特許第6193730号(P6193730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193730
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ボイラシステム
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20170828BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20170828BHJP
   F22D 11/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   F22D11/06 Z
   F02G5/04 G
   F22D11/00 G
   F22D11/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-228773(P2013-228773)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-87095(P2015-87095A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511161362
【氏名又は名称】常石造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】畑中 宏之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅志
(72)【発明者】
【氏名】上永 和弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智浩
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160132(JP,A)
【文献】 特開2013−204961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 11/06
F02G 5/04
F22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成する缶体を有し、生成された蒸気を負荷機器に供給するボイラと、
前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収するドレンタンクと、
前記ドレンタンクと前記ボイラとを接続し前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラに給水する第1ドレン供給ラインと、
燃料を燃焼させて動力を発生させる動力発生装置において発生する排ガスと前記ドレンとの間で熱交換を行い蒸気を生成する排ガスボイラと、
前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記排ガスボイラに供給する第2ドレン供給ラインと、
前記排ガスボイラにおいて生成された蒸気を前記負荷機器側に供給する蒸気ラインと、
を備えるクローズドタイプのボイラシステムであって、
前記動力発生装置は、
燃料を燃焼させて動力を発生させる装置本体と、
前記装置本体を冷却する冷却水が循環する冷却水ラインと、
前記冷却水ラインに配置され、該冷却水ラインを流通する冷却水との間で熱交換を行い該冷却水を冷却する第1熱交換器と、
前記冷却水ラインにおける前記第1熱交換器よりも上流側に配置され、該冷却水ラインを流通する冷却水との間で熱交換を行い該冷却水を加熱する第2熱交換器と、を備え、
前記ボイラシステムは、
前記ドレンタンクと前記第2熱交換器とを接続し、該ドレンタンクにおいて発生したフラッシュ蒸気を前記第2熱交換器に供給するフラッシュ蒸気供給ラインを更に備えるボイラシステム。
【請求項2】
大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、
前記第2熱交換器と前記オープンタンクとを接続し、該第2熱交換器で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンを前記オープンタンクに返送する返送ラインと、
前記返送ラインに配置されるドレン貯留タンクと、
前記返送ラインにおける前記ドレン貯留タンクの下流側に配置されるスチームトラップと、を更に備える請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、
前記第2熱交換器と前記オープンタンクとを接続し、該第2熱交換器で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンを前記オープンタンクに返送する返送ラインと、
前記返送ラインに配置されるドレン貯留タンクと、
前記返送ラインにおける前記ドレン貯留タンクの下流側に配置される返送ポンプと、を更に備える請求項1に記載のボイラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラシステムに関する。より詳細には、負荷機器から排出されるドレンを、大気に開放することなく回収してボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラによって生成された蒸気を負荷機器に供給し、負荷機器において熱源として使用された蒸気が凝縮して発生するドレンを、耐圧性を有する密閉型のドレンタンクに高温・高圧の状態で回収して、再度ボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−105442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、船舶等で用いられるボイラシステムとして、ボイラシステムを、メインのボイラに加えて、船舶等の動力であるメインエンジンにおいて発生する排ガスを利用して蒸気を生成する排ガスボイラを含んで構成することが提案されている。
ところで、クローズドタイプのボイラシステムにおいては、ドレンタンクの内部では、ドレンの圧力の低下に起因してフラッシュ蒸気が発生する。ドレンタンクの内部において発生したフラッシュ蒸気は、外部に放出される。ここで、このフラッシュ蒸気を、ボイラに供給する補給水を貯留する大気開放されたオープンタンクに導入して、フラッシュ蒸気が保有する熱を回収することが行われている。しかしながら、ドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気をオープンタンクに導入した場合、オープンタンクに貯留される補給水の温度が100℃を超えてしまい、フラッシュ蒸気が保有する熱を十分に回収できない場合があった。特に、淡水の補給が困難である船舶で用いられるボイラシステムでは、フラッシュ蒸気をできるだけ外部に放出することなく、閉鎖系において利用することが求められる。
【0005】
従って、本発明は、熱の利用効率をより向上させられ、かつ、フラッシュ蒸気の外部への放出を抑制できるボイラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蒸気を生成する缶体を有し、生成された蒸気を負荷機器に供給するボイラと、前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収するドレンタンクと、前記ドレンタンクと前記ボイラとを接続し前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラに給水する第1ドレン供給ラインと、燃料を燃焼させて動力を発生させる動力発生装置において発生する排ガスと前記ドレンとの間で熱交換を行い蒸気を生成する排ガスボイラと、前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記排ガスボイラに供給する第2ドレン供給ラインと、前記排ガスボイラにおいて生成された蒸気を前記負荷機器側に供給する蒸気ラインと、を備えるクローズドタイプのボイラシステムであって、前記動力発生装置は、燃料を燃焼させて動力を発生させる装置本体と、前記装置本体を冷却する冷却水が循環する冷却水ラインと、前記冷却水ラインに配置され、該冷却水ラインを流通する冷却水との間で熱交換を行い該冷却水を冷却する第1熱交換器と、前記冷却水ラインにおける前記第1熱交換器よりも上流側に配置され、該冷却水ラインを流通する冷却水との間で熱交換を行い該冷却水を加熱する第2熱交換器と、を備え、前記ボイラシステムは、前記ドレンタンクと前記第2熱交換器とを接続し、該ドレンタンクにおいて発生したフラッシュ蒸気を前記第2熱交換器に供給するフラッシュ蒸気供給ラインを更に備えるボイラシステムに関する。
【0007】
また、ボイラシステムは、大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、前記第2熱交換器と前記オープンタンクとを接続し、該第2熱交換器で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンを前記オープンタンクに返送する返送ラインと、前記返送ラインに配置されるドレン貯留タンクと、前記返送ラインにおける前記ドレン貯留タンクの下流側に配置されるスチームトラップと、を更に備えることが好ましい。
【0008】
また、ボイラシステムは、大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、前記第2熱交換器と前記オープンタンクとを接続し、該第2熱交換器で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンを前記オープンタンクに返送する返送ラインと、前記返送ラインに配置されるドレン貯留タンクと、前記返送ラインにおける前記ドレン貯留タンクの下流側に配置される返送ポンプと、を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボイラシステムによれば、熱の利用効率をより向上させられ、かつ、フラッシュ蒸気の外部への放出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るボイラシステムの構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るボイラシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のボイラシステムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態のボイラシステム1は、図1に示すように、負荷機器20において発生したドレンを、耐圧性を有する密閉型のタンクに高温高圧の状態で回収して、このドレンをボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムである。
また、第1実施形態のボイラシステム1は、ディーゼルエンジンやガスタービン等の、燃料を燃焼させて動力を発生させる動力発生装置100において発生する排ガスを熱源として蒸気を生成する排ガスボイラ90を含んで構成される。このようなボイラシステム1は、動力となるメインエンジン及び補助ボイラを有する舶用のボイラシステムとして好適に用いられる。
【0012】
まず、第1実施形態のボイラシステム1について説明する。
第1実施形態のボイラシステム1は、図1に示すように、ボイラ10と、補助ボイラとしての排ガスボイラ90と、ドレンタンク30と、オープンタンク40と、を備える。
【0013】
また、ボイラシステム1は、これらの機器を接続し、蒸気又は水が流通する複数のライン、これら複数のラインを開閉させる複数の弁、所定のラインに配置される複数のポンプ、及びこれら複数の弁や複数のポンプ等の動作を制御する制御装置(図示せず)を備える。具体的には、ボイラシステム1は、ラインとして、第1蒸気供給ラインL1と、ドレン回収ラインL2と、第1ドレン供給ラインL3と、第2蒸気供給ラインL4と、補給水ラインL5と、第1ドレン循環ラインL6と、フラッシュ蒸気供給ラインL7と、返送ラインL8と、を備える。
【0014】
ボイラ10は、蒸気を生成する缶体11と、缶体11で生成された蒸気が集合される蒸気ヘッダ12と、缶体11と蒸気ヘッダ12とを連結する連結管13と、連結管13に配置され缶体11で生成された蒸気に含まれる水分を分離する気液分離器14と、を備える。
【0015】
以上のボイラ10によれば、缶体11に供給されたドレンは燃料の燃焼により加熱され、ドレンから蒸気が生成される。缶体11で生成された蒸気中に含まれる水分は、気液分離器14により除去され、水分が除去された蒸気が連結管13を介して蒸気ヘッダ12に集められる。
【0016】
排ガスボイラ90は、後述するメインエンジン100において発生した排ガスと、ドレンタンク30から供給されたドレンとの間で熱交換を行い蒸気を生成する。第1実施形態では、ドレンは、ボイラ10と排ガスボイラ90とを接続する第2ドレン供給ライン91を介して排ガスボイラ90に導入される。そして、排ガスボイラ90で生成された蒸気は、蒸気ライン92を介してボイラ10に送られる。尚、第2ドレン供給ライン91には、モータバルブ911が配置される。
【0017】
蒸気ヘッダ12に集められた蒸気は、蒸気使用設備である負荷機器20に供給される。
【0018】
負荷機器20は、ボイラ10で発生した蒸気を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。
ドレンタンク30は、負荷機器20において熱交換に用いられた蒸気の一部が凝集して生じるドレンを回収して収容する。このドレンタンク30は、耐圧性を有し密閉可能な圧力容器により構成される。
【0019】
オープンタンク40は、大気に開放されている。このオープンタンク40は、ボイラ10に供給される補給水を貯留する。
【0020】
次に、動力発生装置としてのメインエンジン100について説明する。メインエンジン100は、例えば、燃料として軽油を用いるディーゼルエンジンにより構成される。このメインエンジン100は、図1に示すように、装置本体110と、排気ダクト120と、冷却水ライン130と、第1熱交換器としての造水機140と、第2熱交換器150と、ドレンクーラ160と、を備える。
【0021】
装置本体110は、燃料を燃焼させて動力を発生させる。
排気ダクト120は、装置本体110において燃料が燃焼されて発生した排ガスを排出する。この排気ダクト120の下流側は、排ガスボイラ90に接続される。これにより、排ガスボイラ90に排ガスが供給される。
冷却水ライン130は、装置本体110の内部を通ると共に環状に構成される。この冷却水ライン130の内部には、冷却水が循環しており、これにより、装置本体110が冷却される。
【0022】
造水機140は、冷却水ライン130に配置される。この造水機140は、例えば、海水を真空環境下で加熱して蒸溜することで淡水を製造する。即ち、造水機140は、装置本体110の熱を吸収して加熱された高温の冷却水と海水との間で熱交換を行い、淡水を製造する。
【0023】
第2熱交換器150は、冷却水ライン130における造水機140よりも上流側に配置される。この第2熱交換器150には、後述のフラッシュ蒸気供給ラインL7からフラッシュ蒸気が供給される。そして、冷却水ライン130を流通する冷却水(例えば、80℃)との間で熱交換を行い、この冷却水を加熱する。
【0024】
ドレンクーラ160は、冷却水ライン130における造水機140よりも下流側に配置される。このドレンクーラ160は、造水機140において冷却された冷却水を海水により更に冷却する。
【0025】
次に、各機器を接続するラインの詳細について説明する。
第1蒸気供給ラインL1は、蒸気ヘッダ12と負荷機器20とを接続し、ボイラ10で生成された蒸気を負荷機器20に供給する。
ドレン回収ラインL2は、負荷機器20とドレンタンク30とを接続し、負荷機器20で発生したドレンをドレンタンク30に供給する。このドレン回収ラインL2には、負荷機器20において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防ぐスチームトラップ21、逆止弁22及びモータバルブ23が配置される。
【0026】
第1ドレン供給ラインL3は、ドレンタンク30とボイラ10とを接続し、ドレンタンク30に収容されたドレンをボイラ10に供給する。第1実施形態では、第1ドレン供給ラインL3の上流側の端部は、ドレンタンク30の下部に接続される。また、第1ドレン供給ラインL3の下流側は、缶体11の下部に接続される。
【0027】
以上の第1ドレン供給ラインL3には、ドレンポンプ31及びドレン供給弁32が配置される。
ドレンポンプ31は、ドレンタンク30から供給されたドレンを昇圧してボイラ10に供給する。ドレン供給弁32は、モータバルブにより構成される。
【0028】
第2蒸気供給ラインL4は、蒸気ヘッダ16とドレンタンク30とを接続する。この第2蒸気供給ラインL4は、ボイラ10で生成された蒸気をドレンタンク30に供給し、ドレンタンク30の内部の圧力を調節する。第2蒸気供給ラインL4には、圧力調整弁41及びモータバルブ42が配置される。
【0029】
補給水ラインL5は、オープンタンク40とドレンタンク30とを接続し、オープンタンク40に貯留された水をドレンタンク30に供給する。補給水ラインL5には、ポンプ51が配置されている。
【0030】
第1ドレン循環ラインL6は、第1ドレン供給ラインL3とドレンタンク30とを接続する。より具体的には、第1ドレン循環ラインL6の上流側(基端側)の端部は、第1ドレン供給ラインL3におけるドレンポンプ31とドレン供給弁32との間に接続される。第1ドレン循環ラインL6の下流側の端部は、ドレンタンク30の上部に接続されるラインと、ドレンタンク30の下部に接続されるラインとに分岐している。ドレンタンク30の上部に接続されるラインには、モータバルブ61が配置され、ドレンタンク30の下部に接続されるラインには、オリフィス62が配置される。
【0031】
第1ドレン循環ラインL6は、第1ドレン供給ラインL3を流通するドレンの一部又は全部を、ドレンタンク30に戻す。より詳細には、ドレンタンク30の下部に接続されるラインからは、ドレンタンク30の液相部にドレンが循環され、ドレンタンク30の上部に接続されるラインからは、ドレンタンク30の気相部にドレンが循環される。この第1ドレン循環ラインL6では、液相部に循環されるドレンの流量を、オリフィス62により調整してドレンタンク30に貯留されるドレンの温度を均一化させつつ、気相部に循環させるドレンにより、ドレンタンク30の内部で発生するフラッシュ蒸気を回収している。
【0032】
フラッシュ蒸気供給ラインL7は、ドレンタンク30と第2熱交換器150とを接続し、ドレンタンク30で発生したフラッシュ蒸気を第2熱交換器150に供給する。
返送ラインL8は、第2熱交換器150とオープンタンク40とを接続し、第2熱交換器150で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンをオープンタンク40に返送する。この返送ラインL8には、ドレン貯留タンク81と、スチームトラップ82と、が配置される。
【0033】
ドレン貯留タンク81は、第2熱交換器150においてフラッシュ蒸気から生じたドレンを貯留する。
スチームトラップ82は、ドレン貯留タンク81の下流側に配置される。このスチームトラップ82は、返送ラインL8を流通するドレン及びフラッシュ蒸気のうちのドレンのみを下流側に流通させ、フラッシュ蒸気の下流側への流通を防ぐ。
【0034】
次に、第1実施形態のボイラシステム1の動作について説明する。
第1実施形態では、まず、ボイラ10(缶体11)において蒸気が生成される。缶体11で生成された蒸気は、気液分離器14において水分が分離された後、連結管13を介して蒸気ヘッダ12に供給される。
【0035】
蒸気ヘッダ12に供給された蒸気は、負荷機器20において利用された後ドレンとなり、高温高圧の状態でドレンタンク30に貯留される。そして、ドレンタンク30に貯留されたドレンは、第1ドレン供給ラインL3を通ってボイラ10に給水として供給される。
また、第1ドレン供給ラインL3を流通するドレンの一部は、第1ドレン循環ラインL6を通ってドレンタンク30に返送される。
【0036】
一方、メインエンジン100においては、燃料が燃焼されて排ガスが発生する。そして、この排ガスは、排気ダクト120を介して排ガスボイラ90に導入される。
排ガスボイラ90には、第1ドレン供給ラインL3、缶体11、及び第2ドレン供給ライン91を介してドレンタンク30に収容されたドレンが供給される。そして、この排ガスボイラ90に供給されたドレンが排ガスにより加熱されて蒸気が生成される。
排ガスボイラ90において生成された蒸気は、蒸気ライン92及びボイラ10を介して蒸気ヘッダ12に供給される。
【0037】
また、メインエンジン100においては、冷却水ライン130を循環する冷却水は、装置本体110の内部において装置本体110を冷却して、例えば、80℃程度に加熱される。
【0038】
次いで、装置本体110を出た冷却水(80℃程度)は、第2熱交換器150に導入される。ここで、第2熱交換器150には、フラッシュ蒸気供給ラインL7を介してドレンタンク30で発生したフラッシュ蒸気が供給される。これにより、第2熱交換器150では、冷却水ライン130を流通する冷却水は、フラッシュ蒸気により更に加熱される。
【0039】
次いで、第2熱交換器150を出た冷却水は、造水機140に導入される。造水機140では、高温の冷却水により海水が加熱されて蒸溜され、淡水が製造される。そして、冷却水は冷却される。
【0040】
次いで、造水機140を出た冷却水は、ドレンクーラ160に導入される。ドレンクーラ160では、冷却水が海水により更に冷却される(例えば、70℃程度)。
そして、ドレンクーラ160を出て冷却された冷却水は、再び装置本体110の内部に導入される。
【0041】
また、第2熱交換器150において冷却水との間で熱交換を行ったフラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンは、返送ラインL8を通ってオープンタンク40に返送される。より詳細には、フラッシュ蒸気が凝縮して生じたドレンは、まず、ドレン貯留タンク81に貯留される。次いで、ドレン貯留タンク81に貯留されたドレンは、スチームトラップ82を通じてオープンタンク40側に流通し、オープンタンク40に収容される。ここで、第1実施形態では、ドレン貯留タンク81の下流側にスチームトラップ82を配置している。これにより、スチームトラップ82の上流側と下流側で生じる圧力差を利用してドレンをオープンタンク40に返送できる。よって、別途エネルギを用いることなくドレンをオープンタンク40に返送できる。
【0042】
以上説明した第1実施形態のボイラシステムによれば、以下のような効果を奏する。
【0043】
(1)ボイラシステム1を、メインエンジン100において発生する排ガスを利用して蒸気を生成する排ガスボイラ90と、ドレンタンク30において発生したフラッシュ蒸気をメインエンジン100の冷却水を加熱する第2熱交換器150に供給するフラッシュ蒸気供給ラインL7と、を含んで構成した。これにより、フラッシュ蒸気の保有する熱をメインエンジン100の冷却水の加熱に用いることができるので、ボイラシステム1の熱の利用効率を向上させられる。また、フラッシュ蒸気を第2熱交換器150に導入することで、フラッシュ蒸気の温度を低下させてドレン化できるので、フラッシュ蒸気の外部への放出を抑制できる。
【0044】
(2)ボイラシステム1を、オープンタンク40と、第2熱交換器150で熱交換を行ったフラッシュ蒸気から生じるドレンをオープンタンク40に返送する返送ラインL8と、この返送ラインL8に配置されるドレン貯留タンク81と、ドレン貯留タンク81の下流側に配置されるスチームトラップ82と、を含んで構成した。これにより、スチームトラップ82の上流側と下流側で生じる圧力差を利用してドレンをオープンタンク40に返送できる。よって、別途エネルギを用いることなくドレンをオープンタンク40に返送できる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係るボイラシステム1Aについて、図2を参照しながら説明する。尚、第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態のボイラシステム1Aは、返送ラインL8に、スチームトラップ82に代えて返送ポンプ83が配置されている点で第1実施形態と異なる。即ち、第2実施形態においては、返送ラインL8を流通するドレン(ドレン貯留タンク81に貯留されたドレン)は、返送ポンプ83によって、オープンタンク40に返送される。
【0046】
第2実施形態のボイラシステム1Aによれば、上述の(1)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0047】
(3)ボイラシステム1Aを、オープンタンク40と、第2熱交換器150で熱交換を行ったフラッシュ蒸気から生じるドレンをオープンタンク40に返送する返送ラインL8と、この返送ラインL8に配置されるドレン貯留タンク81と、ドレン貯留タンク81の下流側に配置される返送ポンプ83と、を含んで構成した。これにより、ドレン貯留タンク81に貯留されるドレンの圧力が低い場合(例えば、ドレンの温度が100℃以下の場合)であってもドレンをオープンタンク40に好適に返送できる。
【0048】
以上、本発明のボイラシステムの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、ボイラシステム1,1Aを、一台のボイラ10により構成したが、これに限らない。即ち、ボイラシステムを、複数台のボイラを含んで構成してもよい。
【0049】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、補給水ラインL5を、オープンタンク40とドレンタンク30とを接続して構成したが、これに限らない。即ち、補給水ラインを、オープンタンクとドレンタンクとを接続する第1の補給水ラインと、オープンタンクと第1ドレン供給ラインとを接続する第2の補給水ラインと、を含んで構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A ボイラシステム
10 ボイラ
11 缶体
20 負荷機器
30 ドレンタンク
40 オープンタンク
81 ドレン貯留タンク
82 スチームトラップ
83 返送ポンプ
90 排ガスボイラ
91 第2ドレン供給ライン
92 蒸気ライン
100 メインエンジン(動力発生装置)
110 装置本体
130 冷却水ライン
140 造水機(第1熱交換器)
150 第2熱交換器
L3 第1ドレン供給ライン
L7 フラッシュ蒸気供給ライン
L8 返送ライン
図1
図2