された引張ばね630Bとを有している。付勢装置614は、把持装置613の位置が把持解除位置となるように把持装置613を付勢する。
【0037】
保持解除装置616は、一端部が保持装置615に接続された紐631と、第1固定台606に設けられた取手部材632と、取手部材632に対して離接する方向に移動可能に設けられ、紐631の他端部に接続された引部材633とを有している。紐631は、引部材633が操作されることによって、取手部材632に近づく方向に移動する。
【0038】
図10は
図8の保持装置615の要部を示す側面図である。図において、保持装置615は、円弧部材629Aの他端部に設けられた菱形の被係合部材634と、円弧部材629Bの他端部に設けられ、被係合部材634と係合する一対のローラ635を有している。一対のローラ635は、第1固定台606(
図9)の幅方向に離れて配置されている。把持装置613の位置が把持位置である場合に、被係合部材634は、一対のローラ635の間に配置される。一対のローラ635は、互いに近づく方向に図示しない付勢部材によって付勢されている。これにより、被係合部材634と一対のローラ635との係合が維持される。その結果、保持装置615は、把持装置613の位置を把持位置に保持する。
【0039】
紐631の一端部は分岐して、一対のローラ635のそれぞれに接続されている。紐631が取手部材632(
図8)に近づく方向に移動することによって、一対のローラ635が互いに離れる方向に移動する。これにより、被係合部材634と一対のローラ635との係合が解除される。その結果、保持装置615による把持装置613の位置の保持が解除される。
【0040】
図11は
図6の刷毛用中間台組立602を示す正面図、
図12は
図11の刷毛用中間台組立602を示す平面図である。図において、刷毛用中間台組立602は、板形状に形成された中間台636と、中間台636の高さ方向両端部に設けられた一対の被係合部材637A、637Bと、中間台636に設けられた4個の受部材638と、それぞれの受部材638に設けられた圧縮ばね(脚部材付勢用圧縮ばね)639と、それぞれの受部材638に設けられた一対の弁部材640とを有している。この例では、中間台636の高さ方向とは、刷毛用中間台組立602が第1固定台606に取り付けられた場合に第1固定台606の高さ方向と一致する方向である。また、この例では、中間台636の幅方向とは、刷毛用中間台組立602が第1固定台606に取り付けられた場合に第1固定台606の幅方向と一致する方向である。
【0041】
被係合部材637Aは、フック620(
図8)に係合可能となっている。被係合部材637Bは、ロック部材624に係合可能となっている。被係合部材637Aがフック620に係合され、被係合部材637Bがロック部材624と係合することによって、刷毛用中間台組立602は固定台組立601に取り付けられる。
【0042】
それぞれの受部材638は、長手方向に延びた四角形の貫通孔を直方体に形成することによって形成された箱形状となっている。つまり、それぞれの受部材638には、長手方向に延びた穴が形成されている。それぞれの受部材638は、長手方向一端部が中間台636に接続されている。それぞれの受部材638は、中間台636から中間台636に対して垂直な方向に延びている。中間台636の高さ方向を向く受部材638の両壁のうちの一方の壁である上壁には、受部材638の長手方向他端部から中間部にまで延びた切欠部641が形成されている。受部材638の両側壁には、受部材638の長手方向に延びた長孔642が形成されている。中間台636の高さ方向を向く受部材638の両壁のうちの他方の壁である下壁の内面は、平らに形成されている。
【0043】
図13は
図12のB部を拡大した図、
図14は
図13のC部を拡大した図である。弁部材640は、受部材638に設けられ、中間台636(
図11)の高さ方向に延びた回動軸643と、回動軸643を中心に回動可能に設けられ、L字形状に形成された弁部材本体(規制装置)644と、弁部材本体644を付勢する板ばね645とを有している。
【0044】
弁部材本体644は、第1端部646と、第1端部646の端部に接続され、第1端部646に対して垂直な方向に延びた第2端部647とを有している。
【0045】
弁部材本体644は、弁部材本体644が回動軸643を中心に回動することによって、第2端部647が受部材638の側壁から受部材638の内部空間に突出する規制位置と、第2端部647が受部材638の側壁に形成された収納部648に収納される規制解除位置との間で変位する。
【0046】
弁部材本体644の位置が規制位置である場合に、第1端部646は受部材638の側壁に外側から接する。これにより、規制解除位置から規制位置へ変位する時の弁部材本体644の回動方向についての第2端部647の移動が規制される。一方、弁部材本体644の位置が規制解除位置である場合に、第1端部646は受部材638の側壁から外側に向かって突出する。
【0047】
板ばね645は、弁部材本体644の位置が規制解錠位置となるように弁部材本体644を付勢する。
【0048】
図15は
図12の刷毛用中間台組立602の要部を示す側面図、
図16は
図15の弁部材本体644が変位した状態を示す正面図である。弁部材本体644の位置が規制位置である場合に、弁部材本体644は、圧縮ばね639が受部材638から引き抜かれる方向に伸縮することを規制する。一方、弁部材本体644の位置が規制解除位置である場合に、圧縮ばね639は、受部材638から引き抜かれる方向に伸張することが可能となる。
【0049】
図17は
図6の刷毛組立604を示す正面図である。刷毛組立604は、幅方向に延びた板形状の刷毛台649と、刷毛台649の一方の面に設けられた刷毛部材650と、刷毛部材650の他方の面に設けられた4個の脚部材651とを有している。4個の脚部材651は、4個の受部材638(
図11)に対応するように配置されている。脚部材651は、刷毛台649に設けられ、刷毛台649の幅方向に延びた回動軸652と、四角柱形状に形成され、回動軸652を中心に回動する脚部材本体653と、脚部材本体653の両側壁に設けられた一対の突起部材654と、脚部材本体653の先端部に設けられた板部材655と、脚部材本体653の先端部に設けられたローラ656とを有している。突起部材654は、内部に弾性体を有している。突起部材654は、弾性体の弾性力に逆らって脚部材本体653に向かって押圧される場合に先端部が脚部材本体653の側壁と面一となり、押圧力が解除される場合に弾性体の弾性力によって先端部が脚部材本体653の側壁から突出する。脚部材本体653の両側壁には、先端部から中間部にまで延びた溝657が形成されている。板部材655は、脚部材本体653に対して回動可能となっている。板部材655は、脚部材651が受部材638の穴に挿入された場合であって、穴の深さ方向に見た場合に、規制位置にある弁部材本体644と重なる押圧位置と規制位置にある弁部材本体644との重なりが解除される押圧解除位置との間で回動によって変位する。
【0050】
図18は
図17の脚部材本体653が回動軸652を中心に回動した場合の刷毛組立604を示す正面図である。脚部材651は、脚部材本体653が回動軸652を中心に回動することによって、脚部材651が刷毛台649に沿って延びる折畳位置と、脚部材651が刷毛台649に対して垂直な方向に延びる起立位置との間で変位する。
【0051】
図19は
図6のブレード組立605を示す正面図である。ブレード組立605は、幅方向に延びた板形状のブレード台658と、ブレード台658の一方の面に設けられたブレード部材659と、ブレード台658の他方の面に設けられた4個の脚部材660とを有している。4個の脚部材660は、4個の受部材638に対応するように配置されている。脚部材660は、ブレード台658に設けられ、ブレード台658の幅方向に延びた回動軸661と、四角柱形状に形成され、回動軸661を中心に回動する脚部材本体662と、脚部材本体662の両側壁に設けられた一対の突起部材663と、脚部材本体662の先端部に設けられた板部材664と、脚部材本体662の先端部に設けられたローラ665とを有している。突起部材663は、内部に弾性体を有している。突起部材663は、突起部材654と同様に、弾性体の弾性力に逆らって脚部材本体662に向かって押圧される場合に先端部が脚部材本体662の側壁と面一となり、押圧力が解除される場合に弾性体の弾性力によって先端部が脚部材本体662の側壁から突出する。脚部材本体662の両側壁には、先端部から中間部にまで延びた溝666が形成されている。
【0052】
脚部材660は、脚部材651(
図17)と同様に、脚部材本体662が回動軸661を中心に回動することによって、脚部材660がブレード台658に沿って延びる折畳位置と、脚部材660がブレード台658に対して垂直な方向に延びる起立位置との間で変位する。
【0053】
次に、エスカレータ用清掃装置6をエスカレータに取り付ける手順について説明する。まず、固定台組立601をエスカレータに仮固定する手順について説明する。
図20は固定台組立601をステップ軸53に仮固定する手順を示すフローチャートである。まず、上部機械室11内の踏段5から踏段本体51を取り外し、踏段本体51が取り外されたステップ軸53に把持装置613を正対させ、踏段チェーン4に係合部材609、610を正対させる(ステップS101)。
【0054】
その後、係合部材609、610を踏段チェーン4の一対のプレートの間の隙間に挿入しながら、把持装置613をステップ軸53に押し付ける(ステップS102)。これにより、把持装置613は、把持解除位置から把持位置に変位し、保持装置615は、把持装置613を把持位置に保持する。その結果、固定台組立601がエスカレータに仮固定される。
【0055】
次に、刷毛用中間台組立602を固定台組立601に取り付ける手順について説明する。
図21は刷毛用中間台組立602を固定台組立601に取り付ける手順を示すフローチャート、
図22は固定台組立601および固定台組立601に取り付けられた刷毛用中間台組立602を示す正面図、
図23は
図22の固定台組立601を示す平面図である。まず、第1固定台606に設けられたフック620に刷毛用中間台組立602の被係合部材637Aを掛ける(ステップS201)。これにより、刷毛用中間台組立602は、刷毛用中間台組立602の自重によって、フック620が第2ローラ621Bから離れる方向にフック620を移動させる。その結果、係合部材609が係合解除位置から係合位置に変位する。
【0056】
その後、刷毛用中間台組立602の被係合部材637Bを第1固定台606に設けられたロック部材624に掛け、さらに、ロック部材624をロック解除位置からロック位置に変位させる(ステップS202)。これにより、刷毛用中間台組立602が固定台組立601に取り付けられるとともに、第1固定台606が踏段チェーン4に固定される。
【0057】
次に、ブレード用中間台組立603を固定台組立601に取り付ける手順について説明する。刷毛用中間台組立602と同様にして、ブレード用中間台組立603を固定台組立601に取り付ける。これにより、第2固定台607が踏段チェーン4に固定される。第1固定台606および第2固定台607が踏段チェーン4に固定されることによって、固定台組立601がエスカレータに本固定される。
【0058】
次に、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602に取り付ける手順について説明する。
図24は刷毛組立604を刷毛用中間台組立602に取り付ける手順を示すフローチャート、
図25は固定台組立601、刷毛用中間台組立602、ブレード用中間台組立603、刷毛用中間台組立602に取り付けられる途中の刷毛組立604およびブレード用中間台組立603に取り付けられる途中のブレード組立605を示す正面図、
図26は
図25の刷毛用中間台組立602および刷毛組立604を示す拡大図、
図27は刷毛用中間台組立602の受部材638に刷毛組立604の脚部材651を取り付ける手順を示す説明図である。脚部材651を刷毛台649に対して傾斜させた状態で、受部材638の切欠部641から脚部材651の先端部を受部材638の内側に挿入する(ステップS301)。
【0059】
その後、刷毛台649に対して傾斜する脚部材651を起立位置に変位させ、さらに、ローラ656を受部材638の下壁に転動させて、突起部材654を長孔642に挿入する(ステップS302)。
【0060】
その後、圧縮ばね639の弾性力に逆らって脚部材651を受部材638に押し込んで脚部材651を受部材638の穴に挿入し、弁部材本体644を規制位置から規制解除位置に変位させる(ステップS303)。この時、板部材655の位置は、押圧位置である。
【0061】
その後、受部材638への脚部材651の押し込みを止める(ステップS304)。これにより、脚部材651は、圧縮ばね639の弾性力によって、受部材638から引き抜かれる方向に押圧され、突起部材654が長孔642における刷毛台649側の内壁と当接し、脚部材651が受部材638に取り付けられる。その結果、刷毛組立604が刷毛用中間台組立602に取り付けられる。
【0062】
ブレード組立605をブレード用中間台組立603に取り付ける手順は、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602に取り付ける手順と同様である。
【0063】
次に、エスカレータ用清掃装置6を用いたトラス1の清掃作業について説明する。
図28はエスカレータ用清掃装置6を用いたトラス1の清掃作業の手順を示すフローチャートである。エスカレータがゆっくりと上昇運転するように駆動スプロケット2を回転させる(ステップS401)。これにより、踏段チェーン4における駆動スプロケット2に巻き掛けられている部分は、上部機械室11からトラス中間部13に移動する。この時、係合部材609、610は、第1固定台606、第2固定台607に対して回動可能となっているので、踏段チェーン4に対する係合部材609、610の取付位置および取付角度の変化に対応して、第1固定台606、第2固定台607に対して係合部材609、610が回動軸617を中心に回動する。これにより、トラス中間部13の床面に刷毛部材650およびブレード部材659が接触した状態で、エスカレータ用清掃装置6が下部機械室12に向かって移動する。
【0064】
また、刷毛組立604は、刷毛用中間台組立602の圧縮ばね639の弾性力によって、刷毛用中間台組立602から離れる方向に付勢されるので、トラス中間部13の床面に押圧される。また、ブレード組立605は、ブレード用中間台組立603の圧縮ばね639の弾性力によって、ブレード用中間台組立603から離れる方向に付勢されているので、トラス中間部13の床面に押圧される。
【0065】
刷毛組立604およびブレード組立605が下部機械室12に到達すると、エスカレータを下降運転させて、刷毛組立604およびブレード組立605を上部機械室11に戻す(ステップS402)。以上により、清掃作業が終了する。
【0066】
次に、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602から取り外す手順について説明する。
図29は刷毛組立604を刷毛用中間台組立602から取り外す手順を示すフローチャート、
図30は刷毛用中間台組立602の受部材638から刷毛組立604の脚部材651を取り外す手順を示す説明図である。脚部材651の板部材655が弁部材本体644よりも中間台636(
図11)に近づくように、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602に向かって押圧する(ステップS501)。
【0067】
その後、板ばね645の弾性力に逆らって、弁部材本体644を規制解除位置から規制位置に変位させる(ステップS502)。この時、弁部材本体644は、溝657に挿入される。
【0068】
その後、脚部材651を受部材638から引き抜かれる方向に移動させる(ステップS503)。これにより、板部材655は、弁部材本体644に押圧されて、押圧位置から押圧解除位置に変位する。その結果、脚部材651は、弁部材本体644に規制されることなく、受部材638から引き抜くことができる。脚部材651が受部材638から引き抜かれることによって、圧縮ばね639は、弁部材本体644に当接されて規制される。
【0069】
突起部材654を長孔642から取り外し、脚部材651を起立位置から折畳位置に変位させて、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602から取り外す(ステップS504)。以上により、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602から取り外す手順が終了する。
【0070】
ブレード組立605をブレード用中間台組立603から取り外す手順は、刷毛組立604を刷毛用中間台組立602から取り外す手順と同様である。
【0071】
次に、刷毛用中間台組立602を固定台組立601から取り外す手順について説明する。
図31は刷毛用中間台組立602を固定台組立601から取り外す手順を示すフローチャートである。ロック部材624をロック位置からロック解除位置に変位させ、ロック部材624と被係合部材637Bとの係合を解除する(ステップS601)。
【0072】
その後、フック620と被係合部材637Aとの係合を解除して、刷毛用中間台組立602を第1固定台606から取り外す(ステップS602)。これにより、フック620が引張ばね622の弾性力によって第2ローラ621Bに近づく方向に移動して、係合部材609が第1固定台606から離れる方向に移動してこぶ626A、626Bから離れる。その結果、係合部材609が係合位置から係合解除位置に変位する。以上により、刷毛用中間台組立602を固定台組立601から取り外す手順が終了する。
【0073】
ブレード用中間台組立603を固定台組立601から取り外す手順は、刷毛用中間台組立602を固定台組立601から取り外す手順と同様である。
【0074】
次に、固定台組立601をエスカレータから取り外す手順について説明する。
図32は固定台組立601をエスカレータから取り外す手順を示すフローチャートである。引部材633を取手部材632に近づく方向へ移動させることによって、紐631を取手部材632に向かって引く(ステップS701)。これにより、被係合部材634と一対のローラ635との係合が解除され、把持装置613が把持位置から把持解除位置に変位する。
【0075】
その後、固定台組立601をエスカレータから取り外す(ステップS702)。以上により、固定台組立601をエスカレータから取り外す手順が終了する。
【0076】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエスカレータ用清掃装置6によれば、清掃装置本体と、踏段チェーン4と係合する係合位置と踏段チェーン4との係合が解除される係合解除位置との間で変位する係合部材609、610および係合部材609、610を変位させる係合部材変位装置611、612を有し、清掃装置本体を支持する支持装置とを備え、支持装置は、係合部材609、610が踏段チェーン4と係合することによって踏段チェーン4に支持されるので、ボルトおよびナットを用いることなく、エスカレータ用清掃装置6をエスカレータに取り付けることができる。その結果、エスカレータ用清掃装置6の取付作業の効率を向上させることができる。
【0077】
また、支持装置は、ステップ軸53を把持する把持位置とステップ軸53の把持が解除される把持解除位置との間で変位する把持装置613、把持装置613の位置が把持解除位置となるように把持装置613を付勢する付勢装置614、把持装置613の位置が把持位置である場合に、把持装置613の位置を保持する保持装置615および保持装置615による把持装置613の位置の保持を解除する保持解除装置616をさらに有し、把持装置613は、ステップ軸53に押し付けられることによって把持解除位置から把持位置に変位するので、把持装置613をステップ軸53に押し付けるだけで、エスカレータ用清掃装置6をステップ軸53に取り付けることができ、保持解除装置616が保持装置615の保持を解除することによって、ステップ軸53からエスカレータ用清掃装置6を取り外すことができる。
【0078】
また、係合部材609、610は、係合部材609、610が踏段チェーン4と係合する場合にステップ軸53に沿った方向に延びる回動軸617を中心に回動可能となっているので、踏段チェーン4に対する係合部材609、610の取付位置および取付角度の変化に対応して、回動軸617を中心に第1固定台606、第2固定台607に対して係合部材609、610を回動させることができる。
【0079】
また、支持装置は、係合部材変位装置611、612が設けられた第1固定台606および第2固定台607と、清掃装置本体を支持し、第1固定台606および第2固定台607に取り付けられる中間台636をさらに有し、係合部材変位装置611、612は、中間台636が第1固定台606および第2固定台607に取り付けられる場合に、中間台636の自重によって、係合部材609、610を係合解除位置から係合位置に変位させるので、エスカレータ用清掃装置6の組立を容易に行うことができる。
【0080】
また、清掃装置本体は、脚部材651、660を有し、支持装置は、脚部材651、660が挿入される穴が形成された受部材638、穴に設けられ、穴に挿入された脚部材651、660を穴から引き抜かれる方向に付勢する圧縮ばね639および脚部材651、660が穴から引き抜かれる方向についての圧縮ばね639の伸張を規制する規制位置と圧縮ばね639への規制が解除される規制解除位置との間で変位する弁部材本体644を有し、弁部材本体644は、脚部材651、660が圧縮ばね639の弾性力に逆らって穴に挿入される場合に規制解除位置となり、脚部材651、660が穴から引き抜かれる場合に規制解除位置から規制位置に変位可能となっているので、支持装置への清掃装置本体の着脱を容易に行うことができる。
【0081】
また、清掃装置本体は、脚部材651、660の先端部に回動可能に設けられ受部材638の穴に挿入される板部材655、664をさらに有し、板部材655、664は、穴の深さ方向に見た場合に、規制位置にある弁部材本体644と重なる押圧位置と規制位置にある弁部材本体644との重なりが解除される押圧解除位置との間で回動によって変位可能となっており、圧縮ばね639の弾性力に逆らって穴に挿入される場合に押圧位置となり、穴から引き抜かれる場合に弁部材本体644に押圧されて押圧位置から押圧解除位置に変位するので、支持装置への清掃装置本体の着脱を容易に行うことができる。
【0082】
また、脚部材651、660の先端部には、規制位置にある弁部材本体644が挿入される溝657、666が形成されているので、脚部材651、660が受部材638から引き抜かれる場合に弁部材本体644を規制解除位置から規制位置に容易に変位させることができる。
【0083】
なお、上記実施の形態では、乗客コンベヤ用清掃装置としてエスカレータ用清掃装置6を例に説明したが、動く歩道用清掃装置であってもよい。