(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193752
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ミスト発生装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/16 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
F24F6/16
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-262453(P2013-262453)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-117907(P2015-117907A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】諸我 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】菅原 優輝
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
【審査官】
河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0163754(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第01069010(GB,A)
【文献】
独国特許出願公開第102006001693(DE,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第02685454(FR,A1)
【文献】
特開2011−045556(JP,A)
【文献】
特開昭53−088212(JP,A)
【文献】
実開昭61−106845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯水する貯水室と、該貯水室内に設置され回転駆動することで水を揚水する回転体と、該回転体と駆動軸で軸支され所定の回転数で回転駆動させる駆動モータと、前記回転体に形成され揚水した水を外周方向に放出する飛散口と、前記回転体の外周に設置され前記飛散口から飛散した水を破砕する多孔部を備えた多孔体と、該多孔体の外周に設置され破砕された水が衝突する衝突体とを備え、前記貯水室の水中に浸る脚を備えた欠落部を前記衝突体に形成し、前記欠落部には前記回転体の回転方向と同一の向きに対して下り勾配で前記脚に接続された樋が形成されたことを特徴とするミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯水室内に設置された回転体を回転駆動させることでナノメートルサイズのミストと負イオンを含んだ加湿空気を発生させるミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは貯水室の水中に下部を水没させ、駆動モータと駆動軸で軸支された筒状の回転体が回転した時の遠心力で貯水室の水を揚水して回転体の外壁および内壁を伝わせて押し上げて、回転体の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体の上端に形成された複数の飛散口から周囲に飛散させ、回転体の上部外周に所定間隔を保持して位置し、多数のスリットやパンチングメタル等から成る多孔部によって飛散口から飛散した水を破砕する多孔体を通過させることで水をミスト状に微細化させ、更に、ミスト状になった水が多孔体の外周に設置された衝突体に衝突することで超微細化されるため、ナノメートルサイズのミストを生成可能としており、多量に発生したナノメートルサイズのミストと負イオンを含んだ加湿空気を送風ファンによって室内に放出していた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−217524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、衝突体に衝突した水の全てが超微細化されてはおらず、超微細化されない水滴も同時に発生しており、微細化されなかった水滴は衝突体に付着して水滴の質量による重力や送風の影響で貯水室へ滴り落ちることがあり、衝突体から水滴が貯水室の水へ滴り落ちると音が発生するため、運転時における静音性を阻害することから改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明では、水を貯水する貯水室と、該貯水室内に設置され回転駆動することで水を揚水する回転体と、該回転体と駆動軸で軸支され所定の回転数で回転駆動させる駆動モータと、前記回転体に形成され揚水した水を外周方向に放出する飛散口と、前記回転体の外周に設置され前記飛散口から飛散した水を破砕する多孔部を備えた多孔体と、該多孔体の外周に設置され破砕された水が衝突する衝突体とを備え、前記貯水室の水中に浸る脚を備えた欠落部を前記衝突体に形成し
、前記欠落部には前記回転体の回転方向と同一の向きに対して下り勾配で前記脚に接続された樋が形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明は貯水室の水中に浸る脚を備えた欠落部を衝突体に形成し
、また、回転体の回転方向と同一の向きに対して下り勾配で脚に接続された樋を欠落部に形成したので、駆動モータによって回転体が回転駆動した時に発生する旋回流と同一方向へ下り傾斜する樋に沿って水滴が案内され、脚を伝って貯水室の水中に案内されるため、衝突体から水滴が貯水室へ滴り落ちることがなく静音性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施形態を示すミスト発生装置の概略構成図
【
図5】同実施形態の衝突体の周辺構造を説明する要部拡大図
【
図6】他の実施形態の衝突体の周辺構造を説明する要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明のミスト発生装置を図に基づいて説明する
1は器具本体であり、2は器具本体1内にあり給水タンク3内の水を所定量貯めることが可能な貯水槽である。
【0011】
4は器具本体1の中央部にある処理室であり、5は該処理室4の下方にあり貯水槽2から送られた水を所定量だけ貯めておく貯水室、6は該貯水室5の下部に設置された電動式の駆動モータ、7は該駆動モータ6に備えられ前記貯水室5の中央付近に立設された支軸部8に囲まれている軸である。
【0012】
9は軸7の途中に軸支され下端方向に向かって徐々に小径となる擂り鉢状の回転体、10は該回転体9の上端に複数形成された所定口径の飛散口であり、駆動モータ6が所定の回転数で駆動することで回転体9の内壁および外壁から貯水室5内の水が揚水され、回転体9の外壁方向から揚水された水が遠心力によって外周方向に飛散すると共に、回転体9の内壁を揚水された水が上端にある飛散口10から遠心力によって外周方向に飛散され、スリット、パンチングメタル、金網等で形成された多孔部11を備えた多孔体12に衝突することで微細化される。
【0013】
13は多孔体12の外周方向に所定距離だけ離れて設置された円筒状の衝突体であり、多孔体12の外周を覆うように衝突体13が設置されることで、多孔部11によって微細化された水が衝突体13に衝突して回転体9から飛散した水がナノメートル(nm)サイズのミストに超微細化され、ナノメートルサイズのミストとマイナスイオンとを含んだ加湿空気が大量に発生する。
【0014】
14は軸7に軸支され細い縦羽根を複数並設して円状としたシロッコファンから成る送風機、15は処理室4の上方に形成され周囲の空気を取り込む複数の給気口、16は該給気口15を通じて処理室4内に空気を案内する案内筒、17は多孔体12で発生した加湿空気を送風口18に案内する送風経路であり、送風機14が回転駆動することでナノメートルサイズのミストとマイナスイオンとを含んだ加湿空気を送風口18から室内に送風することができる。
【0015】
19は前記貯水槽2の底面と貯水室5の底面とを配管で接続する給水管であり、貯水槽2と貯水室5とを同一の高さに設置することで、前記給水タンク3から貯水槽2に供給された水が貯水槽2と同一の水位まで給水管19を通じて貯水室5へ供給される。
【0016】
20は器具本体1下部に設置され貯水室5から排水管21を通じて流れ落ちた水を貯める排水トレー、22は排水管21の途中に設置された開閉弁であり、器具本体1での一日の使用が終了したら、図示しない排水レバーを使用者が操作することで開閉弁22が開放して貯水室5の水が排水トレー20へ流入し、貯水室5内の水がすべて排水トレー20へ案内されたら排水トレー20を器具本体1から取り出して、排水トレー20内の水を台所や洗面所等の流し場へ捨てることで、貯水室5内に水が残ることがなく菌の発生や増殖を防止することができ、常時新鮮な加湿空気を室内へ送風することができる。
【0017】
23は貯水室5外周を巻回して備えられ、貯水室5内の水を加熱する加熱ヒータであり、送風量が「強」に設定されると貯水室5内の貯水温度を設定温度の38℃前後に、送風量が「弱」に設定されると貯水室5内の貯水温度を設定温度の34℃前後に加熱保温して吹き出し温度を30℃程度に保持するものであり、貯水室5の底部に設置され貯水室5内の水の温度を検知する温度センサ24の検知温度によって、加熱ヒータ23がON/OFFされて所定温度に保持するもので、加熱ヒータ23を強制的にOFFにして貯水室5内の水を加温しないモードも設定可能としている。
【0018】
25は貯水室5内に設置され水位を検知する水位センサであり、貯水槽2及び貯水室5内に所定量以上の水が存在すればOFF信号を出力し、所定量よりも水が少なければON信号を出力して運転を停止させ、水位センサ25がOFF信号に切り替わるまでミスト運転を再開させないようにする。
【0019】
26は器具本体1の前面に備えられ複数のスイッチが設置された操作部であり、この操作部26には、駆動モータ6を駆動させて送風機14及び回転体9を回転駆動して室内に加湿空気を送風するミスト運転を開始する運転スイッチ27と、駆動モータ6の回転数を変化させて送風口18からの送風量を「強」と「弱」に設定可能な風量スイッチ28と、加熱ヒータ23によって貯水室5内の水を所定温度まで高める温ミスト運転を行う温ミストスイッチ29と、運転開始から1時間または2時間経過後に駆動モータ6を駆動停止させてミスト運転を停止させる切タイマースイッチ30とが備えられており、各スイッチが操作されたら、各スイッチの上部に設置された所定のランプを点灯させる。
【0020】
31は前記操作部26からの入力信号や、温度センサ24及び水位センサ25の検知信号を受けて、加熱ヒータ23及び駆動モータ6の動作を制御する制御部である。
【0021】
次に、本実施形態における衝突体13の構造と水滴の流動について
図4及び
図5に基づいて詳述する。
まず、衝突体13には所定の面積分を切り抜いた左右非対称でアーチ状の欠落部32が複数形成されており、欠落部32は、貯水室5の水中に浸る長さで形成された脚33と、該脚33と接続されミスト運転時に回転体9が回転駆動する方向と同一方向に対して所定角度で下り勾配となるように形成された樋34とで構成されている。
【0022】
前記欠落部32が衝突体13に形成されたことで、ミスト運転時に回転体9が回転駆動して衝突体13に水滴が付着し、付着した水滴が集まって質量が増加すると水滴に対する表面張力よりも大きな重力が加わり、水滴が衝突体13の下方向へ流動して欠落部32の脚33を伝い貯水室5に案内されるため、衝突体13から貯水室5に水滴が滴り落ちるのを抑制することができ、水滴の滴下で発生する音を防止できる。
【0023】
また、樋34は回転体9が回転駆動する方向に対して同一方向へ下り勾配となっていることから、ミスト運転時に回転体9が回転駆動して周囲に旋回流が発生することで、衝突体13に付着した水滴が回転体9の回転方向と同一方向へ移動しようとする力が加わり、衝突体13に付着した水滴が樋34の下り勾配に沿って降下し、樋34の端部まで達した水滴が脚33を伝って貯水室5内へ案内されることから、欠落部32の樋34から水滴が滴り落ちることを抑制することができ、水滴の滴下によって発生する音を防止できる。
【0024】
以上のように、回転体9の外周に設置された衝突体13に欠落部32を複数形成したことで、ミスト運転時に回転体9が回転駆動して多孔体12で微細化された水滴が衝突体13に付着し、付着した水滴が集まり大きくなって衝突体13の下方向へ降下しても、脚33を伝って貯水室5へ案内されるため、衝突体13から貯水室5へ水滴が滴り落ちることがなく静音性を確保できる。
【0025】
また、回転体9が回転駆動する方向と同一方向へ下り勾配する樋34を脚33に接続するように欠落部32に形成したことで、回転体9が回転駆動することで発生する旋回流と同一方向へ樋34が下り勾配していることで、ミスト運転で水滴が発生しても樋34に沿って移動し、樋34の端部まで達した水滴が脚33を伝って貯水室5の水中へ案内されるため、衝突体13から水滴が滴り落ちることがなく静音性を確保できる。
【0026】
なお、本実施形態では欠落部32を左右非対称のアーチ形状で形成したもので説明したが、これに限らず例えば
図6で示すように、回転体9の回転方向と同一方向へ下り勾配となる曲線の端部が貯水室5の水中に達する略扇形で欠落部32を形成してもよく、衝突体13に付着した水を確実に貯水室5の水中へ案内可能な構成であればよい。
【0027】
また、欠落部32の面積や下り勾配する樋34の傾斜角については、ミスト運転時に超微細化されたナノメートルサイズのミストとマイナスイオンの送風量を阻害しない範囲で、衝突体13に付着した水滴を効率的に貯水室5へ案内可能となる上で自由に数値が変更可能なものである。
【0028】
なお、本実施形態で用いた回転体9の構造や衝突体13に形成した欠落部32の形状は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
5 貯水室
6 駆動モータ
9 回転体
10 飛散口
11 多孔部
12 多孔体
13 衝突体
32 欠落部
33 脚
34 樋