特許第6193676号(P6193676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193676
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】車両用電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 1/02 20060101AFI20170828BHJP
   B62J 27/00 20060101ALI20170828BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20170828BHJP
   B62K 23/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B62H1/02 B
   B62J27/00 B
   B62J99/00 K
   B62K23/04
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-175812(P2013-175812)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-44448(P2015-44448A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153349
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 茂
(72)【発明者】
【氏名】杉森 滋彦
(72)【発明者】
【氏名】秋元 豊
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−132755(JP,A)
【文献】 特開2001−270481(JP,A)
【文献】 特開昭56−120463(JP,A)
【文献】 特開2012−081947(JP,A)
【文献】 特開2008−019758(JP,A)
【文献】 特開2010−235077(JP,A)
【文献】 特開2005−163669(JP,A)
【文献】 特開2003−112677(JP,A)
【文献】 特開平09−287640(JP,A)
【文献】 米国特許第07315779(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/02
B62J 27/00
B62J 99/00
B62K 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの駆動力を駆動輪に伝達するためのベルト式無段変速機と遠心式クラッチとを有する鞍乗り型車両に備えられ、アクセル開度センサの出力に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル弁の開度が目標スロットル開度に一致するようにフィードバック制御する電子制御スロットル制御部と、前記鞍乗り型車両を支持するためのスタンドの作動状態を検出するスタンド状態検出部と、を有する車両用電子制御装置において、
前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記鞍乗り型車両を支持する起立状態である場合に、前記エンジンの回転速度が前記遠心式クラッチが断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内になるように、前記目標スロットル開度を規制し、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態である場合に、前記スロットル弁が開き側に駆動されているときには前記アクセル開度センサの出力変化速度に対して実スロットル開度の変化速度が緩慢になるように前記スロットル弁を駆動する一方で、前記スロットル弁が閉じ側に駆動されているときには前記実スロットル開度の前記変化速度が前記アクセル開度センサの前記出力変化速度に対応した速度になるように前記スロットル弁を駆動することを特徴とする車両用電子制御装置。
【請求項2】
前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態から前記鞍乗り型車両を支持しない格納状態に変化した場合に、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態であるときの前記目標スロットル開度の規制を徐々に緩和することを特徴とする請求項に記載の車両用電子制御装置。
【請求項3】
前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部が前記スタンドの前記作動状態を検出できない場合に、前記目標スロットル開度の前記規制を解除することを特徴とする請求項に記載の車両用電子制御装置。
【請求項4】
前記目標スロットル開度を規制する規制開度が、前記エンジンの温度に応じて変化するように設定されることを特徴とする請求項に記載の車両用電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電子制御装置に関し、特に、エンジンの駆動力を駆動輪に伝達するためのベルト式無段変速機と遠心式クラッチとを有する鞍乗り型車両に備えられた車両用電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スクーターやモペット等の鞍乗り型車両の変速機として、特許文献1に開示されているような、発進クラッチとして遠心式クラッチを備えたベルト式無段変速機が知られている。
【0003】
この遠心式クラッチでは、運転者のアクセル操作に応じてスロットル弁が開くのに伴いエンジンの回転速度が上昇すると、遠心力によってクラッチシューがクラッチスプリングに抗してクラッチアウタの内周に当接することにより、クラッチが接続するようになっている。この遠心式クラッチによれば、運転者によるクラッチ操作が不要になるため、運転者は鞍乗り型車両を簡便に運転することができる。
【0004】
ところで、一般に、鞍乗り型車両は、サイドスタンド又はセンタースタンドによって鞍乗り型車両を支持することにより、自立させて駐輪させることができる。特にスクータータイプの鞍乗り型車両の多くは、センタースタンドによって鞍乗り型車両を支持することにより、自立させて駐輪させることができる。センタースタンドによって鞍乗り車両を支持する場合には、鞍乗り車両を支持する支点は、前輪又は後輪のいずれかとセンタースタンドの両足とになる。換言すれば、鞍乗り車両では、前輪とセンタースタンドとによる支持、又は後輪とセンタースタンドとによる支持のいずれかの支持となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−287640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、センタースタンドによって鞍乗り型車両を駐輪させた状態において、運転者が、鞍乗り型車両に乗車してエンジンを始動させ、アクセル操作部材を不要に開方向に操作する、いわゆる空吹かしを行うことがある。このとき、車両が前輪とセンタースタンドとによって支持されていると、遠心式クラッチを備えたベルト式無段変速機を有する鞍乗り型車両では、空吹かしによるエンジンの回転速度の上昇に伴い遠心式クラッチが接続状態となり、路面から離れている後輪が駆動される。そして、この状態において、運転者が前輪とセンタースタンドとによる支持を解除して鞍乗り型車両を発進させようとすると、駆動されている後輪が路面に接触し、鞍乗り型車両が不要に発進する可能性が考えられる。
【0007】
また、本発明者の検討によれば、このような空吹かしによるエンジンの回転速度の上昇を抑制するために、エンジンの点火時期を遅角させることが考えられる。しかしながら、エンジンの点火時期を遅角させた場合には、燃焼室温度が上昇し、鞍乗り型車両が停車中である場合は走行風による触媒の冷却効果が期待できないために、触媒が劣化する可能性が考えられる。
【0008】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、鞍乗り型車両の唐突な発進や触媒の
劣化を抑制可能な車両用電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するべく、本発明は、エンジンの駆動力を駆動輪に伝達するためのベルト式無段変速機と遠心式クラッチとを有する鞍乗り型車両に備えられ、アクセル開度センサの出力に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル弁の開度が目標スロットル開度に一致するようにフィードバック制御する電子制御スロットル制御部と、前記鞍乗り型車両を支持するためのスタンドの作動状態を検出するスタンド状態検出部と、を有する車両用電子制御装置において、前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記鞍乗り型車両を支持する起立状態である場合に、前記エンジンの回転速度が前記遠心式クラッチが断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内になるように、前記目標スロットル開度を規制し、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態である場合に、前記スロットル弁が開き側に駆動されているときには前記アクセル開度センサの出力変化速度に対して実スロットル開度の変化速度が緩慢になるように前記スロットル弁を駆動する一方で、前記スロットル弁が閉じ側に駆動されているときには前記実スロットル開度の前記変化速度が前記アクセル開度センサの前記出力変化速度に対応した速度になるように前記スロットル弁を駆動することを第1の局面とする。
【0011】
また、本発明は、第の局面に加えて、前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態から前記鞍乗り型車両を支持しない格納状態に変化した場合に、前記スタンド状態検出部によって検出された前記スタンドの前記作動状態が前記起立状態であるときの前記目標スロットル開度の規制を徐々に緩和することを第の局面とする。
【0012】
また、本発明は、第の局面に加えて、前記電子制御スロットル制御部は、前記スタンド状態検出部が前記スタンドの前記作動状態を検出できない場合に、前記目標スロットル開度の前記規制を解除することを第の局面とする。
【0013】
また、本発明は、第の局面に加えて、前記目標スロットル開度を規制する規制開度は、前記エンジンの温度に応じて変化するように設定されることを第の局面とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明の第1の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、スタンドの状態が起立状態である場合に、エンジンの回転速度が遠心式クラッチが断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内になるように目標スロットル開度を規制するものであるため、鞍乗り型車両の唐突な発進や触媒の劣化を抑制することができる。また、スロットル弁を駆動させないという規制と比較して、スロットル弁の異常が発生したのではと運転者が疑念を抱く事態が発生することを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、スタンドの状態が起立状態である場合において、スロットル弁が開き側に駆動されているときにはアクセル開度センサの出力変化速度に対して実スロットル開度の変化速度が緩慢になるようにスロットル弁を駆動する一方で、スロットル弁が閉じ側に駆動されているときには実スロットル開度の変化速度がアクセル開度センサの出力変化速度に対応した速度になるようにスロットル弁を駆動するものであるため、スタンドの状態が起立状態である場合にスロットル弁が開き側に駆動されたとしても、遠心式クラッチが不要に
接続されることを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の第の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、スタンドの状態が起立状態から格納状態に変化した場合に、スタンドの状態が起立状態であるときの目標スロットル開度の規制を徐々に緩和するものであるため、鞍乗り型車両が不要に急加速することを抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、スタンドの状態を検出できない場合には、目標スロットル開度の規制を解除するものであるため、スタンドが起立しているのか、又はスタンド状態検出部が故障しているのか正確に判断できない状況下において、鞍乗り型車両を発進させることができなくなる事態が発生することを抑制することができる。
【0018】
また、本発明の第の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、目標スロットル開度を規制する規制開度が、エンジンの温度に応じて変化するように設定されるものであるため、油脂類の粘度の低下に応じてエンジンや遠心式クラッチのフリクションが低下することに起因して、遠心式クラッチが不要に接続されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両の構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態における車両用電子制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)は、本実施形態におけるスロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートであり、図3(b)は、エンジンの温度とエンジンの回転速度を所定の範囲内に抑えるための目標スロットル開度の規制開度TRGSSLとの関係を示す制御マップである。
図4図4は、本実施形態におけるスロットル開度制御処理の流れを説明するためのタイミングチャートであり、図4(a)は、目標スロットル開度TRG及びその規制開度TRGSSLの経時変化、図4(b)は、アクセル開度APの経時変化、図4(c)は、エンジン回転数(エンジンの回転速度)NEの経時変化、図4(d)は、エンジンの温度TWの経時変化、及び図4(e)は、センタースタンドの作動状態の経時変化を各々示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における車両用電子制御装置につき、詳細に説明する。
【0021】
〔鞍乗り型車両の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両の構成につき、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両の構成を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両1は、エンジン2の駆動力を駆動輪である後輪3に伝達するためのベルト式無段変速機4と、発進クラッチとしての遠心式クラッチ5と、を備える。
【0024】
ここでベルト式無段変速機4は、エンジン2側のプーリ4a、後輪3側のプーリ4b、
プーリ4a及び4b間に巻回されてプーリ4aからプーリ4bにエンジン2の駆動力を伝達するドライブベルト4c、後輪3側のプーリ4bに固設されてウエイト係止部を外周縁部に弾性支持したドライブプレート4d、ドライブプレート4dの外周側に近接しながらそれを覆うクラッチアウタ4e、及びクラッチアウタ4eに固設されて後輪3に駆動力を伝達するドライブシャフト4fを備える。
【0025】
詳しくは、ドライブベルト4cに対するプーリ4a及び4bの巻回径は、鞍乗り型車両1の速度(車速)に応じて連続的に可変であり、このようにプーリ4a及び4bの巻回径が変化することによって、ベルト式無段変速機4の変速が実行される。また、遠心式クラッチ5は、エンジン2が始動されていないか、又は、エンジン2が始動されていても、ドライブベルト4cを介してドライブプレート4dにエンジン2の駆動力が伝達されると、ドライブプレート4dが回転するが、ドライブプレート4dの回転速度が所定閾値未満である場合には、ドライブプレート4dのウエイト係止部は、ドライブプレート4dの外周側に近接しながらそれを覆うクラッチアウタ4eの受け部とは離間されたままでそれに係止されず、遠心式クラッチ5は、駆動力を後輪3側に伝達しない絶たれた状態にある。一方で、エンジン2が始動されて、ドライブベルト4cを介してドライブプレート4dにエンジン2の駆動力が伝達されると、ドライブプレート4dが回転し、ドライブプレート4dの回転速度が所定閾値以上になると、主としてそのウエイト係止部の慣性力でその姿勢が弾性支持力に抗して変化しクラッチアウタ4eの受け部に係止され、遠心式クラッチ5が接続された状態になる。これにより、エンジン2の駆動力が、ドライブシャフト4fを介して後輪3に伝達される。
【0026】
つまり、遠心式クラッチ5のドライブプレート4dの回転速度をこのような所定閾値未満に維持することができるように、エンジン2の回転速度を所定の範囲内に抑えれば、遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができることになる。
【0027】
更に、鞍乗り型車両1は、センタースタンド6を備えている。センタースタンド6の作動状態を格納状態から起立状態にすることによって、駆動輪である後輪3を路面から離間させ、センタースタンド6と前輪7とによって鞍乗り型車両1を支持することにより、鞍乗り型車両1を自立させて駐輪させることができる。
【0028】
〔車両用電子制御装置の構成〕
次に、図2を参照して、本実施形態における車両用電子制御装置の構成につき、詳細に説明する。
【0029】
図2は、本実施形態における車両用電子制御装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、本実施形態における車両用電子制御装置10は、図1に示す鞍乗り型車両1に搭載されて、図示を省略するCPU(Central Processing
Unit)やメモリ等を有するマイクロコンピュータ等の演算処理装置であり、典型的にはECU(Electronic Control Unit)である。車両用電子制御装置10は、メモリから必要な制御プログラム及び制御データを読み出して、スロットル開度制御処理用等の制御プログラムを実行する。
【0031】
具体的には、車両用電子制御装置10は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、センタースタンド状態検出部15、エンジン回転速度算出部16、スロットル開度算出部17、燃料点火時期制御部18、目標スロットル開度算出部19、偏差算出部20、スロットル開度フィードバック(F/B)制御部21、及びモータ駆動出力部22を備えている。これらは、車両用電子制御装置10内において、CPUの機能ブロックとして実現されてもよいし、電気回路として実現されて
もよい。また、目標スロットル開度算出部19、偏差算出部20及びスロットル開度フィードバック(F/B)制御部21は、電子制御スロットル制御部Cを構成する。
【0032】
アクセル開度算出部11は、アクセル開度センサ31からの出力信号に基づいて、アクセル開度及びその変化量を算出し、このように算出したアクセル開度及びその変化量を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0033】
吸気圧算出部12は、吸気圧センサ32からの出力信号に基づいて、吸入空気の圧力(吸気圧)を算出し、このように算出した吸気圧を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0034】
エンジン温度算出部13は、エンジン温度センサ33からの出力信号に基づいて、エンジン2の温度を算出し、このように算出したエンジン2の温度を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0035】
車速算出部14は、車速センサ34からの出力信号に基づいて、鞍乗り型車両1の車速を算出し、このように算出した車速を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0036】
センタースタンド状態検出部15は、センタースタンド状態検知スイッチSからの出力信号に基づいて、図1に示すセンタースタンド6の作動状態(起立状態又は格納状態)を検出し、このように検出したセンタースタンド6の作動状態を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0037】
エンジン回転速度算出部16は、クランクセンサ35からの出力信号に基づいて、エンジン2の回転速度を算出し、このように算出したエンジン2の回転速度を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に出力する。
【0038】
スロットル開度算出部17は、スロットル開度センサ36からの出力信号に基づいて、図1に示すエンジン2の吸気系に設けられたスロットル弁8の開度(実スロットル開度)を算出し、このように算出した実スロットル開度を示す信号を燃料点火制御部18、目標スロットル開度制御部19、及び偏差算出部20に出力する。
【0039】
燃料点火制御部18は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、センタースタンド状態検出部15、エンジン回転速度算出部16、及びスロットル開度算出部17からの入力信号に基づいて、燃料噴射システムFI及び点火システムIGを制御することによりエンジン2への燃料供給動作及びエンジン2の点火動作を制御する。
【0040】
目標スロットル開度算出部19は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、センタースタンド状態検出部15、エンジン回転速度算出部16、及びスロットル開度算出部17からの入力信号に適宜基づいて、スロットル弁8の目標開度(目標スロットル開度)を算出する。
【0041】
また、目標スロットル開度算出部19は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、センタースタンド状態検出部15、エンジン回転速度算出部16、及びスロットル開度算出部17からの入力信号に適宜基づいて、目標スロットル開度の規制開度を算出する。かかる目標スロットル開度の規制開度は、エンジン2の回転速度を、遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内にするための目標スロットル開度の開度上限値である。目標スロットル開度算
出部19は、このように算出した目標スロットル開度を示す信号を偏差算出部20に出力する。
【0042】
偏差算出部20は、スロットル開度算出部17から入力された信号が示す実スロットル開度と、目標スロットル開度算出部19から入力された信号が示す目標スロットル開度と、の偏差を算出し、このように算出した偏差を示す信号をスロットル開度F/B制御部21に出力する。
【0043】
スロットル開度F/B制御部21は、偏差算出部20から入力された信号が示す偏差に基づいて、実スロットル開度が目標スロットル開度になるようにモータ駆動出力部22に制御信号を出力する。
【0044】
モータ駆動出力部22は、スロットル開度F/B制御部21から入力された制御信号に従って、スロットル弁8を駆動するための駆動信号をモータMに出力する。ここで、目標スロットル開度算出部19、偏差算出部20及びスロットル開度F/B制御部21から成る電子制御スロットル制御部C、モータ駆動出力部22、スロットル弁8並びにモータMを含むスロットルシステムは、電子制御スロットルシステムである。
【0045】
このような構成を有する車両用電子制御装置10の電子制御スロットル制御部Cは、以下に示すスロットル開度制御処理を実行することにより、鞍乗り型車両1の唐突な発進や触媒の劣化を抑制する。以下、図3及び図4を参照して、本実施形態における車両用電子制御装置10の電子制御スロットル制御部Cが実行するスロットル開度制御処理の流れについて説明する。
【0046】
〔スロットル開度制御処理〕
図3(a)は、本実施形態におけるスロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートであり、図3(b)は、エンジンの温度とエンジンの回転速度を所定の範囲内に抑えるための目標スロットル開度の規制開度TRGSSLとの関係を示す制御マップである。また、図4は、本実施形態におけるスロットル開度制御処理の流れを説明するためのタイミングチャートであり、図4(a)は、目標スロットル開度TRG及びその規制開度TRGSSLの経時変化、図4(b)は、アクセル開度APの経時変化、図4(c)は、エンジン回転数(エンジンの回転速度)NEの経時変化、図4(d)は、エンジンの温度TWの経時変化、及び図4(e)は、センタースタンドの作動状態の経時変化を各々示している。
【0047】
図3のフローチャートに示すように、本実施形態におけるスロットル開度制御処理は、エンジン2が始動されたタイミングで開始となり、スロットル開度制御処理はステップS1の処理に進む。
【0048】
ステップS1の処理では、電子制御スロットル制御部Cが、スロットル開度制御処理において算出等される各種パラメータの内でリセットすべきものをリセットする初期化処理を実行する。これにより、ステップS1の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS2の処理に進む。
【0049】
ステップS2の処理では、アクセル開度算出部11が、アクセル開度センサ31からの出力信号に基づいて、アクセル開度AP及びその変化量DAPを算出し、このように算出したアクセル開度AP及びその変化量DAPを示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度算出部19に出力する。これにより、ステップS2の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS3の処理に進む。
【0050】
ここで、図4(b)に示すように、かかるステップS2の処理で算出されたアクセル開度APは、時刻t=0以降、鞍乗り型車両1の運転者のアクセルグリップ等のアクセル操作部材の開閉操作に応じた経時変化を示す。
【0051】
ステップS3の処理では、目標スロットル開度算出部19が、アクセル開度算出部11からのアクセル開度AP及びその変化量DAPを示す入力信号の他に、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、センタースタンド状態検出部15、エンジン回転速度算出部16、及びスロットル開度算出部17からの入力信号に適宜基づいて、目標スロットル開度TRGを算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS4の処理に進む。
【0052】
ここで、図4(a)に示すように、かかるステップS3の処理で算出された目標スロットル開度TRGは、時刻t=0以降、アクセル開度AP及びその変化量DAPの経時変化に応じた経時変化を示す。
【0053】
ステップS4の処理では、センタースタンド状態検出部15が、センタースタンド状態検知スイッチSからの出力信号に基づいて、センタースタンド6の作動状態(起立状態又は格納状態)SSを検出し、このように検出したセンタースタンド6の作動状態を示す信号を燃料点火制御部18及び目標スロットル開度制御部19に入力する。これにより、ステップS4の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS5の処理に進む。
【0054】
ここで、図4(e)に示すように、かかるステップS4の処理で検出されたセンタースタンド6の作動状態は、時刻t=0以降、鞍乗り型車両1の運転者のセンタースタンド6の操作に応じた経時変化を示す。
【0055】
ステップS5の処理では、目標スロットル開度制御部19が、ステップS4の処理においてセンタースタンド6の作動状態SSを検出できたか否かを判別する。判別の結果、センタースタンド6の作動状態SSを検出できた場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS6の処理に進める。一方で、センタースタンド6の作動状態SSを検出できなかった場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS14の処理に進める。
【0056】
ステップS6の処理では、目標スロットル開度制御部19が、今回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態であるかを判別する。判別の結果、今回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態である場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS7の処理に進める。一方で、今回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態ではなく格納状態である場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS10の処理に進める。
【0057】
ここで、図4(e)に示すように、かかるステップS6の処理で判別されたセンタースタンド6の作動状態が起立状態である区間は、時刻t=0から時刻t=t5の区間、及び時刻t=6以降の区間に相当し、一方で、センタースタンド6の作動状態が格納状態である区間は、時刻t=5から時刻t=t6の区間に相当する。
【0058】
ステップS7の処理では、目標スロットル開度算出部19が、エンジン2の回転速度NEを所定の範囲内に抑えるための規制開度TRGSSLを算出する。かかる目標スロットル開度の規制開度TRGSSLは、エンジン2の回転速度NEを、遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内にするための目標スロットル開度TRGの開度上限値である。
【0059】
また、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ、ベルト式無段変速機4のグリースの温度も上昇して、その内部機構の作動フリクションが減少する傾向にある。このため、このため、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ、エンジン2の回転速度NEが上昇する際に、ドライブプレート4dの回転速度が上昇しやすくなる。また、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ、その燃焼状態が安定すると共にその内部の油温も上昇してエンジン2の回転フリクションが減少する傾向にある。このため、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ、運転者のアクセル操作部材の開操作に応じてエンジン2の回転速度NEが上昇するピックアップは鋭くなり、同じアクセル開度AP及びその変化量DAPを与えてもエンジン2の回転速度NEの上昇速度はより大きくなる。このため、より厳密に、エンジン2の回転速度NEを、遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内に抑えるべく、規制開度TRGSSLも、エンジン2の温度TWが低い場合には高く設定され、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ低く設定されることが好ましい。
【0060】
詳しくは、例えば、図3(b)に示すように、エンジン2の温度TWが低い場合には高く設定され、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ低く設定された規制開度TRGSSLを示すマップ等の制御データをメモリ中に記憶しておく。そして、このようなマップ等をメモリから読み出し、今回の処理のエンジン2の温度TWに対応する規制開度TRGSSLの値を検索して、それをステップS7の処理における規制開度TRGSSLに設定することが好ましい。これにより、エンジン2の温度TWに応じて、遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができるエンジン2の回転速度NEを実現することができる。
【0061】
これにより、ステップS7の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS8の処理に進む。
【0062】
ここで、図4(a)に示すように、かかるステップS7の処理で算出された規制開度TRGSSLは、時刻t=0以降、図4(d)に示すようなエンジン2の温度TWの経時変化に応じた経時変化を示す。これは、エンジン2の温度TWが低い場合には高く設定され、エンジン2の温度TWが高くなるにつれ低く設定された図3(b)に示す規制開度TRGSSLの特性に対応する。
【0063】
ステップS8の処理では、目標スロットル開度算出部19が、ステップS2の処理において算出されたアクセル開度APの変化量DAPに基づいて、アクセル操作部材が開き側に操作、つまりスロットル弁8が開き側に駆動されているか否かを判別する。判別の結果、アクセル操作部材が開き側に操作、つまりスロットル弁8が開き側に駆動されている場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS9の処理に進める。一方で、アクセル操作部材が閉じ側に操作、つまりスロットル弁8が閉じ側に駆動されている場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS13の処理に進める。
【0064】
ステップS9の処理では、エンジン2の回転速度NEが不要に急上昇しないように、目標スロットル開度算出部19が、ステップS2の処理において算出されたアクセル開度APの変化量DAPに応じて、スロットル弁8の開度、つまり実スロットル開度の変化速度が緩慢になるように目標スロットル開度TRGを調整する。これにより、ステップS9の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS13の処理に進む。
【0065】
ここで、図4(a)に示すように、かかるステップS9の処理で実スロットル開度の変化速度が緩慢になるように調整された目標スロットル開度TRGの区間は、アクセル開度APが開けられたためにその変化量DAPが大きくなった時刻t=t1から時刻t2の区間、時刻t=t3から時刻t=t4の手前の区間、及び時刻t=t7から時刻t=t8の
区間である。なお、図中、実スロットル開度の変化速度が緩慢になるように調整される前の目標スロットル開度TRGは、点線で示す。
【0066】
ステップS10の処理では、センタースタンド状態検出部15が、前回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態であったかを判別する。かかる前回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSは、メモリに記憶されていたものを読み出して用いた。判別の結果、前回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態であった場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS11の処理に進める。一方で、前回の処理において検出されたセンタースタンド6の作動状態SSが起立状態ではなく格納状態であった場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS14の処理に進める。
【0067】
ステップS11の処理では、目標スロットル開度算出部19が、ステップS7の処理におけるものと同様の手法で規制開度TRGSSLを算出すると共に、目標スロットル開度TRGが規制開度TRGSSLに到達したか否かを判別する。かかる規制開度TRGSSLの値は、便宜的には前回の処理で算出されメモリに記憶されていたものを読み出して用いてもよい。判別の結果、目標スロットル開度TRGが規制開度TRGSSLに到達している場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS14の処理に進める。一方で、前回の処理において目標スロットル開度TRGが規制開度TRGSSLに到達していない場合には、電子制御スロットル制御部Cはスロットル開度制御処理をステップS12の処理に進める。
【0068】
ステップS12の処理では、目標スロットル開度算出部19が、規制開度TRGSSLの値を徐々に大きくして、規制開度TRGSSLに従う目標スロットル開度TRGの規制を徐々に緩和し、スロットル弁8の開度である実スロットル開度が規制開度TRGSSLにより規制されない目標スロットル開度TRGになるように、スロットル開度F/B制御部21により制御されることを可能とする。これは、今回の処理においてセンタースタンド6の作動状態SSが格納状態に変化して、目標スロットル開度TRGが規制開度TRGSSLに到達していない場合には、鞍乗り型車両1はこれから加速状態に向かうことが一般的なので、運転者による鞍乗り型車両1の加速を許容することを考慮したものである。また、規制開度TRGSSLに従う目標スロットル開度TRGの規制を徐々に緩和するのは、この際に運転者の違和感を減少しつつ鞍乗り型車両1が急加速することを抑制するために好ましいことを考慮したものである。これにより、ステップS12の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS13の処理に進む。
【0069】
ステップS13の処理では、目標スロットル開度算出部19が、規制開度TRGSSLに従って目標スロットル開度TRGを規制する。これにより、ステップS13の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS2の処理に戻る。なお、今回のスロットル開度制御処理は、エンジン2が停止されるタイミングで終了する。
【0070】
ここで、図4(a)に示すように、かかるステップS13の処理で規制開度TRGSSLにより規制された目標スロットル開度TRGが現れるのは、時刻t=t4を跨ぐ区間、及び時刻t=t8から時刻t=t9の手前の区間である。なお、図中では、ステップS7の処理からステップS9の処理を介してステップS13の処理に至った場合の例を示し、ステップS10の処理からステップS13の処理を介してステップS13の処理に至った場合の例は、示されてはいない。
【0071】
また、これに対応して、図4(c)に示すように、エンジン2の回転速度NEは、時刻t=0から時刻t=t5の区間、及び時刻t=6以降の区間において、遠心式クラッチ5
が断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内に収まっている。
【0072】
ステップS14の処理では、運転者による鞍乗り型車両1の加速を優先すべく、目標スロットル開度算出部19が、規制開度TRGSSLによる目標スロットル開度TRGの規制を禁止する。これにより、ステップS14の処理は完了し、スロットル開度制御処理はステップS2の処理に戻る。
【0073】
ここで、図4(a)に示すように、かかるステップS14の処理で規制開度TRGSSLによる目標スロットル開度TRGの規制を禁止された区間は、時刻t=t5から時刻t=t6の区間に相当し、この区間では、目標スロットル開度TRGは、規制開度TRGSSLにより規制されることはない。なお、図中では、ステップS10の処理からステップS12の処理を介してステップS14の処理に至った場合の例を示し、ステップS5の処理からステップS14の処理に至った場合、並びにステップS10の処理及びステップS11の処理を介してステップS14の処理に至った場合の各々の例は、示されてはいない。
【0074】
以上の説明から明らかなように、本実施形態における車両用電子制御装置10のスロットル開度制御処理では、電子制御スロットル制御部Cの目標スロットル開度算出部19が、センタースタンド状態検出部15によって検出されたセンタースタンド6の状態が起立状態である場合には、エンジン2の回転速度NEが遠心式クラッチ5が断たれた状態を維持することができる回転速度の範囲内になるように目標スロットル開度TRGを規制するので、鞍乗り型車両1の唐突な発進や触媒の劣化を抑制することができる。また、スロットル弁8を駆動させないという規制と比較して、スロットル弁8の異常が発生したのではと運転者が疑念を抱く事態が発生することを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態における車両用電子制御装置10のスロットル開度制御処理では、電子制御スロットル制御部Cの目標スロットル開度算出部19が、センタースタンド6の状態が起立状態である場合には、スロットル弁8が開き側に駆動されている時にはアクセル開度APの変化量DAPに対して実スロットル開度の変化速度が緩慢になるようにスロットル弁8を駆動し、スロットル弁8が閉じ側に駆動されている時には実スロットル開度の変化速度がアクセル開度APの変化量DAPに対応した速度になるようにスロットル弁8を駆動するので、センタースタンド6の状態が起立状態である場合にスロットル弁4が開き側に駆動されたとしても、遠心式クラッチ5が不要に接合することを抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態における車両用電子制御装置10のスロットル開度制御処理では、電子制御スロットル制御部Cの目標スロットル開度算出部19が、センタースタンド6の状態が起立状態から格納状態に変化した場合には、センタースタンド6の状態が起立状態であるときの目標スロットル開度TRGの規制を徐々に緩和するので、鞍乗り型車両1が不要に急加速することを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態における車両用電子制御装置10のスロットル開度制御処理では、電子制御スロットル制御部Cの目標スロットル開度算出部19が、センタースタンド状態検出部15がセンタースタンド6の状態を検出できない場合には、目標スロットル開度TRGの規制を解除するので、センタースタンド6が起立しているのか、又は、センタースタンド状態検出部15が故障しているのか判断できない状況下において、鞍乗り型車両1を発進させることができなくなる事態が発生することを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態における車両用電子制御装置10のスロットル開度制御処理では、目標スロットル開度TRGを規制する規制開度TRGSSLが、エンジン2の温度TWに応
じて変化するように設定されるので、油脂類の粘度の低下に応じて遠心式クラッチ5のフリクションが低下することに起因して、遠心式クラッチ5が不要に接続されることを抑制することができる。
【0079】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明は、鞍乗り型車両の唐突な発進や触媒の劣化を抑制可能な車両用電子制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等の車両用の電子制御装置に広く適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0081】
1…鞍乗り型車両
2…エンジン
3…後輪
4…ベルト式無段変速機
5…遠心式クラッチ
6…センタースタンド
7…前輪
8…スロットル弁
10…車両用電子制御装置
11…アクセル開度算出部
12…吸気圧算出部
13…エンジン温度算出部
14…車速算出部
15…センタースタンド状態検出部
16…エンジン回転速度算出部
17…スロットル開度算出部
18…燃料点火時期制御部
19…目標スロットル開度算出部
20…偏差算出部
21…スロットル開度フィードバック(F/B)制御部
22…モータ駆動出力部
C…電子制御スロットル制御部
S…センタースタンド状態検知スイッチ
図1
図2
図3
図4