特許第6193744号(P6193744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193744
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】燃料電池システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170828BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20170828BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20170828BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20170828BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20170828BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20170828BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20170828BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 X
   H01M8/04 Y
   !H01M8/10
   !H01M8/12
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-246101(P2013-246101)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-103507(P2015-103507A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】西島 大
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−265778(JP,A)
【文献】 特開2003−197231(JP,A)
【文献】 特開2006−121888(JP,A)
【文献】 特開2012−189228(JP,A)
【文献】 特開2008−108484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/24
H02J 3/00−5/00
H02J 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて発電を行うとともに、電力系統と電気的に接続されて当該電力系統との並列運転が可能な燃料電池と、
前記燃料電池の単独運転となるような前記電力系統の事故を検出する事故発生検出手段と、
前記電力系統の事故の回復を検出する事故回復検出手段と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を停止する出力停止手段と、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された後に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出された場合には、当該電力系統の事故の回復の検出毎に、当該電力系統の事故の回復の検出からの第1経過時間(K1)を計測するとともに、前記第1経過時間(K1)の計測中に前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記第1経過時間(K1)をリセットする第1計測手段と、
前記第1計測手段によって計測された第1経過時間(K1)が、第1判定時間(T1)となった場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を再開する出力再開手段と、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出されて前記出力停止手段によって前記電力系統への出力が停止される場合に、前記出力再開手段によって前記燃料電池から前記電力系統への出力が再開されるまでは、前記電力系統の事故の検出からの第3経過時間(K3)を計測する第3計測手段と、
前記第3計測手段によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記第1計測手段によって計測された第1経過時間(K1)が前記第1判定時間(T1)となった場合には、前記出力再開手段にて前記電力系統への出力を再開し、一方、前記第3計測手段によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記電力系統への出力の再開の前に前記事故発生検出手段によって再度前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出されない間は、前記電力系統の事故の検出からの第2経過時間(K2)を計測する第2計測手段と、
前記第2計測手段によって計測された第2経過時間(K2)が、前記第1判定時間(T1)以上であり前記第3判定時間(T3)以下である第2判定時間(T2)となった場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電停止手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
燃料ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて発電を行うとともに、電力系統と電気的に接続されて当該電力系統との並列運転が可能な燃料電池と、
前記燃料電池の単独運転となるような前記電力系統の事故を検出する事故発生検出手段と、
前記電力系統の事故の回復を検出する事故回復検出手段と、
を備えた燃料電池システムの運転方法であって、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を停止する出力停止工程と、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された後に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出された場合には、当該電力系統の事故の回復の検出毎に、当該電力系統の事故の回復の検出からの第1経過時間(K1)を計測するとともに、前記第1経過時間(K1)の計測中に前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記第1経過時間(K1)をリセットする第1計測工程と、
前記第1計測工程によって計測された第1経過時間(K1)が、第1判定時間(T1)となった場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を再開する出力再開工程と、
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出されて前記出力停止工程によって前記電力系統への出力が停止される場合に、前記出力再開工程によって前記燃料電池から前記電力系統への出力が再開されるまでは、前記電力系統の事故の検出からの第3経過時間(K3)を計測する第3計測工程と、
前記第3計測工程によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記第1計測工程によって計測された第1経過時間(K1)が前記第1判定時間(T1)となった場合には、前記出力再開工程にて前記電力系統への出力を再開し、一方、前記第3計測工程によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記電力系統への出力の再開の前に前記事故発生検出手段によって再度前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電制御工程と、
を有することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
【請求項4】
前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出されない間は、前記電力系統の事故の検出からの第2経過時間(K2)を計測する第2計測工程と、
前記第2計測工程によって計測された第2経過時間(K2)が、前記第1判定時間(T1)以上であり前記第3判定時間(T3)以下である第2判定時間(T2)となった場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電停止工程と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続された例えば(分散型発電システムである)家庭用の燃料電池システム等の燃料電池システム及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力系統に接続する家庭用の燃料電池システムなどの分散型発電システムでは、電力系統の送電線に事故(系統事故)が発生した場合に、分散型発電システムの単独運転状態によって電力系統への逆充電となることを防止するために、単独運転検出装置で分散型発電システムが単独運転となっているか否かを検出し、その検出結果に応じて、電力系統への接続(並列)の可否を判定している(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、中規模の分散型発電システムにおいて、系統事故が発生し、電力系統から一時的に解列(接続を遮断)が必要となった場合に、重要設備への電源供給を継続するために、電力系統から解列するとともに、分散型発電システム内の重要設備以外への電力供給を遮断し、重要設備のみへの電力供給を継続させる技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−11037号公報
【特許文献2】特開2012−55033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、家庭用の小規模な分散型発電システムにとっては、個別に(重要施設に)電力供給を継続する設備構成は高価となるため、送電線の事故が発生した際には、電力系統から解列し、復旧した際に再接続(再並列)させるような構成となっている。
【0006】
このため、電力系統の一過的な事故(瞬時停電(瞬停)や瞬時電圧低下(瞬低))の発生時には、速やかに電力系統から解列するとともに、速やかに発電を再開させることができる発電可能な状態(発電待機状態)を維持し、電力系統が安定した場合にはできるだけ速やかに再並列させることが望ましい。
【0007】
これに対し、事故が断続的に発生する場合(断続瞬停や断続瞬低)または継続的に事故が発生する場合(停電)にも、分散型発電システムを電力系統から解列するが、場合によっては、電力系統の安定までに長い期間が必要となることがある。
【0008】
また、電力系統安定までの間、発電待機状態を維持するためには、ホットモジュール内(例えば燃料電池スタックを収容する収納容器内)に燃焼機構(例えばバーナーなど)からある程度の熱量を与える必要があり、この場合、温度維持のために燃料ガスを投入し続ける必要がある。
【0009】
更に、発電待機状態を長期間維持すると、燃料電池スタックのうち燃焼機構に近い部分のみが過熱され、逆に燃焼機構から遠くなるほど温度が低くなるため、燃料電池スタックに大きな温度差が発生する。この燃料電池スタックに大きな温度差が発生すると、温度による歪が発生するため、耐久性能が低下する恐れがある。
【0010】
つまり、落雷などの自然現象に起因する断続事故の場合、天候回復により復旧するが、電力系統に何らかの異常が発生したことに起因する断続事故あるいは停電の場合には、復旧までに時間を要する可能性がある。ところが、発電待機状態の維持にもエネルギーが必要であり、また、長時間発電待機状態を維持すると、燃料電池スタックに大きな温度差が発生するため、再並列可能となっても直ちに発電できない可能性がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電力系統に事故が発生した場合でも、過度な燃料ガスの使用を抑制でき、且つ、燃料電池の耐久性能を向上できる燃料電池システム及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明は、第1態様(燃料電池システム)として、燃料ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて発電を行うとともに、電力系統と電気的に接続されて当該電力系統との並列運転が可能な燃料電池と、前記燃料電池の単独運転となるような前記電力系統の事故を検出する事故発生検出手段と、前記電力系統の事故の回復を検出する事故回復検出手段と、を備えた燃料電池システムであって、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を停止する出力停止手段と、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された後に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出された場合には、当該電力系統の事故の回復の検出毎に、当該電力系統の事故の回復の検出からの第1経過時間(K1)を計測するとともに、前記第1経過時間(K1)の計測中に前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記第1経過時間(K1)をリセットする第1計測手段と、前記第1計測手段によって計測された第1経過時間(K1)が、第1判定時間(T1)となった場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を再開する出力再開手段と、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出されて前記出力停止手段によって前記電力系統への出力が停止される場合に、前記出力再開手段によって前記燃料電池から前記電力系統への出力が再開されるまでは、前記電力系統の事故の検出からの第3経過時間(K3)を計測する第3計測手段と、前記第3計測手段によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記第1計測手段によって計測された第1経過時間(K1)が前記第1判定時間(T1)となった場合には、前記出力再開手段にて前記電力系統への出力を再開し、一方、前記第3計測手段によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記電力系統への出力の再開の前に前記事故発生検出手段によって再度前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本第1態様では、燃料電池の単独運転となるような電力系統の事故が検出された場合には、燃料電池から電力系統への出力を停止する。
また、電力系統の事故が検出された後に、電力系統の事故の回復が検出された場合には、電力系統の事故の回復の検出毎に、電力系統の事故の回復の検出からの第1経過時間(K1)を計測する。なお、第1経過時間(K1)の計測中に事故発生検出手段によって電力系統の事故が検出された場合には、第1経過時間(K1)をリセットする。
【0014】
そして、第1経過時間(K1)が、第1判定時間(T1)となった場合には、燃料電池から電力系統への出力を再開する。
また、電力系統の事故が検出されて燃料電池から電力系統への出力が停止される場合に、燃料電池から電力系統への出力が再開されるまでは、電力系統の事故の検出からの第3経過時間(K3)を計測する。
【0015】
そして、第3経過時間(K3)が、第3判定時間(T3)を経過した後に、第1経過時間K1が電力系統の事故の回復から第1判定時間(T1)に至ったという条件が満たされたときに、出力再開手段によって電力系統への出力を再開する。一方、第3経過時間(K3)が、第3判定時間(T3)を経過した後に、出力再開手段によって電力系統への出力を再開する前に再度電力系統の事故が検出された場合には、燃料電池の発電を停止する。
【0016】
このような処理によって、本第1態様では、電力系統の事故発生に対し、一過的な事故なのか長期間にわたる断続瞬停や断続瞬低なのかを簡易的な方法で判定することができる。
【0017】
つまり、電力系統の事故の検出から第3判定時間(T3)を経過した後に、(電力系統への出力を再開する条件が満たされることなく)再度電力系統の事故が検出された場合には、一過性の事故ではなく、回復に時間がかかる長期の断続瞬停や断続瞬低である可能性が高いと考えられる。
【0018】
よって、このように、電力系統の復旧までに時間がかかると判断された場合には、速やかに燃料電池を停止するように制御する(例えば運転モードを停止状態に移行する)。その結果、燃料ガスの無駄な消費を削減することができるとともに、温度差による燃料電池の歪みの発生等を抑制して耐久性を高めることができる。
【0019】
一方、第3経過時間(K3)が、第3判定時間(T3)を経過した後に、第1経過時間K1が電力系統の事故の回復から第1判定時間T1経過したときには、出力再開手段によって電力系統への出力を再開する。
【0020】
これにより、速やかに電力系統への出力を回復することができる。
(2)本発明は、第2態様として、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出されない間は、前記電力系統の事故の検出からの第2経過時間(K2)を計測する第2計測手段と、前記第2計測手段によって計測された第2経過時間(K2)が、前記第1判定時間(T1)以上であり前記第3判定時間(T3)以下である第2判定時間(T2)となった場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電停止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
電力系統の事故の検出からの(事故の回復が検出されない間の)第2経過時間(K2)が、第2判定時間(T2)となった場合には、一過性の事故ではなく、回復に時間がかかる長期の停電である可能性が高いと考えられる。
【0022】
そこで、本第2態様では、そのような場合には、燃料電池の発電を停止するので、燃料ガスの無駄な消費を削減することができるとともに、温度差による燃料電池の歪みの発生等を抑制して耐久性を高めることができる。
【0023】
(3)本発明は、第3態様(燃料電池システムの運転方法)として、燃料ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて発電を行うとともに、電力系統と電気的に接続されて当該電力系統との並列運転が可能な燃料電池と、前記燃料電池の単独運転となるような前記電力系統の事故を検出する事故発生検出手段と、前記電力系統の事故の回復を検出する事故回復検出手段と、を備えた燃料電池システムの運転方法であって、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を停止する出力停止工程と、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された後に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出された場合には、当該電力系統の事故の回復の検出毎に、当該電力系統の事故の回復の検出からの第1経過時間(K1)を計測するとともに、前記第1経過時間(K1)の計測中に前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合には、前記第1経過時間(K1)をリセットする第1計測工程と、前記第1計測工程によって計測された第経過時間(K1)が、第1判定時間(T1)となった場合には、前記燃料電池から前記電力系統への出力を再開する出力再開工程と、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出されて前記出力停止工程によって前記電力系統への出力が停止される場合に、前記出力再開工程によって前記燃料電池から前記電力系統への出力が再開されるまでは、前記電力系統の事故の検出からの第3経過時間(K3)を計測する第3計測工程と、前記第3計測工程によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記第1計測工程によって計測された第1経過時間(K1)が前記第1判定時間(T1)となった場合には、前記出力再開手段にて前記電力系統への出力を再開し、一方、前記第3計測工程によって計測された第3経過時間(K3)が、前記第1判定時間(T1)以上である第3判定時間(T3)を経過した後に、前記電力系統への出力の再開の前に前記事故発生検出手段によって再度前記電力系統の事故が検出された場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電制御手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
本第3態様では、前記第1態様と同様な効果を奏する。
(4)本発明は、第4態様として、前記事故発生検出手段によって前記電力系統の事故が検出された場合に、前記事故回復検出手段によって前記電力系統の事故の回復が検出されない間は、前記電力系統の事故の検出からの第2経過時間(K2)を計測する第2計測工程と、前記第2計測工程によって計測された第2経過時間(K2)が、前記第1判定時間(T1)以上であり前記第3判定時間(T3)以下である第2判定時間(T2)となった場合には、前記燃料電池の発電を停止する発電停止工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本第4態様では、前記第2態様と同様な効果を奏する。
なお、本発明において、前記燃料電池としては、例えば固体酸化物形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池が挙げられる。なお、本発明を実施する上で、特に動作温度が高い固体酸化物形燃料電池において、顕著な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】燃料電池システム及び電力系統システムの概略構成を示す説明図である。
図2】各モード及び各モード間の移行状態を示す説明図である。
図3】各モードの切替状態、系統安定監視時間(第1判定時間)、各タイマの動作状態を示すタイミングチャートである。
図4】各モードの切替状態、復旧監視時間(第2判定時間)、各タイマの動作状態を示すタイミングチャートである。
図5】事故と回復が繰り返される場合の各モードの切替状態、系統安定監視時間(第1判定時間)、各タイマの動作状態を示すタイミングチャートである。
図6】事故と回復が繰り返される場合の各モードの切替状態、系統監視時間(第3判定時間)、各タイマの動作状態を示すタイミングチャートである。
図7】発電モード(モード1)における処理を示すフローチャートである。
図8】電力系統監視モード(モード2)における処理を示すフローチャートである。
図9】発電待機モード(モード3)における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、発明を実施するための形態(実施例)について、すなわち、燃料電池システム及びその運転方法について説明する。
なお、以下の実施例では、燃料電池として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に挙げて説明する。
【実施例】
【0028】
[1]まず、本実施例の燃料電池システムを備えた燃料電池・電力系統連係システムについて説明する。
図1に示すように、本実施例では、燃料電池システム1と電力系統(商用電力)側のシステム(電力系統システム)3とが接続されて、燃料電池・電力系統連係システム5が構成されており、この燃料電池・電力系統連係システム5では、燃料電池システム1と電力系統システム3とが連係して、負荷7に電力を供給する。
【0029】
このうち、前記燃料電池システム1は、周知の複数の燃料電池セル(図示せず)が積層された燃料電池スタック9と、燃料電池スタック9を加熱するバーナー11と、燃料電池スタック9及びバーナー11を収容する断熱容器13とを備えている。
【0030】
また、燃料電池システム1は、燃料電池スタック9に酸化剤ガス(例えば空気)を供給する空気ポンプ15と、燃料電池スタック9に燃料ガス(例えば都市ガス)を供給する燃料ポンプ17と、(比例弁19を介して)バーナー11に空気と燃料ガスの混合ガス(混合気)を供給する混合気ポンプ21と、燃料電池スタック9で発電された電力を制御して電力系統システム3に供給する電力変換装置23と、燃料電池システム1の単独運転状態を検出する単独運転検出装置25と、燃料電池システム1の動作を制御する制御用コントローラ27とを備えている。
【0031】
以下、各構成について説明する。
前記燃料電池スタック9は、発電単位である板状の燃料電池セルが板厚方向に複数(例えば20枚)積層されたものであり、その積層方向の両側から直流電流を取り出すことができるように構成されている。
【0032】
なお、図示しないが、燃料電池セルは、例えば周知の固体酸化物形燃料電池(SOFC)であり、固体電解質層(固体酸化物層)の両側に空気極と燃料極とを備え、空気極側に空気を供給するとともに燃料極側に燃料ガス(例えば水素)を供給することにより、両電極間に電力が発生する。
【0033】
前記バーナー11は、燃料電池スタック9の温度が、発電に好適な温度となるように加熱するヒーターであり、外部から供給される空気と燃料ガスとの混合気を燃焼させることによって発熱する。なお、バーナー11の発熱状態(従って燃料電池スタック9の温度)は、混合気ポンプ21の作動状態(回転速度)を制御することによって制御することができる。
【0034】
前記電力変換装置23は、いわゆるパワーコンディショナー(PC)であり、燃料電池スタック9で発電された直流電力を電力系統システム3側に供給するために交流電力(例えば200Vの商用電力)に変換する装置である。なお、この電力変換装置23としては、一般的な直流−交流変換装置を使用することができる。
【0035】
この電力変換装置23では、燃料電池スタック9から取り出す直流電力の制御や、電力変換装置23への入出力電流制御などを行うことができる。例えば、予めどの程度までの発電量とするかを設定しておけば、その燃料電池スタック9がその発電量までとなるように発電量を制御することができる。また、予め燃料電池スタック9からどの程度までの電流(電流値)を取り出すかを設定しておけば、その電流値までを取り出すように燃料電池スタック9から取り出す電流値を制御することができる。
【0036】
前記単独運転検出装置25は、電力系統システム3において、負荷7に供給される電力(詳しくは電流)を検出する電流検出器である。
従って、この電流検出器で(負荷7に供給される)電流が検出されない場合には、天災による事故等によって電力系統から電力が供給されない状態、即ち、燃料電池システム1による単独運転の状態であると判断することができる。
【0037】
また、この電流検出器で、(電流が検出されない状態から変化して)電流が検出された場合には、電力系統からの電力の供給が復旧した(再開された)状態、即ち、燃料電池システム1と電力系統システム3の両方による電力供給が回復(再並列)した状態であると判断することができる。
【0038】
前記制御用コントローラ27は、周知のマイコン等を備えた電子制御装置であり、電力変換装置23からの制御情報(例えば発電量)、単独運転検出装置25からの電力系統の電力の供給状態の情報(電力系統の事故発生(単独運転の検出)及び電力系統の復旧)、燃料電池スタック9に配置された(図示しない)温度センサからの温度情報などを入力する。
【0039】
この制御用コントローラ27では、空気ポンプ15を制御して、燃料電池スタック9に供給する空気量を調節し、燃料ポンプ17を制御して、燃料電池スタック9に供給する燃料ガス量を調節し、混合気ポンプ21を制御して、バーナー11に供給する混合気量を調節する。これによって、燃料電池スタック9の温度や発電量を制御する。
【0040】
特に、本実施例では、上述した通常の制御に加えて、後に詳述するように、電力系統における事故発生(電力系統からの電力の供給の中断)や、電力系統における電力の中断からの復旧の発生状態に基づいて、燃料電池システム1の運転状態を制御する。
【0041】
[2]次に、本実施例の燃料電池システム1の制御内容について説明する。
a)まず、制御モードについて説明する。
図2に示すように、本実施例では、制御用コントローラ27にて燃料電池システム1を制御する場合には、4つのモード(モード1〜4)に切り替えて制御を行う。なお、各モードに設定された場合には、そのモードであることを示すフラグ(モードフラグ1〜4)が、それぞれセットされる。
【0042】
具体的には、モード1は、空気及び燃料ガスの供給を受けて正常に発電している場合に設定される発電モードである。この発電モードとは、電力系統システム3が事故無く動作している場合、即ち、電力系統システム3にて、負荷7に電力(詳しくは電流)が供給されている場合において、通常のように、燃料電池スタック9に、空気及び燃料ガスを供給することによって発電を行うモードである。
【0043】
モード2とは、電力系統システム3に事故が発生し、電力系統システム3において負荷7に電力(電流)が供給されていないことが検出された場合、即ち、燃料電池スタック9のみが単独で発電していることが検出された場合に設定される電力系統監視モードである。
【0044】
なお、この電力系統監視モードにおいては、空気及び燃料ガスの供給は、発電モードと同様に行われるが、燃料電池システム1から電力系統システム3への電力の供給は、電力変換装置23によって中断されている。このとき、バーナー11への混合気の供給は、燃料電池スタック9の温度に基づいて、発電が可能な温度となるように制御される。
【0045】
モード3とは、電力系統システム3が復旧した場合、即ち電力系統システム3において負荷7への電力(電流)の供給が復旧した場合に設定される発電待機モードである。
なお、この発電待機モードにおいては、空気及び燃料ガスの供給は、発電モードと同様に行われるが、燃料電池システム1から電力系統システム3への電力の供給は、電力変換装置23によって中断されている。このとき、バーナー11への混合気の供給は、燃料電池スタック9の温度に基づいて、発電が可能な温度となるように制御される。
【0046】
モード4とは、燃料電池スタック9における発電を停止する発電停止モードである。この発電停止モードにおいては、空気及び燃料ガスの燃料電池スタック9への供給は停止されるので、燃料電池システム1では発電が行われない。このときには、バーナー11への混合気の供給を停止して、バーナー11による加熱を停止する。
【0047】
b)次に、各モード1〜4の間の切り替えについて説明する。
<発電モード(モード1)>
図2に示すように、発電モード(モード1)の場合に、単独運転検出装置25によって、(燃料電池システム1のみの運転である)単独運転を検出したときには、即ち、事故発生等によって電力系統システム3からの電力が得られていないことを検出したときには、電力系統監視モード(モード2)に移行する。
【0048】
なお、単独運転の検出によって、モード1からモード2に移行したときには、第2計測手段(以下、復旧監視タイマT2Tとも呼ぶ)によって、第2経過時間K2の測定を開始する。この第2経過時間K2は、第2判定時間T2(以下、復旧監視時間T2とも呼ぶ)の判定の際に用いられる。
【0049】
同様に、単独運転の検出によって、モード1からモード2に移行したときには、第3計測手段(以下、系統監視タイマT3Tとも呼ぶ)によって、第3経過時間K3の測定を開始する。この第3経過時間K3は、第3判定時間T3(以下、系統監視時間T3とも呼ぶ)の判定の際に用いられる
<電力系統監視モード(モード2)>
電力系統監視モード(モード2)の場合に、電力系統が復旧したときには、発電待機モード(モード3)に移行する。
【0050】
なお、電力系統の復旧によって、モード2からモード3に移行したときには、第1計測手段(以下、系統安定監視タイマT1Tとも呼ぶ)によって、第1経過時間K1の測定を開始する。この第1経過時間K1は、第1判定時間T1(以下、系統安定監視時間T1とも呼ぶ)の判定の際に用いられる。
【0051】
また、電力系統監視モード(モード2)の場合に、第2経過時間K2が第2判定時間T2を超えたときは、電力系統が停電していると判断して、発電停止モード(モード4)に移行する。
【0052】
<発電待機モード(モード3)>
発電待機モード(モード3)の場合に、第1経過時間K1が第1判定時間T1を超える前に、単独運転が検出されたときには、電力系統監視モード(モード2)に移行する。
【0053】
また、発電待機モード(モード3)の場合に、第1経過時間K1が第1判定時間T1を超えたときには、発電モード(モード1)に移行する。
このとき、第3経過時間K3が第3判定時間T3を超えていても、系統安定監視タイマT1Tのカウントアップ開始が第3判定時間T3より先に始まっていれば、系統安定監視を優先させる。
【0054】
あるいは、発電待機モード(モード3)の場合に、第3経過時間K3が第3判定時間T3を超えた状態で、単独運転が検出されたときには、電力系統に断続的な事故が発生していると判断して、発電停止モード(モード4)に移行する。
【0055】
なお、前記第1〜第3判定時間T1〜T3としては、例えば、第1判定時間T1(例えば5分)<第2判定時間T2(例えば10分)<第3判定時間T3(例えば30分)の関係を採用できる。
【0056】
[3]次に、電力系統システム3の電力供給の状態に応じた燃料電池システム1の発電状態の制御について説明する。
図3図6に示すように、本実施例では、電力系統システム3の電力供給の状態、即ち、事故による電力供給の停止(各図に示す事故発生)やその電力供給の停止からの回復(各図に示す復旧)に応じて、制御モードを切り替えて、燃料電池システム1の発電状態を制御する。以下、各種の制御内容について説明する。
【0057】
図3に示すように、モード1の状態、即ち、電力系統システム3による電力供給があり且つ燃料電池システム1により発電が行われている状態において、電力系統システム3に事故(停電)が発生して、電力系統システム3からの電力の供給が中断した場合には、モード2(電力系統監視モード)に移行する。
【0058】
このとき、空気及び燃料ガスの燃料電池スタック9への供給は、モード1と同様に継続するが、電力変換装置23を駆動して、燃料電池システム1側から電力系統システム3側への通電を遮断するとともに、(直流電力から交流電力への)電力変換を中止する。
【0059】
そして、このモード2では、電力系統システム3の電力供給が復旧するかどうかを、単独運転検出装置25によって監視する。
なお、後に詳述するが、モード1からモード2に移行した際には、停電の継続時間(第2経過時間K2)をカウントする復旧監視タイマT2Tによる時間計測を開始するとともに、断続事故発生の時間(第3経過時間K3)をカウントする系統監視タイマT3Tによる時間計測を開始する。
【0060】
次に、モード2の状態おいて、電力系統システム3の電力供給が復旧した場合には、モード3(発電待機モード)に移行する。なお、モード3においては、空気及び燃料ガスの供給は、モード1、2と同様に行う。
【0061】
なお、モード2からモード3に移行した際に、事故の復旧からの継続時間(第1経過時間K1)をカウントする系統安定監視タイマT1Tによる時間計測を開始する。なお、復旧監視タイマT2Tによる時間計測は、モード3への移行と同時に停止・リセットする。
【0062】
つまり、このモード3では、単独運転検出装置25によって、再度電力系統システム3の事故発生があるかを監視するとともに、系統安定監視タイマT1Tによって、モード3に移行してからの第1経過時間K1を測定する。
【0063】
そして、第1経過時間K1が第1判定時間T1(例えば5分)になった場合には、モード3からモード1に移行して、燃料電池システム1と電力系統システム3との電気的接続を再開し、燃料電池システム1から電力系統システム3への電力の供給を可能な状態とする(再並列する)。具体的には、電力変換装置23によって、燃料電池システム1の直流電力を交流電力に変換して電力系統システム3に供給することを再開する。
【0064】
なお、モード3からモード1に移行した際には、系統安定監視タイマT1Tによる時間計測と系統監視タイマT3Tによる時間計測とを停止する。
図4に示すように、モード1の状態において、電力系統システム3に事故(停電)が発生して、その電力の供給が中断した場合には、モード2に移行する。
【0065】
このモード1からモード2に移行した際には、停電の継続時間(第2経過時間K2)をカウントする復旧監視タイマT2Tによる時間計測を開始する。なお、このとき、系統監視タイマT3Tによる時間計測も開始する。
【0066】
このモード2では、電力系統システム3の電力供給が復旧するかどうかを、単独運転検出装置25によって監視し、復旧監視タイマT2Tによって、モード2に移行してからの(即ち事故発生からの)第2経過時間K2を測定する。
【0067】
そして、第2経過時間K2が第2判定時間T2(例えば10分)になった場合には、モード4に移行して、燃料電池システム1による発電を停止する。具体的には、燃料電池スタック9への空気と燃料ガスの供給を停止するとともに、バーナー11への混合気の供給を停止する。
【0068】
なお、モード2からモード4に移行した際には、復旧監視タイマT2Tによる時間計測と系統監視タイマT3Tによる時間計測とを停止する。
図5に示すように、モード1の状態において、電力系統システム3に事故(停電)が発生して、その電力の供給が中断した場合には、モード2に移行する。
【0069】
その後、電力系統が復旧した場合には、モード3に移行する。
このモード3では、第1判定時間T1が経過する前に、再度事故発生を検知した場合には、モード2に移行する。
【0070】
以後同様に、電力系統の復旧があった場合にはモード3に移行し、再度事故があった場合にはモード2に移行するなど、状況に応じた処理を行う。
そして、前記図3に示す処理内容と同様に、モード3にて、電力系統の復旧から第1判定時間T1が経過した場合には、モード1に移行して、発電を再開する(即ち再並列する)。
【0071】
なお、図5に示すように、系統安定監視タイマT1Tは、復旧時からカウントアップされ、事故発生時にリセットされ、第1判定時間T1に達するとリセットされる。復旧監視タイマT2Tは、事故発生時からカウントアップされ、復旧時にリセットされる。系統監視タイマT3Tは、最初の事故発生時からカウントアップされ、第3判定時間T3に達するとリセットされる。
【0072】
図6に示すように、モード1の状態において、電力系統システム3に事故(停電)が発生して、その電力の供給が中断した場合には、モード2に移行する。
このとき、断続事故発生の時間(第3経過時間K3)をカウントする系統監視タイマT3Tによる時間計測を開始する。
【0073】
その後、電力系統が復旧した場合には、モード3に移行する。
以後、例えば図5に示す処理内容と同様に、電力系統の事故や回復が発生した場合には、その状況に応じて、モード2やモード3に切り替える。
【0074】
そして、事故発生からの第3経過時間K3が第3判定時間T3(例えば30分)に達した後に、モード3の状態にある場合に、電力系統に事故が発生したときには、モード4に移行する。
【0075】
なお、系統監視タイマT3Tは、第3判定時間T3に達するとリセットされる。また、系統安定監視タイマT1Tは、前記図5と同様に動作するとともに、モード3からモード4に移行した際に、リセットされる。
【0076】
このモード4は、燃料電池システム1による発電を停止するモードであるので、空気ポンプ15及び燃料ポンプ17を制御して、燃料電池スタック9への空気及び燃料ガスの供給を停止する。また、混合気ポンプ21を制御して、バーナー11への混合気の供給を停止する。
【0077】
[4]次に、各モードおける制御処理について説明する。
a)発電モード(モード1)の処理
図7に示すように、ステップ(S)100では、系統安定監視タイマT1Tを停止・リセットする。
【0078】
続くステップ110では、復旧監視タイマT2Tを停止・リセットする。
続くステップ120では、系統監視タイマT3Tを停止・リセットする。
続くステップ130では、単独運転検出装置25からの信号に基づいて、単独運転が検出されたか否かを判定する。
【0079】
なお、モード1では、各タイマのカウントアップは停止している。
ステップ130で肯定判断(単独運転が検出されたと判断)されると、電力監視モード(モード2)に移行し、一方否定判断(単独運転が検出されていないと判断)されると、単独運転検出を繰り返す。
【0080】
b)電力系統監視モード(モード2)の処理
図8に示すように、ステップ200では、系統安定監視タイマT1Tを停止・リセットする。加えて、復旧監視タイマT2Tと系統監視タイマT3Tのカウントアップを開始する。
【0081】
続くステップ210では、単独運転検出装置25からの信号に基づいて、電力系統が回復したか否かを判定する。
ステップ210で肯定判断(電力系統が回復したと判断)されると、発電待機モード(モード3)に移行し、一方否定判断(電力系統が回復していないと判断)されると、ステップ220に進む。
【0082】
ステップ220では、復旧監視タイマT2Tによって計測された第2経過時間K2が、復旧監視時間である第2判定時間T2を経過したか否かを判定する。
ステップ220で肯定判断(電力系統が回復していないまま第2判定時間T2が経過したと判断)されると、発電停止モード(モード4)に移行し、一方否定判断(第2判定時間T2が経過していないと判断)されると、ステップ210から本処理を再開する。
【0083】
c)発電待機モード(モード3)の処理
図9に示すように、ステップ300では、復旧監視タイマT2Tを停止・リセットする。加えて、系統安定監視タイマT1Tのカウントアップを開始する。
【0084】
続くステップ310では、系統安定監視時間である第1判定時間T1が経過したか否かを判定する。
ステップ310で肯定判断(電力系統が回復した状態で、第1判定時間T1が経過したと判断)されると、発電モード(モード1)に移行し、一方否定判断(第1判定時間T1が経過していないと判断)されると、ステップ320に進む。
【0085】
ステップ320では、単独運転が検出されたか否か、即ち、電力系統に事故が発生したか否かを判定する。
ステップ320で肯定判断(単独運転が検出されたと判断)されると、ステップ330に進み、一方否定判断(単独運転が検出されていないと判断)されると、ステップ310から本処理を再開する。
【0086】
ステップ330では、系統監視時間である第3判定時間T3が経過したか否かを判定する。
ステップ330で肯定判断(第3判定時間T3が経過したと判断)されると、発電停止モード(モード4)に移行し、一方否定判断(第3判定時間T3が経過していないと判断)されると電力系統監視モード(モード2)に移行する。
【0087】
d)発電停止モード(モード4)の処理
図示しないが、発電停止モード(モード4)では、上述したように、燃料電池スタック9への空気及び燃料ガスの供給を停止して、発電を停止する。
【0088】
それとともに、バーナー11への混合気の供給を停止して、バーナー11による加熱を停止する。
[5]次に、本実施例の効果について説明する。
【0089】
・本実施例では、電力系統の事故が検出された場合には、燃料電池システム1から電力系統システム3への出力を停止する。
また、電力系統の事故が検出された後に、電力系統の復旧が検出された場合には、電力系統の復旧の検出毎に、電力系統の復旧の検出からの第1経過時間K1を計測する。そして、第1経過時間K1が、第1判定時間T1となった場合には、燃料電池システム1から電力系統システム3への出力を再開する。
【0090】
また、電力系統の事故が検出された場合に、燃料電池システム1から電力系統システム3への出力が再開されるまでは、電力系統の事故の検出からの第3経過時間K3を計測する。
【0091】
そして、第3経過時間K3が、第3判定時間T3を経過した後に、再度電力系統の事故が検出されない場合には、第1経過時間K1が電力系統の事故の回復から第1判定時間T1に至ったという条件が満たされたときに、燃料電池システム1から電力系統システム3への出力を再開する。
【0092】
一方、第3経過時間K3が、第3判定時間T3を経過した後に、再度電力系統の事故が検出された場合には、燃料電池スタック9の発電を停止する。
このような処理によって、本実施例では、電力系統の事故発生に対し、一過的な事故なのか長期間にわたる停電なのかを簡易的な方法で判定することができる。
【0093】
つまり、電力系統の事故の検出から第3判定時間T3を経過した後に、(電力系統システム3への出力を再開する条件が満たされることなく)再度電力系統の事故が検出された場合には、一過性の事故ではなく、回復に時間がかかる長期の停電である可能性が高いと考えられる。
【0094】
よって、このように、電力系統の復旧までに時間がかかると判断された場合には、速やかに燃料電池システム1の運転モードを停止状態に移行する。その結果、燃料ガスの無駄な消費を削減することができるとともに、温度差による燃料電池スタック9の歪みの発生等を抑制して耐久性を高めることができる。
【0095】
一方、第3経過時間K3が、第3判定時間T3を経過した後に、再度電力系統の事故が検出されない場合に、電力系統の事故の回復から第1判定時間T1経過したときには、燃料電池システム1から電力系統システム3への出力を再開する。
【0096】
これにより、速やかに電力系統システム3への出力を回復することができる。
・また、電力系統の事故の検出からの(事故の回復が検出されない間の)第2経過時間K2が、第2判定時間T2となった場合には、一過性の事故ではなく、回復に時間がかかる長期の停電である可能性が高いと考えられる。
【0097】
そこで、本実施例では、そのような場合には、燃料電池スタック9の発電を停止するので、電力系統に事故が発生した場合でも、燃料ガスの無駄な消費を削減することができるとともに、温度差による燃料電池スタック9の歪みの発生等を抑制して耐久性を高めることができる。
[特許請求の範囲と実施例との関係]
燃料電池スタック9が燃料電池に、単独運転検出装置25が事故発生検出手段及び事故回復検出手段に該当する。また、出力停止手段(工程)と第1計測手段(工程)と出力再開手段(工程)と第3計測手段(工程)と発電制御手段(工程)とは、制御用コントローラ27による制御内容に該当する。更に、第2計測手段(工程)と発電停止手段(工程)も、制御用コントローラ27による制御内容に該当する。
【0098】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、各判定時間の大きさを、第1判定時間(T1)<第2判定時間(T2)<第3判定時間(T3)と設定する以外に、T1≦T2≦T3としてもよい。
【0099】
例えばT1=T2=T3とすることも可能である。それ以外には、T1>T2=T3とすることも可能である。
また、T1<T2≦T3とすると、系統異常検出の感度を高めることができるので好適である。
【0100】
なお、T1は、電力系統の復旧後から開始されるカウンタタイマであり、T2は電力系統の事故発生から電力系統が復旧するまでのカウンタタイマであるので、T1のタイマとT2のタイマが同時進行することはない。
【符号の説明】
【0101】
1…燃料電池システム
3…電力系統システム
9…燃料電池スタック
11…バーナー
23…電力変換装置
25…単独運転検出装置
27…制御用コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9