特許第6193670号(P6193670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193670切断工具の押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193670
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】切断工具の押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20170828BHJP
   B26D 7/00 20060101ALI20170828BHJP
   B26B 3/08 20060101ALI20170828BHJP
   G01L 1/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G01L5/00 Z
   B26D7/00 Z
   B26B3/08
   G01L1/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-161951(P2013-161951)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-31615(P2015-31615A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】513197530
【氏名又は名称】株式会社ラムゼー
(73)【特許権者】
【識別番号】509187174
【氏名又は名称】永井 明
(74)【代理人】
【識別番号】100143410
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】永井 明
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−010891(JP,A)
【文献】 特開2000−292281(JP,A)
【文献】 特開2010−264004(JP,A)
【文献】 米国特許第02041869(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 1/04
G01L 25/00
B26B 3/08
B26D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を調整する調整手段を備えた切断工具において押圧力を設定するための押圧力設定装置であって、
被切断物を貫通する貫通部が形成され、当該貫通部が被切断物を貫通するための貫通力を負荷する貫通部材と、
弾性部材を介して前記貫通部材に貫通力を負荷する負荷部材と、
前記負荷部材と接続され、前記貫通部材により被切断物に負荷される貫通力に対応して前記負荷部材とともに移動するゲージ部材と、
前記貫通部が被切断物を貫通したときに前記ゲージ部材を停止させる停止部材と、
を備え、
前記調整手段において設定する値を読み取り可能な目盛が、前記貫通部材が被切断物を貫通するまでに前記ゲージ部材が移動する移動量に対応して設けられていることを特徴とする切断工具の押圧力設定装置。
【請求項2】
前記停止部材は、前記ゲージ部材が挿通される孔部を有しており、
前記貫通部材は前記停止部材に係止可能な係止部を備えており、
前記貫通部が被切断物を貫通したときに前記係止部が前記停止部材に係止し、前記停止部材が前記ゲージ部材に接触することにより前記ゲージ部材を停止させることを特徴とする請求項1に記載の切断工具の押圧力設定装置。
【請求項3】
前記貫通部材を貫通力の負荷方向と反対方向に付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断工具の押圧力設定装置。
【請求項4】
被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を調整する調整手段を備えた切断工具と、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の切断工具の押圧力設定装置と、を用意し、
被切断物を前記貫通部材の貫通部に対向させて配置し、
前記負荷部材を操作して前記貫通部材により貫通力を増大させながら被切断物を押圧し、
前記貫通部材が被切断物を貫通したときの目盛の値を読み取り、その目盛の値に基づき前記切断工具の調整手段により押圧力を設定することを特徴とする切断工具の押圧力設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を調整する調整手段を備えた切断工具において押圧力を設定するための押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被切断物、例えば、壁紙、カーペット、薄板等の建築資材、を切断するために、カッターナイフ等の切断刃を備えた切断工具が用いられている。これら被切断物を切断工具で切断する際に、被切断物を切断刃により過大な力で押圧すると、切断刃の刃先が被切断物を貫通し、切断する必要がない壁、床等に到達するおそれがあった。これにより、壁、床等が切断刃で傷つけられることがあった。また、切断刃の刃先が損傷し、切断作業を適切に行うことができなくなることがあった。
【0003】
このような問題を解消するため、被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力が、あらかじめ設定された大きさ以上被切断物に負荷されないように調整可能に構成された切断工具が提案されている。例えば、特許文献1には、切断刃の刃先が外方に突出されるようにして該切断刃が取り付けられる取付部材と、刃先を切断対象物に対して近接・離間させる方向に回動可能に前記取付部材を支持すると共に、作業者に把持される把持部を備えた本体部材と、取付部材と前記本体部材とを連結して、取付部材に対して、前記刃先を前記切断対象物に押し当てる押し当て方向に付勢力を及ぼす付勢部材と、本体部材に運動可能に支持されて、付勢部材と取付部材とを連結することにより、付勢部材による押し当て方向への付勢力を調整するリンク部材と、を有する切断補助装置を備えた切断工具が開示されている。この切断工具では、本体部材と切断刃の取付部材とは付勢部材を介して連結されており、刃先を切断対象物に向けて押し当てる作業者の力が、切断刃に直接に伝わらないようになっており、刃先を切断対象物に押し当てる押圧力は、付勢部材の付勢力による。この付勢力をリンク部材で調整することによって、被切断物に刃先を押圧する押圧力を所望の値に設定することができ、切断刃の刃先が、被切断物を貫通して、切断する必要がない壁、床等を傷つけることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4457171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の効果を奏するためには、被切断物に応じて適切な押圧力をあらかじめ設定する必要がある。しかし、適切な押圧力を設定するためには、まず適当な押圧力を設定して被切断物を切断してから、その切断状態を見ながら押圧力を調整して切断することを繰り返して設定しなければならず、手間、時間がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を、簡単かつ迅速に設定することができる切断工具の押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記目的を実現するために、請求項1に記載の発明では、被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を調整する調整手段を備えた切断工具において押圧力を設定するための押圧力設定装置であって、被切断物を貫通する貫通部が形成され、当該貫通部が被切断物を貫通するための貫通力を負荷する貫通部材と、弾性部材を介して前記貫通部材に貫通力を負荷する負荷部材と、前記負荷部材と接続され、前記貫通部材により被切断物に負荷される貫通力に対応して前記負荷部材とともに移動するゲージ部材と、前記貫通部が被切断物を貫通したときに前記ゲージ部材を停止させる停止部材と、を備え、前記調整手段において設定する値を読み取り可能な目盛が、前記貫通部材が被切断物を貫通するまでに前記ゲージ部材が移動する移動量に対応して設けられている、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、負荷部材を操作して弾性部材を介して貫通部材により被切断物に貫通力を負荷し、貫通部材が被切断物を貫通したときに、停止部材の作動により停止するゲージ部材により目盛の値を読み取り、切断工具の調整手段を設定することにより、被切断物に対する切断工具の刃先の押圧力を、被切断物のみを切断するために必要な押圧力に設定することができる。このように、一度の操作で、簡単かつ迅速に適切な押圧力を設定することができる。また、貫通部材が被切断物を貫通したときに、停止部材の作動によりゲージ部材を停止させるため、切断工具の調整手段を設定するための目盛の値を確実かつ正確に読み取ることができ、押圧力を正確に設定することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の切断工具の押圧力設定装置において、前記停止部材は、前記ゲージ部材が挿通される孔部を有しており、前記貫通部材は前記停止部材に係止可能な係止部を備えており、前記貫通部が被切断物を貫通したときに前記係止部が前記停止部材に係止し、前記停止部材が前記ゲージ部材に接触することにより前記ゲージ部材を停止させる、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、簡単な構造の停止部材でゲージ部材を停止させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の切断工具の押圧力設定装置において、前記負荷部材を貫通力の負荷方向と反対方向に付勢する付勢部材を備えた、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、付勢部材により負荷部材が貫通力の負荷方向と反対方向に付勢されているので、目盛の読み取り後に負荷部材による負荷を解除することにより、負荷部材を測定前の位置に容易に戻すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、切断工具の押圧力設定方法であって、被切断物に対する切断刃の刃先の押圧力を調整する調整手段を備えた切断工具と、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の切断工具の押圧力設定装置と、を用意し、被切断物を前記貫通部材の貫通部に対向させて配置し、前記負荷部材を操作して前記貫通部材により貫通力を増大させながら被切断物を押圧し、前記貫通部材が被切断物を貫通したときの目盛の値を読み取り、その目盛の値に基づき前記切断工具の調整手段により押圧力を設定する、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、負荷部材を操作して弾性部材を介して貫通部材により被切断物に貫通力を負荷し、貫通部材が被切断物を貫通したときに、停止部材の作動により停止するゲージ部材により目盛の値を読み取り、切断工具の調整手段を設定することにより、被切断物に対する切断工具の刃先の押圧力を、被切断物のみを切断するために必要な押圧力に設定することができる。このように、一度の操作で、簡単かつ迅速に適切な押圧力を設定することができる。また、貫通部材が被切断物を貫通したときに、停止部材に作動によりゲージ部材を停止させるため、切断工具の調整手段を設定するための目盛の値を確実かつ正確に読み取ることができ、押圧力を正確に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】切断工具の一例を示す説明図である。
図2】押圧力設定装置の構成を示す斜視図である。
図3】押圧力設定装置の構成を示す透視図である。
図4】押圧力の設定方法を示す透視図である。
図5】押圧力の設定方法を示す斜視図である。
図6】押圧力設定装置の変更例の構成を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の切断工具の押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法について図を参照して説明する。
【0017】
壁紙、カーペット、薄板等の建築資材、などの被切断物Sを切断するための押圧力を調整可能な切断工具2としては、例えば、図1に示すような、特許文献1に開示されている切断補助装置20に対して、カッターナイフを取り付けた切断工具2を用いることができる。
【0018】
切断補助装置20は、カッターナイフの切断刃21の刃先21aが外方に突出されるようにして切断刃21が取り付けられる取付部材22と、刃先21aを被切断物Sに対して近接・離間させる方向に回動可能に取付部材22を支持するとともに、作業者に把持される把持部23aを備えた本体部材23と、取付部材22と本体部材23とを連結して、取付部材22に対して、刃先21aを被切断物Sに押し当てる押し当て方向に押圧力を及ぼす押圧力付勢部材24と、本体部材23に運動可能に支持されて、押圧力付勢部材24と取付部材22とを連結することにより、押圧力付勢部材24による押し当て方向への押圧力を調整するリンク部材25と、押圧力を調整し、設定する調整手段26と、を備えている。ここで、押圧力付勢部材24はリンク部材25とワイヤ24bにより接続された引張りコイルスプリング24aからなり、調整手段26は、前後(図の左右方向)に移動可能に構成され、引張りコイルスプリング24aの長さを変更することにより、刃先21aによる被切断物Sの押圧力の調整を行うことができる。調整手段26の移動方向には押圧力を設定するための数値などの目盛が表示された設定目盛26aが設けられている。引張りコイルスプリング24aの長さは、調整手段26を移動させ、設定目盛26aの所定の数値に合わせることにより変更することができる。つまり、調整手段26を設定目盛26aの所定の数値に合わせることにより、刃先21aによる被切断物Sの押圧力の調整を行うことができる。
【0019】
切断工具2は、刃先21aを被切断物Sに当接させて切断するために刃先21aによる被切断物Sの押圧力を増大させると、これらの機構が連動して作動し、刃先21aを被切断物Sに向けて押し当てる作業者の力は切断刃21に直接に伝わらず、刃先21aの押圧力は、押圧力付勢部材24の付勢力によるところとなり、あらかじめ調整手段26により設定された押圧力以上の押圧力が被切断物に負荷されないように構成されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、切断工具2の押圧力を設定するための押圧力設定装置1は、本体部10と、壁紙やカーペットなどから切り出して用意した被切断物Sを貫通するための貫通力を負荷する貫通部材11と、弾性部材13、本実施形態では、ばね部材、を介して貫通部材11に貫通力を負荷する負荷部材12と、貫通部材により被切断物に負荷される貫通力に対応して負荷部材とともに移動するゲージ部材14と、ゲージ部材14を停止させる停止部材15と、を備えている。
【0021】
本体部10は、負荷部材12を挿通可能に形成された挿通部10a、貫通部材11を挿通可能に形成された挿通部10b、ゲージ部材14を挿通可能に形成された挿通部10c、本体部10に設けられた目盛Mの数値を読み取るために設けられたゲージ部材14が露出する窓部である読み取り部10d、被切断物Sを載置し、貫通部材11により貫通可能な位置に挟み込んで固定するステージ10eと、を備えている。目盛Mは、切断工具2の刃先21aによる押圧力を調整手段26で設定するための数値を、読み取り部10dから露出するゲージ部材14の移動量に対応して読み取り可能に構成され、貫通部材11が被切断物Sを貫通するまでにゲージ部材14が移動する移動量に対応して設けられている。
【0022】
貫通部材11は、鋭利な先端(例えば、針状)を備え被切断物Sを貫通する貫通部11aを一端に備えた中空状部材11bに、他端の開口部の近傍に外方に張り出して係止部11cが設けられた部材である。貫通部材11は、本体部10の長手方向に移動可能に支持されている。中空状部材11bには弾性部材13が内装されており、負荷部材12が弾性部材13を押圧することにより、貫通部材11に被切断物Sを貫通するための貫通力を負荷することができる。図3では、弾性部材13の中心に位置ずれを防止する芯材が設けられた構成が示されている。
【0023】
負荷部材12は、棒状に形成されており、一端が接続部材16に接続されており、ゲージ部材14と平行になるように配置されている。負荷部材12は、本体部10の挿通部10aから本体部10内部に挿通されており、他端は弾性部材13を押圧可能に配置されている。
【0024】
ゲージ部材14は、棒状に形成されており、貫通部材11に隣接して配置されている。一端が接続部材16に接続されており、他端は本体部10の挿通部10cから本体部10の内部に挿通されており、本体部10の長手方向に移動可能に支持されている。ゲージ部材14の先端表面には、目盛Mを読み取るためのラインLが描かれている。
【0025】
ゲージ部材14は、バネからなる付勢部材17に挿通されており、付勢部材17はゲージ部材14を付勢することにより負荷部材12を貫通力の負荷方向と反対方向に付勢する。
【0026】
停止部材15は、ゲージ部材14が挿通される孔部を有した板状部材15aと、板状部材15aがゲージ部材14に接触しないように保持するための、例えばゴムからなる保持部材15bと、を備えている。板状部材15aの孔部はゲージ部材14の外形寸法よりわずかに大きく形成されている。停止部材15は、一端が保持部材15bを介して本体部10に固定されて設けられており、貫通部材11が被切断物Sを貫通したときに係止部11cが停止部材15に係止するように配置されている。
【0027】
次に、押圧力設定装置1による切断工具2の刃先21aの押圧力の設定方法について図4及び図5を参照して説明する。
【0028】
図4(A)に示すように、まず、被切断物Sをステージ10eに載置して挟み込んで固定する。ステージ10eは、停止部材15と同様の構造を内蔵しており、被切断物Sを挟み込んだ状態で固定される。
【0029】
負荷部材12を被切断物Sに向けて操作すると、図4(B)に示すように弾性部材13を介して貫通部材11の貫通部11aの先端が被切断物Sに当接する。続いて、負荷部材12を押圧する力を増大させると、弾性部材13が圧縮されて縮むことにより、反力として被切断物Sに負荷される貫通力が増大する。
【0030】
ここで、貫通部材11は移動しないが、負荷部材12及びゲージ部材14は、負荷した貫通力の増大に伴い下方に移動する。ゲージ部材14は、本体部10の読み取り部10dから露出し、被切断物Sを貫通するまでの移動量に対応して目盛Mを読み取り可能な状態になる。
【0031】
このとき、貫通部材11の係止部11cは、停止部材15の板状部材15aから離間している、または接触していても大きな力が負荷されていない。そのため、板状部材15aはゲージ部材14と接触していないので、ゲージ部材14は停止部材15による拘束を受けずに移動することができる。
【0032】
更に、貫通力を増大させると、図4(C)に示すように、貫通部材11の貫通部11aが被切断物Sを貫通し、貫通部材11が下方に変位する。貫通部材11が下方に変位すると、係止部11cが停止部材15の板状部材15aの一端に係止し、板状部材15aが貫通力の負荷方向に対して傾斜する。板状部材15aに形成された孔部は、ゲージ部材14の外形形状に対してわずかに大きいだけなので、板状部材15aがゲージ部材14に接触し、ゲージ部材14の移動を拘束して停止させる。
【0033】
ゲージ部材14が停止した状態で、図5に示すように、読み取り部10dから露出したゲージ部材14先端部に設けられた目盛読み取り用のラインLが示す目盛Mの値を読み取り、その値で調整手段26を設定する。被切断物Sを貫通したときの目盛Mの値は、切断工具2により被切断物Sのみを切断するために必要な押圧力に対応して設けられているため、被切断物Sに貫通部材11を貫通させ、ゲージ部材14により目盛Mを読み取るという簡単な操作で、切断工具2の適切な押圧力を設定することができる。
【0034】
目盛Mの値を読み取った後、負荷部材12による負荷を解除すると、付勢部材17はゲージ部材14を付勢するため、負荷部材12は貫通力の負荷方向と反対方向に付勢される。これにより、負荷部材12を測定前の位置に容易に戻すことができる。
【0035】
(変更例)
被切断物Sは、実際の作業において一度に切断したい枚数を重ねて用意し、切断工具2の押圧力を設定することもできる。例えば、実際の作業において重ねて用意した被切断物を2枚ずつ切断したい場合には、2枚重ねた被切断物を用意し、同様の操作を行うことにより、押圧力を設定することができる。
【0036】
本実施形態では、目盛Mは本体部10に設けられているが、目盛Mをゲージ部材14の表面に形成し、ゲージ部材14が読み取り部10dから露出した量に基づいて読み取る構成も採用することができる。
【0037】
本発明の押圧力設定装置及び押圧力設定方法は、上述した切断工具2に限定されるものではなく、他の調整手段を備えた切断工具の押圧力設定にも用いることができる。また、切断工具は、直線刃のカッターナイフに限らず、各種形状の刃を有する切断工具を用いることができる。
【0038】
[実施形態の効果]
本発明の切断工具の押圧力設定装置及び切断工具の押圧力設定方法によれば、一度の操作で、被切断物Sのみを切断するための適切な押圧力を、簡単、迅速かつ正確に設定することができる。
【0039】
(その他の実施形態)
図6に示すように、押圧力設定装置1における負荷部材12とゲージ部材14とを一体的に形成した負荷部材31を備え、負荷部材31(ゲージ部材14)の表面に目盛Mを形成した構成も押圧力設定装置3を採用することもできる。押圧力設定装置3では、停止部材15は、負荷部材31により挿通されている。また、貫通部材11の係止部11cは、貫通部11aの近傍に形成されている。係止部11cと停止部材15との間には、貫通部11aが被切断物Sを貫通したときに作動する貫通検出部材32が設けられている。貫通検出部材32は、図6(A)に示すように、貫通部11aが被切断物Sを貫通する前には係止部11cに係止しないが、貫通部11aが被切断物Sを貫通したときには、図6(B)に示すように係止部11cが貫通検出部材32に係止して貫通検出部材32を下方に移動させ、貫通検出部材32を介して停止部材15の板状部材15aを貫通力の負荷方向に対して傾斜させて負荷部材31の移動を拘束して停止させる。この構成では、例えば、本体部10との境界部において目盛Mの数値を読み取ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…押圧力設定装置
2…切断工具
10…本体部
11…貫通部材
11a…貫通部
11b…中空状部材
11c…係止部
12…負荷部材
13…弾性部材
14…ゲージ部材
15…停止部材
15a…板状部材
15b…保持部材
16…接続部材
17…付勢部材
20…切断補助装置
21…切断刃
21a…刃先
22…取付部材
23…本体部材
24…押圧力付勢部材
25…リンク部材
26…調整手段
26a…設定目盛
M…目盛
S…被切断物
図1
図2
図3
図4
図5
図6