特許第6193732号(P6193732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193732
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】飲料水ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20170828BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B67D1/08 A
   F25D11/00 102B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-232681(P2013-232681)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-93680(P2015-93680A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】池渕 尚治郎
(72)【発明者】
【氏名】林 瑞恵
(72)【発明者】
【氏名】國谷 晋吾
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−097846(JP,A)
【文献】 特開2012−046207(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/024390(JP,A1)
【文献】 特開2009−196650(JP,A)
【文献】 特開2006−076662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
F25D 11/00−16/00;27/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水の供給源から飲料水の供給を受けて低温状態で貯留することができる第1の貯留タンクと、
上記第1の貯留タンクよりも下方側に位置し、上記第1の貯留タンクから飲料水の供給を受けて高温状態で貯留する第2の貯留タンクと、
上記第1の貯留タンクから第2の貯留タンクに飲料水を供給するための供給管とを備え、
上記第1の貯留タンクの内部は、上側で飲料水を常温で貯留する上側常温層と、下側で飲料水を低温に冷却した状態で貯留する下側低温層とに区分され、
上記供給管は、入口開口が第1の貯留タンクの上側常温層に対して開口し、上記第1の貯留タンクの外側を通り、出口開口が第2の貯留タンクの底部側に開口しており、
上記第1の貯留タンクにおける上記上側常温層の上側に存在する上部空気層に、上記第2の貯留タンク内の圧力を逃がす排圧管をさらに備え、
上記排圧管は、入口開口が上記第2の貯留タンクの頂部側に開口し、上記第1の貯留タンクと第2の貯留タンクの外側を通り、出口開口が上記第1の貯留タンクの上記上部空気層に対して開口している
ことを特徴とする飲料水ディスペンサ。
【請求項2】
上記第1の貯留タンクの内部には、上記上側常温層と上記下側低温層を区分する仕切り部材が配置され、上記仕切り部材には上記供給管および上記排圧管が設けられていない
請求項記載の飲料水ディスペンサ。
【請求項3】
上記供給管および上記排圧管が金属管である
請求項または記載の飲料水ディスペンサ。
【請求項4】
上記第1の貯留タンクには、上記上側常温層と上部空気層の境界になる水面を保つ水面保持機構が設けられている
請求項のいずれか一項に記載の飲料水ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水を冷水および温水として供給することができる飲料水ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
〔概要〕
昨今、日本国内では人々の健康面および安全面への意識が高まるに連れて、飲用のミネラルウォーターの利用が急速に伸びており、一般の生活に浸透してきている。このようなミネラルウォーターは、細菌などが十分に処理されたり、飲用時の不快臭を吸着材などで取り除いたりといった処理が施され、その上でミネラル分を摂取できる飲用水に調製されている。
【0003】
このようなミネラルウォーターは、多くの場合、メーカーが独自の採水地で採取したミネラルウォーターに、各種の処理を施したうえでボトルなどに充填し、家庭や飲食店・各種オフィスなどのユーザーの元に供給されている。
【0004】
ミネラルウォーターの供給形態には、おおきくわけて2種類ある。ひとつ目は、ミネラルウォーターを500mLないし2L程度の小容量のボトルに詰めて、コンビニエンスストアやスーパーマーケットを介して流通させてユーザーに届けるものである。もうひとつは、ミネラルウォーターを12L程度の大容量のボトルに詰めてユーザーの元まで直接宅配するものである。宅配された大容量ボトルを、ディスペンサあるいはサーバと呼ばれる採水装置にセットし、ユーザーはコップや薬缶に必要な量だけ取り出して利用する。
【0005】
〔従来技術1〕
このようなディスペンサは、温水と冷水をそれぞれ供給できるように作られたものが普及している(例えば、下記の特許文献1)。
【0006】
特許文献1の図3には、従来技術として次のような飲料用ディスペンサ(100)が提示されている。なお、括弧内の符号は、公報に掲載されたものである。
【0007】
この飲料用ディスペンサ(100)は、ボトルから供給される水を一旦、低温タンク(103)に導入し、常温の水を冷却手段(106)によって冷やして冷水として供給する。一方、水の一部を高温タンク(101)ヘ導入し、加熱手段(105)で加熱して温水として供給する。ここで一般に、冷水は4〜6℃程度、温水は65〜85℃程度の温度で供給される。
【0008】
この飲料用ディスペンサ(100)は、高温タンク(101)に供給された飲料の一部を低温タンク(103)側に供給できる供給系統を設け、高温タンク(101)で加熱殺菌された飲料の一部を低温タンク(103)に供給して冷却する。このために配管(107)が設けられている。
【0009】
上記飲料用ディスペンサ(100)では、高温タンク(101)、低温タンク(103)ともに、設定の温度を維持するために、加温、冷却機能を必要に応じて稼動させる。
このとき、上記飲料用ディスペンサ(100)では、高温タンク(101)や低温タンク(103)に貯留されている飲料を所定の設定温度に維持するために、大きなエネルギーを要している。
【0010】
すなわち、上記飲料用ディスペンサ(100)では、ボトルから供給される水を高温タンク(101)に給水するための連通管(102)が、高温タンク(101)および低温タンク(103)を貫通して垂直に配管されている。
【0011】
このような構造では、飲料の温度維持のために高温タンク(101)の加熱手段(105)や低温タンク(103)の冷却手段(106)を作動させると、水の膨張と収縮が起こり、それに伴って高温タンク(101)の温水が連通管(102)や配管(107)を通じて低温タンク(103)側に移行したり、反対に、低温タンク(103)の冷水が連通管(102)や配管(107)を通じて高温タンク(103)側に移行したりする。このような水の対流が比較的容易に生じてしまう。
【0012】
このような対流現象が起こると、高温タンク(101)は目標温度よりも低くなり、低温タンク(103)は目標温度より高くなる。つまり、熱エネルギーに大きなロスが発生していたのである。このロスを回復するために、冷却手段(106)や加熱手段(105)が必要以上に稼動して、エネルギーを浪費することになっていた。
【0013】
また、上記飲料用ディスペンサ(100)では、飲料が高温タンク(101)内を縦断するように設けられた配管を介して供給されていたため、高温タンク(101)内に形成されている飲料の温度成層が崩れてしまい、さらなる熱エネルギーのロスが発生していた。
【0014】
また、上記のような飲料用ディスペンサは、一般に、高温タンク(101)に発生する水蒸気を逃がして内圧を上げないために排圧することが必要になる。このため、上述した連通管(102)または配管(107)に排圧機能をもたせることが行われる。また、高温タンク(101)と低温タンク(103)の間は、図示しない断熱仕切り板で隔てることが多い。
【0015】
〔従来技術2〕
そこで、特許文献1では、飲料の保温や保冷のために要するエネルギーが最小限で済み、熱エネルギーを有効に利用できる飲料用ディスペンサとして、つぎの構成を採用している(図1および図2)。
【0016】
特許文献1の飲料用ディスペンサ(1)は、低温タンク(2)とこれに対して下方側に配された高温タンク(3)とを有する。低温タンク(2)の内部には、タンク(21)を接続することで飲料が流入する飲料受入部(19)がある。飲料用ディスペンサ(1)の飲料供給系統(5)は、飲料受入部(19)の底面から低温タンク(2)を縦断する連通管(14)を有する。連通管(14)は、高温タンク(3)の外部を通って底部に接続されている。
【0017】
また、飲料供給系統(5)は、上記した低温タンク(2)や高温タンク(3)に対し、連通管(14)に加え、高・低温連通管(55)を接続して構成されている。高・低温連通管(55)は、低温タンク(2)の頂部側と、高温タンク(3)の頂部側とを繋ぐ配管である。高・低温連通管(55)は、低温タンク(2)や高温タンク(3)の外側に配されており、これらのタンク(2,3)の内部には配されていない。
【0018】
また、高・低温連通管(55)の中途には、逆止弁(56)が設けられており、これにより低温タンク(2)側から高温タンク(3)側への飲料の流れが阻止されている。高・低温連通管(55)は、低温タンク(2)側において仕切板(8)よりも低温タンク(2)の頂部側、すなわち頂部側領域(10)側に接続されている。そのため、飲料用ディスペンサ(1)において飲料が高温タンク(3)の頂部側から高・低温連通管(55)を介して流出した場合は、まず頂部側領域(10)に流入し、その後に連通部(12)を通って底部側領域(11)に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009―97846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記特許文献1の飲料用ディスペンサでは、依然として次の問題が残っている。
【0021】
すなわち、高温タンク(3)内の温水が、高・低温連通管(55)を通って低温タンク(2)側に流れ込む構造であるため、それによる熱対流を防止できない。また、低温タンク(2)上部から、高温タンク(3)の底部につながる連通管(14)は、低温タンク(2)内の低温層である底部側領域(11)を縦断貫通する構造であるため、連通管(14)内の水と底部側領域(11)の水との熱交換が避けられない。したがって、熱対流や熱交換による熱のロスが依然としてあり、エネルギー削減という面では十分ではない。
【0022】
また、従来の構造よりも複雑な配管にせざるを得ないため、これを実用化した製品では、配管素材としてフレキシブルな樹脂チューブが用いられる。このような配管素材は通気性が高く、ボトル(21)を交換するときの流入口(23)をはじめ、給水弁(31)や給湯弁(51)を通じ、飲料用ディスペンサ(1)内に混入した雑菌が繁殖しやすい。
【0023】
しかも、このような樹脂チューブを用いると、素材自体の熱伝導性が低いことから外気へ放熱しにくい。したがって、高温タンク(3)内の温水が、高・低温連通管(55)を通って低温タンク(2)側に流れ込む熱対流が起こったときに、あまり放熱されていない高温水が低温タンク(2)に流れ込むことになる。そうすると、それを冷やすことに要する電気エネルギーがさらに大きくなる。
【0024】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、熱対流や熱交換による熱のロスを低減し、エネルギー効率を向上した飲料水ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の飲料水ディスペンサは、飲料水の供給源から飲料水の供給を受けて低温状態で貯留することができる第1の貯留タンクと、
上記第1の貯留タンクよりも下方側に位置し、上記第1の貯留タンクから飲料水の供給を受けて高温状態で貯留する第2の貯留タンクと、
上記第1の貯留タンクから第2の貯留タンクに飲料水を供給するための供給管とを備え、
上記第1の貯留タンクの内部は、上側で飲料水を常温で貯留する上側常温層と、下側で飲料水を低温に冷却した状態で貯留する下側低温層とに区分され、
上記供給管は、入口開口が第1の貯留タンクの上側常温層に対して開口し、上記第1の貯留タンクの外側を通り、出口開口が第2の貯留タンクの底部側に開口しており、
上記第1の貯留タンクにおける上記上側常温層の上側に存在する上部空気層に、上記第2の貯留タンク内の圧力を逃がす排圧管をさらに備え、
上記排圧管は、入口開口が上記第2の貯留タンクの頂部側に開口し、上記第1の貯留タンクと第2の貯留タンクの外側を通り、出口開口が上記第1の貯留タンクの上記上部空気層に対して開口していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の飲料水ディスペンサは、上記供給管は、入口開口が第1の貯留タンクの上側常温層に対して開口し、上記第1の貯留タンクの外側を通り、出口開口が第2の貯留タンクの底部側に開口している。
飲料水の供給源から第1の貯留タンクに供給された飲料水は、上側常温層に貯留され、上記第1の貯留タンクの外側を通る供給管により、上側常温層から第2の貯留タンクの底部側に供給される。このような配管構造を採用したことにより、従来技術で問題となっていた熱交換による熱のロスがなくなり、そのロスを回復するために必要だったエネルギーが節減できる。
【0027】
また、本発明、上記第1の貯留タンクにおける上記上側常温層の上側に存在する上部空気層に、上記第2の貯留タンク内の圧力を逃がす排圧管をさらに備え、
上記排圧管は、入口開口が上記第2の貯留タンクの頂部側に開口し、上記第1の貯留タンクと第2の貯留タンクの外側を通り、出口開口が上記第1の貯留タンクの上記上部空気層に対して開口しているため
上記第2の貯留タンクに発生する水蒸気によって内圧が上がったとしても、その圧力は排圧管を経由して第1の貯留タンクの上部空気層に逃げる。このとき、上記排圧管の出口開口が上記第1の貯留タンクの上記上部空気層に対して開口していることから、上記排圧管の出口開口が上側常温層の水面以上となるため、上記第2の貯留タンク内の飲料水は、上部空気層に流れ込みにくい。このような配管構造を採用したことにより、従来技術で問題となっていた熱対流による熱のロスがなくなり、そのロスを回復するために必要だったエネルギーが節減できる。
【0028】
本発明において、上記第1の貯留タンクの内部には、上記上側常温層と上記下側低温層を区分する仕切り部材が配置され、上記仕切り部材には上記供給管および上記排圧管が設けられていない場合には、
仕切り部材の構造がシンプルになる。したがって、部品コストを節減でき、長期間にわたって使用するときに必要となる掃除等のメンテナンスの手間を節減できる。
【0029】
本発明において、上記供給管および上記排圧管が金属管である場合には、
通気性の低い金属管とすることで、配管内の好気性の菌の増殖を防ぐことができる。配管の熱伝導性が高く外気へ放熱しやすい。したがって、仮に、第2の貯留タンクの飲料水が排圧管を通って第1の貯留タンクに流れ込んだとしても、放熱後の冷えた状態で流れ込み、熱のロスは最小限ですむ。
【0030】
本発明において、上記第1の貯留タンクには、上記上側常温層と上部空気層の境界になる水面を保つ水面保持機構が設けられている場合には、
上記水面保持機構により、上記上側常温層と上部空気層の境界になる水面が一定の範囲に保たれる。したがって、水面が下がりすぎることにより、上側常温層に対して開口する供給管の入口開口が水面の上になり、第1の貯留タンクから第2の貯留タンクへの飲料水の供給に不都合が生じる事体が防止できる。また、水面が上がりすぎることにより、上部空気層に対して開口する排圧管の出口開口が水面の下になり、第2の貯留タンクから第1の貯留タンクに高温の飲料水が流れ込む事体が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態の飲料水ディスペンサを示す図である。
図2】上記第1実施形態の要部を示す図である。
図3】第2実施形態の飲料水ディスペンサを示す図である。
図4】第3実施形態の飲料水ディスペンサを示す図である。
図5】比較例とした飲料水ディスペンサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0033】
図1および図2は、本発明が適用された第1実施形態の飲料水ディスペンサを示す。
【0034】
〔全体構造〕
この飲料水ディスペンサ30は、飲料水の供給源から飲料水の供給を受けて低温状態で貯留することができる第1の貯留タンク11と、上記第1の貯留タンク11よりも下方側に位置し、上記第1の貯留タンク11から飲料水の供給を受けて高温状態で貯留する第2の貯留タンク12とを備えている。この例は、飲料水の供給源としてボトル1を使用している。
【0035】
上記第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク12は、筐体4の内部に収容されている。そして、上記筐体4の上部にボトル1を逆さまにして取り付け、前面に設けた取出コック5A,5Bから飲料水を供給するようになっている。この例では、取出コック5Aは第1の貯留タンク11から冷水を供給し、取出コック5Bは第2の貯留タンク12から温水を供給する。
【0036】
上記ボトル1は、例えばPET製のガロンボトルを使用することができる。ボトル1を逆さまにしてボトルネック10を下向けにした状態で、筐体4の上部に設けられたボトル取付部9に取り付けられる。上記ボトル取付部9は、ボトルネック10が嵌合される嵌合部の中央に、ボトル1の口から差し込まれて飲料水の供給を受けるための受水管6が立設されている。上記ボトル1の飲料水は上記受水管6を介して第1の貯留タンク11に供給されて貯留される。
【0037】
〔第1の貯留タンク〕
上記第1の貯留タンク11は、上述したように、ボトル1から飲料水の供給を受けて低温状態で貯留する。以下、詳しく説明する。
【0038】
上記第1の貯留タンク11の内部は、上側で飲料水を常温で貯留する上側常温層17と、下側で飲料水を低温に冷却した状態で貯留する下側低温層18とに区分されている。上記上側常温層17と上記下側低温層18は、上記第1の貯留タンク11の内部に配置された仕切り部材20によって区分されている。
【0039】
上記仕切り部材20は、第1の貯留タンク11の底から3分の1程度の高さに設けられた板状の部材である。仕切り部材20の外周部と第1の貯留タンク11の内周部との間には、飲料水を通過させるための隙間19が形成されている。上記仕切り部材20は、例えば、一点鎖線で示したように、第1の貯留タンク11の底部に対して支持部材21によって仕切り部材20の中心部を固定するようにできる。あるいは、仕切り部材20の外周部に、上述した隙間19となる箇所を確保して支持部材を延設し、第1の貯留タンク11の内周面に対して固定することもできる。また、上記隙間19に替えて、飲料水が流通する穴を設けてもよい。
【0040】
上記第1の貯留タンク11の外周には、上記仕切り部材20よりも下側に対応する部分に、冷却管23が設けられている。上記冷却管23は、図示しないコンプレッサ等の冷却装置に接続され、冷却された冷媒ガスが流通され、上記第1の貯留タンク11の仕切り部材20よりも下側の領域を冷却する。また、上記第1の貯留タンク11の底面には、下側低温層18において冷却された飲料水の温度を検知する、図示しない温度センサが設けられている。
【0041】
そして、ボトル1に貯留された常温の飲料水は、仕切り部材20よりも上側の上側常温層17に供給される。上側常温層17は冷却管23による冷却作用がほとんど影響せず、供給された飲料水を常温のまま貯留する。
【0042】
上記上側常温層17に供給された飲料水は上記隙間19を通り、重力によって下側低温層18に流れ落ちて貯留される。下側低温層18では冷却管23による冷却作用が働き、貯留された飲料水が冷却される。下側低温層18は飲料水を低温状態で貯留する。したがって、冷水を取り出す冷水取出コック5Aは下側低温層18の底部に連通し、冷却された飲料水を取り出すようになっている。
【0043】
〔水面保持機構〕
上記第1の貯留タンク11には、上記上側常温層17と上部空気層16の境界になる水面27を保つ水面保持機構としてのフロート弁22Aが設けられている。
【0044】
上記フロート弁22Aは、上側常温層17に貯留された飲料水の水面27にあって、その水位が上昇すると、受水管6の下部開口7を閉じてボトル1からの飲料水の供給を停止する。反対に、第1の貯留タンク11または第2の貯留タンク12の飲料水が冷水取出コック5Aまたは温水取出コック5Bから取り出されて上記水位が下降すると、受水管6の下部開口7を開いてボトル1から飲料水を供給する。このようにして、上側常温層17に貯留された飲料水の水面27が一定範囲に保たれるようになっている。なお、フロート弁22Aには可動域があるため、冷水取出コック5Aまたは温水取出コック5Bからの採水が急激にしすぎると、非定常時の動作として一時的にフロート弁22Aから水面27が離れてしまうこともある。上記フロート弁22Aは、定常時の動作として水面保持機構として機能すれば足りる。
【0045】
上記第1の貯留タンク11の内部には、上側常温層17に貯留された飲料水の水面27を境にしてその上側に上部空気層16が設けられている。上記第1の貯留タンク11の天井部には、フィルタが内臓された外部連通部8が設けられている。第1の貯留タンク11または第2の貯留タンク12の飲料水が冷水取出コック5Aまたは温水取出コック5Bから取り出されるときには、外部連通部8から外気を取り入れ、上側常温層17に貯留された飲料水の水位を無理なく下降させる。また、第1の貯留タンク11にボトル1から飲料水が供給されるときには、外部連通部8から内圧を逃がし、飲料水の水位を無理なく上昇させる。
【0046】
上記水面保持機構としてのフロート弁22Aにより、上側常温層17と上部空気層16の境界が保たれる。すなわち、上側常温層17は、上述した仕切り部材20の上面よりも上側で、上記フロート弁22Aにより設定される水面27よりも下側である。また、上部空気層16は、上記フロート弁22Aにより設定される水面27よりも上側である。
【0047】
〔第2の貯留タンク〕
上記第2の貯留タンク12は、第1の貯留タンク11よりも下方側に位置している。上記第2の貯留タンク12には、貯留された飲料水を加熱するためのヒータ15が設けられている。したがって、温水を取り出す温水取出コック5Bは第2の貯留タンク12の上部に連通し、加熱された飲料水を取り出すようになっている。上記第2の貯留タンク12には、加熱された飲料水の温度を検知する温度センサ24が設けられている。また、上記第2の貯留タンク12の底部にはドレンバルブ25が設けられている。また、第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク12の間には、断熱材仕切板26が配置されている。
【0048】
〔供給管の配管構造〕
この飲料水ディスペンサ30は、上記第1の貯留タンク11から第2の貯留タンク12に飲料水を供給するための供給管13を備えている。
【0049】
上記供給管13は、入口開口13Aが第1の貯留タンク11の上側常温層17に対して開口し、上記第1の貯留タンク11の外側を通り、出口開口13Bが第2の貯留タンク12の底部側に開口している。
【0050】
このような供給管13の配管構造により、第2の貯留タンク12には、第1の貯留タンク11の上側常温層17に貯留された常温の飲料水が、下側低温層18の温度に影響されることなく、常温のままで流れ落ちて供給される。第2の貯留タンク12の底部に供給された常温の飲料水はヒータ15で加熱され、第2の貯留タンク12内において加熱状態で貯留される。
【0051】
第2の貯留タンク12内の加熱された飲料水は、温水取出コック5Bから取り出すことができる。このとき、第2の貯留タンク12に貯留された飲料水には、上記供給管13を介して第1の貯留タンク11に貯留された飲料水の水圧がかかっているため、温水取出コック5Bを開けるとその水圧で温水が取り出される。
【0052】
この例では、上記入口開口13Aは、上側常温層17に対応する第1の貯留タンク11の側面に開口している。上記入口開口13Aの開口位置は、第1の貯留タンク11の上側常温層17から第2の貯留タンク12に向かって、飲料水が重量で自然に流れ落ちることができる位置であればよい。したがって、上記入口開口13Aの開口位置の上下方向における下限は、入口開口13Aの下端が仕切り部材20の上面の高さと等しくなる位置である。また、上記入口開口13Aの開口位置の上下方向における上限は、入口開口13Aの下端が、上記フロート弁22Aにより設定される水面27の水位のうち最も高い位置よりも低くなる位置である。上記入口開口13Aの開口位置の上下方向における上限は、入口開口13Aの下端が、上記フロート弁22Aにより設定される水面27の水位のうち最も低い位置よりも低くなる位置とするのがより好ましい。
【0053】
〔排圧管の配管構造〕
この飲料水ディスペンサ30は、上記第1の貯留タンク11における上記上側常温層17の上側に存在する上部空気層16に、上記第2の貯留タンク内の圧力を逃がす排圧管14をさらに備えている。
【0054】
上記排圧管14は、入口開口14Aが上記第2の貯留タンク12の頂部側に開口し、上記第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク12の外側を通り、出口開口14Bが上記第1の貯留タンク11の上記上部空気層16に対して開口している。
【0055】
このような排圧管14の配管構造により、第2の貯留タンク12内の飲料水が加熱されることで発生した水蒸気により高くなる第2の貯留タンク12の内圧を、排圧管14を経由して第1の貯留タンク11の上部空気層16に逃がす。上部空気層16内に逃げてきた内圧は、さらに外部連通部8を介して外部に排出される。
【0056】
このとき、上記出口開口14Bは、上部空気層16と上側常温層17の境となる水面27よりも上側に開口している。排圧管14内の水面14Cは、上側常温層17の水面27と等しい水位になることから、第2の貯留タンク12内から排圧管14内を上がってきた温水は基本的に、出口開口14Bから第1の貯留タンク11内に流れ込まない。
【0057】
この例では、上記出口開口14Bは、上部空気層16に対応する第1の貯留タンク11の側面に開口している。上記出口開口14Bの開口位置は、第2の貯留タンク12内から排圧管14内を上がってきた温水が出口開口14Bから第1の貯留タンク11内に流れ込まない位置であればよい。したがって、上記出口開口14Bの開口位置の上下方向における下限は、出口開口14Bの下端が、上記フロート弁22Aにより設定される水面27の水位のうち最も高い位置よりも高くなる位置である。
【0058】
〔その他の構造〕
上記第1の貯留タンク11の内部には、上記上側常温層17と上記下側低温層18を区分する仕切り部材20には、上記供給管13および上記排圧管14が設けられていない。つまり、上記供給管13は、入口開口13Aが上側常温層17に対して開口し、第1の貯留タンクの外側を通って、出口開口13Bが第2の貯留タンク12の底部側に開口している。また、上記排圧管14は、入口開口14Aが上記第2の貯留タンク12の頂部側に開口し、上記第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク12の外側を通り、出口開口14Bが上記上部空気層16に対して開口している。したがって、仕切り部材20には、上記供給管13および上記排圧管14を配管する構造を必要としない。
【0059】
上記供給管13および上記排圧管14は、金属管とすることが好ましい。上記金属管を構成する材質は、鋼,銅,アルミニウム,これらの合金等を用いることができる。好ましくは、耐食性に優れたステンレス鋼を用いることができる。
【0060】
上記供給管13は、配管径を8mm以上とすることが好ましい。配管径が8mm以下であると、初回の給水の時に配管内の表面張力により通水しないことがあるからである。また、上記金属管として、蛇腹構造のフレキシブルなものを使用することができる。
【0061】
〔作用効果〕
本実施形態の飲料水ディスペンサ30によれば、次の作用効果を奏する。
【0062】
本実施形態の飲料水ディスペンサ30は、上記供給管13は、入口開口13Aが第1の貯留タンク11の上側常温層17に対して開口し、上記第1の貯留タンク11の外側を通り、出口開口13Bが第2の貯留タンク12の底部側に開口している。
ボトル1から第1の貯留タンク11に供給された飲料水は、上側常温層17に貯留され、上記第1の貯留タンク11の外側を通る供給管13により、上側常温層17から第2の貯留タンク12の底部側に供給される。このような配管構造を採用したことにより、従来技術で問題となっていた熱交換による熱のロスがなくなり、そのロスを回復するために必要だったエネルギーが節減できる。
【0063】
また、上記第1の貯留タンク11における上記上側常温層17の上側に存在する上部空気層16に、上記第2の貯留タンク12内の圧力を逃がす排圧管14をさらに備え、
上記排圧管14は、入口開口14Aが上記第2の貯留タンク12の頂部側に開口し、上記第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク12の外側を通り、出口開口14Bが上記第1の貯留タンク11の上記上部空気層16に対して開口しているため、
上記第2の貯留タンク12に発生する水蒸気によって内圧が上がったとしても、その圧力は排圧管14を経由して第1の貯留タンク11の上部空気層16に逃げる。このとき、上記排圧管14の出口開口14Bが上記第1の貯留タンク11の上記上部空気層16に対して開口していることから、上記排圧管14の出口開口14Bが上側常温層17の水面27以上となるため、上記第2の貯留タンク12内の飲料水は、上部空気層16に流れ込みにくい。このような配管構造を採用したことにより、従来技術で問題となっていた熱対流による熱のロスがなくなり、そのロスを回復するために必要だったエネルギーが節減できる。
【0064】
また、上記第1の貯留タンク11の内部には、上記上側常温層17と上記下側低温層18を区分する仕切り部材20が配置され、上記仕切り部材20には上記供給管13および上記排圧管14が設けられていないため、
仕切り部材20の構造がシンプルになる。したがって、部品コストを節減でき、長期間にわたって使用するときに必要となる掃除等のメンテナンスの手間を節減できる。
【0065】
また、上記供給管13および上記排圧管14が金属管であるため、
通気性の低い金属管とすることで、配管内の好気性の菌の増殖を防ぐことができる。また、配管の熱伝導性が高く外気へ放熱しやすい。したがって、仮に、第2の貯留タンク12の飲料水が排圧管14を通って第1の貯留タンク11に流れ込んだとしても、放熱後の冷えた状態で流れ込み、熱のロスは最小限ですむ。
【0066】
また、上記第1の貯留タンク11には、上記上側常温層17と上部空気層16の境界になる水面を保つ水面保持機構としてのフロート弁22Aが設けられているため、
上記フロート弁22Aにより、上記上側常温層17と上部空気層16の境界になる水面が一定の範囲に保たれる。したがって、水面が下がりすぎることにより、上側常温層17に対して開口する供給管13の入口開口13Aが水面の上になり、第1の貯留タンク11から第2の貯留タンク12への飲料水の供給に不都合が生じる事体が防止できる。また、水面が上がりすぎることにより、上部空気層16に対して開口する排圧管14の出口開口14Bが水面の下になり、第2の貯留タンク12から第1の貯留タンク11に高温の飲料水が流れ込む事体が防止できる。
【0067】
〔第2実施形態〕
図3は第2実施形態を示す。
【0068】
この例は、供給管13の下流側が、第2の貯留タンク12の内部を通過するように配管され、出口開口13Bが第2の貯留タンク12の底部側に開口している。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0069】
〔第3実施形態〕
図4は第3実施形態を示す。
【0070】
この例は、水面保持機構の変形例であるフロート弁22Bを適用した例を示す。このフロート弁22Bは、第1の貯留タンク11の天井部に設けられ、通常は開弁しており、第1の貯留タンク11の水位が一定以上に上がると水面27によって押し上げられて閉弁するようになっている。通常時に、冷水取出コック5Aまたは温水取出コック5Bによって冷水または温水が取り出されると、内部空間に外気を取り入れて冷水取出コック5Aまたは温水取出コック5Bによる飲料水の供給を停止させないようになっている。一定以上水位が下がってボトル1の口より水面27が下がると、ボトル1内の飲料水が上側常温層17内に導入され、再びボトル1の口より水面27が上がると、ボトル1からの水の導入は停止する。このとき、水位の上昇による上部空気層16内の圧力を外に逃がすようになっている。また、フロート弁22Bが閉じているときに上部空気層16の内圧が上がったときは、圧力開放弁31でそれを開放する。これにより、排圧管14を経由して上部空気層16に逃げてきた第2の貯留タンク12の内圧を外部に放出する。
それ以外は上記第1または第2実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【実施例】
【0071】
〔電力の削減効果〕
実施例と比較例の飲料水ディスペンサを準備し、それぞれの装置における消費電力量を比較した。
【0072】
〔実施例〕
図1に示す飲料水ディスペンサを準備した。供給管13と排圧管14の配管素材として、ステンレス鋼(SUS304)の金属管を使用した。
【0073】
〔比較例〕
図5は比較例として準備した飲料水ディスペンサである。この例では、供給管28は、仕切り部材20の中央から第1の貯留タンク11の下側低温層18を上下に縦断し、第1の貯留タンク11の底部と第2の貯留タンク12の天井部を貫通し、第2の貯留タンク12の底部側に至っている。入口開口28Aは仕切り部材20の中央に開口し、出口開口28Bは第2の貯留タンク12の底部側に開口している。また、上記供給管28には、第2の貯留タンク12の天井部近傍に、排圧機構として排圧穴29が穿設されている。それ以外は、図1に示すものと同様にした。
【0074】
〔測定方法〕
(1)飲料水ディスペンサのボトル1は新品を使用した。第1の貯留タンク11および第2の貯留タンク12はあらかじめ飲料水で満たした状態とした。
(2)24時間の通電の後に、消費電力量の測定を開始した。
(3)測定の開始後、1時間目,2時間目,3時間目,4時間目,5時間目に、それぞれ冷水と温水を冷水取出コック5Aおよび温水取出コック5Bから各120mlずつ取り出した。また、13時間目から6時間のあいだ、ヒータ15はセンサー制御により可動させなかった。このようにして24時間を経過したときの合計消費電力量を測定値とした。
(4)電力量の測定には、HIOKI AC/DC POWER HiTESTER(型式3334)を用いた。
(5)冷水と温水の温度設定は、冷水の設定温度を6℃とし、温水の設定温度を65℃とした。
(6)使用電力量の増減は、下記の式に基づいて算出した。
使用電力量の増減(%)=(実施例の消費電力量−比較例の消費電力量)/比較例の消費電力量×100
【0075】
その結果は、下記の表1に示すとおりであった。ここに示したとおり、実施例は比較例よりも32.3%もの電力が削減できた。
【0076】
【表1】
【0077】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【符号の説明】
【0078】
1:ボトル
4:筐体
5A:冷水取出コック
5B:温水取出コック
6:受水管
7:下部開口
8:外部連通部
9:ボトル取付部
10:ボトルネック
11:第1の貯留タンク
12:第2の貯留タンク
13:供給管
13A:入口開口
13B:出口開口
14:排圧管
14A:入口開口
14B:出口開口
14C:水面
15:ヒータ
16:上部空気層
17:上側常温層
18:下側低温層
19:隙間
20:仕切り部材
21:支持部材
22A:フロート弁
22B:フロート弁
23:冷却管
24:温度センサ
25:ドレンバルブ
26:断熱材仕切板
27:水面
28:供給管
28A:入口開口
28B:出口開口
29:排圧穴
30:飲料水ディスペンサ
31:圧力開放弁
図1
図2
図3
図4
図5