【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は次の1〜
5に記す鋳造用耐火物、鋳造用ノズル及びSNプレートである。
【0032】
1.
Al
4O
4Cを15質量%以上60質量%以下、金属としてのAl成分を1.2質量%以上10.0質量%以下含有し、残部がAl
2O
3、フリーのC及び他の耐火性成分からなる鋳造用耐火物において、Al
4O
4C、Al
2O
3及び金属としてのAl成分の合計が85質量%以上であって、Al
4O
4Cの含有量(Al
4O
4C)と金属としてのAl成分の含有量(Al)とフリーのCの含有量(C)とが下記の式1及び式2の関係を満たすことを特徴とする、鋳造用耐火物。
1.0≦C/(Al
4O
4C×0.038+Al×0.33) …式1
1.0≧C/(Al
4O
4C×0.13+Al×0.67) …式2
【0034】
2.
前
記Al
4O
4Cの結晶の大きさが、Al
4O
4Cの結晶の断面積を円に換算したときの平均直径で20μm以上である、前記
1に記載の鋳造用耐火物。
【0035】
3.
前記残部の他の耐火性成分が、MgO、SiO
2、正方晶又は単斜晶のZrO
2、SiC、B
4C、BN、Si
3N
4及び金属Siの群から選択する1又は複数である、前記1
又は前記
2に記載の鋳造用耐火物。
【0036】
4.
前記金属としてのAl成分の含有量に対する質量割合で10%以上200%以下の金属Siを含有する、前記1から前記
3のいずれかに記載の鋳造用耐火物。
【0037】
5.
前記1から
前記4に記載のいずれかの鋳造用耐火物を一部又は全部に配設した、鋳造用ノズル又はSNプレート。
【0038】
以下本発明を詳細に説明する。
【0039】
前述のようなジルコニアやシリカを含有する原料に存在する問題点を解消するために、本発明は、Al
4O
4Cを耐火物の主たる構成材料とする。Al
4O
4Cの熱膨張率は4×10
−6/K以下と、アルミナの約半分程度であって低熱膨張性である。この低熱膨張性により、耐火物に高度な耐熱衝撃性を備えることができる。しかも従来技術のアルミナジルコニア等のジルコニア含有原料よりも熱膨張率を低減する効果が高い。またAl
4O
4Cは高温域でもジルコニアのような相転移はせず、特異な膨張挙動は示さないことから弾性率を低減する効果はない反面、繰り返し使用でも組織劣化を生じ難い利点もある。
【0040】
Al
4O
4Cは850℃以上の一酸化炭素雰囲気下では、式3で示される反応により、Al
2O
3を析出する。これにより、最初に稼動面に緻密なアルミナ層を形成し、このアルミナ層がAl
4O
4Cを保護して、Al
4O
4Cのさらなる酸化等による変化を抑制する。Al
4O
4Cは、その表面のアルミナ保護層を含め、耐火物内に低耐食性のシリカ成分を多量には含まないので、高い耐食性、耐摩耗性等を示す。
Al
4O
4C+2CO=2Al
2O
3+3C …式3
【0041】
なお、Al
4O
4Cは、雰囲気によっては窒化物、炭化物を含む変質層をも形成する。
【0042】
Al
4O
4CはこのようにAl
2O
3として析出されることから、アルミナ−ジルコニア原料やジルコニアムライト原料などのジルコニア含有原料と比較して耐食性に優れており、摺動面の損耗に対して改善が期待できる。
【0043】
鉱物相としてのAl
4O
4Cの含有量としては、15質量%未満では熱膨張率の低減効果が小さく、耐熱衝撃性が不十分である。一方、Al
4O
4Cの含有量が60質量%を超えるとAl
4O
4Cが相対的に過多になって、フリーのCと金属としてのAl成分の含有量による調整だけでのAl
4O
4CのAl
2O
3化に伴う焼結を抑制することは困難になる。
【0044】
なお、プレート耐火物は一般的に焼嵌めした鉄製のバンドで外周部を拘束されるか、又は鉄製の容器内に配置されて使用されることが多い。耐火物中のAl
4O
4Cの含有量が多くなるのに伴って耐火物の熱膨張率は低減することから、鋳造時にその耐火物の膨張量よりも前記の鉄製バンドや鉄製容器の膨張量の方が大きくなり、鉄製バンドが耐火物から外れる又は鉄製容器との間に隙間が生じることがある。このような現象は、特に長時間の使用において耐火物自体の亀裂が拡大する原因となると共に、繰り返し使用する際に耐火物(プレート状)が脱落する原因になることがある。このような理由から、鉱物相としてのAl
4O
4Cの含有量は15質量%以上60質量%以下であることが必要である
【0045】
Al
4O
4Cは長時間又は多数回使用される等で酸化条件に曝されるとAl
2O
3化が進行して、低熱膨張性基材としての効果が減少していく。また、Al
2O
3の密度を3.9、Cの密度を2.0、Al
4O
4Cの密度を2.7とすると、前記式3の反応に伴い約3.1%の体積膨張を伴うことから、Al
4O
4CのAl
2O
3化の際及びその進行に伴って緻密化も進行して、また焼結の進行等により耐熱衝撃性が低下する傾向も現れる。
【0046】
したがって耐熱衝撃性を維持するための主要な耐火骨材としてのAl
4O
4Cは、そのAl
2O
3化を抑制してAl
4O
4Cとしての残存させることが好ましい。
【0047】
そこで本発明では、Al
4O
4Cを骨材として含む耐火物に金属アルミニウムを併存させ、金属アルミニウムがAl
4O
4Cよりも優先的に酸素を捕捉することで、Al
4O
4Cを保護し、その残存量を高める。
【0048】
金属アルミニウム又は金属アルミニウム合金はその融点が660℃以下であることから、約660℃付近から鋳造温度までの広い温度域において耐酸化性効果を発現することができる。したがって、例えばSNプレートの繰り返し使用等で、そのプレート耐火物内の温度分布において低温度の部分が存在する場合等の耐酸化性強化に寄与することができる。すなわちAl
4O
4Cの耐酸化性が発現する約850℃以下の温度域での耐火物(炭素成分)の酸化を抑制・防止することができると共に、約850℃以上の温度域においてはAl
4O
4Cが酸化することを抑制・防止することができる。
【0049】
ここで、本発明の鋳造用耐火物中に含有する「金属としてのAl成分」とは、他の元素との化合物を除き、アルミニウムのみから成る原料に由来するAl成分と、アルミニウムを含む合金原料に由来するAl成分を含み、1.2質量%以上10質量%以下という含有量は、金属としてのAl成分のみに換算した量をいう。
【0050】
この金属としてのAl成分の含有量が1.2質量%未満では、耐火物組織中のC及びAl
4O
4Cの酸化抑制効果を得ることができない。一方、10質量%を超えると、使用時の受熱により金属アルミニウムが反応して、緻密化や焼結等が過度に進行する等により、十分な耐熱衝撃性を得ることができない。
【0051】
この金属としてのAl成分の含有量は、個別の鋳造用ノズル、SNプレートの形状や使用(操業)条件に応じて任意に調整することができる。としてのAl成分を含有する合金としては、金属アルミニウム−マグネシア合金、金属アルミニウム−シリコン合金等を使用することができる。
【0052】
これら金属アルミニウム、金属アルミニウムを含有する合金は、Al
4O
4Cの粒子(球状であるか板状であるかに関わらず)の周囲に分散させることが好ましい。この点から、金属アルミニウム又は金属アルミニウムを含有する合金は、0.3mm以下のアトマイズ又は繊維状であることが好ましい。
【0053】
Al
4O
4Cは850℃以上の一酸化炭素雰囲気中では、雰囲気と接する粒子の界面から前記式3で示される反応が進行し、Al
2O
3とCを主成分とする相を生成する。よってAl
4O
4Cの表層がAl
4O
4C、Al
2O
3、SiO
2等の骨材原料と接している場合は容易に焼結し、ネットワークを形成する。このような反応層が形成されることによりAl
4O
4Cが直接雰囲気と接することを妨げ、Al
4O
4Cの酸化を抑制する反面、過度な反応の進行は、周囲の酸化物成分等との焼結により過度な結合ないし高弾性率化等を招来して、耐熱衝撃性を低下させることになる。
【0054】
また、金属アルミニウム又は金属アルミニウムを含有する合金は融点以上の温度条件下にさらされると溶融し、マトリックス内に浸透して金属としてのAl成分同士のネットワークを形成し、また雰囲気条件によっては、以下の式4及び式5で示される反応によりAl
2O
3又はAl
2O
3とCを析出して組織を緻密化すると共に高強度となる。しかしその反面著しく高弾性率ともなる。同様に超微粉のアルミナ粒子等、易焼結性の酸化物も焼結によりネットワークを形成して高強度となると共に、著しく高弾性率ともなり得る。
4Al(l)+3C(s)=Al
4C
3(s) …式4
2Al+3CO=2Al
2O
3+3C …式5
【0055】
Alの密度を2.7、Cの密度を2.0、Al
4C
3の密度を2.36、Al
2O
3の密度を3.9とすると、Alは、前記式5で示されるAl
2O
3とCを析出する場合は約120%の体積膨張を伴うことから、著しく組織を緻密化する。フリーのCがマトリックス中に分散して存在する場合は、溶融した金属アルミニウムと反応し、炭化アルミニウムを生成し易い。炭化アルミニウムの生成反応による体積膨張は5.2%程度であり、組織の緻密化効果は小さく、Al
2O
3を形成する場合ほどには緻密性を高めることはない。
【0056】
これらの反応による緻密化の過度な進行や弾性率の過度な上昇を抑制するために、一定量のフリーのCの存在が必要となる。フリーのCとは、非晶質又は結晶質であるかを問わず、フェノールレジンなどバインダー起因の炭素、黒鉛、コークス粉、ピッチ粉、カーボンブラック、粉末状樹脂などの、他の元素との化合物を形成していない炭素質の基材をなすC成分をいう。すなわち、Al
4O
4C、SiC、B
4C等の化合物として存在する炭素は含まない。
【0057】
耐火物のマトリックス中、特にAl
4O
4Cの粒子周りにフリーのCが分散して存在することで、Al
4O
4C、あるいは金属としてのAl成分の反応によるAl
2O
3(及びC)の析出自体を抑制することができる。そして、この反応ないし変質に起因した他の骨材原料等との焼結等によるネットワークを遮断する効果も併せ持つ。
【0058】
長時間、又は多数回の使用に耐える特性を備えるためには、前述のAl
4O
4C、あるいは金属としてのAl成分とAl
2O
3その他の耐火成分との反応自体を抑制して適正化するために、Al
4O
4Cの含有量(Al
4O
4C)、金属としてのAl成分の含有量(Al)、及びフリーのCの含有量(C)は、式1及び式2を満たすことが必要である。
1.0≦C/(Al
4O
4C×0.038+Al×0.33) …式1
1.0≧C/(Al
4O
4C×0.13+Al×0.67) …式2
【0059】
前述のように一酸化炭素雰囲気ではAl
4O
4Cは一酸化炭素との反応によりAl
2O
3とCを析出し、組織を緻密化する効果が得られるが、Alは1モルで1.5モルの一酸化炭素を還元する効果があるのに対して、Al
4O
4Cは1モルで3モルの一酸化炭素を還元する効果がある。これはAl:1質量%に対してAl
4O
4Cは5.1質量%で同様の酸化防止効果があることを示している。
【0060】
Al
4O
4Cの反応による焼結ないしは過度な緻密化(高弾性率化等)を抑制するためには、少なくともAl
4O
4C粒子の界面に生じる変質層をマトリックス中にあるフリーのCが囲繞し、前記変質層をAl
2O
3などの酸化物とできるだけ直接接触させないことが望ましい。
【0061】
図1に、Al
4O
4Cを含有する原料とフリーのCを含有する原料を主原料とし、Al
4O
4Cの含有量とフリーのCの含有量を変えて、フリーのCとAl
4O
4Cの体積比を変えた試料を作製し、1300℃非酸化雰囲気中で焼成した耐火物の弾性率を示す。この結果、フリーのCがAl
4O
4Cの体積の5.0%以上の場合に、弾性率が低減する傾向が強くなることが確認された。
【0062】
図2には、平均粒子径が0.6μmの仮焼アルミナに、一次粒子径が5nmのカーボンブラック(フリーのC)を添加し、添加量を変えて混練した後に所定の形状に成形した試料を、1500℃の非酸化雰囲気で焼成した後の線変化率を示す。Cを添加していない条件では、アルミナ粒子同士の接触面からの焼結により収縮するが、Cの添加量が多いほど収縮率は低下し、C添加量が約10体積%でほぼ収縮率がゼロとなる。このことから、仮焼アルミナの粒子の表層をカーボンブラック(C)が被覆又は囲繞してアルミナ粒子同士の接着を防ぐことで、焼結を抑制していると考えられる。
【0063】
なお、粒子間の焼結速度や程度等と粒子周りのC層の厚さの関係は、粒子の種類によりほとんど差がないと考えられること、及び焼結性を確認し易くするために、ここではAl
4O
4Cに変えて仮焼アルミナを用いた。
【0064】
表1(及び表1をグラフ化した
図3)には、この結果からAl
4O
4Cの粒子の表層を被覆又は囲繞するカーボンブラックの厚みを概算している。この概算結果から、C添加量が10体積%(7.66質量%)の場合のAl
40
4C粒子周りのC層の厚さ、つまりAl
4O
4C粒子を被覆又は囲繞するカーボンブラック(C)の厚みが0.02μm以上あれば、Al
4O
4Cの焼結を抑制できることを示している。
【0065】
【表1】
【0066】
なお、Al
4O
4Cの焼結による弾性率の上昇等は、前記式3によりAl
2O
3とCを析出する際の体積膨張による組織の緻密化と、析出したAl
2O
3と周囲のAl
2O
3等酸化物成分との焼結により生じると考えられる。
【0067】
次に、表2(及び表2をグラフ化した
図4)には、Al
4O
4Cの平均粒子径を変えて、その粒子の表層に0.02μmの厚みのフリーのCを被覆又は囲繞した場合のAl
4O
4CとフリーのCとの体積比及び質量比の計算結果を示している。
【0068】
【表2】
【0069】
Al
4O
4C粒子の表層に0.02μmの厚みのフリーのC層を形成すること、及び前述の
図1の実験結果に基づくAl
4O
4Cの弾性率低減効果を得るために必要なAl
4O
4C量に対するフリーのC量:5体積%の2つの条件を満たすAl
4O
4C粒子の最小の大きさは、この計算結果(表2)から1.2μmとなる。すなわち、Al
4O
4C粒子の大きさが1.2μm以上であってこのAl
4O
4C粒子量に対してフリーのCを最低5体積%添加すれば、Al
4O
4C粒子周囲又は粒子間には、弾性率を低減するのに必要かつ十分な厚さのフリーのC層を得ることができることになり、Al
4O
4C粒子の大きさが大きくなるほどそのフリーのCの厚さが厚くなる。言い換えれば、Al
4O
4Cの平均粒子径が1.2μm以上あればフリーのCの含有体積がAl
4O
4Cの含有体積の5.0%以下であってもAl
4O
4Cの全粒子の表面をフリーの炭素が被覆又は囲繞することができる。すなわち焼結抑制効果が得られる。
【0070】
ここで、本発明の鋳造用耐火物においてAl
4O
4Cは、主たる構成基材又はその基材の一部として特に耐熱衝撃性を高める機能を担うものである。このような機能を発揮するための基材の大きさは、相対的に大(粗粒ともいう)ないしは中(マトリクスの微粉よりも大きい部分であって中間粒ともいう)程度とするのが技術常識である。すなわち、本発明の鋳造用耐火物中のAl
4O
4Cの平均粒子径は必然的に1.2μmよりも大きく、また後述のように、Al
4O
4Cの結晶の大きさは20μm以上であることが好ましいので、Al
4O
4Cの粒子の大きさも20μm以上であることが好ましい。
【0071】
このことから、本発明の鋳造用耐火物においては、少なくともフリーのCをAl
4O
4C含有量に対して5.0体積%以上含有することで、上記技術常識の範囲内でAl
4O
4C粒子の大きさにかかわず、Al
4O
4C粒子周辺の他の耐火性成分との焼結等を抑制することが可能となることになる。
【0072】
Al
4O
4Cの体積の5.0体積%以上のフリーのCは、Al
4O
4Cの密度を2.7、フリーのCの密度を2.0としてこれを質量割合に換算すると、Al
4O
4Cの質量の3.8質量%以上となる。
【0073】
なお、Al
4O
4Cを含有する原料粒子の表層部を被覆又は囲繞して存在するフリーのCは、耐火物のマトリックスとしての結合組織自体又はその一部として存在するものであってもよい。
【0074】
金属としてのAl成分に関しても、その周りに焼結抑制のためのC層を存在させるために必要なC量を計算することができる。因みに、金属としてのAl成分から前記式5に示すようなAl
2O
3を生成すること、すなわち膨張量の大きい反応を抑制し、より膨張量の小さい前記式4に示す反応を促進する方が好ましい。つまり、金属としてのAl成分が式4で示される炭化アルミニウムを生成するのに必要なフリーのC量は、Al成分1モルに対して4分の3モルのフリーのC、Al成分の33質量%以上の量が必要である。
【0075】
以上より、耐熱衝撃性を得るため、Al
4O
4Cを含有する原料粒子及び金属としてのAl成分の表層部を被覆又は囲繞して存在するのに必要なフリーのCの含有量は、Al
4O
4C含有量の3.8質量%以上と、金属としてのAl成分含有量の33質量%以上とを合算した量以上ということになる。
【0076】
このフリーのCの含有量と、金属としてのAl成分含有量及びAl
4O
4C含有量との関係は式6で表される。
C≧(Al
4O
4C×0.038+Al×0.33) …式6
これを変形すると、前記式1になる。
【0077】
この式6すなわち式1を満たさない場合は、Al
4O
4C及びAlの反応及び焼結による過度な緻密化の進行や過度な弾性率の上昇を抑制する効果が小さく、長時間の鋳造時に、亀裂やエッジ欠け等の損耗を生じ易い。
【0078】
一方で過剰のフリーのCが存在する場合は、特に稼動面付近等の酸化雰囲気に曝された場合は、次の反応により酸化される。
2C+O
2=2CO …式7
C+CO
2=2CO …式8
【0079】
フリーのCが酸化されると、組織劣化を招き、損耗を助長し、耐用性を低下させる要因となる。特に長時間又は繰り返し使用ではその傾向が顕著になってくる。
【0080】
前述したように、AlやAl
4O
4Cは、酸化されたCを、式3及び式5に示した反応により還元し、Cとしてデポジットさせ、併せて組織を緻密化させることにより酸化防止効果を得ることができる。
【0081】
Alは式5より、1モルで1.5モルの酸化されたCを再びCとして組織中にデポジットする効果があるが、1.5モルを超える酸化されたCに関しては、Cとしてデポジットすることができない。これは、Al:1質量%で0.67質量%のCの酸化を抑制する効果があることを示す。
【0082】
Al
4O
4Cは式4より、1モルで2モルの酸化されたCを元のCとしてデポジットする効果があるが、2モルを超える酸化されたCに関しては、Cとしてデポジットすることができない。これを質量に換算すると、Al
4O
4Cは1質量%で、0.13質量%のCの酸化防止効果を持つことになる。
【0083】
よって耐火物中のAl
4O
4Cと金属としてのAl成分がフリーのCの酸化を防止できる最大量は、これをフリーのCの質量%に換算して書き換えると、式9で表すことができる。
C≦(Al
4O
4C×0.13+Al×0.67) …式9
これを変形すると、前記式2になる。
【0084】
フリーのCの含有量が前記の式9すなわち式2を満たさない場合は、含有するAl
4O
4C及びAlが、含有するフリーのC全ての酸化を抑制することができないことになる。
【0085】
また、式6と式9から次の関係式を導き出すことができる。
(Al
4O
4C×0.038+Al×0.33)≦C≦(Al
4O
4C×0.13+Al×0.67) …式10
【0086】
前述のように、金属としてのAl成分やAl
4O
4Cは、酸化されたCを還元してCとしてデポジットさせ、併せて酸化物ではないフリーのCで組織を緻密化させることにより、耐熱衝撃性を低下させずに酸化防止効果を得ることができる。