(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光透過性基材上に、端子部に電気的に接続されたセンサー部と、端子部に電気的に接続されていないダミー部を有する光透過性導電層を少なくとも2層有し、該センサー部と該ダミー部が任意の形状の繰り返し単位を有する金属パターンから構成される光透過性電極であって、一方の光透過性導電層が有するセンサー部は、第一の方向に伸びた複数の列電極がダミー部を挟んで並ぶことで構成され、他方の光透過性導電層が有するセンサー部は、第一の方向に直交する第二の方向に伸びた複数の列電極がダミー部を挟んで並ぶことで構成され、さらに下記(a)〜(c)の要件を全て満たすことを特徴とする光透過性電極。
(a) j1<k1
ここで、k1は一方の光透過性導電層の第一の方向に伸びた列電極が有する繰り返し単位の第一の方向における平均長さを表し、j1は同じ繰り返し単位の第二の方向における平均長さを表す。
(b) 2M=o×j1
ここで、Mは第一の方向に伸びた列電極の平均中心間距離を表し、oは自然数を表す。
(c) k2<j2、かつk1÷j2とj2÷k1の解が両方共に自然数でない。
ここで、k2は他方の光透過性導電層の第二の方向に伸びた列電極が有する繰り返し単位の第一の方向における平均長さを表し、j2は同じ繰り返し単位の第二の方向における平均長さを表す。
【背景技術】
【0002】
PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、光透過性導電材料と透明導電体層付ガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、光透過性導電材料に電流を流し光透過性導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、基材上に光透過性導電層を有する光透過性電極を基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性、高透過率を有するため、様々な用途において適用され、さらに投影型静電容量方式は多点同時検出ができるため、スマートフォンやタブレットPCなどに広く用いられている。
【0004】
タッチパネルに用いられる光透過性電極としては、一般にITO(酸化インジウムスズ)からなる光透過性導電層が基材上に形成されたものが使用されてきた。しかしながらITOからなる光透過性導電層は屈折率が大きく、光の表面反射が大きいため、全光線透過率が低下する問題や、可撓性が低いため屈曲した際にITO導電層に亀裂が生じて電気抵抗値が高くなる問題があった。
【0005】
ITOからなる光透過性導電層を用いた光透過性電極に代わる光透過性電極として、光透過性基材上に光透過性導電層として金属細線を、例えば、金属細線の線幅やピッチ、さらにはパターン形状などを調整したメッシュパターン状に形成することにより、高い全光線透過率を維持し、かつ高い導電性を有する光透過性電極が得られることが知られている。用いられる金属細線パターンの形状としては、各種形状の繰り返し単位を利用できることが知られており、例えば特許文献1では、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形などの多角形、円、楕円、星形等の繰り返し単位、およびこれらの2種類以上の組み合わせパターンが利用されている。
【0006】
金属細線からなる光透過性導電層を用いた光透過性電極の製造方法としては、基板上に薄い触媒層を形成し、その上にレジストパターンを形成した後、めっき法によりレジスト開口部に金属層を積層し、最後にレジスト層およびレジスト層で保護された下地金属を除去することにより、導電性パターンを形成するセミアディティブ方法が、例えば特開2007−287994号公報、特開2007−287953号公報などに開示されている。
【0007】
また近年、銀塩拡散転写法を用いた銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として用いる方法が知られている。例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報等では、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する銀塩写真感光材料(導電性材料前駆体)をパターン状に露光し、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させて、金属銀パターンを形成させる技術が開示されている。この方式によるパターニングは均一な線幅を再現することができることに加え、銀は金属の中で最も導電性が高いため、他方式に比べ、より細い線幅で高い導電性を得ることができる。さらにこの方法で得られた金属銀パターンを有する光透過性導電層はITOからなる光透過性導電層よりも可撓性が高く折り曲げに強いという利点がある。
【0008】
一般に投影型静電容量方式を用いたタッチパネルでは、複数の列電極から構成されるセンサー部を有する光透過性導電層を2層有する光透過性電極をタッチセンサーとして用いている。このような用途において、各種繰り返し単位を有する金属パターンを列電極として用いたタッチパネルでは、通常作業者が画面を凝視し操作するため、金属パターン自体が目に映る(視認性が高い)という問題があった。また、2層の光透過性導電層を重ねる光透過性電極では、金属パターンの形状によってはモアレが発生し、より視認性が高くなるという問題を有している。さらに、極細の金属細線による繰り返し単位を有する金属パターンを用いた光透過性電極では、パターン形状に依存して、高温高湿雰囲気下で電気抵抗値が変動する場合があり、前述したモアレの問題と、この電気抵抗値の安定性の問題を同時に解決する方法は知られていなかった。
【0009】
これらの問題に対し、特許文献2では、2層の光透過性導電層のうち一方の光透過性導電層の列電極が有する金属パターンの繰り返し単位の形状を菱形にし、その菱形を90°回転させた繰り返し単位を、もう一方の光透過性導電層の列電極が有する金属パターンの繰り返し単位として用いる方法を提案している。しかしながらこの方法では、条件によってはモアレが見える場合もあり、さらには高温高湿雰囲気下における電気抵抗値の安定性の問題の解決に関しても不十分であった。
【0010】
例えば特許文献3などのように、モアレを解消する目的で、列電極の金属パターンとしてダイヤモンド状のパターンを用い、2層の光透過性導電層が有する列電極を構成する金属パターンが上下の光透過性導電材料を重ねる際に一切重ならないようにする方法も提案されているが、この方法では2層の光透過性導電層を非常に高い位置精度で貼合しないと、上下のパターンが誤って重なる部分や、あるいはパターンが全くない部分が発生しやすくなり、逆に視認性が高くなりやすい。しかもこの方式においては列電極の幅が狭くなる部分が必然的に生じ、その部分は、前述の極細の金属細線による繰り返し単位を有する金属パターンの電気抵抗値が高温高湿雰囲気下で変動する問題の影響をより顕著に受けていた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明するにあたり図面を用いて説明するが、本発明はその技術的範囲を逸脱しない限り様々な変形や修正が可能であり、以下の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0019】
図1は本発明の光透過性電極の一例を示す概略断面図である。
図1において、光透過性電極20は、光透過性基材1a上の一方に光透過性導電層2aを有し、この光透過性導電層2aは複数の列電極6aから構成されるセンサー部11と、列電極に挟まれたダミー部12から構成され、該列電極6aは配線部14に接続されており、さらに配線部14は端子部15に接続されている。光透過性基材1aの光透過性導電層2aを有する面とは反対面側には、光透過性基材1b上に光透過性導電層2bが設けられ、この光透過性導電層2bと光透過性基材1aが接着層4を介して貼合されている。なお、光透過性導電層2bは複数の列電極6bおよび列電極に挟まれたダミー部12を有するが、この列電極6bは前記した列電極6aと直交する方向に並ぶため、
図1においては1つのみが示され、またダミー部12は図示されない。光透過性導電層2bにおいても、列電極6bは列電極6aと同様、配線部14に接続されており、さらに配線部14は端子部15に接続されている。なお、ダミー部は、光透過性電極の列電極を囲む位置にも配置されていても良い。
【0020】
上記の通り、本発明の光透過性電極は2層の光透過性導電層を有する(
図1中2a、2b)。1つの光透過性基材上に複数の光透過性導電層を作製するには、例えば前述した高知の方法(セミアディティブ方法や銀塩写真感光材料を利用する方法)を用いて、光透過性基材の一方の面に光透過性導電層を設け、反対面側には例えば特開2006−111889号公報に記載される方法にて得た、基材を有さない独立した金属メッシュを作製しこれを貼合する方法が挙げられる。しかしながら基材を有さない独立した金属メッシュの貼合は極めて煩雑である。そこで、光透過性基材上の一方の面に光透過性導電層を有する光透過性導電材料を2枚作製し、それを積層することが好ましい。
【0021】
図1に示した光透過性電極20は、公知の方法にて光透過性基材1aの上に光透過性導電層2aを設け、また光透過性基材1bの上に光透過性導電層2bを設け、前述した光透過性基材1aのもう一方の面(光透過性導電層2aを有さない面)に、接着層4を介して光透過性基材1bに保持された光透過性導電層2bを積層することで、容易に作製することができる。
図1に示した光透過性電極ではさらに、タッチパネルとした時に人が見る側(
図1に目玉のイラストで図示)に保護基材3が接着層4を介して積層されている。また光透過性基材1bは光透過性電極20の他方の面の保護基材としても作用する。
【0022】
図2は本発明の光透過性電極の別の一例を示す概略断面図である。
図2に示した光透過性電極20は、公知の方法にて光透過性基材1a上(図面では下側)に光透過性導電層2aを設け、また光透過性基材1bの上に光透過性導電層2bを設け、光透過性導電層2aと光透過性導電層2bとを接着層4を介して積層することで、容易に作製することができる。この場合、光透過性基材1a、1bは光透過性電極20の保護基材としても作用する。
【0023】
図3は本発明の光透過性電極のまた別の一例を示す概略断面図である。
図3においては光透過性基材1の両面に光透過性導電層2a、2bが形成されており、この光透過性導電層2a、2bが接着層4を介して保護基材3、保護基材5と積層されている。このような光透過性電極は、例えば公知の方法にて光透過性基材1aの上に光透過性導電層2aを設け、また光透過性基材1bの上に光透過性導電層2bを設け、光透過性基材1aと光透過性基材1bを熱融着や図示しない接着層4を介して接着させることで、容易に作製することができる。
【0024】
また本発明において、上記した方法以外の製造方法により光透過性導電材料を組み合わせたり、あるいはハードコートフィルムや反射防止フィルム、電磁波シールドフィルムなど公知の光学フィルムを積層するなども可能である。
【0025】
図1および
図3にて図示した保護基材3、5としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン等からなる公知の光透過性を有するシートを用いることが好ましい。ここで光透過性とは全光線透過率が60%以上であることを意味する。保護基材3、5の厚みは50μm〜5mmであることが好ましい。また保護基材3、5には指紋防汚層、ハードコート層、反射防止層、防眩層などの公知の層を付与することもできる。なお
図3における保護基材3および保護基材5の材質は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0026】
前述した
図2においては、光透過性基材1a、1bが最表面になっているが、この場合の光透過性基材1a、1bは保護基材と同等の機能が求められる。光透過性基材が単独でこの機能を有さない場合などは、接着層などを介して前記した保護基材を積層させることが好ましい。
図1〜3にて記載した光透過性基材1、1a、1bとしては、全光線透過率が60%以上のものであれば公知の基材を利用でき、例えば前述した保護基材3、5と同様のシートを挙げることができる。光透過性基材1、1a、1bの厚みは50〜300μmであることが好ましい。
【0027】
図1〜3にて示した光透過性電極20が有する接着層4としては、アクリル系粘着剤やウレタン系粘着剤等の粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)やウレタン系ホットメルト接着剤等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂や熱硬化性ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル系紫外線硬化樹脂やエポキシ系紫外線硬化樹脂等の紫外硬化型樹脂など公知のもので、接着後に光透過性である樹脂組成物を用いることができる。なお光透過性導電層2aと2bが絶縁される必要があることは当業界で周知であり、例えば
図1では光透過性基材1aと接着層4により光透過性導電層2aと2bが絶縁されており、
図2では接着層4により光透過性導電層2aと2bが絶縁されている。
【0028】
本発明においては、2つの光透過性導電層間の位置関係が特に重要であり、光透過性導電層2aと2b間で以下に記載する位置関係が満たされる限り、
図1〜3、あるいはその他の構成であっても同様の効果を得ることができる。なお以降の説明では、便宜上
図1の光透過性電極を例に挙げ説明する。
【0029】
図4は、本発明の光透過性電極の構成の一例を示す概略斜視図であって、
図1における光透過性導電層2aを有する光透過性基材1aと、光透過性導電層2bを有する光透過性基材1bとを積層する場合の位置関係を表し、便宜上、隙間を空けて記載している。保護基材3、接着層4等は省略した。光透過性導電層2aおよび2bは静電容量の変化を感知しかつ光透過性を有するセンサー部11(配線部14を介して端子部15に電気的に接続された複数の列電極6から構成されるセンサー部)と、同じく光透過性を有するダミー部12(端子部15に電気的に接続されない金属パターン16から構成されるダミー部)から構成される。またこれらの金属パターン部位のない非画像部13も有する。
【0030】
本発明において、センサー部11は端子部15と直接に接することで電気的に接続されていてもよいが、
図4に示すように、複数の端子部15を近傍に集めるために、配線部14を介してセンサー部11が端子部15と電気的に接続されていることは好ましい。
【0031】
光透過性導電層2aにおいてセンサー部11を構成する列電極6は、配線部14を介し端子部15に電気的に接続しており、この端子部15を通して外部に電気的に接続することで、センサー部で感知した静電容量の変化を捉えることができる。一方、端子部15に電気的に接続していない金属パターンは本発明では全てダミー部となる。本発明において配線部14、端子部15は特に光透過性を有する必要はないためベタパターンでも良く、あるは列電極6と同様に光透過性を有していても良い。
【0032】
図4の光透過性導電層2aでは、x方向に伸びた列電極6がダミー部を挟んで複数列並び、該列電極6の各々は、その中心間距離の平均値がMとなる位置に並んでいる。一方、光透過性導電層2bでは、x方向に直交する方向であるy方向に伸びた列電極6が、ダミー部を挟んで、その中心間距離の平均値がLとなる位置に並んでいる。
【0033】
図5は、
図4の光透過性導電層2aの平面拡大図である。
図5では、x方向に伸びた列電極6がダミー部を挟んで複数列並び、列電極6は菱形の繰り返し単位からなる金属パターンである。一方、ダミー部を構成する金属パターン16(説明のために設けた点線で示す仮の境界線Rにて列電極6と区別された部分)は、輪郭形状(辺を延長し断線部を繋いだ図形)が列電極6の繰り返し単位と合同である菱形の繰り返し単位からなるが、菱形の頂点付近に断線部が設けられているため、列電極6と金属パターン16の間で電気的な導通はない。
図5において、列電極6が有する繰り返し単位(菱形)のx方向における平均長さ(繰り返し平均周期)はk1であり、y方向における平均長さ(繰り返し平均周期)はj1である。なお、k1やj1はパターンを設計する際に任意に設定することができるが、
図5においては、k1は、列電極6の長さ(x方向の長さ)を、列電極中の繰り返し単位のx方向の繰り返し数で割ることでも求めることができ、また、j1は、列電極の幅(y方向の長さ)を、列電極中の繰り返し単位のy方向の繰り返し数で割ることや、平均中心間距離Mを、後述する隣り合う列電極の中心線間に存在する繰り返し単位のy方向の繰り返し数(
図5では合同の菱形I〜IVが繰り返し単位として存在するから、繰り返し数は4)で割ることでも求めることができる。
【0034】
図5や後述する
図6において、列電極6の繰り返し単位とダミー部を構成する金属パターン16の繰り返し単位(輪郭形状も含める)は合同の図形であるが、本発明においては、これらの繰り返し単位が合同の図形であることが視認性の観点(視認性を低下させること)で最も好ましいものの、必ずしも合同である必要は無く、略一致の形状も好ましい。本発明において、略一致とは辺の長さ、格子の角度、辺の位置、辺の太さがほぼ一致していることを言い、辺の長さの場合、±10%以内の範囲、格子の角度の場合、±5°以内の範囲、辺の位置の場合、辺の長さの±10%の範囲内、辺の太さ(線幅)が±50%の範囲内にある場合を言う。
【0035】
列電極6の平均中心間距離Mはパターンを設計する際に任意に設定することができるが、確認方法としては、列電極の幅の中心をx方向に通る中心線を設定し、隣接する列電極の全ての組み合わせについて中心線間の距離を求め、この算術平均値により算出しても良いし、平均値を算出する際に、全て中心線間距離の算術平均値からずれ幅の大きい中心線間距離を、ずれ幅の大きい順に母集団に対して10%除外した上で平均値を算出しても良い。
【0036】
図5において、センサー部を構成する列電極6の繰り返し単位およびダミー部を構成する金属パターン16が有する繰り返し単位として菱形を用いたが、前述した特許文献1に記載されるような各種形状の繰り返し単位を用いることができる。また、辺が直線でなく例えばジグザグ線、波線などで構成されていても良い。さらに、特開2002−223095号公報で開示されているような、ストライプ状、煉瓦積み模様状のパターンを繰り返し単位として用いることができるが、x方向、y方向共に短い周期を有する周期的な構造を作りやすく、かつx方向、y方向に対する角度の異なる片の数ができるだけ少なくてすむ基本図形を用いることが好ましい。従って、本発明において好ましい基本図形は菱形および平行四辺形であり、菱形がより好ましい。菱形においては、その対角線がx方向とy方向にあるものが好ましく、隣接する2辺の成す角度の1つが30〜70°であることが好ましい。また繰り返し単位における線間隔(対辺間距離)は400μm以下が好ましい。また、その線幅は20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
【0037】
前述の通り、センサー部を構成する列電極6とダミー部を構成する金属パターン16との間で電気的な導通はあってはならない。電気的な導通を断つ方法としては
図5に示したように、金属パターン16の一部に断線部を設ける方法を用いても良いし、後述する
図6で示すように、列電極6と金属パターン16との境界(説明のために設けた点線で示す仮の境界線R)に沿って、列電極6と金属パターン16の繰り返し単位をずらす方法など、如何なる方法でも良い。断線部を設ける場合、断線幅は1〜40μmであることが好ましく、より好ましくは4〜20μm、さらに好ましくは6〜12μmである。また、断線部は境界線R上以外でも設けることもできる。列電極6と金属パターン16との境界に沿って、列電極6と金属パターン16の繰り返し単位をずらす方法では、ずらす距離が金属パターンの線幅の1.5倍以上で、かつ50μm以下であることが好ましく、より好ましくは線幅の2倍以上で、かつ40μm以下である。さらに本発明においては、列電極6と金属パターン16の電気的な導通を断つ目的で、断線部を設ける方法と、境界に沿って列電極6と金属パターン16の繰り返し単位をずらす方法を併用することもできる。
【0038】
図6は
図4の光透過性導電層2bの平面拡大図である。
図6では、y方向に伸びた列電極6がダミー部を挟んで複数列並んだ構造を取っている。センサー部を構成する列電極6は菱形の繰り返し単位からなる金属パターンである。ダミー部を構成する金属パターン16(説明のために設けた点線で示す仮の境界線Rにて列電極6と区別された部分)は、境界線Rに沿って列電極6と金属パターン16の繰り返し単位をずらす方法によって、センサー部を構成する列電極6と電気的な導通が断たれている。金属パターン16は列電極6と輪郭形状(一部分しか用いられていない菱形の全体像)が列電極6の繰り返し単位と合同の菱形の繰り返し単位からなる。
図6において、列電極6が有する繰り返し単位(菱形)のx方向における平均長さ(繰り返し平均周期)はk2であり、y方向の平均長さ(繰り返し平均周期)はj2であり、列電極6の平均中心間距離はLである。なお、
図6におけるk2、j2およびLの設定や確認方法は、
図5の光透過性導電層2aのk1、j1およびMと同様にして行うことができる。
【0039】
本発明の光透過性電極は、下記(a)〜(c)の要件を全て満たすことが必要である。
(a) j1<k1
(b) 2M=o×j1(但しoは自然数)
(c) k2<j2、かつk1÷j2とj2÷k1の両方の解が自然数でない。
【0040】
さらに本発明においては、下記(d)の要件を満たすことが本発明の目的を達する上で好ましい。
(d) 2L=p×k2(但しpは自然数)
また、下記(e)の要件を満たすことが本発明の目的を達する上で好ましい。
(e) 2L=q×k1(但しqは自然数)
これらの要件を満たすことにより、より電気抵抗値の安定性に優れた光透過性電極を得ることが可能となる。
【0041】
k1とj1の関係においては好ましい要件が存在する。好ましくは0.15×k1<j1<0.7×k1であり、より好ましくは0.35×k1<j1<0.6×k1である。k2とj2の関係においても好ましい要件が存在する。好ましくは0.15×j2<k2<0.7×j2であり、より好ましくは0.35×j2<k2<0.6×j2である。これらの要件を満たすことにより、より電気抵抗値の安定性に優れた光透過性電極を得ることが可能となる。
【0042】
本発明の光透過性電極は、前記した2層の光透過性導電層を有する以外にも、ハードコート層、反射防止層、粘着層、防眩層など公知の層を任意の場所に設けることができる。また、光透過性基材と光透過性導電層との間に、物理現像核層、易接着層、接着層など公知の層を設けることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその技術的範囲を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
<実施例1>
光透過性基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。なおこの光透過性基材の全光線透過率は91%であった。
【0045】
次に下記処方に従い、物理現像核層塗液を作製し、上記光透過性基材の片面上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0046】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0047】
<物理現像核層塗液の調製>銀塩感光材料の1m
2あたりの量
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 50mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
【0048】
続いて、基材に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核液層の上に塗布、乾燥して、銀塩感光材料を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で構成され平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤に対し、定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用いて金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0049】
<中間層組成/銀塩感光材料の1m
2あたりの量>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 50mg
【0050】
【化1】
【0051】
【化2】
【0052】
<ハロゲン化銀乳剤層組成/銀塩感光材料の1m
2あたりの量>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0053】
<保護層組成/銀塩感光材料の1m
2あたりの量>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
【0054】
このようにして得た銀塩感光材料に、
図7あるいは
図8のパターンを有する透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお、
図7、
図8のパターンには便宜上、列電極6を網模様で、ダミー部12を点模様で示している。
図7、
図8のパターンは各々、列電極部とダミー部の繰り返し単位として線幅が5μmで合同の形状の菱形を有しており、繰り返し単位の菱形の2本の対角線の方向は、列電極の伸びる方向と、それに直交する方向に一致している。センサー部を構成する列電極のパターンとダミー部を構成するパターンとの間には、幅10μmの断線部を設け、さらにダミー部の繰り返し単位の菱形の各辺の中点において幅7μmの断線部を設けることで、金属パターンを作製した後のセンサー部を構成する列電極とダミー部を構成するパターンの電気的な導通を防ぐようにしている。
図7においては、繰り返し単位のx方向(列電極の伸び方向)における平均長さk1は800μm、y方向(x方向に直交する方向)における平均長さj1は375μmで、菱形の隣接する2辺の成す角度の1つ(以下、角度1と表す。)は50.2°であり、列電極の平均中心間距離Mは15mmである。また
図8においては、繰り返し単位のx方向における平均長さk2は400μm、y方向における平均長さj2は750μmで、菱形の隣接する2辺の成す角度の1つ(以下、角度2と表す。)は56.1°であり、列電極の平均中心間距離Lは20mmである。
【0055】
その後、銀塩感光材料を下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬し、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして光透過性導電層として、
図7あるいは
図8のパターン形状を有する金属銀画像を有する光透過性導電材料をそれぞれ得た。得られた光透過性導電材料が有する光透過性導電層のそれぞれの金属銀画像は、
図7あるいは
図8のパターンを有する透過原稿と同じ形状、同じ線幅であった。また、共焦点顕微鏡で調べた金属銀画像の膜厚は0.1μmであった。
【0056】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
水を加えて全量を1000mlに調製し、pHを12.2に調整した。
【0057】
得られた光透過性導電材料2枚と厚さ2mmポリカーボネート板(三菱ガス化学社製、以下PC板と略)を、各々の光透過性導電材料の光透過性導電層面をPC板側へ向け、光学粘着テープ(MHM−FW25 日栄化工社製、以下OCAと略)を用い、4隅のアライメントマーク(+印)が一致するよう、かつ
図7、
図8に記載している仮の点線で示された四角形部分内にのみOCAが貼合されるようにして、貼合順がPC板/OCA/
図7のパターン形状を有する金属銀画像を有する光透過性導電材料/OCA/
図8のパターン形状を有する金属銀画像を有する光導電性材料となるよう貼合し、光透過性電極1を作製した。
【0058】
<実施例2、実施例3、比較例1〜5>
図7におけるk1、j1及び角度1、
図8におけるk2、j2及び角度2を表1に示す値とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして実施例2、実施例3、比較例1〜5の各々の光透過性電極を得た。全ての光透過性電極で、Mは15mm、Lは20mmとした。
【0059】
得られた実施例1〜3、比較例1〜5の光透過性電極について、モアレの発生、全光線透過率、および電気抵抗値の安定性について以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0060】
<モアレの発生>
得られた光透過性電極を、全面白画像を表示した23型ワイド液晶モニタ(RDT234WK(BK) 三菱電機製)の画面上に載せ下記の基準で評価した。△及び×は実用上問題がある。
○:目視で、モアレが全く確認できない。
△:目視で、よく見ればモアレが確認できる。
×:目視で、モアレが明確に確認できる。
【0061】
<全光線透過率>
得られた光透過性電極のOCAで貼合された部分の全光線透過率を、ヘイズメーター(HZ−2 スガ試験機社製)を用いて測定した。
【0062】
<電気抵抗値の安定性>
(1)得られた光透過性電極の
図7のパターンを持つ光透過性導電材料側の各々の列電極において、配線部を介して電気的に接続された端子部15と、列電極の配線部には繋がっていない側の端に設けたベタ電極17との間の電気抵抗値を測定した。
(2)次に、
図8のパターンを持つ光透過性導電材料側の各々の列電極において、その両側からそれぞれ配線部を介して電気的に接続された端子部15−端子部15間の電気抵抗値を測定した。
(3)次に、
図7のパターンを持つ光透過性導電材料側の全ての端子部と、
図8のパターンを持つ光透過性導電材料側の全ての端子部との間に0.2Vの電圧を5分間掛けた。
(4)次に、光透過性電極を60℃90%RHの環境下で120時間放置した。
(5)次に、(1)及び(2)と同じ方法で電気抵抗値を測定した。
(6)次に、光透過性電極の列電極部分をルーペにて観察し、断線の発生の有無を調べた。
(7)次に、
図7のパターンを持つ光透過性導電材料側の各々の列電極において(1)での電気抵抗値と(5)での電気抵抗値を比較し、その変化量が(1)での電気抵抗値に占める割合を算出し、その最小値と最大値を除いた残りの列電極(5本)の値を平均し、
図7のパターンを持つ光透過性導電材料側の電気抵抗値の安定性の指標とした。また、
図8のパターンを持つ光透過性導電材料側の各々の列電極において(2)での電気抵抗値と(5)での電気抵抗値を比較し、その変化量が(2)での電気抵抗値に占める割合を算出して全ての列電極(4本)の値を平均し、
図8のパターンを持つ光透過性導電材料側の電気抵抗値の安定性の指標とした。
図7のパターンを持つ光透過性導電材料側の電気抵抗値の安定性の指標と、
図8のパターンを持つ光透過性導電材料側の電気抵抗値の安定性の指標のうち、大きい方をその光透過性電極の電気抵抗値の安定性の指標とした。
以上の試験の結果について下記の基準で評価した。1及び2は実用上問題がある。
5:電気抵抗値の安定性の指標が5%未満で、全ての列電極で断線が無い。
4:電気抵抗値の安定性の指標が5%以上10%未満で、全ての列電極で断線が無い。
3:電気抵抗値の安定性の指標が5%以上10%未満で、一部の列電極で断線がある。
2:電気抵抗値の安定性の指標が10%以上で、一部の列電極で断線がある。
1:電気抵抗値の安定性の指標が非常に大きくなり、全ての列電極で断線がある。
【0063】
【表1】
【0064】
表1の結果から、本発明によって静電容量方式を用いたタッチパネルの光透過性電極として好適な、全光線透過率が高くてモアレが発生し難く、かつ電気抵抗値の安定性に優れた光透過性電極が得られることがわかる。