(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ケース部材と当該第1ケース部材に対して開閉可能に取り付けられる第2ケース部材とを備え、前記第1ケース部材に対して前記第2ケース部材を開閉移動方向における閉止方向に相対移動させて前記第2ケース部材を前記第1ケース部材に閉止状態で保持させて、当該閉止状態で前記第1ケース部材および前記第2ケース部材に囲まれて形成されるケース内部に制御基板を収容する基板ケースユニットであって、
前記第1ケース部材および前記第2ケース部材のいずれか一方のケース部材の内部に貼着されるシール部材と、
破断部材本体、前記シール部材を破断する破断部、前記破断部材本体に形成されて前記第1ケース部材に対する前記第2ケース部材の前記開閉移動方向における開放方向への相対移動を規制するためのロック部、および外部から破断可能に形成されて前記破断部材本体から前記ロック部を分離させ得る分離部を有し、前記閉止状態で他方のケース部材に外部から装着されるシール破断部材とを備え、
前記一方のケース部材は、前記ロック部と当接または係合する被ロック部を有し、
前記他方のケース部材は、前記シール破断部材が前記閉止状態で当該他方のケース部材に固着されたとき、前記ロック部を挿通させて前記ロック部を前記ケース内部に導くロック部挿通孔と、前記破断部を挿通させて前記破断部を前記シール部材と近接させる破断部挿通孔とを有し、
前記閉止状態において前記破断部材本体を前記他方のケース部材に固着させて前記シール破断部材を前記他方のケース部材に装着した場合は、前記第1ケース部材に対して前記第2ケース部材を前記開放方向に相対移動させようとすると前記ロック部と前記被ロック部とが当接又は係合して当該開放方向への相対移動が規制されるが、外部から前記分離部を破断して前記シール破断部材から前記ロック部を分離させて取り除くことで、前記ロック部と前記被ロック部との当接又は係合が解除されて当該開放方向への相対移動が許容されるようになり、
当該許容状態において前記第1ケース部材に対して前記第2ケース部材を前記開放方向に相対移動させたとき、前記他方のケース部材に固定された前記シール破断部材も一体的に相対移動して前記一方のケース部材に貼着された前記シール部材に接触してこれを破断することを特徴とする基板ケースユニット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る基板ケースユニットを備えた遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機PMの斜視図及び背面図を
図1及び
図2に示しており、まず、この図を参照してぱちんこ遊技機PMの全体構成について説明する。
【0013】
[ぱちんこ遊技機の全体構成]
始めに、
図1を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機PMは、
図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0014】
前枠2には、この前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。前枠2には、遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラス5aを通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。
【0015】
ガラス枠5の下部には遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿6a及び下球皿6b)が設けられ、下球皿6bの正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠5の前面側には、発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置8や、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ9が設けられている。
【0016】
図1では詳細な図示を省略しているが、遊技盤10は、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板を基板とし、上下のレール飾りに囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘、風車、中央飾り、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される演出表示装置、各種入賞口などの遊技構成部品が設けられ、遊技領域PAの下端部には入賞口に落入することなく落下した遊技球を裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤10を前後に貫通して形成されている。
【0017】
続いて、
図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの背面側の基本構造を説明する。前枠2の背面側には、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体をベースとしてなる裏セット盤20が、上下のヒンジ機構3を介して前枠2後方に横開き開閉及び着脱が可能に連結されている。この裏セット盤20には、前面開放の矩形箱状をなす裏セットカバー20Cが着脱自在に装着されており、常には前枠2に取り付けられた遊技盤10の裏面側を覆って配設されている(これにより後述する主制御基板ケースユニット30などが裏セットカバー20Cにより覆われる)。
【0018】
裏セット盤20の各部には、多数個の遊技球を貯留する球貯留タンク21、球貯留タンク21から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール22、タンクレール22の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路部材23、球供給通路部材23により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニット24、賞球払出ユニット24から払い出された遊技球を上球皿6aに導くための賞球通路部材25などが設けられている。
【0019】
遊技盤10の背面側には、ぱちんこ遊技機PMの作動を統括的に制御する主制御基板11(主制御基板ケースユニット30,100)や、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を行う演出制御基板12(演出制御基板ケースユニット200)などが取り付けられている。これに対して、裏セット盤20の背面側には、遊技球の発射及び払い出しに関する制御を行う払出制御基板13(払出制御基板ケースユニット300)や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板14(電源基板ケースユニット400)などが取り付けられている。これらの制御基板とぱちんこ遊技機PM各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)で接続されて、ぱちんこ遊技機PMが作動可能に構成されている。
【0020】
ぱちんこ遊技機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿6aに遊技球を貯留させて発射ハンドル7を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル7が回動操作されると、上球皿6aに貯留された遊技球が、ガラス枠5の背面側に配設される球送り機構によって1球ずつ発射機構に送り出され、発射機構により遊技領域PAに打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
【0021】
[主制御基板ケースユニットの構成(第1実施形態)]
次に、第1実施形態に係る主制御基板ケースユニット30の構成について
図3を追加参照して説明する。ここで、
図3は主制御基板ケースユニット30の分解斜視図である。なお、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下及び左右前後の方向は、ぱちんこ遊技機PMへの取付状態での方向として、
図3の状態を基準として定義しており、
図3に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
【0022】
主制御基板ケースユニット30は、ぱちんこ遊技機PMにおける制御の中枢を担う前述の主制御基板11と、主制御基板11を内部に収容する略矩形容器状の基板ケース40と、を主体として構成されている。
【0023】
主制御基板11は、詳細図示を省略しているが、矩形形状のプリント配線板を基板として、CPU、ROM及びRAM等の電子デバイス11aや抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子・電気部品が実装されて構成されている。この主制御基板11は、基板ケース40(後述するトップケース60)の内面側にビス止め固定される。
【0024】
基板ケース40は、遊技盤10の背面に着脱されるボトムケース50と、このボトムケース50に装着されるトップケース60とを備えて構成されており、ボトムケース50にトップケース60を装着した閉止状態で前後整合するケース右端部及び左端部に、不正開放防止構造及び封印構造(共に詳細後述)が設けられている。ボトムケース50及びトップケース60は、互いの開口同士を相対向させた閉止状態で組み合わされて一体化される。ボトムケース50及びトップケース60は、共に無色透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成され、外部からでも基板ケース40内を視認可能に構成されている。
【0025】
ボトムケース50は、底壁51a及びこの底壁51aの周縁から立設される上下左右の側壁51bを有して全体として後面開放の矩形箱状に形成されたボトムケース本体51と、ボトムケース本体51の右端部に一体的に形成されたボトム側ロック部52と、ボトムケース本体51の左端部に一体的に形成されたボトム側封印部53とを有して構成される。ボトムケース本体51の上下の側壁51bには、底壁51aからそれぞれ後方に向けて突出するボトム側スライド係合部51cが左右方向に並んで複数形成されている。
【0026】
トップケース60は、底壁61a及びこの底壁61aの周縁から立設される上下左右の側壁61bを有して全体として前面開放の矩形箱状に形成されたトップケース本体61と、トップケース本体61の右端部に連結部62bを介して一体的に繋がるトップ側ロック部62と、このトップケース本体61の左端部に一体的に形成されたトップ側封印部63とを有して、ボトムケース50に対して左右方向(「スライド方向」とも称する)にスライド装着可能に構成されている。トップケース本体61の上下の側壁61bには、この側壁61bが延びる長手方向(左右方向)に沿って前面側に開口してボトムケース50のボトム側スライド係合部51cを受容可能な凹溝状のトップ側溝部61cが形成されるとともに、このトップ側溝部61c内においてボトムケース50のボトム側スライド係合部51cと係合可能なトップ側スライド係合部61dが形成されている。トップケース60には、主制御基板11のコネクタ(図示省略)の実装位置に対応して表裏貫通するコネクタ挿抜口61eが形成されており、主制御基板11がトップケース60に取り付けられた状態で、主制御基板11のコネクタがコネクタ挿抜口61eを通して外部に露出し、演出制御基板12や払出制御基板13等とハーネス(コネクタケーブル)を介して電気接続可能となる。
【0027】
ボトムケース50にトップケース60を組み付けるには、ボトムケース50に対してトップケース60を左方に若干ずらした状態で前後方向に対向させて、トップケース60のトップ側溝部61cにボトムケース50のボトム側スライド係合部51cを挿入し、トップケース60を右方向(以下において「閉止方向」とも称する)にスライド移動させることにより、ボトム側スライド係合部51cとトップ側スライド係合部61dとを係合させる。これにより、ボトムケース50とトップケース60とが互いの開口同士を相対向させた閉止状態で一体化される。そして、こうしてボトムケース50にトップケース60が組付けられた閉止状態において、前後に位置整合するボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とを有して不正開放防止構造が構成されるとともに、同じく前後に位置整合するボトム側封印部53とトップ側封印部63とを有して封印構造が構成されている。
【0028】
<不正開放防止構造>
まず、不正開放防止構造は、いわゆるカシメ構造とも称されて、従来から知られている構成であり、種々の構成が適宜採用されているが、本実施形態では、
図3に示されているように、ボトムケース本体51の右端部に設けられたボトム側ロック部52と、トップケース本体61の右端部に断面半円筒状の連結部62bを介して設けられたトップ側ロック部62と、ボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とを係合連結するためのロック部材70と、を有して構成されている。
【0029】
ボトム側ロック部52は、後方に向けて開口するボトム側ロック孔52aを有している。トップ側ロック部62は、ボトム側ロック孔52aと前後に整合する位置に表裏貫通して形成されたトップ側ロック孔62aを有している。カシメ部材70は、前後に延びる軸部71と、この軸部71よりも大径の円盤状に形成された操作部72と、軸部71に凹設されたピン収容孔(図示省略)内に設けられて軸部71の中心軸と直交する方向に進退自在に支持された円筒状のロックピン73とを有している。ロックピン73は、ピン収容孔内に設けられたバネ(図示省略)の反発力によってピン先端部が軸部71の外方に突出するよう付勢配設されている。
【0030】
かかる構成の不正開放防止構造において、基板ケース40が閉止されて、ボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とを前後に対向して重ね合わせた状態で、ロック部材70の軸部71を本体側ロック孔52a及び蓋側ロック孔62aに跨るように挿入して、ロック部材70をボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とに係合連結されることで、ボトムケース50に対してトップケース60が閉止状態で取り外し不能(開放不能)となる。なお、この状態から基板ケース40を開放するには、トップケース本体61とトップ側ロック部62との間を繋ぐ連結部62bを切断し、ロック部材70を介してボトム側カシメ部52と係合連結した状態のトップ側カシメ部62をトップケース本体61から切り離せばよい。これにより、トップケース60をボトムケース50に対して左方向(以下において「開放方向」とも称する)にスライド移動させて、基板ケース40を開放することができる。
【0031】
<封印構造>
続いて、封印構造について、
図4〜
図6を追加参照しながら説明する。ここで、
図4は封印構造の分解斜視図、
図5は封印シール80の平面図、
図6はシールカッター部材90の斜視図である。なお、前述したように、ボトム側封印部53及びトップ側封印部63は、ボトムケース50及びトップケース60に一体的に形成されているが、
図4〜
図6においては、説明の理解を容易にするために、ボトム側封印部53及びトップ側封印部63を切り離した状態でこれらのみを取り出して示す。
【0032】
封印構造は、ボトムケース本体51の左端部に一体的に形成されたボトム側封印部53と、トップケース本体61の左端部に一体的に形成されたトップ側封印部63と、ボトム側封印部53に貼着される封印シール80と、基板ケース40の開放時に封印シール80を破壊するためのシールカッター部材90と、を主体として構成される。ボトム側封印部53及びトップ側封印部63は、基板ケース40の閉止状態において前後に対向配置され、この対向状態においてボトム側封印部53とトップ側封印部63との間に封印シール80が介在配置され、トップ側封印部63の表面側に外部からシールカッター部材90が装着されるようになっている。
【0033】
ボトム側封印部53は、ボトムケース本体51の底壁51aから後方に向けて突設される凸状の台座部54を有して形成される。この台座部54における略コ字状に屈曲した外表面部分は、封印シール80を貼着するためのシール貼着部54aをなし、このシール貼着部54aを分断するように3カ所の溝部54bが左右方向(スライド方向)に延びて凹設されている。溝部54bは、左右側方及び後方に亘って連続的に開口されており、ボトムケース50に対してトップケース60を開放方向に移動させる際に、シールカッター部材90における破壊突起94の通過路となる。また、台座部54には、シール貼着部54aと左右方向(スライド方向)に所定間隔をあけて対峙する平板状のロック受部55が立設されている。シール貼着部54aとロック受部55との間には、シールカッター部材90を基板ケース40に装着したときに、シールカッター部材90に形成されたロック片96を受容するための凹状の受容空間56が形成されている。
【0034】
トップ側封印部63は、トップケース本体61の底壁61aの一部をなして形成されており、当該底壁61aから矩形に窪んだ段差部64を有して構成されている。このトップ側封印部63には、段差部64を底面として上方に開放される浅底の凹部65が形成されており、この凹部65にシールカッター部材90が装着されるようになっている。段差部64には、シールカッター部材90がトップ側封印部63に装着された際に、シールカッター部材90のカッター部93と位置整合して当該カッター部93を挿通するためのカッター挿通溝66が表裏に貫通されるとともに、シールカッター部材90のロック片96と位置整合して当該ロック片96を挿通するためのロック片挿通溝67が表裏に貫通されている。
【0035】
封印シール80は、
図5に示すように、矩形状のシート部材81に、ICチップ82及びこれに繋がるアンテナ線83が透明な樹脂フィルム84によって覆われた状態で貼り付けられることで構成されており、紙製のシート部材81の表面には識別情報としてのシリアル番号(図示せず)が印刷されている。ICチップ82はシート部材81の表面の略中央に配設され、アンテナ線83はシート部材81の一方の対角線に沿って配設されている。ICチップ82は、ぱちんこ遊技機PMや主制御基板11に関する各種情報を記憶した電子素子であり、これに繋がって配設されたアンテナ線83を介して基板ケース40の外部からでもこれらの格納情報をリーダによって読み取り可能となっている。
【0036】
また、シート部材81の外縁には、ギザギザ状の切り込み81aが規則的に形成され、このシート部材81を剥がすときに切り込み81aの谷部に応力集中が生じて破断され易いように形成されている。一方、樹脂フィルム84の外周には、直線状の切り込み84aが規則的に形成され、封印シール80が剥がされたときに、この切り込み84aに沿って樹脂フィルム84と共にアンテナ線83が破断され易く、これにより情報送信が不能となるように形成されている。なお、ICチップ82を備えた封印シール80の代わりに、例えば、シート部材に固有の識別情報等を示すQRコード(登録商標:以下省略)を印刷によって付した封印シールを用いてもよい。
【0037】
シールカッター部材90は、例えば無色透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成されている。シールカッター部材90は、
図6に示すように、トップ側封印部63の凹部65とほぼ整合する形状をなす矩形の基部板91と、基部板91の裏面側に一体的に形成されて封印シール80を破断するためのカッター部93と、基部板91の裏面側に一体的に形成されて基部板91と直交する方向に延びるロック片96とを有している。
【0038】
基部板91には、複数個のスリット92aがミシン目状に間欠的に配置されてなる分離部92が打ち抜き加工等によって形成されており、これら複数個のスリット92aに取り囲まれて、ボトムケース50に対するトップケース60の開放方向へのスライド移動を拘束するためのロック片96が立設されている。ロック片96は、基部板91の裏面側から基板ケース40のスライド方向と直交する方向に延出しており、シールカッター部材90が基板ケース40に装着された状態において、ボトム側封印部53の受容空間56内に挿入されてロック受部55とスライド方向に近接対向するようになっている。分離部92は、外部からニッパ等の工具を用いて破断可能に形成されており、ロック片96をシールカッター部材90の他の部分から区分している。つまり、分離部92が複数個のスリット92aに沿って破断されることにより、ロック片96をシールカッター部材90から分離可能に構成されている。
【0039】
カッター部93は、先端部が尖鋭な刃状に形成された3カ所の破壊突起94と、基部板91と直交する方向に延出して破壊突起94の基端部を保持する保持板95とから形成される。破壊突起94は、ボトム側封印部53における溝部54bの溝幅よりも小さく形成されており、3カ所の破壊突起94の配置間隔は、3カ所の溝部54bの配置間隔と略同一に設定されている。
【0040】
シールカッター部材90は、トップ側封印部63の凹部65に装着された状態(基部板91の裏面と段差部64の表面とが当接した状態)で、例えば超音波溶着や振動溶着などの所定の溶着手段によって、基部板91の一部分が段差部64に溶着固定される。なお、基部板91の一部分(溶着部分)としては、当該一部分をトップ側封印部63に溶着したとしても、分離部92を破断することでシールカッター部材90からロック片96を取り除くことができるとともに、シールカッター部材90から分離部92を取り除いた残りの部分がトップ側封印部63に固定された状態で維持できるものであれば、その範囲は特に限定されない。ここで、シールカッター部材90をトップ側封印部63に装着するときは、シールカッター部材90の破壊突起94とボトム側封印部53に貼着された封印シール80とは左右方向(スライド方向)にずれて接触しないため、破壊突起94によって封印シール80が破断されることはない。他方、シールカッター部材90をトップケース60と一体的に開放方向へスライド移動させると、該スライド方向から見て破壊突起94と封印シール80とは互いに重なる位置関係となっているので、破壊突起94が封印シール80に接触してこれを破断することとなる。
【0041】
次に、このように構成される主制御基板ケースユニット30において、基板ケース40を閉止するときの作用を説明する。ここで、
図7は封印シール80をボトム側封印部53に貼着するときの状態を示す斜視図、
図8はトップ側封印部63をボトム側封印部53に位置合わせした状態を示す斜視図、
図9はボトム側封印53に対してトップ側封印部63を閉止方向にスライド移動させている状態を示す斜視図、
図10はボトム側封印53に対してトップ側封印部63をスライド装着した状態を示す斜視図、
図11はシールカッター部材90を装着するときの状態を示す斜視断面図、
図12はシールカッター部材90を装着した状態を示す斜視断面図、
図13はシールカッター部材90をトップ側封印部63に溶着した状態を示す斜視図である。
【0042】
まず、基板ケース40を組み立てるには、
図7に示すように、前もって、ボトム側封印部53のシール貼着部54aに封印シール80を略コ字状に折り曲げて貼着する。封印シール80がシール貼着部54aに貼着されると、封印シール80によってボトム側封印部53の3カ所の溝部54bの開口全体が覆われて、封印シール80のアンテナ線83が3カ所の溝部54b上を横断するように配置される。
【0043】
続いて、
図8に示すように、トップ側封印部63(トップケース60)をボトム側封印部53(ボトムケース50)に対して、左方に若干ずらした位置で重なり合わせる。この状態から、
図9及び
図10に示すように、トップ側封印部63(トップケース60)をボトム側封印部53(ボトムケース50)に対して閉止方向にスライド移動させて、トップケース60をボトムケース50にスライド装着する。これにより、ボトム側スライド係合部51cとトップ側スライド係合部61dとが係合し、ボトムケース50とトップケース60とが互いの開口同士を相対向させた閉止状態で一体化される。
【0044】
一方、ボトムケース50にトップケース60をスライド装着したとき、不正開放防止構造においては、ボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とが前後に重なり合い、この状態でロック部材70をトップ側ロック孔62aとボトム側ロック孔52aとに跨るように挿入することで、このロック部材70を介してトップ側ロック部62とボトム側ロック部52とが連結し、トップケース60がボトムケース50に(連結部62bを切り離さない限りは)開放不能に装着される。
【0045】
このように基板ケース40が閉止状態になると、トップケース60をボトムケース50に対して開放方向にスライド移動させようとしても、ロック部材70がトップ側ロック部62とボトム側ロック部52とに跨って挿入されているため、当該スライド移動が規制される。
【0046】
次いで、
図11に示すように、シールカッター部材90をトップ側封印部63に位置合わせし、シールカッター部材90をトップ側封印部63の凹部65に装着する。これにより、シールカッター部材90の基部板91の裏面とトップ側封印部63の段差部64の表面とが互いに当接した重合状態となる。このようにシールカッター部材90がトップ側封印部63に装着された状態では、
図12に示すように、シールカッター部材90のカッター部93がトップ側封印部63のカッター挿通溝66に挿入されて封印シール80とスライド方向に近接対向するとともに、ロック片96がロック片挿通溝67に挿入されて受容空間56内でロック受部55とスライド方向に近接対向する。
【0047】
そして、
図13に示すように、シールカッター部材90がトップ側封印部63に装着された状態(重合状態)で、シールカッター部材90の基部板91の一部分(
図13では基部板91の両サイド部分)とトップ側封印部63の段差部64とを超音波溶着して両者を接合固定する。超音波溶着では、超音波振動と同時に加圧力を加えることで両者を溶融して接合させる。なお、シールカッター部材90とトップ側封印部63の接合方法としては、超音波溶着に限定されず、振動溶着、高周波溶着、熱溶着、レーザ溶着などの他の溶着工法を利用してもよい。また、溶着工法に限定されず、例えばフェノール樹脂系やエポキシ系、エチレン系の接着剤等を用いて接着により接合させてもよい。
【0048】
このように基板ケース40が閉止状態に保持されると、基板ケース40内に収容された主制御基板11への外部からのアクセスは困難である。ここで、封印シール80には、ICチップ82及びアンテナ線83が実装されており、基板ケース40の内部に収容された状態のままで、ICチップ82に格納された各種情報を、基板ケース40を開放することなくリーダによって外部から読み取り可能である。
【0049】
また、シールカッター部材90をトップ側封印部63に固定した状態では、トップ側封印部63のカッター挿通溝66およびロック片挿通溝67がシールカッター部材90の基部板91によって遮蔽されるため、これらの開口を通じて基板ケース40の内部に不正にアクセスするのは実質的に不可能となる。
【0050】
次に、基板ケース40を開放する際の作用について説明する。ここで、
図14はシールカッター部材90の分離部92を破壊する前の状態を示す斜視図、
図15はシールカッター部材90の分離部92を破壊した後の状態を示す斜視図、
図16はシールカッター部材90の分離部92を破壊した状態を示す斜視断面図、
図17はシールカッター部材90により封印シール80を破断している状態を示す斜視断面図である。
【0051】
まず、基板ケース40を開放するには、詳細図示を省略するが、不正開放防止構造におけるトップ側ロック部62とトップケース本体61との間を繋ぐ連結部62bをニッパ等の工具を用いて切断し、ロック部材70を介してボトム側ロック部52と係合連結された状態のトップ側ロック部62をトップケース本体61から切り離す。
【0052】
ここで、本実施形態では、この状態からトップケース60をボトムケース50に対して開放方向にスライド移動させようとしても、封印構造において、シールカッター部材90のロック片96がボトム側封印部53のロック受部55と当接してトップケース60を定位置(閉止状態)にロックするため、前述のように不正開放防止構造における連結部62bを切断しただけでは、当該スライド移動は拘束されたままである。
【0053】
そこで、まず始めに、
図14及び
図15に示すように、シールカッター部材90の分離部92をニッパ等の工具を用いて複数個のスリット92aに沿って破断する。これにより、分離部92を介して基部板91と連結された状態のロック片96がシールカッター部材90から分離され、その結果として、ロック受部55と協働してトップケース60の開放方向へのスライド移動を拘束していたロック片96がシールカッター部材90から取り除かれる。これにより、ボトムケース50とトップケース60との連結が絶たれ、基板ケース40が開放可能な状態となる。
【0054】
ここで、基板ケース40が閉止された状態では、
図16に示すように、シールカッター部材90の破壊突起94は、封印シール80と接触しておらずスライド方向に所定間隔をあけて近接対向している。前述したように、トップケース60(トップ側封印部63)とシールカッター部材90とは溶着によって一体的に連結固定されているため、トップケース60を開放方向にスライド移動させると、シールカッター部材90もトップケース60と一体化された状態で開放方向へ移動することとなる。
【0055】
このとき、ボトム側封印部53の溝部54bは、破壊突起94の移動軌跡に対応する位置に凹設され、この溝部54b上を横断するようにして封印シール80が貼着されているので、トップケース60と共にシールカッター部材90を開放方向にスライド移動させると、
図17に示すように、シールカッター部材90の破壊突起94が封印シール80に接触して当該スライド方向に沿って封印シール80を破断しながら溝部54bを通過することとなる。このように封印シール80を切り裂けば、ICチップ82そのものを破壊できなくても、アンテナ線83を破壊することができ、ICチップ82に格納された各種情報が実質的に読み取り不能となるため、これにより不正アクセスの痕跡を残存させることができるとともに、封印シール80を再使用不能な程度に破壊することができる。
【0056】
そして、このようにトップケース60及びシールカッター部材90を開放方向にスライド移動させて封印シール80を破壊した後、ボトムケース50のボトム側スライド係合部51cがトップケース60のトップ側溝部61cから抜去される所定位置まで到達したところで、トップケース60をボトムケース50に対して後方に離間させれば、ボトムケース50からトップケース60が取り外される。
【0057】
こうして取り外されたトップケース60には、シールカッター部材90が溶着(例えば、超音波溶着)によって一体的に結合されているので、この結合状態のトップケース60とシールカッター部材90とを互いに分離させようとすると(無理やり引き剥がそうとすると)、それぞれの溶着部分に何らかの破壊の痕跡が明瞭に残存し、無傷の状態で再使用できなくなる。また、シールカッター部材90には、複数個のスリット92aに沿って分離部92が破断された痕跡(基板ケース40が開放されたことを示す痕跡としてロック片96の消失)が明瞭に残存するため、不正な使い回しができなくなる。そのため、複数の中古機等から同型の基板ケース(40)を取り出し、これらの中からケース構成部品を無傷の状態でそれぞれ抽出して適宜に組み合わせることで、1個の新たな基板ケース(40)を複製しこれを正規品とすり替える、所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為に利用されたとしても、トップケース60、シールカッター部材90及び封印シール80には破壊痕が明瞭に残存しているため、その不正行為を容易に見破ることができる。
【0058】
以上、第1実施形態に係る主制御基板ケースユニット30によれば、トップケース60、シールカッター部材90及び封印シール80を破壊することなく、基板ケース40を開放することができない構造となるため、基板ケース40が開放された場合にはその痕跡を明瞭に残存させて該不正行為を早期に発見することができるとともに、基板ケース40の構成部品を破壊痕のない状態で使い回し出来なくなるので所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為を未然に防止することが可能である。また、基板ケース40の内部に隠蔽されたかたちでロック片96とロック受部55とが当接してボトムケース50に対するトップケース60のスライド移動を拘束する構成であるため、基板ケース40の外部からロック片96及びロック受部55にアクセスして当該ロック状態(当接状態)を解除するのは非常に困難であり、基板ケース40の不正な開放を厳重に抑止して主制御基板11に対する不正な改造行為を受け難くすることが可能である。従って、本実施形態によれば、不正行為の予防及び早期発見に寄与することが可能になるという効果を奏する。
【0059】
また、第1実施形態に係る主制御基板ユニット30ではトップケース60の外部からシールカッター部材90を組み付ける構成であるため、シールカッター部材(160)をトップケース(130)の内部に配置して両者を係合連結させる構成(第2実施形態を参照)と比較して、シールカッター部材90にトップケース60との係合構造を設ける必要がなく簡便な構成にできるとともに、シールカッター部材90の小型コンパクト化を実現できる。さらに、シールカッター部材90はトップケース60の外部に露出した状態で組み付けられることで、シールカッター部材90をトップケース60と同色(無色透明)の樹脂で形成したとしても、シールカッター部材90がトップケース60に組み付けられていることを外観上明瞭に識別できる。
【0060】
ここで、上述の第1実施形態において、より効果的に所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為の予防を実行あらしめるために、
図18に示すように、シールカッター部材90とトップケース60(トップ側封印部63)との表面に跨って所定のマーキング(割り印)が施される構成としてもよい。この構成を採用するにあたり、基板ケース40において、シールカッター部材90を形成する合成樹脂と、トップケース60を形成する合成樹脂とに、所定波長のレーザ光(例えば、YAGレーザ等の光)を吸収して周囲の合成樹脂を黒色(不透明)に変化させる添加剤が添加されたものとなっている。これにより、シールカッター部材90及びトップケース60の表面には、所定波長のレーザ光の照射により例えば黒色のマーキングが可能となっている。
【0061】
このような基板ケース40では、シールカッター部材90がトップケース60に組み付けられると、
図18に示すように、シールカッター部材90の基部板91の表面とトップケース60(トップ側封印部63)の表面とに跨って、シールカッター部材90とトップケース60とを互いに関連付けるマーキング群M(M1,M2)が形成されるようになっている。このマーキング群Mは、前述の所定波長のレーザ光でマーキングが施されたものである。マーキング群Mは、例えば、文字、記号、図形もしくは模様又はこれらの組合せからなり、全体で一つの意味をもつものであり、同一機種における別のぱちんこ遊技機に備えられた基板ケース40とは異なる態様となるように、シールカッター部材90とトップケース60との組合せにおいて両者の境界を跨るようマーキングされたものである。換言すると、マーキング群Mは、同一の基板ケース40に属するシールカッター部材90とトップケース60とを1対1の関係で対応付けるものとなっている。なお、マーキング群Mの具体例としては、ぱちんこ遊技機PMを特定するシリアル番号であって、アルファベットと数字とからなる文字などが採用される。
【0062】
これにより、基板ケース40からオリジナルのシールカッター部材90が取り外され、別の基板ケース(40)から取り外された非オリジナルのシールカッター部材(90)がトップケース60の凹部65に組み付けられても、トップケース60に刻印されたマーキング群M1と、非オリジナルのシールカッター部材(90)のマーキング群とが整合しないので、別の基板ケース(40)から取り外したシールカッター部材(90)の使用が簡単且つ明瞭に判別可能になっている。そのため、基板ケース40の使い回しが出来なくなるので、所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為をより効果的に予防することが可能である。
【0063】
なお、マーキング群Mとしては、複数種類の文字を組み合わせたものに限定されず、記号、図形もしくは模様からなるもの、あるいは、文字、記号、図形もしくは模様又はこれらの組合せからなるものでもよく、さらにバーコードやQRコードなどでもよい。
【0064】
ところで、基板ケース40には、二組の不正開放防止構造が設けられているが、ロック部材70を介してボトム側ロック部52とトップ側ロック部62とを連結させて基板ケース40を閉止状態に固定保持するためには、いずれか一組の不正開放防止構造を使用すればよい。そのため、いずれか一組の不正開放防止構造が使用の結果として基板ケース40の開放のため破壊されたとしても、残りの一組は未だ使用が可能である。ただし、基本的には、保守点検等の正当な目的により一組の不正開放防止構造を破壊して基板ケース40を開放した場合には、速やかに新品の基板ケース40と交換することになっており、その場合には、新品交換までの繋ぎ(仮使用)として、残り一組の不正開放防止構造を用いて既存の基板ケース40を再度閉止することになる。なお、この仮使用では、基板ケース40の構成部品をそのまま利用することになるため、ボトムケース50には前回の開放で破断された状態の封印シール80がそのまま貼着されており、シールカッター部材90が固定された状態(ロック片96が取り除かれた状態)でトップケース60をボトムケース50にスライド装着する。そして、予備のロック部材70により残り一組のボトム側ロック部52とトップ側ロック部53とを連結させることで、基板ケース40が再び閉止状態に保持され、トップケース60の連結部62bを破断しない限りは基板ケース40を開放できない状態となるため、仮使用の期間であっても不正行為に対するセキュリティは維持される。
【0065】
[主制御基板ケースユニットの構成(第2実施形態)]
次に、第2実施形態に係る主制御基板ケースユニット100の構成について
図19を追加参照して説明する。ここで、
図19は主制御基板ケースユニット100の分解斜視図である。なお、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下及び左右前後の方向は、ぱちんこ遊技機PMへの取付状態での方向として、
図19の状態を基準にして定義しており、
図19に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
【0066】
主制御基板ケースユニット100は、ぱちんこ遊技機PMにおける制御の中枢を担う前述の主制御基板11と、主制御基板11を内部に収容する略矩形容器状の基板ケース110と、を主体として構成されている。
【0067】
主制御基板11は、詳細図示を省略しているが、矩形形状のプリント配線板を基板として、CPU、ROM及びRAM等の電子デバイス11aや抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子・電気部品が実装されて構成されている。この主制御基板11は、基板ケース110(後述するトップケース130)の内面側にビス止め固定される。
【0068】
基板ケース110は、遊技盤10の背面に着脱されるボトムケース120と、このボトムケース120に着脱自在に取り付けられるトップケース130とを備えて構成されており、ボトムケース120にトップケース130を装着した閉止状態で前後整合するケース右端部及び左端部に、不正開放防止構造及び封印構造(共に詳細後述)が設けられている。ボトムケース120及びトップケース130は、互いの開口同士を相対向させた閉止状態で組み合わされて一体化される。ボトムケース120及びトップケース130は、共に無色透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成され、外部からでも基板ケース110内を視認可能に構成されている。
【0069】
ボトムケース120は、底壁121a及びこの底壁121aの周縁から立設される上下左右の側壁121bを有して全体として後面開放の矩形箱状に形成されたボトムケース本体121と、ボトムケース本体121の右端部に一体的に形成されたボトム側ロック部122と、ボトムケース本体121の左端部に一体的に形成されたボトム側封印部123とを有して構成される。ボトムケース本体121の上下の側壁121bには、底壁121aからそれぞれ後方に向けて突出するボトム側スライド係合部121cが左右方向に並んで複数形成されている。
【0070】
トップケース130は、底壁131a及びこの底壁131aの周縁から立設される上下左右の側壁131bを有して全体として前面開放の矩形箱状に形成されたトップケース本体131と、トップケース本体131の右端部に連結部132bを介して一体的に繋がるトップ側ロック部132と、このトップケース本体131の左端部に一体的に形成されたトップ側封印部133とを有して、ボトムケース120に対して左右方向(「スライド方向」とも称する)にスライド装着可能に構成されている。トップケース本体131の上下の側壁131bには、この側壁131bが延びる長手方向(左右方向)に沿って前面側に開口してボトムケース120のボトム側スライド係合部121cを受容可能な凹溝状のトップ側溝部131cが形成されるとともに、このトップ側溝部131c内においてボトムケース120のボトム側スライド係合部121cと係合可能なトップ側スライド係合部131dが形成されている。トップケース130には、主制御基板41のコネクタ(図示省略)の実装位置に対応して表裏貫通するコネクタ挿抜口131eが形成されており、主制御基板41がトップケース130に取り付けられた状態で、主制御基板41のコネクタがコネクタ挿抜口131eを通して外部に露出し、演出制御基板42や払出制御基板43等とハーネス(コネクタケーブル)を介して電気接続可能となる。
【0071】
ボトムケース120にトップケース130を組み付けるには、ボトムケース120に対してトップケース130を左方に若干ずらした状態で前後方向に対向させて、トップケース130のトップ側溝部131cにボトムケース120のボトム側スライド係合部121cを挿入し、トップケース130を右方向(以下において「閉止方向」とも称する)にスライド移動させることにより、ボトム側スライド係合部121cとトップ側スライド係合部131dとを係合させる。これにより、ボトムケース120とトップケース130とが互いの開口同士を相対向させた閉止状態で一体化される。そして、こうしてボトムケース120にトップケース130が組付けられた閉止状態において、前後に位置整合するボトム側ロック部122とトップ側ロック部132とを有して不正開放防止構造が構成されるとともに、同じく前後に位置整合するボトム側封印部123とトップ側封印部133とを有して封印構造が構成されている。
【0072】
<不正開放防止構造>
まず、不正開放防止構造は、いわゆるカシメ構造とも称されて、従来から知られている構成であり、種々の構成が適宜採用されているが、本実施形態では、
図19に示されているように、ボトムケース本体121の右端部に設けられたボトム側ロック部122と、トップケース本体131の右端部に断面半円筒状の連結部132bを介して設けられたトップ側ロック部132と、ボトム側ロック部122とトップ側ロック部132とを係合連結するためのロック部材140と、を有して構成されている。
【0073】
ボトム側ロック部122は、後方に向けて開口するボトム側ロック孔122aを有している。トップ側ロック部132は、ボトム側ロック孔122aと前後に整合する位置に表裏貫通して形成されたトップ側ロック孔132aを有している。カシメ部材140は、前後に延びる軸部141と、この軸部141よりも大径の円盤状に形成された操作部142と、軸部141に凹設されたピン収容孔(図示省略)内に設けられて軸部141の中心軸と直交する方向に進退自在に支持された円筒状のロックピン143とを有している。ロックピン143は、ピン収容孔内に設けられたバネ(図示省略)の反発力によってピン先端部が軸部141の外方に突出するよう付勢配設されている。
【0074】
かかる構成のカシメ構造において、基板ケース110が閉止されて、ボトム側ロック部122とトップ側ロック部132とを前後に対向して重ね合わせた状態で、ロック部材140の軸部141を本体側ロック孔122a及び蓋側ロック孔132aに跨るように挿入して、ロック部材140をボトム側ロック部122とトップ側ロック部132とに係合連結されることで、ボトムケース120に対してトップケース130が閉止状態で取り外し不能(開放不能)となる。なお、この状態から基板ケース110を開放するには、トップケース本体131とトップ側ロック部132との間を繋ぐ連結部132bを切断し、ロック部材140を介してボトム側カシメ部122と係合連結した状態のトップ側カシメ部132をトップケース本体131から切り離せばよい。これにより、トップケース130をボトムケース120に対して左方向(以下において「開放方向」とも称する)にスライド移動させて、基板ケース110を開放することができる。
【0075】
<封印構造>
続いて、封印構造について
図20〜
図25を追加参照しながら説明する。ここで、
図20はボトム側封印部123の斜視図、
図21はボトム側封印部123の斜視断面図、
図22はトップ側封印部133の斜視図、
図23はトップ側封印部133の斜視断面図、
図24はシールカッター部材160の斜視図、
図25はシールカッター部材160の斜視断面図である。なお、前述したように、ボトム側封印部123及びトップ側封印部133は、ボトムケース120及びトップケース130に一体的に形成されているが、
図20〜
図25においては、説明の理解を容易にするために、ボトム側封印部123及びトップ側封印部133を切り離した状態でこれらのみを取り出して示す。
【0076】
封印構造は、ボトムケース本体121の左端部に一体的に形成されたボトム側封印部123と、トップケース本体131の左端部に一体的に形成されたトップ側封印部133と、ボトム側封印部123に貼着される封印シール150と、基板ケース110の開放時に封印シール150を破壊するためのシールカッター部材160と、を主体として構成される。ボトム側封印部123及びトップ側封印部133は、基板ケース110の閉止状態において前後に対向配置され、この対向状態においてボトム側封印部123とトップ側封印部133との間に封印シール150及びシールカッター部材160が介在配置されている。
【0077】
ボトム側封印部123は、ボトムケース本体121の底壁121aから後方に向けて突設される凸状の台座部124を有して形成される。この台座部124における略コ字状に屈曲した外表面部分は、封印シール150を貼着するためのシール貼着部124aをなし、このシール貼着部124aを分断するように3カ所の溝部124bが左右方向(スライド方向)に延びて凹設されている。溝部124bは、左右側方及び後方に亘って連続的に開口されており、シールカッター部材160(後述する破壊突起162)の移動を許容するための通過路となる。また、台座部124には、シール貼着部124aと左右方向(スライド方向)に所定間隔をあけて対峙する平板状のロック受部125が立設されている。シール貼着部124aとロック受部125との間には、シールカッター部材160をボトム側封印部123に装着したときに、シールカッター部材160に形成されたロック片166及び阻止片167を受容するための凹状の受容空間126が形成されている。
【0078】
封印シール150は、
図5に示すように、矩形状のシート部材151に、ICチップ152及びこれに繋がるアンテナ線153が透明な樹脂フィルム154によって覆われた状態で貼り付けられることで構成されており、紙製のシート部材151の表面には識別情報としてのシリアル番号(図示せず)が印刷されている。ICチップ152はシート部材151の表面の略中央に配設され、アンテナ線153はシート部材151の一方の対角線に沿って配設されている。ICチップ152は、ぱちんこ遊技機PMや主制御基板11に関する各種情報を記憶した電子素子であり、これに繋がって配設されたアンテナ線153を介して基板ケース110の外部からでもこれらの格納情報をリーダによって読み取り可能となっている。
【0079】
また、シート部材151の外縁には、ギザギザ状の切り込み151aが規則的に形成され、このシート部材151を剥がすときに切り込み151aの谷部に応力集中が生じて破断され易いように形成されている。一方、樹脂フィルム154の外周には、直線状の切り込み154aが規則的に形成され、封印シール150が剥がされたときに、この切り込み154aに沿って樹脂フィルム154と共にアンテナ線153が破断され易く、これにより情報送信が不能となるように形成されている。
【0080】
シールカッター部材160は、有色透明な合成樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により形成され、無色透明なボトムケース120及びトップケース130と識別可能に構成されている。シールカッター部材160は、
図24及び
図25に示すように、基壁161a及びこの基壁161aの周縁からこれと直交する方向に延びる3カ所の側壁161bを有して前方及び右方に開放された略矩形箱状の保護カバー部161と、基壁161aの内面側の右端部に突出形成された3カ所の破壊突起162と、を有して構成されており、基板ケース110の閉止状態において保護カバー部161により封印シール150を包囲して保護する一方、基板ケース110の開放時には破壊突起162により封印シール150を再使用不能な程度に破壊する機能を備えている。保護カバー部161における上下の各側壁161bには、後述するトップ側封印部133の係合アーム135と係合可能な凸状の被係合部163が形成されている。
【0081】
シールカッター部材160は、ボトム側封印部123に対して前後方向及び左右方向に着脱可能に構成されている。ここで、シールカッター部材160をボトム側封印部123に対して前後方向(スライド方向と直交する方向)に相対移動させて着脱するときは、破壊突起162と封印シール150とは左右方向にずれていて接触しないため、破壊突起162によって封印シール150が破断されることはない。つまり、封印シール150を何ら傷付けることなくシールカッター部材160を着脱することができる。他方、シールカッター部材160をボトム側封印部123に対して左右方向(スライド方向)に相対移動させて着脱するときは、該方向から見て破壊突起162と封印シール150とが重なっているので、破壊突起162が封印シール150に接触してこれを破壊することとなる。
【0082】
また、保護カバー部161の基壁161aには、複数個のスリット164aがミシン目状に間欠的に配置されてなるカッター側分離部164が打ち抜き加工等によって形成されており、これら複数個のスリット164aに取り囲まれて、トップケース130の開放方向へのスライド移動を拘束するためのスライドロック部165が形成されている。スライドロック部165には、基壁161aの内面側からスライド方向と直交する方向(前方)に延出する平板状のロック片166と、基壁161aの内面側からロック片166と平行に延びる平板状の阻止片167と、が設けられている。ロック片166は、シールカッター部材160がボトム側封印部123に装着されたときにボトム側封印部123の受容空間126内に挿入されてロック受部125とスライド方向に対峙する。カッター側分離部164は、外部からニッパ等の工具を用いて破断可能に形成されており、スライドロック部165をシールカッター部材160の他の部分から区分している。つまり、カッター側分離部164が複数個のスリット164aに沿って破断されることにより、スライドロック部165をシールカッター部材160から分離可能に構成されている。
【0083】
トップ側封印部133は、トップケース本体131と連なって形成され、
図22及び
図23に示すように、基壁134a(トップケース本体131の底壁131aの一部をなす)及びこの基壁134aの周縁からこれと直交する方向に延びる3カ所の側壁134bを有して前方及び右方に開放された略矩形箱状のトップ側収容部134と、上下の各側壁134bに左右に延びる直線状の切り込みを入れることで板厚方向に弾性変形が可能な係合アーム135と、を有して構成される。
【0084】
係合アーム135は、基板ケース110の閉止状態においてシールカッター部材160の被係合部163と係合可能に構成されている。従って、基板ケース110の閉止状態から、トップケース130をボトムケース120に対して開放方向にスライド移動させると、ボトム側封印部123に仮止めされていたシールカッター部材160がこのボトム側封印部123から離脱して互いに係合関係にあるトップ側封印部133(トップケース130)と共に一体的に開放方向へ移動するようになっている。
【0085】
また、トップ側封印部133の基壁134aには、複数個のスリット136aがミシン目状に間欠的に配置されてなるトップ側分離部136が打ち抜き加工等によって形成されており、これら複数個のスリット136aに取り囲まれて遮蔽部137が形成されている。この遮蔽部137は、基板ケース110の閉止状態において、シールカッター部材160のスライドロック部165と整合する位置に設けられている。トップ側分離部136は、外部からニッパ等の工具を用いて破断可能に形成されており、遮蔽部137をトップ側封印部133の他の部分から区分している。つまり、トップ側分離部136が複数個のスリット136aに沿って破断されることにより、遮蔽部137をトップ側封印部133から分離可能であり、その結果として、基壁134aから遮蔽部137が取り除かれた部分に、略矩形状の開口138(
図33及び
図34を参照)が開設され、この開口138を通じてシールカッター部材160のカッター側分離部164にアクセスが可能となる。
【0086】
次に、このように構成される主制御基板ケースユニット100において、基板ケース110を閉止するときの作用を説明する。ここで、
図26は封印シール150をボトム側封印部123に貼着するときの状態を示す斜視図、
図27はシールカッター部材160をボトム側封印部123に装着するときの状態を示す斜視図、
図28はシールカッター部材160をボトム側封印部123に装着した状態を示す斜視断面図、
図29はトップ側封印部133をボトム側封印部123に位置合わせした状態を示す斜視図、
図30はボトム側封印部123に対してトップ側封印部133を閉止方向にスライド移動させた状態を示す斜視図、
図31はボトム側封印123に対してトップ側封印部133を閉止方向にスライド移動させた状態を示す斜視断面図、
図32はトップ側封印部133をボトム側封印部123にスライド装着した状態を示す斜視図、
図33はトップ側封印部133をボトム側封印部123にスライド装着した状態を示す斜視断面図、
図34はトップ側分離部136を破断した状態を示す斜視図、
図35はトップ側分離部136を破断した状態を示す斜視断面図、
図36はカッター側分離部164を破断した状態を示す斜視図、
図37はカッター側分離部164を破断した状態を示す斜視断面図、
図38はボトム側封印部123に対してトップ側封印部133を開放方向にスライド移動させた状態を示す斜視図、
図39はボトム側封印部123に対してトップ側封印部133を開放方向にスライド移動させた状態を示す斜視断面図、である。なお、
図26〜
図39においても、説明の理解を容易にするために、ボトム側封印部123及びトップ側封印部133を切り離した状態でこれらのみを取り出して示す。
【0087】
まず、基板ケース110を組み立てるには、
図26に示すように、前もって、ボトム側封印部123のシール貼着部124aに封印シール150を略コ字状に折り曲げて貼着する。封印シール150がシール貼着部124aに貼着されると、封印シール150によってボトム側封印部123の3カ所の溝部124bの開口全体が覆われて、封印シール150のアンテナ線153が3カ所の溝部124b上を横断するように配置される。
【0088】
続いて、
図27に示すように、封印シール150が貼着された状態のボトム側封印部123にシールカッター部材160を位置合わせし、このシールカッター部材160をボトム側封印部123に被せる(仮止めする)。シールカッター部材160がボトム側封印部123に装着されて状態では、
図28に示すように、シールカッター部材160のロック片166及び阻止片167がボトム側封印部123の受容空間126内に挿入されて、ロック片166とロック受部125とがスライド方向に対峙する。また、シールカッター部材160の破壊突起162が封印シール150に近接配置される。
【0089】
続いて、
図29に示すように、トップ側封印部133(トップケース130)をボトム側封印部123(ボトムケース120)に対して、左方に若干ずらした位置で重なり合わせる。この状態から、
図30及び
図31に示すように、トップ側封印部133(トップケース130)をボトム側封印部123(ボトムケース120)に対して閉止方向にスライド移動させて、トップケース130をボトムケース120にスライド装着する。
【0090】
トップケース130をボトムケース120に組み付けた状態では、
図32及び
図33に示すように、トップ側封印部133の保護カバー部134が、シールカッター部材160、封印シール150及びボトム側封印部123を一括して包囲するとともに、トップ側分離部136とカッター側分離部164とが互いに位置整合することとなる。また、このときトップ側封印部133の係合アーム135がシールカッター部材160の被係合部163に係合されて、トップ側封印部133(トップケース130)がシールカッター部材160に対して相対移動不能に連結される。
【0091】
一方、不正開放防止構造においては、詳細図示を省略するが、ボトムケース120にトップケース130をスライド装着したとき、ボトム側ロック部122とトップ側ロック部132とが前後に重なり合い、この状態でロック部材140をトップ側ロック孔132aとボトム側ロック孔122aとに跨るように挿入することで、このロック部材140を介してトップ側ロック部132とボトム側ロック部122とが連結し、トップケース130がボトムケース120に(連結部132bを切り離さない限りは)開放不能に装着される。
【0092】
基板ケース110が閉止状態になると、トップケース130をボトムケース120に対して開放方向にスライド移動させようとしても、ロック部材140がトップ側ロック部132とボトム側ロック部122とに跨って挿入されているため、当該スライド移動が規制される。
【0093】
このように基板ケース110が閉止状態に保持されると、基板ケース110内に収容された主制御基板11への外部からのアクセスは困難である。ここで、封印シール150には、ICチップ152及びアンテナ線153が実装されており、基板ケース110の内部に収容された状態のままで、ICチップ152に格納された各種情報を、基板ケース110を開放することなくリーダによって外部から読み取り可能である。
【0094】
次に、基板ケース110を開放する際の作用について説明する。まず、基板ケース110を開放するには、詳細図示を省略するが、不正開放防止構造におけるトップ側ロック部132とトップケース本体131との間を繋ぐ連結部132bをニッパ等の工具を用いて切断し、ロック部材140を介してボトム側ロック部122と係合連結された状態のトップ側ロック部132をトップケース本体131から切り離す。
【0095】
ここで、本実施形態では、この状態からトップケース130をボトムケース120に対して開放方向にスライド移動させようとしても、封印構造において、シールカッター部材160のロック片166がボトム側封印部123のロック受部125と当接してトップケース130を定位置(閉止状態)にロックするため、前述のように不正開放防止構造における連結部132bを切断しただけでは、当該スライド移動は拘束されたままである。
【0096】
そこで、まず始めに、
図34及び
図35に示すように、トップ側封印部133のトップ側分離部136をニッパ等の工具を用いて複数個のスリット136aに沿って破断する。これにより、トップ側分離部136を介してトップ側収容部134と連結された状態の遮蔽部137がトップ側封印部133から切り離され、この遮蔽部137が取り除かれた部分に略矩形状の開口138が開設される。
【0097】
続いて、
図36及び
図37に示すように、トップ側封印部133の開口138を通じて、シールカッター部材160のカッター側分離部164をニッパ等の工具を用いて複数個のスリット164aに沿って破断する。これにより、カッター側分離部164を介してカッター側収容部161と連結された状態のスライドロック部165がシールカッター部材160から分離され、その結果として、ロック受部125と協働してトップケース130の開放方向へのスライド移動を拘束していたスライドロック部165(ロック片166)が取り除かれる。これにより、ボトムケース120とトップケース130との連結が絶たれ、基板ケース110が開放可能な状態となる。
【0098】
ここで、基板ケース110が開放される前の状態では、
図37に示すように、シールカッター部材160の破壊突起162は封印シール150と接触しておらず所定間隔をあけて近接対向している。前述したように、トップ側封印部133とシールカッター部材160とは一体的に係合連結(係合アーム135と被係合部163とが係合)しているため、トップケース130を開放方向にスライド移動させると、シールカッター部材160もトップケース130と一体化された状態で開放方向へ移動することとなる。
【0099】
このとき、ボトム側封印部123の溝部124bは、破壊突起162の移動軌跡に対応する位置に凹設され、この溝部124b上を横断するようにして封印シール150が貼着されているので、シールカッター部材160を開放方向にスライド移動させると、
図38及び
図39に示すように、破壊突起162が封印シール150に接触して当該スライド方向に沿って封印シール150を破断しながら溝部124bを通過することとなる。このように封印シール150を切り裂けば、ICチップ152そのものを破壊できなくても、アンテナ線153を破壊することができ、ICチップ152に格納された各種情報が実質的に読み取り不能となるため、これにより不正アクセスの痕跡を残存させることができるとともに、封印シール150を再使用不能な程度に破壊することができる。
【0100】
そして、トップケース130と共にシールカッター部材160をそのまま開放方向にスライド移動させれば、破壊突起162が封印シール150を破断しつつ溝部124bの開放端から脱出し、ボトムケース120のボトム側スライド係合部121cがトップケース130のトップ側溝部131cから抜去される所定位置まで到達したところで、トップケース130をボトムケース120に対して後方に離間させれば、ボトムケース120からトップケース130が取り外される。
【0101】
こうして取り外されたトップケース130には、
図38及び
図39に示すように、複数個のスリット136aに沿ってトップ側分離部136が破断された痕跡(基板ケース110が開放されたことを示す痕跡として開口138)が明瞭に残存し、不正な使い回しができなくなる。これと同様に、シールカッター部材160には、
図38及び
図39に示すように、複数個のスリット164aに沿ってカッター側分離部164が破断された痕跡(基板ケース110が開放されたことを示す痕跡としてスライドロック部165の消失)が明瞭に残存し、不正な使い回しができなくなる。そのため、複数の中古機等から同型の基板ケース(110)を取り出し、これらの中からケース構成部品を無傷の状態でそれぞれ抽出して適宜に組み合わせることで、1個の新たな基板ケース(110)を複製しこれを正規品とすり替える、所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為に利用されたとしても、トップケース130、シールカッター部材160及び封印シール150には破壊痕が明瞭に残存しているため、その不正行為を容易に見破ることができる。
【0102】
以上、第2実施形態に係る主制御基板ケースユニット100によれば、トップケース130、シールカッター部材160及び封印シール150を破壊することなく、基板ケース110を開放することができない構造となるため、基板ケース110が開放された場合にはその痕跡を明瞭に残存させて該不正行為を早期に発見することができるとともに、基板ケース110の構成部品を破壊痕のない状態で使い回し出来なくなるので所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為を未然に防止することが可能である。また、基板ケース110の内部に隠蔽されたかたちでロック片166とロック受部125とが当接してボトムケース120に対するトップケース130のスライド移動を拘束する構成であるため、基板ケース110の外部からロック片166及びロック受部125にアクセスして当該ロック状態(当接状態)を解除するのは非常に困難であり、基板ケース110の不正な開放を厳重に抑止して主制御基板11に対する不正な改造行為を受け難くすることが可能である。従って、本実施形態によれば、不正行為の予防及び早期発見に寄与することが可能になるという効果を奏する。
【0103】
また、第2実施形態に係る主制御基板ユニット100では、基板ケース110を組み立てる際に、溶着や接着等の二次加工が不要な構造であるため、組み立ての作業性が向上するとともに製造コストの低減を図ることができる。
【0104】
また、第2実施形態に係る主制御基板ユニット100では、基板ケース110の閉止状態において、外部からトップケース130及びシールカッター部材160のスリット134a,164aに不正具を挿入してロック片166にアクセスしようとしても(スライドロックを解除するためにロック片166を切除しようとしても)、ロック片166と近接対向した状態で阻止片167が配置されているため、ロック片166への侵入経路を遮断してロック片166へのアクセスを困難とすることができる(
図35の破線Xを参照)。
【0105】
ここで、上述の第2実施形態に係る基板ケース100の変形例について
図40〜
図43を参照しながら説明する。なお、この変形例の説明では、上述の第2実施形態と同一の構成要素(又は同一の機能を有する構成要素)には同一番号を付して重複説明を省略し、主として上述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。この変形例では、上述の第2実施形態と比較して、シール部材としてICチップ152を備えた封印シール150の代わりにQRコードを記録した封印シール180を用いている点で相違するとともに、トップケース130及びシールカッター部材160に破断用の薄肉部を形成している点で相違している。
【0106】
封印シール180は、紙製のシート部材181に、固有の識別情報を示すQRコード(二次元コード)182が印刷により付されて構成されている。封印シール180は、ボトム側封印部123のシール貼着部124aに略L字状に折曲された状態で貼着される。
【0107】
シールカッター部材160の基壁161aには、封印シール180のQRコード182と整合する位置に、QRコード182と同じ大きさとなる矩形の開口161cが形成されている。また、シールカッター部材160には、基壁161aにおける他の部位よりも板厚が薄肉となる複数個の薄肉部169aを有してなるカッター側分離部169が形成されており、これら複数個の薄肉部169aに取り囲まれて、トップケース130の開放方向へのスライド移動を拘束するための平板状のロック片166が形成されている。ロック片166は、基壁161aの裏面側からスライド方向と直交する方向に延出しており、シールカッター部材160がボトム側封印部123に装着されたときにボトム側封印部123の受容空間126内に挿入されてロック受部125とスライド方向に対峙する。カッター側分離部169は、外部からニッパ等の工具を用いて破断可能に形成されており、ロック片166をシールカッター部材160の他の部分から区分している。つまり、カッター側分離部169が複数個の薄肉部169aに沿って破断されることにより、ロック片166をシールカッター部材160から分離可能に構成されている。
【0108】
トップ側封印部133には、基壁134aと側壁134bとに跨ってトップ側分離部139が形成されている。トップ側分離部139は、基壁134aにおける他の部位よりも板厚が薄肉となるコ字状の薄肉部139aと、左側の側壁134bに表裏貫通されてミシン目状に配置された複数個のスリット139bとを有してなり、これら薄肉部139a及びスリット139bに取り囲まれて遮蔽部137が形成されている。トップ側分離部139は、外部からニッパ等の工具を用いて破断可能に形成されており、遮蔽部137を他の部位から区分している。つまり、トップ側分離部139が薄肉部139aおよびスリット139bに沿って破断されることにより、遮蔽部137をトップ側封印部133から分離可能であり、その結果として、遮蔽部137が取り除かれた部分に、基壁134aと側壁134bとに跨って開口が開設され、この開口を通じてシールカッター部材160のカッター側分離部164にアクセスが可能となっている。
【0109】
以上、このような変形例においても、前記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。すなわち、基板ケース110の閉止状態では、トップケース130の開放方向へのスライド移動が規制される一方で、トップ側分離部139及びカッター側分離部169を破断してシールカッター部材160からロック片166を分離させることでトップケース130の開放方向へのスライド移動が許容されるため、トップケース130及びシールカッター部材160を一体化した状態で開放方向へスライドさせると、シールカッター部材160の破壊突起162が封印シール180のQRコード182を破断して、このQRコード182に記録された情報が実質的に読み取り不能になるので、これにより不正アクセスの痕跡を残存させることができるとともに、封印シール180を再利用不能な程度に破壊することができる。また、トップケース130及びシールカッター部材160には、分離部139,169が破断された痕跡が明瞭に残存し、不正な使い回しができなくなる。そのため、複数の中古機等から同型の基板ケース(110)を取り出し、これらの中からケース構成部品を無傷の状態でそれぞれ抽出して適宜に組み合わせることで、1個の新たな基板ケース(110)を複製しこれを正規品とすり替える、所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為に利用されたとしても、トップケース130、シールカッター部材160及び封印シール180には破壊痕が明瞭に残存しているため、その不正行為を容易に見破ることができる。
【0110】
また、基板ケース110の閉止状態では、封印シール180は二重の透明樹脂部材(トップケース130及びシールカッター部材160)によって覆われているのであるが、シールカッター部材160においてQRコード182と整合する部分に当該QRコード182と略一致する大きさの開口161cを設けることで、基板ケース110外部からのQRコード182の視認性が高められている。従って、封印シール180を二重の透明樹脂部材によって包囲した場合であっても、基板ケース110外部から封印シール180の状態(正規品か否か、破壊の痕跡があるか否か)を容易に目視確認することが可能であるとともに、QRコード182をQRコードリーダ機器等で容易且つ正確に読み取りが可能となる。更には、シールカッター部材160に開口161cを設けずに、当該開口部分を他の部位と比べて薄肉にすることで、QRコード182の視認確認(目視確認)やQRコードリーダ機器による読み取り確認が容易に行えるのであれば、当該開口部分を薄肉構造に変更してもよい。逆に、シールカッター部材160に開口161cを設けたとしても、QRコード182の視認確認(目視確認)やQRコードリーダ機器による読み取り確認が困難であれば、基板ケース110を閉止状態にした際にトップケース130において開口161cと重なる部分に他の部位よりも薄肉となる薄肉確認部133aを設けてもよい。また、この薄肉確認部133aをトップ側分離部139の薄肉部139aと一体的に形成することで(両者を共用できるようにすることで)、薄肉部139aを破壊した際に薄肉確認部139aも同時に破壊されるようにして(例えば、亀裂やひびが入るようにして)、トップケース130により大きな痕跡が残存するように構成してもよい。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0112】
上述の実施形態では、基板ケース40(110)の閉止状態からトップケース60(130)を開放方向にスライド移動させると、シールカッター部材90(160)のロック片96(166)がボトム側封印部53(123)のロック受部55(125)に当接して当該スライド移動を拘束するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、シールカッター部材90(160)を装着したとき、シールカッター部材90(160)のロック部がボトム側封印部53(123)の被ロック部に(例えば、ボトム側スライド係合部51c(121c)とトップ側スライド係合部61c(131d)との係合関係、ロック部材70(140)とロック孔52a(122a),62a(132a)との係合関係、又は係合アーム135と被係合部163との係合関係の如く)係合連結することで、トップケース60(130)を定位置にロックして、ボトムケース50(120)に対するトップケース60(130)の開放方向へのスライド移動を拘束するように構成してもよい。
【0113】
また、上述の実施形態では、封印構造におけるシール部材として、ICチップ又はQRコードを備えた封印シールを例示して説明したが、これに限定されるものではなく、ICチップやQRコードを備えていない封印シールを用いてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、不正開放防止構造及び封印構造の両方を具備する基板ケースユニットを適用したが、この構成に限定されるものではなく、封印構造のみを具備する基板ケースユニットであってもよい。また、不正開放防止構造を具備する場合には、上述のように必ずしも二組設ける必要はなく、一組だけでもよい。
【0115】
なお、上述の実施形態においては、本発明に係る基板ケースユニットをぱちんこ遊技機の主制御基板ケースユニットに適用した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、演出制御基板ケースユニットや払出制御基板ケースユニットなどの他の基板ケースユニット等に適用してもよく、更には、ぱちんこ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシンの基板ケースユニットに適用しても同様の効果を得ることが可能である。