特許第6193788号(P6193788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193788
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】バイパスバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/32 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   F02M69/32 A
   F02M69/32 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-52731(P2014-52731)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-175303(P2015-175303A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 大地
(72)【発明者】
【氏名】森田 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 晃一
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−097650(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/095774(WO,A1)
【文献】 特開2008−088932(JP,A)
【文献】 特開2010−163890(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/058272(WO,A1)
【文献】 特開2013−087733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 69/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気道と、前記吸気道の前記スロットルバルブの上流側に開口する入口孔及び該吸気道の該スロットルバルブの下流側に開口する出口孔を両端部に有するバイパスとを備えたエンジンの吸気制御装置において該バイパスにおける吸気量を調整するバイパスバルブ装置であって、
前記出口孔に通じた計量孔が開口するバルブシート面を有して前記バイパスの一部を構成するバルブガイド孔と、
前記バルブガイド孔に対して摺動自在かつ回転不能に嵌合されて前記計量孔を開閉するバイパスバルブと、
前記計量孔を開閉する開閉方向に前記バイパスバルブを、ねじ機構を介して駆動するモータとを備え、
前記バイパスバルブは、底壁と、前記底壁の前記開閉方向に平行な両側縁に立設された両側壁と、該底壁の前記モータ側の端縁に立設された第1端壁と、該底壁の該モータと反対側の端縁に立設された第2端壁とで構成され、
前記バイパスバルブ内には、前記モータにより前記ねじ機構を介して駆動されるスライドピースと、前記第1端壁と該スライドピースとの間に介在して前記第2端壁を該スライドピースの該モータと反対側の先端部に押し当てる弾性部材とが収容され、
前記スライドピースの先端部には、該スライドピースが前記ねじ機構の中心軸線の周りで回転するのを阻止するためのピース側係合部が設けられ、
前記バイパスバルブには、前記ピース側係合部に接触して前記スライドピースの回転を阻止するバルブ側係合部が設けられ、
前記計量孔は、前記バイパスバルブの前記モータと反対側に位置することを特徴とするバイパスバルブ装置。
【請求項2】
前記バイパスバルブは、前記底壁側が重力方向下側に位置するように設置され、
前記スライドピースの先端部には、前記第2端壁が押し当てられる先端の第1面と、該第1面に対し重力方向下側において該第2端壁と反対側に凹んだ第2面とが設けられ、
前記第2端壁は、前記第1面側に隆起し、該第1面に押し当てられる当接面を有する隆起部を備え、
前記隆起部の側面は、その重力方向の最上部分に水平面部分を有することなく、該最上部分の両側が、それぞれ対応する前記バイパスバルブの側壁に向かって傾斜し、さらに前記底壁の方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のバイパスバルブ装置。
【請求項3】
前記隆起部は、水平方向に離れた2箇所に設けられ、
各隆起部の間には、各隆起部の側壁と、前記スライドピースの前記第1面とで画定され、重力方向に前記第2面まで延びた通路が形成されることを特徴とする請求項2に記載のバイパスバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルボディに設けられた吸気道と、該吸気道のスロットルバルブを迂回するバイパスとを備えたエンジンの吸気制御装置において、該バイパスを通る吸気の量を調整するバイパスバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイパスバルブ装置が設けられるエンジンの吸気制御装置は、スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気道と、該吸気道のスロットルバルブの上流側及び下流側にそれぞれ開口する入口孔及び出口孔を両端部に有するバイパスとを備える。
【0003】
そして、バイパスバルブ装置は、該バイパスにおける吸気量を調整するために、出口孔に通じた計量孔が開口するバルブシート面を有してバイパスの一部を構成するバルブガイド孔と、バルブガイド孔に対して摺動自在かつ回転不能に嵌合されて計量孔を開閉するバイパスバルブと、計量孔を開閉する開閉方向にバイパスバルブを、ねじ機構を介して駆動するモータとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
バイパスバルブは、底壁と、底壁の前記開閉方向に平行な両側縁に立設された両側壁と、底壁のモータと反対側の端縁に立設された第1端壁と、底壁のモータ側の端縁に立設された第2端壁とで構成される。バイパスバルブ内には、モータによりねじ機構を介して駆動されるスライドピースと、第1端壁とスライドピースとの間に介在して第2端壁をスライドピースのモータ側の端部に押し当てる弾性部材とが収容される。
【0005】
スライドピースのモータ側の端部には、スライドピースの前記開閉方向に平行な軸線の周りの回転を阻止するためのピース側係合部が設けられ、バイパスバルブには、ピース側係合部に接触してスライドピースの回転を阻止するバルブ側係合部が設けられる。計量孔は、バイパスバルブのモータと反対側に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2013/058271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のバイパスバルブ装置によれば、バイパスバルブをスライドピースに対してコイルばねの付勢力で固定するために、バイパスバルブのモータ側に位置する第2端壁をスライドピースのモータ側端部に押し当てるようにしている。このため、計量孔における負圧等の影響により、計量孔側のバイパスバルブが上方に移動してバイパスバルブが傾き、バイパスを通るアイドル時の吸気量の調整に影響を与えるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、バイパスバルブの傾きにより、バイパスを通る吸気量の調整に悪影響を及ぼすことのないバイパスバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバイパスバルブ装置は、スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気道と、前記吸気道の前記スロットルバルブの上流側に開口する入口孔及び該吸気道の該スロットルバルブの下流側に開口する出口孔を両端部に有するバイパスとを備えたエンジンの吸気制御装置において該バイパスにおける吸気量を調整するバイパスバルブ装置であって、前記出口孔に通じた計量孔が開口するバルブシート面を有して前記バイパスの一部を構成するバルブガイド孔と、前記バルブガイド孔に対して摺動自在かつ回転不能に嵌合されて前記計量孔を開閉するバイパスバルブと、前記計量孔を開閉する開閉方向に前記バイパスバルブを、ねじ機構を介して駆動するモータとを備え、前記バイパスバルブは、底壁と、前記底壁の前記開閉方向に平行な両側縁に立設された両側壁と、該底壁の前記モータ側の端縁に立設された第1端壁と、該底壁の該モータと反対側の端縁に立設された第2端壁とで構成され、前記バイパスバルブ内には、前記モータにより前記ねじ機構を介して駆動されるスライドピースと、前記第1端壁と該スライドピースとの間に介在して前記第2端壁を該スライドピースの該モータと反対側の先端部に押し当てる弾性部材とが収容され、前記スライドピースの先端部には、該スライドピースが前記ねじ機構の中心軸線の周りで回転するのを阻止するためのピース側係合部が設けられ、前記バイパスバルブには、前記ピース側係合部に接触して前記スライドピースの回転を阻止するバルブ側係合部が設けられ、前記計量孔は、前記バイパスバルブの前記モータと反対側に位置することを特徴とする。
【0010】
本発明の構成において、バイパスの吸気量を調整する際には、バイパスバルブがモータにより開閉方向に駆動され、バルブガイド孔の計量孔が適切な開度となるように開閉される。この間、弾性部材により、バイパスバルブの第2端壁がスライドピースの先端部に押し当てられているので、バイパスバルブは、がたつくことなく、スライドピースと一体となって開閉方向に駆動される。
【0011】
このとき、バイパスバルブとバルブガイド孔との間には若干の隙間が存在するので、バイパスバルブが傾くおそれがある。しかし、バルブシート面に開口する計量孔は、バイパスバルブのモータと反対側、すなわちスライドピースの先端部に押し当てられるバイパスバルブの第2端壁側に位置する。つまり、軽量孔は、傾きの支点となる側に位置する。このため、計量孔の近傍でバルブシート面とバイパスバルブとの間に隙間が生じ難い。このため、計量孔からのエンジン負圧等がバイパスバルブに影響した場合でも、バイパスバルブは傾き難いので、バイパスバルブによる計量孔の開閉は精確に行われる。したがって、バイパスの吸気量を適切に調整し、エンジンのアイドル制御を高い精度で行うことができる。
【0012】
また、本発明において、前記バイパスバルブは、前記底壁側が重力方向下側に位置するように設置され、前記スライドピースの先端部には、前記第2端壁が押し当てられる先端の第1面と、該第1面に対し重力方向下側において該第2端壁と反対側に凹んだ第2面とが設けられ、前記第2端壁は、前記第1面側に隆起し、該第1面に押し当てられる当接面を有する隆起部を備え、前記隆起部の側面は、その重力方向の最上部分に水平面部分を有することなく、該最上部分の両側が、それぞれ対応する前記バイパスバルブの側壁に向かって傾斜し、さらに前記底壁の方向に延びていてもよい。
【0013】
これによれば、スライドピースの第1面と第2端壁との間に異物が到来した場合でも、その異物は、第2端壁の隆起部の側面に沿って直ちに落下するので、スライドピースの第1面と隆起部の当接面との間にその異物が侵入するのを防止することができる。また、スライドピースの第2面と、第2端壁との間に異物が侵入した場合でも、第2面は第1面から第2端壁と反対側に凹んでいるので、そこから異物がスライドピースの第1面と隆起部の当接面との間に侵入するのを防止することができる。
【0014】
さらに、この場合、前記隆起部は、水平方向に離れた2箇所に設けられ、各隆起部の間には、各隆起部の側壁と、前記スライドピースの前記第1面とで画定され、重力方向に前記第2面まで延びた通路が形成されてもよい。
【0015】
これによれば、2つの隆起部の当接面を介して、バイパスバルブがスライドピースに押し当てられるので、バイパスバルブのスライドピースに対する位置を安定して維持することができる。また、2つの部分からなる隆起部の側壁と、スライドピースの第1面とで画定された通路を経て、異物をバイパスバルブの底壁側に排除することが、さらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る吸気制御装置の特にバイパスバルブ装置の部分を示す断面図である。
図2図1のII-II線断面図であり、バイパスバルブのスライドピースの回転が阻止されている2つの場合について上段と下段に示す。
図3図1の吸気制御装置におけるバイパスバルブ及びスライドピースの先端側の平面図である。
図4】左側の図は、図3のバイパスバルブの第2端壁を内側から見た様子を示す断面図であり、右側の図は、図3のスライドピースを先端側から見た様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、実施形態のバイパスバルブ装置1は、エンジンの吸気制御装置2に設けられる。吸気制御装置2は、スロットルボディ3に設けられてスロットルバルブ4で開閉される吸気道5と、吸気道5のスロットルバルブ4の部分を迂回するバイパス6とを備える。
【0018】
バイパス6は、吸気道5のスロットルバルブ4の上流側及び下流側でそれぞれ開口する入口孔7及び出口孔8を両端部に有する。バイパスバルブ装置1は、エンジンのアイドル時にバイパス6を通る吸気量を調整する。
【0019】
バイパスバルブ装置1は、バイパス6の吸気量を調整するために、バイパス6の一部を構成するバルブガイド孔9と、バルブガイド孔9に対して摺動自在かつ回転不能に嵌合されたバイパスバルブ10と、バイパスバルブ10を、ねじ機構11を介して駆動するモータ12とを備える。
【0020】
バルブガイド孔9は、バイパス6の出口孔8に通じた計量孔13が開口するバルブシート面14を有する。モータ12は、バルブガイド孔9内でバイパスバルブ10を開閉方向Aに駆動することにより、適切な開口面積で開口するように、計量孔13をバイパスバルブ10で開閉する。
【0021】
バイパスバルブ10は、底壁15と、底壁15の開閉方向Aに平行な両側縁に立設された両側壁16と、底壁15のモータ12側の端縁に立設された第1端壁17と、底壁15のモータ12と反対側の端縁に立設された第2端壁18とで箱状に構成される。バイパスバルブ10の上方側は、開放されている。
【0022】
バイパスバルブ10内には、モータ12によりねじ機構11を介して駆動されるスライドピース19と、バイパスバルブ10の第1端壁17とスライドピース19との間に介在して第2端壁18をスライドピース19のモータ12と反対側の先端部に押し当てる弾性部材としてのコイルばね20とが収容される。
【0023】
ねじ機構11は、モータ12の駆動軸に設けられた雄ねじ21と、スライドピース19に設けられた雌ねじ22とで構成される。スライドピース19の先端部には、ねじ機構11の状態に応じて、雌ねじ22が設けられた空間とその外部との間でエアを出入りさせるための貫通孔23が設けられる。
【0024】
図2に示すように、スライドピース19の先端部には、スライドピース19がねじ機構11の中心軸線24の周りで回転するのを阻止するためのピース側係合部25が設けられる。ピース側係合部25は、開閉方向A(中心軸線24の方向)に平行な2つの係合面26及び27を有する。係合面26及び27は、中心軸線24のやや上側で交差し、中心軸線24側において90°より若干大きい角度をなしている。
【0025】
バイパスバルブ10には、ピース側係合部25に接触してスライドピース19の回転を阻止するバルブ側係合部28が設けられる。バルブ側係合部28は、開閉方向Aに垂直な断面が溝を形成する凹状を呈している。
【0026】
バルブ側係合部28中央の凸状部分の開閉方向Aに平行な2つの端縁のうちの一方が係合面26と接することにより、図2の上段のように、スライドピース19の一方向への回転が阻止される。また、2つの端縁のうちの他方が係合面27と接触することにより、図2の下段のように、他方への回転が阻止される。
【0027】
計量孔13は、バイパスバルブ10のモータ12と反対側、すなわちバイパスバルブ10の第2端壁18の近傍に位置する。したがって、計量孔13は、バイパスバルブ10が開閉方向Aに沿ってモータ12側に移動されるときに開口面積が増加し、モータ12と反対側に移動されるときに開口面積が減少するように開閉される。
【0028】
図3の平面図で示されるように、バイパスバルブ10は、底壁15側が重力方向下側に位置するように設置される。スライドピース19の先端部には、バイパスバルブ10の第2端壁18が押し当てられる先端の第1面29aと、第1面29aに対し重力方向下側において第2端壁18と反対側に凹んだ第2面29bとが設けられる。この凹みを形成する段差面が、上述の係合面26及び27を構成している。第2端壁18は、第1面29a側に隆起し、第1面29aに押し当てられる当接面30を有する隆起部31を備える。
【0029】
図4に示すように、隆起部31の側面32は、その重力方向の最上部分に水平面部分を有することなく、最上部分の両側が、それぞれ対応するバイパスバルブ10の側壁16に向かって傾斜し、さらに底壁15の方向に延びている。
【0030】
隆起部31として、水平方向に離れた2つのものが存在する。各隆起部31の間には、各隆起部31の側面32と、スライドピース19の第1面29aとで画定され、重力方向に第2面29b側まで延びた通路33が形成される。
【0031】
この構成において、バイパス6を通る吸気は、吸気道5から、吸気道5に開口した入口孔7を介してバイパス6に導入され、バルブガイド孔9、及び計量孔13を経て、出口孔8から吸気道5に放出される。かかるバイパス6の吸気の量を調整する際には、バイパスバルブ10がモータ12により開閉方向Aに駆動され、バルブシート面14に開口した計量孔13の開口面積が、適切な値となるように制御される。
【0032】
この間、コイルばね20により、バイパスバルブ10の第2端壁18がスライドピース19の先端部に押し当てられ、第2端壁18の当接面30がスライドピース19の第1面29aに密接する。このため、バイパスバルブ10は、がたつくことなく、スライドピース19と一体となって開閉方向Aに駆動される。
【0033】
このとき、バイパスバルブ10とバルブガイド孔9との間には若干の隙間が存在するので、バイパスバルブ10が傾くおそれがある。しかし、バルブシート面14に開口する計量孔13は、バイパスバルブ10のモータ12と反対側、すなわちスライドピース19の先端部に押し当てられるバイパスバルブ10の第2端壁18側に位置する。つまり、計量孔13は、傾きの支点となる側に位置する。このため、計量孔13の近傍でバルブシート面14とバイパスバルブ10との間に隙間が生じ難い。
【0034】
したがって、計量孔13からのエンジン負圧等がバイパスバルブ10に影響した場合でも、バイパスバルブ10は傾き難いので、バイパスバルブ10による計量孔13の開閉は精確に行われる。これにより、バイパス6の吸気量が適切に調整され、エンジンのアイドル制御が高い精度で行われる。
【0035】
また、この間、図4のように、バイパスバルブ10の第2端壁18における隆起部31の側面32には水平面部分がないので、第2端壁18とスライドピース19の第1面29aとの間に異物34が到来した場合でも、その異物34は、第2端壁18の隆起部31の側面32に沿って直ちに落下する。したがって、隆起部31の側面32上に異物34が滞留し、かかる異物34がスライドピース19の第1面29aと隆起部31の当接面30との間に侵入することが回避される。
【0036】
また、スライドピース19の第2面29bと第2端壁18との間に異物34が侵入した場合でも、第2面29bは第1面29aから第2端壁18と反対側に凹んでいるので、そこから異物34が第1面29aと第2端壁18の当接面30との間に侵入することが回避される。したがって、スライドピース19に対するバイパスバルブ10の開閉方向Aの位置が正確に維持され、バイパスバルブ10による吸気量の調整が、常に正確に行われる。
【0037】
また、バイパスバルブ10の第2端壁18には、水平方向に離れた2つの隆起部31が設けられているので、各隆起部31の当接面30を介して、バイパスバルブ10がスライドピース19先端の第1面29aに押し当てられる。このため、バイパスバルブ10のスライドピース19に対する位置が安定して維持される。
【0038】
また、各隆起部31の間の上方に到来した異物34は、各隆起部31の側壁32とスライドピース19の第1面29aとで画定された通路33を経て、バイパスバルブ10の底壁15側に容易に排除される。これによっても、第1面29aと第2端壁18の当接面30との間への異物34の侵入が効果的に回避される。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、計量孔13の近傍に存在するバイパスバルブ10の第2端壁18をスライドピース19に押し当てるようにしたので、計量孔13の開口面積を正確に制御し、バイパス6の吸気量を正確に調整することができる。
【0040】
また、第2端壁18の隆起部31の側面32が、常に下方に向けて傾斜し、水平面部分を有しないので、異物34が隆起部31の当接面30とスライドピース19先端の第1面29aとの間に進入するのを防止し、バイパスバルブ10の位置を常に正確に維持することができる。
【0041】
また、スライドピース19の第2面29bは、第1面29aから第2端壁18と反対側に凹んでいるので、異物34がスライドピース19の第1面29aとバイパスバルブ10の当接面30との間に侵入するのをさらに良好に防止することができる。
【0042】
また、水平方向に離れた2つの隆起部31を有するので、バイパスバルブ10のスライドピース19に対する位置を安定して維持するとともに、異物34をバイパスバルブ10の底壁15側に容易に排除することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、隆起部31は1つであってもよい。また、コイルばね20に代えて、他の弾性部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…バイパスバルブ装置、2…吸気制御装置、3…スロットルボディ、4…スロットルバルブ、5…吸気道、6…バイパス、7…入口孔、8…出口孔、9…バルブガイド孔、10…バイパスバルブ、11…ねじ機構、12…モータ、13…計量孔、14…バルブシート面、15…底壁、16…側壁、17…第1端壁、18…第2端壁、19…スライドピース、20…コイルばね(弾性部材)、24…中心軸線、25…ピース側係合部、26…バルブ側係合部、29a…第1面、29b…第2面、30…当接面、31…隆起部、32…側面、33…通路。
図1
図2
図3
図4