(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮音床構造は、互いに隣り合う前記連結部材同士の間の位置で前記床パネル上に設けられているとともに、前記床パネル上に設けられた状態において前記連結部材の上面と同一平面に配置される上面を有する補間部材をさらに備え、
前記補間部材は、前記補間部材及び前記複数の連結部材上に設けられる床下地材を前記床パネルに固定するためのビスが当該補間部材を通過するのを許容する通過許容部を有する、請求項1に記載の遮音床構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の床構造では、各床パネルの鉛直軸回りの回転や水平面に対するねじれが十分に規制されない状態で複数の床パネルが床梁上に設けられている。
【0006】
ここで、各床パネル上には床仕上材が設けられているものの、床仕上材は、各床パネルの回転やねじれを十分に規制するものではない。
【0007】
そのため、特許文献1に記載の床構造では、各床パネルの回転やねじれに伴う振動が発生する。
【0008】
具体的に、特許文献1に記載の床構造では、防振材により床構造の振動モードを低域に移行させることによって重量床衝撃音に対する遮断性能を向上させることができるものの、床パネルの回転やねじれにより、別途重量床衝撃音の性能に悪影響を及ぼす周波数での振動及び床歩行時の振動が発生する。
【0009】
本発明の目的は、床梁上の複数の床パネルの回転やねじれを規制することにより、床構造における重量床衝撃音に悪影響を及ぼす振動及び床歩行時の振動の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、
長手方向が互いに平行するように配置された複数本の床梁と、
互いに隣り合う2本の床梁同士の間に跨り、かつ、水平面に沿うように
前記床梁の長手方向に互いに隣接して配置された状態で前記各床梁上に設けられた複数枚の床パネルと、
互いに隣接する2枚の床パネルの縁部に沿って延びるとともに当該2枚の床パネルの縁部同士の間に跨るように当該2枚の床パネル上に配置され、かつ、前記2枚の床パネルの縁部のみを覆う大きさを有し、前記2枚の床パネルを連結する複数の連結部材と
、前記床梁と前記複数の床パネルとの間で弾性変形することにより前記複数の床パネルから前記床梁への振動の伝達を抑制する複数の防振材であって、平面視において前記複数の連結部材により覆われる範囲内にそれぞれ設けられた複数の防振材とを備え、前記連結部材は、前記
2枚の床パネル
の縁部を上から覆う被覆板と、前記被覆板の下面と前記
2枚の床パネル
の縁部の上面とが各面に沿った方向に相対変位した場合にせん断変形することにより前記相対変位のエネルギーを吸収するように前記被覆板と前記
2枚の床パネルとの間に設けられた制振材とを備え
、前記複数の防振材は、前記床梁の長手方向に互いに隣り合う2枚の床パネルの縁部間に亘ってそれぞれ配置され、前記複数の連結部材は、前記床梁の長手方向と直交する方向に延びて互いに隣り合う2枚の床パネルの縁部と互いに隣り合う2本の床梁との間に設けられた2つの防振材を被覆可能な長さ寸法を有し、かつ、前記2つの防振材を被覆可能な幅寸法を有する、遮音床構造を提供する。
【0011】
本発明によれば、複数枚の床パネルが連結部材により連結されているため、1枚の床パネルに回転又はねじれが生じようとしたときに、この床パネルと被覆板との間で制振材のせん断変形が生じ、前記回転又はねじれを抑える(減衰させる)ことができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、床梁上の複数枚の床パネルの回転やねじれを規制することにより、床構造における重量床衝撃音に悪影響を及ぼす振動及び床歩行時の振動の発生を抑制することができる。
【0013】
なお、床パネルの振動を抑えるために重量の大きな部材(例えば、アスファルトマット)を床パネル上に載せる手法が知られているが、この手法と異なり、本願発明では、床構造の重量、体積、及び構成部材の使用量の無駄な増加を避けることができる。
【0014】
また、本発明では、前記床梁と前記複数の床パネルとの間で弾性変形することにより前記複数の床パネルから前記床梁への振動の伝達を抑制する防振材をさらに備えている
。そのため、重量床衝撃音の性能をより向上することができる。
【0015】
具体的に、各床パネルが個別に防振材に支持されている場合と異なり、複数の床パネルが連結部材により一体化されていることにより振動体の重量が大きくなるため、固有振動の特性を低周波数側にシフトすることができる。これにより、63Hz帯域の音圧レベルに基づいて評価される重量床衝撃音の性能を向上することができる。
【0016】
また、
本発明によれば、防振材が弾性変形することにより各床パネルから床梁への振動の伝達を抑制することができる。
【0017】
一方、固有振動の特性が低周波数側にシフトすると床構造上に位置する人にとって床振動を感じ易くなる。
【0018】
本発明によれば、制振材のエネルギー吸収によって各床パネルの振動を減衰させることができるため、上述した重量床衝撃音の低減と床振動の低減とを両立することができる。
【0019】
ここで、床パネルが防振材を介さずに床梁上に直接設けられている場合、床パネルのうち床梁に支持されている部分以外の部分が変位(床パネル自体が変形(ねじれ等))するため、この変位を抑えなければ床衝撃音を有効に抑えることはできない。一方、上述のように床パネルと床梁との間に防振材が設けられている場合には、防振材の弾性変形により床パネルが全体として床梁に対して変位することにより床パネル自体の変形が抑制される。
【0020】
そこで、
本発明において、前記遮音床構造は、互いに隣接する2枚の床パネルの縁部に沿って延びるとともに当該2枚の床パネルの縁部同士の間に跨るように配置され、かつ、前記2枚の床パネルの縁部のみを覆う大きさを有する複数の連結部材を有
している。
【0021】
上述のように防振材を用いることにより床パネル自体の変形を抑えることができる点に着目して、床パネルの全体に連結部材を設けるのではなく床梁に対する床パネルの変位を規制することができる最小限の範囲(隣接する2枚の床パネルの縁部)のみに複数の連結部材が設けられている。これにより、連結部材のコストを抑えつつ床衝撃音の低減及び振動伝達の抑制の両立を図ることができる。
【0022】
ここで、床パネルは、当該床パネルにおいて床梁に支持されている部分、つまり、防振材を支点として床梁に対して変位する。
【0023】
そこで、
本発明における前記遮音床構造は、平面視において前記複数の連結部材により覆われる範囲内にそれぞれ設けられた複数の防振材を有している
。
【0024】
この態様によれば、上述した床パネルの変位の支点(防振材)を連結部材と床梁との間で挟み込むことによって当該床パネルの変位を確実に抑えることができる。
【0025】
さらに、本発明において、前記複数本の床梁は、当該床梁の長手方向が互いに平行するように配置され、前記複数枚の床パネルは、互いに隣り合う2本の床梁同士の間に跨り、かつ、前記床梁の長手方向に並べて配置され、前記複数の防振材は、前記床梁の長手方向に互いに隣り合う2枚の床パネルの縁部間に亘ってそれぞれ配置され、前記複数の連結部材は、前記床梁の長手方向と直交する方向に延び
て互いに隣り合う2枚の床パネルの縁部と互いに隣り合う2本の床梁との間に設けられた2つの防振材を被覆可能な長さ寸法を有し、かつ、前記2つの防振材を被覆可能な幅寸法を有
している。
【0026】
本発明によれば、防振材を2枚の床パネルに共用することができるとともにこの防振材を連結部材が覆うことによって床梁に対する床パネルの変位も規制することができる。
【0027】
ここで、遮音床構造に対して床下地材が設けられる場合、床下地材は、連結部材上に敷設された状態でビスによって床パネルに固定されることが作業効率の点で好ましい。一方、連結部材には、複数の床パネルを拘束するために高い剛性が求められるため、ビスを通すことを許容するように連結部材を構成することは困難である。
【0028】
そこで、上述のように複数の連結部材を複数の床パネル上に間欠的に配置することを前提として、前記遮音床構造は、互いに隣り合う前記連結部材同士の間の位置で前記床パネル上に設けられているとともに、前記床パネル上に設けられた状態において前記連結部材の上面と同一平面に配置される上面を有する補間部材をさらに備え、前記補間部材は、前記補間部材及び前記複数の連結部材上に設けられる床下地材を前記床パネルに固定するためのビスが当該補間部材を通過するのを許容する通過許容部を有することが好ましい。
【0029】
この態様によれば、連結部材の間に補間部材を設けることにより床下地材を設置するための平坦な設置面を確保しつつ、当該床下地材の通過許容部を通じてビスを床パネルに対して打ち込むことにより床下地材を固定することができる。
【0030】
したがって、連結部材が設けられていない部分をビスを通すための部分として利用することにより床下地材を効率よく固定することができる。
【0031】
なお、『ビスが補間部材を通過するのを許容する』通過許容部は、ビスを通すために補間部材に予め形成された孔であってもよいが、ビスの締め付けに応じて孔が形成される材質により構成された部分でもよく、このような材質により補間部材の全体が構成されていてもよい。
【0032】
前記遮音床構造において、前記補間部材及び前記連結部材上に設けられた床下地材と、前記床下地材と前記補間部材及び前記連結部材との間に設けられた防湿材とをさらに備えていることが好ましい。
【0033】
この態様によれば、防湿材の下からの湿気が床下地材まで導かれるのを抑制することにより、当該湿気によって床下地材が変形するといった不具合の発生を防止することができる。また、床下地材と補間部材及び連結部材との間に防湿材が挟まれた状態で上述のように床下地材をビスによって固定することにより、床下地材とともに防湿材も容易に固定することができる。なお、防湿材は、当該防湿材よりも下における湿気が防湿材よりも上に導かれるのを遮断するための部材である。
【0034】
前記遮音床構造において、被覆板は、曲げ剛性と引張強度がいずれも大きい材料、例えば鋼板により形成されていることが好ましい。
【0035】
床パネルの回転及びねじれによって被覆板に対して曲げ方向の力及び引っ張り方向の力が生じるが、前記態様のように被覆板として鋼板を用いることにより前記力に抗するための曲げ強度及び引張強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、床梁上の複数の床パネルの回転やねじれを規制することにより、床構造における重量床衝撃音に悪影響を及ぼす振動及び床歩行時の振動の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0039】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係る床構造1は、複数本の床梁2(図では2本の床梁2を示す)と、床梁2上に設けられた複数の防振材3と、防振材3の上から床梁2上に設けられた複数枚の床パネル4と、各床パネル4に亘って当該各床パネル4上に設けられた連結部材5(厚み5mm)と、連結部材5上に設けられた床材6とを備えている。なお、床材6は、床下地材(例えば、パーティクルボード:厚み15mm)と、床下地材の上に設けられた床仕上材(例えば、フロア材:厚み13.5mm)とを含むものとして、1枚の部材として図示されている。
【0040】
各床梁2は、互いに平行するように配置されている。以下、各床梁2が延びる方向を縦方向とし、縦方向と直交する方向を横方向とする。
【0041】
床パネル4は、略長方形の平面形状及び97mmの厚み寸法を有する押出セメント板である。床パネル4は、その長手方向を横方向に向けた状態で2本の床梁2間に架け渡されている。この状態で、複数の床パネル4は、水平面に沿うように互いに縦方向及び横方向に隣接した状態で各床梁4上に設けられている。
【0042】
防振材3は、床梁2に対する床パネル4の相対移動に応じて弾性変形可能な部材であり、例えば、ポリウレタンにより形成されている。防振材3は、平面視で各床パネル4の四隅に配置されている。この防振材3の弾性変形によって床パネル4から床梁2への振動伝達が抑制される。
【0043】
連結部材5は、複数枚の床パネル4の上面の全体を覆うように設けられ、各床パネル4を互いに連結する。また、連結部材5は、
図3に示すように、複数枚の床パネル4を上から覆う被覆板5aと、被覆板5aと各床パネル4との間に設けられた制振材5bとを備えている。
【0044】
被覆板5aは、厚み4.5mmの亜鉛鋼板により形成されている。
【0045】
制振材5bは、被覆板5aの下面と各床パネル4の上面とが各面に沿った方向に相対変位した場合にせん断変形することにより前記相対変位のエネルギーを吸収する。具体的に、制振材5bは、自己粘着性を有する塩素化ポリエチレン系樹脂により形成されており、被覆板5a及び各床パネル4の両者を貼着接合している。
【0046】
このように連結部材5は、制振材5bを介して複数枚の床パネル4を被覆板5aにより連結することにより各床梁2に対する各床パネル4の相対変位を拘束する。具体的に、複数枚の床パネル4が連結部材5によって互いに連結されているため、1枚の床パネル4に回転又はねじれが生じようとしたときに、この床パネル4と被覆板5aとの間で制振材5bのせん断変形が生じ、前記回転又はねじれを抑える(減衰させる)ことができる。
【0047】
以下、
図4を参照して、前記床構造1による作用について説明する。
【0048】
図4において二点鎖線で示す曲線は、各床パネル4が連結されていない(前記連結部材5が設けられていない)比較例に係る床構造の固有振動の特性を示すものである。この特性においては、各床パネル4が個別に振動可能であることに伴い振動体(各床パネル4)の重量が軽いため、振幅がピークP1となる周波数f1が比較的高い。その結果、63Hzの周波数帯f3における振幅に基づいて判断される重量床衝撃音の性能が悪い。
【0049】
また、
図4において一点鎖線で示す曲線は、各床パネル4を連結しただけで前記制振材5bが設けられていない比較例に係る床構造の固有振動の特性を示すものである。この特性においては、各床パネル4が一体化されていることにより振動体(各床パネル4の連結体)の重量が重いため、矢印Y1に示すように、振幅がピークP2となる周波数f2が前記周波数f1よりも低くなる(固有振動の特性が低周波数側にシフトする)。その結果、重量床衝撃音の性能が向上する。
【0050】
ここで、上述のように固有振動の特性が低周波数側にシフトすると床構造上に位置する人にとって床振動を感じ易くなるが、上述した、本発明に係る床構造1によれば、この床振動を低減することができる。
【0051】
具体的に、
図4において実線で示すように、連結部材5を有する床構造1では、制振材5bのせん断変形に伴うエネルギー吸収によって各床パネル4の振動を減衰させることができる。そのため、矢印Y2に示すように、振幅のピークP2をピークP3に低減することができる。
【0052】
以上の結果、
図4で二点鎖線で示す比較例と比較して、矢印Y3に示すように重量床衝撃音を低減することができるとともに、矢印Y2に示すように床振動を低減することができる。
【0053】
以上説明したように、複数枚の床パネル4が連結部材5により連結されているため、1枚の床パネル4に回転又はねじれが生じようとしたときに、この床パネル4と被覆板5aとの間で制振材5bのせん断変形が生じ、前記回転又はねじれを抑える(減衰させる)ことができる。
【0054】
したがって、床梁2上の床パネル4の回転やねじれを規制することにより、床構造1における振動の発生を抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0056】
床構造1は、防振材3を有しているため、上述のように重量床衝撃音の低減と床振動の低減との両立を図ることができる。
【0057】
また、連結部材5が複数枚の床パネル4の上面の全体を覆うように設けられているため、床面全体において床パネル4の回転及びねじれを規制して、床構造1における振動の発生を有効に抑制することができる。
【0058】
被覆板5aが厚み4.5mmの鋼板により形成されているため、床パネル4の回転及びねじれによって被覆板5aに生じる曲げ方向の力及び引っ張り方向の力に耐え得る曲げ強度及び引張強度を被覆板5aに与えることができる。
【0059】
<第2実施形態>
第1実施形態では、複数枚の床パネル4の上面の全体を覆う連結部材5について説明したが、連結部材5は、少なくとも2枚の床パネル4に亘って当該少なくとも2枚の床パネル4を連結していればよい。
【0060】
例えば、
図5のように、床構造1は、複数枚の床パネル4の間の縦方向に延びる目地(継ぎ目)を覆うように縦方向に延びる連結部材5A、及び/又は、複数枚の床パネル4の間の横方向に延びる目地を覆うように横方向に延びる連結部材5Bを有していてもよい。
【0061】
具体的に、連結部材5A、5Bは、互いに隣接する2枚の床パネル4の縁部に沿って延びるとともに当該2枚の床パネル4の縁部同士の間に跨るように配置され、かつ、前記2枚の床パネル4の縁部のみを覆う大きさを有する。
【0062】
この場合、各床パネル4の上面のうち連結部材5A、5B以外の範囲に連結部材5A、5Bと同等の厚みを有する板材を載せるとともに、この板材及び連結部材5A、5B上に床材6を設けることができる。
【0063】
また、第1実施形態では、床パネル4ごとに防振材3を設ける構成を採用しているが、
図5に示すように、隣接する複数の床パネル4間に跨るように防振材3A及び/又は3Bを設けることもできる。
【0064】
ここで、防振材3、3A、3Bは、
図5に示すように、平面視において連結部材5A、5Bにより覆われる範囲内にそれぞれ設けられている。つまり、連結部材5A、5Bは、防振材3、3A、3Bを被覆可能な幅寸法を有する。
【0065】
第2実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0066】
床パネル4が防振材3、3A、3Bを介さずに床梁2上に直接設けられている場合、床パネル4のうち床梁2に支持されている部分以外の部分が変位(床パネル4自体が変形(ねじれ等))するため、この変位を抑えなければ床衝撃音を有効に抑えることはできない。一方、上述のように床パネル4と床梁2との間に防振材3、3A、3Bが設けられている場合には、防振材3、3A、3Bの弾性変形により床パネル4が全体として床梁2に対して変位することにより床パネル4自体の変形が抑制される。
【0067】
第2実施形態では、上述のように防振材3、3A、3Bを用いることにより床パネル4自体の変形を抑えることができる点に着目して、床パネル4の全体に連結部材5を設けるのではなく床梁2に対する床パネル4の変位を規制することができる最小限の範囲(隣接する2枚の床パネル4の縁部)のみに複数の連結部材5A、5Bが設けられている。これにより、連結部材5A、5Bのコストを抑えつつ床衝撃音の低減及び振動伝達の抑制の両立を図ることができる。
【0068】
また、第2実施形態によれば、床パネル4の変位の支点である防振材3、3A、3Bを連結部材5A、5Bと床梁2との間で挟み込むことによって当該床パネル4の変位を確実に抑えることができる。
【0069】
さらに、第2実施形態によれば、防振材3A、3Bを複数枚の床パネル4に共用することができるとともにこの防振材3A、3Bを連結部材5A、5Bが覆うことによって床梁2に対する床パネル4の変位も規制することができる。
【0070】
<第3実施形態>
以下、
図6及び
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る床構造1について説明する。第3実施形態のうち上述した実施形態と同一の構成については説明を省略する場合がある。
【0071】
床構造1は、互いに平行に延びる複数本の床梁2(
図7では2本のみ示す)と、互いに隣り合う2本の床梁2同士の間に跨り、かつ、床梁2の長手方向に並べて配置された複数の床パネル4と、床梁2の長手方向に互いに隣り合う2枚の床パネル4の縁部間に亘ってそれぞれ配置された複数の防振材3Aと、床梁2の長手方向と直交する方向に延びるとともに防振材3Aを被覆可能な幅寸法を有する複数の連結部材5Cと、互いに隣り合う連結部材5C同士の間の位置で床パネル4上に設けられた補間部材7と、連結部材5C及び補間部材7上に設けられた床材6と、補間部材7及び連結部材5Cと床材6との間に設けられた防湿シート8(防湿材)とを備えている。床材6は、防湿シート8上に設けられた床下地材6a(例えば、パーティクルボード)と、床下地材6a上に設けられた床仕上げ材6bとを有する。
【0072】
連結部材5Cは、床梁2の長手方向に互いに隣接する2枚の床パネル4の縁部に沿って延びるとともに当該2枚の床パネル4の縁部同士の間に跨るように配置され、かつ、前記2枚の床パネル4の縁部のみを覆う大きさを有する。具体的に、連結部材5Cは、床梁2の長手方向と直交する方向に延びるとともに防振材3Aを被覆可能な幅寸法を有する。本実施形態では、連結部材5Cの幅寸法は、防振材3Aの長手寸法と略同一又はこれよりも少し大きい寸法である。
【0073】
補間部材7は、床梁2の長手方向と直交する方向に延びる略長方形の板状部材である。補間部材7は、床下地材6aを固定するためのビス9が当該補間部材7を通過するのを許容する合板により形成されている。つまり、補間部材7は、通過許容部を有する。
【0074】
また、補間部材7は、床パネル4上に設けられた状態において連結部材5Cの上面と同一平面上に配置される上面を有する。つまり、補間部材7の厚み寸法は、連結部材5Cの厚み寸法と略同一に設定されている。補間部材7が床パネル4上に設けられることにより、連結部材5C及び補間部材7の上面により床下地材6aを敷設するための平坦面が形成される。
【0075】
防湿シート8は、当該防湿シート8よりも下における湿気が防湿シート8よりも上に導かれるのを遮断するためのもの(例えば、ビニールシート)である。防湿シート8は、補間部材7及び連結部材5Cと床下地材6aとの間に挟まれた状態で、ビス9により固定されている。
【0076】
以下、
図7〜
図9を参照して、床構造1の製造方法について説明する。
【0077】
まず、
図7に示すように、2本の床梁2上にそれぞれ防振材3Aを載せるとともに、防振材3A上に床パネル4を載せる。ここで、床梁2の長手方向に隣接する2つの床パネル4に亘って防振材3Aが位置するように、床パネル4は床梁2の長手方向に並べて配置される。
【0078】
図8に示すように、床梁2の長手方向に互いに隣接する2つの床パネル4の縁部同士の間に跨るように連結部材5Cを位置決めした状態で当該連結部材5Cを両床パネル4上に取り付ける。
【0079】
さらに、床梁2の長手方向に隣り合う2つの連結部材5Cの間で床パネル4上に補間部材7を載せる。これにより、連結部材5C及び補間部材7の上面によって防湿シート8を敷設するための平坦面が形成される。
【0080】
図9に示すように、連結部材5C及び補間部材7上に防湿シート8を敷設するとともに、この防湿シート8上に床下地材6aを載置する。この状態で、床下地材6aのうち補間部材7上に配置された部分に対してビス9を打ち込むことにより、ビス9は、床下地材6a、防湿シート8及び補間部材7を貫通し、床パネル4に締め付けられる。これにより、床下地材6a、防湿シート8、及び補間部材7は、床パネル4に固定される。
【0081】
ここで、防湿シート8としては、例えば、ロール状に巻かれたシートを採用することができる。この場合、
図9に示す工程では、防湿シート8のロールを展開しながら防湿シート8を連結部材5C及び補間部材7上に敷設する作業を、防湿シートの幅方向の端部が重なるように複数回繰り返すことにより、床面全体を防湿シート8で覆うことができる。
【0082】
図示は省略するが、
図9に示す工程の後、床下地材6a上に接着剤を塗布するとともに当該接着剤上に床仕上げ材6bを敷設する。
【0083】
第3実施形態によれば、連結部材5Cの間に補間部材7を設けることにより床下地材6aを設置するための平坦な設置面を確保しつつ、当該床下地材6a(の通過許容部)を通じてビス9を床パネル4に対して打ち込むことにより床下地材6aを固定することができる。
【0084】
したがって、連結部材5Cが設けられていない部分をビス9を通すための部分として利用することにより床下地材6aを効率よく固定することができる。
【0085】
なお、第3実施形態ではビス9の締め付けに応じて孔が形成される材質(合板)により形成された補間部材7(通過許容部)について説明したが、『ビスが補間部材を通過するのを許容する』通過許容部は補間部材7に限定されない。通過許容部は、ビスを通すために補間部材に予め形成された孔であってもよい。
【0086】
また、第3実施形態によれば、防湿シート8の下からの湿気が床下地材6aまで導かれるのを抑制するにより、当該湿気によって床下地材6aが変形するといった不具合の発生を防止することができる。また、床下地材6aと補間部材7及び連結部材5Cとの間に防湿シート8が挟まれた状態で上述のように床下地材6aをビス9によって固定することにより、床下地材6aとともに防湿シート8も容易に固定することができる。
【0087】
第3実施形態に係る床構造1を構成する各部材の厚み寸法の実施例は次の通りである。防振材3Aの厚み寸法は12mmであり、床パネル4の厚み寸法は97mmであり、連結部材5C及び補間部材7の厚み寸法は5mmであり、防湿シート8の厚み寸法は0.3mmであり、床下地材6aの厚み寸法は15mmであり、床仕上げ材6bの厚み寸法は9mmである。
【0088】
なお、前記各実施形態では、97mmの厚みを有する押出しセメント板により形成された床パネル4に対して4.5mmの厚みを持つ亜鉛鋼板により形成された被覆板5aを用いている。しかし、同一条件の床パネル4に対しては3.2mm以上の厚みを持つ亜鉛鋼板を用いることにより、前記各実施形態と同等の効果が得られることが確認されている。
【0089】
また、被覆板5aの厚みは、床パネル4の剛性に応じて適宜設定されるものである。例えば、床パネル4の比重及び剛性が小さい場合には、被覆板5aの厚みを薄く設定することで上述した効果を得ることができる。