(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1(a)〜(f)には、第1実施形態の端面処理装置を用いて、中空構造パネル2に端面処理を行う工程を順に示している。ここで端面処理を行う中空構造パネル2は、例えば
図2に示すような工程で製造される。
【0018】
以下においては、端面処理の対象となる中空構造パネル2について、
図2に基づいてまず説明する。
【0019】
中空構造パネル2を製造するには、
図2(a)に示すように、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン製のシート70に真空成形を施し、このシート70に、多数列のハーフハニカムウェブ72を形成する。
【0020】
次いで、
図2(b)に示すように、各ハーフハニカムウェブ72が起立するようにシート70を一方向に折り畳んでゆく。これにより、隣接するハーフハニカムウェブ72同士が互いに密着し、連続したハニカム構造を形成するように組み合わせる。
【0021】
このとき、隣接するハーフハニカムウェブ72間に形成された一直線状の平坦部分74が、一面側と他面側に交互に配されてゆく。隣接する平坦部分74同士は互いに密着し、連続したスキン面を形成する。ここで、
図2(c)に示すように、隣接する平坦部分74同士を熱溶着させることで、中空の六角柱が並設されたハニカム状のコア材4が形成される。隣接する平坦部分74同士は、全域に亘って隙間なく密着する必要はない。隣接する平坦部分74間に隙間が生じる場合であっても、ここでの隙間は、後述のようにラミネートされる第一の層6や第二の層8で封止されるため問題はない。
【0022】
次いで、
図2(d)に示すように、このコア材4の厚み方向の一方のスキン面に対して、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン製のシートから成る第一の層6を、ラミネートさせる。コア材4の厚み方向の他方のスキン面には、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン製のシートから成る第二の層8を、ラミネートさせる。第一の層6や第二の層8は、コア材4と同じくポリプロピレン製であることが貼り合わせ強度の点で好ましいが、他の熱可塑性樹脂で形成してもよい。
【0023】
このように、本実施形態の端面処理を行う中空構造パネル2は、ハニカム状の中空構造を有するコア材4を、第一の層6と第二の層8で厚み方向の両側から挟み込んだ構造であり、機械的特性において等方性に優れる。中空構造パネル2の端面には、コア材4の中空構造の端面が露出する。
【0024】
コア材4は、熱可塑性樹脂を用いて中空構造に成形したものであればよく、図示のハニカム構造に限定されない。例えば、コア材4の中空構造が、押し出し成形によってハーモニカの穴のように中空部分を一列に形成した構造でもよいし、或いは、一対の円錐台の上底面同士を付き合わせた形状の柱体を多数並設した構造や、円柱体を多数並設した構造であってもよい。
【0025】
第一の層6や第二の層8についても、
図2(d)に示すような軟質の樹脂シートに限定されない。例えば、第一の層6や第二の層8として、比較的硬質の樹脂板材を用い、この樹脂板材をコア材4の両側に一体に成形することも可能である。第一の層6を、炭素繊維やガラス繊維といった熱可塑性樹脂以外の材料を用いて形成することも可能である。更に、炭素繊維やガラス繊維といった熱可塑性樹脂以外の材料を、第一の層6や第二の層8の外側に積層することも可能である。
【0026】
次に、前記のように製造される中空構造パネル2に端面処理を行うための、本実施形態の端面処理装置について説明する。
【0027】
本実施形態の端面処理装置は、前記構成の中空構造パネル2の外周部に端面処理を行う処理機構を備える。この処理機構は、
図1(b)〜(f)に示す各機構100,200,300,400,500を有する。
図1(a)に示すものは、端面処理前の中空構造パネル2の要部である。
【0028】
図1(b)には、エンドミル等の切削工具10を用いて第一の層6の外周部を除去する除去機構100を示している。
【0029】
以下の本文中では、切削工具10で除去する第一の層6の外周部を、第一外周部12という。第一外周部12は、第一の層6のうち中空構造パネル2の一端縁に沿った部分であり、平面視において、前記一端縁から所定の幅14を有する(
図1(a)参照)。
【0030】
除去機構100は、切削工具10としてエンドミル以外の刃物を用いる機構でもよい。また、除去機構100は、第一の層6に切れ目を入れたうえで第一外周部12を除去する機構であってもよい。
【0031】
第一外周部12を切除した後の中空構造パネル2においては、コア材4の外周部が、厚み方向の一方の側(第一の層6を貼着した側)にも露出する。本文中では、厚み方向にも露出するコア材4の外周部を、コア材外周部16という。コア材外周部16は、コア材4のうち中空構造パネル2の一端縁に沿って所定の幅を有する部分である。前記幅は、第一外周部12と同一の幅14である(
図1(c)参照)。
【0032】
即ち、除去工程後の中空構造パネル2において、コア材4が有するコア材外周部16は、その中空構造が端面に露出し、且つ、厚み方向の一方の面にも露出する部分である。コア材外周部16の厚み方向の他方の面は、第二の層8の外周部で覆われる。
【0033】
本文中では、コア材外周部16を被覆する第二の層8の外周部を、第二外周部18という。第二外周部18は、第二の層8のうち中空構造パネル2の一端縁に沿って所定の幅を有する部分である。前記幅は、第一外周部12やコア材4と同一の幅14である。
【0034】
図1(c)には、ブロア等の熱風噴出部20を用いてコア材外周部16を加熱する加熱機構200を示している。
【0035】
ここでは、中空構造パネル2の上方に位置する一つ又は複数の熱風噴出部20から、厚み方向の一面側及び端面を露出させたコア材外周部16に対して、高温の熱風を吹き付ける。これにより、コア材外周部16は、後の加工が可能となるように加熱される。
【0036】
加熱機構200によるコア材外周部16の加熱は、第一外周部12を除去していることで、短時間で完了することができる。中空構造を有するコア材外周部16は、第一の層6や第二の層8に比較して軟化し易い構造であるから、加熱機構200で与える熱量は小さくて済む。特に、本実施形態のコア材4は、第一の層6や第二の層8をなすシートよりも薄肉のシート70を用いて成形したものであるから、コア材4の外周部であるコア材外周部16は、第一の層6や第二の層8に比較して一層軟化し易い性質を有する。したがって、小さい熱量を与えるだけでコア材外周部16を短時間で軟化させることができ、且つ、第一の層6等の中空構造パネル2の他の部分が熱変形を生じるという事態は、抑えることができる。
【0037】
加熱機構200は、コア材外周部16を加熱できる機構であればよく、熱風噴出部20のようなブロアを用いた間接加熱方式の機構に限定されず、ロール等を用いた直接加熱方式の機構を用いることも可能である。
【0038】
図1(d)には、加熱後のコア材外周部16と第二外周部18とを、一体に折り曲げて溶着させる溶着機構300を示している。この溶着機構300は、第二外周部18を下方から90度折り曲げて起立させる押圧部材22を有する。
【0039】
本実施形態では、上記の幅14を、中空構造パネル2の厚みと同程度に設定している。そのため、幅14の分だけ折り曲げたコア材外周部16と第二外周部18は、中空構造パネル2の端面全体を封止するように位置する。
【0040】
このとき、加熱されたコア材外周部16が、コア材4のうちコア材外周部16以外の部分に対して熱溶着される。第二外周部18は、加熱されたコア材外周部16を介して、コア材4の一端縁に熱溶着される。溶着工程後の中空構造パネル2の角部分は、意図した通りの直角となるように形成される。上記の幅14は、中空構造パネル2の厚みよりも大きく設定することが可能である。この場合は、熱溶着による端面封止後に、余った分を刃物等で切除する。
【0041】
図1(e)には、溶着工程後の中空構造パネル2の端面に冷却板24を当接させて冷却工程を行う冷却機構400を示している。この冷却工程では、前段階の溶着工程において折り曲げ及び熱溶着された第二外周部18に対して、平板状である冷却板24を当接させることにより、加圧と冷却を同時に行う。これにより、端面処理後の中空構造パネル2の端面は意図した通りの平坦面となり、この端面の角部分は、更に意図通りのきれいな直角となる。
【0042】
冷却機構400は、冷却板24を用いた直接冷却式の機構に限定されず、エアー等を用いた間接冷却方式の機構を用いることも可能である。また、溶着機構300が有する押圧部材22が、冷却機構400を兼ねるように設けることも可能である。この場合、押圧部材22が冷却板24を兼ねるように設け、押圧部材22によって第二外周部18を折り曲げて熱溶着させ、且つ、この押圧部材22によって加圧と冷却を行う。
【0043】
図1(f)には、冷却工程後の中空構造パネル2が有する食み出し部26(
図1(e)参照)を、カッター28で切除する後処理機構500を示している。ここで切除する食み出し部26は、折り曲げた第二外周部18と第一の層6との隙間から上方に食み出たものである。カッター28は、第一の層6の表面と略同じ高さに刃先を有し、この刃先で食み出し部26を切除する。食み出し部26を除去する他の手段として、エンドミルで除去する手段、加熱して目立ち難くする手段等を採用することも可能である。
【0044】
本実施形態では、前記した除去機構100による除去工程、加熱機構200による加熱工程、溶着機構300による溶着工程、冷却機構400による冷却工程、後処理機構500による後処理工程が、処理対象の中空構造パネル2に対してこの順で行われ、端面処理を意図した通りに短時間で完了する。端面処理後の中空構造パネル2の角部分は、意図通りのきれいな直角形状を有する。また、端面処理後の中空構造パネル2には表裏がなく、機械的特性及び意匠性においても等方性に優れたものとなる。
【0045】
次に、第2実施形態の端面処理装置について、
図3(a)〜(h)に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、詳しい説明を省略する。
【0046】
本実施形態の端面処理装置においては、第1実施形態の端面処理装置が備える処理機構と同様の機構100,200,300,400,500に加えて、溝形成機構600として、溝切り機構150と熱罫線機構250を備える。
【0047】
溝切り機構150による溝切り工程は
図3(c)に示すようなもので、
図3(b)の除去工程と
図3(d)の加熱工程の間で実施する。熱罫線機構250による熱罫線工程は
図3(e)に示すようなもので、
図3(d)に示す加熱工程と
図3(f)に示す溶着工程との間で実施する。
【0048】
つまり、本実施形態の処理機構においては、第1実施形態と同様の除去機構100による除去工程後に、本実施形態の処理機構が備える溝切り機構150での溝切り工程を行う。次いで、第1実施形態と同様の加熱機構200による加熱工程を行い、その後に、本実施形態の処理機構が備える熱罫線機構250による熱罫線工程を行う。次いで、第1実施形態と同様の溶着機構300による溶着工程、冷却機構400による冷却工程、後処理機構500による後処理工程を、この順で行う。
【0049】
図3(c)には、チップソー等の刃具からなる溝形成具30を用いて、コア材外周部16に溝32を形成する溝切り機構150を示している。溝32は、中空構造パネル2の一端縁から幅14だけ隔てた箇所にて、一直線状に形成する(
図3(d)参照)。ここで溝32を形成する箇所は、後の熱罫線工程で溝36を形成する箇所と同一に設ける。溝形成具30は刃具に限定されず、先端に刃を有さない薄板等を、溝形成具30として用いることも可能である。
【0050】
図3(e)には、加熱された成形具34を上方から当接させて、コア材外周部16に溝36を形成する熱罫線機構250を示している。
【0051】
成形具34は、コア材外周部16を加熱して潰すように設けた押圧部38と、コア材外周部16に溝36を形成するように設けた刃部40とを有する熱刃である。押圧部38は、その先端に平坦な押圧面を有し、この押圧面よりも下方に突出するように刃部40の刃先を設けている。
【0052】
成形具34は、押圧部38と刃部40が一体となってコア材外周部16に当接し、押圧部38によってコア材外周部16全体を加熱して潰して平坦に成形し、且つ、刃部40によって、コア材4のうちコア材外周部16とこれ以外の部分との境界線上に、V字状の溝36を形成する。成形具34は、押圧部38と刃部40を一体に設けた構造でもよいし、押圧部38と刃部40を別体に設けた構造でもよい。
【0053】
コア材外周部16の樹脂は、後の溶着工程での第二外周部18の溶着に利用される。コア材外周部16の樹脂量が溶着のために不十分であれば、樹脂シートを足す等して、樹脂量を補充することも可能である。
【0054】
刃部40で形成する溝36は、先の溝切り工程で形成した溝32の軌跡をなぞるように形成され、溝32と溝36とは重畳的に形成される。
【0055】
溝32,36は、中空構造パネル2の一端縁から幅14だけ隔てた位置にあるので、
図3(f)に示す溶着工程において、コア材外周部16と第二外周部18は、溝32,36を起点として幅14の分だけ折り曲げられる。
【0056】
第二外周部18は、一直線上に形成される溝32,36を起点として折り曲げられるので、溶着工程後の中空構造パネル2の角部分は、意図した通りの一層きれいな直角となるように形成される。
【0057】
なお、本実施形態では、溝形成機構600として溝切り機構150と熱罫線機構250の両方を備えているが、このうち一方だけ備えることも可能である。
【0058】
溝切り機構150だけを備えた場合、溝形成具30で形成した溝32を起点として、コア材外周部16と第二外周部18を、幅14の分だけ直角に折り曲げることができる。熱罫線機構250だけを備えた場合には、熱罫線加工により形成した溝36を起点として、コア材外周部16と第二外周部18を、幅14の分だけ直角に折り曲げることができる。即ち、折り曲げの起点となる溝形成は、コア材外周部16の加熱前に行ってもよいし、加熱後に行ってもよい。或いは、加熱と同時に溝形成を行うことも可能である。
【0059】
次に、第3実施形態の端面処理装置について、
図4に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態や第2実施形態と同様の構成については、詳しい説明を省略する。
【0060】
本実施形態の端面処理装置においては、中空構造パネル2を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構50を備える。搬送機構50は、ベルト、ローラ又はチェイン等を用いて中空構造パネル2を上流側から下流側に搬送するコンベア52から成る。
【0061】
本実施形態では、除去機構100、溝切り機構150、加熱機構200、熱罫線機構250、溶着機構300、冷却機構400及び後処理機構500を、コンベア52の搬送経路の上流側から下流側へとこの順に配する。
【0062】
即ち、コンベア52上で下流側にむけて搬送される中空構造パネル2には、その搬送経路において、除去工程、溝切り工程(第一の溝形成工程)、加熱工程、熱罫線工程(第二の溝形成工程)、溶着工程、冷却工程及び後処理工程が、この順で連続的に行われる。
【0063】
図4には、これらの機構及び工程を概略的に示している。
【0064】
除去機構100(除去工程)では、例えばエンドミルである切削工具10を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の側縁部に対して、上方から当接するように設ける。切削工具10は、中空構造パネル2の幅方向の一方の端縁部に当たる箇所と、中空構造パネル2の幅方向の他方の端縁部に当たる箇所に、それぞれ配置する。切削工具10は上下方向に進退自在であり、この位置にある切削工具10を下降させて、搬送される中空構造パネル2の第一の層6を幅14だけ除去し(即ち、幅方向の両側の第一外周部12を除去し)、除去完了後は切削工具10を上方に退避させる。切削工具10の退避は、除去完了のタイミングに限らず、全体の加工が完了したタイミングで退避させることも可能である。また、切削工具10を進退自在に設けず、中空構造パネル2と当たる箇所に固定することも可能である。
【0065】
溝切り機構150(溝切り工程)では、例えばチップソーである溝形成具30を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の側縁部に対して、上方から当接するように設ける。溝形成具30としては、中空構造パネル2の幅方向の一方の端縁から幅14だけ内側の箇所(コア材4のうち一側のコア材外周部16とこれ以外の部分との境界線上)に当たる溝形成具30と、中空構造パネル2の幅方向の他方の端縁から幅14だけ内側の箇所(コア材4のうち他側のコア材外周部16とこれ以外の部分との境界線上)に当たる溝形成具30とを、それぞれ配置する。両側の溝形成具30は上下方向に進退自在であり、両側の溝形成具30を下降させて、搬送される中空構造パネル2に対して溝32を形成し、溝切り完了後は溝形成具30を上方に退避させる。溝形成具30の退避は、溝切り完了のタイミングに限らず、全体の加工が完了したタイミングで退避させることも可能である。また、溝形成具30を進退自在に設けず、中空構造パネル2に当たる箇所で固定することも可能である。
【0066】
加熱機構200(加熱工程)では、例えばブロアである熱風噴出部20を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の側縁部に対して、上方から熱風を吹き付けるように設ける。熱風噴出部20としては、中空構造パネル2の幅方向の一方の端縁部のコア材4が露出する部分(一側のコア材外周部16)に熱風を吹き付ける熱風噴出部20と、中空構造パネル2の幅方向の他方の端縁部のコア材4が露出する部分(他側のコア材外周部16)に熱風を吹き付ける熱風噴出部20とを、それぞれ配置する。熱風噴出部20は、それぞれの側に一つ配置するだけでもよいが、低温の熱風噴出部20や小型の熱風噴出部20を、それぞれの側に複数配置することも可能である。
【0067】
熱罫線機構250(熱罫線工程)では、例えば熱刃である成形具34を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の側縁部に対して、上方から当接するように設ける。成形具34としては、中空構造パネル2の幅方向の一方の端縁部のコア材4が露出する部分(一側のコア材外周部16)に当接する成形具34と、中空構造パネル2の幅方向の他方の端縁部のコア材4が露出する部分(他側のコア材外周部16)に当接する成形具34とを、それぞれ配置する。両側の成形具34を、対応するコア材外周部16に当接させることで、両側のコア材外周部16を加熱して潰し、且つ、コア材4のうち両側のコア材外周部16とこれ以外の部分との境界線上に、それぞれ溝36を形成する。
【0068】
溶着機構300(溶着工程)では、例えばガイド板である押圧部材22を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の側縁部に対して当接する位置に、それぞれ設置する。押圧部材22をなすガイド板は、水平面から垂直面にまで変化するように搬送方向に沿って徐々に起立していく曲面状のガイド面を有する。中空構造パネル2の側端部が、この押圧部材22のガイド面に摺接しながら下流側に搬送されることで、中空構造パネル2の側端部のコア材外周部16及び第二外周部18は、最終的に90度折り曲げられ、中空構造パネル2の端面全体を封止する。押圧部材22は、搬送経路に沿って固定されるガイド板の構造に限定されず、互いに角度が相違する複数のロールを順に配置する構造でもよいし、或いは、平板状である押圧部材22を起立駆動する駆動式の構造でもよい。
【0069】
冷却機構400(冷却工程)では、例えばガイド板である冷却板24を、コンベア52上で搬送される中空構造パネル2の幅方向両側の端面と当たる位置に、それぞれ設置する。冷却板24は、エアシリンダー等の加圧機構を用いて、中空構造パネル2の端面(90度折り曲げた第二外周部18の表面)に、低圧で当接させる。中空構造パネル2の端面が下流側に搬送されながら加圧及び冷却されることで、中空構造パネル2の端面は意図通りのきれいな平坦面となり、この端面の角部分は意図通りの更にきれいな直角となる。
【0070】
後処理機構500(後処理工程)では、例えば水平方向に刃を有するカッター28を、その刃先が第一の層6の外表面と略同一高さに位置するように配する。カッター28としては、中空構造パネル2の幅方向の一端縁から上方に飛び出した食み出し部26を切除するカッター28と、中空構造パネル2の幅方向の他端縁から上方に飛び出した食み出し部26を切除するカッター28とを、それぞれ配置する。両側のカッター28を互いに近づく方向に移動させて、搬送される中空構造パネル2の食み出し部26を切除し、この処理が完了すればカッター28を側方に退避させる。カッター28の退避は、切除完了のタイミングに限らず、全体の加工が完了したタイミングで退避させることも可能である。また、カッター28を進退自在に設けず、食み出し部26を切除する箇所で両側のカッター28を固定することも可能である。
【0071】
以上の各工程が順に行われることで、中空構造パネル2の連続的な端面処理が可能となる。本実施形態の端面処理装置は、中空構造パネル2を搬送しながら連続的に処理を行う構造であるが、所定エリア内に中空構造パネル2にセットしたうえで同様の端面処理を順に行う不連続式(バッチ式)の構造に設けることも可能である。
【0072】
また、本実施形態の端面処理装置では、第2実施形態と同様の処理工程を順に行うように設けているが、第1実施形態と同様の処理工程を順に行うように設けることも可能であるし、更に一部の工程を省くことや、他の工程を追加することも可能である。また、第1実施形態、第2実施形態のいずれの処理工程においても、前記した以外の順序で各工程を行うことも可能であるし、2以上の工程を同時に行うことも可能である。
【0073】
以上、添付図面に基づいて説明したように、第1乃至第3実施形態の端面加工方法は、中空構造パネル2に端面処理を行う端面加工方法である。中空構造パネル2は、熱可塑性合成樹脂製であり且つ所定の厚みを有するコア材4と、コア材4の厚み方向の一方の面に積層された第一の層6と、コア材4の厚み方向の他方の面に積層された第二の層8とを備え、コア材4の端面を露出させたものである。そして、前記端面処理では、第一の層6の外周部である第一外周部12を第一の層6から除去し、且つ、コア材4のうち第一外周部12の除去によって表れる部分を加熱し、ここで加熱された部分と、第二の層8の外周部である第二外周部18とを、共に折り曲げてコア材4に溶着させる。
【0074】
この端面加工方法によれば、中空構造パネル2に対して、意図した通りの端面加工を短時間で施すことが可能となる。また、角部分が意図通りのきれいな直角となるように中空構造パネル2に端面処理を施すことが可能となる。第1乃至第3実施形態の端面加工方法では、端面が平坦となって角部分が直角となるように端面加工を施しているが、例えば端面が凸曲面等の他の形状となるように端面加工を施してもよいし、角部分が鈍角や鋭角となるように端面加工を施してもよい。なお、前記加熱は、第二外周部18を折り曲げる前に限らず、折り曲げと同時に行ってもよい。また、前記加熱が、第一外周部12の除去と同時であってもよいし、除去前であってもよい。
【0075】
更に、第2及び第3実施形態の端面加工方法において、前記端面処理では、コア材4のうち第一外周部12の除去によって表れる部分に溝32,36を形成し、この溝32,36を起点として、コア材4の加熱された部分と、第二外周部18とを、共に折り曲げる。そのため、第2及び第3実施形態の端面加工方法によれば、角部分が意図通りの一層きれいな直角となるように中空構造パネル2に端面処理を施すことができる。なお、溝32,36を重畳的に形成せずとも、溝32だけを設けてこれを起点に折り曲げることも可能であり、溝36だけを設けてこれを起点に折り曲げることも可能である。溝32の形成は、第一外周部12の除去前に行うことも可能である。
【0076】
更に、第3実施形態の端面加工方法において、前記端面処理は、中空構造パネル2を搬送する搬送経路上で、中空構造パネル2に対して行われるものである。そのため、第3実施形態の端面加工方法によれば、搬送中の中空構造パネル2に対して各工程を連続的に実行することができ、前記端面処理を、大量の中空構造パネル2に対して効率的に施すことが可能となる。
【0077】
第1乃至第3実施形態の端面処理装置は、中空構造パネル2に端面処理を行う処理機構を備えた端面処理装置である。中空構造パネル2は、熱可塑性合成樹脂製であり且つ所定の厚みを有するコア材4と、コア材4の厚み方向の一方の面に積層された第一の層6と、コア材4の厚み方向の他方の面に積層された第二の層8とを備え、コア材4の端面を露出させたものである。前記処理機構は、第一の層6の外周部である第一外周部12を第一の層6から除去する除去機構100と、コア材4のうち第一外周部12の除去によって表れる部分を加熱する加熱機構200と、コア材4のうち加熱機構200によって加熱された部分と、第二の層8の外周部である第二外周部18とを、共に折り曲げてコア材4に溶着させる溶着機構300と、を備える。この端面処理装置によれば、中空構造パネル2に対して意図した通りの端面加工を短時間で施すことが可能となる。第1乃至第3実施形態の端面処理装置では、端面が平坦となって角部分が直角となるように端面加工を施しているが、例えば端面が凸曲面等の他の形状となるように端面加工を施してもよいし、角部分が鈍角や鋭角となるように端面加工を施してもよい。なお、加熱機構200による加熱は、溶着機構300で第二外周部18を折り曲げる前に限らず、折り曲げと同時に行ってもよい。また、加熱機構200による加熱が、除去機構100による第一外周部12の除去と同時であってもよいし、除去前であってもよい。
【0078】
更に、第2及び第3実施形態の端面処理装置において、前記処理機構は、コア材4のうち第一外周部12の除去によって表れる部分に溝32,36を形成する溝形成機構600(溝切り機構150及び熱罫線機構250)を更に備え、溶着機構300では、この溝32,36を起点として、コア材4の加熱された部分と、第二外周部18とを、共に折り曲げる。そのため、第2及び第3実施形態の端面処理装置によれば、角部分が一層意図通りの形状となるように中空構造パネル2に端面処理を施すことが可能となる。溝形成機構600としては、溝切り機構150を備えて溝32を形成するだけでもよいし、熱罫線機構250を備えて溝36を形成するだけでもよい。溝切り機構150による溝32の形成は、除去機構100による第一外周部12の除去前に行うことも可能である。
【0079】
更に、第3実施形態の端面処理装置においては、中空構造パネル2を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構50を更に備え、前記処理機構は、前記搬送経路に沿って配される。そのため、第3実施形態の端面処理装置によれば、搬送中の中空構造パネル2に対して各工程を連続的に実行することができ、前記端面処理を、大量の中空構造パネル2に対して効率的に施すことが可能となる。
【0080】
第1乃至第3実施形態の端面処理装置(端面加工方法)で端面処理を行った中空構造パネル2は、熱可塑性合成樹脂製であり且つ所定の厚みを有するコア材4と、コア材4の厚み方向の一方の面に積層された第一の層6と、コア材4の厚み方向の他方の面に積層された第二の層8とを備え、前記端面処理では、コア材4の外周部であるコア材外周部16と、第二の層8の外周部である第二外周部18とが、共に折り曲げられてコア材4に熱溶着されている。このように端面処理された中空構造パネル2は、意図した通りに短時間で端面処理を施された中空構造パネル2となる。第1乃至第3実施形態の端面処理装置で端面処理された中空構造パネル2は、端面が平坦となり且つ角部分が直角となっているが、意図通りの形状であれば、端面が凸曲面等の他の形状であってもよいし、角部分が鈍角や鋭角であってもよい。また、端面処理後の中空構造パネル2を、表裏のない構造とすることも可能となる。この場合の中空構造パネル2は、機械的特性及び意匠性においても等方性に優れたものとなる。勿論、中空構造パネル2を表裏のある構造とすることや、縦横方向で差のある構造とすることも可能である。
【0081】
なお、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではない。本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。