特許第6193713号(P6193713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193713
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】空冷エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/12 20060101AFI20170828BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20170828BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20170828BHJP
   F02B 77/00 20060101ALI20170828BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   F01P11/12 B
   F01P5/06 510A
   F02B67/00 D
   F02B77/00 H
   F02F7/00 301A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-208262(P2013-208262)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-71977(P2015-71977A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 常由
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−314280(JP,A)
【文献】 実開昭60−139041(JP,U)
【文献】 実開昭60−147719(JP,U)
【文献】 国際公開第2004/003361(WO,A1)
【文献】 実開昭62−116134(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/12
F01P 5/06
F02B 67/00
F02B 77/00
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケースに支持されたクランク軸と、前記クランク軸の一端部に装着されて空気吸入口から吸入された冷却空気をシリンダブロックおよびマフラーに送給する冷却ファンと、クランクケースの下方に配置された燃料タンクとを備えた空冷エンジンであって、
前記クランクケースが、クランク軸の他端部に向かって開口した前記空気吸入口を有し、
さらに前記空気吸入口の外周から前記クランクケースの外周面に沿って前記他端部に向かって延び、前記空気吸入口への異物の侵入を阻止するカバー体と、
前記カバー体に装着された弾性体とを備え、
前記カバー体は、基端部が前記クランクケースにおける空気吸入口の外周部に近接して、第1のねじ体により前記クランクケースに着脱自在に取り付けられており、
前記弾性体が燃料タンクに圧接された状態で前記カバー体が燃料タンクとクランクケースとの間に支持され、
前記カバー体における貫通した複数の小孔を有する底面に装着孔が形成され、前記装着孔に前記弾性体が装着されている空冷エンジン。
【請求項2】
請求項1に記載の空冷エンジンにおいて、前記カバー体の先端部にクランクケースの外周面に向かって延びてこの外面に近接する端壁が設けられている空冷エンジン。
【請求項3】
クランクケースに支持されたクランク軸と、前記クランク軸の一端部に装着されて空気吸入口から吸入された冷却空気をシリンダブロックおよびマフラーに送給する冷却ファンと、クランクケースの下方に配置された燃料タンクとを備えた空冷エンジンであって、
前記クランクケースが、クランク軸の他端部に向かって開口した前記空気吸入口を有し、
さらに前記空気吸入口の外周から前記クランクケースの外周面に沿って前記他端部に向かって延び、前記空気吸入口への異物の侵入を阻止するカバー体と、
前記カバー体に装着された弾性体とを備え、
前記弾性体が燃料タンクに圧接された状態で前記カバー体が燃料タンクとクランクケースとの間に支持され、
前記カバー体は、前記マフラーを前記クランクケースに取り付ける第1のねじ体によって前記クランクケースに共締めされている空冷エンジン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の空冷エンジンにおいて、前記カバー体は、前記冷却ファンを覆うファンハウジングまたは前記クランクケースに支持されたカバー用ブラケットに、第2のねじ体によって取り付けられている空冷エンジン。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の空冷エンジンにおいて、前記クランクケースは、前記空気吸入口を有し前記クランク軸の一端部側に位置する大クランクケース半体と、前記クランク軸の他端部側に位置する小クランクケース半体とを有し、前記カバー体は前記大クランクケース半体の前記空気吸入口の外周側近傍から小クランクケース半体の軸方向中央部まで延びている空冷エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機のような作業機の駆動源として用いられる空冷エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空冷エンジンにおいて、冷却ファンの空気吸入口への異物の侵入を阻止するカバー体をクランクケースにねじ体で固定したものがある(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4112892号
【特許文献2】特開2003−314280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に示されたカバー体の固定構造では、長いカバー体がエンジンに片持ち支持されているので、エンジンの作動時にエンジンの振動の影響を受けてカバー体が揺れて不快な騒音を発生するのみならず、クランクケースにおけるカバー体の支持部位であるねじ体固定部に荷重がかかって、耐久性を低下させる。
【0005】
本発明の目的は、エンジンの振動の影響を受けても異物侵入阻止用のカバー体が振動して騒音を発生することがなく、カバー体をエンジンに支持できる空冷エンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る空冷エンジンは、クランクケースに支持されたクランク軸と、前記クランク軸の一端部に装着されて空気吸入口から吸入された冷却空気をシリンダブロックおよびマフラーに送給する冷却ファンと、クランクケースの下方に配置された燃料タンクとを備えた空冷エンジンであって、前記クランクケースが、クランク軸の他端部に向かって開口した前記空気吸入口を有し、さらに前記空気吸入口の外周から前記クランクケースの外周面に沿って前記他端部に向かって延び、前記空気吸入口への異物の侵入を阻止するカバー体と、前記カバー体に装着された弾性体とを備え、前記弾性体が燃料タンクに圧接された状態で前記カバー体が燃料タンクとクランクケースとの間に支持されている
【0007】
この構成によれば、カバー体は、弾性体が燃料タンクに圧接された状態で燃料タンクとクランクケースとの間に支持されるので、カバー体の振動は、前記弾性体によって吸収緩和される。したがって、カバー体の振動による騒音の発生が抑制されるとともに、カバー体の支持部の耐久性が向上する。
【0008】
本発明の空冷エンジンにおいて、前記カバー体に形成した装着孔に前記弾性体が装着されていることが好ましい。この構成によれば、カバー体に予め形成した装着孔を利用して弾性体を装着できるから、別途の装着手段が不要となるので、構造が簡素化できる。
【0009】
本発明の空冷エンジンにおいて、前記カバー体は、基端部がクランクケースにおける空気吸入口の外周部に近接し、先端部にクランクケースの外周面に向かって延びてこの外周面に近接する端壁が設けられていることが好ましい。この構成によれば、カバー体の容積空間、つまり、カバー体の内側空間を大きくとれるため、カバー体による吸入抵抗の増大を抑制できる。
【0010】
本発明の空冷エンジンにおいて、前記カバー体は、貫通した複数の小孔を有することが好ましい。この構成によれば、複数の小孔によって、冷却用の空気のみを取り込み、異物の侵入を阻止できる。しかも、複数の小孔はパンチング加工により容易に形成できる。
【0011】
本発明の空冷エンジンにおいて、カバー体は、ねじ体によってクランクケースに着脱自在に取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、メンテナンス時に、ねじ体によってカバー体を容易に取り外しおよび取り付けできる。
【0012】
本発明の空冷エンジンにおいて、さらに、前記カバー体は、前記マフラーをクランクケースに取り付ける第1のねじ体によって前記クランクケースに共締めされていることが好ましい。この構成によれば、カバー体をクランクケースにねじ止めする専用のねじ体が不要となって、部品点数を削減できる。
【0013】
本発明の空冷エンジンにおいて、前記カバー体は、前記冷却ファンを覆うファンハウジングまたはクランクケースに支持されたカバー用ブラケットに、第2のねじ体によって取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、カバー体は、ファンハウジングまたはクランクケースに支持されたカバー用ブラケットを利用して第2のねじ体によって取り付けられるので、ファンハウジングまたはクランクケースに第2のねじ体を取り付けるための特別なマウント部が不要となる。
【0014】
本発明の空冷エンジンにおいて、前記クランクケースは、前記空気吸入口を有し前記クランク軸の一端部側に位置する大クランクケース半体と、前記クランク軸の他端部側に位置する小クランクケース半体とを有し、前記カバー体は前記大クランクケース半体の前記空気吸入口の外周側近傍から小クランクケース半体の軸方向中央部まで延びる構成とすることが好ましい。この構成によれば、カバー体が軸方向に長くなって、内側空間の容積を大きくできるので、冷却空気の吸入抵抗の増大を一層抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カバー体は、弾性体が燃料タンクに圧接された状態で支持されるので、カバー体の振動を抑制できる。したがって、カバー体の振動による騒音の発生が抑制されるとともに、カバー体の支持部の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の好ましい実施形態を示す小型空冷エンジンの一部断面側面図である。
図2】同小型空冷エンジンの正面図である。
図3】同小型空冷エンジンの大クランクケース半体をエンジン後方から見た背面図である。
図4】同小型空冷エンジンのファンハウジングをエンジン後方から見た背面図である。
図5】同小型空冷エンジンのカバー体の斜視図である。
図6】同カバー体の背面図である。
図7】同カバー体の左側面図である。
図8】同カバー体の右側面図である。
図9】同カバー体の底面図である。
図10】弾性体の斜視図である。
図11】同カバー体を取り付けるカバー用ブラケットの斜視図である。
図12】同カバー体のクランクケースへの取付部であって、マフラー側の取付部分を示す拡大断面図である。
図13】同カバー体のクランクケースへの取付部であって、エアクリーナ側の取付部分を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1および図2を参照しながら説明する。図1に示す小型空冷エンジン1は、刈払機のような作業機の駆動源として用いられる小型の2サイクルエンジンである。
【0018】
この小型空冷エンジン1は、内部に燃焼室(図示せず)を形成したシリンダブロック2が、クランク室(図示せず)を形成するクランクケース3の上部に連結されている。シリンダブロック2およびクランクケース3は、それぞれ、アルミニウム合金のような金属製である。クランクケース3はピストン(図示せず)が連結されたクランク軸4を支持している。小型空冷エンジン1の前部には作業機が連結され、後部にはリコイルスタータ5が設けられている。
【0019】
図2に示すように、シリンダブロック2の一側部(図2の左側)には、吸気系を構成する気化器6とエアクリーナ7が接続され、他側部(図2の右側)には、排気系を構成するマフラー8が接続されている。クランクケース3の下部には燃料タンク9が取り付けられ、燃料タンク9の上部に給油口を開閉するキャップ19が装着されている。
【0020】
シリンダブロック2およびマフラー8は樹脂製のシュラウド10により覆われている。シリンダブロック2の上部には点火プラグPが設けられ、プラグキャップ11で覆われて保護されている。
【0021】
図1に示すクランクケース3は前半部を形成する大クランクケース半体3Aと後半部を形成する小クランクケース半体3Bとからなる。クランク軸4の前端部である一端部には、冷却ファン12が一体回転するように取り付けられ、大クランクケース半体3Aには、クランク軸4の後端部である他端部に向かって開口した空気吸入口13が形成されている。冷却ファン12は、大クランクケース半体3Aに連結されたファンハウジング15により覆われている。
【0022】
冷却ファン12の回転により空気吸入口13から吸入された冷却空気CAが、図2のシリンダブロック2およびマフラー8に送給される。冷却ファン12から送給された冷却空気CAは、シリンダブロック2を冷却したのち、シュラウド10に形成された主排出口16Aから外部に排出され、マフラー8を冷却したのち、排気ガスの排出口18および副排出口16Bから外部に排出される
【0023】
リコイルスタータ5は、クランク軸4の軸心Cと同心状に配置された図示しないスタータプーリを介してクランク軸4を回転させる。スタータプーリはスタータハンドル5aによって回転され、エンジン1を始動する。
【0024】
図1に示す燃料タンク9とクランクケース3との間には、空気吸入口13の外周側近傍からクランクケース3の外周面3aに沿って後端部(他端部)に向かって延び、空気吸入口13への異物の侵入を阻止するカバー体20が設けられている。このカバー体20には複数の弾性体24が所定間隔をおいて設けられており、弾性体24が燃料タンク9に圧接された状態で燃料タンク9とクランクケース3との間に支持されている。前記カバー体20は、後述するように、第1および第2のねじ体31,42によってクランクケース3に取り付けられている。
【0025】
大クランクケース半体3Aは、冷却ファン12の一部を収納する大径部3Aaと小径部3Abとを有し、その間に両者3Aa,3Abをつなぐ段部3Acが設けられている。図3は、大クランクケース半体3Aをエンジン後方から見た背面図である。大クランクケース半体3Aの段部3Acには、リブ17で区画された3つの空気吸入口13が形成されている。カバー体20は、前述のとおり、空気吸入口13の外周側近傍に配置され、カバー体20を大クランクケース半体3Aに取り付けるのに利用されるボス21および第1フランジ22が大クランクケース半体3Aの両側部に設けられている。第1フランジ22には、ねじ孔22aとノックピン孔22bが形成されている。
【0026】
図4に示すように、ファンハウジング15には、第2フランジ23が設けられており、この第2フランジ2が図3の3Aの第1フランジ22と重合され、後述するカバー体20の取り付けに使用される。第2フランジ23には、挿通孔23aとノックピン孔23bが形成されている。
【0027】
図5はカバー体の斜視図である。同図に示すように、カバー体20は、略U字状に形成された板材の全面にわたって複数の小孔20aがパンチング加工により設けられ、その基端部(前端部)の両側に第1および第2ブラケット27A、27Bがそれぞれ設けられている。図6に示すように、第1ブラケット27Aは基端部の上下方向中間部に、第2ブラケット27Bは上部にそれぞれ設けられている。カバー体20の底面は、燃料タンク9(図2)の上面形状にほぼ沿う形状となっている。カバー体20の先端部には、クランクケース3の外周面3a(図1)に向かって延びて外周面3aに近接する端壁20bが形成されている。
【0028】
図7に示すように、第1ブラケット27Aは、カバー体20の所定位置にスポット溶接28で取り付けられている。また、第2ブラケット27Bは、図8に示すように、カバー体20の所定位置にスポット溶接28で取り付けられている。
【0029】
図9の底面図に示すように、カバー体20の底面には複数の装着孔26が形成されている。この装着孔26は例示の場合、4つ設けられているが、2つ、3つまたは5つ以上あってもよい。この装着孔26には、図10に示す合成ゴムのような弾性体24が取り付けられる。弾性体24は円板部24aの中央部に突部24bが設けられ、円板部24aと突部24bの間にくびれ部24cが形成されている。図1に示すように、弾性体24は、くびれ部24cが装着孔26に入り込んでカバー体20に取り付けられ、円板部24aが燃料タンク9の上面に圧接され、突部24bがクランクケース3側に面している。
【0030】
つぎに、カバー体20のクランクケース3への取り付け部について説明する。図3に示すボス21に、図2のマフラー8のステー30が第1ねじ体31によって取り付けられるが、その際、第1ブラケット27Aも共締めされる。すなわち、図12に示すように、ファンハウジング15のボス21にステー30と第1ブラケット27Aが重合され、第1ねじ体31が第1ブラケット27Aおよびステー30の挿通孔に挿通されて、ボス21のねじ孔21aにねじ込まれることで、第1ブラケット27Aとステー30がファンハウジング15に取り付けられている。こうして、カバー体20の一側部をファンハウジング15に支持している。
【0031】
他方、図13に示すように、大クランクケース半体3Aの第1フランジ22およびファンハウジング15の第2フランジ23には、カバー用ブラケット33を介してカバー体20の第2ブラケット27Bが取り付けられている。カバー用ブラケット33は、図11に示すように、コの字状に形成されており、前部(図11の左側)の端壁にねじ挿通孔34
とノックピン孔35が設けられ、後部(図11の右側)の端壁の内側に溶接ナット36が設けられている。
【0032】
図13に示す大クランクケース半体3Aの第1フランジ22とファンハウジング15の第2フランジ23とが重合され、ノックピン41がカバー用ブラケット33、第1および第2フランジ22、23のノックピン孔35,22b、23bに嵌合されて、カバー用ブラケット33と、第1および第2フランジ22、23とが位置決めされる。第3のねじ体43がカバー用ブラケット33および第2フランジ23の挿通孔34,23aに挿通され、第1フランジ22のねじ孔22aにねじ込まれることで、カバー用ブラケット33が大クランクケース半体3Aおよびファンハウジング15に取り付けられている。
【0033】
ここで、第3ねじ体43によってハーネスクランプ45もカバー用ブラケット33に取り付けられている。このハーネスクランプ45にはハーネス46が保持される。カバー体20の第2ブラケット27Bの挿通孔から溶接ナット36に第2のねじ体42をねじ込むことにより、第2ブラケット27Bがカバー用ブラケット33に取り付けられる。こうして、カバー体20の他側部をクランクケース3とファンハウジング15に支持している。
【0034】
なお、大クランクケース半体3Aの第1フランジ22とファンハウジング15の第2フランジ23の一方を省略することもできる。これにより、カバー体20の他側部がクランクケース3またはファンハウジング15のみに直接支持される。
【0035】
つぎに、上記構成の小型空冷エンジンの動作について説明する。図1に示すカバー体20には弾性体24が装着され、この弾性体24が燃料タンク9に圧接された状態でカバー体20が燃料タンク9とクランクケース3との間に支持されているので、カバー体の振動は前記弾性体24によって吸収緩和される。したがって、カバー体20が振動しないので、カバー体20の振動による騒音の発生が抑制されるとともに、カバー体20の支持部である第1および第2ブラケット27A,27Bの耐久性が向上する。
【0036】
図9に示すように、カバー体20に予め形成した装着孔26に弾性体24を装着したので、別途の装着手段が不要となって、構造が簡素化される。
【0037】
図1に示すように、カバー体20は、基端部がクランクケース3における空気吸入口13の外周部に近接し、先端部に、クランクケース3側に延びてその外周面3aに近接する端壁20bを設けたので、カバー体20とクランクケース3との間の容積空間、つまり、カバー体20の内側空間Sを大きくとれるため、カバー体20による吸入抵抗の増大を抑制できる。
【0038】
図5に示すように、カバー体20に貫通した複数の小孔20aを形成したので、複数の小孔20aによって冷却空気CAのみを取り込み、異物の侵入は小孔20aにより阻止できる。しかも、複数の小孔20aはパンチング加工により容易に形成できる。
【0039】
図2に示すように、カバー体20は、第1および第2のねじ体31,42によってクランクケース3に着脱自在に取り付けられているので、メンテナンス時に、第1および第2のねじ体31,42によってカバー体20を容易に取り外しできる。
【0040】
カバー体20の一側部は、マフラー8をクランクケース3に取り付ける第1のねじ体31によってクランクケース3に共締めしたので、カバー体20をクランクケース3にねじ止めする専用のねじ体が不要となって、部品点数を削減できる。
【0041】
図1に示すように、カバー体20は、ファンハウジング15およびクランクケース3に支持されたカバー用ブラケット33を利用して第2のねじ体42によって取り付けられているから、ファンハウジング15またはクランクケース3に第2のねじ体42を取り付けるための特別なマウント部が不要となるので、カバー体20の取付構造を簡素化できる。
【0042】
カバー体20は大クランクケース半体3Aの空気吸入口13の外周側の近傍から小クランクケース半体3Bの軸方向中央部まで長く延びているから、カバー体20の内側容積Sを大きくできるので、カバー体20を通過する冷却空気CAの吸入抵抗が大きくならない。この吸入抵抗を低く抑えることができるので、吸入音も小さくなり、さらに、カバー体20の振動を抑制できる。このことからもカバー体20のねじ取付部位への影響を一層減少できる。
【0043】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、図2の第1および第2のねじ体31,42に代えて、カバー体20の上部の両側部をゴムのような防振材を介してクランクケース3の外周面3aに押し当てるようにしてもよい。また、図1のカバー用ブラケット33に代えて、ファンハウジング15にねじ孔を有するボスを形成し、このねじ孔を利用して第2のねじ体42により、第2ブラケット27Bをファンハウジング15にねじ止めしてもよい。なお、上記実施形態では、小型の2サイクル空冷エンジンについて説明したが、本発明は、小型の4サイクル空冷エンジンについても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1…小型空冷エンジン
2…シリンダブロック
3…クランクケース
3a…外周面
3A…大クランクケース半体
3B…小クランクケース半体
4…クランク軸
8…マフラー
9…燃料タンク
12…冷却ファン
13…空気吸入口
15…ファンハウジング
20…カバー体
20a…小孔
20b…端壁
24…弾性体
26…装着孔
31…第1のねじ体
33…カバー用ブラケット
42…第2のねじ体
43…第3のねじ体
CA…冷却空気
S…内側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13