(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
従来から、水平方向に延びている車軸と、車軸を中心に回転可能な車輪と、車軸を支持するキャスター本体(回転ケース)と、キャスター本体(回転ケース)上に被せるように構成された凹状のベース部材(本体ケース)とを具備し、鉛直方向に延びている旋回中心軸線上から外れた位置に車軸を配置することにより、旋回中心軸線を中心に、キャスター本体(回転ケース)がベース部材(本体ケース)に対して旋回できるように構成されたキャスターが知られている。この種のキャスターの例としては、例えば特許文献1(特開2011−218141号公報)の
図1〜
図5に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、水平面上に円形に配列された複数のボールが、キャスター本体(回転ケース)と、その径方向外側のベース部材(本体ケース)との間に配置されている。
【0005】
つまり、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、キャスター本体(回転ケース)とベース部材(本体ケース)との間の複数のボールが、いわゆる「ボールベアリング」の「球状転動体(ボール)」として機能している。また、キャスター本体(回転ケース)が、いわゆる「ボールベアリング」の「インナーレース」として機能している。更に、キャスター本体(回転ケース)の径方向外側のベース部材(本体ケース)が、いわゆる「ボールベアリング」の「アウターレース」として機能している。
【0006】
その結果、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、鉛直方向に延びている旋回中心軸線を中心に、キャスター本体(回転ケース)をベース部材(本体ケース)に対して旋回させることができる。
【0007】
ところで、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、組立時に、凹状のベース部材(本体ケース)内にキャスター本体(回転ケース)を挿入した状態で、複数のボールをキャスター本体(回転ケース)とベース部材(本体ケース)との間に配置することができない。
【0008】
つまり、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターの組立時には、ベース部材(本体ケース)の凹部内の外周部に複数のボールを静止させた状態で、凹状のベース部材(本体ケース)内にキャスター本体(回転ケース)を挿入しなければならない。すなわち、凹状のベース部材(本体ケース)内にキャスター本体(回転ケース)を挿入する前に、ベース部材(本体ケース)の凹部内の外周部に複数のボールを静止させなければならない。
【0009】
ところが、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、ベース部材(本体ケース)の凹部内の外周部に複数のボールを静止させるための構成が設けられていない。
【0010】
そのため、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、ベース部材(本体ケース)の凹部内の外周部に複数のボールを静止させる作業が非常に困難になっており、凹状のベース部材(本体ケース)内にキャスター本体(回転ケース)を挿入する作業に、簡単に移行することができない。
【0011】
すなわち、特許文献1の
図1〜
図5に記載されたキャスターでは、キャスターの組立性を十分に向上させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記問題点に鑑み、本発明は、組立性を向上させることができるキャスターを提供することを目的とする。
【0014】
詳細には、本発明は、旋回軸と旋回軸収容穴との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター全体の上下方向寸法を小型化すると共に、組立性を向上させることができるキャスターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載のキャスターは、水平方向に延びている車軸と、車軸を中心に回転可能な車輪と、車軸を支持するキャスター本体と、キャスター本体上に被せるように
凹状に構成され樹脂
で成形
された凹状のベース部材とを具備し、鉛直方向に延びている旋回中心軸線上から外れた位置に車軸が配置されることにより、旋回中心軸線を中心に、キャスター本体がベース部材に対して旋回できるように構成されたキャスターにおいて、凹状のベース部材の天井部から下側に突出するようにベース部材の天井部にインサートされた旋回軸と、旋回軸のすべり軸受として機能する旋回軸収容穴を有し、キャスター本体の上面に形成された旋回軸受部と、旋回軸と旋回軸収容穴との間に発生するこじり力を抑制するための第1金属球および第2金属球とを備え、車軸の一方の端部を収容するための穴を有する第1側壁部と、車軸の他方の端部を収容するための穴を有する第2側壁部とが、キャスター本体に形成され、第1金属球を収容するための凹部を有する第1保持部が、キャスター本体の上面のうちの、第1側壁部の上側で穴の上方の部分に形成され、第2金属球を収容するための凹部を有する第2保持部が、キャスター本体の上面のうちの、第2側壁部の上側で穴の上方の部分に形成され、第1保持部によって保持された第1金属球と、凹状のベース部材の天井部とを当接させると共に、第2保持部によって保持された第2金属球と、凹状のベース部材の天井部とを当接させ、第1金属球の直径および第2金属球の直径は、旋回軸の直径よりも大きいものである。
【0016】
請求項2に記載の
キャスターは、請求項1に記載のキャスターにおいて、凹状のベース部材
は、旋回中心軸線を中心とする円形溝が天井
部の下面に形成
され、円形溝
は、水平な天井面と、内周面と、外周面とを有し、旋回中心軸線を含む鉛直断面内における断面形状
がコ字状
であり、第1保持
部によって保持された第1金属
球と、円形
溝の天井
面とを当接させることなく、第1保持
部によって保持された第1金属
球と、円形
溝の内周
面の下端エッ
ジおよび外周
面の下端エッ
ジとを当接させ、第2保持
部によって保持された第2金属
球と、円形
溝の天井
面とを当接させることなく、第2保持
部によって保持された第2金属
球と、円形
溝の内周
面の下端エッ
ジおよび外周
面の下端エッ
ジとを当接させた
ものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載のキャスター(100)では、水平方向に延びている車軸(3)と、車軸(3)を中心に回転可能な車輪(5)と、車軸(3)を支持するキャスター本体(2)と、キャスター本体(2)上に被せるように構成された凹状のベース部材(6)とが設けられている。また、鉛直方向に延びている旋回中心軸線(CL1b)上から外れた位置に車軸(3)を配置することにより、旋回中心軸線(CL1b)を中心に、キャスター本体(2)がベース部材(6)に対して旋回できるように構成されている。
【0018】
詳細には、請求項1に記載のキャスター(100)では、樹脂材料の成形によって凹状のベース部材(6)が形成されている。更に、凹状のベース部材(6)の天井部(6a)から下側に突出するように、旋回軸(1)がベース部材(6)の天井部(6a)にインサートされている。また、旋回軸(1)のすべり軸受として機能する旋回軸収容穴(2a1)を有する旋回軸受部(2a)が、キャスター本体(2)の上面に形成されている。
【0019】
つまり、請求項1に記載のキャスター(100)では、ベース部材(6)の天井部(6a)にインサートされている旋回軸(1)が、すべり軸受として機能する旋回軸収容穴(2a1)を有する旋回軸受部(2a)によって支持されることにより、キャスター本体(2)が旋回中心軸線(CL1b)を中心にベース部材(6)に対して旋回することができる。
【0020】
ところで、請求項1に記載のキャスター(100)では、キャスター(100)が取り付けられた被取付体(200)の移動方向を変更すると、それに伴って、キャスター本体(2)が旋回中心軸線(CL1b)を中心にベース部材(6)に対して旋回するように、旋回中心軸線(CL1b)上から外れた位置に車軸(3)が配置されている。
【0021】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)では、被取付体(200)の荷重により、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間にこじり力が発生する。
【0022】
このこじり力は、旋回中心軸線(CL1b)方向の旋回軸(1)の長さおよび旋回軸収容穴(2a1)の長さを長くすることにより、抑制することができる。ところが、旋回中心軸線(CL1b)方向の旋回軸(1)の長さおよび旋回軸収容穴(2a1)の長さを長くすると、キャスター(100)全体の上下方向寸法が大型化してしまう。
【0023】
この点に鑑み、請求項1に記載のキャスター(100)では、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター(100)全体の上下方向寸法を小型化するために、下記の構成が採用されている。
【0024】
具体的には、請求項1に記載のキャスター(100)では、車軸(3)の一方の端部(3b)を収容するための穴(2b1a)を有する第1側壁部(2b1)と、車軸(3)の他方の端部(3c)を収容するための穴(2b2a)を有する第2側壁部(2b2)とが、キャスター本体(2)に形成されている。また、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制するための第1金属球(4a)と、第2金属球(4b)とが設けられている。
【0025】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)では、第1金属球(4a)を収容するための凹部(2c3)を有する第1保持部(2c)が、キャスター本体(2)の上面のうちの、第1側壁部(2b1)の上側の部分に形成されている。また、第2金属球(4b)を収容するための凹部(2d3)を有する第2保持部(2d)が、キャスター本体(2)の上面のうちの、第2側壁部(2b2)の上側の部分に形成されている。更に、第1保持部(2c)によって保持された第1金属球(4a)と、凹状のベース部材(6)の天井部(6a)とが当接すると共に、第2保持部(2d)によって保持された第2金属球(4b)と、凹状のベース部材(6)の天井部(6a)とが当接している。
【0026】
つまり、請求項1に記載のキャスター(100)では、キャスター(100)が取り付けられた被取付体(200)の荷重が、ベース部材(6)から旋回軸(1)を介してキャスター本体(2)に伝わるのみならず、ベース部材(6)から第1金属球(4a)を介してキャスター本体(2)に伝わると共に、ベース部材(6)から第2金属球(4b)を介してキャスター本体(2)に伝わる。
【0027】
すなわち、請求項1に記載のキャスター(100)では、キャスター(100)が取り付けられた被取付体(200)の荷重が、ベース部材(6)から、複数箇所に分散されてキャスター本体(2)に伝わる。
【0028】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、キャスター(100)が取り付けられた被取付体(200)の荷重が、ベース部材(6)から旋回軸(1)のみを介してキャスター本体(2)に伝わる場合よりも、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制することができる。
【0029】
つまり、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回中心軸線(CL1b)方向の旋回軸(1)の長さおよび旋回軸収容穴(2a1)の長さを長くする必要なく、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制することができる。
【0030】
すなわち、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター(100)全体の上下方向寸法を小型化することができる。
【0031】
その上、請求項1に記載のキャスター(100)では、上述したように、第1金属球(4a)を収容するための凹部(2c3)を有する第1保持部(2c)と、第2金属球(4b)を収容するための凹部(2d3)を有する第2保持部(2d)とが設けられている。
【0032】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、複数の球状転動体(ボール)のための保持器が設けられていない特許文献1(特開2011−218141号公報)の
図1〜
図5に記載されたキャスターよりも、キャスター(100)の組立性を向上させることができる。
【0033】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)では、第1金属球(4a)の直径および第2金属球(4b)の直径が、旋回軸(1)の直径よりも大きく設定されている。
【0034】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、第1金属球(4a)の直径および第2金属球(4b)の直径が旋回軸(1)の直径より小さく設定されている場合よりも、第1金属球(4a)を第1保持部(2c)の凹部(2c3)に挿入する作業および第2金属球(4b)を第2保持部(2d)の凹部(2d3)に挿入する作業を容易にすることができ、キャスター(100)の組立性を向上させることができる。
【0035】
換言すれば、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(1)と旋回軸収容穴(2a1)との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター(100)全体の上下方向寸法を小型化すると共に、キャスター(100)の組立性を向上させることができる。
【0036】
請求項2に記載のキャスター(100)では、旋回中心軸線(CL1b)を中心とする円形溝(6a1)が、凹状のベース部材(6)の天井部(6a)の下面に形成されている。また、旋回中心軸線(CL1b)を含む鉛直断面内における円形溝(6a1)の断面形状が、コ字状に設定されている。更に、コ字状の鉛直断面形状を有する円形溝(6a1)が、水平な天井面(6a1a)と、内周面(6a1b)と、外周面(6a1c)とによって構成されている。
【0037】
詳細には、請求項2に記載のキャスター(100)では、第1保持部(2c)によって保持された第1金属球(4a)と、円形溝(6a1)の天井面(6a1a)とが当接することなく、第1保持部(2c)によって保持された第1金属球(4a)と、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)とが当接している。
【0038】
つまり、請求項2に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(2)の第1保持部(2c)の凹部(2c3)に収容された第1金属球(4a)が、その凹部(2c3)内で旋回中心軸線(CL1b)の径方向に移動してしまうことが、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)によって防止されている。
【0039】
その結果、請求項2に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(2)の第1保持部(2c)の凹部(2c3)に収容された第1金属球(4a)が、その凹部(2c3)内で旋回中心軸線(CL1b)の径方向外側に移動し、凹状のベース部材(6)の外周壁部(6b)に当接してしまうことが、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)によって防止されている。
【0040】
そのため、請求項2に記載のキャスター(100)によれば、キャスター本体(2)の第1保持部(2c)の凹部(2c3)に収容された第1金属球(4a)が凹状のベース部材(6)の外周壁部(6b)に当接することに伴って、ベース部材(6)に対するキャスター本体(2)の旋回動作の抵抗が増大してしまうのを回避することができる。
【0041】
更に、請求項2に記載のキャスター(100)では、第2保持部(2d)によって保持された第2金属球(4b)と、円形溝(6a1)の天井面(6a1a)とが当接することなく、第2保持部(2d)によって保持された第2金属球(4b)と、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)とが当接している。
【0042】
つまり、請求項2に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(2)の第2保持部(2d)の凹部(2d3)に収容された第2金属球(4b)が、その凹部(2d3)内で旋回中心軸線(CL1b)の径方向に移動してしまうことが、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)によって防止されている。
【0043】
その結果、請求項2に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(2)の第2保持部(2d)の凹部(2d3)に収容された第2金属球(4b)が、その凹部(2d3)内で旋回中心軸線(CL1b)の径方向外側に移動し、凹状のベース部材(6)の外周壁部(6b)に当接してしまうことが、円形溝(6a1)の内周面(6a1b)の下端エッジ(6a1b1)および外周面(6a1c)の下端エッジ(6a1c1)によって防止されている。
【0044】
そのため、請求項2に記載のキャスター(100)によれば、キャスター本体(2)の第2保持部(2d)の凹部(2d3)に収容された第2金属球(4b)が凹状のベース部材(6)の外周壁部(6b)に当接することに伴って、ベース部材(6)に対するキャスター本体(2)の旋回動作の抵抗が増大してしまうのを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明のキャスターの第1の実施形態について説明する。
図1および
図2は第1の実施形態のキャスター100を示した図である。詳細には、
図1(A)は第1の実施形態のキャスター100の平面図、
図1(B)は第1の実施形態のキャスター100の右側面図、
図1(C)は第1の実施形態のキャスター100の正面図、
図1(D)は
図1(A)のA−A線に沿った第1の実施形態のキャスター100の鉛直断面図、
図1(E)は第1の実施形態のキャスター100の底面図である。
図2は右後側かつ下側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図である。
図3は右後側かつ上側から見た第1の実施形態のキャスター100の分解斜視図である。
【0047】
図4〜
図6は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するキャスター本体2を示した図である。詳細には、
図4(A)はキャスター本体2の底面図、
図4(B)はキャスター本体2の後側面図、
図4(C)はキャスター本体2の左側面図、
図4(D)はキャスター本体2の平面図である。
図5(A)はキャスター本体2の右側面図、
図5(B)は
図4(D)のB−B線に沿ったキャスター本体2の鉛直断面図、
図5(C)は
図4(D)のC−C線に沿ったキャスター本体2の鉛直断面図、
図5(D)は
図4(D)のD−D線に沿ったキャスター本体2の鉛直断面図、
図5(E)は
図4(D)のE−E線に沿ったキャスター本体2の鉛直断面図、
図5(F)は
図4(D)のF−F線に沿ったキャスター本体2の鉛直断面図である。
図6(A)は右後側かつ上側から見たキャスター本体2の斜視図、
図6(B)は右前側かつ下側から見たキャスター本体2の斜視図である。
【0048】
図7は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸1を示した図である。詳細には、
図7(A)は旋回軸1の平面図、
図7(B)は旋回軸1の正面図、
図7(C)は
図7(A)のG−G線に沿った旋回軸1の鉛直断面図、
図7(D)は旋回軸1の底面図である。
【0049】
図8〜
図10は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸1とベース部材6との組立体を示した図である。詳細には、
図8(A)は旋回軸1とベース部材6との組立体の平面図、
図8(B)は旋回軸1とベース部材6との組立体の右側面図、
図8(C)は旋回軸1とベース部材6との組立体の底面図、
図8(D)は
図8(A)のH−H線に沿った旋回軸1とベース部材6との組立体の鉛直断面図である。
図9は
図8(D)の一部を拡大して示した図である。
図10(A)は右後側かつ上側から見た旋回軸1とベース部材6との組立体の斜視図、
図10(B)は右前側かつ下側から見た旋回軸1とベース部材6との組立体の斜視図である。
【0050】
図11は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸1とベース部材6との組立体と金属球4a,4bとの関係を示した図である。詳細には、
図11(A)は
図1(E)のJ−J線に沿った鉛直断面内における旋回軸1とベース部材6との組立体と、金属球4aとの関係を示した図である。
図11(B)は
図1(E)のK−K線に沿った鉛直断面内における旋回軸1とベース部材6との組立体と、金属球4bとの関係を示した図である。
図12は第1の実施形態のキャスター100の第1適用例を示した図である。
【0051】
第1の実施形態のキャスター100では、
図1〜
図3に示すように、水平方向に延びている車軸3(
図1(D)、
図2および
図3参照)と、車軸3を中心に回転可能な車輪5(
図1〜
図3参照)と、車軸3を支持するキャスター本体2(
図1(D)、
図1(E)、
図2および
図3参照)と、キャスター本体2上に被せるように構成された凹状のベース部材6(
図1〜
図3参照)とが設けられている。また、
図1(D)および
図3に示すように、鉛直方向に延びている旋回中心軸線CL1b(
図1(D)参照)上から外れた位置に車軸3(
図1(D)および
図3参照)を配置することにより、旋回中心軸線CL1bを中心に、キャスター本体2(
図1(D)および
図3参照)がベース部材6(
図1(D)および
図3参照)に対して旋回できるように構成されている。
【0052】
詳細には、第1の実施形態のキャスター100では、樹脂材料の成形によってベース部材6(
図1、
図2、
図3、
図8、
図9および
図10参照)が形成されている。更に、
図8および
図10に示すように、円形の天井部6aと、外周壁部6bとによって、ベース部材6が凹状に形成されている。また、ねじ穴6c1を有するフランジ部6cが、ベース部材6の外周壁部6bの下端部に形成されている。更に、凹状のベース部材6の天井部6a(
図8(A)、
図8(D)および
図10(A)参照)から下側(
図8(D)の右側)に突出するように、旋回軸1(
図7、
図8(D)および
図10(B)参照)がベース部材6の天井部6aにインサートされている。
【0053】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、例えば金属材料によって旋回軸1(
図7、
図8(D)および
図10(B)参照)が形成されている。また、
図7に示すように、フランジ部1aと、軸状の旋回軸部1bとが、旋回軸1に設けられている。更に、旋回軸1が旋回中心軸線CL1b(
図7および
図8(D)参照)を中心にベース部材6(
図8(D)参照)に対して回転してしまうインサート成形不良を抑制するために、切り欠き部1a1(
図7(A)参照)が、フランジ部1aに形成されている。つまり、ベース部材6(
図8(D)参照)を構成する樹脂材料と、フランジ部1aとの密着性が、切り欠き部1a1によって向上せしめられている。
【0054】
また、第1の実施形態のキャスター100では、
図7に示すように、下端面1b1と、側面1b3と、それらの間のテーパ面1b2とによって、旋回軸部1bが構成されている。更に、下端面1b1が水平面によって構成されている。また、旋回中心軸線CL1bを中心とする下側円筒面1b3aと、旋回中心軸線CL1bを中心とする上側円筒面1b3bと、それらの間の係合溝1b3cとによって、側面1b3が構成されている。更に、下側円筒面1b3aの直径と、上側円筒面1b3bの直径とが、等しく設定されている。
【0055】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、樹脂材料の成形によってキャスター本体2(
図1(D)、
図1(E)、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6参照)が形成されている。第2の実施形態のキャスター100では、代わりに、例えばダイキャストによってキャスター本体2を形成することも可能である。
【0056】
また、第1の実施形態のキャスター100では、
図4(D)、
図5(B)および
図6(A)に示すように、旋回軸1(
図1(D)、
図8(D)および
図10(B)参照)のすべり軸受として機能する旋回軸収容穴2a1を有する旋回軸受部2aが、キャスター本体2の上面に形成されている。
【0057】
詳細には、第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸1(
図1(D)、
図7(B)および
図7(C)参照)の旋回軸部1b(
図7(B)および
図7(C)参照)を収容する旋回軸収容穴2a1(
図4(D)、
図5(B)および
図6(A)参照)と、旋回軸1(
図1(D)および
図7参照)のフランジ部1a(
図7参照)の下面に対向する上面2a2(
図4(D)、
図5(B)および
図6(A)参照)とが、旋回軸受部2a(
図4(D)、
図5(B)および
図6(A)参照)に設けられている。更に、
図5(B)に示すように、旋回軸収容穴2a1の中心軸線CL2a1を中心とする下側円筒面2a1aと、上側円筒面2a1bと、それらの間の係合突起2a1cとが、旋回軸収容穴2a1に設けられている。また、下側円筒面2a1aの直径と、上側円筒面2a1bの直径とが、等しく設定されている。更に、係合突起2a1cが、下側円筒面2a1aおよび上側円筒面2a1bよりも中心軸線CL2a1の側に突出せしめられている。また、中心軸線CL2a1に垂直な水平面状の底面2a1dが、旋回軸収容穴2a1に設けられている。更に、底面2a1dの中央であって、中心軸線CL2a1上の位置に、上側(
図5(B)の左側)に突出した球面状の突起2a1d1が形成されている。
【0058】
その結果、第1の実施形態のキャスター100では、スナップフィットによって、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)が、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)に対して、回転可能に固定(抜け止め)される。具体的には、第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)の下側円筒面1b3a(
図7(B)および
図7(C)参照)と、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の係合突起2a1c(
図5(B)参照)とが、しまりばめを構成する。更に、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)の下側円筒面1b3a(
図7(B)および
図7(C)参照)と、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の下側円筒面2a1a(
図5(B)参照)とが、すきまばめを構成する。また、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)の上側円筒面1b3b(
図7(B)および
図7(C)参照)と、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の上側円筒面2a1b(
図5(B)参照)とが、すきまばめを構成する。更に、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)の係合溝1b3c(
図7(B)および
図7(C)参照)と、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の係合突起2a1c(
図5(B)参照)とが、すきまばめを構成する。
【0059】
そのため、第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)の下側円筒面1b3a(
図7(B)および
図7(C)参照)が、キャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の係合突起2a1c(
図5(B)参照)を乗り越えるように、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)が旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)に圧入されると、旋回軸1(
図1(D)および
図8(D)参照)が、旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)から抜けなくなると共に、旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)に対して回転可能になる。
【0060】
つまり、第1の実施形態のキャスター100では、
図1(D)に示すように、ベース部材6の天井部6aにインサートされている旋回軸1が、すべり軸受として機能する旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)を有する旋回軸受部2a(
図5(B)参照)によって支持されることにより、キャスター本体2が旋回中心軸線CL1bを中心にベース部材6に対して旋回することができる。
【0061】
詳細には、第1の実施形態のキャスター100では、
図1(D)に示すように、旋回軸1がキャスター本体2の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)によって支持されている時、旋回軸1のフランジ部1a(
図7参照)の下面とキャスター本体2の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の上面2a2(
図5(B)参照)とが接触することなく、旋回軸1の旋回軸部1b(
図7(B)および
図7(C)参照)の下端面1b1(
図7(B)および
図7(C)参照)のみが、キャスター本体2の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の突起2a1d1(
図5(B)参照)と点接触する。
【0062】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、旋回軸1(
図1(D)参照)のフランジ部1a(
図7参照)の下面とキャスター本体2(
図1(D)参照)の旋回軸受部2a(
図5(B)参照)の上面2a2(
図5(B)参照)とが面接触する場合や、旋回軸1(
図1(D)参照)の旋回軸部1b(
図7(B)および
図7(C)参照)の下端面1b1(
図7(B)および
図7(C)参照)とキャスター本体2(
図1(D)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の底面2a1d(
図5(B)参照)とが面接触する場合よりも、ベース部材6(
図1(D)参照)に対するキャスター本体2(
図1(D)参照)の旋回動作の抵抗を低減することができる。
【0063】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、
図4(A)、
図4(B)および
図6に示すように、車輪5(
図1〜
図3参照)を収容するための凹部2b3と、その両側の側壁部2b1,2b2とを有するヨーク部2bが、キャスター本体2に設けられている。また、車軸3(
図3参照)の一方の端部3b(
図3参照)を収容するための穴2b1a(
図3、
図5(A)および
図6参照)が、一方の側壁部2b1(
図3、
図4、
図5(A)および
図6参照)に形成されている。更に、車軸3(
図3参照)の他方の端部3c(
図3参照)を収容するための穴2b2a(
図3、
図4(C)および
図6参照)が、他方の側壁部2b2(
図3、
図4および
図6参照)に形成されている。また、例えば車軸3(
図3参照)の一方の端部3b(
図3参照)を側壁部2b1(
図3、
図4、
図5(A)および
図6参照)の穴2b1a(
図3、
図5(A)および
図6参照)に対して圧入することにより、車軸3(
図3参照)がキャスター本体2(
図3参照)に対して固定される。
【0064】
第1の実施形態のキャスター100では、圧入によって車軸3(
図3参照)がキャスター本体2(
図3参照)に対して固定されるが、第3の実施形態のキャスター100では、代わりに、Eリング、Cリング等を用いることによって車軸3(
図3参照)をキャスター本体2(
図3参照)に固定することも可能である。
【0065】
また、第1の実施形態のキャスター100では、車輪5(
図1〜
図3参照)が、例えば樹脂材料の成形によって形成されている。更に、床面に接触するための外周面5b(
図3参照)と、車軸3(
図3参照)の中央部3a(
図3参照)を収容するための穴5a(
図3参照)とが、車輪5(
図3参照)に形成されている。また、車輪5(
図3参照)の穴5a(
図3参照)と、車軸3(
図3参照)の中央部3a(
図3参照)とによって、すきまばめが構成されている。つまり、車輪5(
図3参照)の穴5a(
図3参照)が車軸3(
図3参照)の中央部3a(
図3参照)のすべり軸受として機能し、車輪5(
図3参照)が車軸3(
図3参照)に対して回転することができる。
【0066】
第1の実施形態のキャスター100では、車輪5(
図3参照)の穴5a(
図3参照)が車軸3(
図3参照)の中央部3a(
図3参照)のすべり軸受として機能するが、第4の実施形態のキャスター100では、代わりに、車輪5(
図3参照)の穴5a(
図3参照)と車軸3(
図3参照)の中央部3a(
図3参照)との間にベアリングを配置することも可能である。
【0067】
ところで、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター100(
図12参照)が取り付けられた被取付体200(
図12参照)の移動方向を変更すると、それに伴って、キャスター本体2(
図1(D)参照)が旋回中心軸線CL1b(
図1(D)参照)を中心にベース部材6(
図1(D)参照)に対して旋回するように、旋回中心軸線CL1b(
図1(D)参照)上から外れた位置に車軸3(
図1(D)参照)が配置されている。
【0068】
そのため、第1の実施形態のキャスター100では、被取付体200(
図12参照)の荷重により、旋回軸1(
図1(D)および
図7参照)とキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)との間にこじり力が発生する。
【0069】
このこじり力は、旋回中心軸線CL1bの方向(
図1(D)および
図5(B)の左右方向)の旋回軸1(
図1(D)参照)の長さおよびキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の長さを長くすることにより、抑制することができる。ところが、旋回中心軸線CL1bの方向の旋回軸1の長さおよび旋回軸収容穴2a1の長さを長くすると、キャスター100全体の上下方向寸法(
図1(D)の左右方向寸法)が大型化してしまう。
【0070】
この点に鑑み、第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸1(
図1(D)参照)とキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター100全体の上下方向寸法(
図1(D)の左右方向寸法)を小型化するために、下記の構成が採用されている。
【0071】
具体的には、第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸1(
図1(D)参照)とキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)との間に発生するこじり力を抑制するための金属球4a,4b(
図3および
図11参照)が設けられている。
【0072】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、金属球4a(
図3および
図11(A)参照)を収容するための凹部2c3(
図4(B)、
図4(D)、
図5(A)、
図5(C)、
図5(D)および
図6(A)参照)を有する保持部2c(
図3、
図4(B)、
図4(D)、
図5(A)、
図5(C)、
図5(D)および
図6(A)参照)が、キャスター本体2(
図1(D)、
図1(E)および
図2〜
図6参照)の上面のうちの、側壁部2b1(
図1(B)、
図1(C)、
図1(E)および
図2〜
図6参照)の上側(
図5(D)の左側)の部分に形成されている。また、
図5(C)および
図5(D)に示すように、水平面状の底面2c3bと、円筒面状または円錐面状の側面2c3aとによって、凹部2c3が構成されている。
【0073】
また、第1の実施形態のキャスター100では、金属球4b(
図3および
図11(B)参照)を収容するための凹部2d3(
図4(B)、
図4(C)、
図4(D)、
図5(E)、
図5(F)および
図6(A)参照)を有する保持部2d(
図3、
図4(B)、
図4(C)、
図4(D)、
図5(E)、
図5(F)および
図6(A)参照)が、キャスター本体2(
図1(D)、
図1(E)および
図2〜
図6参照)の上面のうちの、側壁部2b2(
図1(C)、
図1(E)および
図2〜
図6参照)の上側(
図5(F)の右側)の部分に形成されている。更に、
図5(E)および
図5(F)に示すように、水平面状の底面2d3bと、円筒面状または円錐面状の側面2d3aとによって、凹部2d3が構成されている。
【0074】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、
図11(A)に示すように、保持部2c(
図3参照)によって保持された金属球4aと、凹状のベース部材6の天井部6aとが当接している。また、
図11(B)に示すように、保持部2d(
図3参照)によって保持された金属球4bと、凹状のベース部材6の天井部6aとが当接している。
【0075】
つまり、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター100(
図12参照)が取り付けられた被取付体200(
図12参照)の荷重が、ベース部材(6(
図1(D)および
図3参照)から旋回軸1(
図1(D)および
図3参照)を介してキャスター本体2(
図1(D)および
図3参照)に伝わるのみならず、ベース部材6(
図3および
図11(A)参照)から金属球4a(
図3および
図11(A)参照)を介してキャスター本体2(
図3参照)に伝わると共に、ベース部材6(
図3および
図11(B)参照)から金属球4b(
図3および
図11(B)参照)を介してキャスター本体2(
図3参照)に伝わる。
【0076】
すなわち、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター100(
図12参照)が取り付けられた被取付体200(
図12参照)の荷重が、ベース部材6(
図3参照)から、複数箇所に分散されてキャスター本体2(
図3参照)に伝わる。
【0077】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター100(
図12参照)が取り付けられた被取付体200(
図12参照)の荷重が、ベース部材6(
図3参照)から旋回軸1(
図3参照)のみを介してキャスター本体2(
図3参照)に伝わる場合よりも、旋回軸1(
図1(D)および
図3参照)とキャスター本体2(
図3および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)との間に発生するこじり力を抑制することができる。
【0078】
つまり、第1の実施形態のキャスター100によれば、旋回中心軸線CL1bの方向(
図1(D)および
図5(B)の左右方向)の旋回軸1(
図1(D)参照)の長さおよびキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)の長さを長くする必要なく、旋回軸1と旋回軸収容穴2a1との間に発生するこじり力を抑制することができる。
【0079】
すなわち、第1の実施形態のキャスター100によれば、旋回軸1(
図1(D)参照)とキャスター本体2(
図1(D)および
図5(B)参照)の旋回軸収容穴2a1(
図5(B)参照)との間に発生するこじり力を抑制しつつ、キャスター100全体の上下方向寸法(
図1(D)の左右方向寸法)を小型化することができる。
【0081】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、複数の球状転動体(ボール)のための保持器が設けられていない特許文献1(特開2011−218141号公報)の
図1〜
図5に記載されたキャスターよりも、キャスター100の組立性を向上させることができる。
【0082】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、金属球4a(
図3および
図11(A)参照)の直径および金属球4b(
図3および
図11(B)参照)の直径が、旋回軸1(
図1(D)参照)の直径、詳細には、旋回軸1(
図1(D)および
図7参照)の下側円筒面1b3a(
図7(B)および
図7(C)参照)および上側円筒面1b3b(
図7(B)および
図7(C)参照)の直径よりも大きく設定されている。
【0083】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、金属球4a(
図3および
図11(A)参照)の直径および金属球4b(
図3および
図11(B)参照)の直径が旋回軸1(
図1(D)参照)の直径より小さく設定されている場合よりも、金属球4a(
図3参照)を保持部2c(
図3参照)の凹部2c3(
図6(A)参照)に挿入する作業および金属球4b(
図3参照)を保持部2d(
図3参照)の凹部2d3(
図6(A)参照)に挿入する作業を容易にすることができ、キャスター100の組立性を向上させることができる。
【0084】
詳細には、第1の実施形態のキャスター100では、
図8(C)、
図8(D)および
図9に示すように、旋回中心軸線CL1bを中心とする円形溝6a1が、凹状のベース部材6の天井部6aの下面に形成されている。また、
図9に示すように、旋回中心軸線CL1bを含む鉛直断面内における円形溝6a1の断面形状が、コ字状に設定されている。更に、コ字状の鉛直断面形状を有する円形溝6a1が、水平な天井面6a1aと、内周面6a1bと、外周面6a1cとによって構成されている。
【0085】
また、第1の実施形態のキャスター100では、保持部2c(
図3参照)によって保持された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)と、円形溝6a1(
図9および
図11(A)参照)の天井面6a1a(
図9参照)とが当接することなく、保持部2c(
図3参照)によって保持された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)と、円形溝6a1(
図9および
図11(A)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ6a1c1(
図9参照)とが当接している。
【0086】
つまり、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2c(
図3および
図6(A)参照)の凹部2c3(
図6(A)参照)に収容された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)が、その凹部2c3内で旋回中心軸線CL1b(
図11(A)参照)の径方向(
図11(A)の左上−右下方向)に移動してしまうことが、円形溝6a1(
図9および
図11(A)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ6a1c1(
図9参照)によって防止されている。
【0087】
その結果、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2c(
図3および
図6(A)参照)の凹部2c3(
図6(A)参照)に収容された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)が、その凹部2c3内で旋回中心軸線CL1b(
図11(A)参照)の径方向外側(
図11(A)の右下側)に移動し、凹状のベース部材6(
図11(A)参照)の外周壁部6b(
図11(A)参照)に当接してしまうことが、円形溝6a1(
図9および
図11(A)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ6a1c1(
図9参照)によって防止されている。
【0088】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2c(
図3および
図6(A)参照)の凹部2c3(
図6(A)参照)に収容された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)が凹状のベース部材6(
図11(A)参照)の外周壁部6b(
図11(A)参照)に当接することに伴って、ベース部材6(
図3参照)に対するキャスター本体2(
図3参照)の旋回動作の抵抗が増大してしまうのを回避することができる。
【0089】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、保持部2d(
図3参照)によって保持された金属球4b(
図3および
図11(B)参照)と、円形溝6a1(
図9および
図11(B)参照)の天井面6a1a(
図9参照)とが当接することなく、保持部2d(
図3参照)によって保持された金属球4b(
図3および
図11(B)参照)と、円形溝6a1(
図9および
図11(B)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ6a1c1(
図9参照)とが当接している。
【0090】
つまり、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2d(
図3および
図6(A)参照)の凹部2d3(
図6(A)参照)に収容された金属球4b(
図3および
図11(B)参照)が、その凹部2d3内で旋回中心軸線CL1b(
図11(B)参照)の径方向(
図11(B)の左下−右上方向)に移動してしまうことが、円形溝6a1(
図9および
図11(B)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ(
図9参照)6a1c1(
図9参照)によって防止されている。
【0091】
その結果、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2d(
図3および
図6(A)参照)の凹部2d3(
図6(A)参照)に収容された金属球4b(
図3および
図11(B)参照)が、その凹部2d3内で旋回中心軸線CL1b(
図11(B)参照)の径方向外側(
図11(B)の左下側)に移動し、凹状のベース部材6(
図11(B)参照)の外周壁部6b(
図11(B)参照)に当接してしまうことが、円形溝6a1(
図9および
図11(B)参照)の内周面6a1b(
図9参照)の下端エッジ6a1b1(
図9参照)および外周面6a1c(
図9参照)の下端エッジ6a1c1(
図9参照)によって防止されている。
【0092】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2c(
図3および
図6(A)参照)の凹部2c3(
図6(A)参照)に収容された金属球4a(
図3および
図11(A)参照)が凹状のベース部材6(
図11(A)参照)の外周壁部6b(
図11(A)参照)に当接することに伴って、ベース部材6(
図3参照)に対するキャスター本体2(
図3参照)の旋回動作の抵抗が増大してしまうのを回避することができる。
【0093】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター本体2(
図3および
図6参照)の保持部2d(
図3および
図6(A)参照)の凹部2d3(
図6(A)参照)に収容された金属球4b(
図3および
図11(B)参照)が凹状のベース部材6(
図11(B)参照)の外周壁部6b(
図11(B)参照)に当接することに伴って、ベース部材6(
図3参照)に対するキャスター本体2(
図3参照)の旋回動作の抵抗が増大してしまうのを回避することができる。
【0094】
第1の実施形態のキャスター100の第1適用例では、
図12に示すように、被取付体200の下面200aに穴200a1が形成され、その穴200a1内にベース部材6(
図3参照)の天井部6a(
図3参照)および外周壁部6b(
図3参照)が収容され、ベース部材6(
図3参照)のフランジ部6c(
図3参照)が、被取付体200の下面200aに対してねじ止めされ、それにより、キャスター100が被取付体200に固定される。
【0095】
第1の実施形態のキャスター100の第2適用例では、被取付体200の下面200aに穴200a1に対してベース部材6(
図3参照)の外周壁部6b(
図3参照)を圧入することにより、キャスター100を被取付体200に固定し、フランジ部6c(
図3参照)のねじ止めを省略することも可能である。
【0096】
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。