特許第6193771号(P6193771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193771
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20170828BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20170828BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20170828BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01L27/04 A
   H01L27/088 D
   H01L27/04 H
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-13734(P2014-13734)
(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公開番号】特開2015-141993(P2015-141993A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】戸田 猛
(72)【発明者】
【氏名】奥島 基嗣
【審査官】 小堺 行彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−307394(JP,A)
【文献】 特開平10−256541(JP,A)
【文献】 特開2011−108994(JP,A)
【文献】 特開2009−277877(JP,A)
【文献】 特開平09−181196(JP,A)
【文献】 特開2005−183499(JP,A)
【文献】 特開2009−105392(JP,A)
【文献】 特開2011−086813(JP,A)
【文献】 特開昭56−027969(JP,A)
【文献】 特開2005−243928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゲート電極、第1ソース領域、及び第1ドレイン領域を有し、前記第1ゲート電極が第1の方向に延在している第1トランジスタと、
第2ゲート電極、第2ソース領域、及び第2ドレイン領域を有し、前記第2ゲート電極が前記第1の方向に延在しており、前記第1の方向に交わる第2の方向に沿って並んでいる複数の第2トランジスタと、
前記第1ソース領域に接続している第1ソースコンタクトと、
前記第1ドレイン領域に接続している第1ドレインコンタクトと、
それぞれが互いに異なる前記第2ソース領域に接続しており、互いに電気的に接続している複数の第2ソースコンタクトと、
それぞれが互いに異なる前記第2ドレイン領域に接続しており、互いに電気的に接続している複数の第2ドレインコンタクトと、
を備え、
前記第1トランジスタは、前記第2の方向において第1の前記第2トランジスタ及び第2の前記第2トランジスタに挟まれており、
前記第1の第2トランジスタの前記第2ソースコンタクトと前記第2ドレインコンタクトの距離である第1距離、及び前記第2の第2トランジスタの前記第2ソースコンタクトと前記第2ドレインコンタクトの距離である第2距離は、いずれも、前記第2の方向において前記第1トランジスタから最も離れている前記第2トランジスタである第3の前記第2トランジスタに接続する前記第2ソースコンタクトと前記第2ドレインコンタクトの距離である第3距離よりも大きい半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2トランジスタにおいて、前記第2ゲート電極と前記第2ドレイン領域の間には素子分離膜が位置している半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2の方向において、前記第1の第2トランジスタにおける前記素子分離膜の幅、及び前記第2の第2トランジスタにおける前記素子分離膜の幅は、いずれも前記第3の第2トランジスタにおける前記素子分離膜の幅よりも大きい半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2トランジスタにおいて、前記第2ゲート電極と前記第2ソース領域の間には前記素子分離膜が位置している半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の方向において、前記第1の第2トランジスタにおける前記ゲート電極の幅、及び前記第2の第2トランジスタにおける前記ゲート電極の幅は、いずれも前記第3の第2トランジスタにおける前記ゲート電極の幅よりも大きい半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタと前記第1の第2トランジスタの間、及び前記第1トランジスタと前記第2の第2トランジスタの間のそれぞれに位置する第3トランジスタを備え、
前記第3トランジスタのゲート電極は前記第3トランジスタのソース領域と電気的に接続されている半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の方向において、少なくとも2つの前記第1の第2トランジスタが互いに隣り合っており、かつ、少なくとも2つの前記第2の第2トランジスタが互いに隣り合っている半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えばカレントミラー回路を有する半導体装置に適用可能な技術である。
【背景技術】
【0002】
電気回路の一つにカレントミラー回路がある。カレントミラー回路は、例えば増幅回路に用いられる。半導体装置に、増幅回路としてのカレントミラー回路を設ける場合、入力トランジスタの周囲に複数の出力トランジスタを設け、かつこれら複数の出力トランジスタに同一の特性を持たせることが望ましい。例えば特許文献1には、出力トランジスタのレイアウト例が複数記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−256541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、入力トランジスタとなる第1トランジスタを、出力トランジスタとなる複数の第2トランジスタで挟んだ半導体装置において、第1トランジスタ及び第2トランジスタを小型化することを検討した。この際、本発明者は、第2トランジスタのドレインに静電気などの異常電流が入力された場合、第1トランジスタに最も近い第2トランジスタに異常電流が集中することを見出した。異常電流が特定の第2トランジスタに集中すると、半導体装置の異常電流に対する耐性が低下してしまう。本願の主な課題は、半導体装置の異常電流に対する耐性が低下しないようにすることにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施の形態によれば、第1トランジスタの第1ゲート電極及び第2トランジスタの第2ゲート電極は、いずれも第1の方向に延在している。そして、複数の第2トランジスタは、第1の方向に交わる方向(第2の方向)に並んでいる。第1トランジスタは、第2の方向において、第1の第2トランジスタ及び第2の第2トランジスタに挟まれている。第1ソースコンタクトは第1ソース領域に接続しており、第1ドレインコンタクトは第1ドレイン領域に接続している。複数の第2ソースコンタクトは互いに異なる第2ソース領域に接続しており、かつ、互いに電気的に接続している。複数の第2ドレインコンタクトは互いに異なる第2ドレイン領域に接続しており、かつ互いに電気的に接続している。そして、第1の第2トランジスタに接続する第2ソースコンタクトと第2ドレインコンタクトの距離(第1距離)、及び、第2の第2トランジスタに接続する第2ソースコンタクトと第2ドレインコンタクトの距離(第2距離)は、いずれも、第2の方向において第1トランジスタから最も離れている第3の第2トランジスタ(第2トランジスタ)に接続する第2ソースコンタクトと第2ドレインコンタクトの距離(第3距離)よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
前記一実施の形態によれば、半導体装置の異常電流に対する耐性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図2図1のA−A´断面を模式的に示す図である。
図3】比較例において、第2トランジスタの第2ドレイン領域に接続する配線に異常電流が流れたときの電流密度をシミュレーションした結果を示す図である。
図4】実施形態において、第2トランジスタの第2ドレイン領域に接続する配線に異常電流が流れたときの電流密度をシミュレーションした結果を示す図である。
図5】第2トランジスタ一つあたりに流すことができる異常電流の量の、素子分離膜EI21の幅の依存性を示す図である
図6】第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図7】第2トランジスタ一つあたりに流すことができる異常電流の量の、第2ゲート電極の幅の依存性を示す図である。
図8】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図9】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図10】第5の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図11図10の変形例を示す断面図である。
図12】第6の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
図13図12の点線で囲んだ部分を拡大した図である。
図14図13のB−B´断面図である。
図15図13のC−C´断面図である。
図16図13のD−D´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す平面図である。図2は、図1のA−A´断面を模式的に示す図である。本実施形態に係る半導体装置SDは、負荷に電力を供給するための電力制御素子であり、第1トランジスタTR1、複数の第2トランジスタTR2、第1ソースコンタクトSCON1、第1ドレインコンタクトDCON1、複数の第2ソースコンタクトSCON2、及び複数の第2ドレインコンタクトDCON2を有している。第1トランジスタTR1は制御信号が入力される入力トランジスタであり、第2トランジスタTR2は、電力を出力する出力トランジスタである。第1トランジスタTR1及び複数の第2トランジスタTR2は、カレントミラー回路の少なくとも一部を構成している。
【0010】
第1トランジスタTR1は、第1ゲート電極GE1、第1ソース領域SOU1、及び第1ドレイン領域DRN1を有している。第2トランジスタTR2は、第2ゲート電極GE2、第2ソース領域SOU2、及び第2ドレイン領域DRN2を有している。第1ゲート電極GE1及び第2ゲート電極GE2は、いずれも第1の方向(図1におけるY方向)に延在している。そして、複数の第2トランジスタTR2は、第1の方向に交わる方向(第2の方向:図1の例においてはX方向)に並んでいる。第1トランジスタTR1は、第2の方向において、2つの第2トランジスタTR21(第1の第2トランジスタTR2及び第2の第2トランジスタTR2)に挟まれている。
【0011】
第1ソースコンタクトSCON1は第1ソース領域SOU1に接続しており、第1ドレインコンタクトDCON1は第1ドレイン領域DRN1に接続している。複数の第2ソースコンタクトSCON2は互いに異なる第2ソース領域SOU2に接続しており、かつ、互いに電気的に接続している。複数の第2ドレインコンタクトDCON2は互いに異なる第2ドレイン領域DRN2に接続しており、かつ互いに電気的に接続している。そして、一方の第2トランジスタTR21(第1の第2トランジスタTR2)に接続する第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON21の距離(第1距離)、及び、他方の第2トランジスタTR21に接続する第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON21の距離(第2距離)は、いずれも、第2の方向において第1トランジスタから最も離れている第3の第2トランジスタTR2(第2トランジスタTR22)に接続する第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離(第3距離)よりも大きい。以下、詳細に説明する。
【0012】
まず、図1を用いて説明する。半導体装置SDは、シリコン基板などの半導体基板SUBを有している。半導体基板SUBには、第1トランジスタTR1、及び複数の第2トランジスタTR2が設けられている。複数の第2トランジスタTR2は、第1トランジスタTR1を取り囲むように、例えば第1トランジスタTR1を基準にして互いに対称となる位置に配置されている。ここでの対称には、線対称及び点対称の双方が含まれている。より詳細には、半導体装置SDには、複数のトランジスタがマトリクスを構成するように配置されている。そしてこのマトリクスの中心に、第1トランジスタTR1が設けられている。
【0013】
本図に示す例では、2つの第1トランジスタTR1がX方向に並んで配置されている。そして、第1トランジスタTR1と同一の行において、第1トランジスタTR1の両隣には、それぞれ、第1トランジスタTR1に近い順に、第3トランジスタTR3、第1の第2トランジスタTR21、及び複数の通常の第2トランジスタTR2が配置されている。通常の第2トランジスタTR2は、第2トランジスタTR22と同様の構成を有している。
【0014】
第3トランジスタTR3はダミートランジスタである。具体的には、第3トランジスタTR3は、通常の第2トランジスタTR2と同様の構成を有しているが、第3ゲート電極GE3と第3ソース領域SOU3が互いに電気的に接続している。具体的には、第3ゲート電極GE3及び第3ソース領域SOU3は接地されている。第3トランジスタTR3を設けることにより、第1トランジスタTR1に最も近い第2トランジスタTR2と、第1トランジスタTR1の距離を離すことができる。これにより、複数の第2トランジスタTR2に静電気などの異常電流が流れても、第1トランジスタTR1の近くに位置する第2トランジスタTR2に電流が集中してこの第2トランジスタTR2が壊れることを、抑制できる。
【0015】
図1に示す例では、第1トランジスタTR1と第2トランジスタTR21の間には、一つの第3トランジスタTR3が設けられている。ただし、第1トランジスタTR1と第2トランジスタTR21の間に複数(例えば2つ)の第3トランジスタTR3が設けられても良い。
【0016】
通常の第2トランジスタTR2、すなわち第2トランジスタTR21以外の第2トランジスタTR2(第2の第2トランジスタTR22を含む)は、いずれも互いに同様の構成を有している。そして、第1トランジスタTR1とは異なる行には、通常の第2トランジスタTR2が複数設けられている。上記したように第2トランジスタTR21における第2ソースコンタクトSCON2(図2に図示)と第2ドレインコンタクトDCON21(図2に図示)の距離は、第2トランジスタTR22(すなわち通常の第2トランジスタTR2)における第2ソースコンタクトSCON2(図2に図示)と第2ドレインコンタクトDCON22(図2に図示)の距離よりも大きい。このため、図1のX方向において、第2トランジスタTR21の幅は、通常の第2トランジスタTR2の幅よりも大きくなっている。
【0017】
図1に示す例では、第1トランジスタTR1と通常の第2トランジスタTR2の間には、2つの第2トランジスタTR21が設けられている。ただし、第1トランジスタTR1と通常の第2トランジスタTR2の間には、第2トランジスタTR21が一つのみ設けられていても良いし、3つ以上の第2トランジスタTR21が設けられていても良い。なお、第2トランジスタTR21を複数設けることにより、異常電流が特定の第2トランジスタTR2に集中すること(詳細を後述)を、さらに抑制できる。
【0018】
なお、半導体装置SDは、上記した第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、及び第3トランジスタTR3を複数組有していても良い。この場合、複数の組のそれぞれが、互いに異なる出力電力を制御する。
【0019】
次に、図2を用いて説明する。上記したように、X方向において、第1トランジスタTR1の横には、第3トランジスタTR3、第2トランジスタTR21(本図に示す例では2つの第2トランジスタTR21)、及び通常の第2トランジスタTR2(以下、第2トランジスタTR22と記載)が並んでいる。第1トランジスタTR1は第1ゲート電極GE1、第1ドレイン領域DRN1、及び第1ソース領域SOU1を有している。第3トランジスタTR3は、第3ゲート電極GE3、第3ドレイン領域DRN3、及び第3ソース領域SOU3を有している。第2トランジスタTR21は第2ゲート電極GE21、第2ドレイン領域DRN21、及び第2ソース領域SOU21を有しており、第2トランジスタTR22は、第2ゲート電極GE22、第2ドレイン領域DRN22、及び第2ソース領域SOU22を有している。
【0020】
詳細には、2つの第1トランジスタTR1は一つの第1ソース領域SOU1を共有している。第1トランジスタTR1とその隣の第3トランジスタTR3は、一つのドレイン領域(第1ドレイン領域DRN1及び第3ドレイン領域DRN3)を共有している。第3トランジスタTR3は、その隣の第2トランジスタTR21と一つのソース領域(第3ソース領域SOU3及び第2ソース領域SOU2)を共有している。この第1トランジスタTR1とその隣の第2トランジスタTR21は、一つの第2ドレイン領域DRN2を共有している。そして第1トランジスタTR1から最も離れている第2トランジスタTR21と、その隣の第2トランジスタTR22は、第2ソース領域SOU2を共有している。
【0021】
なお、第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、及び第3トランジスタTR3は、いずれも同一導電型のトランジスタであり、第1ソース領域SOU1、第2ソース領域SOU2、第3ソース領域SOU3、第1ドレイン領域DRN1、第2ドレイン領域DRN2、及び第3ドレイン領域DRN3は、互いに同一導電型(例えばn型)の不純物領域である。ただし、これらの不純物領域は、p型の不純物領域であっても良い。
【0022】
平面視において、第1トランジスタTR1、第3トランジスタTR3、第2トランジスタTR21、及び第2トランジスタTR22のそれぞれにおいて、ゲート電極とドレインの間には素子分離膜EIが設けられている。これにより、第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR21、及び第2トランジスタTR22において、ゲート−ドレイン間の耐圧は大きくなる。
【0023】
詳細には、第1ドレイン領域DRN1と第1ゲート電極GE1の間には素子分離膜EI1が設けられており、第3ドレイン領域DRN3と第3ゲート電極GE3の間には素子分離膜EI3が設けられている。また、第2ドレイン領域DRN21と第2ゲート電極GE21の間には素子分離膜EI21が設けられており、第2ドレイン領域DRN22と第2ゲート電極GE22の間には素子分離膜EI22が設けられている。本図に示す例において、素子分離膜EI1の幅D1、素子分離膜EI22の幅D3、及び素子分離膜EI3の幅D4は互いに等しい。一方、素子分離膜EI21の幅D2は、素子分離膜EI22の幅D3よりも大きくなっている。これにより、第2トランジスタTR21における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離は、第2トランジスタTR22における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離よりも大きくなっている。
【0024】
上記したように、図1,2に示す例では、2つの第2トランジスタTR21が並んでいる。そして、2つの第2トランジスタTR21における素子分離膜EI21の幅D2は、互いに等しい。ただし、相対的に第1トランジスタTR1に近いほうの第2トランジスタTR21における幅D2は、相対的に第1トランジスタTR1に遠いほうの第2トランジスタTR21における幅D2よりも大きくても良い。
【0025】
そして、第1トランジスタTR1の第1ドレイン領域DRN1および第1ゲート電極GE1には、同一の電源配線が接続しており、第1ソース領域SOU1には接地電位が印加されている。また、第3トランジスタTR3の第3ソース領域SOU3及び第3ゲート電極GE3には接地電位が印加されている。また、複数の第2トランジスタTR2(第2トランジスタTR21及び第2トランジスタTR22を含む)において、第2ゲート電極GE2には同一の配線が接続しており、第2ドレイン領域DRN2には同一の配線が接続しており、第2ソース領域SOU2は接地されている。なお、第1ドレイン領域DRN1に入力される電圧は、例えば0.3V以上15V以下であり、第2ドレイン領域DRN2に入力される電圧は、例えば0.3V以上80V以下である。
【0026】
なお、半導体基板SUBには複数のウェルが形成されている。詳細には、第1ソース領域SOU1及び第1ゲート電極GE1が形成されている領域には、第1ソース領域SOU1とは逆導電型のウェルWL1が形成されており、第1ドレイン領域DRN1及び素子分離膜EI1,EI3が形成されている領域には、第1ドレイン領域DRN1と同一導電型のウェルWL2が形成されている。また、第3ソース領域SOU3、第2ゲート電極GE21、及び第3ゲート電極GE3が形成されている領域には、第3ソース領域SOU3と逆導電型のウェルWL3が形成されている。また、第2ドレイン領域DRN21及び素子分離膜EI21が形成されている領域には、第2ドレイン領域DRN21と同一導電型のウェルWL21が形成されており、第2ソース領域SOU21、第2ゲート電極GE21、及び第2ゲート電極GE22が形成されている領域には、第2ソース領域SOU21と逆導電型のウェルWL2が形成されている。さらに、第2ドレイン領域DRN22及び素子分離膜EI22が形成されている領域には、第2ドレイン領域DRN22と同一導電型のウェルWL22が形成されている。そして、各ウェルの表層には、そのウェルに電位を印加するために、そのウェルと同一導電型の高濃度領域が形成されている。
【0027】
そして、ウェルWL21の幅は、ウェルWL22の幅よりも大きくなっている。
【0028】
次に、本実施形態の効果について説明する。半導体装置SDのうち第2トランジスタTR2の第2ドレイン領域DRN2に接続している配線に、静電気などの異常電流が流れることがある。この異常電流は、第2ドレイン領域DRN2から、ウェルを介して第2ソース領域SOU2に流れる。本発明者が検討した結果、第2トランジスタTR2のうち第1トランジスタTR1の近くに位置する第2トランジスタTR2には、他の第2トランジスタTR2よりも多くの電流が流れやすいことが判明した。その理由は、第2ドレイン領域DRN2に入力される電圧(すなわちウェルWL21の電圧)に対して第1ドレイン領域DRN1に入力される電圧(すなわちウェルWL12の電圧)が低いため、これによってウェルWL3の電位もウェルWL2の電位より低くなるため、と考えられる。
【0029】
これに対して本実施形態では、第1トランジスタTR1に最も近い第2トランジスタTR2(第2トランジスタTR21)における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離は、第1トランジスタTR1から最も離れている第2トランジスタTR22における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離よりも大きくなっている。このため、第2トランジスタTR21におけるドレイン−ソース間の抵抗は、第2トランジスタTR22におけるドレイン−ソース間の抵抗よりも大きい。従って、異常電流が第2トランジスタTR21に集中することを抑制できる。
【0030】
図3及び図4は、それぞれ、比較例に係る半導体装置SD(図3)及び実施形態に係る半導体装置SD(図4)において、第2トランジスタTR2の第2ドレイン領域DRN2に接続する配線に異常電流が流れたときの電流密度をシミュレーションした結果を示す図である。比較例に係る半導体装置SDは、第2トランジスタTR21の代わりに通常の第2トランジスタTR2を有している点を除いて、実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成を有している。図3及び図4を比較すると、第2トランジスタTR21を設けることにより、特定の第2トランジスタTR2に電流が集中することを抑制できることが分かる。
【0031】
図5は、第2トランジスタTR2一つあたりに流すことができる異常電流の量の、図2に示した素子分離膜EI21の幅D2の依存性を示す図である。本図において、幅D2は、素子分離膜EI22の幅D3を基準として示している。この図から、幅D2を広げるにつれて(例えば幅D2を幅D3の2倍、5倍)、第2トランジスタTR2一つあたりに流すことができる異常電流の量が増加することが分かる。
【0032】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置SDの断面図であり、第1の実施形態における図2に対応している。本実施形態に係る半導体装置SDは、第2トランジスタTR21の構造を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0033】
本実施形態において、素子分離膜EI21の幅D2は、素子分離膜EI22の幅D3と同じである。その代わり、第2ゲート電極GE21の幅L1は、第2ゲート電極GE22の幅L0よりも広くなっている。また、ウェルWL21の幅は、ウェルWL22の幅よりも大きい。
【0034】
このため、本実施形態によっても、第2トランジスタTR21における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離は、第2トランジスタTR22における第2ソースコンタクトSCON2と第2ドレインコンタクトDCON2の距離よりも大きくなっている。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
なお、2つの第2トランジスタTR21における第2ゲート電極GE21の幅L1は、互いに等しい。ただし、相対的に第1トランジスタTR1に近いほうの第2トランジスタTR21における幅L1は、相対的に第1トランジスタTR1に遠いほうの第2トランジスタTR21における幅L1よりも大きくても良い。
【0036】
図7は、第2トランジスタTR2一つあたりに流すことができる異常電流の量の、図6に示した第2ゲート電極GE21の幅L1の依存性を示す図である。本図において、幅L1は、第2ゲート電極GE22の幅L0を基準として示している。この図から、幅L1を広げる(例えば幅L1を幅D0の5倍)と、第2トランジスタTR2一つあたりに流すことができる異常電流の量が増加することが分かる。
【0037】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本実施形態かかる半導体装置SDは、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0038】
まず、各トランジスタにおいて、ドレインとゲートの間に素子分離膜がない。言い換えると、半導体装置SDは、素子分離膜EI1、素子分離膜EI21、素子分離膜EI22、及び素子分離膜EI3を有していない。その代わりに、ドレインの長さ(第1ドレイン領域DRN1、第2ドレイン領域DRN21、第2ドレイン領域DRN22、及び第3ドレイン領域DRN3の長さ)が長くなっている。すなわち本実施形態において、トランジスタはCMOSトランジスタとなっている。また、第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、及び第3トランジスタTR3は、共通のウェルWL4を有している。ウェルWL4は、第1ドレイン領域DRN1とは逆導電型を有している。
【0039】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本実施形態かかる半導体装置SDは、以下の点を除いて、第2の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0041】
まず、各トランジスタにおいて、ドレインとゲートの間に素子分離膜がない。言い換えると、半導体装置SDは、素子分離膜EI1、素子分離膜EI21、素子分離膜EI22、及び素子分離膜EI3を有していない。すなわち本実施形態において、トランジスタはCMOSトランジスタとなっている。
【0042】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0043】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置SDは、素子分離膜EI4,EI51,EI52,EI6を有している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。素子分離膜EI4は第1ゲート電極GE1と第1ソース領域SOU1の間に位置しており、素子分離膜EI51は第2ゲート電極GE21と第2ソース領域SOU21の間に位置している。素子分離膜EI52は第2ゲート電極GE22と第2ソース領域SOU22の間に位置しており、素子分離膜EI6は第3ゲート電極GE3と第3ソース領域SOU3の間に位置している。すなわち本実施形態において、各トランジスタは双方向DMOSトランジスタになっている。素子分離膜EI4,EI51,EI52,EI6の幅は、全て同じである。
【0044】
なお、図11に示すように、第2の実施形態に示した半導体装置SDにおいて、素子分離膜EI4,EI5,EI6を設けても良い。
【0045】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
(第6の実施形態)
図12は、第6の実施形態に係る半導体装置SDの平面図である。図13は、図12の点線で囲んだ部分を拡大した図である。図14は、図13のB−B´断面図であり、図15図13のC−C´断面図である。本実施形態に係る半導体装置SDは、以下の点を除いて、第1〜第5の実施形態に係る半導体装置SDのいずれかと同様の構成を有している。なお、図14は、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の場合を示している。
【0047】
上記した実施形態と同様に、半導体基板SUBには第1トランジスタTR1、複数の第2トランジスタTR2、及び第3トランジスタTR3がマトリクスを形成するように配置差入れている。そして、半導体基板SUBの上には多層配線層が形成されている。そして、図13及び図14に示すように、第1層目の配線層には、配線INC1,INC2,INC3が形成されている。
【0048】
配線INC1は、第1ドレインコンタクトDCON1を介して第1トランジスタTR1の第1ドレイン領域DRN1に接続し、かつ、コンタクトを介して第1トランジスタTR1の第1ゲート電極GE1に接続している。
【0049】
配線INC2は、第2ドレインコンタクトDCON21を介して第2ドレイン領域DRN21に接続し、また第2ドレインコンタクトDCON22を介して第2ドレイン領域DRN22に接続している。
【0050】
配線INC3は、第1ソースコンタクトSCON1を介して第1ソース領域SOU1に接続し、第2ソースコンタクトSCON21を介して第2ソース領域SOU21(第3ソース領域SOU3)に接続し、さらに、第2ソースコンタクトSCON22を介して第2ソース領域SOU22に接続する。
【0051】
また、図13及び図15に示すように、第1層目の配線層には、導体INC4が形成されている。導体INC4はコンタクトを介して第2ゲート電極GE21に接続している。また、配線INC3はコンタクトを介して第3ゲート電極GE3及びウェルWL5に接続している。ウェルWL5は、第1ドレイン領域DRN1とは逆導電型であり、ウェルWL1,WL2,WL3につながっている。
【0052】
図16は、図13のD−D´断面図である。図13及び図16に示すように、第1トランジスタTR1と、第1トランジスタTR1とは異なる行に属する第2トランジスタTR2(第2トランジスタTR22と同様の構造)の間には、ウェルWL5が形成されている。そして、ウェルWL5は、コンタクトを介して配線INC3が接続している。配線INC3は接地配線であり、ウェルWL5の電位を固定している。従って、第1トランジスタTR1とは異なる行に属する第2トランジスタTR2は、第2トランジスタTR21にしなくても、異常電流は集中しない。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
DCON1 第1ドレインコンタクト
DCON2 第2ドレインコンタクト
DCON21 第2ドレインコンタクト
DCON22 第2ドレインコンタクト
DRN1 第1ドレイン領域
DRN2 第2ドレイン領域
DRN21 第2ドレイン領域
DRN22 第2ドレイン領域
DRN3 第3ドレイン領域
EI 素子分離膜
EI1 素子分離膜1
EI21 素子分離膜
EI22 素子分離膜
EI3 素子分離膜
EI4 素子分離膜
EI51 素子分離膜
EI52 素子分離膜
EI6 素子分離膜
GE1 第1ゲート電極
GE2 第2ゲート電極
GE21 第2ゲート電極
GE22 第2ゲート電極
GE3 第3ゲート電極
INC1 配線
INC2 配線
INC3 配線
INC4 導体
SCON1 第1ソースコンタクト
SCON2 第2ソースコンタクト
SCON21 第2ソースコンタクト
SCON22 第2ソースコンタクト
SD 半導体装置
SOU1 第1ソース領域
SOU2 第2ソース領域
SOU21 第2ソース領域
SOU22 第2ソース領域
SOU3 第3ソース領域
SUB 半導体基板
TR1 第1トランジスタ
TR2 第2トランジスタ
TR21 第2トランジスタ
TR22 第2トランジスタ
TR3 第3トランジスタ
WL1 ウェル
WL2 ウェル
WL21 ウェル
WL22 ウェル
WL3 ウェル
WL4 ウェル
WL5 ウェル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16