特許第6193719号(P6193719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193719
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】コンタクトプローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20170828BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20170828BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G01R1/067 C
   G01R1/073 E
   H01L21/66 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-218855(P2013-218855)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81805(P2015-81805A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】永田 一志
(72)【発明者】
【氏名】前田 朋之
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−539672(JP,A)
【文献】 特開2006−208329(JP,A)
【文献】 特開平3−269264(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3088866(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0311886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部を連結する螺旋状のばね部と、
上記ばね部内に配置され、一端が第1端部に連結され、他端が第2端部の係合孔内に進退自在に配置された芯部とを備え、
上記芯部の長手方向に交差する断面において、上記芯部の断面を内包する円の最小径が、上記係合孔の断面に内包される円の最大径よりも大きく、
上記係合孔の断面は、略矩形からなり、
上記芯部の断面は、上記係合孔の断面の短辺よりも長い対角線を有する多角形からなることを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項2】
第1端部及び第2端部を連結する螺旋状のばね部と、
上記ばね部内に配置され、一端が第1端部に連結され、他端が第2端部の係合孔内に進退自在に配置された芯部とを備え、
上記芯部の長手方向に交差する断面において、上記芯部の断面を内包する円の最小径が、上記係合孔の断面に内包される円の最大径よりも大きく、
上記芯部及び上記係合孔は、相対的に回転させることにより、上記芯部の長手方向に延びる細長い領域において互いに接触することを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項3】
上記芯部及び係合孔の断面は、多角形からなることを特徴とする請求項2に記載のコンタクトプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトプローブに係り、さらに詳しくは、螺旋状のばね部により両端部が連結されているコンタクトプローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プローブカードは、配線基板上に多数のコンタクトプローブを立設して構成され、半導体装置の検査工程において使用される。半導体装置の検査は、プローブカード上のコンタクトプローブを半導体ウエハ上の電極パッドに接触させ、半導体ウエハ上に形成された集積回路を外部と導通させることにより行われる。その際、コンタクトプローブや電極パッドの高さのばらつきを吸収し、コンタクトプローブを電極パッドと確実に導通させるために、コンタクトプローブを電極パッドに押し付ける処理が行われる。この処理をオーバードライブと呼び、押し付ける距離をオーバードライブ量と呼んでいる。
【0003】
近年、半導体装置の高集積化により、半導体チップに形成される電極パッドの狭ピッチ化が進んでいる。これに対応して、プローブカードにも、コンタクトプローブの更なる狭ピッチ化が求められている。このため、配線基板に対し垂直となるように立てて配置される垂直型プローブを改良し、更なる狭ピッチ化を実現する方法が従来から提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0004】
特許文献1には、オーバードライブ時に湾曲し、そのときの針圧によって電気的接触を確保する垂直型プローブが記載されている。このような垂直型プローブを湾曲方向が互いに一致するように配線基板上に配置すれば、コンタクトプローブ間の接触を防止することができる。しかしながら、電極パッド表面の凹凸や異物の存在によって湾曲量が大きく異なる場合には、隣接するコンタクトプローブが接触してしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、螺旋形状のスプリング構造を有する垂直型プローブが記載されている。オーバードライブ時に軸方向に圧縮されるスプリング構造を採用することにより、隣接する垂直プローブとの接触を抑制することができる。また、比較的大きなオーバードライブ量を確保することができるので、コンタクトプローブや電極パッドの高さのばらつきを吸収することができる。
【0006】
しかしながら、このスプリング構造は、円柱形状の芯線上にニッケル合金のめっき層を形成し、当該めっき層を螺旋状にパターニングした後、芯線を引き抜くことによって製作されるものである。このため、スプリング部と、それ以外の部品とを個別に製作し、組み立てる必要があり、製造時のばらつきやコストが問題となる。また、螺旋形状のスプリング構造に電流が流れると誘導起電力が発生し、コンタクトプローブの電気的特性を劣化させるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0182030号明細書
【特許文献2】特開2010−281607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スプリング構造を採用したコンタクトプローブにおける電気的特性の劣化を防止しようとすれば、例えば、スプリング内に芯部を配置し、当該芯部に電流が流れるように構成することが考えられる。しかしながら、伸縮自在のスプリング内に芯部を配置したとしても、芯部の両端と、スプリング構造の両端との間で、良好な電気的接触を確保することができないという問題が生じる。さらに、スプリング構造と、芯部を個別に製作し、組み立てる必要があり、製造時のばらつきやコストが問題となる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、隣接するコンタクトプローブとの接触を抑制し、狭ピッチで配置することができるコンタクトプローブを提供することを目的とする。特に、電気的特性の劣化を抑制しつつ、狭ピッチで配置することができるコンタクトプローブを提供することを目的とする。また、十分なオーバードライブ量を確保しつつ、狭ピッチで配置することができるコンタクトプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明によるコンタクトプローブは、第1端部及び第2端部を連結する螺旋状のばね部と、上記ばね部内に配置され、一端が第1端部に連結され、他端が第2端部の係合孔内に進退自在に配置された芯部とを備え、上記芯部の長手方向に交差する断面において、上記芯部の断面を囲む円の最小径が、上記係合孔の断面に内包される円の最大径よりも大きくなるように構成される。
【0011】
コンタクトプローブに対し軸方向から検査対象物を押し付け、螺旋状のばね部を圧縮すれば、当該ばね部に軸方向を中心とする回転応力が発生し、第1端部及び第2端部が相対的に回転する。芯部は、その一端が第1端部に連結され、他端が第2端部の係合孔内に進退自在に挿入されているため、第1端部及び第2端部が相対的に回転すれば、芯部及び係合孔も相対的に回転する。また、芯部の断面を囲む円の最小径は、係合孔の断面に内包される円の最大径よりも大きいため、芯部及び係合孔が相対的に回転すれば、芯部が係合孔と接触する。つまり、芯部を係合孔内に進退自在に挿入することにより、ばね部を伸縮可能にしてオーバードライブを実現する一方、芯部及び係合孔の断面形状により、ばね部が圧縮されたときの第1端部及び第2端部の間において良好な電気的接触を確保することができる。その結果、螺旋状のばね部を電流が流れることによる電気的特性の劣化を抑制することができる。
【0012】
また、螺旋状のばね部を採用し、その内部に芯部を配置することにより、コンタクトプローブの変形がばね部の伸縮方向に制限され、オーバードライブ時に隣接するコンタクトプローブと接触するのを抑制することができる。従って、配線基板上において、より狭ピッチで配置することが可能になる。
【0013】
なお、検査対象物が押しつけられるのは、コンタクトプローブの第1端部側又は第2端部側のいずれであってもよい。
【0014】
第2の本発明によるコンタクトプローブは、上記構成に加え、上記係合孔の断面が、略矩形からなり、上記芯部の断面が、上記係合孔の断面の短辺よりも長い対角線を有する多角形からなる。
【0015】
この様な構成を採用することにより、第1端部及び第2端部を相対的に回転させれば、芯部及び係合孔が確実に接触し、オーバードライブ時の第1端部及び第2端部間において良好な電気的接触を確保することができる。
【0016】
第3の本発明によるコンタクトプローブは、上記構成に加え、上記芯部及び上記係合孔が、相対的に回転させることにより、上記芯部の長手方向に延びる細長い領域において互いに接触するように構成されている。
【0017】
この様な構成を採用することにより、芯部及び係合孔の接触領域を増大させ、オーバードライブ時における第1端部及び第2端部の電気抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるコンタクトプローブは、隣接するコンタクトプローブとの接触を抑制し、狭ピッチで配置することができる。特に、本発明によるコンタクトプローブは、螺旋状のばね部を備え、オーバードライブ時には当該ばね部内の芯部を介して電流を流すことができるため、ばね部に電流が流れることによる電気的特性の劣化を抑制することができる。従って、電気的特性の劣化を抑制しつつ、狭ピッチで配置することができる。
【0019】
また、螺旋状のばね部内に芯部を配置することにより、コンタクトプローブの変形をばね部の伸縮方向に制限することができる。このため、ばね部のストローク量を調整し、オーバードライブ量を確保することができる。従って、十分なオーバードライブ量を確保しつつ、狭ピッチで配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態によるプローブカード100の一構成例を示した図である。
図2図1のコンタクトプローブ1の構成例を示した図である。
図3図2のコンタクトプローブ1の構成例を示した断面図である。
図4図2のコンタクトプローブ1の構成例を示した断面図であり、コンタクトプローブ1をB−B切断線によって切断した場合の切断面が示されている。
図5図2のコンタクトプローブ1の動作の一例を模式的に示した説明図である。
図6図2のコンタクトプローブ1の製造方法の一例を模式的に示した図であり、基板40上に金属層42,44、下間隙用の犠牲層45を形成する工程が示されている。
図7図2のコンタクトプローブ1の製造方法の一例を模式的に示した図であり、基板40上に金属層46,48、上間隙用の犠牲層47を形成する工程が示されている。
図8】コンタクトプローブ1の他の構成例を示した断面図であり、芯部13が根元部12の係合孔Hとは異なる断面形状を有する場合が示されている。
図9】コンタクトプローブ1のその他の構成例を示した断面図であり、略L字形状の断面を有する芯部13及び係合孔Hが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態によるプローブカード100の一構成例を示した図である。図中の(a)には、プローブカード100を下側から見た様子が示され、(b)には、水平方向から見た様子が示されている。
【0022】
このプローブカード100は、垂直針型のプローブカードであり、多数のコンタクトプローブ1が配設されたST(Space Transformer)基板2と、図示しないプローブ装置に保持され、図示しないテスター装置が接続されるメイン基板3により構成される。
【0023】
メイン基板3は、プローブ装置に着脱可能に取り付けられる配線基板、例えば、円形の形状のPCB(プリント回路基板)であり、多数の外部端子Tが設けられている。外部端子Tは、テスター装置との間で信号の入出力を行うための入出力端子であり、メイン基板3の周縁部に配置されている。ST基板2は、配線ピッチを変換するための配線基板であり、メイン基板3の下面に取り付けられている。
【0024】
コンタクトプローブ1は、検査対象物上の微小電極に接触させるプローブであり、略直線状の形状を有し、ST基板2上に略垂直に立設される垂直型プローブである。各コンタクトプローブ1は、検査対象とする半導体集積回路の電極パッドに対応づけて整列配置されている。この例では、各コンタクトプローブ1が、8行8列のマトリクス状に配置され、アレイ型のプローブカード100を構成している。
【0025】
プローブカード100は、プローブ装置によって水平に保持される。このとき、コンタクトプローブ1は、その長手方向が鉛直方向となるように、プローブカード100から下方へ延びる。この状態で検査対象物を下方から近づけ、コンタクトプローブ1の下端を検査対象物上に形成された半導体集積回路の電極パッドに接触させれば、当該コンタクトプローブ1を介してテスト信号をテスター装置及び半導体集積回路間で入出力させることができる。
【0026】
図2は、図1のコンタクトプローブ1の構成例を示した図である。図2(a)には、図1(b)のコンタクトプローブ1が拡大して示され、図2(b)には、図2(a)のコンタクトプローブ1を右側から見た様子が示されている。このコンタクトプローブ1は、針先部10、ばね部11、根元部12及び芯部13により構成され、軸方向に伸縮可能な螺旋状のばね部11内に芯部13が配置されている。なお、本明細書では、コンタクトプローブ1の長手方向を単に「軸方向」と呼ぶことにする。
【0027】
針先部10は、検査対象物に接触させるコンタクトプローブ1の一方の端部であり、その先端には、検査対象物上の電極パッドに当接させるコンタクトチップCTが設けられている。図示したコンタクトチップCTは、針先部10の下端面から突出する板状部材からなり、軸方向の下側に向かって幅が広がるV字状の切り込みより、二股形状の突出部が形成されているが、コンタクトチップCTの形状は、検査対象物の形状や材質に応じて適宜に決定することができる。
【0028】
根元部12は、ST基板2に固定されるコンタクトプローブ1の他方の端部であり、係合孔Hが設けられている。係合孔Hは、ばね部11の内部空間と対向する開口を有し、当該開口から軸方向に延びる根元部12内の空間である。
【0029】
ばね部11は、軸方向に伸びるコイルばねであり、その中心軸の周りを旋回する螺旋形状からなり、その両端に設けられた針先部10と根元部12とを互いに連結している。
【0030】
芯部13は、ばね部11の内部空間に配置された細長い形状からなるガイド軸部であり、その下端は、針先部10に連結され、その上端部は、係合孔H内に挿入され、進退自在になっている。芯部13を設けることにより、ばね部11がオーバードライブ時に屈曲するのを抑制し、針先部10及び根元部12間の相対的な移動を軸方向に制限することができる。
【0031】
図3及び図4は、図2のコンタクトプローブ1の断面図である。図3(a)には、軸方向と交差するA1−A1切断線により、コンタクトプローブ1のばね部11を切断した場合の切断面が示されている。図3(b)には、軸方向と交差するA2−A2切断線により、コンタクトプローブ1の根元部12を切断した場合の切断面が示されている。また、図4には、軸方向と平行なB−B切断線により、コンタクトプローブ1を切断した場合の切断面が示されている。
【0032】
図3(a)に示した通り、ばね部11を切断して軸方向から平面視すれば、略矩形からなる外形と、略矩形からなる内部空間とを観察することができる。つまり、ばね部11は、軸方向に傾斜を有するが、平面視すれば矩形枠となる形状からなる。
【0033】
ばね部11の矩形枠は、水平ビーム部11A及び傾斜ビーム部11Bを交互に連結することにより構成される。コンタクトプローブ1を鉛直方向に立てた状態において、水平ビーム部11Aは、水平方向に延びるのに対し、傾斜ビーム部11Bは、水平方向に対し角度を有している。また、同じ水平ビーム部11Aの両端に連結される2つの傾斜ビーム部11Bは、水平方向に対し互いに逆向きの傾斜を有している。このような水平ビーム部11A及び傾斜ビーム部11Bを交互に連結することにより、螺旋状のばね部11が形成される(図2及び図4を参照)。
【0034】
針先部10、ばね部11、根元部12及び芯部13は、後述する通り、犠牲層が形成された犠牲層基板上に金属を堆積させることにより形成される。このとき、ばね部11及び芯部13は、コンタクトプローブ1の軸方向が犠牲層基板と略平行となる状態で一体的に形成される。また、ばね部11を構成する傾斜ビーム部11Bは、その長手方向が犠牲層基板と平行となり、水平ビーム部11Aは、その長手方向が犠牲層基板と直交するように形成される。
【0035】
また、矩形枠の頂部において、水平ビーム部11Aと傾斜ビーム部11Bとを接合するビーム接合部11Cは、軸方向の厚さtが、水平ビーム部11A及び傾斜ビーム部11Bの厚さtよりも厚くなるように形成されている(図2参照)。ビーム接合部11Cの厚さtを厚くすることにより、ビーム接合部11Cにおける界面剥がれを生じ難くすることができる。
【0036】
矩形枠の1周を1段とすれば、ばね部11は、2段以上の巻数を有するように構成される。特に、オーバードライブ時に十分なストローク量を確保し、所望の針圧を得るためには、ばね部11の巻数を10段以上にすることが望ましい。例えば、100μm程度のストローク量を確保するには、ばね部11が100〜200段程度の巻数を有するように構成すればよい。
【0037】
図3(b)に示した通り、芯部13及び係合孔Hは、軸方向と直交する切断面により切断したときの断面がともに略矩形からなる。また、係合孔Hの矩形断面を構成する短辺の長さL1は、芯部13の矩形断面の対角線の長さL2よりも短い。このため、芯部13及び係合孔Hを相対的に回転させると、芯部13及び係合孔Hは互いに干渉する。つまり、芯部13及び係合孔Hは、相対的な回転によって互いに接触し、もはや相対的に回転することができない状態になる。
【0038】
図5は、図2のコンタクトプローブ1の動作の一例を模式的に示した説明図である。図中の(a)には、半導体ウエハ5が載置された可動ステージ6を上昇させることにより、電極パッド4にコンタクトプローブ1を接触させる様子が示されている。図中の(b)には、ばね部11を圧縮することにより生じる回転応力により、芯部13及び根元部12が接触している様子が示されている。
【0039】
半導体ウエハ上の集積回路の検査を行う場合、コンタクトプローブ1が電極パッド4に接触しはじめる位置を越えて可動ステージ6を上昇させることにより、コンタクトプローブ1を電極パッド4に押し付けるオーバードライブが行われる。このオーバードライブによって、コンタクトプローブ1の針先部10の高さや、電極パッド4の高さのばらつきを吸収し、プローブカード100上の全てのコンタクトプローブ1を電極パッド4と確実に導通させることができる。また、オーバードライブ量を調整することにより、針圧を調整することもできる。
【0040】
螺旋状のばね部11は、オーバードライブ時に軸方向に圧縮され、軸方向を中心とする回転応力が生じる。ばね部11の上端は根元部12に連結され、根元部12はST基板2に固定されている。このため、ばね部11の回転応力によって、ばね部11の下端に連結された針先部10が回転する。つまり、オーバードライブ時に、針先部10及び根元部12は相対的に回転する。その結果、針先部10に連結された芯部13は、針元部12に形成された係合孔Hに対して相対的に回転する。
【0041】
芯部13及び係合孔Hは、相対的回転により互いに干渉する断面形状を有している。このため、オーバードライブ時に、ばね部11の回転応力を利用して、針先部10及び根元部12を接触させることができ、先端部10及び根元部12の間で、良好な電気的接触を得ることができる。
【0042】
図中の13cは、芯部13の断面を包含することができる円のうち、最小径を有するものである。また、図中のHcは、係合孔Hの断面内に収容することができる円のうち、最大径を有するものである。ある形状を囲む円を外囲円と呼び、ある形状に内包される円を内包円と呼ぶことにすれば、13cは芯部13の最小外囲円となり、Hcは、係合孔Hの最大内包円となる。
【0043】
コンタクトプローブ1を軸方向に交差する切断面で切断したときの同一の切断面上において、芯部13の最小外囲円13cの直径13dが、係合孔Hの最大内包円Hcの直径Hdよりも大きい場合、芯部13は、係合孔H内において自由に回転することができない。この場合、オーバードライブ時に、ばね部11の回転応力により、一定角度を超えて芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13及び係合孔Hは互いに干渉し、一部が接触した状態になる。このような関係は、芯部13及び係合孔Hの断面が、矩形以外の形状である場合であっても成立する。
【0044】
さらに、芯部13が柱状体であり、係合孔Hが柱状空間である場合、相対的な回転による芯部13及び係合孔Hの接触領域は、軸方向に延びる細長い領域となる。このため、点接触の場合に比べて、広い接触面積を確保することができ、さらに良好な電気的接触を得ることができる。なお、芯部13が全体として柱状体ではなく、あるいは、係合孔Hが全体として柱状空間ではない場合であっても、オーバードライブ時に互いに対向する軸方向の一部が、柱状体及び柱状空間からなる場合には、当該一部において軸方向に延びる接触領域が得られ、点接触の場合に比べて、良好な電気的接触を得ることができる。
【0045】
図6及び図7は、図2のコンタクトプローブ1の製造方法の一例を模式的に示した説明図であり、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したコンタクトプローブの製作工程が示されている。MEMSは、フォトリソグラフィ技術及び犠牲層エッチング技術を利用して、微細な立体的構造物を製作する技術である。フォトリソグラフィ技術は、半導体製造プロセスなどで利用される感光レジストを用いた微細パターンの加工技術である。また、犠牲層エッチング技術は、犠牲層と呼ばれる下層を形成し、その上に構造物を構成する層をさらに形成した後、犠牲層のみをエッチングして立体的な構造物を形成する技術である。
【0046】
図6には、犠牲層41が形成された基板40上に、金属層42及び44と、犠牲層43及び45とを形成する工程が示されている。また、図7には、さらに金属層46及び48と、上側の間隙を形成するための犠牲層47とを形成する工程が示されている。
【0047】
犠牲層41、43、45及び47には、エッチング処理により、コンタクトプローブ1を残し、犠牲層のみを選択的に除去することができる金属、例えば、銅(Cu)が用いられる。
【0048】
図6の(a)には、予め犠牲層41が形成された基板40上に、金属層42を形成する工程が示されている。金属層42は、針先部10及び根元部12の一部と、ばね部11を構成する下側の傾斜ビーム部11Bとに相当する導電性金属層である。傾斜ビーム11Aは、基板40の上面を平面視した場合に傾斜した形状となるように、基板40と平行な平面内に形成される。傾斜ビーム部11Aを形成する金属層42には、適度の剛性を有する金属、例えば、ニッケル(Ni)合金又は白金族の金属を含有する合金が用いられる。
【0049】
まず、犠牲層41上にフォトレジストなどの絶縁層を形成し、この絶縁層を露光及び現像することによりパターニングし、犠牲層41の一部を選択的に露出させる。その後、電気めっきなどの周知の方法を用いて、露出した犠牲層41上に金属を堆積させることにより金属層42が形成される。残された絶縁層はその後に除去される。
【0050】
図6の(b)には、(a)の工程で金属層42が形成されなかった領域に、犠牲層43を形成し、表面を研磨して余分な金属を削り取る工程が示されている。犠牲層43は、基板40の上面を平坦化するために形成される。基板40上に電気めっきなどの周知の方法を用いて、銅(Cu)を堆積させることにより形成される。その後、表面の研磨により、金属層42上に堆積した犠牲層43が取り除かれ、金属層42及び犠牲層43の高さが均一になる。
【0051】
図6の(c)には、研磨後の基板40上に金属層44を形成する工程が示されている。金属層44は、針先部10のコンタクトチップCTに相当する導電性金属層であり、酸化膜等の絶縁被膜が形成されにくく、耐摩耗性に優れた高硬度の金属、例えば、白金族の金属を含有する合金が用いられる。金属層44は、金属層42の場合と同様の方法により形成される。
【0052】
図6の(d)には、金属層44が形成された基板40上に、芯部13の下側に間隙を設けるための犠牲層45を形成する工程が示されている。犠牲層45も、金属層42の場合と同様の方法により形成される。
【0053】
図7の(a)には、犠牲層45が形成された基板40上に、金属層46を形成し、表面を研磨して余分な金属を削り取る工程が示されている。金属層46は、芯部13に相当する導電性金属層であり、抵抗率が低く、摺動性に優れた金属、例えば、金(Au)が用いられる。金属層46は、金属層42の場合と同様の方法により形成された後、表面が研磨される。
【0054】
図7の(b)には、金属層46が形成された基板40上に、犠牲層47を形成する工程が示されている。犠牲層47は、芯部13の両側や上側に間隙を設けるとともに、係合孔Hを形成するために形成される。犠牲層47も、金属層42の場合と同様の方法により形成される。
【0055】
図7の(c)には、犠牲層47が形成された基板40上に、金属層48を形成する工程が示されている。金属層48は、ばね部11を構成する両側の水平ビーム部11A及び上側の傾斜ビーム部11Bと、針先部10及び根元部12の残りの部分とに相当する導電性金属層であり、金属層42と同様の金属、望ましくは、同一の金属材料が用いられる。また、金属層42の場合と同様の方法により形成される。
【0056】
芯部13(金属層46)を取り囲む犠牲層45,47を形成してから金属層48を積層することにより、両側の水平ビーム部11Aと、上側の傾斜ビーム部11Bと、針先部10及び根元部12の残りの部分とは、金属層48を積層させる1回のめっき工程によって形成される。このため、製造工程を簡素化することができる。
【0057】
金属層48を形成した後、基板40から犠牲層41,43,45及び47を除去すれば、針先部10及び根元部12がばね部11によって連結され、一端が針先部10に固定され、他端が根元部12の係合孔H内に進退自在に配置された芯部13を有するコンタクトプローブ1が完成する。なお、根元部12の表面を金又は半田で被覆することにより、コンタクトプローブ1をST基板2などの配線基板に実装する際の取付性を向上させることが望ましい。
【0058】
図8は、コンタクトプローブ1の他の構成例を示した断面図であり、芯部13が根元部12の係合孔Hとは異なる断面形状を有する場合が示されている。(a)及び(b)のいずれの場合であっても、芯部13の最小外囲円13cの直径13dは、係合孔Hの最大内包円Hcの直径Hdよりも大きくなっている。このため、芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13及び係合孔Hは互いに干渉する。
【0059】
図中の(a)には、芯部13が凹形状の断面を有する場合が示されている。より具体的には、芯部13の断面が、矩形の長辺の一部に矩形の凹部を形成した略コの字形状である場合の例が示されている。このコンタクトプローブ1の場合、係合孔Hの断面が矩形であるのに対し、芯部13の断面は、その対角線が係合孔Hの断面の短辺よりも長い多角形形状からなる。このため、オーバードライブ時に、ばね部11の回転応力により、一定角度を超えて芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13と係合孔Hとが互いに干渉する。
【0060】
図中の(b)には、芯部13が凸形状の断面を有する場合が示されている。より具体的には、芯部13の断面が、矩形の長辺の一部に矩形の突出部を加えた形状である場合の例が示されている。このコンタクトプローブ1の場合、係合孔Hの断面は矩形であるのに対し、芯部13の断面は、その周上の最も離れた2点間の直線距離が係合孔Hの断面の短辺よりも長い多角形からなる。このため、オーバードライブ時に、ばね部11の回転応力により、一定角度を超えて芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13と係合孔Hとが互いに干渉する。
【0061】
図9は、コンタクトプローブ1の更に他の構成例を示した断面図である。芯部13の最小外囲円13cの直径13dは、係合孔Hの最大内包円Hcの直径Hdよりも大きい。このため、芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13及び係合孔Hは互いに干渉する。
【0062】
図中に示された芯部13と係合孔Hとは、いずれも断面が略L字形状からなり、互いに干渉する大きさからなる。このため、オーバードライブ時に、ばね部11の回転応力により、一定角度を超えて芯部13及び係合孔Hが相対的に回転すれば、芯部13と係合孔Hとが互いに干渉する。
【0063】
本実施の形態によれば、芯部13と根元部12の係合孔Hとが互いに干渉する断面形状を有するので、ばね部11内に配置される芯部13と芯部13の上端が進退自在に配置される係合孔Hとの間で、良好な電気的接触を得ることができる。特に、針先部10が検査対象物に押し付けられれば、ばね部11が圧縮されることから、オーバードライブ時に良好な電気的接触を得ることができる。また、コンタクトプローブ1の変形がばね部11の伸縮方向に制限されることから、隣接プローブと接触する可能性を低くすることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、芯部13の下端を先端部10に連結し、上端を根元部12の係合孔H内に進退自在に配置する場合の例について説明したが、本発明は、このような構成のみに限定されない。例えば、芯部13の上端を根元部12に連結し、芯部13の下端を針先部10に形成した係合孔内に進退自在に配置するように構成することもできる。
【0065】
また、本実施の形態では、係合孔Hの断面が略矩形からなる場合の例について説明したが、本発明は係合孔Hの断面形状をこれに限定するものではない。例えば、係合孔Hの断面は、三角形、五角形などの多角形の形状であっても良い。係合孔Hは、芯部13と根元部12とを相対的に回転させた際に、芯部13と干渉する断面形状であれば、オーバードライブ時における接触性を確保することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、MEMS技術を利用してコンタクトプローブ1を製作する場合の例について説明したが、本発明はコンタクトプローブ1の製造方法をMEMSのみに限定するものではない。
【0067】
また、図6では、下間隙用の犠牲層45を形成する前にコンタクトチップCT(金属層44)を形成する場合を例示したが、本発明はコンタクトプローブ1の製造方法をこれに限定するものではない。例えば、犠牲層45の表面を研磨して平坦化するのであれば、犠牲層45を形成した後、犠牲層45の表面を研磨してから金属層44を形成するような構成であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 コンタクトプローブ
10 針先部
11 ばね部
11A 水平ビーム部
11B 傾斜ビーム部
12 根元部
13 芯部
13c 最小外囲円
13d 最小外囲円の直径
CT コンタクトチップ
H 係合孔
Hc 最大内包円
Hd 最大内包円の直径
2 ST基板
3 メイン基板
4 電極パッド
5 半導体ウエハ
6 可動ステージ
100 プローブカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9