(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置は、工具の先端位置を水平校正できるものの、工具とターゲットマークの2つの像が重なった状態にて撮影できるように複数のミラーおよびハーフミラーおよびカメラを組み合わせたものであり、装置自体が煩雑であった。また、工具の先端位置を垂直校正できるものの、接触式変位計が工具の先端との接触によって工具の物理的な移動量を計測するものであり、工具を回転させながらの測定は不可能であることから、回転の発熱による変位を測定することができなかった。
【0006】
以上のことから、本発明は、前述した課題を解決するために為されたもので、簡易な構成にて工具の先端位置の変位を正確に測定することができる工作機械の工具変位測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する本発明に係る工作機械の工具変位測定装置は、
工作機械の工具の先端位置の変位を測定する工作機械の工具変位測定装置であって、
前記工具を撮影する撮影手段と、
前記工具に光を照射する第一,第二照明手段と、
前記光を反射する反射手段と、
前記反射手段を移動する移動手段と、
前記撮影手段により撮影された前記工具の画像から前記工具の先端位置を解析する画像処理手段とを具備し、
前記第一照明手段が前記撮影手段に対向して配置される一方、前記第二照明手段が、前記第一照明手段および前記撮影手段と同一面において前記反射手段を介して前記撮影手段の撮影方向に対し直交して配置され、
前記撮影手段と前記第一照明手段との間の第一撮影領域に前記工具を配置したときに、前記移動手段が前記撮影手段の撮影視野から離間した位置に前記反射手段を移動し、前記第一照明手段が前記工具を照明する一方、前記撮影手段が前記工具を撮影し、
前記第二照明手段と対向する第二撮影領域に前記工具を配置したときに、前記移動手段が前記第二照明手段の光を前記撮影手段側へ反射する位置に前記反射手段を移動し、前記第二照明手段が前記工具を照明する一方、前記撮影手段が前記反射手段により反射された前記工具の像を撮影し、
前記画像処理手段は、前記第一撮影領域での前記工具の画像と前記第二撮影領域での前記工具の画像に基づき前記工具の先端位置を測定する
ことを特徴とする。
【0008】
また、
前記第一照明手段と前記第二照明手段と前記撮影手段とが同一水平面に配置される
ことを特徴とする。
【0009】
また、
前記撮影手段、前記第一照明手段、前記第二照明手段、前記反射手段を覆い、前記撮影手段による撮影方向、前記第一,第二照明手段による光の照射方向、前記反射手段による光の反射方向に窓部が形成されたカバーと、
前記窓部を遮蔽可能なシャッターと
を具備する
ことを特徴とする。
【0010】
また、
前記反射手段が前記シャッターに設けられ、
前記移動手段は、前記シャッターである
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る工作機械の工具変位測定装置によれば、撮影手段と第一,第二照明手段と反射手段と移動手段と画像処理手段とを具備し、撮影手段と第一,第二照明手段と反射手段の4つを所定の関係となる様に配置するだけで、工作機械の工具の先端における直交する3方向の位置を測定することができる。よって、簡易な構成にて、工具の先端位置の変位を正確に測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る工作機械の工具変位測定装置の一実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る工作機械の工具変位測定装置は、工作機械が具備する工具Tの変位を測定する装置である。前記工具Tは、例えば、土台を構成するベッド上に載置されるコラムと、コラムの一側面側に摺動自在に支持される主軸ヘッドと、主軸ヘッドに回転自在に支持される主軸とを具備する工作機械において、前記主軸に着脱自在に支持されるものである。すなわち、工具Tは、工作機械により所定の箇所に配置可能になっており、工作機械が工具の移動手段をなしている。
【0015】
本実施形態に係る工作機械の工具変位測定装置10は、
図1に示すように、基台11、カメラ(撮影手段)14、第一照明装置(第一照明手段)15、第二照明装置(第二照明手段)16、反射鏡(反射手段)17を具備する。
【0016】
基台11は、例えば、前記工作機械のコラムの前方に配設されるテーブル上にて、前記工作機械がワークを加工する箇所に隣接した箇所に配置される。基台11は、直方体状をなす第一基部11aおよび第二基部11bを有する。第二基部11bは、第一基部11aと同一平面にて第一基部11aの延在方向に対して直交方向となるように第一基部11aの略中央部と接続している。すなわち、基台11は、平面視で略T字状をなしている。第一基部11aは、工具Tを後述する第一撮影領域41に配置したときに、カメラ14および第一照明装置15により工具Tを撮影可能な大きさに形成されている。第二基部11bは、工具Tを詳細につき後述する第二撮影領域42に配置すると共に、反射鏡17を詳細につき後述する光反射位置に配置したときに、カメラ14および第二照明装置16および反射鏡17により工具Tを撮影可能な大きさに形成されている。
【0017】
カメラ14は、基台11の第一基部11aにおける一方の端部に固定される。カメラ14は、例えばCCDカメラであり、工作機械によって第一撮影領域41に配置された工具Tの先端を撮影すると共に、工作機械によって第二撮影領域42に配置され、反射鏡17によって反射された工具Tの先端の像を撮影する。
【0018】
第一照明装置15は、基台11の第一基部11aにおける他方の端部に固定される。第一照明装置15は、工作機械によって第一撮影領域41に配置された工具Tの先端およびその近傍を照明する。
【0019】
カメラ14と第一照明装置15は、対向して配置されると共に、当該カメラ14の撮影方向であるカメラ軸A2と当該第一照明装置15による光の照射方向である光軸A1とが一致するように配置される。ここで、カメラ14のカメラ軸A2および第一照明装置15の光軸A1と平行な方向をY軸方向とし、垂直方向をZ軸方向とする。
【0020】
第二照明装置16は、基台11の第二基部11bの端部に固定される。第二照明装置16は、工作機械によって第二撮影領域42に配置された工具Tの先端およびその近傍を照明する。第二照明装置16は、当該第二照明装置16による光の照射方向である光軸A3が前記Y軸と同一の水平面に配置されると共に、カメラ14と第一照明装置15の間にて、カメラ14のカメラ軸A2と直交するように配置される。第二照明装置16の光軸A3は、Y軸方向と直交する方向であり、X軸方向とする。
【0021】
反射鏡17は、支持具18により支持され、XY平面にて所定の角度に保持される。反射鏡17は、第二照明装置16による光をカメラ14側へ反射する光反射位置と、前記光反射位置から離間し、カメラ14の撮影視野から外れた撮影視野外位置とに移動可能に設けられる。
【0022】
上述した工作機械の工具変位測定装置10は、
図2に示すように、カバー20および第一,第二シャッター31,32をさらに備える。これにより、工具Tの変位を測定可能なように装置全体を覆うことができ、工具Tによりワークを加工したときに生じる加工くず(例えば、切粉)や加工油(例えば、切削油)などの異物からカメラ14および第一,第二照明装置15,16および反射鏡17を保護することができる。
【0023】
カバー20は、撮影室21、第一照明室22、第二照明室23、第一連絡室24、第二連絡室25を構成するように形成されている。
【0024】
撮影室21は、カメラ14を覆うように構成されている。撮影室21を覆うカバー20には、カメラ14のカメラ軸A2の延在方向に第一撮影用窓部21aが形成されている。さらに撮影室21を覆うカバー20には、反射鏡17によるカメラ軸A2の反射方向(第二照明装置16の光軸A3の延在方向)に第二撮影用窓部21bが形成されている。
【0025】
第一照明室22は、第一照明装置15を覆うように構成されている。第一照明室22を覆うカバー20には、第一照明装置15の光軸A1の延在方向に第一照明用窓部22aが形成されている。
【0026】
第二照明室23は、第二照明装置16を覆うように構成されている。第二照明室23を覆うカバー20には、第二照明装置16の光軸A3の延在方向に第二照明用窓部23aが形成されている。
【0027】
撮影室21と第一照明室22とは、第一連絡室24により連通している。
【0028】
撮影室21と第二照明室23とは、第二連絡室25により連通している。
【0029】
第一,第二シャッター31,32は、平面視で略U字状をなしている。第一シャッター31は、上下動自在に設けられており、上下動によって第一撮影用窓部21aおよび第一照明用窓部22aを開閉している。第二シャッター32は、上下動自在に設けられており、上下動によって第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを開閉している。
【0030】
第一シャッター31におけるカメラ14との対向面側には、支持具18を介して反射鏡17が取り付けられている。反射鏡17は、第一撮影用窓部21aおよび第一照明用窓部22aを遮蔽する位置に第一シャッター31を配置する一方、第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを開口する位置に第二シャッター32を配置したときに、第二照明装置16の光軸A3とカメラ14のカメラ軸A2とが一致するように配置されている。よって、第一シャッター31の開閉により、カメラ14の撮影視野から離間した位置に反射鏡17を移動すると共に、第二照明装置16による光をカメラ14側へ反射する位置に反射鏡17を移動することができる。
【0031】
上述の工作機械の工具変位測定装置10は、窓部21a,21b,22a,23aに向けて空気を噴射するエア噴射ノズル33a,33b,33c,33dをさらに備える。これらエア噴射ノズル33a,33b,33c,33dからエアを噴射することにより、上述した異物のカバー20内への侵入を防ぐことができる。
【0032】
また、上述の工作機械の工具変位測定装置10は、
図3に示すように、カメラ14、第一照明装置15、第二照明装置16、第一シャッター31、第二シャッター32と接続して設けられた制御装置50と、カメラ14および制御装置50と接続して設けられた画像処理装置51を具備する。制御装置50は、カメラ14、第一,第二照明装置15,16、第一,第二シャッター31,32、画像処理装置51を制御する。なお、制御装置50には、上述した工具の移動手段をなす工作機械とも接続しており、制御装置50は、前記工作機械も制御している。
【0033】
画像処理装置51は、カメラ14により撮影された工具Tの画像から工具Tの先端位置を解析する。具体的には、画像処理装置51は、工具Tが第一撮影領域41に配置されたときに、第一照明装置15が工具Tを照明する一方、カメラ14が工具Tを撮影して得られた工具Tの画像と、工具Tが第二撮影領域42に配置されたときに、反射鏡17が光反射位置に配置され、第二照明装置16が工具Tを照明する一方、カメラ14が工具Tを撮影して得られた工具Tの画像とに基づき工具Tの先端位置を測定(演算)して座標位置を求める。
【0034】
ここで、上述した工作機械の工具変位測定装置10が具備する制御装置50により、工具Tの変位を測定する手順について、
図4(a),(b)を用いて以下に説明する。なお、工具Tの変位を測定する前は、
図2に示すように、第一シャッター31が第一撮影用窓部21aおよび第一照明用窓部22aを遮蔽するように配置され、第二シャッター32は第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを遮蔽するように配置される。エア噴射ノズル33a〜33dは、窓部21a,21b,22a,23aに向けてエアを常に噴射するように制御されている。
【0035】
先ず、
図4(a)に示すように、前記工作機械が工具Tを第一撮影領域41に配置する。
【0036】
続いて、第一撮影用窓部21aおよび第一照明用窓部22aを開口する位置に第一シャッター31を移動し、第一照明装置15が光を工具Tに向けて照射する一方、カメラ14が工具Tを撮影する。画像処理装置51は、得られた工具Tの画像を従来の画像処理技術によって処理することにより、工具Tの先端位置のX軸方向およびZ軸方向の変位(X座標およびZ座標)を測定する(演算する)。なお、第二シャッター32は、第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを遮蔽する位置に配置される。
【0037】
続いて、第一撮影領域41において、工具Tの先端位置の測定が終わると、第一照明装置15を消灯する一方、第一撮影窓部21aおよび第一照明用窓部22aを遮蔽する位置に第一シャッター31を移動する。これにより、反射鏡17は、第二照明装置16が照射する光をカメラ14側へ反射する位置に配置される。
【0038】
続いて、
図4(b)に示すように、前記工作機械が工具Tを第二撮影領域42に配置する。
【0039】
続いて、第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを開口する位置に第二シャッター32を移動し、第二照明装置16が光を工具Tに向けて照射する一方、カメラ14が反射鏡17により反射された工具Tの像を撮影する。画像処理装置51は、得られた工具Tの画像を従来の画像処理技術によって処理することにより、工具TのY軸方向の変位(Y座標)を測定する(演算する)。なお、第一シャッター31は、第一撮影用窓部21aおよび第一照明用窓部22aを遮蔽する位置に配置される。
【0040】
続いて、第二測定領域42において、工具Tの先端位置の測定が終わると、第二照明装置16を消灯する一方、第二撮影用窓部21bおよび第二照明用窓部23aを遮蔽する位置に第二シャッター32を移動する。
【0041】
したがって、本実施形態に係る工作機械の工具変位測定装置10によれば、所定の位置に配置したカメラ14、第一照明装置15、第二照明装置16、反射鏡17を具備し、これらを所定の順序で動作させるだけで、工具Tの先端位置(X座標、Y座標、Z座標)の変位を測定することができる。すなわち、簡易な構成でありながらも、工具Tの先端位置の変位を正確に測定することができる。
【0042】
カメラ14と第一照明装置15と第二照明装置16を略T字の頂点に配置し、反射鏡17を前記略T字の交点に配置するだけで、工具Tの先端におけるX軸、Y軸、Z軸の3方向の変位を測定することができることから、カメラと照明装置を具備する工作機械の工具変位測定装置を2組用いて工具Tの先端におけるX軸、Y軸、Z軸の3方向の変位を測定する場合と比べて省スペース化を図ることができる。
【0043】
反射鏡17が第一シャッター31に設けられることにより、反射鏡17を移動するための機器が不要となり、簡易な構成とすることができる。
【0044】
[他の実施形態]
なお、上記では、1つのカメラ14と2つの照明装置15,16と1つの反射鏡17とを具備する工作機械の工具変位測定装置10について説明したが、2つのカメラと1つの照明装置と1つの反射鏡とを具備する工作機械の工具変位測定装置とすることも可能である。
【0045】
上記では、1つのカメラ14と2つの照明装置15,16と1つの反射鏡17とを具備する工作機械の工具変位測定装置10について説明したが、カメラ14の代わりに、光を受光する1つの受光装置と2つの投光装置と1つの反射鏡とを具備する工作機械の工具変位測定装置とすることも可能である。
【0046】
上記では、同一水平面に配置される1つのカメラ14および2つの照明装置15,16と、カメラ14および照明装置15,16と同一の水平面に配置可能な反射鏡17とを具備する工作機械の工具変位測定装置10について説明したが、同一鉛直面に配置される1つのカメラおよび2つの照明装置と、前記カメラおよび前記2つの照明装置と同一の鉛直面に配置可能な1つの反射鏡とを具備する工作機械の工具変位測定装置とすることも可能である。
【0047】
上記では、1つのカメラ14と2つの照明装置15,16とが基台11に固定される工作機械の工具変位測定装置10を用いて説明したが、1つのカメラと2つの照明装置とが支持具を介して基台に固定される工作機械の工具変位測定装置とすることも可能である。
【0048】
上記では、第一シャッター31に設けられた反射鏡17を備える工作機械の工具変位測定装置10について説明したが、第二照明装置16による光をカメラ14側へ反射する光反射位置と、前記光反射位置から離間し、カメラ14による撮影視野から外れた撮影視野外位置とに前記反射鏡17を移動する移動装置(移動手段)を備える工作機械の工具変位測定装置とすることも可能である。前記移動装置としては、例えば、Z軸方向に移動可能な昇降装置、XY平面にて移動可能な水平移動装置などを用いることができる。前記装置として、例えば、支持具18に先端側が取り付けられたピストンロッドと、流体(例えば、空気、油など)の給排により前記ピストンロッドを進退させるシリンダとを備える機器などが挙げられる。